説明

成膜装置及び成膜方法

【課題】シャワーヘッド部の表面に不要な付着膜が堆積しても、その輻射率の変動を抑えて被処理体毎の温度変化を抑制することが可能な成膜装置を提供する。
【解決手段】排気可能になされた処理容器4と、前記処理容器内に設けられて被処理体Wを載置するための載置台24と、前記被処理体を加熱するための加熱手段30と、前記載置台と対向するように前記処理容器の天井部に設けられて成膜用の原料ガスを供給するシャワーヘッド部6と、を有して前記被処理体の表面に所定の薄膜を堆積する成膜装置において、前記シャワーヘッド部の表面を、表面処理により輻射率が0.5以上になるように設定する。これにより、シャワーヘッド部の表面に不要な付着膜が堆積しても、その輻射率の変動を抑えるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等の被処理体に薄膜を形成する成膜装置、成膜方法、プリコート層及びその形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体集積回路を製造するには、半導体ウエハ等の被処理体に、成膜処理、エッチング処理、熱処理、改質処理、結晶化処理等の各種の枚葉処理を繰り返し行なって、所望する集積回路を形成するようになっている。
そして、このような集積回路に関して、最近にあっては、高集積化及び薄膜化の更なる要請により、線幅や膜厚等がより微細化されているが、このように、微細化及び薄膜化しても抵抗率がある程度小さく、異種材料との密着性もよく、しかも比較的低温での成膜も可能なことから、高融点金属を用いた薄膜が多用される傾向にあり、この高融点金属薄膜が用いられる部位としては、配線層、電極層、拡散バリヤ層等が挙げられる。またこの高融点金属薄膜としては、高融点金属自体の薄膜、この金属窒化膜、この金属炭化膜、この金属珪化膜等を挙げることができる。
【0003】
そして、上記した薄膜を、例えば枚葉式の成膜装置でウエハ上に形成する場合には、ウエハを処理する毎に成膜装置の処理容器内の温度管理を十分に行って熱的に安定化させ、各ウエハ表面に堆積する膜厚を均一化して膜厚の面間均一性、すなわちウエハ間の膜厚の再現性を高く維持する必要がある。
【0004】
ところで、上述したような成膜処理を行った場合、ウエハの処理枚数が増加するに従って、処理容器内の構造物にはパーティクルの原因となる不要な付着物が次第に積層して付着することは避けられず、従って、或る程度の枚数のウエハを処理する毎に、定期的、或いは不定期的に上記した不要な付着膜をクリーニングガスにより除去するクリーニング処理が行われている。
そして、そのようなクリーニング処理を行うと、上記不要な付着膜が除去されるので容器内の熱的条件が変化することになり、この熱的条件の変化がウエハ温度に影響を及ぼすことを防止するために、実際に製品ウエハに成膜を施す前に、ウエハを処理容器内へ搬入しない状態で、すなわち空状態で成膜用の原料ガスを処理容器内へ流してプリコート層を容器内構造物の表面に付着させる、いわゆるプリコート処理を行うようにしている(特許文献1、2)。
【0005】
このプリコート処理では上述のように、空状態の容器内へ実際に原料ガスを流すことから、スループット向上の観点からはできるだけ時間を短縮するのが望ましいが、反面、プリコート処理の時間が短過ぎてプリコート処理が不十分な場合には、膜厚の再現性が不十分になってしまう。従って、ウエハに形成すべき膜種や膜種にもよるが、通常はウエハの十数枚〜数十枚の成膜時間に相当する時間だけプリコート処理を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−191379号公報
【特許文献2】特開平8−246154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述したように、ある程度以上の時間を要してプリコート処理を行っても、実際に製品ウエハに対する成膜処理を行うと、ウエハを処理する毎にウエハ温度が僅かずつ変動することは避けられず、特に、ウエハ処理枚数が少ない初期の段階における温度変化、すなわち膜厚変化が大きくなる、という問題があった。この温度変化の理由は、上述したようにウエハ処理が行われるに従って、成膜対象膜やその反応中間物がシャワーヘッド部に次第に堆積して、その輻射率を変動させるからである、と考えられる。
特に、成膜処理を比較的低圧で行う場合には、ウエハへの熱伝導の形態が、ガスによる熱伝導から輻射による熱伝導へ移行してこの輻射による熱伝導が支配的になるため、ウエハ毎の温度変化(膜厚変化)が一層大きくなる、といった問題があった。
【0008】
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、シャワーヘッド部自体の輻射率を予め所定値以上になるように設定することにより、シャワーヘッド部の表面に不要な付着膜が堆積しても、その輻射率の変動を抑えて被処理体毎の温度変化を抑制することが可能な成膜装置を提供することにある。
また本発明の他の目的は、上記成膜装置を用いて熱効率が良好となるプリコート層を形成することができる成膜方法を提供することにある。
また本発明の更に他の目的は、載置台とこの上に載置される被処理体との間の温度差を小さくでき、しかも載置台の中央部と周辺部との間の温度差を抑制して載置台の熱伸縮応力による破損を防止することができるプリコート層及びその形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、シャワーヘッド部の輻射率がウエハ表面の膜厚に対する影響を鋭意研究した結果、シャワーヘッド部自体の輻射率を予め0.5以上に設定することにより、成膜時にシャワーヘッド部に不要な付着膜が堆積しても、ウエハ温度の変動量を大幅に抑制することができる、という知見を得ることにより、本発明に至ったものである。
【0010】
請求項1に係る発明は、排気可能になされた処理容器と、前記処理容器内に設けられて被処理体を載置するための載置台と、前記被処理体を加熱するための加熱手段と、前記載置台と対向するように前記処理容器の天井部に設けられて成膜用の原料ガスを供給するシャワーヘッド部と、を有して前記被処理体の表面に所定の薄膜を堆積する成膜装置において、前記シャワーヘッド部の表面を、表面処理により輻射率が0.5以上になるように設定するように構成したことを特徴とする成膜装置である。
【0011】
このように、シャワーヘッド部の表面を、表面処理により輻射率が0.5以上になるように設定するように構成したので、成膜時にシャワーヘッド部に不要な付着膜が堆積しても、被処理体温度の変動量を大幅に抑制することができる。
従って、処理毎の被処理体の温度変動を抑制することができるので、被処理体間の膜厚均一性の向上を図ることができ、もって膜厚の再現性を高く維持することができる。
【0012】
この場合、例えば請求項2に規定するように、前記シャワーヘッド部は、アルミニウム又はアルミニウム合金よりなり、前記シャワーヘッド部の表面には、前記表面処理により形成されたアルマイト層が設けられている。
また例えば請求項3に規定するように、前記シャワーヘッド部の母材は、JIS規格のA6061による金属であり、前記アルマイト層の厚さは17μm以上である。
また例えば請求項4に規定するように、前記シャワーヘッド部の母材は、JIS規格のA5052による金属であり、前記アルマイト層の厚さは28μm以上である。
また例えば請求項5に規定するように、前記載置台には、前記加熱手段として抵抗加熱ヒータが内蔵されている。
【0013】
請求項6に係る発明は、前記いずれかに記載の成膜装置を用いて被処理体の表面に所定の薄膜を堆積するに際して、前記処理容器内に前記被処理体を搬入しない空状態で前記処理容器内へ所定のガスを流すことにより少なくとも載置台の表面にプリコート層を形成するプリコート層形成工程と、前記プリコート層形成工程の後に前記処理容器内へ前記被処理体を搬入して前記被処理体に前記薄膜を形成する薄膜形成工程を行うようにしたことを特徴とする成膜方法である。
この場合、例えば請求項7に規定するように、前記薄膜は、金属膜又は金属含有膜であり、前記プリコート層形成工程のプリコート層は、前記被処理体の表面に形成される前記薄膜と同じ材料よりなる。
【0014】
また例えば請求項8に規定するように、前記薄膜は、金属膜又は金属含有膜であり、前記プリコート層形成工程のプリコート層は、前記金属の珪化物よりなる。
また例えば請求項9に規定するように、前記薄膜は、金属膜又は金属含有膜であり、前記プリコート層形成工程のプリコート層は、シリコン膜と、該シリコン膜上に形成された前記金属の珪化物との2層構造よりなる。
このように、プリコート層を2層構造に設定することにより、被処理体を加熱するために投入する熱量を少なくでき、その分、加熱効率を向上させることができる。
【0015】
また例えば請求項10に規定するように、前記金属含有膜は、前記金属の窒化物、炭化物、珪化物、或いはこれらの2以上の物質の混合物よりなる。
また例えば請求項11に規定するように、前記金属は、タングステン、チタン、タンタル、ハフニウム、ジルコニウムよりなる群の内のいずれか1以上の金属である。
【0016】
請求項12に係る発明によれば、被処理体の表面に所定の薄膜を堆積するために排気可能になされた処理容器内にて前記被処理体を載置する載置台の表面を覆うプリコート層において、前記薄膜よりも輻射率の高い膜種よりなる高輻射率プリコート膜と、前記高輻射率プリコート膜の上層に形成されて前記薄膜と同じ膜種よりなる上層プリコート膜と、よりなることを特徴とするプリコート層である。
【0017】
このように、被処理体に堆積させる薄膜よりも輻射率の高い膜種よりなる高輻射率プリコート膜と、高輻射率プリコート膜の上層に形成されて薄膜と同じ膜種よりなる上層プリコート膜とによりプリコート層を形成するようにしたので、載置台とこの上に載置される被処理体との間の温度差を小さくでき、しかも載置台の中央部と周辺部との間の温度差を抑制して載置台の熱伸縮応力による破損を防止することができる。また成膜処理の再現性も向上させることができる。
【0018】
この場合、例えば請求項13に記載したように、前記高輻射率プリコート膜は、前記載置台を構成する材料よりも輻射率が高い材料で形成される。
また例えば請求項14に記載したように、前記上層プリコート膜は、前記載置台の上面であって、前記被処理体を直接的に載置する載置領域を除いて形成されている。
また例えば請求項15に記載したように、前記上層プリコート膜の下層には、前記薄膜と同じ膜種よりなる下地プリコート膜が形成されている。
【0019】
また例えば請求項16に記載したように、前記各プリコート膜間の界面には、該界面における下層のプリコート膜を形成する材料の窒化膜が形成されている。
また例えば請求項17に記載したように、前記高輻射率プリコート膜は、シリコン膜、カーボン膜、SiC膜、SiN膜よりなる群の内のいずれか1よりなる。
また例えば請求項18に記載したように、前記薄膜は、金属膜又は金属含有膜よりなる。
【0020】
また例えば請求項19に記載したように、前記金属含有膜は、前記金属膜を形成する金属の窒化物、炭化物、珪化物よりなる群から選択される1よりなる。
また例えば請求項20に記載したように、前記金属は、タングステン、チタン、タンタル、ハフニウム、ジルコニウムよりなる群の内のいずれか1以上の金属である。
【0021】
請求項21に係る発明は、被処理体の表面に所定の薄膜を堆積するために排気可能になされた処理容器内にて前記被処理体を載置する載置台の表面を覆うプリコート層の形成方法において、前記薄膜よりも輻射率の高い膜種よりなる高輻射率プリコート膜を形成する工程と、前記高輻射率プリコート膜の上層に前記薄膜と同じ膜種よりなる上層プリコート膜を形成する工程と、よりなることを特徴とするプリコート層の形成方法である。
この場合、例えば請求項22に記載したように、前記上層プリコート膜を形成する工程は、前記載置台の上面にダミー被処理体を載置した状態で行う。
また例えば請求項23に記載したように、前記高輻射率プリコート膜を形成する工程の前工程で、前記薄膜と同じ膜種よりなる下地プリコート膜を形成する工程を行う。
また例えば請求項24に記載したように、前記各プリコート膜を形成する各工程の直後には、該プリコート膜の表面を窒化する窒化工程を行う。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る成膜装置及び成膜方法によれば、次のように優れた作用効果を発揮することができる。
シャワーヘッド部の表面を、表面処理により輻射率が0.5以上になるように設定するように構成したので、成膜時にシャワーヘッド部に不要な付着膜が堆積しても、被処理体温度の変動量を大幅に抑制することができる。
従って、処理毎の被処理体の温度変動を抑制することができるので、被処理体間の膜厚均一性の向上を図ることができ、もって膜厚の再現性を高く維持することができる。
特に請求項9に係る発明によれば、プリコート層を2層構造に設定するようにしたので、被処理体を加熱するために投入する熱量を少なくでき、その分、加熱効率を向上させることができる。
【0023】
請求項12〜24に係る発明によれば、被処理体に堆積させる薄膜よりも輻射率の高い膜種よりなる高輻射率プリコート膜と、高輻射率プリコート膜の上層に形成されて薄膜と同じ膜種よりなる上層プリコート膜とによりプリコート層を形成するようにしたので、載置台とこの上に載置される被処理体との間の温度差を小さくでき、しかも載置台の中央部と周辺部との間の温度差を抑制して載置台の熱伸縮応力による破損を防止することができる。また成膜処理の再現性も向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る成膜装置を示す断面構成図である。
【図2】アルマイト層が形成されたシャワーヘッド部を示す拡大断面図である。
【図3】プリコート層の形成態様を示す図である。
【図4】輻射率に対するウエハ温度及びウエハ温度変化量の依存性を示すグラフである。
【図5】アルミニウム母材に対するアルマイト層の厚さと輻射率との関係を示すグラフである。
【図6】本発明装置と従来装置による薄膜のシート抵抗の変化を示すグラフである。
【図7】本発明のプリコート層の第1の変形例の形成方法を説明するための工程図である。
【図8】載置台温度が一定の条件下にてタングステンのプリコート時間がウエハ温度と載置台の輻射率に与える影響を示すグラフである。
【図9】載置台温度が一定の条件下にてタングステンのプリコート時間がヒータ電力と載置台の輻射率に与える影響を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明に係る成膜装置、成膜方法、プリコート層及びその形成方法の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。
図1は本発明に係る成膜装置を示す断面構成図、図2はアルマイト層が形成されたシャワーヘッド部を示す拡大断面図である。ここでは薄膜として高融点金属、例えばタングステン或いはタングステンの珪化物(シリサイド)の薄膜を形成する場合を例にとって説明する。
図示するようにこの成膜装置2は、例えば断面の内部が略円形状になされたアルミニウム又はアルミニウム合金製の処理容器4を有している。この処理容器4内の天井部には必要な処理ガス、例えば成膜用の原料ガスであるW(CO) やSiH の他に、N 、Ar等を導入するためにガス導入手段であるシャワーヘッド部6が設けられており、この下面のガス噴射面8に設けた多数のガス噴射孔10から処理空間Sに向けて処理ガスを吹き出すようにして噴射するようになっている。
【0026】
尚、ここではシャワーヘッド部6の構造を概略的に示しており、実際の装置では、ガス種によってシャワーヘッド部6から別々に処理容器4内へガスを導入して処理容器4内で混合するようにした、いわゆるポストミックス構造のシャワーヘッド部6も用いられる。このシャワーヘッド部6の母材は、例えばアルミニウムやアルミニウム合金よりなっている。
このシャワーヘッド部6と処理容器4の上端開口部との接合部には、例えばOリング等よりなるシール部材12がそれぞれ介在されており、処理容器4内の気密性を維持するようになっている。
【0027】
また、処理容器4の側壁には、この処理容器4内に対して被処理体としての半導体ウエハMを搬入搬出するための搬出入口14が設けられると共に、この搬出入口14には、気密に開閉可能になされたゲートバルブ16が設けられている。
そして、この処理容器4の底部18に排気落とし込め空間20が形成されている。具体的には、この容器底部18の中央部には大きな開口が形成されており、この開口に、その下方へ延びる有底円筒体状の円筒区画壁22を連結してその内部に上記排気落とし込め空間20を形成している。そして、この空間20を区画する円筒区画壁22の底部22Aには、これより起立させて例えば円筒体状の支柱25が設けられており、この上端部に保持手段としての載置台24が固定されている。この載置台24上に上記ウエハMを載置して保持(支持)することになる。
【0028】
そして、上記排気落とし込め空間20の開口は、載置台24の直径よりも小さく設定されており、上記載置台24の周縁部の外側を流下する処理ガスが載置台24の下方に回り込んで空間20へ流入するようになっている。そして、上記円筒区画壁22の下部側壁には、この排気落とし込め空間20に臨ませて排気口26が形成されており、この排気口26には、図示しない真空ポンプや圧力調整弁が介設された真空排気系28が接続されており、処理容器4内及び排気落とし込め空間20の雰囲気を排気できるようになっている。そして、上記圧力調整弁の弁開度を自動的に調整することにより、上記処理容器4内の圧力を一定値に維持したり、或いは所望する圧力へ迅速に変化させ得るようになっている。
【0029】
また、上記載置台24は、加熱手段として例えば内部に所定のパターン形状に配置された抵抗加熱ヒータ30を内蔵した状態で有しており、この外側は焼結された例えばAlN等よりなるセラミックスやアルミニウム、或いはアルミニウム合金により構成され、前述したように上面に被処理体としての半導体ウエハMを載置し得るようになっている。この加熱手段としての抵抗加熱ヒータ30は、複数の同心円状のゾーン、例えば内側と外側の2ゾーンに分離されており、各ゾーン毎に互いに関連付けて、或いは関連付けないで供給電力を独立制御可能になされている。また、上記抵抗加熱ヒータ30は上記支柱25内に配設された給電線32に接続されて、電力を制御しつつ供給できるようになっている。そして、上記載置台24の上面側には、温度検出手段として例えば熱電対33が設けられており、この熱電対33から延びるリード線35が上記支柱25内を通って外部へ引き出されている。そして、この熱電対33の検出値に基づいて上記ウエハMの温度が制御されることになる。尚、上記加熱手段として、抵抗加熱ヒータ30に代えて加熱ランプを用いるようにしてもよい。
【0030】
また上記載置台24には、この上下方向に貫通して複数、例えば3本のピン挿通孔34が形成されており(図1においては2つのみ示す)、上記各ピン挿通孔34に上下移動可能に遊嵌状態で挿通させた押し上げピン36を配置している。この押し上げピン36の下端には、円形リング形状の一部を欠いてなる円弧形状に形成された例えばアルミナのようなセラミックス製の押し上げリング38が配置されており、この押し上げリング38の上面に、上記各押し上げピン36の下端は支持されている。
【0031】
この押し上げリング38から延びるアーム部38Aは、容器底部18を貫通して設けられる出没ロッド40に連結されており、この出没ロッド40はアクチュエータ42により昇降可能になされている。これにより、上記各押し上げピン36をウエハMの受け渡し時に各ピン挿通孔34の上端から上方へ出没させるようになっている。また、アクチュエータ42の出没ロッド40の容器底部の貫通部には、伸縮可能なベローズ44が介設されており、上記出没ロッド40が処理容器4内の気密性を維持しつつ昇降できるようになっている。
【0032】
そして、上記シャワーヘッド部6には、必要な処理ガスを供給するためのガス供給系が接続されている。具体的には、このシャワーヘッド部6には、主たる成膜用の原料ガスとして高融点金属材料の1つであるW(タングステン)金属を含むW(CO) を供給する原料ガス供給系46と、他の必要なガスを供給するガス供給系、例えば窒素ガスを供給する窒素ガス供給系48と、SiH ガスを供給するシランガス供給系50と、Arガスを供給するアルゴンガス供給系52とがそれぞれ接続されている。
【0033】
上記W(CO) は固体なので、これを加熱気化(昇華)すると共に例えばArガスをキャリアガスとして用い、このArガスによってバブリングにより搬送される。具体的には、各ガス供給系46〜52は、それぞれガス通路54、56、58、60を有しており、各ガス通路54〜60には、最終段に開閉弁54A、56A、58A、60Aがそれぞれ介設されて、各ガスの供給開始と供給停止とを自在に制御できるようになっている。また各ガス通路46〜60の上流側には、例えばマスフローコントローラのような流量制御器(図示せず)がそれぞれ介設されており、供給するガスの流量を制御できるようになっている。
【0034】
そして、本発明の特徴として上記シャワーヘッド部6の表面は、表面処理により輻射率が0.5以上になるように設定されている。具体的には、アルミニウムやアルミニウム合金よりなる上記シャワーヘッド部6の表面、すなわちシャワーヘッド部6の処理容器4内に面している表面、例えばガス噴射面8やその側面等は表面処理としてアルマイト処理が施されており、図2にも示すように、この表面にアルマイト層62が形成されている。このアルマイト層62の厚さH1は、シャワーヘッド部6を形成する母材の種類にもよるが、例えば17〜50μm程度であり、上述のように輻射率が0.5以上になるように設定される。このように、このシャワーヘッド部6の輻射率が0.5以上となるように設定することにより、後述するようにプリコート層を施した後に製品ウエハに対して成膜処理を行う際に、ウエハ間の温度変動(変化)を抑制して、膜厚の面間均一性を向上させることが可能となる。
【0035】
そして、この成膜装置2の全体の動作、すなわち各種ガスの供給開始、供給停止、ウエハ温度、プロセス圧力等の各種の制御をするために例えばマイクロコンピュータ等よりなる制御手段64を有している。そして、この制御手段64は、上記した制御を行うためのプロラムを記憶する記憶媒体66を有しており、この記憶媒体66は例えばフレキシブルディスク、CD−ROM、DVD、ハードディスク、フラッシュメモリよりなる。
【0036】
次に、以上のように構成された成膜装置の動作について図3も参照して説明する。上述したように、以下に説明する各動作は、上記記憶媒体66に記憶されたプログラムに基づいて行われる。図3はプリコート層の形成態様を示す図である。
<プリコート処理>
まず、処理容器4内がクリーニング処理された直後の場合には、直接的に製品ウエハに対する成膜処理を行わないで、前述したように処理容器4内の輻射率等の熱的条件を安定化させるためにプリコート膜形成工程を行う。このプリコート膜形成工程では、例えば製品ウエハに対する成膜時と同じ、或いは類似したプロセス条件で原料ガスや他の必要なガスを流し、少なくとも載置台24の表面等に、図3に示すようにプリコート層70を形成する。
【0037】
この場合、上記各プリコート層70としては、図3(A)に示すように、例えば1層構造としてもよいし、図3(B)に示すように、予め形成した下層膜70Aと、この上に形成した上層70Bとよりなる2層構造にしてもよい。
【0038】
図3(A)に示すように、プリコート層70が1層構造の場合は、製品ウエハに形成する薄膜に含まれる金属の金属膜であるタングステン(W)膜の1層構造としてもよいし、上記金属を含む金属含有膜、例えばタングステンの珪化物(WSi:タングステンシリサイド)膜の1層構造としてもよい。
【0039】
また図3(B)に示すように、プリコート層70が2層構造の場合には、1層目の下層膜70Aをシリコン膜、例えばポリシリコン膜とし、2層目の上層膜70Bを上記金属を含む金属含有膜、例えばタングステン珪化物(WSi)膜としてもよい。この場合、1層目のシリコン膜を形成するには、SiH とArとを用いることにより成膜することができる。また2層目のWSi膜を形成する場合、W(CO) とを同時に流して成膜するようにしてもよいし、後述するようにSiH とW(CO) との間にパージ工程を挟みながら交互に複数回繰り返し流して成膜するようにしてもよい。尚、このプリコート層70を更に3層以上の構造としてもよいのは勿論である。
上述のようにして所望のプリコート層70を形成したならば、次に製品ウエハに対する薄膜の形成を行う薄膜形成工程へ移行する。
【0040】
<薄膜形成工程>
この薄膜形成工程では、まず、半導体ウエハMの搬入に先立って、例えば図示しないロードロック室に接続されたこの成膜装置2の処理容器4内は例えば真空引きされており、また、ウエハMを載置する載置台24は加熱手段である抵抗加熱ヒータ30によって所定の温度に昇温されて安定的に維持されている。
【0041】
さて、このような状態において、まず、未処理の例えば300mmの半導体ウエハMは、図示しない搬送アームに保持されて開状態となったゲートバルブ16、搬出入口14を介して処理容器4内へ搬入され、このウエハMは、上昇された押し上げピン36に受け渡された後に、この押し上げピン36を降下させることにより、ウエハMを載置台24の上面に載置してこれを支持する。
【0042】
次に、シャワーヘッド部6へ原料ガスを含む各処理ガスを流量制御しつつ供給すると同時に、真空排気系28に設けた真空ポンプの駆動を継続することにより、処理容器4内や排気落とし込め空間20内の雰囲気を真空引きし、そして、圧力調整弁の弁開度を調整して処理空間Sの雰囲気を所定のプロセス圧力に維持する。これにより、半導体ウエハMの表面に金属含有膜としてタングステン膜が形成されることになる。
そして、このような成膜処理は、処理済みの半導体Mを未処理のウエハと入れ替えて連続的に所定の枚数行われることになる。
【0043】
ここで本発明では、シャワーヘッド部6の表面にアルマイト層62を形成して、この輻射率を予め0.5以上となるように大きく設定してあることから、その後に、製品ウエハの成膜時の不要な付着膜が堆積しても、輻射率の変化に対するウエハ温度の変化を小さくすることができる。換言すれば、輻射率を予め0.5以上に設定しておけば、その後のウエハに対する成膜により輻射率が更に大きくなっても、ウエハ温度の変化はそれ程大きくなく、この温度変化を抑制することができる。従って、シャワーヘッド部6の表面の輻射率を0.5以上に大きくしておくことにより、ウエハ間の温度差を抑制することができる。
【0044】
このようにウエハ間の温度差を抑制することができることから、各ウエハに形成される膜厚の差を抑制でき、結果的に膜厚の面間均一性を大幅に向上させることができる。
この場合、シャワーヘッド部6の表面の輻射率を0.5以上に設定するためには、シャワーヘッド部6の母材としてJIS規格のA6061によるアルミニウム合金を用いた場合にはアルマイト層62の厚さH1を17μm以上に設定し、シャワーヘッド部6の母材としてJIS規格のA5052によるアルミニウム合金を用いた場合にはアルマイト層62の厚さH1を28μm以上に設定する。
【0045】
また、プリコート層70として、図3(B)に示すような2層構造のプリコート層を適用するようにすると、金属膜又は金属含有膜単膜の場合に比べて、載置台24の表面からウエハMへの輻射をより調整できるようになり、この結果、抵抗加熱ヒータ30への少ない電力投入量でウエハを所望のプロセス温度に加熱でき、ウエハMへの加熱効率を向上させることができる。
【0046】
<ウエハ温度に対する輻射率の依存性>
次に、輻射率に対するウエハ温度の依存性を評価する実験を行ったので、その評価結果について説明する。
図4は輻射率に対するウエハ温度及びウエハ温度変化量の依存性を示すグラフである。ここでは、シャワーヘッド部にアルマイト層を設けていない従来のシャワーヘッド部を備えた成膜装置で、多数枚のウエハ表面にタングステン膜を形成した時のウエハ温度と輻射率の変化を調べた。また載置台の温度を691℃に設定している。図4において、横軸は輻射率を取っており、左側縦軸にはウエハ温度を取り、右側縦軸にはウエハ温度変化量(輻射率0.1の変化に対するウエハ温度の変化量)を取っている。
【0047】
ここでウエハの処理枚数が増加するに従って、不要な付着膜がより多くシャワーヘッド部に付着するので、輻射率は次第に大きくなっている。そして、輻射率が0.2〜0.8の間では、1枚のウエハに厚さ50nmのタングステン膜を成膜する処理を50枚のウエハに対して行っている。このシャワーヘッド部の輻射率の0.8〜0.2の変化に対して、ウエハ温度は526℃から401℃まで125℃も低下するように変化してしまっており、この大きな温度変化が膜厚の変化として現れることになる。
【0048】
ここでウエハ温度の変化量に着目すると、このウエハ温度の変化量は、輻射率が大きくなるに従って、次第に小さくなってきている。そして輻射率の変化とウエハ温度の変化は輻射率が大きくなる程、輻射率の変化に対するウエハ温度の変化は小さくなっている。
そこで、シャワーヘッド部の輻射率を予め大きくしておけば、その後のウエハに対する成膜により輻射率が大きくなっても、ウエハ温度の低下はそれ程大きくならないことが判る。従って、本発明ではこの点に着目して、シャワーヘッド部にアルマイト層62(図2参照)を予め設けて輻射率が0.5以上になるように設定しており、これにより輻射率変化0.1当たりのウエハ温度変化量を18℃以下となるように抑制できることが確認することができた。この場合、輻射率を0.8以上に設定すればウエハ温度の変化量を10℃以下にできるのでより好ましい。このように、ウエハ温度の変化量を18℃以下にすることができるので、ウエハに成膜された膜厚の変化量を大幅に抑制して小さくすることができ、この結果、膜厚の面間均一性を大幅に向上させることができる。
【0049】
<シャワーヘッドの母材の検討>
次にシャワーヘッド部6の母材に対する検討を行ったので、その検討結果について説明する。
ここではシャワーヘッド部6を形成する母材として、JIS規格のA5052とA6061で規定されるアルミニウム合金について検討した。図5はアルミニウム母材に対するアルマイト層の厚さと輻射率との関係を示すグラフであり、上述のようにここではJIS規格のA5052とA6061のアルミニウム合金について検討した。
【0050】
図5に示すグラフから明らかなように、上記図4にて求めた輻射率0.5以上を得るには、A6061アルミニウム合金の場合には厚さ17μm以上のアルマイト層を形成することが必要であり、A5052アルミニウム合金の場合には厚さ28μm以上のアルマイト層を形成することが必要であることが確認できた。
これらのシャワーヘッド部6の材料は単に一例を示したに過ぎず、輻射率0.5以上を実現できるのであれば、どのようなアルミニウム、或いはアルミニウム合金を用いてもよい。
【0051】
<本発明と比較例による評価>
次に、本発明装置を用いて実際にプリコート処理と成膜処理を行って、従来装置による比較例と比較して評価を行ったので、その評価結果について説明する。
上記評価結果は、下記の表1にまとめられており、図6は本発明装置と従来装置による薄膜のシート抵抗の変化を示すグラフである。尚、シート抵抗は膜厚に対応する。
【0052】
ここでは比較例として従来装置(アルマイト層なし)を用いてタングステン膜をウエハに成膜しており、またプリコート層としてタングステン膜を形成している。また本発明装置(アルマイト層あり)を用いてタングステン膜を成膜しており、この場合、プリコート層としてはタングステン膜よりなる1層構造のプリコート層を成膜する場合(図3(A)参照)と、ポリシリコン膜とWSi膜とよりなる2層構造のプリコート層を成膜する場合(図3(B)参照)の2種類行っている。
ここでは50枚のウエハに対して連続してタングステン膜を成膜処理しており、その50枚の内のウエハ温度変化量を求めている。またシート抵抗の変化量については25枚の平均値を求めている。図6は、この25枚のウエハのシート抵抗値の変化を示している。尚、図6中では1層構造のプリコート層の場合のデータの記載を省略している。
【0053】
各装置によるプロセス条件は下記の通りである。
[従来装置のプリコート条件]
載置台温度:550℃
プロセス圧力:6.7Pa
W(CO) に対するArキャリアガス/希釈Arガス=90/700sccm
成膜時間:2400sec
プリコート層の種類:W膜
【0054】
[1層プリコート層の本発明装置のプリコート条件]
上記従来装置の場合と同じ
プリコート層の種類:W膜の1層構造
【0055】
[2層プリコート層の本発明装置のプリコート条件]
載置台温度:591℃
プロセス圧力:6.7Pa(一定)
1層目(下層膜):ポリシリコン膜の成膜
Ar/SiH =600/100sccm
成膜時間:360sec
2層目(上層膜):WSi膜の成膜(下記の1〜4stepを33回繰り返す)
1step:Ar/SiH =200/100sccm、時間:5sec
2step:パージAr=300sccm、時間:10sec
3step:W(CO) に対するArキャリアガス/希釈Arガス=60/240sccm、時間:5sec
4step:パージAr=300sccm、時間:10sec
プリコート層の種類:PolySi膜/WSi膜の2層構造
【0056】
[ウエハに対する成膜時のプロセス条件]
従来装置及び本発明装置共に同じ条件
ウエハ温度:500℃
プロセス圧力:20Pa
W(CO) に対するArキャリアガス/希釈Arガス=90/700sccm
成膜時間:340sec
以上の結果を下記の表1に示す。
【0057】
【表1】

【0058】
この表1から明らかなように、従来装置の場合には、1枚目のウエハ温度526℃から50枚のウエハ温度104℃まで125℃も大きく変化しており、その時の25枚ウエハのシート抵抗値の面内均一性も8.8%と、大きく変化して好ましくない。尚、シート抵抗値は、周知のように膜厚に対応しており、このシート抵抗値の変化を見れば膜厚の変化も認識することができる。
【0059】
これに対して、本発明装置に関しては、1層構造のプリコート層の場合には、1枚目のウエハ温度501℃から50枚目のウエハ温度487℃まで14℃しか変化しておらず、非常にウエハ温度の変化を抑制できることが確認できた。また、その時の25枚ウエハのシート抵抗値の面間均一性は3.1%と、従来装置の場合と比較して大きく抑制でき、良好な結果が得られることが確認できた。
また2層構造のプリコート層の場合には、1枚目のウエハ温度500℃から50枚目のウエハ温度488℃まで12℃しか変化しておらず、非常にウエハ温度の変化を抑制できることが確認できた。また、その時の25枚ウエハのシート抵抗値の面間均一性は2.9%と、従来装置の場合と比較して更に大きく抑制でき、良好な結果が得られることが確認できた。この時の従来装置と本発明装置の2層構造プリコート層の場合のシート抵抗の変化状態が図6に示されている。
【0060】
また、表1から明らかなように、本発明装置において、ウエハ温度を略一定の温度に維持するために、1層構造のプリコート層を採用した場合には、載置台の温度を780℃に維持する必要があることから大電力を投入しなければならないが、2層構造のプリコート層を採用した場合には、載置台の温度を上記780℃よりも98℃も低い682℃に維持すればよく、従って、2層構造のプリコート層を採用した場合には、投入電力が少なくて済み、その分、エネルギー効率を上げて省エネルギーに寄与することができる。
【0061】
<プリコート層の変形例>
次に、上記載置台等の内部構造物の表面に形成されるプリコート層の変形例について説明する。
図7は本発明のプリコート層の第1の変形例の形成方法を説明するための工程図、図8は載置台温度が一定の条件下にてタングステンのプリコート時間がウエハ温度と載置台の輻射率に与える影響を示すグラフ、図9は載置台温度が一定の条件下にてタングステンのプリコート時間がヒータ電力と載置台の輻射率に与える影響を示すグラフである。
【0062】
前述したように、ウエハに成膜する膜種と同じ材料よりなるプリコート層は、処理容器内をクリーニングした後に、処理容器4内の熱的条件等を安定化させるために形成するものであり、これにより、載置台24や抵抗加熱ヒータ30から放出される不純物をブロックしてウエハMが汚染されることを防止し、且つ1枚ずつ連続して成膜されたウエハ間の膜厚差を抑制して、成膜処理の再現性を向上させるようにしている。
この際、プリコート層を過度に厚くすると、載置台からウエハ自体への熱輻射が減少し、載置台温度とウエハ温度との差(温度差)が大きくなってしまい、この結果、ヒータに過度の電力を投入しなければならないのでヒータ等の短寿命化を招いてしまう。
【0063】
そこで、ウエハを直接接触させて載置する載置台領域のプリコート層を薄くし、ダミーウエハを用いた状態で更にプリコート層を堆積することにより載置台の外周の周縁部に厚くプリコート層を形成することも行われる。この場合には、載置台とウエハとの間の温度差は小さくできるが、ウエハを搬出入するために載置台上が空状態になった時、載置領域における放熱量がその周辺部と比較して大きくなり、この結果、載置台の中央部と周辺部との間の温度差が大きくなり過ぎて、この熱応力により載置台自体が破損する場合が生ずる、といった問題があった。
【0064】
この変形例では、ウエハに堆積する膜種、例えばタングステン膜(W膜)と、これよりも輻射率の大きな膜種、例えばシリコン膜(Si膜)とを適宜組み合わせることにより、上記問題点を解決するようにしている。
【0065】
まず、図7を参照してプリコート層の第1の変形例の構造と、その形成方法について説明する。尚、先の図面を参照して説明した構成部分と同一構成部分については同一符号を付す。図7(E)には完全されたプリコート層が示されており、この載置台24は例えば図1に示すような成膜装置に用いられ、ウエハMに例えばタングステン膜を形成する。
この載置台24は、窒化アルミ(AlN)やアルミナ(Al )やシリコンカーバイト(SiC)等のセラミック、アルミニウム、アルミニウム合金等により形成されており、ここでは例えばAlNにより形成されているものとする。尚、抵抗加熱ヒータやピン挿通孔等の記載は省略している。以下に説明する事項において、下層とは載置台24に近い側を指し、上層とは載置台24から遠い側を指すものとする。
【0066】
まず、プリコート層80の最下層、すなわち載置台24の表面と直接的に接触する膜としては、ウエハに成膜する薄膜と同じ膜種、すなわちW膜よりなる下地プリコート膜80Aが全面に形成されている。
そして、この下地プリコート膜82の上層には、界面に上記下地プリコート膜82を形成する材料の窒化膜であるタングステン窒化膜(WN)82Aを介して高輻射率プリコート膜84が全面に形成されている。このタングステン窒化膜82Aはバリヤ層としての機能を有している。上記高輻射率プリコート膜84は、ウエハに成膜する膜種、すなわちここではタングステン膜よりも輻射率の高い膜種、例えばここではシリコン膜(Si)により形成されている。この高輻射率プリコート膜84の材料としては、上記載置台24を構成する材料、例えばAlNよりも輻射率が高い材料を選択するのがよい。
【0067】
次に、この高輻射率プリコート膜84の上層には、界面にこの高輻射率プリコート膜84を形成する材料の窒化膜であるシリコン窒化膜(SiN)84Aを介して上層プリコート膜86が形成されている。上記シリコン窒化膜84Aは全面に形成されており、上記上層プリコート膜86に対するバリヤ層として機能する。
【0068】
また上記上層プリコート膜86は、ウエハに成膜する膜種と同じ材料、例えばタングステン膜により形成されている。この上層プリコート膜86は、ウエハを直接的に載置する載置領域90には形成されておらず、それ以外の表面全体に形成されている。この上層プリコート膜86は、後述するように、載置台24上にダミーウエハ(ダミー被処理体)DMを載置した状態で成膜処理することにより、形成することができる。尚、輻射率に関しては、一般的には、Wが0.15〜0.20程度、Siが0.65程度、WSiが0.3〜0.5程度、WN及びSiNはそれぞれW及びSiと同程度である。
【0069】
次に、上記プリコート層80の形成方法について説明する。
まず、図7(A)に示すように、載置台24の表面に、原料ガスとしてW(CO) を用いてタングステンを形成することにより、下地プリコート膜82を形成する。
この時のプロセス条件は以下の通りである。
載置台温度:550℃
プロセス圧力:6.7Pa
W(CO) に対するArキャリアガス/希釈Arガス=40/320sccm
成膜時間:60sec
【0070】
次に、図7(B)に示すように、NH ガスを用いて上記下地プリコート膜82の表面を窒化して窒化膜(WN)82Aを形成した。
この時のプロセス条件は以下の通りである。
載置台温度:600℃
プロセス圧力:133.3Pa
ガス流量:Ar/NH =50/310sccm
プロセス時間:60sec
【0071】
次に、図7(C)に示すように、原料ガスとしてSiH ガスを用いて上記下地プリコート膜82A上にシリコンを堆積して高輻射率プリコート膜84を形成した。
この時のプロセス条件は以下の通りである。
載置台温度:600℃
プロセス圧力:326.6Pa
ガス流量:Ar/SiH =600/100sccm
成膜時間:1800sec
【0072】
次に、図7(D)に示すように、NH ガスを用いて上記高輻射率プリコート膜84の表面を窒化して窒化膜(SiN)84A(図7(D))を形成した。
この時のプロセス条件は以下の通りである。
載置台温度:600℃
プロセス圧力:133.3Pa
ガス流量:Ar/NH =50/310sccm
プロセス時間:60sec
【0073】
次に、図7(E)に示すように、上記窒化膜84A上にタングステンを堆積して上層プリコート層86を形成した。この上層プリコート層86の膜厚は、載置台表面の輻射率が収束(飽和)するような膜厚とする。この場合、予め載置台24上にダミーウエハDWを載置した状態で成膜処理を行い、載置領域90にはタングステン膜が堆積しないようにした。更にプリコート膜の堆積速度を上げるため、載置台温度をウエハ成膜処理時と同じにした。
この時のプロセス条件は以下の通りである。
載置台温度:675℃
プロセス圧力:20Pa
W(CO) に対するArキャリアガス/希釈ガス=90/700sccm
成膜時間:300sec
【0074】
上述したようにして、プリコート層80を形成した後、製品ウエハに対してタングステン膜の成膜処理を連続的に施した。この時の載置台24の温度を675℃(ウエハ温度:500℃)に設定することにより、ウエハ温度を目標温度である上記500℃に維持することができた。すなわち、載置台24とウエハMとの温度差は175℃であり、両者間の温度差を、従来の例えば279℃よりも大幅に抑制して小さくすることができた。
【0075】
また25枚のウエハ間の膜厚の差は、シート抵抗を測定して換算したところ、±6.0%であり、膜厚の再現性を大幅に向上させることができた。
更には、載置台24自体の破損等も生ずることがなく、この耐久性を向上させ、長寿命化を図ることができた。
このように、被処理体である半導体ウエハMに堆積させる薄膜よりも輻射率の高い膜種よりなる高輻射率プリコート膜84と、薄膜と同じ膜種よりなる上層プリコート膜86とを適宜組み合わせてプリコート層80を形成するようにしたので、載置台24とこの上に載置される被処理体Wとの間の温度差を小さくでき、しかも載置台24の中央部と周辺部との間の温度差を抑制して載置台24の熱伸縮応力による破損を防止することができる。また成膜処理の再現性も向上させることができる。
【0076】
ここで上記第1の変形例のプリコート層80における各膜の作用について、より詳しく説明する。
<プリコートの第1の目的>
高温のプロセスでは一般的に耐熱性のあるセラミック材料に抵抗加熱ヒータ30を埋め込んだ載置台24が用いられる。セラミック材料は焼結助剤のような不純物を含有しており、高温時にこの不純物が放出され、ウエハを載置する際にウエハ裏面を汚染する可能性がある。また、載置台表面は処理容器4のクリーニングの際にクリーニングガスによる腐食で脆弱となり、ウエハを載置した際にウエハ裏面に大量のパーティクルが付着する。
【0077】
そこで、製品ウエハへの成膜を開始する前段階として、一般的にはウエハに成膜する膜と同じ膜で載置台上の少なくともウエハが載置/接触する面をプリコート膜で被覆して、上記の問題を回避する。このプリコート膜がここでは下地プリコート膜82となる。
【0078】
<プリコートの弊害>
ところが、例えばW膜などの金属膜のように輻射率が低い材料ではプリコート処理により載置台表面のプリコート膜を厚くして行くと、載置台24の温度を一定に維持しても、ウエハの実温がプリコート膜厚の増加に伴って下がって行く。特にウエハへの成膜条件が1Torr以下の低圧の場合は、載置台24からウエハへの熱伝導は輻射が支配的となり、載置台表面の輻射率の変化でウエハ温度も大きく変化する。本実施例のように載置台24の構成材料(AlN)の輻射率は金属膜より高いので、プリコート膜が薄い間は構成材料の輻射率の影響を受けるが、厚くなるに従って次第に金属固有の低い輻射率に収束する。
【0079】
この時の状態は図8に示されており、載置台温度を550℃に一定に維持していても、タングステンのプリコート時間が長くなるに従って、ウエハ温度及び載置台の輻射率は共に次第に低下し、最終的に低い値に収束している。このことは、プリコート膜が厚くなるに従って輻射率が低下し、載置台とウエハとの温度差が次第に大きくなることを意味する。このように、載置台の表面の輻射率が下がると、低圧プロセスではヒータによるウエハの加熱効率が極端に下がるため、所定のウエハ温度を維持するためには、載置台の温度を大幅に上げる必要がある。
【0080】
本実施例のような高温成膜プロセスでは、プリコート処理を実施することで、その分、ヒータの設定温度を上げざるを得なくなり、載置台やヒータに大きな負担が掛かり、短寿命化を招くことになる。
【0081】
<温度低下の対策>
そこで、載置台をW膜よりなる金属膜の下地プリコート膜82で一旦被覆した後に、輻射率の高いSiのような非金属材料で少なくとも載置台の基板載置/接触する面を高輻射率プリコート膜84で被覆する。輻射率が載置台の構成材料、例えばAlNより高いSiを用いれば、薄い被覆でも載置台表面の輻射率を本来のAlNのレベルに復帰できる。また、Si膜を十分厚く堆積することにより、AlN以上の輻射率も可能になる。
【0082】
Si膜の被覆の際に、これが下地金属(W)膜と反応して金属シリサイド(WSi)となって輻射率下げないようにするために、Si被覆の前段階で下地金属膜表面を窒化してバリヤ層として窒化膜(WN)82Aを形成する。一般的にシリコン窒化膜や金属窒化膜はお互いに反応し易い材料間に挟むことで両者の反応を防止するバリヤ機能がある。
【0083】
<プリコートの第2の目的>
実施例の載置台24は、抵抗加熱ヒータ30の埋設領域が、例えば内側、外側の2ゾーンになっており、各ゾーンの投入パワー比率を設定することにより、載置台24の温度分布を調整できるようになっている。ところが、ウエハへの成膜処理を重ねるに連れて載置台24のウエハ載置面以外に膜が堆積され、結果的にこの部分の輻射率が低下していく。載置台24の輻射率が部分的に変化すると、載置台24全体の放熱バランスが崩れ、設定したゾーンパワー比率ではウエハの面内均熱性を保持できなくなり、ウエハへの成膜分布が悪化することになる。そこで、載置台24のウエハ載置面以外の部分の輻射率がウエハへの成膜処理により変化しないように、この部分に前もってウエハ成膜と同じ金属膜、例えばW膜を所定の膜厚で堆積させて上層プリコート膜86を形成する必要がある。この所定の膜厚とは前述の載置台24の表面の輻射率が収束(飽和)する膜厚である。
【0084】
<ダミーウエハ付プリコート>
前述のようにウエハを主に加熱するのは載置台24のウエハ載置面(載置領域)からの輻射であるから、この部分の輻射率を変化させず(高く維持したまま)、上記上層プリコート膜86を堆積する。そのためには、ダミーウエハDWを載置したまま金属膜(W膜)のプリコートを実施し、載置台全体の輻射率が収束(飽和)するまでプリコート処理を持続する必要がある。全体の輻射率は投入パワーと一義的な相関関係にあり、これが収束すると輻射率が収束することになる。載置台のウエハ載置面と反対側はプリコート膜が堆積し難く、プリコート膜を載置台全体で所定の膜厚だけ堆積させるためには長時間が必要である。
【0085】
図9はこの時の状況を示しており、載置台温度を550℃に維持するためには、プリコート時間が長くなるに従って、内側ゾーン、外側ゾーン共に投入パワーが少しずつ減少し、同様に輻射率も次第に低下しており、長時間、例えば4000sec程度経過すると、ヒータ投入電力及び輻射率が略収束(飽和)している。この場合にも、このW膜を堆積する前工程で、この金属膜よりなる上層プリコート膜86が下地のSi膜よりなる高輻射率プリコート膜84と反応しないように前もって高輻射率プリコート膜84の表面を窒化し、バリヤ機能を有する窒化膜であるSiN膜84Aを形成しておく。以上のように形成したプリコート層86により、前述したような作用効果を発揮することができる。
【0086】
<比較例>
比較例としては、図7で説明したものと同じ載置台24の全表面に、W膜のみを以下の条件で成膜した。
載置台温度:550℃
プロセス圧力:6.7Pa
W(CO) に対するArキャリアガス/希釈Arガス=40/320sccm
成膜時間:2400sec
この場合、載置台温度を、製品ウエハへのW膜成膜時の載置台温度と同じ675℃に設定したが、ウエハの実温度は372℃までしか上昇せず、所定のウエハ温度500℃を達成することができなかった。
【0087】
ここで説明した第1及び第2の変形例において、重なり合うプリコート膜の界面にはバリヤ層として機能する下地膜材料の窒化膜、例えばWN膜やSiN膜を介在させるようにしたが、窒化処理を省略してこれらの窒化膜を介在させないようにしてもよい。このように窒化膜を介在させない場合には、境界部分に輻射率を僅かに低下させる金属シリサイド、例えばWSiが自然に発生するが、それでも、作用効果の程度はやや劣るが前述したような作用効果を発揮することができる。
【0088】
尚、上記第1及び第2の変形例では、高輻射率プリコート膜84としてSi膜を例にとって説明したが、これに限定されず、シリコン膜、SiC膜、SiN膜よりなる群の内のいずれか1の材料を用いることができる。
また、上記実施例(変形例を含む)では、ウエハ上にタングステン膜よりなる金属膜を形成する場合を例にとって説明したが、これに限定されず、タングステン膜を含む金属含有膜、例えば窒化物膜、炭化物膜、珪化物膜、或いはこれらの混合物膜を形成する場合にも、本発明を適用することができる。
【0089】
また、上記金属としては、高融点金属であるタングステンを用いた場合を例にとって説明したが、他の高融点金属、例えばチタン、タンタル、ハフニウム、ジルコニウム等を用いる場合にも、本発明を適用することができる。この場合、プリコート層に用いる珪化物は、半導体ウエハに対して形成する薄膜に含有される金属の珪化物を用いるのは勿論である。
また半導体ウエハに形成する薄膜が、金属膜や金属含有膜でない場合、例えばシリコン膜やシリコン酸化膜等の場合にも、本発明を適用できるのは勿論である。
【0090】
またここで説明した成膜内は単に一例を示したに過ぎず、シャワーヘッド部を有する成膜装置ならば全て適用でき、例えばプラズマを用いた成膜装置にも本発明を適用することができる。
更に本実施例では、被処理体として半導体ウエハを例にとって説明したが、これに限定されず、LCD基板、ガラス基板、セラミック基板等にも適用できるのは勿論である。
【符号の説明】
【0091】
2 成膜装置
4 処理容器
6 シャワーヘッド部(ガス導入手段)
8 ガス噴射面
24 載置台(保持手段)
28 真空排気系
30 抵抗加熱ヒータ(加熱手段)
62 アルマイト層
64 制御手段
66 記憶媒体
70 プリコート層
70A 下層膜
70B 上層膜
80 プリコート層
82 下地プリコート膜(W)
82A 窒化膜(WN)
84 高輻射率プリコート膜(Si)
84A 窒化膜(SiN)
86 上層プリコート膜(W)
96 載置領域
M 半導体ウエハ(被処理体)
DM ダミーウエハ(ダミー被処理体)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気可能になされた処理容器と、
前記処理容器内に設けられて被処理体を載置するための載置台と、
前記被処理体を加熱するための加熱手段と、
前記載置台と対向するように前記処理容器の天井部に設けられて成膜用の原料ガスを供給するシャワーヘッド部と、を有して前記被処理体の表面に所定の薄膜を堆積する成膜装置において、
前記シャワーヘッド部の表面を、表面処理により輻射率が0.5以上になるように設定するように構成したことを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
前記シャワーヘッド部は、アルミニウム又はアルミニウム合金よりなり、前記シャワーヘッド部の表面には、前記表面処理により形成されたアルマイト層が設けられていることを特徴とする請求項1記載の成膜装置。
【請求項3】
前記シャワーヘッド部の母材は、JIS規格のA6061による金属であり、前記アルマイト層の厚さは17μm以上であることを特徴とする請求項2記載の成膜装置。
【請求項4】
前記シャワーヘッド部の母材は、JIS規格のA5052による金属であり、前記アルマイト層の厚さは28μm以上であることを特徴とする請求項2記載の成膜装置。
【請求項5】
前記載置台には、前記加熱手段として抵抗加熱ヒータが内蔵されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の成膜装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の成膜装置を用いて被処理体の表面に所定の薄膜を堆積するに際して、
前記処理容器内に前記被処理体を搬入しない空状態で前記処理容器内へ所定のガスを流すことにより少なくとも載置台の表面にプリコート層を形成するプリコート層形成工程と、
前記プリコート層形成工程の後に前記処理容器内へ前記被処理体を搬入して前記被処理体に前記薄膜を形成する薄膜形成工程を行うようにしたことを特徴とする成膜方法。
【請求項7】
前記薄膜は、金属膜又は金属含有膜であり、前記プリコート層形成工程のプリコート層は、前記被処理体の表面に形成される前記薄膜と同じ材料よりなることを特徴とする請求項6記載の成膜方法。
【請求項8】
前記薄膜は、金属膜又は金属含有膜であり、前記プリコート層形成工程のプリコート層は、前記金属の珪化物よりなることを特徴とする請求項6記載の成膜方法。
【請求項9】
前記薄膜は、金属膜又は金属含有膜であり、前記プリコート層形成工程のプリコート層は、シリコン膜と、該シリコン膜上に形成された前記金属の珪化物との2層構造よりなることを特徴とする請求項6記載の成膜方法。
【請求項10】
前記金属含有膜は、前記金属の窒化物、炭化物、珪化物、或いはこれらの2以上の物質の混合物よりなることを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の成膜方法。
【請求項11】
前記金属は、タングステン、チタン、タンタル、ハフニウム、ジルコニウムよりなる群の内のいずれか1以上の金属であることを特徴とする請求項6乃至10のいずれかに記載の成膜方法。
【請求項12】
被処理体の表面に所定の薄膜を堆積するために排気可能になされた処理容器内にて前記被処理体を載置する載置台の表面を覆うプリコート層において、
前記薄膜よりも輻射率の高い膜種よりなる高輻射率プリコート膜と、
前記高輻射率プリコート膜の上層に形成されて前記薄膜と同じ膜種よりなる上層プリコート膜と、
よりなることを特徴とするプリコート層。
【請求項13】
前記高輻射率プリコート膜は、前記載置台を構成する材料よりも輻射率が高い材料で形成されることを特徴とする請求項12記載のプリコート層。
【請求項14】
前記上層プリコート膜は、前記載置台の上面であって、前記被処理体を直接的に載置する載置領域を除いて形成されていることを特徴とする請求項12又は13記載のプリコート層。
【請求項15】
前記上層プリコート膜の下層には、前記薄膜と同じ膜種よりなる下地プリコート膜が形成されていることを特徴とする請求項12乃至14のいずれかに記載のプリコート層。
【請求項16】
前記各プリコート膜間の界面には、該界面における下層のプリコート膜を形成する材料の窒化膜が形成されていることを特徴とする請求項12乃至15のいずれかに記載のプリコート層。
【請求項17】
前記高輻射率プリコート膜は、シリコン膜、SiC膜、SiN膜よりなる群の内のいずれか1よりなることを特徴とする請求項12乃至16のいずれかに記載のプリコート層。
【請求項18】
前記薄膜は、金属膜又は金属含有膜よりなることを特徴とする請求項12乃至17のいずれかに記載のプリコート層。
【請求項19】
前記金属含有膜は、前記金属膜を形成する金属の窒化物、炭化物、珪化物よりなる群から選択される1よりなることを特徴とする請求項12乃至18のいずれかに記載のプリコート層。
【請求項20】
前記金属は、タングステン、チタン、タンタル、ハフニウム、ジルコニウムよりなる群の内のいずれか1以上の金属であることを特徴とする請求項19記載のプリコート層。
【請求項21】
被処理体の表面に所定の薄膜を堆積するために排気可能になされた処理容器内にて前記被処理体を載置する載置台の表面を覆うプリコート層の形成方法において、
前記薄膜よりも輻射率の高い膜種よりなる高輻射率プリコート膜を形成する工程と、
前記高輻射率プリコート膜の上層に前記薄膜と同じ膜種よりなる上層プリコート膜を形成する工程と、
よりなることを特徴とするプリコート層の形成方法。
【請求項22】
前記上層プリコート膜を形成する工程は、前記載置台の上面にダミー被処理体を載置した状態で行うことを特徴とする請求項21記載のプリコート層の形成方法。
【請求項23】
前記高輻射率プリコート膜を形成する工程の前工程で、前記薄膜と同じ膜種よりなる下地プリコート膜を形成する工程を行うことを特徴とする請求項21又は22記載のプリコート層の形成方法。
【請求項24】
前記各プリコート膜を形成する各工程の直後には、
該プリコート膜の表面を窒化する窒化工程を行うことを特徴とする請求項21乃至23のいずれかに記載のプリコート層の形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−7121(P2013−7121A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−181552(P2012−181552)
【出願日】平成24年8月20日(2012.8.20)
【分割の表示】特願2006−212664(P2006−212664)の分割
【原出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】