説明

感光性樹脂組成物、感光性エレメント及びマイクロレンズアレイの製造法

【課題】 光学系用途としての十分に高い透明性及び屈折率を有し、マイクロレンズアレイを形成する際のレンズ形成能に十分に優れる感光性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】 所定の構造を有する硫黄含有化合物と不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸無水物とをモノマー単位として含む重合体、(B)エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物及び(C)活性光線により遊離ラジカルを生成する光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物、感光性エレメント及びマイクロレンズアレイの製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、凸状や凹状の形状を有するマイクロレンズが基板上に規則的に多数配列されたマイクロレンズアレイは、光効率の向上を図ることができることから、例えば、液晶表示装置、三次元ディスプレイ、レンチキュラーレンズ、CCD等の光学部品へ用いられるなど、様々な分野で利用されている。
【0003】
このようなマイクロレンズアレイの作製においては、マイクロレンズの寸法が微小であることから、通常のレンズ作製に用いられる研磨やモールドとは異なる方法が検討されている。例えば、特許文献1には、熱フローによる樹脂の熱流動を用いてレンズを丸く半球状に形成する方法が開示されている。また、特許文献2には、感光性樹脂を基板に塗布し、露光、現像した後、パターンを熱処理することによってマイクロレンズアレイを形成する方法が開示されている。
【0004】
特に、マイクロレンズの大きさが100μm以下と非常に微小な立体である場合、ポジ型感光性樹脂を用いた形成方法が有効であるとされている。例えば、特許文献3には、アルカリ可溶性樹脂、感光剤として1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル、加熱処理によりレンズを形成する際に耐熱性及び耐溶剤性を付与させる熱硬化剤及び溶剤からなるマイクロレンズ形成用ポジ型感光材料を用い、マイクロ集光レンズを形成する方法が開示されている。
【0005】
また、ネガ型感光性樹脂を用いた形成方法も検討されており、特許文献4には、ネガ型の感放射線樹脂組成物を用いたマイクロレンズアレイを形成する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭60−53073号公報
【特許文献2】特開平1−246505号公報
【特許文献3】特開平3−223702号公報
【特許文献4】特開2001−330953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献3に記載の方法を初めとするポジ型感光性材料を用いた場合は、レンズ形性能が十分ではなく、光学系用途として使用される際に要求される透明性を十分に満足するものではなかった。一方、上記特許文献4に記載の方法を初めとするネガ型感光性材料を用いた場合には、透明性には優れているものの、パターン露光した表面から光硬化反応が進むことから、レジスト形状は矩形となり、加熱溶融工程によるレンズ形成能が乏しく、また高い屈折率を有していないため、マイクロレンズとして機能させた場合に集光能力が乏しくなる傾向があった。
【0008】
そこで、本発明は、光学系用途としての十分に高い透明性及び屈折率を有し、マイクロレンズアレイを形成する際のレンズ形成能に十分に優れる感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント及びマイクロレンズアレイの製造法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、(A)下記一般式(I)で表される硫黄含有化合物と、不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸無水物とをモノマー単位として含む重合体、(B)エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、及び(C)活性光線により遊離ラジカルを生成する光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物を提供する。
【0010】
【化1】


ここで、式(I)中、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、Aは2価の有機基を示し、X及びXはそれぞれ独立に硫黄原子又は酸素原子を示し、X及びXのうち少なくとも一方は硫黄原子である。
【0011】
このような感光性樹脂組成物は、光学系用途としての十分に高い透明性及び屈折率を有し、マイクロレンズアレイを形成する際のレンズ形成能に十分に優れるものとなる。
【0012】
上記感光性樹脂組成物において、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、(A)成分を30〜90質量部及び(B)成分を10〜70質量部含有することが好ましい。これにより、レンズ形成能により一層優れるものとなる。
【0013】
また、上記(B)成分が、(B1)エチレン性不飽和基を1つ有する光重合性化合物及び(B2)エチレン性不飽和基を少なくとも2つ有する光重合性化合物を含むことが好ましい。これにより、レンズ形成能がさらに向上するだけでなく、耐熱性及び耐溶剤性にも優れるものとなる。
【0014】
この場合、(A)成分、(B1)成分及び(B2)成分の合計100質量部に対して、(A)成分を30〜90質量部、(B1)成分を5〜65質量部及び(B2)成分を0.005〜20質量部含有することが好ましい。
【0015】
本発明はまた、支持体フィルムと、該支持体フィルム上に形成された上記感光性樹脂組成物からなる感光層とを備える感光性エレメントを提供する。本発明の感光性樹脂組成物は、感光性エレメントの形態をとることにより、優れた作業性でレンズ形成能に優れたマイクロレンズアレイを製造できる。
【0016】
本発明は更に、基板又は表示素子上に、上記感光性樹脂組成物からなる感光層を設ける感光層形成工程と、感光層の所定部分に活性光線を照射して露光部を光硬化せしめる露光工程と、露光部以外の部分を除去してパターンを形成する現像工程と、上記パターンを加熱する加熱工程とを備えるマイクロレンズアレイの製造法を提供する。
【0017】
上記パターンが本発明の感光性樹脂組成物の硬化物からなることから、マイクロレンズに必要な可視光域での高い透明性に加えて、高い屈折率を有した十分な集光能力を備えたパターンが形成される。また、上記マイクロレンズアレイの製造法によれば、安定でかつ歩留り良くマイクロレンズアレイを製造できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、光学系用途としての十分に高い透明性及び屈折率を有し、マイクロレンズアレイを形成する際のレンズ形成能に十分に優れる感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント及びマイクロレンズアレイの製造法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の感光性エレメントの好適な実施形態を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。また、本明細書における「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味する。同様に「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及びそれに対応する「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリロイル」とは「アクリロイル」及びそれに対応する「メタクリロイル」を意味する。
【0021】
(感光性樹脂組成物)
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)上記一般式(I)で表される硫黄含有化合物と、不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸無水物と、をモノマー単位として含む重合体、(B)エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、及び(C)活性光線により遊離ラジカルを生成する光重合開始剤を含有するものである。
【0022】
本実施形態の感光性樹脂組成物を構成する各成分について、説明する。
【0023】
<(A)成分>
(A)重合体は、上記一般式(I)で表される硫黄含有化合物と、不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸無水物とを共重合することで得ることができる。
【0024】
一般式(I)で表される硫黄含有化合物は、(メタ)アクリル酸エステル化合物であり、硫黄原子を含有することを特徴としている。式(I)中、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。
【0025】
が置換基を有していてもよいアルキル基である場合、置換基としては、例えば、アルキル基に有していてもよい置換基が、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アリールオキシアルキルオキシ基、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基及びアリールチオアルキルチオ基が挙げられる。また、Rが置換基を有していてもよいアラルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族残基である場合、置換基としては、例えば、アラルキル基又は芳香族残基に有していてもよい置換基が、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アリールオキシアルキルオキシ基、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基及びアリールチオアルキルチオ基及びハロゲン原子が挙げられる。
【0026】
としては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、ベンジル基、4−メチルベンジル基、4−クロロベンジル基、4−ブロモベンジル基、β−フェニルエチル基等の置換又は未置換のアラルキル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−フェニルフェニル基、4−フェノキシフェニル基、3−フェノキシフェニル基、2−フェノキシフェニル基、4−メチルチオフェニル基、3−メチルチオフェニル基、2−メチルチオフェニル基、4−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、2−クロロフェニル基、4−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、2−ブロモフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等の置換又は未置換のアリール基が挙げられる。透明性及び屈折率をより高くする観点から、Rは置換又は未置換のアラルキル基、又は置換又は未置換のアリール基であることが好ましい。
【0027】
また、式(I)中、Rは水素原子又はメチル基を示す。Aは2価の有機基を示し、具体的には、酸素原子又は硫黄原子を含有していてもよい炭素数1〜10のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2〜5のアルキレン基であることがより好ましい。X及びXは、それぞれ独立に硫黄原子又は酸素原子を示し、X及びXのうち少なくとも一方は硫黄原子である。屈折率をより高くする観点から、X及びXが硫黄原子であることが好ましい。
【0028】
上記一般式(I)で表される硫黄含有化合物として、例えば、1−チオメチル−2−(メタ)アクリロイルチオメタン、1−チオメチル−2−(メタ)アクリロイルチオエタン、1−チオメチル−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−プロパン、1−チオメチル−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ブタン、1−チオメチル−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ペンタン、1−チオメチル−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ヘキサン、1−チオエチル−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ヘプタン、1−チオエチル−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−オクタン、1−チオエチル−2−(メタ)アクリロイルチオメタン、1−チオエチル−2−(メタ)アクリロイルチオエタン、1−チオエチル−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−プロパン、1−チオエチル−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ブタン、1−チオエチル−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ペンタン、1−チオエチル−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ヘキサン、1−チオエチル−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ヘプタン、1−チオエチル−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−オクタン、1−チオ−n−プロピル−2−(メタ)アクリロイルチオメタン、1−チオ−n−プロピル−2−(メタ)アクリロイルチオエタン、1−チオ−n−プロピル−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−プロパン、1−チオ−n−プロピル−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ブタン、1−チオ−n−プロピル−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ペンタン、1−チオ−n−プロピル−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ヘキサン、1−チオ−n−プロピル−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ヘプタン、1−チオ−n−プロピル−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−オクタン、1−チオ−n−ブチル−2−(メタ)アクリロイルチオメタン、1−チオ−n−ブチル−2−(メタ)アクリロイルチオエタン、1−チオ−n−ブチル−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−プロパン、1−チオ−n−ブチル−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ブタン、1−チオ−n−ブチル−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ペンタン、1−チオ−n−ブチル−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ヘキサン、1−チオ−n−ブチル−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ヘプタン、1−チオ−n−ブチル−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−オクタン、1−チオベンジル−2−(メタ)アクリロイルチオメタン、1−チオベンジル−2−(メタ)アクリロイルチオエタン、1−チオベンジル−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−プロパン、1−チオベンジル−2−(メタ)アクリロイルチオイソプロパン、1−チオベンジル−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ブタン、1−チオベンジル−2−(メタ)アクリロイルチオイソブタン、1−チオベンジル−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ペンタン、1−チオベンジル−2−(メタ)アクリロイルチオイソペンタン、1−チオベンジル−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ヘキサン、1−チオベンジル−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ヘプタン、1−チオベンジル−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−オクタン、1−チオ−(4’−メチルベンジル)−2−(メタ)アクリロイルチオメタン、1−チオ−(4’−メチルベンジル)−2−(メタ)アクリロイルチオエタン、1−チオ−(4’−メチルベンジル)−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−プロパン、1−チオ−(4’−メチルベンジル)−2−(メタ)アクリロイルチオイソプロパン、1−チオ−(4’−メチルベンジル)−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ブタン、1−チオ−(4’−メチルベンジル)−2−(メタ)アクリロイルチオイソブタン、1−チオ−(4’−メチルベンジル)−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ペンタン、1−チオ−(4’−メチルベンジル)−2−(メタ)アクリロイルチオイソペンタン、1−チオ−(4’−メチルベンジル)−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ヘキサン、1−チオ−(4’−メチルベンジル)−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ヘプタン、1−チオ−(4’−メチルベンジル)−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−オクタン、1−チオ−(4’−メチルチオベンジル)−2−(メタ)アクリロイルチオメタン、1−チオ−(2’−メチルチオベンジル)−2−(メタ)アクリロイルチオエタン、1−チオ−(3’−メチルチオベンジル)−2−(メタ)アクリロイルチオエタン、1−チオ−(4’−メチルチオベンジル)−2−(メタ)アクリロイルチオエタン、1−チオ−(4’−メチルチオベンジル)−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−プロパン、1−チオ−(4’−メチルチオベンジル)−2−(メタ)アクリロイルチオイソプロパン、1−チオ−(4’−メチルチオベンジル)−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ブタン、1−チオ−(4’−メチルチオベンジル)−2−(メタ)アクリロイルチオイソブタン、1−チオ−(4’−メチルチオベンジル)−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ペンタン、1−チオ−(4’−メチルチオベンジル)−2−(メタ)アクリロイルチオイソペンタン、1−チオ−(4’−メチルチオベンジル)−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ヘキサン、1−チオ−(4’−メチルチオベンジル)−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ヘプタン、1−チオ−(4’−メチルチオベンジル)−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−オクタン、1−チオ−(4’−メチルオキシベンジル)−2−(メタ)アクリロイルチオメタン、1−チオ−(4’−メチルオキシベンジル)−2−(メタ)アクリロイルチオエタン、1−チオ−(4’−メチルオキシベンジル)−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−プロパン、1−チオ−(4’−メチルオキシベンジル)−2−(メタ)アクリロイルチオイソプロパン、1−チオ−(4’−メチルオキシベンジル)−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ブタン、1−チオ−(4’−メチルオキシベンジル)−2−(メタ)アクリロイルチオイソブタン、1−チオ−(4’−メチルオキシベンジル)−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ペンタン、1−チオ−(4’−メチルオキシベンジル)−2−(メタ)アクリロイルチオイソペンタン、1−チオ−(4’−メチルオキシベンジル)−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ヘキサン、1−チオ−(4’−メチルオキシベンジル)−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ヘプタン、1−チオ−(4’−メチルオキシベンジル)−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−オクタン、1−チオ−(4’−クロロベンジル)−2−(メタ)アクリロイルチオエタン、1−チオ−(4’−ブロモベンジル)−2−(メタ)アクリロイルチオエタン、1−チオ−(4’−フェニルエチルベンジル)−2−(メタ)アクリロイルチオエタン、1−チオフェニル−2−(メタ)アクリロイルチオメタン、1−チオフェニル−2−(メタ)アクリロイルチオエタン、1−チオフェニル−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−プロパン、1−チオフェニル−2−(メタ)アクリロイルチオイソプロパン、1−チオフェニル−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ブタン、1−チオフェニル−2−(メタ)アクリロイルチオイソブタン、1−チオフェニル−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ペンタン、1−チオフェニル−2−(メタ)アクリロイルチオイソペンタン、1−チオフェニル−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ヘキサン、1−チオフェニル−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ヘプタン、1−チオフェニル−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−オクタン、1−チオ−(4’−メチルフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオメタン、1−チオ−(2’−メチルフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオエタン、1−チオ−(3’−メチルフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオエタン、1−チオ−(4’−メチルフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオエタン、1−チオ−(4’−メチルフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−プロパン、1−チオ−(4’−メチルフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオイソプロパン、1−チオ−(4’−メチルフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ブタン、1−チオ−(4’−メチルフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオイソブタン、1−チオ−(4’−メチルフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ペンタン、1−チオ−(4’−メチルフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオイソペンタン、1−チオ−(4’−メチルフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ヘキサン、1−チオ−(4’−メチルフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ヘプタン、1−チオ−(4’−メチルフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−オクタン、1−チオ−(4’−メチルチオフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオメタン、1−チオ−(2’−メチルチオフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオエタン、1−チオ−(3’−メチルチオフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオエタン、1−チオ−(4’−メチルチオフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオエタン、1−チオ−(4’−メチルチオフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−プロパン、1−チオ−(4’−メチルチオフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオイソプロパン、1−チオ−(4’−メチルチオフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ブタン、1−チオ−(4’−メチルチオフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオイソブタン、1−チオ−(4’−メチルチオフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ペンタン、1−チオ−(4’−メチルチオフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオイソペンタン、1−チオ−(4’−メチルチオフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ヘキサン、1−チオ−(4’−メチルチオフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ヘプタン、1−チオ−(4’−メチルチオフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−オクタン、1−チオ−(4’−メチルオキシフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオメタン、1−チオ−(4’−メチルオキシフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオエタン、1−チオ−(4’−メチルオキシフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−プロパン、1−チオ−(4’−メチルオキシフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオイソプロパン、1−チオ−(4’−メチルオキシフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ブタン、1−チオ−(4’−メチルオキシフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオイソブタン、1−チオ−(4’−メチルオキシフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ペンタン、1−チオ−(4’−メチルオキシフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオイソペンタン、1−チオ−(4’−メチルオキシフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ヘキサン、1−チオ−(4’−メチルオキシフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−ヘプタン、1−チオ−(4’−メチルオキシフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオ−n−オクタン、1−チオ−(4’−フェニルフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオエタン、1−チオ−(4’−フェニルオキシフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオエタン、1−チオ−(4’−クロロフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオエタン、1−チオ−(4’−ブロモフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオエタン、1−チオナフチル−2−(メタ)アクリロイルチオエタン、1−チオメチル−2−(メタ)アクリロイルオキシエタン、1−チオエチル−2−(メタ)アクリロイルオキシエタン、1−チオ−n−プロピル−2−(メタ)アクリロイルオキシエタン、1−チオ−n−ブチル−2−(メタ)アクリロイルオキシエタン、1−チオベンジル−2−(メタ)アクリロイルオキシエタン、1−チオ−(4’−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ベンジル)−2−(メタ)アクリロイルオキシエタン、1−チオ−(4’−メチルオキシベンジル)−2−(メタ)アクリロイルオキシエタン、1−チオ−(4’−クロロベンジル)−2−(メタ)アクリロイルオキシエタン、1−チオ−(4’−ブロモベンジル)−2−(メタ)アクリロイルオキシエタン、1−チオ−(4’−フェニルエチルベンジル)−2−(メタ)アクリロイルオキシエタン、1−チオフェニル−2−(メタ)アクリロイルオキシエタン、1−チオ−(2’−メチルフェニル)−2−(メタ)アクリロイルオキシエタン、1−チオ−(3’−メチルフェニル)−2−(メタ)アクリロイルオキシエタン、1−チオ−(4’−メチルフェニル)−2−(メタ)アクリロイルチオエタン、1−チオ−(2’−メチルチオフェニル)−2−(メタ)アクリロイルオキシエタン、1−チオ−(3’−メチルチオフェニル)−2−(メタ)アクリロイルオキシエタン、1−チオ−(4’−メチルチオフェニル)−2−(メタ)アクリロイルオキシエタン、1−チオ−(4’−メチルオキシフェニル)−2−(メタ)アクリロイルオキシエタン、1−チオ−(4’−フェニルフェニル)−2−(メタ)アクリロイルオキシエタン、1−チオ−(4’−フェニルオキシフェニル)−2−(メタ)アクリロイルオキシエタン、1−チオ−(4’−クロロフェニル)−2−(メタ)アクリロイルオキシエタン、1−チオ−(4’−ブロモフェニル)−2−(メタ)アクリロイルオキシエタン、1−チオナフチル−2−(メタ)アクリロイルオキシエタンが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0029】
上記不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸無水物としては、特に制限はなく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等のモノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸、無水マレイン酸、無水フマル酸、無水シトラコン酸、無水メサコン酸、無水イタコン酸等のジカルボン酸無水物が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0030】
(A)成分である重合体は、一般式(I)で表される硫黄含有化合物、及び、不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸無水物に加えて、他の不飽和化合物をモノマー単位として含んでいてもよい。
【0031】
上記他の不飽和化合物としては、一般式(I)で表される硫黄含有化合物、及び、不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸無水物と共重合可能な不飽和化合物であれば特に制限はない。他の不飽和化合物として、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ドコシル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘプチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシジプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−フルオロエチル、(メタ)アクリル酸2−シアノエチル、スチレン、α−メチルスチレン、シクロヘキシルマレイミド、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシエチル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル、o−フェニルフェノールグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−[(1,1’−ビフェニル)オキシ]エトキシ、(メタ)アクリル酸−2−(2−メトキシエトキシ)エチル、オキシエチレン基の数が2〜23である(メタ)アクリル酸メトキシポリオキシエチレン、(メタ)アクリル酸−2−フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−(2−フェノキシエチル−オキシ)エチル、ビニルトルエン、塩化ビニル、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリルが挙げられる。屈折率をより向上する観点から、他の不飽和化合物成分として、(メタ)アクリル酸−2−[(1,1’−ビフェニル)オキシ]エトキシを共重合することが好ましい。これらは、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0032】
(A)成分において、一般式(I)で表される硫黄含有化合物に由来するモノマー単位の含有量は、(A)成分を構成するモノマー単位の合計100質量部に対して、5〜90質量部であることが好ましく、10〜80質量部であることがより好ましく、15〜75質量部であることがさらに好ましい。一般式(I)で表される硫黄含有化合物の含有量が5質量部未満では、本発明の感光性樹脂組成物を使用してマイクロレンズとした場合の屈折率が低下し、集光能力が低下する傾向があり、90質量部を超えると、現像性が低下する傾向がある。
【0033】
また、(A)成分は、後述する現像工程において、公知の各種現像液により現像可能となるように、酸価を規定することができる。(A)重合体の酸価は、不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸無水物に由来するモノマー単位の含有量を変更することで適宜調整することができる。例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、トリエタノールアミン等のアルカリ水溶液を用いて現像する場合には、酸価を50〜260mgKOH/gとすることが好ましい。この酸価が、50mgKOH/g未満では、現像が困難となる傾向があり、260mgKOH/gを超えると、耐現像液性(現像により除去されずにパターンとなる部分が、現像液によって侵されない性質)が低下する傾向がある。また、水又はアルカリ水溶液と1種以上の界面活性剤とからなるアルカリ水溶液を用いて現像する場合には、酸価を、16〜260mgKOH/gとすることが好ましい。この酸価が、16mgKOH/g未満では、現像が困難となる傾向があり、260mgKOH/gを超えると、耐現像液性が低下する傾向がある。
【0034】
(A)重合体の重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定し、標準ポリスチレン換算した値)は、耐熱性、塗布性、後述する感光性エレメントとした場合のフィルム性(フィルム状の形態を保持する特性)、溶媒への溶解性及び後述する現像工程における現像液への溶解性等の観点から、1000〜300000とすることが好ましく、5000〜150000とすることがより好ましく、7000〜100000とすることがさらに好ましく、10000〜70000とすることが特に好ましい。
【0035】
<(B)成分>
(B)エチレン性不飽和基を有する光重合性不飽和化合物としては、感光性樹脂組成物のパターン形成性を向上させる観点から、(B1)エチレン性不飽和基を1つ有する光重合性化合物及び(B2)エチレン性不飽和基を少なくとも2つ有する光重合性化合物を含むことが好ましい。
【0036】
(B1)エチレン性不飽和基を1つ有する光重合性不飽和化合物として、例えば、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシエチル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル、o−フェニルフェノールグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−[(1,1’−ビフェニル)オキシ]エトキシ、(メタ)アクリル酸−2−(2−メトキシエトキシ)エチル、オキシエチレン基の数が2〜23である(メタ)アクリル酸メトキシポリオキシエチレン、(メタ)アクリル酸−2−フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−(2−フェノキシエチル−オキシ)エチル、オキシエチレン基の数が2〜23である(メタ)アクリル酸フェノキシポリオキシエチレンが挙げられる。中でも、(B1)成分としては、屈折率をより向上する観点から、(メタ)アクリル酸−2−[(1,1’−ビフェニル)オキシ]エトキシ又はオキシエチレン基の数が2〜5である(メタ)アクリル酸フェノキシポリオキシエチレンが好ましい。また、上記一般式(I)で表される硫黄含有化合物を、(B1)成分として使用することができる。さらに、上述の他の不飽和化合物を、(B1)成分として使用することもできる。これらの化合物は、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0037】
(B2)エチレン性不飽和基を少なくとも2つ有する光重合性不飽和化合物としては、例えば、多価アルコールとα,β−不飽和カルボン酸とを反応させて得られる化合物、グリシジル基含有化合物とα,β−不飽和カルボン酸とを反応させて得られる化合物、ウレタンモノマーが挙げられる。
【0038】
多価アルコールとα,β−不飽和カルボン酸とを反応させて得られる化合物としては、例えば、エチレン基の数が2〜14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンペンタエトキシトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート(ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート)、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビス[(2−メタクリロイルチオ)エチル]スルフィドが挙げられる。
【0039】
また、上記グリシジル基含有化合物とα,β−不飽和カルボン酸とを反応させて得られる化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)フェニルが挙げられる。
【0040】
上記α,β−不飽和カルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸が挙げられる。
【0041】
また、上記ウレタンモノマーとしては、例えば、β位にOH基を有する(メタ)アクリルモノマーと、イソホロンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等との付加反応物、トリス((メタ)アクリロキシテトラエチレングリコールイソシアネート)ヘキサメチレンイソシアヌレート、エチレンオキシド変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド、プロピレンオキシド変性ウレタンジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0042】
屈折率を更に向上する観点から、(B2)成分として、例えば、オキシエチレン基が2〜23である2,2−ビス(4−(ジ(メタ)アクリロキシポリオキシエチレン)フェニル)プロパン、オキシプロピレン基が2〜23である2,2−ビス(4−(ジ(メタ)アクリロキシポリオキシプロピレン)フェニル)プロパンを好適に用いることができる。
【0043】
これらの(B2)成分として例示した化合物は、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0044】
<(C)成分>
(C)活光性線により遊離ラジカルを生成する光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)](「イルガキュア−OXE01」、チバスペシャリティーケミカルズ(株)商品名)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(イルガキュア−OXE02、チバスペシャリティーケミカルズ(株)商品名)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン(「イルガキュア−369」、チバスペシャリティーケミカルズ(株)商品名)、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン(「イルガキュア−907」、チバスペシャリティーケミカルズ(株)商品名)等の芳香族ケトン、2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物、ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物が挙げられる。
【0045】
また、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体において、2つの2,4,5−トリアリールイミダゾールに置換した置換基は同一でも相違していてもよい。また、ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン系化合物と3級アミン化合物とを組み合わせてもよい。
【0046】
なお、フォトリソグラフィ工程における密着性及び感度の観点から、(C)成分としては、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体が好ましく、マイクロレンズとした場合の可視光線透過率の観点から1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]がより好ましい。
【0047】
これらの光重合開始剤は、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0048】
本実施形態の感光性樹脂組成物における(A)成分の配合割合は、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、30〜90質量部とすることが好ましく、35〜85質量部とすることがより好ましく、40〜80質量部とすることが更に好ましく、45〜75質量部とすることが特に好ましい。この配合割合が30質量部未満では、塗布性あるいは後述する感光性エレメントとした場合のフィルム性が低下する傾向があり、85質量部を超えると、光硬化性あるいは基板に対する密着性が低下する傾向がある。
【0049】
本実施形態の感光性樹脂組成物における(B)成分の配合割合は、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、10〜70質量部とすることが好ましく、15〜65質量部とすることがより好ましく、20〜60質量部とすることが更に好ましく、25〜55質量部とすることが特に好ましい。この配合割合が10質量部未満では、光硬化性あるいは基板に対する密着性が低下する傾向があり、70質量部を超えると、塗膜性あるいは後述する感光性エレメントとした場合のフィルム性が低下する傾向がある。
【0050】
また、上記(B)成分が、(B1)成分及び(B2)成分を含む場合、(B1)成分の配合割合は、(A)成分、(B1)及び(B2)成分の合計100質量部に対して、5〜65質量部とすることが好ましく、10〜60質量部とすることがより好ましく、20〜60質量部とすることが更に好ましく、20〜45質量部とすることが特に好ましい。この配合割合が5質量部未満では、光硬化性あるいは基板に対する密着性が低下することに加えて、後述するマイクロレンズアレイを製造する際の加熱工程において、マイクロレンズの形状が矩形となり集光能力が低下する傾向があり、65質量部を超えると、塗膜性又はフィルム形成性が低下することに加えて、耐現像液性が低下する傾向がある。
【0051】
また、(B2)成分の配合割合は、(A)成分、(B1)び(B2)成分の合計100質量部に対して、0.005〜20質量部とすることが好ましく、0.1〜15質量部とすることがより好ましく、1〜10質量部とすることが更に好ましく、0.1〜10質量部とすることが特に好ましい。この配合割合が0.005質量部未満では、光硬化性あるいは基板に対する密着性が低下することに加えて、耐現像液性が低下する傾向があり、20質量部を超えると、後述する加熱工程において、マイクロレンズの形状が矩形となり集光能力が低下する傾向がある。
【0052】
(C)成分の配合割合は、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、0.05〜20質量部とすることが好ましく、0.1〜15質量部とすることがより好ましく、0.15〜10質量部とすることが更に好ましい。この配合割合が0.05質量部未満では、光硬化が不十分となる傾向があり、20質量部を超えると、後述する露光工程において、感光層の活性光線照射表面での活性光線の吸収が増大して、内部の光硬化が不十分となる傾向がある。
【0053】
また、上記感光性樹脂組成物には、必要に応じて、シリル基含有密着性向上剤、レベリング剤、可塑剤、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、酸化防止剤、香料、熱架橋剤、重合禁止剤等の添加剤を(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、それぞれ0.01〜20質量部程度含有することができる。これらの添加剤は、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0054】
(感光性エレメント)
次に、本発明の感光性エレメントの実施の形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明の感光性エレメントの好適な一実施形態を示す模式断面図である。図1に示される本実施形態の感光性エレメント100は、支持体フィルム1上に、上記の感光性樹脂組成物からなる感光層2を備えている。
【0055】
支持体フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルサルフォン等からなるフィルムが挙げられる。フィルの厚さ5〜100μm程度であることが好ましい。
【0056】
本実施形態の感光性エレメント100の製造方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。先ず、上記感光性樹脂組成物の各成分を溶媒に均一に溶解又は分散した塗布液を調製する。次に、この塗布液を支持体フィルム1上に塗布して塗膜を形成する。次に、塗膜から溶媒を乾燥除去して感光層2を形成することにより、感光性エレメント100が得られる。
【0057】
溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、ヘキサノール等の脂肪族アルコール類;アリルアルコール、ベンジルアルコール、アニソール、フェネトール、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の炭化水素類;ジアセトンアルコール、3−メトキシ−1−ブタノール、4−メトキシ−1−ブタノール、3−エトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−エチル−1−ペンタノール−4−エトキシ−1−ペンタノール、5−メトキシ−1−ヘキサノール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、メチルヘキシルケトン、エチルブチルケトン、ジブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、3−ヒドロキシ−2−ブタノン、4−ヒドロキシ−2−ブタノン、4−ヒドロキシ−2−ペンタノン、5−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−3−ペンタノン、6−ヒドロキシ−2−ヘキサノン、3−メチル−3−ヒドロキシ−2−ペンタノン;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテル類及びそのアセテート;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノi−プロピルエーテル、モノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のジエチレングリコールモノアルキルエーテル及びそのアセテート;ジメチルジエチレングリコール、ジエチルジエチレングリコール、ジブチルジエチレングリコール等のジエチレングリコールアルキルエーテル類;モノメチルエーテル、モノエチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のトリエチレングリコールアルキルエーテル類;モノメチルエーテル、モノエチルエーテル、n−プロピルエーテル、モノブチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノメチルエーテルアセテート、モノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールアルキルエーテル類及びそのアセテート;モノメチルエーテル、モノエチルエーテル、n−プロピルエーテル、モノブチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のジプロピレングリコールアルキルエーテル類;ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸アミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル等のカルボン酸エステル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、乳酸メチル、乳酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、炭酸プロピルが挙げられる。
【0058】
上記塗布液を支持体フィルム1上に塗布する方法としては、公知の塗布方法を用いることができる。塗布方法としては、例えば、ドクターブレードコーティング法、メイヤーバーコーティング法、ロールコーティング法、スクリーンコーティング法、スピナーコーティング法、インクジェットコーティング法、スプレーコーティング法、ディップコーティング法、グラビアコーティング法、カーテンコーティング法、ダイコーティング法が挙げられる。
【0059】
感光層2の厚さは、マイクロレンズアレイとして機能させた場合の集光能力あるいは光学特性を考慮して、1〜50μmとすることが好ましく、3〜45μmとすることがより好ましく、5〜40μmとすることが更に好ましい。
【0060】
また、感光層2の粘度は、30℃において、15〜100MPa・sであることが好ましく、20〜90MPa・sであることがより好ましく、25〜80MPa・sであることが更に好ましい。かかる粘度とすることにより、感光性エレメントをロール状に巻いて保管する場合、感光性エレメントの端面から感光性樹脂組成物がしみ出すことを1カ月以上防止できる。また、感光性エレメントを切断する際に、感光層の破片が基板に付着して露光不良や現像残り等が引き起こされるのを防止することができる。
【0061】
なお、上記粘度は、直径7mm、厚さ2mmの感光層試料を作製し、30℃及び80℃において、この試料の厚さ方向に1.96×10−2Nの荷重を加えた際の厚さの変化速度を測定し、この変化速度からニュートン流体を仮定して粘度に換算した値である。
【0062】
本実施形態の感光性エレメント100は、感光層2の上に、さらにカバーフィルムが積層されていてもよい。
【0063】
カバーフィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等からなるフィルムが挙げられる。カバーフィルムの厚さは、5〜100μm程度が好ましい。
【0064】
このようなカバーフィルムが積層された感光性エレメントは、ロール状に巻いて保管することや、ロール状に巻いたもので使用することができる。
【0065】
(マイクロレンズアレイの製造方法)
次に、本発明のマイクロレンズアレイの製造方法について説明する。本実施形態のマイクロレンズアレイの製造方法は、(i)基板又は表示素子上に、上述の感光性樹脂組成物からなる感光層を設ける感光層形成工程と、(ii)感光層の所定部分に活性光線を照射して露光部を光硬化せしめる露光工程と、(iii)露光部以外の部分を除去してパターンを形成する現像工程と、(iv)上記パターンを加熱する加熱工程とを備える。
【0066】
まず、(i)基板又は表示素子上に、本発明の感光性樹脂組成物からなる感光層を形成する感光層形成工程について説明する。
【0067】
上記基板としては、感光性樹脂組成物を光硬化可能な活性光線を透過するものであれば特に制限はなく、例えば、セラミック板、プラスチック板、ガラス板を用いることができる。これらの基板上には、絶縁層、ブラックマトリックスの層、カラーフィルターの層等が設けられてもよく、ITO等の透明電極が設けられていてもよい。
【0068】
また、表示素子としては、画像表示が可能な素子であれば特に制限はなく、例えば、対向させて配設された基板間に液晶が封入された液晶表示装置が挙げられる。
【0069】
感光層は、上記感光性樹脂組成物、或いは上記感光性エレメントを用いて形成することができる。それぞれの方法について以下に説明する。
【0070】
[(i−a)感光性樹脂組成物を用いる感光層形成工程]
本実施形態の感光性樹脂組成物の各成分を溶媒に均一に溶解又は分散した塗布液を調製する。次に、この塗布液を基材上又は表示素子に塗布して塗膜を形成する。次に、塗膜から溶媒を乾燥除去することにより感光層を形成する。
【0071】
溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、ヘキサノール等の脂肪族アルコール類;アリルアルコール、ベンジルアルコール、アニソール、フェネトール、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の炭化水素類;ジアセトンアルコール、3−メトキシ−1−ブタノール、4−メトキシ−1−ブタノール、3−エトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−エチル−1−ペンタノール−4−エトキシ−1−ペンタノール、5−メトキシ−1−ヘキサノール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、メチルヘキシルケトン、エチルブチルケトン、ジブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、3−ヒドロキシ−2−ブタノン、4−ヒドロキシ−2−ブタノン、4−ヒドロキシ−2−ペンタノン、5−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−3−ペンタノン、6−ヒドロキシ−2−ヘキサノン、3−メチル−3−ヒドロキシ−2−ペンタノン;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテル類及びそのアセテート;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノi−プロピルエーテル、モノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のジエチレングリコールモノアルキルエーテル及びそのアセテート;ジメチルジエチレングリコール、ジエチルジエチレングリコール、ジブチルジエチレングリコール等のジエチレングリコールアルキルエーテル類;モノメチルエーテル、モノエチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のトリエチレングリコールアルキルエーテル類;モノメチルエーテル、モノエチルエーテル、n−プロピルエーテル、モノブチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノメチルエーテルアセテート、モノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールアルキルエーテル類及びそのアセテート;モノメチルエーテル、モノエチルエーテル、n−プロピルエーテル、モノブチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のジプロピレングリコールアルキルエーテル類;ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸アミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル等のカルボン酸エステル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、乳酸メチル、乳酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、炭酸プロピルが挙げられる。
【0072】
上記塗布液を基材又は表示素子上に塗布する方法としては、公知の塗布方法を用いることができ、上述の感光性エレメントを製造する際に支持体フィルムに感光層を塗布する方法と同様の方法を用いることができる。
【0073】
塗膜から溶媒を乾燥除去するための乾燥温度は、60〜130℃とすることが好ましく、乾燥時間は、1分〜1時間とすることが好ましい。
【0074】
形成された感光層の厚さは、マイクロレンズアレイとして機能させた場合の集光能力又は光学特性を考慮して、1〜50μmとすることが好ましく、3〜45μmとすることがより好ましく、5〜40μmとすることが更に好ましい。感光層の厚さを上記の範囲とすることにより、露光、現像された後にマイクロレンズアレイとしての性能をより確実に有することができる。塗膜の厚さの調節は、例えば、塗布液の塗布量や溶媒の量を変更することにより行うことができる。
【0075】
[(i−b)感光性エレメントを用いる感光層形成工程]
まず、上記本実施形態の感光性エレメントを準備する。この感光性エレメントがカバーフィルムを備えている場合には、カバーフィルムを除去し、感光層が基板上に接するように、圧着ロールで感光性エレメントと基板とを圧着しながら積層する。
【0076】
圧着ロールは、加熱圧着できるように加熱手段を備えたものであってもよい。加熱圧着する場合の加熱温度は、10〜180℃とすることが好ましく、20〜160℃とすることがより好ましく、30〜150℃とすることが更に好ましい。この加熱温度が、10℃未満では、感光層と基板又は表示素子との密着性が低下する傾向があり、180℃を超えると、感光層の構成成分が熱硬化又は熱分解する傾向がある。
【0077】
感光性エレメントを上述のように加熱すれば、基板を予熱処理することは必要ではないが、感光層と基板又は表示素子との密着性をさらに向上させる点から、基板を予熱処理することが好ましい。この時の予熱温度は、30〜180℃とすることが好ましい。
【0078】
また、加熱圧着時の圧着圧力は、線圧で50〜1×10N/mとすることが好ましく、2.5×10〜5×10N/mとすることがより好ましく、5×10〜4×10N/mとすることが更に好ましい。この圧着圧力が、50N/m未満では、感光層と基板又は表示素子との密着性が低下する傾向があり、1×10N/mを超えると、基板又は表示素子が破壊される傾向がある。
【0079】
このようにして、本実施形態の感光性エレメントの感光層を基板又は表示素子上に積層することができる。
【0080】
次に、上記感光層形成工程の後に、露光工程を行う。以下、この工程について説明する。
【0081】
〔(ii)露光工程〕
本実施形態における露光工程において、フォトマスクを介して、活性光線を感光層の所定部分に照射する。なお、基板又は表示素子にブラックマトリックスなどの活性光線を遮光する層が存在する場合には、この遮光層を介して感光層に活性光線を像的に照射することもできる。
【0082】
活性光線としては、公知の活性光源が使用でき、例えば、カーボンアーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が挙げられ、紫外線を有効に放射するものであれば特に制限されない。
【0083】
〔(iii)現像工程〕
本実施形態における現像工程は、現像により感光層の未露光部分を除去する工程であり、この工程を経て基板又は表示素子上に、感光層の光硬化した部分であるマイクロレンズアレイパターンが顕在化する。
【0084】
現像方法としては、アルカリ水溶液、水系現像液、有機溶剤等の公知の現像液を用いて、スプレー、シャワー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法により現像を行い、未露光部を除去する方法が挙げられ、中でも、環境、安全性の観点からアルカリ水溶液を用いることが好ましいものとして挙げられる。
【0085】
アルカリ水溶液の塩基としては、水酸化アルカリ(リチウム、ナトリウム又はカリウムの水酸化物等)、炭酸アルカリ(リチウム、ナトリウム又はカリウムの炭酸塩若しくは重炭酸塩等)、アルカリ金属リン酸塩(リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等)、アルカリ金属ピロリン酸塩(ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等)、水酸化テトラメチルアンモニウム、モノエタノールアミン、トリエタノールアミンが挙げられる。
【0086】
現像温度及び時間は、上記感光層の現像性に合わせて調整することができる。
【0087】
また、アルカリ水溶液中には、界面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させることができる。
【0088】
また、現像後、光硬化後の感光層に残存したアルカリ水溶液の塩基を、有機酸、無機酸又はこれらの酸水溶液を用いて、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知方法により酸処理(中和処理)することができる。
【0089】
さらに、酸処理(中和処理)の後、水洗する工程を行うこともできる。
【0090】
〔(iv)加熱工程〕
マイクロレンズアレイパターンが形成された基材又は表示素子は、マイクロレンズアレイとして十分に機能するが、本実施形態においては、マイクロレンズアレイパターンをさらに加熱する加熱工程を行っている。この工程を経ることにより、マイクロレンズアレイパターンが溶融されて、所望のレンズ形状のマイクロレンズアレイが形成される。
【0091】
加熱する方法としては、熱風放射、赤外線照射加熱等の公知の方法が挙げられ、基板又は表示素子上に形成されたパターンが有効に加熱される方法であれば特に制限されない。
【0092】
加熱時の温度は、80〜300℃とすることが好ましく、90〜280℃とすることがより好ましく、95〜250℃とすることが更に好ましい。この加熱温度が、80℃未満では、現像工程で形成されたパターンが熱変形し難く、マイクロレンズアレイとした場合の集光能力又は光学特性が低下する傾向があり、300℃を超えると、感光層の構成成分が熱分解する傾向がある。
【0093】
本実施形態のマイクロレンズアレイの製造方法で得られたマイクロレンズアレイは、画像表示が可能な装置の用途であれば特に限定されるものではなく、例えば、液晶表示装置、プラズマディスプレイ、電界放出型ディスプレイ、エレクトロルミネセンスディスプレイ、エレクトロクロミックディスプレイ、電子ペーパー等の用途に好適に使用することができる。
【0094】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はこれに制限されるものではない。
【実施例】
【0095】
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0096】
<(A)成分の調製>
表1に示す配合量(質量部)で、合成例1〜5の重合体溶液を作製した。
【0097】
(合成例1)
撹拌機、還流冷却機、不活性ガス導入口及び温度計を備えたフラスコに、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート190質量部を入れ、窒素ガス雰囲気下で80℃に昇温した。そこへ、一般式(I)で表される硫黄含有化合物として1−チオベンジル−2−メタクリロイルチオエタン75質量部、不飽和カルボン酸としてメタクリル酸25質量部及び重合開始剤として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)3.0質量部を、反応温度を80℃±2℃に保ちながら、4時間かけて均一に滴下した。滴下後、80℃±2℃で6時間撹拌を続け、重量平均分子量約25,000の重合体溶液(固形分35質量%)(P−1)を得た。
【0098】
(合成例2)
一般式(I)で表される硫黄含有化合物として1−チオ−(4’−メチルチオフェニル)−2−メタクリロイルチオエタンを用いた以外は、合成例1と同様の操作を行い、重量平均分子量約25,000の重合体溶液(固形分35質量%)(P−2)を得た。
(合成例3)
【0099】
一般式(I)で表される硫黄含有化合物として1−チオベンジル−2−メタクリロイルチオエタン67質量部及び不飽和カルボン酸としてメタクリル酸23質量部を用い、更に他の不飽和化合物としてメタクリル酸−2−ヒドロキシエチル10質量部を用いた以外は、合成例1と同様の操作を行い、重量平均分子量約25,000の重合体溶液(固形分35質量%)(P−3)を得た。
【0100】
(合成例4)
一般式(I)で表される硫黄含有化合物として1−チオベンジル−2−メタクリロイルチオエタン67質量部及び不飽和カルボン酸としてメタクリル酸23質量部を用い、更に他の不飽和化合物としてメタクリル酸−2−ヒドロキシエチル5質量部及びメタクリル酸−2−[(1,1’−ビフェニル)オキシ]エトキシ5質量部を用いた以外は、合成例1と同様の操作を行い、重量平均分子量約25,000の重合体溶液(固形分35質量%)(P−4)を得た。
【0101】
<比較用重合体の調製>
(合成例5)
不飽和カルボン酸としてメタクリル酸15質量部を用い、他の不飽和化合物としてメタクリル酸−2−ヒドロキシエチル5質量部、メタクリル酸メチル50質量部及びメタクリル酸ベンジル20質量部を用い、一般式(I)で表される硫黄含有化合物を用いなかった以外は、合成例1と同様の操作を行い、重量平均分子量約30,000の比較用重合体溶液(固形分35質量%)(B−1)を得た。
【0102】
【表1】

【0103】
(実施例1)
〔感光性樹脂組成物溶液(V−1)の作製〕
表2に示す配合量(質量部)で各成分を配合し、攪拌機を用いて15分間混合して、重合体溶液(P−1)を含む感光性樹脂組成物溶液(V−1)を作製した。
【0104】
〔マイクロレンズアレイの作製〕
厚さ0.5mm、縦100mm×横100mmのガラス基板上に、上記感光性樹脂組成物溶液(V−1)をロールコータで塗布し、90℃で5分間、ボックス型乾燥機中で乾燥して、溶剤を除去し、膜厚35μmの感光層を形成した。
【0105】
次いで、感光層に光線透過幅/遮光幅=70μm/300μmのラインパターンとなっているフォトマスクを用い、平行光線露光機(オーク製作所(株)製、EXM1201)を使用して、フォトマスクと感光層表面との間に100μmのギャップを設けて、フォトマスク面垂直上方より露光量1×10J/mで(i線(波長365nm)における測定値)、紫外線を像的に照射した。
【0106】
次に、0.5質量%の界面活性剤を含有した0.5質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて、30℃で40秒間シャワー現像して、感光層を選択的に除去してマイクロレンズアレイとなるライン状のパターンを形成した。
【0107】
さらに、上記マイクロレンズアレイとなるライン状のパターンを230℃で30分間、ボックス型乾燥機中で加熱し、熱変形させた。
【0108】
加熱後のマイクロレンズアレイのライン状パターンを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、パターン断面(ラインに対して垂直な断面)は半円状であり、パターン表面は滑らかな曲面を示しており、良好なレンズ形状であった。
【0109】
〔感光層の透過率測定(1)〕
感光性樹脂組成物溶液(V−1)を用いて、形成した感光層の透過率を以下のようにして測定した。
【0110】
厚さ0.5mm、縦100mm×横100mmのガラス基板上に、感光性樹脂組成物溶液をロールコータで塗布し、90℃で5分間、ボックス型乾燥機中で乾燥して、溶剤を除去し、膜厚35μmの感光層を形成した。
【0111】
次いで、上記感光層に、平行光線露光機(オーク製作所(株)製、EXM1201)を使用して、感光層側上方より露光量1×10J/mで(i線(波長365nm)における測定値)、紫外線を照射した後、230℃で30分間、ボックス型乾燥機で加熱し、感光層厚30μmの透過率測定用試料を得た。
【0112】
上記透過率測定用試料について、紫外可視分光光度計(日立計測器サービス(株)製、商品名「U−3310」)を使用して、測定波長域450〜700nmの光線透過率を測定した。結果を表3に示す。
【0113】
〔感光層の屈折率測定〕
厚さ0.65mm、縦100mm×横100mmのシリコン基板上に、感光性樹脂組成物溶液(V−1)をロールコータで塗布し、90℃で5分間、ボックス型乾燥機中で乾燥して、溶剤を除去し、膜厚5μmの感光層を形成した。
【0114】
次いで、上記感光層に、平行光線露光機(オーク製作所(株)製、EXM1201)を使用して、感光層側上方より露光量1×10J/mで(i線(波長365nm)における測定値)、紫外線を照射した後、230℃で30分間、ボックス型乾燥機で加熱し、感光層厚4.3μmの屈折率測定用試料を得た。
【0115】
上記屈折率測定用試料について、Metricon社製屈折率測定装置2010型プリズムカプラ(Model 2010 Prism Coupler)を使用して、レーザー波長633nmにおける屈折率を測定した。結果を表3に示す。
【0116】
(実施例2)
〔感光性エレメント(F−1)の作製〕
支持体フィルムとして、膜厚100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、実施例1で得られた感光性樹脂組成物溶液(V−1)を支持体フィルム上にコンマコーターを用いて均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で1分間乾燥して溶剤を除去して、感光層を形成した。得られた感光層の厚さは35μmであった。
【0117】
次いで、得られた感光層の上に、さらに、25μmの厚さのポリエチレンフィルムを、カバーフィルムとして貼り合わせて、感光性エレメント(F−1)を作製した。
【0118】
〔マイクロレンズアレイの製造〕
得られた感光性エレメント(F−1)のポリエチレンフィルムをはがしながら、厚さ0.5mm、縦100mm×横100mmのガラス基板上に、感光層が接するようにラミネータ(日立化成工業(株)製、商品名「HLM−3000型」)を用いて、ロール温度120℃、基板送り速度1m/分、圧着圧力(シリンダ圧力)4×10Paの条件でラミネートして、ガラス基板上に感光層及び支持体フィルムが積層された基板を作製した。
【0119】
次いで、支持体フィルムを剥離した後、得られた感光層に、光線透過幅/遮光幅=70μm/300μmのラインパターンとなっているフォトマスクを介して、平行光線露光機(オーク製作所(株)製、商品名「EXM1201」)を使用して、フォトマスクと感光層表面との間に100μmのギャップを設けて、フォトマスク面垂直上方より露光量1×10J/mで(i線(波長365nm)における測定値)、紫外線を像的に照射した。
【0120】
次いで、0.5質量%の界面活性剤が含有した0.5質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて、30℃で40秒間シャワー現像して、感光層を選択的に除去してマイクロレンズアレイとなるライン状のパターンを形成した。そして、上記マイクロレンズアレイとなるライン状のパターンを230℃で30分間、ボックス型乾燥機中で加熱し、熱変形させて、マイクロレンズアレイのライン状パターンを得た。
【0121】
上記マイクロレンズアレイのパターンを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、パターン断面(ラインに対して垂直な断面)は半円状であり、パターン表面は滑らかな曲面を示しており、良好なレンズ形状であった。
【0122】
〔感光層の透過率測定〕
感光性エレメント(F−1)を用いて、形成した感光層の透過率を以下のようにして測定した。
【0123】
感光性エレメントのポリエチレンフィルムをはがしながら、厚さ0.5mm、縦100mm×横100mmのガラス基板上に、感光層が接するようにラミネータ(日立化成工業(株)製、商品名「HLM−3000型」)を用いて、ロール温度120℃、基板送り速度1m/分、圧着圧力(シリンダ圧力)4×10Paの条件でラミネートして、ガラス基板上に感光層及び支持体フィルムが積層された基板を作製した。
【0124】
次いで、上記基板から支持体フィルムを除去し、平行光線露光機(オーク製作所(株)製、EXM1201)を使用して、感光層側上方より露光量1×10J/mで(i線(波長365nm)における測定値)、紫外線を照射した後、230℃で30分間、ボックス型乾燥機で加熱し、感光層厚30μmの透過率測定用試料を得た。
【0125】
上記透過率測定用試料について、実施例1と同様の方法により、測定波長域450〜700nmの光線透過率を測定した。結果を表3に示す。
【0126】
〔感光層の屈折率測定〕
支持体フィルムとして、膜厚100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを準備し、感光性樹脂組成物溶液(V−1)を支持体フィルム上にコンマコーターを用いて均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で1分間乾燥して溶剤を除去して、厚さ5μmの感光層を形成した。
【0127】
次いで、厚さ0.65mm、縦100mm×横100mmのシリコン基板上に、感光層が接するようにラミネータ(日立化成工業(株)製、商品名HLM−3000型)を用いて、ロール温度120℃、基板送り速度1m/分、圧着圧力(シリンダ圧力)4×10Paの条件でラミネートして、シリコン基板上に感光層及び支持体フィルムが積層された基板を作製した。
【0128】
上記基板から支持体フィルムを除去し、平行光線露光機(オーク製作所(株)製、EXM1201)を使用して、感光層側上方より露光量1×10J/mで(i線(波長365nm)における測定値)、紫外線を照射した後、230℃で30分間、ボックス型乾燥機で加熱し、感光層厚4.3μmの屈折率測定用試料を得た。上記屈折率測定用試料について、実施例1と同様にして、屈折率を測定した。結果を表3に示す。
【0129】
(実施例3)
〔感光性樹脂組成物溶液(V−2)の作製〕
表2に示す配合量(質量部)で各成分を配合し、攪拌機を用いて15分間混合して、重合体溶液(P−2)を含む感光性樹脂組成物溶液(V−2)を作製した。
【0130】
〔感光性エレメント(F−2)の作製〕
感光性樹脂組成物溶液(V−1)に代えて、感光性樹脂組成物溶液(V−2)を用いた以外は、実施例2と同様の操作を行い、感光性エレメント(F−2)を作製した。
【0131】
〔マイクロレンズアレイの製造〕
感光性エレメント(F−2)を使用し、実施例2と同様の方法により、マイクロレンズアレイのライン状のパターンを得た。
【0132】
上記マイクロレンズアレイのパターンをSEMで観察した結果、パターン断面は半円状であり、パターン表面は滑らかな曲面を示しており、良好なレンズ形状であった。
【0133】
〔感光層の透過率測定〕
感光性エレメント(F−1)に代えて、感光性エレメント(F−2)を用いた以外は、実施例2と同様の操作を行い、感光層の透過率を測定した。結果を表3に示す。
【0134】
〔感光層の屈折率測定〕
感光性樹脂組成物溶液(V−1)に代えて、感光性樹脂組成物溶液(V−3)を用いた以外は、実施例2と同様の操作を行い、感光層の屈折率を測定した。結果を表3に示す。
【0135】
(実施例4)
〔感光性樹脂組成物溶液(V−3)の調製〕
表2に示す配合量(質量部)で各成分を配合し、攪拌機を用いて15分間混合して、重合体溶液(P−3)を含む感光性樹脂組成物溶液(V−3)を作製した。
【0136】
〔感光性エレメント(F−3)の作製〕
感光性樹脂組成物溶液(V−1)に代えて、感光性樹脂組成物溶液(V−3)を用いた以外は、実施例2と同様の操作を行い、感光性エレメント(F−3)を作製した。
【0137】
〔マイクロレンズアレイの製造〕
感光性エレメント(F−3)を使用し、実施例2と同様の方法により、マイクロレンズアレイのライン状のパターンを得た。
【0138】
上記マイクロレンズアレイのパターンをSEMで観察した結果、パターン断面は半円状であり、パターン表面は滑らかな曲面を示しており、良好なレンズ形状であった。
【0139】
〔感光層の透過率測定〕
感光性エレメント(F−1)に代えて、感光性エレメント(F−3)を用いた以外は、実施例2と同様の操作を行い、感光層の透過率を測定した。結果を表3に示す。
【0140】
〔感光層の屈折率測定〕
感光性樹脂組成物溶液(V−1)に代えて、感光性樹脂組成物溶液(V−3)を用いた以外は、実施例2と同様の操作を行い、感光層の屈折率を測定した。結果を表3に示す。
【0141】
(実施例5)
〔感光性樹脂組成物溶液(V−4)の作製〕
表2に示す配合量(質量部)で各成分を配合し、攪拌機を用いて15分間混合し、重合体溶液(P−4)を含む感光性樹脂組成物溶液(V−4)を作製した。
【0142】
〔感光性エレメント(F−4)の作製〕
感光性樹脂組成物溶液(V−1)に代えて、感光性樹脂組成物溶液(V−4)を用いた以外は、実施例2と同様の操作を行い、感光性エレメント(F−4)を作製した。
【0143】
〔マイクロレンズアレイの製造〕
感光性エレメント(F−4)を使用し、実施例2と同様の方法により、マイクロレンズアレイのライン状のパターンを得た。
【0144】
上記マイクロレンズアレイのパターンをSEMで観察した結果、パターン断面は半円状であり、パターン表面は滑らかな曲面を示しており、良好なレンズ形状であった。
【0145】
〔感光層の透過率測定〕
感光性エレメント(F−1)に代えて、感光性エレメント(F−4)を用いた以外は、実施例2と同様の操作を行い、感光層の透過率を測定した。結果を表3に示す。
【0146】
〔感光層の屈折率測定〕
感光性樹脂組成物溶液(V−1)に代えて、感光性樹脂組成物溶液(V−4)を用いた以外は、実施例2と同様の操作を行い、感光層の屈折率を測定した。結果を表3に示す。
【0147】
(比較例1)
〔比較用感光性樹脂組成物溶液(R−1)の作製〕
表2に示す配合量(質量部)で各成分を配合し、攪拌機を用いて15分間混合し、比較用感光性樹脂組成物溶液(R−1)を作製した。
【0148】
〔マイクロレンズアレイの製造〕
比較用感光性樹脂組成物溶液(R−1)を使用して、実施例1と同様の方法により、マイクロレンズアレイのライン状のパターンの作製を試みた。
【0149】
上記パターンをSEMで観察した結果、パターン断面は矩形であり、またパターン表面は滑らかな曲面を示さず、マイクロレンズは形成できていなかった。
【0150】
〔感光層の透過率測定〕
感光性樹脂組成物溶液(V−1)に代えて、比較用感光性樹脂組成物溶液(R−1)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、感光層の透過率を測定した。結果を表3に示す。
【0151】
〔比較用感光層の屈折率測定〕
感光性樹脂組成物溶液(V−1)に代えて、比較用感光性樹脂組成物溶液(R−1)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、感光層の屈折率を測定した。結果を表3に示す。
【0152】
【表2】

【0153】
【表3】

【0154】
実施例1〜5で得られた感光層は、屈折率が1.58〜1.59であり、マイクロレンズとして優れた集光能を発現し得る屈折率が確保できていることを確認した。また、実施例1〜5で得られた感光層は、光学系用途としての十分に高い透明性を有し、マイクロレンズアレイを形成する際のレンズ形成能に十分に優れるものであった。
【0155】
一方、比較例1で得られた感光層の屈折率は1.51と低く、たとえ他の方法でマイクロレンズを形成できたとしても集光能が期待できないレベルであった。
【符号の説明】
【0156】
1…支持体フィルム、2…感光層、100…感光性エレメント。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(I)で表される硫黄含有化合物と、不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸無水物と、をモノマー単位として含む重合体、
(B)エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、及び
(C)活性光線により遊離ラジカルを生成する光重合開始剤、
を含有する感光性樹脂組成物。
【化1】


[式(I)中、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、Aは2価の有機基を示し、X及びXはそれぞれ独立に硫黄原子又は酸素原子を示し、X及びXのうち少なくとも一方は硫黄原子である。]
【請求項2】
前記(A)成分及び前記(B)成分の合計100質量部に対して、(A)成分を30〜90質量部及び(B)成分を10〜70質量部含有する、請求項1記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(B)成分が、(B1)エチレン性不飽和基を1つ有する光重合性化合物及び(B2)エチレン性不飽和基を少なくとも2つ有する光重合性化合物を含む、請求項1記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(A)成分、前記(B1)成分及び前記(B2)成分の合計100質量部に対して、(A)成分を30〜90質量部、(B1)成分を5〜65質量部及び(B2)成分を0.005〜20質量部含有する、請求項3記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
支持体フィルムと、該支持体フィルム上に形成された請求項1〜4のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物からなる感光層と、を備える、感光性エレメント。
【請求項6】
基板又は表示素子上に、請求項1〜4のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物からなる感光層を設ける感光層形成工程と、
前記感光層の所定部分に活性光線を照射して露光部を光硬化せしめる露光工程と、
前記露光部以外の部分を除去してパターンを形成する現像工程と、
前記パターンを加熱する加熱工程と、
を備えるマイクロレンズアレイの製造法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−2655(P2011−2655A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−145509(P2009−145509)
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】