説明

微細加工体および微細構造体の製造方法、ならびに光記録媒体の製造方法

【課題】高密度かつ高テーパ角の微細凹凸形状を形成することができる微細構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】非感熱性の無機レジストを主成分とする感熱層を基材上に形成し、感熱性の無機レジストを主成分とする非感熱層を感熱層上に形成する。感熱層を露光、現像し、感熱層に所定のマスクパターンを形成する。マスクパターンを用いて非感熱層をエッチングすることにより、微細凹凸パターンを基材上に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細凹凸パターンを有する微細加工体および微細構造体の製造方法、ならびに光記録媒体の製造方法に関する。詳しくは、感熱性および非感熱性の無機レジストを用いて微細凹凸パターンを形成する微細構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の高密度化に伴い、リソグラフィ技術が単層レジストから多層レジストに変わりつつある。これは、感熱性レジストが有機材料であるか無機材料であるかに関わらず、パターン解像度が膜厚に反比例するためである。多層レジストを用いた製造プロセスは、複数のレジストを基材上に積層し、最上層のレジストにパターンを形成し、これをマスクとして順次下層のレジストをエッチングしていくものである。
【0003】
感応性レジストが感光性の有機レジストである場合、底面からの光反射やレジスト膜中に発生する定在波の影響などで、解像度の低下が起こりやすい。活性エネルギー線として電子線を照射する場合には、電子線の内部散乱や後方散乱のために解像度の低下を起こすことがある。また、感光性(上層)、非感光性(下層)の2種類の有機レジストを積層した場合、界面で材料同士の混じり合いが起こることがある。さらに、有機レジストは現像によるパターン形成やウエットエッチングの際に膨潤を起こすことが多く、充分な寸法精度が得られにくいことがある。
【0004】
これらの問題を解決するため、感光性レジストの下に反射防止膜や無機膜を設ける方法、パターン形成にのみ有機レジストを用い、これをマスクとして下層の無機膜をエッチングする方法が開発されている。これまでに提案されている積層レジストを用いたプロセス技術について、以下に、報告年順にいくつか説明する。
【0005】
(1)3層構成(有機層:1層/無機層:1層/有機層:1層)
下層を有機膜、中間層をSiO2膜、上層を感応性有機レジスト膜とする3層構成を用いる。有機膜で基板の凹凸を埋めて表面平坦性を得て、感応性有機レジストの膜厚を小さくすることで高い解像度を得る。上層を露光・現像してパターン形成したのち、これをマスクとして中間層をCHF3でRIE(Reactive Ion Etching)処理し、次いで、O2でRIE処理して下層のエッチングと上層の除去とを同時に行う(例えば非特許文献1参照)。
【0006】
(2)2層構成(無機層:1層/有機層:1層)
上層としてO2のRIEに耐性が高いカルコゲナイド・ガラス膜を用い、下層としてO2のRIE処理が可能な有機膜を用いる。有機レジストを塗布し、下層(有機膜)を形成することで、基板面の段差を均一化する。上層(無機膜)を下層上に形成し、この上層にパターン形成し、これをマスクとして下層をドライエッチングする(例えば非特許文献2参照)。
【0007】
(3)2層構成(有機層:2層)
下層の材料として、PMMA(ポリメチルメタクリレート)など遠紫外光で分解する有機レジスト(ポジ型)を用い、上層の材料として、近紫外光には感光して遠紫外には不透明な有機レジスト(ポジ型)を用いる。上層を近紫外光で露光・現像してパターン形成したのち、これをマスクとして下層を遠紫外光で露光し・現像する(非特許文献3)。
【0008】
(4)2層構成(有機・無機混合層:1層/有機層:1層)
上層をO2のRIE耐性が高いシリコン樹脂膜とし、遠紫外光を用いた架橋反応で上層にポジまたはネガ形状を形成する。下層をO2のRIE処理が可能な有機膜とする。露光・現像によりパターン形成した上層をマスクとして、下層をエッチングしたのち、CCl4により被加工層と上層をエッチングする(例えば特許文献1参照)。
【0009】
(5)3層構成(有機層:2層/無機層:1層)
基板上にモリブデン膜を形成する。このモリブデン膜上に、塩化ポリエチレン膜などの塩素化高分子膜を積層し、さらに有機レジストを塗布して硬化させ、有機膜を形成する。この有機膜を露光・現像してパターンを形成し、これをマスクとして、塩化ポリエチレン膜を酸素プラズマでエッチングする。次に、この2層構造のパターンをマスク材としてモリブデン膜をフレオン・ガスでプラズマエッチングする。その後、積層マスクを除去する(例えば特許文献2参照)。
【0010】
(6)2層構成(有機層1層/無機層1層)
熱酸化で表層をSiO2化したシリコン基板上にNb膜を形成する。このNb膜上にポジ型樹脂レジストを形成し、露光・現像してパターン形成する。これをマスクとして、フレオン・ガスでNb膜を異方性エッチングする。次に、全面にSiO膜を形成したのち、アセトン中で超音波照射し、樹脂レジストをリフトオフする(例えば特許文献3参照)。
【0011】
(7)2層構成(有機・無機混合層:1層/有機層:1層)
上層は、O2のRIE耐性が高いフェノール性水酸基を含むシリコン樹脂と、感応性構造部分を有するフェノール樹脂からなる層とする。下層は、O2のRIEで除去可能な有機膜とする。可視光照射で上層に架橋反応を起こさせ、アルカリ性水溶液で現像してネガ・パターン形成し、これをマスクとして下層をO2でRIE処理する(例えば特許文献4参照)。
【0012】
(8)2層構成(無機層:1層/有機層:1層)
上層は縮合タングステン酸膜とし、下層はPMMAやノボラック樹脂などの有機膜とする。マスクを通して紫外光で上層を露光し、アルコール含有水溶液で現像してネガ・パターンを上層に形成する。次に、これをマスクとして紫外光で露光し、下層を有機溶剤で溶解する(例えば特許文献5参照)。
【0013】
(9)2層構成(無機層:1層/有機層:1層)
上層は電子線感応型でアルカリ溶解性のシリコン樹脂膜(ネガ型の膜)とし、下層は非感応性の有機膜(平坦化層)とする。この積層形態により、レジストに照射した電子の内部散乱や後方散乱によるパターン精度低下を抑える。感応層と非感応層の間には、必要に応じてSiO2などの中間層が設けられる。レジスト層の露光・現像によりパターン形成し、これをマスクとして中間層および非感応層をドライエッチングすることで、高密度、高アスペクト比を実現する(例えば特許文献6参照)。
【0014】
(10)3層構成(有機層:1層/無機層:2層)
シリコン基板上にSiO2膜、SiN膜、樹脂レジスト膜の順に形成し、樹脂レジスト膜を露光・現像してパターン形成する。これをマスクとしてSiN膜をフッ酸でエッチングしたのち、樹脂レジスト膜を除去する。次に、SiN膜をマスクとしてSiO2膜をCHF3+O2でRIE処理する。次に、水酸化カリウム水溶液でシリコン基板をエッチングする(例えば特許文献7参照)。
【0015】
(11)2層または3層構成(有機層:1層/無機層:1層、または有機層:1層/無機層:2層)
基板上に1層または2層の無機膜を形成し、その上に有機レジスト膜を形成して露光・現像によりパターン形成する。これをマスクとして1層または2層の無機膜をエッチングし、有機レジスト層を剥離する。全面に金属膜を形成したのち、無機レジストが1層のときは、そのものを、2層のときは上層の無機レジストを酸またはアルカリでリフトオフする(例えば特許文献8参照)。
【0016】
(12)2層構成(無機層:1層/無機層:1層)
上層はZnS−SiO2など感熱性の無機膜(ネガ型)とし、下層は光吸収して発熱する性質を有する、カルコゲナイド・ガラスなどの無機膜とする。感熱性材料へのレーザ照射による加熱で相容を起こし、緻密化した部分がネガの潜像となる。これをフッ酸でウエットエッチングしてパターン形成する(例えば特許文献9参照)。
【0017】
(13)3層構成(有機層:1層/無機層:2層)
基板上にダイヤモンド膜を形成し、その上にSiN膜を形成する。さらに有機レジスト膜を形成して電子線露光・現像によりパターン形成する。これをマスクとしてSiN膜をフレオン・ガスでRIE処理し、さらに、これをマスクとしてダイヤモンド膜をO2でRIE処理する。最後に、SiN膜をフッ酸によるウエットエッチングでリフトオフし、ダイヤモンド膜のパターンを得る(例えば特許文献10参照)。
【0018】
【非特許文献1】J.M.Moran,and D.Maydan,Bell System Technical Journal,58(5),1027-1036,1979
【非特許文献2】K.L.Tai,W.R.Siclair,R.G.Vadimsky,and J.M.Moran,J.Vac.Sic.Technol.,16(6),1977-1979,1979
【非特許文献3】B.J.Lin,J.Electrochem.Soc.,127,202-205,1980
【特許文献1】特開昭57−141642号公報
【特許文献2】特開昭58−192325号公報
【特許文献3】特開昭58−209184号公報
【特許文献4】特開昭61−3139号公報
【特許文献5】特開昭61−273539号公報
【特許文献6】特開平04−330709号公報
【特許文献7】特開平09−139174号公報
【特許文献8】特開2005−269561号公報
【特許文献9】特開2005−332452号公報
【特許文献10】特開2006−80359号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
ところで、近年の光ディスクの記録密度向上に伴い、CD−ROM;1.6μm、DVD−ROM;0.74μm、Blu-ray Disc(登録商標);0.32μmのように、仕様の狭トラックピッチ化が進んでいる。これを成型するレジスト原盤の製造においては、より一層、高密度のパターン形成が可能なレジスト材料の開発が期待されている。
【0020】
従来、広く用いられている有機レジストとしては、例えば、ノボラック系レジスト、化学増幅型レジストなどが知られている。しかし、有機レジストは分子量が高いことに起因して露光部と非露光部との境界部のパターンが不明確となり、レジスト・パターンの凸形状のテーパ角が比較的緩慢となる。
【0021】
これに対して、カルコゲナイド・ガラスや金属酸化物からなる無機レジストは、低分子量であるので、露光部と非露光部との境界部で明瞭なパターンが得られる。このため、無機レジストでは、有機レジストと比較して、レジスト・パターンの凸形状のテーパ角が急峻でエッジは直線的になる。したがって、無機レジストを使用することにより、高密度、高精度の微細加工を実現することが可能である。
【0022】
したがって、本発明の目的は、高密度かつ高テーパ角の微細凹凸形状を形成することができる微細加工体および微細構造体の製造方法、ならびに光記録媒体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上述の課題を解決するために、第1の発明は、
非感熱性の無機レジストを主成分とする非感熱層を基材上に形成する工程と、
感熱性の無機レジストを主成分とする感熱層を非感熱層上に形成する工程と、
感熱層を露光、現像し、感熱層に所定のマスクパターンを形成する工程と、
所定のマスクパターンを用いて非感熱層をエッチングすることにより、微細凹凸パターンを有する原盤を形成する工程と、
原盤を用いて微細構造体を形成する工程と
を備える微細構造体の製造方法である。
【0024】
第2の発明は、
非感熱性の無機レジストを主成分とする非感熱層を基材上に形成する工程と、
感熱性の無機レジストを主成分とする感熱層を非感熱層上に形成する工程と、
感熱層を露光、現像し、感熱層に所定のマスクパターンを形成する工程と、
所定のマスクパターンを用いて非感熱層をエッチングすることにより、微細凹凸パターンを有する原盤を形成する工程と、
原盤を用いて基板を形成する工程と
を備える光記録媒体の製造方法である。
【0025】
第3の発明は、
非感熱性の無機レジストと同じ化合物を主成分とする基材上に、感熱性の無機レジストを主成分とする感熱層を形成する工程と、
感熱層を露光、現像し、感熱層に所定のマスクパターンを形成する工程と、
所定のマスクパターンを用いて基材をエッチングすることにより、微細凹凸パターンを有する原盤を形成する工程と
原盤を用いて微細構造体を形成する工程と
を備える微細構造体の製造方法である。
【0026】
第4の発明は、
非感熱性の無機レジストと同じ化合物を主成分とする基材上に、感熱性の無機レジストを主成分とする感熱層を形成する工程と、
感熱層を露光、現像し、感熱層に所定のマスクパターンを形成する工程と、
所定のマスクパターンを用いて基材をエッチングすることにより、微細凹凸パターンを有する原盤を形成する工程と
原盤を用いて基板を形成する工程と
を備える光記録媒体の製造方法である。
【0027】
第5の発明は、
非感熱性の無機レジストを主成分とする非感熱層を基材上に形成する工程と、
感熱性の無機レジストを主成分とする感熱層を非感熱層上に形成する工程と、
感熱層を露光、現像し、感熱層に所定のマスクパターンを形成する工程と、
マスクパターンを用いて非感熱層をエッチングすることにより、微細凹凸パターンを形成する工程と
を備える微細構造体の製造方法である。
【0028】
第6の発明は、
非感熱性の無機レジストと同じ化合物を主成分とする基材上に、感熱性の無機レジストを主成分とする感熱層を形成する工程と、
感熱層を露光、現像し、感熱層に所定のマスクパターンを形成する工程と、
所定のマスクパターンを用いて基材をエッチングすることにより、微細凹凸パターンを形成する工程と
を備える微細構造体の製造方法である。
【0029】
第7の発明は、
基材と、
基材上に形成された凹凸パターンと
を備え、
凹凸パターンのうち凸部は、
基材上に形成された、非感熱性の無機レジストを主成分とする非感熱層と、
非感熱層上に形成された、感熱性の無機レジストを主成分とする感熱層と
を備える微細加工体である。
【0030】
第8の発明は、
非感熱性の無機レジストと同じ化合物を主成分とする基材と、
基材上に形成された凹凸パターンと
を備え、
凹凸パターンのうち凸部は、
基材自体の有する凹凸パターンの凸部と、
凸部上に形成された、感熱性の無機レジストを主成分とする感熱層と
を備える微細加工体である。
【0031】
第1、第2、第5および第7の発明では、非感熱層および感熱層を基材上に積層し、これの積層膜のうち、感熱層3のみを露光する。したがって、感熱層のみを基材上に成膜する従来の微細構造体および光ディスク原盤の製造方法に比べて、感熱層底部まで組成変化を起こさせるのに必要な露光部分を小さくすることができる。そして、この露光部分に基づき作製されたマスクパターンを用いて、非感熱層をエッチングするので、感熱層のマスクパターンとほぼ同様の微細度で、感熱層および非感熱層からなる微細凹凸パターンを形成できる。これにより、従来の微細構造体および光ディスク原盤の製造方法に比べて、より高密度でかつ高テーパ角の微細凹凸パターンを形成することができる。非感熱層および感熱層はそれぞれ、非感熱性および感熱性の無機レジストを主成分としているので、高剛性を有している。したがって、微細凹凸パターンを、レプリカなどを作製するためのパターンとして用いることもできる。
【0032】
第3、第4、第6および第8の発明では、非感熱性の無機材料を主成分とする基材上に感熱層のみを形成し、この感熱層のみを露光する。そして、この露光部分に基づき作製されたマスクパターンを用いて、基材をエッチングするので、感熱層のマスクパターンとほぼ同様の微細度で、感熱層および基材表面部からなる微細凹凸パターンを形成できる。これにより、従来の微細構造体および光ディスク原盤の製造方法に比べて、より高密度でかつ高テーパ角の微細凹凸パターンを形成することができる。また、第1および第2の発明における非感熱層の成膜工程を省くことができる。感熱層は、感熱性の無機レジストを主成分としているので、高剛性を有している。したがって、エッチング後、感熱層を除去することがなく、感熱層を含む微細凹凸パターンを、レプリカなどを作製するためのパターンとして用いることもできる。
【発明の効果】
【0033】
以上説明したように、本発明によれば、高密度かつ高テーパ角の微細凹凸形状を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明の実施形態について図面を参照しながら以下の順序で説明する。
1.第1の実施形態(基材上に非感熱層および感熱層を積層した例)
2.第2の実施形態(非感熱層としての基材上に感熱層を成膜した例)
【0035】
<1.第1の実施形態>
以下、図1〜図6を参照して、本発明の第1の実施形態に係る光ディスクの製造方法の一例について説明する。
【0036】
[光ディスク原盤の製造工程]
(成膜工程)
まず、図1Aに示すように、基材1を準備または作製する。次に、図1Bに示すように、非感熱性の無機レジスト層(以下、非感熱層と称する。)2を基材1上に形成する。次に、図1Cに示すように、感熱性の無機レジスト層(以下、感熱層と称する。)3を非感熱層2上に形成する。
【0037】
非感熱層2および感熱層3の成膜方法としては、例えば、乾式法および湿式法のいずれも用いることができる。乾式法としては、例えば、熱CVD、プラズマCVD法、光CVDなどのCVD法(Chemical Vapor Deposition:化学蒸着法、化学反応を利用して気相から薄膜を析出させる技術)の他、真空蒸着法、プラズマ援用蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法などのPVD法(Physical Vapor Deposition:物理蒸着法、真空中で物理的に気化させた材料を基材1上に凝集させ、薄膜を形成する技術)を用いることができる。湿式法としては、例えば、バーコート法、スピンコート法、スクリーン印刷法などの塗布法の他、LB(Langmuir-Blodgett)法、化学析出法、陽極酸化法、電解析出法などを用いることができる。
【0038】
基材1としては、例えば、シリコン板やガラス板などの平滑な基板を用いることができる。基材1の材料は、所望とするパワー・マージンや露光感度に応じて適宜選択することが好ましい。基材1の材料としてシリコンウエハなど熱伝導率の高い材料を用いる場合、この基材1上に積層する非感熱層2および感熱層3の膜厚や構成によっては、レーザ光を照射したときに感熱層3に蓄積される熱量が不足し、露光感度が低下する場合がある。露光感度が低いと、レーザ光照射のパワー・マージンが広く取れる一方、感熱層3の底部まで充分に反応しにくくなる傾向がある。
【0039】
これに対して、基材1としてガラスなど熱伝導率の低い材料を用いる場合、レーザ光を照射したときに感熱層3に蓄積される熱量が大きくなり、露光感度が増大する。露光感度が高いと、弱いレーザ・パワーで感熱層3を反応できる一方、パワー・マージンが狭くなる傾向がある。このようにパワー・マージンが狭くなると、レーザ光照射状態の僅かな変化、例えばレーザ露光時の対物レンズの極わずかなフォーカスのずれ、あるいは光源となるレーザの微小な出力変動によっても、形成されるパターン形状が大きな影響を受けるようになる。
【0040】
非感熱層2は、非感熱性を有する無機レジストを主成分としている。非感熱層2は、例えば、金属酸化物を主成分としている。非感熱性の無機レジストとしては、例えば、亜鉛(Zn)、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、バナジウム(V)およびニオブ(Nb)の少なくとも1種の酸化物を含んでいる。具体的には、非感熱性の無機レジストとしては、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化チタン(TiO2)、五酸化バナジウム(V25)、酸化ニオブ(Nb25)などが挙がられる。これらの材料は単独で用いることも、2種類以上を混合して用いることもできる。
【0041】
非感熱層2の材料としては、例えば、酸性水溶液によりエッチング可能な材料、アルカリ性水溶液によりエッチング可能な材料、フッ化物水溶液によりエッチング可能な材料などが挙げられる。
【0042】
アルカリ性水溶液によりエッチング可能な材料としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化コバルト(Co34)、珪素(Si)、硫化鉛(PbS)、硫化カドミウム(CdS)、二酸化珪素(SiO2)、窒化珪素(SiN)、窒化タンタル(TaN)、五酸化タンタル(Ta25)、カルコゲナイド・ガラス類(例えば、GeSe、AsS、AsSe、TeGe、TeSe、SbS、SbSe、AsSTe、TeGeSn)などが挙げられる。これらの材料は単独で用いることも、2種類以上を混合して用いることもできる。
【0043】
酸性水溶液によりエッチング可能な材料としては、例えば、酸化マグネシウム(MgO)、酸化すず(II)(SnO)、酸化鉄(III)(Fe23)、酸化ニッケル(II)(NiO)、酸化ネオジム(Nd23)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化ランタン(La23)、酸化サマリウム(III)(Sm23)、酸化インジウム(III)(In23)、酸化銅(II)(CuO)、硫化亜鉛(ZnS)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化コバルト(Co34)などが挙げられる。これらの材料は単独で用いることも、2種類以上を混合して用いることもできる。
【0044】
フッ化物水溶液によりエッチング可能な材料としては、例えば、酸化ニオブ(V)(Nb2O5)、二酸化珪素(SiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化タンタル(V)(Ta25)、窒化珪素(SiN)などが挙げられる。これらの材料は単独で用いることも、2種類以上を混合して用いることもできる。
【0045】
感熱層3は感熱性を有する無機レジスト材料を主成分としているので、非感熱層2上に形成される感熱層3の露光感度は、非感熱層2の熱伝導率により大きな影響を受ける。それゆえ、感熱層3に蓄積される蓄熱量を調整するための層として非感熱層2を利用することもできる。
【0046】
材料の熱伝導率は、定性的には電気抵抗値に反比例する。したがって、この性質を利用すれば、非感熱層2の熱伝導率を見積もることができる。具体的には、成膜した非感熱層2の表面抵抗を測定し、この測定値を所定の基準値と比較することで、非感熱層2の蓄熱性の大小を見積もることができる。
【0047】
感熱層3は、感熱性を有する無機レジストを主成分としている。感熱層3は、例えば、ポジ型またはネガ型の無機レジストを主成分とし、好ましくは、活性エネルギー線の被照射部が現像液に対して可溶性となるポジ型の無機レジストを主成分とする。具体的には、感熱層3の材料としては、例えば、金属酸化物を用いることができる。金属酸化物としては、遷移金属酸化物を用いることが好ましい。金属酸化物としては、例えば、基材1上に目的とする形状を製造するプロセスに応じて任意の素材を用いることができる。具体例を挙げると、一酸化チタン(TiO)、二酸化チタン(TiO2)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、三酸化タングステン(WO3)、二酸化タングステン(WO2)、一酸化タングステン(WO)、二酸化モリブデン(MoO2)、三酸化モリブデン(MoO3)、一酸化モリブデン(MoO)、五酸化バナジウム(V25)、四酸化バナジウム(V24)、三酸化バナジウム(V23)、酸化ビスマス(Bi23)、酸化セリウム(CeO2)、酸化銅(CuO)、五酸化ニオブ(Nb25)、酸化スチビウム(Sb23)、フッ化カルシウム(CaF2)、フッ化マグネシウム(MgF2)、一酸化ケイ素(SiO)、酸化ガドリニウム(Gd23)、酸化タンタル(Ta25)、酸化イットリウム(Y23)、酸化ニッケル(NiO)、酸化サマリウム(Sm23)、酸化鉄(Fe23)、酸化スズ(SnO2)、酸化アルミニウム(Al23)、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化クロム(Cr23)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム(In23)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化アンチモン(Sb23)、酸化マグネシウム(MgO)、硫酸バリウム(BaSO4)、硫酸カルシウム(CaSO4)、炭酸カルシウム(CaCO3)、ケイ酸カルシウム(CaSi25)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、炭酸リチウム(Li2CO3)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸コバルト(CoCO3)、炭酸ストロンチウム(SrCO3)、炭酸ニッケル(Ni2CO3)、炭酸ビスマス((BiO)2CO3)、りん酸アルミニウム(AlPO4)、りん酸水素バリウム(BaHPO4)、りん酸リチウム(Li3PO4)、クエン酸亜鉛(Zn3(C6572)、ほう酸亜鉛(2ZnO・3B23)、ほう酸バリウム(BaB47)、酸化ウラン(U38)などを例として挙げることができる。これらの金属酸化物は単独で用いることも、2種類以上を混合して用いることもできる。
【0048】
これらの中で、レーザ光、電子線、イオンビーム、水素プラズマ、紫外線、可視光線、赤外線などの活性エネルギー線によって、現像液に対する溶解度差(選択比)を生じる無機レジストとしては、金属酸化物のうち金属元素としてタングステン(W)、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、タンタル(Ta)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、チタン(Ti)、ルテニウム(Ru)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、タリウム(Tl)、ホウ素(B)、ゲルマニウム(Ge)、ニオブ(Nb)、シリコン(Si)、ウラン(U)、テルル(Te)、ビスマス(Bi)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、スズ(Sn)、ジルコニウム(Zr)、マンガン(Mn)を含むものなどが知られている。これらの内でも金属元素としてタングステン(W)、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、タンタル(Ta)、鉄(Fe)を含むものが好ましくは、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)を含むものがより好ましい。これらの金属は、単独の酸化物として用いることも、2種類以上の金属からなる酸化物として用いることもできる。
【0049】
なお、金属元素に対する酸素の組成比は化学量論的なものである必要はなく、その金属元素が取り得る最大酸化数未満の範囲内でも、任意の値をとることができる。例えば酸化タングステンWOxの場合、xは0<x<3の範囲の任意の値を取ることができる。
【0050】
無機レジストである金属酸化物の酸素量を調整する方法は、各成膜方法に応じて適宜選択することができる。例えばスパッタ法により成膜する場合、酸素を反応性ガスとして用いて、酸素を含まない金属のターゲットを反応性スパッタする成膜方法や、酸素含有量を制御した金属酸化物からなるターゲットをスパッタする成膜方法などを用いることができる。
【0051】
基材1上に形成される非感熱層2および感熱層3の厚さはそれぞれ任意に設定可能であるが、積層膜としての厚さは、所望のピットまたはグルーブの深さが得られるように設定することが好ましい。例えば、Blu-ray Disc(登録商標)の場合には、感熱層3の厚さが15nm以上80nm以下の範囲であることが好ましい。DVD−RW(Digital Versatile Disc-ReWritable)の場合には、20nm以上90nm以下の範囲であることが好ましい。
【0052】
非感熱層2と感熱層3との厚さの比率も任意に設定可能である。但し、所定のパターンが形成された感熱層3が、非感熱層2に対してエッチング・マスクとしての機能を果たす程度に厚さを確保することが好ましい。非感熱層2と感熱層3との積層膜中で、感熱層3が占める割合を小さくすることが好ましい。具体的には、積層膜において、感熱層3を非熱層2に比して薄く成膜することが好ましい。このように成膜することで、より微細凹凸パターンの高精細化を実現することができるからである。非感熱層2の膜厚をd1とし、感熱層3の膜厚をd2とした場合、両層の比率Dは、1/10≦D=d2/d1≦1/1の範囲であることが好ましい。1/1より大きいと、本発明の方法を利用することによって感熱層3だけの場合よりも高密度かつ高テーパ角を実現するという効果が現れにくくなる。一方、1/10未満であると、非感熱層2のエッチング・マスクとしての機能が低下する、すなわち、非感熱層2をエッチングしている間にエッチング・マスクが溶解したり剥離したりしやすくなる。
【0053】
(露光工程)
次に、図2Aに示すように、基材1を回転させると共に、露光ビームであるレーザ光Lをレンズ5により集光し感熱層3に照射して、感熱層3を全面にわたって露光する。これにより、レーザ光Lの軌跡に応じた潜像3aが、感熱層3の全面にわたって形成される。感熱層3はポジ型またはネガ型の無機レジスト層として機能するが、以下では、感熱層3がポジ型の無機レジスト層である場合について説明する。
【0054】
(無機レジストの反応機構)
図3は、無機レジストの反応機構を説明するための模式図である。レーザ光Lを感熱層(感熱性の無機レジスト)3に照射すると(図3A参照)、レーザ光Lの照射により強熱された分子21(例えば、アモルファスWO1.5)のうち、あるものは酸素を放出して還元体22(例えば、アモルファスWO)となる。また、あるものはその酸素を受け取って酸化体23a(例えば、アモルファスWO3)や酸化体23b(例えば、結晶WO3)となる(図3B参照)。無機レジストとして用いられる酸化タングステン(WOx、0<x≦3)や酸化モリブデン(MoOx、0<x≦3)などの金属酸化物では、酸化レベルの高い(xが大きい)ものはアルカリ溶解性が高い。一方、酸化レベルの低い(xが小さい)ものはアルカリ溶解性が低い。したがって、レーザ光照射部位において、酸化された部分はアルカリ溶解性が向上し、還元された部分はアルカリ溶解性が低下する。このように酸化生成物と還元生成物が混在している状態のものをアルカリ現像にて現像処理すると、酸化生成物が溶解し、その中に分散している還元生成物も一緒に脱離する(図3C参照)。その結果、酸化・還元反応を起こした部位全体が現像されて、形状パターンが形成されると考えられる。
【0055】
また、酸化・還元反応の際、還元体22は元の分子に比べて体積が減少し、酸化体23a、23bは体積が増加する。ここで、金属酸化物の比重を一例として挙げると、結晶W3O:14.7g/cm3、アモルファスWO1.5:11g/cm3、結晶WO2:10.8g/cm3、結晶WO3:7.2g/cm3、アモルファスWO3:6.8g/cm3、結晶MoO2:6.5g/cm3、結晶MoO3:4.7g/cm3であり、酸化が進むにつれて比重が低下(体積は増大)する。また、成膜したアモルファスの金属酸化物層をレーザ光照射により加熱すると、レーザ光照射部を中心に多数の結晶粒子が発生する。ここで、アルカリ溶解性についてアモルファス粒子と結晶粒子とを比較したとき、同じ酸化レベルの化合物、例えばWO3同士ならば、格子状結合を形成していない分、アモルファス粒子の方が結晶よりもアルカリに対して短時間で溶解する。この性質は、ネガ型レジストのパターン形成で利用される。このような体積の増大と減少、および結晶粒子の発生が、短時間のうちに同時に起こることも、クラック発生の原因になっていると考えられる。
【0056】
更に、強熱によって金属酸化物が分解して放出された酸素が、クラック24を押し広げたり、結晶間に空隙を作ったりすることが考えられる。ここで、酸化タングステン(WOx、0<x≦3)や酸化モリブデン(MoOx、0<x≦3)などの金属酸化物において、例えばxが2以上など比較的酸化レベルが高いものは、レーザ光照射による加熱によって酸素ガスが発生する割合も高くなると考えられる。これがクラック24を押し広げたり、結晶間に空隙を作ったりして体積を大きく膨張させると考えられる(図1B、盛り上がり25)。このため、現像後に得られる形状パターンのエッジ部分の盛り上がり(図1C、盛り上がり25)も大きくなる。逆に、例えばxが2未満などの比較的酸化レベルが低いものは、酸素ガスの発生量も少なくなると考えられる。このため、レーザ光照射部位の体積膨張も小さくなり、現像して得られる形状パターンのエッジ部分の盛り上がり(図1C、盛り上がり25)は小さくなる。
【0057】
なお、発生したクラック24や結晶間の空隙は、現像液を内部に浸透させる効果を高めるのに寄与すると考えられる。このため、酸化レベルが高い金属酸化物を使うほど、アルカリ溶解性も一層増大されることになる。
【0058】
発生したクラックや結晶間の空隙は、現像液を内部に浸透させる効果を高めるのに寄与すると考えられる。このため、酸化レベルが高い金属酸化物を使うほど、アルカリ溶解性も一層増大されることになる。
【0059】
(カッティング装置)
図4は、感熱層3の露光に用いられるカッティング装置30の一構成例を示す概略図である。青色半導体レーザ(BLD:Blue Laser Diode)31は、波長405nmの青色レーザ光を出射する。このレーザ光は、レンズ32およびレンズ33を通過した後、X−Yビームシフタ34においてレーザ光軸がX、Y方向に適宜調整される。次に、1/4波長板35においてレーザ光の偏光が変換された後、レーザ光は、ミラー36により反射されて、シャッター37に導かれ、このシャッター37により通過が制御される。
【0060】
そして、シャッター37を通過したレーザ光は、シリンドリカルミラー38を介して音響光学偏向器(AOD:Acousto Optical Deflector)39に入射し、この音響光学偏向器39によって光学偏向が施される。次に、光学偏向が施されたレーザ光は、シリンドリカルミラー40を通過した後、ミラー41により反射されて、偏光分離素子(PBS:Polarization Beam Splitter)42に導かれる。次に、レーザ光は、偏光分離素子42により反射され、1/4波長板43により偏光が変換され、ビームエキスパンダ44によりビーム径が変換される。その後、レーザ光は、ダイクロイックミラー45により反射され、対物レンズ46により無機レジストサンプル61上に集光される。なお、無機レジストサンプル61は、ターンテーブル47上に載置され、スピンドル48により所定の速度により回転される。また、カッティング装置30は、移動光学テーブル60を備え、この移動光学テーブル60の移動に伴って、レーザ光のスポットが無機レジストサンプル61の径方向に移動される。
【0061】
また、照射されたレーザ光に対する無機レジストサンプルからの戻り光は、対物レンズ46を通過し、ダイクロイックミラー45により反射され、ビームエキスパンダ44、1/4波長板43および偏光分離素子42を通過する。その後、戻り光は、ミラー49により反射され、レンズ50を通過した後、ND(Neutral Density)フィルタ51により減衰されて、電荷結合素子(CCD:Charge Coupled Device)52に供給される。ここで、電荷結合素子52は、無機レジストサンプル61からの戻り光のスポット形状、プロファイルなどを観察する目的で配置され、露光条件が最適か否かを確認するために用いられる。
【0062】
フォーカス用LD(Laser Diode)53は、波長633nmを有するフォーカス用のレーザ光を出射する。フォーカス用LD53から出射された光は、フォーカス用偏光分離素子(PBS:Polarization Beam Splitter)54を通過し、1/4波長板55によりその偏光が変換される。そして、そのレーザ光は、ダイクロイックミラー56にて反射され、ダイクロイックミラー45を透過した後、対物レンズ46により無機レジストサンプル61上に集光される。
【0063】
また、フォーカス用レーザ光に対する無機レジストサンプル61からの戻り光は、ダイクロイックミラー45を透過した後、ダイクロイックミラー56にて反射され、1/4波長板55によりその偏光が変換される。そして、戻り光は、フォーカス用偏光分離素子54により反射されて、フォーカス用位置検出素子(F−PSD:Focus-Position Sensitive Device)57に供給される。このフォーカス用位置検出素子57が、供給されたレーザ光に基づき位置検出をし、検出結果に応じて対物レンズ46が制御される。
【0064】
(現像工程)
次に、図2Bに示すように、基材1を回転させながら、感熱層3上に現像液を滴下して、感熱層3を現像処理する。これにより、レーザ光Lの露光(潜像3a)に応じた凹凸パターンが感熱層3に形成される。感熱層3をポジ型の無機レジストにより形成した場合には、レーザ光で露光した露光部は、非露光部に比較して現像液に対する溶解速度が増すので、露光部が凹部となる凹凸パターンが形成される。
【0065】
感熱層3の現像には、例えばアルカリ性水溶液を用いることができる。アルカリ性水溶液としては、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、アンモニア水溶液、コリン水溶液などを用いることができる。また、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、りん酸水素二ナトリウム、りん酸水素二カリウム、りん酸二水素ナトリウム、りん酸二水素カリウムのような固体のアルカリ源を水に溶かしたもののほか、調整された比率でこれらのアルカリ源を混合したpH緩衝液なども利用することができる。
【0066】
(エッチング工程)
次に、図2Dに示すように、パターン形成した感熱層3をエッチング・マスクとして、非感熱層2をエッチングする。これにより、感熱層3の開口パターンとほぼ同様の微細度で、非感熱層2をエッチングすることができる。非感熱層2のエッチングの方法としては、設備的に簡単で、大型化も容易であり、製造コストも低いなどの観点からすると、湿式処理であるウエットエッチングが好ましい。具体的なウエットエッチングの方法としては、例えば、上述の現像工程と同様にエッチング液を滴下させる方法や、レジスト原盤をエッチング液に浸す方法などを用いることができる。
【0067】
エッチング液としては、例えば、アルカリ性水溶液、酸性水溶液、フッ化物水溶液などを用いることができる。非感熱層2がアルカリ溶解性である場合、感熱層3の現像と同じ現像液をそのままエッチング液として用いることが好ましい。現像液とエッチング液とを同一のものとすることで、現像工程とエッチング工程を同時に、すなわち両工程を連続して行うことができるからである。このように両工程を連続して行うことで、光ディスク原盤の製造工程をより簡略化することができる。
【0068】
酸性水溶液としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、酢酸のような液体の酸を適宜、水で希釈したもののほか、リン酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、ホウ酸などの固体の酸を水に溶かしたものも利用することができる。
【0069】
フッ化物水溶液としては、例えば、けいフッ化アンモニウム、けいフッ化カリウム、けいフッ化ナトリウム、酸性フッ化アンモニウム、重フッ化アンモニウム、重フッ化カリウム、フッ化アンモニウム、フッ化カリウム、フッ化水素アンモニウム、フッ化水素カリウム、フッ化水素酸、フッ化水素ナトリウム、フッ化水素ピリジン、フッ化テトラブチルアンモニウム、フッ化ナトリウム、フッ化リチウム、ほうフッ化アンモニウム、ほうフッ化カリウム、ほうフッ化水素酸、ほうフッ化ナトリウム、緩衝フッ酸などを適宜希釈した水溶液を使用することができる。
【0070】
現像液およびエッチング液は、現像速度の調整や現像残渣の効率的な除去などの目的で、適宜水溶液に有機溶剤を混ぜて用いたり、浸透剤や界面活性剤などを添加したりすることができる。現像液の温度は特に制限されるものではないが、薄膜の溶解速度を調整するために適宜温度を調整するなどの方法を採用することができる。
【0071】
(還元工程)
次に、必要に応じて、還元性気体を含有する雰囲気中において無機レジスト層3を熱処理し、無機レジスト層3の表面を還元する。これにより、図2Dに示すように、凸部のテーパ角θが減少する。ここで、テーパ角は、基材1の成膜面を基準とした凸部の傾斜面の傾斜角である。また、非感熱層2および感熱層3の少なくとも一方が、金属酸化物を含んでいる場合、還元処理により微細凹凸パターン表面に金属膜を形成することができる。還元を行う具体的な方法として、例えば、特開2007−287261号公報で開示されているものを用いることができる。
【0072】
形状表面の金属性やテーパ角は、サンプルを還元する処理温度、還元気体の濃度、および処理時間によって制御される。目的とするサンプル処理状態、および還元する金属酸化物の種類に応じて、これら処理条件の組み合わせを適宜調整して用いることが好ましい。この処理条件の中で還元に対する寄与が最も大きいのは処理温度であり、還元性気体の濃度と流量が同じ場合、高温ほど還元力が強くなる。処理温度は特に限定されるものではないが、一般的な金属酸化物の還元は、通常250〜900℃で行われる。設定温度については、金属酸化物を形成した基材1の耐熱温度に依存する部分が大きく、例えばガラス基板は高温で変形することがあり、シリコンウエハは高温処理を経たものは応力に対して割れを生じやすくなることがある。これらは光ディスクの原盤作製のように精密加工が必要な場合には致命的になることもあるため、還元性気体の濃度や処理温度は、高温で短時間の処理を行うよりも低温で長時間の処理を行う方法を採用するなど適宜調整することが好ましい。温度の昇降速度についても適宜調整することが好ましい。急速な昇降を加えることで基材1に歪みやクラックを生じる可能性がある場合は、充分な時間をかけて温度が上昇するように温度制御を行うことが好ましいが、通常は10分間あたり5〜100℃程度の温度上昇となるように温度制御する。
【0073】
還元性気体としては、例えば、硫化水素、一酸化炭素、二酸化硫黄、水素、ホルムアルデヒドなどを用いることができる。これらは単独、または2種類以上を混合して用いることができる。また、これらの還元性気体は、非酸化性の気体と混合することで濃度を調整して用いることができる。非酸化性の気体としては、ヘリウム、アルゴン、窒素などを好適に用いることができる。また、金属酸化物を還元する際、最初から純粋な還元性気体を流しても、還元性気体と非酸化性気体の混合比率を温度や時間に対応して変えながら流してもよい。金属酸化物を還元するときに発生する水は速やかに除去されることが好ましい。これらの水分は、還元炉の中を通す還元性気体または混合気体と一緒に系外に排出し、気体の流速を高めることで排出を効率化することができる。経済的な観点から、還元性気体と非酸化性気体の混合気体に占める還元性気体の含有量を減らし、流速を大きく取るなどの方法を使うことができる。混合気体に占める還元性気体の比率は任意で、流速は通常1分間当たり0.1〜10リットル程度に調整される。
【0074】
あるサンプルにおける還元の相対的な進行度合いは、還元処理前と処理途中または処理後の表面抵抗を測定・比較することで判断することができる。すなわち、還元は凹凸形状の表面から内部に向かって進行し、表面部分において高い金属性を示すようになる。このため、実際の凹凸形状の表面抵抗、または凹凸形状と同じ条件で還元操作に付した金属酸化物の表面抵抗を測定することで、還元の度合いを知ることができる。
【0075】
感熱性または非感熱性の無機レジストとして用いる金属酸化物は、単位体積あたりに含まれる酸素量が多いほど、還元による体積収縮率も大きくなる。例えば、二酸化タングステン(WO2)からなる形状よりも、三酸化タングステン(WO3)からなる形状の方が、形状が大きく変化する。
以上により、微細構造体である光ディスク原盤10を得ることができる。なお、感熱層3は、非感熱層2をエッチングするマスクとして利用されたのち、後工程において除去されることなく、非感熱層2に積層されたまま凹凸パターンの一部として利用される。
この微細構造体である光ディスク原盤10は、図2Dに示すように、基材1と、基材1上に形成された凹凸パターンとを備える。凹凸パターンのうち凸部は、基材1上に形成された、非感熱性の無機レジストを主成分とする非感熱層2と、非感熱層2上に形成された、感熱性の無機レジストを主成分とする感熱層3とを備える。凹凸パターンの凹部および凸部の少なくとも一方の表面には、金属膜が形成されていることが好ましい。
【0076】
[光ディスク・スタンパの製造工程]
(メッキ層の形成工程)
次に、図5Aに示すように、現像後の光ディスク原盤10の凹凸パターン上に、例えば無電解メッキ法によりニッケル皮膜などの導電化膜4aを形成する。その後、導電化膜4aが形成された光ディスク原盤10を電鋳装置に取り付け、電気メッキ法により導電化膜4a上に例えば300±5μm程度の厚さになるようにメッキを施す。これにより、図5Bに示すように、凹凸パターンを有するメッキ層4が形成される。なお、メッキ層4を構成する材料としては、ニッケルなどの金属を主成分とするものを用いることができる。
【0077】
(メッキ層の剥離工程)
次に、図5Cに示すように、例えばカッターなどにより光ディスク原盤10からメッキ層4を剥離する。その後、このメッキ層4に対してトリミングを施して所定のサイズに加工した後、例えばアセトンなどを用いてメッキ層4の信号形成面に付着した無機レジストを洗浄する。
以上により、目的とする光ディスク・スタンパ11を得ることができる。なお、この光ディスク・スタンパ11は、光ディスク原盤10の複製金型に相当する。
【0078】
[光ディスクの製造工程]
(基板の成形工程)
次に、図6Aに示すように、例えば射出成形法により、光ディスク・スタンパ11の凹凸パターンをポリカーボネート(PC)などの樹脂材料に転写して、光ディスク基板12を作製する。具体的には例えば、成形金型に光ディスク・スタンパ11を配置し、金型を閉じてキャビティを形成し、このキャビティ内にポリカーボネートなどの溶融樹脂材料を注入し、硬化後に金型を開く。これにより、所望のピットおよびグルーブ・パターンなどが転写された光ディスク基板12が作製される。すなわち、光ディスク原盤(微細構造体)10の複製物である光ディスク基板12が作製される。
【0079】
(情報信号部の形成工程)
次に、図6Bに示すように、情報信号部13を光ディスク基板12上に形成する。情報信号部13は、情報信号を記録可能および/または再生可能に構成される。その構成は、例えば、所望とする光ディスクが再生専用型、追記型および書換可能型のうちいずれであるかに応じて適宜選択される。
【0080】
所望とする光ディスクが再生専用型である場合には、情報信号部13は、例えば反射膜からなる。この反射膜の材料としては、例えば、金属元素、半金属元素、これらの化合物または混合物が挙げられる。より具体的には、例えば、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、パラジウム(Pd)、コバルト(Co)、シリコン(Si)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ゲルマニウム(Ge)などの単体、またはこれらの単体を主成分とする合金が挙げられる。そして、実用性の面を考慮すると、これらのうちのAl系、Ag系、Au系、Si系またはGe系の材料を用いることが好ましい。また、所望とする光ディスクが追記型である場合には、情報信号部13は、例えば、反射膜、有機色素膜または無機記録膜を光ディスク基板12上に順次積層してなる積層膜である。所望とする光ディスクが書換可能型である場合には、情報信号部13は、例えば、反射膜、下層誘電体層、相変化記録層、上層誘電体層を光ディスク基板12上に順次積層してなる積層膜である。
【0081】
(光透過層の形成工程)
次に、図6Cに示すように、光透過層14を第2の情報信号部13上に形成する。光透過層14の厚さは、好ましくは10μm〜177μmの範囲内から選ばれ、例えば100μmに選ばれる。光透過層14の形成方法としては、例えば、レジンコート法、シート接着法などを用いることができる。レジンコート法は、UVレジンなどの感光性樹脂を第2の情報信号部13上にスピンコートし、UV光などの光を感光性樹脂に照射することにより、光透過層14を形成する方法である。シート接着法は、光透過性シートを接着剤を用いて、光ディスク基板12上の凹凸面側に貼り合わせることにより、光透過層14を形成する方法である。また、このシート接着法としては、例えば、シートレジン接着法、シートPSA(Pressure Sensitive Adhesive)接着法などを用いることができる。シートレジン接着法は、情報信号部13上に塗布されたUVレジンなどの感光性樹脂を用いて、光透過性シートを光ディスク基板12上の凹凸面側に貼り合わせることにより、光透過層14を形成する方法である。シートPSA接着法は、光透過性シートを、このシートの一主面に予め均一に塗布された感圧性粘着剤(PSA)を用いて、光ディスク基板12上の凹凸面側に貼り合わせることにより、光透過層14を形成する方法である。
以上の工程により、目的とする光ディスク15を得ることができる。
【0082】
上述したように、光ディスク基板12の表面に形成される凹凸パターンの形状精度は、光ディスク・スタンパ11の表面に形成された凹凸パターンの形状精度に依存する。一方、この光ディスク・スタンパ11の表面に形成された凹凸パターンの形状精度は、光ディスク原盤10の表面に形成された凹凸パターン、すなわち無機レジスト・パターンの形状精度に依存する。したがって、光ディスク基板12を高精度に形成するためには、光ディスク原盤10の無機レジスト・パターンを高精度に形成することが好ましい。
【0083】
本発明の第1の実施形態によれば、非感熱層2および感熱層3を基材1上に順次積層して積層膜を形成し、感熱層3のみを露光、現像して所定のマスクパターンを感熱層3に形成する。次に、所定のマスクパターンを有する感熱層3を用いて、非感熱層2をエッチングして、微細凹凸形状を基材1上に作製する。
【0084】
したがって、第1の実施形態に係る光ディスク原盤の製造方法では、非感熱層2および感熱層3を基材1上に積層し、これらの積層膜のうち、感熱層3のみを露光すればよい。したがって、感熱層(感熱性の無機レジスト層)のみを基材上に成膜する従来の光ディスク原盤の製造方法に比べて、感熱層底部まで組成変化を起こさせるのに必要な露光部分を小さくすることができる。そして、この露光部分に基づき作製されたマスクパターンを用いて、非感熱層2をエッチングするので、上述の従来の光ディスク原盤の製造方法に比べて、より高密度でかつ高テーパ角の微細凹凸形状を形成することができる。すなわち、上述の従来の製造方法により同じ溝幅や孔径などの凹凸形状を形成した場合に比べて、より深いエッチングを実現することができる。また、得られたレジスト原盤に対して還元処理を加えた場合には、微細凹凸形状を変化させたり、微細凹凸形状表面に金属的性質を付与したりすることができる。
【0085】
現像工程では、現像液としてアルカリ性水溶液を用いて現像を行い、エッチング工程では、エッチング液として現像液と同じアルカリ性水溶液を用いる場合と、酸性水溶液またはフッ化物水溶液を用いる場合がある。前者の場合はアルカリ性水溶液を使って現像工程とエッチング工程を1段階で、後者の場合は2段階に分けてパターン形成を行う。ここで、感熱層3の現像は、酸化されてアルカリ溶解性が向上した部分(露光部)と、それ以外の部分(非露光部)の選択比を利用するものである。従って、1段階で現像とエッチングを行う場合、非感熱層2のエッチングに時間を要すると、同時に感熱層1の現像も進むため、精密なパターン形成が行われにくくなることがある。このため、上記両工程を2段階に分けて行うことが好ましい。感熱層3は酸性水溶液やフッ化物水溶液に溶解しにくいため、パターン精度を維持した状態で非感熱層2のエッチングを行うことができるからである。
【0086】
現像工程およびエッチング工程を共に、湿式処理により行うことが好ましい。両工程を湿式処理により行うことで、両工程を簡単な設備で行うことができ、光ディスク15などの微細構造体の製造コストを低減できる。また、大面積の微細構造体を作製することも容易である。
【0087】
感熱層3の材料としては、遷移金属酸化物を主成分とするものが好ましい。遷移金属酸化物を用いると、レーザ光照射による熱反応によって潜像を形成することができ、例えば405nm程度の可視レーザ光による露光によっても、そのスポット径より小さいパターンの露光が可能な、いわゆる筆先記録を実現できる。
【0088】
感熱層3の膜厚を非感熱層2に比して薄く成膜することが好ましい。このように成膜すると、例えば幅100nm未満の精密な溝形状やスポット形状などを感熱層3に形成することが可能となる。この感熱層3をマスクとして下層の非感熱層2をエッチングすると、高テーパ角のパターン形成を実現できる。さらに、得られた形状パターンを還元処理すると、非感熱層2および感熱層3ともに金属酸化物を主成分とする場合、両層ともに酸素の離脱による体積収縮を起こすことができる。この還元処理の際、両層の体積収縮率の違いを利用すれば、微妙な凸形状の制御も可能である。例えば、感熱層3のみが金属酸化物である場合、上層である感熱層3の部分のみに体積収縮を起こさせれば、凸形状の先端部に丸みを帯びさせることができる。さらに、還元によって金属酸化物の金属的性質、すなわち、導電性、熱伝導性、柔軟性、表面平滑性などを向上させることもできる。
【0089】
非感熱層2および感熱層3ともに無機レジスト材料を主成分とするため、有機レジストを用いたときのように、現像工程やエッチング工程においてレジスト材料の膨潤が起こらない。さらに、有機レジスト材料を積層した場合に発生するように、非感熱層2および感熱層3の材料がその界面にて混じり合うこともないため、高い寸法安定性を有する光ディスク原盤(微細構造体)10を実現することができる。
【0090】
非感熱層2および感熱層3の2種類の無機レジスト層を積層しているので、感熱性の無機レジストだけを使って無機レジスト層を形成した場合よりも、高密度のパターン形成を実現できる。また、このパターン形成の技術を利用して光ディスク原盤を作製すると、より一層の狭トラックピッチ化を実現できる。
【0091】
<2.第2の実施形態>
以下、図7〜図9を参照して、本発明の第2の実施形態に係る光ディスクの製造方法の一例について説明する。なお、本発明の第2の実施形態において、第1の実施形態と同一または対応する部分には同一の符号を付す。
【0092】
[光ディスク原盤の製造工程]
(成膜工程)
まず、図7Aに示すように、基材1を準備または作製する。基材1は、非感熱性の無機レジストを主成分としている。非感熱性の無機レジストとしては、第1の実施形態と同様のものを用いることができる。
【0093】
次に、図7Bに示すように、感熱層3を基材1上に形成する。感熱層3は、感熱性の無機レジストを主成分としている。感熱性の無機レジストとしては、第1の実施形態と同様のものを用いることができる。
【0094】
(露光工程)
次に、図7Cに示すように、基材1を回転させると共に、露光ビームであるレーザ光Lをレンズ5により集光し感熱層3に照射して、感熱層3を全面にわたって露光する。これにより、レーザ光Lの軌跡に応じた潜像3aが、感熱層3の全面にわたって形成される。感熱層3はポジ型またはネガ型の無機レジスト層として機能するが、以下では、感熱層3がポジ型の無機レジスト層である場合について説明する。
【0095】
(現像工程)
次に、図8Aに示すように、基材1を回転させながら、感熱層3上に現像液を滴下して、感熱層3を現像処理する。これにより、レーザ光の露光(潜像3a)に応じた凹凸パターンが感熱層3に形成される。感熱層3をポジ型の無機レジストにより形成した場合には、レーザ光Lで露光した露光部は、非露光部に比較して現像液に対する溶解速度が増すので、露光部が凹部となる凹凸パターンが形成される。
【0096】
(エッチング工程)
次に、図8Bに示すように、パターン形成した感熱層3をエッチング・マスクとして、基材1をエッチングする。基材1のエッチングの方法としては、例えば、上述の現像工程と同様にエッチング液を滴下させる方法や、レジスト原盤をエッチング液に浸す方法などを用いることができる。
【0097】
(還元工程)
次に、必要に応じて、還元性気体を含有する雰囲気中において無機レジスト層3を熱処理し、無機レジスト層3の表面を還元する。これにより、図8Cに示すように、凸部のテーパ角θが減少する。
以上の工程により得られる微細構造体である原盤10は、図8Cに示すように、非感熱性の無機レジストと同じ化合物を主成分とする基材1と、基材1上に形成された凹凸パターンとを備える。凹凸パターンのうち凸部は、基材自体の有する凹凸パターンの凸部と、凸部上に形成された、感熱性の無機レジストを主成分とする感熱層3とを備える。凹凸パターンの凹部および凸部の少なくとも一方の表面には、金属膜が形成されていることが好ましい。
これ以降の工程は、図9に示すように、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0098】
本発明の第2の実施形態によれば、非感熱性の無機レジストを主成分とする基材1を準備または作製し、この基材1上に感熱層3を形成する。次に、感熱層3を露光、現像して所定のマスクパターンを感熱層3に形成する。次に、所定のマスクパターンを有する感熱層3を用いて、基材1をエッチングして、微細凹凸形状を基材表面に作製する。
【0099】
したがって、基材1上に感熱層3のみを形成し、この単層の感熱層のみを用いて、基材表面に微細凹凸形状を作製することができる。よって、第2の実施形態では、第1の実施形態に比して、光ディスク原盤(微細構造体)の製造工程をより簡略化することができる。
【実施例】
【0100】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0101】
<比較例1>
(感熱性の無機レジスト層の成膜工程)
まず、8インチ・シリコン基板上に感熱性の無機レジスト層を成膜した。成膜後の膜厚は28nmとした。
以下に、感熱性の無機レジスト層の成膜条件を示す。
ターゲット材料:タングステン(W)/モリブデン(Mo)/酸素(O)
=32/8/60(原子数比)
製膜ガス:アルゴン(Ar)=26[SCCM]
製膜開始ガス圧力:5.0×10-4[Pa]
製膜電力:DC135[W]
【0102】
(露光工程)
次に、得られた原盤を露光し、DCグルーブ・パターンの潜像を形成した。
以下に、感熱性の無機レジスト層の露光条件を示す。
光源:半導体レーザ(波長405[nm])
対物レンズ:NA=0.9
光ディスク原盤送り速度:0.32[μm/revolution]
スピンドル:CLV(Constant Liner Velocity)方式、4.9[m/sec]
【0103】
(現像工程)
次に、得られた無機レジスト原盤を以下のプロセスで現像した。すなわち、2.38wt%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(東京応化工業(株)、NMD−3)を現像液とし、露光を行った無機レジスト層を現像して、DCグルーブ・パターンを作製した。
【0104】
以下に、感熱性の無機レジスト層の現像条件を示す。
現像液温度:26℃
現像方法:レジスト原盤上への現像液の連続かけ流し
【0105】
ここで、現像方法について、より詳しく説明する。まず、2.38wt%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を、現像タンク(ソニー・ディスク・アンド・デジタル・ソリューションズ(株)製、PTR3000)に入れ、温度26℃に保った。次に、無機レジスト原盤を回転ステージに載置し、400rpmに回転を保ちながら、プレ・リンス、現像、およびポスト・リンスのプロセス処理を行った後、最後に1800rpmで振り切り乾燥した。
【0106】
以下に、プレ・リンス、現像、およびポスト・リンスのプロセス処理の条件を示す。
プレ・リンス:純水を60秒間、かけ流し。
現像:210秒間、現像液をかけ流し。
ポスト・リンス:純水を180秒間、かけ流し。
以上により、目的とする光ディスク原盤が得られた。
【0107】
(表面形状の評価)
次に、得られた光ディスク原盤表面のDCグルーブ・パターンを、原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)により観察し、断面プロファイル、溝深さ[nm]、溝幅[nm]、およびテーパ角[°]を得た。その結果を図10および表1に示す。
【0108】
<実施例1>
(非感熱層の形成工程)
まず、8インチ・ガラス基板上に非感熱性の無機レジスト層を膜厚25[nm]に成膜した。
以下に、非感熱性の無機レジスト層の成膜条件を示す。
ターゲット材料:ZnO
成膜ガス:アルゴン(Ar)/酸素(O2
=150[sccm]/5[sccm]
成膜開始ガス圧力:5.0×10-4[Pa]
製膜電力:DC500[W]
【0109】
(感熱層の形成工程)
次に、非感熱性の無機レジスト層上に感熱性の無機レジスト層を膜厚25[nm]に成膜した。
以下に、感熱性の無機レジスト層の成膜条件を示す。
ターゲット材料:タングステン(W)/モリブデン(Mo)/酸素(O)
=32/8/60(原子数比)
製膜ガス:アルゴン(Ar)=26[SCCM]
製膜開始ガス圧力:5.0×10-4[Pa]
製膜電力:DC135[W]
【0110】
(露光工程)
以上のようにして作製した原盤を、比較例1と同じ露光条件で露光し、DCグルーブ・パターンの潜像を形成した。
【0111】
(現像工程)
次に、現像時間を90秒間に設定する以外は比較例1と同様にして、潜像を形成した原盤を現像した。
【0112】
(表面形状の評価)
次に、現像した原盤表面の凹凸パターンを、AFMにより観察し、断面プロファイルを得た。その結果を図11Aに示す。
【0113】
(エッチング工程)
次に、パターン形成された感熱性レジストをエッチング・マスクとして、非感熱性レジストをエッチングした。エッチング液は、現像液と同様、2.38wt%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いた。容器中に2.38wt%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を注ぎ、原盤を浸して、室温で30秒間、容器を軽く振とうした。次に、原盤を容器から取り出し、純水で充分に洗浄し、エア・ブローで濡れを除去した。
以上により、目的とする光ディスク原盤が得られた。
【0114】
(表面形状の評価)
次に、実施例1と同様にして、光ディスク原盤の表面形状を評価した。その結果を図11Bおよび表1に示す。
【0115】
<実施例2>
非感熱性の無機レジスト層の形成工程から現像工程までを実施例1と同様の工程で行った。
【0116】
(エッチング工程)
次に、パターン形成された感熱性の無機レジスト層をエッチング・マスクとして、非感熱性の無機レジスト層をエッチングした。容器中に0.26M−NH4NO3水溶液(pH5.14)を注ぎ、原盤を浸して、室温で30秒間、容器を軽く振とうした。次に、原盤を容器から取り出し、純水で充分に洗浄したのち、エア・ブローで濡れを除去した。
以上により、目的とする光ディスク原盤が得られた。
【0117】
(表面形状の評価)
次に、実施例1と同様にして、光ディスク原盤の表面形状を評価した。その結果を図12および表1に示す。
【0118】
<実施例3>
非感熱性の無機レジスト層の形成工程から現像工程までを実施例1と同様の工程で行った。
【0119】
(エッチング工程)
次に、パターン形成された感熱性の無機レジスト層をエッチング・マスクとして、非感熱性の無機レジスト層をエッチングした。容器中に弱酸性りん酸緩衝液(pH6.8)を注ぎ、積層レジスト原盤を浸して、室温で30秒間、容器を軽く振とうした。次に、原盤を容器から取り出し、純水で充分に洗浄したのち、エア・ブローで濡れを除去した。なお、弱酸性りん酸緩衝液(pH6.8)は、0.2M−Na2HPO4水溶液/0.2M−NaH2PO4=49/51(体積比)で調製した。
以上により、目的とする光ディスク原盤が得られた。
【0120】
(表面形状の評価)
次に、実施例1と同様にして、光ディスク原盤の表面形状を評価した。その結果を図13および表1に示す。
【0121】
<実施例4>
【0122】
(感熱層/非感熱層の形成工程)
まず、8インチ・ガラス基板上に、実施例1と同様のプロセスで感熱性の無機レジスト層を膜厚30[nm]に成膜した。
【0123】
(露光工程)
次に、これを比較例1と同じ露光条件で露光し、DCグルーブ・パターンの潜像を形成した。
【0124】
(表面形状の評価)
次に、得られたレジスト原盤の無機レジスト層の表面を、AFMにより観察し、断面プロファイルを得た。その結果を図14Aに示す。
【0125】
(エッチング工程)
次に、パターン形成された感熱性レジストをエッチング・マスクとして、ガラス基板をエッチングした。エッチング液はフッ化水素アンモニウム水溶液を用いた。容器中にフッ化水素酸水溶液を注ぎ、原盤を浸して、室温で90秒間浸した。次に、原盤を容器から取り出し、純水で充分に洗浄したのち、エア・ブローで濡れを除去した。
以上により、目的とする光ディスク原盤が得られた。
【0126】
(表面形状の評価)
次に、実施例1と同様にして、光ディスク原盤の表面形状を評価した。その結果を図14Bおよび表1に示す。
【0127】
【表1】

【0128】
図10〜図14および表1から以下のことがわかる。
感熱層および非感熱層を利用して微細構凹凸形状を形成する実施例1〜3では、感熱層のみを利用して微細構凹凸形状を形成する比較例1(従来の製造方法)に比して、高密度かつ高テーパ角を有する微細凹凸形状を形成できる。
また、非感熱性の無機レジストからなる基材上に感熱層のみを形成し、この感熱層を利用して微細構凹凸形状を形成する実施例4でも、実施例1〜3と同様に高密度かつ高テーパ角を有する微細凹凸形状を形成できる。
【0129】
以上、本発明の実施形態および実施例について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態および実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0130】
上述の実施形態および実施例において挙げた構成、形状、数値および材料などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、形状、数値および材料などを用いてもよい。例えば、第1の実施形態において、非感熱層2は基材1上に形成されていれていれば良いため、基材1としてシリコンウエハを用いる場合、その表面に加熱などの酸化処理を施すことにより、非感熱層2であるSiO2層を形成する方法を取ることもできる。
【0131】
また、上述の実施形態では、光ディスク・スタンパ11を用いて光ディスク基板12および光ディスク15を製造する例について説明したが、本発明はこの例に限定されるものではない。例えば、光ディスク・スタンパ11を用いずに、すなわち光ディスク原盤10を直接用いて、光ディスク基板12および光ディスク15を製造するようにしてもよい。
【0132】
また、上述の実施形態では、光ディスク原盤および光ディスクの製造方法に本発明を適用した例について説明したが、本発明はこの例に限定されるものではない。例えば、本発明は微細な凹凸パターンを有する種々のデバイス、具体的には、太陽電池における光反射防止構造、燃料電池における燃料流路、モス・アイ構造などの製造方法に対しても適用可能である。また、本発明は半導体デバイスなどの集積回路の製造方法に対しても適用可能である。集積回路の製造方法に対して本発明を適用する場合、所望の回路パターンを形成した後、この回路パターンに対して還元処理を施すことにより、回路パターンに導電性を付与することができる。例えば、非感熱層2および感熱層3からなる積層膜の少なくとも一方を、金属酸化物を主成分とするものとし、その積層膜表面に対して還元処理により金属膜を形成する。これにより、回路パターンに導電性を付与することができる。
【0133】
また、上述の実施形態では、ウエットエッチング(湿式処理)により非感熱層2をエッチングする場合を例として説明したが、エッチング方法はこの例に限定されるものではない。例えば、ドライエッチング(乾式処理)により非感熱層2をエッチングするようにしてもよい。ドライエッチングとしては、例えば、プラズマエッチング、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etchingを用いることができる。
【0134】
また、上述の実施形態では、非感熱層2を等方性エッチングする場合を例として説明したが、エッチング方法はこの例に限定されるものではない。エッチング方法は、所望とする微細加工体の形状に応じて、等方性エッチングおよび異方性エッチングから適宜選択して用いることが可能である。また、両エッチング方法を単独で用いるのみならず、組み合わせて用いるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明の第1の実施形態による積層無機レジストの成膜方法を説明するための断面模式図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る光ディスク原盤の製造方法を説明するための断面模式図である。
【図3】無機レジストの反応機構を説明するための模式図である。
【図4】無機レジスト層の露光に用いたカッティング装置の概略構成図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る光ディスク・スタンパの製造方法を説明するための断面模式図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る光ディスク基板の製造方法を説明するための断面模式図である。
【図7】本発明の第2の実施形態による積層無機レジストの成膜方法および光ディスク原盤の製造方法を説明するための断面模式図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る光ディスク原盤の製造方法を説明するための断面模式図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る光ディスク・スタンパの製造方法を説明するための断面模式図である。
【図10】本発明の比較例1において形成した、無機レジスト・パターンの原子間力顕微鏡による断面プロファイルである。
【図11】本発明の実施例1において形成した、無機レジスト・パターンの原子間力顕微鏡による断面プロファイルである。
【図12】本発明の実施例2において形成した、無機レジスト・パターンの原子間力顕微鏡による断面プロファイルである。
【図13】本発明の実施例3において形成した、無機レジスト・パターンの原子間力顕微鏡による断面プロファイルである。
【図14】本発明の実施例4において形成した、無機レジスト・パターンの原子間力顕微鏡による断面プロファイルである。
【符号の説明】
【0136】
1 基材
2 非感熱性の無機レジスト層(感熱層)
3 感熱性の無機レジスト層(非感熱層)
10 光ディスク原盤
11 光ディスク・スタンパ
12 光ディスク基板
13 情報信号部
14 光透過層
15 光ディスク
30 カッティング装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非感熱性の無機レジストを主成分とする非感熱層を基材上に形成する工程と、
感熱性の無機レジストを主成分とする感熱層を上記非感熱層上に形成する工程と、
上記感熱層を露光、現像し、上記感熱層に所定のマスクパターンを形成する工程と、
上記所定のマスクパターンを用いて上記非感熱層をエッチングすることにより、微細凹凸パターンを有する原盤を形成する工程と、
上記原盤を用いて微細構造体を形成する工程と
を備える微細構造体の製造方法。
【請求項2】
上記感熱性の無機レジストは、遷移金属酸化物である請求項1記載の微細構造体の製造方法。
【請求項3】
上記感熱性の無機レジストは、活性エネルギ線の被照射部が現像液に対して可溶性となるポジ型のものである請求項1記載の微細構造体の製造方法。
【請求項4】
上記非感熱性の無機レジストは、酸性水溶液、アルカリ性水溶液、およびフッ化物水溶液の少なくとも1種に可溶である請求項1記載の微細構造体の製造方法。
【請求項5】
上記非感熱性の無機レジストは、金属酸化物である請求項1記載の微細構造体の製造方法。
【請求項6】
上記非感熱性の無機レジストは、亜鉛、ケイ素、チタン、バナジウムおよびニオブの少なくとも1種の酸化物を含んでいる請求項1記載の微細構造体の製造方法。
【請求項7】
現像液およびエッチング液として同一のアルカリ性水溶液を用いて、上記マスクパターンの形成工程と上記微細凹凸パターンの形成工程とを連続的に行う請求項1記載の微細構造体の製造方法。
【請求項8】
上記マスクパターンの形成工程では、現像液としてアルカリ性水溶液を用いて現像を行い、
上記微細凹凸パターンの形成工程では、エッチング液として酸性水溶液またはフッ化物水溶液を用いてエッチングを行い、
上記マスクパターンの形成工程と上記微細凹凸パターンの形成工程とを2段階に分けて行う請求項1記載の微細構造体の製造方法。
【請求項9】
上記感熱層の膜厚が、上記非感熱層の膜厚に比して薄い請求項1記載の微細構造体の製造方法。
【請求項10】
上記マスクパターンの形成工程と、上記微細凹凸パターンの形成工程とは共に、湿式処理により行われる請求項1記載の微細構造体の製造方法。
【請求項11】
上記微細凹凸パターンの表面を還元処理する工程をさらに備える請求項1記載の微細構造体の製造方法。
【請求項12】
上記非感熱層および上記感熱層の少なくとも一方が、金属酸化物を含み、
上記微細凹凸パターンの表面を還元処理することにより、上記微細凹凸パターンの表面に金属膜を形成する請求項1記載の微細構造体の製造方法。
【請求項13】
非感熱性の無機レジストを主成分とする非感熱層を基材上に形成する工程と、
感熱性の無機レジストを主成分とする感熱層を上記非感熱層上に形成する工程と、
上記感熱層を露光、現像し、上記感熱層に所定のマスクパターンを形成する工程と、
上記所定のマスクパターンを用いて上記非感熱層をエッチングすることにより、微細凹凸パターンを有する原盤を形成する工程と、
上記原盤を用いて基板を形成する工程と
を備える光記録媒体の製造方法。
【請求項14】
非感熱性の無機レジストと同じ化合物を主成分とする基材上に、感熱性の無機レジストを主成分とする感熱層を形成する工程と、
上記感熱層を露光、現像し、上記感熱層に所定のマスクパターンを形成する工程と、
上記所定のマスクパターンを用いて上記基材をエッチングすることにより、微細凹凸パターンを有する原盤を形成する工程と
上記原盤を用いて微細構造体を形成する工程と
を備える微細構造体の製造方法。
【請求項15】
非感熱性の無機レジストと同じ化合物を主成分とする基材上に、感熱性の無機レジストを主成分とする感熱層を形成する工程と、
上記感熱層を露光、現像し、上記感熱層に所定のマスクパターンを形成する工程と、
上記所定のマスクパターンを用いて上記基材をエッチングすることにより、微細凹凸パターンを有する原盤を形成する工程と
上記原盤を用いて基板を形成する工程と
を備える光記録媒体の製造方法。
【請求項16】
非感熱性の無機レジストを主成分とする非感熱層を基材上に形成する工程と、
感熱性の無機レジストを主成分とする感熱層を上記非感熱層上に形成する工程と、
上記感熱層を露光、現像し、上記感熱層に所定のマスクパターンを形成する工程と、
上記マスクパターンを用いて上記非感熱層をエッチングすることにより、微細凹凸パターンを形成する工程と
を備える微細構造体の製造方法。
【請求項17】
上記感熱層は、上記非感熱層をエッチングするマスクとして利用されたのち、除去されることなく上記非感熱層に積層したまま上記微細凹凸パターンの一部として利用される請求項16記載の微細構造体の製造方法。
【請求項18】
非感熱性の無機レジストと同じ化合物を主成分とする基材上に、感熱性の無機レジストを主成分とする感熱層を形成する工程と、
上記感熱層を露光、現像し、上記感熱層に所定のマスクパターンを形成する工程と、
上記所定のマスクパターンを用いて上記基材をエッチングすることにより、微細凹凸パターンを形成する工程と
を備える微細構造体の製造方法。
【請求項19】
基材と、
上記基材上に形成された凹凸パターンと
を備え、
上記凹凸パターンのうち凸部は、
上記基材上に形成された、非感熱性の無機レジストを主成分とする非感熱層と、
上記非感熱層上に形成された、感熱性の無機レジストを主成分とする感熱層と
を備える微細加工体。
【請求項20】
非感熱性の無機レジストと同じ化合物を主成分とする基材と、
上記基材上に形成された凹凸パターンと
を備え、
上記凹凸パターンのうち凸部は、
上記基材自体の有する凹凸パターンの凸部と、
上記凸部上に形成された、感熱性の無機レジストを主成分とする感熱層と
を備える微細加工体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−146688(P2010−146688A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326626(P2008−326626)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】