説明

手動操作装置

【課題】ユーザができるだけ違和感を覚えない手動操作装置を提供する。
【解決手段】手動操作装置Aにおいて、フォースパターンの送信指示を運転者から受け付けると(S110)、フォースパターンを携帯電話へ送信する(S115)。その後、手動操作装置Bにおいて、運転者が運転席に座ったことを契機に、ユーザ認識が行われて運転者を特定する(S130)。そして、特定した運転者用のフォースパターンを携帯電話から取得する旨の指示を運転者から受け付けると(S135)、手動操作装置Bは、携帯電話からフォースパターンを受信し(S150)、受信したフォースパターンを記憶する(S155)。そして、そのフォースパターンに基づいて手動操作装置のアクチュエータの制御を開始する(S160)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された様々な機器を統合的に操作することができる手動操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に搭載された様々な電装品を統合的に操作する仕組みが実現されている。具体的には、ナビゲーション装置やエアコンやオーディオ等の操作に必要な情報をディスプレイに表示させ、乗員がタッチパネルやリモコン等によりディスプレイに表示されたボタンを操作することによって上記機器を操作する仕組みである。
【0003】
しかしながら、この仕組みはディスプレイを見ながら操作を行う必要があるため、運転者が操作を行う場合、どのボタンがどこに配置されていて、ボタンを操作した結果どのような状態になったのかがわかりづらいという問題がある。
【0004】
そこで、このような問題を解決するための技術として、下記の特許文献1に記載のような技術が知られている。この技術は、操作位置や状況に応じて反力がコントロールされるいわゆるハプティックデバイスと呼ばれるデバイスに関する技術であり、特許文献1に記載の技術は、反力だけでなく操作方向へ外力を加えるものである。
【0005】
具体的には、ラジオやCDプレイヤーの音量を調節する場合、音量をアップする方向に手動操作部を動かすときには抵抗感を感じるように、反対に、音量をダウンする方向に手動操作部を動かすときには加速感を感じるように手動操作部に外力を負荷する。この結果、音量をアップする際に車室内に出る音が急に大きくなるといった不都合を解消できると共に、音量をダウンしたいときには速やかに音量を絞れるので、オーディオの聴取や会話が妨げられるといった不都合を解消できるという効果が得られる。また、このような制御内容は、手動操作部によってなされる操作の対象機器(例えば、ナビゲーション装置、エアコン、オーディオ等)によって異なるようにもなっている上、これらの対象機器の切り替え自体も手動操作部によって行うことができるようになっている。
【特許文献1】特開2001−84875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記技術では、車両に搭載された機器(例えばポータブルナビゲーション装置)がユーザによって取り外されたような場合に問題が発生する。例えば、手動操作部によって操作対象の機器を切り替える場面において、割り当てられた機器が実際には存在しないということが起こる。このような場合、ユーザが機器の割り当て場所へ手動操作部を操作したとしても何も起こらず、ユーザは違和感を覚えることとなる。
【0007】
また、普段使用している車両から他の車両に乗り換えた場合、その乗り換えた車両の手動操作部の反力特性が普段使用している車両のものと異なると、ユーザは違和感を覚えることになる。
【0008】
また、同一車両であっても直前に他人が運転しており、反力特性がその他人の好みに変更されている場合にも、ユーザは違和感を覚えることになる。
本発明はこのような問題にかんがみなされたものであり、ユーザができるだけ違和感を覚えない手動操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の手動操作装置は、手動操作される操作部と、検出部と、アクチュエータと、記憶手段と、受信手段と、制御手段とを備える。このうち、アクチュエータは、操作部に力を与える動力源であり、検出部は、操作部の操作位置を検出する。また、記憶手段は、操作部の操作位置とアクチュエータを動作させるための制御値との関係、および、操作部の操作位置と車両に搭載された機器を操作するために出力する信号との関係が定義されたフォースパターンを記憶可能であり、受信手段は、外部装置からフォースパターンを受信して記憶手段に記憶させる。また、制御手段は、記憶手段が記憶するフォースパターンを読み出し、その読み出したフォースパターンと検出部によって検出された操作部の操作位置とに基づき、アクチュエータを制御するための制御値をアクチュエータへ出力すると共に車両に搭載された機器を操作するための信号を該当機器へ出力する。なお、ここで言う「操作部の操作位置」というのは、操作部の可動範囲における現在の位置(操作されてどの位置にあるか)のことである。
【0010】
このようにフォースパターンを外部装置から入力することができるようになっていれば、その外部装置にユーザの好みのフォースパターンを記憶させておくことによって、手動操作装置をユーザの好みのフォースパターンに入れ替えて動作させることができるようになる。このため、ユーザの違和感を軽減することができる。
【0011】
なお、さらに、記憶手段に記憶されているフォースパターンを外部装置へ送信する送信手段も備えているとよい(請求項2)。
このように外部装置へフォースパターンを送信できるようになっていれば、外部装置でフォースパターンを生成等する必要がなくなり、使い慣れている手動操作装置のフォースパターンを他の手動操作装置へ容易に移動させることができる。
【0012】
ところで、送信手段および受信手段がフォースパターンを送受信する外部装置は、特に、携帯機器であるとよい(請求項3)。ここで言う「携帯機器」というのは、例えば、携帯電話や、PDAや、電子式のキー等を意味する。なお、この場合には、例えばBluetooth(登録商標)を用いて通信を行うようになっているとよい。
【0013】
外部装置が、このようなユーザによって普段から持ち運ばれる携帯機器であれば、この携帯機器へ好みのフォースパターンを記憶させておくことによって、例えば、思いついたときに目の前の手動操作装置へフォースパターンをダウンロードさせて使用することができる。つまり、手動操作装置へのフォースパターンのダウンロードが気軽にできるため、本発明の利用率が高まる。
【0014】
ところで、フォースパターンを記憶手段に記憶させるタイミングは、ユーザが運転席に着座した際が適している。したがって、請求項4に記載のように、手動操作装置は、さらに、ユーザの着座を検出する着座検出手段を備え、受信手段は、着座検出手段がユーザの着座を検出した際に、フォースパターンを記憶手段へ記憶させるようになっているとよい。
【0015】
このようになっていれば、運転席に着座した際に、ユーザは特別な操作をすることなく、適切なフォースパターンによって手動操作装置を利用することができる。
なお、記憶手段が記憶できるフォースパターンは一種類だけであってもよいが、ユーザに対応したフォースパターンを複数記憶できるようになっているとよい。つまり、請求項5に記載のように、手動操作装置は、さらに、ユーザの識別情報を制御手段へ出力するユーザ識別手段を備え、記憶手段は、ユーザに対応したフォースパターンを複数記憶することができ、制御手段は、記憶手段に記憶された複数のフォースパターンのうち、ユーザ識別手段から入力された識別情報に対応するフォースパターンを読み出して制御値や信号の出力を行うようになっているとよい。ここで言う「ユーザ識別手段」としては、例えば、ユーザコードが入力可能となっており、その入力されたコードをユーザの識別情報として出力するものや、ユーザの顔面映像を撮影して、その認識結果に基づいて何らかのコードをユーザの識別情報として出力するもの等が考えられる。
【0016】
このようになっていれば、毎回、受信手段を介してフォースパターンを記憶手段に記憶させることなく、ユーザは適切なフォースパターンによって手動操作装置を利用することができる。
【0017】
ところで、他の手動操作装置で用いていたフォースパターンを手動操作装置にダウンロードさせた場合は、そのダウンロードさせたフォースパターンには当該手動操作装置が搭載された車両に存在しない操作対象機器に関するフォースパターンが含まれている場合があり、その場合は不都合が生じる。つまり、A車両にはDVDプレイヤーが装備されていてそのDVDプレイヤーを操作する際に用いられるフォースパターンが用意されている場合、そのフォースパターンを含むフォースパターンを、DVDプレイヤーが装備されていないB車両の手動操作装置にダウンロードさせた場合には、この手動操作装置ではA車両においてDVDプレイヤーを操作する際と同様の操作感が得られるが、実際には何も起こらないということが発生する。
【0018】
したがって、このような不都合を防止するため、手動操作装置は、さらに、制御手段によって読み出されたフォースパターンに定義された操作対象機器が、実際に車両に存在するか否かを判定する対象機器存在判定手段と、対象機器存在判定手段により、車両に存在しない操作対象機器があると判定された場合に、その旨をユーザに報知する報知手段と、を備えているとよい(請求項6)。
【0019】
このようになっていれば、ユーザは操作対象機器が、自車両に存在しないことを知ることができ、上述したような不都合が生じることを防止することができる。
なお、報知手段によってなされる報知は、聴覚または触覚に訴えるものであるとよい(請求項7)。具体的には、例えば、ブザーが鳴るようになっていたり、「DVDプレイヤーは本車両には装備されていません」といった内容の合成音声が再生されるようになっていたり、操作部が振動するようになっているとよい。
【0020】
このように、報知手段によってなされる報知が聴覚または触覚に訴えるものであれば、運転者が視線を前方からそらすことなく、操作対象機器が当該車両に存在しないことを知ることができる。
【0021】
また、上述した不都合を防止するため、手動操作装置は、さらに、制御手段によって記憶手段から読み出されたフォースパターンに定義された操作対象機器が、実際に車両に存在するか否かを判定する対象機器存在判定手段を備え、制御手段は、対象機器存在判定手段により車両に存在しない操作対象機器があると判定された場合、フォースパターンにおける、その操作対象機器に対応する制御値を所定の制御値へ置き換えるようになっていてもよい(請求項8)。具体的には、例えば、当該操作対象機器に対する操作を行う位置に操作部が移動できないように反力を高めるとよい。
【0022】
このようになっていても、上述したような不都合が生じることを防止することができる。
ところで、ユーザ識別手段により出力された識別情報に基づいて特定されたユーザと、制御手段が現在読み込んでいるフォースパターンに対応するユーザとが一致しない場合、そのままそのフォースパターンを使用するか否かをユーザに確認する確認手段をさらに備えているとよい(請求項9)。
【0023】
このような確認手段を備えていれば、ユーザは自身に対応したフォースパターンでないことを確実に知ることができ、不意打ち的に違和感を覚えることを防止することができる。
【0024】
ところで、上述したようにフォースパターンを入れ替えることができるようになっている場合には、手動操作装置が操作対象の機器へ指示を出力した際に、その旨がユーザにフィードバックされるようになっていると、ユーザはより安心感を覚えることができる。なぜなら、フォースパターンの入れ替えが可能になっているということは、どのフォースパターンが使用されているのかを運転者が失念する場合があると考えられ、その場合に「本当に操作対象機器へ指示が出力されたのであろうか?」とユーザが不安に思うことがあると考えられるからである。
【0025】
したがって、請求項10に記載のように、フォースパターンには、操作対象機器へ信号を出力された場合にその旨をユーザへ知らせるためにアクチュエータを動作させるためのフィードバック制御値も含まれており、制御手段は、信号を操作対象機器へ出力した際、フィードバック制御値をアクチュエータへ出力するようになっているとよい。
【0026】
このようになっていれば、ユーザはより安心して手動操作装置を操作することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。尚、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0028】
[構成の説明]
図1は、手動操作装置11の主要部及び当該手動操作装置11に接続された機器等を示すブロック図である。手動操作装置11は、操作部21と、記憶部15と、通信部16と、制御部17とを備える。そして、通信部16は、車内LAN28を介して、通信装置22、オーディオコントローラ23、エアコンコントローラ24、ナビゲーション装置25、着座センサ26および車室内カメラ27と接続されている。なお、手動操作装置11は、車両の運転席付近に設置されており、運転者が運転席に座った状態で操作可能となっている。
【0029】
操作部21は、ユーザが操作を行う部位である。操作部21の内部には、電気モータ39a,39bと、エンコーダ41a,41bとを備える。
電気モータ39a,39bは、制御部17から入力される制御値に基づいて操作部21に対して力を与える部位である。
【0030】
エンコーダ41a,41bは、操作部21の操作状態(操作位置)を検知するためのセンサである。
記憶部15は、フォースパターンや画像認識データ(画像認識技術により運転者を特定するために必要なデータ)等を記憶する部位である。なお、フォースパターンというのは、操作部21の操作状態と電気モータ39a,39bを動作させるための制御値との関係、および、操作部21の操作状態と車両に搭載された機器(オーディオ、エアコン、ナビゲーション装置等)を操作するための信号との関係を示す値の集合である。なお、フォースパターンは、運転者を特定する情報と関連づけられて、運転者毎に用意されている。
【0031】
通信部16は、車内LAN28を介し、車内LAN28に接続された様々な機器等と通信を行う部位である。
制御部17は、CPU、ROM、RAM等から構成され、ROMに記憶されたプログラムに基づいて様々な処理を実行する部位である。
【0032】
車内LAN28は、車両内に張り巡らされたLANであり、当該LANに接続された機器(通信装置22、オーディオコントローラ23、エアコンコントローラ24、ナビゲーション装置25、着座センサ26、車室内カメラ27等)は互いに通信を行うことができる。
【0033】
通信装置22は、携帯電話やPDAと通信を行う通信装置であり、本実施形態ではBluetooth(登録商標)規格に基づいた通信を行う。
オーディオコントローラ23は、図示しないオーディオ装置を制御するためのコントローラである。
【0034】
エアコンコントローラ24は、図示しないエアコンを制御するためのコントローラである。
ナビゲーション装置25は、図示しない、表示器や地図ディスクやGPS受信機等を備え、車両の現在位置を地図と共に表示器に表示させ、経路案内等を実施する。
【0035】
着座センサ26は、運転者の着座を検出するセンサであり、運転席の座面に設けられた圧力センサである。
車室内カメラ27は、車両のルームミラーに内蔵されたカメラであり、主に運転者の顔面部分を撮影するカメラである。
【0036】
次に、操作部21の構造について、詳細に説明する。図2は、操作部21の斜視図であり、図3は操作部21を側面方向から見た要部断面図、図4は操作部21を平面方向から見た要部断面図、図5は操作ハンドル31が除去された操作部21を上方から見た平面図である。
【0037】
図2乃至図5から明らかなように、操作部21は、車両のボディーに取り付けられるベース32と、ベース32に設けられた球面軸受33と、中央部よりもやや下方寄りに設けられた球状部34aが球面軸受33に揺動自在に軸支された操作軸34と、球面軸受33の下方に配置されたソレノイド35と、ソレノイド35の駆動軸35aの上端部に取り付けられた操作軸34のクランプ部材36と、球面軸受33を中心としてベース32に平行な面内で直交する軸線上に配置された2本の回転軸37a,37bと、各回転軸37a,37bの先端部に固着された2つの大歯車38a,38bと、前記各回転軸37a,37bと平行に配置された2つの電気モータ39a,39bと、当該電気モータ39a,39bの主軸に固着され、前記大歯車38a,38bと噛み合わされる2つの小歯車40a,40bと、前記電気モータ39a,39bの主軸の回転方向及び回転量を検出する2つのエンコーダ41a,41bと、前記操作軸34の揺動を回転に変換して前記回転軸37a,37bに伝達するL字部材42a,42bとからなり、前記操作軸34の上端部に操作ハンドル31が取り付けられている。
【0038】
操作軸34の下端部は下方に至るほど細くなる円錐形に形成されており、これと対向するクランプ部材36の上面には、操作軸34の先端部を挿入可能な略円錐形のくぼみ36aが形成されている。したがって、ソレノイド35をオン操作してクランプ部材36を上昇させると、くぼみ36a内に操作軸34の先端部が挿入されて操作軸34がクランプされ、球状部34aを中心とする揺動が禁止される。これに対して、ソレノイド35をオフしてクランプ部材36を下降させると、操作軸34とクランプ部材36との係合が解除され、操作軸34は球状部34aを中心として揺動可能になる。
【0039】
L字部材42a,42bの一辺にはねじ孔43が開設され、他辺には長孔状の操作軸貫通孔44が開設されている。このL字部材42a,42bは、図3に示すように、操作軸貫通孔44に操作軸34を貫通した状態で、一辺がねじ孔43に挿通されたビス45によって大歯車38a,38bの側面に締結される。操作軸貫通孔44の横幅は、操作軸34との間に生じるバックラッシュを小さくするため、操作軸34の円滑な摺動を確保可能な範囲で、なるべく操作軸34の直径に近い値に形成される。また、操作軸貫通孔44の長さは、操作軸34の可動範囲と同じか、それよりも大きな値に設定される。したがって、操作ハンドル31を把持して操作軸34をセンタ位置から揺動すると、そのX方向成分及びY方向成分に応じた回転量でL字部材42a,42bが旋回し、その回転が大歯車38a,38b及び小歯車40a,40bを介して各エンコーダ41a,41bに伝達され、制御部17によって操作軸34の操作状態が検出される。
【0040】
操作ハンドル31は、図2及び図3に示すように、頂面の中央部に透明窓51を有するドーム状に形成されており、その内部に、図3及び図5に示すように、回路基板52と、当該回路基板52の前記透明窓51と対向する部分に実装された発光素子と受光素子との組み合わせからなるフォトインタラプタ53と、前記回路基板52の周辺部に実装された第1及び第2のスイッチ54,55とから構成されている。
【0041】
フォトインタラプタ53は、前記ソレノイド35をオンオフ制御するためのものであって、図示しない発光素子から特定波長の光、例えば赤外線を放射し、図示しない受光素子に当該特定波長の光が入射したとき、前記ソレノイド35をオン制御して前記クランプ部材36を下降し、当該クランプ部材36と前記操作軸34との係合を解除して、操作軸34の揺動操作を可能にする。なお、当該フォトインタラプタ53への電源供給と当該フォトインタラプタ53からの信号伝送は、操作軸34に挿通されたコード58によって行われる。
【0042】
前記第1及び第2のスイッチ54,55としては、回転検出操作スイッチ及び押込検出操作スイッチの各機能を有し、当該スイッチの非操作時にはノブがセンタ位置に配置されているものが用いられる。これら第1及び第2のスイッチ54,55を操作する第1及び第2のノブ54a,55aは、図5に示すように、操作ハンドル31の外周面に左右対称に設定されており、操作ハンドル31の外周面に沿ってセンタ位置より矢印(イ)又は(ロ)の方向に回転操作できるほか、矢印(ハ)の方向に押し込み操作できるようになっている。また、これら第1及び第2のスイッチ54,55は、第1及び第2のノブ54a,55aの各操作方向に操作されることによって任意の機能を実行することができるように構成されている。
【0043】
電気モータ39a,39bは、操作ハンドル31の操作に抵抗感を付与するためのものであって、例えば操作ハンドル31の操作方向の規制、操作ハンドル31の操作量に応じた操作速度の規制、並びに操作ハンドル31の停点規制などに適用される。即ち、操作ハンドル31は、特定の方向に揺動することによって制御しようとする車載電気機器の選択や選択された車載電気機器の機能調整を行うためのものであるので、予め定められた方向に正確に操作できないと、車載電気機器の選択や機能調整を正確に行うことができない。そこで、予め定められた方向への操作ハンドル31の操作は小さな操作力で行うことができるが、それ以外の方向への操作ハンドル31の操作には、電気モータ39a,39bを駆動して操作軸34に操作方向と反対方向のトルクを負荷し、操作ハンドル31の操作に抵抗感を付与する。これによって、操作者(運転者)は、予定されていない方向に操作ハンドル31を操作したことを感覚的に知ることができるので、車載電気機器の誤選択や機能調整の誤りを未然に防止することができる。
【0044】
操作ハンドル31の操作限界を規制する手段として、機械的な方法、例えば球面軸受33のエッジに操作軸34を衝合させるといった方法をとると、操作ハンドル31を操作する毎に、これら球面軸受33及び操作軸34の衝合部に大きな機械力が作用して摩耗が生じるため、摩耗粉が球面軸受33と操作軸34の球状部34aの間に入り込んで、操作軸34の操作力が大きくなったり、最悪の場合には操作軸34の揺動が不可能になるといった不都合を生じやすい。そこで、操作ハンドル31が予め定められた位置まで操作されたとき、電気モータ39a,39bを駆動して操作軸34に操作方向と反対方向に例えば衝撃的なトルクを負荷する。このようにすると、操作者(運転者)は操作限界まで操作ハンドル31を操作したことを感覚的に知ることができるので、それ以上の操作ハンドル31の操作を停止することができると共に、球面軸受33のエッジと操作軸34との衝合が防止されて摩耗粉の発生が低減され、摩耗粉の発生に起因する上記の不都合を未然に防止することができる。また、電気モータ39a,39bのトルクによって、操作ハンドル31をセンタ位置まで自動的に復帰させることができ、操作ハンドル31の操作性を良好なものにすることができる。
【0045】
次に、手動操作装置11を構成する制御部17及び記憶部15について、図1よりも詳細なブロック図(図6)を用いて説明する。
図6に示すように、制御部17は、モータードライバ61、照合部62、フォースパターン保持部63、フォースパターン入出力部64とを備える。なお、これらは論理的な機能ブロックであり、実際は図示しないCPU、ROM、RAM、I/O等によって実現される。
【0046】
モータードライバ61は、照合部62から出力された結果(モータ出力値)に基づいて、電気モータ39a,39bを駆動させるための駆動信号を出力する。
照合部62は、フォースパターン保持部63が保持するフォースパターンと、エンコーダ41a,41bから出力された位置信号とを照合し、モータードライバ61へ出力する結果(モーター出力値)を決定する。
【0047】
フォースパターン保持部63は、記憶部15から読み込んだフォースパターンを1セットだけ保持しており、照合部62が参照可能に構成されている。
フォースパターン入出力部64は、記憶部15に記憶されているフォースパターンを通信部16を介して外部に送信すると共に、通信部16を介して外部から受信したフォースパターンを記憶部15に記憶させる。
【0048】
一方、記憶部15は、フォースパターンを複数セット記憶する。ここで、その中の1セットのフォースパターンについて、図7に示す表を用いて具体的に説明する。図7に示す表は、操作ハンドル31の可動範囲をX方向に8等分、Y方向に8等分し、等分された各領域内に手動操作部が操作された場合における電気モータ39a,39bの駆動・停止と回転方向とが符号化されて並べられたものである。各セル内に記載された符号並びに数字は、上段が第1の電気モータ39aの駆動・停止と回転方向、中段が第2の電気モータ39bの駆動・停止と回転方向とを示しており、符号「+」はモータの正転、符号「−」はモータの逆転を示している。なお、数字「0」は電気モータ39a,39bが回転しないことを表し、数字「1」は電気モータ39a,39bが回転することを表している。また、下段は、操作対象機器を識別する符号(「A」や「B」)と制御信号値(「8」や「3」)を示している。なお、「*」は、操作対象機器が設定されていないことを意味する。
【0049】
このテーブルにしたがえば、(X3,Y0)〜(X3,Y7)の領域、(X4,Y0)〜(X4,Y7)の領域、(X0,Y3)〜(X7,Y3)の領域及び(X0,Y4)〜(X7,Y4)の領域内で操作ハンドル31を操作した場合には、いずれの電気モータ39a,39bも回転されずに操作ハンドル31の動きに電気モータ39a,39bの回転に伴う抵抗感が付与されず、操作ハンドル31をこれ以外の他の領域内で操作した場合には、少なくともいずれか一方の電気モータ39a,39bが回転して、操作ハンドル31の動きに電気モータ39a,39bの回転に伴う抵抗感が付与されるようになっている。そして、例えば、(X3,Y0)〜(X3,Y1)の領域及び(X4,Y0)〜(X4,Y1)の領域に操作ハンドル31が存在する場合には、符号「A」によって示される機器に値「4」が通信部16を介して出力されるようになっている。なお、図7には示さなかったが、各フォースパターンには、当該フォースパターンを識別するための情報や、当該フォースパターンに対応づけられたユーザ特定情報等が含まれている。
【0050】
[動作の説明]
次に、手動操作装置11の動作について説明する。
(1)操作部制御処理
制御部17が実行する操作部制御処理について図8のフローチャートを用いて説明する。この処理は、手動操作装置11へ電力が供給されると実行が開始される処理であり、主に照合部62が主導して実行する処理である。
【0051】
まず、照合部62が、エンコーダ41a,41bの出力に変化があったか否かを判定する(S70)。エンコーダ41a,41bの出力に変化があったと判定した場合には(S70:Yes)、S75へ処理を移行し、エンコーダ41a,41bの出力に変化がなかったと判定した場合は(S70:No)、本ステップにとどまる。
【0052】
エンコーダ41a,41bの出力に変化があったと判定した場合に進むS75では、照合部62は、フォースパターン保持部63に保持されているフォースパターンを参照し、エンコーダ41a,41bの位置信号に対応する電気モータ39a,39bへの出力値を特定する。そして、その出力値によってモータードライバ61が、電気モータ39a,39bを駆動させる。
【0053】
続いて、照合部62は、当該フォースパターンにおけるエンコーダ41a,41bの位置信号に対応した領域に操作対象機器についての符号が設定されているか否かを判定する(S80)。これは、図7における該当するセルの下段に「A−8」のようにデータが設定されているか否かを判定することである。操作対象機器についての符号が設定されていると判定した場合には(S80:Yes)、S65へ処理を移行し、操作対象機器についての符号が設定されていないと判定した場合は(S80:No)、上述したS70へ処理を戻す。
【0054】
操作対象機器についての符号が設定されていると判定した場合に進むS85では、照合部62は当該符号に対応する操作対象機器へ制御信号値を通信部16を介して送信する。そして、S70へ処理を戻す。
【0055】
以上、操作部制御処理について説明したが、S70〜S85までの処理が10ms以下で実行されるようになっていることを付言しておく。
(2)フォースパターンの転送
次に、図9のラダーチャートを用いて、フォースパターンが手動操作装置Aから読み出され、手動操作装置Bへ記憶される様子について説明する。
【0056】
手動操作装置Aにおいて、反力特性や機能割り当て(操作ハンドル31がどの位置にあると、どの機器のどの機能に対応しているかという関係)の設定が行われ、フォースパターンとして記憶部15に記憶されたとする(S105)。この状態で、フォースパターンの送信指示を運転者から受け付けると(S110)、記憶部15からフォースパターンが読み出され、通信装置22を介してBluetooth(登録商標)規格の通信によってフォースパターンが携帯電話へ送信される(S115)。
【0057】
すると、携帯電話は、手動操作装置Aからフォースパターンを受け取り(S120)、受け取ったフォースパターンを内蔵メモリに記憶する(S125)。
その後、手動操作装置Bにおいて、運転者が運転席に座ったことを契機に、ユーザ認識が行われて運転者が特定される(S130)。そして、特定された運転者用のフォースパターンを携帯電話から取得する旨の指示を運転者から受け付けると(S135)、フォースパターンの送信を携帯電話へ依頼する(S140)。
【0058】
フォースパターンの送信を依頼された携帯電話は、フォースパターンを手動操作装置Bへ送信する(S145)。
手動操作装置Bは、携帯電話から送信されたフォースパターンを受信すると(S150)、受信したフォースパターンを記憶部15に記憶する(S155)。そして、そのフォースパターンを制御部17のフォースパターン保持部63に読み込んで電気モータ39a,39bの制御を開始する(S160)。
【0059】
このようにして、手動操作装置Aに記憶されていたフォースパターンが携帯電話を介して手動操作装置Bへ移されることにより、手動操作装置Bにおいて手動操作装置Aと同様の操作感や使い勝手が得られるようになる。
【0060】
(3)フォースパターン記憶処理
次に、制御部17が実行するフォースパターン記憶処理について、図10のフローチャートを用いて説明する。なお、このフォースパターン記憶処理の一部が、上述した図9のラダーチャートにおける、手動操作装置BのS130〜S160に対応する。またこのフォースパターン記憶処理は、運転者が運転席に座った際(着座センサ26により着座が検知された際)に実行が開始される処理であり、主にフォースパターン入出力部64が主導して実行する処理である。
【0061】
まず、フォースパターン入出力部64が、ポーリングを行う(S205)。これは、通信装置22を介してBluetooth(登録商標)規格の通信が可能な機器に対して応答を求める処理である。
【0062】
続いて、ポーリングの結果、応答した機器が存在するか否かを判定する(S210)。応答した機器が存在したと判定した場合は(S210:Yes)、応答した機器を制御部17のRAM内に登録する(S215)。そして、S220へ処理を進める。
【0063】
一方、応答した機器は存在しなかったと判定した場合は(S210:No)、S220へ処理を進める。
S220では、フォースパターン入出力部64はユーザ認識を行う。これは、車室内カメラ27が撮影した映像から画像認識技術により、運転席に座っている人物が誰なのかを特定することである。特定に必要な情報は、予め記憶部15等に記憶されている。なお、ユーザIDのようなものを運転者に入力させることにより、特定するようになっていてもよい。
【0064】
続いて、フォースパターン入出力部64は、フォースパターン保持部63に現在読み込まれているフォースパターンに対応するユーザとS220で特定したユーザとが一致するか否かを判定する(S225)。このS225において、フォースパターン保持部63に現在読み込まれているフォースパターンに対応するユーザとS220で特定したユーザとが一致すると判定した場合は(S225:Yes)、本処理(フォースパターン記憶処理)を終了する。なお、この場合は、フォースパターン保持部63に現在読み込まれているフォースパターンが引き続き利用されることになる。一方、フォースパターン保持部63に現在読み込まれているフォースパターンに対応するユーザとS220で特定したユーザとが一致しないと判定した場合は(S225:No)、S230へ処理を進める。
【0065】
S230では、フォースパターン保持部63に現在読み込まれているフォースパターンをそのまま使用し続けるか否かを運転者に問い合わせる。この問い合わせは、オーディオコントローラ23に対して音声データを送信し、例えば「現在セットされているフォースパターンをそのまま使用しますか?」というような音声をオーディオ装置から出力させることによって行う。そして、エンコーダ41a,41bが、運転者によって操作された操作部21の状態を検知し、その検知状態によって運転者の意志を判断する。
【0066】
この結果、フォースパターン保持部63に現在読み込まれているフォースパターンをそのまま使用し続ける旨の意志を運転者が示したと判断される場合は、本処理(フォースパターン記憶処理)を終了する。なお、この場合は、フォースパターン保持部63に現在読み込まれているフォースパターンが引き続き利用されることになる。一方、フォースパターン保持部63に現在読み込まれているフォースパターンをそのまま使用し続けない旨の意志を運転者が示したと判断される場合は、S235へ処理を進める。
【0067】
S235では、S220で認識した運転者に対応するフォースパターンが記憶部15に存在するか否かを判定する(S235)。
このS235において、対応するフォースパターンが記憶部15に存在すると判定した場合は(S235:Yes)、そのフォースパターンを記憶部15から読み出してフォースパターン保持部63へ読み込み(S240)、S260へ処理を進める。一方、対応するフォースパターンが記憶部15に存在しないと判定した場合には(S235:No)、S245へ処理を進める。
【0068】
S245では、S220で認識した運転者に対応するフォースパターンがS215で応答した機器の中に記憶されているか否かを判定する。この判定は、応答した機器に通信装置22を介して問い合わせることによって行う。なお、S215で応答した機器がなかった場合は無条件にS255へ処理を進める。
【0069】
S245において、S220で認識した運転者に対応するフォースパターンがS215で応答した機器の中に記憶されていると判定した場合は(S245:Yes)、そのフォースパターンを応答した機器から取得し、記憶部15へ記憶させるとともにフォースパターン保持部63へ読み込む(S250)。そして、S260へ処理を進める。
【0070】
一方、S245において、S220で認識した運転者に対応するフォースパターンがS215で応答した機器の中に記憶されていないと判定した場合は(S245:No)、S255へ処理を進める。
【0071】
S255では、記憶部15に予め記憶されている標準のフォースパターンをフォースパターン保持部63に読み込み、S260へ処理を進める。
S240,S250,S255に続くS260では、機能チェック処理を実行し、その後、本処理(フォースパターン記憶処理)を終了する。なお、この機能チェック処理については後述する。
【0072】
このような処理が実行されれば、普段使い慣れている車両のフォースパターンを、他の車両に容易に移動させることができるため、運転する車両が初めての車両であっても、その車両の操作部21を操作する際の違和感を軽減することができる。
【0073】
(4)機能チェック処理
次に、上述したフォースパターン記憶処理において呼び出されて実行される機能チェック処理について、図11のフローチャートを用いて説明する。
【0074】
フォースパターン入出力部64は、フォースパターン保持部63に現在読み込まれているフォースパターンに定義された車載機能の有無を確認する(S310)。具体的には、例えば、現在読み込まれているフォースパターンの中にナビゲーション装置の操作に関するフォースパターンが含まれている場合、当該車両にはナビゲーション装置が搭載されているかどうかという点や、フォースパターンに定義されているナビゲーション装置の機能(例えば、ノースアップ機能)は、車両に搭載されているナビゲーション装置が有している機能であるかどうかという点等を確認することである。
【0075】
この確認の結果、フォースパターン保持部63に読み込まれているフォースパターンに定義された車載機能のうち、少なくとも一つは車両内に存在しないと確認された場合は(S320:No)、S330に処理を進める。一方、フォースパターン保持部63に読み込まれているフォースパターンに定義された車載機能が全て車両内に存在すると確認された場合は(S320:Yes)、本処理(機能チェック処理)を終了し、呼び出し元のフォースパターン記憶処理に戻る。
【0076】
S330では、車載機能として存在しないと確認された機能について運転者へ報知する。具体的には、オーディオコントローラ23に対して音声データを送信し、例えば「本車両に搭載されたナビゲーション装置はノースアップ機能を有していません。したがって、ノースアップ表示に切り替えることができません。」というような音声をオーディオ装置から出力させることによって行う。
【0077】
続いて、車載機能として存在しないと確認された機能に対応する操作部21の操作位置を、フォースパターン保持部63に記憶する(S340)。そして、その操作位置における操作部21の反力が最大になるように、フォースパターン保持部63に現在読み込んでいるフォースパターンを変更し(S350)、本処理(機能チェック処理)を終了して呼び出し元のフォースパターン記憶処理の後続処理を実行する。
【0078】
つまり、手動操作装置11がフォースパターンを新たに読み込んだ際、そのフォースパターンに定義された車載機能の有無を確認し、無い機能があった場合にその旨を運転者へ報知するようになっている。そして、無い機能に対応する操作位置の反力が最大になるようにフォースパターンを変更するようになっている。このため、新たに読み込んだフォースパターンに定義された車載機能が当該車両に存在しないことを運転者は操作前に知ることができる。また、その操作位置の反力が大きくなるようにフォースパターンを変更しているため、その操作位置へ運転者が操作部21を操作した際にも、当該操作位置に割り当てられた機能が当該車両に存在しないことを運転者は知ることができる。
【0079】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態では、フォースパターンは携帯電話から取得するようになっていたが、通信ネットワークを介してサーバへフォースパターンをアップロードしておき、手動操作装置11がそれをダウンロードするようになっていてもよい。このようになっていても、上述した実施形態と同様の効果を奏する。
(2)上記実施形態では、新たに記憶した他車のフォースパターンに定義された機能が自車に存在するか否かを確認するようになっていたが、新たに記憶した他車のフォースパターンには定義されていないが、自車には別の機能が存在する場合、その機能を新たに記憶した他車のフォースパターンに追加して定義できるようになっているとよい。具体的には、ナビゲーション装置25の表示画面等にフォースパターンの設定画面を表示させ、現在使用しているフォースパターンが運転者の所望のフォースパターンになるよう変更させ、その変更させたフォースパターンを用いることによって実現する方法が考えられる。
【0080】
このようになっていれば、フォースパターンは、より各車両の車載機能の存在有無に対応したフォースパターンとなり、手動操作装置11の使い勝手が向上する。
(3)上記実施形態においてフォースパターンは、操作部21の操作状態と電気モータ39a,39bを動作させるための制御値との関係、および、操作部21の操作状態と車両に搭載された機器(オーディオ、エアコン、ナビゲーション装置等)を操作するための信号との関係を示す値の集合であったが、さらに、操作対象の機器への指示がなされた場合にその旨をユーザへ知らせるために電気モータ39a,39bを動作させるための制御値も含まれているとよい。
【0081】
このような制御値も含まれていて、かつ、操作対象の機器へ指示がなされた場合に、その制御値を電気モータ39a,39bへ送るようになっていれば、運転者は操作時に操作対象機器へ指示がなされたことを手動操作装置11から知ることができる。フォースパターンの入れ替えが可能になっているということは、現在どのフォースパターンが使用されているのかを運転者が失念する場合があると考えられ、その場合に「本当に操作対象機器へ指示が出力されたのであろうか?」とユーザが不安に思うことがあると考えられる。したがって、上述したようになっていることにより、ユーザはより安心感を得ることができる。
【0082】
[特許請求の範囲との対応]
上記実施形態の用語と特許請求の範囲に記載の用語との対応を示す。
エンコーダ41a,41bが検出部に相当し、記憶部15が記憶手段に相当し、通信部16が受信手段および送信手段の通信機能部分に相当し、制御部17が制御手段に相当する。また、上記実施形態では手動操作装置11と別体となっているが、着座センサ26が着座検出手段に相当し、車室内カメラ27がユーザ識別手段に相当する。また、電気モータ39a,39bがアクチュエータに相当する。
【0083】
また、制御部17が実行するフォースパターン記憶処理におけるS225およびS230が、確認手段により実現される機能に相当する。また、制御部17が実行する機能チェック処理におけるS310が、対象機器存在判定手段により実現される機能に相当する。また、制御部17が実行する機能チェック処理におけるS330が、報知手段により実現される機能に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】手動操作装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】操作部の斜視図である。
【図3】操作部を側面方向から見た要部断面図である。
【図4】操作部を平面方向から見た要部断面図である。
【図5】操作ハンドルが除去された操作部を上方から見た平面図である。
【図6】手動操作装置の詳細なブロック図である。
【図7】フォースパターンを説明するための表である。
【図8】操作部制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】フォースパターンの転送を説明するためのラダーチャートである。
【図10】フォースパターン記憶処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】機能チェック処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0085】
11…手動操作装置、15…記憶部、16…通信部、17…制御部、21…操作部、22…通信装置、23…オーディオコントローラ、24…エアコンコントローラ、25…ナビゲーション装置、26…着座センサ、27…車室内カメラ、28…車内LAN、31…操作ハンドル、32…ベース、33…球面軸受、34…操作軸、34a…球状部、35…ソレノイド、35a…駆動軸、36…クランプ部材、36a…くぼみ、37a,37b…回転軸、38a,38b…大歯車、39a,39b…電気モータ、40a,40b…小歯車、41a,41b…エンコーダ、42a,42b…L字部材、43…ねじ孔、44…操作軸貫通孔、45…ビス、51…透明窓、52…回路基板、53…フォトインタラプタ、54…第1のスイッチ、54a…第1のノブ、55…第2のスイッチ、55a…第2のノブ、58…コード、61…モータードライバ、62…照合部、63…フォースパターン保持部、64…フォースパターン入出力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手動操作される操作部と、
前記操作部に力を与える動力源であるアクチュエータと、
前記操作部の操作位置を検出する検出部と、
前記操作部の操作位置と前記アクチュエータを動作させるための制御値との関係、および、前記操作部の操作位置と車両に搭載された機器を操作するために出力する信号との関係が定義されたフォースパターンを記憶可能な記憶手段と、
外部装置から前記フォースパターンを受信して前記記憶手段に記憶させる受信手段と、
前記記憶手段が記憶する前記フォースパターンを読み出し、その読み出したフォースパターンと前記検出部によって検出された前記操作部の操作位置とに基づき、前記制御値を前記アクチュエータへ出力するともに前記信号を前記機器へ出力する制御手段と、
を備えることを特徴とする手動操作装置。
【請求項2】
請求項1に記載の手動操作装置において、
さらに、前記記憶手段に記憶されている前記フォースパターンを外部装置へ送信する送信手段を備えること、
を特徴とする手動操作装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の手動操作装置において、
前記外部装置は携帯機器であること、
を特徴とする手動操作装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れかに記載の手動操作装置において、
さらに、ユーザの着座を検出する着座検出手段を備え、
前記受信手段は、前記着座検出手段がユーザの着座を検出した際に、前記フォースパターンを前記記憶手段へ記憶させること、
を特徴とする手動操作装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れかに記載の手動操作装置において、
さらに、ユーザの識別情報を前記制御手段へ出力するユーザ識別手段を備え、
前記記憶手段は、ユーザに対応した前記フォースパターンを複数記憶することができ、
前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された複数の前記フォースパターンのうち、前記ユーザ識別手段から入力された前記識別情報に対応する前記フォースパターンを読み出して前記出力を行うこと、
を特徴とする手動操作装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れかに記載の手動操作装置において、
さらに、
前記制御手段によって前記記憶手段から読み出されたフォースパターンに定義された操作対象機器が、実際に車両に存在するか否かを判定する対象機器存在判定手段と、
前記対象機器存在判定手段により、車両に存在しない前記操作対象機器があると判定された場合に、その旨をユーザに報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする手動操作装置。
【請求項7】
請求項6に記載の手動操作装置において、
前記報知手段によってなされる報知は、聴覚または触覚に訴えるものであること、
を特徴とする手動操作装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項5の何れかに記載の手動操作装置において、
さらに、
前記制御手段によって前記記憶手段から読み出されたフォースパターンに定義された操作対象機器が、実際に車両に存在するか否かを判定する対象機器存在判定手段を備え、
前記制御手段は、前記対象機器存在判定手段により車両に存在しない前記操作対象機器があると判定された場合、前記フォースパターンにおける、その操作対象機器に対応する前記制御値を所定の制御値へ置き換えること、
を特徴とする手動操作装置。
【請求項9】
請求項5、または、請求項5を引用する請求項6〜請求項8の何れかに記載の手動操作装置において、
さらに、前記ユーザ識別手段により出力された前記識別情報に基づいて特定されたユーザと、制御手段が現在読み込んでいる前記フォースパターンに対応するユーザとが一致しない場合、そのままそのフォースパターンを使用するか否かをユーザに確認する確認手段を備えること、
を特徴とする手動操作装置。
【請求項10】
請求項1〜請求項9に記載の手動操作装置において、
前記フォースパターンには、操作対象機器へ前記信号が出力された場合にその旨をユーザへ知らせるためにアクチュエータを動作させるためのフィードバック制御値も含まれており、
前記制御手段は、前記信号を前記操作対象機器へ出力した際、前記フィードバック制御値を前記アクチュエータへ出力すること、
を特徴とする手動操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−39021(P2007−39021A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−146788(P2006−146788)
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】