説明

情報表示機器、メニュー画面表示方法、及び制御プログラム

【課題】表示領域を割くことなく、メニュー画面の階層の深さを把握可能にする。
【解決手段】階層化された複数の選択項目42を選択するためのメニュー画面40を前記階層ごとに記憶する記憶部18と、前記メニュー画面40を前記階層ごとに切り替えて表示する表示部14とを有したカーナビゲーション装置1において、前記階層ごとのメニュー画面40の背景48に、それぞれ同一形状の背景図形50を、前記階層の深さに応じた大きさで表示するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、階層構造を有するメニュー画面を階層ごとに表示して選択可能にする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーナビゲーション装置やカーオーディオ等の車載用機器、或いはPND(パーソナルナビゲーションデバイス:Personal Navigation Device)やPDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話機等の携帯型情報機器においては、機器の機能設定に関する多数の設定項目が階層構造を有して記憶され、また、これらの設定項目を選択するためのメニュー画面が階層ごとに設けられている。
一般に、上記の機器が備える表示パネルは表示領域が小さいため、複数の階層のメニュー画面を同時に表示する事は、視認性が悪くなるため現実的ではない。
【0003】
そこで、上記の機器においては、上位階層のメニュー画面において設定項目が選択決定された場合、このメニュー画面の表示を消して、選択決定された設定項目の下位階層のメニュー画面を表示する、といったように、階層ごとにメニュー画面を切り替えて表示パネルに表示を行っている。
このように階層ごとにメニュー画面を切り替えて表示する場合、ユーザにとっては、階層間を移動して操作している際に、自分がどの階層にいるかを把握することが困難になる。そこで、従来、階層ごとのメニュー画面には、それぞれ階層の深さをアイコンや数字で表示する専用の領域が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−179333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、階層の深さを表示する専用の領域を設けると、設定項目を表示するためのスペースが削られてしまう、という問題がある。また、専用の表示が無くとも階層の深さを把握できるユーザ、或いは階層の深さを意識しないユーザにとっては、階層の深さの表示が煩わしく感じられる場合がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、表示領域を割くことなく、メニュー画面の階層の深さを把握可能な情報表示機器、メニュー画面表示方法、及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、階層化された複数の選択項目を選択するためのメニュー画面を前記階層ごとに記憶する記憶手段と、前記メニュー画面を前記階層ごとに切り替えて表示する表示手段とを有した情報表示機器において、前記階層ごとのメニュー画面の背景に、それぞれ同一形状の背景図形を、前記階層の深さに応じた大きさで表示することを特徴とする。
【0006】
また本発明は、上記の本発明に係る情報表示機器において、前記階層ごとのメニュー画面のそれぞれで、前記背景図形の中心を同じ位置に固定して表示することを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上記の本発明に係る情報表示機器において、前記選択項目の選択、及び/又は選択決定する操作子を備え、前記操作子が操作された場合、当該操作に合わせて当該操作の態様を模すように前記背景図形の表示を可変することを特徴とする。
【0008】
また上記目的を達成するために、本発明は、階層化された複数の選択項目を選択するためのメニュー画面を前記階層ごとに切り替えて表示するメニュー画面表示方法において、前記階層ごとのメニュー画面の背景に、それぞれ同一形状の背景図形を、前記階層の深さに応じた大きさで表示することを特徴とする。
【0009】
また上記目的を達成するために、本発明は、階層化された複数の選択項目を選択するためのメニュー画面を前記階層ごとに記憶する記憶手段と、前記メニュー画面を前記階層ごとに切り替えて表示する表示手段とを有した情報表示機器を、前記階層ごとのメニュー画面の背景に、それぞれ同一形状の背景図形を、前記階層の深さに応じた大きさで表示するメニュー画面表示制御手段として機能させることを特徴とする制御プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、階層ごとのメニュー画面の背景に、それぞれ同一形状の背景図形を、階層の深さに応じた大きさで表示するため、専用の表示領域を設けなくとも、ユーザは背景図形の大きさに着目することで階層の深さを把握することができる。
さらに、表示手段の表示領域が階層表示により割かれる事がないため、表示領域が有効に利用可能となり、また、階層が背景図形の大きさにより示されるから、階層表示に興味がないユーザが煩わしく感じる事もない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
なお、以下の説明では、情報表示機器の一態様として、車両に搭載されるカーナビゲーション装置を例示するが、本発明は、これに限定されるものでは無く、例えばカーオーディオ等の車載機器、或いはPNDやPDA、携帯電話機等の携帯型情報機器に適用することができる。
【0012】
図1は、本実施形態にかかるカーナビゲーション装置1の取付状態を示す斜視図である。
カーナビゲーション装置1は、ダッシュボード5の運転席と助手席との間に配置され、ダッシュボード5から車室内に露出した表示手段としての表示部14と、ダッシュボード5内に収納された本体部(不図示)とを備える。
このカーナビゲーション装置1の下方には、ダッシュボード5から車体後方に延びる箱状のコンソール7が設けられ、このコンソール7の上面部7Aに操作スイッチ3が設けられている。この操作スイッチ3は、カーナビゲーション装置1の表示部14と近接して設けられ、運転者が運転席に着座した状態で、当該表示部14を見ながら片手(本実施形態では左手)でカーナビゲーション装置1を操作できるようになっている。
【0013】
図2は、カーナビゲーション装置1の機能的構成を示すブロック図である。
カーナビゲーション装置1は、各部を中枢的に制御する制御手段としての制御部10と、車両の自車位置を検出する位置検出部12と、表示手段としての上記表示部14と、操作手段としての上記操作スイッチ3を備えた操作部16と、記憶手段としての記憶部18とを備えている。
【0014】
位置検出部12は、車両の現在位置を検出する手段としてGPSユニット20を備えている。GPSユニット20は、GPS衛星が発するGPS電波をGPSアンテナ22により受信し、GPS電波に重畳されたGPS信号に基づいて、車両の現在位置の経度及び緯度を示す現在位置地の情報を演算により取得し自車位置として制御部10に出力する。
なお、GPSユニット20に加えて、例えばジャイロセンサや車速パルスセンサ、加速度センサをカーナビゲーション装置1に設けて自立航法可能に構成しても良い。
【0015】
表示部14は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等のフラットディスプレイ型の表示パネル24を備え、制御部10の制御の下、メニュー画面や経路案内画面等の各種情報を表示する。この表示パネル24がダッシュボード5から露出して取付けられる(図1)。
操作部16は、図1に示す操作スイッチ3を備える。この操作スイッチ3は、回転操作及び押下操作が可能なロータリスイッチ3Aの中心部分にセンタープッシュスイッチ3Bを配設して構成されており、ロータリスイッチ3A、及びセンタープッシュスイッチ3Bに対応する操作が、それぞれ独立して実行可能になされている。この他にも操作部16には、電源ボタン等の図示しない操作ボタンが設けられている。
【0016】
記憶部18は、例えば半導体メモリやハードディスクドライブにより構成され、カーナビゲーション装置1の各種機能を実現するための制御プログラム28や、経路案内に供する地図データや自車位置マーク、各種アイコン等の経路案内用データ30、メニュー画面40(図3)のメニュー画面データ32を記憶する。
制御部10は、CPUやROM、RAMを備えて構成され、従来のカーナビゲーション装置が備える一般的な機能の他に、本実施形態では、メニュー画面表示制御部34を備えている。
メニュー画面表示制御部34は、表示パネル24へのメニュー画面表示を制御するものである。
【0017】
図3は、メニュー画面40の一例を示す図である。
メニュー画面40は、カーナビゲーション装置1の機能設定に関する設定項目や、音楽や映像等のコンテンツを再生する機能を備えている場合には当該コンテンツといった、各種の選択項目42を選択するための画面である。
すなわち、メニュー画面40には、図3に示すように、1又は複数の選択項目42を表示する選択項目表示領域44と、このメニュー画面40のタイトルを表示するタイトル表示領域46とが画定して設けられている。
選択項目表示領域44に選択項目42を表示する態様は、図3(A)に示すように、複数の選択項目42を縦横に並べて表示する態様や、図3(B)に示すように、複数の選択項目42を一方向に並べて表示する態様などを採用できる。
【0018】
メニュー画面40における選択項目42の選択操作、及び選択決定操作は、それぞれ操作スイッチ3のロータリスイッチ3Aに対する回転操作、及びプッシュ操作によって行われる。選択操作により選択された選択項目42は、その選択項目42の表示領域の表示色が変化したり、或いは選択項目42の項目名が強調表示されるなどして選択状態であることが明示される。
【0019】
さらに本実施形態においては、メニュー画面40の背景48に、背景図形50を表示することとしている。
この背景図形50には、操作スイッチ3を模してリング形状が用いられており、操作スイッチ3が操作された場合には、上記メニュー画面表示制御部34によって、操作スイッチ3の操作の種類に応じて背景図形50の表示が動的に変化される。
例えば、操作スイッチ3のロータリスイッチ3Aが回転操作された場合には、図4(A)に示すように、回転操作の方向に背景図形50が回転してみえるような動的表示が行われ、また、操作スイッチ3のロータリスイッチ3Aがプッシュ操作(押下操作)された場合には、図4(B)に示すように、プッシュ操作に合わせて背景図形50が点滅(ブリンク)してみえるような動的表示が行われる。
このように、操作スイッチ3の操作に合わせて、当該操作に観念的に模した動きを背景図形50が行うため、操作と表示との関連性が高められ、画面表示による操作の誘導性が高められる。
【0020】
ところで、上記選択項目42は、選択項目の内容の関連性に基づいて第0階層(ルート)から第n階層に階層化されて整理されており、図5に示すように、それぞれの階層ごとに上記メニュー画面40が設けられている。
メニュー操作を行う際には、表示パネル24に第0階層(ルート)のメニュー画面40が最初に表示される。そして、操作スイッチ3を回転操作して、第0階層(ルート)のメニュー画面40から選択項目42を選択し、操作スイッチ3をプッシュ操作して選択決定することで、当該選択決定された選択項目42の1階層下(第1階層)のメニュー画面40に表示パネル24の表示が切り替えられる。
【0021】
すなわち、本実施形態では、操作スイッチ3に対する回転操作とプッシュ操作によってメニュー画面40の階層を深く辿って行くようになっている。
また、メニュー画面40の階層を下位から上位に戻る場合には、操作スイッチ3に設けられたセンタープッシュスイッチ3Bを操作する。このセンタープッシュスイッチ3Bがプッシュ操作されると、最上位の階層である第0階層(ルート)のメニュー画面40に表示パネル24の表示が切り替えられる。
このようにメニュー画面40の階層を下位から上位に戻る操作が行われた場合に、常に最上位の階層のメニュー画面40が表示されるため、同一階層に並存するメニュー画面40の数が多い場合(同一階層での分岐が多い場合)には、今の階層から1つずつ上位の階層に戻って行くよりも、並存する他のメニュー画面40に速やかに到達することができる。
【0022】
また、各階層のメニュー画面40においては、図5に示すように、上記メニュー画面表示制御部34によって、それぞれの背景48に同一形状の背景図形50が表示され、下位の(深い)階層ほど背景図形50の大きさ(本実施形態ではリング径)が大きくなるように表示されている。
また、各階層のメニュー画面40において、背景図形50の中心位置(本実施形態ではリングの中心)を同じ位置に固定することとしており、下位の階層のメニュー画面40に切り替わった際に背景図形50が拡大された事を認識し易くし、また、その背景図形50の大きさを表示パネル24との対比において把握し易くしている。
これにより、ユーザは、メニュー画面40の階層を深く辿って行く際に、背景図形50の大きさに着目することで、メニュー画面40の階層の深さを把握可能となる。
【0023】
このように、本実施形態によれば、階層ごとのメニュー画面40の背景48に、それぞれ同一形状の背景図形50を、階層の深さに応じた大きさで表示する構成としたため、専用の表示領域を設けなくとも、ユーザは背景図形50の大きさに着目することで階層の深さを把握することができる。
さらに、表示パネル24の表示領域を階層表示に割く必要がないため、表示領域を有効に利用することができる。また、階層が背景図形50の大きさにより示されるから、階層表示に興味がないユーザが煩わしく感じる事もない。
【0024】
また本実施形態によれば、階層ごとのメニュー画面40のそれぞれで、背景図形50の中心を同じ位置に固定して表示するようにしたため、下位の階層のメニュー画面40に切り替わった際に背景図形50が拡大された事をユーザが認識し易くなり、また、その背景図形50の大きさを表示パネル24との対比においてユーザが把握し易くなる。
【0025】
これに加え、本実施形態によれば、選択項目42の選択、及び選択決定する操作スイッチ3が操作された場合、当該操作に合わせて当該操作の態様を模すように背景図形50を回転表示、或いは、点滅表示させる構成とした。この構成により、操作スイッチ3の操作に合わせて、当該操作に観念的に模した動きを背景図形50が行うため、操作と表示との関連性が高められ、画面表示による操作の誘導性が高められる。
特に、背景図形50の図形形状を操作スイッチ3を模した形状とすることで、操作と表示との関連性を、ユーザにより強く印象付けることができる。
【0026】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係るカーナビゲーション装置の取付状態を示す斜視図である。
【図2】カーナビゲーション装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】メニュー画面の一例を示す図である。
【図4】操作に合わせたメニュー画面の背景図形の表示態様を示す図である。
【図5】メニュー画面の階層構造と共に、階層ごとの背景図形を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
1 カーナビゲーション装置(情報表示機器)
3 操作スイッチ
3A ロータリスイッチ
3B センタープッシュスイッチ
10 制御部
14 表示部
16 操作部
18 記憶部
28 制御プログラム
32 メニュー画面データ
34 メニュー画面表示制御部
40 メニュー画面
42 選択項目
48 背景
50 背景図形

【特許請求の範囲】
【請求項1】
階層化された複数の選択項目を選択するためのメニュー画面を前記階層ごとに記憶する記憶手段と、前記メニュー画面を前記階層ごとに切り替えて表示する表示手段とを有した情報表示機器において、
前記階層ごとのメニュー画面の背景に、それぞれ同一形状の背景図形を、前記階層の深さに応じた大きさで表示することを特徴とする情報表示機器。
【請求項2】
前記階層ごとのメニュー画面のそれぞれで、前記背景図形の中心を同じ位置に固定して表示することを特徴とする請求項1に記載の情報表示機器。
【請求項3】
前記選択項目の選択、及び/又は選択決定する操作子を備え、
前記操作子が操作された場合、当該操作に合わせて当該操作の態様を模すように前記背景図形の表示を可変することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報表示機器。
【請求項4】
階層化された複数の選択項目を選択するためのメニュー画面を前記階層ごとに切り替えて表示するメニュー画面表示方法において、
前記階層ごとのメニュー画面の背景に、それぞれ同一形状の背景図形を、前記階層の深さに応じた大きさで表示することを特徴とするメニュー画面表示方法。
【請求項5】
階層化された複数の選択項目を選択するためのメニュー画面を前記階層ごとに記憶する記憶手段と、前記メニュー画面を前記階層ごとに切り替えて表示する表示手段とを有した情報表示機器を、
前記階層ごとのメニュー画面の背景に、それぞれ同一形状の背景図形を、前記階層の深さに応じた大きさで表示するメニュー画面表示制御手段として機能させることを特徴とする制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−20693(P2010−20693A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−182766(P2008−182766)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】