説明

情報生成装置および情報生成方法

【課題】客観的で精度の高い指名手配情報や不審者情報を生成し、当該指名手配情報または不審者情報を用いることで指名手配者や不審者の対処に必要な情報を提供する。
【解決手段】物体の画像情報を記憶する画像情報DB150と、物体の動作の種類を表す動詞と物体の動作に関連する名詞とを含み、動詞に対する名詞の意味関係を表した状態情報を画像情報に対応付けて記憶する状態情報DB160と、指名手配されている人物の状態情報または不審者の状態情報を検索する状態情報検索部137と、検索された状態情報に対応する画像情報を取得する画像情報取得部138と、検索された状態情報から名詞を抽出する抽出部139と、抽出された名詞と取得された画像情報とを含む指名手配情報または不審者情報を生成する情報生成部141とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の動作状態を表す情報から、指名手配された人物を示す情報または不審者を示す情報を生成する情報生成装置および情報生成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、指名手配されている人物を示す情報(指名手配情報)や不審者を示す情報(不審者情報)を配信して、照合を行う技術が知られている。例えば、タクシーの配車等を行う車両監視システムが、警察署などの情報処理システムから受信した指名手配情報を配車車両の情報端末に送信し、該指名手配情報と合致する利用者が乗車したか否かを判断する配車システムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1の配車システムでは、乗車した利用者の音声データ、利用者を撮影した画像データ、指紋など利用者の特徴を抽出し、抽出した利用者の特徴を車両の情報端末から車両監視システムに送信して、警察署から指名手配されている犯人と合致するか否かを判断している。
【0003】
また、他のシステムとしては、警察端末から送信された指名手配者の顔データをDBに登録し、一般家庭に設置される家庭装置で撮影された人物の画像データと先に登録した指名手配者の顔データとを照合して、一致する場合に警察に通報する防犯システムが開示されている(例えば、特許文献2参照)。また、この特許文献2の防犯システムでは、管理会社サーバを介して地域住民の各家庭の家庭装置に指名手配者が訪問したことを表示している。
【特許文献1】特開2003−67890号公報
【特許文献2】特開2004−13871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の配車システムでは、配車車両において、指名手配情報と合致する利用者が乗車したか否かを判断するために用いる指名手配情報の生成方法については開示されていない。また、上記配車システムは、指名手配情報を印刷して配布するシステムではないため、配車車両において、警察署から送信された指名手配情報のみによる照合しかできない。
【0005】
また、上記特許文献2の防犯システムでは、撮影した顔データのみを、指名手配者の顔データとの照合に用いているため、撮影した人物の身長など、その他の情報(顔データ以外の情報)を指名手配情報として利用することができない。また、上記防犯システムでは、指名手配情報(顔データ)を印刷物として印刷したり、ネットワークを介して配布するシステムではないため、各家庭において、警察端末から送信された指名手配者の顔データのみによる照合しかできない。また、不審者情報においても同様である。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、物体の動作状態を表す情報から、客観的で精度の高い指名手配情報または不審者情報を生成し、当該指名手配情報または不審者情報を用いることで指名手配者や不審者の対処に必要な情報を提供する情報生成装置および情報生成方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる情報生成装置は、撮像手段が撮像した物体の画像情報を記憶する画像情報記憶手段と、前記画像情報を解析して物体の動作状態を抽出し、抽出した前記物体の動作状態を表す情報であって、前記物体の動作の種類を表す動詞と前記物体の動作に関連する名詞とを含み、前記動詞に対する前記名詞の意味関係を表した状態情報を、前記画像情報記憶手段が記憶する前記画像情報に対応付けて記憶する状態情報記憶手段と、前記状態情報記憶手段に記憶されている前記状態情報の中から、指名手配されている人物の前記状態情報または不審者の前記状態情報を検索する状態情報検索手段と、前記画像情報記憶手段に記憶されている前記画像情報の中から、検索された前記状態情報に対応する前記画像情報を取得する画像情報取得手段と、検索された前記状態情報から、前記名詞を抽出する抽出手段と、抽出された前記名詞と取得された前記画像情報とを含む情報であって、指名手配されている人物を示す情報である指名手配情報、または不審者を示す情報である不審者情報を生成する情報生成手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、情報生成装置で実行される情報生成方法であって、前記情報生成装置は、撮像手段が撮像した物体の画像情報を記憶する画像情報記憶手段と、前記画像情報を解析して物体の動作状態を抽出し、抽出した前記物体の動作状態を表す情報であって、前記物体の動作の種類を表す動詞と前記物体の動作に関連する名詞とを含み、前記動詞に対する前記名詞の意味関係を表した状態情報を、前記画像情報記憶手段が記憶する前記画像情報に対応付けて記憶する状態情報記憶手段と、を備え、状態情報検索手段が、前記状態情報記憶手段に記憶されている前記状態情報の中から、指名手配されている人物の前記状態情報または不審者の前記状態情報を検索する状態情報検索ステップと、画像情報取得手段が、前記画像情報記憶手段に記憶されている前記画像情報の中から、検索された前記状態情報に対応する前記画像情報を取得する画像情報取得ステップと、抽出手段が、検索された前記状態情報から、前記名詞を抽出する抽出ステップと、情報生成手段が、抽出された前記名詞と取得された前記画像情報とを含む情報であって、指名手配されている人物を示す情報である指名手配情報、または不審者を示す情報である不審者情報を生成する情報生成ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、物体の動作状態を表す情報から、客観的で精度の高い指名手配情報または不審者情報が生成できるとともに、当該指名手配情報または不審者情報を用いることで指名手配者または不審者の対処に必要な情報を提供できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる情報生成装置および情報生成方法の最良な実施形態を詳細に説明する。以下の実施の形態においては、本発明にかかる情報生成装置を警備装置に適用した例を示すが、これに限定されることなく、他の装置においても本発明を適用することができる。
【0011】
図1は、実施の形態にかかる警備装置100を含むシステムを示す構成図である。図1に示すように、本実施の形態の警備装置100は、ネットワーク50を介して監視センタ200と接続されている。また、警備装置100は、プリンタ300と接続されている。監視センタ200は、さらにネットワーク50を介して、他の警備装置100a、100b…100nと接続されている。なお、他の警備装置100a、100b…100nの機能および構成は、警備装置100の機能および構成と同様であり、以下の実施の形態では警備装置100について説明する。
【0012】
ネットワーク50は、電話回線、無線ネットワーク、インターネットなどであって、警備装置100、100a、100b…100nと監視センタ200とを接続している。
【0013】
監視センタ200は、監視領域を警備する警備装置100、100a、100b…100nからの異常を検知した旨を示す警報を受信した場合に、待機中の警備員に対して異常が検知された監視領域へ向かう旨の指示を出すとともに、必要に応じて警察や消防など関係機関への通報を行うセンタである。また、本実施の形態の監視センタ200は、警備装置から受信した種々の情報を、他の警備装置に送信(配信)する。
【0014】
プリンタ300は、警備装置100からの印刷指示により、警備装置100から送信された、指名手配されている人物を示す情報である指名手配情報または不審者を示す不審者情報を紙媒体10に印刷するものである。紙媒体10に指名手配情報が印刷された場合、携帯電話等の読取照合装置400は、指名手配情報が印刷された紙媒体10から指名手配されている人物に関する情報を読み取ることができる。また、紙媒体10に不審者情報が印刷された場合、読取照合装置400は、不審者情報が印刷された紙媒体10から不審者に関する情報を読み取ることができる。なと、プリンタ300n、読取照合装置400nに付いても同様である。
【0015】
警備装置100は、監視領域を警備するとともに、指名手配情報または不審者情報を生成し、生成した指名手配情報または不審者情報を紙媒体に印刷したり、他の監視装置に送信するものであり、センサ110と、監視カメラ120とを備えている。指名手配情報または不審者情報の詳細については、後述する。
【0016】
センサ110は、警備対象である監視領域に設置されており、主に監視領域への侵入者等の異常を検知する目的で設置された人感センサであり、人の存在や扉の開閉を検知した場合に検知信号を出力する。センサ110は、例えば、赤外線の受光量の変化をもとに人の存在を検出する赤外線センサ、赤外線等の受信が遮断されることで人の存在を検出する遮断センサ、電磁波の乱れで人の存在を検知する電波センサ、およびマグネットにより扉の開閉を検出するマグネットセンサなどの監視領域の異常を検出する各種センサによって構成できる。本実施の形態のセンサ110は、監視領域での異常を検知すると、検知情報受信部131(後述)に、異常を検知した旨の検知信号を送出する。
【0017】
監視カメラ120は、警備対象である監視領域を撮像するものであり、主に監視領域である住居の出入口付近や敷地内への出入口付近に設置されている。
【0018】
次に、警備装置100の内部構成について説明する。図2は、実施の形態にかかる警備装置100の構成を示すブロック図である。図2に示すように、警備装置100の本体部130は、検知情報受信部131と、警備状態記憶部132と、警備状態切替部133と、操作パネル制御部134と、画像処理部135と、言語構造構築部136と、状態情報検索部137と、画像情報取得部138と、抽出部139と、QRコード(Quick Response code)生成部140と、情報生成部141と、印刷部142と、送受信部143と、操作パネル180と、画像情報DB(データベース)150と、状態情報DB160とを主に含んで構成されている。さらに、操作パネル180は、入力受付部181と、状態情報表示部182と、画像表示部183とを主に含んで構成されている。
【0019】
検知情報受信部131は、センサ110によって異常が検知された場合に送出される検知情報を受信する。検知情報は、センサ110から送出される検知信号であり、センサ110が複数設置されている場合は、検知信号およびセンサを識別するセンサID等も含まれる。
【0020】
警備状態記憶部132は、現在の警備装置100の警備モードである警備状態または警備解除状態のいずれかを記憶するHDDやメモリ等の記憶媒体である。
【0021】
ここで、警備状態とは、センサ110が異常を検知して検知情報を取得した場合に、監視領域での異常を知らせる旨の警報情報をネットワーク50で接続されている監視センタ200に送信する状態をいい、警備解除状態とは、上記検知情報を取得した場合でも異常を知らせる警報情報を監視センタ200に送信しない状態をいう。
【0022】
警備状態切替部133は、後述するように操作パネル180が入力を受け付けた警備モードの切替信号が操作パネル制御部134によって制御され、制御された切替信号に従って、現在の警備モードを警備状態記憶部132に格納する。
【0023】
操作パネル180は、LCD(Liquid Crystal Display)等の液晶パネルから構成され、液晶パネル上に表示された操作ボタンの押下等によって上述した警備状態または警備解除状態のいずれかの警備状態を入力する。
【0024】
操作パネル制御部134は、操作パネル180への表示情報の出力や、操作パネル180から入力された入力情報の取得等の制御を行う。
【0025】
入力受付部181は、利用者から、状態情報DB160(後述)に記憶された状態情報の中から、指名手配されている人物の状態情報を検索して取得するための検索キーとなるキー情報の入力を受け付けるものである。また、入力受付部181は、利用者から、状態情報DB160(後述)に記憶された状態情報の中から、不審者の状態情報を検索して取得するための検索キーとなるキー情報の入力を受け付ける。
【0026】
また、入力受付部181は、指名手配されている人物の特定情報の入力を受け付ける。指名手配されている人物の特定情報とは、指名手配されている人物に関する種々の情報であり、例えば、指名手配されている人物の人物名、指名手配されている人物が犯した罪状、指名手配されている人物を発見した際に利用者が通報する連絡先、または指名手配されている人物を発見した者への懸賞の情報である懸賞情報である。そして、受け付けた特定情報は、後述する情報生成部141により、指名手配情報に含められる。
【0027】
また、入力受付部181は、不審者の特定情報の入力を受け付ける。不審者の特定情報とは、不審者に関する種々の情報であり、例えば、不審者を発見した際に利用者が通報する連絡先などである。そして、受け付けた特定情報は、後述する情報生成部141により、不審者情報に含められる。
【0028】
状態情報表示部182は、入力受付部181が入力を受け付けたキー情報により検索され取得された状態情報を表示する。また、画像表示部183は、監視カメラ120により撮影された画像や映像を表示する。
【0029】
画像情報DB150は、監視カメラ120が撮像した画像情報や映像情報を、その撮像された時間(例えば、撮像開始時刻、撮像終了時刻)、および言語構造構築部136(後述)により構築された状態情報の深層格フレームID(後述)と共に記憶するものであり、HDD(Hard Disk Drive)やメモリ等の記憶媒体に記憶されている。
【0030】
画像処理部135は、画像情報DB150に記憶された監視カメラ120によって撮像された画像情報を解析し、撮像された画像に映った物体の動作状態の画像情報や映像情報を抽出する。例えば、画像処理部135は、撮像された画像に人物が映っている場合には、肌領域を検出する等して人物を特定し、特定した人物の動作(例えば、玄関に向かって歩行している状態)の画像情報や映像情報を抽出する。
【0031】
言語構造構築部136は、画像処理部135が画像情報DB150に記憶された画像情報や映像情報から抽出した物体の動作状態の画像情報や映像情報から、後述する深層格フレームによって表された状態情報を構築する。
【0032】
状態情報DB160は、物体の動作状態を深層格フレーム構造で表した状態情報を、画像情報DB150に記憶されている画像情報や映像情報に対応付けて記憶するものであり、HDDやメモリ等の記憶媒体に記憶されている。なお、深層格フレーム(以下、単に格フレームとも言う)とは、動詞を基準として、動詞に対する名詞の意味関係を深層格として表した言語構造のことである。具体的には、画像情報DB150に記憶される画像情報や映像情報と状態情報DB160とは、後述する深層格フレームIDによって対応付けられている。
【0033】
図3は、状態情報DB160に記憶される状態情報のデータ構造を示す図である。図3に示すように、状態情報は、格フレームを識別する格フレームIDと、動作(行動)の種類を表す行動名(動詞)と、動作に関連する名詞である格要素(深層格)とを含んでいる。深層格には、主格、属性格(属性情報)、場所格、および時間格が含まれる。
【0034】
主格は、動作を引き起こす主体を表し、例えば、人物の名前が含まれる。属性格(属性情報)は、主格に関する情報をいう。例えば、属性格は、身長高、体型、上半身色および下半身色(衣服の色)、頭色、容貌等の顔情報、および歩容情報等を含む。
【0035】
顔情報および歩容情報は、さらに詳細な要素に分けられる。例えば、顔情報は、顔の特徴を表す顔特徴(鼻が高い、目が二重、眉が濃い等)、視線方向、マスクの有無、サングラスの有無、性別、および年代などの要素を含む。また、歩容情報は、歩幅、姿勢、脚長、および歩速などの要素を含む。
【0036】
場所格は、動作や状態が起こる場所を表す。例えば、場所格は、頭部位置、体位置、手位置、顔位置、および脚部位置等を含む。
【0037】
時間格は、動作や状態が起こる時間を表す。例えば、時間格は、現在時刻を表す時刻、動作が開始された時刻を表す動作開始時刻、動作が終了した時刻を表す動作終了時刻、および年月日等を表す。
【0038】
なお、利用できる深層格はこれらに限られず、例えば精神的事象の経験者を表す経験者格などの、その他のあらゆる深層格を用いることができる。
【0039】
図4は、状態情報DB160に記憶される状態情報の具体例を示す図である。図4は、00003(主格)の「滞在」という行動を検出したときに生成される状態情報の一例を示している。この場合、属性格には、主格の身長高、体型などの具体的な値が設定される。また、場所格および時間格には、それぞれ主格が滞在しているときの位置や時刻に関する具体的な値が設定される。
【0040】
状態情報検索部137は、状態情報DB160に記憶されている状態情報の中から、入力受付部181が入力を受け付けた、指名手配されている人物に関するキー情報(キーワードや文章等)を含む状態情報、または不審者に関するキー情報を含む状態情報を検索するものである。
【0041】
なお、上述した状態情報検索部137が、入力受付部181が入力を受け付けたキーワードや文章等のキー情報に従って、深層格フレームとして記憶された主格や属性格等の情報を検索する方法は、入力されたキー情報が、主格や属性格といった深層格フレームとして記憶されている内容と完全に一致する場合の他、部分的に一致する場合、これらの内容に類似性がある場合等も検索できるものとする。ここで、類似性がある場合の検索手法については、その内容の主成分分析を行って検索する手法等、従来から行われている技術によって検索することができる。
【0042】
画像情報取得部138は、画像情報DB150に記憶されている画像情報の中から、状態情報検索部137により検索された状態情報に対応する画像情報を取得するものである。具体的には、画像情報取得部138は、状態情報検索部137により検索された状態情報における深層格フレームの時間格に含まれている撮像開始時刻から撮像終了時刻までの画像情報のうち精度の高い画像である画像情報を、画像情報DB150に記憶されている画像情報の中から取得する。なお、画像情報取得部138により取得する画像情報は、警備装置において検索しなくとも、利用者により選択する構成としてもよい。
【0043】
抽出部139は、状態情報検索部137により検索された状態情報から、属性格に含まれる身長高、体型、上半身色および下半身色(衣服の色)を抽出し、さらに属性格の顔情報に含まれる性別、年代、顔特徴を抽出する。
【0044】
QRコード生成部140は、状態情報検索部137により検索された状態情報から抽出部139により抽出された顔特徴から、該顔特徴を識別する識別情報を生成するものであり、本実施の形態では、顔特徴を2次元コードで示すQRコードを生成する。ここで、QRコードは、公知の手法により生成する。
【0045】
情報生成部141は、抽出部139により抽出された属性格に含まれる身長高、体型、上半身色および下半身色(衣服の色)、性別、年代と、画像情報取得部138により取得された画像情報と、QRコード生成部140により生成されたQRコードと、入力受付部181により受け付けた特定情報(指名手配されている人物名、罪状、連絡先や懸賞情報など)とを含めた指名手配情報を生成する。また、情報生成部141は、抽出部139により抽出された属性格に含まれる身長高、体型、上半身色および下半身色(衣服の色)、性別、年代と、画像情報取得部138により取得された画像情報と、QRコード生成部140により生成されたQRコードと、入力受付部181により受け付けた特定情報(不審者を発見した際の連絡先など)とを含めた不審者情報を生成する。ここでは、一例として上記に挙げた属性格に含まれる情報を含めて指名手配情報または不審者情報を生成しているが、属性格における他の情報や、他の格要素に含まれる情報を含めて指名手配情報または不審者情報を生成してもよい。
【0046】
ここで、指名手配情報について説明する。図5は、指名手配情報の一例を示す図である。図5に示すように、指名手配情報は、指名手配されている人物を示す情報であり、左側上部から指名手配されている人物の特徴が記載される。図5では、罪状が「強盗・窃盗犯」、氏名(人物名)が「泥棒太郎」、性別が「男」、年代が「29〜39才」、身長(身長高)が「182cm」、体型が「痩せ型」、衣服特徴(衣服の色)が「上衣―青」「下衣−黒」、特記事項が「なし」の特徴を有する人物が指名手配されている旨が記載されている。そして、右側には、指名手配されている人物の画像が表示され、画像の下方には、通報する連絡先「○○△×○△○○××○」とQRコードが記載されている。
【0047】
また、不審者情報について説明する。不審者情報は、不審者を示す情報であり、例えば、図5を参考に説明すると、指名手配情報と同様に、左側上部から不審者の特徴が記載されるが、不審者に関しては、罪状や氏名(人物名)が定まっていないため、それらは記載されていない。従って、不審者情報は、指名手配情報における氏名(人物名)および罪状以外が記載されたものである。
【0048】
印刷部142は、情報生成部141により生成された指名手配情報または不審者情報を、プリンタ300により紙媒体に印刷するものである。
【0049】
送受信部143は、ネットワーク50を介して監視センタ200との間で各種情報を送受信するものである。例えば、送受信部143は、センサ110により異常が検知された場合に、監視領域に異常が発生した旨の警報を監視センタ200に送信する。また、送受信部143は、情報生成部141により生成された指名手配情報または不審者情報を、格フレームの値等を用いて文字情報のみからなる送信用指名手配情報または送信用不審者情報に変換し、ネットワーク50を介して監視センタ200や他の警備装置100a、100b…100nに送信するものである。
【0050】
ここで、変換された送信用指名手配情報について説明する。図6は、送信用指名手配情報の一例を示す図である。図6に示すように、送信用指名手配情報は、指名手配情報における指名手配されている人物の特徴を文字情報で示したものである。図6では、格フレームの値を用いて、氏名を「Name:泥棒太郎;」、性別を「SexType:Male;」、年代を「Age:29−39;」、身長を「Height:182.00;」、体型を「Figure:0;」、衣服特徴を「BodyColor:5,3,50,24,8,8,8,15,30;」「LegColor:8,15,9,8,8,3,10,10,5;」、罪状を「CrimeType:larceny,holdup;」、顔特徴を「FaceIdent:[23,11,39,..,80];」、特記事項を「Note:none;」、連絡先を「No:○○△×○△○○××○」とした文字情報で示している。また、図6では、画像情報のファイル名を用いて、画像を「ImageFile:0003.jpg」とした文字情報で示している。
【0051】
また、変換された送信用不審者情報について説明する。送信用不審者情報は、不審者情報における不審者の特徴を文字情報で示したものであり、例えば、図6を参考に説明すると、送信用指名手配情報と同様に、格フレームの値を用いて、送信用指名手配情報の氏名、罪状以外を文字情報で示したものである。
【0052】
続いて、以上のように構成された実施の形態にかかる警備装置100で実行される指名手配情報生成処理について説明する。図7は、実施の形態にかかる警備装置100による指名手配情報生成処理の流れを示すフローチャートである。以下の説明では、画像情報DB150には予め監視カメラ120によって撮像された画像情報や映像情報が記憶され、状態情報DB160には、その画像情報や映像情報に対応付けられて記憶された深層格フレームが記憶されているものとする。
【0053】
まず、状態情報検索部137は、入力受付部181により、指名手配されている人物に関するキー情報の入力を受け付けたか否かを判断する(ステップS10)。キー情報を受け付けていない場合(ステップS10:No)、受け付けるまで待機する。一方、キー情報を受け付けた場合(ステップS10:Yes)、状態情報検索部137は、状態情報DB160に記憶されている状態情報の中から、キー情報を検索キーとして、指名手配されている人物の状態情報を検索する(ステップS11)。そして、抽出部139は、状態情報検索部137により検索された状態情報から、顔特徴等を含む属性格(身長高、体型、上半身色および下半身色(衣服の色)、性別、年代、顔特徴等)を抽出する(ステップS12)。
【0054】
次に、画像情報取得部138は、画像情報DB150に記憶されている画像情報の中から、状態情報検索部137により検索された状態情報に対応する画像情報を取得する(ステップS13)。そして、QRコード生成部140は、抽出部139により抽出された顔特徴から、QRコードを公知の手法により生成する(ステップS14)。
【0055】
次に、情報生成部141は、入力受付部181により、指名手配されている人物名、罪状、当該人物を見つけた際の連絡先、懸賞情報等の特定情報を受け付けたか否かを判断する(ステップS15)。特定情報を受け付けていない場合(ステップS15:No)、受け付けるまで待機する。
【0056】
一方、特定情報を受け付けた場合(ステップS15:Yes)、情報生成部141は、抽出部139により抽出された属性格と、画像情報取得部138により取得された画像情報と、QRコード生成部140により生成されたQRコードと、入力受付部181により受け付けた特定情報とを含む指名手配情報を生成する(ステップS16)。なお、特定情報として人物名、罪状を受け付けていれば、連絡先や懸賞情報を受け付けていなくても、情報生成部141は、指名手配情報を生成できる構成としてもよい。
【0057】
そして、印刷部142は、情報生成部141により生成された指名手配情報を紙媒体に印刷する(ステップS17)。また、送受信部143は、情報生成部141により生成された指名手配情報を変換した送信用指名手配情報を、監視センタ200を介して他の警備装置100a、100b…100nに送信する(ステップS18)。
【0058】
図7では、警備装置100による指名手配情報生成処理の流れを示したが、不審者情報生成処理の流れも同様である。すなわち、状態情報検索部137は、不審者に関するキー情報を受け付けると、該キー情報により不審者の状態情報を検索する。そして、抽出部139は、検索された状態情報から、顔特徴を含む属性格を抽出し、画像情報取得部138は、検索された状態情報に対応する画像情報を取得し、QRコード生成部140がQRコードを生成する(ステップS10〜14参照)。
【0059】
次に、入力受付部181により不審者を見つけた際の連絡先を受け付けた場合、情報生成部141は、抽出部139により抽出された属性格と、画像情報取得部138により取得された画像情報と、QRコード生成部140により生成されたQRコードと、入力受付部181により受け付けた特定情報とを含む不審者情報を生成する。なお、ここでも特定情報である連絡先を受け付けていなくても、不審者情報を生成できる構成としてもよい。そして、印刷部142は、生成された不審者情報を印刷紙、送受信部143は、不審者除法を変換した送信用不審者情報を他の警備装置100a等に送信する(ステップS15〜18参照)。
【0060】
その後、印刷部142により指名手配情報(または不審者情報)が印刷された紙媒体10に記載されているQRコードを、携帯電話等の読取照合装置400で読み取ると、読取照合装置400は、指名手配されている人物(または不審者)の顔特徴を取得して装置内に登録することができる。そして、読取照合装置400は、自装置で撮影した人物の顔特徴と、登録された人物の顔特徴とを照合することで、指名手配された人物(または不審者)か否かを判断できる。これにより、照合するためのデータを送受信するための専用の送受信機能を持たずとも、読取照合装置400によって指名手配されている可能性のある人物(または不審な行動をとる可能性のある人物)の顔情報を撮影するだけで、指名手配された人物(または不審者)か否かを照合することができる。
【0061】
また、送受信部143により送信用指名手配情報(または送信用不審者情報)を、監視センタ200を介して遠隔地の他の警備装置100a、100b…100nに送信(配信)することで、遠隔地においても同様に指名手配情報(または不審者情報)を利用した指名手配者(または不審者)の照合が可能となる。
【0062】
このように、本実施の形態にかかる警備装置100では、格フレームで表現された物体の動作状態を表す状態情報から指名手配されている人物または不審者に関する情報を抽出し、抽出した情報により指名手配情報または不審者情報を生成することで、客観的で精度の高い指名手配情報または不審者情報を生成することができる。さらに、そのように生成された指名手配情報または不審者情報を紙媒体へ印刷したり、他の警備装置100a、100b…100nへ送信することで、警備装置100以外の読取照合装置400や、警備装置100a、100b…100nにおいて指名手配情報または不審者情報を利用できるため、指名手配者または不審者の対処に必要な情報を提供できる。
【0063】
本実施の形態では、利用者により入力されたキー情報により、指名手配されている人物または不審者の状態情報を検索しているが、これに限定されることはない。すなわち、警備装置において、予め定めた指名手配されている人物または不審者の特徴をキーとして、指名手配されている人物または不審者の状態情報を検索して、指名手配情報または不審者情報を生成する構成としてもよい。
【0064】
また、本実施の形態では、警備装置において指名手配情報または不審者情報を生成するシステムについて説明したが、監視センタにおいて指名手配情報または不審者情報を生成してもよい。具体的には、警備装置の監視カメラにより撮影された画像情報を監視センタに送信し、監視センタにおいて撮像された画像情報から状態情報を構築して蓄積する。そして、監視センタにおいて、蓄積した状態情報から指名手配情報または不審者情報を生成し、生成した指名手配情報または不審者情報を紙媒体に印刷したり、各警備装置に送信する。このような構成によっても、本実施の形態と同様に、客観的で精度の高い指名手配情報または不審者情報を生成し、指名手配者または不審者の対処に必要な情報を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】実施の形態にかかる警備装置100を含むシステムを示す構成図である。
【図2】実施の形態にかかる警備装置100の構成を示すブロック図である。
【図3】状態情報DB160に記憶される状態情報のデータ構造を示す図である。
【図4】状態情報DB160に記憶される状態情報の具体例を示す図である。
【図5】指名手配情報の一例を示す図である。
【図6】送信用指名手配情報の一例を示す図である。
【図7】実施の形態にかかる警備装置100による指名手配情報生成処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0066】
10 紙媒体
50 ネットワーク
100、100a、100b…100n 警備装置
110 センサ
120 監視カメラ
130 本体部
131 検知情報受信部
132 警備状態記憶部
133 警備状態切替部
134 操作パネル制御部
135 画像処理部
136 言語構造構築部
137 状態情報検索部
138 画像情報取得部
139 抽出部
140 QRコード生成部
141 情報生成部
142 印刷部
143 送受信部
150 画像情報DB
160 状態情報DB
180 操作パネル
181 入力受付部
182 状態情報表示部
183 画像表示部
200 監視センタ
300 プリンタ
400 読取照合装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段が撮像した物体の画像情報を記憶する画像情報記憶手段と、
前記画像情報を解析して物体の動作状態を抽出し、抽出した前記物体の動作状態を表す情報であって、前記物体の動作の種類を表す動詞と前記物体の動作に関連する名詞とを含み、前記動詞に対する前記名詞の意味関係を表した状態情報を、前記画像情報記憶手段が記憶する前記画像情報に対応付けて記憶する状態情報記憶手段と、
前記状態情報記憶手段に記憶されている前記状態情報の中から、指名手配されている人物の前記状態情報または不審者の前記状態情報を検索する状態情報検索手段と、
前記画像情報記憶手段に記憶されている前記画像情報の中から、検索された前記状態情報に対応する前記画像情報を取得する画像情報取得手段と、
検索された前記状態情報から、前記名詞を抽出する抽出手段と、
抽出された前記名詞と取得された前記画像情報とを含む情報であって、指名手配されている人物を示す情報である指名手配情報、または不審者を示す情報である不審者情報を生成する情報生成手段と、
を備えることを特徴とする情報生成装置。
【請求項2】
前記状態情報は、前記名詞として、前記物体の特徴を示す属性情報を含み、
前記抽出手段は、検索された前記状態情報から、前記属性情報を抽出し、
前記情報生成手段は、抽出された前記属性情報と取得された前記画像情報とを含む前記指名手配情報または前記不審者情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の情報生成装置。
【請求項3】
前記属性情報は、物体である人物の性別、年代、身長、体型、衣服の色、および顔特徴を含み、
前記抽出手段は、検索された前記状態情報から、前記属性情報に含まれる性別、年代、身長、体型、衣服の色、および顔特徴を抽出し、
前記情報生成手段は、抽出された前記属性情報に含まれる性別、年代、身長、体型、衣服の色、および顔特徴と、取得された前記画像情報とを含む前記指名手配情報または前記不審者情報を生成することを特徴とする請求項2に記載の情報生成装置。
【請求項4】
検索された前記状態情報から抽出された顔特徴から、該顔特徴を識別する顔特徴識別情報を生成する識別情報生成手段をさらに備え、
前記情報生成手段は、抽出された前記属性情報に含まれる性別、年代、身長、体型、および衣服の色と、取得された前記画像情報と、生成された前記顔特徴識別情報とを含む前記指名手配情報または前記不審者情報を生成することを特徴とする請求項3に記載の情報生成装置。
【請求項5】
前記顔特徴識別情報は、検索された前記状態情報から抽出された顔特徴を示す2次元コードを含むことを特徴とする請求項4に記載の情報生成装置。
【請求項6】
指名手配されている人物または不審者に関する特定情報の入力を受け付ける入力受付手段をさらに備え、
前記情報生成手段は、抽出された前記名詞と、取得された前記画像情報と、受け付けた前記特定情報とを含む前記指名手配情報または不審者情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の情報生成装置。
【請求項7】
前記入力受付手段は、前記特定情報として、指名手配されている人物の人物名、および指名手配されている罪状の入力を受け付け、
前記情報生成手段は、抽出された前記名詞と、取得された前記画像情報と、受け付けた前記人物名および前記罪状とを含む前記指名手配情報を生成することを特徴とする請求項6に記載の情報生成装置。
【請求項8】
前記入力受付手段は、前記特定情報として、指名手配されている人物を発見した際の連絡先、および指名手配されている人物を発見した者への懸賞の情報である懸賞情報の入力を受け付け、
前記情報生成手段は、抽出された前記名詞と、取得された前記画像情報と、受け付けた前記連絡先および前記懸賞情報とを含む前記指名手配情報を生成することを特徴とする請求項6に記載の情報生成装置。
【請求項9】
前記入力受付手段は、前記特定情報として、不審者を発見した際の連絡先の入力を受け付け、
前記情報生成手段は、抽出された前記名詞と、取得された前記画像情報と、受け付けた前記連絡先とを含む前記不審者情報を生成することを特徴とする請求項6に記載の情報生成装置。
【請求項10】
前記状態情報を検索するためのキー情報の入力を受け付ける入力受付手段をさらに備え、
前記状態情報検索手段は、前記入力受付手段が入力を受け付けた前記キー情報に基づいて、前記状態情報記憶手段に記憶されている前記状態情報の中から、指名手配されている人物の前記状態情報または不審者の前記状態情報を検索することを特徴とする請求項1に記載の情報生成装置。
【請求項11】
生成された前記指名手配情報または前記不審者情報を出力する出力手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の情報生成装置。
【請求項12】
前記出力手段は、前記指名手配情報または前記不審者情報を紙媒体に出力することを特徴とする請求項11に記載の情報生成装置。
【請求項13】
生成された前記指名手配情報または前記不審者情報を、ネットワークを介して送信する送信手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一つに記載の情報生成装置。
【請求項14】
前記送信手段は、前記指名手配情報を文字情報のみからなる送信用手配情報に変換して送信し、前記不審者情報を文字情報のみからなる送信用不審者情報に変換して送信することを特徴とする請求項13に記載の情報生成装置。
【請求項15】
情報生成装置で実行される情報生成方法であって、
前記情報生成装置は、
撮像手段が撮像した物体の画像情報を記憶する画像情報記憶手段と、
前記画像情報を解析して物体の動作状態を抽出し、抽出した前記物体の動作状態を表す情報であって、前記物体の動作の種類を表す動詞と前記物体の動作に関連する名詞とを含み、前記動詞に対する前記名詞の意味関係を表した状態情報を、前記画像情報記憶手段が記憶する前記画像情報に対応付けて記憶する状態情報記憶手段と、を備え、
状態情報検索手段が、前記状態情報記憶手段に記憶されている前記状態情報の中から、指名手配されている人物の前記状態情報または不審者の前記状態情報を検索する状態情報検索ステップと、
画像情報取得手段が、前記画像情報記憶手段に記憶されている前記画像情報の中から、検索された前記状態情報に対応する前記画像情報を取得する画像情報取得ステップと、
抽出手段が、検索された前記状態情報から、前記名詞を抽出する抽出ステップと、
情報生成手段が、抽出された前記名詞と取得された前記画像情報とを含む情報であって、指名手配されている人物を示す情報である指名手配情報、または不審者を示す情報である不審者情報を生成する情報生成ステップと、
を含むことを特徴とする情報生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−157097(P2010−157097A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−335023(P2008−335023)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000202361)綜合警備保障株式会社 (266)
【Fターム(参考)】