説明

成膜装置、及びこれを用いたマスクのクリーニング方法

【課題】従来の成膜装置において、マスクに対するクリーニングは、長時間にわたり行われていた。
【解決手段】成膜室を有し、成膜室は、プラズマを発生させる手段を有し、プラズマを発生させる手段は、成膜室に配置されるマスクを電極として有することができ、マスクに高周波電界を印加して、成膜室に導入されたガスを励起してプラズマを発生することができる。Ar、H、F、NF、またはOから選ばれた一種または複数種を有するガスを用いてプラズマを発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の電極間に有機化合物を含む膜(以下、「有機化合物層」と記す)を設
けた素子に電界を加えることで、蛍光又は燐光が得られる発光素子を用いた発光装置及び
その作製方法に関する。なお、発光装置とは、画像表示デバイス、発光デバイス、もしく
は光源(照明装置含む)を指す。また、発光装置の製造装置および製造装置のクリーニン
グ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自発光型の発光素子としてEL素子を有した発光装置の研究が活発化している。
この発光装置は有機ELディスプレイ、又は有機発光ダイオードとも呼ばれている。これ
らの発光装置は、動画表示に適した速い応答速度、低電圧、低消費電力駆動などの特徴を
有しているため、新世代の携帯電話や携帯情報端末(PDA)をはじめ、次世代ディスプ
レイとして大きく注目されている。
【0003】
このようなEL素子をマトリクス状に配置して形成された発光装置には、パッシブマト
リクス駆動(単純マトリクス型)とアクティブマトリクス駆動(アクティブマトリクス型
)といった駆動方法を用いることが可能である。しかし、画素密度が増えた場合には、画
素(又は1ドット)毎にスイッチが設けられているアクティブマトリクス型の方が低電圧
駆動できるので有利であると考えられている。
【0004】
また、有機化合物を含む層は「正孔輸送層、発光層電子輸送層」に代表される積層構造
を有している。また、EL層を形成するEL材料は低分子系(モノマー系)材料と高分子
系(ポリマー系)材料に大別され、低分子系材料は、蒸着装置を用いて成膜される。
【0005】
なお、EL素子は、電場を加えることで発生するルミネッセンス(Electro Lu
minescence)が得られる有機化合物を含む層(以下、EL層と記す)と、陽極
と、陰極とを有する。有機化合物におけるルミネッセンスには、一重項励起状態から基底
状態に戻る際の発光(蛍光)と三重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(リン光)と
があることが知られている。
【0006】
有機EL素子を有する有機ELパネルは、バックライトを必要とする液晶表示装置と異な
り自発光型であるため、高いコントラストを実現し易く、視野特性も広いことから視認性
に優れている。即ち、屋外に用いられるディスプレイとしては、液晶ディスプレイよりも
適しており、携帯電話、デジタルカメラの表示装置等をはじめとして、様々な形での使用
が提案されている。
【0007】
有機EL素子を用いてフルカラーの有機ELパネルを作製しようとする場合、発光層か
ら得られる光の所望の波長がピーク波長となるように、ITOの陽極及び複数の有機化合
物材料層の厚みを設定する技術が特許文献1に記載されている。
【0008】
R(赤)、G(緑)、B(青)の三原色を用いてフルカラーの有機ELパネルを作製しよ
うとする場合、発光波長の異なる材料が混ざらないように、R、G、Bのそれぞれ異なる
発光材料を形成するための成膜室を用いる。従って、フルカラーの有機ELパネルの作製
にかかるトータルの時間(またはタクトタイム)が長いものとなっていた。
【0009】
また、カラーフィルタを用いずに、白色発光を光の干渉現象によって共振させた後、3色
に変換させる有機発光装置が特許文献2及び特許文献3に開示されている。
【0010】
また、本出願人は、高分子膜に接して低分子膜を有するEL素子およびその作製方法を特
許文献4に開示している。
【0011】
また、本出願人は、湿式法によって遷移金属を含む酸化物層と発光層とを一対の電極間に
有するEL素子を特許文献5に開示している。
【0012】
また、本出願人は、クリーニング方法を特許文献6に開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平7−240277号公報
【特許文献2】特開2005−93399号公報
【特許文献3】特開2005−93401号公報
【特許文献4】特開2002−33195号公報
【特許文献5】特開2006−190995号公報
【特許文献6】特開2003−313654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、比較的単純な構成の装置を用いて、膜厚均一性の高い成膜技術を提供する。加
えてフルカラーの有機ELパネルの作製にかかる時間を大幅に短縮する技術を提供するこ
とを課題とする。これらの技術により、タクトタイムのロスや、生産コストのロスを低減
することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
ここでは、液滴吐出装置で選択的に形成した第1の材料層と、新規な成膜法で形成した第
2の材料層とを有する積層とを一対の電極間に設けた複数種類の発光素子でフルカラーの
発光装置を実現することを提案する。なお、第2の材料層は白色発光の単層、或いは合成
されて得られた白色発光の積層(例えば、赤色発光層、緑色発光層、及び青色発光層の積
層)を少なくとも含んでいる。複数種類の発光素子における第1の材料層の膜厚は、得よ
うとする発光色となるように、発光色毎に異なる。発光色毎に異なる発光素子の第1の材
料層の膜厚をそれぞれ調節することで、光の干渉現象によって白色発光成分中の青色発光
成分、緑色発光成分、或いは赤色発光成分を選択的に強調して取り出すことができる。
【0016】
また、第1の材料層は有機化合物と、無機化合物である金属酸化物とが混在する層である
。金属酸化物は、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、又はレニウム酸化物のいずれか
一または複数種である。第1の材料層の膜厚の調節のため、代表的にはインクジェット装
置を用いる。従って、インクジェット装置の液滴吐出ヘッドから吐出可能な材料液(金属
酸化物を含む液体)を用意する。インクジェット装置は、微量な液滴量を調節することで
膜厚を正確に制御することができる。
【0017】
有機化合物と、無機化合物である金属酸化物とが混在する第1の材料層は、膜厚を厚くし
ても所定の電流を得るために印加する電圧(駆動電圧とも表記する)が高くならず好まし
い。その結果、発光装置の低消費電力化を図ることができる。
【0018】
また、第2の材料層は、新規な成膜法を用いて、短時間での成膜としている。減圧状態と
することが可能な真空チャンバー内に、少なくとも、予め第2の材料層が成膜されたプレ
ートと、被成膜基板(以下、被成膜基板と称する)と、熱源(ホットプレート、フラッシ
ュランプなど)とを有する成膜装置を用いる。
【0019】
なお、本明細書中でプレートとは、矩形状の平板、好ましくは対角5インチ以上の平板を
指しており、金属板、導電膜が表面に形成された絶縁基板(ガラス基板、石英基板など)
を含む。また、本明細書中で被成膜基板と区別して分かりやすくするためにプレートと便
宜上呼ぶ。また、プレートは加熱されるため、耐熱性を有していることが好ましい。
【0020】
ここで、新規な成膜法の手順を簡略に説明する。真空チャンバー内に、第2の材料層が成
膜されたプレートと、第1の材料層が成膜された被成膜基板とを互いに接しない近い距離
で対向させる。それぞれ、第2の材料層表面および第1の材料層表面が向かいあうように
セットする。成膜室内を減圧下とし、熱源の熱を利用して熱伝導または熱輻射によって、
プレートを急速に加熱し、プレート上の第2の材料層を短時間に蒸発させ、第1の材料層
上に成膜し、第2の材料層を積層する。
【0021】
この新規な成膜法により、膜厚モニタを用いずとも、成膜の均一性を図ることができるた
め、タクトタイムの短縮が図れる。また、被成膜基板のサイズは限定されず、一辺が1m
を超える大面積の基板であっても成膜の均一性を図ることができる。加えて、蒸着材料の
利用効率及びスループットを格段に向上させることができる。
【0022】
また、この新規な成膜法は、膜厚モニタを用いる蒸着速度の調節を行わなくてもよいため
、成膜装置を全自動化することができる。また、1層の成膜に1枚のプレートを使用して
いる、即ち、1回の成膜に対して必要な量だけ毎回材料を補充していると言える。従来の
蒸着装置では、蒸着源に収納した材料が無くなれば、成膜室を大気圧とし、使用者が手作
業で補充していた。従来の蒸着装置は、成膜室の容量が大きく、材料使用効率が低いため
、頻繁に補充が行われていた。
【0023】
従来の蒸着法は、大面積基板になると、蒸着源が基板サイズに比べて小さいため、蒸着源
の上方に重なる基板の中央部を中心として同心円状に膜厚分布が生じるおそれがある。
【0024】
また、従来の蒸着法は、蒸着速度が安定するまで膜厚モニタ等で調節し、安定になってか
ら蒸着が開始される。従って、蒸着レートが安定になるまで蒸発させた材料は被成膜基板
に成膜されることなく、成膜室内の内壁などに付着する。成膜室内の内壁などに材料が付
着した場合、頻繁に成膜室内を長時間に渡り手作業でクリーニングする作業が必要となっ
てしまう。このように、従来の蒸着法は、タクトタイムのロスと、蒸着材料のロスが発生
していた。
【0025】
また、インクジェット法で代表される液滴吐出法ではなく、スピンコート法やディップコ
ート法を用いて第1の材料層を形成しようとすると、基板全面に形成されるため、電極取
り出し部(端子部とも呼ぶ)にも成膜されてしまい、外部回路とのコンタクト形成する際
に不都合が生じる。インクジェット法を用いれば、第1の材料層は、電極取り出し部以外
の領域に形成し、さらに、選択的にそれぞれ異なる膜厚の領域を形成することができる。
さらに、新規な成膜法は、第2の材料層が設けられたプレートと向かい合わせの位置の第
1の材料層上に成膜されるため、電極取り出し部とプレートが重ならないように位置合わ
せすれば、選択的に成膜することができる。
【0026】
また、プレート上の第2の材料層を予めパターニングしておけば、第2の材料層がパター
ニングされているパターン形状を反映して第1の材料層上に蒸着することもできる。
【0027】
白色発光を光の干渉現象によって共振させた後、3色に変換させる技術が特許文献2及び
特許文献3に開示されているが、光学的距離を調節するためにエッチングマスクを用いて
ウェットエッチングやドライエッチングを少なくとも3回行っており、本発明の作製方法
とは大きく異なる。
【0028】
本明細書で開示する発明の構成は、赤色の発光素子と、青色の発光素子と、緑色の発光素
子とを有する半導体装置の作製方法であり、第1の基板上に第1の電極を形成し、前記第
1の電極上に液滴吐出法により第1の材料層を選択的に形成し、第2の材料を含む膜を設
けた第2の基板の面と、第1の材料層を形成した第1の基板面とを向かい合わせ、前記第
2の基板を加熱して前記第1の材料層上に発光材料を含む第2の材料層を形成し、前記第
2の材料層上に第2の電極を形成する発光装置の作製方法である。
【0029】
上記構成において、赤色の発光素子の第1の材料層と、青色の発光素子の第1の材料層と
、緑色の発光素子の第1の材料層は、それぞれ互いに異なる膜厚を有している。
【0030】
また、上記構成において、前記第2の基板の加熱は、ヒータ、ランプ、または第2の基板
への電圧印加による加熱である。
【0031】
また、上記構成において、マイクロキャビティ効果を得るために、前記第1の電極または
前記第2の電極は、透光性を有する材料である。また、前記第1の電極は反射材料であり
、前記第1の材料層の膜厚は、前記第2の材料層から射出される白色光と、第1の電極で
反射した反射光とを干渉させて発光色を変化させており、色ごとに異なっている。或いは
、前記第2の電極は反射材料であり、前記第1の材料層の膜厚は、前記第2の材料層から
射出される白色光と、第2の電極で反射した反射光とを干渉させて発光色を変化させてお
り、色ごとに異なっている。
【0032】
また、上記構成において、前記第1の材料層は金属酸化物を含み、前記金属酸化物は、モ
リブデン酸化物、バナジウム酸化物、又はレニウム酸化物である。
【0033】
本発明は、上記課題の少なくとも一つを解決する。
【0034】
また、3原色を用いたフルカラー表示装置に限定されず、シアン色やマゼンダ色を用いた
フルカラー表示装置としてもよい。また、RGBWの4画素を用いてフルカラー表示装置
としてもよい。
【0035】
また、本明細書で新規のクリーニング方法も提供する。その構成は、成膜室内に付着した
有機化合物を除去するクリーニング方法であり、成膜室内にマスクと、該マスクと対向す
る位置に導電基板を搬入し、プラズマを発生させて成膜室の内壁、またはマスクをクリー
ニングするクリーニング方法。
【0036】
上記クリーニング方法の構成、前記プラズマは、前記マスクと、該マスクと前記蒸着源と
の間に設けられた電極との間に発生させるクリーニング方法。
【0037】
また、上記クリーニング方法の構成において、前記プラズマは、Ar、H、F、NF
、またはOから選ばれた一種または複数種のガスを励起して発生させることを特徴として
いる。
【0038】
少なくとも一対の電極と高周波電源とを有するプラズマ発生手段により、成膜室内にプ
ラズマを発生させ、成膜室内壁、または蒸着マスクに付着した蒸着物を気化させて成膜室
外に排気することによって、クリーニングすればよい。上記構成により、メンテナンス時
に成膜室内を大気にふれることなくクリーニングすることが可能となる。
【0039】
新規な成膜法は、成膜室の容量を従来の蒸着装置に比べて縮小することができる。従って
、プラズマを発生させた場合、成膜室の内側を短時間でクリーニングできる。
【0040】
また、プラズマ発生に用いる一方の電極は、導電性を有するプレートを用いることができ
る。従って、第2の材料層を形成するプレートとして導電性を有するプレートを用いれば
、第2の材料層を蒸発させた後のプレートをプラズマ発生に用いる一方の電極に用いるこ
とができる。
【0041】
本明細書で開示する発光装置の作製方法は、第1の成膜室で導電表面を有する基板(以下
、導電表面基板と称する)の一方の面上に有機化合物を含む層を形成し、第2の成膜室で
前記有機化合物を含む層に対向する一方の面に第1の電極を有する基板を保持し、前記第
2の成膜室で前記導電表面基板と前記第1の電極を有する基板との間にマスクを保持し、
前記第2の成膜室で前記有機化合物を含む層を蒸発させ、前記第1の電極上に有機化合物
を含む材料層を形成し、第2の成膜室で前記有機化合物を含む層上に第2の電極を形成し
、前記第2の成膜室から前記第1の電極を有する基板を搬出した後、前記第2の成膜室で
前記マスクと前記導電表面基板との間にプラズマを発生させる発光装置の作製方法である

【0042】
上記作製方法において、前記プラズマは、前記マスクと、前記導電表面基板との間に発生
させて、前記第2の成膜室の内壁、または前記マスクをクリーニングする。
【0043】
また、第1の電極上に第1の材料層をインクジェット法で形成した後、第2の成膜室に搬
入して、第2の材料層が形成された導電表面基板と対向して配置した後、蒸着を行うこと
もできる。さらに蒸着後に前記第2の成膜室から被成膜基板を搬出した後、前記第2の成
膜室で前記マスクと前記導電表面基板との間にプラズマを発生させてクリーニングをする
ことができる。こうして、第2の材料層を蒸発させた後のプレートのクリーニングも行う
ことができ、再度、第2の材料層を形成することによって繰り返しプレートを使用するこ
とができる。
【0044】
また、効率よく、クリーニングを行うことができる。複数枚の基板への成膜が終わった後
、被成膜基板を成膜室の外に搬送し、最後に使用したプレートをプラズマ発生のための電
極に用いて成膜室内のクリーニングを行うことで、スムーズに作業を行うことができる。
このクリーニング作業も全自動化することができ、例えば、ある決められた処理基板枚数
毎にクリーニングを行う製造装置のプログラムとし、成膜とクリーニングを一貫して全自
動化することができる。
【0045】
また、プラズマ発生に用いるもう一方の電極は、導電性を有するマスクを用いることがで
きる。勿論、蒸着後のマスクのクリーニングも行うことができる。マスクは熱によって変
形しにくく(低熱膨張率であり)、基板の温度(T)に耐えうる金属材料(例えば、タ
ングステン、タンタル、クロム、ニッケルもしくはモリブデンといった高融点金属もしく
はこれらの元素を含む合金、ステンレス、インコネル、ハステロイといった材料)を用い
ることが望ましい。
【発明の効果】
【0046】
また、本発明のフルカラー表示装置は、インクジェット法により膜厚の異なる第1の材
料層を作製し、さらに塗布法で形成した第2の材料層を積層することが可能であるため、
基板の大型化に対応することができ、大量生産に適している。
【0047】
また、有機化合物と、無機化合物である金属酸化物とが混在した層の膜厚をRGBでそれ
ぞれ異ならせてフルカラー表示装置を実現できる。RGBでそれぞれ膜厚を異ならせても
所定の電流を得るために印加する電圧(駆動電圧とも表記する)が高くならない。従って
、フルカラー表示装置の低消費電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】フルカラー表示装置の作製工程を示す図。
【図2】フルカラー表示装置の断面を示す図。
【図3】クリーニング機構を有する成膜装置の断面を示す図。
【図4】成膜装置を備えた製造装置の断面を示す図。
【図5】基板の熱上昇を示すグラフ。
【図6】製造装置の上面を示す図。
【図7】製造装置の断面を示す図。
【図8】成膜室の断面を示す図。
【図9】パッシブマトリクス型発光装置の上面図および断面図。
【図10】パッシブマトリクス型発光装置の斜視図。
【図11】パッシブマトリクス型発光装置の上面図。
【図12】発光装置の構造を示す図。
【図13】電気器具の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明の実施形態及び実施例について、以下に説明する。
【0050】
(実施の形態1)
まず、絶縁表面を有する基板100上に複数のTFTを作製する。各TFTは各発光色の
発光素子への電流の供給を制御するトランジスタである。TFTは、半導体膜、該半導体
膜を覆うゲート絶縁膜、ゲート電極、該ゲート電極上に層間絶縁膜が設けられている。T
FT111R、111G、111Bは層間絶縁膜117で覆われており、層間絶縁膜11
7上には開口部を有する隔壁118が形成されている(図1A)。隔壁118の開口部に
おいて第1の電極101が一部露出している。
【0051】
層間絶縁膜117は、有機樹脂材料、無機絶縁材料またはシロキサン系材料から形成され
たSi−O−Si結合を含む絶縁物(以下、シロキサン絶縁物と呼ぶ)を用いて形成する
ことができる。シロキサン絶縁物は、置換基に水素を有し、その他の置換基に、フッ素、
アルキル基、またはフェニル基のうち少なくとも1種を有してもよい。また層間絶縁膜1
17に、低誘電率材料(low−k材料)と呼ばれる材料を用いてもよい。
【0052】
第1の電極101は、非透光性材料、つまり反射性の高い材料から形成する。具体的な材
料は、アルミニウム(Al)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングス
テン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅
(Cu)、若しくはパラジウム(Pd)等の金属材料を用いることができる。また、透光
性材料であるインジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物、2〜
20%の酸化亜鉛を含む酸化インジウムを積層した構造を用いてもよい。なお、第1の電
極材料は、これらに限定されない。
【0053】
隔壁118は、有機樹脂材料、無機絶縁材料またはシロキサン絶縁物を用いて形成するこ
とができる。有機樹脂材料ならば、例えばアクリル、ポリイミド、ポリアミドなど、無機
絶縁材料ならば酸化珪素、窒化酸化珪素などを用いることができる。隔壁118は、第1
の電極101と後に形成される第2の電極とが短絡してしまうのを防ぐことができる。
【0054】
次いで、露出している第1の電極101上にインクジェット法を用いて第1の層115R
、115G、115Bをそれぞれ形成する。図1(A)に示すように、赤色画素領域、緑
色画素領域、青色画素領域でそれぞれ膜厚を異ならせる。赤色画素領域、緑色画素領域、
青色画素領域は、隔壁118によって仕切られた3箇所の領域である。膜厚は、インクジ
ェット装置のヘッド114から吐出する液滴112の滴下量または滴下数で調節する。
【0055】
第1の層は、有機化合物(あるいは有機化合物の溶液)と調整したゾルを混合し、撹拌し
て、遷移金属のアルコキシドと有機化合物とを含む溶液を得る。そして、この溶液をイン
クジェット装置を用いて吐出する。吐出した後、焼成を行って第1の層を形成する。
【0056】
有機化合物は、発生したホールの輸送性に優れた化合物であることが好ましく、アリール
アミン骨格を有する有機化合物を用いることが好ましい。より具体的には、4,4’,4
’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、
4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフ
ェニルアミン(略称:MTDATA)、1,3,5−トリス[N,N−ビス(3−メチル
フェニル)アミノ]ベンゼン(略称:m−MTDAB)、N,N’−ジフェニル−N,N
’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(略称:
TPD)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(
略称:NPB)、4,4’−ビス(N−{4−[N,N−ビス(3−メチルフェニル)ア
ミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、4,4’,
4’’−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)、ポリ(4
−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)等が挙げられるが、これらに限定さ
れることはない。
【0057】
ゾルは、チタン、バナジウム、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウムなどの
遷移金属のアルコキシドを用いる。遷移金属のアルコキシドを適当な溶媒に溶かした溶液
に、安定化剤としてβ―ジケトンなどのキレート剤、および水を加え、ゾルを調整する。
また、溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノ
ール、n−ブタノール、sec−ブタノール等の低級アルコールの他、THF、アセトニ
トリル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、アニソール、あるいはこれらの混合溶媒等を
用いることができるが、これに限定されることはない。また、安定化剤に用いることので
きる化合物としては、例えばアセチルアセトン、アセト酢酸エチル、ベンゾイルアセトン
等のβ−ジケトンが挙げられる。ただし、安定化剤はゾルにおける沈殿を防ぐためのもの
であり、必ずしも必要ではない。また、水の添加量としては、アルコキシドの金属が通常
2価〜6価であるため、金属のアルコキシドに対して2当量以上6当量以下が好ましい。
ただし、水は金属アルコキシドの反応の進行を制御するために用いるものであり、必ずし
も必要ではない。
【0058】
さらに、膜質を向上させるため、バインダーとなる材料(バインダー物質)を第1の層に
添加してもよい。特に、有機化合物として分子量の低い化合物(具体的には、分子量が5
00以下の化合物)を用いる場合は、膜となるように考慮し、バインダー物質が必要とな
る。無論、高分子化合物を用いる場合も、バインダー物質が添加されていてよい。バイン
ダー物質としては、ポリビニルアルコール(略称:PVA)、ポリメチルメタクリレート
(略称:PMMA)、ポリカーボネート(略称:PC)、フェノール樹脂等が挙げられる

【0059】
次いで、予め有機化合物を含む層120を成膜した基板119を用意する。有機化合物を
含む層120は、発光機能を担う層であり、少なくとも発光性の物質を含んでいればよい
。発光性の物質としては、公知の材料を用いることができる。また、発光性の物質以外に
、他の材料を含んでいてもよい。
【0060】
図1(B)に示すように基板119と基板100とを向かい合わせた状態で基板119を
加熱する。減圧下で基板119を加熱することで、基板119上に形成した有機化合物を
含む層を蒸発させて、図1(C)に示すように、第1の層115R、115G、115B
上に第2の層116を形成することができる。本実施の形態では、第2の層116は第1
の層からホールが輸送され、後に形成される第2の電極から電子が輸送され、それらキャ
リア(電子およびホール)が再結合することにより、第2の層116に含まれる発光性の
有機化合物が励起状態を形成し、その励起状態が基底状態に戻る際に白色発光する。
【0061】
また、第2の層116を積層として白色発光とする場合には、その積層の数と同じ枚数の
基板119を用意して、順次1層ずつ形成して積層とすればよい。例えば、第2の層11
6として赤色発光層、緑色発光層、および青色発光層の3層を積層させて白色光を発生さ
せてもよい。
【0062】
こうして、隔壁118の開口部において、第1の電極101、第1の層115R、115
G、115B、第2の層116が順に積層される。なお本実施の形態では、発光素子が有
する第1の電極101と第2の電極102の2つの電極のうち、トランジスタによって電
位を制御することができる一方の電極を陽極、他方の電極が陰極である場合について説明
する。
【0063】
第1の層を厚膜化しても、駆動電圧の上昇を抑制することができるため、第1の層の膜厚
の自由に設定でき、膜厚の違いで発光色を変えることができる。また、第2の層116か
らの発光の取り出し効率も向上するように、第1の層115R、115G、115Bの膜
厚をそれぞれ設定することもできる。また、第2の層116からの発光の色純度が向上す
るように、第1の層115R、115G、115Bの膜厚をそれぞれ設定することも可能
である。
【0064】
次いで、スパッタ法や蒸着法によって、第2の層116上に第2の電極102を形成する
。第2の電極102の材料は、発光を透過する膜厚の薄いAg、Mgなどの金属薄膜と、
透明導電膜(ITO、2〜20%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム、珪素を含有したイン
ジウム錫酸化物、酸化亜鉛(ZnO)等)との積層を用いる。
【0065】
また、第2の層116と第2の電極102の間に、第2の層116に電子を輸送する機能
を担う層、即ち第3の層を形成してもよい。
【0066】
図2(A)に示すように、対向する第1の電極101、第2の電極102を有し、第1の
電極101から順に、第1の層115R、115G、115B、第2の層116、第2の
電極102が積層されている。第1の電極101を反射性とし、第2の電極102を光透
過性とすることで、図2(A)のように図中の矢印の向きに光を射出する構成となる。ま
た、第1の層の膜厚の違いを利用して、赤色画素領域、緑色画素領域、青色画素領域でそ
れぞれ発光色を異ならせている。例えば、緑色の発光素子113Gの場合、一対の電極間
で光の干渉を生じさせ、この共振により、緑色の波長域で強め合う光路長となるようにす
る。主に第1の層115Gの膜厚を調節して緑色の波長域以外では弱め合うようにする。
【0067】
また、赤色の発光素子113Rの場合、一対の電極間で光の干渉を生じさせ、この共振に
より、赤色の波長域で強め合う光路長となるようにする。主に第1の層115Rの膜厚を
調節して赤色の波長域以外では弱め合うようにする。
【0068】
また、青色の発光素子113Bの場合、一対の電極間で光の干渉を生じさせ、この共振に
より、青色の波長域で強め合う光路長となるようにする。主に第1の層115Bの膜厚を
調節して青色の波長域以外では弱め合うようにする。
【0069】
以上の工程でフルカラー表示装置を作製することができる。膜厚の異なる第1の層はイン
クジェット装置を用いて一回の成膜処理で形成することができ、第2の層も一回の成膜処
理を用いて形成することができるため、短時間での作製が可能である。
【0070】
また、図2(B)は、図2(A)とは逆側から光を射出する構成の例である。第1の電極
101を光透過性とし、第2の電極102を反射性とすることで、図2(B)のように図
中の矢印の向きに光を射出する構成となる。
【0071】
(実施の形態2)
ここでは、クリーニングするためのプラズマ発生手段を備えた成膜装置の一例を図3に示
す。
【0072】
図3は、クリーニング機能を有する成膜装置の一例を示す断面図である。成膜室501は
、真空排気処理室と連結されており、水分などが混入しないように、真空排気して真空に
しておくことが好ましい。また、成膜室501には、クリーニングのためのガスを導入す
る反応ガス導入系と連結されている。また、成膜室501には、不活性ガスを導入して成
膜室内を大気圧にする不活性ガス導入系と連結されている。
【0073】
また、成膜室501の内壁に用いる材料としては、その表面積を小さくすることで酸素や
水等の不純物の吸着性を小さくすることができるので、電解研磨を施して鏡面化させたア
ルミニウムやステンレス(SUS)等を内部壁面に用いる。これにより、成膜室内部の真
空度を10−5〜10−6Paに維持することができる。また、気孔がきわめて少なくな
るように処理されたセラミックス等の材料を内部部材に用いる。なお、これらは、中心線
平均粗さが3nm以下となる表面平滑性を有するものが好ましい。また、成膜室501の
内壁は、プラズマを発生させるために導入するガスでダメージを受けない材料、または保
護膜でコーティングしておくことが好ましい。
【0074】
ここでは、高周波電源であるRF電源521とコンデンサ522を介して接続されたマス
ク513と、クリーニング用プレート524との間でプラズマ518を発生させる例を示
す。なお、プラズマを発生させる電極は、マスクやクリーニング用プレートに限定されず
、アライメント機構512bに電極を備えて一方の電極に用いてもよいし、ヒータ507
に電極を備えて一方の電極に用いてもよい。
【0075】
パターン開口を有する薄板状のマスク513は、枠状のマスクフレーム514に接着また
は溶接により固定されている。マスク513はメタルマスクであるのでマスクを加工して
開口を形成する際、マスクの開口付近が鋭い形状、即ち、断面が垂直ではなくテーパー状
となっている。従って、マスクの開口付近にプラズマが発生しやすく、最も付着物をクリ
ーニングしたい部分、即ち、付着物が付着した場合マスク精度が低下する開口付近をクリ
ーニングできる。
【0076】
マスク513とRF電源521とを電気的に接続させるマスクホルダ511を設ける。勿
論、枠状のマスクフレーム514も導電性を有する材料で構成する。図3では、一方のマ
スクホルダ511と一方のホルダ517とをつなげる電流の経路しか図示していないが、
一枚のマスクに接触する複数のマスクホルダにRF電源521と電気的に接続させてもよ
い。
【0077】
また、ホルダ517はコンデンサ522とスイッチ523を介して、クリーニング用プレ
ート524とRF電源521とを電気的に接続している。図3では、一方のマスクホルダ
511と一方のホルダ517とをつなげる電流の経路しか図示していないが、コンデンサ
522とスイッチ523を介して、一枚のプレートに接触する複数のホルダにRF電源5
21と電気的に接続させてもよい。
【0078】
クリーニングの際には、室内を減圧とした成膜室にクリーニング用プレート524を大気
に触れることなく導入し、マスク513と対向する位置にクリーニング用プレート524
を搬送する。互いの間隔は、マスクホルダ511で調節する。次いで、成膜室501にガ
スを導入する。成膜室501に導入するガスとしては、Ar、H、F、NF、またはO
から選ばれた一種または複数種のガスを用いればよい。次いで、スイッチ523をオン状
態とし、RF電源521からマスク513に高周波電界を印加してガス(Ar、H、F、
NF、またはO)を励起してプラズマ518を発生させる。こうして、成膜室501内
にプラズマ518を発生させ、成膜室内壁、またはマスク513に付着した有機物を気化
させて成膜室外に排気する。図3に示す成膜装置によって、メンテナンス時に成膜室内を
大気にふれることなくクリーニングすることが可能となる。
【0079】
また、基板500に第2の材料層509の成膜を行う手順を製造装置の断面図、図4を用
いて説明する。なお、図4に示す製造装置の成膜室501は、図3と共通している。図4
において、図3と同じ箇所には同じ符号を用いる。
【0080】
図4において、成膜室501は、設置室502と、搬送室505とそれぞれ連結している
。また、設置室502は、塗布室520と連結している。また、これらの処理室の間には
ゲート弁503、504、510がそれぞれ設けられている。
【0081】
塗布室520は、プレート508上に第2の材料層509を形成する成膜室である。塗布
室520では、大気圧下、または減圧下でスピンコート法やスプレー法などで第2の材料
層509を塗布し、焼成する。プレート508を導入するためのロード室や、焼成するた
めの加熱室をさらに塗布室520に連結してもよい。
【0082】
設置室502は、真空排気処理室と連結されており、真空排気して真空にすることができ
る。また、設置室502には、不活性ガスを導入して成膜室内を大気圧にする不活性ガス
導入系と連結されている。また、設置室502には、搬送ロボットアームなどの搬送ユニ
ット516が設けられており、基板500やプレート508を搬送する搬送ユニット51
6を用いて、塗布室520と成膜室501との間の搬送を行う。また、設置室502に複
数のプレート508や複数の基板500をストックするホルダを設けてもよい。また、基
板500を導入するためのロード室をさらに設置室502に連結してもよい。
【0083】
なお、ここでは図示しないが基板500上にはインクジェット法で選択的に形成された第
1の材料層が設けられている。上述した実施の形態1に示すように、第1の材料層は、赤
色画素領域、緑色画素領域、青色画素領域でそれぞれ膜厚を異ならせる。膜厚は、インク
ジェット装置のヘッドから吐出する液滴の滴下量または滴下数で調節する。
【0084】
成膜室501は、被成膜基板である基板500を保持するための第1の保持手段と、第2
の材料層が設けられたプレート508を保持するための第2の保持手段とを有している。
成膜室501には、第1の保持手段としてアライメント機構512aとアライメント機構
512bとを有している。また、成膜室501には、第2の保持手段としてホルダ517
を有している。
【0085】
また、成膜室501は、マスク513を用いて選択的な成膜が行える。また、基板500
との位置合わせは、マスク513およびマスクフレーム514を支持するマスクホルダ5
11によって行う。まず、搬送された基板500はアライメント機構512aによって支
持され、マスクホルダ511に搭載させる。次いで、マスク513に載せられた基板50
0をアライメント機構512bに近づけて磁力によりマスク513とともに基板500を
引き付け固定する。なお、アライメント機構512bには永久磁石(図示しない)や加熱
手段(図示しない)が設けられている。
【0086】
また、搬送室505は、真空排気処理室と連結されており、真空排気して真空にすること
もでき、真空排気した後、不活性ガスを導入して大気圧にすることもできる。また、搬送
室505には、搬送ロボットアームなどの搬送ユニットが設けられており、成膜の終わっ
た基板500を搬送する搬送ユニットを用いて、成膜室501とアンロード室の間の搬送
を行う。また、搬送室505に成膜が終わった複数の基板500をストックするホルダを
設けてもよい。
【0087】
プレート508を成膜室501内のホルダ上に設置する際には、設置室502に設けられ
た搬送ユニット516によって、塗布室520からプレート508を成膜室501内の第
2の保持手段に搭載する。このように設置室502を設け、設置室内を真空と大気圧とを
適宜切り替えることで、成膜室501内を常に真空とすることができる。
【0088】
主な製造装置の構成は上記の通りであり、以下、成膜を行う手順の一例を示す。
【0089】
まず、塗布室520でプレート508上にスピンコート法により塗布を行い、焼成して第
2の材料層509を形成する。
【0090】
次いで、プレート508を搬送ユニット516を用いて設置室502に搬送し、ゲート弁
510を閉める。次いで、成膜室501の真空度とほぼ同じになるまで設置室内を真空排
気する。次いで、ゲート弁503を開けて、ホルダ517上にプレート508を載せる。
なお、プレート508がずれないように、ホルダ517にプレート508を固定するピン
やクリップを設けてもよい。
【0091】
次いで、基板500とプレート508とを平行に保ち、アライメント機構512bで調節
して、それらの間隔を0.5mm以上30mm以下に固定する。なお、基板500に設け
られた第1の材料層と、プレート508に設けられた第2の材料層とが向き合うように配
置する。
【0092】
次いで、加熱されているヒータ507をプレート508に近づけることで、プレート50
8を加熱する。図4では、プレート508の下方で上下移動可能なヒータ507を用いて
いる。ヒータは基本的には所定の温度で一定となるように設定しているが、タクト時間に
影響のない範囲での温度の上げ、下げを含む温度制御をしてもよい。
【0093】
熱源であるヒータ507をプレート508に近接することによって、プレート508が瞬
時に加熱され、直接的な熱伝導により短時間に第2の材料層509が蒸発して、基板50
0の一方の面、即ちプレート508と向かい合う面に成膜が行われる。このヒータ507
の移動から成膜終了までの時間は1分未満の短時間で行うことができる。
【0094】
以上の手順で成膜が終了する。このように膜厚モニタを用いることなく成膜を行うことが
できる。
【0095】
また、成膜後に連続してクリーニングを行う手順も以下に示す。プレート508として導
電材料のものを用いれば、クリーニング用プレート524として用いることができる。
【0096】
塗布室520で導電材料からなるプレートに第2の材料層を形成し、成膜室501にプレ
ートを導入して基板500への成膜を終えた後、大気圧にすることなく、基板500を搬
送室505に搬送する。この段階で、マスクとプレートが成膜室に残す。そして、Ar、
H、F、NF、またはOなどのクリーニング用のガスを成膜室501に導入し、残した
マスクとプレートを一対の電極としてプラズマを発生させる。こうすることでスムーズに
クリーニングを行うことができる。
【0097】
また、図4に示した熱源はヒータ507に限定されず、短時間に均一な加熱を行える加熱
手段であればよい。例えば、熱源としてランプを用いてもよい。ランプをプレートの下方
に固定して設け、ランプが点灯した直後に基板500の下平面に成膜が行われる。ランプ
を用いた場合、成膜開始から成膜終了までの時間は30秒未満の短時間で行うことができ
る。
【0098】
ランプとしては、フラッシュランプ(キセノンフラッシュランプ、クリプトンフラッシュ
ランプなど)、キセノンランプ、メタルハライドランプのような放電灯、ハロゲンランプ
、タングステンランプのような発熱灯を用いることができる。フラッシュランプは短時間
(0.1ミリ秒乃至10ミリ秒)で非常に強度の高い光を繰り返し、大面積に照射するこ
とができるため、プレートの面積にかかわらず、効率よく均一に加熱することができる。
また、発光させる時間の間隔を変えることによってプレートの加熱の制御もできる。また
、フラッシュランプは寿命が長く、発光待機時の消費電力が低いため、ランニングコスト
を低く抑えることができる。また、フラッシュランプを用いることにより、急加熱が容易
となり、ヒーターを用いた場合の上下機構やシャッター等を簡略化できる。従って、さら
なる成膜装置の小型化が図れる。ただし、プレートの材料による加熱温度の調整を目的と
してフラッシュランプが上下移動できるような機構としても良い。
【0099】
また、ランプを成膜室501内に設置するのではなく、成膜室の内壁の一部を透光性部材
として、成膜室の外側にランプを配置してもよい。成膜室の外側にランプを配置すると、
ランプのライトバルブの交換などのメンテナンスを簡便なものとすることができる。
【0100】
また、図4に示した熱源のヒータ507に代えて、導電表面を有するプレートに電流を流
してジュール熱を発生させて加熱してもよい。
【0101】
成膜を終えた後、導電表面を有するプレートと基板が近い状態、具体的には2mmを維持
し、経過時間に伴う基板の熱上昇の影響を調べた。なお、プレートと基板の間隔が2mm
と狭いため、熱電対を基板の裏面、即ち、成膜が行われない面に設けて測定した。
【0102】
成膜を終えた後、成膜室の真空を保ったまま、経過時間に伴う基板の熱上昇を調べてプロ
ットしたグラフを図5に示す。また、図5には、成膜を終えた後、窒素ガスを成膜室に導
入して大気圧にした後、経過時間に伴う基板の熱上昇も調べてプロットを行った。なお、
不活性ガスを導入して成膜室の真空を大気圧にすることをベントと呼ぶ。
【0103】
図5に示すように、真空を保った場合には、プレートと基板が2mmしか離れていないが
、熱の伝導はほとんどなく、10分間放置しても基板の裏面温度は50℃程度であった。
【0104】
また、図5に示すように、ベント後にプレートと基板とを近づけたまま放置した場合、窒
素の対流などにより、プレートの余熱が基板に伝わり、基板温度が上昇する。
【0105】
これらのことから、意図的に成膜後に加熱を行いたい場合には、基板とプレートを近接さ
せた状態に保ったまま、成膜室をベントすることが好ましい。こうすることによって、別
途加熱処理を行う必要をなくすことができ、熱エネルギーも無駄なく使用することができ
る。
【0106】
また、基板の加熱を抑えたい場合には、成膜後に基板とプレートを遠ざけて加熱されるこ
とを防ぎ、成膜室の真空を保ったまま、連結している搬送室に搬送することが好ましい。
【0107】
以上の構成でなる本発明について、以下に示す実施例でもってさらに詳細な説明を行う
こととする。
【実施例1】
【0108】
本発明のフルカラー表示装置を作製する方法により製造装置を小型化することができる
。本実施例では、フルカラー表示装置を作製する製造装置の一例を、図6、図7、及び図
8に説明する。
【0109】
図6は、マルチチャンバー方式の製造装置の上面図を示しており、鎖線A−Bで切断した
断面が図7に相当する。
【0110】
まず、製造装置の配置について、図6を用いて説明する。第1の基板(プレートとも呼ぶ
)をセットする第1ロード室701は、第1成膜室702に連結されている。また、第1
成膜室702は、第1ゲート弁703を介して第1ストック室705と、第2ゲート弁7
04を介して第2ストック室706との両方に連結されている。また、第1ストック室7
05は、第3ゲート弁707を介して搬送室709と連結している。また、第2ストック
室706は、第4ゲート弁708を介して搬送室709と連結している。
【0111】
第1成膜室702は、必要に応じてオゾン数をコントロールした大気環境に、あるいは酸
素濃度および露点管理された窒素雰囲気環境にできる。さらに、ホットプレートあるいは
オーブンを有しており、塗布後の乾燥等を行う。また必要に応じてUVランプ等により表
面洗浄や濡れ性の改善を図れる機能を有していることが望ましい。第1成膜室702は、
大気圧環境でプレート上に成膜を行う成膜装置であり、第1ストック室705は、大気圧
環境で成膜されたプレートを格納するとともに、真空下に減圧された第2成膜室712に
受け渡す室である。この構成においては所定の枚数のプレートを処理後、その都度、真空
に減圧しなければならない。つまり第1ストック室705内をベント、排気に要する時間
が、そのまま製造装置のスループットに影響する。そこで、図6に示すように、2系統の
搬送経路を設けている。2系統の搬送経路を設けることで、効率よく複数の基板を処理し
て、基板1枚当りの処理時間を短縮することができる。例えば、第1ストック室705内
をベント、排気している間に第1成膜室702で成膜したプレートを第2ストック室70
6に格納することができる。また、2系統の搬送経路に限定されず、3系統以上の搬送経
路を設けてもよい。
【0112】
また、搬送室709は第5ゲート弁710を介して第2成膜室712と連結している。ま
た、第2成膜室712は、第6ゲート弁714を介してアンロード室715と連結してい
る。また、第2の基板をセットする第2ロード室711は、第3成膜室740と連結され
、第7ゲート弁744を介して搬送室741と連結している。搬送室741は、第8ゲー
ト弁713を介して第2成膜室712と連結している。また、搬送室741は、加熱室7
42とも連結している。
【0113】
以下、第1の基板となるプレートを製造装置に搬入し、予め薄膜トランジスタと、陽極
(第1の電極)、該陽極の端部を覆う絶縁物とが設けられた第2の基板を図6に示す製造
装置に搬入し、発光装置を作製する手順を示す。
【0114】
まず、第1ロード室701に第1の基板となるプレートをセットする。複数枚のプレート
を収納したカセット716を設置できるようにする。
【0115】
次いで、プレートを第1成膜室702内のステージ718上に搬送ロボット717で搬送
する。第1成膜室702では、スピンコート法を用いた塗布装置により、プレート上に材
料層を形成する。なお、スピンコート法を用いた塗布装置に限定されず、スプレー法、イ
ンクジェット法などを用いた塗布装置を用いることができる。また、必要に応じてプレー
ト表面をUV処理する。また、焼成する必要がある場合は、ホットプレート722で行う
。図7に第1成膜室702の様子を見ることができる。ノズル719から材料液が滴下さ
れてステージ718上に設置されたプレート720上に材料層721が形成されている断
面が示されている。ここでは、高分子材料中に発光有機材料を分散した材料液を滴下し、
焼成して材料層721を形成する。単層で白色発光となる発光有機材料を用いてもよい。
また、積層として白色発光とする場合には、それぞれ異なる材料層の3種類のプレートを
用意する。
【0116】
次いで、第1ストック室705内に搬送するため、第1ゲート弁703を開けて搬送ロボ
ット723でプレートを搬送する。搬送された後は、第1ストック室705内を減圧とす
る。図7に示すように第1ストック室705内にプレートを複数枚格納できるような構成
、ここでは上下方向に移動できるプレートストックホルダ724とすることが好ましい。
また、第1ストック室でプレートを加熱できる機構を備えてもよい。第1ストック室70
5は、真空排気処理室と連結されており、真空排気した後、不活性ガスを導入して大気圧
にしておくことが好ましい。
【0117】
次いで、第1ストック室705内を減圧した後、第3ゲート弁707を開けて搬送室70
9にプレートを搬入し、第5ゲート弁710を開けて第2成膜室712に搬入する。搬送
室709は、真空排気処理室と連結し、搬送室709内には極力水分や酸素が存在しない
よう、予め、真空排気して真空を維持しておくことが好ましい。搬送室709内に設けら
れた搬送ロボット725を用いてプレートの搬入を行う。
【0118】
ここまでの手順によって材料層が形成されたプレートが第2の成膜室712にセットされ
る。この材料層は、後の工程で第2の基板上に設けられた第1の材料層上に形成される第
2の材料層となる。
【0119】
一方、予め薄膜トランジスタと、陽極(第1の電極)、該陽極の端部を覆う絶縁物とが設
けられた第2の基板739を第2の成膜室712内にセットするまでの手順をここで説明
する。
【0120】
まず図6に示すように、複数枚の第2の基板が収納されたカセット726を第2ロード室
711にセットする。第2ロード室711は、第3の成膜室740と連結している。そし
て、第2の基板を搬送ロボット727で第3の成膜室740内に搬送する。また、薄膜ト
ランジスタが設けられた第2の基板739は、カセット726に収納しておく場合には、
第1の電極上にゴミが付着しにくいようにフェイスダウンとした状態とすることが好まし
く、搬送ロボット727に基板反転機構を備えておくことが好ましい。第3の成膜室74
0内にはフェイスアップの状態でステージ1122に第2の基板を設置する。
【0121】
第3の成膜室740の断面の一例を図8に示す。第3の成膜室740には液滴吐出装置が
設けられている。複数のノズルが一軸方向に配列されたヘッドを具備する液滴吐出手段1
125、該液滴吐出手段1125を制御する制御部1103、基板1124を固定しXY
θ方向に移動するステージ1122等が挙げられる。このステージ1122は、基板11
24を真空チャック等の手法で固定する機能も有する。そして、液滴吐出手段1125が
有する各ノズルの吐出口から基板1124の方向に組成物が吐出されて、パターンが形成
される。
【0122】
ステージ1122と液滴吐出手段1125は、制御部1103により制御される。制御
部1103は、ステージ位置制御部1101を有している。また、CCDカメラなどの撮
像手段1120も制御部1103により制御される。撮像手段1120は、マーカーの位
置を検出して、その検出した情報を制御部1103に供給する。また、検出した情報をモ
ニター1102に表示することもできる。制御部1103は、アライメント位置制御部1
100を有している。また、液滴吐出手段1125にはインクボトル1123より組成物
が供給される。
【0123】
なお、パターンの作製に際し、液滴吐出手段1125を移動してもよいし、液滴吐出手
段1125を固定してステージ1122を移動させてもよい。但し、液滴吐出手段112
5を移動する場合には、組成物の加速度や、液滴吐出手段1125に具備されたノズルと
被処理物との距離、その環境を考慮して行う必要がある。
【0124】
その他、図示しないが、付随する構成要素として、吐出した組成物の着弾精度を向上さ
せるために、ヘッドが上下に動く移動機構とその制御手段等を設けてもよい。そうすると
、吐出する組成物の特性に応じて、ヘッドと基板1124の距離を変えることができる。
またガス供給手段とシャワーヘッドを設けてもよく、そうすると、組成物の溶媒と同じ気
体の雰囲気下に置換することができるため、乾燥をある程度防止することができる。さら
に、清浄な空気を供給し、作業領域の埃を低減するクリーンユニット等を設けてもよい。
また、図示しないが、基板を加熱する手段、加えて温度、圧力等、種々の物性値を測定す
る手段を、必要に応じて設置しても良く、これら手段も、筐体の外部に設置した制御手段
によって一括制御することが可能である。さらに制御手段をLANケーブル、無線LAN
、光ファイバ等で生産管理システム等に接続すれば、工程を外部から一律管理することが
可能となり、生産性を向上させることに繋がる。なお、着弾した組成物の乾燥を早め、ま
た組成物の溶媒成分を除去するために、真空排気を行って、減圧下で動作させてもよい。
【0125】
本実施例では、赤色の発光素子となる領域、緑色の発光素子となる領域、及び青色の発光
素子となる領域にそれぞれ膜厚の異なる第1の材料層を形成する。第1の材料層は、有機
化合物と、無機化合物である金属酸化物とが混在する層である。金属酸化物は、モリブデ
ン酸化物、バナジウム酸化物、又はレニウム酸化物のいずれか一または複数種である。図
8に示すインクジェット装置は、微量な液滴量を調節することで膜厚を正確に制御するこ
とができる。発光色毎に異なる発光素子の第1の材料層の膜厚をそれぞれ調節することで
、光の干渉現象によって白色発光成分中の青色発光成分、緑色発光成分、或いは赤色発光
成分を選択的に強調して取り出すことができる。
【0126】
図6に示すように、第1の材料層が形成された第2の基板は、第7ゲート弁744を開け
て第2の基板を搬送ロボット743で搬送室741内に搬送する。また、室内の水分を低
減するために搬送室741は、真空排気処理室と連結されており、真空排気した後、不活
性ガスを導入して大気圧にしておくことが好ましい。また、搬送ロボット743が設けら
れている搬送室741は、室内を真空排気した後、第8ゲート弁713を開けて第2の基
板を搬送ロボット743で第2の成膜室712内に搬送する。また、搬送ロボット743
に基板反転機構を備えておくことが好ましい。本実施例では、第2の成膜室712内に第
2の基板739をフェイスダウン状態で設置する。
【0127】
また、第3の成膜室740で加熱処理などを行い、第1の材料層の焼成を行うこともでき
るが、第2の基板の水分を除去するために真空加熱を行いたい場合には、搬送室741に
連結された加熱室742で真空加熱を行ってもよい。加熱室742は、真空排気処理室と
連結されており、複数枚の第2の基板を格納でき、同時に加熱できるような構成とするこ
とが好ましい。
【0128】
以上の手順で図7に示すように第2の成膜室712内にプレート720と第2の基板73
9がセットされる。
【0129】
第2の成膜室712内には、第1の基板支持手段であるプレート支持台734と、第2の
基板支持手段である第2の基板支持台735と、熱源736として上下移動可能なヒータ
ーとを少なくとも有している。また、選択的に成膜を行うためのマスク733が第2の基
板739と重なるように配置されている。予め、マスク733と第2の基板739は位置
合わせを行っておくことが好ましい。
【0130】
また、プレート720における第2の材料層721の形成されている面と、第2の基板7
39の被成膜面とが、対向するように基板支持機構に固定する。次いで、第2の基板支持
台735を移動させて、第2の材料層721と第2の基板739の基板間隔dとなる位置
まで近づける。基板間隔dは、100mm以下、好ましくは、5mm以下の距離範囲とす
る。なお、第2の基板739はガラス基板であるため、歪みや撓みを考慮すると基板間隔
dの下限は、0.5mmである。本実施例では、マスクを挟むため、5mmとする。少な
くともマスク733と第2の基板739が接しない距離とする。基板間隔dが狭ければ狭
いほど、蒸着方向の広がりが抑えられ、マスクの回り込み蒸着を抑えることができる。
【0131】
次いで、図7に示すように基板間隔dを保持した状態で、熱源736をプレート720に
近づける。熱源736としては、プレートの下方で上下移動可能なヒータを用いている。
ヒーターは基本的には所定の温度で一定となるように設定しているが、タクト時間に影響
のない範囲での温度の上げ、下げを含む温度制御をしてもよい。
【0132】
熱源736をプレート720に近接させると、直接的な熱伝導により短時間にプレート上
の材料層721を加熱して蒸発させ、対向して配置された第2の基板739の被成膜面(
即ち、下平面)に蒸着材料が成膜される。なお、本実施例では、第2の材料層721中に
分散された発光有機材料が蒸発して第2の基板739の第1の材料層上に成膜され、高分
子材料がプレート上に残る。マスク733の開口を通過した領域のみが選択的に成膜され
る。また、第2の基板739の下平面への成膜の膜厚均一性は3%未満とすることができ
る。
【0133】
こうして、第2の基板上の陽極(第1の電極)上に第1の材料層(有機化合物と、無機化
合物である金属酸化物とが混在する層)と第2の材料層(発光層)とを積層形成すること
ができる。また、発光層を形成した後、電子輸送層、または電子注入層を第2の成膜室で
同様の成膜を行い、積層してもよい。また、発光層を形成した後、第2の成膜室712で
同様の成膜を行い、陰極(第2の電極)を積層する。
【0134】
以上の工程で、赤色発光素子と青色発光素子と緑色発光素子が第2の基板上に形成できる

【0135】
図6および図7に示すように、第2の基板739への成膜が終了した後、第6ゲート弁7
14を開けて、アンロード室715に第2の基板739を搬送する。アンロード室715
にも真空排気処理室と連結されており、第2の基板739の搬送時にはアンロード室内を
減圧としておく。第2の基板739は搬送ロボット728を用いてカセット730に収納
する。なお、成膜された面が下面となるようにカセット730にセットして塵などの不純
物の付着を防止する。また、第2の基板739と同じサイズ、厚さであれば、プレート7
20も搬送ロボット728を用いてカセット730に収納することができる。また、アン
ロード室715にマスクストックホルダ729を設けてもよい。マスクストックホルダ7
29を設けることで複数のマスクを格納しておくことができる。
【0136】
また、アンロード室715に発光素子を封止するための封止室を連結してもよい。封止室
では、封止缶や封止基板を搬入するロード室を連結し、封止室内で第2の基板と封止基板
とを貼り合わせる。その際、第2の基板を反転するほうが好ましい場合には、搬送ロボッ
ト728に基板反転機構を備えておくことが好ましい。
【0137】
また、上記の真空排気処理室としては、磁気浮上型のターボ分子ポンプ、クライオポン
プ、またはドライポンプが備えられている。これにより仕込室と連結された搬送室の到達
真空度を10−5〜10−6Paにすることが可能であり、さらにポンプ側および排気系
からの不純物の逆拡散を制御することができる。装置内部に不純物が導入されるのを防ぐ
ため、導入するガスとしては、窒素や希ガス等の不活性ガスを用いる。装置内部に導入さ
れるこれらのガスは、装置内に導入される前にガス精製機により高純度化されたものを用
いる。従って、ガスが高純度化された後に蒸着装置に導入されるようにガス精製機を備え
ておく必要がある。これにより、ガス中に含まれる酸素や水、その他の不純物を予め除去
することができるため、装置内部にこれらの不純物が導入されるのを防ぐことができる。
【0138】
また、基板やプレートの搬送として搬送ロボットを例として挙げたが搬送手段は特に限定
されず、ローラなどを用いてもよい。また、搬送ロボットを設ける位置は図6及び図7の
配置に特に限定されず、所望の位置に適宜設置すればよい。
【0139】
本実施例の製造装置において、被成膜基板とプレートとの間隔距離を100mm以下、好
ましくは、5mm以下の距離範囲に狭めることによって、真空チャンバー内への材料の飛
散を抑えることができる。従って、成膜室内のクリーニングなどのメンテナンス間隔を長
くすることができる。また、本実施例の製造装置において、第1の成膜室702をフェイ
スアップ方式の成膜室とし、第2の成膜室712をフェイスダウン方式の成膜室としてい
るため、基板搬送途中でプレートや被成膜基板を反転させずにスムーズな成膜処理を行え
る構造となっている。
【0140】
マルチチャンバー方式の製造装置において、少なくとも第2の成膜室712及び第3の成
膜室740をそれぞれ一室有していれば、図6及び図7に示した成膜室の配置は特に限定
されない。例えば、さらに公知の成膜方法、例えば抵抗加熱を用いた蒸着法や、EB蒸着
法などを用いる成膜室を第2の成膜室712に連結して設けてもよい。
【0141】
第2の成膜室712は、被成膜基板の被成膜面が下方にセットされる、所謂フェイスダウ
ン方式の成膜装置であるが、フェイスアップ方式の成膜装置とすることも可能である。従
来の蒸着装置は、粉末状の蒸着材料をルツボや蒸着ボートに収納していたため、フェイス
アップ方式の成膜装置とすることは困難であった。
【0142】
また、第2の成膜室712を改造して、被成膜基板の被成膜面を水平面に対して垂直に立
てる構成、所謂基板縦置きの成膜装置とすることも可能である。また、被成膜基板の被成
膜面は、水平面に対して垂直に限らず、水平面に対して斜めであってもよい。撓みやすい
大面積基板の場合には、被成膜基板平面を水平面に対して垂直に立てることで被成膜基板
(およびマスク)の撓みを低減することができるため、好ましい。
【0143】
また、第2の成膜室712を基板縦置きの成膜装置とする場合には、第1の成膜室702
から第2の成膜室712の搬送の途中でプレート面を水平面に対して垂直にする機構を設
ける。また、被成膜基板も第2ロード室711から第2の成膜室712の搬送の途中で被
成膜面を水平面に対して垂直にする機構を設ける。
【0144】
即ち、第2の成膜室712の被成膜基板の向きは特に限定されず、被成膜基板とプレート
との間隔距離を100mm以下、好ましくは、5mm以下の距離範囲に狭めて配置できる
のであれば、その成膜装置は、蒸着材料の利用効率及びスループットを格段に向上させる
ことができる。
【0145】
また、本実施例では、第2の成膜室712を1室として備えたマルチチャンバー型の製
造装置の例を示したが特に限定されず、例えば、第2の成膜室712をインライン式の製
造装置の1室として備えることも可能であることはいうまでもない。
【0146】
なお、実施の形態1に示した成膜方法は、本実施例に示す製造装置で実施することが可能
である。
【0147】
また、実施の形態2に示したクリーニング機能を有する成膜装置は、本実施例に示す製造
装置の成膜室の一つとしてもよい。
【実施例2】
【0148】
ここではガラス基板にパッシブマトリクス型の発光装置を作製する例を図9、図10、
及び図11を用いて説明する。
【0149】
パッシブマトリクス型(単純マトリクス型)発光装置は、ストライプ状(帯状)に並列さ
れた複数の陽極と、ストライプ状に並列された複数の陰極とが互いに直交するように設け
られており、その交差部に発光層或いは蛍光層が挟まれた構造となっている。従って、選
択された(電圧が印加された)陽極と選択された陰極との交点にあたる画素が点灯するこ
とになる。
【0150】
図9(A)は、封止前における画素部の上面図を示す図であり、図9(A)中の鎖線A
−A’で切断した断面図が図9(B)であり、鎖線B−B’で切断した断面図が図9(C
)である。
【0151】
第1の基板1501上には、下地膜として絶縁膜1504を形成する。なお、下地膜が
必要でなければ特に形成しなくともよい。絶縁膜1504上には、ストライプ状に複数の
第1の電極1513が等間隔で配置されている。第1の電極1513は、反射性の金属薄
膜と透明導電膜との積層を用いる。ただし、マイクロキャビティ効果を利用するため、第
1の電極1513は発光の一部を通過でき、発光の一部を反射することが好ましい。また
、第1の電極1513上には、各画素に対応する開口部を有する隔壁1514が設けられ
、開口部を有する隔壁1514は絶縁材料(感光性または非感光性の有機材料(ポリイミ
ド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジストまたはベンゾシクロブテン)、
またはSOG膜(例えば、アルキル基を含むSiOx膜))で構成されている。なお、各
発光色の画素に対応する開口部が赤色発光領域1521R、緑色発光領域1521G、青
色発光領域1521Bとなる。
【0152】
開口部を有する隔壁1514上に、第1の電極1513と交差する互いに平行な複数の逆
テーパ状の隔壁1522が設けられる。逆テーパ状の隔壁1522はフォトリソグラフィ
法に従い、未露光部分がパターンとしてポジ型感光性樹脂を用い、パターンの下部がより
多くエッチングされるように露光量または現像時間を調節することによって形成する。
【0153】
また、平行な複数の逆テーパ状の隔壁1522を形成した直後における斜視図を図10
に示す。なお、図9と同一の部分には同一の符号を用いている。
【0154】
逆テーパ状の隔壁1522の高さは、発光層を含む積層膜及び導電膜の膜厚より大きく
設定する。図10に示す構成を有する第1の基板に対して、インクジェット法により膜厚
の異なる第1の材料層1535R、1535G、1535Bを形成する。具体的には、実
施例1に示した第3の成膜室740で第1の材料層の形成を行う。第1の材料層は、有機
化合物と、無機化合物である金属酸化物とが混在する層である。第1の材料層1535R
、1535G、1535Bに含まれる金属酸化物は、モリブデン酸化物、バナジウム酸化
物、又はレニウム酸化物のいずれか一または複数種である。
【0155】
次いで、第2の材料層1515を形成する。第2の材料層1515は、白色発光の単層、
或いは合成されて得られた白色発光の積層(例えば、赤色発光層、緑色発光層、及び青色
発光層の積層)を少なくとも含んでいる。複数種類の発光素子における第1の材料層15
35R、1535G、1535Bの膜厚は、得ようとする発光色となるように、発光色毎
に異なる。発光色毎に異なる発光素子の第1の材料層の膜厚をそれぞれ調節することで、
光の干渉現象によって白色発光成分中の青色発光成分、緑色発光成分、或いは赤色発光成
分を選択的に強調して取り出すことができる。本実施例では、第1の材料層の膜厚を変え
ることで3種類(R、G、B)の発光が得られるフルカラー表示可能な発光装置を形成す
る例を示している。第1の材料層1535R、1535G、1535Bは、それぞれ互い
に平行なストライプパターンで形成する。
【0156】
具体的には、実施例1に示した第2の成膜室712で第2の材料層1515の成膜を行う
。予め、第2の材料層を形成したプレートを用意して、実施例1に示した第2の成膜室に
搬入する。そして、第1の電極1513が設けられた基板も第2の成膜室に搬入する。そ
して、基板と同じもしくはそれより広い面積で加熱する熱源により、プレート面を加熱し
て蒸着を行う。
【0157】
さらに、第2の電極となる反射性を有する導電膜とを積層形成すると、図9に示すように
電気的に独立した複数の領域に分離され、発光層を含む第2の材料層1515と、第2の
電極1516とが形成される。第2の電極1516は、第1の電極1513と交差する方
向に伸長する互いに平行なストライプ状の電極である。なお、逆テーパ状の隔壁1522
上にも第2の材料層及び導電膜が形成されるが、第2の材料層1515及び第2の電極1
516とは電気的に絶縁状態とされている。
【0158】
また、全面に同じ発光色を発光する発光層を含む積層膜を形成し、単色の発光素子を設
けてもよく、モノクロ表示可能な発光装置、或いはエリアカラー表示可能な発光装置とし
てもよい。また、白色発光が得られる発光装置として、カラーフィルタと組み合わせるこ
とによってフルカラー表示可能な発光装置としてもよい。
【0159】
また、必要であれば、封止缶や封止のためのガラス基板などの封止材を用いて封止する。
ここでは、第2の基板としてガラス基板を用い、シール材などの接着材を用いて第1の基
板と第2の基板とを貼り合わせ、シール材などの接着材で囲まれた空間を密閉なものとし
ている。密閉された空間には、充填材や、乾燥した不活性ガスを充填する。また、発光装
置の信頼性を向上させるために、第1の基板と封止材との間に乾燥材などを封入してもよ
い。乾燥材によって微量な水分が除去され、十分乾燥される。また、乾燥材としては、酸
化カルシウムや酸化バリウムなどのようなアルカリ土類金属の酸化物のような化学吸着に
よって水分を吸収する物質を用いることが可能である。なお、他の乾燥材として、ゼオラ
イトやシリカゲル等の物理吸着によって水分を吸着する物質を用いてもよい。
【0160】
ただし、発光素子を覆って接する封止材が設けられ、十分に外気と遮断されている場合に
は、乾燥材は、特に設けなくともよい。
【0161】
次いで、FPCなどを実装した発光モジュールの上面図を図11に示す。
【0162】
なお、本明細書中における発光装置とは、画像表示デバイス、発光デバイス、もしくは光
源(照明装置含む)を指す。また、発光装置にコネクター、例えばFPC(Flexib
le printed circuit)もしくはTAB(Tape Automate
d Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Packag
e)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けら
れたモジュール、または発光素子にCOG(Chip On Glass)方式によりI
C(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て発光装置に含むものとする。
【0163】
図11に示すように基板1601上の画像表示を構成する画素部は、走査線群とデータ線
群が互いに直交するように交差している。
【0164】
図9における第1の電極1513が図11の走査線1603に相当し、第2の電極15
16がデータ線1602に相当し、逆テーパ状の隔壁1522が隔壁1604に相当する
。データ線1602と走査線1603の間には発光層が挟まれており、領域1605で示
される交差部が画素1つ分となる。
【0165】
なお、走査線1603は配線端で接続配線1608と電気的に接続され、接続配線16
08が入力端子1607を介してFPC1609bに接続される。また、データ線160
2は入力端子1606を介してFPC1609aに接続される。
【0166】
また、必要であれば、射出面に偏光板、又は円偏光板(楕円偏光板を含む)、位相差板
(λ/4板、λ/2板)、カラーフィルタなどの光学フィルムを適宜設けてもよい。また
、偏光板又は円偏光板に反射防止膜を設けてもよい。例えば、表面の凹凸により反射光を
拡散し、映り込みを低減できるアンチグレア処理を施すことができる。
【0167】
以上の工程でフルカラー表示できるフレキシブルなパッシブマトリクス型の発光装置を
作製できる。図6や図4に示す製造装置を用いて、フルカラー表示装置の作製工程に要す
る時間を短縮できる。
【0168】
また、図11では、駆動回路を基板上に設けていない例を示したが、以下に示すように駆
動回路を有するICチップを実装させてもよい。
【0169】
ICチップを実装させる場合、画素部の周辺(外側)の領域に、画素部へ各信号を伝送
する駆動回路が形成されたデータ線側IC、走査線側ICをCOG方式によりそれぞれ実
装する。COG方式以外の実装技術としてTCPやワイヤボンディング方式を用いて実装
してもよい。TCPはTABテープにICを実装したものであり、TABテープを素子形
成基板上の配線に接続してICを実装する。データ線側IC、および走査線側ICは、シ
リコン基板を用いたものであってもよいし、ガラス基板、石英基板もしくはプラスチック
基板上にTFTで駆動回路を形成したものであってもよい。また、片側に一つのICを設
けた例を説明しているが、片側に複数個に分割して設けても構わない。
【実施例3】
【0170】
本実施例では、図6や図4に示す製造装置を用いて形成された発光装置について図12
を用いて説明する。なお、図12(A)は発光装置を示す上面図、図12(B)は図12
(A)をA−A’で切断した断面図である。点線で示された1701は駆動回路部(ソー
ス側駆動回路)、1702は画素部、1703は駆動回路部(ゲート側駆動回路)である
。また、1704は封止基板、1705はシール材であり、シール材1705で囲まれた
内側である1707は、透明な樹脂で充填された空間になっている。
【0171】
なお、1708はソース側駆動回路1701及びゲート側駆動回路1703に入力され
る信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリント
サーキット)1709からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を
受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線
基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置
本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする

【0172】
次に、断面構造について図12(B)を用いて説明する。素子基板1710上には駆動
回路部及び画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路部であるソース側駆動回路1
701と、画素部1702が示されている。
【0173】
なお、ソース側駆動回路1701はnチャネル型TFT1723とpチャネル型TFT
1724とを組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動回路を形成する回路は
、公知のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本
実施例では、基板上に駆動回路を形成したドライバー一体型を示すが、必ずしもその必要
はなく、基板上ではなく外部に駆動回路を形成することもできる。
【0174】
また、画素部1702はスイッチング用TFT1711と、電流制御用TFT1712
とそのドレインに電気的に接続された陽極1713とを含む複数の画素により形成される
。なお、陽極1713の端部を覆って絶縁物1714が形成されている。ここでは、ポジ
型の感光性アクリル樹脂膜を用いることにより形成する。
【0175】
また、膜被覆性を良好なものとするため、絶縁物1714の上端部または下端部に曲率
を有する曲面が形成されるようにする。例えば、絶縁物1714の材料としてポジ型の感
光性アクリルを用いた場合、絶縁物1714の上端部に曲率半径(0.2μm〜3μm)
を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物1714として、感光性の光によ
ってエッチャントに不溶解性となるネガ型、或いは光によってエッチャントに溶解性とな
るポジ型のいずれも使用することができ、有機化合物に限らず無機化合物、例えば、酸化
珪素、酸窒化珪素等、の両者を使用することができる。
【0176】
陽極1713上には、第1の材料層1706、有機化合物を含む層1700、および陰
極1716がそれぞれ形成されている。ここで、陽極1713に用いる材料としては、反
射性を有し、且つ、仕事関数の大きい材料を用いることが望ましい。例えば、タングステ
ン膜、Zn膜、Pt膜などの単層膜を用いることができる。また、積層構造としてもよく
、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウム
を主成分とする膜と窒化チタン膜との3層構造等を用いることができる。また、ITO(
インジウムスズ酸化物)膜、ITSO(indium tin silicon oxi
de)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)膜などの透明導電膜と反射金属膜との積層を用
いてもよい。
【0177】
また、発光素子1715は、陽極1713と、第1の材料層1706と、有機化合物を
含む層1700と陰極1716とを積層した構成であり、具体的には、ホール注入層、ホ
ール輸送層、発光層、電子輸送層、または電子注入層を適宜、積層する。第1の材料層1
706は、インクジェット法により、赤色発光領域、青色発光領域、緑色発光領域とで膜
厚の異なる第1の材料層1706を形成する。具体的には、実施例1に示した第3の成膜
室740を用いて選択的に第1の材料層1706を形成する。また、第2の成膜室712
で有機化合物を含む層1700を形成する。また、実施例1に示す第2の成膜室712は
、膜厚均一性が3%未満と優れているため、所望の膜厚を得ることができ、発光装置の輝
度バラツキを低減することができる。
【0178】
陰極1716に用いる材料としては、膜厚を薄くした金属薄膜と、透明導電膜(ITO(
酸化インジウム酸化スズ合金)、ITSO(indium tin silicon o
xide)、酸化インジウム酸化亜鉛合金(In―ZnO)、酸化亜鉛(ZnO)
等)との積層を用いる。
【0179】
さらにシール材1705で透光性を有する封止基板1704を素子基板1710と貼り合
わせることにより、素子基板1710、封止基板1704、およびシール材1705で囲
まれた空間1707に発光素子1715が備えられた構造になっている。なお、空間17
07には、透光性を有するシール材で充填する。
【0180】
なお、シール材1705にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料
はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板170
4に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Re
inforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステ
ルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
【0181】
以上のようにして、本発明の発光素子を有する発光装置を得ることができる。アクティブ
マトリクス型の発光装置は、TFTを作製するため、1枚あたりの製造コストが高くなり
やすいが、実施例1に示す製造装置に大面積基板を用いて基板1枚当りの成膜処理時間を
大幅に短縮し、発光装置1つ当たりの大幅な低コスト化を図ることができる。従って、実
施例1に示す製造装置は、アクティブマトリクス型の発光装置の製造装置として有用であ
る。
【0182】
なお、本実施例に示す発光装置は、実施の形態1、または実施の形態2と自由に組み合わ
せて実施することが可能である。
【実施例4】
【0183】
本実施例では、本発明の作製方法を用いて形成された発光素子を有する発光装置を用い
て完成させた様々な電気器具について、図13を用いて説明する。
【0184】
本発明の成膜装置を用いて形成された電気器具として、テレビジョン、ビデオカメラやデ
ジタルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナ
ビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、ノート
型パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電
話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはデ
ジタルビデオディスク(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうる表示装置
を備えた装置)、照明器具などが挙げられる。これらの電気器具の具体例を図13に示す

【0185】
図13(A)は表示装置であり、筐体8001、支持台8002、表示部8003、スピ
ーカー部8004、ビデオ入力端子8005等を含む。本発明を用いて形成される発光装
置をその表示部8003に用いることにより作製される。なお、表示装置は、パーソナル
コンピュータ用、TV放送受信用、広告表示用などの全ての情報表示用装置が含まれる。
クリーニング機能を備えた本発明の製造装置により大幅な製造コストの低減を図ることが
でき、安価な表示装置を提供することができる。
【0186】
図13(B)はノート型パーソナルコンピュータであり、本体8101、筐体8102、
表示部8103、キーボード8104、外部接続ポート8105、ポインティングデバイ
ス8106等を含む。本発明の作製方法を用いて形成された発光素子を有する発光装置を
その表示部8103に用いることにより作製される。クリーニング機能を備えた本発明の
製造装置により大幅な製造コストの低減を図ることができ、安価なノート型パーソナルコ
ンピュータを提供することができる。
【0187】
図13(C)はビデオカメラであり、本体8201、表示部8202、筐体8203、外
部接続ポート8204、リモコン受信部8205、受像部8206、バッテリー8207
、音声入力部8208、操作キー8209、接眼部8210等を含む。本発明の作製方法
を用いて形成された発光素子を有する発光装置をその表示部8202に用いることにより
作製される。クリーニング機能を備えた本発明の製造装置により大幅な製造コストの低減
を図ることができ、安価なビデオカメラを提供することができる。
【0188】
図13(D)は卓上照明器具であり、照明部8301、傘8302、可変アーム8303
、支柱8304、台8305、電源8306を含む。本発明の成膜装置を用いて形成され
る発光装置を照明部8301に用いることにより作製される。なお、照明器具には天井固
定型の照明器具または壁掛け型の照明器具なども含まれる。クリーニング機能を備えた本
発明の製造装置により大幅な製造コストの低減を図ることができ、安価な卓上照明器具を
提供することができる。
【0189】
ここで、図13(E)は携帯電話であり、本体8401、筐体8402、表示部8403
、音声入力部8404、音声出力部8405、操作キー8406、外部接続ポート840
7、アンテナ8408等を含む。本発明の成膜装置を用いて形成された発光素子を有する
発光装置をその表示部8403に用いることにより作製される。クリーニング機能を備え
た本発明の製造装置により大幅な製造コストの低減を図ることができ、安価な携帯電話を
提供することができる。
【0190】
以上のようにして、本発明の作製方法を用いて形成された発光素子を用いた電気器具や
照明器具を得ることができる。本発明の作製方法を用いて形成された発光素子を有する発
光装置の適用範囲は極めて広く、この発光装置をあらゆる分野の電気器具に適用すること
が可能である。
【0191】
なお、本実施例に示す発光装置は、実施の形態1に示した作製方法、実施の形態2に示し
た成膜装置およびクリーニング機能を有する製造装置、または実施例1に示した製造装置
を自由に組み合わせて実施することが可能である。さらに、実施例2または実施例3と自
由に組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0192】
100:基板
101:第1の電極
102:第2の電極
111R:TFT
111G:TFT
111B:TFT
112:液滴
114:ヘッド
115R:第1の層
115G:第1の層
115B:第1の層
116:第2の層
117:層間絶縁膜
118:隔壁
119:基板
120:有機化合物を含む層
500:基板
501:成膜室
502:設置室
503:ゲート弁
504:ゲート弁
505:搬送室
507:ヒータ
508:プレート
509:第2の材料層
510:ゲート弁
512a:アライメント機構
512b:アライメント機構
513:マスク
514:マスクフレーム
516:搬送ユニット
517:ホルダ
518:プラズマ
520:塗布室
521:RF電源
522:コンデンサ
523:スイッチ
524:クリーニング用プレート
701:第1ロード室
702:第1成膜室
703:第1ゲート弁
704:第2ゲート弁
705:第1ストック室
706:第2ストック室
707:第3ゲート弁
708:第4ゲート弁
709:搬送室
710:第5ゲート弁
711:第2ロード室
712:第2成膜室
713:第5ゲート弁
714:第6ゲート弁
715:アンロード室
716:カセット
717:搬送ロボット
718:ステージ
719:ノズル
720:プレート
721:材料層
722:ホットプレート
723:搬送ロボット
724:プレートストックホルダ
725:搬送ロボット
726:カセット
727:搬送ロボット
728:搬送ロボット
729:マスクストックホルダ
730:カセット
733:マスク
734:プレート支持台
735:第2の基板支持台
736:熱源
739:第2の基板
740:第3成膜室
741:搬送室
742:加熱室
743:搬送ロボット
744:第7ゲート弁
1100:アライメント位置制御部
1101:ステージ位置制御部
1102:モニター
1103:制御部
1120:撮像手段
1122:ステージ
1123:インクボトル
1124:基板
1125:液滴吐出手段
1501:第1の基板
1504:絶縁膜
1513:第1の電極
1514:隔壁
1515:第2の材料層
1535R、1535G、1535B:第1の材料層
1516:第2の電極
1521R:赤色発光領域
1521G:青色発光領域
1521B:緑色発光領域
1522:逆テーパ状の隔壁
1601:第1の基板
1602:データ線
1603:走査線
1604:隔壁
1605:領域
1607:入力端子
1608:接続配線
1609a、1609b:FPC
1700 有機化合物を含む層
1701 ソース側駆動回路
1702 画素部
1703 ゲート側駆動回路
1704 封止基板
1705 シール材
1706 第1の材料層
1707 空間
1709 FPC(フレキシブルプリントサーキット)
1710 素子基板
1711 スイッチング用TFT
1712 電流制御用TFT
1713 陽極
1714 絶縁物
1715 発光素子
1716 陰極
1723 nチャネル型TFT
1724 pチャネル型TFT
8001 筐体
8002 支持台
8003 表示部
8004 スピーカー部
8005 ビデオ入力端子
8101 本体
8102 筐体
8103 表示部
8104 キーボード
8105 外部接続ポート
8106 マウス
8201 本体
8202 表示部
8203 筐体
8204 外部接続ポート
8205 リモコン受信部
8206 受像部
8207 バッテリー
8208 音声入力部
8209 操作キー
8301 照明部
8302 傘
8303 可変アーム
8304 支柱
8305 台
8306 電源
8401 本体
8402 筐体
8403 表示部
8404 音声入力部
8405 音声出力部
8406 操作キー
8407 外部接続ポート
8408 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成膜室を有し、
前記成膜室は、プラズマを発生させる手段を有し、
前記プラズマを発生させる手段は、前記成膜室に配置されるマスクを電極として有することができ、
前記マスクに高周波電界を印加して、前記成膜室に導入されたガスを励起してプラズマを発生することができることを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
成膜室を有し、
前記成膜室は、プラズマを発生させる手段を有し、
前記プラズマを発生させる手段は、前記成膜室に配置されるマスクを第1の電極として有することができ、
前記プラズマを発生させる手段は、前記成膜室に配置される導電性基板を第2の電極として有することができ、
前記マスクに高周波電界を印加して、前記成膜室に導入されたガスを励起してプラズマを発生することができることを特徴とする成膜装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記マスクは開口部を有し、
前記開口部の断面はテーパー状を有することを特徴とする成膜装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
前記成膜室の内壁は、鏡面化されたアルミニウム又はステンレスを有することを特徴とする成膜装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
前記成膜室は排気手段を有することを特徴とする成膜装置。
【請求項6】
成膜室を有し、
前記成膜室は排気手段を有し、
前記成膜室は、プラズマを発生させる手段を有し、
前記プラズマを発生させる手段は、前記成膜室に配置されるマスクを電極として有し、
前記マスクに高周波電界を印加して、前記成膜室に導入されたガスを励起してプラズマを発生することができる成膜装置を用いたマスクのクリーニング方法であって、
前記排気手段を用いて前記成膜室を減圧状態として、前記マスクを用いて有機化合物の蒸着を終えた後、前記成膜室を大気圧にすることなく、前記マスクに前記高周電界を印加して、前記成膜室に導入されたガスを励起してプラズマを発生させて、前記マスクに付着した前記有機化合物を除去することを特徴とするマスクのクリーニング方法。
【請求項7】
請求項6において、
前記成膜室に導入されたガスは、Ar、H、F、NF、またはOから選ばれた一種または複数種を有することを特徴とするマスクのクリーニング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−197518(P2012−197518A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−121917(P2012−121917)
【出願日】平成24年5月29日(2012.5.29)
【分割の表示】特願2008−71135(P2008−71135)の分割
【原出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】