説明

感光性組成物

【課題】保存安定性に優れ、かつ耐熱性、透明性、基材密着性、平坦性に優れた感光性組成物、それを含むコーティング剤ならびにこれを用いたカラーフィルタ保護膜、層間絶縁膜、フォトスペーサーの提供。
【解決手段】炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、カルボキシル基、およびエチレン性不飽和基を有するアクリル系硬化性樹脂(A)、モノシクロ環を有するエポキシ化合物、ビシクロ環を有するエポキシ化合物、およびトリシクロ環を有するエポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つのエポキシ化合物(B)、エチレン性不飽和基を有する重合性化合物(C)、ならびに、溶剤(D)を含んでなる感光性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルやタッチパネルなどの表示パネルを形成するための材料として好適な感光性組成物、それを含むコーティング剤ならびにそれより形成されるカラーフィルタ保護膜、層間絶縁膜、フォトスペーサーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液晶表示素子、集積回路素子、固体撮像素子などには、電子部品の劣化や損傷を防止するための保護膜、素子表面を平坦化するための平坦化膜、電気絶縁性を保つための絶縁膜、素子の距離を一定に保つための微細なパターンなどが設けられている。これらの膜や微細パターンを形成するには、熱硬化性組成物を用いる場合の他、感放射線性組成物を用いるフォトリソグラフィー法が採用される場合が多い。これらの膜や微細パターンには、その用途に応じて耐熱性、透明性、基材密着性、平坦性が求められ、また感放射線性組成物には保存安定性などが求められるが、すべてを満足できる感放射線性組成物を得ることは難しかった。以下にその具体例を説明する。
【0003】
層間絶縁膜を形成する材料としては、必要とするパターン形状の層間絶縁膜を得るための工程数が少なくしかも十分な平坦性を有する層間絶縁膜が得られるという特徴を生かし、さらにITO電極とTFT素子とを導通させるために層間絶縁膜に空けられるコンタクトホールをパターニングできる感光性組成物が幅広く使用されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、液晶ディスプレイの層間絶縁膜、保護膜などの永久膜を形成するための感光性組成物が開示され、不飽和カルボン酸とエポキシ基含有重合性化合物との共重合体を用いたものである。しかしながら、この技術では、アルカリ現像性を付与するためにカルボン酸もしくはこれに代わる酸成分を相当量必要とするために、組成物中に存在するエポキシ基とカルボン酸とが反応し、保存中に増粘、固化してしまうという欠点を有している。
【0005】
液晶表示装置やタッチパネルなど、表示装置を構成するカラーフィルタとアレイ基板との間には、両基板の間隔を保持するためにスペーサーが設けられている。このスペーサーとしては、球形粒子を散布する代わりに、感光性組成物を用いてスペーサーを形成するフォトスペーサー法が提案されている。
【0006】
このフォトスペーサーの形成に用いられる感光性組成物としては、例えば、バインダー樹脂としてメタクリル酸/アリルメタクリレート共重合体を、光重合性化合物としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを、光重合開始剤として2,4−ビス−(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N−ジエトキシカルボニルメチルアミノ)−3−ブロモフェニル]−s−トリアジンを、溶剤としてメチルエチルケトンと1−メトキシ−2−プロピルアセテートとメタノールを有してなるフォトスペーサー形成用感光性組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照 ) 。
【0007】
上記特許文献2では、スペーサーの塑性変形量を適正な範囲に規定することで、液晶表示ムラのない高品質な画像を表示可能な液晶表示素子を提供できるとされているが、耐熱黄変性に乏しく、熱硬化による光線透過率が低下してしまうという問題が生じる。
【0008】
また、特許文献3では、樹脂にメタクリロイル基を組み込んだ感光性組成物を用いたフォトスペーサーが提案されているが、上記同様、透明性や耐熱黄変性に乏しく、こちらも熱硬化による光線透過率が低下してしまうという問題が生じる。
【0009】
カラー液晶表示装置、カラー撮像管素子等は、その製造工程中に、溶剤、酸またはアルカリ溶液などによる表示素子の浸漬処理が行なわれ、また、スパッタリングにより配線電極層を形成する際には、素子表面が局部的に高温に曝される。従って、このような処理によって素子が劣化あるいは損傷することを防止するために、これらの処理に対して耐性を有する薄膜からなる保護膜を素子の表面に設けることが行なわれている。
【0010】
このような保護膜は、当該保護膜を形成すべき基体または下層、さらに保護膜上に形成される層に対して密着性が高いものであること、膜自体が平滑で強靭であること、透明性を有するものであること、耐熱性および耐光性が高く、長期間にわたって着色、黄変、白化などの変質を起こさないものであること、耐水性、耐溶剤性、耐酸性および耐アルカリ性に優れたものであることなどの性能が要求される。これらの諸特性を満たす保護膜を形成するための材料としては、例えばエポキシ基を有する重合体を含む熱硬化性組成物が知られている(特許文献4および特許文献5参照)。しかし、組成物中にエポキシ基を有する重合体と、その硬化剤として多価カルボン酸無水物および多価カルボン酸とを含有しているために保存安定性が悪い。
【0011】
また、カラーフィルタ保護膜は、RGB着色層の保護、液晶封入時の耐熱性および耐圧力性を発現するための硬度が必要である。硬度を発現するために、高架橋密度の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が検討されてきた(特許文献6を参照)。しかしながら、これら硬化性樹脂組成物、特に活性エネルギー線硬化性組成物は硬化に際して収縮し、残存応力が発生することにより、基材への密着性が十分でないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平7−248625号 公 報
【特許文献2】特開2003−302639号 公 報
【特許文献3】特開2002−020442号公報
【特許文献4】特開平4−202418号公報
【特許文献5】特開平11−131013号公報
【特許文献6】特開平5−78453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、保存安定性に優れ、かつ耐熱性、透明性、基材密着性、平坦性に優れた感光性組成物、それを含むコーティング剤ならびにこれを用いたカラーフィルタ保護膜、層間絶縁膜、フォトスペーサーの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは前記の課題を解決するため、鋭意検討の結果、特定の官能基を有するアクリル系硬化性樹脂と、シクロ環構造を有するエポキシ化合物とを含む感光性組成物が前記課題を解決するものであることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、第1の発明は、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、カルボキシル基、およびエチレン性不飽和基を有するアクリル系硬化性樹脂(A)、
モノシクロ環を有するエポキシ化合物、ビシクロ環を有するエポキシ化合物、およびトリシクロ環を有するエポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つのエポキシ化合物(B)、
エチレン性不飽和基を有する重合性化合物(C)、ならびに、
溶剤(D)を含んでなる感光性組成物に関する。
【0016】
また、第2の発明は、エポキシ化合物(B)が、下記一般式(1)で表される化合物である第1の発明の感光性組成物に関する。
一般式(1)
【0017】
【化1】

【0018】
[式中、n1は0〜10の整数である。]
【0019】
また、第3の発明は、 エポキシ化合物(B)が、下記一般式(2)で表される化合物である第1の発明の感光性組成物に関する。
一般式(2)
【0020】
【化2】

【0021】
[式中、R1は水素原子もしくはメチル基であり、n2は1〜20の整数である。]
【0022】
また、第4の発明は、アクリル系硬化性樹脂(A)中のカルボキシル基のモル数(a)と、エポキシ化合物(B)中のエポキシ基のモル数(b)とのモル比が、(a)/(b)=0.5〜2である第1〜第3いずれかの発明の感光性組成物に関する。
【0023】
また、第5の発明は、アクリル系硬化性樹脂(A)が、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(m1)とカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(m2)とを含むエチレン性不飽和単量体(M)を共重合してカルボキシル基含有重合体(E)を得た後に、
該重合体(E)中のカルボキシル基に対してエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体(F)中のエポキシ基を反応させてなる第1〜第4いずれかの発明の感光性組成物に関する。
【0024】
また、第6の発明は、アクリル系硬化性樹脂(A)が、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(m1)とカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(m2)とを含むエチレン性不飽和単量体(M)を共重合してカルボキシル基含有重合体(E)を得、
該重合体(E)中のカルボキシル基に対してエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体(F)中のエポキシ基を反応して水酸基含有重合体(G)を得た後に、
該重合体(G)中の水酸基に対して多塩基酸無水物(H)中の酸無水物基を反応してなる第1〜第4いずれかの発明の感光性組成物に関する。
【0025】
また、第7の発明は、アクリル系硬化性樹脂(A)が、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(m1)とエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体(m3)とを含むエチレン性不飽和単量体(N)を共重合してエポキシ基含有重合体(P)を得、
該重合体(P)中のエポキシ基に対してカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(Q)中のカルボキシル基を反応して水酸基含有重合体(K)を得た後に、
該重合体(K)中の水酸基に対して多塩基酸無水物(H)中の酸無水物基を反応してなる第1〜第4いずれかの発明の感光性組成物に関する。
【0026】
また、第8の発明は、エチレン性不飽和単量体(M)またはエチレン性不飽和単量体(N)が、下記一般式(3)で表されるエチレン性不飽和単量体(m4)を含む第5〜第7いずれかの発明の感光性組成物に関する。
一般式(3)
【0027】
【化3】

【0028】
[式中、R2は、水素原子もしくはメチル基であり、R3は、水素原子、炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、脂環族炭化水素基、または芳香族炭化水素基であり、n3は、1〜10の整数である。]
【0029】
また、第9の発明は、アクリル系硬化性樹脂(A)の酸価が、20〜200mgKOH/gである第1〜第8いずれかの発明の感光性組成物に関する。
【0030】
また、第10の発明は、アクリル系硬化性樹脂(A)の重量平均分子量が、2000〜25000である第1〜第9いずれかの発明の感光性組成物に関する。
【0031】
また、第11の発明は、溶剤(D)が、下記一般式(4)で表される溶剤を含む第1〜第10いずれかの発明の感光性組成物に関する。
一般式(4)
【0032】
【化4】

【0033】
[式中、R4は炭素数1〜3のアルキル基であり、R5は水素原子もしくは炭素数1〜3のアルキル基である。]
【0034】
また、第12の発明は、光重合開始剤(I)を含有する第1〜第11いずれかの発明の感光性組成物に関する。
【0035】
また、第13の発明は、熱重合開始剤(J)を含有する第1〜第12いずれかの発明の感光性組成物に関する。
【0036】
また、第14の発明は、第1〜第13いずれかの発明の感光性組成物を含むカラーフィルタ保護膜用コーティング剤に関する。
【0037】
また、第15の発明は、第14の発明のカラーフィルタ保護膜用コーティング剤から形成されるカラーフィルタ保護膜に関する。
【0038】
さらに、第16の発明は、第1〜第13いずれかの発明の感光性組成物を用いて形成されるタッチパネル用層間絶縁膜に関する。
【0039】
さらにまた、第17の発明は、第1〜第13いずれかの発明の感光性組成物を用いて形成されるタッチパネル用フォトスペーサーに関する。
【発明の効果】
【0040】
本発明により、保存安定性に優れ、かつ耐熱性、透明性、基材密着性、平坦性ともに優れた感光性組成物、それを含むコーティング剤ならびにこれを用いたカラーフィルタ保護膜、層間絶縁膜、フォトスペーサーを提供することができた。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下に、本発明について詳細に説明する。はじめに、本発明の感光性組成物は、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、カルボキシル基、およびエチレン性不飽和基を有する透明性の高いアクリル系硬化性樹脂(A)と、
モノシクロ環を有するエポキシ化合物、ビシクロ環を有するエポキシ化合物、およびトリシクロ環を有するエポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの、透明性および剛直性の高いエポキシ化合物(B)と、を光および熱を用いて硬化させることにより、耐熱性、透明性、基材密着性、平坦性に優れたカラーフィルタ保護膜、層間絶縁膜、フォトスペーサー等の膜およびパターンとすることができる。
【0042】
アクリル系硬化性樹脂(A)は、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、カルボキシル基、およびエチレン性不飽和基を有することを特徴とする。
【0043】
アクリル系硬化性樹脂(A)中の炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基は、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(m1)を共重合することで導入できる。また、カルボキシル基は、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(m2)を共重合することで導入できる。または、水酸基含有エチレン性不飽和単量体を共重合した樹脂中の水酸基や、樹脂中のエポキシ基とカルボキシル基との反応によって生成した水酸基に対して、多塩基酸無水物(H)中の酸無水物基を反応させることで導入できる。また、エチレン性不飽和基は、以下の3つの方法で導入することができる。
【0044】
1つ目は、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(m2)を共重合して得られるカルボキシル基含有重合体(E)中のカルボキシル基に対して、エポキシ基含有エチレン性不飽和単量体(F)中のエポキシ基を反応させる方法がある(反応式1)。2つ目は、エポキシ基含有エチレン性不飽和単量体(m3)を共重合して得られるエポキシ基含有重合体(P)中のエポキシ基に対して、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(Q)中のカルボキシル基を反応させる方法がある(反応式2)。3つ目は、水酸基含有エチレン性不飽和単量体を共重合して得られる水酸基含有重合体(E’)中の水酸基に対して、イソシアネート基含有エチレン性不飽和単量体中のイソシアネート基を反応させる方法がある(反応式3)。
【0045】
(反応式1)
【0046】
【化5】

【0047】
[P1はエチレン性不飽和単量体(M)を共重合してなるポリマー鎖であり、R6はエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体(F)の反応残基である。]
【0048】
(反応式2)
【化6】

【0049】
[P2はエチレン性不飽和単量体(N)を共重合してなるポリマー鎖であり、R7はカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(Q)の反応残基である。]
【0050】
(反応式3)
【0051】
【化7】

【0052】
[P3はエチレン性不飽和単量体(S)を共重合してなるポリマー鎖であり、R8はイソシアネート基含有エチレン性不飽和単量体の反応残基である。]
【0053】
エチレン性不飽和基の導入方法としては、耐熱性、樹脂の黄変性の観点から1つ目または2つ目の方法(反応式1または2)を用いるのが好ましい。
【0054】
1つ目または2つ目の方法(反応式1または2)により得られた共重合体は水酸基を有しており[水酸基含有重合体(G)および(K)]、本発明は、さらに該重合体(G)または(K)中の水酸基に対して多塩基酸無水物(H)中の酸無水物基を反応させ、カルボキシル基を生成することができる(反応式4または5)。これにより酸価の調整も容易に行うことができる。
【0055】
(反応式4)
【0056】
【化8】

【0057】
[P1はエチレン性不飽和単量体(M)を共重合してなるポリマー鎖であり、R6はエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体(F)の反応残基、R8は多塩基酸無水物(H)の反応残基である。]
【0058】
(反応式5)
【0059】
【化9】

【0060】
[P2はエチレン性不飽和単量体(N)を共重合してなるポリマー鎖であり、R7はカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(Q)の反応残基、R8は多塩基酸無水物(H)の反応残基である。]
【0061】
このようにして得られたアクリル系硬化性樹脂(A)中のエチレン性不飽和基は、光および熱によりエチレン性不飽和基を有する重合性化合物(C)と反応し、カルボキシル基は熱によりエポキシ化合物(B)中のエポキシ基と反応することにより、架橋密度が高く、耐熱性および耐熱黄変性ともに優れた硬化物を得ることができる。
【0062】
アクリル系硬化性樹脂(A)の酸価は、20〜200mgKOH/gが好ましく、さらに40〜100mgKOH/gが好ましい。20mgKOH/g未満であるとエポキシ樹脂中のエポキシ基と反応しうる官能基(カルボキシル基)が少なくなり耐熱性および硬度を満足に得ることができない場合があり、200mgKOH/gを超えるとコーティング剤の粘度が高く、保存安定性が悪化する場合がある。
【0063】
アクリル系硬化性樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、2000〜25000が好ましく、より好ましくは4000〜15000である。重量平均分子量(Mw)が2000未満であると耐熱性が悪化する場合があり、重量平均分子量(Mw)が25000を超えると高粘度となり、塗工が困難になる場合がある。
【0064】
次にアクリル系硬化性樹脂(A)の製造方法について説明する。アクリル系硬化性樹脂(A)は、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(m1)とカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(m2)とを含むエチレン性不飽和単量体(M)を共重合してカルボキシル基含有重合体(E)を得た後に、エポキシ基含有エチレン性不飽和単量体(F)を反応させて得ることができる(反応式1)。さらに、反応式1で得られた前記重合体[すなわち、水酸基含有重合体(G)]に多塩基酸無水物(H)を反応させることもできる(反応式4)。
また、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(m1)とエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体(m3)とを含むエチレン性不飽和単量体(N)を共重合してエポキシ基含有重合体(P)を得た後に、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(Q)を反応させ(反応式2)、さらに、反応式2で得られた前記重合体[すなわち、水酸基含有重合体(K)]に多塩基酸無水物(H)を反応させて得ることができる(反応式5)。
また、エチレン性不飽和単量体(m1)とエチレン性不飽和単量体(m2)と水酸基含有エチレン性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体(S)を共重合して水酸基含有重合体(E’)を得た後に、イソシアネート基含有エチレン性不飽和単量体を反応させて得ることができる(反応式3)。
【0065】
エチレン性不飽和単量体(M)としては、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(m1)、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(m2)および必要に応じて用いられるその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体が含まれる。
また、エチレン性不飽和単量体(N)としては、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(m1)、エポキシ基含有エチレン性不飽和単量体(m3)および必要に応じて用いられるその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体が含まれる。
さらに、エチレン性不飽和単量体(S)としては、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(m1)、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(m2)、水酸基含有エチレン性不飽和単量体および必要に応じて用いられるその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体が含まれる。
【0066】
炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(m1)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。その中でも透明性、耐熱性の観点からメチルメタクリレートが好ましい。
【0067】
炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(m1)の使用量としては、エチレン性不飽和単量体(M)、(N)もしくは(S)100重量%中に10〜70重量%が好ましい。さらに20〜60重量%が好ましい。10重量%未満だと透明性が悪化する場合があり、70重量%を超えるとカルボキシル基やエチレン性不飽和基の導入量が少なくなり、得られる塗膜の架橋密度が下がり、耐熱性や基材密着性が低下する場合がある。
【0068】
カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(m2)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸、α−(ヒドロキシメチル)メタクリル酸、p−ビニル安息香酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸等があげられる。中でも反応性の点から(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0069】
カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(m2)の使用量としては、エチレン性不飽和単量体(M)もしくは(S)100重量%中に5〜40重量%が好ましい。5重量%未満だとエポキシ化合物(B)との硬化部位が減少し基材密着性が低くなる場合があり、40重量%を超えると溶剤への溶解性が悪化する場合がある。
【0070】
エポキシ基含有エチレン性不飽和単量体(m3)としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、3−メチル−3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、3−エチル−3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、4−メチル−4,5−エポキシペンチル(メタ)アクリレート、5−メチル−5,6−エポキシヘキシル(メタ)アクリレート、α−エチルアクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、クロトニルグリシジルエール、(イソ)クロトン酸グリシジルエーテル、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、N−(3,5−ジメチル−4−グリシジル)ベンジルアクリルアミド、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、2,3−ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,4−ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,5−ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,6−ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,3,4−トリグリシジルオキシメチルスチレン、2,3,5−トリグリシジルオキシメチルスチレン、2,3,6−トリグリシジルオキシメチルスチレン、3,4,5−トリグリシジルオキシメチルスチレン、2,4,6−トリグリシジルオキシメチルスチレンなどが挙げられる。好ましくは、工業品の入手の容易さという点からグリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0071】
エポキシ基含有エチレン性不飽和単量体(m3)の使用量としては、エチレン性不飽和単量体(N)100重量%中に20〜90重量%が好ましい。20重量%未満だとカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(Q)と反応させるエポキシ基の量が少なくなり導入されるエチレン性不飽和基の量が少なくなるため、硬化部位が減り、耐熱性が不足する場合がある。90重量%を超えると炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(m1)の導入量が少なくなり、透明性が悪化する場合がある。
【0072】
水酸基含有エチレン性不飽和単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、エチル−α−(ヒドロキシメチル)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、p−ヒドロキシフェニルエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート類;
2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド等の水酸基含有(メタ)アクリルアミド類;
2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル等の水酸基含有ビニルエーテル類等が挙げられる。
【0073】
水酸基含有エチレン性不飽和単量体の使用量としては、エチレン性不飽和単量体(S)100重量%中に20〜90重量%が好ましい。20重量%未満だとイソシアネート基含有エチレン性不飽和単量体と反応させる水酸基の量が少なくなり導入されるエチレン性不飽和基の量が少なくなるため、硬化部位が減り、耐熱性が不足する場合がある。90重量%を超えると炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(m1)の導入量が少なくなり、透明性が悪化する場合がある。
【0074】
また、本発明では、エチレン性不飽和単量体(M)、(N)もしくは(S)に下記一般式(3)で表されるエチレン性不飽和単量体(m4)を含むことが好ましい。エチレン性不飽和単量体(m4)を用いることにより親水性のコントロールが容易になり、絶縁膜およびフォトスペーサーのパターン作製時に用いるアルカリ現像液への溶解性を向上することができる。
【0075】
一般式(3)
【0076】
【化10】

【0077】
[式中、R2は、水素原子もしくはメチル基であり、R3は、水素原子、炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、脂環族炭化水素基、または芳香族炭化水素基であり、n3は、1〜10の整数である。]
【0078】
上記一般式(3)に示す、エチレン性不飽和単量体(m4)としては、例えば、メトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート類が挙げられる。特にメトキシエチル(メタ)アクリレートは耐熱性の観点から最も好ましい。
【0079】
上記一般式(3)に示す、エチレン性不飽和単量体(m4)の使用量としては、エチレン性不飽和単量体(M)、(N)もしくは(S)100重量%中に5〜30重量%が好ましい。5重量%未満だと親水性のコントロールが困難であり、アルカリ現像液への溶解性の向上に対する効果が低い場合があり、30重量%を超えると耐熱性の悪化が起きる場合がある。
【0080】
エチレン性不飽和単量体(M)、(N)および(S)に用いることができる、その他共重合可能なエチレン性不飽和単量体としては、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,2,4−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロ−(5,2,1,0,2.6)−デカニル(メタ)アクリレート、トリシクロ−(5,2,1,0,2.6)−デカニルオキシエチル(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレート類;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ロジンアクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート類;
オキセタン(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、(2−エチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、1,4−ジオキサスピロ[4,5]デカ−2−イル)メチル(メタ)アクリレート等のエポキシ基をのぞく環状エーテル含有(メタ)アクリレート類;
N−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等の複素環式(メタ)アクリレート類;
メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート類;
2−メタクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、3−メタクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、5−メタクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトン、β−メタクリロイルオキシ−β−メチル−δ−バレロラクトン、β−メタクリロイルオキシ−β−メチル−γ−ブチロラクトン、2−(1−メタクリロイルオキシ)エチル−4−ブタノリド等のラクトン骨格含有(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、イソブチル(メタ)アクリルアミド、t−ブチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン等の非置換もしくはN置換型(メタ)アクリルアミド類;
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類;
片末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレートオリゴマー、片末端メタクリロイル化ポリスチレンオリゴマー、および片末端メタクリロイル化ポリエチレングリコール等の重合性オリゴマー等が挙げられる。
【0081】
さらに、スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、インデン等のスチレン類;
エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類;
N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のN置換マレイミド類が挙げられる。
【0082】
特に、スチレン、2−メタクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトンが、密着性の点で好ましく、トリシクロ−(5,2,1,0,2.6)−デカニル(メタ)アクリレートが、モノシクロ環を有するエポキシ化合物、ビシクロ環を有するエポキシ化合物、およびトリシクロ環を有するエポキシ化合物との相溶性が高く透明性、密着性の点でさらに好ましい。
【0083】
エチレン性不飽和単量体(M)、(N)もしくは(S)の重合は、公知の方法で行うことができる。すなわち、エチレン不飽和単量体を任意で重合開始剤と混合して加熱することで行うことができる。重合温度は、40〜150℃、好ましくは50〜120℃である。
【0084】
重合の際、エチレン性不飽和単量体の合計100重量部に対して、任意に0.001〜15重量部の重合開始剤を使用することができる。重合開始剤としては、アゾ系化合物および有機過酸化物を用いることができる。アゾ系化合物の例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。有機過酸化物の例としては、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等が挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で、もしくは2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0085】
重合の際、分子量を調整する目的で連鎖移動剤を用いてもよい。エチレン性不飽和単量体の合計100重量部に対して、任意に0.001〜15重量部の連鎖移動剤を使用することができる。
【0086】
連鎖移動剤としては、分子量の調節ができる化合物であれば特に制限されず、公知の連鎖移動剤が使用できる。例えば、オクチルメルカプタン,n−ドデシルメルカプタン,t−ドデシルメルカプタン,n−ヘキサデシルメルカプタン,n−テトラデシルメルカプタン、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、2−メルカプトエタンスルホン酸、ブチルチオグリコレートなどのメルカプタン;
ジメチルキサントゲンジスルフィド,ジエチルキサントゲンジスルフィド,ジイソプロピルキサンチゲンジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド,テトラエチルチウラムジスルフィド,テトラブチルチウラムジスルフィドなどのジスルフィド;
四塩化炭素,塩化メチレン、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン、四臭化炭素,臭化エチレンなどのハロゲン化炭化水素;
イソプロパノール、グリセリン等の、第2級アルコール;
亜リン酸、次亜リン酸、及びその塩(次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等)や、亜硫酸、亜硫酸水素、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸、およびそれらの塩(亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜二チオン酸ナトリウム、亜二チオン酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム等)等の、低級酸化物およびその塩;
およびアリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコレート、α−メチルスチレンダイマー、ターピノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、アニソールなどを挙げることができる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いられる。
【0087】
また、重合の際、重合溶媒として有機溶剤を使用することができる。有機溶剤としては、本発明にかかる感光性樹脂組成物に使用する溶剤(D)を使用することが好ましい。例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエトキシジエチレングリコール、3−エトキシプロピオン酸エチル等が用いられるが特にこれらに限定されるものではない。これらの重合溶媒は、2種類以上混合して用いても良い。
【0088】
炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(m1)とカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(m2)とを含むエチレン性不飽和単量体(M)を共重合して得られるカルボキシル基含有重合体(E)中のカルボキシル基と反応する、エポキシ基含有エチレン性不飽和単量体(F)としては、前述のエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体(m3)と同様のものを使用することができる。工業品の入手の容易さという点からグリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートが望ましい。
【0089】
エポキシ基含有エチレン性不飽和単量体(F)の使用量としては、カルボキシル基含有重合体(E)中のカルボキシル基1モルに対して、エポキシ基含有エチレン性不飽和単量体(F)中のエポキシ基を0.1〜0.9モル反応させるのが好ましい。さらに好ましくは0.2〜0.7モルである。0.9モルを超えるとアクリル系硬化性樹脂(A)中のカルボキシル基の量が少なくなりエポキシ化合物(B)との反応が十分に行えなくなるとともに、硬化収縮が大きく基材密着性が悪化する場合がある。
【0090】
反応温度は40〜150℃、好ましくは50〜120℃である。温度が上記範囲より低いと、付加反応が十分進行しない恐れがあり、一方、上記範囲より高いと、付加反応時にゲル化が起こりやすい。
【0091】
炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(m1)とエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体(m3)とを含むエチレン性不飽和単量体(N)を共重合して得られるエポキシ基含有重合体(P)のエポキシ基と反応する、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(Q)としては、前述のカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(m2)と同様のものを使用することができる。中でも反応性の点から(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0092】
カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(Q)の使用量としては、エポキシ基含有重合体(P)中のエポキシ基1モルに対して、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(Q)中のカルボキシル基を0.2〜1モル反応させるのが好ましい。さらに好ましくは0.3〜1モルである。0.2モル未満では、エチレン性不飽和基の濃度が低くなり、耐熱性等が不足する場合がある。また、残存のエポキシ基と、多塩基酸無水物(H)と反応させた際に、ゲル化が生じる場合がある。1モルを超えるとカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(Q)が残存する場合がある。
【0093】
反応温度は40〜150℃、好ましくは50〜120℃である。温度が上記範囲より低いと、付加反応が十分進行しない恐れがあり、一方、上記範囲より高いと、付加反応時にゲル化が起こりやすい。
【0094】
炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(m1)とカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(m2)と水酸基含有エチレン性不飽和単量体とを含むエチレン性不飽和単量体(S)を共重合して得た水酸基含有重合体(E’)中の水酸基と反応させるイソシアネート基含有エチレン性不飽和単量体としては、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエトキシエチルイソシアネート、1,1−ビス(アクリロイルメチル)エチルイソシアネートなどが挙げられる。
【0095】
イソシアネート基含有エチレン性不飽和単量体の使用量としては、水酸基含有重合体(E’)中の水酸基1モルに対して、イソシアネート基含有エチレン性不飽和単量体中のイソシアネート基を0.1〜0.9モル反応させるのが好ましい。さらに好ましくは0.2〜0.7モルである。0.9モルを超えると硬化収縮が大きく基材密着性が悪化する場合がある。
【0096】
反応の温度は40〜120℃が好ましい。さらに好ましくは50〜100℃である。温度が上記範囲より低いと、付加反応が十分進行しない恐れがあり、一方、上記範囲より高いと、付加反応時にゲル化が起こりやすい。
【0097】
また、カルボキシル基含有重合体(E)にエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体(F)を反応させて得られる(反応式1)水酸基含有重合体(G)またはエポキシ基含有重合体(P)にカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(Q)を反応させて得られる(反応式2)水酸基含有重合体(K)中の水酸基に対して反応させる多塩基酸無水物(H)としては、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン酸無水物等の多塩基酸無水物が挙げられる。溶剤溶解性という点から、特に好ましくはテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸である。
【0098】
多塩基酸無水物(H)の使用量としては、水酸基含有重合体(G)または(K)中の水酸基1モルに対して多塩基酸無水物(H)中の酸無水物基を0.05〜0.95モル反応させるのが好ましい。さらに好ましくは0.2〜0.7モルである。0.05モル未満では、密着性向上の効果が十分に得られない場合があり、さらにカルボキシル基を導入させる目的の1つであるアルカリ現像性も十分に得られない場合がある。
【0099】
反応温度は40〜150℃、好ましくは50〜120℃である。温度が上記範囲より低いと、付加反応が十分進行しない恐れがあり、一方、上記範囲より高いと、付加反応時にゲル化が起こりやすい。
【0100】
上記のカルボキシル基とエポキシ基との付加反応(反応式1および反応式2)、および水酸基と酸無水物基との付加反応(反応式4および反応式5)の際には、必要に応じて、公知の触媒を使用することができる。触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ−5−エン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン等の3級アミン、トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物などが挙げられる。触媒の使用量は、反応系中の固形分の合計100重量部に対して、0.01〜30重量部が好ましく、0.05〜5重量部がさらに好ましく、0.1〜2重量部が最も好ましい。
【0101】
上記水酸基とイソシアネート基との付加反応(反応式3)時には、公知の触媒を使用することができる。例えば、3級アミン系化合物、有機金属系化合物等が挙げられる。3級アミン系化合物としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等が挙げられる。
【0102】
有機金属系化合物としては錫系化合物、非錫系化合物を挙げることができる。錫系化合物としては、例えばジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジマレエ−ト、ジブチル錫ジラウレ−ト、ジブチル錫ジアセテ−ト、ジブチル錫スルファイド、トリブチル錫スルファイド、トリブチル錫オキサイド、トリブチル錫アセテ−ト、トリエチル錫エトキサイド、トリブチル錫エトキサイド、ジオクチル錫オキサイド、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫トリクロロアセテ−ト、2−エチルヘキサン酸錫等が挙げられる。非錫系化合物としては、例えばジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネ−ト、ブトキシチタニウムトリクロライドなどのチタン系、オレイン酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、ナフテン酸鉛などの鉛系、2−エチルヘキサン酸鉄、鉄アセチルアセトネ−トなどの鉄系、安息香酸コバルト、2−エチルヘキサン酸コバルトなどのコバルト系、ナフテン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛などの亜鉛系、ナフテン酸ジルコニウムなどが挙げられる。これらは単独使用、もしくは併用することもできる。
【0103】
さらに、前記付加反応時には、重合禁止効果のあるガスを反応系中に導入したり、重合禁止剤を添加したりしてもよい。重合禁止効果のあるガスを反応系中に導入したり、重合禁止剤を添加したりすることにより、付加反応時のゲル化を防ぐことができる。重合禁止効果のあるガスとしては、系内物質の爆発範囲に入らない程度の酸素を含むガス、例えば、空気などが挙げられる。
【0104】
重合禁止剤としては、公知のものを使用することができ、特に制限はされないが、例えば、ヒドロキノン、メトキノン、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、フェノチアジン等が挙げられる。これら重合禁止剤は、1種のみを用いても、2種以上を併用してもよい。使用する重合禁止剤の量としては、反応系中の固形分の合計100重量部に対して、0.005〜5重量部が好ましく、0.03〜3重量部がさらに好ましく、0.05〜1.5重量部が最も好ましい。重合禁止剤の量が少なすぎると、重合禁止効果が十分でない場合があり、一方、多すぎると、露光感度が低下する恐れがある。また、重合禁止効果のあるガスと重合禁止剤とを併用すると、使用する重合禁止剤の量を低減できたり、重合禁止効果を高めたりすることができるのでより好ましい。
【0105】
次にモノシクロ環を有するエポキシ化合物、ビシクロ環を有するエポキシ化合物、およびトリシクロ環を有するエポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つのエポキシ化合物(B)[以下、エポキシ化合物(B)と表記する場合がある。]について説明する。一般に、エポキシ化合物を添加することで耐薬品性、耐熱性、基材密着性を向上させることが可能である。さらに本発明では、エポキシ化合物(B)を使用することにより、透明性および硬度に優れる膜およびパターンを得ることができる。
【0106】
エポキシ化合物(B)は、化合物中のエポキシ基とアクリル系硬化性樹脂(A)中のカルボキシル基と反応して硬化する。エポキシ化合物(B)の使用量は、アクリル系硬化性樹脂(A)中のカルボキシル基のモル数とエポキシ化合物(B)中のエポキシ基のモル数との比により調整する。アクリル系硬化性樹脂(A)中のカルボキシル基のモル数(a)と、エポキシ化合物(B)中のエポキシ基のモル数(b)とのモル比が、(a)/(b)=0.5〜2であるのが好ましく、0.75〜1.5であるのがより好ましい。(a)/(b)=0.5より小さいとエポキシ樹脂の量が多くなり、パターン作成時の形状の悪化やアルカリ現像性が悪化する場合があり、(a)/(b)=2より大きいと保護膜中にカルボキシル基が残存してしまうため、絶縁性の低下や、硬化不良により耐熱性が悪化する場合がある。
【0107】
モノシクロ環を有するエポキシ化合物としては、例えば、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエステル、シクロヘキサンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジジグリシジルエステル、ビニルシクロヘキセンジオキシド、テトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、1,2:8,9ジエポキシリモネン、ラクトン変性エポキシ化ブタンテトラカルボン酸テトラキス−(3−シクロヘキセニルメチル)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシ)シクロヘキシル−5,1−スピロ(3,4−エポキシ)シクロヘキシル−m−ジオキサン等が挙げられ、製品としては、EP−4080S、同4085S[以上、(株)ADEKA製]、CY−175、同177、同179、アラルダイトCY−182、同192、184[以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製]、ERL−4234、4299、4221、4206[以上、U.C.C社製]、ショーダイン509[昭和電工(株)製]、エピクロン200、同400[以上、DIC(株)製]、エピコート871、同872[以上、ジャパンエポキシレジン(株)製]、ED−5661、同5662[以上、セラニーズコーティング(株)製]、セロキサイド2021、同2021A、同2021P、同2080、同3000、エポリードCT300、同400、EHPE3150、EHPE3150CE[以上、ダイセル化学工業(株)製]などが挙げられる。シクロヘキサン等のモノシクロ環を有するエポキシ化合物であればこれに限定されるものではない。
【0108】
ビシクロ環を有するエポキシ化合物としては、例えば、ノルボルネンジオールジグリシジルエーテル、イソボルニルジオールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0109】
トリシクロ環を有するエポキシ化合物としては、例えば、トリシクロデカニルジグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエンとフェノールノボラック重合物のグリシジルエーテル化物などが挙げられ、製品としては、EP−4088S[以上(株)ADEKA製]、XD−1000、XD−1000−L、XD−1000−2L[以上日本化薬(株)社製]、EPICLON HP−7200、HP−7200L、HP−7200H、HP−7200HH[以上、DIC(株)社製]などが挙げられる。
【0110】
この中でも、下記一般式(1)で表されるエポキシ化合物〔ジシクロペンタジエンとフェノールノボラック重合物のグリシジルエーテル化物、製品としては、XD−1000、XD−1000−L、XD−1000−2L[以上日本化薬(株)社製]、EPICLON HP−7200、HP−7200L、HP−7200H、HP−7200HH[以上、DIC(株)社製]〕を使用することが好ましい。
【0111】
一般式(1)
【0112】
【化11】

【0113】
[式中、n1は0〜10の整数である。]
【0114】
また、下記一般式(2)で表されるエポキシ化合物〔2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物、製品としては、EHPE3150、[ダイセル化学工業(株)製]〕を使用することが好ましい。
【0115】
一般式(2)
【0116】
【化12】

【0117】
[式中、R1は水素原子もしくはメチル基であり、n2は1〜20の整数である。]
【0118】
上記一般式(1)、一般式(2)で表されるエポキシ化合物を用いることにより、膜およびパターンの透明性を確保し、かつ耐熱性、絶縁性を併せ持つ塗膜を得ることができる。
【0119】
これらのエポキシ化合物(B)は、1種のみを用いても、2種以上を併用してもよい。さらに、エポキシ化合物(B)として、上記一般式(1)、一般式(2)で表されるエポキシ化合物と併用して分子量(式量)で150〜1000の低分子量エポキシ化合物を使用するのがより好ましい。低分子量エポキシ化合物を用いることにより、現像速度の調整および熱硬化膜の架橋密度を向上することが可能になり、耐熱性の向上や基材密着性の調整が可能になる。
【0120】
次にエチレン性不飽和基を有する重合性化合物(C)について説明する。エチレン性不飽和基を有する重合性化合物(C)は、エチレン性不飽和単量体および必要に応じてエチレン性不飽和基を有する樹脂により構成される。ただし、本発明における「エチレン性不飽和基を有するアクリル系硬化性樹脂(A)」は、「エチレン性不飽和基を有する重合性化合物(C)」には含まれないものとする。
エチレン性不飽和基を有する重合性化合物(C)は、公知のものであれば、特に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと多塩基酸無水物との反応生成物、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと多塩基酸無水物との反応生成物、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルや、その他として、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられ、これらを単独、または2種類以上混合して用いることができる。
【0121】
ここで、エチレン性不飽和基を有する重合性化合物(C)は、通常、紫外線や電子線を照射することにより[必要に応じ光重合開始剤(I)を添加して]光硬化させるが、本発明では、熱により[必要に応じ熱重合開始剤(J)を添加して]熱硬化させてもよい。
【0122】
エチレン性不飽和基を有する重合性化合物(C)の使用量は、感光性組成物の固形分100重量%中に、10〜60重量%が好ましく、さらに好ましくは15〜50重量%、特に好ましくは20〜40重量%である。10重量%未満であると光硬化反応性が悪く重合が進行しない場合があり、60重量%を超える量を用いると硬化収縮による基材密着性が低下する場合がある。
【0123】
次に溶剤(D)について詳細に説明する。溶剤(D)の使用量は、感光性組成物の固形分濃度を5〜50重量%とする量を使うのが好ましい。感光性組成物の固形分濃度をこのような範囲とすることにより、より均一な厚さの、平滑性の高い絶縁膜およびフォトスペーサーを提供することができる。すなわち、固形分濃度が50重量%を超えると、絶縁膜およびフォトスペーサーのレベリング性や、得られる絶縁膜およびフォトスペーサーの透明性が低下するおそれがあるためであり、一方、固形分濃度が5重量%未満となると、所定の厚さの膜およびパターンが得られなかったりするおそれがあるためである。
【0124】
よって、かかる感光性組成物のレベリング性等と、得られる膜およびパターンの耐薬品性等とのバランスがより良好な観点から、固形分濃度を10〜40重量%の範囲とするのがより好ましい。
【0125】
ここで、感光性組成物の固形分を調節するための溶剤(D)としては、感光性組成物を構成する、他の成分と反応しないもの(不活性)であれば特に限定されるものではないが、好ましくは、前述したアクリル系硬化性樹脂(A)の合成の際に使用することができる有機溶剤と同一のものを挙げることができる。具体的には、ケトン系溶剤やエステル系溶剤の、1種の単独使用または2種以上の併用が好ましい。
【0126】
中でも下記一般式(4)で表される溶剤を用いることがより好ましい。
【0127】
一般式(4)
【0128】
【化13】

【0129】
[式中、R4は炭素数1〜3のアルキル基であり、R5は水素原子もしくは炭素数1〜3のアルキル基である。]
【0130】
上記一般式(4)で表される溶剤を用いることで、スピン塗布方式またはスリット塗布方式いずれの塗布方式でも各種ムラの発生を防ぐことができ、またモノシクロ環を有するエポキシ化合物、ビシクロ環を有するエポキシ化合物、およびトリシクロ環を有するエポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つのエポキシ化合物(B)との相溶性が良好であるため膜およびパターンの平坦性を向上することができる。
【0131】
上記一般式(4)で表される溶剤としてはアルキル酸シクロヘキシルエステルが挙げられ、例えば、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸シクロヘキシル、酪酸シクロヘキシル、イソ酪酸シクロヘキシル、酢酸−2−メチルシクロヘキシル、酢酸−2−エチルシクロヘキシル、酢酸−2−プロピルシクロヘキシル、酢酸−2−イソプロピルシクロヘキシル、酢酸−4−メチルシクロヘキシル、酢酸−4−エチルシクロヘキシル、酢酸−4−プロピルシクロヘキシル、酢酸−4−イソプロピルシクロヘキシル、プロピオン酸−2−メチルシクロヘキシル、プロピオン酸−2−エチルシクロヘキシル、プロピオン酸−2−プロピルシクロヘキシル、プロピオン酸−2−イソプロピルシクロヘキシル、プロピオン酸−4−メチルシクロヘキシル、プロピオン酸−4−エチルシクロヘキシル、プロピオン酸−4−プロピルシクロヘキシル、プロピオン酸−4−イソプロピルシクロヘキシル、酪酸−2−メチルシクロヘキシル、酪酸−2−エチルシクロヘキシル、酪酸−2−プロピルシクロヘキシル、酪酸−2−イソプロピルシクロヘキシル、酪酸−4−メチルシクロヘキシル、酪酸−4−エチルシクロヘキシル、酪酸−4−プロピルシクロヘキシル、酪酸−4−イソプロピルシクロヘキシルなどが挙げられる。
【0132】
中でも、酢酸シクロヘキシル(別名:シクロヘキシルアセテート)、酢酸−2−メチルシクロヘキシル(別名:2−メチルヘキシルアセテート)を用いることが好ましい。
【0133】
上記一般式(4)で表される溶剤の含有量としては、溶剤(D)の合計100重量%中に好ましくは20〜80重量%、より好ましくは30〜70重量%、さらに好ましくは35〜65重量%となるような範囲である。20重量%未満では、良好な塗工性が得られない場合がある。また、80重量%を超えると溶剤選択性が低下してしまう場合がある。
【0134】
次に光重合開始剤(I)について説明する。本発明の感光性組成物は、光重合開始剤(I)を含有するのが好ましい。光重合開始剤(I)は公知のものであれば、特に限定されず、例えば、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号各公報に記載のチタノセン化合物を含むメタロセン化合物や、特開平10−39503号公報記載のヘキサアリールビイミダゾール誘導体、ハロメチル−s−トリアジン誘導体、N−フェニルグリシン等のN−アリール−α−アミノ酸類、N−アリール−α−アミノ酸塩類、N−アリール−α−アミノ酸エステル類等のラジカル活性剤、α−アミノアルキルフェノン系化合物、特開2000−80068号公報、特開2006−36750号公報等に記載されているオキシムエステル系開始剤等が挙げられる。
【0135】
本発明で用いることができる光重合開始剤(I)の具体例としては、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシカルボニルナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル化トリアジン誘導体;
2−トリクロロメチル−5−(2’−ベンゾフリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−[β−(2’−ベンゾフリル)ビニル]−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−〔β−[2’−(6”−ベンゾフリル)ビニル]〕−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5一フリル−1,3,4−オキサジアゾール等のハロメチル化オキサジアゾール誘導体;
2−(2’−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダソール2量体、2−(2’−クロロフェニル)−4,5−ビス(3’−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(2’−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(2’−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、(4’−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体等のイミダゾール誘導体;
ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインエーテル類;
2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン誘導体;
ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;
2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、α−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン等のアセトフェノン誘導体;
チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体;
p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体;
9−フェニルアクリジン、9−(p−メトキシフェニル)アクリジン等のアクリジン誘導体;
9,10−ジメチルベンズフェナジン等のフェナジン誘導体;
ベンズアンスロン等のアンスロン誘導体;
ジ−シクロペンタジエニルTi−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニルTi−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニルTi−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル−1−イル、ジ−シクロペンタジエニルTi−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル−1−イル、ジ−シクロペンタジエニルTi−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニルTi−2,6一ジープルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニルTi−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニルTi−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニルTi−ビス−2,6−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニルTi−2,6−ジ−フルオロ−3−(ピル−1−イル)−フェニ−1−イル等のチタノセン誘導体;
2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、4−ジメチルアミノエチルベンゾエ−ト、4−ジメチルアミノイソアミルベンゾエ−ト、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−エチルヘキシル−1,4−ジメチルアミノベンゾエート、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等のα−アミノアルキルフェノン系化合物;
1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル系化合物等が挙げられる。特に、アセトフェノン系やオキシムエステル系化合物が感度の点で好ましい。
【0136】
光重合開始剤(I)の使用量は、感光性組成物の固形分の合計100重量%中、0.01〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは0.05〜7重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%である。0.01重量%未満であると光硬化反応性が悪く重合が進行しない場合があり、10重量%を超える量を用いると開始剤の黄変の影響より透明性の悪化が起きる場合がある。
【0137】
次に熱重合開始剤(J)について説明する。熱重合開始剤(J)は公知のものであれば、特に限定されないが、10時間半減期温度が100℃〜250℃の範囲の化合物が好ましい。さらに好ましくは、110℃〜180℃の範囲の化合物がより好ましい。10時間半減期温度が100℃未満であると保存安定性が悪化する場合があり、250℃を超えると熱硬化時に効率よくラジカルが発生せずに硬化が進行しない場合がある。
【0138】
10時間半減期温度100℃以上で250℃未満の熱重合開始剤(J)としては、次の化合物が挙げられる。t−ブチルパーオキシアセテート(半減期温度102℃)、2,2−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブタン(半減期温度103℃)、t−ブチルパーオキシベンゾエート(半減期温度104℃)、n−ブチル4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)バレレート(半減期温度105℃)、ジ−(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(半減期温度119℃)、ジクミルパーオキサイド(半減期温度116℃)、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド(半減期温度116℃)、2,5,−ジメチル−2,5,−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(半減期温度118℃)、t−ブチルクミルパーオキサイド(半減期温度120℃)、ジ−t−ブチルパーオキサイド(半減期温度124℃)、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド(半減期温度145℃)、1,1,3,3,−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド(半減期温度153℃)、クメンハイドロパーオキサイド(半減期温度158℃)、t−ブチルハイドロパーオキサイド(半減期温度167℃)、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド(半減期温度176℃)等のパーオキサイド系重合開始剤;
1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド(半減期温度104℃)、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)(半減期温度110℃)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)(半減期温度111℃)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)(半減期温度110℃)等のアゾ系重合開始剤;
その他、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン(半減期温度210℃)等が挙げられる。
【0139】
熱重合開始剤(J)の使用量は、感光性組成物の固形分の合計100重量%中、0.01〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは0.05〜7重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%である。0.01重量%未満であると熱硬化反応性が悪く重合が進行しない場合があり、10重量%を超える量を用いると感光性組成物から得られる膜およびパターンの分子量の低下による耐熱性の悪化が起きる場合がある。
【0140】
本発明の感光性組成物には以下に示す添加剤を用いることができる。例えば、レベリング剤等の界面活性剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、耐光安定剤、耐熱安定剤等を必要に応じて添加することができる。
【0141】
また、本発明の感光性組成物は、形成されるカラーフィルタ保護膜、層間絶縁膜、フォトスペーサー等の厚さとして0.005〜30μmとするのが好ましく、0.01〜20μmとするのがより好ましく、0.1〜10μmとするのが特に好ましい。カラーフィルタ保護膜、層間絶縁膜、フォトスペーサー等の厚さをこのような範囲とすることにより、適度な機械的強度や耐熱性が得られるとともに、光の透過率を損なうおそれが少ない。
【0142】
また、本発明の感光性組成物をガラス基板等に塗布する方法は特に限定されるものでなく、例えば、浸漬法、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法等が使用可能であり、その他、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法等の印刷法によっても塗布可能である。
【0143】
さらに、本発明の感光性組成物をガラス基板等に塗布した後の乾燥方法についても、特に制限されるものではないが、例えば、オーブンや赤外線加熱機等を使用することが可能である。そして、その加熱条件も、感光性組成物に使用する各構成成分の種類や、添加量(配合量)等によって変えることができるものの、通常、温度が50〜300℃の範囲で、0.1〜10時間の条件で加熱硬化するのが好ましく、より好ましくは、温度が100〜250℃の範囲で、0.5〜5.0時間の加熱硬化条件である。
【0144】
光硬化方法についても、特に制限されるものではないが、例えば、光源として高圧水銀灯やメタルハライド灯等を使用して紫外線を照射することが可能である。そして、その照射条件も、感光性組成物に使用する各構成成分の種類や、添加量(配合量)等によって変えることができるものの、通常、紫外線の照射量は、10〜500mJ/cm2が好ましく、より好ましくは20〜300mJ/cm2である。光硬化後、さらに加熱することにより熱硬化させてもよい。
【0145】
光硬化後に行う熱硬化に関しては、感光性組成物に使用する各構成成分の種類や、添加量(配合量)等によって変えることができるものの、アクリル系硬化性樹脂(A)中のカルボン酸とエポキシ化合物(B)中のエポキシ基とが架橋反応する温度が好ましく、温度が50〜300℃の範囲で、0.1〜10時間の条件で加熱硬化するのが好ましく、より好ましくは、温度が100〜250℃の範囲で、0.5〜5.0時間、さらに好ましくは150〜250℃の範囲で0.5〜2時間の加熱硬化条件である。
【0146】
本発明の感光性組成物を使用することにより、液晶パネルやタッチパネル、特にタッチパネル用の層間絶縁膜およびフォトスペーサーとして、耐熱性、透明性、基材密着性、絶縁性に優れた塗膜を得ることができる。また、ブラックマトリックス、RGB着色層、透明電極、シール剤、および配向膜との密着性に優れた保護膜を有するカラーフィルタを得ることができる。
【0147】
本発明の感光性組成物は、タッチパネル用絶縁膜、フォトスペーサー、カラーフィルタ保護膜用途だけでなく、光学ハードコート、ソルダーレジスト、各種コーティング、UVインキ、感光性平版印刷版等に使用することができる。
【実施例】
【0148】
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例における「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を表す。
【0149】
[製造例1]
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、および温度計を備え付けた反応槽に、メトキシプロピルアセテート100部を仕込み90℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、メチルメタクリレート62部、メタクリル酸21部、スチレン17部、およびジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)13部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続けカルボキシル基含有重合体を得た。続いて、反応容器内に乾燥空気を導入し、グリシジルメタクリレート20部、メトキシプロピルアセテート20部、ジメチルベンジルアミン1部、メトキノン0.1部を仕込み、その後10時間、同じ温度で攪拌を続け、アクリル系硬化性樹脂を得た。ここでグリシジルメタクリレートの反応率は、反応前後のポリマーの酸価の変化から求めたところ99%であった。室温に冷却後、メトキシプロピルアセテートで希釈することにより、固形分30%のアクリル系硬化性樹脂溶液P−1を得た。
【0150】
[製造例2、3、5、13、14、16、17、19、20]
表1に示す組成で、製造例1と同様に合成し、固形分30%のアクリル系硬化性樹脂溶液P−2、P−3、P−5、P−13、P−14、P−16、P−17、P−19、P−20を得た。なお、製造例13(P−13)、製造例16(P−16)、製造例17(P−17)、製造例20(P−20)では、エチレン性不飽和基を付与する変性は行っていない。
【0151】
[製造例4]
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、および温度計を備え付けた反応槽に、メトキシプロピルアセテート100部を仕込み90℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、メチルメタクリレート43部、メタクリル酸6部、2−メタクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン25部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート26部およびジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)4部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続けカルボキシル基含有重合体を得た。続いて、反応容器の温度を70℃に冷却し、さらに反応容器内に乾燥空気を導入し、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート25部、メトキシプロピルアセテート25部、ジブチル錫ジラウレート0.1部、メトキノン0.1部を仕込み、その後10時間、同じ温度で攪拌を続け、アクリル系硬化性樹脂を得た。ここでIRスペクトルにより水酸基とイソシアネート基との反応が完了していることを確認した。室温に冷却後、メトキシプロピルアセテートで希釈することにより、固形分30%のアクリル系硬化性樹脂溶液P−4を得た。
【0152】
[製造例9、15、18]
表1に示す組成で、製造例4と同様に合成し、固形分30%のアクリル系硬化性樹脂溶液P−9、P−15、P−18を得た。なお、製造例15では、中間体として得られる重合体はカルボキシル基を含有していない。
【0153】
[製造例6]
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、および温度計を備え付けた反応槽に、メトキシプロピルアセテート100部を仕込み90℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、メチルメタクリレート20部、エチルアクリレート30部、アクリル酸37部、PME−400を8部、トリシクロ−(5,2,1,0,2.6)−デカニル(メタ)アクリレート5部およびジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)9部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続けカルボキシル基含有重合体を得た。続いて、反応容器内に乾燥空気を導入し、グリシジルメタクリレート58部、メトキシプロピルアセテート77部、ジメチルベンジルアミン1部、メトキノン0.1部を仕込み、その後10時間、同じ温度で攪拌を続け、水酸基含有重合体を得た。ここでグリシジルメタクリレートの反応率は、反応前後のポリマーの酸価の変化から求めたところ99%であった。さらに、テトラヒドロ無水フタル酸19部を仕込み、その後10時間、同じ温度で攪拌を続け、アクリル系硬化性樹脂を得た。ここでIRスペクトルにより水酸基と酸無水物の反応が完了していることを確認した。室温に冷却後、メトキシプロピルアセテートで希釈することにより、固形分30%のアクリル系硬化性樹脂溶液P−6を得た。
【0154】
[製造例7、8]
表1に示す組成で、製造例6と同様に合成し、固形分30%のアクリル系硬化性樹脂溶液P−7、P−8得た。
【0155】
[製造例10]
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、および温度計を備え付けた反応槽に、メトキシプロピルアセテート100部を仕込み90℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、メチルメタクリレート30部、エチルアクリレート30部、グリシジルメタクリレート23部、トリシクロ−(5,2,1,0,2.6)−デカニルメタアクリレート7部、2−メタクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン10部およびジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)7部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続けエポキシ基含有重合体を得た。続いて、反応容器内に乾燥空気を導入し、アクリル酸12部、メトキシプロピルアセテート28部、ジメチルベンジルアミン1部、メトキノン0.1部を仕込み、その後10時間、同じ温度で攪拌を続け、水酸基含有重合体を得た。ここでアクリル酸の反応率は、反応前後のポリマーのエポキシ価の変化から求めたところ99%であった。さらに、無水コハク酸16部を仕込み、その後10時間、同じ温度で攪拌を続け、アクリル系硬化性樹脂を得た。ここでIRスペクトルにより水酸基と酸無水物の反応が完了していることを確認した。室温に冷却後、メトキシプロピルアセテートで希釈することにより、固形分30%のアクリル系硬化性樹脂溶液P−10を得た。
【0156】
[製造例11、12]
表1に示す組成で、製造例10と同様に合成し、固形分30%のアクリル系硬化性樹脂溶液P−11、P−12得た。
【0157】
【表1】

【0158】
MMA:メチルメタクリレート
EA:エチルアクリレート
n−BMA:n−ブチルメタクリレート
GMA:グリシジルメタクリレート
M−100:3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート(ダイセル化学工業社製)
VBGE:p−ビニルベンジルグリシジルエーテル
2MTA:2−メトキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業社製)
PME−400:メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(日本油脂株式会社製)
FA513M:トリシクロ−(5,2,1,0,2.6)−デカニル(メタ)アクリレート(日立化成工業社製)
GBLMA:2−メタクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン(大阪有機化学工業社製)
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
HMA:ヘキシルメタクリレート
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
LMA:ラウリルメタクリレート
BzMA:ベンジルメタクリレート
AMA:アリルメタクリレート
V−601:ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬工業株式会社製)
V−65:2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業株式会社製)
AIBN:N,N−アゾビスイソブチロニトリル
PGMAc:メトキシプロピルアセテート(ダイセル化学社製)
HPE:3−ヒドロキシプロピオン酸エチル
4HBAGE:4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(日本化成株式会社製)
MOI:2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工株式会社製)
AOI:2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工株式会社製)
THPA:テトラヒドロ無水フタル酸
SA:無水コハク酸
DMBA:ジメチルベンジルアミン
DBTDL:ジブチル錫ジラウリレート
TEBAC:トリエチルベンジルアンモニウムクロライド
IPA:イソプロピルアルコール
【0159】
[実施例1〜16、比較例1〜12]
表2および表3に示す配合組成で、混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過して、感光性樹脂組成物S−1〜S−16およびH−1〜H−12を得た。
【0160】
【表2】

【0161】
【表3】

【0162】
XD−1000:ジシクロペンタジエン骨格含有エポキシ化合物(日本化薬社製)エポキシ当量250
EHPE3150:2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロセキサン付加物(ダイセル化学工業社製)エポキシ当量179
セロキサイド2021P:3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(ダイセル化学工業社製)エポキシ当量145
EP−4088S:トリシクロデカニルジグリシジルエーテル(ADEKA製)エポキシ当量170
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート
Irg907:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバ・ジャパン社製;製品名IRGACURE907)
Irg184:1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ジャパン社製;製品名IRGACURE184)
OXE02:エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(チバ・ジャパン社製;製品名IRGACURE OXE02)
VAm−111:2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)(和光純薬工業株式会社製)
KBM403:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製)
PGMAc:メトキシプロピルアセテート(ダイセル化学社製)
CHXA:酢酸シクロヘキシル(ダイセル化学社製)
Irg369:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン(チバ・ジャパン社製;製品名IRGACURE 369)
α−AAF:α−アミノアセトフェノン
MIBK−ST:シリカゾルの30質量%メチルイソブチルケトン分散物(日産化学株式会社製)
YH434L:ビスフェノールFのグリシジルアミン化物(4官能エポキシ、東都化成株式会社製、エポキシ当量130)
NC7000L:ナフタレン骨格含有エポキシ化合物(日本化薬社製、エポキシ当量230)
EX411:ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル(4官能エポキシ、ナガセケムテックス株式会社製、エポキシ当量229)
V−05:カルボジライトV−05(カルボジイミド硬化剤、日清紡社製、カルボジイミド当量262)
TMA:トリメリット酸無水物
2E4MI:2−エチル−4−メチルイミダゾール
HPE:3−ヒドロキシプロピオン酸エチル
EGE:エチレングリコールモノエチルエーテル
【0163】
実施例および比較例で得られた感光性組成物について、下記の方法でサンプル基板を作製し、現像性、透明性、硬度、絶縁性、基材密着性、平坦性、および保存安定性を評価した。
【0164】
<評価用サンプル基板の作製>
(インキの調製)
ε型銅フタロシアニン顔料(C.I.Pigment Blue 15:6)10.0部(BASF製「ヘリオゲンブルーL−6700F」)、フタロシアニン系顔料誘導体[下記式(5)]1.0部、アクリル樹脂溶液(メチルメタクリレート/n−ブチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=30/30/30/10(重量比)、Mw30,000、固形分50%のメトキシプロピルアセテート溶液)40.0部、メトキシプロピルアセテート48.0部の混合物を均一に撹拌混合した後、直径1mmのガラスビーズを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し銅フタロシアニン分散体を作製した。
【0165】
式(5)
【化14】

【0166】
[Cu−pcは、銅フタロシアニン残基を示す。]
【0167】
ついで、上記銅フタロシアニン分散体45.0部、上記アクリル樹脂溶液15.0部、トリメチロールプロパントリアクリレート5.6部(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)、光重合開始剤(チバガイギー社製「イルガキュアー907」)2.0部、増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」)0.2部、メトキシプロピルアセテート32.2部の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過して、青色着色組成物(インキB)を得た。
【0168】
ε型銅フタロnシアニン顔料のかわりに、ジケトピロロピロール系顔料(C.I.Pigment Red 254)8.33部(チバガイギー社製「イルガフォーレッドB−CF」)、アントラキノン系顔料(C.I.Pigment Red 177)1.33部(チバガイギー社製「クロモフタールレッドA2B」)、アントラキノン系顔料(C.I.Pigment Yellow 199)0.34部(チバガイギー社製「クロモフタールエローGT−AD」)を、フタロシアニン系顔料誘導体のかわりに下記式(6)で表される化合物1.0部を用いた以外は、青色着色組成物(インキB)と同様にして、赤色着色組成物(インキR)を得た。
【0169】
式(6)
【化15】

【0170】
(密着性試験用基板の作製)
インキBを、10cm×10cm角のガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した後、80℃のオーブン内にて5分乾燥させて膜厚1.5μmの塗膜を形成した。この基板を室温に冷却した後、高圧水銀ランプを用い、100mJ/cm2の露光量でフォトマスクを通して露光した。その後、この基板を25℃の5重量%炭酸ナトリウム水溶液からなる現像液に1分間浸漬して、現像を行い、純水で洗浄して風乾し、さらに240℃のオーブン内にて40分ベークを行った。このようにして作成した密着性試験用基板を基板Bとした。同様の方法でインキRを用いて作成した密着性試験用基板を基板Rとした。
(サンプル基板の作製)
感光性組成物S−1を、10cm×10cm角のガラス基板および基板Bおよび基板R上に、スピンコーターを用いて塗布した後、80℃のオーブン内にて5分乾燥させて膜厚2.0μmの塗膜を形成した。この基板を室温に冷却した後、高圧水銀ランプを用い、100mJ/cm2の露光量でフォトマスクを通して露光した。その後、この基板を25℃の5重量%炭酸ナトリウム水溶液からなる現像液に1分間浸漬して、現像を行い、純水で洗浄して風乾し、さらに240℃のオーブン内にて40分ベークを行うことにより、サンプル基板U−1を作製した。
【0171】
サンプル基板U−2〜U−28を、感光性樹脂組成物S−2〜S−16およびH−1〜H−12を用いる以外はサンプル基板U−1と同様にして作製した。
【0172】
<塗膜の評価>
(現像性評価)
感光性組成物を、10cm×10cm角のガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した後、80℃のオーブン内にて5分乾燥させて膜厚2.0μmの塗膜を形成した。この基板を室温に冷却した後、高圧水銀ランプを用い、100mJ/cm2の露光量でフォトマスクを通して露光した。その後、この基板を25℃の5重量%炭酸ナトリウム水溶液からなる現像液に30秒、1分間それぞれ浸漬し、純水で洗浄して風乾した。このときの現像残渣の残り具合を観察した。現像液に30秒浸漬時に現像残渣が観察されなかったときを○、現像液に1分浸漬時に現像残渣が観察されなかったときを△、現像液に1分浸漬しても残渣が観察されたときを×とした。○および△が実用レベルである。
【0173】
(透明性評価)
サンプル基板U−1〜U−28(ガラス基板)の透過率を、分光光度計(日立社製「U−3310」)で測定した。実用的な要求物性を考慮し、波長400nmにおける透過率が95%以上のときを○、95%より小さいときを×と判定した。
【0174】
(硬度評価)
JIS K5600に準拠し、鉛筆硬度試験機(テスター産業社製「クレメンス型引掻硬度試験機」)を用い、鉛筆の芯の硬さを種々変えて、荷重500gにてサンプル基板U1〜U−28(ガラス基板)上の塗膜を5回試験した。5回中、1回も傷がつかない、もしくは1回のみキズがつくときの芯の硬さを、その塗膜の鉛筆硬度とした。実用的な要求物性を考慮すると鉛筆硬度が2H以上のものが良好と判定した。
【0175】
(絶縁性評価)
サンプル基板U−1〜U−28(ガラス基板)について、体積抵抗値を、デジタル超高抵抗/微少電流計R8340A(第一化学社製、プローブURS、印加電圧5V)にて測定した。層間絶縁膜の実用的な要求物性を考慮し、表面抵抗値が1×1012〜3×1016Ω/□の範囲のものを絶縁性○、それ以下の範囲のサンプルについては、絶縁性×とした。
【0176】
(基材密着性評価)
JIS K5400に準拠し、サンプル基板U−1〜U−28(ガラス基板)上の塗膜について、1mm角の100個の碁盤目試験を実施して、セロハンテープにより、剥離状態を観察した。100個中の接着数(剥離されないで残った碁盤目の数)を数え、ガラス密着性の評価とした。実用的な要求物性を考慮し、90以上を○、80〜89を△、79以下を×と判定した。○および△が実用レベルである。
【0177】
また、サンプル基板U−1〜U−28(基板Bおよび基板R)についても上記ガラス基板上の塗膜と同様の方法で密着性の評価を行った。ただし、ここではインキBまたはインキRよりなる塗膜と感光性組成物よりなる塗膜との界面における剥離状態を観察した。
【0178】
(平坦性評価)
サンプル基板U−1〜U−28(ガラス基板)について、表面形状測定装置「Dektak150」(株式会社アルバック製)を用いて、測定長1,000μm、測定範囲1,000μm角、測定点数n=5で測定し、平均粗さを測定した。この値が40nm未満のとき、平坦性は○、40〜100nmの範囲のときは△、100nmを超えるときは×とした。○および△が実用レベルである。
【0179】
(保存安定性)
保存安定性を評価するために、感光性組成物S−1〜S−16、H−1〜H−12の初期粘度および経時粘度をB型粘度計(25℃、回転速度100rpm)で測定した。初期粘度は、感光性組成物S1〜S16、H−1〜H−12を調液して1日室温で放置後に測定した。経時粘度は1週間50℃に放置後に測定を行った。(経時粘度−初期粘度)の値が、初期粘度に対して±10%以内の時は保存安定性が○、±10%の範囲外の時は×とした。
【0180】
評価結果を表4および表5に示す。
【0181】
【表4】

【0182】
【表5】

【0183】
表4に示すように、実施例1〜16の感光性樹脂組成物は、現像性、透明性、硬度、絶縁性、基材密着性、平坦性、および保存安定性のいずれも良好であったのに対し、表5に示した比較例1〜12の感光性組成物は、現像性、透明性、硬度、絶縁性、基材密着性、平坦性、および保存安定性のいずれかが不良であり、全てが良好となるものは得られなかった。
【0184】
[実施例17]
(サンプル基板の作製)
実施例14で作製した感光性組成物S−14を、10cm×10cm角のガラス基板および基板Bおよび基板R上に、スピンコーターを用いて塗布した後、80℃のオーブン内にて5分乾燥させて膜厚2.0μmの塗膜を形成した。さらに240℃のオーブン内にて40分ベークを行うことにより、サンプル基板U−29を作製した。
【0185】
[実施例18、および比較例13]
サンプル基板U−30、U−31を、実施例15で作製した感光性組成物S−15および比較例4で作製したH−4を用いる以外は実施例17と同様にして作製した。
【0186】
透明性、硬度、絶縁性、密着性、および平坦性の評価を上記方法で行い、その結果を表6に示す。
【0187】
【表6】

【0188】
表6に示すように、実施例17、18の感光性組成物は、透明性、硬度、絶縁性、密着性が良好であり、さらには平坦性も良好であったのに対し、比較例13の感光性組成物は、硬度、密着性、および平坦性が不良であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、カルボキシル基、およびエチレン性不飽和基を有するアクリル系硬化性樹脂(A)、
モノシクロ環を有するエポキシ化合物、ビシクロ環を有するエポキシ化合物、およびトリシクロ環を有するエポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つのエポキシ化合物(B)、
エチレン性不飽和基を有する重合性化合物(C)、ならびに、
溶剤(D)を含んでなる感光性組成物。
【請求項2】
エポキシ化合物(B)が、下記一般式(1)で表される化合物である請求項1記載の感光性組成物。
一般式(1)
【化1】

[式中、n1は0〜10の整数である。]
【請求項3】
エポキシ化合物(B)が、下記一般式(2)で表される化合物である請求項1記載の感光性組成物。
一般式(2)
【化2】

[式中、R1は水素原子もしくはメチル基であり、n2は1〜20の整数である。]
【請求項4】
アクリル系硬化性樹脂(A)中のカルボキシル基のモル数(a)と、エポキシ化合物(B)中のエポキシ基のモル数(b)とのモル比が、(a)/(b)=0.5〜2である請求項1〜3いずれか記載の感光性組成物。
【請求項5】
アクリル系硬化性樹脂(A)が、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(m1)とカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(m2)とを含むエチレン性不飽和単量体(M)を共重合してカルボキシル基含有重合体(E)を得た後に、
該重合体(E)中のカルボキシル基に対してエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体(F)中のエポキシ基を反応させてなる請求項1〜4いずれか記載の感光性組成物。
【請求項6】
アクリル系硬化性樹脂(A)が、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(m1)とカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(m2)とを含むエチレン性不飽和単量体(M)を共重合してカルボキシル基含有重合体(E)を得、
該重合体(E)中のカルボキシル基に対してエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体(F)中のエポキシ基を反応して水酸基含有重合体(G)を得た後に、
該重合体(G)中の水酸基に対して多塩基酸無水物(H)中の酸無水物基を反応してなる請求項1〜4いずれか記載の感光性組成物。
【請求項7】
アクリル系硬化性樹脂(A)が、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(m1)とエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体(m3)とを含むエチレン性不飽和単量体(N)を共重合してエポキシ基含有重合体(P)を得、
該重合体(P)中のエポキシ基に対してカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(Q)中のカルボキシル基を反応して水酸基含有重合体(K)を得た後に、
該重合体(K)中の水酸基に対して多塩基酸無水物(H)中の酸無水物基を反応してなる請求項1〜4いずれか記載の感光性組成物。
【請求項8】
エチレン性不飽和単量体(M)またはエチレン性不飽和単量体(N)が、下記一般式(3)で表されるエチレン性不飽和単量体(m4)を含む請求項5〜7いずれか記載の感光性組成物。
一般式(3)
【化3】

[式中、R2は、水素原子もしくはメチル基であり、R3は、水素原子、炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、脂環族炭化水素基、または芳香族炭化水素基であり、n3は、1〜10の整数である。]
【請求項9】
アクリル系硬化性樹脂(A)の酸価が、20〜200mgKOH/gである請求項1〜8いずれか記載の感光性組成物。
【請求項10】
アクリル系硬化性樹脂(A)の重量平均分子量が、2000〜25000である請求項1〜9いずれか記載の感光性組成物。
【請求項11】
溶剤(D)が、下記一般式(4)で表される溶剤を含む請求項1〜10いずれか記載の感光性組成物。
一般式(4)
【化4】

[式中、R4は炭素数1〜3のアルキル基であり、R5は水素原子もしくは炭素数1〜3のアルキル基である。]
【請求項12】
光重合開始剤(I)を含有する請求項1〜11いずれか記載の感光性組成物。
【請求項13】
熱重合開始剤(J)を含有する請求項1〜12いずれか記載の感光性組成物。
【請求項14】
請求項1〜13いずれか記載の感光性組成物を含むカラーフィルタ保護膜用コーティング剤。
【請求項15】
請求項14記載のカラーフィルタ保護膜用コーティング剤から形成されるカラーフィルタ保護膜。
【請求項16】
請求項1〜13いずれか記載の感光性組成物を用いて形成されるタッチパネル用層間絶縁膜。
【請求項17】
請求項1〜13いずれか記載の感光性組成物を用いて形成されるタッチパネル用フォトスペーサー。

【公開番号】特開2011−43806(P2011−43806A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−164698(P2010−164698)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】