説明

微細酸化物構造体及びその製造方法、複合圧電材料、積層型圧電振動子、超音波探触子、並びに、超音波診断装置

【課題】幅が微細なパターンで、かつ、アスペクト比の高い柱状の形状を有する微細酸化物構造体を精密に形成することができる微細酸化物構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】微細な柱状の孔が形成された鋳型を用意する工程S1と、酸化物粒子を界面活性剤で被覆する工程S2と、界面活性剤で被覆した酸化物粒子を液中に分散させる工程S3と、液中に鋳型を配置する工程S4と、液中の界面活性剤で被覆した酸化物粒子を鋳型中に沈降固化させる工程S5と、鋳型を取り除く工程S6と、鋳型を除去した酸化物粒子を焼成する工程S7とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細酸化物構造体及びその製造方法に関し、さらに、そのような微細酸化物構造体を用いる複合圧電材料、積層型圧電振動子、超音波探触子、及び、超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
チタン酸バリウム(BaTiO3)やジルコンチタン酸鉛(PZT:PbZrXTi1−X3)を始めとしたペロブスカイト型酸化物は、超音波探触子の圧電振動子に広く用いられている。特に、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN:PbMg1/3 Nb2/33)やニッケルニオブ酸鉛(PNN:PbNi1/3Nb2/33)などのリラクサと総称される複合ペロブスカイト化合物を固溶させた3成分系の圧電セラミックス材料は、その高い圧電定数から圧電振動子材料として広く用いられている。
【0003】
これらのリラクサ材料とチタン酸鉛からなるペロブスカイト型酸化物単結晶は、単結晶であるために1軸分極であるので、圧電定数と電気機械結合係数が高く圧電振動子材料として注目されている。これを医療用や非破壊検査用の超音波圧電振動子材料として用いると、解像度や感度の著しい向上が可能である。
【0004】
前述のようなペロブスカイト型酸化物からなる単結晶を用いると、従来のリラクサ系圧電セラミックスと同等以上の比誘電率を有していることから、送受信回路とのマッチングが良好となる。更に、これらの単結晶は、音響インピーダンスがセラミックス材料に比較して小さくより人体に近いために、音響的なインピーダンスマッチングも容易である。
【0005】
超音波探触子としては、短冊状振動子を複数個配列したアレイ型が多用されている。各素子に印加する電圧パルスのタイミング制御により、超音波ビームの集束、走査等が行われる。高解像度化の為に医療用や非破壊検査用の超音波探触子においては、動作周波数がMHz領域であり、1つの短冊状振動子のサイズは、幅が100μm〜200μm程度で、高さは数100μm程度となる。
【0006】
このような短冊状振動子においては、縦方向振動の電気機械結合係数が、棒状圧電体の電気機械結合係数:k33に比較して1割程度低下する。これは、前者が横方向の膨張及び収縮の拘束を受ける為である。短冊状振動子としたときの電気機械結合係数の低下を抑制するため、1つの振動子を棒状の圧電体と樹脂で複合化した構造、即ち、1−3コンポジットが提案されている。1−3コンポジットにおいては、前述の様に電気機械結合係数が大きいだけでなく、複合化される樹脂の音響インピーダンスが小さい為に振動子としての音響インピーダンスが更に低下し、音響的なインピーダンスマッチングも更に容易となる。
【0007】
圧電振動子の微細アレイ、更には個々の振動子について、1−3コンポジット構造のような圧電酸化物構造体を機械加工で作製するのは困難である。圧電酸化物は非常に脆く、機械加工時に小さなクラックが発生すると直ちに破壊してしまう。仮に加工ができたとしても、加工表面には加工時の応力を受けた加工変質層やマイクロクラック等が発生しており、圧電体本来の特性が引き出せない。
【0008】
微細な酸化物構造体を作製するのにロストワックス法が知られている。これはセラミックススラリーを樹脂製の鋳型に充填して固化させた後、鋳型を除去及び焼成することにより微細セラミックス構造体を形成する方法である。しかしロストワックス法では、孔径が小さくかつアスペクト比(縦/横比)の高い柱状の形状を有する微細酸化物構造体を形成することは極めて困難であった。また、孔径が小さくかつアスペクト比の高い柱状では、孔の先までセラミックススラリーが注入されないおそれがあった。
【0009】
特許文献1には、セラミックススラリーの組成を調整することによりこの問題を解決する技術が開示されている。開示された発明では、セラミックス粉体比率を35vol%以上にし、ポリビニルアルコールなどの高重合高分子材料をバインダとして5〜20vol%加えて、水と可塑剤を混合したスラリーを用いて、アスペクト比の高い微細なセラミックス構造体を得ることができたとしている。
しかし、スラリーにはバインダ成分と溶剤が含まれていて、固化の際の溶剤気散により体積収縮や変形が生じ易い。さらに固化時においてもバインダ成分が含まれているが、これは熱処理時にはなくなるため、低密度の焼結体しか得られず、また焼結時に崩壊の可能性が大きい。
【0010】
また特許文献2や非特許文献1には、酸化物多結晶を種子単結晶と接合し熱処理することで酸化物多結晶部分を単結晶化する、固相成長を用いた微細酸化物構造体の作製法が開示されている。
このとき酸化物を微細構造体としておけば、微細構造化した単結晶が得られるが、この際にも前述の従来法による微細構造体を使用する場合は、同様の問題を生じる。
【特許文献1】特開2001−48655号公報
【特許文献2】特表2003−523919号公報
【非特許文献1】山本剛久(Takahisa Yamamoto)、外1名,"固相粒成長によるチタン酸バリウム単結晶の製造(Fabrication of Barium Titanate Single Crystals by Solid-State Grain Growth",米国セラミックス学会誌("Journal of the American Ceramic Society"),1994年,第77巻,第4号,p.1107−1109
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、上述の問題点を解決し、幅が微細なパターンで、かつ、アスペクト比の高い柱状の形状を有する微細酸化物構造体を精密に形成することである。本発明のさらなる目的は、そのような微細酸化物構造体を用いる複合圧電材料、積層型圧電振動子、超音波探触子、及び、超音波診断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の第1の観点に係る微細酸化物構造体の製造方法は、微細な柱状の孔が形成された鋳型を用意する工程(a)と、酸化物粒子を界面活性剤で被覆する工程(b)と、界面活性剤で被覆した酸化物粒子を液中に分散させる工程(c)と、得られた液中に鋳型を配置する工程(d)と、液中の界面活性剤で被覆した酸化物粒子を鋳型中に沈降固化させる工程(e)と、鋳型を取り除く工程(f)と、型を除去した酸化物粒子を焼成する工程(g)とを具備する。
【0013】
また、本発明の第2の観点に係る微細酸化物構造体の製造方法は、種子単結晶で形成された基板上に微細な柱状の貫通孔が形成された型板を接合した鋳型を用意する工程(a)と、酸化物粒子を界面活性剤で被覆する工程(b)と、界面活性剤で被覆した酸化物粒子を液中に分散させる工程(c)と、得られた液中に鋳型を配置する工程(d)と、鋳型中に界面活性剤で被覆した酸化物粒子を沈降固化させる工程(e)と、鋳型中に沈降固化した酸化物粒子を熱処理して単結晶化する工程(h)とを具備する。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る微細酸化物構造体の製造方法によれば、酸化物粒子が樹脂型の隅々まで進入して固化するため、型に対して正確な形状を再現した構造体を形成することができる。また、こうして形成された微細酸化物構造体は、樹脂と複合することにより高性能の複合圧電材料とすることができ、そのような複合圧電材料を用いて積層型圧電振動子を構成することができ、そのような複合圧電材料又は積層型圧電振動子を用いて超音波探触子を構成することができ、さらに、そのような超音波探触子を用いて超音波診断装置を構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。
まず、本発明の各実施形態に係る微細酸化物構造体の製造方法、及び、それによって製造される微細酸化物構造体を用いた複合圧電材料及び超音波探触子について説明する。
【0016】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る微細酸化物構造体の製造方法を説明するフロー図である。また、図2は、微細酸化物構造体の製造過程における構造体の変化状況を説明する概念図である。
【0017】
図1に示すステップS1において、図2(a)に示すような、微細な柱状の孔が形成された鋳型30を用意しておく。微細な柱状の孔が形成された鋳型30は、感光性樹脂のマスク露光と現像で形成することが好ましい。100μm以上の深さの孔を有する型は、液状樹脂でなく、例えば、市販のSU−8 3000DFR(化薬マイクロケム(株))など、フィルム状樹脂のラミネートで形成することもできる。
一方、構造体を形成するペロブスカイト型酸化物の粒子を界面活性剤で被覆して(ステップS2)、界面活性剤で被覆した酸化物粒子を液中に分散させる(ステップS3)。
【0018】
微細孔に粉体粒子を充填する場合には、原料粉である微粒子の分散性を良くしておく必要がある。微粒子(一次粒子)はファンデルワールス力や水分の架橋効果により凝集し易いという問題がある。凝集粒子(二次粒子)は、一次粒子に比較して直径が大きいので微細孔に充填し難く、また充填密度の低下をもたらす。そこで、微粒子に界面活性剤を作用させれば、微粒子同士の分散性が向上し、型に充填したときに型の隅まで微粒子が充填するようになる。
【0019】
界面活性剤とは、油によく馴染む親油性部位と、水によく馴染む親水性部位とを有する物質のことをいう。親油性部位としては、例えば、直鎖のアルキル分岐鎖のアルキル、アルキルナフタレン、ペルフルオロアルキル、ポリプロピレンオキサイド、ポリシロキサン等が挙げられる。また、親水性部位は、アニオン系、カチオン系、両性、及び、非イオン系の4種類に分類される。界面活性剤は、親水性部位の分類に従って、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、及び、非イオン界面活性剤の4種類に分類される。
【0020】
本実施形態において、界面活性剤としては、例えば、以下に挙げる物質を使用することができる。アニオン界面活性剤では、アルキルスルフォン酸塩、アルキルスルホカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルフォン酸塩、N−アシルアミノ酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンエーテルリン酸塩等が挙げられる。
【0021】
カチオン界面活性剤では、ハロゲン化アルキル第4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩等が挙げられる。両性界面活性剤では、アルキルベタイン、アルキルイミダゾール、アルキルアミノ酸等が挙げられる。非イオン系界面活性剤では、カルボン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0022】
また、味の素ファインテクノ株式会社製のKR−TTS、KR46B、KR55、KR41B、KR38S、KR138S、KR238S、338X、KR44、KR9SA等のチタネートカップリング剤や、AL−M等のアルミネートカップリング剤、及び信越化学工業株式会社製のシランカップリング剤等を界面活性剤として使用しても良い。
【0023】
酸化物の表面には吸着水や水酸基が存在するが、水酸基は乾燥処理によっても残留する。本実施形態においては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン系界面活性剤のいずれを用いてもよいが、粉末表面の水酸基と反応を生じることにより強固に表面被覆するものが好ましい。具体的には、脱水縮合反応を生じるカルボン酸を挙げることが出来る。カルボン酸とは、カルボキシル基を含有する物質のことであり、例えば、カプリル酸、オレイン酸、ステアリン酸、オクチル酸等が含まれる。
【0024】
界面活性剤の被覆量は、少なすぎると粒子表面への被覆が充分でなく、多すぎると多分子層吸着になり効果が薄れる。使用する酸化物粒子のサイズにもよるが、好ましくは酸化物粒子1g当たり1μモル〜100μモル、より好ましくは5μモル〜20μモルである。なお、二次粒子が少なく一次粒子の比率が多い酸化物粒子の場合は、予め測定した粒子の比表面積値と界面活性剤の吸着断面積から望ましい被覆量を求めることができる。例えば、ステアリン酸であれば、吸着断面積は1分子当たり0.205nmであるので、比表面積1m/gの酸化物粒子の場合は粒子1g当たり8.1μモル以上のステアリン酸を被覆すれば良い。ステアリン酸などのカルボン酸はある程度の蒸気圧を有しているので、被覆処理後の脱水縮合反応を生じていない分子は、その後の乾燥で気散させることができる。
【0025】
酸化物粒子に界面活性剤を被覆する際には、溶媒に界面活性剤を溶解し、酸化物粒子と混合後、加熱乾燥することにより溶媒を除去する。溶媒には界面活性剤に対して溶解度を有する適切な溶媒を用いることができるが、水を排除して界面活性剤を効果的に吸着させるためには、オクタンやデカンのようなパラフィンや脱水アルコールを用いる事が好ましい。また混合は、溶媒に粉末粒子を分散させ撹拌させるだけでも良いが、既に存在する二次粒子を解砕させると共に、粉体の表面に界面活性剤を万遍なく付着させるために、二次粒子を機械的にほぐす方法を併用することが望ましい。具体的には、ボールミル等を用いることができる。
【0026】
さらに、加熱乾燥処理により、界面活性剤が強固に付着した酸化物粒子が得られる。これは、脱水縮合反応を促進すると共に、不要な界面活性剤成分を気散除去する効果もある。加熱温度は低すぎると脱水縮合反応の促進が充分で無く、高すぎると付着した界面活性剤の分解を生じる。最適温度は、用いる界面活性剤にもよるが、80℃から400℃である。加熱雰囲気は大気中で良いが、反応副生物である水分や、過剰な界面活性剤を気散させるためには、真空中であっても良い。
【0027】
つぎに、ステップS3で生成した界面活性剤で被覆した酸化物粒子を分散させた懸濁液中に鋳型を設置する(ステップS4)。さらに、界面活性剤で被覆した酸化物粒子を鋳型中に沈降固化させる(ステップS5)。
【0028】
鋳型の微細孔に粉体粒子を充填するには、水中に界面活性剤が被覆された粒子を分散させておき、沈降現象を利用して充填する。水で無くとも、粘度の低いメチルアルコールやエチルアルコールを使用することもできる。また遠心沈降や、超音波の振動を付与しても良い。粒子の沈降により粒子充填、乾燥させた後、加圧手段で粒子成型体を加圧することで高密度の充填体を得ることができる。加圧手段としては、1軸プレスや、冷間静水圧処理法(CIP)を挙げることができる。
【0029】
また、酸化物の金属成分を含む化学液相溶液を含浸させることが好ましい。これはさらに高密度の充填体を得るのみでなく、化学液相の熱分解物が個々の酸化物粒子間を強固に接合するため、その後の鋳型除去や熱処理時に、微細構造体の体積収縮や変形、及び崩壊を防止する効果がある。
【0030】
化学液相溶液には、各種金属元素の無機酸塩や有機酸塩、アルコキシド及びそれらの混合物を使用することができる。溶媒には、各種塩類に対して溶解度を有する適切な溶媒を用いることができる。化学液相溶液の金属組成は、酸化物の組成のとおりであっても良く、また、その後の焼結や単結晶化を助長する成分を含んでいても良い。なお、市販の有機酸塩溶液(例えば(株)高純度化学研究所のMOD材料)を用いることができる。
【0031】
化学液相溶液は、粒子充填,乾燥させた物を溶液中に浸漬したり、溶液を滴下したりする方法で含浸することができる。含浸を効果的に行う為には、真空を併用することが好ましい。含浸後溶液を気散させ、塩又はアルコキシドを熱分解する。乾燥温度と熱分解温度は、化学液相溶液の溶媒と塩にもよるが、それぞれ、50〜150℃と150〜500℃が好ましい。乾燥/熱分解後は、化学液相の体積が収縮するので、必要に応じて含浸と乾燥/熱分解を繰返しても良い。
【0032】
図2(b)に示すように、酸化物粒子31は分散性が高いので、鋳型30中の隅々まで到達して充填し、鋳型を忠実に再現して構造体形状を形成する。次に、鋳型を取り除いて、酸化物粒子で形成された構造体を取り出し(ステップS6)、構造体を形作った酸化物を焼成して、図2(c)に示すようなセラミックス構造体32とする(ステップS7)。
【0033】
粒子充填後の鋳型は、空気若しくは酸素中加熱や酸素プラズマによって灰化消失させることができる。加熱の際は、急激な炭酸ガス発生が微細構造酸化物の形状保持に好ましくない為、300℃以上では毎分1℃以下の温度上昇で徐々に加熱することが好ましい。
【0034】
鋳型を取り除いて焼成したセラミック構造体は、アスペクト比の大きな柱状セラミックが配列された微細列柱構造を有し、これら列柱の間及び周囲に、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸して硬化させることにより、複合圧電材料を得ることができる(ステップS8)。
【0035】
樹脂の硬化後に研削して所定の厚さとし、両面に電極を形成することにより、圧電振動子が形成される。電極は、金(Au)、プラチナ(Pt)、ニッケル(Ni)等の金属を、無電解メッキや真空蒸着やスパッタ等、一般的な金属コーティング法により表面に堆積して形成することができる。また電極の密着性を確保する為、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、チタン(Ti)等を中間層に用いても良い。
【0036】
電極形成後、分極処理することにより圧電振動子における電気機械結合係数が改善される。分極処理は、絶縁油中で1〜3kV/mmの電界を印加することにより行う。本手法で作製した微細列柱構造の複合体振動子は、1−3コンポジットと呼ばれる圧電振動子となる。
【0037】
作製した振動子は、公知の方法を用いて配線し、音響整合層やバッキング材等と組み合わせて、超音波探触子とすることができる(ステップS9)。さらに、作製した超音波探触子を用いて超音波診断装置を製造することができる(ステップS10)。
【0038】
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態に係る微細単結晶構造体の製造方法を説明するフロー図である。本実施形態では酸化物の単結晶化が必要なため、第1実施形態の製造方法に対して鋳型の形態と熱処理の方法が異なるが、製造方法の技術的思想には本質的な差がない。そこで、特に差異のある部分以外は第1実施形態の説明を参照されたい。
【0039】
本実施形態においては、鋳型の中に種子単結晶が必要なので、種子単結晶基板に感光性樹脂をコーティングし(ステップS11)、コーティング面にマスクを当てて露光・現像して鋳型の微細孔を形成して(ステップS12)、微細孔の底面に種子単結晶が露出した鋳型を準備する。
【0040】
一方、第1実施形態におけると同様に、構造体を形成するペロブスカイト型酸化物の粒子を界面活性剤で被覆して(ステップS13)、界面活性剤で被覆した酸化物粒子を液中に分散させる(ステップS14)。次に、界面活性剤で被覆した酸化物粒子を分散させた液中に鋳型を設置し(ステップS15)、酸化物粒子を鋳型中に沈降固化させる(ステップS16)。
【0041】
酸化物粒子を鋳型中で固化させるときに、1軸プレスや冷間静水圧処理法(CIP)などの加圧手段を用いて、高密度の充填体を得ることができる。また、得られた充填体に酸化物の金属成分を含む化学液相溶液を含浸させると、充填体をより高密度にすることができ、さらに、化学液相の熱分解物が個々の酸化物粒子間を強固に接合するので、その後の鋳型除去や熱処理時における微細構造体の体積収縮や変形、及び崩壊を効果的に防止することができる。
【0042】
本実施形態では、次に、鋳型に収まったままの酸化物構造体を加熱し感光性樹脂を灰化消失させた後、高温熱処理してセラミックス化し、さらに固相成長させて種子単結晶に整合するように単結晶化させて単結晶構造体とする(ステップS17)。形成された単結晶構造体は、アスペクト比の大きな単結晶柱が配列された形状を有するが、これら列柱間に熱硬化性樹脂を含浸して硬化させ、必要に応じて研削して、両面に電極を形成することにより複合圧電材料を得ることができる(ステップS18)。なお、振動子の設計にもよるが、種子単結晶基板もそのまま、若しくは一部を残して振動子の構成部分にすることも可能である。
【0043】
本手法で作製した微細列柱構造の複合圧電材料は、1−3コンポジットと呼ばれる圧電振動子となる。作製した複合圧電材料を用いて高性能の超音波探触子を製造し(ステップS19)、さらに、超音波探触子を利用して超音波診断装置を製造することができる(ステップS20)。
【実施例1】
【0044】
本実施例は、微細圧電単結晶列柱構造体の製造方法の1実施例である。
本実施例では、種子単結晶体として市販のPMN−PT単結晶(0.7PMN−0.3PT組成(100)面)、単結晶体にする酸化物原料として0.7PMN−0.3PT組成のペロブスカイト単相粉末(平均粒径1μm)、及び有機酸塩溶液を使用した。
なお、所定の元素が室温で溶解度を有し均質な溶液となるものであれば、例えば、硝酸塩溶液、アルコキシド溶液やそれらの混合物など、有機酸塩でなくとも使用可能である。
【0045】
図4は、本実施例における加工手順を説明する概念図である。
図4(a)は鋳型の断面を示す。鏡面研磨したPMN−PT単結晶1の面上に、感光性樹脂ドライフィルムフォトレジスト(製品名:SU−8 3000DFR)2をラミネート加工し、厚さ250μmとした。これを紫外線でのマスク露光と現像により直径40μmの微細孔3を間隔60μmで形成して、鋳型とした。微細孔3は底が種子単結晶1の基板面で形成され、側面が樹脂2で形成されている。
【0046】
120℃で乾燥させた0.7PMN−0.3PT組成のペロブスカイト単相粉末100gを、ステアリン酸142mg(0.5mモル)を溶解させた25ccのオクタンに投入し、ボールミル混合を行った。その後、80℃でオクタンを蒸発させ、さらに、120℃で真空乾燥して、界面活性剤で被覆したペロブスカイト単相粉末を生成した。
【0047】
図4(b)は鋳型を懸濁液中に配置した状態を示す。また、図5は鋳型に微粒子を充填して固化する工程における微細孔の状態変化を説明する工程図である。界面活性剤で被覆したペロブスカイト単相粉末を水中に分散させた懸濁液4中に、微細孔を形成した感光性樹脂2の面を上にして鋳型をおき、粉末5を沈降させてPMN−PT単結晶基板1上に形成された微細孔3内に粉末5を堆積させた。図5(a)は懸濁液中で粉末を沈降堆積させた後で取り出したときの鋳型の状態を概念的に示す断面図である。鋳型20の微細孔内と鋳型上面には、懸濁液から沈降して堆積したペロブスカイト単相粉末21が懸濁液22と一緒に堆積している。
【0048】
これを加熱炉で乾燥すると、図5(b)に示すように、液体成分が蒸発して粉末21のみが残る。ペロブスカイト単相粉末5を堆積させた鋳型をゴム製の袋に密閉し、200Mpaの冷間静水圧(CIP)処理を行って、図5(c)に示すように、微細孔3内の堆積物5を緻密化した。
【0049】
図4(c)は緻密化した微細孔3内の堆積物5に酸化物の金属成分を含む化学液相溶液を含浸させる状況を示す。化学液相溶液として、Pb,Mg,Nb,Tiの有機酸塩溶液を、モル比で30:7:14:9の比率(0.7PMN−0.3PT組成)になるように配合し、キシレンで粘度調整した。
【0050】
微細孔3内の堆積物5を加圧して得た粉成形体部分へ有機酸塩溶液6を真空中で滴下し、溶液を真空含浸した。図5(d)は鋳型20の微細孔中に堆積した粉末21に化学液相溶液23を含浸させた状態を示す概念図である。次に、120℃で乾燥することにより溶剤成分を蒸発させ、さらに300℃で5分間熱分解を行った。化学液相溶液の真空含浸と溶剤成分の蒸発の処理を、有機酸塩溶液6が堆積物5に含浸しなくなるまで繰り返し、最後にミクロトームによりにフィルム面上の圧粉成形物を除去した。
【0051】
図4(d)は本実施例で作製された単結晶構造体を示す断面図である。図6は単結晶体前駆体である堆積物セラミックス構成体から圧電振動子を作製する課程中の対象物の変化を表す概念図である。堆積物5に飽和するまで有機酸塩溶液6を含浸させた上記鋳型を450℃まで徐々に加熱することにより感光性樹脂SU−8を灰化消失させた。すると、図6(a)に示すような単結晶基板上に単結晶前駆体であるセラミックス列柱が立ち並んで形成されるセラミックス構造体が得られる。このようなセラミックス構造体に対して、1300℃で5時間の熱処理を行ったところ、堆積物5の部分が種子単結晶に整合するように固相成長して、図6(b)に示すような、直径35μmで高さ200μm程度の単結晶化した微細円柱が得られた。
【0052】
図4(e)は本実施例で作製された単結晶構造体と樹脂の複合材料を示す断面図である。得られた単結晶構造体の列柱間に熱硬化性樹脂を含浸して硬化させ、所定の厚さに研削すると、図4(e)又は図6(c)に示されたような樹脂8中に微細単結晶柱列7が埋設された複合材料9が得られる。この複合材料は、両面に電極を形成して分極処理することにより、図6(d)に示すような、1−3コンポジットにすることができる。
【0053】
図4(f)は本実施例で作製される超音波探触子の模式的な斜視図である。電極を分極処理して作製した1−3コンポジット9は、バッキング材10、音響整合層11、音響レンズ12と組み合わせて公知の方法を用いて配線することにより、超音波探触子とすることができる。
【実施例2】
【0054】
本実施例は、微細圧電単結晶列柱構造体の製造方法の1実施例である。本実施例では、CIP処理を行わない他は、実施例1と同じ処理を行った。有機酸塩溶液の含浸量が20%程度増加したものの、実施例1と同様に単結晶化した微細円柱が得られた。
【0055】
(比較例1)
7PMN−0.3PT組成のペロブスカイト単相粉末を使用し、ペロブスカイト単相粉末に界面活性剤で被覆しない他は、実施例1と同じ処理を行った。この結果、微細孔部分への粉末の充填が不充分であった。その後、同様の処理をしたが、1000℃での焼結処理で微細柱状構造は崩壊しており、1300℃での単結晶化熱処理においても崩壊していた。
【0056】
上記で説明した超音波探触子においては、本発明の一実施形態に係る複合圧電材料と電極とを積層して構成した積層型圧電振動子を利用することもできる。次に、本発明の一実施形態に係る積層型圧電振動子について説明する。
【0057】
図7は、本発明の一実施形態に係る積層型圧電振動子の構造例を示す図である。図7に示すように、積層型圧電振動子は、複合圧電材料層41と、下部電極層42と、複数の複合圧電材料層41の間に交互に挿入された内部電極層43,44と、上部電極層45と、絶縁膜46と、側面電極47,48とを含んでおり、積層構造を有している。
【0058】
下部電極層42は、側面電極47に接続されていると共に、側面電極48から絶縁されている。上部電極層45は、側面電極48に接続されていると共に、側面電極47から絶縁されている。また、内部電極層43は、側面電極48に接続されていると共に、絶縁膜46によって側面電極47から絶縁されている。一方、内部電極層44は、側面電極47に接続されていると共に、絶縁膜46によって側面電極48から絶縁されている。超音波トランスデューサの複数の電極をこのように形成することにより、3層の複合圧電材料層41に電界を印加するための3組の電極が並列に接続される。なお、複合圧電材料層の層数は、3層に限られず、2層又は4層以上としても良い。
【0059】
このような積層型圧電振動子においては、対向する電極の面積が単層の素子よりも増加するので、電気的インピーダンスが低下する。従って、同じサイズの単層型圧電振動子と比較して、印加される電圧に対して効率良く動作する。具体的には、圧電体層をN層とすると、圧電体層の数は単層型圧電振動子のN倍となり、各圧電体層の厚さは単層の圧電振動子の1/N倍となるので、圧電振動子の電気インピーダンスは1/N倍となる。従って、圧電体層の積層数を増減させることにより、圧電振動子の電気的インピーダンスを調整できるので、駆動回路又は信号ケーブルとの電気的インピーダンスマッチングを図り易くなり、感度を向上させることができる。
【0060】
次に、本発明の一実施形態に係る超音波診断装置について説明する。
図8は、本発明の一実施形態に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。この超音波診断装置は、本発明の一実施形態に係る超音波探触子50と、超音波診断装置本体とによって構成される。超音波診断装置本体は、走査制御部51と、送信遅延パターン記憶部52と、送信制御部53と、駆動信号発生部54と、受信信号処理部61と、受信遅延パターン記憶部62と、受信制御部63と、Bモード画像生成部64と、D/A変換器65と、表示部66と、制御部67と、操作部68と、格納部69とを有している。
【0061】
超音波探触子50は、1次元又は2次元のトランスデューサアレイを構成する複数の超音波トランスデューサ50aを備えている。それらの超音波トランスデューサ50aは、印加される駆動信号に基づいて超音波を送信すると共に、伝搬する超音波エコーを受信して受信信号を出力する。
【0062】
走査制御部51は、超音波ビームの送信方向及び超音波エコーの受信方向を順次設定する。送信遅延パターン記憶部52は、超音波ビームを形成する際に用いられる複数の送信遅延パターンを記憶している。送信制御部53は、走査制御部51において設定された送信方向に応じて、送信遅延パターン記憶部52に記憶されている複数の遅延パターンの中から所定のパターンを選択し、そのパターンに基づいて、複数の超音波トランスデューサ50aの駆動信号にそれぞれ与えられる遅延時間を設定する。あるいは、送信制御部53は、複数の超音波トランスデューサ50aから一度に送信される超音波が被検体の撮像領域全体に届くように遅延時間を設定しても良い。
【0063】
駆動信号発生部54は、例えば、複数の超音波トランスデューサ50aに対応する複数のパルサによって構成されている。駆動信号発生部54は、送信制御部53によって設定された遅延時間に従って、複数の超音波トランスデューサ50aから送信される超音波が超音波ビームを形成するように複数の駆動信号を超音波探触子50に供給し、又は、複数の超音波トランスデューサ50aから一度に送信される超音波が被検体の撮像領域全体に届くように複数の駆動信号を超音波探触子50に供給する。
【0064】
受信信号処理部61は、複数の超音波トランスデューサ50aに対応して、複数の増幅器(プリアンプ)61aと、複数のA/D変換器61bとを含んでいる。超音波トランスデューサ50aから出力される受信信号は、増幅器61aにおいて増幅され、増幅器61aから出力されるアナログの受信信号は、A/D変換器61bによってディジタルの受信信号に変換される。A/D変換器61bは、ディジタルの受信信号を、受信制御部63に出力する。
【0065】
受信遅延パターン記憶部62は、複数の超音波トランスデューサ50aから出力される複数の受信信号に対して受信フォーカス処理を行う際に用いられる複数の受信遅延パターンを記憶している。受信制御部63は、走査制御部51において設定された受信方向に基づいて、受信遅延パターン記憶部62に記憶されている複数の受信遅延パターンの中から所定のパターンを選択し、そのパターンに基づいて複数の受信信号に遅延を与えて加算することにより、受信フォーカス処理を行う。この受信フォーカス処理により、超音波エコーの焦点が絞り込まれた音線信号が形成される。
【0066】
Bモード画像生成部64は、受信制御部63によって形成された音線信号に基づいて、被検体内の組織に関する断層画像情報であるBモード画像信号を生成する。Bモード画像生成部64は、STC(sensitivity time control)部64aと、包括線検波部64bと、DSC(digital scan converter:ディジタル・スキャン・コンバータ)64cとを含んでいる。
【0067】
STC部64aは、受信制御部63によって形成された音線信号に対して、超音波の反射位置の深度に応じて、距離による減衰の補正を施す。包絡線検波部64bは、STC部64aにおいて補正が施された音線信号に対して包絡線検波処理を施すことにより、包絡線信号を生成する。DSC64cは、包絡線検波部64bによって生成された包絡線信号を通常のテレビジョン信号の走査方式に従う画像信号に変換(ラスター変換)し、階調処理等の必要な画像処理を施すことにより、Bモード画像信号を生成する。
【0068】
D/A変換器65は、Bモード画像生成部64から出力されるディジタルの画像信号を、アナログの画像信号に変換する。表示部66は、例えば、CRTやLCD等のディスプレイ装置を含んでおり、アナログの画像信号に基づいて診断画像を表示する。
【0069】
制御部67は、操作部68を用いたオペレータの操作に従って、走査制御部51、Bモード画像生成部64等を制御する。本実施形態においては、走査制御部51、送信制御部53、受信制御部63、Bモード画像生成部64、及び、制御部67が、CPUとソフトウェア(プログラム)によって構成されるが、これらをディジタル回路やアナログ回路で構成しても良い。ソフトウェア(プログラム)は、格納部69に格納される。格納部69における記録媒体としては、内蔵のハードディスクの他に、フレキシブルディスク、MO、MT、RAM、CD−ROM、又は、DVD−ROM等を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明により、アスペクト比が大きく微細な列柱構造を有する微細酸化物構造体を精密に作製することができ、さらに、微細酸化物構造体を使って複合圧電材料を形成し、高精度な超音波探触子や超音波診断装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1実施形態に係る微細酸化物構造体の製造方法を説明するフロー図である。
【図2】第1実施形態に係る微細酸化物構造体の製造方法の加工手順を説明する概念図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る微細単結晶構造体の製造方法を説明するフロー図である。
【図4】第2実施形態に係る微細単結晶構造体の製造方法の加工手順を説明する概念図である。
【図5】第2実施形態において鋳型に微粒子を充填して固化する工程における微細孔の状態変化を説明する工程図である。
【図6】第2実施形態においてセラミックス構成体から圧電振動子を作製する課程中の対象物の変化を表す概念図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る積層型圧電振動子の構造例を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0072】
1 種子単結晶基板
2 感光性樹脂
3 微細孔
4 懸濁液
5 粉末堆積物
6 有機酸塩溶液
7 微細単結晶柱列
8 樹脂
9 複合材料
10 バッキング材
11 音響整合層
12 音響レンズ
20 鋳型
21 ペロブスカイト単相粉末
22 懸濁液
23 化学液相溶液
30 鋳型
31 酸化物粒子
32 セラミックス構造体
41 複合圧電材料層
42 下部電極層
43,44 内部電極層
45 上部電極層
46 絶縁膜
47,48 側面電極
50 超音波探触子
51 走査制御部
52 送信遅延パターン記憶部
53 送信制御部
54 駆動信号発生部
61 受信信号処理部
62 受信遅延パターン記憶部
63 受信制御部
64 Bモード画像生成部
65 D/A変換器
66 表示部
67 制御部
68 操作部
69 格納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細な柱状の孔が形成された鋳型を用意する工程(a)と、
酸化物粒子を界面活性剤で被覆する工程(b)と、
該界面活性剤で被覆した酸化物粒子を液中に分散させる工程(c)と、
該液中に前記鋳型を配置する工程(d)と、
該液中の前記界面活性剤で被覆した酸化物粒子を前記鋳型中に沈降固化させる工程(e)と、
該鋳型を取り除く工程(f)と、
前記鋳型を除去した前記酸化物粒子を焼成する工程(g)と、
を具備する微細酸化物構造体の製造方法。
【請求項2】
前記鋳型が、感光性樹脂で形成されている、請求項1に記載の微細酸化物構造体の製造方法。
【請求項3】
種子単結晶で形成された基板上に微細な柱状の貫通孔が形成された型板を接合した鋳型を用意する工程(a)と、
酸化物粒子を界面活性剤で被覆する工程(b)と、
該界面活性剤で被覆した酸化物粒子を液中に分散させる工程(c)と、
該液中に前記鋳型を配置する工程(d)と、
該鋳型中に前記界面活性剤で被覆した酸化物粒子を沈降固化させる工程(e)と、
該鋳型中に沈降固化した前記酸化物粒子を熱処理して単結晶化する工程(h)と、
を具備する微細酸化物構造体の製造方法。
【請求項4】
前記微細な柱状の孔を有する型板が、感光性樹脂で形成されている、請求項3記載の微細酸化物構造体の製造方法。
【請求項5】
前記種子単結晶が、ペロブスカイト型結晶構造を有し、室温における格子定数の前記微細酸化物構造体の単結晶格子定数との差が5%以内である、請求項3又は4記載の微細酸化物構造体の製造方法。
【請求項6】
前記界面活性剤が、カルボン酸を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の微細酸化物構造体の製造方法。
【請求項7】
前記界面活性剤の被覆量が、前記酸化物粒子1g当たり1μモル以上100μモル以下である、請求項1から6のいずれか一項に記載の微細酸化物構造体の製造方法。
【請求項8】
工程(e)が、前記酸化物粒子の沈降により前記鋳型を粒子で充填し乾燥させて酸化粒子成型体を得る工程と、加圧手段で該酸化物粒子成型体を加圧する工程とを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の微細酸化物構造体の製造方法。
【請求項9】
前記加圧手段が、冷間静水圧処理法に従って該酸化物粒子成型体を加圧する、請求項8記載の微細酸化物構造体の製造方法。
【請求項10】
工程(e)が、前記酸化物粒子の沈降により前記鋳型を粒子で充填し乾燥させて酸化粒子成型体を得る工程と、該酸化粒子成型体に前記酸化物の金属成分を含む化学液相溶液を含浸させる工程とを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の微細酸化物構造体の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の微細柱状酸化物構造体の製造方法により製造された微細柱状酸化物構造体。
【請求項12】
前記微細柱状酸化物が、ペロブスカイト型酸化物を含む、請求項11記載の微細柱状酸化物構造体。
【請求項13】
前記微細柱状酸化物が、鉛(Pb)を含有する酸化物を含む、請求項12記載の微細柱状酸化物構造体。
【請求項14】
請求項8から10のいずれか一項に記載の微細柱状酸化物構造体と樹脂とを複合化して製造された複合圧電材料。
【請求項15】
請求項14記載の複合圧電材料と電極とが交互に積層された積層型圧電振動子。
【請求項16】
請求項14記載の複合圧電材料又は15記載の積層型圧電振動子を用いた超音波探触子。
【請求項17】
請求項16記載の超音波探触子を用いた超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−13326(P2010−13326A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175745(P2008−175745)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】