説明

情報処理装置

【課題】 現ソフトウェアによる不具合情報を収集しておき、更新が必要な場合にのみソフトウェアを更新することで、想定外の不具合が発生するのを防止するとともに、必要なソフトウエアは確実に更新することが可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】 情報処理装置の内部で使用されるソフトウェアの不具合の情報を収集する収集手段と、前記収集手段で収集された不具合情報を記憶する記憶手段と、前記外部装置に更新対象のソフトウェアがあるか否かを検知する検知手段と、前記検知手段で検知したソフトウェアと該ソフトウェアの情報を取得する取得手段と、前記記憶手段に記憶された不具合情報と、前記取得手段で取得したソフトウェア情報とから、該ソフトウェアの更新重要度を決定する決定手段と、前記決定手段で決定した更新重要度に応じて、前記取得手段で取得したソフトウェアで装置内部のソフトウェアを更新する更新手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プリンタや複写機、ファクシミリ装置あるいはこれらの機能を兼ね備えた複合機などの情報処理装置に関し、特にネットワークを介してソフトウェアをダウンロードすることなどにより、起動させるソフトウェアを切り替えることができ、機能の追加や変更を行うことが可能な情報処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2003−186638号公報
【0003】
従来、この種のプリンタや複写機、ファクシミリ装置、あるいはこれらの機能を兼ね備えた複合機などの情報処理装置においては、制御ソフトウェアや各機能を実現するためのアプリケーションソフトウェアが、ROM(Read Only Memory)に記憶されていたため、ソフトウェアの不具合の修正や、機能追加などを行う際には、装置の構成を熟知した作業者によるROMの交換作業を必要としていた。
【0004】
しかしながら、近年、これらの情報処理装置においても、サーバ装置から通信ネットワークを介してソフトウェアをダウンロードし、このソフトウェアを書き替え可能な記録媒体に記録させる技術が提案され、ROMの交換作業という大がかりな作業を必要とすることなく、容易にソフトウェアの変更や追加を行うことが可能となっている。
【0005】
例えば、特開2003−186638号公報で開示されている技術は、装置内のソフトウェアと同一のソフトウェアを検索し、そのバージョンが、装置内のソフトウェアより新しければ更新するように構成し、同一バージョンによる無駄なダウンロードや更新、あるいは旧バージョンの上書きによるダウングレードなどのユーザによる作業ミスを防止するようにしたものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来技術の場合には、次のような問題点を有している。すなわち、上記特開2003−186638号公報に開示された技術の場合には、装置内のソフトウェアと同一のソフトウェアを検索し、そのバージョンが、装置内のソフトウェアより新しいことを検知し、新規バージョンのソフトウェアを自動更新しようとしても、当該ソフトウェアのエラー履歴などを考慮せずに新規バージョンのソフトウェアを自動更新してしまうと、想定外の不具合が発生して、装置が使用不可能な状態になってしまう虞れがあるという問題点を有していた。
【0007】
そこで、この発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、現ソフトウェアによる不具合情報を収集しておき、更新が必要な場合にのみソフトウェアを更新することで、想定外の不具合が発生するのを防止するとともに、必要なソフトウエアは確実に更新することが可能な情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載された発明は、外部装置からソフトウェアと該ソフトウェアの情報を取得して、装置内部のソフトウェアを更新するように構成された情報処理装置において、
前記情報処理装置の内部で使用されるソフトウェアの不具合の情報を収集する収集手段と、
前記収集手段で収集された不具合情報を記憶する記憶手段と、
前記外部装置に更新対象のソフトウェアがあるか否かを検知する検知手段と、
前記検知手段で検知したソフトウェアと該ソフトウェアの情報を取得する取得手段と、
前記記憶手段に記憶された不具合情報と、前記取得手段で取得したソフトウェア情報とから、該ソフトウェアの更新重要度を決定する決定手段と、
前記決定手段で決定した更新重要度に応じて、前記取得手段で取得したソフトウェアで装置内部のソフトウェアを更新する更新手段と
を備えたことを特徴とする情報処理装置である。
【0009】
また、請求項2に記載された発明は、前記収集手段は、不具合が発生したソフトウェアを特定して、前記不具合情報に含め、前記決定手段は、不具合が発生したソフトウェアであれば、更新重要度を上げることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置である。
【0010】
さらに、請求項3に記載された発明は、前記ソフトウェアの情報は、装置内の更新前ソフトウェアとの差分情報であることを特徴とする請求項1または2記載の情報処理装置である。
【0011】
又、請求項4に記載された発明は、前記ソフトウェアの情報は、不具合対策のリストを含み、前記決定手段は、不具合内容が一致した場合、更新重要度を上げることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の情報処理装置である。
【0012】
更に、請求項5に記載された発明は、前記ソフトウェアの情報は、不具合対策のリストを含み、前記決定手段は、不具合内容に応じて、更新重要度を上げることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の情報処理装置である。
【0013】
また、請求項6に記載された発明は、前記収集手段は、不具合が発生したソフトウェアを特定して、該ソフトウェアと、不具合発生箇所を不具合情報に含め、前記ソフトウェアの情報は、不具合対策の箇所を含み、前記決定手段は、不具合箇所が一致した場合、更新重要度を上げることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の情報処理装置である。
【0014】
さらに、請求項7に記載された発明は、前記外部装置のソフトウェアの種別に応じて、前記決定手段は、更新重要度を決定することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の情報処理装置である。
【0015】
又、請求項8に記載された発明は、前記ソフトウェアの種別が、動作保証であれば更新重要度を上げ、非保証であれば更新重要度を下げることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の情報処理装置である。
【0016】
更に、請求項9に記載された発明は、更新対象のソフトウェアが、不具合が発生したソフトウェアでなく、かつ、動作非保証ソフトウェアであれば、更新を自動的に行わないことを特徴とする請求項8記載の情報処理装置である。
【0017】
また、請求項10に記載された発明は、前記ソフトウェアの種別が、重要ソフトウェアであれば更新重要度を上げ、非重要ソフトウェアであれば更新重要度を下げることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の情報処理装置である。
【0018】
さらに、請求項11に記載された発明は、更新対象のソフトウェアが、不具合が発生したソフトウェアでなく、かつ、非重要ソフトウェアであれば、更新を自動的に行わないことを特徴とする請求項10記載の情報処理装置である。
【0019】
又、請求項12に記載された発明は、外部装置からソフトウェアと該ソフトウェアの情報を取得して、装置内部のソフトウェアを更新するように構成された情報処理装置のソフトウェアの更新方法であって、
前記情報処理装置の内部で使用されるソフトウェアの不具合の情報を収集するステップと、
前記収集ステップで収集された不具合情報を記憶する記憶ステップと、
前記外部装置に更新対象のソフトウェアがあるか否かを検知する検知ステップと、
前記検知ステップで検知したソフトウェアと該ソフトウェアの情報を取得する取得ステップと、
前記記憶ステップで記憶された不具合情報と、前記取得ステップで取得したソフトウェア情報とから、該ソフトウェアの更新重要度を決定するステップと、
前記決定ステップで決定した更新重要度に応じて、前記取得ステップで取得したソフトウェアで装置内部のソフトウェアを更新するステップと
を備えたことを特徴とする情報処理装置のソフトウェアの更新方法である。
【0020】
更に、請求項13に記載された発明は、外部装置からソフトウェアと該ソフトウェアの情報を取得して、装置内部のソフトウェアを更新する情報処理装置としてのコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記情報処理装置の内部で使用されるソフトウェアの不具合の情報を収集する収集手段、
前記収集手段で収集された不具合情報を記憶する記憶手段、
前記外部装置に更新対象のソフトウェアがあるか否かを検知する検知手段、
前記検知手段で検知したソフトウェアと該ソフトウェアの情報を取得する取得手段、
前記記憶手段に記憶された不具合情報と、前記取得手段で取得したソフトウェア情報とから、該ソフトウェアの更新重要度を決定する決定手段、
前記決定手段で決定した更新重要度に応じて、前記取得手段で取得したソフトウェアで装置内部のソフトウェアを更新する更新手段
として前記情報処理装置を機能させるためのプログラムである。
【0021】
この発明は、例えば、外部装置よりソフトウェアとそのソフトウェアの更新履歴の情報などを取得して、装置内部のソフトウェアに関するエラーの情報を比較し、該当エラーが対策されているか否かをチェックし、対策されていない、もしくは、エラーが発生していない場合には、ソフトウェアの自動更新は行わず、一方、対策されていると判断すれば、ソフトウェアを更新するようになっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0023】
実施の形態1
図1はこの発明の実施の形態1に係る情報処理装置としてのプリンタを適用したダウンロードシステムを示すものである。このダウンロードシステムは、ソフトウェアを集中管理するサーバを含むダウンロードシステムとして構成されている。
【0024】
このダウンロードシステム1は、図1に示すように、プリンタ100a,100b及びパーソナルコンピュータ(PC)200a,200b、更にはサーバ300aが接続されたオフィス等のイントラネット2と、プリンタ100a,100bの製造メーカーやソフトウェアの開発メーカーなどのサーバ300bが接続されたインターネット3とを備えており、オフィス等のイントラネット2の入口には、ファイアーウオール4が介在されている。
【0025】
上記サーバ300a及び300bは、プリンタ100a及び100bに提供されるソフトウェアが格納されており、プリンタ100a及び100bは、必要に応じて当該ソフトウェアをダウンロードすることが可能となっている。パーソナルコンピュータ(PC)200a及び200bは、特に本発明で必須のものではないが、イントラネット2に接続されており、プリンタ100a又は100bに対して印刷指示を行ったり、オフィス内の管理者がプリンタを管理することに使用される。なお、プリンタ100a、100bを区別しない場合は、単にプリンタ100またはプリンタと記述し、同様に、サーバ300a、300bを区別しない場合は、単にサーバ300またはサーバ、パーソナルコンピュータ(PC)200a,200bを区別しない場合は、単にパーソナルコンピュータ(PC)200またはパーソナルコンピュータ(PC)と記述する。
【0026】
ところで、この実施の形態では、外部装置からソフトウェアと該ソフトウェアの情報を取得して、装置内部のソフトウェアを更新するように構成された情報処理装置において、前記情報処理装置の内部で使用されるソフトウェアの不具合の情報を収集する収集手段と、前記収集手段で収集された不具合情報を記憶する記憶手段と、前記外部装置に更新対象のソフトウェアがあるか否かを検知する検知手段と、前記検知手段で検知したソフトウェアと該ソフトウェアの情報を取得する取得手段と、前記記憶手段に記憶された不具合情報と、前記取得手段で取得したソフトウェア情報とから、該ソフトウェアの更新重要度を決定する決定手段と、前記決定手段で決定した更新重要度に応じて、前記取得手段で取得したソフトウェアで装置内部のソフトウェアを更新する更新手段とを備えるように構成されている。
【0027】
この実施の形態に係る情報処理装置としてのプリンタ100は、図2に示すように、CPU101と、ROM102と、RAM103と、ページメモリ104と、NVRAM105と、印刷部106と、U/I(ユーザインタフェース)107と、I/F(外部インタフェース)108と、ハードディスク109とから構成されている。
【0028】
上記CPU101は、当該CPU101を制御するソフトウェアによって、上述した収集手段、検知手段、取得手段、決定手段、更新手段としての機能を実現している。
【0029】
CPU101は、プリンタ100のROM102と、RAM103と、ページメモリ104と、NVRAM105と、印刷部106と、U/I(ユーザインタフェース)107と、I/F(外部インタフェース)108と、ハードディスク109を司る中央演算処理装置である。本プリンタ100の各種処理は、このCPU101の制御のもとで行われる。
【0030】
ROM102は、読み取り専用メモリであり、プリンタ100を制御するソフトウェアのうち、基本的な動作を行うためのソフトウェアが格納されている。このROM102に格納されているソフトウェアは、例えば、電源投入直後のプリンタ100の各ハードウェアを診断したり、NVRAM105に記憶された制御ソフトウェアを起動するといったソフトウェアなどである。
【0031】
RAM103は、読み書き可能メモリであり、プリンタ100で動作する各ソフトウェアが作業用として使用するデータ記憶領域である。
【0032】
ページメモリ104は、文書データを用紙に印刷可能なデータに変換した結果を記憶する領域である。
【0033】
NVRAM105は、不揮発性RAMであり、プリンタ100を制御するソフトウェアのほとんどが格納されている。サーバ300からダウンロードした新規のソフトウェアは、当該NVRAM105の領域に格納される。このNVRAM105の記憶領域に記憶されたデータは、プリンタの電源を切った後も保持される。
【0034】
印刷部106は、ページメモリ104に格納された用紙に印刷可能なデータを用紙に印刷する手段である。印刷については公知の技術であるため説明は省略する。
【0035】
U/I107は、ユーザに情報を通知したり、ユーザからの情報を取得するといった手段である。本プリンタのU/I107は、液晶モニターとタッチパネルで構成されており、サーバ300にアクセスし、新規ソフトウェアの購入、ダウンロード、ソフトウェアの情報に関連するサポート情報閲覧といったさまざまなサービスを簡単に提供することができる。
【0036】
I/F108は、外部インタフェースであり、本実施の形態では、イントラネット2やインターネット3に接続するためのネットワークインタフェース、赤外線やブルートゥースによる無線通信を行うための無線通信インタフェース、ICカード、PCカード、コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、光磁気ディスクなどといった可搬性媒体とのデータ通信を行うインタフェースなどを備えている。それぞれのインタフェースに関しては既知技術のため、詳細は省略する。
【0037】
ハードディスク109は、外部よりI/F108を介して受信した印刷(指示)情報、サーバ300から取得した文書データや、文書データを印刷可能なデータに変換するためのフォントや、プリンタ100の設定情報、状態情報等を格納しておく記憶媒体である。一般に単位当たりのコストがRAMやページメモリに比べて安価なため、RAMやページメモリの補助記憶域としても使用される。
【0038】
また、サーバ300は、大容量の記憶装置(図示せず)を備え、各種情報が格納されている。本実施の形態では、特にプリンタ100のためのソフトウェア及び当該ソフトウェアの情報が格納されている。また、このサーバ300は、イントラネット2内のサーバ300a、インターネット3上のサーバ300bのいずれであっても構わない。
【0039】
一方、パーソナルコンピュータ(PC)200は、いわゆるパソコンであり、プリンタ100に対してプリント要求を行う上位装置である。また、パーソナルコンピュータ(PC)200は、オフィス内の管理者が操作し、サーバ300から情報を収集し、プリンタ100の機能拡張ソフトウェアや、新規ソフトウェア、または、パッチ(不具合修正ソフトウェア)などの情報を得ることも可能である。さらに、プリンタ100のソフトウェアの手動更新も可能である。プリンタ100からの何らかの通知は、通常、パーソナルコンピュータ(PC)200に対して行われる。
【0040】
以上の構成において、この実施の形態に係る情報処理装置としてのプリンタでは、次のようにして、現ソフトウェアによる不具合情報を収集しておき、更新が必要な場合にのみソフトウェアを更新することで、想定外の不具合が発生するのを防止するとともに、必要なソフトウエアは確実に更新することが可能となっている。
【0041】
図3はこの実施の形態1に係るプリンタにおける通常の印刷処理時における動作を示すフローチャート図である。
【0042】
本プリンタが起動すると、CPU101は、初期化処理を行う(ステップ101)。このプリンタ100では、内部ハードウェアであるCPU101、ROM102、RAM103、ページメモリ104、NVRAM105、印刷部106、U/I107、I/F108、ハードディスク109のチェックを行った後、各種処理を実行するソフトウェア( 図示せず)を起動し、プリント処理可能な状態にするとともに、タッチパネル(U/I107)やパーソナルコンピュータ(PC)200からのユーザ指示を待つようになっている。
【0043】
そして、CPU101は、印刷指示があるか否かを判別し(ステップ102)、パーソナルコンピュータ(PC)200やその他の上位装置(図示せず)から、印刷指示を受信すると( ステップ102)、印刷処理を実行する( ステップ103)。印刷指示受信や印刷処理に関しては、本発明で言及するところではなく、また、公知の技術であるため、説明は省略する。
【0044】
次に、CPU101は、エラーが発生したか否かを判別し(ステップ104)、印刷処理にてエラーが発生した場合は、エラー情報を記録する(ステップ105)。エラー情報は、図4に示すように、ソフトウェア単位に、エラー履歴として記録される。
【0045】
例えば、ソフト1は、そのバージョンが1.1であり、エラー回数は現在まで5回発生していることがわかる。エラー履歴の1番目は、記載された時刻に、致命的エラーである不正メモリアクセスが関数aで発生したことを示している。不正メモリアクセスとは、例えば、書き込み不可のメモリ領域に、書き込みを行おうとした場合に発生する。致命的なエラーは、ソフトウェアが動作上回復できないエラーを意味する。エラー発生箇所は、本実施の形態では、エラー発生時、ソフトウェアを特定して出力するが、OS(オペレーティングシステム)で管理された次に実行する命令のアドレスと、予め格納されているソフトウェアのシンボルマップ情報から割り出すことも可能である。
【0046】
エラー履歴の2番目は、記載された時刻に、致命的エラーの0割が関数bで発生したことを示している。0割とは、除算の際、分母の変数が0になった場合である。
【0047】
エラー履歴の3番目は、記載された時刻に、致命的でないエラーのネットワークタイムアウトが関数cで発生したことを示している。ネットワークタイムアウトエラーは、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)200との通信が途中で切断した場合に発生する。このエラーは、パーソナルコンピュータ(PC)200の管理者が明示的に通信中のジョブをキャンセルしようとした可能性もあり、また、ソフトウェアが十分回復できるものであるため、致命的ではないエラーとした。
【0048】
エラー履歴の4番目は、記載された時刻に、致命的エラーの不正メモリアクセスが関数bで発生したことを示している。
【0049】
エラー履歴の5番目は、記載された時刻に、指定リソースなしという致命的でないエラーが関数dで発生したことを示している。指定リソースなしとは、例えば、本プリンタ100に備わっていないホチキス止めといった動作が指定されたといったものである。これは、ユーザのオペレーションミスとも考えられ、また、ソフトウェアが十分回復できるものであるため、致命的ではないエラーとした。
【0050】
一方、同様に、ソフト2は、そのバージョンが1.0であり、エラー発生回数が2回で、2回とも致命的でないエラーが発生していることがわかる。
【0051】
CPU101は、このような情報をエラー履歴としてNVRAM105等に記録(記憶)した後、プリンタ100の停止が指示されているか否かを判別し(ステップ106)、プリンタ100の停止が指示されていれば停止し、指示されていなければ、再び、ステップ102の印刷指示待ち状態となる。
【0052】
続いて、図5のソフトウェア更新時における動作フローチャート図で説明する。
【0053】
まず、本実施の形態のプリンタ100は、CPU101によってサーバ300と通信を行い、更新対象のソフトウェア(SW)があるか否かを検索する(ステップ201)。この実施の形態では、サーバ300から「ソフトウェアの更新あり」の通知を受け、更新対象のソフトウェアがあるかどうかをサーバ300に問い合わせて、更新対象のソフトウェア(SW)の情報を得る。他に、定期的にサーバ300に間い合わせ、更新情報を得ることもできるが、特に本発明では言及しない。
【0054】
更新対象のファイルがあった場合には、本プリンタ100のエラー履歴をチェックする(ステップ202)。エラー履歴は、図3に示した主に通常動作時に記録された図4に示すようなエラー履歴である。
【0055】
続いて、CPU101は、サーバ300から取得した更新ソフトウェアの情報をチェックする。更新ソフトウェアの情報は、例えば、図6に示した通りである。更新ソフトウェアの名称はソフト1で、最新バージョンはプリンタ100にインストールされているソフトウェアと異なって「1.2」であり、重要かつ動作が保証されたソフトウェアである。
【0056】
本実施の形態では、重要ソフトウェアとは、セキュリティ上更新を緊急に要するものや、内部のデータを破壊し、復旧できなくなった場合等に使用するものであり、保証ソフトウェアとは、本プリンタのメーカーが、十分に品質をチェックし、動作保証をするものである。例えば、非保証ソフトウェアとしては、フリーソフトウェアというものがある。これは、メーカーとして動作保証を保証していないということであり、このソフトウェア自体の品質を表しているものではない。また、サードパーティ製の低価格ソフトウェアも同様で、非保証ソフトウェアとなる。ただし、メーカー側で、品質をチェックした後、保証ソフトウェアに変更可能である。また、更新項目は、1番から6番までの6つあるが、1から4が、バージョン1.1から1.2の更新項目、5から6が初期バージョン1.0 (図示せず)から1.1への更新項目である。
【0057】
1番目は、バージョン1.2に関し、不正メモリアクセスの対策を関数aに施したことを示している。また、対応箇所以外に関連箇所が関数dと関数eであり、本実施の形態では、旧バージョンでは、この関数内でも、エラーが発生する可能性があるといった情報である。この対策は重要度Aとした。本実施の形態では、重要度は、最も高いAAから、A、B、最も低いCで表している。
【0058】
2番目もバージョン1.2に関し、0割の対策を関数bに施したことを示している。重要度はAとした。
【0059】
3番目もバージョン1.2に関し、性能改善をしたものであり、重要度はCとした。
【0060】
4番目もバージョン1.2に関し、セキュリティを改善したものであり、重要度はAAとした。この重要度AAは、重要度が最も高く、緊急を要する更新を意味している。
【0061】
5、6番目はバージョン1.1に関するもので、不正メモリアクセスの対策、及び、機能追加であり、それぞれ、重要度はA、Bとした。
【0062】
次に、ソフト2に関しては、最新バージョンは1.1であり、重要ソフトウェアでもなく、保証ソフトウェアでもないことを示している。更新内容は、1番目が、性能改善で、重要度はC、2番目は、条件付不正メモリアクセスの対策で、重要度はBとなっている。ここで、条件付とは、例えば、メモリを所定以下しか搭載していないであるとか、通常使用しない用紙を指定したといった、発生状況を絞ることができるものである。こういった条件でない場合は、このエラーは発生せず、この対策をする必要はない。
【0063】
また、ステップ204では、図4に示すエラー履歴より、致命的エラーがあるかどうか判定する。ここで、致命的エラーがあれば、更新重要度をアップする(ステップ205)。更新重要度は、最終的に該当ソフトウェアを更新するかどうかの指標であり、予め、サービスエンジニアや管理者が決定しておく。厳密には、更新ソフトウエア情報の重要度を元に計算するが、本発明においては、更新重要度の具体的な数値については言及しない。
【0064】
次に、図6の更新情報と比較し、発生したエラーが対策されているかどうかチェックする(ステップ206)。例えば、不正メモリアクセスが関数aで発生している(図4のソフト1のNo.1)が、更新ソフトウェア最新バージョンでは対策されている(図6のソフト1のNo.1)。この場合、ソフトウェアを更新することで、同様のエラーが発生しないと予想され、更新重要度をアップさせる(ステップ207)。ステップ208では、更新ソフトウェア情報より、保証ソフトウェアかどうかチェックする。もし、保証ソフトウェアであれば、更新重要度をアップする( ステップ209)。ステップ210では、更新ソフトウェア情報より、重要ソフトウェアかどうかチェックし、重要ソフトウェアであれば、更新重要度をアップする(ステップ211)。
【0065】
最終的に、更新重要度が、所定以上(例えば、A以上)であるかどうかをチェックし (ステップ212)、所定以上であれば、ソフトウェアの更新を行う(ステップ213)。もし、所定以下であれば、更新せず、新たなエラーが発生したとき、または、新たなバージョンが提供されたときに、改めて、本処理を実行する。
【0066】
実施の形態2
図7はこの発明の実施の形態2を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態2では、更新対象のソフトウェアが、不具合が発生したソフトウェアでなく、かつ、動作非保証ソフトウェアであれば、更新を自動的に行わないように構成したものである。
【0067】
また、この実施の形態2では、前記ソフトウェアの種別が、重要ソフトウェアであれば更新重要度を上げ、非重要ソフトウェアであれば更新重要度を下げるように構成したものである。
【0068】
さらに、この実施の形態2では、更新対象のソフトウェアが、不具合が発生したソフトウェアでなく、かつ、非重要ソフトウェアであれば、更新を自動的に行わないように構成されている。
【0069】
図7はこの実施の形態2に係るソフトウェア更新時における動作を示すフローチャート図である。
【0070】
まず、CPU101は、図5に示すフローチャートの処理と同様に、更新ソフトウェアの検索を行う(ステップ301)。更新対象のソフトウェアがあれば、本プリンタ100のエラー履歴をチェックする(ステップ302)。そして、サーバ300より、更新対象ソフトウェアの情報を取得してチェックする(ステップ303)。ここで、致命的なエラーがあるか否かを判別し(ステップ304)、致命的なエラーがあれば、更新処理(ステップ308)に移行するが、致命的なエラーがなければ、更新ソフトウェア情報より、保証ソフトウェアか、または、重要ソフトウェアかをチェックする(ステップ305)。もし、保証ソフトウェア、または、重要ソフトウェアであれば、更新処理に移行する(ステップ308)。一方、例えば、図4のソフト2は、発生エラー回数が2回であるが、致命的なエラーは発生していない。また、図6のソフト2は非重要、非保証のソフトウェアである。
【0071】
このような場合、ステップ306で更新の確認を行う。本ステップは、本発明に必須のものではないが、ユーザの要望によっては、必要である。更新の確認は、例えば、プリンタ100のユーザインターフェイス107のパネルにソフトウェアの更新があることを表示し、管理者のキー操作を待つか、または、管理者に更新ありの旨を通知し、管理者の指示を待っても良い。
【0072】
また、ステップ307で強制的に更新する場合は、更新処理を実行する(ステップ308)が、本実施の形態では、ステップ305で保証ソフトウェアでない、または、重要ソフトウェアでない場合は、管理者の更新の指示がなければ、ソフトウェアを自動的に更新させないようになっている。
【0073】
以上説明したように、本発明は、外部装置よりソフトウェアとそのソフトウェアの更新履歴を取得して、装置内部のソフトウェアに関するエラーの情報を比較し、該当エラーが対策されているか否かをチェックし、対策されていない、もしくは、エラーが発生していない場合には、ソフトウェアの自動更新は行わず、一方、対策されていると判断すれば、ソフトウェアを更新することで、予期しない更新による不具合を最小限に留めるとともに、セキュリティ問題など重要ソフトウェアは更新できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】図1はこの発明の実施の形態1に係る情報処理装置を適用したダウンロードシステムを示す構成図である。
【図2】図2はこの発明の実施の形態1に係る情報処理装置としてのプリンタを示すブロック構成図である。
【図3】図3はこの発明の実施の形態1に係る情報処理装置としてのプリンタの通常処理の動作を示すフローチャート図である。
【図4】図4はエラー履歴を示す図表である。
【図5】図5はこの発明の実施の形態1に係る情報処理装置としてのプリンタの更新処理の動作を示すフローチャート図である。
【図6】図6は更新ソフトウェア情報を示す図表である。
【図7】図7はこの発明の実施の形態1に係る情報処理装置としてのプリンタのソフトウェアの更新動作を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0075】
100:プリンタ、101:CPU、200:パーソナルコンピュータ、300:サーバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置からソフトウェアと該ソフトウェアの情報を取得して、装置内部のソフトウェアを更新するように構成された情報処理装置において、
前記情報処理装置の内部で使用されるソフトウェアの不具合の情報を収集する収集手段と、
前記収集手段で収集された不具合情報を記憶する記憶手段と、
前記外部装置に更新対象のソフトウェアがあるか否かを検知する検知手段と、
前記検知手段で検知したソフトウェアと該ソフトウェアの情報を取得する取得手段と、
前記記憶手段に記憶された不具合情報と、前記取得手段で取得したソフトウェア情報とから、該ソフトウェアの更新重要度を決定する決定手段と、
前記決定手段で決定した更新重要度に応じて、前記取得手段で取得したソフトウェアで装置内部のソフトウェアを更新する更新手段と
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記収集手段は、不具合が発生したソフトウェアを特定して、前記不具合情報に含め、前記決定手段は、不具合が発生したソフトウェアであれば、更新重要度を上げることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ソフトウェアの情報は、装置内の更新前ソフトウェアとの差分情報であることを特徴とする請求項1または2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記ソフトウェアの情報は、不具合対策のリストを含み、前記決定手段は、不具合内容が一致した場合、更新重要度を上げることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記ソフトウェアの情報は、不具合対策のリストを含み、前記決定手段は、不具合内容に応じて、更新重要度を上げることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記収集手段は、不具合が発生したソフトウェアを特定して、該ソフトウェアと、不具合発生箇所を不具合情報に含め、前記ソフトウェアの情報は、不具合対策の箇所を含み、前記決定手段は、不具合箇所が一致した場合、更新重要度を上げることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記外部装置のソフトウェアの種別に応じて、前記決定手段は、更新重要度を決定することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記ソフトウェアの種別が、動作保証であれば更新重要度を上げ、非保証であれば更新重要度を下げることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項9】
更新対象のソフトウェアが、不具合が発生したソフトウェアでなく、かつ、動作非保証ソフトウェアであれば、更新を自動的に行わないことを特徴とする請求項8記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記ソフトウェアの種別が、重要ソフトウェアであれば更新重要度を上げ、非重要ソフトウェアであれば更新重要度を下げることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項11】
更新対象のソフトウェアが、不具合が発生したソフトウェアでなく、かつ、非重要ソフトウェアであれば、更新を自動的に行わないことを特徴とする請求項10記載の情報処理装置。
【請求項12】
外部装置からソフトウェアと該ソフトウェアの情報を取得して、装置内部のソフトウェアを更新するように構成された情報処理装置のソフトウェアの更新方法であって、
前記情報処理装置の内部で使用されるソフトウェアの不具合の情報を収集するステップと、
前記収集ステップで収集された不具合情報を記憶する記憶ステップと、
前記外部装置に更新対象のソフトウェアがあるか否かを検知する検知ステップと、
前記検知ステップで検知したソフトウェアと該ソフトウェアの情報を取得する取得ステップと、
前記記憶ステップで記憶された不具合情報と、前記取得ステップで取得したソフトウェア情報とから、該ソフトウェアの更新重要度を決定するステップと、
前記決定ステップで決定した更新重要度に応じて、前記取得ステップで取得したソフトウェアで装置内部のソフトウェアを更新するステップと
を備えたことを特徴とする情報処理装置のソフトウェアの更新方法。
【請求項13】
外部装置からソフトウェアと該ソフトウェアの情報を取得して、装置内部のソフトウェアを更新する情報処理装置としてのコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記情報処理装置の内部で使用されるソフトウェアの不具合の情報を収集する収集手段、
前記収集手段で収集された不具合情報を記憶する記憶手段、
前記外部装置に更新対象のソフトウェアがあるか否かを検知する検知手段、
前記検知手段で検知したソフトウェアと該ソフトウェアの情報を取得する取得手段、
前記記憶手段に記憶された不具合情報と、前記取得手段で取得したソフトウェア情報とから、該ソフトウェアの更新重要度を決定する決定手段、
前記決定手段で決定した更新重要度に応じて、前記取得手段で取得したソフトウェアで装置内部のソフトウェアを更新する更新手段
として前記情報処理装置を機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−92374(P2006−92374A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−278498(P2004−278498)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】