説明

情報提示装置

【課題】ユーザは誘導中に視線を前方から移動さなければ誘導内容を確認できなかった。
【解決手段】第1方向及び第2方向から各々ユーザに向けて芳香を射出する第1芳香射出手段25L及び第2芳香射出手段25Rと、現在位置を検出する現在位置検出手段10と、所望の目的地を設定する目的地設定手段17と、現在位置から目的地まで探索した経路に沿ってユーザを誘導している間に経路誘導の必要がある地点にて、ユーザが誘導されるべき方向に応じて第1芳香射出手段25L及び第2芳香射出手段25Rの少なくとも一方による芳香の射出を制御する制御手段19とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザを現在位置から所望の目的地まで誘導する情報提示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、所望の目的地まで誘導するナビゲーション装置が普及している。ナビゲーション装置は、車両の運転者に対して現在位置から目的地までの経路を探索し、その経路に従って誘導を行う機能を有する。公知のナビゲーション装置では、誘導に伴い、運転者の視線が前方から逸れるのを防止するため、予め定められた規則に従って射出芳香の種類に応じて誘導する形態の車載用案内装置が存在している(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−349739号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記公知技術では、運転者が上述のように誘導内容に応じて左右に曲がるといった基本的な運転操作を行うのにも上記芳香射出の規則を覚えておく必要がある。一般的に運転者は、運転中に様々な走行状態に対応するために運転に集中すべきであるにもかかわらず、このような公知技術では、運転以外にも射出芳香の種類を把握しておかなければ、このような誘導内容を認識することができない。
【0005】
本発明が解決しようとする課題には、上記した問題が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、第1方向からユーザに向けて芳香を射出する第1芳香射出手段と、第2方向から前記ユーザに向けて芳香を射出する第2芳香射出手段と、現在位置を検出する現在位置検出手段と、所望の目的地を設定する目的地設定手段と、前記ユーザが、前記目的地へ誘導されるべき方向に応じて前記第1芳香射出手段及び前記第2芳香射出手段の少なくとも一方による芳香の射出を制御する制御手段とを有する。
【0007】
上記課題を解決するために、請求項10記載の発明は、第1方向からユーザに向けて芳香を射出する第1芳香射出手段と、第2方向から前記ユーザに向けて芳香を射出する第2芳香射出手段と、外部より、現在位置から所望の目的地までの経路に関する誘導情報を受け取る通信手段と、前記通信手段によって受け取った前記誘導情報に基づいて、前記ユーザが、前記目的地へ誘導されるべき方向に応じて前記第1芳香射出手段及び前記第2芳香射出手段の少なくとも一方による芳香の射出を制御する制御手段とを有する。
【0008】
上記課題を解決するために、請求項13記載の発明は、第1方向からユーザに向けて空気を射出する第1空気射出手段と、第2方向から前記ユーザに向けて空気を射出する第2空気射出手段と、現在位置を検出する現在位置検出手段と、所望の目的地を設定する目的地設定手段と、前記ユーザが、前記目的地へ誘導されるべき方向に応じて前記第1空気射出手段及び前記第2空気射出手段の少なくとも一方による空気の射出を制御する制御手段とを有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態としての情報提示装置100の外観の一例を示す正面図である。
情報提示装置100は、その外観上、例えば衣服の上着形状の筐体55を有する。この情報提示装置100は、例えばユーザが左腕を左袖51Lに通すとともに右腕を右袖51Rに通すことにより着用でき、その手などによって把持することなく室外に携帯することが可能となっている。この情報提示装置100は、左襟53Lに左側芳香射出部25Lが露出しており、右襟53Rに右側芳香射出部25Rが露出している。
【0010】
左側芳香射出部25L(第1芳香射出手段)は、ユーザの鼻の左下側からユーザの鼻に向けて芳香を射出する。一方、右側芳香射出部25R(第2芳香射出手段)は、ユーザの鼻の右下側からユーザの鼻に向けて芳香を射出する。このようにユーザの鼻の下側から芳香を射出するのは、人間は鼻の上方からの芳香を感じ取りにいためであり、さらに、屋外で風邪があっても射出した芳香を確実にユーザの鼻に到達させるためである。
【0011】
これら左側芳香射出部25L及び右側芳香射出部25Rは、それぞれ後述する射出口から芳香(芳香成分を含んだ空気)を射出している。左側芳香射出部25Lは、左襟53においてその射出口がユーザの鼻に向くように配置されている。一方、右側芳香射出部25Rは、右襟53Rにおいてその射出口がユーザの鼻に向くように配置されている。
【0012】
また情報提示装置100は、左袖51Lの先端近傍に操作スイッチ部17が露出している。この操作スイッチ部17(目的地設定手段)は、ユーザが操作可能であって所望の目的地を設定するための操作装置や電源スイッチを含んでいる。
【0013】
また情報提示装置100は、その平面側にGPS(Global Positioning System)受信機10を内蔵している。このGPS受信機10(現在位置検出手段)は、情報提示装置100の現在地、つまりこの情報提示装置100を着用しているユーザの現在位置を検出する機能を有する。
【0014】
演算制御部19(制御手段)は、情報提示装置100全体を制御している。演算制御部19は、現在位置から目的地までの経路を探索する経路探索機能を有する。演算制御部19は、この経路探索機能を用いて探索された経路に従って誘導する。演算制御部19は、この経路に沿ってユーザを誘導している間に経路誘導の必要がある地点にて、そのユーザが誘導されるべき方向に応じて左側芳香射出部25L及び右側芳香射出部25Rの少なくとも一方による芳香の射出を制御する。
【0015】
この情報提示装置100では、右袖51Rの先端近傍に表示部15が露出している。上記表示部15は、いわゆる液晶表示素子又は有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)を用いた表示装置である。
【0016】
図2は、図1に示す情報提示装置100の電気的な構成例を示すブロック図である。
情報提示装置100は、芳香射出装置9、演算制御部19、GPS(Global Positioning System)受信機10、表示部15、操作スイッチ部17、記憶部13及び地図データ入力部14を備えている。なおこの情報提示装置100はさらに、映像音入出力部11及び周囲温度測定部5を備えていても良い。
【0017】
これら演算制御部19などはそれぞれバスライン16に接続されている。演算制御部19は情報提示装置100全体を制御している。バスライン16は、これら接続されている芳香射出装置9及び演算制御部19等との間でデータなどの交換や制御を行うことができる。またこの情報提示装置100は電源部8を搭載している。操作スイッチ部17は、ユーザが所望の目的地を入力するための操作手段である。
【0018】
芳香射出装置9(芳香射出手段)は、例えば空気砲の原理によってユーザに対して芳香を射出する機能を有する。この芳香射出装置9は、上記左側芳香射出部25L及び上記右側芳香射出部25Rを備えている。さらに芳香射出装置9は、後述するように芳香射出制御部27及び芳香タンク部22を備えている。この芳香射出装置9の具体的な構成については後述する。
【0019】
GPS受信機10(現在位置検出手段)は、図示しないGPSアンテナを用いて受信した衛星信号に基づいて現在位置を検出する。このGPS受信機10は、一定時間ごとに現在位置に関する緯度及び経度を測位し、その位置情報を記憶部13に記憶しておく。
【0020】
表示部15は、例えば情報提示装置100全体の状態又は芳香射出装置9の状態を表示する表示装置である。地図データ入力部14は地図データを入力するインターフェースである。この地図データは、例えばノードやリンクに関する情報を含んでいるとともに、視覚的に地図を表示するための地図情報を含んでいる。なお情報提示装置100は、外部から地図データを入力する代わりに、記憶部13に地図データを内蔵していても良い。この場合、地図データ入力部14を省略することができる。
【0021】
記憶部13は、例えば地図データを記憶したり、検知された現在位置に関する緯度や経度に関する位置情報を記憶するメモリである。この記憶部13は、例えば後述する芳香制御情報を記憶可能な不揮発性メモリであっても良い。
【0022】
映像音入出力部11は、外部から映像データや音データを入力するためのインターフェースである。周囲温度測定部5は、情報提示装置100の外部の温度を測定する。電源部8は、バス16に接続された芳香射出装置9などに対して電力を供給したり供給を停止する制御を行う。なお図2においては各ブロックを接続する電源線の図示を省略している。
【0023】
図3は、図2に示す芳香射出装置9の構成例を示すブロック図である。
芳香射出装置9は、芳香メインタンク29、コック28、芳香混合部21、芳香サブタンク23、芳香射出部25及び芳香射出制御部27を備えている。ここでいう芳香射出部25は、上述した左側芳香射出部25L及び右側芳香射出部25Rを含んでいる。以下の説明では、これら左側芳香射出部25Lと右側芳香射出部25Rとを特に区別する必要がない部分においては芳香射出部25と呼ぶ。この芳香射出部25における芳香26を射出する口付近には、ノズル9a,9bが設けられている。これらノズル9a,9bについては後述する。
【0024】
芳香射出制御部27は、演算制御部19の制御下の元、後述するように芳香メインタンク29、コック28、芳香サブタンク23及び芳香射出部25の動作を制御する。ここで、この演算制御部19は、上記芳香制御情報の設定内容に従って芳香射出制御部27を制御する。従って、この芳香制御情報が新たな芳香制御情報に更新された場合には、この演算制御部19は、この新たな芳香制御情報に従って、この芳香射出制御部27を制御するようになる。
【0025】
芳香メインタンク29は、第1基本芳香29a、第2基本芳香29b、第3基本芳香29c、第4基本芳香29d及び第5基本芳香29eを備えている。これら第1基本芳香29aなどは、それぞれユーザに対して射出すべき芳香を生成するために混合される基本的な芳香を表している。なお芳香メインタンク29は、さらに基本消臭剤29gを備えており、情報提示装置100が芳香射出装置9によって射出済みの芳香を消失させる脱臭気体を射出しても良い。
【0026】
芳香混合部21は、コック28を介して芳香メインタンク29と接続されている。この芳香混合部21は、芳香射出制御部27の制御によるコック28の開閉状況に応じて、芳香メインタンク29内の第1基本芳香29aなど又はこれらいずれかの組み合わせを混合する。
【0027】
芳香サブタンク23は、芳香混合部21内で混合されて生成された新たな芳香を一時的に貯蔵するためのタンクである。このうち芳香サブタンク23は、芳香射出制御部27の制御によって、次の芳香を芳香射出部25に送り込むためにこの芳香を一時的に貯留する機能を有する。そして芳香射出部25は、芳香射出制御部27の制御によって、内部に貯留した芳香を射出し、上述したユーザに対して芳香の気団26(以下、省略して「芳香26」という)を放出する機能を有する。
【0028】
この芳香射出装置9は、上記表示装置1の下部の中心に円形の射出開口部9aが露出しており、その円形の射出開口部9aの外側に沿って例えばドーナツ形状の吸引開口部9bが露出している。本実施形態では、これら射出開口部9a及び吸引開口部9bを総称して「ノズル」ともいう。
【0029】
この芳香射出装置9は、その中心部に位置する例えば円形の射出開口部9aから芳香を射出し、やや遅れてその外側のドーナツ形状の吸引開口部9bから、ノズル周囲の空気を吸引する。すると、ノズル近傍における中心部の流速と周辺部との差により芳香の塊はドーナツ状となり、直進性を持って進行するようになる。
【0030】
芳香射出部25における芳香26を射出する口付近には、ノズル9a,9bが設けられている。これらノズル9a,9bは、二重の同心円筒形状のパイプ構造である。ノズル9aは中心寄りの部分を構成しており、ノズル9bは外周寄りの部分を構成している。芳香は、中心寄りのノズル9aから射出され、その外側の開口部をなすノズル9bは、芳香の射出速度よりも遅い速度の空気射出及び吸引を行う。
【0031】
図4は、図3に示す芳香射出部25の構成例を示す断面図である。なお図4においては、説明の都合上、併せて芳香射出制御部27も図示している。
芳香射出部25は、射出用タンク25a、圧電素子25b及び逆流防止弁25cを備えている。またこの芳香射出部25が芳香26を射出する口には、上述のようにノズル9a,9bが設けられている。なお、これらノズル9a,9bの構造は簡素化して図示している。
【0032】
射出用タンク25aは、芳香サブタンク23から供給された芳香を一時的に貯留するタンクである。この射出用タンク25aにおける芳香サブタンク23からの芳香の供給口には逆流防止弁25cが設けられている。この逆流防止弁25cは、芳香サブタンク23から射出用タンク25aに既に供給された芳香がその芳香サブタンク23に逆流しないように堰き止める機能を有する。
【0033】
圧電素子25bは、例えばピエゾ素子を用いたものである。この圧電素子25bは、芳香射出制御部27による印加電圧に基づく圧電効果によって射出用タンク25aの内部の容積を瞬間的に変化させ、貯留している芳香26を射出する機能を有する。
【0034】
情報提示装置100は以上のような構成であり、次に図1〜図4を参照しつつこの情報提示装置100を用いたナビゲーション処理の手順例について説明する。
図5は、情報提示装置100を用いたナビゲーション処理の手順例を表すフローチャートである。
【0035】
まずステップS1では、演算制御部19が、操作スイッチ部17の一部である電源スイッチ(図示せず)が操作されてONとなったか否かを判断する。演算制御部19は、電源スイッチがONとなるまで待ち、電源スイッチがONとなるとステップS2を実行する。
【0036】
このステップS2では、演算制御部19が、操作スイッチ部17の一部である目的地設定ボタンを用いて目的地が設定されたか否かを判断する。演算制御部19は、目的地が設定されるまで待ち、目的地が設定されるとステップS3を実行する。
【0037】
ステップS3では、演算制御部19が、地図データを用いて経路探索機能及び誘導機能を利用し、現在位置から目的地までの経路を探索して探索結果としての誘導経路に従ってユーザを誘導するための誘導情報を生成する。
【0038】
次にステップS4では、演算制御部19が、この誘導情報に基づいて目的地まで到達するようにユーザが歩行すべきことを指示する。具体的には、演算制御部19は、この誘導情報に基づいて、左側芳香射出部25L及び右側芳香射出部25Rの少なくとも一方に芳香を射出させることにより、ユーザに芳香による情報の提示を受けさせ、目的地まで誘導する。
【0039】
次にステップS5では、演算制御部19は、ユーザを芳香の射出により誘導している間にユーザの現在位置が経路分岐点に到達したか否かを判断する。演算制御部19は、ユーザの現在位置がこの経路分岐点に到達していた場合には後述する誘導射出処理を実行する一方、ユーザの現在位置がこの経路分岐点に到達していない場合にはその目的地に到達したか否かを判断する。本実施形態では、この誘導射出処理では、演算制御部19が後述するステップS11を実行する。
【0040】
演算制御部19は、ユーザの現在位置が目的地付近に到達していない場合には上述したステップS5を実行する一方、ユーザの現在位置が目的地付近に到達している場合にはステップS7を実行する。このステップS7では、演算制御部19が、左側芳香射出部25L及び右側芳香射出部25Rの少なくとも一方から、ユーザが目的地付近に到着したことを表す所定の種類或いは所定パターンの芳香を射出させる。
【0041】
一方、演算制御部19は、ステップS5においてユーザの現在位置が経路分岐点近傍である場合には次のような誘導射出処理を実行する。この誘導射出処理では、例えば次のようなステップS11を実行する。演算制御部19はステップS11を実行すると、上述したステップS6を実行する。
【0042】
<第1実施形態における誘導射出処理>
このステップS11では、演算制御部19が、上述した誘導情報に基づいて左側芳香射出部25L及び右側芳香射出部25Rの少なくとも一方に誘導用の芳香を射出させる。
【0043】
ここで各実施形態において、このような誘導用芳香は、ユーザが誘導経路に沿って直線道路を進行している場合には左側芳香射出部25L及び右側芳香射出部25Rの両方から射出され、その誘導経路の途中において経路分岐点近傍に到達した際に左折又は右折すべきかに応じて左側芳香射出部25L又は右側芳香射出部25Rから射出される芳香を表している。このような誘導用芳香が情報提示装置100からそのユーザに対して射出されると、ユーザはこの誘導用芳香の射出方向を嗅覚によって自らが進むべき方向を認識することができる。
【0044】
<ユーザがさらに移動した場合>
図6は、情報提示装置100を用いたナビゲーション処理の手順例を表すフローチャートである。なお図6では、図5に示すナビゲーション処理によってユーザがさらに移動した場合の一例を表している。以下の説明においては、図6に示すナビゲーション処理において図5に示すナビゲーション処理とほぼ同様の手順については説明を省略し、異なっている誘導射出処理について説明する。
【0045】
<誘導射出処理>
まずステップS10では、演算制御部19が、GPS受信機10を制御して現在位置を再度検出させ、新たな現在位置が記憶部13に記憶済の直近の現在位置とほぼ一致するか否かを判断する。
【0046】
演算制御部19は、これらの現在位置が一致する場合には上述したステップS6を実行する一方、これらの現在位置が一致しない場合には上述したステップS11を実行する。すなわちこのステップS11では、上述したように演算制御部19が、誘導情報に基づいて左側芳香射出部25L及び右側芳香射出部25Rの少なくとも一方に誘導用芳香を射出させる。
【0047】
<誘導経路を外れた場合>
またこの情報提示装置100は、ユーザが誘導経路を外れた場合、演算制御部19が上述したステップS3を実行し、その誘導経路から外れた現在位置から目的地までの新たな経路を再度探索する。この場合、演算制御部19は、新たな探索結果に基づく誘導内容に応じて左側芳香射出部25L及び右側芳香射出部25Rの少なくとも一方を制御し、そのユーザに対して誘導用芳香を射出させる。
【0048】
上記実施形態における情報提示装置100は、第1方向からユーザに向けて芳香を射出する第1芳香射出手段25Lと(左側芳香射出部)、第2方向から前記ユーザに向けて芳香を射出する第2芳香射出手段25Rと(右側芳香射出部)、現在位置を検出する現在位置検出手段10と(GPS受信機)、所望の目的地を設定する目的地設定手段17と(操作スイッチ部)、前記ユーザが、前記目的地へ誘導されるべき方向に応じて前記第1芳香射出手段25L及び前記第2芳香射出手段25Rの少なくとも一方による芳香の射出を制御する制御手段19とを有する。
【0049】
このようにすると、ユーザは、移動に伴って必要に応じて各地点において第1芳香射出手段25L又は第2芳香射出手段25Rから芳香が射出されるため、嗅覚によって芳香の射出方向を特定し、自らが進むべき方向を認識することができる。しかもユーザは、一般的なナビゲーション装置のように誘導表示を視覚により確認しなくても良いことから、このような誘導表示が更新される度に視線を移動させる必要がなくなり、さらには誘導音を聴覚により確認しなくても良いことから周囲の他人に迷惑をかけることがなくなる。またこの情報提示装置100は視覚障害者や聴覚障害者であっても利用することができる。
【0050】
上記実施形態における情報提示装置100は、第1方向からユーザに向けて空気を射出する第1空気射出手段25Lと(左側芳香射出部)、第2方向から前記ユーザに向けて空気を射出する第2空気射出手段25Rと(右側芳香射出部)、現在位置を検出する現在位置検出手段10と(GPS受信機)、所望の目的地を設定する目的地設定手段17と(操作スイッチ部)、前記ユーザが、前記目的地へ誘導されるべき方向に応じて前記第1空気射出手段25L及び前記第2空気射出手段25Rの少なくとも一方による空気の射出を制御する制御手段19とを有する。
【0051】
このようにすると、ユーザは、移動に伴って必要に応じて各地点において第1芳香射出手段25L又は第2芳香射出手段25Rから空気が射出されるため、空気の射出方向を特定し、自らが進むべき方向を認識することができる。しかもユーザは、一般的なナビゲーション装置のように誘導表示を視覚により確認しなくても良いことから、このような誘導表示が更新される度に視線を移動させる必要がなくなり、さらには誘導音を聴覚により確認しなくても良いことから周囲の他人に迷惑をかけることがなくなる。またこの情報提示装置100は視覚障害者や聴覚障害者であっても利用することができる。
【0052】
上記実施形態における情報提示装置100は、前記制御手段19は、前記現在位置検出手段10によって検出される現在位置が予め設定された時間にわたり変化がない場合、前記ユーザが誘導されるべき方向に応じて前記第1芳香射出手段25L及び前記第2芳香射出手段25Rの少なくとも一方による芳香の射出を制御する。
【0053】
このようにユーザの現在位置が変化しない場合には情報提示装置100を持つユーザが道に迷っている可能性があるが、このような場合、情報提示装置100はユーザが進むべき方向に応じて第1芳香射出手段25L及び第2芳香射出手段25Rの少なくとも一方から芳香を射出してユーザを導くことができる。
【0054】
また、ステップS10にて、現在位置が変化しないということだけで「ユーザが迷っている」と判断するのではなく、さらに、歩道や交差点などの(特定の場所)にいるという場所の情報を加味して判断してもよい。つまり、現在位置が変化しないという情報だけでは、店舗に入ってショッピングを楽しんでいたり、歩道にいてもウインドウショッピングをしているということもある。このようなときは、「現在位置に変化がない」という情報と「店舗内という場所にいる」という情報を組み合わせれば、芳香による案内が必要か否かを判断できる。店舗内にいる場合は、買い物などをしている可能性が高いことから、芳香による案内を行わないようにプログラムを組めばよい。
【0055】
また、店舗内に限らず、近くに「周辺の住宅地図」または「インフォメーション案内板」がある場所で現在位置に変化がない場合は、地図を見ていたり、掲示板に書かれている情報を読み取っている場合が高いので、このような場合も、芳香による案内をしなくてもよいようにプログラムを構築してもよい。
【0056】
すなわち上記実施形態における情報提示装置100は、前記制御手段19は、前記現在位置検出手段10(GPS受信機)によって検出される現在位置が、予め設定された時間にわたり変化がない場合、かつ、予め設定された場所であることを検出した場合に、前記ユーザが誘導されるべき方向に応じて前記第1芳香射出手段25L及び前記第2芳香射出手段25Rの少なくとも一方による芳香の射出を制御する。
【0057】
上記実施形態における情報提示装置100は、上述した構成に加えてさらに、前記ユーザが誘導を受けるべき特定の場所は交差点である。
【0058】
上記実施形態における情報提示装置100は、上述した構成に加えてさらに、前記第1芳香射出手段25L及び前記第2芳香射出手段25Rを前記ユーザに向けて支持しているとともに、前記現在位置検出手段10、前記目的地設定手段17及び前記制御手段19を内蔵する衣服の上着形状の筐体を有する。
【0059】
このようにすると、ユーザは情報提示装置100を衣服のように着用することができ、ユーザに情報提示装置100を煩わしく感じさせることなく自然に装着させることができる。
【0060】
上記実施形態における情報提示装置100は、前記第1芳香射出手段25Lは前記ユーザの左側に設けられており、前記第2芳香射出手段25Rは前記ユーザの右側に設けられている。
【0061】
また、この実施形態では、ユーザの鼻に向けて左右から芳香が射出するようにノズルと芳香射出部25L,25Rを構成しているが、左右に限らず、前後など、異なる2方向から芳香がユーザに向けて発射されるようにすればよい。
【0062】
ノズルの向きも鼻を向いているのではなく、鼻の前方の20cmぐらいに芳香が射出するようにしてもよいし、左右の耳の辺りに配置した左右の芳香射出部25L,25Rからそれぞれ芳香を射出してもよい。
【0063】
<第2実施形態>
第2実施形態における情報提示装置100aは、第1実施形態とほぼ同様の構成でありほぼ同様の動作を行う。このため第2実施形態では、同一の構成及び動作については第1実施形態における図1乃至図6と同一の符号を用いるとともに、その説明を省略し、以下の説明では異なる点を中心として説明する。
【0064】
第2実施形態では、情報提示装置100aが第1実施形態における情報提示装置100の構成に加えてジャイロセンサ18を備えている。このジャイロセンサ18は、例えば情報提示装置100の回転運動、揺動状態を検知することで、ユーザの向きを検出している。またこの情報提示装置100aは、図示しない顔方向判別装置を備える。この顔方向判別装置は、ユーザの顔の向きを判別する機能を有する。
【0065】
図7は、第2実施形態としての情報提示装置100aを用いたナビゲーション処理の手順例を表すフローチャートである。
第2実施形態では、演算制御部19が第1実施形態とは異なる誘導射出処理を実行する。なお、その他の処理については第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0066】
以下の説明では、「変則交差点」という用語を用いるが、この「変則交差点」とは、例えば五差路のように右折又は左折と誘導しただけではユーザが進むべき方向が一義的に把握しにくい変則的な交差点を表している。またこの変則交差点としては、例えば右折であっても鋭角に右折する道と鈍角に右折する場合などのようにユーザが進むべき方向が一義的ではない交差点も例示することができる。なお以下の説明においては、それ以外の交差点を「通常交差点」と表現する。
【0067】
<第2実施形態における誘導射出処理>
まずステップS31では、演算制御部19が、GPS受信機10に測位させた現在位置の周辺に関する地図データに基づいて現在位置が変則交差点付近であるか否かを判断する。演算制御部19は、現在位置が変則交差点付近でない場合には後述するステップS34を実行し、現在位置が変則交差点付近である場合にはステップS32を実行する。ここでユーザは、情報提示装置100が提示する誘導情報に基づいて通常交差点や変形交差点にて転回して移動することで、左折したり右折している。
【0068】
ステップS32では、演算制御部19が、上記誘導情報に基づいてユーザが正しい方向に転回するまで、例えば右側芳香射出部25Rより芳香(上述した誘導用芳香)を射出する。
【0069】
ステップS33では、演算制御部19が、ジャイロセンサ18によりユーザの向きを取得させ、誘導情報に基づいてユーザが正しい方向に転回したか否かを判断する。演算制御部19は、ユーザが正しい方向に転回していない場合には再度ステップS32を実行する一方、ユーザが正しい方向に転回した場合には上述したステップS6を実行する。
【0070】
上述したステップS34では、演算制御部19が、ユーザの現在位置に鑑み、誘導情報に基づいて直進すべきであるか否かを判断する。演算制御部19は、直進すべき場合には、例えば左側芳香射出部25L及び右側芳香射出部25Rの両方より同時に芳香を射出させる(ステップS35)。一方、演算制御部19は、直進すべきではない場合には、ステップS36を実行する。
【0071】
このステップS36では、演算制御部19が、誘導情報に基づきユーザが左折すべきであるか否かを判断する。演算制御部19は、左折すべきである場合には、例えば左側芳香射出部25Lのみに芳香を射出させる(ステップS37)。一方、演算制御部19は、左折すべきではない場合にはステップS38を実行する。
【0072】
このステップS38では、演算制御部19が、誘導情報に基づきユーザが右折すべきであるか否かを判断する。演算制御部19は、右折すべきである場合には、例えば右側芳香射出部25Rのみに芳香を射出させる(ステップS39)。一方、演算制御部19は、右折すべきではない場合には上述したステップS6を実行する。
【0073】
上記実施形態における情報提示装置100aは、上述した構成に加えてさらに、前記ユーザの顔の向きを判別する顔方向判別手段(図示しない顔方向判別装置)を、さらに備え、前記制御手段19は、前記目的地へ向かう方向と、前記顔の向が向いている方向とが一致するまで前記第1芳香射出手段25L及び第2芳香射出手段25Rの少なくとも一方から芳香を射出させる。
【0074】
このようにすると、ユーザが転回量を把握しにくい変則交差点で誘導される場合であっても、芳香の連続的な射出によりその転回量をユーザに認識させることで、正確にユーザを目的地まで導くことができる。
【0075】
この実施形態では、変則交差点という場面で迷った場合を説明しているが、通常交差点(十字路あるいはT字路)においても、この実施例が適用されてもよいことはいうまでもない。
【0076】
<第3実施形態>
第3実施形態における情報提示装置100は、第1実施形態とほぼ同様の構成でありほぼ同様の動作を行う。このため第3実施形態では、同一の構成及び動作については第1実施形態における図1乃至図6と同一の符号を用いるとともに、その説明を省略し、以下の説明では異なる点を中心として説明する。
【0077】
第3実施形態では、演算制御部19が、記憶部13の芳香制御情報テーブルに従って左側芳香射出部25L及び右側芳香射出部25Rの少なくとも一方から芳香を射出させている点が異なっている。この芳香制御情報テーブルには、芳香の射出パターンと芳香成分種類が管理されている。
【0078】
演算制御部19は、探索された経路の案内種別に応じて、左側芳香射出部25L及び右側芳香射出部25Rの少なくとも一方から射出させるべき芳香成分の種類及び射出パターンの少なくとも一方を変化させている。ここで案内種別とは、例えば前進、左折、右折、回れ右及び到着等のような誘導情報に基づく各指示を表している。以下の説明では、これら芳香成分の種類や射出パターンを芳香制御情報と呼ぶ。
【0079】
図8は、第3実施形態としての情報提示装置100を用いたナビゲーション処理の手順例を表すフローチャートである。
第3実施形態では、演算制御部19が第1実施形態とは異なる誘導射出処理を実行する。なお、その他の処理については特に相違点がない場合には第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0080】
<第3実施形態における誘導射出処理>
まずステップS41では、演算制御部19が記憶部13の芳香制御情報テーブル13aを参照し、用いるべき芳香制御情報を把握する。次にステップS42では、演算制御部19が芳香制御情報に沿って芳香を射出する。ここで、この芳香制御情報は大別して2種類の情報を含んでおり、一方の情報は芳香の射出パターンであり、他方の情報は芳香成分の種類である。
【0081】
また第3実施形態では、演算制御部19が第1実施形態におけるステップS7の代わりに、演算制御部19が、例えばユーザが目的地に到着したことを表す芳香制御情報に従って左側芳香射出部25L及び右側芳香射出部25Rの少なくとも一方から芳香を射出させるようにしてもよい(ステップS7a)。
【0082】
図9〜図14は、それぞれ芳香制御情報テーブル13aの構成例を示す図である。
図9に示す芳香制御情報テーブル13aでは、誘導情報に基づく指示に応じて射出パターンが定められている。ここで「指示」とは、上述した案内種別に類似し、例えば前進、左折、右折、回れ右及び到着を表しており、これら各指示には互いに区別するために、図10に示すように指示コードが対応付けられている。
【0083】
<芳香の射出パターン>
具体的には、図9に示す指示が「前進」の場合には射出パターンが例えば「短」、「短」となっており、指示が「左折」の場合には射出パターンが例えば「短」、「長」となっている。また指示が「右折」の場合には射出パターンが例えば「長」、「短」となっており、指示が「回れ右」の場合には射出パターンが例えば「長」、「長」となっている。なお指示が「到着」の場合には射出パターンが例えば「短」、「短」、「長」となっている。なおこれら射出パターンの「短」は、例えば芳香射出時間の1単位(例えば0.5秒)であり、射出パターンの「長」は、例えば「短」の芳香射出時間の整数倍、具体的には例えばその「短」の芳香射出時間の3倍としている。
【0084】
演算制御部19は、これらの射出パターンを射出コード用いて特定している。具体的には、演算制御部19は、記憶部13の芳香制御情報テーブルにおいて、射出パターンの芳香射出時間に応じて、例えば図10に示すように「1」又は「3」という表現を用いて指定する。
【0085】
<芳香の種類>
一方、演算制御部19は、記憶部13の芳香制御情報テーブルにて用意された次のような種類の芳香を用いることができる。
【0086】
具体的には、図11に示す指示が「前進」の場合には芳香の種類が例えば「きんもくせい」となっており、指示が「左折」の場合には芳香の種類が例えば「シトラス」となっている。また指示が「右折」の場合には芳香の種類が例えば「ラベンダー」となっており、指示が「回れ右」の場合には芳香の種類が例えば「ローズ」となっている。なお指示が「到着」の場合には芳香の種類が例えば「短」、「コーヒー」となっている。
【0087】
演算制御部19は、これらの芳香の種類を射出コード用いて特定している。具体的には、演算制御部19は、記憶部13の芳香制御情報テーブルにおいて、射出パターンの芳香射出時間に応じて、例えば図12に示すように「01」〜「05」という表現を用いて指定する。
【0088】
<芳香の射出パターン及び濃度>
一方、演算制御部19は、記憶部13の芳香制御情報テーブルにて用意された次のような種類の射出パターン及び濃度を用いることができる。
【0089】
具体的には、図13に示す指示が「前進」の場合には射出パターンが例えば小さな「短」、大きな「短」となっており、指示が「左折」の場合には射出パターンが例えば大きな「短」、小さな「長」となっている。また指示が「右折」の場合には射出パターンが例えば小さな「短」、大きな「長」となっており、指示が「回れ右」の場合には射出パターンが例えば大きな「長」、大きな「長」となっている。なお指示が「到着」の場合には射出パターンが例えば小さな「短」、小さな「短」、大きな「長」となっている。なおこれら射出パターンの「短」は、例えば芳香射出時間の1単位(例えば0.5秒)であり、射出パターンの「長」は、例えば「短」の芳香射出時間の整数倍、具体的には例えばその「短」の芳香射出時間の3倍としている。
【0090】
演算制御部19は、これらの射出パターンを射出コード用いて特定している。具体的には、演算制御部19は、記憶部13の芳香制御情報テーブルにおいて、射出パターンの芳香射出時間及び濃度に応じて、例えば図14に示すように「00」、「01」、「10」又は「11」という表現を用いて指定する。
【0091】
具体的には、この芳香制御情報テーブルでは、指示コードと2ビットの射出パターンを示す特別コードが対応付けられたテーブルである。この芳香制御情報テーブルでは、例えば「00」は、芳香濃度が低く(つまり芳香が薄く)芳香射出時間が短いことを表している。また例えば「01」は、芳香濃度が高く(つまり芳香が濃く)芳香射出時間が短いことを表している。また例えば「10」は、芳香濃度が低く芳香射出時間が長いことを表している。また例えば「11」は、芳香濃度が高く芳香射出時間が長いことを表している。つまり、これら特別コードは、最初の1ビットは芳香濃度が低いか高いかを表しており、最後の1ビットは芳香射出時間が短いか長いかを表している。
【0092】
上記実施形態における情報提示装置100は、上述した第1実施形態の構成に加えてさらに、前記制御手段19は、探索された前記経路の案内種別に応じて、前記第1芳香射出手段25L及び前記第2芳香射出手段25Rの少なくとも一方から射出させるべき芳香成分の種類及び射出パターンの少なくとも一方を変化させる。
【0093】
このようにすると、誘導経路に応じて射出される芳香のバリエーションが増えるため、ユーザに対してよりきめ細かく誘導を行うことができる。
また、ユーザが芳香を好まず単に空気の流れで誘導を行う場合は、操作スイッチ部17を介して「芳香を出力しない」モードを選択する。そして、制御部19は、「芳香を出力しない」モードが選択されたと判断した場合、図12の芳香コードを無視し、どのような指示であっても芳香物質を含まない空気のみを射出するように制御する。この場合は図9や図13に示されている、射出される空気の射出時間の長短、射出スピードの強弱、射出量の大小で誘導を行うことになる。
【0094】
<第4実施形態>
図15は、第4実施形態としての情報提示装置100cの外観の一例を示す斜視図であり、図16は、第4実施形態における後背部99aの外観の一例を示す正面図である。
第4実施形態における情報提示装置100cは、第1実施形態とは外観が異なるがほぼ同様の電気的な構成であり、ほぼ同様の動作を行う。このため第4実施形態では、同一の電気的な構成及び動作については上述した各実施形態における図1乃至図14と同一の符号を用いるとともに、その説明を省略し、以下では、例えば外観などの構成に関して異なる点を中心として説明する。
【0095】
図15に示す情報提示装置100cは、その外観上、例えば湾曲した細い長い棒状部材の両端に左側芳香射出部25L及び右側芳香射出部25Rが連続する構成となっている。具体的には、この情報提示装置100cは、これら左側芳香射出部25L及び右側芳香射出部25Rの他にも、左側支持部材99L、右側支持部材99R及び後背部99aを有する。
【0096】
左側支持部材99Lは、例えば細長い棒状の部材であり、その一端が後背部99aに接続されているとともに他端が左側芳香射出部25Lに接続されている。この左側支持部材99Lは、これら後背部99aと左側芳香射出部25Lとの間にユーザの肩の形状に合った配置部99bが形成されている。この左側芳香射出部25Lは、例えば交換可能なカセット式の芳香メインタンク29を備えている。
【0097】
一方、右側支持部材99Rは、一端が後背部99aに接続されており他端が右側芳香射出部25Rに接続されている細長い棒状の部材である。この右側支持部材99Rは、これら後背部99aと右側芳香射出部25Rとの間にユーザの肩の形状に合った配置部99bが形成されている。この右側芳香射出部25Rは、例えば交換可能なカセット式の芳香メインタンク29を備えている。なおこれら右側支持部材99R及び左側支持部材99Lの少なくとも一方にはGPS受信機10が用いる図示しないGPアンテナが内蔵されていても良い。
【0098】
これら後背部99aには、上述した演算制御部19、GPS(Global Positioning System)受信機10、表示部15、操作スイッチ部17、記憶部13及び地図データ入力部14並びに芳香射出制御部27を備えている。後背部99aは、その外観上、図16に示すように表示部15及び操作スイッチ部17が露出しており、その内部には、少なくともジャイロセンサ18及び電源部8を内蔵している構成としても良い。
【0099】
図17は、図15に示す情報提示装置100cがユーザによって装着された様子の一例を表す斜視図である。
情報提示装置100cは、図示のようにユーザHの肩HSに配置部99bが配置するように装着される。この状態では、ユーザHの顔やや左下側に左側芳香射出部25Lが配置しており、ユーザHの顔やや右側に右側芳香射出部25Rが配置している。このため芳香射出部25Lのノズル9bがユーザHの鼻Nに向いて配置されるとともに、芳香射出部25Rのノズル9aがユーザHの鼻に向いて配置される。
【0100】
この状態で情報提示装置100cが作動すると、現在位置から目的地までの経路に関する誘導情報に基づいて左側芳香射出部25L及び右側芳香射出部25Rの少なくとも一方から芳香が射出される。
【0101】
上記実施形態における情報提示装置100cにおいては、細長い棒状の支持部材であってその両端に各々前記第1芳香射出手段25L及び前記第2芳香射出手段25Rが連続しており、前記現在位置検出手段10、前記目的地設定手段17及び前記制御手段19を内蔵する筐体を備え、前記筐体には、前記ユーザの肩に乗せて配置するための配置部99bが形成されている。
【0102】
このようにすると、情報提示装置100cは電気的な構成からは上記各実施形態と同様な効果を発揮することができるとともに、ユーザは情報提示装置100cを肩に乗せて装着することができ、ユーザにとって情報提示装置100cを煩わしく感じさせることなく自然に使用させることができる。
【0103】
<第5実施形態>
図18は、第5実施形態における情報提示装置100dの電気的な構成例を示すブロック図である。
第5実施形態における情報提示装置100dは、各上記実施形態とは一部分を除いてほぼ同様の構成でありほぼ同様の動作を行う。このため第5実施形態では、同一の構成及び動作については上述した各実施形態における図1乃至図14と同一の符号を用いるとともに、その説明を省略し、以下では異なる点を中心として説明する。
【0104】
第1実施形態などでは、各々芳香射出装置9が情報提示装置100などに内蔵されたが、第4実施形態では、この情報提示装置100がこの芳香射出装置9とその他の部分(後述するナビゲーション装置101に相当)とに分かれて独立した構成となっており、この芳香射出装置9とその他の部分とが無線によりデータ通信を行っている。
【0105】
具体的には、第5実施形態における情報提示装置100dは、芳香発生装置99及びナビゲーション装置101を有する。ナビゲーション装置101は、現在地から目的地までの探索結果としての経路を含む誘導情報を無線により芳香発生装置99に対して出力する機能を有する。このナビゲーション装置101は、いわゆるナビゲーション機能を有する専用端末のみならず、例えばナビゲーション機能を搭載する携帯電話装置であっても良い。
【0106】
一方、芳香発生装置99は、ユーザが装着可能であってそのナビゲーション装置101から無線によって受け取った誘導情報に基づいてユーザに対して芳香を射出する。この芳香発生装置99の外観は、例えば図15に示す情報提示装置100cとほぼ同様の構成である。またこの芳香発生装置99の機能は、その情報提示装置100cから次のようなナビゲーション装置101の機能を除外した構成であると例示することができる。
【0107】
まずこのナビゲーション装置101は、上述した演算制御部19、GPS受信機10、表示部15、操作スイッチ部17、記憶部13及び地図データ入力部14を備えており、それ以外にも映像音入出力部11及び周囲温度測定部5を備えていても良い。これらの機能は第1実施形態とほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0108】
このナビゲーション装置101はさらに通信部24を備えている。この通信部24は、演算制御部29の制御により芳香発生装置99との間で、例えば赤外線、いわゆるブルートゥース(Bluetooth)又はミリ波を用いたデータ通信を行う機能を有する。この通信部26は、例えば芳香射出制御部27とともに支持部材の一部としての上記後背部99aに内蔵されていても良い。
【0109】
一方、芳香発生装置99は、上述した芳香射出装置9の構成に加えて通信部26を有する。この通信部26は、上述した芳香射出制御部27の制御によりナビゲーション装置101の通信部26との間でデータ通信を行う機能を有する。
【0110】
上述したこれら左右両側の配置部99bがユーザの肩に配置すると、後背部99aがユーザの頭部後方に配置し、左側芳香射出部25L及び右側芳香射出部25Rがユーザの顔やや下側左右に各々配置される。
【0111】
上記実施形態における情報提示装置100dは、第1方向からユーザに向けて芳香を射出する第1芳香射出手段25Lと、第2方向から前記ユーザに向けて芳香を射出する第2芳香射出手段25Rと、外部より、現在位置から所望の目的地までの経路に関する誘導情報を受け取る通信手段26と、前記通信手段26によって受け取った前記誘導情報に基づいて、前記ユーザが誘導されるべき方向に応じて前記第1芳香射出手段25L及び前記第2芳香射出手段25Rの少なくとも一方による芳香の射出を制御する制御手段27とを有する。
【0112】
このようにすると、ユーザは、携帯電話装置などのナビゲーション装置101を携帯していれば、例えば自らの肩に配置したこのナビゲーション装置101から無線により誘導情報を取得し、この誘導情報に基づくから情報提示装置100dをあたかも衣服のように着用するだけで芳香によって所望の目的地まで導かれるようになる。
【0113】
上記実施形態における情報提示装置100dは、上述した構成に加えてさらに、前記通信手段26は、現在位置から所望の目的地までの経路を探索して探索結果に基づいて誘導情報を生成するナビゲーション装置101から前記誘導情報を受け取る。
【0114】
このようにすると、情報提示装置100dは。情報提示装置100dは自ら誘導情報を生成しなくても良いことから、その誘導情報を生成するための構成分、軽量化を図ることができる。
【0115】
上記実施形態における情報提示装置100dは、上述した構成に加えてさらに、前記第1芳香射出手段25L及び前記第2芳香射出手段25Rを前記ユーザHに向けた状態で支持するとともに前記通信手段26及び前記制御手段27を内蔵する支持部材99R,99Lを有し、前記支持部材99R,99Lは、前記ユーザHの肩に乗せて配置される。
【0116】
このようにすると、ユーザHは自らの肩HSに情報提示装置100dを配置すれば、この情報提示装置100dを手で持ち続ける必要がなくなり容易に携帯しやすくなる。
【0117】
なお、本実施形態は、上記に限られず、種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
上記第5実施形態におけるナビゲーション装置101は、上述したようなナビゲーション機能を有する携帯電話装置のみならず、例えば車載のナビゲーション装置を用いても良い。
【0118】
上記実施形態における情報提示装置100などは、例えば面ファスナーなどで衣服に貼り付けたり、マフラーのように首に巻き付ける形態であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】第1実施形態としての芳香伝達装置を備える表示装置の外観の一例を示す正面図である。
【図2】図2に示す表示装置が内蔵する芳香伝達装置の電気的な構成例を示すブロック図である。
【図3】図2に示す芳香射出部の構成例を示すブロック図である。
【図4】図3に示す芳香サブタンクの構成例を示す断面図である。
【図5】情報提示装置を用いたナビゲーション処理の手順例を表すフローチャートである。
【図6】情報提示装置を用いたナビゲーション処理の手順例を表すフローチャートである。
【図7】情報提示装置を用いたナビゲーション処理の手順例を表すフローチャートである。
【図8】情報提示装置を用いたナビゲーション処理の手順例を表すフローチャートである。
【図9】芳香制御情報テーブルの構成例を示す図である。
【図10】芳香制御情報テーブルの構成例を示す図である。
【図11】芳香制御情報テーブルの構成例を示す図である。
【図12】芳香制御情報テーブルの構成例を示す図である。
【図13】芳香制御情報テーブルの構成例を示す図である。
【図14】芳香制御情報テーブルの構成例を示す図である。
【図15】第4実施形態としての情報提示装置の外観の一例を示す斜視図である。
【図16】第4実施形態における後背部の外観の一例を示す正面図である。
【図17】図15に示す情報提示装置がユーザによって装着された様子の一例を表す斜視図である。
【図18】第5実施形態における情報提示装置の電気的な構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0120】
10 GPS受信機(現在位置検知手段)
17 操作スイッチ部(目的地設定手段)
19 制御部(制御手段)
25L 左側芳香射出部(第1芳香射出手段、第1空気射出手段)
25R 右側芳香射出部(第2芳香射出手段、第2空気射出手段)
26 通信部(通信手段)
27 芳香射出制御部(制御手段)
55 筐体
99a 後背部(支持部性の一部、筐体)
99b 配置部
99L 支持部材(筐体の一部)
99R 支持部材(筐体の一部)
100 情報提示装置
100a 情報提示装置
100c 情報提示装置
100d 情報提示装置
101 ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向からユーザに向けて芳香を射出する第1芳香射出手段と、
第2方向から前記ユーザに向けて芳香を射出する第2芳香射出手段と、
現在位置を検出する現在位置検出手段と、
所望の目的地を設定する目的地設定手段と、
前記ユーザが、前記目的地へ誘導されるべき方向に応じて前記第1芳香射出手段及び前記第2芳香射出手段の少なくとも一方による芳香の射出を制御する制御手段と
を有することを特徴とする情報提示装置。
【請求項2】
請求項1記載の情報提示装置において、
前記制御手段は、
前記現在位置検出手段によって検出される現在位置が予め設定された時間にわたり変化がない場合、前記ユーザが誘導されるべき方向に応じて前記第1芳香射出手段及び前記第2芳香射出手段の少なくとも一方による芳香の射出を制御することを特徴とする情報提示装置。
【請求項3】
請求項1記載の情報提示装置において、
前記制御手段は、
前記現在位置検出手段によって検出される現在位置が、
予め設定された時間にわたり変化がない場合、かつ、
予め設定された場所であることを検出した場合に、
前記ユーザが誘導されるべき方向に応じて前記第1芳香射出手段及び前記第2芳香射出手段の少なくとも一方による芳香の射出を制御することを特徴とする情報提示装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の情報提示装置において、
前記ユーザが誘導を受けるべき特定の場所は、交差点であることを特徴とする情報提示装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか記載の情報提示装置において
前記ユーザの顔の向きを判別する顔方向判別手段を、さらに備え、
前記制御手段は、
前記目的地へ向かう方向と、前記顔の向が向いている方向とが一致するまで前記第1芳香射出手段及び第2芳香射出手段の少なくとも一方から芳香を射出させることを特徴とする情報提示装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか記載の情報提示装置において、
前記制御手段は、
探索された前記経路の案内種別に応じて、前記第1芳香射出手段及び前記第2芳香射出手段の少なくとも一方から射出させるべき芳香成分の種類及び射出パターンの少なくとも一方を変化させることを特徴とする情報提示装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか記載の情報提示装置において、
前記第1芳香射出手段は前記ユーザの左側に設けられており、
前記第2芳香射出手段は前記ユーザの右側に設けられていることを特徴とする情報提示装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか記載の情報提示装置において、
前記第1芳香射出手段及び前記第2芳香射出手段を前記ユーザに向けて支持しているとともに、前記現在位置検出手段、前記目的地設定手段及び前記制御手段を内蔵する衣服の上着形状の筐体を有することを特徴とする情報提示装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項7のいずれか記載の情報提示装置において、
細長い棒状の支持部材であってその両端に各々前記第1芳香射出手段及び前記第2芳香射出手段が連続しており、前記現在位置検出手段、前記目的地設定手段及び前記制御手段を内蔵する筐体を備え、
前記筐体には、前記ユーザの肩に乗せて配置するための配置部が形成されていることを特徴とする情報提示装置。
【請求項10】
第1方向からユーザに向けて芳香を射出する第1芳香射出手段と、
第2方向から前記ユーザに向けて芳香を射出する第2芳香射出手段と、
外部より、現在位置から所望の目的地までの経路に関する誘導情報を受け取る通信手段と、
前記通信手段によって受け取った前記誘導情報に基づいて、前記ユーザが、前記目的地へ誘導されるべき方向に応じて前記第1芳香射出手段及び前記第2芳香射出手段の少なくとも一方による芳香の射出を制御する制御手段と
を有することを特徴とする情報提示装置。
【請求項11】
請求項10記載の情報提示装置において、
前記通信手段は、
現在位置から所望の目的地までの経路を探索して探索結果に基づいて誘導情報を生成するナビゲーション装置から、前記誘導情報を受け取ることを特徴とする情報提示装置。
【請求項12】
請求項10又は請求項11記載の情報提示装置において、
前記第1芳香射出手段及び前記第2芳香射出手段を前記ユーザの鼻に向けた状態で支持するとともに前記通信手段及び前記制御手段を内蔵する支持部材を有し、
前記支持部材は、
前記ユーザの肩に乗せて配置されることを特徴とする情報提示装置。
【請求項13】
第1方向からユーザに向けて空気を射出する第1空気射出手段と、
第2方向から前記ユーザに向けて空気を射出する第2空気射出手段と、
現在位置を検出する現在位置検出手段と、
所望の目的地を設定する目的地設定手段と、
前記ユーザが、前記目的地へ誘導されるべき方向に応じて前記第1空気射出手段及び前記第2空気射出手段の少なくとも一方による空気の射出を制御する制御手段と
を有することを特徴とする情報提示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−128182(P2009−128182A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−303365(P2007−303365)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】