説明

感光性接着剤樹脂組成物、接着フィルムおよび受光装置

【課題】 透明基板や半導体素子が搭載される基板のスペーサーとして用いられる現像性に優れた感光性接着剤樹脂組成物、それを用いた接着フィルムおよび受光装置を提供すること。
【解決手段】水酸基又はカルボキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物(A)と、前記水酸基又はカルボキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物(A)と熱硬化反応する化合物(B)と、(メタ)アクリロイル基を有し、水酸基およびカルボキシル基を有さない化合物(C)と、フェノール樹脂又はフェノール類(D)と、
感光剤(E)と、を含むことを特徴とする感光性接着剤樹脂組成物を提供することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性接着剤樹脂組成物、接着フィルムおよび受光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体ウエハ等に感光性フィルムを接着し、露光、現像によりパターンを形成した後、ガラス等の透明基板と圧着できるような感光性フィルムの要求がある(例えば、特許文献1参照)。このような感光性フィルムを用いた場合、パターンニング後の感光性フィルムは半導体ウエハと透明基板との間のスペーサーの作用を有することになる。
【0003】
このスペーサー用の樹脂組成物には、フォトリソグラフィ法によりパターニングできることに加え、スペーサーとして形状保持が可能であることが求められている。
また、上述したようにスペーサー用樹脂組成物は、露光、現像の工程を経るために、優れた現像性も要求されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−323089号公報、[請求項1]〜[請求項20]
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、透明基板と、半導体素子が搭載される基板との間のスペーサーの製造に用いられる現像性に優れた感光性接着剤樹脂組成物およびそれを用いた接着フィルムを提供することにある。
また、本発明の目的は、透明基板と、半導体素子が搭載される基板とが上記感光性接着剤樹脂組成物の硬化物で構成されるスペーサーを介して接合されている受光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記(1)〜(12)に記載の技術により達成することができる。(1)水酸基又はカルボキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物(A)と、前記水酸基又はカルボキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物(A)と熱硬化反応する樹脂(B)と、(メタ)アクリロイル基を有し、水酸基およびカルボキシル基を有さない化合物(C)と、フェノール樹脂又はフェノール類(D)と、感光剤(E)と、を含むことを特徴とする感光性接着剤樹脂組成物。
(2)前記水酸基又はカルボキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物(A)が、(メタ)アクリロイル変性ノボラック型フェノール樹脂である、(1)に記載の感光性接着剤樹脂組成物。
(3)前記水酸基又はカルボキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物(A)が、下記化学式(1):
【化4】

で表される(メタ)アクリロイル変性ビスフェノールA、又は下記一般式(2):
【化5】

(式中、nは2〜15の整数を示す。)
で表されるノボラック型ビスフェノールA樹脂の水酸基の一部が、下記式(3):
【化6】

で表される基で置換された(メタ)アクリロイル変性ノボラック型ビスフェノールA樹脂である、(1)に記載の感光性接着剤樹脂組成物。
(4)前記感光性接着剤樹脂組成物中の前記フェノール樹脂又はフェノール類(D)の含有量が、0.1〜20質量%である、(1)ないし(3)のいずれかに記載の感光性接着剤樹脂組成物。
(5)前記フェノール樹脂又はフェノール類(D)が、ノボラック型フェノール樹脂又はフェノールモノマーである、(1)ないし(4)のいずれかに記載の感光性接着剤樹脂組成物。
(6)さらに、充填材(F)を含む、(1)ないし(5)のいずれかに記載の感光性接着剤樹脂組成物。
(7)前記感光性接着剤樹脂組成物中の前記充填材(F)の含有量が、3〜50質量%である、(6)に記載の感光性接着剤樹脂組成物。
(8)前記充填材(F)の平均粒径が、0.03〜0.4μmである、(6)または(7)に記載の感光性接着剤樹脂組成物。
(9)前記充填材(F)が、シリカフィラーである、(6)ないし(8)の何れかに記載
の感光性接着剤樹脂組成物。
(10)前記水酸基又はカルボキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物(A)と熱硬化反応する樹脂(B)が、25℃で固形のエポキシ樹脂と、25℃で液状のシリコーン変性エポキシ樹脂との組合せである、(1)ないし(9)のいずれかに記載の感光性接着剤樹脂組成物。
(11)基材フィルムと、前記基材フィルムの表面に形成される接着層と、からなり、前記接着層が、(1)ないし(10)のいずれかに記載の感光性接着剤樹脂組成物であることを特徴とする、接着フィルム。
(12)半導体素子が搭載される基板と、前記半導体素子が搭載される基板と対向する透明基板と、前記透明基板と前記半導体素子が搭載される基板との間に設けられたスペーサーと、を備え、前記スペーサーが、(1)ないし(11)のいずれかに記載の感光性接着剤樹脂組成物の硬化物であることを特徴とする受光装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、透明基板と、半導体素子が搭載される基板との間のスペーサーの製造に用いられる現像性に優れた感光性接着剤樹脂組成物、それを用いて製造される接着フィルムおよび受光装置を提供することができる。
また、本発明の目的は、透明基板と、半導体素子が搭載される基板とが上記感光性接着剤樹脂組成物の硬化物で構成されるスペーサーを介して接合されている受光装置を提供することにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の感光性接着剤樹脂組成物、接着フィルムおよび受光装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
1.感光性接着剤樹脂組成物
本発明の感光性接着剤樹脂組成物は、水酸基またはカルボキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する樹脂(A)(以下、化合物(A)とも記載する。)と、前記水酸基またはカルボキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物(A)と熱硬化反応する樹脂(B)(以下、化合物(B)とも記載する。)と、
(メタ)アクリロイル基を有し、水酸基又はカルボキシル基を有さない化合物(C)(以下、化合物(C)とも記載する。)と、
フェノール樹脂又はフェノール類(D)(以下、化合物(D)とも記載する。)と、
感光剤(E)と、
を含むことを特徴とする。特に、フェノール樹脂又はフェノール類(D)を含有することによって、感光性接着剤樹脂組成物を露光した後、アルカリ現像液に対する溶解性が向上するため、現像性が良好となる。
【0009】
本発明で、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を指す。なお、アクリロイル基は
【化7】

であり、メタクリロイル基は
【化8】

である。
【0010】
また、本発明の感光性接着剤樹脂組成物では、化合物(A)が、(メタ)アクリロイル変性ノボラック型フェノール樹脂であることにより、感光性接着剤樹脂組成物中のフェノール性の水酸基量が増大するためアルカリ現像液に対する溶解性が向上し、現像性がさらに良好となる。
【0011】
本発明に係る化合物(A)は、水酸基又はカルボキシル基を有し、かつ、(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。そして、化合物(A)は、アルカリ現像液に可溶であり、かつ、化合物(B)と反応する水酸基またはカルボキシル基を有し、かつ、光および熱の両方で反応する(メタ)アクリロイル基を有するものであれば、特に制限されるものではない。
【0012】
化合物(A)の重量平均分子量は、200〜7000、好ましくは300〜500
0である。化合物(A)の重量平均分子量が上記範囲内にあることにより、現像液へ
の化合物(A)の溶解性が高くなるので、現像性が良くなる。なお、本発明で重量平
均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフ)で測定され、ポリスチレン換算値で
得られるものである。
【0013】
化合物(A)の1分子中の水酸基又はカルボキシル基の数は、好ましくは1〜25であり、特に好ましくは2〜20である。化合物(A)の1分子中の水酸基又はカルボキシル基の数が、上記範囲内にあることにより、現像性が良くなる。
【0014】
化合物(A)の重量平均分子量/化合物(A)の水酸基又はカルボキシル基の数の値は、好ましくは200〜3500、特に好ましくは300〜2000である。化合物(A)の重量平均分子量/化合物(A)の水酸基又はカルボキシル基の数の値が上記範囲内にあることにより、現像液への化合物(A)の溶解性が高くなるので、現像性が良くなる。
【0015】
化合物(A)の1分子中の(メタ)アクリロイル基の数は、1〜40、好ましくは2〜30である。化合物(A)の1分子中の(メタ)アクリロイル基の数が上記範囲内にあることにより、硬化物の耐熱性が高くなる。
【0016】
化合物(A)としては、具体的に、エポキシ樹脂の両末端に(メタ)アクリロイル基が導入された(メタ)アクリロイル変性エポキシ樹脂の分子鎖中に、該(メタ)アクリロイル変性エポキシ樹脂の分子鎖中の水酸基と、二塩基酸中の一つのカルボキシル基とがエステル結合で結合することにより、該二塩基酸が導入されている化合物(該化合物中のエポキシ樹脂の繰り返し単位は1以上、分子鎖中に導入されている二塩基酸の数は1以上)が挙げられ、該化合物は、例えば、先ず、エピクロルヒドリンと多価アルコールとを重合させて得られるエポキシ樹脂の両末端のエポキシ基と、(メタ)アクリル酸とを反応させることにより、エポキシ樹脂の両末端に(メタ)アクリロイル基が導入された(メタ)アクリロイル変性エポキシ樹脂を得、次いで、得られた(メタ)アクリロイル変性エポキシ樹脂の分子鎖中の水酸基と、二塩基酸の無水物を反応させることにより、該二塩基酸の一方のカルボキシル基とエステル結合を形成させることにより得られる。
また、化合物(A)としては、ビスフェノール類の一方の水酸基と、エポキシ基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物のエポキシ基とを反応させて得られた、(メタ)アクリロイル変性ビスフェノール類が挙げられる。
また、化合物(A)としては、カルボキシル基および(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル酸重合体((メタ)アクリル酸の繰り返し単位は2以上)が挙げられる。
これらの中でも、感光性接着剤樹脂組成物の現像性および硬化後の耐熱性のバランスに
優れる点で、(メタ)アクリロイル変性ビスフェノール類、(メタ)アクリロイル変性ノボラック型フェノール樹脂、カルボキシル基および(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル酸重合体が好ましく、特に、(メタ)アクリロイル変性ビスフェノール類、(メタ)アクリロイル変性ノボラック型フェノール樹脂が好ましい。
【0017】
なお、本発明で、カルボキシル基および(メタ)アクリロイル基を有するアクリル酸共重合体とは、下記式(4):
【化9】

(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、nは2〜10の整数である。)
で表される(メタ)アクリル酸重合体中の酸基(−COOH)の一部が、下記式(5):
【化10】

(式中、R3はベンゼン環又はシクロヘキサン環であり、mは1又は2であり、nは0〜
2である。)
で表される基で置換されている化合物である。なお、該カルボキシル基および(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル酸重合体は、酸基の一部がアルキルエステル又はヒドロアルキルエステルに変換されていてもよい。
上記、カルボキシル基および(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル酸重合体は、一例示であり、特に制限されるものではない。
【0018】
なお、本発明に係る、(メタ)アクリロイル変性ノボラック型フェノール樹脂とは、ノボラック型フェノール樹脂の水酸基の一部が、下記式(3):
【化11】

で表される基で置換されているノボラック型フェノール樹脂である。また、本発明では、
2以上のフェノール化合物がメチレン基で結合して重合しているものに対し、ノボラック型フェノール樹脂とのように、「樹脂」の文言を使用し、重合していないモノマーに対しフェノール類との文言を使用する。また、本発明で、ノボラック型フェノール樹脂は、分子鎖を構成するフェノールが、フェノール、クレゾール等のようにフェノール性の水酸基を1つ有するフェノール類である場合、ビスフェノールA、ビスフェノールF、カテコール、レゾルシノール、等のようにフェノール性の水酸基を2つ有するフェノール類である場合、ピロガロール等のようにフェノール性水酸基を3つ以上有するフェノール類である場合、あるいは、それらの併用である場合のいずれをも含む総称である。なお、ノボラック型フェノール樹脂のうち、フェノール(C65OH)の重合物のみを指す場合は、ノボラック型フェノール樹脂(フェノールの重合物)と記載する。
【0019】
化合物(A)に係る(メタ)アクリロイル変性ノボラック型フェノール樹脂の分子鎖を形成するフェノール類としては、フェノール、クレゾール、ナフトール、ハイドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールE、ビスフェノールZ、ビスフェノールAF、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールA、ビフェノール、ジアリルビスフェノールA、フルオレノンビスフェノール、ピロガロールが挙げられ、これらのうち、フェノール、クレゾール、ビスフェノールF、ビスフェノールAが好ましく、硬化後の感光性接着剤樹脂組成物の耐熱性および半導体装置の信頼性のバランスに優れる点で、フェノールおよびビスフェノールAが好ましい。
【0020】
化合物(A)に係る(メタ)アクリロイル変性ノボラック型フェノール樹脂は、特に制限されるものではないが、フェノール化合物とホルムアルデヒドを反応して得られるノボラック型フェノール樹脂の水酸基と、エポキシ基を有する(メタ)アクリレートのエポキシ基とのエステル反応により得られる樹脂が挙げられる。
【0021】
化合物(A)としては、現像性と熱および光に対する高い反応性のバランスに優れる点で、下記化学式(1):
【化12】

で表される(メタ)アクリロイル変性ビスフェノールA、又は下記一般式(2):
【化13】

(式中、nは2〜15の整数を示す。)
で表されるノボラック型ビスフェノールA樹脂の水酸基の一部が、下記(3)式
【化14】

で表される基で置換されている(メタ)アクリロイル変性ノボラック型ビスフェノールA樹脂であることが特に好ましい。
【0022】
化合物(A)は、1種単独でも2種以上の組合せであってもよい。
【0023】
化合物(A)が、(メタ)アクリロイル変性ノボラック型フェノール樹脂である場合、樹脂の骨格を構成するフェノール類の数は、2〜15、好ましくは3〜12であり、樹脂の骨格を構成するフェノール類の数が上記範囲内にあることにより、現像性が向上する。
【0024】
化合物(A)の含有量は、前記感光性接着剤樹脂組成物全体の10〜60質量%が好ましく、特に20〜50質量%が好ましい。化合物(A)の含有量が上記範囲内にあることにより、高い現像性と硬化後の感光性接着剤樹脂組成物の耐熱性を両立することができる。なお、本発明の感光性接着剤樹脂組成物が、溶媒で構成成分を溶解又は分散させたワニス状の時は、化合物(A)の含有量は、溶媒を除いた分、即ち、化合物(A)〜(E)と、必要に応じ加えられる充填材(F)およびその他の添加剤の合計の量に対する百分率である。
【0025】
本発明に係る化合物(B)は、化合物(A)と熱硬化反応をする樹脂であり、化合物(B)としては、特に制限されるものではないが、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂、ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂等のトリアジン環を有する樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂、シアネートエステル樹脂等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いても良い。これらの中でも、感光性接着剤樹脂組成物の耐熱性および被着部材に対する密着性のバランスに優れる点で、エポキシ樹脂が好ましい。
【0026】
化合物(B)の重量平均分子量は、好ましくは200〜10000、特に好ましくは300〜5000である。化合物(B)の重量平均分子量が上記範囲内にあることにより、熱硬化時の高い反応性と被接着部材に対する高い接着性を両立することができる。
【0027】
化合物(B)の含有量は、前記感光性接着剤樹脂組成物全体の10〜40質量%が好ましく、特に15〜35質量%が好ましい。化合物(B)の含有量が上記範囲内にあることにより、硬化後の感光性接着剤樹脂組成物の耐熱性および靭性を両立することができる。なお、本発明の感光性接着剤樹脂組成物が、溶媒で構成成分を溶解又は分散させたワニス状の時は、化合物(B)の含有量は、溶媒を除いた分、即ち、化合物(A)〜(E)と、必要に応じ加えられる充填材(F)およびその他の添加剤の合計量に対する百分率である。
【0028】
化合物(B)に係るエポキシ樹脂の中でも、感光性接着剤樹脂組成物のタック力等の作業性や硬化後の靭性に優れる点で、25℃で固形のビスフェノール型エポキシ樹脂と、25℃で液状であるシリコーン変性エポキシ樹脂との組合わせが好ましい。なお、本発明において、25℃で固形とは、軟化点が25℃以上であることを指し、25℃で液状とは、軟化点が25℃未満であることを指す。
【0029】
また、化合物(B)の全部又は一部として、25℃で液状である化合物(B)を使用する場合、25℃で液状である化合物(B)の含有量は、前記感光性接着剤樹脂組成物全体の20質量%以下であることが好ましく、特に15質量%以下であることが好ましい。25℃で液状である化合物(B)の含有量が、上記範囲内にあることにより、感光性接着剤樹脂組成物のタック力等の作業性、硬化後の靭性、現像時の解像性、被着部材に対する接着性のバランスに優れる、感光性接着剤樹脂組成物を得ることができる。
【0030】
また、化合物(B)の全部又は一部として、25℃で液状である化合物(B)を使用し且つ化合物(C)の全部又は一部として、25℃で液状である化合物(C)を使用する場合は、25℃で液状である化合物(B)および25℃で液状である化合物(C)の合計含有量が、前記感光性接着剤樹脂組成物全体の20質量%以下であることが好ましく、特に15質量%以下であることが好ましい。25℃で液状である化合物(B)および25℃で液状である化合物(C)の合計含有量が、上記範囲内にあることにより、感光性接着剤樹脂組成物のタック力等の作業性、硬化後の靭性、現像時の解像性、被着部材に対する接着性のバランスに優れる、感光性接着剤樹脂組成物を得ることができる。
【0031】
本発明に係る化合物(C)は、(メタ)アクリロイル基を有し、かつ、水酸基およびカルボキシル基を有さない化合物である。本発明に係る化合物(C)としては、(メタ)アクリロイル基を有するものであれば、特に制限されるものはなく、例えば、(メタ)アクリロイル基を1個有する1官能(メタ)アクリレートや、(メタ)アクリロイル基を2個有する2官能(メタ)アクリレートや、(メタ)アクリロイル基を3個以上有する多官能(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートが挙げられ、更に具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、1,10デカンジオールジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。また、化合物(C)に係る化合物には、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートも含まれる。また、化合物(C)としては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等も挙げられる。
なお、ウレタン(メタ)アクリレートとは、先ず、ポリオールの水酸基と、イソシアナ
ート基を2個以上有する化合物中の1つのイソシアナート基とを反応させウレタン結合を形成させて、ウレタン化合物を得、次いで、得られたウレタン化合物中の、ポリオールとの反応に使用されなかったイソシアナート基と、水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物の水酸基とを反応させウレタン結合を形成させて、得られる化合物である。
また、エポキシアクリレートとは、エポキシ樹脂のエポキシ基と、カルボキシル基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物のカルボキシル基とを反応させてエステル結合を形成させて得られる化合物である。
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、ポリアルキレンレングリコールとジイソシアナートの反応により得られるウレタン化合物に、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを付加させた化合物が挙げられる。また、エポキシ(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂の両末端のエポキシ基と(メタ)アクリル酸のカルボキシル基とを反応させエステル結合を形成させて得られる化合物が挙げられる。
【0032】
化合物(C)の中でも、光硬化反応性と感光性接着剤樹脂組成物の靭性のバランスに優れる点で、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート類が好ましく、その中でも、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートが、特に好ましい。
【0033】
化合物(C)の重量平均分子量は、3000以下、好ましくは100〜2500 、特に好ましくは200〜2000である。化合物(C)の重量平均分子量が上記範囲内にあることにより、現像性がよくなる。
【0034】
また、化合物(C)は、特に制限されないが、25℃で液状であることが好ましい。これにより、光硬化反応性を向上させることができる。さらに、化合物(B)との混合作業を容易にすることができる。
【0035】
化合物(C)の含有量は、前記感光性接着剤樹脂組成物全体の3〜30質量%が好ましく、特に5〜20質量%が好ましい。化合物(C)の含有量が、上記範囲にあることで、光硬化反応性、感光性接着剤樹脂組成物の耐熱性および靭性の全てを高くすることができる。なお、本発明の感光性接着剤樹脂組成物が、溶媒で構成成分を溶解又は分散させたワニス状の時は、化合物(C)の含有量は、溶媒を除いた分、即ち、化合物(A)〜(E)と、必要に応じ加えられる充填材(F)およびその他の添加剤の合計量に対する百分率である。
【0036】
また、化合物(C)の全部又は一部として、25℃で液状である化合物(C)を使用する場合、25℃で液状である化合物(C)の含有量は、前記感光性接着剤樹脂組成物全体の20質量%以下であることが好ましく、特に15質量%以下であることが好ましい。化合物(C)の含有量が、上記範囲内にあることにより、感光性接着剤樹脂組成物のタック力等の作業性、光硬化反応性、現像時の解像性、被着部材に対する接着性のバランスに優れる、感光性接着剤樹脂組成物を得ることができる。
【0037】
本発明に係る化合物(D)は、フェノール樹脂又はフェノール類であり、(メタ)アクリロイル基を有さない化合物であるが、感光性接着剤樹脂組成物をアルカリ現像する際には、現像性向上剤としての機能を有している。感光性接着剤樹脂組成物に含まれる、化合物(A)もアルカリ現像液に溶解するが、化合物(D)を添加することにより、感光性接着剤樹脂組成物中のフェノール性水酸基の濃度が上がり、アルカリ現像液に対する溶解性が向上する。また、化合物(D)は、アルカリ現像時に現像性向上剤として作用した後は、熱硬化の際に、化合物(B)と反応する機能を有している。従って、硬化後に硬化物の
マトリクスに取り込まれるために、被接着部材である透明基板と、半導体素子が搭載される基板等を汚染することを抑制できるとともに、耐熱性、耐湿性の低下も抑制できる。
【0038】
本発明に係る化合物(D)のフェノール樹脂としては、分子鎖中にフェノール性水酸基を有する樹脂である。化合物(D)に係るフェノール樹脂には、ノボラック型フェノール樹脂も含まれる。化合物(D)としては、特に制限されるものではなく、ノボラック型フェノール樹脂(フェノールの重合物)、ノボラック型オルソクレゾール樹脂、ノボラック型ビスフェノールA樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、
下記化学式(6)で表されるジシクロペンタジエンとフェノール類が結合したジシクロペンタジエンフェノール樹脂、
【化15】

下記化学式(7)で表されるアラルキル基とフェノール類が結合したジシクロペンタジエンフェノール樹脂、
【化16】

これらの中でも、現像性および感光性接着剤樹脂組成物の熱硬化後の耐熱性、靭性の全てを高くすることができる点で、ノボラック型フェノール樹脂が好ましい。また、化合物(D)に係るノボラック型フェノール樹脂の分子鎖を構成するフェノール類としては、化合物(A)に係る(メタ)アクリロイル変性ノボラック型フェノール樹脂の分子鎖を構成するフェノール類の説明で列挙したフェノール類が挙げられる。
【0039】
本発明に係る化合物(D)のフェノール類としては、特に制限されるものではなく、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、テルペンジフェノール、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ジブチルハイドロキノン、レゾルシン、メチルレゾルシン、ビスフェノールS、チオジフェノール、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシナフタレン等のフェノール類が挙げられる。これらの中でも、現像性、感光性接着剤樹脂組成物の熱硬化後の耐熱性、靭性のバランスに優れる点で、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビフェノール、ビスフェノールSが好ましく、ビスフェノールAおよびビスフェノールFが特に好ましい。
【0040】
本発明に係る化合物(D)の含有量は、前記感光性接着剤樹脂組成物全体の、0.1〜
20質量%であることが好ましく、2〜15質量%が特に好ましい。化合物(D)の含有量が上記範囲内にあることにより、現像性、硬化後の感光性接着剤樹脂組成物の耐熱性および靭性の全てを高くすることができる。なお、本発明の感光性接着剤樹脂組成物が、溶媒で構成成分を溶解又は分散させたワニス状の時は、化合物(D)の含有量は、溶媒を除いた分、即ち、化合物(A)〜(E)と、必要に応じ加えられる充填材(F)およびその他の添加剤の合計量に対する百分率である。
【0041】
化合物(D)の重量平均分子量は、100〜5000、好ましくは200〜300
0である。化合物(D)の重量平均分子量が上記範囲内にあることにより、現像液へ
の化合物(D)の溶解性が高くなるので、現像性が良くなる。
【0042】
本発明に係る感光剤(E)は、特に制限されるものはないが、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾインメチルエーテル、ベンジルフェニルサルファイド、ベンジル、ジベンジル、ジアセチルなどが挙げられる。
【0043】
前記感光剤(E)の含有量は、前記感光性接着剤樹脂組成物全体の0.5〜5質量%が好ましく、特に0.8〜2.5質量%が好ましい。感光剤(E)の含有量が上記範囲内にあることにより、光硬化性、保存性、解像性のバランスを維持することができる。なお、本発明の感光性接着剤樹脂組成物が、溶媒で構成成分を溶解又は分散させたワニス状の時は、感光剤(E)の含有量は、溶媒を除いた分、即ち、化合物(A)〜(E)と、必要に応じ加えられる充填材(F)およびその他の添加剤の合計量に対する百分率である。
【0044】
本発明の感光性接着剤樹脂組成物は、耐熱性、耐湿性、硬化後の機械的強度を向上させる目的で充填材(F)を含んでいても良い。
本発明の感光性接着剤樹脂組成物に係る充填材(F)としては、特に限定されないが、例えば、アルミナ繊維、ガラス繊維等の繊維状充填材、チタン酸カリウム、ウォラストナイト、アルミニウムボレート、針状水酸化マグネシウム、ウィスカー等の針状充填材、タルク、マイカ、セリサイト、ガラスフレーク、鱗片状黒鉛、板状炭酸カルシウム等の板状充填材、炭酸カルシウム、シリカ、溶融シリカ、焼成クレー、未焼成クレー等の球状(粒状)充填材等が挙げられる。これらの中でも、現像性および熱圧着する際の流動性のバランスに優れる点で、球状(粒状)の充填材が好ましく、さらに、被接着部材に対する汚染量の少なさと硬化後の感光性接着剤樹脂組成物の機械的強度の高さのバランスに優れる点で、シリカが特に好ましい。
【0045】
前記充填材(F)の含有量は、前記感光性接着剤樹脂組成物全体の3〜50質量%が好ましく、特に10〜40質量%が好ましい。充填材(F)の含有量が、上記範囲内にあることにより、硬化後の感光性接着剤樹脂組成物の耐熱性、耐湿性および感光性接着剤樹脂組成物を透明基板と、半導体装置が搭載される基板との間に配置した際の強度、露光時の光透過性のバランスに優れた感光性接着剤樹脂組成物を得ることができる。
【0046】
前記充填材(F)の平均粒径は、0.03〜0.40μmが好ましく、特に、0.10〜0.30μmが好ましい。充填材(F)の平均粒径が上記範囲内であることにより、硬化後の感光性接着剤樹脂組成物の機械的特性および露光時の光透過性のバランスに優れた感光性接着剤樹脂組成物を得ることができる。
【0047】
充填材(F)の平均粒径の計測方法は以下の通りである。
レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−7000を用いて、水中に充填材を1分間超音波処理することにより分散させ、測定を行った。D50値(数積算)を平均粒径とする。
【0048】
さらに、前記充填材(F)の最大粒径は、0.10〜1.0μmが好ましく、特に0.15〜0.90μmが好ましい。充填材(F)の最大粒径が上記範囲内にあることにより、硬化後の感光性接着剤樹脂組成物の機械的特性および露光時の光透過性のバランスに優れた感光性接着剤樹脂組成物を得ることができる。
【0049】
充填材の最大粒径は、以下のようにして計測することができる。
レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−7000を用いて、水中に充填材(F)を1分間超音波処理することにより分散させ、測定を行う。D100値(数積算)を最大粒径とする。
【0050】
また、前記充填材(F)は、カップリング処理されていてもよい。このような充填材を使用することで樹脂成分と充填材界面の密着力が増し、感光性接着剤樹脂組成物の強度が高くなるという効果が得られる。
【0051】
本発明の感光性接着剤樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で可塑性樹脂、レベリング剤、消泡剤、カップリング剤、有機過酸化物などの添加剤を含有することができる。
【0052】
本発明の感光性接着剤樹脂組成物は、ワニス状であってもよく、また、フィルム状に成形されていてもよい。化合物(A)、化合物(B)、化合物(C)、化合物(D)及び感光剤(E)等の感光性接着剤樹脂組成物を構成する化合物等を、有機溶剤、たとえば、N−メチル−2−ピロリドン、アニソール、メチルエチルケトン、トルエン、酢酸エチル等に溶解又は分散することで、ワニス状にすることができる。このワニス状の感光性接着剤樹脂組成物を、層状に成形し、溶剤を除去し、乾燥させることで、感光性接着剤樹脂組成物をフィルム状に成形することができる。
【0053】
本発明の接着フィルムは、基材フィルムと、該基材フィルムの表面に形成される接着層からなり、該接着層が、フィルム状に成形された本発明の感光性接着剤樹脂組成物である。
【0054】
前記基材フィルムは、接着層のフィルム状態を維持できるフィルム特性、例えば、破断強度、可撓性などに優れるフィルム支持基材であり、基材フィルムの上にマスクパターンをおいて露光してパターニングを行う場合、この基材フィルムは光透過性を有することが好ましい。このような基材フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等が挙げられるが、光透過性と破断強度のバランスに優れる点で、ポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。
【0055】
また、本発明の接着フィルムには、表面に接着層を保護するための保護フィルムを設けてもよい。この保護フィルムとしては、接着層のフィルム状態を維持できるフィルム特性、例えば、破断強度、可撓性などに優れ、特に接着層との剥離性が良好な材質であれば何でもよく、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)が挙げられる。なお、保護フィルムは、不透明な材質から形成されていてもよい。
【0056】
次に、本発明の接着フィルムの使用方法および受光装置の一実施形態について、図1及び2を参照して説明する。図1は、本発明の接着フィルムの使用方法の一実施形態を示す模式的な断面図であり、図2は、受光装置の模式的な断面図である。
図1(A)、(B)に示すように、半導体素子11を支持体10で繋げることにより、多数の半導体素子11が平面方向に規則正しく保持された半導体素子集合体9を、ベース
基板12上に搭載し、次いで、半導体素子集合体9が搭載されたベース基板12上に、前記ベース基板12を覆うように接着フィルム14を貼り付ける。ここで、接着フィルム14の接着層15の厚みは5〜100μmである。
次に、基材フィルム16を剥がし、接着層15が貼り付けられたベース基板12と、図示しない露光装置との位置あわせを行う。
このとき、ベース基板12の接着層15が貼り付けられた面には、図示しない位置合わせマークが形成されている。この位置合わせマークを基準として、露光装置のマスクと、ベース基板12との位置合わせを行う。位置合わせは、可視光領域(波長400〜750nm)で行われる。
ベース基板12と露光装置との位置合わせが完了したら、露光装置から接着層15に対し、選択的に光(紫外線)を照射する。これにより、接着層15のうち光照射された部分が光硬化する。露光後の接着層15を現像液(例えば、アルカリ水溶液、有機溶剤等)で現像すると、光照射された部分が現像液に溶解せずに、残ることとなる。ベース基板12上の各受光部17以外の領域に、受光部17を囲むように接着層15を残す(図1(C)参照)。
その後、接着層15に透明基板13を載置し、接着層15により、ベース基板12と透明基板13とを接着する(図1(D)参照)。例えば、ベース基板12と透明基板13とを加熱加圧し、接着層15の熱硬化成分が硬化することにより、接着層15を介して接着する。加熱圧着する際の温度は、80℃〜180℃である。
このとき、ベース基板12に形成された位置合わせマークを基準に透明基板13を設置する。
その後、接着したベース基板12および透明基板13を受光部単位に応じて分割する(図1(E)参照)。具体的には、ベース基板12側からダイシングソーにより、切込み18を入れ、ベース基板12および透明基板13を受光部単位に応じて分割する。
このような工程により、図2に示す受光装置1を得ることができる。
【0057】
このように、本発明の感光性接着剤樹脂組成物は、半導体素子が搭載される基板と、前記半導体素子が搭載される基板と対向する透明基板との間のスペーサー用の感光性接着剤樹脂組成物である。
【0058】
次に、本発明の感光性接着剤樹脂組成物の作用効果について説明する。
本発明の感光性接着剤樹脂組成物は、化合物(D)を含有している。本発明の感光性接着剤樹脂組成物に、化合物(D)を含有させることで、感光性接着剤樹脂組成物を露光した後、アルカリ現像液に対する溶解性を向上させることができ、現像性が良好となる。
【0059】
また、本発明の感光性接着剤樹脂組成物は、化合物(A)として(メタ)アクリロイル変性ノボラック型フェノール樹脂を適用することで、感光性接着剤樹脂組成物中のフェノール性の水酸基の量を多くすることができるので、アルカリ現像液に対する溶解性がさらに向上し、現像性が良好となるという効果がさらに高まる。
【0060】
また、本発明の感光性接着剤樹脂組成物は、さらに、充填材を3〜50質量%含有させることにより、感光性接着剤樹脂組成物の耐熱性、耐湿性を向上させ、かつ、光透過性の良く、アライメント性に優れた感光性接着剤樹脂組成物とすることができる
また、本発明の感光性接着剤樹脂組成物は、平均粒径が0.03〜0.4μmである、充填材を含有することにより、感光性接着剤組成物の高い光透過性と現像時の残渣低減の両方を実現することができる。これにより、ベース基板12と露光装置のマスクとの位置合わせを容易に行うことができ、且つ、感光性接着剤樹脂組成物を硬化した後のベース基板12と透明基板13との位置合わせも容易に行うことができる。さらに、透明基板や半導体素子に残渣が存在しないため、画像認識性が良好である。
【0061】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0062】
さらに、前記実施形態では、感光性接着剤樹脂組成物をフィルム状に成形した接着フィルム14をベース基板12に貼り付けた後、ベース基板12と、透明基板13とを接着していたが、これに限らず、透明基板に接着フィルムを貼り付けてもよい。この場合には、透明基板に形成された位置あわせマークとマスクとの位置あわせを行うこととなる。
また、前記実施形態では、ベース基板12に接着フィルム14を貼り付けた後、接着層15により透明基板13を貼り合わせた後、ダイシングを行ったが、これに限らず、接着フィルム14をベース基板12に貼り付けた後、半導体素子単位にベース基板12をダイシングし、その後、透明基板13を貼り付けてもよい。
また、前記実施形態では、感光性接着剤樹脂組成物を、基材フィルム上に形成して得られる接着フィルムを、ベース基板12に貼り付けたが、これに限らず、感光性接着剤樹脂組成物をワニス状にし、ベース基板12に塗布してもよい。
【実施例】
【0063】
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<実施例1>
1.化合物A メタアクリロイル変性ノボラック型ビスフェノールA樹脂MPN001の合成
ノボラック型ビスフェノールA樹脂(フェノライトLF−4871、大日本インキ化学(株)製)の固形分60%MEK(メチルエチルケトン)溶液500gを、2Lフラスコ中に投入し、これに触媒としてトリブチルアミン1.5g、および重合禁止剤としてハイドロキノン0.15gを添加し、100℃に加温した。その中へ、グリシジルメタクリレート180.9gを30分間で滴下し、100℃で5時間攪拌反応させることにより、固形分74%のメタクリロイル変性ノボラック型ビスフェノールA樹脂MPN001(メタクリロイル変性率50%)を得た。
【0064】
2.感光性接着剤樹脂組成物ワニスの作製
化合物(A)として、メタアクリロイル変性ノボラック型ビスフェノールA樹脂MPN001を44.5質量%と、化合物(B)として、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、商品名:N865)30.0質量%と、シリコーン変性エポキシ樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、商品名:BY16−115)5.3質量%と、化合物(C)として、トリエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名:NKエステル3G)14.7質量%と、化合物(D)としてフェノールノボラック樹脂(住友ベークライト(株)製、商品名:PR53467)3.5質量%と、感光剤(E)として、2,2ジメトキシ−1,2ジフェニルエタンー1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア651)2.0質量%とを、MEK(メチルエチルケトン、大伸化学(株)製)に溶解し固形分濃度71%の感光性接着剤樹脂組成物ワニスを得た。なお、上記感光性接着剤樹脂組成物ワニス中のメタアクリロイル変性ノボラック型ビスフェノールA樹脂MPN001の含有量は、固形分換算の値である。
【0065】
3.接着フィルムの作製
その後、感光性接着剤樹脂組成物ワニスを透明PET(膜厚25μm)上に塗布し、80℃で15分間乾燥させることにより、50μm厚の接着層を形成し、接着フィルムを得た。
【0066】
4.受光装置の製造
上述の接着フィルムを半導体ウエハ上にラミネートし、露光、現像し、樹脂スペーサー(空隙部)を形成し、樹脂スペーサーの上端部にガラス基板を120℃で熱圧着した。次に、半導体ウエハをダイシング(個片化)して、受光装置を得た。
【0067】
<実施例2>
化合物(D)であるフェノールノボラック樹脂(住友ベークライト(株)製、商品名:PR53467)3.5質量%に換えて、化合物(D)としてビスフェノールA(本州化学(株)製、商品名:BPA)を3.5質量%用いた以外は、実施例1と同様に接着フィルム、受光装置を得た。
を得た。
【0068】
<実施例3>
化合物(A)であるメタアクリロイル変性ノボラック型ビスフェノールA樹脂MPN001を44.5質量%に換えて、化合物(A)としてカルボキシル基および(メタ)アクリロイル基を有するアクリル酸重合体(ダイセル化学工業(株)製、商品名:サイクロマーP ACA200M)を44.5質量%用いた以外は、実施例1と同様に接着フィルム、受光装置を得た。なお、上記感光性接着剤樹脂組成物ワニス中のカルボキシル基および(メタ)アクリロイル基を有するアクリル酸重合体(ダイセル化学工業(株)製、商品名:サイクロマーP ACA200M)の含有量は、固形分換算の値である。
【0069】
<実施例4>
化合物(A)であるメタアクリロイル変性ノボラック型ビスフェノールA樹脂MPN001を44.5質量%から40.5質量%に換えて、さらに、化合物(D)であるフェノールノボラック樹脂(住友ベークライト(株)製、商品名:PR53467)を3.5質量%から7.5質量%に換えた以外は、実施例1と同様に接着フィルム、受光装置を得た。
【0070】
<実施例5>
化合物(A)であるメタアクリロイル変性ノボラック型ビスフェノールA樹脂MPN001を44.5質量%から33.0質量%に換えて、さらに、化合物(D)であるフェノールノボラック樹脂(住友ベークライト(株)製、商品名:PR53467)を3.5質量%から15.0質量%に換えた以外は、実施例1と同様に接着フィルム、受光装置を得た。
【0071】
<実施例6>
感光性接着剤樹脂組成物ワニスの配合を、以下のようにした以外は、実施例1と同様に接着フィルム、受光装置を得た。
化合物(A)として、メタアクリロイル変性ノボラック型ビスフェノールA樹脂MPN001を29.5質量%と、化合物(B)として、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、商品名:N865)19.9質量%と、シリコーン変性エポキシ樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、商品名:BY16−115)3.6質量%と、化合物(C)として、トリエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名:NKエステル3G)9.8質量%と、化合物(D)として、フェノールノボラック樹脂(住友ベークライト(株)製、商品名:PR53467)2.3質量%とを、MEK(メチルエチルケトン、大伸化学(株)製)に溶解し、固形分濃度71%になるように感光性接着剤樹脂組成物ワニスを得た。
次に、ビーズミル(ビーズ直径400μm、処理速度6g/s、5パス)を用いて、充填材(F)としてシリカ(アドマテックス(株)製、SO−E2、平均粒子径:0.5μm、最大粒径:2.0μm)33.7質量%を分散させた。
そして、さらに、感光剤(E)として、2,2ジメトキシ−1,2ジフェニルエタンー
1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、イルガキュア651)1.2質量%を添加し、攪拌羽根(450rpm)にて、1時間攪拌することにより感光性接着剤樹脂組成物ワニスを得た。
【0072】
<実施例6>
感光性接着剤樹脂組成物ワニスの配合を、以下のようにした以外は、実施例1と同様に接着フィルム、受光装置を得た。
化合物(A)として、メタアクリロイル変性ノボラック型ビスフェノールA樹脂MPN001を29.5質量%と、化合物(B)として、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、商品名:N865)19.9質量%と、シリコーン変性エポキシ樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、商品名:BY16−115)3.6質量%と、化合物(C)として、トリエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名:NKエステル3G)9.8質量%と、化合物(D)として、フェノールノボラック樹脂(住友ベークライト(株)製、商品名:PR53467)2.3質量%とを、MEK(メチルエチルケトン、大伸化学(株)製)に溶解し、固形分濃度71%になるように感光性接着剤樹脂組成物ワニスを得た。
次に、ビーズミル(ビーズ直径400μm、処理速度6g/s、5パス)を用いて、充填材(F)としてシリカ(日本触媒(株)製、商品名:KE−P30、平均粒子径:0.28μm、最大粒径:0.9μm)33.7質量%を分散させた。
そして、さらに、感光剤(E)として、2,2ジメトキシ−1,2ジフェニルエタンー1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、イルガキュア651)1.2質量%を添加し、攪拌羽根(450rpm)にて、1時間攪拌することにより感光性接着剤樹脂組成物ワニスを得た。
【0073】
<実施例7>
充填材(F)であるシリカ(アドマテックス(株)製、SO−E2、平均粒子径:0.5μm、最大粒径:2.0μm)33.7質量%に換えて、充填材(F)としてシリカ(トクヤマ(株)製、商品名:NSS−3N、平均粒子径:0.125μm、最大粒径:0.35μm)33.7質量%とした以外は、実施例6と同様に接着フィルム、受光装置を得た。
【0074】
<実施例8>
充填材(F)であるシリカ(アドマテックス(株)製、SO−E2、平均粒子径:0.5μm、最大粒径:2.0μm)33.7質量%に換えて、充填材(F)としてシリカ(デンカ(株)製、商品名:SFP−20M、平均粒子径:0.33μm、最大粒径:0.8μm)33.7質量%とした以外は、実施例6と同様に接着フィルム、受光装置を得た。
【0075】
<実施例9>
充填材(F)であるシリカ(アドマテックス(株)製、SO−E2、平均粒子径:0.5μm、最大粒径:2.0μm)33.7質量%に換えて、充填材(F)としてシリカ(日本触媒(株)製、商品名:KE−S30、平均粒子径:0.24μm、最大粒径:0.9μm)33.7質量%とした以外は、実施例6と同様に接着フィルム、受光装置を得た。
【0076】
<実施例10>
感光性接着剤樹脂組成物ワニスの配合を、以下のようにした以外は、実施例6と同様に接着フィルム、受光装置を得た。
化合物(A)として、メタアクリロイル変性ノボラック型ビスフェノールA樹脂MPN001を42.0質量%と、化合物(B)として、ビスフェノールAノボラック型エポキ
シ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、商品名:N865)28.5質量%と、シリコーン変性エポキシ樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、商品名:BY16−115)5.1質量%と、化合物(C)として、トリエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名:NKエステル3G)13.9質量%と、化合物(D)として、フェノールノボラック樹脂(住友ベークライト(株)製、商品名:PR53467)3.3質量%とを、MEK(メチルエチルケトン、大伸化学(株)製)に溶解し、固形分濃度71%になるように感光性接着剤樹脂組成物ワニスを得た。
次に、ビーズミル(ビーズ直径400μm、処理速度6g/s、5パス)を用いて、充填材(F)としてシリカ(アドマテックス(株)製、SO−E2、平均粒子径:0.5μm、最大粒径:2.0μm)5.0質量%を分散させた。
そして、さらに、感光剤(E)として、2,2ジメトキシ−1,2ジフェニルエタンー1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、イルガキュア651)2.2質量%を添加し、攪拌羽根(450rpm)にて、1時間攪拌することにより感光性接着剤樹脂組成物ワニスを得た。
【0077】
<実施例11>
感光性接着剤樹脂組成物ワニスの配合を、以下のようにした以外は、実施例6と同様に接着フィルム、受光装置を得た。
化合物(A)として、メタアクリロイル変性ノボラック型ビスフェノールA樹脂MPN001を35.0質量%と、化合物(B)として、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、商品名:N865)24.3質量%と、シリコーン変性エポキシ樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、商品名:BY16−115)4.3質量%と、化合物(C)として、トリエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名:NKエステル3G)11.8質量%と、化合物(D)として、フェノールノボラック樹脂(住友ベークライト(株)製、商品名:PR53467)2.8質量%とを、MEK(メチルエチルケトン、大伸化学(株)製)に溶解し、固形分濃度71%になるように感光性接着剤樹脂組成物ワニスを得た。
次に、ビーズミル(ビーズ直径400μm、処理速度6g/s、5パス)を用いて、充填材(F)としてシリカ(アドマテックス(株)製、SO−E2、平均粒子径:0.5μm、最大粒径:2.0μm)20.0質量%を分散させた。
そして、さらに、感光剤(E)として、2,2ジメトキシ−1,2ジフェニルエタンー1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、イルガキュア651)1.8質量%を添加し、攪拌羽根(450rpm)にて、1時間攪拌することにより感光性接着剤樹脂組成物ワニスを得た。
【0078】
<比較例1>
感光性接着剤樹脂組成物ワニスの配合を、以下のようにした以外は、実施例1と同様に接着フィルム、受光装置を得た。
化合物(A)として、メタアクリロイル変性ノボラック型ビスフェノールA樹脂MPN001を46.5質量%と、化合物(B)として、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、商品名:N865)31.0質量%と、シリコーン変性エポキシ樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、商品名:BY16−115)5.4質量%と、化合物(C)として、トリエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名:NKエステル3G)14.8質量%と、感光剤(E)として、2,2ジメトキシ−1,2ジフェニルエタンー1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア651)2.4質量%とを、MEK(メチルエチルケトン、大伸化学(株)製)に溶解し固形分濃度71%になるように感光性接着剤樹脂組成物を得た。
【0079】
各実施例および比較例で得られた接着フィルムについて、以下の評価を行った。評価項
目を内容と共に示す。得られた結果を表1に示す。
1.現像性
半導体ウエハ上に接着フィルムをラミネート(温度60℃、速度0.3m/分)し、パターンマスクを用いて格子状に樹脂スペーサーが残るように露光(露光量:700mJ/cm2)し、3%TMAHを用いて現像(現像液圧力:0.2MPa、現像時間:150
秒間)した。得られた格子パターン部分を電子顕微鏡で観察(×5,000倍)し、残渣の有無を評価した。各符号は、以下の通りである。
◎:残渣が全く確認されず、実用上全く問題ない。
○:残渣が若干確認できるが、実用上問題ないレベルである。
△:残渣が比較的多く観察され、実用レベルではない。
×:残渣が多数確認され、実用レベルではない。
なお、パターンマスクは、樹脂幅1.2mm、間隔5mmの格子状とした。
【0080】
2.受光装置信頼性
各実施例および比較例で得られた受光装置を、−55℃で1時間、125℃で1時間処理するサイクルを繰り返す温度サイクル試験を100サイクル行い(n=10)、クラックおよび剥離の観察を実施した。各符号は、以下の通りである。
◎:全サンプルクラックおよび剥離がなく、実用上全く問題なし。
○:僅かなクラックおよび剥離が2個以下のサンプルで確認されるが、実用上問題
なし。
△:3個以上のサンプルでクラックおよび剥離が観察され、実用レベルではない。

×:8個以上のサンプルでクラックおよび剥離が観察され、実用レベルではない。
【0081】
3.アライメント性
半導体ウエハ上に接着フィルムを、ラミネート(温度60℃、速度0.3m/分)し、露光機PLA−600FA(キャノン社製)を用いて、半導体ウエハ表面のパターンがラミネートした樹脂スペーサー用フィルム上からも視認できるか評価した。各符号は、以下の通りである。
◎:パターン形状が境界部分まで鮮明に見え、実用上全く問題ないレベルである。
○:パターン形状はわかるものの、境界部分が多少不鮮明に見えるが、実用上問題
なし。
×:パターンがまったく見えず、実用レベルではない。
【0082】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の接着フィルムの使用方法の一実施形態を示す模式的な断面図である。
【図2】受光装置を示す模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0084】
1 受光装置
9 半導体素子集合体
10 支持体
11 半導体素子
12 ベース基板
13 透明基板
14 接着フィルム
15 接着層
16 基材フィルム
17 受光部
18 切込み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸基又はカルボキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物(A)と、
前記水酸基又はカルボキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物(A)と熱硬化反応する樹脂(B)と、
(メタ)アクリロイル基を有し、水酸基およびカルボキシル基を有さない化合物(C)と、
フェノール樹脂又はフェノール類(D)と、
感光剤(E)と、
を含むことを特徴とする感光性接着剤樹脂組成物。
【請求項2】
前記水酸基又はカルボキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物(A)が、(メタ)アクリロイル変性ノボラック型フェノール樹脂である、請求項1に記載の感光性接着剤樹脂組成物。
【請求項3】
前記水酸基又はカルボキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物(A)が、下記化学式(1):
【化1】

で表される(メタ)アクリロイル変性ビスフェノールA、又は下記一般式(2):
【化2】

(式中、nは2〜15の整数を示す。)
で表されるノボラック型ビスフェノールA樹脂の水酸基の一部が、下記式(3):
【化3】

で表される基で置換された(メタ)アクリロイル変性ノボラック型ビスフェノールA樹脂である、請求項1に記載の感光性接着剤樹脂組成物。
【請求項4】
前記感光性接着剤樹脂組成物中の前記フェノール樹脂又はフェノール類(D)の含有量が、0.1〜20質量%である、請求項1ないし3のいずれかに記載の感光性接着剤樹脂組成物。
【請求項5】
前記フェノール樹脂又はフェノール類(D)が、ノボラック型フェノール樹脂又はフェノールモノマーである、請求項1ないし4のいずれかに記載の感光性接着剤樹脂組成物。
【請求項6】
さらに、充填材(F)を含む、請求項1ないし5のいずれかに記載の感光性接着剤樹脂組成物。
【請求項7】
前記感光性接着剤樹脂組成物中の前記充填材(F)の含有量が、3〜50質量%である、請求項6に記載の感光性接着剤樹脂組成物。
【請求項8】
前記充填材(F)の平均粒径が、0.03〜0.4μmである、請求項6または7に記載の感光性接着剤樹脂組成物。
【請求項9】
前記充填材(F)が、シリカフィラーである、請求項6ないし8の何れかに記載の感光性接着剤樹脂組成物。
【請求項10】
前記水酸基又はカルボキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物(A)と熱硬化反応する樹脂(B)が、25℃で固形のエポキシ樹脂と、25℃で液状のシリコーン変性エポキシ樹脂との組合せである、請求項1ないし9のいずれかに記載の感光性接着剤樹脂組成物。
【請求項11】
基材フィルムと、前記基材フィルムの表面に形成される接着層と、からなり、前記接着層が、請求項1ないし10のいずれかに記載の感光性接着剤樹脂組成物であることを特徴とする、接着フィルム。
【請求項12】
半導体素子が搭載される基板と、
前記半導体素子が搭載される基板と対向する透明基板と、
前記透明基板と前記半導体素子が搭載される基板との間に設けられたスペーサーと、
を備え、
前記スペーサーが、請求項1ないし11のいずれかに記載の感光性接着剤樹脂組成物の硬化物であることを特徴とする受光装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−297540(P2008−297540A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−104251(P2008−104251)
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【分割の表示】特願2007−142925(P2007−142925)の分割
【原出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】