情報処理装置及びプログラム
【課題】不正漏洩などがないようにデータを保護するとともに、そのデータを用いた処理を指示するための操作を簡易にする。
【解決手段】メモリには、利用者によって登録された指紋を表す指紋データと、いずれかのフォルダを識別する識別情報とが対応付けられた指紋登録テーブルが記憶されている。指紋読取部は、利用者の指紋を読み取ってその指紋を表す指紋データを出力する。CPUは、出力された指紋データが、指紋登録テーブルの指紋データと一致するか否かを判定し、一致すると判定した場合には、その指紋データに対応付けられた識別情報によって識別されるフォルダに格納されているデータの一覧を表示部に表示させる。
【解決手段】メモリには、利用者によって登録された指紋を表す指紋データと、いずれかのフォルダを識別する識別情報とが対応付けられた指紋登録テーブルが記憶されている。指紋読取部は、利用者の指紋を読み取ってその指紋を表す指紋データを出力する。CPUは、出力された指紋データが、指紋登録テーブルの指紋データと一致するか否かを判定し、一致すると判定した場合には、その指紋データに対応付けられた識別情報によって識別されるフォルダに格納されているデータの一覧を表示部に表示させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報に応じた処理を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
指紋などの生体的特徴を表す生体情報を用いた認証を行って、情報処理装置や記憶装置に格納されたデータへのアクセスを制限する技術が知られている。例えば、特許文献1〜3には、指紋認証によって認証された正当な利用者については、データの録音、再生、削除などを許可する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2000−352998号公報
【特許文献2】特開2005−117105号公報
【特許文献3】特開2007−109027号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述した特許文献1又は2に記載されているような録音装置や携帯電話などの筐体が小さい装置では、限られた数や種類の操作ボタンしか設けることができないため、処理を指示するときの操作が煩雑になることがある。例えば、あるフォルダに記憶されているデータを他のフォルダに移動させる場合には、フォルダが階層構造になっているため、指紋認証を経てから、まずは、その階層を順次辿って移動対象となるデータを探し出し、次に、そのデータが記憶されているフォルダから、最上階層のフォルダまで順に移動するための操作を繰り返す。さらに、最上階層のフォルダまで移動したら、今度は移動先のフォルダに移動するために、一階層ずつ下のフォルダに移動するための操作を繰り返さなくてはならない。
また、録音装置は、携帯に便利であるため、例えば会議室において重要な会議の音声が録音されたり、あるいは音楽の収録室で制作中の音楽が録音されたりする場合がある。このようにして録音されたデータは、いずれも機密性が高いデータであるため、より強固に保護することが望まれている。
本発明はこのような背景に鑑みてなされたものであり、不正漏洩などがないようにデータを保護するとともに、そのデータを用いた処理を指示するための操作を簡易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するため、本発明は、データを用いた処理を行う処理手段と、人体の生体的特徴を表す生体情報と、前記処理手段によって行われる処理を特定する処理特定情報とを対応付けて記憶する生体情報記憶手段と、利用者の生体的特徴を読み取って当該生体的特徴を表す生体情報を出力する読取手段から前記生体情報を取得し、当該生体情報が、前記生体情報記憶手段に記憶されている生体情報と一致するか否かを判定する判定手段とを備え、前記処理手段は、前記読取手段から取得された生体情報が前記生体情報記憶手段に記憶されている生体情報と一致すると前記判定手段により判定された場合には、当該生体情報に対応付けて記憶されている処理特定情報によって特定される処理を行うことを特徴とする情報処理装置を提供する。
【0005】
本発明の好ましい態様においては、前記処理手段が行う処理に用いられるデータを分別して格納する複数のデータ格納手段を備え、前記生体情報記憶手段は、前記処理特定情報として、前記データ格納手段又は当該データ格納手段に格納されているデータを識別する識別情報と、当該データ格納手段又は当該データを対象とした処理の内容を表す処理内容とを記憶しており、前記処理手段は、前記読取手段から取得された生体情報が前記生体情報記憶手段に記憶されている生体情報と一致すると前記判定手段により判定された場合には、当該生体情報に対応付けて記憶されている前記識別情報によって識別されるデータ格納手段又はデータを対象として、前記処理内容によって表される内容の処理を行ってもよい。
【0006】
本発明の好ましい態様においては、前記処理手段が行う処理に用いられるデータを分別して格納する複数のデータ格納手段を備え、前記生体情報記憶手段は、前記生体情報に対応付けて、前記複数のデータ格納手段のうちのいずれかを識別する識別情報を前記処理特定情報として記憶し、前記処理手段は、前記読取手段から取得された生体情報が前記生体情報記憶手段に記憶されている生体情報と一致すると前記判定手段により判定された場合には、当該生体情報に対応付けて記憶されている前記識別情報によって識別されるデータ格納手段に格納されているデータの一覧を表示手段に表示させる処理を行ってもよい。
【0007】
本発明の好ましい態様において、前記生体情報記憶手段は、1又は複数種類の前記生体情報からなる生体情報群と、前記処理特定情報とを対応付けて記憶し、前記判定手段は、前記読取手段から取得した各々の生体情報が、前記生体情報記憶手段に記憶されている前記生体情報群に含まれる全ての生体情報とそれぞれ一致するか否かを判定し、前記処理手段は、前記判定手段によって、前記読取手段から取得された各々の生体情報が前記生体情報記憶手段に記憶されている前記生体情報群に含まれる全ての生体情報とそれぞれ一致すると判定された場合には、当該生体情報群に対応付けて記憶されている処理特定情報によって特定される処理を行ってもよい。
【0008】
本発明の好ましい態様において、前記生体的特徴は、指紋、虹彩又は声紋の少なくともいずれか1つを含んでもよい。
【0009】
また、本発明は、コンピュータを、データを用いた処理を行う処理手段と、人体の生体的特徴を表す生体情報と、前記処理手段によって行われる処理を特定する処理特定情報とを対応付けて記憶する生体情報記憶手段と、利用者の生体的特徴を読み取って当該生体的特徴を表す生体情報を出力する読取手段から前記生体情報を取得し、当該生体情報が前記生体情報記憶手段に記憶されている生体情報と一致するか否かを判定する判定手段として機能させ、前記処理手段は、前記読取手段から取得された生体情報が前記生体情報記憶手段に記憶されている生体情報と一致すると前記判定手段により判定された場合には、当該生体情報に対応付けて記憶されている処理特定情報によって特定される処理を行うプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、データを保護するとともに、そのデータを用いた処理を指示するための操作を簡易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[構成]
図1は、本実施形態に係る録音装置1の外観を示す図である。同図に示すように、録音装置1は、操作部10と、表示部20と、マイクロフォン30と、スピーカ40と、指紋読取部50とを備えている。この録音装置1は、マイクロフォン30に入力された音を記録する録音機能と、記録した音をスピーカ40から再生する再生機能とを有する。図2は、図1に示した録音装置1の構成を示すブロック図である。同図に示すように、録音装置1は、前述した操作部10と、表示部20と、マイクロフォン30と、スピーカ40と、指紋読取部50のほか、CPU(Central Processing Unit)60と、メモリ70とを備えている。
【0012】
CPU60は、メモリ70に記憶されているプログラムを実行することにより、データを用いた各種処理を行う処理手段である。操作部10は、例えば各種の操作ボタンを備え、利用者の操作を受け付けて、その操作に応じた操作信号をCPU60に供給する。表示部20は、例えば液晶ディスプレイや液晶駆動回路を備え、CPU60による制御の下で各種の画像を表示する。
【0013】
マイクロフォン30は、人間の声や楽曲などの音を収集し、収集した音を表す音データをCPU60に供給する。上述した録音機能は、CPU60がマイクロフォン30から供給された音データをメモリ70に記憶させる録音処理を行うことによって実現される。スピーカ40は、CPU60の制御の下で、音声データに基づいた音を出力する。上述した再生機能は、CPU60がメモリ70に記憶されている音データをスピーカ40に供給し、その音データに基づいた音をスピーカ40から出力させる再生処理を行うことによって実現される。
【0014】
指紋読取部50は、利用者の指先の指紋を読み取り、その指紋を表す指紋データを生成して出力する読取手段である。例えば、この指紋読取部50は、複数の電極を備え、利用者の指が置かれたときに各々の電極に溜まる電荷の量に応じてその指の指紋の凹凸を検出する静電容量式指紋センサである。あるいは、この指紋読取部50は、CCD(Charge Coupled Device)センサを備え、このCCDセンサを用いて利用者の指の指紋を撮像する光学式指紋センサであってもよい。
【0015】
メモリ70は、例えばフラッシュメモリやRAM(Random Access Memory)であり、CPU60によって実行されるプログラムのほかに、上述した録音処理によって記憶される複数の音データと、指紋登録テーブルT1とを記憶する。これらの音データは、それぞれファイル形式のデータであり、ツリー構造に従って階層的に整理された状態で管理されている。以下では、このツリー構造における各ノードに相当する構成を「フォルダ」という。各フォルダは、各々の音データを論理的に分別して格納する「データ格納手段」として機能する。
【0016】
図3は、指紋登録テーブルT1の一例を示す図である。この指紋登録テーブルT1には、メモリ70上に作成されたフォルダを識別する「フォルダ名」と、そのフォルダ作成時に登録された指紋を表す「指紋データ又指紋データ群」とが対応付けて記述されている。指紋登録テーブルT1に記述されたデータのうち、「フォルダ名」は、CPU60によって行われる処理を特定する処理特定情報であり、「指紋データ又は指紋データ群」は、人体の生体的特徴を表す生体情報である。例えば、指紋登録テーブルT1の最上段のレコードには、「フォルダA」と「利用者Aの右手親指の指紋データ」とが対応付けて記述されている。これは、「利用者Aの右手親指の指紋データ」と一致する指紋が読み取られたときに、「フォルダA」というフォルダの使用が許可されるとともに、そのフォルダの内容の一覧が表示されることを表している。また、上から2段目のレコードには、「フォルダB」と、「利用者Aの右手人差し指の指紋データ」,「利用者Bの右手人差し指の指紋データ」及び「利用者Cの右手人差し指の指紋データ」からなる指紋データ群とが対応付けて記述されている。これは、「利用者Aの右手人差し指の指紋データ」,「利用者Bの右手人差し指の指紋データ」及び「利用者Cの右手人差し指の指紋データ」の各々の指紋データと一致する全ての指紋が読み取られたときに、「フォルダB」というフォルダの使用が許可されるとともに、そのフォルダの内容の一覧が表示されることを表している。
【0017】
ここで、指紋登録テーブルT1にデータを登録するときの仕組みについて説明する。
この指紋登録テーブルT1は、新規フォルダの作成に伴って、データ登録が行われるようになっている。例えば、利用者Aによって操作部10が操作されて、新規フォルダの作成が指示されると、CPU60は、まず、指紋登録画面を表示部20に表示させる。図4は、この指紋登録画面R1の一例を示す図である。同図に示すように、この指紋登録画面R1には、利用者に指紋の登録を促すメッセージ画像が含まれている。利用者Aは、このメッセージ画像の案内に従って、指紋を登録する指、例えば右手の親指を指紋読取部50に置く。利用者Aによって右手の親指が置かれると、指紋読取部50は、この指の指紋を読み取る。そして、指紋読取部50は、その指紋を表す指紋データ、すなわち「利用者Aの右手親指の指紋データ」を生成してCPU60に供給する。CPU60は、新規フォルダのフォルダ名、例えば「フォルダA」と、指紋読取部50から供給された「利用者Aの右手親指の指紋データ」とを対応付けて、メモリ70の指紋登録テーブルT1に登録する。これにより、指紋登録テーブルT1には、図3に示したように「フォルダA」と「利用者Aの右手親指の指紋データ」とが対応付けて記述されることになる。このようにして、指紋登録テーブルT1にデータ登録を行ったのち、CPU60は、メモリ70上に「フォルダA」という新規のフォルダを作成する。この「フォルダA」というフォルダ内には、例えば、利用者Aによって作成された楽曲を表す「音データd1」という音データなどが格納される。
【0018】
また、上述した指紋の登録において複数の利用者、例えば利用者A,B,Cが指紋の登録を行う場合、これらの利用者は、指紋を登録する指、例えば右手の人差し指をそれぞれ指紋読取部50に置くことになる。指紋読取部50は、これらの指の指紋を読み取り、各々の指紋を表す指紋データ、すなわち「利用者Aの右手人差し指の指紋データ」,「利用者Bの右手人差し指の指紋データ」及び「利用者Cの右手人差し指の指紋データ」を生成してCPU60に供給する。CPU60は、新規フォルダのフォルダ名、例えば「フォルダB」と、指紋読取部50から供給された「利用者Aの右手人差し指の指紋データ」,「利用者Bの右手人差し指の指紋データ」及び「利用者Cの右手人差し指の指紋データ」からなる指紋データ群とを対応付けて、メモリ70の指紋登録テーブルT1に登録する。これにより、指紋登録テーブルT1には、図3に示したように「フォルダB」と「利用者Aの右手人差し指の指紋データ」,「利用者Bの右手人差し指の指紋データ」及び「利用者Cの右手人差し指の指紋データ」からなる指紋データ群とが対応付けて記述されることになる。このようにして、指紋登録テーブルT1にデータ登録を行ったのち、CPU60は、メモリ70上に「フォルダB」という新規のフォルダを作成する。この「フォルダB」というフォルダ内には、例えば、利用者A,B,Cが出席した重要な会議の音声を表す「音データd5」という音データなどが格納される。
【0019】
[動作]
(動作の概略)
次に、フォルダを使用するときの録音装置1の動作について説明する。まず、図5を参照して、この動作の概略について説明する。利用者は、録音装置1にフォルダを使用した処理を行わせたい場合、まず最初に、そのフォルダ作成時に指紋を登録した指を指紋読取部50に置く。利用者によって指が置かれると、指紋読取部50は、その指の指紋を読み取る(ステップS110)。そして、指紋読取部50は、読み取った指紋を表す指紋データを生成し、CPU60に供給する。CPU60は、指紋読取部50から供給された指紋データと、指紋登録テーブルT1の指紋データ又は指紋データ群とを照合し、それらが一致するか否かを判定する(ステップS120)。例えば、指紋読取部50から供給された指紋データが指紋登録テーブルT1に記述されていない、又は、指紋読取部50から供給された指紋データが指紋登録テーブルT1の各レコードの指紋データ群の一部としか一致しない場合、CPU60は、指紋読取部50から供給された指紋データが、指紋登録テーブルT1の指紋データ又は指紋データ群と一致しないと判定する(ステップS120:NO)。この場合、CPU60は、利用者にフォルダ使用の権限がないとみなし、この処理を終了する。
【0020】
一方、指紋読取部50から供給された指紋データが指紋登録テーブルT1に単独で記述されている、又は、指紋読取部50から供給された各々の指紋データと指紋登録テーブルT1の或るレコードの指紋データ群に含まれる全ての指紋データとがそれぞれ一致する場合、CPU60は、指紋読取部50から供給された指紋データが、指紋登録テーブルT1の指紋データ又は指紋データ群と一致すると判定する(ステップS120:YES)。なお、指紋データが単独で記述されているということは、上述したデータ登録において1つの指紋のみが登録されたことを意味している。この場合、CPU60は、指紋登録テーブルT1を参照して、その指紋データと対応付けられたフォルダ名を特定し、特定したフォルダ名によって識別されるフォルダの内容を表示部20に表示させる(ステップS130)。このフォルダの内容とは、例えばフォルダに格納されている音データのデータ名の一覧である。これにより、利用者は、このフォルダを使用した処理、例えばフォルダ内のデータの再生やデータの追加、変更、削除などの処理を実行させることができる。
【0021】
次に、録音装置1の具体的な動作について、幾つか例を挙げて説明する。
(フォルダの内容の閲覧)
例えば、利用者Aが、「フォルダA」というフォルダの内容の一覧を閲覧する場合を想定する。この場合、利用者Aは、このフォルダの作成時に登録した指紋の指である右手親指を指紋読取部50に置くことになる。利用者Aによって右手親指が置かれると、ステップS110では、この利用者Aの右手親指の指紋が読み取られ、この指紋を表す指紋データ、すなわち「利用者Aの右手親指の指紋データ」がCPU60に供給される。図3に示したように、指紋登録テーブルT1には、この「利用者Aの右手親指の指紋データ」が単独で記述されている。よって、続くステップS120では、指紋読取部50から供給された指紋データと指紋登録テーブルT1の指紋データとが一致すると判定される。そして、ステップS130では、図3に示した指紋登録テーブルT1において「利用者Aの右手親指の指紋データ」に対応付けられた「フォルダA」が特定され、この「フォルダA」というフォルダの内容の一覧が表示部20に表示される。これにより、利用者Aは、「フォルダA」というフォルダを用いた処理を実行させることができる。
【0022】
図6は、このときに表示部20に表示されるフォルダの内容の一覧S1の一例を示す図である。同図に示すように、このフォルダの内容の一覧S1には、フォルダ名である「フォルダA」と、このフォルダ内に格納されているデータのデータ名である「音データd1」,「音データd2」,「音データd3」などが含まれている。例えば、利用者Aによって、操作部10が操作されて、例えば「音データd1」という音データが選択されて、この音データの再生処理が指示されると、CPU60は、この指示に従って、「フォルダA」というフォルダに格納されている「音データd1」という音データをメモリ70から読み出して、スピーカ40に供給する。これにより、スピーカ40から、「音データd1」という音データに基づいた音、すなわち利用者Aが作成した楽曲が出力される。
【0023】
(他のフォルダへのデータ移動)
続いて、利用者Aが、図6に示した「音データd1」という音データを「フォルダC」というフォルダに移動させる場合を想定する。この場合、利用者Aは、まず、操作部10を操作して、「フォルダA」というフォルダに格納されている「音データd1」という音データを移動対象として指定する。続いて、利用者Aは、その音データの移動先である「フォルダC」というフォルダの作成時に登録した指紋の指である右手中指を指紋読取部50に置く。利用者Aによって右手中指が置かれると、ステップS110では、この指の指紋が読み取られ、この指紋を表す指紋データ、すなわち「利用者Aの右手中指の指紋データ」がCPU60に供給される。図3に示したように、指紋登録テーブルT1には、この「利用者Aの右手中指の指紋データ」が単独で記述されている。よって、続くステップS120では、指紋読取部50から供給された指紋データと指紋登録テーブルT1の指紋データとが一致すると判定される。そして、ステップS130では、図3に示した指紋登録テーブルT1において「利用者Aの右手中指の指紋データ」に対応付けられた「フォルダC」が特定され、この「フォルダC」というフォルダの内容の一覧が表示部20に表示される。つまり、利用者Aは、操作部10を操作しなくても、自身の右手の中指を指紋読取部50に置くという簡易な動作だけで、表示部20の表示内容を、「フォルダA」というフォルダの内容の一覧S1から「フォルダC」というフォルダの内容の一覧に切り替えることができる。
【0024】
そして、利用者Aは、操作部10を操作して、移動対象として指定した「音データd1」といく音データを「フォルダC」というフォルダに移動させる。図7は、このときの「フォルダC」というフォルダの内容の一覧S2の一例を示す図である。同図に示すように、このフォルダの内容の一覧S2には、フォルダ名である「フォルダC」と、そのフォルダ内に格納されているデータのデータ名である「音データd1」,「音データd10」,「音データd11」などが含まれている。これは、「フォルダA」に格納されていた「音データd1」という音データが移動されて、「フォルダC」というフォルダに新たに追加されたことを表している。このように、利用者Aは、簡易な操作で他のフォルダへのデータ移動を行うことができる。
【0025】
(複数の指紋が登録されたフォルダの閲覧)
また、利用者Aが、フォルダ作成時に複数の指紋が登録された「フォルダB」というフォルダの内容を閲覧する場合を想定する。この場合、このフォルダの作成時に指紋を登録した利用者である利用者A,B,Cが全員揃う必要がある。そして各利用者A,B,Cは、それぞれ登録した指紋の指である右手人差し指を指紋読取部50に置く。利用者A,B,Cによってそれぞれ右手の人差し指が置かれると、ステップS110では、これらの指の指紋が読み取られ、各々の指紋を表す指紋データ、すなわち「利用者Aの右手人差し指の指紋データ」,「利用者Bの右手人差し指の指紋データ」及び「利用者Cの右手人差し指の指紋データ」がCPU60に供給される。図3に示したように、指紋登録テーブルT1には、「利用者Aの右手人差し指の指紋データ」,「利用者Bの右手人差し指の指紋データ」及び「利用者Cの右手人差し指の指紋データ」からなる指紋データ群が記述されている。よって、続くステップS120では、指紋読取部50から供給された指紋データと指紋登録テーブルT1の指紋データ群とが一致すると判定される。そして、ステップS130では、図3に示した指紋登録テーブルT1においてこの指紋データ群に対応付けられている「フォルダB」が特定され、この「フォルダB」というフォルダの内容の一覧が表示部20に表示される。これにより、利用者Aは、この「フォルダB」というフォルダを用いた処理を実行させることができる。
【0026】
例えば、利用者Aによって、操作部10が操作されて、この「フォルダB」というフォルダに格納されている「音データd5」という音データが選択され、さらに、この音データの再生が指示されると、CPU60は、この指示に従って、このフォルダに格納されている「音データd5」という音データをメモリ70から読み出して、スピーカ40に供給する。これにより、スピーカ40から、「音データd5」という音データに基づいた音、すなわち利用者A,B,Cが出席した重要な会議の音声が出力される。
【0027】
なお、例えば、利用者Aの右手の人差し指の指紋のみが指紋読取部50によって読み取られた場合には、指紋読取部50から供給された指紋データが指紋登録テーブルT1の指紋データ群の一部としか一致しないことになる。この場合、指紋読取部50から供給された指紋データと指紋登録テーブルT1の指紋データ群とが一致しないと判定されるから、そのまま処理は終了する。つまり、複数の指紋が登録されたフォルダについては、そのフォルダ作成時に指紋を登録した全ての利用者の指紋を読み取らせないと、そのフォルダの内容の一覧表示やフォルダ内のデータの再生、追加、変更、削除などの処理を実行させることができない。これにより、指紋が登録されている一部の利用者が、そのフォルダに格納されているデータを不正にコピーしたり、勝手に改竄したりすることを防ぐことができる。
【0028】
以上説明した実施形態によれば、予め登録した指紋を読み取らせることにより、その指紋に対応するフォルダを用いた処理が許可されるとともに、そのフォルダの内容の一覧が表示される。これにより、不正漏洩などがないようにフォルダに格納されているデータを保護するとともに、フォルダの内容の一覧を表示させるための操作を簡易にすることができる。
【0029】
[変形例]
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の各変形例を適宜組み合わせてもよい。
(変形例1)
上述した実施形態では、フォルダ作成時に登録された指紋が読み取られることで、フォルダの内容の一覧表示のほか、フォルダ内のデータの読み書きなども全て許可されていた。これに対し、フォルダ内のデータの読み書きを行う場合には、さらに異なる指紋の認証を行ってもよい。
この場合、新規フォルダの作成時には、さらに、フォルダ内のデータの読み書きを許可する指紋が登録されることになる。例えば、「フォルダA」というフォルダの内容の一覧を表示させるための指紋として、利用者Aの右手の親指の指紋が登録され、さらに、このフォルダ内のデータの読み書きを許可するための指紋として、利用者Aの右手の人差し指の指紋と、利用者Bの右手の人差し指の指紋と、利用者Cの右手の人差し指の指紋とが登録された場合を想定する。この場合、指紋登録テーブルには、上述と同様にして「フォルダA」というフォルダ名と「利用者Aの右手親指の指紋データ」とが対応付けて記述されるほかに、そのフォルダ内のデータの読み書き処理を特定する情報である「フォルダAの読み書き」と「利用者Aの右手人差し指の指紋データ」,「利用者Bの右手人差し指の指紋データ」及び「利用者Cの右手人差し指の指紋データ」とが対応付けて記述される。
【0030】
利用者Aが「フォルダA」というフォルダのデータの読み書きを実行させる場合、利用者Aは、まず、上述と同様にして、このフォルダの内容の一覧表示させるための指紋を登録した指である右手親指を指紋読取部50に置くことになる。これにより、表示部20には、「フォルダA」というフォルダの内容の一覧が表示される。ただし、このままではこのフォルダ内のデータの読み書きを実行させることはできない。「フォルダA」というフォルダ内のデータの読み書きを実行させるためには、このフォルダ内のデータの読み書きを許可するための指紋を登録した利用者である利用者A,B,Cが、それぞれ登録した指紋の指である人差し指を指紋読取部50に置く必要がある。利用者A,B,Cによってそれぞれ右手の人差し指が置かれると、指紋読取部50は、これらの指の指紋を読み取って、各々の指紋を表す指紋データ、すなわち「利用者Aの右手人差し指の指紋データ」,「利用者Bの右手人差し指の指紋データ」及び「利用者Cの右手人差し指の指紋データ」をCPU60に供給する。続いて、CPU60は、上述した指紋登録テーブルにおいて、「フォルダA」というフォルダ内のデータの読み書き処理を特定する情報である「フォルダAの読み書き」に対応付けられた指紋データと、指紋読取部50から供給された指紋データとが一致するか否かを判定する。上述したように、指紋登録テーブルには、「フォルダAの読み書き」と、「利用者Aの右手人差し指の指紋データ」、「利用者Bの右手人差し指の指紋データ」及び「利用者Cの右手人差し指の指紋データ」からなる指紋データ群とが対応付けて記述されている。よって、CPU60は、これらの指紋データが一致すると判定し、「フォルダA」というフォルダ内のデータの読み書きを許可する。これにより、利用者Aは、このフォルダ内のデータの読み書き処理を実行させることができる。
この変形例1では、利用者A単独では、「フォルダA」というフォルダの内容の一覧のみを閲覧でき、そのフォルダ内のデータの内容までは閲覧することはできないが、例えばフォルダ内のデータの内容までは確認しなくても、フォルダ内のデータ名だけを確認すれば足りるような作業も考えられるから、そのような場合には便利である。
【0031】
また、この変形例1では、「フォルダA」というフォルダの内容の一覧を表示させるための指紋として、利用者Aの右手の親指の指紋のみが登録されていたが、例えば、利用者Aの右手の親指の指紋と、利用者Bの右手の親指の指紋と、利用者Cの右手の親指の指紋とが登録され、いずれかの利用者の指紋が読み取られた場合に、このフォルダの内容の一覧を表示させるようにしてもよい。
【0032】
以上説明した変形例1によれば、データの内容の一覧表示とデータの読み書きとで、データ保護のセキュリティレベルを異ならせることができる。また、上述したように、フォルダ内のデータの読み書きを許可するための指紋として、複数の利用者の指紋を登録することにより、データの読み書きについてのセキュリティレベルを高めて、このフォルダに格納されているデータの不正コピーや改竄などを防ぐことができる。
【0033】
(変形例2)
上述した実施形態では、フォルダ作成時に登録された指紋が読み取られたときに、そのフォルダの一覧表示が行われていたが、指紋の読み取りによって実行される処理はこれだけに限らない。例えば、予め登録された指紋を読み取ることによって、メモリ70に記憶されている全てのデータを消去する処理や録音処理など、フォルダを指定しない処理が行われてもよい。
図8は、この変形例2に係るメモリ70に記憶される指紋登録テーブルT2の一例を示す図である。この指紋登録テーブルT2には、CPU60によって実行される処理を特定する「処理特定情報」と、登録された指紋を表す「指紋データ又は指紋データ群」とが対応付けて記述されている。例えば、指紋登録テーブルT2の最上段のレコードには、「録音」と「利用者Aの右手親指の指紋データ」とが対応付けて記述されている。これは、「利用者Aの右手親指の指紋データ」と一致する指紋が読み取られたときに、「録音」処理が許可されて、実行されることを表している。
【0034】
この指紋登録テーブルT2のデータ登録は、以下のようにして行われる。まず、利用者は、操作部10を操作して、指紋登録画面の表示を指示する。この操作に応じて、CPU60は、表示部20に指紋登録画面を表示させる。図9は、この指紋登録画面R2の一例を示す図である。利用者は、表示部20に表示された指紋登録画面R2の案内に従って、まず、指紋を登録する指を指紋読取部50に置く。利用者によって指が置かれると、指紋読取部50は、上述と同様にして、この指の指紋を読み取ってその指紋を表す指紋データを生成し、CPU60に供給する。さらに、利用者は、この指紋登録画面R2の案内に従って、登録した指紋の認証によって実行させる処理を選択する。図9に示すように、指紋登録画面R2には、CPU60によって実行される「録音」,「全データ消去」などの処理を選択するためのラジオボタンrが設けられている。利用者は、操作部10を操作して、いずれかのラジオボタンrを選択することで、登録した指紋の認証によって実行される処理を選択する。このようにして、指紋の認証によって実行される処理の内容が選択されると、CPU60は、指紋読取部50から供給された指紋データと、選択された処理を特定する処理特定情報とを対応付けて、メモリ70に記憶された指紋登録テーブルT2に登録する。これにより、指紋登録テーブルT2には、図8に示したようなデータが対応付けて記述されることになる。
【0035】
次に、この変形例2に係る録音装置1の動作について説明する。
例えば、利用者Aが、録音処理を実行させる場合を想定する。この場合、利用者Aは、録音処理を実行させるための指紋を登録した指である右手親指を指紋読取部50に置くことになる。利用者Aによって右手親指が置かれると、指紋読取部50は、上述と同様にして、この利用者Aの右手親指の指紋を読み取り、この指紋を表す指紋データ、すなわち「利用者Aの右手親指の指紋データ」をCPU60に供給する。続いて、CPU60は、指紋読取部50から供給された指紋データと、指紋登録テーブルT2の指紋データ又は指紋データ群とを照合し、それらが一致するか否かを判定する。図8に示したように、指紋登録テーブルT2には、「利用者Aの右手親指の指紋データ」が単独で記述されている。よって、CPU60は、指紋読取部50から供給された指紋データと指紋登録テーブルT2の指紋データとが一致すると判定する。そして、CPU60は、この指紋登録テーブルT2において「利用者Aの右手親指の指紋データ」に対応付けられた「録音」を特定し、この「録音」によって特定される録音処理を実行する。これにより、利用者Aは、操作部10を操作しなくとも、録音処理を実行させることができる。
【0036】
以上説明した変形例2によれば、予め登録した指紋を読み取らせることにより、その指紋に対応する処理が許可されるとともに、その処理が実行される。これにより、フォルダを指定しないような処理を実行することができる。
【0037】
(変形例3)
上述した実施形態では、各々のフォルダ毎に指紋が登録されていたが、この構成に限らない。例えば、フォルダ以外にも、メモリ70に記憶されているデータそのものなど、CPU60によって行われる処理の対象毎に各々異なる指紋が登録されてもよい。また、その処理の内容毎に各々異なる指紋が登録されてもよい。
図10は、この変形例3のメモリ70に記憶される指紋登録テーブルT3の一例を示す図である。この指紋登録テーブルT3には、「処理特定情報」として、「処理対象」に関する情報と、「処理内容」に関する情報とが記述されている。処理対象に関する情報としては、メモリ70上に設けられたフォルダのフォルダ名のほか、フォルダに格納されているデータを識別する識別情報であるデータ名が記述されている。また、処理内容に関する情報としては、フォルダ又はデータを対象とする処理の内容を表す処理内容が記述されている。そして、これらの「処理特定情報」と、登録された指紋を表す「指紋データ」とが対応付けて記述されている。例えば、指紋登録テーブルT3の最上段のレコードには、「音データd1」と「利用者Aの右手親指の指紋データ」とが対応付けて記述されている。これは、「利用者Aの右手親指の指紋データ」と一致する指紋が読み取られたときに、「音データd1」という音データが処理の対象として指定されることを表している。また、この指紋登録テーブルT3の上から2段目のレコードには、「コピー」と「利用者Aの左手親指の指紋データ」とが対応付けて記述されている。これは、「利用者Aの左手親指の指紋データ」と一致する指紋が読み取られたときに、処理の対象が「コピー」されることを表している。
【0038】
この指紋登録テーブルT3のデータ登録は、上述した変形例2と同様に行われる。ただし、図9に示した指紋登録画面R2においてCPU60によって実行される処理を選択するためのラジオボタンrに代えて、CPU60によって実行される処理の対象又はその処理の内容を選択するためのラジオボタンrが設けられる。利用者は、操作部10を操作して、いずれかのラジオボタンrを選択することで、登録した指紋の認証によって指定する処理対象又は実行される処理内容のいずれかを選択することになる。そして、利用者によって処理対象又は処理内容のいずれかが選択されると、CPU60は、指紋読取部50から供給された指紋データと、選択された処理の対象又は処理の内容処理とを対応付けて、メモリ70に記憶された指紋登録テーブルT3に登録する。これにより、指紋登録テーブルT3には、図10に示したようなデータが対応付けて記述されることになる。
【0039】
次に、この変形例3に係る録音装置1の動作について説明する。
例えば、利用者Aが、「フォルダA」というフォルダに格納されている「音データd1」という音データをコピーする処理を実行させる場合を想定する。この場合、利用者Aは、コピーの対象となる「音データd1」という音データを指定するための指紋を登録した指である右手親指と、処理対象を「コピー」させるための指紋を登録した指である左手親指とを、所定の順番に或いは同時に、指紋読取部50に置く。利用者Aによってこれらの指が置かれると、指紋読取部50は、上述と同様にして、利用者Aの右手親指の指紋と左手親指の指紋とをそれぞれ読み取り、各々の指紋を表す指紋データ、すなわち「利用者Aの右手親指の指紋データ」と「利用者Aの左手親指の指紋データ」とをCPU60に供給する。続いて、CPU60は、指紋読取部50から供給された各々の指紋データと、指紋登録テーブルT3の指紋データとを照合し、それらが一致するか否かを判定する。図10に示したように、指紋登録テーブルT3には、「利用者Aの右手親指の指紋データ」と「利用者Aの左手親指の指紋データ」とがそれぞれ単独で記述されている。よって、CPU60は、指紋読取部50から供給された指紋データと指紋登録テーブルT3の指紋データとが一致すると判定する。そして、CPU60は、図10に示した指紋登録テーブルT3において「利用者Aの右手親指の指紋データ」に対応付けられた「音データd1」と、「利用者Aの左手親指の指紋データ」に対応付けられた「コピー」とを特定し、「音データd1」という音データを「コピー」する処理を実行する。
【0040】
続いて、利用者Aが、上述のようにしてコピーした「音データd1」という音データを「フォルダB」というフォルダにペーストする処理を実行させる場合を想定する。この場合、利用者Aは、上述と同様にして、ペーストの対象となる「フォルダB」というフォルダを指定するための指紋を登録した指である右手人差し指と、処理対象を「ペースト」させるための指紋を登録した指である左手人差し指とを、指紋読取部50に置くことになる。利用者Aによってこれらの指が置かれると、指紋読取部50は、上述と同様にして、利用者Aの右手人差し指の指紋と左手人差し指の指紋とをそれぞれ読み取り、各々の指紋を表す指紋データ、すなわち「利用者Aの右手人差し指の指紋データ」と「利用者Aの左手人差し指の指紋データ」とをCPU60に供給する。続いて、CPU60は、指紋読取部50から供給された各々の指紋データと、指紋登録テーブルT3の指紋データとを照合し、それらが一致するか否かを判定する。図10に示したように、指紋登録テーブルT3には、「利用者Aの右手人差し指の指紋データ」と「利用者Aの左手人差し指の指紋データ」とがそれぞれ単独で記述されている。よって、CPU60は、指紋読取部50から供給された指紋データと指紋登録テーブルT3の指紋データとが一致すると判定する。そして、CPU60は、図10に示した指紋登録テーブルT3において「利用者Aの右手人差し指の指紋データ」に対応付けられた「フォルダB」と、「利用者Aの左手人差し指の指紋データ」に対応付けられた「ペースト」とを特定し、上述のようにしてコピーした「音データd1」という音データを「フォルダB」というフォルダに「ペースト」する処理を実行する。
【0041】
以上説明した変形例3によれば、処理対象と処理内容とをそれぞれ別々に指定した処理を実行することができる。
なお、上述した実施形態においては、指紋登録テーブルT1に記述された「フォルダ名」が、処理対象となるフォルダを指定すると共に、そのフォルダを用いた処理の内容を特定する処理特定情報として機能していた。つまり、指紋登録テーブルT1には、指紋データに対応付けて、フォルダを識別するフォルダ名が「処理特定情報」として記述されていた。これに対し、上記変形例3では、指紋登録テーブルT3に記述された「処理対象」に関する情報が“処理の対象”を指定し、指紋登録テーブルT3に記述された「処理内容」に関する情報が“処理の内容”を指定しており、これら2つの情報からなる「処理特定情報」が指紋データに対応付けて記述されている。従って、実施形態であっても変形例3であっても、さらには変形例1,2であっても、指紋登録テーブルには、人体の生体的特徴を表す生体情報と、処理を特定する処理特定情報とが対応付けて記述されているという点では共通している。
【0042】
(変形例4)
上述した実施形態では、指紋を読み取ることで、その指紋に対応する処理を行っていたが、指紋に限らず、声紋や虹彩などの生体情報が用いられてよい。その場合、録音装置1には、使用される生体情報に応じた読取手段が設けられることになる。例えば、声紋が用いられる場合には、マイクロフォン30に入力された音声を分析して、その特徴を抽出したパターンを生成する音声分析部が読取手段として設けられることになる。
【0043】
また、指紋と声紋など、異なる複数種類の生体情報が用いられてもよい。例えば、上述した変形例3において、処理対象を指定するための生体情報として指紋が登録され、処理内容に応じた処理を実行させるための生体情報として声紋が登録されてもよい。この場合、利用者は、処理対象を指定する時には、指紋を読み取らせ、処理内容に応じた処理を実行させる時には、声紋を読み取らせることになる。これにより、登録し得る生体情報が増えるため、自身の生体的特徴を読み取らせるだけで、より多くの処理を実行させることができる。
【0044】
(変形例5)
上述した実施形態では、本実施形態に係る処理を行う装置として、録音装置1を用いた場合について説明したが、このような処理を行う装置は録音装置1に限らない。本実施形態に係る処理を行う装置としては、例えば、楽曲を表す音データを再生する音楽再生装置であってもよく、要するに、データを用いて各種の処理を行う情報処理装置であればよい。
なお、指紋読取部50などの、利用者の生体的特徴を読み取って当該生体的特徴を表す生体情報を出力する読取手段は、情報処理装置に着脱自在の別体装置であってもよい。
【0045】
(変形例6)
上述した録音装置1のCPU60が実行するプログラムは、磁気テープ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光記録媒体、光磁気記録媒体、RAMなどの記録媒体に記録した状態で提供し得る。また、インターネットなどのネットワーク経由でコンピュータにダウンロードさせることも可能である。即ち、本発明をプログラムとして実現することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】実施形態に係る録音装置の外観を示す図である。
【図2】同録音装置の構成を示すブロック図である。
【図3】同録音装置が記憶する指紋登録テーブルの一例を示す図である。
【図4】同録音装置が表示する指紋登録画面の一例を示す図である。
【図5】同実施形態においてフォルダを使用するときの動作を示すフロー図である。
【図6】同実施形態においてフォルダの内容の一覧の一例を示す図である。
【図7】同実施形態においてフォルダの内容の一覧の一例を示す図である。
【図8】変形例2に係る指紋登録テーブルの一例を示す図である。
【図9】変形例2に係る指紋登録画面の一例を示す図である。
【図10】変形例3に係る指紋登録テーブルの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
1…録音装置、10…操作部、20…表示部、30…マイクロフォン、40…スピーカ、50…指紋読取部、60…CPU、70…メモリ、T1,T2,T3…指紋登録テーブル。
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報に応じた処理を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
指紋などの生体的特徴を表す生体情報を用いた認証を行って、情報処理装置や記憶装置に格納されたデータへのアクセスを制限する技術が知られている。例えば、特許文献1〜3には、指紋認証によって認証された正当な利用者については、データの録音、再生、削除などを許可する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2000−352998号公報
【特許文献2】特開2005−117105号公報
【特許文献3】特開2007−109027号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述した特許文献1又は2に記載されているような録音装置や携帯電話などの筐体が小さい装置では、限られた数や種類の操作ボタンしか設けることができないため、処理を指示するときの操作が煩雑になることがある。例えば、あるフォルダに記憶されているデータを他のフォルダに移動させる場合には、フォルダが階層構造になっているため、指紋認証を経てから、まずは、その階層を順次辿って移動対象となるデータを探し出し、次に、そのデータが記憶されているフォルダから、最上階層のフォルダまで順に移動するための操作を繰り返す。さらに、最上階層のフォルダまで移動したら、今度は移動先のフォルダに移動するために、一階層ずつ下のフォルダに移動するための操作を繰り返さなくてはならない。
また、録音装置は、携帯に便利であるため、例えば会議室において重要な会議の音声が録音されたり、あるいは音楽の収録室で制作中の音楽が録音されたりする場合がある。このようにして録音されたデータは、いずれも機密性が高いデータであるため、より強固に保護することが望まれている。
本発明はこのような背景に鑑みてなされたものであり、不正漏洩などがないようにデータを保護するとともに、そのデータを用いた処理を指示するための操作を簡易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するため、本発明は、データを用いた処理を行う処理手段と、人体の生体的特徴を表す生体情報と、前記処理手段によって行われる処理を特定する処理特定情報とを対応付けて記憶する生体情報記憶手段と、利用者の生体的特徴を読み取って当該生体的特徴を表す生体情報を出力する読取手段から前記生体情報を取得し、当該生体情報が、前記生体情報記憶手段に記憶されている生体情報と一致するか否かを判定する判定手段とを備え、前記処理手段は、前記読取手段から取得された生体情報が前記生体情報記憶手段に記憶されている生体情報と一致すると前記判定手段により判定された場合には、当該生体情報に対応付けて記憶されている処理特定情報によって特定される処理を行うことを特徴とする情報処理装置を提供する。
【0005】
本発明の好ましい態様においては、前記処理手段が行う処理に用いられるデータを分別して格納する複数のデータ格納手段を備え、前記生体情報記憶手段は、前記処理特定情報として、前記データ格納手段又は当該データ格納手段に格納されているデータを識別する識別情報と、当該データ格納手段又は当該データを対象とした処理の内容を表す処理内容とを記憶しており、前記処理手段は、前記読取手段から取得された生体情報が前記生体情報記憶手段に記憶されている生体情報と一致すると前記判定手段により判定された場合には、当該生体情報に対応付けて記憶されている前記識別情報によって識別されるデータ格納手段又はデータを対象として、前記処理内容によって表される内容の処理を行ってもよい。
【0006】
本発明の好ましい態様においては、前記処理手段が行う処理に用いられるデータを分別して格納する複数のデータ格納手段を備え、前記生体情報記憶手段は、前記生体情報に対応付けて、前記複数のデータ格納手段のうちのいずれかを識別する識別情報を前記処理特定情報として記憶し、前記処理手段は、前記読取手段から取得された生体情報が前記生体情報記憶手段に記憶されている生体情報と一致すると前記判定手段により判定された場合には、当該生体情報に対応付けて記憶されている前記識別情報によって識別されるデータ格納手段に格納されているデータの一覧を表示手段に表示させる処理を行ってもよい。
【0007】
本発明の好ましい態様において、前記生体情報記憶手段は、1又は複数種類の前記生体情報からなる生体情報群と、前記処理特定情報とを対応付けて記憶し、前記判定手段は、前記読取手段から取得した各々の生体情報が、前記生体情報記憶手段に記憶されている前記生体情報群に含まれる全ての生体情報とそれぞれ一致するか否かを判定し、前記処理手段は、前記判定手段によって、前記読取手段から取得された各々の生体情報が前記生体情報記憶手段に記憶されている前記生体情報群に含まれる全ての生体情報とそれぞれ一致すると判定された場合には、当該生体情報群に対応付けて記憶されている処理特定情報によって特定される処理を行ってもよい。
【0008】
本発明の好ましい態様において、前記生体的特徴は、指紋、虹彩又は声紋の少なくともいずれか1つを含んでもよい。
【0009】
また、本発明は、コンピュータを、データを用いた処理を行う処理手段と、人体の生体的特徴を表す生体情報と、前記処理手段によって行われる処理を特定する処理特定情報とを対応付けて記憶する生体情報記憶手段と、利用者の生体的特徴を読み取って当該生体的特徴を表す生体情報を出力する読取手段から前記生体情報を取得し、当該生体情報が前記生体情報記憶手段に記憶されている生体情報と一致するか否かを判定する判定手段として機能させ、前記処理手段は、前記読取手段から取得された生体情報が前記生体情報記憶手段に記憶されている生体情報と一致すると前記判定手段により判定された場合には、当該生体情報に対応付けて記憶されている処理特定情報によって特定される処理を行うプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、データを保護するとともに、そのデータを用いた処理を指示するための操作を簡易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[構成]
図1は、本実施形態に係る録音装置1の外観を示す図である。同図に示すように、録音装置1は、操作部10と、表示部20と、マイクロフォン30と、スピーカ40と、指紋読取部50とを備えている。この録音装置1は、マイクロフォン30に入力された音を記録する録音機能と、記録した音をスピーカ40から再生する再生機能とを有する。図2は、図1に示した録音装置1の構成を示すブロック図である。同図に示すように、録音装置1は、前述した操作部10と、表示部20と、マイクロフォン30と、スピーカ40と、指紋読取部50のほか、CPU(Central Processing Unit)60と、メモリ70とを備えている。
【0012】
CPU60は、メモリ70に記憶されているプログラムを実行することにより、データを用いた各種処理を行う処理手段である。操作部10は、例えば各種の操作ボタンを備え、利用者の操作を受け付けて、その操作に応じた操作信号をCPU60に供給する。表示部20は、例えば液晶ディスプレイや液晶駆動回路を備え、CPU60による制御の下で各種の画像を表示する。
【0013】
マイクロフォン30は、人間の声や楽曲などの音を収集し、収集した音を表す音データをCPU60に供給する。上述した録音機能は、CPU60がマイクロフォン30から供給された音データをメモリ70に記憶させる録音処理を行うことによって実現される。スピーカ40は、CPU60の制御の下で、音声データに基づいた音を出力する。上述した再生機能は、CPU60がメモリ70に記憶されている音データをスピーカ40に供給し、その音データに基づいた音をスピーカ40から出力させる再生処理を行うことによって実現される。
【0014】
指紋読取部50は、利用者の指先の指紋を読み取り、その指紋を表す指紋データを生成して出力する読取手段である。例えば、この指紋読取部50は、複数の電極を備え、利用者の指が置かれたときに各々の電極に溜まる電荷の量に応じてその指の指紋の凹凸を検出する静電容量式指紋センサである。あるいは、この指紋読取部50は、CCD(Charge Coupled Device)センサを備え、このCCDセンサを用いて利用者の指の指紋を撮像する光学式指紋センサであってもよい。
【0015】
メモリ70は、例えばフラッシュメモリやRAM(Random Access Memory)であり、CPU60によって実行されるプログラムのほかに、上述した録音処理によって記憶される複数の音データと、指紋登録テーブルT1とを記憶する。これらの音データは、それぞれファイル形式のデータであり、ツリー構造に従って階層的に整理された状態で管理されている。以下では、このツリー構造における各ノードに相当する構成を「フォルダ」という。各フォルダは、各々の音データを論理的に分別して格納する「データ格納手段」として機能する。
【0016】
図3は、指紋登録テーブルT1の一例を示す図である。この指紋登録テーブルT1には、メモリ70上に作成されたフォルダを識別する「フォルダ名」と、そのフォルダ作成時に登録された指紋を表す「指紋データ又指紋データ群」とが対応付けて記述されている。指紋登録テーブルT1に記述されたデータのうち、「フォルダ名」は、CPU60によって行われる処理を特定する処理特定情報であり、「指紋データ又は指紋データ群」は、人体の生体的特徴を表す生体情報である。例えば、指紋登録テーブルT1の最上段のレコードには、「フォルダA」と「利用者Aの右手親指の指紋データ」とが対応付けて記述されている。これは、「利用者Aの右手親指の指紋データ」と一致する指紋が読み取られたときに、「フォルダA」というフォルダの使用が許可されるとともに、そのフォルダの内容の一覧が表示されることを表している。また、上から2段目のレコードには、「フォルダB」と、「利用者Aの右手人差し指の指紋データ」,「利用者Bの右手人差し指の指紋データ」及び「利用者Cの右手人差し指の指紋データ」からなる指紋データ群とが対応付けて記述されている。これは、「利用者Aの右手人差し指の指紋データ」,「利用者Bの右手人差し指の指紋データ」及び「利用者Cの右手人差し指の指紋データ」の各々の指紋データと一致する全ての指紋が読み取られたときに、「フォルダB」というフォルダの使用が許可されるとともに、そのフォルダの内容の一覧が表示されることを表している。
【0017】
ここで、指紋登録テーブルT1にデータを登録するときの仕組みについて説明する。
この指紋登録テーブルT1は、新規フォルダの作成に伴って、データ登録が行われるようになっている。例えば、利用者Aによって操作部10が操作されて、新規フォルダの作成が指示されると、CPU60は、まず、指紋登録画面を表示部20に表示させる。図4は、この指紋登録画面R1の一例を示す図である。同図に示すように、この指紋登録画面R1には、利用者に指紋の登録を促すメッセージ画像が含まれている。利用者Aは、このメッセージ画像の案内に従って、指紋を登録する指、例えば右手の親指を指紋読取部50に置く。利用者Aによって右手の親指が置かれると、指紋読取部50は、この指の指紋を読み取る。そして、指紋読取部50は、その指紋を表す指紋データ、すなわち「利用者Aの右手親指の指紋データ」を生成してCPU60に供給する。CPU60は、新規フォルダのフォルダ名、例えば「フォルダA」と、指紋読取部50から供給された「利用者Aの右手親指の指紋データ」とを対応付けて、メモリ70の指紋登録テーブルT1に登録する。これにより、指紋登録テーブルT1には、図3に示したように「フォルダA」と「利用者Aの右手親指の指紋データ」とが対応付けて記述されることになる。このようにして、指紋登録テーブルT1にデータ登録を行ったのち、CPU60は、メモリ70上に「フォルダA」という新規のフォルダを作成する。この「フォルダA」というフォルダ内には、例えば、利用者Aによって作成された楽曲を表す「音データd1」という音データなどが格納される。
【0018】
また、上述した指紋の登録において複数の利用者、例えば利用者A,B,Cが指紋の登録を行う場合、これらの利用者は、指紋を登録する指、例えば右手の人差し指をそれぞれ指紋読取部50に置くことになる。指紋読取部50は、これらの指の指紋を読み取り、各々の指紋を表す指紋データ、すなわち「利用者Aの右手人差し指の指紋データ」,「利用者Bの右手人差し指の指紋データ」及び「利用者Cの右手人差し指の指紋データ」を生成してCPU60に供給する。CPU60は、新規フォルダのフォルダ名、例えば「フォルダB」と、指紋読取部50から供給された「利用者Aの右手人差し指の指紋データ」,「利用者Bの右手人差し指の指紋データ」及び「利用者Cの右手人差し指の指紋データ」からなる指紋データ群とを対応付けて、メモリ70の指紋登録テーブルT1に登録する。これにより、指紋登録テーブルT1には、図3に示したように「フォルダB」と「利用者Aの右手人差し指の指紋データ」,「利用者Bの右手人差し指の指紋データ」及び「利用者Cの右手人差し指の指紋データ」からなる指紋データ群とが対応付けて記述されることになる。このようにして、指紋登録テーブルT1にデータ登録を行ったのち、CPU60は、メモリ70上に「フォルダB」という新規のフォルダを作成する。この「フォルダB」というフォルダ内には、例えば、利用者A,B,Cが出席した重要な会議の音声を表す「音データd5」という音データなどが格納される。
【0019】
[動作]
(動作の概略)
次に、フォルダを使用するときの録音装置1の動作について説明する。まず、図5を参照して、この動作の概略について説明する。利用者は、録音装置1にフォルダを使用した処理を行わせたい場合、まず最初に、そのフォルダ作成時に指紋を登録した指を指紋読取部50に置く。利用者によって指が置かれると、指紋読取部50は、その指の指紋を読み取る(ステップS110)。そして、指紋読取部50は、読み取った指紋を表す指紋データを生成し、CPU60に供給する。CPU60は、指紋読取部50から供給された指紋データと、指紋登録テーブルT1の指紋データ又は指紋データ群とを照合し、それらが一致するか否かを判定する(ステップS120)。例えば、指紋読取部50から供給された指紋データが指紋登録テーブルT1に記述されていない、又は、指紋読取部50から供給された指紋データが指紋登録テーブルT1の各レコードの指紋データ群の一部としか一致しない場合、CPU60は、指紋読取部50から供給された指紋データが、指紋登録テーブルT1の指紋データ又は指紋データ群と一致しないと判定する(ステップS120:NO)。この場合、CPU60は、利用者にフォルダ使用の権限がないとみなし、この処理を終了する。
【0020】
一方、指紋読取部50から供給された指紋データが指紋登録テーブルT1に単独で記述されている、又は、指紋読取部50から供給された各々の指紋データと指紋登録テーブルT1の或るレコードの指紋データ群に含まれる全ての指紋データとがそれぞれ一致する場合、CPU60は、指紋読取部50から供給された指紋データが、指紋登録テーブルT1の指紋データ又は指紋データ群と一致すると判定する(ステップS120:YES)。なお、指紋データが単独で記述されているということは、上述したデータ登録において1つの指紋のみが登録されたことを意味している。この場合、CPU60は、指紋登録テーブルT1を参照して、その指紋データと対応付けられたフォルダ名を特定し、特定したフォルダ名によって識別されるフォルダの内容を表示部20に表示させる(ステップS130)。このフォルダの内容とは、例えばフォルダに格納されている音データのデータ名の一覧である。これにより、利用者は、このフォルダを使用した処理、例えばフォルダ内のデータの再生やデータの追加、変更、削除などの処理を実行させることができる。
【0021】
次に、録音装置1の具体的な動作について、幾つか例を挙げて説明する。
(フォルダの内容の閲覧)
例えば、利用者Aが、「フォルダA」というフォルダの内容の一覧を閲覧する場合を想定する。この場合、利用者Aは、このフォルダの作成時に登録した指紋の指である右手親指を指紋読取部50に置くことになる。利用者Aによって右手親指が置かれると、ステップS110では、この利用者Aの右手親指の指紋が読み取られ、この指紋を表す指紋データ、すなわち「利用者Aの右手親指の指紋データ」がCPU60に供給される。図3に示したように、指紋登録テーブルT1には、この「利用者Aの右手親指の指紋データ」が単独で記述されている。よって、続くステップS120では、指紋読取部50から供給された指紋データと指紋登録テーブルT1の指紋データとが一致すると判定される。そして、ステップS130では、図3に示した指紋登録テーブルT1において「利用者Aの右手親指の指紋データ」に対応付けられた「フォルダA」が特定され、この「フォルダA」というフォルダの内容の一覧が表示部20に表示される。これにより、利用者Aは、「フォルダA」というフォルダを用いた処理を実行させることができる。
【0022】
図6は、このときに表示部20に表示されるフォルダの内容の一覧S1の一例を示す図である。同図に示すように、このフォルダの内容の一覧S1には、フォルダ名である「フォルダA」と、このフォルダ内に格納されているデータのデータ名である「音データd1」,「音データd2」,「音データd3」などが含まれている。例えば、利用者Aによって、操作部10が操作されて、例えば「音データd1」という音データが選択されて、この音データの再生処理が指示されると、CPU60は、この指示に従って、「フォルダA」というフォルダに格納されている「音データd1」という音データをメモリ70から読み出して、スピーカ40に供給する。これにより、スピーカ40から、「音データd1」という音データに基づいた音、すなわち利用者Aが作成した楽曲が出力される。
【0023】
(他のフォルダへのデータ移動)
続いて、利用者Aが、図6に示した「音データd1」という音データを「フォルダC」というフォルダに移動させる場合を想定する。この場合、利用者Aは、まず、操作部10を操作して、「フォルダA」というフォルダに格納されている「音データd1」という音データを移動対象として指定する。続いて、利用者Aは、その音データの移動先である「フォルダC」というフォルダの作成時に登録した指紋の指である右手中指を指紋読取部50に置く。利用者Aによって右手中指が置かれると、ステップS110では、この指の指紋が読み取られ、この指紋を表す指紋データ、すなわち「利用者Aの右手中指の指紋データ」がCPU60に供給される。図3に示したように、指紋登録テーブルT1には、この「利用者Aの右手中指の指紋データ」が単独で記述されている。よって、続くステップS120では、指紋読取部50から供給された指紋データと指紋登録テーブルT1の指紋データとが一致すると判定される。そして、ステップS130では、図3に示した指紋登録テーブルT1において「利用者Aの右手中指の指紋データ」に対応付けられた「フォルダC」が特定され、この「フォルダC」というフォルダの内容の一覧が表示部20に表示される。つまり、利用者Aは、操作部10を操作しなくても、自身の右手の中指を指紋読取部50に置くという簡易な動作だけで、表示部20の表示内容を、「フォルダA」というフォルダの内容の一覧S1から「フォルダC」というフォルダの内容の一覧に切り替えることができる。
【0024】
そして、利用者Aは、操作部10を操作して、移動対象として指定した「音データd1」といく音データを「フォルダC」というフォルダに移動させる。図7は、このときの「フォルダC」というフォルダの内容の一覧S2の一例を示す図である。同図に示すように、このフォルダの内容の一覧S2には、フォルダ名である「フォルダC」と、そのフォルダ内に格納されているデータのデータ名である「音データd1」,「音データd10」,「音データd11」などが含まれている。これは、「フォルダA」に格納されていた「音データd1」という音データが移動されて、「フォルダC」というフォルダに新たに追加されたことを表している。このように、利用者Aは、簡易な操作で他のフォルダへのデータ移動を行うことができる。
【0025】
(複数の指紋が登録されたフォルダの閲覧)
また、利用者Aが、フォルダ作成時に複数の指紋が登録された「フォルダB」というフォルダの内容を閲覧する場合を想定する。この場合、このフォルダの作成時に指紋を登録した利用者である利用者A,B,Cが全員揃う必要がある。そして各利用者A,B,Cは、それぞれ登録した指紋の指である右手人差し指を指紋読取部50に置く。利用者A,B,Cによってそれぞれ右手の人差し指が置かれると、ステップS110では、これらの指の指紋が読み取られ、各々の指紋を表す指紋データ、すなわち「利用者Aの右手人差し指の指紋データ」,「利用者Bの右手人差し指の指紋データ」及び「利用者Cの右手人差し指の指紋データ」がCPU60に供給される。図3に示したように、指紋登録テーブルT1には、「利用者Aの右手人差し指の指紋データ」,「利用者Bの右手人差し指の指紋データ」及び「利用者Cの右手人差し指の指紋データ」からなる指紋データ群が記述されている。よって、続くステップS120では、指紋読取部50から供給された指紋データと指紋登録テーブルT1の指紋データ群とが一致すると判定される。そして、ステップS130では、図3に示した指紋登録テーブルT1においてこの指紋データ群に対応付けられている「フォルダB」が特定され、この「フォルダB」というフォルダの内容の一覧が表示部20に表示される。これにより、利用者Aは、この「フォルダB」というフォルダを用いた処理を実行させることができる。
【0026】
例えば、利用者Aによって、操作部10が操作されて、この「フォルダB」というフォルダに格納されている「音データd5」という音データが選択され、さらに、この音データの再生が指示されると、CPU60は、この指示に従って、このフォルダに格納されている「音データd5」という音データをメモリ70から読み出して、スピーカ40に供給する。これにより、スピーカ40から、「音データd5」という音データに基づいた音、すなわち利用者A,B,Cが出席した重要な会議の音声が出力される。
【0027】
なお、例えば、利用者Aの右手の人差し指の指紋のみが指紋読取部50によって読み取られた場合には、指紋読取部50から供給された指紋データが指紋登録テーブルT1の指紋データ群の一部としか一致しないことになる。この場合、指紋読取部50から供給された指紋データと指紋登録テーブルT1の指紋データ群とが一致しないと判定されるから、そのまま処理は終了する。つまり、複数の指紋が登録されたフォルダについては、そのフォルダ作成時に指紋を登録した全ての利用者の指紋を読み取らせないと、そのフォルダの内容の一覧表示やフォルダ内のデータの再生、追加、変更、削除などの処理を実行させることができない。これにより、指紋が登録されている一部の利用者が、そのフォルダに格納されているデータを不正にコピーしたり、勝手に改竄したりすることを防ぐことができる。
【0028】
以上説明した実施形態によれば、予め登録した指紋を読み取らせることにより、その指紋に対応するフォルダを用いた処理が許可されるとともに、そのフォルダの内容の一覧が表示される。これにより、不正漏洩などがないようにフォルダに格納されているデータを保護するとともに、フォルダの内容の一覧を表示させるための操作を簡易にすることができる。
【0029】
[変形例]
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の各変形例を適宜組み合わせてもよい。
(変形例1)
上述した実施形態では、フォルダ作成時に登録された指紋が読み取られることで、フォルダの内容の一覧表示のほか、フォルダ内のデータの読み書きなども全て許可されていた。これに対し、フォルダ内のデータの読み書きを行う場合には、さらに異なる指紋の認証を行ってもよい。
この場合、新規フォルダの作成時には、さらに、フォルダ内のデータの読み書きを許可する指紋が登録されることになる。例えば、「フォルダA」というフォルダの内容の一覧を表示させるための指紋として、利用者Aの右手の親指の指紋が登録され、さらに、このフォルダ内のデータの読み書きを許可するための指紋として、利用者Aの右手の人差し指の指紋と、利用者Bの右手の人差し指の指紋と、利用者Cの右手の人差し指の指紋とが登録された場合を想定する。この場合、指紋登録テーブルには、上述と同様にして「フォルダA」というフォルダ名と「利用者Aの右手親指の指紋データ」とが対応付けて記述されるほかに、そのフォルダ内のデータの読み書き処理を特定する情報である「フォルダAの読み書き」と「利用者Aの右手人差し指の指紋データ」,「利用者Bの右手人差し指の指紋データ」及び「利用者Cの右手人差し指の指紋データ」とが対応付けて記述される。
【0030】
利用者Aが「フォルダA」というフォルダのデータの読み書きを実行させる場合、利用者Aは、まず、上述と同様にして、このフォルダの内容の一覧表示させるための指紋を登録した指である右手親指を指紋読取部50に置くことになる。これにより、表示部20には、「フォルダA」というフォルダの内容の一覧が表示される。ただし、このままではこのフォルダ内のデータの読み書きを実行させることはできない。「フォルダA」というフォルダ内のデータの読み書きを実行させるためには、このフォルダ内のデータの読み書きを許可するための指紋を登録した利用者である利用者A,B,Cが、それぞれ登録した指紋の指である人差し指を指紋読取部50に置く必要がある。利用者A,B,Cによってそれぞれ右手の人差し指が置かれると、指紋読取部50は、これらの指の指紋を読み取って、各々の指紋を表す指紋データ、すなわち「利用者Aの右手人差し指の指紋データ」,「利用者Bの右手人差し指の指紋データ」及び「利用者Cの右手人差し指の指紋データ」をCPU60に供給する。続いて、CPU60は、上述した指紋登録テーブルにおいて、「フォルダA」というフォルダ内のデータの読み書き処理を特定する情報である「フォルダAの読み書き」に対応付けられた指紋データと、指紋読取部50から供給された指紋データとが一致するか否かを判定する。上述したように、指紋登録テーブルには、「フォルダAの読み書き」と、「利用者Aの右手人差し指の指紋データ」、「利用者Bの右手人差し指の指紋データ」及び「利用者Cの右手人差し指の指紋データ」からなる指紋データ群とが対応付けて記述されている。よって、CPU60は、これらの指紋データが一致すると判定し、「フォルダA」というフォルダ内のデータの読み書きを許可する。これにより、利用者Aは、このフォルダ内のデータの読み書き処理を実行させることができる。
この変形例1では、利用者A単独では、「フォルダA」というフォルダの内容の一覧のみを閲覧でき、そのフォルダ内のデータの内容までは閲覧することはできないが、例えばフォルダ内のデータの内容までは確認しなくても、フォルダ内のデータ名だけを確認すれば足りるような作業も考えられるから、そのような場合には便利である。
【0031】
また、この変形例1では、「フォルダA」というフォルダの内容の一覧を表示させるための指紋として、利用者Aの右手の親指の指紋のみが登録されていたが、例えば、利用者Aの右手の親指の指紋と、利用者Bの右手の親指の指紋と、利用者Cの右手の親指の指紋とが登録され、いずれかの利用者の指紋が読み取られた場合に、このフォルダの内容の一覧を表示させるようにしてもよい。
【0032】
以上説明した変形例1によれば、データの内容の一覧表示とデータの読み書きとで、データ保護のセキュリティレベルを異ならせることができる。また、上述したように、フォルダ内のデータの読み書きを許可するための指紋として、複数の利用者の指紋を登録することにより、データの読み書きについてのセキュリティレベルを高めて、このフォルダに格納されているデータの不正コピーや改竄などを防ぐことができる。
【0033】
(変形例2)
上述した実施形態では、フォルダ作成時に登録された指紋が読み取られたときに、そのフォルダの一覧表示が行われていたが、指紋の読み取りによって実行される処理はこれだけに限らない。例えば、予め登録された指紋を読み取ることによって、メモリ70に記憶されている全てのデータを消去する処理や録音処理など、フォルダを指定しない処理が行われてもよい。
図8は、この変形例2に係るメモリ70に記憶される指紋登録テーブルT2の一例を示す図である。この指紋登録テーブルT2には、CPU60によって実行される処理を特定する「処理特定情報」と、登録された指紋を表す「指紋データ又は指紋データ群」とが対応付けて記述されている。例えば、指紋登録テーブルT2の最上段のレコードには、「録音」と「利用者Aの右手親指の指紋データ」とが対応付けて記述されている。これは、「利用者Aの右手親指の指紋データ」と一致する指紋が読み取られたときに、「録音」処理が許可されて、実行されることを表している。
【0034】
この指紋登録テーブルT2のデータ登録は、以下のようにして行われる。まず、利用者は、操作部10を操作して、指紋登録画面の表示を指示する。この操作に応じて、CPU60は、表示部20に指紋登録画面を表示させる。図9は、この指紋登録画面R2の一例を示す図である。利用者は、表示部20に表示された指紋登録画面R2の案内に従って、まず、指紋を登録する指を指紋読取部50に置く。利用者によって指が置かれると、指紋読取部50は、上述と同様にして、この指の指紋を読み取ってその指紋を表す指紋データを生成し、CPU60に供給する。さらに、利用者は、この指紋登録画面R2の案内に従って、登録した指紋の認証によって実行させる処理を選択する。図9に示すように、指紋登録画面R2には、CPU60によって実行される「録音」,「全データ消去」などの処理を選択するためのラジオボタンrが設けられている。利用者は、操作部10を操作して、いずれかのラジオボタンrを選択することで、登録した指紋の認証によって実行される処理を選択する。このようにして、指紋の認証によって実行される処理の内容が選択されると、CPU60は、指紋読取部50から供給された指紋データと、選択された処理を特定する処理特定情報とを対応付けて、メモリ70に記憶された指紋登録テーブルT2に登録する。これにより、指紋登録テーブルT2には、図8に示したようなデータが対応付けて記述されることになる。
【0035】
次に、この変形例2に係る録音装置1の動作について説明する。
例えば、利用者Aが、録音処理を実行させる場合を想定する。この場合、利用者Aは、録音処理を実行させるための指紋を登録した指である右手親指を指紋読取部50に置くことになる。利用者Aによって右手親指が置かれると、指紋読取部50は、上述と同様にして、この利用者Aの右手親指の指紋を読み取り、この指紋を表す指紋データ、すなわち「利用者Aの右手親指の指紋データ」をCPU60に供給する。続いて、CPU60は、指紋読取部50から供給された指紋データと、指紋登録テーブルT2の指紋データ又は指紋データ群とを照合し、それらが一致するか否かを判定する。図8に示したように、指紋登録テーブルT2には、「利用者Aの右手親指の指紋データ」が単独で記述されている。よって、CPU60は、指紋読取部50から供給された指紋データと指紋登録テーブルT2の指紋データとが一致すると判定する。そして、CPU60は、この指紋登録テーブルT2において「利用者Aの右手親指の指紋データ」に対応付けられた「録音」を特定し、この「録音」によって特定される録音処理を実行する。これにより、利用者Aは、操作部10を操作しなくとも、録音処理を実行させることができる。
【0036】
以上説明した変形例2によれば、予め登録した指紋を読み取らせることにより、その指紋に対応する処理が許可されるとともに、その処理が実行される。これにより、フォルダを指定しないような処理を実行することができる。
【0037】
(変形例3)
上述した実施形態では、各々のフォルダ毎に指紋が登録されていたが、この構成に限らない。例えば、フォルダ以外にも、メモリ70に記憶されているデータそのものなど、CPU60によって行われる処理の対象毎に各々異なる指紋が登録されてもよい。また、その処理の内容毎に各々異なる指紋が登録されてもよい。
図10は、この変形例3のメモリ70に記憶される指紋登録テーブルT3の一例を示す図である。この指紋登録テーブルT3には、「処理特定情報」として、「処理対象」に関する情報と、「処理内容」に関する情報とが記述されている。処理対象に関する情報としては、メモリ70上に設けられたフォルダのフォルダ名のほか、フォルダに格納されているデータを識別する識別情報であるデータ名が記述されている。また、処理内容に関する情報としては、フォルダ又はデータを対象とする処理の内容を表す処理内容が記述されている。そして、これらの「処理特定情報」と、登録された指紋を表す「指紋データ」とが対応付けて記述されている。例えば、指紋登録テーブルT3の最上段のレコードには、「音データd1」と「利用者Aの右手親指の指紋データ」とが対応付けて記述されている。これは、「利用者Aの右手親指の指紋データ」と一致する指紋が読み取られたときに、「音データd1」という音データが処理の対象として指定されることを表している。また、この指紋登録テーブルT3の上から2段目のレコードには、「コピー」と「利用者Aの左手親指の指紋データ」とが対応付けて記述されている。これは、「利用者Aの左手親指の指紋データ」と一致する指紋が読み取られたときに、処理の対象が「コピー」されることを表している。
【0038】
この指紋登録テーブルT3のデータ登録は、上述した変形例2と同様に行われる。ただし、図9に示した指紋登録画面R2においてCPU60によって実行される処理を選択するためのラジオボタンrに代えて、CPU60によって実行される処理の対象又はその処理の内容を選択するためのラジオボタンrが設けられる。利用者は、操作部10を操作して、いずれかのラジオボタンrを選択することで、登録した指紋の認証によって指定する処理対象又は実行される処理内容のいずれかを選択することになる。そして、利用者によって処理対象又は処理内容のいずれかが選択されると、CPU60は、指紋読取部50から供給された指紋データと、選択された処理の対象又は処理の内容処理とを対応付けて、メモリ70に記憶された指紋登録テーブルT3に登録する。これにより、指紋登録テーブルT3には、図10に示したようなデータが対応付けて記述されることになる。
【0039】
次に、この変形例3に係る録音装置1の動作について説明する。
例えば、利用者Aが、「フォルダA」というフォルダに格納されている「音データd1」という音データをコピーする処理を実行させる場合を想定する。この場合、利用者Aは、コピーの対象となる「音データd1」という音データを指定するための指紋を登録した指である右手親指と、処理対象を「コピー」させるための指紋を登録した指である左手親指とを、所定の順番に或いは同時に、指紋読取部50に置く。利用者Aによってこれらの指が置かれると、指紋読取部50は、上述と同様にして、利用者Aの右手親指の指紋と左手親指の指紋とをそれぞれ読み取り、各々の指紋を表す指紋データ、すなわち「利用者Aの右手親指の指紋データ」と「利用者Aの左手親指の指紋データ」とをCPU60に供給する。続いて、CPU60は、指紋読取部50から供給された各々の指紋データと、指紋登録テーブルT3の指紋データとを照合し、それらが一致するか否かを判定する。図10に示したように、指紋登録テーブルT3には、「利用者Aの右手親指の指紋データ」と「利用者Aの左手親指の指紋データ」とがそれぞれ単独で記述されている。よって、CPU60は、指紋読取部50から供給された指紋データと指紋登録テーブルT3の指紋データとが一致すると判定する。そして、CPU60は、図10に示した指紋登録テーブルT3において「利用者Aの右手親指の指紋データ」に対応付けられた「音データd1」と、「利用者Aの左手親指の指紋データ」に対応付けられた「コピー」とを特定し、「音データd1」という音データを「コピー」する処理を実行する。
【0040】
続いて、利用者Aが、上述のようにしてコピーした「音データd1」という音データを「フォルダB」というフォルダにペーストする処理を実行させる場合を想定する。この場合、利用者Aは、上述と同様にして、ペーストの対象となる「フォルダB」というフォルダを指定するための指紋を登録した指である右手人差し指と、処理対象を「ペースト」させるための指紋を登録した指である左手人差し指とを、指紋読取部50に置くことになる。利用者Aによってこれらの指が置かれると、指紋読取部50は、上述と同様にして、利用者Aの右手人差し指の指紋と左手人差し指の指紋とをそれぞれ読み取り、各々の指紋を表す指紋データ、すなわち「利用者Aの右手人差し指の指紋データ」と「利用者Aの左手人差し指の指紋データ」とをCPU60に供給する。続いて、CPU60は、指紋読取部50から供給された各々の指紋データと、指紋登録テーブルT3の指紋データとを照合し、それらが一致するか否かを判定する。図10に示したように、指紋登録テーブルT3には、「利用者Aの右手人差し指の指紋データ」と「利用者Aの左手人差し指の指紋データ」とがそれぞれ単独で記述されている。よって、CPU60は、指紋読取部50から供給された指紋データと指紋登録テーブルT3の指紋データとが一致すると判定する。そして、CPU60は、図10に示した指紋登録テーブルT3において「利用者Aの右手人差し指の指紋データ」に対応付けられた「フォルダB」と、「利用者Aの左手人差し指の指紋データ」に対応付けられた「ペースト」とを特定し、上述のようにしてコピーした「音データd1」という音データを「フォルダB」というフォルダに「ペースト」する処理を実行する。
【0041】
以上説明した変形例3によれば、処理対象と処理内容とをそれぞれ別々に指定した処理を実行することができる。
なお、上述した実施形態においては、指紋登録テーブルT1に記述された「フォルダ名」が、処理対象となるフォルダを指定すると共に、そのフォルダを用いた処理の内容を特定する処理特定情報として機能していた。つまり、指紋登録テーブルT1には、指紋データに対応付けて、フォルダを識別するフォルダ名が「処理特定情報」として記述されていた。これに対し、上記変形例3では、指紋登録テーブルT3に記述された「処理対象」に関する情報が“処理の対象”を指定し、指紋登録テーブルT3に記述された「処理内容」に関する情報が“処理の内容”を指定しており、これら2つの情報からなる「処理特定情報」が指紋データに対応付けて記述されている。従って、実施形態であっても変形例3であっても、さらには変形例1,2であっても、指紋登録テーブルには、人体の生体的特徴を表す生体情報と、処理を特定する処理特定情報とが対応付けて記述されているという点では共通している。
【0042】
(変形例4)
上述した実施形態では、指紋を読み取ることで、その指紋に対応する処理を行っていたが、指紋に限らず、声紋や虹彩などの生体情報が用いられてよい。その場合、録音装置1には、使用される生体情報に応じた読取手段が設けられることになる。例えば、声紋が用いられる場合には、マイクロフォン30に入力された音声を分析して、その特徴を抽出したパターンを生成する音声分析部が読取手段として設けられることになる。
【0043】
また、指紋と声紋など、異なる複数種類の生体情報が用いられてもよい。例えば、上述した変形例3において、処理対象を指定するための生体情報として指紋が登録され、処理内容に応じた処理を実行させるための生体情報として声紋が登録されてもよい。この場合、利用者は、処理対象を指定する時には、指紋を読み取らせ、処理内容に応じた処理を実行させる時には、声紋を読み取らせることになる。これにより、登録し得る生体情報が増えるため、自身の生体的特徴を読み取らせるだけで、より多くの処理を実行させることができる。
【0044】
(変形例5)
上述した実施形態では、本実施形態に係る処理を行う装置として、録音装置1を用いた場合について説明したが、このような処理を行う装置は録音装置1に限らない。本実施形態に係る処理を行う装置としては、例えば、楽曲を表す音データを再生する音楽再生装置であってもよく、要するに、データを用いて各種の処理を行う情報処理装置であればよい。
なお、指紋読取部50などの、利用者の生体的特徴を読み取って当該生体的特徴を表す生体情報を出力する読取手段は、情報処理装置に着脱自在の別体装置であってもよい。
【0045】
(変形例6)
上述した録音装置1のCPU60が実行するプログラムは、磁気テープ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光記録媒体、光磁気記録媒体、RAMなどの記録媒体に記録した状態で提供し得る。また、インターネットなどのネットワーク経由でコンピュータにダウンロードさせることも可能である。即ち、本発明をプログラムとして実現することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】実施形態に係る録音装置の外観を示す図である。
【図2】同録音装置の構成を示すブロック図である。
【図3】同録音装置が記憶する指紋登録テーブルの一例を示す図である。
【図4】同録音装置が表示する指紋登録画面の一例を示す図である。
【図5】同実施形態においてフォルダを使用するときの動作を示すフロー図である。
【図6】同実施形態においてフォルダの内容の一覧の一例を示す図である。
【図7】同実施形態においてフォルダの内容の一覧の一例を示す図である。
【図8】変形例2に係る指紋登録テーブルの一例を示す図である。
【図9】変形例2に係る指紋登録画面の一例を示す図である。
【図10】変形例3に係る指紋登録テーブルの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
1…録音装置、10…操作部、20…表示部、30…マイクロフォン、40…スピーカ、50…指紋読取部、60…CPU、70…メモリ、T1,T2,T3…指紋登録テーブル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを用いた処理を行う処理手段と、
人体の生体的特徴を表す生体情報と、前記処理手段によって行われる処理を特定する処理特定情報とを対応付けて記憶する生体情報記憶手段と、
利用者の生体的特徴を読み取って当該生体的特徴を表す生体情報を出力する読取手段から前記生体情報を取得し、当該生体情報が、前記生体情報記憶手段に記憶されている生体情報と一致するか否かを判定する判定手段とを備え、
前記処理手段は、前記読取手段から取得された生体情報が前記生体情報記憶手段に記憶されている生体情報と一致すると前記判定手段により判定された場合には、当該生体情報に対応付けて記憶されている処理特定情報によって特定される処理を行う
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記処理手段が行う処理に用いられるデータを分別して格納する複数のデータ格納手段を備え、
前記生体情報記憶手段は、前記処理特定情報として、前記データ格納手段又は当該データ格納手段に格納されているデータを識別する識別情報と、当該データ格納手段又は当該データを対象とした処理の内容を表す処理内容とを記憶しており、
前記処理手段は、前記読取手段から取得された生体情報が前記生体情報記憶手段に記憶されている生体情報と一致すると前記判定手段により判定された場合には、当該生体情報に対応付けて記憶されている前記識別情報によって識別されるデータ格納手段又はデータを対象として、前記処理内容によって表される内容の処理を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記処理手段が行う処理に用いられるデータを分別して格納する複数のデータ格納手段を備え、
前記生体情報記憶手段は、前記生体情報に対応付けて、前記複数のデータ格納手段のうちのいずれかを識別する識別情報を前記処理特定情報として記憶し、
前記処理手段は、前記読取手段から取得された生体情報が前記生体情報記憶手段に記憶されている生体情報と一致すると前記判定手段により判定された場合には、当該生体情報に対応付けて記憶されている前記識別情報によって識別されるデータ格納手段に格納されているデータの一覧を表示手段に表示させる処理を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記生体情報記憶手段は、1又は複数種類の前記生体情報からなる生体情報群と、前記処理特定情報とを対応付けて記憶し、
前記判定手段は、前記読取手段から取得した各々の生体情報が、前記生体情報記憶手段に記憶されている前記生体情報群に含まれる全ての生体情報とそれぞれ一致するか否かを判定し、
前記処理手段は、前記判定手段によって、前記読取手段から取得された各々の生体情報が前記生体情報記憶手段に記憶されている前記生体情報群に含まれる全ての生体情報とそれぞれ一致すると判定された場合には、当該生体情報群に対応付けて記憶されている処理特定情報によって特定される処理を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記生体的特徴は、指紋、虹彩又は声紋の少なくともいずれか1つを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
コンピュータを、
データを用いた処理を行う処理手段と、
人体の生体的特徴を表す生体情報と、前記処理手段によって行われる処理を特定する処理特定情報とを対応付けて記憶する生体情報記憶手段と、
利用者の生体的特徴を読み取って当該生体的特徴を表す生体情報を出力する読取手段から前記生体情報を取得し、当該生体情報が前記生体情報記憶手段に記憶されている生体情報と一致するか否かを判定する判定手段として機能させ、
前記処理手段は、前記読取手段から取得された生体情報が前記生体情報記憶手段に記憶されている生体情報と一致すると前記判定手段により判定された場合には、当該生体情報に対応付けて記憶されている処理特定情報によって特定される処理を行う
プログラム。
【請求項1】
データを用いた処理を行う処理手段と、
人体の生体的特徴を表す生体情報と、前記処理手段によって行われる処理を特定する処理特定情報とを対応付けて記憶する生体情報記憶手段と、
利用者の生体的特徴を読み取って当該生体的特徴を表す生体情報を出力する読取手段から前記生体情報を取得し、当該生体情報が、前記生体情報記憶手段に記憶されている生体情報と一致するか否かを判定する判定手段とを備え、
前記処理手段は、前記読取手段から取得された生体情報が前記生体情報記憶手段に記憶されている生体情報と一致すると前記判定手段により判定された場合には、当該生体情報に対応付けて記憶されている処理特定情報によって特定される処理を行う
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記処理手段が行う処理に用いられるデータを分別して格納する複数のデータ格納手段を備え、
前記生体情報記憶手段は、前記処理特定情報として、前記データ格納手段又は当該データ格納手段に格納されているデータを識別する識別情報と、当該データ格納手段又は当該データを対象とした処理の内容を表す処理内容とを記憶しており、
前記処理手段は、前記読取手段から取得された生体情報が前記生体情報記憶手段に記憶されている生体情報と一致すると前記判定手段により判定された場合には、当該生体情報に対応付けて記憶されている前記識別情報によって識別されるデータ格納手段又はデータを対象として、前記処理内容によって表される内容の処理を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記処理手段が行う処理に用いられるデータを分別して格納する複数のデータ格納手段を備え、
前記生体情報記憶手段は、前記生体情報に対応付けて、前記複数のデータ格納手段のうちのいずれかを識別する識別情報を前記処理特定情報として記憶し、
前記処理手段は、前記読取手段から取得された生体情報が前記生体情報記憶手段に記憶されている生体情報と一致すると前記判定手段により判定された場合には、当該生体情報に対応付けて記憶されている前記識別情報によって識別されるデータ格納手段に格納されているデータの一覧を表示手段に表示させる処理を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記生体情報記憶手段は、1又は複数種類の前記生体情報からなる生体情報群と、前記処理特定情報とを対応付けて記憶し、
前記判定手段は、前記読取手段から取得した各々の生体情報が、前記生体情報記憶手段に記憶されている前記生体情報群に含まれる全ての生体情報とそれぞれ一致するか否かを判定し、
前記処理手段は、前記判定手段によって、前記読取手段から取得された各々の生体情報が前記生体情報記憶手段に記憶されている前記生体情報群に含まれる全ての生体情報とそれぞれ一致すると判定された場合には、当該生体情報群に対応付けて記憶されている処理特定情報によって特定される処理を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記生体的特徴は、指紋、虹彩又は声紋の少なくともいずれか1つを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
コンピュータを、
データを用いた処理を行う処理手段と、
人体の生体的特徴を表す生体情報と、前記処理手段によって行われる処理を特定する処理特定情報とを対応付けて記憶する生体情報記憶手段と、
利用者の生体的特徴を読み取って当該生体的特徴を表す生体情報を出力する読取手段から前記生体情報を取得し、当該生体情報が前記生体情報記憶手段に記憶されている生体情報と一致するか否かを判定する判定手段として機能させ、
前記処理手段は、前記読取手段から取得された生体情報が前記生体情報記憶手段に記憶されている生体情報と一致すると前記判定手段により判定された場合には、当該生体情報に対応付けて記憶されている処理特定情報によって特定される処理を行う
プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2009−93420(P2009−93420A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−263443(P2007−263443)
【出願日】平成19年10月9日(2007.10.9)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月9日(2007.10.9)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
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