説明

情報処理装置、データ消去管理方法およびコンピュータプログラム

【課題】ジョブ処理の完了と非同期にデータの消去を自動的に行う装置であって、データの消去が完了したことを各ジョブ単位で表示する情報処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置10が、ジョブの実行完了時に、ジョブが含む画像ファイルを消去対象とするとともに、ジョブの実行が完了した時刻の情報を含むジョブの履歴情報を記憶する。また、画像処理装置10が、消去対象とした画像データを上書き消去し、消去が完了した時刻の情報を含む消去完了情報を記憶する。画像処理装置10が、ジョブの履歴情報が含む、ジョブの実行が完了した時刻の情報と、消去完了情報が含む、消去が完了した時刻の情報とに基づいて、上記履歴情報に対応するジョブが含む画像データの上書き消去が完了したか否かをジョブ毎に判断する。そして、画像処理装置10が、上記判断された、ジョブが含む画像データの上書き消去が完了したか否かを示す情報を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、データ消去管理方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ジョブが含む情報(以下データ)を一時的に外部記憶装置(例えばHDD等)に格納した上で処理し、ジョブの実行が完了した場合にこの情報をHDDから消去する情報処理装置が提案されている。HDDは、Hard Disk Driveの略称である。
【0003】
このような情報処理装置においては、HDD上に、データと、当該データのHDD上の位置情報とが記憶されている。位置情報は、例えば、FAT(File Allocation Table )に格納されている。通常、情報処理装置がデータを消去する際は、高速化の観点からFATのみを消去するのが一般的である。HDD上に残っているデータは、FATの消去と非同期に、他の情報で上書き消去される。
【0004】
しかし、HDD上にデータが残存している状態では、HDDを情報処理装置から引き抜き、コンピュータ(以下、PC)等に接続し、内部を解析することで、データが盗み取られるおそれがある。
【0005】
近年、情報セキュリティ意識の高まりに伴って、FATだけでなく残存データも消去する、上書き消去機能を有する情報処理装置が提案されている。上書き消去機能を有する情報処理装置は、ジョブ処理の完了後、ジョブ処理の完了と非同期に、1回ないし複数回、使用済のデータに対して0、乱数または固定値などを上書きする。これにより、データが残存しないことが保証される。例えば、特許文献1は、消去中止要求が入力されない限りコピー処理が終了した画像データを消去する画像処理装置を開示する。また、特許文献2は、起動時やユーザが指示した時や決められた時間にデータの消去を実行し、その結果を表示するデータ処理装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第03715711号公報
【特許文献2】特許第04386787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ジョブ処理の完了と非同期にデータの消去を自動的に行う情報処理装置では、ジョブ毎のデータ消去の完了を把握することができない。また、例えば特許文献2が開示する画像処理装置では、起動時やユーザが指示した時や決められた時間など、決められたタイミングでしか消去をすることができない。従って、未消去のデータが蓄積してしまい、新たなジョブが実行できなくなったり、大容量のHDDが必要になったりする。その結果、機器の効率的な動作に問題が生じる。
【0008】
本発明は、ジョブ処理の完了と非同期にデータの消去を自動的に行う装置であって、データの消去が完了したことを各ジョブ単位で表示する情報処理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
画像データに関するジョブを実行するジョブ実行手段と、前記ジョブの実行が完了した場合に、該ジョブが含む画像データを消去対象とし、該消去対象の画像データに関する情報を未消去データ情報として第1の記憶手段に記憶するとともに、少なくとも前記ジョブの実行が完了した時刻の情報を含む該ジョブの履歴情報を第2の記憶手段に記憶して管理する管理手段と、前記第1の記憶手段に記憶した未消去データ情報が示す前記消去対象の画像データを上書き消去し、該消去が完了した時刻の情報を含む消去完了情報を第3の記憶手段に記憶する消去手段と、前記第2の記憶手段に記憶されているジョブの履歴情報が含む、前記ジョブの実行が完了した時刻の情報と、前記第3の記憶手段に記憶されている前記消去完了情報が含む、前記消去が完了した時刻の情報とに基づいて、前記履歴情報に対応するジョブが含む画像データの上書き消去が完了したか否かをジョブ毎に判断する判断手段と、前記判断手段によって判断された、前記ジョブが含む画像データの上書き消去が完了したか否かを示す情報を表示する表示手段とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、ジョブが一時的に使用したデータの上書き消去機能を有する情報処理装置において、ジョブの完了と共に自動的に消去が行われつつも、データ消去が完了したことを各ジョブ単位で表示または印刷することができる。これにより、ユーザが、ジョブ毎に、ジョブが含むデータの上書き処理が完了したかを把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態の情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図2】画像処理装置の機能ブロック図の一例である。
【図3】画像処理装置の動作処理の一例を説明するフローチャートである。
【図4】ジョブ終了処理を説明するフローチャートである。
【図5】ジョブ履歴情報の一例を示す図である。
【図6】データ消去処理の一例を説明するフローチャートである。
【図7】ジョブ履歴を表示する処理の一例を説明するフローチャートである。
【図8】ジョブ履歴を表示する処理の一例を説明するフローチャートである。
【図9】ジョブ履歴表示画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本実施形態の情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図1に示す画像処理装置10は、本実施形態の情報処理装置である。画像処理装置10は、CPU(Central Processing Unit )11、RAM(Random Access Memory)12、ハードディスクコントローラ(Hard Disk Controller:HDC)13を備える。また、画像処理装置10は、画像入出力制御部(以下、画像制御部と記述)14、操作部(以下、UIと記述)15、HDD16、スキャナ部17、プリンタ部18を備える。
【0013】
CPU11は、画像処理装置10を制御するCPUで、RAM12上に配置されたプログラムおよびデータを使用し、HDC13、画像制御部14、UI15を制御する。RAM12は、読み書き可能な揮発性の記憶装置である。RAM12は、プログラムや画像データを保持する。HDC13は、HDD16を制御する。具体的には、HDC13は、HDD16へのデータの書き込み、読み込みを制御する。また、本実施形態においては、HDC13は、書き込みデータ量、読み込みデータ量を保持する。
【0014】
画像制御部14は、スキャナ部17およびプリンタ部18を制御する。具体的には、画像制御部14は、データ入出力部23(図2)の指示に従って、スキャナ部17からのデータをRAM12に転送したり、RAM12のデータをプリンタ部18に転送したりする。
【0015】
UI15は、液晶表示部とタッチパネル(共に図示せず)とを備える。UI15は、ユーザからの操作指示を取得したり、画像処理装置10の状態などを表示したりできる。HDD16は、読み書き可能な不揮発性の記憶装置である。HDD16は、プログラムや画像データやユーザ設定などをファイルという形で保持する。
【0016】
スキャナ部17は、原稿照明ランプや走査ミラー等(共に図示せず)を備える。スキャナ部17は、原稿からの反射光を走査ミラー、レンズ等を経由してCCDセンサで読み取り、画像データを作成し、RAM12に転送を行う。
【0017】
プリンタ部18は、レーザ、ポリゴンスキャナ、感光ドラム等を備える。プリンタ部18は、RAM12から転送された画像データを電気信号に変更し、レーザとして感光ドラムに照射することで、紙に画像を形成する。
【0018】
図2は、画像処理装置の機能ブロック図の一例である。図2中に示す画像処理装置が備える各処理部は、画像処理装置制御プログラムによって実現される。画像処理装置制御プログラムは、RAM12に配置され、CPU11によって実行されるコンピュータプログラムである。本実施形態のデータ消去管理方法は、画像処理装置制御プログラムによって実現される。
【0019】
画像処理装置10は、UI制御部21、ジョブ制御部22、データ入出力部23、ファイル管理部24、ファイル消去部25、HDD制御部26、ジョブ履歴管理部27を備える。UI制御部21は、図1に示すUI15を制御し、ユーザからの指示をタッチパネルから取得したり、画像処理装置10の状態を液晶パネルに表示したりする。また、UI制御部21は、ジョブ履歴管理部27、ファイル消去部25と連携して、ジョブ履歴を表示する。
【0020】
ジョブ制御部22は、画像処理装置10が実行する、コピー等の処理(ジョブ)を制御する。ジョブ制御部22は、UI制御部21、データ入出力部23、ファイル管理部24等と連携しながらジョブの実行を行うジョブ実行手段として機能する。
【0021】
データ入出力部23は、画像制御部14を制御する。データ入出力部23は、RAM12との間でデータをやりとりしながら画像データをRAM12に保持する。また、データ入出力部23は、RAM12に保持されている画像データを、プリンタ部18に送信する。
【0022】
ファイル管理部24は、HDD16にデータを書き込む。また、ファイル管理部24は、HDD16からデータを読み出す。すなわち、ファイル管理部24は、HDD16上に構築されたファイルシステムを管理し、一つのデータをファイルとして保存したり読み出したりする。
【0023】
ファイル消去部25は、ファイル管理部24の指示に従い、消去を指示されたファイルを上書き消去する。ファイル消去部25は、未消去データ情報28と消去完了情報29とを記憶手段(例えばHDD16)に記憶して管理しており、消去動作を行いながら適宜情報を更新する。未消去データ情報28は、未消去ファイルIDを含む。未消去ファイルIDは、まだ上書き消去されていない消去対象のファイル(未消去ファイル)の識別情報である。この未消去ファイルIDは、例えば、消去対象の画像データの識別情報(第1の識別情報)として機能する。また、消去完了情報29は、未消去ファイルが上書き消去された時の時刻(消去完了時刻)を含む。HDD制御部26は、ファイル管理部24およびファイル消去部25からの要求に従い、HDD16に対してデータの読み書きを行う。
【0024】
ジョブ履歴管理部27は、ジョブ制御部22と連携し、完了したジョブに関する情報をジョブ履歴情報60として保持する。ジョブ履歴管理部27は、ジョブ履歴情報60と未消去データ情報28とに基づいて、ジョブ毎に、データ消去が完了したか否か、例えば、ジョブが含む画像データの上書き消去が完了したか否かを判断する。そして、UI制御部21が、上記判断された、ジョブが含む画像データの上書き消去が完了したか否かを示す情報を表示する表示手段として機能する。ジョブ履歴管理部27が、ジョブ履歴情報60と消去完了情報29とに基づいて、ジョブ毎に、データ消去が完了したか否かを判断し、UI制御部21が、その判断結果を示す情報を表示するようにしてもよい。
【0025】
図3は、実施例1の画像処理装置の動作処理の一例を説明するフローチャートである。図3(A)は、画像処理装置の全体動作処理を示す。図3を参照して説明する処理を実行する画像処理装置制御プログラムは、HDD16または図示しないその他の記憶装置に記憶されており、RAM12に読み出され、CPU11により実行される。
【0026】
ユーザが、UI15を使用し、原稿のコピーを指示すると、UI制御部21が、その入力を受け付ける。UI制御部21は、ジョブ制御部22に対して、指定された設定によるコピージョブの開始を指示する(ステップS301)。これにより、ジョブが開始される。ジョブ制御部22は、ジョブの開始時に、例えば図5(A)に示すジョブ履歴情報60Aを新たに作成する。ジョブ履歴情報60Aは、図2に示すジョブ履歴情報60に対応する。
【0027】
図5(A)は、ジョブ履歴情報の一例を示す。ジョブ履歴情報60Aは、ジョブID、ジョブ種、開始時刻、終了時刻、ユーザ名、結果といったデータ項目を有する。ジョブID601は、ジョブを一意に識別する識別情報である。ジョブ種602はジョブの種類である。開始時刻603は、ジョブの開始時刻である。終了時刻604は、ジョブの終了時刻である。ユーザ名605は、ユーザの名称である。結果606は、ジョブの実行結果である。図3(A)のステップS301においては、ジョブ制御部22は、ジョブ履歴情報60Aに、ジョブID601、ジョブ種602、開始時刻603、ユーザ名605を設定する。
【0028】
次に、ジョブ制御部22が、データ入出力部23に対して原稿の読み取りを指示する。データ入出力部23は、画像制御部14、スキャナ部17を使用して原稿を読み取って、画像データに変換し(ステップS302)、RAM12に保存する。続いて、ジョブ制御部22は、ファイル管理部24に対して、ステップS302において保存した画像データを画像ファイルとしてHDD16に保存するように指示する。
【0029】
ファイル管理部24は、HDD制御部26と連携してHDC13を制御し、HDD16に画像ファイルを保存する(ステップS303)。ステップS303においては、HDD制御部26は、さらに、HDD16に対して要求したデータ量を要求データ量として保持する。
【0030】
次に、ジョブ制御部22が、データ入出力部23に画像データの印刷を指示する。データ入出力部23が、ジョブ制御部22の指示に従って、画像制御部14、プリンタ部18を使用し、RAM12に保持された画像データを紙に印刷する(ステップS304)。
【0031】
次に、ジョブ制御部22が、画像ファイルの削除をファイル管理部24に指示する。ファイル管理部24が、ジョブ制御部22の指示に従って、ファイル消去部25に対して、ファイルの消去を指示する。そして、ファイル消去部25が、ファイル管理部24の指示に従って、当該ファイルを消去対象とする(ステップS305)。具体的には、ファイル消去部25は、当該ファイルを消去対象として追加し、例えばHDD16内の未消去データ情報28を更新する。そして、ジョブ履歴管理部27が、ジョブ制御部22の指示に従って、ジョブ終了処理を行う(ステップS306)。すなわち、ジョブ制御部22、ファイル管理部24およびファイル消去部25は、以下の処理を実行する管理手段として機能する。この管理手段は、ジョブの実行が完了した場合に、該ジョブが含む画像データを消去対象とし、該消去対象の画像データに関する情報を未消去データ情報として第1の記憶手段(HDD16の所定の記憶領域)に記憶する。
【0032】
図3(B)は、ジョブ終了処理の一例を示す。ジョブ履歴管理部27が、ジョブ制御部22の指示に従って、ジョブ履歴情報60A(図5(A))に、終了時刻604と実行結果606とを保存する。当該ジョブ履歴情報60は、例えばHDD16内に記憶される。これにより、ジョブ履歴情報が更新される(ステップS401)。すなわち、管理手段として機能するジョブ制御部22は、少なくともジョブの実行が完了した時刻の情報を含む該ジョブの履歴情報を第2の記憶手段(HDD16の所定の記憶領域)に記憶して管理する。ジョブの処理は以上で終了する。図3(A)のステップS305において消去対象とされたファイルの消去は、ジョブの処理とは非同期に実行される。
【0033】
図6は、データ消去処理の一例を説明するフローチャートである。データ消去処理は、所定の間隔で繰り返し実行される。ファイル消去部25は、未消去データ情報28において、未消去ファイルを、未消去ファイルを一意に識別するIDである未消去ファイルIDと対応付けて管理している。まず、ファイル消去部25が、未消去ファイルが存在するかを判断し、未消去ファイルが存在する場合は、未消去ファイルのファイル数分、以下に説明するステップS702、S703の処理を繰り返す(S701,S704)。
【0034】
まず、ファイル消去部25が、消去対象のファイル(画像ファイル)に対して、上書き消去処理を行う(ステップS702)。ファイル消去部25は、例えば、0データ、乱数またはその他の固定値などを、1回ないし複数回、ファイル全体に対して書きこむ。そして、ファイル管理部24上から削除を行う。続いて、ファイル消去部25が、未消去データ情報28から、上書き消去処理が完了した未消去ファイルと、その未消去ファイルに対応する未消去ファイルIDとを消去する(ステップS703)。未消去ファイルがなくなった時点で、ファイル消去部25が、消去完了情報29に、当該未消去ファイルがなくなった時の時刻を消去完了時刻として記録する(ステップS705)。これにより、消去完了時刻が更新される。すなわち、ファイル消去部25は、未消去データ情報が示す消去対象の画像データを上書き消去し、該消去が完了した時刻の情報を含む消去完了情報を第3の記憶手段(例えば、HDD16の所定の記憶領域)に記憶する消去手段として機能する。
【0035】
図7は、ジョブ履歴を表示する処理の一例を説明するフローチャートである。ジョブ履歴管理部27は、図7に示すフローチャートに従って、UI制御部21と連携してジョブ履歴を表示する。
【0036】
まず、ジョブ履歴管理部27が、ジョブ履歴情報60Aのエントリ(ジョブ履歴)を取得する(ステップS801)。続いて、ジョブ履歴管理部27が、ファイル消去部25から消去完了情報29を取得する(ステップS802)。そして、ジョブ履歴管理部27が、表示すべきジョブ履歴の数の分、以下に説明するステップS804およびS805の処理を繰り返す(ステップS803,S806)。
【0037】
まず、ジョブ履歴管理部27が、ジョブ履歴が含む終了時刻604と、消去完了情報29が含む消去完了時刻とを比較し、消去完了時刻が終了時刻604より遅いかを判断する(ステップS804)。ジョブ履歴管理部27が、消去完了時刻が終了時刻604より遅くないと判断した場合は、次のジョブ履歴の処理に進む。
【0038】
ジョブ履歴管理部27が、消去完了時刻が終了時刻604より遅いと判断した場合は、所定の記憶手段に、当該ジョブ履歴が示すジョブに対応付けて、消去完了フラグを登録する。消去完了フラグは、対応するジョブが含むファイルの消去処理が完了したことを示す情報である。そして、ジョブ履歴管理部27が、ジョブ履歴表示画面上にジョブ履歴を表示する(ステップS807)。具体的には、ジョブ履歴管理部27は、消去完了フラグが登録されているジョブについては、当該ジョブが含むファイルの上書き消去処理が完了していることを示す情報をジョブ履歴表示画面上に表示する。また、ジョブ履歴管理部27は、消去完了フラグが登録されていないジョブについては、当該ジョブが含むファイルの上書き消去処理が完了していないことを示す情報をジョブ履歴表示画面上に表示する。
【0039】
上述したことから、ジョブ履歴管理部27は、以下の処理を実行する判断手段として機能する。ジョブ履歴管理部27は、ジョブの履歴情報が含む、ジョブの実行が完了した時刻の情報と、消去完了情報が含む、消去が完了した時刻の情報とに基づいて、上記履歴情報に対応するジョブが含む画像データの上書き消去が完了したか否かをジョブ毎に判断する。具体的には、ジョブ履歴管理部27は、消去が完了した時刻がジョブの実行が完了した時刻より遅いかを判断する。ジョブ履歴管理部27は、消去が完了した時刻がジョブの実行が完了した時刻より遅いと判断した場合に、該ジョブが含む画像データの上書き処理が完了したと判断する。
【0040】
図9(A)は、ジョブ履歴表示画面の例を示す。このジョブ履歴表示画面上には、File3のジョブが完了した直後の時点でのジョブ履歴が表示されている。この例では、File1からFile3までの各々のジョブが含むファイルの消去処理が完了してはじめて消去完了時刻が更新される場合を想定している。「日時」はジョブが完了した時の時刻を示す。「ジョブ名」は、ジョブの名称を示す。「ユーザ名」はユーザの名称を示す。「結果」は、ジョブの実行結果を示す。「消去」は、ジョブが含むファイルの上書き消去処理が完了しているか否かを示す。
【0041】
ジョブが含むファイルの上書き消去処理が完了している場合、「消去」には、「済」が表示される。ジョブが含むファイルの上書き消去処理が完了していない場合、「消去」には、「未」が表示される。この時点では未消去データ情報28に未消去ファイルが存在しており、消去完了時刻が例えば16:02である。実際にはFile2ジョブのデータは消去済みであるが、未消去ファイルがあるため、消去完了時刻が更新されていない。従って、File2のジョブとFile3のジョブについて、ファイルの上書き消去処理が完了していないことが表示される。
【0042】
次に、実施例2について説明する。実施例2では、画像処理装置10が、消去完了情報29ではなく、未消去データ情報28を参照して、ジョブ履歴を表示する。画像処理装置10の構成は、実施例1の画像形成装置と同様である。また、実施例2の画像処理装置の動作処理は、図3(A)を参照して説明した実施例1の画像処理装置の動作処理と同様である。また、実施例2の画像処理装置におけるデータ消去処理は、図6を参照して説明したデータ消去処理と同様である。
【0043】
図4は、実施例2におけるジョブ終了処理を説明するフローチャートである。ジョブ履歴管理部27が、図3(A)のステップS305において消去対象として追加されたファイルの情報(消去ファイル情報)を取得する(ステップS501)。この消去ファイル情報は、消去ファイルIDを含む。消去ファイルIDは、消去対象のファイルを一意に識別する識別情報である。
【0044】
そして、ジョブ履歴管理部27が、消去ファイル情報が含む消去ファイルIDを、終了時刻、実行結果、消去ファイル数と共に、図5(B)に示すジョブ履歴情報60Bに含めて記憶する(ステップS502)。ジョブ履歴情報60Bは、図2に示すジョブ履歴情報60に対応する。すなわち、実施例2では、ジョブの履歴情報が、例えば、ジョブに対応する消去対象の画像データの識別情報を第2の識別情報として含む。
【0045】
図5(B)は、実施例2におけるジョブ履歴情報の一例を示す図である。ジョブ履歴情報60Bが含む情報のうち、ジョブID601乃至結果606は、図5(A)に示すジョブ履歴情報60Aが含むジョブID601乃至結果606と同様である。
【0046】
ジョブ履歴情報60Bは、ジョブID601乃至結果606に加えて、消去ファイル数607、消去ファイルID608、609を備える。消去ファイル数607は、消去対象のファイルすなわち未消去ファイルの数である。すなわち、消去ファイル数607が0になることは、当該ジョブ履歴に対応するジョブが含む全てのファイルの上書き消去処理が完了したことを示す。
【0047】
図8は、実施例2における、ジョブ履歴を表示する処理の一例を説明するフローチャートである。まず、ジョブ履歴管理部27が、ジョブ履歴情報60Bのエントリ(ジョブ履歴)を取得する(ステップS901)。続いて、ジョブ履歴管理部27が、ファイル消去部25から未消去ファイル情報28を取得する(ステップS902)。
【0048】
ジョブ履歴管理部27が、表示すべきジョブ履歴の数の分、以下に説明するステップS904乃至S907の処理を繰り返す(ステップS903,S908)。具体的には、ジョブ履歴管理部27が、ジョブ履歴情報60Bが含む消去ファイル数607分、ステップS905およびS906の処理を繰り返す(ステップS904、S907)。
【0049】
ステップS905において、ジョブ履歴管理部27が、ジョブ履歴が含む消去ファイルIDと、未消去データ情報28が含む未消去ファイルIDとを比較する。そして、ジョブ履歴管理部27が、ジョブ履歴情報60Bが含む消去ファイルIDが、未消去データ情報28が含む未消去ファイルIDと一致するかを判断する(ステップS905)。
【0050】
消去ファイルIDが未消去ファイルIDと一致すると判断した場合は、次の消去ファイルの処理に進む。消去ファイルIDが未消去ファイルIDと一致しないと判断した場合は、ジョブ履歴管理部27が、ジョブ履歴情報60Bから当該消去ファイルIDを削除する(ステップS906)。
【0051】
また、ジョブ履歴管理部27が、消去ファイル数607を1つ減らし、次の消去ファイルの処理に進む。ステップS906において、ジョブ履歴管理部27が消去ファイルIDを消去するのは、以下の理由による。図6のステップS703において、上書き消去が完了した未消去ファイルに対応する未消去ファイルIDは未消去データ情報28から削除されている。従って、消去ファイルIDが未消去ファイルIDと一致しないということは、当該消去ファイルIDに対応するファイルの上書き消去が完了していることを意味するからである。つまり、ジョブ履歴管理部27は、未消去ファイルIDがジョブ履歴が含む全ての消去ファイルIDを含まない場合に、該ジョブ履歴に対応するジョブが含む画像データの上書き消去が完了したと判断する。全ての消去ファイルについて処理が終了すると、ジョブ履歴管理部27が、ジョブ履歴表示画面上にジョブ履歴を表示する(ステップS909)。これにより、ジョブ毎に、ジョブが含むファイルの上書き消去処理が完了しているか、または上書き消去処理が完了していないかが表示される。
【0052】
図9(B)は、実施例2におけるジョブ履歴表示画面の例を示す。このジョブ履歴表示画面上には、File3のジョブが完了した直後の時点でのジョブ履歴が表示されている。この例では、未消去データ情報28に未消去ファイルが存在しているが、File2のジョブが含むファイルが全て上書き消去された状態を想定する。従って、File2のジョブの消去は完了している旨が表示される。
【0053】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【符号の説明】
【0054】
21 UI制御部
22 ジョブ制御部
23 データ入出力部
24 ファイル管理部
25 ファイル消去部
26 HDD制御部
27 ジョブ履歴管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに関するジョブを実行するジョブ実行手段と、
前記ジョブの実行が完了した場合に、該ジョブが含む画像データを消去対象とし、該消去対象の画像データに関する情報を未消去データ情報として第1の記憶手段に記憶するとともに、少なくとも前記ジョブの実行が完了した時刻の情報を含む該ジョブの履歴情報を第2の記憶手段に記憶して管理する管理手段と、
前記第1の記憶手段に記憶した未消去データ情報が示す前記消去対象の画像データを上書き消去し、該消去が完了した時刻の情報を含む消去完了情報を第3の記憶手段に記憶する消去手段と、
前記第2の記憶手段に記憶されているジョブの履歴情報が含む、前記ジョブの実行が完了した時刻の情報と、前記第3の記憶手段に記憶されている前記消去完了情報が含む、前記消去が完了した時刻の情報とに基づいて、前記履歴情報に対応するジョブが含む画像データの上書き消去が完了したか否かをジョブ毎に判断する判断手段と、
前記判断手段によって判断された、前記ジョブが含む画像データの上書き消去が完了したか否かを示す情報を表示する表示手段とを備える
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記判断手段は、前記消去が完了した時刻が前記ジョブの実行が完了した時刻より遅いかを判断し、前記消去が完了した時刻が前記ジョブの実行が完了した時刻より遅いと判断した場合に、該ジョブが含む画像データの上書き処理が完了したと判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記未消去データ情報が、前記消去対象の画像データの識別情報を第1の識別情報として含み、
前記管理手段が前記第2の記憶手段に記憶して管理する前記ジョブの履歴情報が、該ジョブに対応する前記消去対象の画像データの識別情報を第2の識別情報として含み、
前記消去手段は、前記消去対象の画像データを上書き消去した場合に、前記未消去データ情報から、前記上書き消去した画像データに対応する第1の識別情報を削除し、
前記判断手段は、前記未消去データ情報が含む第1の識別情報と前記ジョブの履歴情報が含む該ジョブに対応する第2の識別情報とを比較し、前記第1の識別情報が該ジョブに対応する前記第2の識別情報の全てを含まない場合に、該ジョブが含む画像データの上書き消去が完了したと判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
画像データに関するジョブを実行する工程と、
前記ジョブの実行が完了した場合に、該ジョブが含む画像データを消去対象とし、該消去対象の画像データに関する情報を未消去データ情報として第1の記憶手段に記憶するとともに、少なくとも前記ジョブの実行が完了した時刻の情報を含む該ジョブの履歴情報を第2の記憶手段に記憶して管理する工程と、
前記第1の記憶手段に記憶した未消去データ情報が示す前記消去対象の画像データを上書き消去し、該消去が完了した時刻の情報を含む消去完了情報を第3の記憶手段に記憶する工程と、
前記第2の記憶手段に記憶されているジョブの履歴情報が含む、前記ジョブの実行が完了した時刻の情報と、前記第3の記憶手段に記憶されている前記消去完了情報が含む、前記消去が完了した時刻の情報とに基づいて、前記履歴情報に対応するジョブが含む画像データの上書き消去が完了したか否かをジョブ毎に判断する工程と、
前記判断された、前記ジョブが含む画像データの上書き消去が完了したか否かを示す情報を表示する工程とを有する
ことを特徴とするデータ消去管理方法。
【請求項5】
請求項4に記載のデータ消去管理方法をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−9227(P2013−9227A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141547(P2011−141547)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】