説明

感放射線性組成物

【課題】 高感度、高解像度、高エッチング耐性、低アウトガス量、及び得られるレジストパターン形状が良好な環状化合物、該化合物を含む感放射性組成物、および該感放射性組成物を用いるレジストパターン形成方法を提供する。
【解決手段】 下記式(1)で示される、特定条件を満たす環状化合物、該化合物を含む感放射性組成物、および該感放射性組成物を用いるレジストパターン形成方法。
【化1】


(1)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸増幅型非高分子系レジスト材料として有用な、特定の化学構造式で示される環状化合物、これを含む感放射線性組成物、および該組成物を用いるレジストパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでの一般的なレジスト材料は、アモルファス薄膜を形成可能な高分子系材料である。例えば、ポリメチルメタクリレート、酸解離性反応基を有するポリヒドロキシスチレンまたはポリアルキルメタクリレート等の高分子レジスト材料の溶液を基板上に塗布することにより作製したレジスト薄膜に紫外線、遠紫外線、電子線、極端紫外線(EUV)、X線などを照射することにより、45〜100nm程度のラインパターンを形成している。
しかしながら、高分子系レジストは分子量が1万〜10万程度と大きく、分子量分布も広いため、高分子系レジストを用いるリソグラフィでは、微細パターン表面にラフネスが生じ、パターン寸法を制御することが困難となり、歩留まりが低下する。従って、従来の高分子系レジスト材料を主成分として用いるリソグラフィでは微細化に限界がある。より微細なパターンを作製するために、主成分として用いることのできる種々の低分子量レジスト材料が開示されている。
例えば、少なくとも1つのフェノール性水酸基に酸解離性官能基を導入した構造を有する低分子量多核ポリフェノール化合物を主成分として用いるポジ型のレジスト組成物(特許文献1参照)、あるいは低分子量多核ポリフェノール化合物を主成分として用いるアルカリ現像型のネガ型レジスト組成物(特許文献2参照)が提案されているが、これらは耐熱性が十分では無く、得られるレジストパターンの形状が悪くなる欠点があった。
低分子量レジスト材料の候補として、少なくとも1つのフェノール性水酸基に酸解離性官能基を導入した構造を有する低分子量環状ポリフェノール化合物を主成分として用いるポジ型のレジスト組成物(特許文献3〜10および非特許文献1、2参照)、あるいは低分子量環状ポリフェノール化合物を主成分として用いるアルカリ現像型のネガ型レジスト組成物(非特許文献3参照)が提案されている。
これらの低分子量環状ポリフェノール化合物は、低分子量であるため、分子サイズが小さく、解像性が高く、ラフネスが小さいレジストパターンを与えることが期待される。また低分子量環状ポリフェノール化合物は、その骨格に剛直な環状構造を有することにより、低分子量ながらも高耐熱性を与える。
しかしながら、現在開示されている低分子量環状ポリフェノール化合物は、エッチング耐性が低い、アウトガス量が多い、半導体製造プロセスに用いられる安全溶媒溶解性が低い、得られるレジストパターン形状が悪い等の問題点があり、低分子量環状ポリフェノール化合物の改良が望まれている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−369761号公報
【特許文献2】特開2005−326838号公報
【特許文献3】特開平11−153863号公報
【特許文献4】特開平11−322656号公報
【特許文献5】特開2002−328473号公報
【特許文献6】特開2003−321423号公報
【特許文献7】特開2005−170902号公報
【特許文献8】特開2006−276459号公報
【特許文献9】特開2006−276742号公報
【特許文献10】特開2007−8875号公報
【非特許文献1】Seung Wook Chang et al.,““Materials for Future Lithography””,Proc. SPIE,Vol.5753,p.1
【非特許文献2】Daniel Bratton et al.,““Molecular Glass Resists for Next Generation Lithography””,Proc. SPIE,Vol.6153,61531D−1
【非特許文献3】T.Nakayama,M.Nomura,K.Haga,M.Ueda:Bull.Chem.Soc.Jpn.,71,2979(1998)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、得られるレジストパターン形状が良好なレジスト化合物、それを含む感放射線性組成物、および該感放射線性組成物を用いるレジストパターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
(1)下記式(1)で示される環状化合物。
【化1】

(1)
【0006】
(式中、Lは、独立して、単結合、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、炭素数3〜20のシクロアルキレン基、炭素数6〜24のアリーレン基、−O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−N(R)−C(=O)−、−N(R)−C(=O)O−、−S−、−SO−、−SO−およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される二価の有機基であり、Rは独立して、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、複素環基、ハロゲン、カルボキシル基、炭素数1〜20のアルキルシラン、これらの誘導体からなる群から選択される官能基、炭素数2〜20の置換メチル基、炭素数3〜20の1−置換エチル基、炭素数4〜20の1−置換−n−プロピル基、炭素数3〜20の1−分岐アルキル基、炭素数1〜20のシリル基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20の1−置換アルコキシアルキル基、炭素数2〜20の環状エーテル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基およびアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択される酸解離性官能基、または水素原子であり、R’は独立して、炭素数2〜20のアルキル基、又は下記式
【0007】
【化2】

【0008】
で表わされる炭素数6〜24のアリール基又はこれらの誘導体であり、Rは、炭素数1〜20のアルキル基(但し、t−ブチル基を除く)、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、複素環基、ハロゲン、カルボキシル基、炭素数1〜20のアルキルシラン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される官能基であり、Rは水素又は炭素数1〜10のアルキル基であり、mは1〜4の整数であり、pは0〜5の整数である。)
(2)上記(1)に記載の環状化合物および溶媒とを含む感放射線性組成物、及び
(3)上記(2)に記載の感放射線性組成物を用いて、基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、得られるレジストパターン形状が良好なレジスト化合物、それを含む感放射線性組成物、および該感放射線性組成物を用いるレジストパターン形成方法、を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
[環状化合物]
本発明は、レジスト材料として有用な環状化合物に関する。
本発明の環状化合物は、下記式(1)で示される環状化合物。
【0011】
【化3】

(1)
【0012】
(式中、Lは、独立して、単結合、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、炭素数3〜20のシクロアルキレン基、炭素数6〜24のアリーレン基、−O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−N(R)−C(=O)−、−N(R)−C(=O)O−、−S−、−SO−、−SO−およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される二価の有機基であり、Rは独立して、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、複素環基、ハロゲン、カルボキシル基、炭素数1〜20のアルキルシラン、これらの誘導体からなる群から選択される官能基、炭素数2〜20の置換メチル基、炭素数3〜20の1−置換エチル基、炭素数4〜20の1−置換−n−プロピル基、炭素数3〜20の1−分岐アルキル基、炭素数1〜20のシリル基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20の1−置換アルコキシアルキル基、炭素数2〜20の環状エーテル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基およびアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択される酸解離性官能基、または水素原子であり、R’は独立して、炭素数2〜20のアルキル基、又は下記式
【0013】
【化4】

【0014】
で表わされる炭素数6〜24のアリール基又はこれらの誘導体であり、Rは、炭素数1〜20のアルキル基(但し、t−ブチル基を除く)、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、複素環基、ハロゲン、カルボキシル基、炭素数1〜20のアルキルシラン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される官能基、又は炭素数2〜20の置換メチル基、炭素数3〜20の1−置換エチル基、炭素数4〜20の1−置換−n−プロピル基、炭素数3〜20の1−分岐アルキル基、炭素数1〜20のシリル基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20の1−置換アルコキシアルキル基、炭素数2〜20の環状エーテル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基およびアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択される酸解離性官能基であり、Rは水素又は炭素数1〜10のアルキル基であり、mは1〜4の整数であり、pは0〜5の整数である。)
【0015】
環状化合物が、該化合物中に、上記酸解離性官能基を1つ以上有する場合、環状化合物はポジ型レジスト組成物の主成分等として有用である、環状化合物(B)となり、該化合物中に、上記酸解離性官能基が無い場合、環状化合物はネガ型レジスト組成物の主成分として有用であり、また環状化合物(B)の原料として有用である環状化合物(A)となる。
【0016】
上記式(1)で表される環状化合物としては、好ましくは以下の化合物があげられる。
【化5】

(2)
【0017】
【化6】

(3)
【0018】
【化7】

(4)
【0019】
【化8】

(5)
(上記式(2)〜(5)において、Xは水素又はハロゲン原子であり、mは1〜2の整数であり、mは1であり、mは0〜3の整数であり、m+m=4であり、R、pは前記と同様である。)
【0020】
上記、環状化合物は耐熱性が高く、アモルファス性を有するため製膜性にも優れ、昇華性を持たず、アルカリ現像性、エッチング耐性等に優れ、レジスト材料、特にレジスト材料の主成分(基材)として好適に用いられる。
また、製造面においても工業的に製造されている芳香族アルデヒドをはじめとする各種アルデヒド類とレゾルシノール、ピロガロール等のフェノール類を原料として、塩酸等の非金属触媒により脱水縮合反応させることにより、高収率で製造できることから、実用性にも極めて優れる。
【0021】
本発明における環状化合物は、シス体およびトランス体を取りうるが、いずれかの構造若しくは混合物でもよい。感放射線性組成物のレジスト成分として用いる場合は、シス体およびトランス体のいずれかの構造のみを有する方が、純物質化合物となり、レジスト膜中成分の均一性が高いので好ましい。シス体およびトランス体のいずれかの構造のみを有する環状化合物を得る方法は、カラムクロマトや分取液体クロマトグラフィによる分離や製造時における反応溶媒及び反応温度等の最適化等、公知の方法で行うことができる。
本発明においては、上記環状化合物のうち、以下のものが好ましい。
下記式(6−1)で示される各化合物からなる群から選ばれる環状化合物、又は下記式(6−2)で示される各化合物からなる群から選ばれる環状化合物。
【0022】
【化9】

【0023】
【化10】

(式(6−1)、(6−2)中、Rは前記と同様である。但し、その少なくともひとつのRは酸解離性官能基である
【0024】
本発明においては、下記式(6−3)で示される環状化合物が、安全溶媒溶解性が高く、感放射線性組成物にした際の保存安全性に優れるため、特に好ましい。
【0025】
【化11】

(式(6−3)中、Rは前記と同様である。但し、その少なくともひとつのRは酸解離性官能基である。)
【0026】
前記酸解離性官能基は、KrFやArF用の化学増幅型レジスト組成物に用いられるヒドロキシスチレン系樹脂、(メタ)アクリル酸系樹脂等において提案されているもののなかから適宜選択して用いることができる。例えば、置換メチル基、1−置換エチル基、1−置換−n−プロピル基、1−分岐アルキル基、シリル基、アシル基、1−置換アルコキシメチル基、環状エーテル基、およびアルコキシカルボニル基などが好ましく挙げられる。前記酸解離性官能基は、架橋性官能基を有さないことが好ましい。
【0027】
(6−1)及び(6−2)で示される各化合物からなる群から選ばれる環状化合物の分子量は800〜5000であることが好ましく、より好ましくは800〜2000、更に好ましくは1000〜2000である。上記範囲であるとレジストに必要な成膜性を保持しつつ、解像性が向上する。
【0028】
置換メチル基としては、通常、炭素数2〜20の置換メチル基であり、炭素数4〜18の置換メチル基が好ましく、炭素数6〜16の置換メチル基がさらに好ましい。例えば、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、イソプロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、t−ブトキシメチル基、2−メチルプロポキシメチル基、エチルチオメチル基、メトキシエトキシメチル基、フェニルオキシメチル基、1−シクロペンチルオキシメチル基、1−シクロヘキシルオキシメチル基、ベンジルチオメチル基、フェナシル基、4−ブロモフェナシル基、4−メトキシフェナシル基、ピペロニル基、および下記式(7)で示される置換基等を挙げることができる。
【0029】
【化12】

(7)
(式中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基である。炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、t−ブチル基、n−ブチル基等が挙げられる。)
【0030】
1−置換エチル基としては、通常、炭素数3〜20の1−置換エチル基であり、炭素数5〜18の1−置換エチル基が好ましく、炭素数7〜16の置換エチル基がさらに好ましい。例えば、1−メトキシエチル基、1−メチルチオエチル基、1,1−ジメトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−エチルチオエチル基、1,1−ジエトキシエチル基、n−プロポキシエチル基、イソプロポキシエチル基、n−ブトキシエチル基、t−ブトキシエチル基、2−メチルプロポキシエチル基、1−フェノキシエチル基、1−フェニルチオエチル基、1,1−ジフェノキシエチル基、1−シクロペンチルオキシエチル基、1−シクロヘキシルオキシエチル基、1−フェニルエチル基、1,1−ジフェニルエチル基、および下記式(8)で示される置換基等を挙げることができる。
【0031】
【化13】

(8)
(式中、Rは、前記と同様である。)
【0032】
1−置換−n−プロピル基としては、通常、炭素数4〜20の1−置換−n−プロピル基であり、炭素数6〜18の1−置換−n−プロピル基が好ましく、炭素数8〜16の1−置換−n−プロピル基がさらに好ましい。例えば、1−メトキシ−n−プロピル基および1−エトキシ−n−プロピル基等を挙げることができる。
1−分岐アルキル基としては、通常、炭素数3〜20の1−分岐アルキル基であり、炭素数5〜18の1−分岐アルキル基が好ましく、炭素数7〜16の分岐アルキル基がさらに好ましい。例えば、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−メチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、2−メチルアダマンチル基、および2−エチルアダマンチル基等を挙げることができる。
【0033】
シリル基としては、通常、炭素数1〜20のシリル基であり、炭素数3〜18のシリル基が好ましく、炭素数5〜16のシリル基がさらに好ましい。例えば、トリメチルシリル基、エチルジメチルシリル基、メチルジエチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジエチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基およびトリフェニルシリル基等を挙げることができる。
アシル基としては、通常、炭素数2〜20のアシル基であり、炭素数4〜18のアシル基が好ましく、炭素数6〜16のアシル基がさらに好ましい。例えば、アセチル基、フェノキシアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、バレリル基、ピバロイル基、イソバレリル基、ラウリロイル基、アダマンチルカルボニル基、ベンゾイル基およびナフトイル基等を挙げることができる。
【0034】
1−置換アルコキシメチル基としては、通常、炭素数2〜20の1−置換アルコキシメチル基であり、炭素数4〜18の1−置換アルコキシメチル基が好ましく、炭素数6〜16の1−置換アルコキシメチル基がさらに好ましい。例えば、1−シクロペンチルメトキシメチル基、1−シクロペンチルエトキシメチル基、1−シクロヘキシルメトキシメチル基、1−シクロヘキシルエトキシメチル基、1−シクロオクチルメトキシメチル基および1−アダマンチルメトキシメチル基等を挙げることができる。
環状エーテル基としては、通常、炭素数2〜20の環状エーテル基であり、炭素数4〜18の環状エーテル基が好ましく、炭素数6〜16の環状エーテル基がさらに好ましい。例えば、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、4−メトキシテトラヒドロピラニル基および4−メトキシテトラヒドロチオピラニル基等を挙げることができる。
【0035】
アルコキシカルボニル基としては、通常、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基であり、炭素数4〜18のアルコキシカルボニル基が好ましく、炭素数6〜16のアルコキシカルボニル基がさらに好ましい。例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基または下記式(9)のn=0で示される酸解離性官能基等を挙げることができる。
【0036】
アルコキシカルボニルアルキル基としては、通常、炭素数2〜20のアルコキシカルボニルアルキル基であり、炭素数4〜18のアルコキシカルボニルアルキル基が好ましく、炭素数6〜16のアルコキシカルボニルアルキル基がさらに好ましい。例えば、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、n−プロポキシカルボニルメチル基、イソプロポキシカルボニルメチル基、n−ブトキシカルボニルメチル基または下記式(9)のn=1〜4で示される酸解離性官能基等を挙げることができる。
【0037】
【化14】

(9)
(式中、Rは水素又は炭素数1〜4の直鎖あるいは分岐アルキル基であり、nは0〜4の整数である。)
【0038】
これらの酸解離性官能基のうち、置換メチル基、1−置換エチル基、1−置換アルコキシメチル基、環状エーテル基、アルコキシカルボニル基、およびアルコキシカルボニルアルキル基が好ましく、置換メチル基、1−置換エチル基、アルコキシカルボニル基およびアルコキシカルボニルアルキル基が高感度であるためより好ましく、さらに炭素数3〜12のシクロアルカン、ラクトンおよび6〜12の芳香族環から選ばれる構造を有する酸解離性官能基がより好ましい。炭素数3〜12のシクロアルカンとしては、単環でも多環でも良いが、多環であることがより好ましい。具体例には、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等が挙げられ、より具体的には、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロデカン等のポリシクロアルカンが挙げられる。これらの中でも、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロデカンが好ましく、特にアダマンタン、トリシクロデカンが好ましい。炭素数3〜12のシクロアルカンは置換基を有しても良い。ラクトンとしては、ブチロラクトンまたはラクトン基を有する炭素数3〜12のシクロアルカン基が挙げられる。6〜12の芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環等が挙げられ、ベンゼン環、ナフタレン環が好ましく、特にナフタレン環が好ましい。
特に下記式(10)で示される各基からなる群から選ばれる酸解離性官能基が、解像性が高く好ましい。
【0039】
【化15】

【0040】
(式中、Rは、水素または炭素数1〜4の直鎖または分岐アルキル基であり、Rは、水素、炭素数1〜4の直鎖または分岐アルキル基、シアノ基、ニトロ基、複素環基、ハロゲン、カルボキシル基であり、nは0〜4の整数、nは1〜5の整数、nは0〜4の整数である。)
また酸解離性官能基Rは、本発明の効果が損なわれない限りで、下記式(11)で示される繰り返し単位と、下記式(12)またはR(Rは上記と同様)で示される末端基からなる置換基であっても良い。
【0041】
【化16】

(11)
【0042】
【化17】

(12)
【0043】
式(11)及び/又は(12)において、Rは前記と同様ある。Lは前記と同様であり、好ましくは単結合、メチレン基、エチレン基またはカルボニル基である。複数個のQは、同一でも異なっていても良い。nは0〜4の整数、nは1〜3の整数、xは0〜3の整数であり、1≦n+n≦5を満たす。複数個のn、n、xは、同一でも異なっていても良い。Rは、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルケニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキロイルオキシ基、アリーロイルオキシ基、シアノ基、およびニトロ基からなる群から選ばれる置換基である。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられ;アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素原子数1〜4のアルキル基が挙げられ;シクロアルキル基としてはシクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられ;アリール基としてはフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフキル基等が挙げられ;アラルキル基としてはベンジル基、ヒドロキシベンジル基、ジヒドロキシベンジル基等が挙げられ;アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の炭素原子数1〜4のアルコキシ基が挙げられ;アリールオキシ基としてはフェノキシ基等が挙げられ;アルケニル基としてはビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基等の炭素原子数2〜4のアルケニル基が挙げられ;アシル基としてはホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基等の炭素原子数1〜6の脂肪族アシル基、およびベンゾイル基、トルオイル基等の芳香族アシル基が挙げられ;アルコキシカルボニル基としてはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等の炭素原子数2〜5のアルコキシカルボニル基が挙げられ;アルキロイルオキシ基としてはアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基バレリルオキシ基、イソバレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基等が挙げられ;アリーロイルオキシ基としてはベンゾイルオキシ基等が挙げられる。複数個のRは、同一でも異なっていても良い。
【0044】
環状化合物(A)の少なくとも1つのフェノール性水酸基に酸解離性官能基を導入する方法は公知である。例えば以下のようにして、環状化合物(A)の少なくとも1つのフェノール性水酸基に酸解離性官能基を導入することができる。酸解離性官能基を導入するための化合物は、公知の方法で合成もしくは容易に入手でき、例えば、酸クロライド、酸無水物、ジカーボネートなどの活性カルボン酸誘導体化合物、アルキルハライド、ビニルアルキルエーテル、ジヒドロピラン、ハロカルボン酸アルキルエステルなどが挙げられるが特に限定はされない。
【0045】
例えば、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の非プロトン性溶媒に環状化合物(A)を溶解または懸濁させる。続いて、エチルビニルエーテル等のビニルアルキルエーテルまたはジヒドロピランを加え、ピリジニウムp−トルエンスルホナート等の酸触媒の存在下、常圧で、20〜60℃、6〜72時間反応させる。反応液をアルカリ化合物で中和し、蒸留水に加え白色固体を析出させた後、分離した白色固体を蒸留水で洗浄し、乾燥することにより環状化合物(d)を得ることができる。
【0046】
また、アセトン、THF、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の非プロトン性溶媒に環状化合物(A)を溶解または懸濁させる。続いて、エチルクロロメチルエーテル等のアルキルハライドまたはブロモ酢酸メチルアダマンチル等のハロカルボン酸アルキルエステルを加え、炭酸カリウム等のアルカリ触媒の存在下、常圧で、20〜110℃、6〜72時間反応させる。反応液を塩酸等の酸で中和し、蒸留水に加え白色固体を析出させた後、分離した白色固体を蒸留水で洗浄し、乾燥することにより環状化合物(d)を得ることができる。
【0047】
本発明において、酸解離性官能基とは、酸の存在下で開裂して、アルカリ可溶性基を生じる特性基をいう。アルカリ可溶性基としては、フェノール性水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、ヘキサフルオロイソプロパノール基などが挙げられ、フェノール性水酸基およびカルボキシル基が好ましく、フェノール性水酸基が特に好ましい。前記酸解離性官能基は、更に高感度・高解像度なパターン形成を可能にするために、酸の存在下で連鎖的に開裂反応を起こす性質を有することが好ましい。
環状化合物(A)は、芳香族カルボニル化合物(A1)からなる群より選ばれる1種以上,およびフェノール性化合物(A2)からなる群より選ばれる1種以上との縮合反応により得られる。
【0048】
芳香族カルボニル化合物(A1)は、ベンズアルデヒドの芳香環以外に、少なくとも1つの脂環または芳香環を含む置換基を有する炭素数10〜24のベンズアルデヒドであり、例えば、シクロプロピルベンズアルデヒド、シクロブタンベンズアルデヒド、シクロペンタンベンズアルデヒド、シクロヘキサンベンズアルデヒド、フェニルベンズアルデヒド、ナフチルベンズアルデヒド、アダマンチルベンズアルデヒド、ノルボルニルベンズアルデヒド、ラクチルベンズアルデヒド等が挙げられ、シクロヘキシルベンズアルデヒド、フェニルベンズアルデヒドが好ましく、シクロヘキシルベンズアルデヒドがより好ましい。芳香族カルボニル化合物(A1)は本発明の効果を損ねない範囲で炭素数1〜4の直鎖または分岐アルキル基、シアノ基、水酸基、ハロゲン等を有していても良い。芳香族カルボニル化合物(A1)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
【0049】
フェノール性化合物(A2)の例としては、フェノール、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール等が挙げられ、レゾルシノール、ピロガロールが好ましく、レゾルシノール、ピロガロールがより好ましく、レゾルシノールが更に好ましい。フェノール性化合物(A2)は本発明の効果を損ねない範囲で炭素数1〜4の直鎖または分岐アルキル基、シアノ基、水酸基、ハロゲン等を有していても良い。フェノール性化合物(A2)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
【0050】
環状化合物(A)は、公知の方法によって製造できる。例えば、メタノール、エタノール等の有機溶媒中、芳香族カルボニル化合物(A1)1モルに対し、フェノール性化合物(A2)を0.1〜10モル量、酸触媒(塩酸、硫酸またはパラトルエンスルホン酸等)を使用し、60〜150℃で0.5〜20時間程度反応させ、濾過後、メタノール等のアルコール類で洗浄後、水洗し、濾過を行い分離し、乾燥させることにより得られる。酸触媒の代わりに、塩基性触媒(水酸化ナトリウム、水酸化バリウムまたは1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等)を使用し、同様に反応することによっても得られる。さらに環状化合物(A)は、上記芳香族カルボニル化合物(A1)をハロゲン化水素若しくはハロゲンガスでジハロゲン化物とし、単離したジハロゲン化物とフェノール性化合物(A2)とを反応させて製造することも出来る。
【0051】
環状化合物(A)の残存金属量を低減するために、必要に応じて精製してもよい。また酸触媒および助触媒が残存すると、一般に、感放射線性組成物の保存安定性が低下する、または塩基性触媒が残存すると、一般に、感放射線性組成物の感度が低下するので、その低減を目的とした精製を行ってもよい。精製は、環状化合物(A)が変性しない限り公知の方法により行うことができ、特に限定されないが、例えば、水で洗浄する方法、酸性水溶液で洗浄する方法、塩基性水溶液で洗浄する方法、イオン交換樹脂で処理する方法、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで処理する方法などが挙げられる。これら精製方法は2種以上を組み合わせて行うことがより好ましい。酸性水溶液、塩基性水溶液、イオン交換樹脂およびシリカゲルカラムクロマトグラフィーは、除去すべき金属、酸性化合物および/または塩基性化合物の量や種類、精製する環状化合物(A)の種類などに応じて、最適なものを適宜選択することが可能である。例えば、酸性水溶液として、濃度が0.01〜10mol/Lの塩酸、硝酸、酢酸水溶液、塩基性水溶液として、濃度が0.01〜10mol/Lのアンモニア水溶液、イオン交換樹脂として、カチオン交換樹脂、例えばオルガノ製Amberlyst 15J−HG Dryなどが挙げられる。精製後に乾燥を行っても良い。乾燥は公知の方法により行うことができ、特に限定されないが、環状化合物(A)が変性しない条件で真空乾燥、熱風乾燥する方法などが挙げられる。
【0052】
環状化合物(A)は、常圧下、100℃以下、好ましくは120℃以下、より好ましくは130℃以下、さらに好ましくは140℃以下、特に好ましくは150℃以下において、昇華性が低いことが好ましい。昇華性が低いとは、熱重量分析において、所定温度で10分保持した際の重量減少が10%、好ましくは5%、より好ましくは3%、さらに好ましくは1%、特に好ましくは0.1%以下であることが好ましい。昇華性が低いことにより、露光時のアウトガスによる露光装置の汚染を防止することができる。また低LERで良好なパターン形状を与えることができる。
【0053】
環状化合物(A)は、好ましくはF<3.0(Fは、全原子数/(全炭素原子数−全酸素原子数)を表す)、より好ましくはF<2.5を満たす。上記条件を満たしていることにより、耐ドライエッチング性が優れる。
環状化合物(A)は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、2−ヘプタノン、アニソール、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、および乳酸エチルから選ばれ、かつ、環状化合物(d)に対して最も高い溶解能を示す溶媒に、23℃で、好ましくは1重量%以上、より好ましくは3重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上、特に好ましくは10重量%以上溶解する。上記条件を満たしていることにより、半導体製造工程で安全溶媒の使用が可能となる。
【0054】
環状化合物(B)は、スピンコートによりアモルファス膜を形成することができる。また一般的な半導体製造プロセスに適用することができる。
環状化合物(B)のアモルファス膜の23℃における2.38質量%TMAH水溶液に対する溶解速度は、5Å/sec以下が好ましく、0.05〜5Å/secがより好ましく、0.0005〜5Å/secがさらに好ましい。5Å/sec以下であるとアルカリ現像液に不溶で、レジストとすることができる。また0.0005Å/sec以上の溶解速度を有すると、解像性が向上する場合もある。これは、前記環状化合物(B)のミクロの表面部位が溶解し、LERを低減するからと推測される。またディフェクトの低減効果がある。
【0055】
環状化合物(B)の酸解離性官能基が解離して生じる環状化合物(A)も、スピンコートによりアモルファス膜を形成する性質を有することが好ましい。環状化合物(A)のアモルファス膜の23℃における2.38質量%TMAH水溶液に対する溶解速度は、10Å/sec以上が好ましく、10〜10000Å/secがより好ましく、100〜1000Å/secがさらに好ましい。10Å/sec以上であると、アルカリ現像液に溶解し、レジストとすることができる。また10000Å/sec以下の溶解速度を有すると、解像性が向上する場合もある。これは、環状化合物(B)の酸解離性官能基が解離したことによる溶解性の変化により、アルカリ現像液に溶解する露光部と、アルカリ現像液に溶解しない未露光部との界面のコントラストが大きくなるからと推測される。またLERの低減、ディフェクトの低減効果がある。
感放射線性組成物の固形成分は、スピンコートによりアモルファス膜を形成することができる。感放射線性組成物の固形成分をスピンコートして形成したアモルファス膜の23℃における2.38質量%TMAH水溶液に対する溶解速度は、5Å/sec以下が好ましい。前記アモルファス膜にKrFエキシマレーザー、極端紫外線、電子線またはX線等の放射線により所望のパターンに露光し、必要に応じて20〜250℃で加熱した後のアモルファス膜の23℃における2.38質量%TMAH水溶液に対する溶解速度は、10Å/sec以上であることが好ましい。上記条件を満たすことにより、歩留まり良く、優れた形状のパターン形状を与えることができる。
環状化合物(B)のガラス転移温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは140℃以上、特に好ましくは150℃以上である。ガラス転移温度が上記範囲内であることにより、半導体リソグラフィープロセスにおいて、パターン形状を維持しうる耐熱性を有し、高解像度などの性能が付与しうる。
【0056】
環状化合物(B)のガラス転移温度の示差走査熱量分析により求めた結晶化発熱量は20J/g未満であるのが好ましい。また、(結晶化温度)−(ガラス転移温度)は好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは100℃以上、特に好ましくは130℃以上である。結晶化発熱量が20J/g未満、または(結晶化温度)−(ガラス転移温度)が上記範囲内であると、感放射線性組成物をスピンコートすることにより、アモルファス膜を形成しやすく、かつレジストに必要な成膜性が長期に渡り保持でき、解像性を向上することができる。
【0057】
本発明において、前記結晶化発熱量、結晶化温度およびガラス転移温度は、島津製作所製DSC/TA−50WSを用いて次のように測定および示差走査熱量分析により求めることができる。試料約10mgをアルミニウム製非密封容器に入れ、窒素ガス気流中(50ml/min)昇温速度20℃/minで融点以上まで昇温する。急冷後、再び窒素ガス気流中(30ml/min)昇温速度20℃/minで融点以上まで昇温する。さらに急冷後、再び窒素ガス気流中(30ml/min)昇温速度20℃/minで400℃まで昇温する。ベースラインに不連続部分が現れる領域の中点(比熱が半分に変化したところ)の温度をガラス転移温度(Tg)、その後に現れる発熱ピークの温度を結晶化温度とする。発熱ピークとベースラインに囲まれた領域の面積から発熱量を求め、結晶化発熱量とする。
【0058】
[感放射線性組成物]
本発明は、環状化合物と溶媒とを含む感放射線性組成物に関する。
また、環状化合物が、炭素数が2〜59であり1〜4個のホルミル基を有する化合物(アルデヒド性化合物(A1))と、炭素数6〜15であり1〜3個のフェノール性水酸基を有する化合物(フェノール性化合物(A2))との縮合反応により合成した、分子量が700〜5000の環状化合物(A)である上記感放射線性組成物に関する。
【0059】
(感放射線性組成物A)
本発明は、上記感放射線性組成物のうち、環状化合物が、前記環状化合物の、少なくとも1つのフェノール性水酸基に酸解離性官能基を導入した構造を有する、分子量が800〜5000を満たす環状化合物(B)である、上記感放射線性組成物であることが好ましい。
すなわち、本発明は、固形成分1〜80重量%および溶媒20〜99重量%を含む感放射線性組成物であって、(a)水酸基とt−ブチル基のいずれをも有さない炭素数7〜24のベンズアルデヒドと、炭素数6〜15であり1〜3個のフェノール性水酸基を有する化合物との縮合反応により合成した環状化合物(A)の、少なくとも1つのフェノール性水酸基に酸解離性官能基を導入した構造を有し、(b)分子量が800〜5000、を満たす環状化合物(B)を含み、環状化合物(B)が固形成分全重量の50〜99.999重量%である感放射線性組成物であることが好ましい。
【0060】
また、本発明は、固形成分1〜80重量%および溶媒20〜99重量%を含む感放射線性組成物であって、固形成分として(a)脂環または芳香環を含む置換基を有する炭素数10〜24のベンズアルデヒドと、炭素数6〜15であり1〜3個のフェノール性水酸基を有する化合物との縮合反応により合成した環状化合物(A)の、少なくとも1つのフェノール性水酸基に酸解離性官能基を導入した構造を有し、(b)分子量が800〜5000を満たす環状化合物(B)を含み、環状化合物(B)が固形成分全重量の50重量%以上である感放射線性組成物であることが好ましい。
本発明の感放射線性組成物において、環状化合物(B)の含有量は、固形成分全重量の50重量%以上である。
【0061】
環状化合物(B)は、脂環または芳香環を含む置換基を有する炭素数10〜24のベンズアルデヒド、又は水酸基とt−ブチル基のいずれをも有さない炭素数7〜24のベンズアルデヒド(以下、各々を芳香族カルボニル化合物(A1)という)と、炭素数6〜15であり1〜3個のフェノール性水酸基を有する化合物(以下、フェノール性化合物(A2)という)との縮合反応により合成した環状化合物(A)の、少なくとも1つのフェノール性水酸基に酸解離性官能基を導入した構造を有し、分子量が800〜5000である。
【0062】
環状化合物(A)は、芳香族カルボニル化合物(A1)からなる群より選ばれる1種以上,およびフェノール性化合物(A2)からなる群より選ばれる1種以上との縮合反応により得られる。
【0063】
芳香族カルボニル化合物(A1)は、水酸基とt−ブチル基のいずれをも有さない炭素数7〜24のベンズアルデヒド、又は脂環または芳香環を含む置換基を有する炭素数10〜24のベンズアルデヒドであり、例えば、ベンズアルデヒド、メチルベンズアルデヒド、ジメチルベンズアルデヒド、エチルベンズアルデヒド、プロピルベンズアルデヒド、t−ブチルベンズアルデヒド以外のブチルベンズアルデヒド、エチルメチルベンズアルデヒド、イソプロピルメチルベンズアルデヒド、ジエチルベンズアルデヒド、トリメチルベンズアルデヒド、シンナミルアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、アニスアルデヒド、ナフトアルデヒド、アントラアルデヒド、シクロプロピルベンズアルデヒド、シクロブタンベンズアルデヒド、シクロペンタンベンズアルデヒド、シクロヘキサンベンズアルデヒド、フェニルベンズアルデヒド、ナフチルベンズアルデヒド、アダマンチルベンズアルデヒド、ノルボルニルベンズアルデヒド、ラクチルベンズアルデヒド、イソプロピルベンズアルデヒド、ノルマルプロピルベンズアルデヒド、ブロモベンズアルデヒドおよびジメチルアミノベンズアルデヒド等が挙げられ、イソプロピルベンズアルデヒド、ノルマルプロピルベンズアルデヒド、フルオロベンズアルデヒド、クロロベンズアルデヒド、ブロモベンズアルデヒド、ヨードベンズアルデヒド、ジメチルアミノベンズアルデヒド、シクロヘキシルベンズアルデヒドおよびフェニルベンズアルデヒドが好ましく、シクロヘキシルベンズアルデヒド、4−イソプロピルベンズアルデヒドおよび4−ノルマルプロピルベンズアルデヒドがより好ましい。
芳香族カルボニル化合物(A1)は本発明の効果を損ねない範囲でさらに炭素数1〜4の直鎖または分岐アルキル基、シアノ基、ハロゲン等を有していても良い。芳香族カルボニル化合物(A1)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
【0064】
フェノール性化合物(A2)の例としては、フェノール、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール等が挙げられ、レゾルシノール、ピロガロールが好ましく、レゾルシノールがより好ましい。フェノール性化合物(A2)は本発明の効果を損ねない範囲でさらに炭素数1〜4の直鎖または分岐アルキル基、シアノ基、水酸基、ハロゲン等を有していても良い。フェノール性化合物(A2)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
環状化合物(A)については、前述の式(4)及び(5)について述べた通りである。
2種以上の芳香族カルボニル化合物(A1)および/または2種以上のフェノール性化合物(A2)を用いることがより好ましい。2種以上の芳香族カルボニル化合物(A1)および/または2種以上のフェノール性化合物(A2)を用いることにより、得られる環状化合物(A)の半導体安全溶媒に対する溶解性が向上する。
環状化合物(A)は、スピンコートによりアモルファス膜を形成することができる。また一般的な半導体製造プロセスに適用することができる。
【0065】
環状化合物(A)のアモルファス膜の23℃における2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に対する溶解速度は、10Å/sec以上が好ましく、10〜10000Å/secがより好ましく、100〜1000Å/secがさらに好ましい。10Å/sec以上であると、アルカリ現像液に溶解し、レジストとすることができる。また10000Å/sec以下の溶解速度を有すると、解像性が向上する場合もある。またLERの低減、ディフェクトの低減効果がある。
【0066】
前記酸解離性官能基は、KrFやArF用の化学増幅型レジスト組成物に用いられるヒドロキシスチレン系樹脂、(メタ)アクリル酸系樹脂等において提案されているもののなかから適宜選択して用いることができる。例えば、置換メチル基、1−置換エチル基、1−置換−n−プロピル基、1−分岐アルキル基、シリル基、アシル基、1−置換アルコキシメチル基、環状エーテル基、およびアルコキシカルボニル基などが挙げられる。前記酸解離性官能基は、架橋性官能基を有さないことが好ましい。
環状化合物(B)の分子量は800〜5000であり、好ましくは800〜2000、より好ましくは1000〜2000である。上記範囲であるとレジストに必要な成膜性を保持しつつ、解像性が向上する。
本発明における環状化合物は、シス体およびトランス体を取りうるが、いずれかの構造若しくは混合物でもよい。感放射線性組成物のレジスト成分として用いる場合は、シス体およびトランス体のいずれかの構造のみを有する方が、純物質化合物となり、レジスト膜中成分の均一性が高いので好ましい。シス体およびトランス体のいずれかの構造のみを有する環状化合物を得る方法は、カラムクロマトや分取液体クロマトグラフィによる分離や製造時における反応溶媒及び反応温度等の最適化等、公知の方法で行うことができる。
本発明の一態様において、環状化合物(B)は下記式(18)で示される化合物であることが好ましい。
【0067】
【化18】

(1)
【0068】
(式中、Lは、独立して、単結合、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、炭素数3〜20のシクロアルキレン基、炭素数6〜24のアリーレン基、−O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−N(R)−C(=O)−、−N(R)−C(=O)O−、−S−、−SO−、−SO−およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される二価の有機基であり、Rは独立して、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、複素環基、ハロゲン、カルボキシル基、炭素数1〜20のアルキルシラン、これらの誘導体からなる群から選択される官能基、炭素数2〜20の置換メチル基、炭素数3〜20の1−置換エチル基、炭素数4〜20の1−置換−n−プロピル基、炭素数3〜20の1−分岐アルキル基、炭素数1〜20のシリル基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20の1−置換アルコキシアルキル基、炭素数2〜20の環状エーテル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基およびアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択される酸解離性官能基、または水素原子であり、R’は独立して、炭素数2〜20のアルキル基、又は下記式
【0069】
【化19】

【0070】
で表わされる炭素数6〜24のアリール基又はこれらの誘導体であり、Rは、炭素数1〜20のアルキル基(但し、t−ブチル基を除く)、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、複素環基、ハロゲン、カルボキシル基、炭素数1〜20のアルキルシラン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される官能基であり、Rは水素又は炭素数1〜10のアルキル基であり、mは1〜4の整数であり、pは0〜5の整数である。)
【0071】
本発明の一態様において、環状化合物(B)は下記式(13)で示される化合物であることが好ましい。
【0072】
【化20】

(13)
(式中、Rは、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基(但し、t−ブチル基を除く)、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、複素環基、ハロゲン、カルボキシル基、炭素数1〜20のアルキルシラン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される官能基であり、L、R、R、pは前記式(1)と同様であり、少なくともひとつのRは酸解離性官能基である。)
【0073】
上記、環状化合物(B)は、下記式(14)が好ましく、式(2)で示される化合物であることがより好ましく、式(3)で示される化合物であることが更に好ましく、式(15)で示される化合物が特に好ましい。
【化21】

(14)
(式中、L、R、R、pは前記と同様である。)
【0074】
【化22】

(2)
(式中、R、R、X、p、m、mは前記と同様である。)
【0075】
【化23】

(3)
(式中、R、R、p、m、mは前記と同様である。)
【0076】
【化24】

(15)
(式中、R、R、pは前記と同様である。)
上記、環状化合物(B)は、下記式(6−1)又は式(6−2)で示される化合物から選ばれる化合物であることがさらに好ましい。
【0077】
【化25】

【0078】
【化26】

(式中、Rは前記式(13)と同様である。)
【0079】
上記、環状化合物(B)は、下記式(6−3)で示される化合物であることが、安全溶媒溶解性が高く、感放射線性組成物にした際の保存安全性に優れるため、特に好ましい。
【0080】
【化27】

(式中、Rは前記式(13)と同様である。)
【0081】
式(6−1)、式(6−2)及び式(6−3)中、Rは独立して、炭素数2〜20の置換メチル基、炭素数3〜20の1−置換エチル基、炭素数4〜20の1−置換−n−プロピル基、炭素数3〜20の1−分岐アルキル基、炭素数1〜20のシリル基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20の1−置換アルコキシアルキル基、炭素数2〜20の環状エーテル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基およびアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択される酸解離性官能基または水素原子であり、Rの少なくとも一つは酸解離性官能基であることが好ましい。
【0082】
置換メチル基、炭素数3〜20の1−置換エチル基、炭素数4〜20の1−置換−n−プロピル基、炭素数3〜20の1−分岐アルキル基、炭素数1〜20のシリル基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20の1−置換アルコキシアルキル基、炭素数2〜20の環状エーテル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基およびアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択される酸解離性官能基については、前述の通りである。
【0083】
これらの酸解離性官能基のうち、置換メチル基、1−置換エチル基、1−置換アルコキシメチル基、環状エーテル基、アルコキシカルボニル基、およびアルコキシカルボニルアルキル基が好ましく、置換メチル基、1−置換エチル基、アルコキシカルボニル基およびアルコキシカルボニルアルキル基が高感度であるためより好ましく、さらに炭素数3〜12のシクロアルカン、ラクトンおよび6〜12の芳香族環から選ばれる構造を有する酸解離性官能基がより好ましい。炭素数3〜12のシクロアルカンとしては、単環でも多環でも良いが、多環であることがより好ましい。具体例には、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等が挙げられ、より具体的には、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロデカン等のポリシクロアルカンが挙げられる。これらの中でも、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロデカンが好ましく、特にアダマンタン、トリシクロデカンが好ましい。炭素数3〜12のシクロアルカンは置換基を有しても良い。ラクトンとしては、ブチロラクトンまたはラクトン基を有する炭素数3〜12のシクロアルカン基が挙げられる。6〜12の芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環等が挙げられ、ベンゼン環、ナフタレン環が好ましく、特にナフタレン環が好ましい。
特に下記式(10)で示される酸解離性官能基が、解像性が高く好ましい。
【0084】
【化28】

(式中、Rは、水素または炭素数1〜4の直鎖または分岐アルキル基であり、Rは、水素、炭素数1〜4の直鎖または分岐アルキル基、シアノ基、ニトロ基、複素環基、ハロゲン、カルボキシル基であり、nは0〜4の整数、nは1〜5の整数、nは0〜4の整数である。)
【0085】
前記環状化合物(B)の全構成原子数に対するハロゲン原子数の割合は0.1〜60%であることが好ましく、0.1〜40%であることがより好ましく、0.1〜20%であることがさらに好ましく、0.1〜10%であることが特に好ましく、1〜5%であることが最も好ましい。上記範囲内であると、放射線に対する感度を上げつつ、成膜性を維持することができる。また安全溶媒溶解性を向上しうる。
前記環状化合物(B)の全構成原子数に対する窒素原子数の割合は0.1〜40%であることが好ましく、0.1〜20%であることがより好ましく、0.1〜10%であることがさらに好ましく、0.1〜5%であることが特に好ましい。上記範囲内であると、得られるレジストパターンのラインエッジラフネスを減らしつつ、成膜性を維持することができる。また窒素原子としては、二級アミンまたは三級アミンに含まれる窒素原子であることが好ましく、三級アミンに含まれる窒素原子であることがより好ましい。
【0086】
本発明において、酸解離性官能基とは、酸の存在下で開裂して、アルカリ可溶性基を生じる特性基をいう。アルカリ可溶性基としては、フェノール性水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、ヘキサフルオロイソプロパノール基などが挙げられ、フェノール性水酸基およびカルボキシル基が好ましく、フェノール性水酸基が特に好ましい。前記酸解離性官能基は、更に高感度・高解像度なパターン形成を可能にするために、酸の存在下で連鎖的に開裂反応を起こす性質を有することが好ましい。
式(20)又は式(21)の環状化合物(B)は低分子量化合物でありながら、成膜性、耐熱性、ドライエッチング耐性、低アウトガス性を有するので感放射線組成物のレジスト成分として好ましい。式(20)〜式(21)の環状化合物(B)を含む感放射線組成物は、解像度、感度、低ラインエッジラフネスに優れている。
【0087】
本発の環状化合物(B)は、それ自身を主成分としてポジ型感放射線組成物とできる他、主成分ではなく、例えば感度向上や耐エッチング耐性を向上するための添加剤として感放射線性組成物に加えることができる。この場合、環状化合物(B)が固形成分全重量の1〜49.999重量%で用いられる。
環状化合物(B)は、スピンコートによりアモルファス膜を形成することができる。また一般的な半導体製造プロセスに適用することができる。
【0088】
本発明の効果を損ねない範囲で、環状化合物(B)の少なくとも1つのフェノール性水酸基に非酸解離性官能基を導入しても良い。非酸解離性官能基とは、酸の存在下で開裂せず、アルカリ可溶性基を生じない特性基をいう。例えば、酸の作用により分解することの無い、C1〜20のアルキル基、C3〜20のシクロアルキル基、C6〜20のアリール基、C1〜20のアルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、複素環基、ハロゲン、カルボキシル基、C1〜20のアルキルシラン、これらの誘導体からなる群から選択される官能基等が挙げられる。
【0089】
本発明の環状化合物(B)の少なくとも1つのフェノール性水酸基にナフトキノンジアジドエステル基を導入しても良い。環状化合物(B)の少なくとも1つのフェノール性水酸基にナフトキノンジアジドエステル基を導入した化合物は、それ自身を主成分としてポジ型感放射線組成物とできる他、酸発生剤や添加剤として感放射線性組成物に加えることができる。
環状化合物(B)の少なくとも1つのフェノール性水酸基に、放射線の照射により酸を発生する酸発生性官能基を導入しても良い。環状化合物(B)の少なくとも1つのフェノール性水酸基に、放射線の照射により酸を発生する酸発生性官能基を導入した環状ポリフェノール化合物は、それ自身を主成分としてポジ型感放射線組成物とできる他、酸発生剤や添加剤として感放射線性組成物に加えることができる。
【0090】
環状化合物(B)のアモルファス膜の23℃における2.38質量%TMAH水溶液に対する溶解速度は、5Å/sec以下が好ましく、0.05〜5Å/secがより好ましく、0.0005〜5Å/secがさらに好ましい。5Å/sec以下であるとアルカリ現像液に不溶で、レジストとすることができる。また0.0005Å/sec以上の溶解速度を有すると、解像性が向上する場合もある。これは、前記環状化合物(B)のミクロの表面部位が溶解し、LERを低減するからと推測される。またディフェクトの低減効果がある。
【0091】
環状化合物(B)の酸解離性官能基が解離して生じる環状化合物(A)も、スピンコートによりアモルファス膜を形成する性質を有することが好ましい。環状ポリフェノール化合物(A)のアモルファス膜の23℃における2.38質量%TMAH水溶液に対する溶解速度は、10Å/sec以上が好ましく、10〜10000Å/secがより好ましく、100〜1000Å/secがさらに好ましい。10Å/sec以上であると、アルカリ現像液に溶解し、レジストとすることができる。また10000Å/sec以下の溶解速度を有すると、解像性が向上する場合もある。これは、環状化合物(B)の酸解離性官能基が解離したことによる溶解性の変化により、アルカリ現像液に溶解する露光部と、アルカリ現像液に溶解しない未露光部との界面のコントラストが大きくなるからと推測される。またLERの低減、ディフェクトの低減効果がある。
【0092】
感放射線性組成物の固形成分は、スピンコートによりアモルファス膜を形成することができる。感放射線性組成物の固形成分をスピンコートして形成したアモルファス膜の23℃における2.38質量%TMAH水溶液に対する溶解速度は、5Å/sec以下が好ましい。前記アモルファス膜にKrFエキシマレーザー、極端紫外線、電子線またはX線等の放射線により所望のパターンに露光し、必要に応じて20〜250℃で加熱した後のアモルファス膜の23℃における2.38質量%TMAH水溶液に対する溶解速度は、10Å/sec以上であることが好ましい。上記条件を満たすことにより、歩留まり良く、優れた形状のパターン形状を与えることができる。
【0093】
本発明の感放射線性組成物において、好ましくは固形成分1〜80重量%および溶媒20〜99重量%であり、より好ましくは固形成分1〜50重量%および溶媒50〜99重量%、さらに好ましくは固形成分2〜40重量%および溶媒60〜98重量%であり、特に好ましくは固形成分2〜10重量%および溶媒90〜98重量%である。環状化合物(B)の量は、固形成分全重量の50重量%以上であり、好ましくは65重量%以上、より好ましくは81重量%以上である。上記配合割合であると、高解像度が得られ、ラインエッジラフネスが小さくなる。
【0094】
本発明の組成物は、可視光線、紫外線、エキシマレーザー、電子線、極端紫外線(EUV)、X線、およびイオンビームから選ばれるいずれかの放射線の照射により直接的又は間接的に酸を発生する酸発生剤(C)を一種以上含むことが好ましい。酸発生剤の使用量は、固形成分全重量(環状ポリフェノール化合物(B)、酸発生剤(C)、低分子量溶解促進剤(D)、酸拡散制御剤(E)およびその他の成分(F)などの任意に使用される固形成分の総和、以下同様)の0.001〜50重量%が好ましく、1〜40重量%がより好ましく、3〜30重量%がさらに好ましい。上記範囲内で使用することにより、高感度でかつ低エッジラフネスのパターンプロファイルが得られる。本発明では、系内に酸が発生すれば、酸の発生方法は限定されない。g線、i線などの紫外線の代わりにエキシマレーザーを使用すれば、より微細加工が可能であるし、また高エネルギー線として電子線、極端紫外線、X線、イオンビームを使用すれば更に微細加工が可能である。
【0095】
前記酸発生剤(C)としては、下記式(16−1)〜(16−8)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも一種類であることが好ましい。
【化29】

(16−1)
(式(16−1)中、R13は、同一でも異なっていても良く、それぞれ独立に、水素原子、直鎖状、分枝状もしくは環状アルキル基、直鎖状、分枝状もしくは環状アルコキシ基、ヒドロキシル基またはハロゲン原子であり;X-は、アルキル基、アリール基、ハロゲン置換アルキル基もしくはハロゲン置換アリール基を有するスルホン酸イオンまたはハロゲン化物イオンである。)
【0096】
前記式(16−1)で示される化合物は、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルトリルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニル−4−メチルフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジ−2,4,6−トリメチルフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニル−4−t−ブトキシフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニル−4−t−ブトキシフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−フェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリ(4−メトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリ(4−フルオロフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムベンゼンスルホネート、ジフェニル−2,4,6−トリメチルフェニル−p−トルエンスルホネート、ジフェニル−2,4,6−トリメチルフェニルスルホニウム−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ジフェニル−2,4,6−トリメチルフェニルスルホニウム−4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ジフェニル−2,4,6−トリメチルフェニルスルホニウム−2,4−ジフルオロベンゼンスルホネート、ジフェニル−2,4,6−トリメチルフェニルスルホニウムヘキサフルオロベンゼンスルホネート、ジフェニルナフチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、ジフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウム10−カンファースルホネートおよびシクロ(1,3−パーフルオロプロパンジスルホン)イミデートからなる群から選択される少なくとも一種類であることが好ましい。
【0097】
【化30】

(16−2)
(式(16−2)中、R14は、同一でも異なっていても良く、それぞれ独立に、水素原子、直鎖状、分枝状もしくは環状アルキル基、直鎖状、分枝状もしくは環状アルコキシ基、ヒドロキシル基またはハロゲン原子を表す。X-は前記と同様である。)
【0098】
前記式(16−2)で示される化合物は、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム p−トルエンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム−4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム−2,4−ジフルオロベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム p−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウム10−カンファースルホネート、ジフェニルヨードニウム−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウム−4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウム−2,4−ジフルオロベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウムへキサフルオロベンゼンスルホネート、ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウム p−トルエンスルホネート、ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムベンゼンスルホネートおよびジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネートからなる群から選択される少なくとも一種類であることが好ましい。
【0099】
【化31】

(16−3)
(式(16−3)Qはアルキレン基、アリーレン基またはアルコキシレン基であり、R15はアルキル基、アリール基、ハロゲン置換アルキル基またはハロゲン置換アリール基である。)
【0100】
前記式(16−3)で示される化合物は、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)フタルイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(n−オクタンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(4−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(パーフルオロベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロベンゼンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(1−ナフタレンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(1−ナフタレンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エンー2,3−ジカルボキシイミドおよびN−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ナフチルイミドからなる群から選択される少なくとも一種類であることが好ましい。
【0101】
【化32】

(16−4)
(式(16−4)中、R16は、同一でも異なっていても良く、それぞれ独立に、任意に置換された直鎖、分枝もしくは環状アルキル基、任意に置換されたアリール基、任意に置換されたヘテロアリール基または任意に置換されたアラルキル基である。)
【0102】
前記式(16−4)で示される化合物は、ジフェニルジスルフォン、ジ(4−メチルフェニル)ジスルフォン、ジナフチルジスルフォン、ジ(4−tert−ブチルフェニル)ジスルフォン、ジ(4−ヒドロキシフェニル)ジスルフォン、ジ(3−ヒドロキシナフチル)ジスルフォン、ジ(4−フルオロフェニル)ジスルフォン、ジ(2−フルオロフェニル)ジスルフォンおよびジ(4−トルフルオロメチルフェニル)ジスルフォンからなる群から選択される少なくとも一種類であることが好ましい。
【0103】
【化33】

(16−5)
(式(16−5)中、R17は、同一でも異なっていても良く、それぞれ独立に、任意に置換された直鎖、分枝もしくは環状アルキル基、任意に置換されたアリール基、任意に置換されたヘテロアリール基または任意に置換されたアラルキル基である。)
【0104】
前記式(16−5)で示される化合物は、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−4−メチルフェニルアセトニトリルおよびα−(メチルスルホニルオキシイミノ)−4−ブロモフェニルアセトニトリルからなる群から選択される少なくとも一種類であることが好ましい。
【0105】
【化34】

(16−6)
式(16−6)中、R18は、同一でも異なっていても良く、それぞれ独立に、1以上の塩素原子および1以上の臭素原子を有するハロゲン化アルキル基である。ハロゲン化アルキル基の炭素原子数は1〜5が好ましい。
【0106】
【化35】

(16−7)
【0107】
【化36】

(16−8)
【0108】
式(16−7)および(16−8)中、R19およびR20はそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等の炭素原子数1〜3のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素原子数1〜3のアルコキシル基、またはフェニル基、トルイル基、ナフチル基等アリール基、好ましくは、炭素原子数6〜10のアリール基である。L19およびL20はそれぞれ独立に1,2−ナフトキノンジアジド基を有する有機基である。1,2−ナフトキノンジアジド基を有する有機基としては、具体的には、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル基、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル基、1,2−ナフトキノンジアジド−6−スルホニル基等の1,2−キノンジアジドスルホニル基を好ましいものとして挙げることができる。特に、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル基および1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル基が好ましい。pは1〜3の整数、qは0〜4の整数、かつ1≦p+q≦5である。J19は単結合、炭素原子数1〜4のポリメチレン基、シクロアルキレン基、フェニレン基、下記式(16−7−1)で表わされる基、カルボニル基、エステル基、アミド基またはエーテル基であり、Y19は水素原子、アルキル基またはアリール基であり、X20は、それぞれ独立に下記式(16−8−1)で示される基である。
【0109】
【化37】

(16−7−1)
【0110】
【化38】

(16−8−1)
(式(16−8−1)中、Z22はそれぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、R22はアルキル基、シクロアルキル基またはアルコキシル基であり、rは0〜3の整数である。)
【0111】
その他の酸発生剤として、ビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4-ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert-ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n-ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n-プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、1、3−ビス(シクロヘキシルスルホニルアゾメチルスルホニル)プロパン、1、4−ビス(フェニルスルホニルアゾメチルスルホニル)ブタン、1、6−ビス(フェニルスルホニルアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1、10−ビス(シクロヘキシルスルホニルアゾメチルスルホニル)デカンなどのビススルホニルジアゾメタン類、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-(ビストリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシナフチル)-4,6-(ビストリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、トリス(2,3-ジブロモプロピル)-1,3,5-トリアジン、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレートなどのハロゲン含有トリアジン誘導体等が挙げられる。
【0112】
上記酸発生剤のうち、芳香環を有する酸発生剤が好ましく、式(16−1)または(16−2)で示され酸発生剤がより好ましい。式(16−1)または(16−2)のXが、アリール基もしくはハロゲン置換アリール基を有するスルホン酸イオンを有する酸発生剤がさらに好ましく、アリール基を有するスルホン酸イオンを有する酸発生剤が特に好ましく、ジフェニルトリメチルフェニルスルホニウム p−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウム p−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウム ノナフルオロメタンスルホナートが特に好ましい。該酸発生剤を用いることで、LERを低減することができる。
上記酸発生剤(C)は、単独で、または2種以上を使用することができる。
【0113】
低分子量溶解促進剤(D)は、環状化合物(B)のアルカリ等の現像液に対する溶解性が低すぎる場合に、その溶解性を高めて、現像時の環状化合物(B)の溶解速度を適度に増大させる作用を有する成分であり、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。前記溶解促進剤としては、例えば、低分子量のフェノール性化合物を挙げることができ、例えば、ビスフェノール類、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン等を挙げることができる。これらの溶解促進剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。溶解促進剤の配合量は、使用する前記環状化合物(B)の種類に応じて適宜調節されるが、環状化合物(B)と低分子量溶解促進剤(D)の総和が固形成分の全重量の50〜99.999重量%、好ましくは60〜99重量%、より好ましくは70〜99重量%、さらに好ましくは80〜99重量%となる量である。
【0114】
低分子量溶解促進剤(D)は、上記環状化合物(A)から選ばれる化合物であることが好ましい。環状化合物(A)は、低分子量でありながら、高耐熱性、アモルファス性を有し、かつ、環状化合物(B)との親和性が高く、均一なレジスト膜を形成でき、高解像度、低LERなどの性能が付与できる。低分子量溶解促進剤(D)として使用する環状化合物(A)は、環状化合物(B)の製造に用いられた環状化合物(A)と同一であることがより好ましい。環状化合物(B)と低分子量溶解促進剤(D)との親和性が更に高くなり、より均一なレジスト膜を形成でき、高解像度、低LERなどの性能が付与できる。
【0115】
本発明においては、放射線照射により酸発生剤から生じた酸のレジスト膜中における拡散を制御して、未露光領域での好ましくない化学反応を阻止する作用等を有する酸拡散制御剤(E)を感放射線性組成物に配合しても良い。このような酸拡散制御剤(E)を使用することにより、解像度が向上するとともに、電子線照射前の引き置き時間、電子線照射後の引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れたものとなる。また、酸拡散制御剤(E)を使用することにより、感放射線性組成物の貯蔵安定性が向上する。このような酸拡散制御剤(E)としては、窒素原子含有塩基性化合物、塩基性スルホニウム化合物、塩基性ヨードニウム化合物等の電子線放射分解性塩基性化合物が挙げられる。酸拡散制御剤は、単独でまたは2種以上を使用することができる。
上記酸拡散制御剤としては、例えば、含窒素有機化合物や、露光により分解する塩基性化合物等が挙げられる。上記含窒素有機化合物としては、例えば、下記一般式(17):
【0116】
【化39】

(17)
で表される化合物(以下、「含窒素化合物(I)」という。)、同一分子内に窒素原子を2個有するジアミノ化合物(以下、「含窒素化合物(II)」という。)、窒素原子を3個以上有するポリアミノ化合物や重合体(以下、「含窒素化合物(III)」という。)、アミド基含有化合物、ウレア化合物、及び含窒素複素環式化合物等を挙げることができる。尚、上記酸拡散制御剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0117】
上記一般式(24)中、R61、R62及びR63は相互に独立に水素原子、直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。また、上記アルキル基、アリール基、又はアラルキル基は、非置換でもよく、ヒドロキシル基等の他の官能基で置換されていてもよい。ここで、上記直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基としては、例えば、炭素数1〜15、好ましくは1〜10のものが挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、テキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、n−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。また、上記アリール基としては、炭素数6〜12のものが挙げられ、具体的には、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、1−ナフチル基等が挙げられる。更に、上記アラルキル基としては、炭素数7〜19、好ましくは7〜13のものが挙げられ、具体的には、ベンジル基、α−メチルベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
【0118】
上記含窒素化合物(I)として具体的には、例えば、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ドデシルアミン、シクロヘキシルアミン等のモノ(シクロ)アルキルアミン類;ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン、メチル−n−ドデシルアミン、ジ−n−ドデシルメチル、シクロヘキシルメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジ(シクロ)アルキルアミン類;トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、ジメチル−n−ドデシルアミン、ジ−n−ドデシルメチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリシクロヘキシルアミン等のトリ(シクロ)アルキルアミン類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、1−ナフチルアミン等の芳香族アミン類等を挙げることができる。
【0119】
上記含窒素化合物(II)として具体的には、例えば、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、1,3−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン等を挙げることができる。
【0120】
上記含窒素化合物(III)として具体的には、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、N−(2−ジメチルアミノエチル)アクリルアミドの重合体等を挙げることができる。
上記アミド基含有化合物として具体的には、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。
【0121】
上記ウレア化合物として具体的には、例えば、尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリ−n−ブチルチオウレア等を挙げることができる。
【0122】
上記含窒素複素環式化合物として具体的には、例えば、イミダゾール、ベンズイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール等のイミダゾール類;ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、2−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、8−オキシキノリン、アクリジン等のピリジン類;及び、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピペラジン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等を挙げることができる。
【0123】
また、上記露光により分解する塩基性化合物としては、例えば、下記一般式(18−1):
【化40】

(18−1)
で表されるスルホニウム化合物、及び下記一般式(18−2):
【0124】
【化41】

(18−2)
で表されるヨードニウム化合物等を挙げることができる。
【0125】
上記一般式(18−1)及び(18−2)中、R71、R72、R73、R74及びR75は相互に独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、ヒドロキシル基又はハロゲン原子を示す。ZはHO、R−COO(但し、Rは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアリール基若しくは炭素数1〜6のアルカリール基を示す。)又は下記一般式(18−3):
【0126】
【化42】

(18−3)
で表されるアニオンを示す。
【0127】
上記露光により分解する塩基性化合物として具体的には、例えば、トリフェニルスルホニウムハイドロオキサイド、トリフェニルスルホニウムアセテート、トリフェニルスルホニウムサリチレート、ジフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムハイドロオキサイド、ジフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムアセテート、ジフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムサリチレート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムハイドロオキサイド、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムアセテート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムハイドロオキサイド、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムアセテート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムサリチレート、4−t−ブチルフェニル−4−ヒドロキシフェニルヨードニウムハイドロオキサイド、4−t−ブチルフェニル−4−ヒドロキシフェニルヨードニウムアセテート、4−t−ブチルフェニル−4−ヒドロキシフェニルヨードニウムサリチレート等が挙げられる。
【0128】
酸拡散制御剤(E)の配合量は、固形成分全重量の0〜10重量%が好ましく、0.001〜5重量%がより好ましく、0.001〜3重量%がさらに好ましい。上記範囲内であると、解像度の低下、パターン形状、寸法忠実度等の劣化を防止することができる。さらに、電子線照射から放射線照射後加熱までの引き置き時間が長くなっても、パターン上層部の形状が劣化することがない。また、配合量が10重量%以下であると、感度、未露光部の現像性等の低下を防ぐことができる。またこの様な酸拡散制御剤を使用することにより、レジスト組成物の貯蔵安定性が向上し、また解像度が向上するとともに、放射線照射前の引き置き時間、放射線照射後の引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れたものとなる。
【0129】
本発明のレジスト組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で、必要に応じて、その他の成分(F)として、溶解制御剤、増感剤、界面活性剤、及び有機カルボン酸またはリンのオキソ酸もしくはその誘導体等の各種添加剤を1種又は2種以上添加することができる。
【0130】
[1]溶解制御剤
溶解制御剤は、環状化合物(B)がアルカリ等の現像液に対する溶解性が高すぎる場合に、その溶解性を制御して現像時の溶解速度を適度に減少させる作用を有する成分である。このような溶解制御剤としては、レジスト被膜の焼成、放射線照射、現像等の工程において化学変化しないものが好ましい。
溶解制御剤としては、例えば、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン、アセナフテン等の芳香族炭化水素類;アセトフェノン、ベンゾフェノン、フェニルナフチルケトン等のケトン類;メチルフェニルスルホン、ジフェニルスルホン、ジナフチルスルホン等のスルホン類等を挙げることができる。これらの溶解制御剤は、単独でまたは2種以上を使用することができる。
溶解制御剤の配合量は、使用する環状化合物(B)の種類に応じて適宜調節されるが、環状化合物(B)100重量部当たり、30重量部以下が好ましく、より好ましくは10重量部以下である。
【0131】
[2]増感剤
増感剤は、照射された放射線のエネルギーを吸収して、そのエネルギーを酸発生剤(C)に伝達し、それにより酸の生成量を増加する作用を有し、レジストの見掛けの感度を向上させる成分である。このような増感剤としては、例えば、ベンゾフェノン類、ビアセチル類、ピレン類、フェノチアジン類、フルオレン類等を挙げることができるが、特に限定はされない。
これらの増感剤は、単独でまたは2種以上を使用することができる。増感剤の配合量は、環状化合物(B)100重量部当たり、30重量部以下が好ましく、より好ましくは10重量部以下である。
【0132】
[3]界面活性剤
界面活性剤は、本発明のレジスト組成物の塗布性やストリエーション、レジストの現像性等を改良する作用を有する成分である。このような界面活性剤は、アニオン系、カチオン系、ノニオン系あるいは両性のいずれでもよい。好ましい界面活性剤はノニオン系界面活性剤である。ノニオン系界面活性剤は、感放射線性組成物の製造に用いる溶媒との親和性がよく、より効果がある。ノニオン系界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル類、ポリオキシエチレン高級アルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールの高級脂肪酸ジエステル類等が挙げられるが、特に限定はされない。市販品としては、以下商品名で、エフトップ(ジェムコ社製)、メガファック(大日本インキ化学工業社製)、フロラード(住友スリーエム社製)、アサヒガード、サーフロン(以上、旭硝子社製)、ペポール(東邦化学工業社製)、KP(信越化学工業社製)、ポリフロー(共栄社油脂化学工業社製)等を挙げることができる。
界面活性剤の配合量は、環状化合物(B)100重量部当たり、界面活性剤の有効成分として、2重量部以下が好ましい。
【0133】
[4]有機カルボン酸またはリンのオキソ酸もしくはその誘導体
感度劣化防止またはレジストパターン形状、引き置き安定性等の向上の目的で、さらに任意の成分として、有機カルボン酸またはリンのオキソ酸もしくはその誘導体を含有させることができる。なお、酸拡散制御剤と併用することも出来るし、単独で用いても良い。有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。リンのオキソ酸もしくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸またはそれらのエステルなどの誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸またはそれらのエステルなどの誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸およびそれらのエステルなどの誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。
有機カルボン酸またはリンのオキソ酸もしくはその誘導体は、単独でまたは2種以上を使用することができる。有機カルボン酸またはリンのオキソ酸もしくはその誘導体の配合量は、固形成分全重量の0〜50重量%が好ましく、0〜20重量%がより好ましく、0〜5重量%がさらに好ましく、0〜1重量%が特に好ましい。
【0134】
[5]上記溶解制御剤、増感剤、界面活性剤、及び有機カルボン酸またはリンのオキソ酸もしくはその誘導体以外のその他の添加剤
更に、本発明の感放射線性組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で、必要に応じて、上記溶解制御剤、増感剤、及び界面活性剤以外の添加剤を1種又は2種以上配合することができる。そのような添加剤としては、例えば、染料、顔料、及び接着助剤等が挙げられる。例えば、染料又は顔料を配合すると、露光部の潜像を可視化させて、露光時のハレーションの影響を緩和できるので好ましい。また、接着助剤を配合すると、基板との接着性を改善することができるので好ましい。更に、他の添加剤としては、ハレーション防止剤、保存安定剤、消泡剤、形状改良剤等、具体的には4−ヒドロキシ−4’−メチルカルコン等を挙げることができる。
【0135】
本発明の感放射線性組成物は、通常は、使用時に各成分を溶媒に溶解して均一溶液とし、その後、必要に応じて、例えば孔径0.2μm程度のフィルター等でろ過することにより調製される。
【0136】
本発明の感放射線性組成物の調製に使用される前記溶媒としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル等の乳酸エステル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸n−アミル、酢酸n−ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシ−3−メチルプロピオン酸ブチル、3−メトキシ−3−メチル酪酸ブチル、アセト酢酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;γ−ラクトン等のラクトン類等を挙げることができるが、特に限定はされない。これらの溶媒は、単独でまたは2種以上を使用することができる。
【0137】
本発明の感放射線性組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で、アルカリ水溶液に可溶である樹脂を含むことができる。アルカリ水溶液に可溶である樹脂としては、ノボラック樹脂、ポリビニルフェノール類、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、スチレン−無水マレイン酸樹脂、およびアクリル酸、ビニルアルコール、またはビニルフェノールを単量体単位として含む重合体、あるいはこれらの誘導体などが挙げられる。アルカリ水溶液に可溶である樹脂の配合量は、使用するレジスト化合物の種類に応じて適宜調節されるが、上記環状化合物(B)100重量部当たり、30重量部以下が好ましく、より好ましくは10重量部以下、さらに好ましくは5重量部以下、特に好ましくは0重量部である。
【0138】
(感放射性組成物B)
本発明は、環状化合物のいずれかと溶媒とを含む感放射線性組成物に関する。
また、本発明は、環状化合物が、炭素数が2〜59であり1〜4個のホルミル基を有する化合物(アルデヒド性化合物(A1))と、炭素数6〜15であり1〜3個のフェノール性水酸基を有する化合物(フェノール性化合物(A2))との縮合反応により合成した、分子量が700〜5000の環状化合物(A)である上記感放射線性組成物に関する。
【0139】
すなわち、本発明は、固形成分1〜80重量%および溶媒20〜99重量%を含む感放射線性組成物であって、水酸基とt−ブチル基のいずれをも有さない炭素数7〜24のベンズアルデヒドと、炭素数6〜15であり1〜3個のフェノール性水酸基を有する化合物との縮合反応により合成した分子量が700〜5000の環状化合物(A)を含み、環状化合物(A)が固形成分全重量の50重量%以上である感放射線性組成物が好ましい。
【0140】
また、本発明は、固形成分1〜80重量%および溶媒20〜99重量%を含む感放射線性組成物であって、脂環または芳香環を含む置換基を有する炭素数10〜24のベンズアルデヒドと、炭素数6〜15であり1〜3個のフェノール性水酸基を有する化合物との縮合反応により合成した、分子量が700〜5000の環状化合物(A)、可視光線、紫外線、エキシマレーザー、電子線、極端紫外線(EUV)、X線、およびイオンビームからなる群から選ばれるいずれかの放射線の照射により直接的又は間接的に酸を発生する酸発生剤(C)、酸架橋剤(G)および酸拡散制御剤(E)を含み、環状化合物(A)が固形成分全重量の50重量%以上である感放射線性組成物であることが好ましい。
【0141】
本発明の感放射線性組成物は、環状ポリフェノール化合物(A)を含む。環状化合物(A)の含有量は、固形成分全重量の50重量%以上である。
環状化合物(A)は、脂環または芳香環を含む置換基を有する炭素数10〜24のベンズアルデヒド、あるいは水酸基とt−ブチル基のいずれをも有さない炭素数7〜24のベンズアルデヒド(以下、芳香族カルボニル化合物(A1)という)と、炭素数6〜15であり1〜3個のフェノール性水酸基を有する化合物(以下、フェノール性化合物(A2)という)との縮合反応により合成した、分子量が700〜5000の環状化合物である。
前記環状化合物(A)は、製膜性、耐熱性、アルカリ現像性、エッチング耐性に優れる等の特長を有する。
環状化合物(A)は、芳香族カルボニル化合物(A1)からなる群より選ばれる1種以上,およびフェノール性化合物(A2)からなる群より選ばれる1種以上との縮合反応により得られる。
【0142】
芳香族カルボニル化合物(A1)は、脂環または芳香環を含む置換基を有する炭素数10〜24のベンズアルデヒド、あるいは水酸基とt−ブチル基のいずれをも有さない炭素数7〜24のベンズアルデヒドであり、例えば、ベンズアルデヒド、メチルベンズアルデヒド、ジメチルベンズアルデヒド、トリメチルベンズアルデヒド、エチルベンズアルデヒド、プロピルベンズアルデヒド、t以外のブチルベンズアルデヒド、エチルメチルベンズアルデヒド、イソプロピルメチルベンズアルデヒド、ジエチルベンズアルデヒド、アニスアルデヒド、シクロプロピルベンズアルデヒド、シクロブタンベンズアルデヒド、シクロペンタンベンズアルデヒド、シクロヘキサンベンズアルデヒド、フェニルベンズアルデヒド、ナフチルベンズアルデヒド、アダマンチルベンズアルデヒド、ノルボルニルベンズアルデヒド、ラクチルベンズアルデヒド、イソプロピルベンズアルデヒド、ノルマルプロピルベンズアルデヒド、ブロモベンズアルデヒドおよびジメチルアミノベンズアルデヒド等が挙げられ、イソプロピルベンズアルデヒド、ノルマルプロピルベンズアルデヒド、ブロモベンズアルデヒドおよびジメチルアミノベンズアルデヒド、シクロヘキシルベンズアルデヒド、フェニルベンズアルデヒドが好ましく、4−イソプロピルベンズアルデヒド、シクロヘキシルベンズアルデヒドおよび4−ノルマルプロピルベンズアルデヒドがより好ましい。
芳香族カルボニル化合物(A1)は本発明の効果を損ねない範囲で炭素数1〜4の直鎖または分岐アルキル基、シアノ基、水酸基、ハロゲン等を有していても良い。芳香族カルボニル化合物(A1)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
【0143】
フェノール性化合物(A2)の例としては、フェノール、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール等が挙げられ、レゾルシノール、ピロガロールが好ましく、レゾルシノールがより好ましい。フェノール性化合物(A2)は本発明の効果を損ねない範囲で炭素数1〜4の直鎖または分岐アルキル基、シアノ基、水酸基、ハロゲン等を有していても良い。フェノール性化合物(A2)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
【0144】
本発明における環状化合物(A)に、可視光線、紫外線、エキシマレーザー、電子線、極端紫外線(EUV)、X線、およびイオンビーム照射あるいはこれにより誘起される化学反応により架橋反応を起こす架橋反応性基を導入してもよい。導入は、例えば、環状化合物(A)と架橋反応性基導入試剤を塩基触媒下で反応させることにより行う。架橋反応性基としては、炭素−炭素多重結合、エポキシ基、アジド基、ハロゲン化フェニル基、およびクロロメチル基が挙げられる。架橋反応性基導入試剤としては、このような架橋反応性基を有する酸、酸塩化物、酸無水物、ジカーボネートなどのカルボン酸誘導体やアルキルハライド等が挙げられる。架橋反応性基を有する環状化合物(A)を含むレジスト組成物も、高解像度、高耐熱性かつ溶媒可溶性の非高分子系感放射線性組成物として有用である。
【0145】
本発明の環状化合物(A)は、それ自身を主成分としてネガ型感放射線組成物とできる他、主成分ではなく、例えば感度向上や耐エッチング耐性を向上するための添加剤として感放射線性組成物に加えることができる。この場合、環状化合物(A)が固形成分全重量の1〜49.999重量%で用いられる。
環状化合物(A)は、KrFエキシマレーザー、極端紫外線、電子線またはX線を照射することにより、アルカリ現像液に難溶な化合物となるネガ型レジスト用材料として有用である。環状化合物(A)に、KrFエキシマレーザー、極端紫外線、電子線またはX線の照射により、化合物同士の縮合反応が誘起され、アルカリ現像液に難溶な化合物となるためと考えられる。このようにして得られたレジストパターンは、LERが非常に小さい。
【0146】
本発明の効果を損ねない範囲で、環状化合物(A)の少なくとも1つのフェノール性水酸基に非酸解離性官能基を導入しても良い。非酸解離性官能基とは、酸の存在下で開裂せず、アルカリ可溶性基を生じない特性基をいう。例えば、酸の作用により分解することの無い、C1〜20のアルキル基、C3〜20のシクロアルキル基、C6〜20のアリール基、C1〜20のアルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、複素環基、ハロゲン、カルボキシル基、C1〜20のアルキルシラン、これらの誘導体からなる群から選択される官能基等が挙げられる。
【0147】
本発明の環状化合物(A)の少なくとも1つのフェノール性水酸基にナフトキノンジアジドエステル基を導入しても良い。環状化合物(A)の少なくとも1つのフェノール性水酸基にナフトキノンジアジドエステル基を導入した化合物は、それ自身を主成分としてネガ型ポジ型感放射線組成物とできる他、それ自身を主成分としたポジ型感放射線組成物、酸発生剤や添加剤として感放射線性組成物に加えることができる。
環状化合物(A)の少なくとも1つのフェノール性水酸基に、放射線の照射により酸を発生する酸発生性官能基を導入しても良い。環状化合物(A)の少なくとも1つのフェノール性水酸基に、放射線の照射により酸を発生する酸発生性官能基を導入した環状ポリフェノール化合物は、それ自身を主成分としてネガ型ポジ型感放射線組成物とできる他、それ自身を主成分としたポジ型感放射線組成物、酸発生剤や添加剤として感放射線性組成物に加えることができる。
【0148】
環状化合物(A)は、公知の方法によって製造できる。例えば、メタノール、エタノール等の有機溶剤中、芳香族カルボニル化合物(A1)1モルに対し、フェノール性化合物(A2)を0.1〜10モル量、酸触媒(塩酸、硫酸またはパラトルエンスルホン酸等)を使用し、60〜150℃で0.5〜20時間程度反応させ、濾過後、メタノール等のアルコール類で洗浄後、水洗し、濾過を行い分離し、乾燥させることにより得られる。酸触媒の代わりに、塩基性触媒(水酸化ナトリウム、水酸化バリウムまたは1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等)を使用し、同様に反応することによっても得られる。さらに環状ポリフェノール化合物(A)は、上記芳香族カルボニル化合物(A1)をハロゲン化水素若しくはハロゲンガスでジハロゲン化物とし、単離したジハロゲン化物とフェノール性化合物(A2)とを反応させて製造することも出来る。
【0149】
上記環状化合物は、2種以上の芳香族カルボニル化合物(A1)および/または2種以上のフェノール性化合物(A2)を用いて製造することがより好ましい。2種以上の芳香族カルボニル化合物(A1)および/または2種以上のフェノール性化合物(A2)を用いることにより、得られる環状化合物(A)の半導体安全溶媒に対する溶解性が向上する。
【0150】
環状化合物(A)の残存金属量を低減するために、必要に応じて精製してもよい。また酸触媒および助触媒が残存すると、一般に、感放射線性組成物の保存安定性が低下する、または塩基性触媒が残存すると、一般に、感放射線性組成物の感度が低下するので、その低減を目的とした精製を行ってもよい。精製は、環状化合物(A)が変性しない限り公知の方法により行うことができ、特に限定されないが、例えば、水で洗浄する方法、酸性水溶液で洗浄する方法、塩基性水溶液で洗浄する方法、イオン交換樹脂で処理する方法、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで処理する方法などが挙げられる。これら精製方法は2種以上を組み合わせて行うことがより好ましい。酸性水溶液、塩基性水溶液、イオン交換樹脂およびシリカゲルカラムクロマトグラフィーは、除去すべき金属、酸性化合物および/または塩基性化合物の量や種類、精製する環状化合物(A)の種類などに応じて、最適なものを適宜選択することが可能である。例えば、酸性水溶液として、濃度が0.01〜10mol/Lの塩酸、硝酸、酢酸水溶液、塩基性水溶液として、濃度が0.01〜10mol/Lのアンモニア水溶液、イオン交換樹脂として、カチオン交換樹脂、例えばオルガノ製Amberlyst 15J−HG Dryなどが挙げられる。精製後に乾燥を行っても良い。乾燥は公知の方法により行うことができ、特に限定されないが、環状化合物(A)が変性しない条件で真空乾燥、熱風乾燥する方法などが挙げられる。
【0151】
環状化合物(A)は、常圧下、100℃以下、好ましくは120℃以下、より好ましくは130℃以下、さらに好ましくは140℃以下、特に好ましくは150℃以下において、昇華性が低いことが好ましい。昇華性が低いとは、熱重量分析において、所定温度で10分保持した際の重量減少が10%、好ましくは5%、より好ましくは3%、さらに好ましくは1%、特に好ましくは0.1%以下であることが好ましい。昇華性が低いことにより、露光時のアウトガスによる露光装置の汚染を防止することができる。また低LERで良好なパターン形状を与えることができる。
環状化合物(A)は、好ましくはF<3.0(Fは、全原子数/(全炭素原子数−全酸素原子数)を表す)、より好ましくはF<2.5を満たす。上記条件を満たしていることにより、耐ドライエッチング性が優れる。
【0152】
環状化合物(A)は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、2−ヘプタノン、アニソール、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、および乳酸エチルから選ばれ、かつ、環状ポリフェノール化合物(A)に対して最も高い溶解能を示す溶媒に、23℃で、好ましくは1重量%以上、より好ましくは3重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上、特に好ましくは10重量%以上溶解する。上記条件を満たしていることにより、半導体製造工程で安全溶媒の使用が可能となる。
【0153】
環状化合物(A)のガラス転移温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは140℃以上、特に好ましくは150℃以上である。ガラス転移温度が上記範囲内であることにより、半導体リソグラフィープロセスにおいて、パターン形状を維持しうる耐熱性を有し、高解像度などの性能が付与しうる。
環状化合物(A)のガラス転移温度の示差走査熱量分析により求めた結晶化発熱量は20J/g未満であるのが好ましい。また、(結晶化温度)−(ガラス転移温度)は好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは100℃以上、特に好ましくは130℃以上である。結晶化発熱量が20J/g未満、または(結晶化温度)−(ガラス転移温度)が上記範囲内であると、感放射線性組成物をスピンコートすることにより、アモルファス膜を形成しやすく、かつレジストに必要な成膜性が長期に渡り保持でき、解像性を向上することができる。
【0154】
本発明において、前記結晶化発熱量、結晶化温度およびガラス転移温度は、島津製作所製DSC/TA−50WSを用いて次のように測定および示差走査熱量分析により求めることができる。試料約10mgをアルミニウム製非密封容器に入れ、窒素ガス気流中(50ml/min)昇温速度20℃/minで融点以上まで昇温する。急冷後、再び窒素ガス気流中(30ml/min)昇温速度20℃/minで融点以上まで昇温する。さらに急冷後、再び窒素ガス気流中(30ml/min)昇温速度20℃/minで400℃まで昇温する。ベースラインに不連続部分が現れる領域の中点(比熱が半分に変化したところ)の温度をガラス転移温度(Tg)、その後に現れる発熱ピークの温度を結晶化温度とする。発熱ピークとベースラインに囲まれた領域の面積から発熱量を求め、結晶化発熱量とする。
【0155】
環状化合物(A)の分子量は700〜5000であり、好ましくは800〜2000、より好ましくは900〜1500である。上記範囲であるとレジストに必要な成膜性を保持しつつ、解像性が向上する。
本発明における環状化合物は、シス体およびトランス体を取りうるが、いずれかの構造若しくは混合物でもよい。感放射線性組成物のレジスト成分として用いる場合は、シス体およびトランス体のいずれかの構造のみを有する方が、純物質化合物となり、レジスト膜中成分の均一性が高いので好ましい。シス体およびトランス体のいずれかの構造のみを有する環状化合物を得る方法は、カラムクロマトや分取液体クロマトグラフィによる分離や製造時における反応溶媒及び反応温度等の最適化等、公知の方法で行うことができる。
本発明の一態様において、環状化合物(A)は下記式(1)で示される化合物であることが好ましい。
【0156】
【化43】

(1)
【0157】
(式中、Lは、独立して、単結合、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、炭素数3〜20のシクロアルキレン基、炭素数6〜24のアリーレン基、−O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−N(R)−C(=O)−、−N(R)−C(=O)O−、−S−、−SO−、−SO−およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される二価の有機基であり、Rは独立して、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、複素環基、ハロゲン、カルボキシル基、炭素数1〜20のアルキルシラン、これらの誘導体からなる群から選択される官能基、炭素数2〜20の置換メチル基、炭素数3〜20の1−置換エチル基、炭素数4〜20の1−置換−n−プロピル基、炭素数3〜20の1−分岐アルキル基、炭素数1〜20のシリル基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20の1−置換アルコキシアルキル基、炭素数2〜20の環状エーテル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基およびアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択される酸解離性官能基、または水素原子であり、R’は独立して、炭素数2〜20のアルキル基、又は下記式
【0158】
【化44】

【0159】
で表わされる炭素数6〜24のアリール基又はこれらの誘導体であり、Rは、炭素数1〜20のアルキル基(但し、t−ブチル基を除く)、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、複素環基、ハロゲン、カルボキシル基、炭素数1〜20のアルキルシラン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される官能基であり、Rは水素又は炭素数1〜10のアルキル基であり、mは1〜4の整数であり、pは0〜5の整数である。)
本発明の一態様において、環状化合物(A)は下記式(19)、(4)又は(5)で示される化合物であることが好ましい。
【0160】
【化45】

(19)
(式中、Rは、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基(但し、t−ブチル基を除く)、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、複素環基、ハロゲン、カルボキシル基、炭素数1〜20のアルキルシラン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される官能基であり、Lは前記と同様であり、pは、0〜5の整数である。)
【0161】
【化46】

(4)
【0162】
【化47】

(5)
(上記式(4)及び(5)において、Xは水素又はハロゲン原子であり、mは1〜4の整数であり、mは1〜2の整数であり、mは1であり、m、R、pは前記と同様である。)、
【0163】
環状化合物(A)は下記式(20)で示される化合物であることがより好ましい。
【化48】

(20)
(式中、R、pは前記と同様である。)
【0164】
環状化合物(A)は下記式(21−1)で示される化合物であることがより好ましい。
【化49】

【0165】
また、環状化合物(A)は下記式(21−2)で示される化合物であることがより好ましい。
【0166】
【化50】

【0167】
また、環状化合物(A)は下記式(21−3)で示される化合物であることが、安全溶媒溶解性が高く、感放射線性組成物にした際の保存安全性に優れるため、特に好ましい。
【0168】
【化51】

【0169】
前記環状化合物(A)の全構成原子数に対するハロゲン原子数の割合は0.1〜60%であることが好ましく、0.1〜40%であることがより好ましく、0.1〜20%であることがさらに好ましく、0.1〜10%であることが特に好ましく、1〜5%であることが最も好ましい。上記範囲内であると、放射線に対する感度を上げつつ、成膜性を維持することができる。また安全溶媒溶解性を向上しうる。
前記環状化合物(A)の全構成原子数に対する窒素原子数の割合は0.1〜40%であることが好ましく、0.1〜20%であることがより好ましく、0.1〜10%であることがさらに好ましく、0.1〜5%であることが特に好ましい。上記範囲内であると、得られるレジストパターンのラインエッジラフネスを減らすことができる。また窒素原子としては、二級アミンまたは三級アミンに含まれる窒素原子であることが好ましく、三級アミンに含まれる窒素原子であることがより好ましい。
【0170】
環状化合物(A)は、スピンコートによりアモルファス膜を形成することができる。また一般的な半導体製造プロセスに適用することができる。
環状化合物(A)のアモルファス膜の23℃における2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に対する溶解速度は、10Å/sec以上が好ましく、10〜10000Å/secがより好ましく、100〜1000Å/secがさらに好ましい。10Å/sec以上であると、アルカリ現像液に溶解し、レジストとすることができる。また10000Å/sec以下の溶解速度を有すると、解像性が向上する場合もある。これは、環状化合物(A)の露光前後の溶解性の変化により、アルカリ現像液に溶解する未露光部と、アルカリ現像液に溶解しない露光部との界面のコントラストが大きくなるからと推測される。またLERの低減、ディフェクトの低減効果がある。
【0171】
本発明の感放射線性組成物の固形成分は、スピンコートによりアモルファス膜を形成することができる。本発明の感放射線性組成物の固形成分をスピンコートして形成したアモルファス膜の23℃における2.38質量%TMAH水溶液に対する溶解速度は、10Å/sec以上が好ましく、10〜10000Å/secがより好ましく、100〜1000Å/secがさらに好ましい。10Å/sec以上であると、アルカリ現像液に溶解し、レジストとすることができる。また10000Å/sec以下の溶解速度を有すると、解像性が向上する場合もある。これは、環状化合物(A)の露光前後の溶解性の変化により、アルカリ現像液に溶解する未露光部と、アルカリ現像液に溶解しない露光部との界面のコントラストが大きくなるからと推測される。またLERの低減、ディフェクトの低減効果がある。
【0172】
本発明の感放射線性組成物の固形成分をスピンコートして形成したアモルファス膜のKrFエキシマレーザー、極端紫外線、電子線またはX線等の放射線により露光した部分の23℃における2.38質量%TMAH水溶液に対する溶解速度は、5Å/sec以下が好ましく、0.05〜5Å/secがより好ましく、0.0005〜5Å/secがさらに好ましい。5Å/sec以下であるとアルカリ現像液に不溶で、レジストとすることができる。また0.0005Å/sec以上の溶解速度を有すると、解像性が向上する場合もある。これは、前記環状化合物(A)のミクロの表面部位が溶解し、LERを低減するからと推測される。またディフェクトの低減効果がある。
【0173】
本発明の感放射線性組成物において、好ましくは固形成分1〜80重量%および溶媒20〜99重量%であり、より好ましくは固形成分1〜50重量%および溶媒50〜99重量%、さらに好ましくは固形成分2〜40重量%および溶媒60〜98重量%であり、特に好ましくは固形成分2〜10重量%および溶媒90〜98重量%である。環状化合物(A)の量は、固形成分全重量の50重量%以上であり、好ましくは65重量%以上、より好ましくは81重量%以上である。上記配合割合であると、高解像度が得られ、ラインエッジラフネスが小さくなる。
【0174】
本発明の組成物は、可視光線、紫外線、エキシマレーザー、電子線、極端紫外線(EUV)、X線、およびイオンビームから選ばれるいずれかの放射線の照射により直接的又は間接的に酸を発生する酸発生剤(C)を一種以上含むことが好ましい。酸発生剤の使用量は、固形成分全重量(環状化合物(A)、酸発生剤(C)、酸架橋剤(G)、酸拡散制御剤(E)および、その他の成分(F)などの任意に使用される固形成分の総和、以下同様)の0.001〜50重量%が好ましく、1〜40重量%がより好ましく、3〜30重量%がさらに好ましい。上記範囲内で使用することにより、高感度でかつ低エッジラフネスのパターンプロファイルが得られる。本発明では、系内に酸が発生すれば、酸の発生方法は限定されない。g線、i線などの紫外線の代わりにエキシマレーザーを使用すれば、より微細加工が可能であるし、また高エネルギー線として電子線、極端紫外線、X線、イオンビームを使用すれば更に微細加工が可能である。
前記酸発生剤(C)は、感放射線性組成物Aについて前述したものと同様である。
【0175】
本発明の感放射線性組成物は、酸架橋剤(G)を一種以上含むことが好ましい。酸架橋剤(G)とは、酸発生剤(C)から発生した酸の存在下で、環状化合物(A)を分子内又は分子間架橋し得る化合物である。このような酸架橋剤(G)としては、例えば環状化合物(A)との架橋反応性を有する1種以上の置換基(以下、「架橋性置換基」という。)を有する化合物を挙げることができる。
【0176】
このような架橋性置換基の具体例としては、例えば(i)ヒドロキシ(C1−C6アルキル基)、C1−C6アルコキシ(C1−C6アルキル基)、アセトキシ(C1−C6アルキル基)等のヒドロキシアルキル基またはそれらから誘導される置換基;(ii)ホルミル基、カルボキシ(C1−C6アルキル基)等のカルボニル基またはそれらから誘導される置換基;(iii)ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基、ジメチロールアミノメチル基、ジエチロールアミノメチル基、モルホリノメチル基等の含窒素基含有置換基;(iv)グリシジルエーテル基、グリシジルエステル基、グリシジルアミノ基等のグリシジル基含有置換基;(v)ベンジルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基等の、C1−C6アリルオキシ(C1−C6アルキル基)、C1−C6アラルキルオキシ(C1−C6アルキル基)等の芳香族基から誘導される置換基;(vi)ビニル基、イソプロペニル基等の重合性多重結合含有置換基等を挙げることができる。本発明の酸架橋剤(G)の架橋性置換基としては、ヒドロキシアルキル基、およびアルコキシアルキル基等が好ましく、特にアルコキシメチル基が好ましい。
【0177】
前記架橋性置換基を有する酸架橋剤(G)としては、例えば(i)メチロール基含有メラミン化合物、メチロール基含有ベンゾグアナミン化合物、メチロール基含有ウレア化合物、メチロール基含有グリコールウリル化合物、メチロール基含有フェノール化合物等のメチロール基含有化合物;(ii)アルコキシアルキル基含有メラミン化合物、アルコキシアルキル基含有ベンゾグアナミン化合物、アルコキシアルキル基含有ウレア化合物、アルコキシアルキル基含有グリコールウリル化合物、アルコキシアルキル基含有フェノール化合物等のアルコキシアルキル基含有化合物;(iii)カルボキシメチル基含有メラミン化合物、カルボキシメチル基含有ベンゾグアナミン化合物、カルボキシメチル基含有ウレア化合物、カルボキシメチル基含有グリコールウリル化合物、カルボキシメチル基含有フェノール化合物等のカルボキシメチル基含有化合物;(iv)ビスフェノールA系エポキシ化合物、ビスフェノールF系エポキシ化合物、ビスフェノールS系エポキシ化合物、ノボラック樹脂系エポキシ化合物、レゾール樹脂系エポキシ化合物、ポリ(ヒドロキシスチレン)系エポキシ化合物等のエポキシ化合物等を挙げることができる。
【0178】
酸架橋剤(G)としては、さらに、フェノール性水酸基を有する化合物、ならびにアルカリ可溶性樹脂中の酸性官能基に前記架橋性置換基を導入し、架橋性を付与した化合物および樹脂を使用することができる。その場合の架橋性置換基の導入率は、フェノール性水酸基を有する化合物、およびアルカリ可溶性樹脂中の全酸性官能基に対して、通常、5〜100モル%、好ましくは10〜60モル%、さらに好ましくは15〜40モル%に調節される。上記範囲であると、架橋反応が十分起こり、残膜率の低下、パターンの膨潤現象や蛇行等が避けられるので好ましい。
本発明の感放射線性組成物において酸架橋剤(G)は、アルコキシアルキル化ウレア化合物もしくはその樹脂、またはアルコキシアルキル化グリコールウリル化合物もしくはその樹脂が好ましい。特に好ましい酸架橋剤(G)としては、下記式(22)で示される化合物及びアルコキシメチル化メラミン化合物を挙げることができる(酸架橋剤(G1))。
【0179】
【化52】

(上記式中、Rはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、またはアシル基を表し;R〜R11はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基、アルキル基、またはアルコキシル基を示し;Xは、単結合、メチレン基、または酸素原子を示す。)
【0180】
式(22)においてRは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数2〜6のアシル基が好ましい。炭素数1〜6のアルキル基は、更に炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基が挙げられる。炭素数2〜6のアシル基は、更に炭素数2〜4のアシル基がより好ましく、例えばアセチル基、プロピオニル基が挙げられる。式(22)におけるR〜R11は、水素原子、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数1〜6のアルコキシル基が好ましい。炭素数1〜6のアルキル基は、更に炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基が挙げられる。炭素数1〜6のアルコキシル基は、更に炭素数1〜3のアルコキシル基が好ましくは、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が挙げられる。Xは、単結合、メチレン基、又は酸素原子を表し、単結合又はメチレン基が好ましい。尚、R〜R11、Xは、上記で例示した基に、更にメチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子などの置換基を有していてもよい。複数個のR、R〜R11は、各々同一でも異なっていてもよい。
【0181】
式(22−1)で表される化合物として具体的には、例えば、以下に示される化合物等を挙げることができる。
【化53】

【0182】
式(22−2)で表される化合物として具体的には、例えば、N,N,N,N−テトラ(メトキシメチル)グリコールウリル、N,N,N,N−テトラ(エトキシメチル)グリコールウリル、N,N,N,N−テトラ(n−プロポキシメチル)グリコールウリル、N,N,N,N−テトラ(イソプロポキシメチル)グリコールウリル、N,N,N,N−テトラ(n−ブトキシメチル)グリコールウリル、N,N,N,N−テトラ(t−ブトキシメチル)グリコールウリル等を挙げることができる。この中で、特に、N,N,N,N−テトラ(メトキシメチル)グリコールウリルが好ましい。
【0183】
式(22−3)で表される化合物として具体的には、例えば、以下に示される化合物等を挙げることができる。
【化54】

【0184】
アルコキシメチル化メラミン化合物として具体的には、例えば、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(メトキシメチル)メラミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(エトキシメチル)メラミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(n−プロポキシメチル)メラミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(イソプロポキシメチル)メラミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(n−ブトキシメチル)メラミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(t−ブトキシメチル)メラミン等を挙げることができる。この中で特に、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(メトキシメチル)メラミンが好ましい。
前記酸架橋剤(G1)は、例えば尿素化合物またはグリコールウリル化合物、およびホルマリンを縮合反応させてメチロール基を導入した後、さらにメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等の低級アルコール類でエーテル化し、次いで反応液を冷却して析出する化合物またはその樹脂を回収することで得られる。また前記酸架橋剤(G1)は、CYMEL(商品名、三井サイアナミッド製)、ニカラック(三和ケミカル(株)製)のような市販品としても入手することができる。
【0185】
また、他の特に好ましい酸架橋剤(G)として、分子内にベンゼン環を1〜6有し、ヒドロキシアルキル基及び/又はアルコキシアルキル基を分子内全体に2以上有し、該ヒドロキシアルキル基及び/又はアルコキシアルキル基が前記いずれかのベンゼン環に結合しているフェノール誘導体を挙げることができる(酸架橋剤(G2))。好ましくは、分子量が1500以下、分子内にベンゼン環を1〜6有し、ヒドロキシアルキル基及び/又はアルコキシアルキル基を合わせて2以上有し、該ヒドロキシアルキル基及び/又はアルコキシアルキル基が前記ベンゼン環のいずれか一、または、複数のベンゼン環に結合してなるフェノール誘導体を挙げることができる。
【0186】
ベンゼン環に結合するヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、及び2−ヒドロキシ−1−プロピル基などの炭素数1〜6のものが好ましい。ベンゼン環に結合するアルコキシアルキル基としては、炭素数2〜6のものが好ましい。具体的にはメトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、イソプロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、イソブトキシメチル基、sec−ブトキシメチル基、t−ブトキシメチル基、2−メトキシエチル基、及び、2−メトキシ−1−プロピル基が好ましい。
【0187】
これらのフェノール誘導体のうち、特に好ましいものを以下に挙げる。
【化55】

【0188】
【化56】

【0189】
【化57】

【0190】
【化58】

【0191】
【化59】

【0192】
【化60】

【0193】
上記式中、L〜Lは、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ独立して、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基又はエトキシメチル基を示す。ヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体は、対応するヒドロキシメチル基を有さないフェノール化合物(上記式においてL〜Lが水素原子である化合物)とホルムアルデヒドを塩基触媒下で反応させることによって得ることができる。この際、樹脂化やゲル化を防ぐために、反応温度を60℃以下で行うことが好ましい。具体的には、特開平6−282067号公報、特開平7−64285号公報等に記載されている方法にて合成することができる。
アルコキシメチル基を有するフェノール誘導体は、対応するヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体とアルコールを酸触媒下で反応させることによって得ることができる。この際、樹脂化やゲル化を防ぐために、反応温度を100℃以下で行うことが好ましい。具体的には、EP632003A1等に記載されている方法にて合成することができる。
【0194】
このようにして合成されたヒドロキシメチル基及び/又はアルコキシメチル基を有するフェノール誘導体は、保存時の安定性の点で好ましいが、アルコキシメチル基を有するフェノール誘導体は保存時の安定性の観点から特に好ましい。酸架橋剤(G2)は、単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0195】
また、他の特に好ましい酸架橋剤(G)として、少なくとも一つのα−ヒドロキシイソプロピル基を有する化合物を挙げることができる(酸架橋剤(G3))。α−ヒドロキシイソプロピル基を有する限り、その構造に特に限定はない。また、上記α−ヒドロキシイソプロピル基中のヒドロキシル基の水素原子を1種以上の酸解離性基(R−COO−基、R−SO−基等、Rは、炭素数1〜12の直鎖状炭化水素基、炭素数3〜12の環状炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数3〜12の1−分岐アルキル基、および炭素数6〜12の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる置換基を表す)で置換されていてもよい。上記α−ヒドロキシイソプロピル基を有する化合物としては、例えば、少なくとも1つのα−ヒドロキシイソプロピル基を含有する置換又は非置換の芳香族系化合物、ジフェニル化合物、ナフタレン化合物、フラン化合物等の1種又は2種以上が挙げられる。具体的には、例えば、下記一般式(23−1)で表される化合物(以下、「ベンゼン系化合物(1)」という。)、下記一般式(23−2)で表される化合物(以下、「ジフェニル系化合物(2)」という。)、下記一般式(23−3)で表される化合物(以下、「ナフタレン系化合物(3」という。)、及び下記一般式(23−4)で表される化合物(以下、「フラン系化合物(4)」という。)等が挙げられる。
【0196】
【化61】

【0197】
上記一般式(23−1)〜(23−4)中、各Aは独立にα−ヒドロキシイソプロピル基又は水素原子を示し、かつ少なくとも1のAがα−ヒドロキシイソプロピル基である。また、一般式(23−1)中、R51は水素原子、ヒドロキシル基、炭素数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキルカルボニル基、又は炭素数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシカルボニル基を示す。更に、一般式(23−2)中、R52は単結合、炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、−O−、−CO−、又は−COO−を示す。また、一般式(23−4)中、R53及びR54は、相互に独立に水素原子又は炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を示す。
【0198】
上記ベンゼン系化合物(1)として具体的には、例えば、α−ヒドロキシイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ベンゼン、1,4−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ベンゼン、1,2,4−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)ベンゼン、1,3,5−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)ベンゼン等のα−ヒドロキシイソプロピルベンゼン類;3−α−ヒドロキシイソプロピルフェノール、4−α−ヒドロキシイソプロピルフェノール、3,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)フェノール、2,4,6−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)フェノール等のα−ヒドロキシイソプロピルフェノール類;3−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル・メチルケトン、4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル・メチルケトン、4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル・エチルケトン、4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル・n−プロピルケトン、4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル・イソプロピルケトン、4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル・n−ブチルケトン、4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル・t−ブチルケトン、4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル・n−ペンチルケトン、3,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)フェニル・メチルケトン、3,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)フェニル・エチルケトン、2,4,6−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)フェニル・メチルケトン等のα−ヒドロキシイソプロピルフェニル・アルキルケトン類;3−α−ヒドロキシイソプロピル安息香酸メチル、4−α−ヒドロキシイソプロピル安息香酸メチル、4−α−ヒドロキシイソプロピル安息香酸エチル、4−α−ヒドロキシイソプロピル安息香酸n−プロピル、4−α−ヒドロキシイソプロピル安息香酸イソプロピル、4−α−ヒドロキシイソプロピル安息香酸n−ブチル、4−α−ヒドロキシイソプロピル安息香酸t−ブチル、4−α−ヒドロキシイソプロピル安息香酸n−ペンチル、3,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)安息香酸メチル、3,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)安息香酸エチル、2,4,6−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)安息香酸メチル等の4−α−ヒドロキシイソプロピル安息香酸アルキル類等が挙げられる。
【0199】
また、上記ジフェニル系化合物(2)として具体的には、例えば、3−α−ヒドロキシイソプロピルビフェニル、4−α−ヒドロキシイソプロピルビフェニル、3,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニル、3,3’−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニル、3,4’−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニル、4,4’−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニル、2,4,6−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニル、3,3’,5−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニル、3,4’,5−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニル、2,3’,4,6,−テトラキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニル、2,4,4’,6,−テトラキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニル、3,3’,5,5’−テトラキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニル、2,3’,4,5’,6−ペンタキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニル、2,2’,4,4’,6,6’−ヘキサキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニル等のα−ヒドロキシイソプロピルビフェニル類;3−α−ヒドロキシイソプロピルジフェニルメタン、4−α−ヒドロキシイソプロピルジフェニルメタン、1−(4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル)−2−フェニルエタン、1−(4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル)−2−フェニルプロパン、2−(4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル)−2−フェニルプロパン、1−(4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル)−3−フェニルプロパン、1−(4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル)−4−フェニルブタン、1−(4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル)−5−フェニルペンタン、3,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピルジフェニルメタン、3,3’−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルメタン、3,4’−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルメタン、4,4’−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルメタン、1,2−ビス(4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル)エタン、1,2−ビス(4−α−ヒドロキシプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−α−ヒドロキシプロピルフェニル)プロパン、1,3−ビス(4−α−ヒドロキシプロピルフェニル)プロパン、2,4,6−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルメタン、3,3’,5−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルメタン、3,4’,5−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルメタン、2,3’,4,6−テトラキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルメタン、2,4,4’,6−テトラキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルメタン、2,3’,4,5’,6−ペンタキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルメタン、2,2’,4,4’,6,6’−ヘキサキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルメタン等のα−ヒドロキシイソプロピルジフェニルアルカン類;3−α−ヒドロキシイソプロピルジフェニルエーテル、4−α−ヒドロキシイソプロピルジフェニルエーテル、3,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルエーテル、3,3’−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルエーテル、2,4,6−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルエーテル、3,3’,5−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルエーテル、3,4’,5−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルエーテル、2,3’ ,4,6−テトラキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルエーテル、2,4,4’,6−テトラキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルエーテル、3,3’,5,5’−テトラキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルエーテル、2,3’,4,5’,6−ペンタキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルエーテル、2,2’,4,4’,6,6’−ヘキサキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルエーテル等のα−ヒドロキシイソプロピルジフェニルエーテル類;3−α−ヒドロキシイソプロピルジフェニルケトン、4−α−ヒドロキシイソプロピルジフェニルケトン、3,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルケトン、3,3’−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルケトン、3,4’−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルケトン、4,4’−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルケトン、2,4,6−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルケトン、3,3’,5−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルケトン、3,4’,5−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルケトン、2,3’,4,6−テトラキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルケトン、2,4,4’,6−テトラキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルケトン、3,3’,5,5’−テトラキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルケトン、2,3’,4,5’,6−ペンタキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルケトン、2,2’,4,4’,6,6’−ヘキサキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルケトン等のα−ヒドロキシイソプロピルジフェニルケトン類;3−α−ヒドロキシイソプロピル安息香酸フェニル、4−α−ヒドロキシイソプロピル安息香酸フェニル、安息香酸3−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル、安息香酸4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル、3,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)安息香酸フェニル、3−α−ヒドロキシイソプロピル安息香酸3−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル、3−α−ヒドロキシイソプロピル安息香酸4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル、4−α−ヒドロキシイソプロピル安息香酸3−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル、4−α−ヒドロキシイソプロピル安息香酸4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル、安息香酸3,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)フェニル、2,4,6−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)安息香酸フェニル、3,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)安息香酸3−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル、3,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)安息香酸4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル、3−α−ヒドロキシイソプロピル安息香酸3,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)フェニル、4−α−ヒドロキシイソプロピル安息香酸3,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)フェニル、安息香酸2,4,6−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)フェニル、2,4,6−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)安息香酸3−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル、2,4,6−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)安息香酸4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル、3,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)安息香酸3,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)フェニル、3−α−ヒドロキシイソプロピル安息香酸2,4,6−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)フェニル、4−α−ヒドロキシイソプロピル安息香酸2,4,6−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)フェニル、2,4,6−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)安息香酸3,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)フェニル、3,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)安息香酸2,4,6−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)フェニル、2,4,6−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)安息香酸2,4,6−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)フェニル等のα−ヒドロキシイソプロピル安息香酸フェニル類等が挙げられる。
【0200】
更に、上記ナフタレン系化合物(3)として具体的には、例えば、1−(α−ヒドロキシイソプロピル)ナフタレン、2−(α−ヒドロキシイソプロピル)ナフタレン、1,3−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ナフタレン、1,4−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ナフタレン、1,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ナフタレン、1,6−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ナフタレン、1,7−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ナフタレン、2,6−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ナフタレン、2,7−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ナフタレン、1,3,5−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)ナフタレン、1,3,6−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)ナフタレン、1,3,7−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)ナフタレン、1,4,6−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)ナフタレン、1,4,7−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)ナフタレン、1,3,5,7−テトラキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ナフタレン等が挙げられる。
【0201】
また、上記フラン系化合物(4)として具体的には、例えば、3−(α−ヒドロキシイソプロピル)フラン、2−メチル−3−(α−ヒドロキシイソプロピル)フラン、2−メチル−4−(α−ヒドロキシイソプロピル)フラン、2−エチル−4−(α−ヒドロキシイソプロピル)フラン、2−n−プロピル−4−(α−ヒドロキシイソプロピル)フラン、2−イソプロピル−4−(α−ヒドロキシイソプロピル)フラン、2−n−ブチル−4−(α−ヒドロキシイソプロピル)フラン、2−t−ブチル−4−(α−ヒドロキシイソプロピル)フラン、2−n−ペンチル−4−(α−ヒドロキシイソプロピル)フラン、2,5−ジメチル−3−(α−ヒドロキシイソプロピル)フラン、2,5−ジエチル−3−(α−ヒドロキシイソプロピル)フラン、3,4−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)フラン、2,5−ジメチル−3,4−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)フラン、2,5−ジエチル−3,4−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)フラン等を挙げることができる。
【0202】
上記酸架橋剤(G3)としては、遊離のα−ヒドロキシイソプロピル基を2以上有する化合物が好ましく、α−ヒドロキシイソプロピル基を2以上有する前記ベンゼン系化合物(1)、α−ヒドロキシイソプロピル基を2以上有する前記ジフェニル系化合物(2)、α−ヒドロキシイソプロピル基を2個以上有する前記ナフタレン系化合物(3)が更に好ましく、α−ヒドロキシイソプロピル基を2個以上有するα−ヒドロキシイソプロピルビフェニル類、α−ヒドロキシイソプロピル基を2個以上有するナフタレン系化合物(3)が特に好ましい。
上記酸架橋剤(G3)は、通常、1,3−ジアセチルベンゼン等のアセチル基含有化合物に、CHMgBr等のグリニヤール試薬を反応させてメチル化した後、加水分解する方法や、1,3−ジイソプロピルベンゼン等のイソプロピル基含有化合物を酸素等で酸化して過酸化物を生成させた後、還元する方法により得ることができる。
【0203】
本発明において酸架橋剤(G)の配合割合は、上記環状化合物(A)100重量部あたり0.5〜70重量部、好ましくは0.5〜40重量部、より好ましくは1〜30重量部である。上記酸架橋剤(G)の配合割合を0.5重量部以上とすると、レジスト膜のアルカリ現像液に対する溶解性の抑制効果を向上させ、残膜率が低下したり、パターンの膨潤や蛇行が生じるのを抑制することができるので好ましく、一方、70重量部以下とすると、レジストとしての耐熱性の低下を抑制できることから好ましい。
【0204】
また、上記酸架橋剤(G)中の上記酸架橋剤(G1)、酸架橋剤(G2)、酸架橋剤(G3)から選ばれる少なくとも1種の化合物の配合割合も特に限定はなく、レジストパターンを形成する際に使用される基板の種類等によって種々の範囲とすることができる。
全酸架橋剤成分において、上記アルコキシメチル化メラミン化合物及び/又は(23−1)〜(23−3)で示される化合物が50〜99重量%、好ましくは60〜99重量%、より好ましくは70〜98重量%、更に好ましくは80〜97重量%であることが好ましい。アルコキシメチル化メラミン化合物及び/又は23−1)〜(23−3)で示される化合物を全酸架橋剤成分の50重量%以上とすることにより、解像度を向上させることができるので好ましく、99重量%以下とすることにより、パターン断面形状として矩形状の断面形状とし易いので好ましい。
【0205】
本発明においては、放射線照射により酸発生剤から生じた酸のレジスト膜中における拡散を制御して、未露光領域での好ましくない化学反応を阻止する作用等を有する酸拡散制御剤(E)を感放射線性組成物に配合しても良い。この様な酸拡散制御剤(E)を使用することにより、感放射線性組成物の貯蔵安定性が向上する。また解像度が向上するとともに、電子線照射前の引き置き時間、電子線照射後の引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れたものとなる。このような酸拡散制御剤(E)としては、窒素原子含有塩基性化合物、塩基性スルホニウム化合物、塩基性ヨードニウム化合物等の電子線放射分解性塩基性化合物が挙げられる。酸拡散制御剤は、単独でまたは2種以上を使用することができる。具体的には、前述の感放射線性組成物Aについて述べたものと同様のものが用いられる。
酸拡散制御剤(E)の配合量は、固形成分全重量の0.001〜10重量%が好ましく、0.001〜5重量%がより好ましく、0.001〜3重量%がさらに好ましい。上記範囲内であると、解像度の低下、パターン形状、寸法忠実度等の劣化を防止することができる。さらに、電子線照射から放射線照射後加熱までの引き置き時間が長くなっても、パターン上層部の形状が劣化することがない。また、配合量が10重量%以下であると、感度、未露光部の現像性等の低下を防ぐことができる。またこの様な酸拡散制御剤を使用することにより、レジスト組成物の貯蔵安定性が向上し、また解像度が向上するとともに、放射線照射前の引き置き時間、放射線照射後の引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れたものとなる。
【0206】
本発明のレジスト組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で、必要に応じて、その他の成分(F)として、溶解促進剤、溶解制御剤、増感剤、界面活性剤、及び有機カルボン酸またはリンのオキソ酸もしくはその誘導体等の各種添加剤を1種又は2種以上添加することができる。
低分子量溶解促進剤
低分子量溶解促進剤は、環状化合物(A)のアルカリ等の現像液に対する溶解性が低すぎる場合に、その溶解性を高めて、現像時の環状化合物(A)の溶解速度を適度に増大させる作用を有する成分であり、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。前記溶解促進剤としては、例えば、低分子量のフェノール性化合物を挙げることができ、例えば、ビスフェノール類、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン等を挙げることができる。これらの溶解促進剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。溶解促進剤の配合量は、使用する前記環状化合物(A)の種類に応じて適宜調節されるが、環状化合物(A)と低分子量溶解促進剤の総和が固形成分の全重量の50〜99.999重量%、好ましくは60〜99重量%、より好ましくは70〜99重量%、さらに好ましくは80〜99重量%となる量である。
溶解制御剤、増感剤、界面活性剤、及び有機カルボン酸またはリンのオキソ酸もしくはその誘導体等の各種添加剤については前述の感放射線性組成物Aについて述べたものと同様のものが使用できる。
【0207】
本発明の感放射線性レジスト組成物の配合(環状化合物(A)/酸発生剤(C)/酸架橋剤(G)/酸拡散制御剤(E)/任意成分(F))は、固形物基準の重量%で、好ましくは3〜96.9/0.1〜30/3〜65/0.01〜30/0〜93.9、より好ましくは65〜96.9/0.1〜30/0.3〜34.9/0.01〜30/0〜30、より好ましくは65〜96.9/0.1〜30/0.3〜34.9/0.01〜30/0〜10、更に好ましくは65〜96.9/0.1〜30/0.6〜34.9/0.01〜30/0〜5、更に好ましくは65〜96.9/0.1〜30/0.6〜30/0.01〜30/0である。上記配合にすると、感度、解像度、アルカリ現像性等の性能に優れる。
任意成分(F)を含まない場合、本発明の感放射線性レジスト組成物中の全固形物の組成は、(A)3〜96.9重量%、(C)0.1〜30重量%、(G)0.3〜96.9重量%、(E)0.01〜30重量%、((A)+(C)+(G)+(E)=100重量%)が好ましく、(A)65〜96.9重量%、(C)0.1〜32重量%、(G)0.3〜34.9重量%、(E)0.01〜30重量%、((A)+(C)+(G)+(E)=100重量%)がより好ましく、(A)70〜96.9重量%、(C)0.1〜27重量%、(G)3.0〜29.9重量%、(E)0.01〜30重量%、((A)+(C)+(G)+(E)=100重量%)がさら好ましく、(A)80〜96.9重量%、(C)0.1〜17重量%、(G)3.0〜19.9重量%(E)0.01〜30重量%、((A)+(C)+(G)+(E)=100重量%)が特に好ましく、(A)90〜96.9重量%、(C)0.1〜7重量%、(G)3.0〜9.9重量%、(E)0.01〜30重量%、((A)+(C)+(G)+(E)=100重量%)が最も好ましい。上記範囲内にすることで、感度、解像度、アルカリ現像性等の性能に優れる。
【0208】
本発明の感放射線性組成物は、通常は、使用時に各成分を溶媒に溶解して均一溶液とし、その後、必要に応じて、例えば孔径0.2μm程度のフィルター等でろ過することにより調製される。
本発明の感放射線性組成物の調製に使用される前記溶媒としては、前述の感放射線性組成物Aについて述べたものと同様のものが使用できる。
本発明の感放射線組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で、アルカリ水溶液に可溶である樹脂を含むことができる。アルカリ水溶液に可溶である樹脂としては、ノボラック樹脂、ポリビニルフェノール類、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、スチレン−無水マレイン酸樹脂、およびアクリル酸、ビニルアルコール、またはビニルフェノールを単量体単位として含む重合体、あるいはこれらの誘導体などが挙げられる。アルカリ水溶液に可溶である樹脂の配合量は、使用するレジスト化合物の種類に応じて適宜調節されるが、上記環状ポリフェノール化合物(A)100重量部当たり、30重量部以下が好ましく、より好ましくは10重量部以下、さらに好ましくは5重量部以下、特に好ましくは0重量部である。
【0209】
(レジストパターンの形成方法)
本発明は、上記本発明の感放射線性組成物A〜Bのいずれかを用いて、基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法に関する。
レジストパターンを形成するには、まず、シリコンウエハー、アルミニウムで被覆されたウエハー等の基板上に前記本発明の感放射線性組成物を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の塗布手段によって塗布することによりレジスト膜を形成する。必要に応じて、基板上にヘキサメチレンジシラザン等の表面処理剤を予め塗布しても良い。
【0210】
またArF及びKrFリソグラフィー等で使用される半導体反射防止コーティング剤ARC等のボトムアンチリフラクティブコーティング(BARC)を予め塗布しておくことがより好ましい。BARCを使用することにより、レジストパターンの密着性が向上し、レジストパターンの解像度が上がる場合がある。
BARCとしては、一般的に、吸光性物質と高分子化合物とからなる有機反射防止膜が知られており、例えば、架橋反応により作られるヒドロキシル基と吸光基を同一分子内に有するアクリル樹脂型反射防止膜 、同じく架橋反応により形成されるヒドロキシル基と吸光基を同一分子内に有するノボラック樹脂型反射防止膜、シアヌル酸若しくはその誘導体又はこれらから誘導される構造単位を含む前記樹脂型反射防止膜等が挙げられる。吸光性基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラシル基等が挙げられる。
次いで、必要に応じ、塗布した基板を加熱する。加熱条件は、感放射線性組成物の配合組成等により変わるが、20〜250℃が好ましく、より好ましくは20〜150℃である。加熱することによって、レジストの基板に対する密着性が向上する場合があり好ましい。次いで、可視光線、紫外線、エキシマレーザー、電子線、極端紫外線(EUV)、X線、およびイオンビームからなる群から選ばれるいずれかの放射線により、レジスト膜を所望のパターンに露光する。露光条件等は、感放射線性レジスト組成物の配合組成等に応じて適宜選定される。本発明においては、露光における高精度の微細パターンを安定して形成するために、放射線照射後に加熱するのが好ましい。加熱条件は、感放射線性レジスト組成物の配合組成等により変わるが、20〜250℃が好ましく、より好ましくは20〜150℃である。
【0211】
次いで、露光されたレジスト膜をアルカリ現像液で現像することにより、所定のレジストパターンを形成する。前記アルカリ現像液としては、例えば、モノ−、ジ−あるいはトリアルキルアミン類、モノ−、ジ−あるいはトリアルカノールアミン類、複素環式アミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン等のアルカリ性化合物の1種以上を、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは1〜5質量%の濃度となるように溶解したアルカリ性水溶液が使用される。上記アルカリ性水溶液の濃度が10質量%以下とすると、露光部が現像液に溶解することを抑制することが出来るので好ましい。
また、前記アルカリ現像液には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類や前記界面活性剤を適量添加することもできる。これらのうちイソプロピルアルコールを10〜30質量%添加することが特に好ましい。これにより、レジストに対する現像液の濡れ性を高めることが出来るので好ましい。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を用いた場合は、一般に、現像後、水で洗浄する。
【0212】
レジストパターンを形成した後、エッチングすることによりパターン配線基板が得られる。エッチングの方法はプラズマガスを使用するドライエッチングおよびアルカリ溶液、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液等によるウェットエッチングなど公知の方法で行うことが出来る。
レジストパターンを形成した後、めっきを行うことも出来る。上記めっき法としては、例えば、銅めっき、はんだめっき、ニッケルめっき、金めっきなどがある。
エッチング後の残存レジストパターンは有機溶剤や現像に用いたアルカリ水溶液より強アルカリ性の水溶液で剥離することが出来る。上記有機溶剤として、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート),PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル),EL(乳酸エチル)等が挙げられ、強アルカリ水溶液としては、例えば1〜20質量%の水酸化ナトリウム水溶液や1〜20質量%の水酸化カリウム水溶液が挙げられる。上記剥離方法としては、例えば、浸漬方法、スプレイ方式等が挙げられる。またレジストパターンが形成された配線基板は、多層配線基板でも良く、小径スルーホールを有していても良い。
本発明で得られる配線基板は、レジストパターン形成後、金属を真空中で蒸着し、その後レジストパターンを溶液で溶かす方法、すなわちリフトオフ法により形成することもできる。
【0213】
(多層プロセスによるレジストパターンの形成方法)
本発明は、下地材形成材料を用いて基板上に下層膜を形成する工程、下層膜上にシリカ系の無機膜からなる中間膜を形成する工程、中間膜上に上記本発明の感放射線性組成物A〜Bのいずれかを用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程、そのレジストパターンをマスクとして中間膜をエッチングすることでパターンを転写する工程、およびパターン化された中間膜をマスクとして下層膜を酸素プラズマエッチングし基板上にパターンを形成する工程を含む多層プロセスによるレジストパターン形成方法に関する。
【0214】
下層膜の形成方法は下地材形成材料をスピンコート後、有機溶媒を揮発し、上層の膜とミキシング防止のため、架橋反応を促進させるためにベークをすることが望ましい。ベーク温度は80〜300℃の範囲内で200〜300℃特に好ましく、ベーク時間は10〜300秒の範囲内が好ましく用いられる。なお、この下層膜の厚さは適宜選定されるが、30〜20,000nm、特に50〜15,000nmとすることが好ましい。
【0215】
下層膜を作製した後、その上に珪素含有中間層形成材料を回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の塗布手段によって塗布またはChemical Vapour Deposition(CVD)法により珪素含有中間膜を形成する。更にその上に本発明の感放射線性組成物を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の塗布手段によって塗布することによりレジスト膜を形成する。
【0216】
この場合、下地材形成材料および珪素含有中間層形成材料としては公知のものを使用することができるが、例えば下地材形成材料としては、ポリヒドロキシスチレンとアクリル酸エステルの共重合体、ナフトール共縮合ノボラック樹脂、ポリビニルナフタレン樹脂、アセナフチレン重合体、ナフトール共縮合ノボラック樹脂とアクリル樹脂とのブレンド樹脂、インデンとヒドロキシ基もしくはエポキシ基を有する共に2重結合を有する化合物とを共重合してなる樹脂、ノボラック樹脂にフルオレンビスフェノールを共重合してなる樹脂等が挙げられ、珪素含有中間層形成材料としては、酸素ガスエッチング耐性の点から、ベースポリマーとしてポリシルセスキオキサン誘導体又はビニルシラン誘導体等の珪素原子含有ポリマー等が挙げられ、更に有機溶媒、酸発生剤、必要により塩基性化合物等を含むポジ型のフォトレジスト組成物が挙げられる。またCVD法で形成した中間層としてはSiON膜が挙げられる。
【0217】
レジスト層は、本発明の感放射線性組成物を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の塗布手段によって塗布することによりレジスト膜を形成する。必要に応じて、基板上にヘキサメチレンジシラザン等の表面処理剤を予め塗布してもよい。
【0218】
次いで、必要に応じ、塗布した基板を加熱する。加熱条件は、感放射線性組成物の配合組成等により変わるが、20〜250℃が好ましく、より好ましくは20〜150℃である。加熱することによって、レジストの基板に対する密着性が向上する場合があり好ましい。次いで、可視光線、紫外線、エキシマレーザー、電子線、極端紫外線(EUV)、X線、およびイオンビームからなる群から選ばれるいずれかの放射線により、レジスト膜を所望のパターンに露光する。露光条件等は、感放射線性レジスト組成物の配合組成等に応じて適宜選定される。本発明においては、露光における高精度の微細パターンを安定して形成するために、放射線照射後に加熱するのが好ましい。加熱条件は、感放射線性レジスト組成物の配合組成等により変わるが、20〜250℃が好ましく、より好ましくは20〜150℃である。
【0219】
次いで、露光されたレジスト膜をアルカリ現像液で現像することにより、所定のレジストパターンを形成する。前記アルカリ現像液としては、例えば、モノ−、ジ−あるいはトリアルキルアミン類、モノ−、ジ−あるいはトリアルカノールアミン類、複素環式アミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン等のアルカリ性化合物の1種以上を、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは1〜5質量%の濃度となるように溶解したアルカリ性水溶液が使用される。上記アルカリ性水溶液の濃度が10質量%以下とすると、露光部が現像液に溶解することを抑制することが出来るので好ましい。
【0220】
また、前記アルカリ現像液には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類や前記界面活性剤を適量添加することもできる。これらのうちイソプロピルアルコールを10〜30質量%添加することが特に好ましい。これにより、レジストに対する現像液の濡れ性を高めることが出来るので好ましい。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を用いた場合は、一般に、現像後、水で洗浄する。
【0221】
次に、得られたレジストパターンをマスクにしてエッチングを行う。3層プロセスにおける中間層のエッチングは、フロン系のガスを用いてレジストパターンをマスクにして中間層の加工を行う。次いで酸素ガスを用いて、中間層パターンをマスクにして下層膜のエッチングを行う。酸素ガスに加えて、He、Arなどの不活性ガスや、CO、CO2、NH3、SO2、N2、NO2、H2ガスを加えることも可能であり、酸素ガスを用いないで、CO、CO2、NH3、N2、NO2、H2ガスだけでエッチングを行うこともできる。特に後者のガスはパターン側壁のアンダーカット防止のための側壁保護のために用いられる。
【0222】
次の被加工基板のエッチングも、常法によって行うことができ、例えば基板がSiO2、SiNであればフロン系ガスを主体としたエッチング、p−SiやAl、Wでは塩素系、臭素系ガスを主体としたエッチングを行う。基板加工をフロン系ガスでエッチングした場合、3層プロセスの珪素含有中間層は基板加工と同時に剥離される。塩素系、臭素系ガスで基板をエッチングした場合は、珪素含有中間層の剥離は基板加工後にフロン系ガスによるドライエッチング剥離を別途行う必要がある。
【0223】
なお、被加工基板としては、基板上に形成される。基板としては、特に限定されるものではなく、Si、α−Si、p−Si、SiO2、SiN、SiON、W、TiN、Al等で被加工膜(被加工基板)と異なる材質のものが用いられる。被加工膜としては、Si、SiO2、SiON、SiN、p−Si、α−Si、W、W−Si、Al、Cu、Al−Si等種々のLow−k膜及びそのストッパー膜が用いられ、通常50〜10,000nm、特に100〜5,000nm厚さに形成し得る。
【実施例】
【0224】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に限定はされない。以下の合成例、実施例において、化合物の構造はH−NMR測定で確認した。
【0225】
<合成例1> 環状化合物(A)の合成
CR−1の合成
十分乾燥し、窒素置換した滴下漏斗、ジム・ロート氏冷却管、温度計、攪拌翼を設置した四つ口フラスコ(1000L)に、窒素気流下で、関東化学社製レゾルシノール(22g、0.2mol)と、4−イソプロピルベンズアルデヒド(29.6g,0.2mol)と、脱水エタノール(200ml)を投入し、エタノール溶液を調整した。この溶液を攪拌しながらマントルヒーターで85℃まで加熱した。次いで濃塩酸(35%)75mlを、滴下漏斗により30分かけて滴下した後、引き続き85℃で3時間攪拌した。反応終了後、放冷し、室温に到達させた後、氷浴で冷却した。1時間静置後、淡黄色の目的粗結晶が生成し、これを濾別した。粗結晶をメタノール500mlで2回洗浄し、濾別、真空乾燥させることにより、目的生成物(以下、CR−1と示す)(45.6g、収率95%)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量960を示した。また重ジメチルスルホキシド溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.1〜1.2(m,24H)、2.6〜2.7(m,4H)、5.5(s,4H)、6.0〜6.8(m,24H)、8.4,8.5(d,8H)であった。
【0226】
【化62】

(CR−1)
【0227】
CR−2の合成
CR−1の合成例における4−イソプロピルベンズアルデヒドを4−ノルマルプロピルベンズアルデヒドに代えた以外はCR−1と同様に合成した。その結果、CR−2(45.6g、収率95%)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量960を示した。また得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は0.9〜1.0(m,12H)、1.4〜1.6(m,8H)、2.3〜2.5(m,8H)、5.5(s,4H)、6.0〜6.8(m,24H)、8.4,8.5(d,8H)であった。
【0228】
【化63】

(CR−2)
【0229】
CR−3の合成
CR−1の合成例における4−イソプロピルベンズアルデヒドの内、半分molを4−ノルマルプロピルベンズアルデヒドに代えた以外はCR−1と同様に合成した。その結果、CR−3(45.6g)を得た。この化合物をLC−MSで分析した結果、目的物の分子量960を示した。また得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は0.9〜1.2(m,36H)、1.4〜1.6(m,8H)、2.3〜2.7(m,12H)、5.5(d,8H)、6.0〜6.8(m,48H)、8.4,8.5(m,16H)であった。
【0230】
【化64】

(CR−3)
【0231】
CR−4の合成
CR−1の合成例における4−イソプロピルベンズアルデヒドの内、1/4molをブロモベンズアルデヒドに代えた以外はCR−1と同様に合成した。その結果、CR−4 45.5gを得た。また得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.1〜1.2(m,18H)、2.6〜2.7(m,3H)、5.5(m,4H)、6.0〜6.8(m,24H)、8.4〜8.5(m,8H)であった。
H−NMRのケミカルシフト値から、CR−4の全構成原子数に対する臭素原子数の割合は0.8%と示唆された。
【0232】
【化65】

(CR−4)
【0233】
CR−5の合成
CR−1の合成例における4−イソプロピルベンズアルデヒドの内、1/4molをブロモベンズアルデヒドに、1/8molをジメチルアミノベンズアルデヒド代えた以外はCR−1と同様に合成した。その結果、CR−5 45.5gを得た。
また得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.1〜1.2(m,30H)、2.6〜2.7(m,5H)、2.9(m,6H)、5.5(m,8H)、6.0〜6.8(m,48H)、8.4,8.5(m,16H)であった。
H−NMRのケミカルシフト値から、CR−5の全構成原子数に対する臭素原子数の割合は0.8%であり、窒素原子数の割合は0.4%あった。
【0234】
【化66】

(CR−5)
【0235】
CR−6の合成
CR−1の合成例における4−イソプロピルベンズアルデヒドを2,4−ジメチルベンズアルデヒドに代えた以外はCR−1と同様に合成した。その結果、CR−6((44.3g、収率98%)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量904を示した。また得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.4〜1.6(d,12H)、2.1〜2.2(d,12H)、5.6(t,4H)、6.1〜6.5(m,20H)、8.3−8.5(m,8H)であった。
【0236】
【化67】

(CR−6)
【0237】
CR−7の合成
CR−1の合成例における4−イソプロピルベンズアルデヒドをイソブチルベンズアルデヒドに代えた以外はCR−1と同様に合成した。その結果、CR−7(49.0g、収率96%)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1017を示した。また得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は0.8〜0.9(m,24H)、1.6〜1.7(m,4H)、2.3〜2.4(m,8H)、5.5(d,4H)、5.8〜6.8(m,24H)、8.4〜8.6(t,8H)であった。
【0238】
【化68】

(CR−7)
【0239】
CR−8の合成
CR−1の合成例における4−イソプロピルベンズアルデヒドをビフェニルアルデヒドに代えた以外はCR−1と同様に合成した。その結果、CR−8(53.5g、収率98%)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1096を示した。また得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は5.6−5.8(d,4H)、6.0−7.4(m,44H)、8.6−8.7(t,8H)であった。
【0240】
【化69】

(CR−8)
【0241】
CR−9の合成
CR−1の合成例における4−イソプロピルベンズアルデヒドを3−ブロモ−4−メチルベンズアルデヒドに代えた以外はCR−1と同様に合成した。その結果、CR−9(56.3g、収率97%)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1160を示した。また得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は2.3(d,12H)、6.0−7.4(m,24H)、8.6−8.7(t,8H)であった。
H−NMRのケミカルシフト値から、CR−9の全構成原子数に対する臭素原子数の割合は3.6%と示唆された。
【0242】
【化70】

(CR−9)
【0243】
CR−10の合成
CR−1の合成例における4−イソプロピルベンズアルデヒドを5−ブロモ−2,4−ジメチルベンズアルデヒドに代えた以外はCR−1と同様に合成した。その結果、CR−10(57.8g、収率95%)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1216を示した。また得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は2.3(m,24H)、6.0−7.4(m,20H)、8.6−8.7(t,8H)であった。
H−NMRのケミカルシフト値から、CR−10の全構成原子数に対する臭素原子数の割合は3.2%と示唆された。
【0244】
【化71】

(CR−10)
【0245】
CR−14の合成
CR−1の合成例における4−イソプロピルベンズアルデヒドを5−ブロモ−2,4−ジメチルベンズアルデヒドに、レゾルシノールを2−ブロモ−1,3−ベンゼンジオールに代えた以外はCR−1と同様に合成した。その結果、CR−14(32g、収率50%)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1272を示した。また得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.1〜1.2(m,24H)、2.6〜2.7(m,4H)、5.5(s,4H)、6.0〜6.8(m,20H)、8.4,8.5(d,8H)であった。
H−NMRのケミカルシフト値から、CR−14の全構成原子数に対する臭素原子数の割合は2.9%と示唆された。
【0246】
【化72】

(CR−14)
【0247】
CP−1の合成
CR−1の合成例におけるレゾルシノールをピロガロールに代えた以外はCR−1と同様に合成した。その結果、CP−1(49.9g、収率97%)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1024を示した。また得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は0.9〜1.2(m,24H)、2.6〜2.7(m,4H)、5.5(s,4H)、6.0〜6.8(m,20H)、8.4−8.5(m,12H)であった。
【0248】
【化73】

(CP−1)
【0249】
CP−2の合成
CR−1の合成例における4−イソプロピルベンズアルデヒドを4−ビフェニルアルデヒドに代え、レゾルシノールをピロガロールに代えた以外はCR−1と同様に合成した。その結果、CP−2(55.8g、収率96%)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1160を示した。また得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は5.6−5.8(d,4H)、6.0−7.4(m,40H)、8.6−8.7(m,12H)であった。
【0250】
【化74】

(CP−2)
【0251】
<合成例2>環状化合物(B)の合成
BOC50CR−1の合成
十分乾燥し、窒素置換した滴下漏斗、ジム・ロート氏冷却管、温度計、攪拌翼を設置した四つ口フラスコ(1000L)に、窒素気流下で、合成例1で合成したCR−1 9.6g(10mmol)と、4,4’−ジメチルアミノピリジン0.1g(1mmol)および500mlアセトンからなる溶液に、ジ−t−ブチルジカーボネート8.7g(40mmol)を滴下した。反応液を1時間室温で撹拌した。反応終了後、溶媒を除去し、得られた固体を、ヘキサン/酢酸エチル=1/3の混合溶媒を用い、カラムクロマトで精製した。フェノール性水酸基の50mol%がt−ブトキシカルボニル基で置換されたBOC50CR−1 13.0gを得た。
得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.1〜1.3(m,60H)、2.6〜2.7(m,4H)、5.5(s,4H)、6.0〜6.8(m,24H)、8.4,8.5(d,4H)であった。
【0252】
tBu50CR−1の合成
十分乾燥し、窒素置換した滴下漏斗、ジム・ロート氏冷却管、温度計、攪拌翼を設置した四つ口フラスコ(1000L)に、窒素気流下で、合成例1で合成したCR−1 9.6g(10mmol)と、炭酸カリウム13.8g、400ml THFからなる溶液に、ブロモ酢酸t−ブチル 7.7g(40mmol)の100ml THF溶液を滴下した。反応液を1時間室温で撹拌した。反応終了後、溶媒を除去し、得られた固体を、ヘキサン/酢酸エチル=1/3の混合溶媒を用い、カラムクロマトで精製した。フェノール性水酸基の50mol%がt−ブトキシカルボニルメチル基で置換されたtBu50CR−1 12.9gを得た。
得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.1〜1.5(m,60H)、2.6〜2.7(m,4H)、5.5(s,4H)、6.0〜6.8(m,24H)、8.4,8.5(d,4H)であった。
【0253】
MAD50CR−1の合成
十分乾燥し、窒素置換した滴下漏斗、ジム・ロート氏冷却管、温度計、攪拌翼を設置した四つ口フラスコ(1000L)に、窒素気流下で、合成例1で合成したCR−1 9.6g(10mmol)と、炭酸カリウム13.8g、400ml THFからなる溶液に、ブロモ酢酸メチルアダマンチル 11.4g(40mmol)の100ml THF溶液を滴下した。反応液を1時間室温で撹拌した。反応終了後、溶媒を除去し、得られた固体を、ヘキサン/酢酸エチル=1/3の混合溶媒を用い、カラムクロマトで精製した。フェノール性水酸基の50mol%がメチルアダマンチルオキシカルボニルメチル基で置換されたMAD50CR−1 14.0gを得た。
得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.1〜2.2(m,92H)、2.6〜2.7(m,4H)、4.7(s,8H)、5.5(s,4H)、6.0〜6.8(m,24H)、8.4,8.5(d,4H)であった。
【0254】
EE50CR−1の合成
十分乾燥し、窒素置換した滴下漏斗、ジム・ロート氏冷却管、温度計、攪拌翼を設置した四つ口フラスコ(1000L)に、窒素気流下で、合成例1で合成したCR−1 9.6g(10mmol)と、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム2.5g、400ml アセトンからなる溶液に、エチルビニルエーテル 2.9g(40mmol)を滴下した。反応液を24時間室温で撹拌した。反応終了後、溶媒を除去し、得られた固体を、ヘキサン/酢酸エチル=1/3の混合溶媒を用い、カラムクロマトで精製した。フェノール性水酸基の50mol%がエトキシエチル基で置換されたEE50CR−1 11.2gを得た。
得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は0.9〜1.4(m,48H)、2.6〜2.7(m,4H)、3.3〜3.4(m,8H)、5.1(m,4H)、5.5(s,4H)、6.0〜6.8(m,24H)、8.4,8.5(d,4H)であった。
【0255】
CE50CR−1の合成
十分乾燥し、窒素置換した滴下漏斗、ジム・ロート氏冷却管、温度計、攪拌翼を設置した四つ口フラスコ(1000L)に、窒素気流下で、合成例1で合成したCR−1 9.6g(10mmol)と、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム2.5g、400ml 1,3−ジオキソランからなる溶液に、シクロヘキシルビニルエーテル 5.0g(40mmol)を滴下した。反応液を24時間室温で撹拌した。反応終了後、溶媒を除去し、得られた固体を、ヘキサン/酢酸エチル=1/3の混合溶媒を用い、カラムクロマトで精製した。フェノール性水酸基の50mol%がシクロヘキシロキシエチル基で置換されたCE50CR−1 12.2gを得た。
得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.1〜1.4(m,76H)、2.6〜2.7(m,4H)、3.5(m,4H)、5.1(m,4H)、5.5(s,4H)、6.0〜6.8(m,24H)、8.4,8.5(d,4H)であった。
【0256】
BOC50CR−2の合成
BOC50CR−1の合成例におけるCR−1をCR−2に代えた以外はBOC50CR−1と同様に合成した。その結果、フェノール性水酸基の50mol%がt−ブトキシカルボニル基で置換されたBOC50CR−2 30.0gを得た。
得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は0.9〜1.6(m,56H)、2.3〜2.5(m,8H)、5.5(s,4H)、6.0〜6.8(m,24H)、8.4,8.5(d,4H)であった。
【0257】
tBu50CR−2の合成
tBu50CR−1の合成例におけるCR−1をCR−2に代えた以外はtBu50CR−1と同様に合成した。その結果、フェノール性水酸基の50mol%がt−ブトキシカルボニルメチル基で置換されたBOC50CR−2 30.0gを得た。
得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は0.9〜1.6(m,56H)、2.3〜2.5(m,8H)、5.5(s,4H)、6.0〜6.8(m,24H)、8.4,8.5(d,4H)であった。
【0258】
MAD50CR−2の合成
MAD50CR−1の合成例におけるCR−1をCR−2に代えた以外はMAD50CR−1と同様に合成した。その結果、フェノール性水酸基の50mol%がメチルアダマンチルオキシカルボニルメチル基で置換されたMAD50CR−2 30.0gを得た
得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は0.9〜2.2(m,88H)、2.3〜2.5(m,8H)、4.4〜4.5(d,8H)、5.5(s,4H)、6.0〜6.8(m,24H)、8.4,8.5(d,4H)であった。
【0259】
EE50CR−2の合成
EE50CR−1の合成例におけるCR−1をCR−2に代えた以外はEE50CR−1と同様に合成した。その結果、フェノール性水酸基の50mol%がエトキシエチル基で置換されたEE50CR−2 30.0gを得た。
得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は0.9〜1.0(m,36H)、1.4〜1.6(m,8H)、2.3〜2.5(m,8H)、3.3〜3.4(m,8H)、5.1(m,4H)、5.5(s,4H)、6.0〜6.8(m,24H)、8.4,8.5(d,4H)であった。
【0260】
CE50CR−2の合成
CE50CR−1の合成例におけるCR−1をCR−2に代えた以外はCE50CR−1と同様に合成した。その結果、フェノール性水酸基の50mol%がシクロヘキシロキシエチル基で置換されたCE50CR−2 30.0gを得た。
得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は0.9〜1.0(m,72H)、1.4〜1.6(m,8H)、2.3〜2.5(m,8H)、3.5(m,4H)、5.1(m,4H)、5.5(s,4H)、6.0〜6.8(m,24H)、8.4,8.5(d,4H)であった。
【0261】
BOC50CR−3の合成
BOC50CR−1の合成例におけるCR−1をCR−3に代えた以外はBOC50CR−1と同様に合成した。その結果、フェノール性水酸基の50mol%がt−ブトキシカルボニル基で置換されたBOC50CR−3 30.0gを得た。
得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は0.9〜1.2(m,36H)、1.2〜1.3(m,72H)1.4〜1.6(m,8H)、2.3〜2.7(m,12H)、5.5(d,8H)、6.0〜6.8(m,48H)、8.4,8.5(m,8H)であった。
【0262】
BOC50CR−4の合成
BOC50CR−1の合成例におけるCR−1をCR−4に代えた以外はBOC50CR−1と同様に合成した。その結果、フェノール性水酸基の50mol%がt−ブトキシカルボニル基で置換されたBOC50CR−4 30.0gを得た。
得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.1〜1.2(m,18H)、1.2〜1.3(m,36H)、2.6〜2.7(m,3H)、5.5(m,4H)、6.0〜6.8(m,24H)、8.4〜8.5(m,4H)であった。
【0263】
BOC50CR−5の合成
BOC50CR−1の合成例におけるCR−1をCR−5に代えた以外はBOC50CR−1と同様に合成した。その結果、フェノール性水酸基の50mol%がt−ブトキシカルボニル基で置換されたBOC50CR−5 30.0gを得た。
H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.1〜1.2(m,30H)、1.2〜1.3(m,72H)、2.6〜2.7(m,5H)、2.9(m,6H)、5.5(m,8H)、6.0〜6.8(m,48H)、8.4,8.5(m,8H)であった。
【0264】
BOC50CR−6の合成
BOC50CR−1の合成例におけるCR−1をCR−6に代えた以外はBOC50CR−1と同様に合成した。その結果、フェノール性水酸基の50mol%がt−ブトキシカルボニル基で置換されたBOC50CR−6 31.0gを得た。
得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.4〜1.6(m,48H)、2.1〜2.2(d,12H)、5.6(t,4H)、6.1〜6.5(m,20H)、8.3−8.5(m,4H)であった。
【0265】
BOC50CR−7の合成
BOC50CR−1の合成例におけるCR−1をCR−7に代えた以外はBOC50CR−1と同様に合成した。その結果、フェノール性水酸基の50mol%がt−ブトキシカルボニル基で置換されたBOC50CR−7 30.8gを得た。
得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は0.8〜0.9(m,24H)、1.1〜1.3(s,36H)、1.6〜1.7(m,4H)、2.5(m,8H)、5.5(d,4H)、5.8〜6.8(m,24H)、8.4−8.6(t,4H)であった。
【0266】
BOC50CR−8の合成
BOC50CR−1の合成例におけるCR−1をCR−8に代えた以外はBOC50CR−1と同様に合成した。その結果、フェノール性水酸基の50mol%がt−ブトキシカルボニル基で置換されたBOC50CR−8 30.5gを得た。
得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.1〜1.3(s,36H)、5.6〜5.8(d,4H)、6.0〜7.4(m,44H)、8.6〜8.7(t,4H)であった。
【0267】
BOC50CR−9の合成
BOC50CR−1の合成例におけるCR−1をCR−9に代えた以外はBOC50CR−1と同様に合成した。その結果、フェノール性水酸基の50mol%がt−ブトキシカルボニル基で置換されたBOC50CR−9 29.5gを得た。
得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.1−1.3(s,36H)、2.3(d,12H)、6.0−7.4(m,24H)、8.6−8.7(t,4H)であった。
【0268】
BOC50CR−10の合成
BOC50CR−1の合成例におけるCR−1をCR−10に代えた以外はBOC50CR−1と同様に合成した。その結果、フェノール性水酸基の50mol%がt−ブトキシカルボニル基で置換されたBOC50CR−10 29.4gを得た。
得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.1−1.3(s,36H)、2.3(m,24H)、6.0−7.4(m,20H)、8.6−8.7(t,4H)であった。
【0269】
BOC50CR−14の合成
BOC50CR−1の合成例におけるCR−1をCR−14に代えた以外はBOC50CR−1と同様に合成した。その結果、フェノール性水酸基の50mol%がt−ブトキシカルボニル基で置換されたBOC50CR−14 30.1gを得た。
得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.1〜1.3(m,60H)、2.6〜2.7(m,4H)、5.5(s,4H)、6.0〜6.8(m,20H)、8.4,8.5(d,4H)であった。
【0270】
BOC67CP−1の合成
BOC50CR−1の合成例におけるCR−1をCP−1に代えた以外はBOC50CR−1と同様に合成した。その結果、フェノール性水酸基の67mol%がt−ブトキシカルボニル基で置換されたBOC67CP−1 37.2gを得た。
得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は0.9〜1.2(m,24H)、1.1〜1.3(s,72H)、2.6〜2.7(m,4H)、5.5(s,4H)、6.0〜6.8(m,20H)、8.4−8.5(m,4H)であった。
【0271】
BOC67CP−2の合成
BOC50CR−1の合成例におけるCR−1をCP−2に代えた以外はBOC50CR−1と同様に合成した。その結果、フェノール性水酸基の67mol%がt−ブトキシカルボニル基で置換されたBOC67CP−2 38.6gを得た。
得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.1−1.3(s,72H)、5.6〜5.8(d,4H)、6.0−7.4(m,40H)、8.6−8.7(m,4H)であった。
【0272】
実施例1〜57及び比較例1〜3
第1表記載の成分を調合し、均一溶液としたのち、孔径0.2μmのテフロン製メンブランフィルターで濾過して、レジスト組成物を調製し、各々について以下の評価を行った。結果を第2表に示す。
【0273】
(1)レジスト膜の成膜性評価
レジスト組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターで回転塗布し、形成した10×10mm角のレジスト被膜を、目視で観察し、いずれも表面性が良好であることを確認した。
(2)パターニング試験
(2−1)解像度の評価
レジストを清浄なシリコンウェハー上に回転塗布した後、オーブン中で露光前ベーク(PB)して、厚さ0.1μmのレジスト膜を形成した。該レジスト膜を電子線描画装置(ELS−7500,(株)エリオニクス社製)を用いて、50nm間隔の1:1のラインアンドスペース設定の電子線を照射した。照射後に、それぞれ所定の温度で、90秒間加熱し、2.38重量%TMAH水溶液に60秒間現像を行った。その後、水で30秒間洗浄し、乾燥して、ポジ型のレジストパターンを形成した。得られたラインアンドスペースを走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジー製S−4800)により観察した。またその際のドーズ量(μC/cm)を感度とした。
【0274】
(2−2)パターン形状の評価
得られた50nm間隔の1:1のラインアンドスペースの断面写真を走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジー製S−4800)により観察し、評価した。
A:矩形パターン(良好なパターン)
B:ほぼ矩形パターン(ほぼ良好なパターン)
C:矩形ではないパターン(良好でないパターン)
【0275】
(2−3)ラインエッジラフネス(LER)の評価
50nm間隔の1:1のラインアンドスペースの長さ方向(0.75μm)の任意の300点において、日立半導体用SEM ターミナルPC V5オフライン測長ソフトウェア((株)日立サイエンスシステムズ製)を用いて、エッジと基準線との距離を測定した。測定結果から標準偏差(3σ)を算出した。
A:LER(3σ)≦3.0nm (良好なLER)
B:3.0nm<LER(3σ)≦3.5nm (ほぼ良好なLER)
C:3.5nm<LER(3σ) (良好でないLER)
(2−4)アウトガス量測定
塗布したレジスト膜に対して、1.2×1.2mmの面積に、(2−1)で求めたドーズ(μC/cm)の2倍量の電子線を照射した。その後、電子線を照射した部分と照射していない部分の膜厚差を、走査型プローブ顕微鏡にて測定し、その膜厚差をアウトガス量の指標とした。その結果を、化合物として50mol%t−ブトキシカルボニル基で水酸基を置換したポリヒドロキシスチレン(PHS)を用いた場合の膜減り量と比較した。
A:膜減り量が50mol%t−ブトキシカルボニル基で水酸基を置換したPHSと同等以下
C:膜減り量が50mol%t−ブトキシカルボニル基で水酸基を置換したPHSより多い
【0276】
(3)溶媒を除いた第1表記載の成分の安全溶媒溶解度試験
溶媒を除いた第1表記載の成分の安全溶媒への溶解度試験を23℃で行った。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、2−ヘプタノン、アニソール、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、乳酸エチル、およびシクロヘキサノンから選択され、かつ、一番溶解する溶媒への溶解量を評価した。
A:10.0wt% ≦ 溶解量
B:1.0wt%≦ 溶解量 < 10.0wt%
C:溶解量 <1.0wt%
【0277】
【表1】

【0278】
【表2】

【0279】
【表3】

【0280】
比較化合物
BOC75CR−11
合成例1の4−イソプロピルベンズアルデヒドの代わりに4−ヒドロキシベンズアルデヒドを用い、同様に合成し下記CR−11を得て、合成例2のCR−1の代わりにCR−11を用い、目的物であるBOC75CR−11(フェノール性水酸基のt−ブトキシカルボニル基への置換率は75mol%)を得た。
BOC50CR−12
合成例1の4−イソプロピルベンズアルデヒドの代わりにアセトアルデヒドを用い、同様に合成し下記CR−12を得て、合成例2のCR−1の代わりにCR−12を用い、目的物であるBOC50CR−12(フェノール性水酸基のt−ブトキシカルボニル基への置換率は50mol%)を得た。
BOC50CR−13
合成例1の4−イソプロピルベンズアルデヒドの代わりに4−t−ブチルベンズアルデヒドを用い、同様に合成し下記CR−13を得て、合成例2のCR−1の代わりにCR−13を用い、目的物であるBOC50CR−13(フェノール性水酸基のt−ブトキシカルボニル基への置換率は50mol%)を得た。
【0281】
【化75】

(CR−11)
【0282】
【化76】

(CR−12)
【0283】
【化77】

(CR−13)
【0284】
(C)酸発生剤
P−1:トリフェニルベンゼンスルホニウム ノナフルオロブタンスルホネート
(みどり化学(株))
P−2:トリフェニルベンゼンスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート
(みどり化学(株))
P−3:ジフェニルトリメチルフェニルスルホニウム p−トルエンスルホネート
(和光純薬工業(株))
(E)酸拡散制御剤
Q−1 トリオクチルアミン(東京化成工業(株)製)
Q−2 ロフィン(東京化成工業(株)製)
(F)その他の成分(界面活性剤)
D−1 メガファックR−08(大日本インキ化学工業(株)製)
D−2 BYK−302(ビック・ケミージャパン(株)製)
溶媒
S−1 プロピレングリコールモノメチルエーテル(東京化成工業(株) 製)
S−2 シクロヘキサノン(東京化成工業(株) 製)
【0285】
【表4】

【0286】
【表5】

【0287】
【表6】

PEB:電子線照射後に加熱する際の温度
【0288】
<合成例1A>脂環または芳香環を含む置換基を有する炭素数10〜24のベンズアルデヒドの合成
温度を制御できる内容積500mlの電磁撹拌装置付オートクレーブ(SUS316L製)に、無水HF 74.3g(3.71モル)、BF 50.5g(0.744モル)を仕込み、内容物を撹拌し、液温を−30℃に保ったまま一酸化炭素により2MPaまで昇圧した。その後、圧力を2MPa、液温を−30℃に保ったまま、4−シクロヘキシルベンゼン57.0g(0.248モル)とn−ヘプタン50.0gとを混合した原料を供給し、1時間保った後、氷の中に内容物を採取し、ベンゼンで希釈後、中和処理をして得られた油層をガスクロマトグラフィーで分析して反応成績を求めたところ、得られた油層をガスクロマトグラフィーで分析して反応成績を求めたところ、4−シクロヘキシル)ベンゼン転化率100%、4−シクロヘキシルベンズアルデヒド選択率97.3%であった。単蒸留により目的成分を単離し、GC−MSで分析した結果、目的物の4−シクロヘキシルベンズアルデヒド(以下、CHBALと示す)の分子量188を示した。また重クロロホルム溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は、1.0〜1.6(m,10H)、2.55(m,1H)、7.36(d,2H)、7.8(d,2H)、10.0(s,1H)であった。
【0289】
【化78】

(CHBAL)
【0290】
<合成例2A>環状ポリフェノール化合物(A)の合成
十分乾燥し、窒素置換した滴下漏斗、ジム・ロート氏冷却管、温度計、攪拌翼を設置した四つ口フラスコ(1000L)に、窒素気流下で、関東化学社製レゾルシノール(22g、0.2mol)と、合成例1Aで合成した4−シクロヘキシルベンズアルデヒド(46.0g,0.2mol)と、脱水エタノール(200ml)を投入し、エタノール溶液を調整した。この溶液を攪拌しながらマントルヒーターで85℃まで加熱した。次いで濃塩酸(35%)75mlを、滴下漏斗により30分かけて滴下した後、引き続き85℃で3時間攪拌した。反応終了後、放冷し、室温に到達させた後、氷浴で冷却した。1時間静置後、淡黄色の目的粗結晶が生成し、これを濾別した。粗結晶をメタノール500mlで2回洗浄し、濾別、真空乾燥させることにより、目的生成物(以下、CR−1Aと示す)(50g、収率91%)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1121を示した。また重クロロホルム溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は0.8〜1.9(m,40H)、3.2(m,4H)、5.5,5.6(d,4H)、6.0〜6.8(m,24H)、8.4,8.5(m,8H)であった。
【0291】
【化79】

(CR−1A)
【0292】
<合成例3A>環状化合物(B)の合成
BOC50CR−1Aの合成
十分乾燥し、窒素置換した滴下漏斗、ジム・ロート氏冷却管、温度計、攪拌翼を設置した四つ口フラスコ(1000L)に、窒素気流下で、合成例2A合成したCR−1A 11.2g(10mmol)と、4,4’−ジメチルアミノピリジン0.1g(1mmol)および500mlアセトンからなる溶液に、ジ−t−ブチルジカーボネート8.7g(40mmol)を滴下した。反応液を1時間室温で撹拌した。反応終了後、溶媒を除去し、得られた固体を、ヘキサン/酢酸エチル=1/3の混合溶媒を用い、カラムクロマトで精製した。フェノール性水酸基の50mol%がt−ブトキシカルボニル基で置換されたBOC50CR−1A 13.0gを得た。
得られた生成物の重クロロホルム溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は0.8〜1.9(m,76H)、3.2(m,4H)、5.5,5.6(d,4H)、6〜6.8(m,24H)、8.4,8.5(m,4H)
【0293】
tBu50CR−1Aの合成
十分乾燥し、窒素置換した滴下漏斗、ジム・ロート氏冷却管、温度計、攪拌翼を設置した四つ口フラスコ(1000L)に、窒素気流下で、合成例2Aで合成したCR−1A 11.2g(10mmol)と、炭酸カリウム13.8g、400ml THFからなる溶液に、ブロモ酢酸t−ブチル 7.7g(40mmol)の100ml THF溶液を滴下した。反応液を1時間室温で撹拌した。反応終了後、溶媒を除去し、得られた固体を、ヘキサン/酢酸エチル=1/3の混合溶媒を用い、カラムクロマトで精製した。フェノール性水酸基の50mol%がt−ブトキシカルボニルメチル基で置換されたtBu50CR−1A 12.9gを得た。
得られた生成物の重クロロホルム溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は0.8〜1.9(m,76H)、3.2(m,4H)、4.7(s,8H)、5.5,5.6(d,4H)、6〜6.8(m,24H)、8.4,8.5(m,4H)であった。
【0294】
MAD50CR−1Aの合成
十分乾燥し、窒素置換した滴下漏斗、ジム・ロート氏冷却管、温度計、攪拌翼を設置した四つ口フラスコ(1000L)に、窒素気流下で、合成例2Aで合成したCR−1A 11.2g(10mmol)と、炭酸カリウム13.8g、400ml THFからなる溶液に、ブロモ酢酸メチルアダマンチル 11.4g(40mmol)の100ml THF溶液を滴下した。反応液を1時間室温で撹拌した。反応終了後、溶媒を除去し、得られた固体を、ヘキサン/酢酸エチル=1/3の混合溶媒を用い、カラムクロマトで精製した。フェノール性水酸基の50mol%がメチルアダマンチルオキシカルボニルメチル基で置換されたMAD50CR−1A 14.0gを得た。
得られた生成物の重クロロホルム溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は0.8〜2.1(m,108H)、3.2(m,4H)、4.7(s,8H)、5.5,5.6(d,4H)、6〜6.8(m,24H)、8.4,8.5(m,4H)であった。
【0295】
EE50CR−1Aの合成
十分乾燥し、窒素置換した滴下漏斗、ジム・ロート氏冷却管、温度計、攪拌翼を設置した四つ口フラスコ(1000L)に、窒素気流下で、合成例2Aで合成したCR−1A 11.2g(10mmol)と、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム2.5g、400ml アセトンからなる溶液に、エチルビニルエーテル 2.9g(40mmol)を滴下した。反応液を24時間室温で撹拌した。反応終了後、溶媒を除去し、得られた固体を、ヘキサン/酢酸エチル=1/3の混合溶媒を用い、カラムクロマトで精製した。フェノール性水酸基の50mol%がエトキシエチル基で置換されたEE50CR−1A 11.2gを得た。
得られた生成物の重クロロホルム溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は0.8〜1.9(m,64H)、3.2(m,4H)、3.5(m,8H)、5.5,5.6(d,8H)、6〜6.8(m,24H)、8.4,8.5(m,4H)であった。
【0296】
CE50CR−1Aの合成
十分乾燥し、窒素置換した滴下漏斗、ジム・ロート氏冷却管、温度計、攪拌翼を設置した四つ口フラスコ(1000L)に、窒素気流下で、合成例2で合成したCR−1A 11.2g(10mmol)と、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム2.5g、400ml 1,3−ジオキソランからなる溶液に、シクロヘキシルビニルエーテル 5.0g(40mmol)を滴下した。反応液を24時間室温で撹拌した。反応終了後、溶媒を除去し、得られた固体を、ヘキサン/酢酸エチル=1/3の混合溶媒を用い、カラムクロマトで精製した。フェノール性水酸基の50mol%がシクロヘキシロキシエチル基で置換されたCE50CR−1A 12.2gを得た。
得られた生成物の重クロロホルム溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は0.8〜1.9(m,92H)、3.2(m,4H)、3.5(m,4H)、5.5,5.6(d,8H)、6〜6.8(m,24H)、8.4,8.5(m,4H)であった。
【0297】
実施例1A〜20A
第1A表記載の成分を調合し、均一溶液としたのち、孔径0.2μmのテフロン製メンブランフィルターで濾過して、レジスト組成物を調製した。(C)酸発生剤、(E)酸拡散制御剤、(F)その他の添加剤及び溶媒については、前述の実施例1〜43と同様のものを用い、パターニング試験において、下記のように評価した点を除き同様に評価した。
(2−3)ラインエッジラフネス(LER)の評価
A:LER(3σ)≦3.5nm (良好なLER)
B:3.5nm<LER(3σ)≦4.5nm (ほぼ良好なLER)
C:4.5nm<LER(3σ) (良好でないLER)
【0298】
【表7】

【0299】
【表8】

【0300】
<合成例1D>環状化合物(A)の合成
前記実施例1〜57におけると同様に、環状化合物(A)である、CR−1〜CR−10及びCR−11、12を調製した。
【0301】
実施例1D〜43D及び比較例1D、2D
第1D表記載の成分を調合し、均一溶液としたのち、孔径0.2μmのテフロン製メンブランフィルターで濾過して、レジスト組成物を調製した。比較化合物、(C)酸発生剤、(E)酸拡散制御剤及び溶媒については、前述の実施例1〜57と同様のものを用い、同様に評価した。結果を第2D表に示す。
【0302】
【表9】

【0303】
【表10】

【0304】
【表11】

【0305】
(C)酸架橋剤
C−1 ニカラックMW−100LM(三和ケミカル(株))
C−2 ニカラックMX−270(三和ケミカル(株))
C−3 ニカラックMX−290(三和ケミカル(株))
C−4 2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール(東京化成工業(株))
【0306】
【表12】

【0307】
【表13】

【0308】
実施例1E〜10E及び比較例1E〜2E
実施例1A〜20Aと同様にして、脂環または芳香環を含む置換基を有する炭素数10〜24のベンズアルデヒド及び環状化合物(A)を合成した。
第1E表記載の成分を調合し、均一溶液としたのち、孔径0.2μmのテフロン製メンブランフィルターで濾過して、レジスト組成物を調製した。比較化合物、(C)酸発生剤、(G)酸架橋剤、(E)酸拡散制御剤及び溶媒については、前述の実施例1D〜43Dと同様のものを用い、パターニング試験において、下記のように評価した点を除き同様に評価した。
(2−3)ラインエッジラフネス(LER)の評価
A:LER(3σ)≦3.5nm (良好なLER)
C:3.5nm<LER(3σ) (良好でないLER)
【0309】
【表14】

【0310】
【表15】

【0311】
<実施例101〜108> 第3表記載の化合物の安全溶媒溶解度試験
第3表記載の化合物の安全溶媒への溶解度試験を23℃で行った。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、2−ヘプタノン、アニソール、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、乳酸エチル、およびシクロヘキサノンから選択され、かつ、一番溶解する溶媒への溶解量を評価した。
A:10.0wt% ≦ 溶解量
B:1.0wt%≦ 溶解量 < 10.0wt%
C:溶解量 < 1.0wt%
【0312】
【表16】

【0313】
<実施例201>
BARC形成組成物を膜厚300nmのSiO基板上に塗布して、205℃で60秒間ベークして膜厚100nmのBARC膜を形成した。
なお、前記BARC形成組成物は、樹脂成分A 2gを有する溶液10g、ヘキサメトキシメチルメラミン0.53g、p−トルエンスルホン酸0.05g、乳酸エチル14.3g、プロピレングリコールモノメチルエーテル1.13gおよびシクロヘキサノン2.61gを配合し、均一溶液としたのち、孔径0.2μmのテフロン製メンブランフィルターで濾過して、BARC形成組成物を調製した。
また、前記樹脂成分Aは、クレゾールノボラック樹脂(旭チバ(株)製、商品名ECN1299、重量平均分子量3900)100gをプロピレングリコールモノメチルエーテル800gに添加し溶解させ、その後、9−アントラセンカルボン酸97gおよびベンジルトリエチルアンモニウムクロリド2.6gを加えた後、100℃で24時間反応させ、樹脂成分Aを得た。樹脂成分Aは、GPC分析の結果、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は5600であった。
その上に、実施例12Aで調製したレジスト組成物を塗布し、110℃で90秒間ベークして膜厚50nmのフォトレジスト層を形成した。
次いで、電子線描画装置(エリオニクス社製;ELS−7500,50keV)で30μC/cmで露光し、110℃で90秒間ベーク(PEB)し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で60秒間現像し、ポジ型の30nmL&Sおよび50nmL&Sパターンの形成を試みた。得られたパターンについてSEMで観察し、下記のように評価した。
A: 良好な矩形パターンを確認
C: 一部でパターンのはがれがある矩形パターンを確認
【0314】
<実施例202>
BARC層を形成しない以外は実施例201と同様に行い評価した結果を表4に示す。
【0315】
【表17】

【産業上の利用可能性】
【0316】
本発明は、酸増幅型非高分子系レジスト材料として有用な、特定の化学構造式で示されるレジスト化合物、これを含む感放射線性組成物、および該感放射線性組成物を用いるレジストパターン形成方法に好適に使用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で示される環状化合物。
【化1】

(1)
(式中、Lは、独立して、単結合、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、炭素数3〜20のシクロアルキレン基、炭素数6〜24のアリーレン基、−O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−N(R)−C(=O)−、−N(R)−C(=O)O−、−S−、−SO−、−SO−およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される二価の有機基であり、Rは独立して、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、複素環基、ハロゲン、カルボキシル基、炭素数1〜20のアルキルシラン、これらの誘導体からなる群から選択される官能基、炭素数2〜20の置換メチル基、炭素数3〜20の1−置換エチル基、炭素数4〜20の1−置換−n−プロピル基、炭素数3〜20の1−分岐アルキル基、炭素数1〜20のシリル基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20の1−置換アルコキシアルキル基、炭素数2〜20の環状エーテル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基およびアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択される酸解離性官能基、または水素原子であり、R’は独立して、炭素数2〜20のアルキル基、又は下記式
【化2】

で表わされる炭素数6〜24のアリール基又はこれらの誘導体であり、Rは炭素数1〜20のアルキル基(但し、t−ブチル基を除く)、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、複素環基、ハロゲン、カルボキシル基、炭素数1〜20のアルキルシラン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される官能基、又は炭素数2〜20の置換メチル基、炭素数3〜20の1−置換エチル基、炭素数4〜20の1−置換−n−プロピル基、炭素数3〜20の1−分岐アルキル基、炭素数1〜20のシリル基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20の1−置換アルコキシアルキル基、炭素数2〜20の環状エーテル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基およびアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択される酸解離性官能基であり、Rは水素又は炭素数1〜10のアルキル基であり、mは1〜4の整数であり、pは0〜5の整数である。)
【請求項2】
下記式(2)で示される各化合物からなる群から選ばれる請求項1記載の環状化合物。
【化3】

(2)
(式(2)において、Xは水素又はハロゲン原子であり、mは0〜3の整数であり、m+m=4であり、R、R、m、pは前記と同様である。)
【請求項3】
下記式(3)で示される各化合物からなる群から選ばれる請求項2記載の環状化合物。
【化4】

(3)
(式(3)において、mは2であり、mは1であり、R、R、X、pは前記と同様である。)
【請求項4】
下記式(4)で示される各化合物からなる群から選ばれる請求項2記載の環状化合物。
【化5】

(4)
(式(4)において、R、X、m、m、pは前記と同様である。)
【請求項5】
下記式(5)で示される各化合物からなる群から選ばれる請求項4記載の環状化合物。
【化6】

(5)
(式(5)において、X、R、m、m、pは前記と同様である。)
【請求項6】
下記式(6−1)及び(6−2)で示される各化合物からなる群から選ばれる請求項3記載の環状化合物。
【化7】

(式(6−1)、(6−2)中、Rは前記と同様である。但し、その少なくともひとつのRは酸解離性官能基である。)
【請求項7】
前記式中Rが、下記式(10)で示される各基からなる群から選ばれる酸解離性官能基または水素であり、Rの少なくとも一つは酸解離性官能基である請求項1〜3又は6に記載の環状化合物。
【化8】

(式中、Rは、水素または炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐アルキル基であり、Rは、水素、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐アルキル基、シアノ基、ニトロ基、複素環基、ハロゲンまたはカルボキシル基であり、nは0〜4の整数、nは1〜5の整数、nは0〜4の整数である。)
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の環状化合物および溶媒を含む感放射線性組成物。
【請求項9】
環状化合物が、炭素数が2〜59であり1〜4個のホルミル基を有する化合物(アルデヒド性化合物(A1))と、炭素数6〜15であり1〜3個のフェノール性水酸基を有する化合物(フェノール性化合物(A2))との縮合反応により合成した、分子量が700〜5000の環状化合物(A)である請求項8記載の感放射線性組成物。
【請求項10】
環状化合物が、前記環状化合物(A)の少なくとも1つのフェノール性水酸基に酸解離性官能基を導入した構造を有する、分子量が800〜5000の環状化合物(B)である、請求項8記載の感放射線性組成物。
【請求項11】
固形成分1〜80重量%および溶媒20〜99重量%を含む感放射線性組成物であって、環状化合物(A)が、アルデヒド性化合物(A1)として水酸基とt−ブチル基のいずれをも有さない炭素数7〜24のベンズアルデヒドを用いて得た環状化合物であり、環状化合物(B)が固形成分全重量の50〜99.999重量%である請求項10記載の感放射線性組成物。
【請求項12】
さらに、可視光線、紫外線、エキシマレーザー、電子線、極端紫外線(EUV)、X線、およびイオンビームからなる群から選ばれるいずれかの放射線の照射により直接的又は間接的に酸を発生する酸発生剤(C)を含む請求項11記載の感放射線性組成物。
【請求項13】
さらに、低分子量溶解促進剤(D)を含む請求項11記載の感放射線性組成物。
【請求項14】
さらに、酸拡散制御剤(E)を含む請求項11記載の感放射線性組成物。
【請求項15】
前記環状化合物(B)が、下記式(2)で示される各化合物からなる群から選ばれる環状化合物である請求項10〜14のいずれかに記載の感放射線性組成物。
【化9】

(2)
(式中、R、R、X、p、m、mは前記と同様である。)
【請求項16】
前記環状化合物(B)が、下記式(3)で示される各化合物からなる群から選ばれる環状化合物である請求項10〜15のいずれかに記載の感放射線性組成物。
【化10】

(3)
(式(3)において、Xは水素又はハロゲン原子であり、mは2であり、mは1であり、R、R、pは前記と同様である。)
【請求項17】
前記環状化合物(B)が、下記式(15)で示される各化合物からなる群から選ばれる環状化合物である請求項16記載の感放射線性組成物。
【化11】

(15)
(式中、R、R、pは前記と同様である。)
【請求項18】
前記環状化合物(B)が、下記式(6−1)及び(6−2)で示される各化合物からなる群から選ばれる環状化合物である請求項16記載の感放射線性組成物。
【化12】

【化13】

(式中、Rは前記と同様である。)
【請求項19】
前記式中Rが、下記式(10)で示される基からなる群から選ばれる酸解離性官能基または水素であり、その少なくとも一つが酸解離性官能基である請求項15〜18のいずれかに記載の感放射線性組成物。
【化14】

(式中、Rは、水素または炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐アルキル基であり、Rは、水素、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐アルキル基、シアノ基、ニトロ基、複素環基、ハロゲンまたはカルボキシル基であり、nは0〜4の整数、nは1〜5の整数、nは0〜4の整数である。)
【請求項20】
環状化合物(A)が、アルデヒド性化合物(A1)として水酸基とt−ブチル基のいずれをも有さない炭素数7〜24の2種以上のベンズアルデヒドおよび炭素数6〜15であり1〜3個のフェノール性水酸基を有する2種以上の化合物を用いて得た環状化合物である請求項11記載の感放射線性組成物。
【請求項21】
前記環状化合物(B)の全構成原子数に対するハロゲン原子数の割合が0.1〜20%である請求項10記載の感放射線性組成物。
【請求項22】
環状化合物(B)が、スピンコートによりアモルファス膜を形成することができる請求項10記載の感放射線性組成物。
【請求項23】
前記アモルファス膜の、23℃における2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に対する溶解速度が5Å/sec以下である請求項22に記載の感放射線性組成物。
【請求項24】
KrFエキシマレーザー、極端紫外線、電子線またはX線を照射し、20〜250℃で加熱した後のアモルファス膜の前記2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に対する溶解速度が10Å/sec以上である請求項23記載の感放射線性組成物。
【請求項25】
環状化合物(A)が、スピンコートによりアモルファス膜を形成することができ、該アモルファス膜の、23℃における2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に対する溶解速度が10Å/sec以上である請求項10記載の感放射線性組成物。
【請求項26】
固形成分1〜80重量%および溶媒20〜99重量%を含む感放射線性組成物であって、アルデヒド性化合物(A1)が水酸基とt−ブチル基のいずれをも有さない炭素数7〜24のベンズアルデヒドである環状化合物(A)を含み、環状化合物(A)が固形成分全重量の50重量%以上である請求項9記載の感放射線性組成物。
【請求項27】
さらに、可視光線、紫外線、エキシマレーザー、電子線、極端紫外線(EUV)、X線、およびイオンビームからなる群から選ばれるいずれかの放射線の照射、または熱により直接的又は間接的に酸を発生する酸発生剤(C)を含む請求項26記載の感放射線性組成物。
【請求項28】
さらに、酸架橋剤(G)を含む請求項27記載の感放射線性組成物。
【請求項29】
さらに、酸拡散制御剤(E)を含む請求項28記載の感放射線性組成物。
【請求項30】
前記環状化合物(A)が、下記式(4)で示される各化合物からなる群から選ばれる環状化合物である請求項26記載の感放射線性組成物。
【化15】

(4)
(上記式(4)において、R、X、m、m、pは前記と同様である。)
【請求項31】
前記環状化合物(A)が、下記式(5)で示される各化合物からなる群から選ばれる環状化合物である請求項26記載の感放射線性組成物。
【化16】

(5)
(上記式(5)において、X、m、m、m、R、pは前記と同様である。)、
【請求項32】
前記環状化合物(A)が、下記式(20)で示される各化合物からなる群から選ばれる環状化合物である請求項31記載の感放射線性組成物。
【化17】

(20)
(式中、R、pは前記と同様である。)
【請求項33】
前記環状化合物(A)が、下記式(21−1)および(21−2)で示される各化合物からなる群から選ばれる環状化合物である請求項32記載の感放射線性組成物。
【化18】

【化19】

【請求項34】
前記環状化合物(A)の全構成原子数に対するハロゲン原子数の割合が0.1〜20%である請求項26記載の感放射線性組成物。
【請求項35】
前記酸発生剤(C)が、下記式(16−1)および(16−2):
【化20】

(16−2)
【化21】

(16−2)
(式中、R13は、それぞれ独立に、水素原子、直鎖状、分枝状もしくは環状アルキル基、直鎖状、分枝状もしくは環状アルコキシ基、ヒドロキシル基またはハロゲン原子であり;X-は、アルキル基、アリール基、ハロゲン置換アルキル基もしくはハロゲン置換アリール基を有するスルホン酸イオンまたはハロゲン化物イオンである。式(16−2)中、R14は、それぞれ独立に、水素原子、直鎖状、分枝状もしくは環状アルキル基、直鎖状、分枝状もしくは環状アルコキシ基、ヒドロキシル基またはハロゲン原子を表す。X-は前記と同様である。)
の各々で表される化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項27記載の感放射線性組成物。
【請求項36】
前記酸架橋剤(G)が、下記式(22):
【化22】

(22)
(上記式中、Rはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、またはアシル基を表し;R〜R11はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基、アルキル基、またはアルコキシル基を示し;Xは、単結合、メチレン基、または酸素原子を示す)
の各々で表される化合物、および、アルコキシメチル化メラミン化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項28記載の感放射線性組成物。
【請求項37】
環状化合物(A)が、アルデヒド性化合物(A1)として水酸基とt−ブチル基のいずれをも有さない炭素数7〜24の2種以上のベンズアルデヒドおよび炭素数6〜15であり1〜3個のフェノール性水酸基を有する2種以上の化合物を用いて得た環状化合物である請求項26記載の感放射線性組成物。
【請求項38】
前記固形成分が、環状化合物(A)/酸発生剤(C)/酸架橋剤(G)/酸拡散制御剤(E)/任意成分(F))を、固形物基準の重量%で、3〜96.9/0.1〜30/3〜65/0.01〜30/0〜93.9含有する請求項26記載の感放射線性組成物。
【請求項39】
環状化合物(A)が、スピンコートによりアモルファス膜を形成することができる請求項26記載の感放射線性組成物。
【請求項40】
前記アモルファス膜の、23℃における2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に対する溶解速度が10Å/sec以上である請求項39に記載の感放射線性組成物。
【請求項41】
前記アモルファス膜にKrFエキシマレーザー、極端紫外線、電子線またはX線を照射したもの、又はこれを20〜250℃で加熱した後のアモルファス膜の前記2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に対する溶解速度が5Å/sec以下である請求項40記載の感放射線性組成物。
【請求項42】
請求項8〜41のいずれかに記載の感放射線性組成物を用いて、基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。
【請求項43】
基板上にレジスト膜を形成する工程の前に、ボトムアンチリフラクティブコーティング(BARC)を塗布する工程を含む請求項42記載のレジストパターン形成方法。

【公開番号】特開2009−173623(P2009−173623A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−110680(P2008−110680)
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)
【Fターム(参考)】