説明

情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法およびプログラム

【課題】処理負荷を増大させることなく、無線通信状態が悪い状態においても、ユーザが所望する情報を提供することができる情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置としての移動端末200は、自身の位置を示す緯度経度の測位情報を取得して、取得された測位情報を含む時系列ログをサーバ300に送信する測位部202と、サーバ300による時系列ログに基づく学習処理により得られた、ユーザの活動状態を表す活動モデルを受信する行動認識部204および行動予測部206とを備え、行動認識部204は、測位部202により取得された測位情報と、受信した活動モデルとを用いて、ユーザの現在の活動状態を認識し、行動予測部206は、行動認識部204により認識されたユーザの現在の活動状態から、ユーザの行動を予測する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、GPS(Global Positioning System)や携帯電話網のアンテナなどを利用して、PCや携帯電話などの情報処理装置において位置情報が検出できるようになり、この位置検出機能を利用して多様なサービスが実現されてきている。
【0003】
例えば、携帯電話においても、GPSユニットが搭載されるようになり、カーナビゲーションシステムのような誘導だけでなく、目的地に関する様々な情報や、イベント情報、クーポンの取得などを提供されるようになってきている。
【0004】
このような携帯電話では、各エリアをユーザが指定して、ユーザのエリア指定に基づいて周辺情報を検索することで、このような情報を得ることが多いのが現状である。
【0005】
例えば、特許文献1では、カーナビゲーションシステムや携帯電話、PDA等の位置情報のセンシングが可能な情報機器を用いて、ユーザの移動履歴を蓄積し、この移動履歴から移動先を予測し、予測した移動先に関連する情報をネットワーク等を利用して取得する技術が提案されている。また、例えば、特許文献2では、位置情報が検出可能なカーナビゲーションシステムやPDA等の情報機器を用いて、ユーザに情報を提供するための技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−315885号公報
【特許文献2】特開2008−204040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1や特許文献2の技術では、いずれも、移動履歴を蓄積して、移動先あるいは移動経路を予測するときに、蓄積した過去の移動履歴のすべてを用いている。このため、携帯電話などの情報処理装置において、過去の移動履歴のすべてを用いて予測を行うと、処理負荷が増大するという問題がある。また、処理負荷が増大することにより、情報処理装置の電池の持ちが悪くなるという問題もある。さらに、過去の移動履歴のすべてを用いて予測を行うと、メモリの占有量が大きくなるため、予測の最中にブラウザの閲覧を行う、または動画を視聴する場合に、それらの処理が制限を受けてしまうという問題がある。
【0008】
このように、電池の持ちが悪くなり、他の処理が制限されるというのは情報処理装置の機能を著しく損なうという問題がある。
【0009】
一方、予測処理をサーバ側で行わせるということが考えられるが、その場合、情報処理装置およびサーバの間での無線通信状態が悪くなり、情報処理装置が通信不能エリアに入った場合には、予測が不可能となってしまうという問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、処理負荷を増大させることなく、無線通信状態が悪い状態においても、ユーザが所望する情報を提供することが可能な、新規かつ改良された情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、自身の位置を示す緯度経度の測位情報を取得する測位部と、前記測位部により取得された前記測位情報を含む時系列ログをサーバに送信する送信部と、前記サーバによる前記時系列ログに基づく学習処理により得られた、ユーザの活動状態を表す活動モデルを受信する受信部と、前記測位部により取得された前記測位情報と、前記受信部が受信した前記活動モデルとを用いて、前記ユーザの現在の活動状態を認識する認識部と、前記認識部により認識された前記ユーザの現在の活動状態から、前記ユーザの行動を予測する予測部とを備える情報処理装置が提供される。
【0012】
前記時系列ログは、前記情報処理装置と前記サーバとの間の無線通信状態情報を含んでもよい。
【0013】
前記送信部は、前記受信部が以前に受信した前記活動モデルを用いて、前記情報処理装置と前記サーバとの間で無線通信可能であるときに、最新の前記時系列ログを前記サーバに送信してもよい。
前記受信部は、当該受信部が以前に受信した前記活動モデルを用いて、前記情報処理装置と前記サーバとの間で無線通信可能であるときに、最新の前記活動モデルを受信してもよい。
【0014】
前記時系列ログは、前記情報処理装置の前記ユーザの操作情報を含んでもよい。
【0015】
前記サーバによる前記活動モデルを用いて収集された、前記ユーザの活動状態に基づく前記ユーザが所望する情報を受信する情報受信部と、前記測位部により取得された前記測位情報と、前記情報受信部が受信した前記ユーザが所望する情報とを用いて、前記情報受信部が受信した前記ユーザが所望する情報のうちから前記ユーザに提供する情報を決定する情報決定部とをさらに備えてもよい。
前記情報決定部は、さらに、前記予測部による予測結果を用いて、前記情報受信部が受信した前記ユーザが所望する情報のうちから前記ユーザの目的地にいたる経路上あるいは目的地に関する情報を前記ユーザに提供する情報として決定してもよい。
【0016】
前記時系列ログは、前記情報処理装置と前記サーバとの間の無線通信状態情報を含み、前記情報受信部は、前記受信部が以前に受信した前記活動モデルを用いて、前記情報処理装置と前記サーバとの間で無線通信可能であるときに、最新の前記ユーザが所望する情報を受信してもよい。
【0017】
前記受信部が受信した前記活動モデルを用いて、前記情報処理装置と前記サーバとの間で無線通信可能であるときに前記ユーザが所望する情報を取得するように、通信スケジュールを設定する設定部をさらに備えてもよい。
【0018】
前記受信部は、前記サーバによる他の情報処理装置の測位部により取得された測位情報を含む時系列ログに基づく学習処理により得られた、ユーザの活動状態を表す活動モデルを受信してもよい。
【0019】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、情報処理装置と、サーバとを備え、前記情報処理装置は、自身の位置を示す緯度経度の測位情報を取得する測位部と、前記測位部により取得された前記測位情報を含む時系列ログを前記サーバに送信する送信部と、前記サーバによる前記時系列ログに基づく学習処理により得られた、ユーザの活動状態を表す活動モデルを受信する受信部と、前記測位部により取得された前記測位情報と、前記受信部が受信した前記活動モデルとを用いて、前記ユーザの現在の活動状態を認識する認識部と、前記認識部により認識された前記ユーザの現在の活動状態から、前記ユーザの行動を予測する予測部と、を備え、前記サーバは、前記送信部により送信された前記時系列ログを受信するサーバ側受信部と、前記サーバ側受信部が受信した前記時系列ログに基づいて、前記情報処理装置を携行するユーザの活動状態を、活動モデルとして学習する学習部と、前記学習部により得られた活動モデルを前記情報処理装置に送信するサーバ側送信部とを備える情報処理システムが提供される。
【0020】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、情報処理装置において、自身の位置を示す緯度経度の測位情報を取得する測位ステップと、前記情報処理装置において、前記測位ステップで取得された前記測位情報を含む時系列ログをサーバに送信する送信ステップと、前記サーバにおいて、前記送信ステップで送信された前記時系列ログを受信するサーバ側受信ステップと、前記サーバにおいて、サーバ側受信ステップで受信した前記時系列ログに基づいて、前記情報処理装置を携行するユーザの活動状態を、活動モデルとして学習する学習ステップと、前記サーバにおいて、前記学習ステップで得られた活動モデルを前記情報処理装置に送信するサーバ側送信ステップと、前記情報処理装置において、前記サーバ側送信ステップで送信された前記活動モデルを受信する受信ステップと、前記情報処理装置において、前記測位ステップで取得された前記測位情報と、前記受信ステップで受信した前記活動モデルとを用いて、前記ユーザの現在の活動状態を認識する認識ステップと、前記情報処理装置において、前記認識ステップで認識された前記ユーザの現在の活動状態から、前記ユーザの行動を予測する予測ステップとを有する情報処理方法が提供される。
【0021】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、自身の位置を示す緯度経度の測位情報を取得する測位部と、前記測位部により取得された前記測位情報を含む時系列ログをサーバに送信する送信部と、前記サーバによる前記時系列ログに基づく学習処理により得られた、ユーザの活動状態を表す活動モデルを受信する受信部と、前記測位部により取得された前記測位情報と、前記受信部が受信した前記活動モデルとを用いて、前記ユーザの現在の活動状態を認識する認識部と、前記認識部により認識された前記ユーザの現在の活動状態から、前記ユーザの行動を予測する予測部と、として機能させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明によれば、処理負荷を増大させることなく、無線通信の回線状態が悪い状態においても、ユーザが所望する情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る行動予測システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】行動予測システムのハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図1の行動予測システムが実行する行動予測処理のシーケンス図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る行動予測システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【図5】行動予測システムが1つの移動端末と1つのサーバとで構成される場合における、図4の行動予測システムが実行する行動予測処理のシーケンス図である。
【図6】行動予測システムが1つの移動端末と1つのサーバとで構成される場合における、図4の行動予測システムが実行する行動予測処理のシーケンス図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る行動予測システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【図8】行動予測システムが1つの移動端末と1つのサーバとで構成される場合における、図7の行動予測システムが実行する行動予測処理のシーケンス図である。
【図9】行動予測システムが1つの移動端末と1つのサーバとで構成される場合における、図7の行動予測システムが実行する行動予測処理のシーケンス図である。
【図10】時系列ログの一例を説明するための説明図である。
【図11】時系列ログの他の一例を説明するための説明図である。
【図12】時系列ログのさらに他の一例を説明するための説明図である。
【図13】ステップS118で予測された目的地の予測位置情報、到達の予測時刻情報および目的地ごとの到達確率情報の一例を説明するための説明図である。
【図14】表示部に表示させる画面の一例を説明するための説明図である。
【図15】移動端末の表示部に表示させる画面の一例を説明するための説明図である。
【図16】移動端末の表示部に表示されるユーザに提供する情報の表示の一例を説明するための説明図である。
【図17】移動端末の表示部に表示されるコンテンツを説明するための説明図である。
【図18】移動端末の表示部に表示されるコンテンツを説明するための説明図である。
【図19】上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0025】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.行動予測システム(第1の実施の形態)
2.行動予測システム(第2の実施の形態)
2−1.行動予測システムが1つの移動端末と1つのサーバとで構成される場合
2−2.行動予測システムが2つの移動端末と1つのサーバとで構成される場合
3.行動予測システム(第3の実施の形態)
3−1.行動予測システムが1つの移動端末と1つのサーバとで構成される場合
3−2.行動予測システムが2つの移動端末と1つのサーバとで構成される場合
【0026】
[1.行動予測システム(第1の実施の形態)]
まず、本発明の第1の実施の形態に係る行動予測システムについて説明する。図1は、本実施の形態に係る行動予測システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【0027】
図1において、行動予測システム100は、測位部202、時系列ログ記憶部302、行動学習部304、行動認識部204、行動予測部206、目的地予測部208、操作部210および表示部212により構成される。
【0028】
行動予測システム100は、GPSセンサなどの測位部202により取得される現在地を示す測位情報を含む時系列ログから、ユーザの活動状態(行動・活動パターンを表した状態)を確率的状態遷移モデルとして学習する学習処理を行う。また、行動予測システム100は、学習処理により得られたパラメータで表される確率的状態遷移モデル(ユーザ活動モデル)を用いて、ユーザの目的地を予測する予測処理も行う。予測処理では、目的地は1つだけでなく、複数の目的地が予測されることもある。行動予測システム100は、予測した目的地について到達確率、経路および到達時間を算出してユーザに掲示する。
【0029】
図1において、点線の矢印は、学習処理におけるデータの流れを示しており、実線の矢印は、予測処理におけるデータの流れを示している。
【0030】
測位部202は、本発明の測位部、送信部の一例であり、自身の位置を示す緯度経度の測位情報を、一定時間間隔(たとえば、15秒間隔)で順次取得する。なお、測位部202が測位情報を一定間隔に取得することができない場合もある。例えば、トンネルや地下にいる場合などには、人工衛星を捕捉することができず、取得間隔が長くなることもある。このような場合には、補間処理を行うことなどにより、測位情報を補うことができる。
【0031】
測位部202は、学習処理においては、取得され緯度経度の測位情報をログに含んで、当該ログを時系列ログ記憶部302に供給する。また、測位部202は、予測処理においては、取得される測位情報を行動認識部204に供給する。また、本実施の形態では、時系列ログ記憶部302に供給されるログは、ユーザによる操作部210を介した操作情報や後述する移動端末200とサーバ300との間の無線通信状態情報を含む。
【0032】
時系列ログ記憶部302は、測位部202により連続して取得された測位情報や、ユーザの操作情報、無線通信状態情報を含むログ、すなわち、時系列ログを記憶する。ユーザの行動・活動パターンを学習するので、例えば、数日分程度など、ある程度の期間について蓄積された時系列ログが必要である。
【0033】
行動学習部304は、時系列ログ記憶部302に記憶されている時系列ログに基づいて、測位部202が組み込まれた機器を携行するユーザの活動状態を、確率的状態遷移モデルとして学習する。行動学習部304は、過去の一定期間のログを使用することができる。また、行動学習部304が学習に用いるログは、日ごとに忘却係数をかけて重み付けされることができる。時系列ログに含まれる時系列の測位情報はユーザの位置を示すデータであり、ユーザの操作情報はユーザの操作を示すデータであり、無線通信状態情報は無線回線の状態を示すデータであるので、確率的状態遷移モデルとして学習されるユーザの活動状態は、ユーザの移動経路、ユーザの移動経路上におけるユーザの操作およびユーザの移動経路上における無線回線の状態を表す状態となる。学習方法については、本出願人が出願した、例えば特願2009−208064明細書に記載されている技術を用いることができるので、ここでは詳細な説明は省略する。学習に使用される確率的状態遷移モデルとしては、例えば、エルゴディックHMM(Hidden Markov Model)、RNN(Recurrent Neural Network)、FNN(Feed Forward Neural Network)、SVR(Support Vector Regression)、RNNPB(Recurrent Neural Net with Parametric Bias)などの、隠れ状態を含む確率的状態遷移モデルを採用することができる。本実施の形態では、確率的状態遷移モデルとして、エルゴディックHMMにスパース制約を与えたものを採用する。なお、スパース制約を与えたエルゴディックHMM、エルゴディックHMMのパラメータの算出方法等については、上述した特願2009−208064明細書に記載されているため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0034】
行動学習部304は、学習結果を示すデータを表示部212に供給し、表示させる。また、行動学習部304は、学習処理により得られた確率的状態遷移モデルのパラメータを行動認識部204および行動予測部206に供給する。
【0035】
行動認識部204は、本発明の受信部、認識部の一例であり、学習により得られたパラメータの確率的状態遷移モデルを用いて、測位部202からリアルタイムに供給される測位情報から、ユーザの現在の活動状態、すなわち、ユーザの現在地を認識する。行動認識部204は、ユーザの現在の状態ノードのノード番号を行動予測部206に供給する。
【0036】
行動予測部206は、本発明の受信部、予測部の一例であり、学習により得られたパラメータの確率的状態遷移モデルを用いて、行動認識部204から供給される状態ノードのノード番号が示すユーザの現在地から、ユーザが取りうる経路を過不足なく探索(予測)する。また、行動予測部206は、探索された経路ごとの生起確率を計算することにより、探索された経路が選択される確率である選択確率を予測する。本実施の形態では、行動認識部204および行動予測部206は、例えば、最尤推定アルゴリズム、ビタビアルゴリズム、またはBPTT(Back−Propagation Through Time)法を用いる。
【0037】
目的地予測部208には、行動予測部206から、ユーザが取りうる経路と、その選択確率が供給される。また、目的地予測部208には、操作部210から、ユーザにより目的地を示す情報が供給されてもよい。
【0038】
目的地予測部208は、学習により得られたパラメータの確率的状態遷移モデルを用いて、ユーザの目的地を予測する。
【0039】
具体的には、目的地予測部208は、最初に、目的地候補を列挙する。目的地予測部208は、認識されるユーザの行動状態が滞在状態となる場所を目的地候補とする。
【0040】
そして、目的地予測部208は、列挙した目的地候補のうち、行動予測部206により探索された経路上にある目的地候補を目的地に決定する。
【0041】
次に、目的地予測部208は、決定した目的地ごとの到達確率を算出する。
【0042】
目的地が多数検出された場合には、そのすべてについて表示部212に表示すると見づらくなり、行く可能性の少ない目的地まで表示することもあり得る。したがって、本実施の形態では、探索された経路を絞り込んだのと同様に、目的地についても、到達確率の高い所定個数の目的地や、到達確率が所定値以上の目的地のみを表示するように、表示対象の目的地を絞り込むことができる。なお、目的地と経路の表示個数は異なっていても構わない。
【0043】
表示対象の目的地が決定された場合、目的地予測部208は、目的地までの経路の到達時間を計算し、表示部212に表示させる。
【0044】
なお、目的地までの経路が多数存在する場合には、目的地予測部208は、選択確率に基づいて目的地への経路を所定個数に絞り込んだ上で、表示経路の到達時間のみを計算することができる。
【0045】
また、目的地までの経路が多数存在する場合、選択される可能性の高い順で表示経路を決定する以外に、到達時間の短い順や、目的地までの距離の短い順に、表示経路を決定することも可能である。到達時間の短い順に表示経路を決定する場合には、例えば、目的地予測部208は、最初に、目的地までの経路の全てについて到達時間を計算し、計算された到達時間に基づいて、表示経路を決定する。目的地までの距離の短い順に表示経路を決定する場合には、例えば、目的地予測部208は、最初に、目的地までの経路の全てについて、状態ノードに対応する緯度経度の情報に基づいて目的地までの距離を計算し、計算された距離に基づいて、表示経路を決定する。
【0046】
操作部210は、ユーザが入力した情報を受け付け、目的地予測部208に供給する。表示部212は、行動学習部304または目的地予測部208から供給される情報を表示する。
【0047】
以上のように構成される行動予測システム100は、例えば、図2に示されるハードウエア構成を採用することができる。すなわち、図2は、行動予測システム100のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
【0048】
図2において、行動予測システム100は、移動端末200とサーバ300とにより構成されている。また、行動予測システム100は、2台の移動端末200,250とサーバ300とにより構成されてもよい。すなわち、図2の図中では行動予測システム100が2台の移動端末200,250とサーバ300とで構成されているが、行動予測システム100は1台の移動端末200とサーバ300とで構成されてもよく、行動予測システム100は2台の移動端末200,250とサーバ300とで構成されてもよい。移動端末200,250は、同一機能を有する移動端末であってもよく、後述するように異なる機能を有する移動端末であってもよい。また、移動端末200,250のうちのどちらか一方は固定端末であってもよい。
【0049】
移動端末200,250は、無線通信およびインターネット等のネットワークを介した通信により、サーバ300とデータの授受を行うことができる。サーバ300は、移動端末200,250から送信されてくるデータを受信し、受信したデータに対し所定の処理を行う。そして、サーバ300は、データ処理の処理結果を無線通信等によりモバイル端末200,250に送信する。
【0050】
従って、移動端末200,250とサーバ300は、無線または有線による通信を行う通信部を少なくとも有する。
【0051】
さらに、移動端末200が、図1における測位部202、行動認識部204、行動予測部206、目的地予測部208、操作部210および表示部を備え、サーバ300が、図1における時系列ログ記憶部302および行動学習部304を備える構成を採用することができる。
【0052】
この構成が採用される場合、学習処理において、移動端末200が、測位部202により取得された測位情報や、ユーザの操作情報、無線通信状態情報を含む時系列ログを送信する。また、移動端末200は、上記時系列ログをサーバ300に送信する前に一時的に移動端末200内の記憶部(図示しない)に記憶してもよい。サーバ300は、受信した学習用の時系列ログに基づき、ユーザの活動状態を確率的状態遷移モデルにより学習し、学習により得られたパラメータを移動端末200に送信する。そして、予測処理において、移動端末200が、測位部202によりリアルタイムに取得される測位情報を、サーバ300から受信したパラメータを用いて、ユーザの現在地を認識し、さらに、目的地までの経路および時間を演算する。そして、移動端末200は、演算結果としての目的地までの経路および時間を表示部212に表示する。
【0053】
以上のような移動端末200とサーバ300との間の役割分担は、それぞれの情報処理装置としての処理能力や通信環境に応じて決定することができる。
【0054】
学習処理は、処理に要する1回あたりの時間は非常に長いが、それほど頻繁に処理する必要はない。従って、サーバ300に、一日に一回程度蓄積された時系列ログに基づいて学習処理(パラメータの更新)を行わせるようにすることができる。また、サーバ300は、学習処理を行う前の蓄積されたログの修正を行う機能を有していてもよい。この場合、蓄積されたログの順序を正しい順序にすることや、重複されて蓄積されたログの除去を行うことができる。
【0055】
一方、予測処理は、時々刻々とリアルタイムに更新される測位情報に対応させて迅速に処理し、表示することが望ましいので、移動端末200で処理を行う。
【0056】
次に、図1の行動予測システム100が実行する行動予測処理について説明する。図3は、図1の行動予測システム100が実行する行動予測処理のシーケンス図である。
【0057】
図3において、まず、移動端末200は、測位部202からの測位情報、ユーザによる操作部210を介した操作情報、および移動端末200とサーバ300との間の無線通信状態情報を取得する(ステップS102)。
【0058】
次いで、移動端末200は、ステップS102で取得した測位情報、操作情報および無線通信状態情報を含んだログ、若しくはそのログをある程度時系列で蓄積した時系列ログをサーバ300に送信する(ステップS104)。図10は、時系列ログの一例を説明するための説明図であり、ログは時刻情報、経度情報、緯度情報およびGPS精度情報で構成されている。また、図11は、時系列ログの他の一例を説明するための説明図であり、ログは時刻情報、経度情報、緯度情報、GPS精度情報および操作情報で構成されている。また、図12は、時系列ログのさらに他の一例を説明するための説明図であり、ログは時刻情報、経度情報、緯度情報、GPS精度情報および操作情報で構成される場合と、時刻情報および操作情報で構成される場合とがある。ログが時刻情報および操作情報で構成される場合は、前後のログを用いて補間処理を行うなどにより、経度情報および緯度情報を補うことができる。
【0059】
次いで、サーバ300の時系列ログ記憶部302は、ステップS104で移動端末200から送信されたログ、若しくは時系列ログを記憶する(ステップS106)。
【0060】
次いで、サーバ300の行動学習部304は、時系列ログ記憶部302に記憶されている時系列ログに基づいて、測位部202が組み込まれた移動端末200を携行するユーザの活動状態を、確率的状態遷移モデルとして学習する(ステップS108)。
【0061】
次いで、サーバ300の行動学習部304は、学習処理により得られた確率的状態遷移モデルのパラメータを移動端末200に送信する(ステップS110)。
【0062】
次いで、移動端末200は、ステップS110で受信したパラメータの確率的状態遷移モデルを記憶する(ステップS112)。
【0063】
次いで、移動端末200の行動認識部204は、測位部202からの測位情報を取得する(ステップS114)。
【0064】
次いで、移動端末200の行動認識部204は、学習により得られたパラメータの確率的状態遷移モデルを用いて、測位部202から取得した測位情報から、ユーザの現在の活動状態、すなわち、ユーザの現在地を認識する(ステップS116)。行動認識部204は、ユーザの現在の状態ノードのノード番号を行動予測部206に供給する。
【0065】
次いで、移動端末200の行動予測部206は、学習により得られたパラメータの確率的状態遷移モデルを用いて、行動認識部204から供給される状態ノードのノード番号が示すユーザの現在地から、ユーザが取りうる経路を過不足なく探索(予測)する(ステップS118)。また、行動予測部206は、探索された経路ごとの生起確率を計算することにより、探索された経路が選択される確率である選択確率を予測する。そして、目的地予測部208には、行動予測部206から、ユーザが取りうる経路と、その選択確率が供給されて、目的地予測部208は、学習により得られたパラメータの確率的状態遷移モデルを用いて、ユーザの目的地を予測する。具体的には、目的地予測部208は、最初に、目的地候補を列挙する。目的地予測部208は、認識されるユーザの行動状態が滞在状態となる場所を目的地候補とする。そして、目的地予測部208は、列挙した目的地候補のうち、行動予測部206により探索された経路上にある目的地候補を目的地に決定する。さらに、目的地予測部208は、決定した目的地ごとの到達確率を算出する。そして、表示対象の目的地が決定された場合、目的地予測部208は、目的地までの経路の到達時間を計算し、表示部212に表示させて、本処理を終了する。図13は、ステップS118で予測された目的地の予測位置情報、到達の予測時刻情報および目的地ごとの到達確率情報の一例を説明するための説明図である。また、図14は、表示部212に表示させる画面の一例を説明するための説明図であり、星型の印が図13における現在の位置を示し、三角型の印が図13における駅1の位置を示し、菱型の印が図13における駅2の位置を示し、丸型の印が図13における会社の位置を示している。図15は、移動端末200の表示部212に表示させる画面の一例を説明するための説明図である。
【0066】
図3の行動予測処理によれば、移動端末200がサーバ300での学習処理により得られた確率的状態遷移モデルのパラメータを記憶して、記憶したパラメータの確率的状態遷移モデルを用いて予測処理を行うため、過去の移動履歴のすべてを用いて予測処理を行う場合と比較して、移動端末200の処理負荷を軽減させることができる。また、移動端末200は無線通信状態が良好なときに、サーバ300から確率的状態遷移モデルのパラメータを受信して記憶することにより、無線通信状態が悪い状態においても、予測処理を行うことができる。
【0067】
また、本実施の形態によれば、移動端末200が以前に受信したパラメータの確率的状態遷移モデルを用いて、移動端末200とサーバ300との間で無線通信可能であるときに、測位部202は最新の時系列ログをサーバ300に送信するようにしてもよい。また、移動端末200が以前に受信したパラメータの確率的状態遷移モデルを用いて、移動端末200とサーバ300との間で無線通信可能であるときに、行動認識部204および行動予測部206はサーバ300から最新の確率的状態遷移モデルのパラメータを受信するようにしてもよい。これらの場合、無線通信状態が悪い状態においても、予測処理を行うことができる。
本実施の形態によれば、例えば、移動端末200は、ユーザの行動を予測して、ユーザの行先に無線通信状態が悪い、すなわちオフラインのエリアがあれば、そこにユーザが到達する前に、時系列ログの送信や、確率的状態遷移モデルの受信を行うことにより、オフラインのエリアにおいても、無線通信状態が良い、すなわちオンラインのエリアでの処理と同様の処理を行うことができる。
【0068】
[2.行動予測システム(第2の実施の形態)]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る行動予測システムについて説明する。図4は、本実施の形態に係る行動予測システムの構成を概略的に示すブロック図である。本実施の形態における行動予測システムは、情報提供部214および情報収集部306を備える点が、上述した第1の実施の形態と異なるのみであるので、重複した構成、作用については説明を省略し、以下に異なる構成、作用についての説明を行う。
【0069】
図4において、行動予測システム120は、測位部202、時系列ログ記憶部302、行動学習部304、情報収集部306、行動認識部204、行動予測部206、目的地予測部208、操作部210、表示部212および情報提供部214により構成される。
【0070】
情報収集部306は、行動学習部304による学習により得られたパラメータの確率的状態遷移モデルを用いて、ユーザの活動状態に基づいてユーザが所望する情報をインターネットなどを介して収集する。例えば、情報収集部306は、ユーザの活動状態におけるユーザの移動経路の緯度経度の情報と、例えばお店の緯度経度の情報とに基づいて、お店の情報を収集する。そして、情報収集部306は、収集したユーザが所望する情報を情報提供部214に送信する。
なお、ユーザが所望する情報としては、例えば、移動経路中の駅の時刻表情報や電車運行情報、移動経路中の店舗売り出し情報や店舗のクーポン券情報などが挙げられる。
【0071】
情報提供部214は、本発明の情報受信部、情報決定部の一例であり、情報収集部306から送信されたユーザが所望する情報を記憶して、行動認識部204により認識されたユーザの現在地の情報や、行動予測部206、目的地予測部208の出力情報に基づいて、ユーザに提供する情報を決定して、決定した情報を表示部212に表示させる。すなわち、情報提供部214は、ユーザの現在地に基づいて行動認識し、その後の行動予測・目的地予測の結果、目的地にいたる経路上あるいは目的地に関する情報を提供する。また、情報提供部214には、操作部210から、ユーザによりユーザが所望する情報を示す情報が供給されてもよい。
【0072】
[2−1.行動予測システムが1つの移動端末と1つのサーバとで構成される場合]
次に、行動予測システム120が1つの移動端末と1つのサーバとで構成される場合における、図4の行動予測システム120が実行する行動予測処理について説明する。図5は、行動予測システム120が1つの移動端末と1つのサーバとで構成される場合における、図4の行動予測システム120が実行する行動予測処理のシーケンス図である。
【0073】
図5において、まず、移動端末220は、測位部202からの測位情報、ユーザによる操作部210を介した操作情報、および移動端末220とサーバ320との間の無線通信状態情報を取得する(ステップS202)。
【0074】
次いで、移動端末220は、ステップS202で取得した測位情報、操作情報および無線通信状態情報を含んだログ、若しくはそのログをある程度時系列で蓄積した時系列ログをサーバ320に送信する(ステップS204)。
【0075】
次いで、サーバ320の時系列ログ記憶部302は、ステップS204で移動端末220から送信されたログ、若しくは時系列ログを記憶する(ステップS206)。
【0076】
次いで、サーバ320の行動学習部304は、時系列ログ記憶部302に記憶されている時系列ログに基づいて、測位部202が組み込まれた移動端末220を携行するユーザの活動状態を、確率的状態遷移モデルとして学習する(ステップS208)。
【0077】
次いで、サーバ320の行動学習部304は、学習処理により得られた確率的状態遷移モデルのパラメータを移動端末220に送信する(ステップS210)。
【0078】
次いで、移動端末220は、ステップS210で受信したパラメータの確率的状態遷移モデルを記憶する(ステップS212)。
【0079】
一方、サーバ320は、学習処理により得られたパラメータの確率的状態遷移モデルを用いて、ユーザの活動状態に基づいてユーザが所望する情報をインターネットなどを介して収集する(ステップS214)。
【0080】
次いで、サーバ320は、ステップS214で収集したユーザが所望する情報を移動端末220に送信する(ステップS216)。
【0081】
次いで、移動端末220は、ステップS216で受信したユーザが所望する情報を記憶する(ステップS218)。
【0082】
次いで、移動端末220の行動認識部204は、測位部202からの測位情報を取得する(ステップS220)。
【0083】
次いで、移動端末220の行動認識部204は、学習により得られたパラメータの確率的状態遷移モデルを用いて、測位部202から取得した測位情報から、ユーザの現在の活動状態、すなわち、ユーザの現在地を認識する(ステップS222)。行動認識部204は、ユーザの現在の状態ノードのノード番号を行動予測部206に供給する。
【0084】
次いで、移動端末220の行動予測部206は、学習により得られたパラメータの確率的状態遷移モデルを用いて、行動認識部204から供給される状態ノードのノード番号が示すユーザの現在地から、ユーザが取りうる経路を過不足なく探索(予測)する(ステップS224)。また、行動予測部206は、探索された経路ごとの生起確率を計算することにより、探索された経路が選択される確率である選択確率を予測する。そして、目的地予測部208には、行動予測部206から、ユーザが取りうる経路と、その選択確率が供給されて、目的地予測部208は、学習により得られたパラメータの確率的状態遷移モデルを用いて、ユーザの目的地を予測する。具体的には、目的地予測部208は、最初に、目的地候補を列挙する。目的地予測部208は、認識されるユーザの行動状態が滞在状態となる場所を目的地候補とする。そして、目的地予測部208は、列挙した目的地候補のうち、行動予測部206により探索された経路上にある目的地候補を目的地に決定する。さらに、目的地予測部208は、決定した目的地ごとの到達確率を算出する。そして、表示対象の目的地が決定された場合、目的地予測部208は、目的地までの経路の到達時間を計算し、表示部212に表示させる。
【0085】
次いで、移動端末220の情報提供部214は、ステップS222で認識されたユーザの現在地の情報に基づいて、ステップS218で記憶したユーザが所望する情報のうちからユーザに提供する情報を決定して、決定した情報を表示部212に表示させて(ステップS226)、本処理を終了する。図16は、移動端末220の表示部212に表示されるユーザに提供する情報の表示の一例を説明するための説明図である。図16において、コンテンツ1はユーザが所望する確率の高い情報であって、ユーザが表示部212のコンテンツ1の領域をタップすると即座に起動するようにすることができる。なお、コンテンツ1などのユーザが所望する確率の高い情報は、ある条件を満たした際には自動的に起動するようにしてもよい。また、図16において、コンテンツ2,3はコンテンツ1よりもユーザが所望する確率の低い情報であって、ユーザが表示部212のコンテンツ2,3の領域をタップするとコンテンツのリストが表示されるようにすることができる。また、図17に示すように、移動端末220の表示部212に表示されるコンテンツ1やコンテンツ2は、事前にインターネット上のサーバ320のコンテンツ、サーバ340上の自分のコンテンツ、または他の移動端末270内のコンテンツと同期済みであるようにするのがよい。また、図18に示すように、移動端末220の表示部212において、予測処理の結果画面に重畳してコンテンツ1の表示を行ってもよい。
【0086】
図5の行動予測処理によれば、移動端末220がサーバ320での学習処理により得られた確率的状態遷移モデルのパラメータを記憶して、記憶したパラメータの確率的状態遷移モデルを用いて予測処理を行うため、過去の移動履歴のすべてを用いて予測処理を行う場合と比較して、移動端末220の処理負荷を軽減させることができる。また、移動端末220は無線通信状態が良好なときに、サーバ320から確率的状態遷移モデルのパラメータを受信して記憶することにより、無線通信状態が悪い状態においても、予測処理を行うことができる。また、サーバ320がユーザが所望する情報を収集して、収集したユーザが所望する情報を移動端末220に送信し、移動端末220はサーバ320から受信したユーザが所望する情報のうちからユーザに提供する情報を決定するので、移動端末220がユーザが所望する情報の収集を行う必要をなくすことができ、移動端末220の処理負荷をさらに軽減することができる。
【0087】
また、本実施の形態によれば、移動端末220が以前に受信したパラメータの確率的状態遷移モデルを用いて、移動端末220とサーバ320との間で無線通信可能であるときに、移動端末220は最新のユーザが所望する情報を受信するようにしてもよい。この場合、無線通信状態が悪い状態においても、最新のユーザが所望する情報を提供することができる。
また、本実施の形態では、サーバ320がユーザが所望する情報をインターネットなどを介して収集したが、サーバ320は当該ユーザが所望する情報のインターネット上の場所を示すURL情報のみを移動端末220に送信して、移動端末220が当該URL情報に基づいて最新のユーザが所望する情報をインターネットなどを介して取得できるようにしてもよい。すなわち、情報提供部214には、当該URL情報のみを記憶しており、移動端末220は行動予測して情報提供した時点で、最新のコンテンツをURL情報よりダウンロードしてもよい。また、情報提供部214は、自動的にインターネットから同じURL情報であるが最新の情報が記述されている情報(運行情報やニュースなど)を取得してもよい。あるいは情報提供部214にユーザが操作部210の作用による情報をインターネットから取得してもよい。さらには、最適なダウンロード時刻・場所の通信スケジュールの設定をしてもよい。
本実施の形態によれば、例えば、移動端末200は、ユーザの行動を予測して、ユーザの行先に無線通信状態が悪い、すなわちオフラインのエリアがあれば、そこにユーザが到達する前に、時系列ログの送信や、確率的状態遷移モデルの受信、ユーザが所望する情報の受信を行うことにより、オフラインのエリアにおいても、無線通信状態が良い、すなわちオンラインのエリアでの処理と同様の処理を行うことができる。
【0088】
[2−2.行動予測システムが2つの移動端末と1つのサーバとで構成される場合]
次に、行動予測システム120が2つの移動端末と1つのサーバとで構成される場合における、図4の行動予測システム120が実行する行動予測処理について説明する。図6は、行動予測システム120が1つの移動端末と1つのサーバとで構成される場合における、図4の行動予測システム120が実行する行動予測処理のシーケンス図である。本実施の形態は、例えば、移動端末270と比較して移動端末220の測位精度が高い場合に実行される処理である。また、移動端末270が情報提供の機能を有する場合において実行される処理である。また、移動端末270は測位機能を有することなく、例えば移動端末220から測位情報を取得して予測処理などを行ってもよい。
【0089】
図6において、まず、移動端末220は、測位部202からの測位情報、ユーザによる操作部210を介した操作情報、および移動端末220とサーバ320との間の無線通信状態情報を取得する(ステップS302)。
【0090】
次いで、移動端末220は、ステップS302で取得した測位情報、操作情報および無線通信状態情報を含んだログ、若しくはそのログをある程度時系列で蓄積した時系列ログをサーバ320に送信する(ステップS304)。
【0091】
次いで、サーバ320の時系列ログ記憶部302は、ステップS304で移動端末220から送信されたログ、若しくは時系列ログを記憶する(ステップS306)。
【0092】
次いで、サーバ320の行動学習部304は、時系列ログ記憶部302に記憶されている時系列ログに基づいて、測位部202が組み込まれた移動端末220を携行するユーザの活動状態を、確率的状態遷移モデルとして学習する(ステップS308)。
【0093】
次いで、サーバ320の行動学習部304は、学習処理により得られた確率的状態遷移モデルのパラメータを移動端末270に送信する(ステップS310)。
【0094】
次いで、移動端末270は、ステップS310で受信したパラメータの確率的状態遷移モデルを記憶する(ステップS312)。
【0095】
一方、サーバ320は、学習処理により得られたパラメータの確率的状態遷移モデルを用いて、ユーザの活動状態に基づいてユーザが所望する情報をインターネットなどを介して収集する(ステップS314)。
【0096】
次いで、サーバ320は、ステップS314で収集したユーザが所望する情報を移動端末270に送信する(ステップS316)。
【0097】
次いで、移動端末270は、ステップS316で受信したユーザが所望する情報を記憶する(ステップS318)。
【0098】
次いで、移動端末270の行動認識部204は、測位部202からの測位情報を取得する(ステップS320)。
【0099】
次いで、移動端末270の行動認識部204は、学習により得られたパラメータの確率的状態遷移モデルを用いて、測位部202から取得した測位情報から、ユーザの現在の活動状態、すなわち、ユーザの現在地を認識する(ステップS322)。行動認識部204は、ユーザの現在の状態ノードのノード番号を行動予測部206に供給する。
【0100】
次いで、移動端末270の行動予測部206は、学習により得られたパラメータの確率的状態遷移モデルを用いて、行動認識部204から供給される状態ノードのノード番号が示すユーザの現在地から、ユーザが取りうる経路を過不足なく探索(予測)する(ステップS324)。また、行動予測部206は、探索された経路ごとの生起確率を計算することにより、探索された経路が選択される確率である選択確率を予測する。そして、目的地予測部208には、行動予測部206から、ユーザが取りうる経路と、その選択確率が供給されて、目的地予測部208は、学習により得られたパラメータの確率的状態遷移モデルを用いて、ユーザの目的地を予測する。具体的には、目的地予測部208は、最初に、目的地候補を列挙する。目的地予測部208は、認識されるユーザの行動状態が滞在状態となる場所を目的地候補とする。そして、目的地予測部208は、列挙した目的地候補のうち、行動予測部206により探索された経路上にある目的地候補を目的地に決定する。さらに、目的地予測部208は、決定した目的地ごとの到達確率を算出する。そして、表示対象の目的地が決定された場合、目的地予測部208は、目的地までの経路の到達時間を計算し、表示部212に表示させる。
【0101】
次いで、移動端末270の情報提供部214は、ステップS322で認識されたユーザの現在地の情報に基づいて、ステップS318で記憶したユーザが所望する情報のうちからユーザに提供する情報を決定して、決定した情報を表示部212に表示させて(ステップS326)、本処理を終了する。
【0102】
図6の行動予測処理によれば、移動端末270がサーバ320での学習処理により得られた確率的状態遷移モデルのパラメータを記憶して、記憶したパラメータの確率的状態遷移モデルを用いて予測処理を行うため、過去の移動履歴のすべてを用いて予測処理を行う場合と比較して、移動端末270の処理負荷を軽減させることができる。また、移動端末270は無線通信状態が良好なときに、サーバ320から確率的状態遷移モデルのパラメータを受信して記憶することにより、無線通信状態が悪い状態においても、予測処理を行うことができる。また、サーバ320がユーザが所望する情報を収集して、収集したユーザが所望する情報を移動端末270に送信し、移動端末270はサーバ320から受信したユーザが所望する情報のうちからユーザに提供する情報を決定するので、移動端末270がユーザが所望する情報の収集を行う必要をなくすことができ、移動端末270の処理負荷をさらに軽減することができる。
【0103】
また、本実施の形態では、移動端末270は、サーバ320による他の移動端末220の測位部202により取得された測位情報を含む時系列ログに基づく学習処理により得られた、ユーザの活動状態を表す活動モデルを受信する。移動端末270と比較して移動端末220の測位精度が高い場合であって、移動端末270において情報の提供を行いたいときに、測位精度の高い移動端末220の測位情報を用いることにより、予測処理の精度を向上させることができる。
【0104】
[3.行動予測システム(第3の実施の形態)]
次に、本発明の第3の実施の形態に係る行動予測システムについて説明する。図7は、本実施の形態に係る行動予測システムの構成を概略的に示すブロック図である。本実施の形態における行動予測システムは、通信スケジュール設定部216を備える点が、上述した第2の実施の形態と異なるのみであるので、重複した構成、作用については説明を省略し、以下に異なる構成、作用についての説明を行う。
【0105】
図7において、行動予測システム140は、測位部202、時系列ログ記憶部302、行動学習部304、情報収集部306、行動認識部204、行動予測部206、目的地予測部208、操作部210、表示部212、情報提供部214および通信スケジュール設定部216により構成される。
【0106】
通信スケジュール設定部216は、本発明の設定部の一例であり、学習により得られたパラメータの確率的状態遷移モデルを用いて、行動認識部204から供給される状態ノードのノード番号が示すユーザの現在地から、ユーザが取りうる経路上においてユーザの操作により取得されるユーザが所望する情報を、経路上における無線回線の状態が良好な場所において取得するように設定する。
【0107】
[3−1.行動予測システムが1つの移動端末と1つのサーバとで構成される場合]
次に、行動予測システム140が1つの移動端末と1つのサーバとで構成される場合における、図7の行動予測システム140が実行する行動予測処理について説明する。図8は、行動予測システム140が1つの移動端末と1つのサーバとで構成される場合における、図7の行動予測システム140が実行する行動予測処理のシーケンス図である。
【0108】
図8において、まず、移動端末240は、測位部202からの測位情報、ユーザによる操作部210を介した操作情報、および移動端末240とサーバ340との間の無線通信状態情報を取得する(ステップS402)。
【0109】
次いで、移動端末240は、ステップS402で取得した測位情報、操作情報および無線通信状態情報を含んだログ、若しくはそのログをある程度時系列で蓄積した時系列ログをサーバ340に送信する(ステップS404)。
【0110】
次いで、サーバ340の時系列ログ記憶部302は、ステップS404で移動端末240から送信されたログ、若しくは時系列ログを記憶する(ステップS406)。
【0111】
次いで、サーバ340の行動学習部304は、時系列ログ記憶部302に記憶されている時系列ログに基づいて、測位部202が組み込まれた移動端末240を携行するユーザの活動状態を、確率的状態遷移モデルとして学習する(ステップS408)。
【0112】
次いで、サーバ340の行動学習部304は、学習処理により得られた確率的状態遷移モデルのパラメータを移動端末240に送信する(ステップS410)。
【0113】
次いで、移動端末240は、ステップS410で受信したパラメータの確率的状態遷移モデルを記憶する(ステップS412)。
【0114】
一方、サーバ340は、学習処理により得られたパラメータの確率的状態遷移モデルを用いて、ユーザの活動状態に基づいてユーザが所望する情報をインターネットなどを介して収集する(ステップS414)。
【0115】
次いで、サーバ340は、ステップS414で収集したユーザが所望する情報を移動端末240に送信する(ステップS416)。
【0116】
次いで、移動端末240は、ステップS416で受信したユーザが所望する情報を記憶する(ステップS418)。
【0117】
次いで、移動端末240の行動認識部204は、測位部202からの測位情報を取得する(ステップS420)。
【0118】
次いで、移動端末240の行動認識部204は、学習により得られたパラメータの確率的状態遷移モデルを用いて、測位部202から取得した測位情報から、ユーザの現在の活動状態、すなわち、ユーザの現在地を認識する(ステップS422)。行動認識部204は、ユーザの現在の状態ノードのノード番号を行動予測部206に供給する。
【0119】
次いで、移動端末240の行動予測部206は、学習により得られたパラメータの確率的状態遷移モデルを用いて、行動認識部204から供給される状態ノードのノード番号が示すユーザの現在地から、ユーザが取りうる経路を過不足なく探索(予測)する(ステップS424)。また、行動予測部206は、探索された経路ごとの生起確率を計算することにより、探索された経路が選択される確率である選択確率を予測する。そして、目的地予測部208には、行動予測部206から、ユーザが取りうる経路と、その選択確率が供給されて、目的地予測部208は、学習により得られたパラメータの確率的状態遷移モデルを用いて、ユーザの目的地を予測する。具体的には、目的地予測部208は、最初に、目的地候補を列挙する。目的地予測部208は、認識されるユーザの行動状態が滞在状態となる場所を目的地候補とする。そして、目的地予測部208は、列挙した目的地候補のうち、行動予測部206により探索された経路上にある目的地候補を目的地に決定する。さらに、目的地予測部208は、決定した目的地ごとの到達確率を算出する。そして、表示対象の目的地が決定された場合、目的地予測部208は、目的地までの経路の到達時間を計算し、表示部212に表示させる。
【0120】
次いで、移動端末240の通信スケジュール設定部216は、ステップS422で認識されたユーザの現在地の情報に基づいて、ユーザが取りうる経路上においてユーザの操作により取得されるユーザが所望する情報を、経路上における無線回線の状態が良好な場所において取得するように、通信スケジュールの設定を行って(ステップS426)、本処理を終了する。
【0121】
図8の行動予測処理によれば、移動端末240がサーバ340での学習処理により得られた確率的状態遷移モデルのパラメータを記憶して、記憶したパラメータの確率的状態遷移モデルを用いて予測処理を行うため、過去の移動履歴のすべてを用いて予測処理を行う場合と比較して、移動端末240の処理負荷を軽減させることができる。また、移動端末240は無線通信状態が良好なときに、サーバ340から確率的状態遷移モデルのパラメータを受信して記憶することにより、無線通信状態が悪い状態においても、予測処理を行うことができる。また、ユーザが取りうる経路上においてユーザの操作により取得されるユーザが所望する情報を、経路上における無線回線の状態が良好な場所において取得するように、通信スケジュールの設定を行うので、無線通信状態が悪い状態においても、ユーザに情報を提供することができる。
【0122】
[3−2.行動予測システムが2つの移動端末と1つのサーバとで構成される場合]
次に、行動予測システム140が2つの移動端末と1つのサーバとで構成される場合における、図7の行動予測システム140が実行する行動予測処理について説明する。図9は、行動予測システム140が1つの移動端末と1つのサーバとで構成される場合における、図7の行動予測システム140が実行する行動予測処理のシーケンス図である。
【0123】
図9において、まず、移動端末240は、測位部202からの測位情報、ユーザによる操作部210を介した操作情報、および移動端末240とサーバ340との間の無線通信状態情報を取得する(ステップS502)。
【0124】
次いで、移動端末240は、ステップS502で取得した測位情報、操作情報および無線通信状態情報を含んだログ、若しくはそのログをある程度時系列で蓄積した時系列ログをサーバ340に送信する(ステップS504)。
【0125】
次いで、サーバ340の時系列ログ記憶部302は、ステップS504で移動端末240から送信されたログ、若しくは時系列ログを記憶する(ステップS506)。
【0126】
次いで、サーバ340の行動学習部304は、時系列ログ記憶部302に記憶されている時系列ログに基づいて、測位部202が組み込まれた移動端末240を携行するユーザの活動状態を、確率的状態遷移モデルとして学習する(ステップS508)。
【0127】
次いで、サーバ340の行動学習部304は、学習処理により得られた確率的状態遷移モデルのパラメータを移動端末290に送信する(ステップS510)。
【0128】
次いで、移動端末290は、ステップS510で受信したパラメータの確率的状態遷移モデルを記憶する(ステップS512)。
【0129】
一方、サーバ340は、学習処理により得られたパラメータの確率的状態遷移モデルを用いて、ユーザの活動状態に基づいてユーザが所望する情報をインターネットなどを介して収集する(ステップS514)。
【0130】
次いで、サーバ340は、ステップS514で収集したユーザが所望する情報を移動端末290に送信する(ステップS516)。
【0131】
次いで、移動端末290は、ステップS516で受信したユーザが所望する情報を記憶する(ステップS518)。
【0132】
次いで、移動端末290の行動認識部204は、測位部202からの測位情報を取得する(ステップS520)。
【0133】
次いで、移動端末290の行動認識部204は、学習により得られたパラメータの確率的状態遷移モデルを用いて、測位部202から取得した測位情報から、ユーザの現在の活動状態、すなわち、ユーザの現在地を認識する(ステップS522)。行動認識部204は、ユーザの現在の状態ノードのノード番号を行動予測部206に供給する。
【0134】
次いで、移動端末290の行動予測部206は、学習により得られたパラメータの確率的状態遷移モデルを用いて、行動認識部204から供給される状態ノードのノード番号が示すユーザの現在地から、ユーザが取りうる経路を過不足なく探索(予測)する(ステップS524)。また、行動予測部206は、探索された経路ごとの生起確率を計算することにより、探索された経路が選択される確率である選択確率を予測する。そして、目的地予測部208には、行動予測部206から、ユーザが取りうる経路と、その選択確率が供給されて、目的地予測部208は、学習により得られたパラメータの確率的状態遷移モデルを用いて、ユーザの目的地を予測する。具体的には、目的地予測部208は、最初に、目的地候補を列挙する。目的地予測部208は、認識されるユーザの行動状態が滞在状態となる場所を目的地候補とする。そして、目的地予測部208は、列挙した目的地候補のうち、行動予測部206により探索された経路上にある目的地候補を目的地に決定する。さらに、目的地予測部208は、決定した目的地ごとの到達確率を算出する。そして、表示対象の目的地が決定された場合、目的地予測部208は、目的地までの経路の到達時間を計算し、表示部212に表示させる。
【0135】
次いで、移動端末290の通信スケジュール設定部216は、ステップS522で認識されたユーザの現在地の情報に基づいて、ユーザが取りうる経路上においてユーザの操作により取得されるユーザが所望する情報を、経路上における無線回線の状態が良好な場所において取得するように、通信スケジュールの設定を行って(ステップS526)、本処理を終了する。
【0136】
図9の行動予測処理によれば、移動端末290がサーバ340での学習処理により得られた確率的状態遷移モデルのパラメータを記憶して、記憶したパラメータの確率的状態遷移モデルを用いて予測処理を行うため、過去の移動履歴のすべてを用いて予測処理を行う場合と比較して、移動端末290の処理負荷を軽減させることができる。また、移動端末290は無線通信状態が良好なときに、サーバ340から確率的状態遷移モデルのパラメータを受信して記憶することにより、無線通信状態が悪い状態においても、予測処理を行うことができる。また、ユーザが取りうる経路上においてユーザの操作により取得されるユーザが所望する情報を、経路上における無線回線の状態が良好な場所において取得するように、通信スケジュールの設定を行うので、無線通信状態が悪い状態においても、ユーザに情報を提供することができる。
【0137】
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどが含まれる。
【0138】
図19は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
【0139】
コンピュータにおいて、CPU(Central Processing Unit)402、ROM(Read Only Memory)404、RAM(Random Access Memory)406は、バス408により相互に接続されている。
【0140】
バス408には、さらに、入出力インタフェース410が接続されている。入出力インタフェース410には、入力部412、出力部414、記憶部416、通信部418、ドライブ420、およびGPSセンサ422が接続されている。
【0141】
入力部412は、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる。出力部414は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記憶部416は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部418は、ネットワークインタフェースなどよりなる。ドライブ420は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体424を駆動する。GPSセンサ422は、図1の測位部202に対応する。
【0142】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU402が、例えば、記憶部416に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース410およびバス408を介して、RAM406にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0143】
コンピュータ(CPU402)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブル記録媒体424に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0144】
コンピュータでは、プログラムは、リムーバブル記録媒体424をドライブ420に装着することにより、入出力インタフェース410を介して、記憶部416にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部418で受信し、記憶部416にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM404や記憶部416に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0145】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであってもよいし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであってもよい。
【0146】
なお、本明細書において、フローチャートに記述されたステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる場合はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで実行されてもよい。
【0147】
なお、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【0148】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0149】
100,120,140 行動予測システム
200,220,240,250,270,290 移動端末
202 測位部
204 行動認識部
206 行動予測部
208 目的地予測部
210 操作部
212 表示部
214 情報提供部
216 通信スケジュール設定部
300,320,340 サーバ
302 時系列ログ記憶部
304 行動学習部
306 情報収集部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
自身の位置を示す緯度経度の測位情報を取得する測位部と、
前記測位部により取得された前記測位情報を含む時系列ログをサーバに送信する送信部と、
前記サーバによる前記時系列ログに基づく学習処理により得られた、ユーザの活動状態を表す活動モデルを受信する受信部と、
前記測位部により取得された前記測位情報と、前記受信部が受信した前記活動モデルとを用いて、前記ユーザの現在の活動状態を認識する認識部と、
前記認識部により認識された前記ユーザの現在の活動状態から、前記ユーザの行動を予測する予測部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記時系列ログは、前記情報処理装置と前記サーバとの間の無線通信状態情報を含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記送信部は、前記受信部が以前に受信した前記活動モデルを用いて、前記情報処理装置と前記サーバとの間で無線通信可能であるときに、最新の前記時系列ログを前記サーバに送信する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記受信部は、当該受信部が以前に受信した前記活動モデルを用いて、前記情報処理装置と前記サーバとの間で無線通信可能であるときに、最新の前記活動モデルを受信する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記時系列ログは、前記情報処理装置の前記ユーザの操作情報を含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記サーバによる前記活動モデルを用いて収集された、前記ユーザの活動状態に基づく前記ユーザが所望する情報を受信する情報受信部と、
前記測位部により取得された前記測位情報と、前記情報受信部が受信した前記ユーザが所望する情報とを用いて、前記情報受信部が受信した前記ユーザが所望する情報のうちから前記ユーザに提供する情報を決定する情報決定部とをさらに備える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記情報決定部は、さらに、前記予測部による予測結果を用いて、前記情報受信部が受信した前記ユーザが所望する情報のうちから前記ユーザの目的地にいたる経路上あるいは目的地に関する情報を前記ユーザに提供する情報として決定する、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記時系列ログは、前記情報処理装置と前記サーバとの間の無線通信状態情報を含み、
前記情報受信部は、前記受信部が以前に受信した前記活動モデルを用いて、前記情報処理装置と前記サーバとの間で無線通信可能であるときに、最新の前記ユーザが所望する情報を受信する、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記受信部が受信した前記活動モデルを用いて、前記情報処理装置と前記サーバとの間で無線通信可能であるときに前記ユーザが所望する情報を取得するように、通信スケジュールを設定する設定部をさらに備える、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記受信部は、前記サーバによる他の情報処理装置の測位部により取得された測位情報を含む時系列ログに基づく学習処理により得られた、ユーザの活動状態を表す活動モデルを受信する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
情報処理装置と、
サーバとを備え、
前記情報処理装置は、
自身の位置を示す緯度経度の測位情報を取得する測位部と、
前記測位部により取得された前記測位情報を含む時系列ログを前記サーバに送信する送信部と、
前記サーバによる前記時系列ログに基づく学習処理により得られた、ユーザの活動状態を表す活動モデルを受信する受信部と、
前記測位部により取得された前記測位情報と、前記受信部が受信した前記活動モデルとを用いて、前記ユーザの現在の活動状態を認識する認識部と、
前記認識部により認識された前記ユーザの現在の活動状態から、前記ユーザの行動を予測する予測部と、
を備え、
前記サーバは、
前記送信部により送信された前記時系列ログを受信するサーバ側受信部と、
前記サーバ側受信部が受信した前記時系列ログに基づいて、前記情報処理装置を携行するユーザの活動状態を、活動モデルとして学習する学習部と、
前記学習部により得られた活動モデルを前記情報処理装置に送信するサーバ側送信部と、
を備える、情報処理システム。
【請求項12】
情報処理装置において、自身の位置を示す緯度経度の測位情報を取得する測位ステップと、
前記情報処理装置において、前記測位ステップで取得された前記測位情報を含む時系列ログをサーバに送信する送信ステップと、
前記サーバにおいて、前記送信ステップで送信された前記時系列ログを受信するサーバ側受信ステップと、
前記サーバにおいて、サーバ側受信ステップで受信した前記時系列ログに基づいて、前記情報処理装置を携行するユーザの活動状態を、活動モデルとして学習する学習ステップと、
前記サーバにおいて、前記学習ステップで得られた活動モデルを前記情報処理装置に送信するサーバ側送信ステップと、
前記情報処理装置において、前記サーバ側送信ステップで送信された前記活動モデルを受信する受信ステップと、
前記情報処理装置において、前記測位ステップで取得された前記測位情報と、前記受信ステップで受信した前記活動モデルとを用いて、前記ユーザの現在の活動状態を認識する認識ステップと、
前記情報処理装置において、前記認識ステップで認識された前記ユーザの現在の活動状態から、前記ユーザの行動を予測する予測ステップと、
を有する、情報処理方法。
【請求項13】
コンピュータを、
自身の位置を示す緯度経度の測位情報を取得する測位部と、
前記測位部により取得された前記測位情報を含む時系列ログをサーバに送信する送信部と、
前記サーバによる前記時系列ログに基づく学習処理により得られた、ユーザの活動状態を表す活動モデルを受信する受信部と、
前記測位部により取得された前記測位情報と、前記受信部が受信した前記活動モデルとを用いて、前記ユーザの現在の活動状態を認識する認識部と、
前記認識部により認識された前記ユーザの現在の活動状態から、前記ユーザの行動を予測する予測部と、
として機能させるための、プログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−8771(P2012−8771A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−143650(P2010−143650)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】