説明

成膜方法およびリスパッタ方法、ならびに成膜装置

【課題】トレンチおよび/またはホールの間口のオーバーハングを抑制することができる成膜方法およびリスパッタリング方法を提供すること。
【解決手段】処理容器内にプラズマ生成ガスを導入しつつ誘導結合プラズマ生成機構により処理容器内に誘導結合プラズマを生成し、直流電源から金属ターゲットに直流電力を供給し、バイアス電源により載置台に高周波バイアスを印加して、載置台上の被処理基板に金属薄膜を堆積させる工程と、誘導結合プラズマ生成機構によるプラズマの生成と直流電源への給電を停止し、処理容器内にプラズマ生成ガスを導入しつつ載置台に高周波バイアスを印加して、処理容器内に容量結合プラズマを形成するとともにプラズマ生成ガスのイオンを被処理基板に引き込んで堆積された金属薄膜をリスパッタリングする工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン化スパッタリングによる成膜方法およびリスパッタリング方法、ならびに成膜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造においては、近時、半導体デバイスの高速化、配線パターンの微細化、高集積化の要求に対応して、配線材料に銅(Cu)が用いられるようになってきている。
【0003】
Cu配線の形成方法としては、トレンチやホールが形成された層間絶縁膜全体にタンタル金属(Ta)、チタン(Ti)、タンタル窒化膜(TaN)、チタン窒化膜(TiN)などからなるバリア膜をPVD(Phisical Vapor Deposition)であるプラズマスパッタリングで形成し、バリア膜の上に同じくプラズマスパッタリングによりCuシード膜を形成し、さらにその上にCuめっきを施してトレンチやホールを完全に埋め込み、ウエハ表面の余分な銅薄膜をCMP(Chemical Mechanical Polishing)処理により研磨処理して取り除く技術が提案されている(例えば特許文献1)。
【0004】
バリア膜やCuシード膜の成膜に用いられるプラズマスパッタリング装置としては、高いプラズマ密度が得られ、高いレートで成膜が可能な誘導結合プラズマ(ICP)スパッタリング装置が用いられる(特許文献2)。
【0005】
ところで、プラズマスパッタリングは、ターゲットから放出された金属粒子をプラズマによりイオン化して載置台に印加されたバイアスにより被処理基板に垂直に金属イオンを引き込んで成膜するものであるため、本質的にステップカバレッジが悪く、トレンチやホールの底部や肩部には厚く成膜されるが側壁には薄くしか成膜されない。このため、上記特許文献2に示すように、堆積後、ターゲットからの金属粒子の放出を停止させ、プラズマ生成ガスであるアルゴンガスを被処理基板に引き込んでトレンチ底部等の膜をスパッタしてトレンチやホールの側壁に再付着させて膜厚を厚くかつ均一にするリスパッタリングと称する技術が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−148075号公報
【特許文献2】特開2008−98284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ICPスパッタリング装置で生成される誘導結合プラズマは、高密度であるため、本質的に被処理基板の自己バイアス電圧(Vdc)が低く、バイアスパワーを上昇させても十分なVdcが得られず、リスパッタした金属がトレンチやホールの間口付近に再付着してオーバーハングが形成されてトレンチやホール内にスパッタされた金属粒子を供することができないことが懸念される。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、トレンチおよび/またはホールを有する被処理基板に誘導結合プラズマスパッタリング装置により膜を形成する際に、トレンチおよび/またはホールの間口のオーバーハングを抑制することができる成膜方法およびリスパッタリング方法を提供することを課題とする。
また、誘導結合プラズマスパッタリング装置でありながら、トレンチおよび/またはホールの間口のオーバーハングを抑制することができる成膜装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の観点では、被処理基板が収容される処理容器と、前記処理容器内で被処理基板を載置する載置台と、前記処理容器内にプラズマ生成ガスを導入するガス導入機構と、前記処理容器内に前記プラズマ生成ガスの誘導結合プラズマを生成するための誘導結合プラズマ生成機構と、成膜しようとする金属膜の金属からなる金属ターゲットと、前記金属ターゲットに直流電力を供給する直流電源と、前記載置台に前記処理容器内に生成されたプラズマ中のイオンを引きこむための高周波バイアスを印加するバイアス電源とを有する成膜装置を用いてトレンチおよび/またはホールを有する被処理基板に金属薄膜を成膜する成膜方法であって、前記載置台に被処理基板を載置した状態で、前記処理容器内にプラズマ生成ガスを導入しつつ前記誘導結合プラズマ生成機構により前記処理容器内に誘導結合プラズマを生成し、前記直流電源から前記金属ターゲットに直流電力を供給し、前記バイアス電源により前記載置台に高周波バイアスを印加して、前記被処理基板に金属薄膜を堆積させる工程と、前記誘導結合プラズマ生成機構によるプラズマの生成を停止するとともに前記直流電源への給電を停止し、前記処理容器内にプラズマ生成ガスを導入しつつ前記バイアス電源により前記載置台に高周波バイアスを印加して、前記処理容器内に容量結合プラズマを形成するとともに前記プラズマ生成ガスのイオンを前記被処理基板に引き込んで堆積された金属薄膜をリスパッタリングする工程とを有することを特徴とする成膜方法を提供する。
【0010】
本発明の第2の観点では、被処理基板が収容される処理容器と、前記処理容器内で被処理基板を載置する載置台と、前記処理容器内にプラズマ生成ガスを導入するガス導入機構と、前記処理容器内に前記プラズマ生成ガスの誘導結合プラズマを生成するための誘導結合プラズマ生成機構と、成膜しようとする金属膜の金属からなる金属ターゲットと、前記金属ターゲットに直流電力を供給する直流電源と、前記載置台に前記処理容器内に生成されたプラズマ中のイオンを引きこむための高周波バイアスを印加するバイアス電源とを有する成膜装置を用いてトレンチおよび/またはホールを有する被処理基板に金属薄膜を堆積した後、堆積された金属薄膜をリスパッタリングするリスパッタリング方法であって、前記載置台に金属薄膜を堆積した後の被処理基板を載置した状態で、前記誘導結合プラズマ生成機構によるプラズマの生成を停止し、かつ前記直流電源への給電を停止した状態で、前記処理容器内にプラズマ生成ガスを導入しつつ前記バイアス電源により前記載置台に高周波バイアスを印加して、前記処理容器内に容量結合プラズマを形成するとともに前記プラズマ生成ガスのイオンを前記被処理基板に引き込んで堆積された金属薄膜をリスパッタリングすることを特徴とするリスパッタリング方法を提供する。
【0011】
本発明の第3の観点では、被処理基板が収容される処理容器と、前記処理容器内で被処理基板を載置する載置台と、前記処理容器内にプラズマ生成ガスを導入するガス導入機構と、前記処理容器内に前記プラズマ生成ガスの誘導結合プラズマを生成するための誘導結合プラズマ生成機構と、成膜しようとする金属膜の金属からなる金属ターゲットと、前記金属ターゲットに直流電力を供給する直流電源と、前記載置台に前記処理容器内に生成されたプラズマ中のイオンを引きこむための高周波バイアスを印加するバイアス電源と、前記載置台に被処理基板を載置した状態で、前記処理容器内にプラズマ生成ガスを導入しつつ前記誘導結合プラズマ生成機構により前記処理容器内に誘導結合プラズマを生成し、前記直流電源から前記金属ターゲットに直流電力を供給し、前記バイアス電源により前記載置台に高周波バイアスを印加して、前記被処理基板に金属薄膜を堆積させるように制御し、金属薄膜堆積後、前記誘導結合プラズマ生成機構によるプラズマの生成を停止するとともに前記直流電源への給電を停止し、前記処理容器内にプラズマ生成ガスを導入しつつ前記バイアス電源により前記載置台に高周波バイアスを印加して、前記処理容器内に容量結合プラズマを形成するとともに前記プラズマ生成ガスのイオンを前記被処理基板に引き込んで堆積された金属薄膜をリスパッタリングするように制御する制御機構とを具備することを特徴とする成膜装置を提供する。
【0012】
前記リスパッタリングの際の高周波バイアスのパワーは、1500W以上であることが好ましい。また、前記リスパッタリングの際の前記載置台の自己バイアス電圧Vdcは、500V以上であることが好ましい。前記堆積される金属薄膜としては、前記トレンチおよび/または前記ホールに埋め込まれるCu配線のシード膜となるCu膜を適用することができる。また、上記第3の観点において、前記載置台は、前記被処理基板に対応するように設けられた、前記高周波バイアスが供給される電極部と、前記電極部の周囲に設けられた導電性のリング部材とを有し、前記リング部材は、前記電極部と同電位とされていることが好ましい。また、前記載置台は、前記リング部材の外周に設けられたシールドリングを有し、前記処理容器内に容量結合プラズマを形成する際に、前記シールドリングが前記電極部の対向電極として機能するようにすることが好ましい。
【0013】
本発明の第4の観点では、コンピュータ上で動作し、成膜装置を制御するためのプログラムが記憶された記憶媒体であって、前記プログラムは、実行時に、上記第1の観点の成膜方法が行われるように、コンピュータに前記成膜装置を制御させることを特徴とする記憶媒体を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、誘導結合プラズマスパッタリング装置において、誘導結合プラズマモードで金属薄膜の堆積を行った後、容量結合プラズマモードにして載置台のVdcを著しく大きくした状態でリスパッタリングすることができるので、プラズマ生成ガスのイオンを引き込んでトレンチやホールの肩部の膜を大きなファセットアングルでエッチングすることができる。このため、リスパッタした膜の粒子がトレンチやホールの間口付近に再付着してオーバーハングを形成することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る成膜方法を実施するための成膜装置の一例を示す断面図である。
【図2】図1の成膜装置の載置台部分を拡大して示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る成膜方法の工程を説明するためのフローチャートである。
【図4】図1の成膜装置における誘導結合プラズマ(IPC)モードと容量結合プラズマ(CCP)モードとを比較して説明するための模式図である。
【図5】ICPモードでリスパッタリングした場合と、CCPモードでリスパッタリングした場合とでのウエハのトレンチ部分の状態を比較して説明するための模式図である。
【図6】載置台本体の電極部とその周囲に設けられたバイアスリンとが絶縁されている場合と、導通している場合とで、ウエハのエッジ部分に入射するイオンの方向を比較して説明する模式図である。
【図7】載置台本体の電極部とその周囲に設けられたバイアスリンとが絶縁されている場合と、導通している場合とで、ウエハエッジ部分のトレンチのリスパッタリング状態を比較して示すSEM写真である。
【図8】ICPモードでリスパッタリングした場合とCCPモードでリスパッタリングした場合とで、リスパッタリング後のトレンチ部分を比較して示すSEM写真である。
【図9】リスパッタリングの際のVdcとトレンチ部分のファセットアングルとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について具体的に説明する。
【0017】
<成膜装置の構成>
まず、本発明の一実施形態に係る成膜方法を実施するための成膜装置の一例について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る成膜方法を実施するための成膜装置の一例を示す断面図である。
【0018】
成膜装置10は、誘導結合型プラズマのプラズマスパッタ装置として構成され、例えばアルミニウム等により筒体状に成形された処理容器11を有している。この処理容器11は接地され、その底部12には排気口13が設けられており、排気口13には排気管14が接続されている。排気管14には圧力調整を行うスロットルバルブ15および真空ポンプ16が接続されており、処理容器11内が真空引き可能となっている。また処理容器11の底部12には、処理容器11内へ所定のガスを導入するガス導入口17が設けられる。このガス導入口17にはガス供給配管18が接続されており、ガス供給配管18には、プラズマ生成用ガスとして希ガス、例えばArガスや、他の必要なガス例えばNガス等を供給するためのガス供給源19が接続されている。また、ガス供給配管18には、ガス流量制御器、バルブ等よりなるガス制御部20が介装されている。
【0019】
処理容器11内には、被処理基板である半導体ウエハ(以下、単にウエハと記す)Wを載置するための円板状をなす載置台22が、中空筒体状の支柱24に支持された状態で設けられる。支柱24は接地されている。載置台22は、その主要部となる載置台本体23を有している。
【0020】
載置台本体23の上面側には、例えばアルミナ等の誘電体部材26aの中に電極26bが埋め込まれて構成された薄い円板状の静電チャック26が設けられており、電極26bに電圧を印加することによりウエハWを静電力により吸着保持し、電圧をオフすることにより脱離することができるようになっている。載置台22の詳細な構成は後述する。
【0021】
支柱24の下部は、処理容器11の底部12の中心部に形成された挿通孔27を貫通して下方へ延びている。支柱24は、図示しない昇降機構により上下移動可能となっており、これにより載置台22が昇降される。
【0022】
支柱24を囲むように、伸縮可能に構成された蛇腹状の金属ベローズ28が設けられており、この金属ベローズ28は、その上端が載置台本体23の下面に気密に接合され、また下端が処理容器11の底部12の上面に気密に接合されており、処理容器11内の気密性を維持しつつ載置台22の昇降移動を許容するようになっている。
【0023】
また底部12には、上方に向けて例えば3本(図2では2本のみ示す)の支持ピン29が起立した状態で設けられており、また、この支持ピン29に対応させて載置台本体23にピン挿通孔30が形成されている。したがって、載置台本体23を降下させた際に、ピン挿通孔30を貫通した支持ピン29の上端部でウエハWを受けて、そのウエハWを外部より侵入する搬送アーム(図示せず)との間で移載することができる。このため、処理容器11の下部側壁には、搬送アームを侵入させるために搬出入口31が設けられ、この搬出入口31には、開閉可能になされたゲートバルブGが設けられている。このゲートバルブGを介して、例えば真空搬送室(図示せず)が接続されている。
【0024】
また上述した静電チャック26の電極26bには、給電ライン32を介してチャック用電源33が接続されており、このチャック用電源33から電極26bに直流電圧を印加することにより、ウエハWが静電力により吸着保持される。チャック用電極33はスイッチ(図示せず)によりオン・オフ可能となっており、ウエハWが吸着されている状態からスイッチをオフにすることにより、ウエハWが脱離可能となる。また給電ライン32にはバイアス用高周波電源34が接続されており、この給電ライン32を介して電極部23b(図2参照)に対してバイアス用の高周波電力を供給し、ウエハWにバイアス電力が印加されるようになっている。この高周波電力の周波数は、400kHz〜60MHzが好ましく、例えば13.56MHzが採用される。
【0025】
静電チャック26に吸着されたウエハWの裏面側には、伝熱ガスを供給する伝熱ガス流路48を介して伝熱ガス供給源49から伝熱ガス、例えばArガスが供給されるようになっている。伝熱ガス流路48は、処理容器11の下方から支柱24内を通り、載置台本体23および静電チャック26貫通して延び、静電チャック26によりウエハWを吸着した際にウエハWと静電チャック26との間に伝熱ガスを流してウエハWへの伝熱を確保してウエハWを冷却するようになっている。
【0026】
一方、処理容器11の天井部には、例えば石英等の誘電体よりなる誘電体板36がOリング等のシール部材37を介して気密に設けられている。そして、この誘電体板36の上部に、処理容器11内の処理空間Sにプラズマ励起用ガスとしての希ガス、例えばArガスをプラズマ化してプラズマを発生するためのプラズマ発生源38が設けられる。なお、このプラズマ励起用ガスとして、Arに代えて他の希ガス、例えばHe、Ne、Kr等を用いてもよい。
【0027】
プラズマ発生源38は、誘電体板36に対応させて設けた誘導コイル40を有しており、この誘導コイル40には、プラズマ発生用の例えば13.56MHzの高周波電源41が接続されており、誘導コイル40に高周波電力が導入された際に、誘電体板36を介して処理空間Sに誘導電界を形成するようになっている。
【0028】
また誘電体板36の直下には、導入された高周波電力を拡散させる例えばアルミニウムよりなるバッフルプレート42が設けられる。そして、このバッフルプレート42の下部には、上記処理空間Sの上部側方を囲むようにして例えば断面が内側に向けて傾斜されて環状(截頭円錐殻状)の成膜しようとする金属からなるターゲット43が設けられており、このターゲット43にはArイオンを引きつけるための直流電力を印加するターゲット用の電圧可変の直流電源44が接続されている。なお、直流電源に代えて交流電源を用いてもよい。
【0029】
また、ターゲット43の外周側には、これに磁界を付与するための磁石45が設けられている。ターゲット43はプラズマ中のArイオンにより金属原子あるいは原子団としてスパッタされるとともに、プラズマ中を通過する際に多くはイオン化される。
【0030】
またこのターゲット43の下部には、上記処理空間Sを囲むようにして例えばアルミニウムや銅よりなる円筒状の保護カバー部材46が設けられている。この保護カバー部材46は接地されるとともに、その下部は内側へ屈曲されて載置台22の側部近傍に位置されている。したがって、保護カバー部材46の内側の端部は、載置台22の外周側を囲むようにして設けられている。
【0031】
この成膜装置10は、制御部60により制御されるようになっている。この制御部60は、各構成部の制御を実行するマイクロプロセッサ(コンピュータ)からなるプロセスコントローラ61と、オペレータが装置を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや、装置の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等からなるユーザーインターフェース62と、成膜装置10で実行される処理をプロセスコントローラ61の制御にて実現するための制御プログラムや、各種データ、および処理条件に応じて処理装置の各構成部に処理を実行させるためのプログラムすなわちレシピが格納された記憶部63とを備えている。ユーザーインターフェース62および記憶部63はプロセスコントローラ61に接続されている。
【0032】
上記レシピは記憶部63の中の記憶媒体63aに記憶されている。記憶媒体は、ハードディスクであってもよいし、CD−ROM、DVD、フラッシュメモリ、BD(Blue−ray Disk)等の可搬性のものであってもよい。また、他の装置から、例えば専用回線を介してレシピを適宜伝送させるようにしてもよい。
【0033】
そして、必要に応じて、ユーザーインターフェース62からの指示等にて任意のレシピを記憶部63から呼び出してプロセスコントローラ61に実行させることで、プロセスコントローラ61の制御下で、成膜装置10での所望の処理が行われる。
【0034】
次に、上記載置台22の詳細な構造を、図2を参照して説明する。
載置台22の主要部である載置台本体23は、ベース部23aと、その上に設けられた、例えば表面が陽極酸化されたアルミニウムからなるバイアスが印加される電極部23bとを有している。電極部23bは、静電チャックを支持するように設けられ、その中には冷却機構として冷却ジャケット25が設けられており、図示しない冷媒流路を介して冷媒を供給するようになっている。冷媒としては、ガルデンを好適に用いることができ、冷媒を供給することにより電極部23bを所望の温度に制御する。
【0035】
また、載置台22は、静電チャック26の周囲に設けられたアルミニウムやアルミニウム合金等の導電性材料からなるバイアスリング51と、さらにその外側に設けられ、載置台22の最外周を構成するアルミニウムやアルミニウム合金等の導電性材料からなるリング状のシールド部材52とを有している。バイアスリング51とシールド部材52は、載置台本体23のベース部23aに固定されている。また、バイアスリング51とシールド部材52との間は、絶縁部材56により絶縁されている。
【0036】
載置台本体23の電極部23bにおけるバイアスリング51との接触面は、陽極酸化被膜が剥がされており、電極部23bとバイアスリング51は導通している。また、電極部23bとシールド部材52との間にはリング状をなす絶縁部材53が設けられている。この絶縁部材53はシールド部材52の内周に形成された段部52aに対応する段部53aを有しており、これにより絶縁部材53の上方の移動が阻止されている。絶縁部材53内にはバイアスリング51にねじ止めされた支持部材54が遊嵌されており、支持部材54は絶縁部材53の内部に設けられたコイルばね55により下方に付勢されている。したがって、コイルばね55の付勢力により支持部材54とともにバイアスリング51が下方に付勢され、バイアスリング51が電極部23bに押しつけられる。これにより、電極部23bとバイアスリング51とが十分に導通され、電極部23bに高周波バイアスが印加された際に、これらがほぼ同電位とされ、安定したリスパッタリングが可能となる。
【0037】
絶縁部材53とベース部23aとの間には、これらの間を絶縁するためのリング状の絶縁部材57が介在され、その内側の電極部23bとベース部23aとの間にはリング状の絶縁部材58が設けられおり、これにより電極部23bとベース部23aとの間に空間部23cが形成されている。
【0038】
<成膜方法>
次に、以上のように構成される成膜装置における成膜方法について図3のフローチャートを参照して説明する。ここでは、トレンチおよび/またはホールが形成されたウエハに対して例えばCuシード膜を形成する場合について説明する。
【0039】
まず、ウエハWを図1に示す処理容器11内へ搬入し、このウエハWを冷却機構である冷却ジャケット25に供給された冷媒により相対的に低温に保持された載置台23上に載置する(ステップ1)。
【0040】
そして、真空ポンプ16を動作させることにより所定の真空状態にされた処理容器11内に、ガス制御部20を操作して所定流量でプラズマ生成ガスであるArガスを流しつつスロットルバルブ15を制御してガスを安定化させ、静電チャック26へ電圧印加してウエハWを吸着し、ウエハW裏面に伝熱ガスを流す。このとき載置台本体23は冷媒により例えば−50〜0℃、好ましくは−30〜0℃に制御される。
【0041】
この状態で最初に誘導結合プラズマ(ICP)モードでCuシード膜の堆積を行う(ステップ2)。
【0042】
ステップ2の堆積工程では、Arガスを流したままの状態で、高周波電源41をオンにして誘導コイル40に高周波電力を供給して処理容器11内に誘導結合プラズマを生成させ、次いで直流電源44をオンにしてターゲット43に所定の直流電力を供給する。次いでArガス流量を成膜の際の流量まで上昇させ、ターゲット43へ供給される直流電力のパワーを調整するとともに、バイアス用高周波電源34をオンにして載置台本体23にバイアス用の高周波電力を供給し、ターゲットから放出されたCuをウエハW上へ堆積させる。
【0043】
この堆積処理においては、ターゲット43に直流電力が印加されると、誘導結合プラズマ中のArイオンが直流電圧に引き寄せられてターゲット43に衝突し、ターゲット43がスパッタされてCu粒子が放出される。この際、ターゲット43に印加する直流電圧により放出されるCuの量が最適に制御される。また、ターゲット43から放出されたCu粒子はプラズマ中を通る際に多くはイオン化される。そして、イオン化されたCuイオンと電気的に中性な中性Cu原子とが混在する状態となって下方向へ飛散して行く。この時のイオン化率は高周波電源41から供給される高周波電力により制御される。
【0044】
Cuイオンは、高周波電源41から電極部23bに印加されたバイアス用の高周波電力によりウエハW面上に形成される厚さ数mm程度のイオンシースの領域に入ると、強い指向性をもってウエハW側に加速するように引き付けられてウエハWに堆積してCu膜が形成される。このとき、バイアス用の高周波電力によりアルゴンイオンもウエハW側に引き付けられるが、この際のバイアスパワーを調整してCuの堆積とArによるエッチングを調整して所望の成膜速度でシード膜としてのCu膜を堆積する。
【0045】
誘導結合プラズマは高密度プラズマであるから、高密度でイオンを生成することができ、高い成膜レートでCu膜を成膜することができる。なお、シード膜を形成する際には、膜厚は例えば20〜30nmとする。
【0046】
このステップ2の成膜工程の際の好ましい条件は以下の通りである。
Arガス流量:130〜750sccm(例えば215sccm)
ICP用高周波パワー:4000〜5250W(例えば5250W)
ターゲット用直流パワー:6000〜18000W(例えば12000W)
バイアス用高周波パワー:50〜300W(例えば200W)
処理容器内圧力:5.0〜90.0mTorr(例えば35mTorr)
【0047】
このようなICPモードでの成膜の後、以下のようにして容量結合プラズマ(CCP)モードでリスパッタリングを行う(ステップ3)。
【0048】
ステップ3のリスパッタリング工程では、Cuを堆積した後、バイアス用の高周波電源34をオフにし、次いで直流電源44をオフにし、次いでICP用の高周波電源41をオフにした後、Arガス流量を調整する。そして、バイアス用の高周波電源34から高周波電力を供給(高周波バイアスを印加)してCCPプラズマを生成した後、Arガス流量を減少させてリスパッタリングを所定時間、例えば5〜30sec行う。このリスパッタリング工程により、堆積されたCuの底部や肩部がスパッタされてトレンチやホールの側壁に堆積され、膜厚分布が調整された(側壁の膜厚が厚くされた)Cu膜が成膜される。
【0049】
このステップ3のリスパッタリング工程の際の好ましい条件は以下の通りである。
Arガス流量:55〜500sccm(例えば55sccm)
バイアス用高周波パワー:1500〜2500W(例えば2400W)
処理容器内圧力:2.5〜15mTorr(例えば2.5mTorr)Pa)
【0050】
リスパッタングを行った後、バイアス用の高周波電源34をオフにし、静電チャック26でデチャック処理を行った後、静電チャック26への給電をオフにし、載置台22を下降させ、ゲートバルブGを開いてウエハWを搬出する(ステップ4)。
【0051】
上述したようにプラズマスパッタリングによる成膜では、トレンチやホールの側壁への堆積が不十分になる傾向があるため、堆積後、リスパッタリングを行うことが一般的である。従来、本実施形態のようなICPスパッタリング装置においては、堆積工程が終了後のリスパッタリング工程においては、ターゲットへの直流電力の供給を停止して、ICPモードでArイオンをウエハWに引き込むことによりリスパッタリングを行っていた。しかしながら、ICPモードでリスパッタリングを行う場合には、図4の(a)に示すように、処理空間全体にプラズマ密度の高い誘導結合プラズマが形成され(例えば1×1012atoms/cm3)、本質的にプラズマシースが薄くウエハWの自己バイアス電圧(Vdc)が100V以下と小さいため、Arイオンの加速が小さい。そのため、図5の(a)に示すように、トレンチの肩部に侵入するアルゴンイオンの角度(ファセットアングル)θが小さくなってしまい、肩部で削り取られたCuがトレンチやホールの間口付近の内壁に付着してオーバーハングが生じるおそれある。
【0052】
このような不都合を防止すべく検討した結果、容量結合プラズマによりリスパッタリングを行うことによりこのような不都合を解消できることを知見した。このため、リスパッタリング工程の際にICP用の高周波電源41もオフにしてCCPモードでリスパッタリングを行う。すなわち、載置台本体23の電極部23bのみに高周波電力を供給した場合には、図4の(b)に示すように、接地されたシールド部材52が対向電極として機能し、バイアス用の高周波電力が供給された電極部23bとの間に高周波電界が形成され、ウエハWの上に扁平な容量結合プラズマが形成される。容量結合プラズマは、原理的に誘導結合プラズマに比べてプラズマ密度が一桁〜二桁程度低く(例えば1×1010atoms/cm3)、プラズマシースが厚く形成され、Vdcを1000V付近の著しく高い値とすることができる。このため、図5の(b)に示すように、ファセットアングルθが大きくなり、肩部で削り取られたCuはトレンチの間口よりも下方に付着するのでオーバーハングが形成され難くなる。ファセットアングルθは50°以上が好ましく、そのためには電極部23bのVdcは500V以上が好ましい。なお、対向電極として機能するシールド部材52は電極部23bに近い位置に設けられ、ある程度の面積を有しているため、効率良く容量結合プラズマを形成することができる。
【0053】
なお、ICPモードとCCPモードとの違いを表1にまとめて示す。
【表1】

【0054】
ところで、従来の装置においては、載置台本体23の電極部23bは、全面に陽極酸化皮膜が形成されており、電極部23bとバイアスリング51とは導通していなかった。したがって、電極部23bとバイアスリング51との間に電位差が生じていた。
【0055】
ICPモードの場合には、プラズマシースが薄くVdcも小さいため、このような電位差は大きな問題とはならない。しかしながら、本実施形態のように、リスパッタリング工程をCCPモードで行う場合には、Vdcが大きいため、電極部23bとその外側のバイアスリング51とVdc電位差が大きくなる。このためウエハエッジ部で電界に傾きが生じる。また、プラズマシースが厚いため、イオンが加速される距離が長くなる。このため、図6(a)に示すように、ウエハWのエッジ部において、イオンが斜めに入射することになって、リスパッタリングの際にアルゴンイオンにより均一なエッチングが困難となる。すなわち、図7の走査型電子顕微鏡(SEM)写真の(a)に示すように、イオンがウエハに斜めに入射する結果、リスパッタリングの際にトレンチの肩部に形成された膜の一方側のみが削られて非対称となってしまう。
【0056】
これに対して、本実施形態では、電極部23bにおけるバイアスリング51との接触面は、陽極酸化被膜が剥がされており、また、コイルばね55によりバイアスリング51が電極部23bに押しつけられているので、これらの間に良好な導通を確保することができ、電極部23bのVdcとバイアスリング51のVdcはほぼ等しくなる。
【0057】
このため、ウエハエッジ部の電界の傾きが生じず、図6(b)に示すように、ウエハWのエッジにおいても、イオンを垂直に入射させることが可能となり、図7のSEM写真の(b)に示すように、リスパッタリングの際にトレンチの肩部に形成された膜を対称にエッチングすることができる。
【0058】
<実験結果>
次に、Cu膜を形成後従来のICPモードでリスパッタリングを行った場合と、CCPモードでリスパッタリングを行った場合についてCu膜の状態を把握した実験結果について説明する。
【0059】
リスパッタリングの際の条件は以下の通りとした。
・ICPモード
処理容器内圧力:2.5mTorr
ICP用高周波パワー:1000W
バイアス用高周波パワー:1000W
Arガス流量:55sccm
・CCPモード
処理容器内圧力:10mTorr
ICP用高周波パワー:オフ
バイアス用高周波パワー:2000W
Arガス流量:300sccm
【0060】
以上の条件でリスパッタリング工程を実施した結果、ICPモードではVdcが43Vと低い値であるのに対し、CCPモードでは841Vと極めて高い値となった。また、リスパッタリング後のトレンチ部分のSEM写真を図8に示すが、ICPモードではVdcが低いことに起因してファセットアングルθが30°付近であり、トレンチの間口付近にオーバーハングが形成されているのに対し、CCPモードではVdcが高くファセットアングルθが60°近くまで達しているため、オーバーハングを形成することなく側壁の膜厚を厚くすることに成功している。
【0061】
図9は、Vdcとファセットアングルとの関係を示すグラフである。図9に示すように、Vdcが大きくなるほどファセットアングルは大きくなることがわかる。ファセットアングルθは、50°以上であることが好ましく、このような観点からVdcは500V以上が好ましい。
【0062】
<他の適用等>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、Cuシード膜の成膜に本発明を適用した例について示したが、これに限らず被処理基板のトレンチやホールに金属薄膜(金属化合物を含む)を形成する場合であれば適用することができ、例えば、Cu配線のバリア膜として用いられるTa、Ti、TaN、TiN等の成膜にも提供することができる。
【0063】
また、上記実施形態では、被処理基板として半導体ウエハを例にとって説明したが、半導体ウエハにはシリコンのみならず、GaAs、SiC、GaNなどの化合物半導体も含まれる。さらに、半導体ウエハに限定されず、液晶表示装置等のFPD(フラットパネルディスプレイ)に用いるガラス基板や、セラミック基板等にも本発明を適用することができることはもちろんである。
【0064】
また、本発明はDRAM、NAND等のメモリや、MPU等のロジック系の半導体装置の形成に適用することができ、また、PRAM,MeRAM等の新しいメモリ素子の配線の形成にも適用することができる。
【符号の説明】
【0065】
10;成膜装置
11;処理容器
16;真空ポンプ
19;ガス供給源
22;載置台
23;載置台本体
23a;ベース部
23b;電極部
25;冷却ジャケット
26;静電チャック
34;バイアス用高周波電源
38;プラズマ発生源
40;コイル
41;プラズマ発生用高周波電源
43;ターゲット
44;直流電源
45;磁石
51;バイアスリング
52;シールド部材
55;コイルばね
W 半導体ウエハ(被処理基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板が収容される処理容器と、前記処理容器内で被処理基板を載置する載置台と、前記処理容器内にプラズマ生成ガスを導入するガス導入機構と、前記処理容器内に前記プラズマ生成ガスの誘導結合プラズマを生成するための誘導結合プラズマ生成機構と、成膜しようとする金属膜の金属からなる金属ターゲットと、前記金属ターゲットに直流電力を供給する直流電源と、前記載置台に前記処理容器内に生成されたプラズマ中のイオンを引きこむための高周波バイアスを印加するバイアス電源とを有する成膜装置を用いてトレンチおよび/またはホールを有する被処理基板に金属薄膜を成膜する成膜方法であって、
前記載置台に被処理基板を載置した状態で、前記処理容器内にプラズマ生成ガスを導入しつつ前記誘導結合プラズマ生成機構により前記処理容器内に誘導結合プラズマを生成し、前記直流電源から前記金属ターゲットに直流電力を供給し、前記バイアス電源により前記載置台に高周波バイアスを印加して、前記被処理基板に金属薄膜を堆積させる工程と、
前記誘導結合プラズマ生成機構によるプラズマの生成を停止するとともに前記直流電源への給電を停止し、前記処理容器内にプラズマ生成ガスを導入しつつ前記バイアス電源により前記載置台に高周波バイアスを印加して、前記処理容器内に容量結合プラズマを形成するとともに前記プラズマ生成ガスのイオンを前記被処理基板に引き込んで堆積された金属薄膜をリスパッタリングする工程と
を有することを特徴とする成膜方法。
【請求項2】
前記リスパッタリングの際の高周波バイアスのパワーは、1500W以上であることを特徴とする請求項1に記載の成膜方法。
【請求項3】
前記リスパッタリングの際の前記載置台の自己バイアス電圧Vdcは、500V以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の成膜方法。
【請求項4】
前記堆積される金属薄膜は、前記トレンチおよび/または前記ホールに埋め込まれるCu配線のシード膜となるCu膜であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の成膜方法。
【請求項5】
被処理基板が収容される処理容器と、前記処理容器内で被処理基板を載置する載置台と、前記処理容器内にプラズマ生成ガスを導入するガス導入機構と、前記処理容器内に前記プラズマ生成ガスの誘導結合プラズマを生成するための誘導結合プラズマ生成機構と、成膜しようとする金属膜の金属からなる金属ターゲットと、前記金属ターゲットに直流電力を供給する直流電源と、前記載置台に前記処理容器内に生成されたプラズマ中のイオンを引きこむための高周波バイアスを印加するバイアス電源とを有する成膜装置を用いてトレンチおよび/またはホールを有する被処理基板に金属薄膜を堆積した後、堆積された金属薄膜をリスパッタリングするリスパッタリング方法であって、
前記載置台に金属薄膜を堆積した後の被処理基板を載置した状態で、前記誘導結合プラズマ生成機構によるプラズマの生成を停止し、かつ前記直流電源への給電を停止した状態で、前記処理容器内にプラズマ生成ガスを導入しつつ前記バイアス電源により前記載置台に高周波バイアスを印加して、前記処理容器内に容量結合プラズマを形成するとともに前記プラズマ生成ガスのイオンを前記被処理基板に引き込んで堆積された金属薄膜をリスパッタリングすることを特徴とするリスパッタリング方法。
【請求項6】
前記高周波バイアスのパワーは、1500W以上であることを特徴とする請求項5に記載のリスパッタリング方法。
【請求項7】
前記載置台の自己バイアス電圧Vdcは、500V以上であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のリスパッタリング方法。
【請求項8】
前記被処理基板に堆積されている金属薄膜は、前記トレンチおよび/または前記ホールに埋め込まれるCu配線のシード膜となるCu膜であることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載のリスパッタリング方法。
【請求項9】
被処理基板が収容される処理容器と、
前記処理容器内で被処理基板を載置する載置台と、
前記処理容器内にプラズマ生成ガスを導入するガス導入機構と、
前記処理容器内に前記プラズマ生成ガスの誘導結合プラズマを生成するための誘導結合プラズマ生成機構と、
成膜しようとする金属膜の金属からなる金属ターゲットと、
前記金属ターゲットに直流電力を供給する直流電源と、
前記載置台に前記処理容器内に生成されたプラズマ中のイオンを引きこむための高周波バイアスを印加するバイアス電源と、前記載置台に被処理基板を載置した状態で、前記処理容器内にプラズマ生成ガスを導入しつつ前記誘導結合プラズマ生成機構により前記処理容器内に誘導結合プラズマを生成し、前記直流電源から前記金属ターゲットに直流電力を供給し、前記バイアス電源により前記載置台に高周波バイアスを印加して、前記被処理基板に金属薄膜を堆積させるように制御し、金属薄膜堆積後、前記誘導結合プラズマ生成機構によるプラズマの生成を停止するとともに前記直流電源への給電を停止し、前記処理容器内にプラズマ生成ガスを導入しつつ前記バイアス電源により前記載置台に高周波バイアスを印加して、前記処理容器内に容量結合プラズマを形成するとともに前記プラズマ生成ガスのイオンを前記被処理基板に引き込んで堆積された金属薄膜をリスパッタリングするように制御する制御機構と
を具備することを特徴とする成膜装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記リスパッタリングの際の高周波バイアスのパワーが、1500W以上となるように制御することを特徴とする請求項9に記載の成膜装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記リスパッタリングの際の前記載置台の自己バイアス電圧Vdcが、500V以上となるように制御することを特徴とする請求項9または請求項10に記載の成膜装置。
【請求項12】
前記堆積される金属薄膜は、前記被処理基板に形成されたトレンチおよび/またはホールに埋め込まれるCu配線のシード膜となるCu膜であることを特徴とする請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項13】
前記載置台は、前記被処理基板に対応するように設けられた、前記高周波バイアスが供給される電極部と、前記電極部の周囲に設けられた導電性のリング部材とを有し、前記リング部材は、前記電極部と同電位とされていることを特徴とする請求項9から請求項12のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項14】
前記載置台は、前記リング部材の外周に設けられたシールドリングを有し、前記処理容器内に容量結合プラズマを形成する際に、前記シールドリングが前記電極部の対向電極として機能することを特徴とする請求項13に記載の成膜装置。
【請求項15】
コンピュータ上で動作し、成膜装置を制御するためのプログラムが記憶された記憶媒体であって、前記プログラムは、実行時に、請求項1から請求項4のいずれかの成膜方法が行われるように、コンピュータに前記成膜装置を制御させることを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−209483(P2012−209483A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75126(P2011−75126)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】