手書き電子情報記録システム
【課題】 手書き電子情報の記載領域を容易に検索すること、かつその記載内容の理解を補助することを可能とする。
【解決手段】 カルテ情報入出力処理部21が表示画面上でカルテ手書き部分を囲む囲み線を、ストローク情報で認識してタグに指定した際、タグ情報処理部23がこの囲み線の所定位置にタグマークを付記すると共にタグ情報として少なくとも囲み線の「囲みストローク情報」を入力しタグ情報記憶部32に保存する。カルテ情報入出力処理部21は、画面上でタグマークされた領域内のサマリ情報生成要求の際、タグ情報処理部23を介してタグマークされた領域内のストローク情報化された記載情報を文字認識装置4に送り文字データに変換し、この文字データをサマリ情報処理部24が内蔵する辞書により要約文章にまとめ、サマリ情報としてサマリ情報記憶部33がタグ情報に対応させて記録保持する。
【解決手段】 カルテ情報入出力処理部21が表示画面上でカルテ手書き部分を囲む囲み線を、ストローク情報で認識してタグに指定した際、タグ情報処理部23がこの囲み線の所定位置にタグマークを付記すると共にタグ情報として少なくとも囲み線の「囲みストローク情報」を入力しタグ情報記憶部32に保存する。カルテ情報入出力処理部21は、画面上でタグマークされた領域内のサマリ情報生成要求の際、タグ情報処理部23を介してタグマークされた領域内のストローク情報化された記載情報を文字認識装置4に送り文字データに変換し、この文字データをサマリ情報処理部24が内蔵する辞書により要約文章にまとめ、サマリ情報としてサマリ情報記憶部33がタグ情報に対応させて記録保持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶装置に記録保存された手書き電子情報を、入力装置から指定して文字認識可能な部分を活字体情報に変換し、画面表示すると共に語句検索を容易にする手書き電子情報記録システムに関するものである。以下では、手書き電子情報記録システムの一例として、医療関係において電子情報記録された手書きカルテを処理する手書き電子カルテシステムについて詳細に説明する。
【背景技術】
【0002】
旧来から医療現場において、患者の病状・経過等を時系列順に書き入れるものとしてカルテがある。
【0003】
このカルテは「紙」を記録媒体としているため、当然のことながら、「手書き」がその基本であり、所要に応じて、肺、心臓等の定型図等の診療に関する図面やグラフ、あるいは診療データが印刷された印刷物の貼付を行ったり、記載された紙にタグをつけ色別のファイルに保管したり、といった視覚性の高い管理が可能である。しかも、ざっとカルテの内容に目を通すことが容易で、「紙」によるカルテは実に柔軟性に富んでいる。
【0004】
しかしながら、この「紙」によるカルテにも問題点がある。すなわち、保管場所の確保が容易ではないことである。カルテは医師法によって5年間の保存が義務づけられている。しかし、症例の参照が必要であり、しかも、このカルテに記録された診療情報に対する修正も、修正した旨の記録を残すと共に修正前の情報をも残す義務があり情報量は多くなりがちである。
【0005】
このように、カルテの保存義務に加え、特に長期入院患者や、長期に亘る通院患者等の「枚数の多い」カルテも混在することによって保管場所が逼迫し、さらなる保管場所の確保といった問題が生じていた。当然、この「紙」によるカルテを用いた場合、コストもかかり、その上、所望のカルテを探し出すのも手間取ってしまう。
【0006】
そこで、昨今の電子化技術の発展に伴い、診療内容を記憶し随時参照および修正可能とするものとして、情報処理装置を活用した電子情報記録システムが登場した。
【0007】
このシステムは、従来の「紙」によるカルテを電子化したもので、1999年4月、厚生省が各都道府県を通じて、この電子カルテを正式カルテとして認める通知を、全国の医療機関に送付したことを発端に、現在の医療現場において急速な普及を見せている。
【0008】
このようにカルテを電子化したことにより、保管・管理が一元化、共有化され、大量データのキーワード検索が可能となった。また、診療行為に関する紙カルテなどによる情報の保存は、膨大なコストと場所が必要であり、それらの問題も改善されるという点も、電子化の優れた特性である。
【0009】
しかしながら、その一方で電子化によって生じる新たな問題点も存在する。すなわち、従来の電子情報記録システムは、演算・制御装置と、キーボード、マウスからなる入力装置と、表示画面およびプリンタからなる出力装置とで構成されており、診療情報の入力操作がやりづらいので医師の負担が大きいことである。
【0010】
医師はその難解な入力操作に専念してしまい、その結果、診療に関する思考が中断したり、また、患者の前でキーボードやマウス等を必死に操作していることで、当然患者は、その医師の姿を見て、本当に自分の身体のことを心配して診てくれているのだろうか、という、患者の不安をあおることにもなりかねない。
【0011】
そこで、診療情報の入力負担を軽減するために、入力装置として、紙媒体に記録するのと同じような感覚で入力できる「ペンタブレット」を用いる方法が考え出された。
【0012】
このペンタブレットを用いたシステムとして、例えば、特開2000−325314号公報(以後、特許文献1)に開示された電子カルテ記録装置およびその方法がある。
【0013】
この装置は、限られた領域に決められた内容が表示される画面を基本としており、液晶ペンタブレットを用い、メニューやボタン選択による操作で、データ入力を行う。
【0014】
つまり、操作者は、出力装置に表示された画面を見ながら、入力する内容に一致する項目を画面のメニューおよびボタンから次々と項目を選択してデータを入力する。なお、項目から選択できないコメント等の入力は、キーボードによる入力、もしくは、特許文献1の図面で開示されたような決められた枠内にペンで文字を描き、文字認識を行い、文字データに変換して入力している。
【0015】
従って、このような装置では、メニューおよびボタン等の複雑な仕様を把握する必要があり、病院側にとって装置導入に二の足を踏む恐れがある。思いついたことを瞬時に入力することができないため、入力操作により思考が途切れ、診断の障害となる恐れがある。入力項目はあらかじめ決められており、入力する項目に制限がある。また、過去のカルテを参照するには、画面を切り替えて表示しなければならず、過去のカルテを見ながらの入力作業をすることができない。
【0016】
更に、文字認識をする場合は、決められた枠内に文字を入力しなければならないため、自由な位置に書いた手書き文字について文字認識することができない。また、文字認識を行うには手書き文字入力シートに入力して文字認識を行う必要があるため、入力した手書き文字を、後で文字認識することができない。
【0017】
これらの問題点を解決したシステムとして、例えば、特開2003−225209号公報(以後、特許文献2)に開示された電子情報記録システムがある。
【0018】
このシステムは、ペン型入力装置を用いてフリーライティング入力を可能として入力操作によるストレスを軽減し、ユーザに親切な電子情報記録システムを提供している。
【0019】
すなわち、表示画面上に直接ペンにより書込み可能な入出力一体装置とこれに連動する情報処理装置とが備えられる。文字の書込みは所定方向へのスクロールによる連続記録を可能としている。一方、この過去の記録情報は、スクロール方向にわたって左側に縮小表示される縮小表示部と右側に実寸表示される実寸表示部との両方に表示される。
【0020】
また、実寸表示部には、縮小表示部分の拡大複写ができる。すなわち、縮小表示部に記録された情報のうち所望する領域を囲むように太線により円が描かれることにより可能となる。この円の周囲を含む範囲または所定の仕切り線で仕切った範囲を実寸表示部に拡大複写する。この複写内容はこれをストローク情報により識別し保存される。更に、これらの手書き文字情報は文字認識手段により文字データに変換することができる。文字データは文字検索可能なデータである。
【0021】
従って、上述した特許文献2では、膨大なカルテ情報でもこれを整理して、検索を容易にするため、記録情報から文字部分を文字認識し文字データに変換する必要性に対応できる。すなわち、変換された文字データを記録し保持する記憶手段から文字データをキーワードとして検索することが容易なためである。
【0022】
しかしながら、上述した特許文献2では、変換された文字データの具体的な保存手段が明確でない。また、文字データに変換された領域がこの領域を指定した円の太線または仕切り線のストローク情報で判別できるとしても、その検索手段が不明である。特に、医療機関におけるカルテでは、特に長期にわたる患者において、同一文字データが多く、検索の際にはそのヒット件数が膨大でその選別が困難である。すなわち、原型の手書きカルテの所望部分を取り出すために、文字データにより検索しても、その後にも多くの手間を必要とし、円滑な業務を阻害することになりかねない。従って、指定された領域を容易に検索できる手段が必要である。
【0023】
また、多忙な診療業務中では、通常のカルテにおいて、手書き文字が文章を形成していないことが多い。このため、手書きした本人でも、長い月日が経過した時点では読みづらく理解するまでに時間を必要とする。従って、カルテの手書き文字部分を読みやすく形成して簡単に画面表示する必要がある。
【0024】
【特許文献1】特開2000−325314号公報
【特許文献2】特開2003−225209号公報(図2、図10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
解決しようとする第1の課題は、医療機関におけるカルテのように、手書き文字が同様な内容で並ぶ電子情報記録システムでは、所望の範囲個所を容易に検索できないということである。特に、手書き文字情報で指定された範囲を、変換されて検索可能な文字データから検索することが困難なことである。
【0026】
また、第2の課題は、カルテのように、補語が抜けた文言が映像で並ぶ電子情報記録システムでは、文章として読みづらく、特に月日を経過した過去の、かつ他人の記録の場合、容易に理解できない事態が生じる恐れがあるということである。
【0027】
何れも、医者にとって一番貴重な診療時間を圧迫するということである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明は、医者であるユーザが表示画面上で電子情報となったカルテの手書き文字部分を囲み線で囲むように描き、この囲み線をストローク情報で認識してタグに指定し、この囲み線の所定位置にタグマークを付記すると共に、タグ情報として少なくとも囲み線のストローク情報を「囲みストローク情報」として入力記録し保存することを主要な一つの特徴とする。この結果、タグ情報に「囲みストローク情報」が含まれるので、ストローク情報に含まれる位置情報から所望の範囲個所を容易に検索することができる。
【0029】
また、タグで指定された範囲内の映像文字を文字認識手段により文字データに変換の際、予め作成された辞書により要約文章にまとめてサマリ情報として記録保持することを主要な他の一つの特徴とする。この結果、タグ情報により検索された範囲の手書き文字が更に読みやすい活字体文章により画面表示されるので、文章を容易に理解することができる。
【0030】
具体的には、入出力装置から入力された手書きによる電子情報を、入出力処理装置が受けて記憶装置に格納し、入出力装置からの要求で格納された手書き電子情報を入出力装置の画面上に表示する手書き電子情報記録システムにおいて、上記入出力処理装置が次の機能を有するように構成されているものである。
【0031】
基本的には、上記入出力処理装置は、手書き電子情報のうち記載情報をストローク情報で認識して記憶装置に記録保存し、入出力装置から画面上に表示中の手書き電子情報上で所定領域を囲って指定する囲み線情報を受けた際には所定領域にタグマークを付記すると共にこの囲み線情報をストローク情報で認識して「囲みストローク情報」とし、この囲みストローク情報を前記タグマークに対応させて前記記憶装置に記録保存するように構成されていることを第1の特徴としている。
【0032】
また、手書き電子情報記録システムは、上記手書き電子情報のうち指定された情報を文字データに変換して画面上に表示する文字認識装置を更に備え、入出力処理装置は、囲み線で囲まれた領域内の手書き記載情報を抽出し、文字認識装置を用いて文字データに変換し画面表示すると共に、記憶装置に「囲みストローク情報」に対応付けて記録保存するように構成されていることを第2の特徴としている。
【0033】
また、上記囲みストローク情報に含まれる骨格点座標列は、手書き電子情報の所定区分における先頭参照位置に基づいて設定されており、上記入出力処理装置は手書き電子情報の前記所定区分内における複数のタグマーク対応の文字データをまとめて文章化するように構成されていることが望ましい。
【0034】
また、上記入出力処理装置は、単純な定型文字データから語句を補充して文章に形成する要約作成ソフトウェアを有し、当該要約作成ソフトウェアを用いて、文字認識装置で変換された文字データからサマリ情報を生成するように構成されていることが望ましい。この要約作成ソフトウェアは、上記入出力処理装置が入出力装置から入力する文字データも処理することもできる。
【0035】
したがって、上記入出力処理装置は、入出力装置から記憶装置に記録保存された手書き電子情報の文字データを検索して入出力装置に画面表示した際、画面表示された文字データに対応するタグ情報を読み出し、当該タグ情報から、元の手書き記載情報を検索して画面表示できる。
【発明の効果】
【0036】
本発明の手書き電子情報記録システムは、手書き文字部分の囲み線をストローク情報で認識してタグに指定するため、ストローク情報に含まれる位置情報から囲み線で指定される手書き文字部分の所望する領域が確定できるので、所望の領域を容易に検索できるという第1の効果がある。
【0037】
また、入出力処理装置は、単純な定型文字データから語句を補充して文章に形成する要約作成ソフトウェアを有し、このソフトウェアを用いて文字認識装置で変換された文字データからサマリ情報を生成するように構成されるため、記載情報を容易に理解できるという第2の効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下では、手書き電子情報記録システムの一例として、医療関係において電子情報記録された手書きカルテを処理する手書き電子カルテシステムについて説明する。従って、手書きされた電子情報はカルテ記載情報、ユーザは医師となる。
【0039】
カルテのデータから所望の個所を容易に検索するという目的を達成するため、ストローク情報を用いて記憶装置に保存したカルテ記載情報を出力装置の表示画面に表示することにした。ストローク情報は、表示画面で医師から入力された囲み線を認識するもので、文字におけるストローク情報と区別して「囲みストローク情報」と呼称する。
【0040】
システムは、表示画面上で医師から入力された囲み線により囲まれてタグ指定を受付けした際、この囲み線により囲まれたカルテ記載情報領域にタグを指定すると共に、所定の位置にタグマークおよびそのタグ情報を入力する。タグ情報には、例えば、カルテ参照位置、作成の日付時刻、タグ設定者、患者番号、科属性などを含む関連情報が自動的に、また必要があれば意味づけが入力されて、含まれる。すなわち、タグ情報から、医師が所望の範囲個所を容易に検索できるようにする。ストローク情報は、文字セットで定まるストローク種別とストロークの骨格点座標列と太さ等の形状パラメタとの組合せである。囲み線は一つの文字セットとして定義される。したがって、「囲みストローク情報」からは、ストロークの骨格点座標列が含まれるので、囲み線またはタグマークの位置情報が教えられる。
【0041】
また、カルテ内容を容易に理解できるという目的を、タグで指定された範囲内の映像文字を文字認識手段で文字データに変換した際、変換された文字データを予め作成された辞書により要約文章にまとめ、サマリ情報として記録保持することにより実現する。要約文章は活字体で画面表示されるので見やすくかつ理解を容易にする。
【0042】
ここで、カルテ記載情報について図面を参照して説明する。
【0043】
図2は、手書き電子情報記録システムに、患者に対応して日付ごとで入力された原型のカルテ記載情報を示した画面表示の実施の一形態を示す図である。
【0044】
図2に示される原型のカルテ記載情報は、一番左に日付のインデックス情報、左から2番目に実際のカルテ記載情報を縮小化したオーバビュー情報、右には実際の診療録情報を原寸で表示している。これらは時系列順で連続した表示が行われる。従って、これらの画面は上下に自由にスクロールすることができる。また、左右それぞれの画面は連動して動作させることができ、普段はそれぞれ自由にスクロールされるがクリック等の簡便な操作により表示位置を同一とする連動機能を保有して、利用の便を図っている。
【0045】
図3は図2のカルテ記載情報に本発明によりタグマーク5が付加された際の実施の一形態を示す図である。図3に示されるタグマーク付きカルテ記載情報も、図2と同様、スクロールなどの機能を有するが、上記に加えてタグマーク5の機能が追加されている。タグマーク5は所望の範囲を指定することにより付記できる。タグマーク5の付加または消去は自由である。タグマーク5の付加についての詳細は後に実施例において説明する。
【0046】
図2および図3に示される画面は、例えば「カルテ用紙」に記入されたカルテ記載情報を入力装置のOCRで読み取り、入出力処理装置を介して記憶装置に格納されている。または、例えば、表示入力一体装置のカルテ記載フォーマットに記入ペンにより記載されたカルテ記載情報が入出力処理装置を介して記憶装置に格納されている。格納の際、カルテ記載の文字と上述の囲み線とは周知のストローク情報により記録されている。
【0047】
次に、図4を参照して文字符号における文字線を示すストローク情報について説明する。図4は、ストローク情報に含まれるストローク6の骨格点座標列の一例について説明する図である。
【0048】
図示されるカルテ記載情報の一つの文字線であるストローク6は、情報処理装置で、カルテ内に自由に描かれた線を点の集合体として認識している。従って、ストローク6は、例えば、ストロークS(x100,y96)、S(x100,y95)…といった連続する座標列により認識されている。すなわち、ストロークは座標列による線として保存される。したがって、ストローク情報による文字線記録は、映像パターンに基づく記録より文字品質がよいので、文字の認識と記録とに広く採用されている。
【0049】
また、図5を参照してカルテ記載情報からのサマリ用情報抽出について説明する。図5は、カルテ記載情報に囲み線7を描いて作成したサマリ用情報抽出の一例について説明する図である。
【0050】
図5では、囲み線7がカルテ記載情報の要約を希望する部分を囲っている。囲み線7は、医師が例えばマウスまたは入力ペンを使用して、画面上に描かれる。囲み線7はどのような形状でもよいが、要約の便宜を図るため、範囲を明確化する形状が望ましい。また、囲み線は閉じた太線で例示されているが、線種は問わず、囲み線もストロークの始点と終点との位置が近ければ特別なストローク情報により識別できる。この囲み線7がカルテ記載情報のストローク情報から「囲みストローク情報」として認識された際、囲み線7で囲まれた領域の例えば左隅に例えば図3に示されるような旗印のタグマーク5が画面表示される。
【0051】
図5において、囲み線7で囲まれた複数の範囲の記載情報それぞれはサマリ用情報として抽出される情報であり、要約作成プログラムによりサマリ情報に変換される。概略日付の「平成10年10月ごろ」がカルテ記載情報に手書きされていない場合は、例えばキーボードから医師により直接入力される。
【0052】
図6は一つの日付内に記載されたカルテ情報に対応するサマリ情報の一例である。サマリ情報の表示要求を受けて表示出力される場合、複数の一連の記載情報は、図示されるように一つの節にまとめて画面表示される。
【実施例1】
【0053】
本発明の実施例1について図面を参照して説明する。本発明に無関係の機能はシステムとして必須であってもその説明は図示と共に省略される。
【0054】
図1は本発明による手書き電子情報記録システムの手書きカルテにおける機能ブロックの実施の一形態を示す図である。この手書き電子情報記録システムは、入出力装置1、入出力処理装置2、記憶装置3、および文字認識装置4により構成される。
【0055】
入出力装置1は、入力装置11、出力装置12、および表示入力一体装置13を備える。入出力処理装置2は、カルテ情報入出力処理部21、ストローク認識処理部22、タグ情報処理部23、およびサマリ情報処理部24を備え、プログラムを用いてシステムの制御と演算を実行する。また、記憶装置3は、ストローク情報記憶部31、タグ情報記憶部32、サマリ情報記憶部33、および副カルテ情報記憶部34を備える。
【0056】
ここで、記憶装置3は、例えば、データを電磁気学的または光学的に記憶する磁気ディスク、光ディスク、ROM、RAM、ICカード、および磁気テープそれぞれの単体もしくは複数台、またはこれらの単体もしくは組合せ、並びにチェンジャー等で操作される大量格納型の記憶装置の少なくとも一つを含むものである。
【0057】
次に、図1に示される各構成要素について説明する。
【0058】
入力装置11は、例えば、キーボード、テンキースイッチ、マウス、トラックボール、入力ペン、入力タブレット、データグローブ、OCR、イメージスキャナ、マイクなどのうち少なくともカルテ情報、囲み線、およびタグ情報の入力操作手段を含む。出力装置12は、例えば、表示画面、データスコープ、プリンタなどのうち少なくとも映像データおよび文字データによる情報の画面表示手段を含む。表示入力一体装置13は、例えば、表示画面とこの表示画面に直接書込みする入力ペンとにより構成される入力タブレットである。
【0059】
カルテ情報入出力処理部21は、入出力装置1内の装置と接続してデータの授受とその機能処理とを実行する。ストローク認識処理部22は、カルテ情報入出力処理部21を介して入出力装置1から入力したカルテに記載された映像情報のうち、文字を形成する線を文字線とし、これをストローク情報により認識し、ストローク情報記憶部31へ送って記録し保存する。文字線およびストローク情報については後に図4を参照して説明する。
【0060】
タグ情報処理部23は、ストローク認識処理部22がカルテ記載情報内に入力された映像情報から、例えば図5の囲み線7のストローク情報を検出した際に、カルテ情報入出力処理部21を介してタグの発生通知を受ける。この通知により、タグ情報処理部23は、タグの生成プログラムをタグ情報記憶部32から取り寄せ、所定の例えばフラグ型のタグマーク5(図3参照)を、情報入力枠(図示省略)と共にカルテ記載情報に付加して画面上に表示する。
【0061】
タグ情報には、ストローク情報によるタグ位置、時計情報による作成日付時刻などが自動的に付加される。また、情報入力枠にはタグの意味付け、例えばタグの色、形、コメント文字情報が入力され、更には画像、音声などが付加入力されてもよい。タグマークの色および形は、上記タグの生成プログラムで、例えば旗リストを画面表示し、この旗リストから選択することにより、操作の簡便化を図ることができる。また、色については、赤は「要注意」とし、緑は「経過観察」とするように、予め設定された意味づけによる選択ができる。情報入力枠には予め決められた情報以外の情報を追加入力する必要はない。
【0062】
サマリ情報処理部24は、タグ情報処理部23によりタグ情報が形成された際に記憶装置3内でこのタグ情報に対応する囲み線7内のカルテ記載情報が読み取られるので、記憶装置3からこの記載情報を抽出し、文字認識装置4を介して変換された文字データにより受け取る。サマリ情報処理部24は、この文字データを、サマリ情報記憶部33に搭載される要約作成ソフトウェア(以後、要約ソフトと略称する)すなわち要約辞書および制御プログラムを用いて要約する。また、サマリ情報処理部24は、入力装置11からの要求により、例えばキーボードから入力された文字データもカルテ情報入出力処理部21を介して受け取り、上記要約ソフトを用いて要約している。
【0063】
図7に示されるように、サマリ情報処理部24は、図5に示される分割された抽出サマリデータそれぞれを、タグ情報または囲み線7それぞれに対応付けられるサマリ情報としてサマリ情報記憶部33に格納する。
【0064】
ストローク情報記憶部31には、ストローク認識処理部22から受けるカルテ記載情報に含まれる患者番号、記載者、記載科属性、記載日付時刻、およびその他記載事項が、それらの文字を構成する文字線を図4に示されたようにストローク情報に変換し、例えば、ストロークS(x100,y96)、S(x100,y95)…といった連続する座標列により格納される。カルテ情報に含まれる文字以外の映像情報も線状で描画されたものはストローク情報に変換可能であり、変換してよい。
【0065】
また、ストローク情報記憶部31は、タグ情報記憶部32でタグ情報が格納された際には、格納されているカルテ記載情報でそのタグ情報に対応する上記囲み線で囲まれた部分の、例えば、ストロークSK(x100,y96)、SK(x100,y95)…といった連続する座標による記載情報を、サマリ用情報として文字認識装置4を介してサマリ情報処理部24へ送出する。
【0066】
タグ情報記憶部32には、タグ情報処理部23で処理された患者番号、囲み線の作成者名、科属性、作成日付時刻、この領域の属性情報、この領域のカルテ内日付情報、およびその他記載情報が、例えばストロークK(x100,y96)、K(x100,y95)…といった連続する座標列により、例えば図8に示されるように、タグ領域のストローク情報として格納される。
【0067】
ここで、図8を参照すれば、タグ情報記憶部32はストローク情報記憶部31に、カルテ記載情報における格納されたタグ情報に対応する部分をサマリ用情報として通知する。従って、サマリ情報記憶部33に格納されるサマリ文章は、タグ情報記憶部32に格納されるタグ領域のストローク情報ごとに対応して格納されている。
【0068】
サマリ情報記憶部33は、サマリ情報処理部24で要約された文字データ情報を受け、図8に示されるように、タグ情報記憶部32におけるタグ領域のストローク情報、すなわちタグ情報ごとに対応させて記録し格納している。上述したように、サマリ情報処理部24で要約される文字データは、図5に示されるような囲み線7で囲まれた領域内のカルテ記載情報に対応しており、ストローク情報記憶部31でストローク情報に変換されたものが、更に文字認識装置4によりテキスト文章に変換されている。従って、サマリ情報記憶部33に格納された要約文章から、指定された文字の検索が可能である。
【0069】
更に、図9に示されるように、カルテ記載情報画面上表示位置の最上部にあたる日付、または日付内表示位置の最上部ポインタなどに基づいてカルテ参照位置8を各タグ情報に与えることができる。カルテ参照位置8は、同一日付内で複数のサマリ情報をまとめる際にそれぞれのサマリ情報に含まれる統一位置情報であり、一般名称として「先頭参照位置」としている。したがって、同一の日付で複数のタグ領域の出力がまとめられる場合、上記カルテ参照位置8がこれら複数のタグ情報に同一値で与えられている。この結果、図9に示される画面上表示位置9に、テキスト文章で活字化され一節にまとめられた複数のサマリ情報が、元のカルテ記載情報の代わりに、図6に示されるサマリ情報のように一括画面表示される。
【0070】
副カルテ情報記憶部34は、ストローク情報での記録ができない写真、図形などの映像、音声など、ストローク情報で取得できないカルテ情報が、アクセス時刻、操作者名、カルテ上の位置など自動的に付加されるインデックス、識別情報などと共に格納されている。これらの情報は識別情報によりストローク情報記憶部31に格納される記載情報と対応付けられている。この内容は、ストローク情報と共にカルテ記載情報に含めてストローク情報記憶部31に記憶保管することもできる。この場合には、副カルテ情報記憶部34は廃止される。
【0071】
文字認識装置4は、周知の映像データから文字のストローク情報を検出して文字データに変換するものである。ここで、文字認識装置4は、ストローク情報記憶部31でストローク情報に変換された記憶情報のうち、タグ情報記憶部32から指示されるタグ情報に対応して抽出されたサマリ用情報を、テキスト文章の文字データに変換してサマリ情報処理部24に送出している。
【0072】
次に、図10に図1からの図面を併せ参照して、タグマーク生成の主要手順について説明する。主要手順であるため、障害などの際の付帯手順は省略されている。
【0073】
まず、カルテ記載情報が、例えば図2のように画面表示(手順S1)されているものとする。
【0074】
医師が、入力装置11として例えばマウスを用いて、画面表示されているカルテ記載情報の所望の範囲に、図5のように、囲み線7を描く。従って、カルテ情報入出力処理部21は、入力装置11から描画データを受付け、受付データを出力装置12の表示画面に送り、画面表示(手順S2)する。この範囲は自由に指定できる。また、囲み線7の形状も自由である。
【0075】
医師は画面で囲み線位置の正しいことを確認して囲み線7の位置を決定する。従って、カルテ情報入出力処理部21は、入力装置11から囲み線位置決定の通知を受付け(手順S3のYES)するので、決定された囲み線7のデータをストローク認識処理部22へ送る。ストローク認識処理部22は、囲み線7の位置およびそのストローク情報を検索(手順S4)し、囲み線のストローク情報の取得を確認(手順S5のYES)した際、これをカルテ情報入出力処理部21へ通知する。囲み線のストローク情報には、囲み線の位置情報が含まれている。
【0076】
カルテ情報入出力処理部21は、タグ情報処理部23を駆動してストローク認識処理部22から受けた囲み線のストローク情報に基づいて、所定位置、例えば囲み線内の文章先頭位置に例えば図3のようなタグマーク5を、またタグマーク5にリンクして例えばタグ情報記入枠、更にタグ情報記入枠内の先頭位置にポインタを、それぞれ画面表示(手順S6)する。ここで、例えば、タグマーク5にポインタ位置を合わせれば、上述したように、タグマークの色と形状との旗リストが画面表示され、色と形状との選択が可能である。
【0077】
医師は、画面上のポインタに従ってタグ情報記入枠内に「意味づけ」を、例えば入力装置11のキーボードから文字入力により実行できる。従って、入力装置11から入力を受けたカルテ情報入出力処理部21は、出力装置12の表示画面でタグ情報記入枠内に文字表示(手順S7)する。この時点では、タグ情報記入枠内で文字データが使用される。また、例えば、表示入力一体装置13から入力ペンでの記載により入力された場合は映像情報である。勿論、意味づけ情報は無記入もあり得る。
【0078】
医師がタグ情報記入枠内への入力または少なくともタグマークとその位置とを確認して決定操作した際には、カルテ情報入出力処理部21が入力装置11からタグ情報入力決定の通知を受付け(手順S8のYES)する。この際、この決定されたタグの意味づけ情報はタグ情報処理部23へ送られる。タグ情報処理部23は、指定されたタグに対し、カルテ参照位置、タグマークの位置、範囲を示す囲み線のストローク情報、患者情報、医師情報、科属性、タグ指定の日付時刻、カルテ記載日付情報などをカルテ情報からストローク情報で読み取って自動的に記録し、また上述した意味づけ情報などの記載情報をストローク情報により付加し、タグ情報としてタグ情報記憶部32に保存(手順S9)する。
【0079】
しかしながら、通常、上述した記録される指定日付時刻は内蔵する時計から自動的に得られるが、患者情報、医師情報、科属性などは、認識に誤りがないように、医師により入出力装置1から文字データで入力される。従って、意味づけ情報が文字データの場合、意味づけ情報はタグ情報記憶部32でストローク情報に変換され記録格納される。
【0080】
タグ情報処理部23は、上記手順S9によりタグ情報記憶部32へのタグ情報の格納が終了した際、囲み線7とタグ情報記入枠およびこの枠内に入力した意味づけ情報とを画面表示から消去し、タグマーク5のみを画面表示(手順S10)に残す。この結果、図2に対して図3に示されるように、タグマーク5が囲み線に対応した所定位置に付記される。
【0081】
この結果、タグマークからは、例えばマウスのクリックにより、囲み線がカルテ記載情報上に表示され、またサマリ情報が保存されている場合には、例えば図3における右の実寸表示部または拡大表示部に画面表示させることができる。また、タグ情報のうち意味づけ情報をタグ情報を画面表示させてもよい。
【0082】
ここで医師が画面を閉じる場合、カルテ情報入出力処理部21は、入力装置11から画面閉じの入力を受付け(手順S11のYES)するので、表示画面を閉鎖(手順S12)して手順を終了する。上記手順S11が「NO」で次のタグ設定を行う場合は、上記手順S2へ戻り、手順は繰り返される。
【0083】
上記手順S5が「NO」で囲み線のストローク情報が得られなかった場合、タグの作成はできないので、カルテ情報入出力処理部21は、画面に「タグ作成不可」を表示(手順S13)して囲み線の消去を受付け(手順S14)したのち、上記手順S11に進む。
【0084】
次に、図11を参照してサマリ情報の主要生成手順について説明する。従って、障害などの際の付帯手順は省略されている。
【0085】
まず、カルテ記載情報が、例えば図3のように画面表示(手順S21)されているものとする。
【0086】
医師が、入力装置11として例えばマウスを用いて、画面表示されているカルテ記載情報の所望のタグマーク5を例えば所定のクリックによりサマリ生成実行を指定したものとする。このクリックに基づいて、カルテ情報入出力処理部21は入力装置11からタグマーク選択を受付け(手順S22)する。マーク選択の受付けにより、カルテ情報入出力処理部21は表示画面を例えば左半分に寄せ、残りの右半分をサマリ作成用画面に生成(手順S23)する。
【0087】
図12は、図3に示される二面の表示画面を左側二分の一に縮小して、右側半分にサマリ作成用画面を生成している。
【0088】
図13は、図3の実寸表示または拡大表示された一面の表示を左側二分の一に縮小し、右側にサマリ作成用画面を生成している。
【0089】
次いで、医師は、選択のタグマークを上記サマリ作成用画面に、例えばマウスで「ドラッグ&ドロップ」することによりタグマークに対応するカルテ記載情報のサマリの転記先を指定する。この指定により、カルテ情報入出力処理部21は入力装置11から決定された選択タグとこのタグに対応する領域のサマリ転記先とを受付け(手順S24のYES)する。次いで、カルテ情報入出力処理部21は、入力装置11から例えばマウスの所定クリックによる転記要求または転記開始要求を受付け(手順S25)するので、選択されたタグマークの位置情報を送ってタグ情報処理部23を駆動する。
【0090】
タグ情報処理部23は、タグの位置情報をタグ情報記憶部32に送り、その位置情報からタグ情報が得られる。タグ情報記憶部32は、得られたタグ情報によりストローク情報記憶部31を駆動する。この結果、ストローク情報記憶部31から囲み線領域内のカルテ記載情報に対応するストローク情報が取得(手順S26)される。このストローク情報はサマリ用情報として文字認識装置4に送られ文字データに変換(手順S27)される。
【0091】
文字認識装置4で変換された文字データはサマリ情報処理部24に送られる。サマリ情報処理部24は、内蔵する要約ソフトを用いて、図7を参照した説明にあったように、対応するタグ領域のサマリ情報を作成してサマリ情報記憶部33に記録格納し保存(手順S28)する。同時に、サマリ情報処理部24はカルテ情報入出力処理部21にタグ情報を通知して出力装置12の表示画面で指定された個所にサマリ文書を表示(手順S29)する。
【0092】
ここで医師が画面を閉じる場合、カルテ情報入出力処理部21は、入力装置11から画面閉じの入力を受付け(手順S30のYES)するので、表示画面を閉鎖(手順S31)して手順を終了する。
【0093】
上記手順S30が「NO」で、医師が画面を閉じることなく、次のタグ設定を行う場合は、上記手順S22へ戻り、手順は繰り返される。医師が、例えば図7に示される同一日付のカルテ記載における三つのタグマークを選択してサマリ情報を抽出する場合、手順は手順S30の「NO」からの手順を二回繰り返し、三つのサマリ情報がサマリ情報記憶部33に記録されると共に画面に表示される。医師が画面によりカルテ記載情報とサマリ情報とを比較し、例えば日付のような不足情報は入力装置から文字データで追加入力され、更に、サマリ情報は文字データなので保存データを修正することが可能である。その結果、図6に示されるように、手書きのカルテ記載情報が、活字文字のテキスト文章により、読みやすく画面表示される。
【0094】
つまり、図14に纏められるように、図1でのサマリ情報記憶部33は、タグ情報記憶部32に保存されるタグ領域ごとの要約されたサマリ情報をテキスト文章で保存しており、文字データにより文字検索が可能である。文字データにより検索され、検索により指定するタグ領域から読み出されたサマリ情報はタグ情報記憶部32のタグ情報に対応している。タグ情報は囲み線のストローク情報、すなわち「囲みストローク情報」を含んでいる。更に、この囲みストローク情報は対応する囲み線の手書きによるカルテ記載情報での位置情報を有している。
【0095】
したがって、本発明によるシステムは、画像表示されたサマリ情報で文字検索した結果、対応するタグ領域を速やかに検出できるので、ストローク情報記憶部からその対応する原型のカルテ記載情報を容易に取り出して画面に表示することができる。
【0096】
以上説明したように、タグを設定するためにカルテ記載情報を囲み線で範囲指定する際における「意味づけ」のための入力がなければ、このシステムを操作するユーザはシステムの履行に際して、タグ情報にデータの追加は不要である。すなわち、ユーザの作業は単純である。例えば、内蔵する時計からアクセス時刻は確定できる。例えば、ユーザ名とパスワードとによるシステムへのアクセスでユーザ氏名は確定できる。または、囲みストローク情報によりカルテでのタグマーク位置をカルテの座標から確定できる。したがって、タグ設定する場合のそれぞれの情報項目は自動入力できる。
【0097】
[その他の実施例]
上記説明では、機能ブロックおよび動作手順を図示して説明したが、上記機能を満たす限り、機能の分離併合または手順の前後入替え、平行処理などの変更は自由であり、上記説明が本発明を限定するものではない。
【0098】
例えば、図1において、大きな構成要素である入出力装置、入出力処理装置、および記憶装置は、ほぼ変更ないが、それぞれの内部構成は、例えばストローク情報記憶部に副カルテ情報記憶部を含ませて、廃止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
ストローク情報で認識する囲み線を用いて囲み線により囲まれる領域の位置を確定し、かつ文章を補充する要約作成ソフトウェアを用いてサマリを生成することによって、手書き電子情報の記載領域を容易に検索することができ、かつその記載内容の理解を補助することが必要な、カルテ以外の手書き電子情報に対する記録の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】手書き電子情報記録システムにおける機能ブロック構成の実施の一形態を示した説明図である。
【図2】手書き電子情報記録システムで患者と対応して入力された原形のカルテ記載情報を示した画面表示の一例を示した説明図である。
【図3】図2のカルテ記載情報に本発明によるタグマークが付加された画面表示の実施の一形態を示した説明図である。
【図4】ストローク情報に含まれるストロークの骨格点座標列の一例について説明する図である。
【図5】カルテ記載情報に囲み線を描いてサマリ用情報を抽出し、サマリ情報を作成した対応画面の一形態について説明する図である。
【図6】カルテ記載情報とこれに対応するサマリ情報とを対比させた画面表示の一形態を示した説明図である。
【図7】抽出データから作成されたサマリ情報のそれぞれを個別に記憶保存する一形態について説明する図である。
【図8】記憶保存されたサマリ情報とタグ情報との個別の対応を示す一形態について説明する図である。
【図9】サマリ情報を纏める際の、カルテ参照位置を示す実施の一形態について説明する図である。
【図10】本発明の手書き電子情報記録システムにおいてタグマークを付加する主要手順の実施の一形態について説明するフローチャートである。
【図11】本発明の手書き電子情報記録システムにおいてサマリ情報を作成保存する主要手順の実施の一形態について説明するフローチャートである。
【図12】図11のサマリ情報作成の際にサマリ情報を表示する画面生成の一形態について説明する図である。
【図13】サマリ情報を表示する画面で、図12とは相違する一形態について説明する図である。
【図14】本発明の手書き電子情報記録システムにおいて、サマリ情報とカルテ記載情報とのタグ情報による結合を説明する図である。
【符号の説明】
【0101】
1 入出力装置
2 入出力処理装置
3 記憶装置
4 文字認識装置
5 タグマーク
6 ストローク
7 囲み線
8 カルテ参照位置
9 画面上表示位置
11 入力装置
12 出力装置
13 表示入力一体装置
21 カルテ情報入出力処理部
22 ストローク認識処理部
23 タグ情報処理部
24 サマリ情報処理部
31 ストローク情報記憶部
32 タグ情報記憶部
33 サマリ情報記憶部
34 副カルテ情報記憶部
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶装置に記録保存された手書き電子情報を、入力装置から指定して文字認識可能な部分を活字体情報に変換し、画面表示すると共に語句検索を容易にする手書き電子情報記録システムに関するものである。以下では、手書き電子情報記録システムの一例として、医療関係において電子情報記録された手書きカルテを処理する手書き電子カルテシステムについて詳細に説明する。
【背景技術】
【0002】
旧来から医療現場において、患者の病状・経過等を時系列順に書き入れるものとしてカルテがある。
【0003】
このカルテは「紙」を記録媒体としているため、当然のことながら、「手書き」がその基本であり、所要に応じて、肺、心臓等の定型図等の診療に関する図面やグラフ、あるいは診療データが印刷された印刷物の貼付を行ったり、記載された紙にタグをつけ色別のファイルに保管したり、といった視覚性の高い管理が可能である。しかも、ざっとカルテの内容に目を通すことが容易で、「紙」によるカルテは実に柔軟性に富んでいる。
【0004】
しかしながら、この「紙」によるカルテにも問題点がある。すなわち、保管場所の確保が容易ではないことである。カルテは医師法によって5年間の保存が義務づけられている。しかし、症例の参照が必要であり、しかも、このカルテに記録された診療情報に対する修正も、修正した旨の記録を残すと共に修正前の情報をも残す義務があり情報量は多くなりがちである。
【0005】
このように、カルテの保存義務に加え、特に長期入院患者や、長期に亘る通院患者等の「枚数の多い」カルテも混在することによって保管場所が逼迫し、さらなる保管場所の確保といった問題が生じていた。当然、この「紙」によるカルテを用いた場合、コストもかかり、その上、所望のカルテを探し出すのも手間取ってしまう。
【0006】
そこで、昨今の電子化技術の発展に伴い、診療内容を記憶し随時参照および修正可能とするものとして、情報処理装置を活用した電子情報記録システムが登場した。
【0007】
このシステムは、従来の「紙」によるカルテを電子化したもので、1999年4月、厚生省が各都道府県を通じて、この電子カルテを正式カルテとして認める通知を、全国の医療機関に送付したことを発端に、現在の医療現場において急速な普及を見せている。
【0008】
このようにカルテを電子化したことにより、保管・管理が一元化、共有化され、大量データのキーワード検索が可能となった。また、診療行為に関する紙カルテなどによる情報の保存は、膨大なコストと場所が必要であり、それらの問題も改善されるという点も、電子化の優れた特性である。
【0009】
しかしながら、その一方で電子化によって生じる新たな問題点も存在する。すなわち、従来の電子情報記録システムは、演算・制御装置と、キーボード、マウスからなる入力装置と、表示画面およびプリンタからなる出力装置とで構成されており、診療情報の入力操作がやりづらいので医師の負担が大きいことである。
【0010】
医師はその難解な入力操作に専念してしまい、その結果、診療に関する思考が中断したり、また、患者の前でキーボードやマウス等を必死に操作していることで、当然患者は、その医師の姿を見て、本当に自分の身体のことを心配して診てくれているのだろうか、という、患者の不安をあおることにもなりかねない。
【0011】
そこで、診療情報の入力負担を軽減するために、入力装置として、紙媒体に記録するのと同じような感覚で入力できる「ペンタブレット」を用いる方法が考え出された。
【0012】
このペンタブレットを用いたシステムとして、例えば、特開2000−325314号公報(以後、特許文献1)に開示された電子カルテ記録装置およびその方法がある。
【0013】
この装置は、限られた領域に決められた内容が表示される画面を基本としており、液晶ペンタブレットを用い、メニューやボタン選択による操作で、データ入力を行う。
【0014】
つまり、操作者は、出力装置に表示された画面を見ながら、入力する内容に一致する項目を画面のメニューおよびボタンから次々と項目を選択してデータを入力する。なお、項目から選択できないコメント等の入力は、キーボードによる入力、もしくは、特許文献1の図面で開示されたような決められた枠内にペンで文字を描き、文字認識を行い、文字データに変換して入力している。
【0015】
従って、このような装置では、メニューおよびボタン等の複雑な仕様を把握する必要があり、病院側にとって装置導入に二の足を踏む恐れがある。思いついたことを瞬時に入力することができないため、入力操作により思考が途切れ、診断の障害となる恐れがある。入力項目はあらかじめ決められており、入力する項目に制限がある。また、過去のカルテを参照するには、画面を切り替えて表示しなければならず、過去のカルテを見ながらの入力作業をすることができない。
【0016】
更に、文字認識をする場合は、決められた枠内に文字を入力しなければならないため、自由な位置に書いた手書き文字について文字認識することができない。また、文字認識を行うには手書き文字入力シートに入力して文字認識を行う必要があるため、入力した手書き文字を、後で文字認識することができない。
【0017】
これらの問題点を解決したシステムとして、例えば、特開2003−225209号公報(以後、特許文献2)に開示された電子情報記録システムがある。
【0018】
このシステムは、ペン型入力装置を用いてフリーライティング入力を可能として入力操作によるストレスを軽減し、ユーザに親切な電子情報記録システムを提供している。
【0019】
すなわち、表示画面上に直接ペンにより書込み可能な入出力一体装置とこれに連動する情報処理装置とが備えられる。文字の書込みは所定方向へのスクロールによる連続記録を可能としている。一方、この過去の記録情報は、スクロール方向にわたって左側に縮小表示される縮小表示部と右側に実寸表示される実寸表示部との両方に表示される。
【0020】
また、実寸表示部には、縮小表示部分の拡大複写ができる。すなわち、縮小表示部に記録された情報のうち所望する領域を囲むように太線により円が描かれることにより可能となる。この円の周囲を含む範囲または所定の仕切り線で仕切った範囲を実寸表示部に拡大複写する。この複写内容はこれをストローク情報により識別し保存される。更に、これらの手書き文字情報は文字認識手段により文字データに変換することができる。文字データは文字検索可能なデータである。
【0021】
従って、上述した特許文献2では、膨大なカルテ情報でもこれを整理して、検索を容易にするため、記録情報から文字部分を文字認識し文字データに変換する必要性に対応できる。すなわち、変換された文字データを記録し保持する記憶手段から文字データをキーワードとして検索することが容易なためである。
【0022】
しかしながら、上述した特許文献2では、変換された文字データの具体的な保存手段が明確でない。また、文字データに変換された領域がこの領域を指定した円の太線または仕切り線のストローク情報で判別できるとしても、その検索手段が不明である。特に、医療機関におけるカルテでは、特に長期にわたる患者において、同一文字データが多く、検索の際にはそのヒット件数が膨大でその選別が困難である。すなわち、原型の手書きカルテの所望部分を取り出すために、文字データにより検索しても、その後にも多くの手間を必要とし、円滑な業務を阻害することになりかねない。従って、指定された領域を容易に検索できる手段が必要である。
【0023】
また、多忙な診療業務中では、通常のカルテにおいて、手書き文字が文章を形成していないことが多い。このため、手書きした本人でも、長い月日が経過した時点では読みづらく理解するまでに時間を必要とする。従って、カルテの手書き文字部分を読みやすく形成して簡単に画面表示する必要がある。
【0024】
【特許文献1】特開2000−325314号公報
【特許文献2】特開2003−225209号公報(図2、図10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
解決しようとする第1の課題は、医療機関におけるカルテのように、手書き文字が同様な内容で並ぶ電子情報記録システムでは、所望の範囲個所を容易に検索できないということである。特に、手書き文字情報で指定された範囲を、変換されて検索可能な文字データから検索することが困難なことである。
【0026】
また、第2の課題は、カルテのように、補語が抜けた文言が映像で並ぶ電子情報記録システムでは、文章として読みづらく、特に月日を経過した過去の、かつ他人の記録の場合、容易に理解できない事態が生じる恐れがあるということである。
【0027】
何れも、医者にとって一番貴重な診療時間を圧迫するということである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明は、医者であるユーザが表示画面上で電子情報となったカルテの手書き文字部分を囲み線で囲むように描き、この囲み線をストローク情報で認識してタグに指定し、この囲み線の所定位置にタグマークを付記すると共に、タグ情報として少なくとも囲み線のストローク情報を「囲みストローク情報」として入力記録し保存することを主要な一つの特徴とする。この結果、タグ情報に「囲みストローク情報」が含まれるので、ストローク情報に含まれる位置情報から所望の範囲個所を容易に検索することができる。
【0029】
また、タグで指定された範囲内の映像文字を文字認識手段により文字データに変換の際、予め作成された辞書により要約文章にまとめてサマリ情報として記録保持することを主要な他の一つの特徴とする。この結果、タグ情報により検索された範囲の手書き文字が更に読みやすい活字体文章により画面表示されるので、文章を容易に理解することができる。
【0030】
具体的には、入出力装置から入力された手書きによる電子情報を、入出力処理装置が受けて記憶装置に格納し、入出力装置からの要求で格納された手書き電子情報を入出力装置の画面上に表示する手書き電子情報記録システムにおいて、上記入出力処理装置が次の機能を有するように構成されているものである。
【0031】
基本的には、上記入出力処理装置は、手書き電子情報のうち記載情報をストローク情報で認識して記憶装置に記録保存し、入出力装置から画面上に表示中の手書き電子情報上で所定領域を囲って指定する囲み線情報を受けた際には所定領域にタグマークを付記すると共にこの囲み線情報をストローク情報で認識して「囲みストローク情報」とし、この囲みストローク情報を前記タグマークに対応させて前記記憶装置に記録保存するように構成されていることを第1の特徴としている。
【0032】
また、手書き電子情報記録システムは、上記手書き電子情報のうち指定された情報を文字データに変換して画面上に表示する文字認識装置を更に備え、入出力処理装置は、囲み線で囲まれた領域内の手書き記載情報を抽出し、文字認識装置を用いて文字データに変換し画面表示すると共に、記憶装置に「囲みストローク情報」に対応付けて記録保存するように構成されていることを第2の特徴としている。
【0033】
また、上記囲みストローク情報に含まれる骨格点座標列は、手書き電子情報の所定区分における先頭参照位置に基づいて設定されており、上記入出力処理装置は手書き電子情報の前記所定区分内における複数のタグマーク対応の文字データをまとめて文章化するように構成されていることが望ましい。
【0034】
また、上記入出力処理装置は、単純な定型文字データから語句を補充して文章に形成する要約作成ソフトウェアを有し、当該要約作成ソフトウェアを用いて、文字認識装置で変換された文字データからサマリ情報を生成するように構成されていることが望ましい。この要約作成ソフトウェアは、上記入出力処理装置が入出力装置から入力する文字データも処理することもできる。
【0035】
したがって、上記入出力処理装置は、入出力装置から記憶装置に記録保存された手書き電子情報の文字データを検索して入出力装置に画面表示した際、画面表示された文字データに対応するタグ情報を読み出し、当該タグ情報から、元の手書き記載情報を検索して画面表示できる。
【発明の効果】
【0036】
本発明の手書き電子情報記録システムは、手書き文字部分の囲み線をストローク情報で認識してタグに指定するため、ストローク情報に含まれる位置情報から囲み線で指定される手書き文字部分の所望する領域が確定できるので、所望の領域を容易に検索できるという第1の効果がある。
【0037】
また、入出力処理装置は、単純な定型文字データから語句を補充して文章に形成する要約作成ソフトウェアを有し、このソフトウェアを用いて文字認識装置で変換された文字データからサマリ情報を生成するように構成されるため、記載情報を容易に理解できるという第2の効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下では、手書き電子情報記録システムの一例として、医療関係において電子情報記録された手書きカルテを処理する手書き電子カルテシステムについて説明する。従って、手書きされた電子情報はカルテ記載情報、ユーザは医師となる。
【0039】
カルテのデータから所望の個所を容易に検索するという目的を達成するため、ストローク情報を用いて記憶装置に保存したカルテ記載情報を出力装置の表示画面に表示することにした。ストローク情報は、表示画面で医師から入力された囲み線を認識するもので、文字におけるストローク情報と区別して「囲みストローク情報」と呼称する。
【0040】
システムは、表示画面上で医師から入力された囲み線により囲まれてタグ指定を受付けした際、この囲み線により囲まれたカルテ記載情報領域にタグを指定すると共に、所定の位置にタグマークおよびそのタグ情報を入力する。タグ情報には、例えば、カルテ参照位置、作成の日付時刻、タグ設定者、患者番号、科属性などを含む関連情報が自動的に、また必要があれば意味づけが入力されて、含まれる。すなわち、タグ情報から、医師が所望の範囲個所を容易に検索できるようにする。ストローク情報は、文字セットで定まるストローク種別とストロークの骨格点座標列と太さ等の形状パラメタとの組合せである。囲み線は一つの文字セットとして定義される。したがって、「囲みストローク情報」からは、ストロークの骨格点座標列が含まれるので、囲み線またはタグマークの位置情報が教えられる。
【0041】
また、カルテ内容を容易に理解できるという目的を、タグで指定された範囲内の映像文字を文字認識手段で文字データに変換した際、変換された文字データを予め作成された辞書により要約文章にまとめ、サマリ情報として記録保持することにより実現する。要約文章は活字体で画面表示されるので見やすくかつ理解を容易にする。
【0042】
ここで、カルテ記載情報について図面を参照して説明する。
【0043】
図2は、手書き電子情報記録システムに、患者に対応して日付ごとで入力された原型のカルテ記載情報を示した画面表示の実施の一形態を示す図である。
【0044】
図2に示される原型のカルテ記載情報は、一番左に日付のインデックス情報、左から2番目に実際のカルテ記載情報を縮小化したオーバビュー情報、右には実際の診療録情報を原寸で表示している。これらは時系列順で連続した表示が行われる。従って、これらの画面は上下に自由にスクロールすることができる。また、左右それぞれの画面は連動して動作させることができ、普段はそれぞれ自由にスクロールされるがクリック等の簡便な操作により表示位置を同一とする連動機能を保有して、利用の便を図っている。
【0045】
図3は図2のカルテ記載情報に本発明によりタグマーク5が付加された際の実施の一形態を示す図である。図3に示されるタグマーク付きカルテ記載情報も、図2と同様、スクロールなどの機能を有するが、上記に加えてタグマーク5の機能が追加されている。タグマーク5は所望の範囲を指定することにより付記できる。タグマーク5の付加または消去は自由である。タグマーク5の付加についての詳細は後に実施例において説明する。
【0046】
図2および図3に示される画面は、例えば「カルテ用紙」に記入されたカルテ記載情報を入力装置のOCRで読み取り、入出力処理装置を介して記憶装置に格納されている。または、例えば、表示入力一体装置のカルテ記載フォーマットに記入ペンにより記載されたカルテ記載情報が入出力処理装置を介して記憶装置に格納されている。格納の際、カルテ記載の文字と上述の囲み線とは周知のストローク情報により記録されている。
【0047】
次に、図4を参照して文字符号における文字線を示すストローク情報について説明する。図4は、ストローク情報に含まれるストローク6の骨格点座標列の一例について説明する図である。
【0048】
図示されるカルテ記載情報の一つの文字線であるストローク6は、情報処理装置で、カルテ内に自由に描かれた線を点の集合体として認識している。従って、ストローク6は、例えば、ストロークS(x100,y96)、S(x100,y95)…といった連続する座標列により認識されている。すなわち、ストロークは座標列による線として保存される。したがって、ストローク情報による文字線記録は、映像パターンに基づく記録より文字品質がよいので、文字の認識と記録とに広く採用されている。
【0049】
また、図5を参照してカルテ記載情報からのサマリ用情報抽出について説明する。図5は、カルテ記載情報に囲み線7を描いて作成したサマリ用情報抽出の一例について説明する図である。
【0050】
図5では、囲み線7がカルテ記載情報の要約を希望する部分を囲っている。囲み線7は、医師が例えばマウスまたは入力ペンを使用して、画面上に描かれる。囲み線7はどのような形状でもよいが、要約の便宜を図るため、範囲を明確化する形状が望ましい。また、囲み線は閉じた太線で例示されているが、線種は問わず、囲み線もストロークの始点と終点との位置が近ければ特別なストローク情報により識別できる。この囲み線7がカルテ記載情報のストローク情報から「囲みストローク情報」として認識された際、囲み線7で囲まれた領域の例えば左隅に例えば図3に示されるような旗印のタグマーク5が画面表示される。
【0051】
図5において、囲み線7で囲まれた複数の範囲の記載情報それぞれはサマリ用情報として抽出される情報であり、要約作成プログラムによりサマリ情報に変換される。概略日付の「平成10年10月ごろ」がカルテ記載情報に手書きされていない場合は、例えばキーボードから医師により直接入力される。
【0052】
図6は一つの日付内に記載されたカルテ情報に対応するサマリ情報の一例である。サマリ情報の表示要求を受けて表示出力される場合、複数の一連の記載情報は、図示されるように一つの節にまとめて画面表示される。
【実施例1】
【0053】
本発明の実施例1について図面を参照して説明する。本発明に無関係の機能はシステムとして必須であってもその説明は図示と共に省略される。
【0054】
図1は本発明による手書き電子情報記録システムの手書きカルテにおける機能ブロックの実施の一形態を示す図である。この手書き電子情報記録システムは、入出力装置1、入出力処理装置2、記憶装置3、および文字認識装置4により構成される。
【0055】
入出力装置1は、入力装置11、出力装置12、および表示入力一体装置13を備える。入出力処理装置2は、カルテ情報入出力処理部21、ストローク認識処理部22、タグ情報処理部23、およびサマリ情報処理部24を備え、プログラムを用いてシステムの制御と演算を実行する。また、記憶装置3は、ストローク情報記憶部31、タグ情報記憶部32、サマリ情報記憶部33、および副カルテ情報記憶部34を備える。
【0056】
ここで、記憶装置3は、例えば、データを電磁気学的または光学的に記憶する磁気ディスク、光ディスク、ROM、RAM、ICカード、および磁気テープそれぞれの単体もしくは複数台、またはこれらの単体もしくは組合せ、並びにチェンジャー等で操作される大量格納型の記憶装置の少なくとも一つを含むものである。
【0057】
次に、図1に示される各構成要素について説明する。
【0058】
入力装置11は、例えば、キーボード、テンキースイッチ、マウス、トラックボール、入力ペン、入力タブレット、データグローブ、OCR、イメージスキャナ、マイクなどのうち少なくともカルテ情報、囲み線、およびタグ情報の入力操作手段を含む。出力装置12は、例えば、表示画面、データスコープ、プリンタなどのうち少なくとも映像データおよび文字データによる情報の画面表示手段を含む。表示入力一体装置13は、例えば、表示画面とこの表示画面に直接書込みする入力ペンとにより構成される入力タブレットである。
【0059】
カルテ情報入出力処理部21は、入出力装置1内の装置と接続してデータの授受とその機能処理とを実行する。ストローク認識処理部22は、カルテ情報入出力処理部21を介して入出力装置1から入力したカルテに記載された映像情報のうち、文字を形成する線を文字線とし、これをストローク情報により認識し、ストローク情報記憶部31へ送って記録し保存する。文字線およびストローク情報については後に図4を参照して説明する。
【0060】
タグ情報処理部23は、ストローク認識処理部22がカルテ記載情報内に入力された映像情報から、例えば図5の囲み線7のストローク情報を検出した際に、カルテ情報入出力処理部21を介してタグの発生通知を受ける。この通知により、タグ情報処理部23は、タグの生成プログラムをタグ情報記憶部32から取り寄せ、所定の例えばフラグ型のタグマーク5(図3参照)を、情報入力枠(図示省略)と共にカルテ記載情報に付加して画面上に表示する。
【0061】
タグ情報には、ストローク情報によるタグ位置、時計情報による作成日付時刻などが自動的に付加される。また、情報入力枠にはタグの意味付け、例えばタグの色、形、コメント文字情報が入力され、更には画像、音声などが付加入力されてもよい。タグマークの色および形は、上記タグの生成プログラムで、例えば旗リストを画面表示し、この旗リストから選択することにより、操作の簡便化を図ることができる。また、色については、赤は「要注意」とし、緑は「経過観察」とするように、予め設定された意味づけによる選択ができる。情報入力枠には予め決められた情報以外の情報を追加入力する必要はない。
【0062】
サマリ情報処理部24は、タグ情報処理部23によりタグ情報が形成された際に記憶装置3内でこのタグ情報に対応する囲み線7内のカルテ記載情報が読み取られるので、記憶装置3からこの記載情報を抽出し、文字認識装置4を介して変換された文字データにより受け取る。サマリ情報処理部24は、この文字データを、サマリ情報記憶部33に搭載される要約作成ソフトウェア(以後、要約ソフトと略称する)すなわち要約辞書および制御プログラムを用いて要約する。また、サマリ情報処理部24は、入力装置11からの要求により、例えばキーボードから入力された文字データもカルテ情報入出力処理部21を介して受け取り、上記要約ソフトを用いて要約している。
【0063】
図7に示されるように、サマリ情報処理部24は、図5に示される分割された抽出サマリデータそれぞれを、タグ情報または囲み線7それぞれに対応付けられるサマリ情報としてサマリ情報記憶部33に格納する。
【0064】
ストローク情報記憶部31には、ストローク認識処理部22から受けるカルテ記載情報に含まれる患者番号、記載者、記載科属性、記載日付時刻、およびその他記載事項が、それらの文字を構成する文字線を図4に示されたようにストローク情報に変換し、例えば、ストロークS(x100,y96)、S(x100,y95)…といった連続する座標列により格納される。カルテ情報に含まれる文字以外の映像情報も線状で描画されたものはストローク情報に変換可能であり、変換してよい。
【0065】
また、ストローク情報記憶部31は、タグ情報記憶部32でタグ情報が格納された際には、格納されているカルテ記載情報でそのタグ情報に対応する上記囲み線で囲まれた部分の、例えば、ストロークSK(x100,y96)、SK(x100,y95)…といった連続する座標による記載情報を、サマリ用情報として文字認識装置4を介してサマリ情報処理部24へ送出する。
【0066】
タグ情報記憶部32には、タグ情報処理部23で処理された患者番号、囲み線の作成者名、科属性、作成日付時刻、この領域の属性情報、この領域のカルテ内日付情報、およびその他記載情報が、例えばストロークK(x100,y96)、K(x100,y95)…といった連続する座標列により、例えば図8に示されるように、タグ領域のストローク情報として格納される。
【0067】
ここで、図8を参照すれば、タグ情報記憶部32はストローク情報記憶部31に、カルテ記載情報における格納されたタグ情報に対応する部分をサマリ用情報として通知する。従って、サマリ情報記憶部33に格納されるサマリ文章は、タグ情報記憶部32に格納されるタグ領域のストローク情報ごとに対応して格納されている。
【0068】
サマリ情報記憶部33は、サマリ情報処理部24で要約された文字データ情報を受け、図8に示されるように、タグ情報記憶部32におけるタグ領域のストローク情報、すなわちタグ情報ごとに対応させて記録し格納している。上述したように、サマリ情報処理部24で要約される文字データは、図5に示されるような囲み線7で囲まれた領域内のカルテ記載情報に対応しており、ストローク情報記憶部31でストローク情報に変換されたものが、更に文字認識装置4によりテキスト文章に変換されている。従って、サマリ情報記憶部33に格納された要約文章から、指定された文字の検索が可能である。
【0069】
更に、図9に示されるように、カルテ記載情報画面上表示位置の最上部にあたる日付、または日付内表示位置の最上部ポインタなどに基づいてカルテ参照位置8を各タグ情報に与えることができる。カルテ参照位置8は、同一日付内で複数のサマリ情報をまとめる際にそれぞれのサマリ情報に含まれる統一位置情報であり、一般名称として「先頭参照位置」としている。したがって、同一の日付で複数のタグ領域の出力がまとめられる場合、上記カルテ参照位置8がこれら複数のタグ情報に同一値で与えられている。この結果、図9に示される画面上表示位置9に、テキスト文章で活字化され一節にまとめられた複数のサマリ情報が、元のカルテ記載情報の代わりに、図6に示されるサマリ情報のように一括画面表示される。
【0070】
副カルテ情報記憶部34は、ストローク情報での記録ができない写真、図形などの映像、音声など、ストローク情報で取得できないカルテ情報が、アクセス時刻、操作者名、カルテ上の位置など自動的に付加されるインデックス、識別情報などと共に格納されている。これらの情報は識別情報によりストローク情報記憶部31に格納される記載情報と対応付けられている。この内容は、ストローク情報と共にカルテ記載情報に含めてストローク情報記憶部31に記憶保管することもできる。この場合には、副カルテ情報記憶部34は廃止される。
【0071】
文字認識装置4は、周知の映像データから文字のストローク情報を検出して文字データに変換するものである。ここで、文字認識装置4は、ストローク情報記憶部31でストローク情報に変換された記憶情報のうち、タグ情報記憶部32から指示されるタグ情報に対応して抽出されたサマリ用情報を、テキスト文章の文字データに変換してサマリ情報処理部24に送出している。
【0072】
次に、図10に図1からの図面を併せ参照して、タグマーク生成の主要手順について説明する。主要手順であるため、障害などの際の付帯手順は省略されている。
【0073】
まず、カルテ記載情報が、例えば図2のように画面表示(手順S1)されているものとする。
【0074】
医師が、入力装置11として例えばマウスを用いて、画面表示されているカルテ記載情報の所望の範囲に、図5のように、囲み線7を描く。従って、カルテ情報入出力処理部21は、入力装置11から描画データを受付け、受付データを出力装置12の表示画面に送り、画面表示(手順S2)する。この範囲は自由に指定できる。また、囲み線7の形状も自由である。
【0075】
医師は画面で囲み線位置の正しいことを確認して囲み線7の位置を決定する。従って、カルテ情報入出力処理部21は、入力装置11から囲み線位置決定の通知を受付け(手順S3のYES)するので、決定された囲み線7のデータをストローク認識処理部22へ送る。ストローク認識処理部22は、囲み線7の位置およびそのストローク情報を検索(手順S4)し、囲み線のストローク情報の取得を確認(手順S5のYES)した際、これをカルテ情報入出力処理部21へ通知する。囲み線のストローク情報には、囲み線の位置情報が含まれている。
【0076】
カルテ情報入出力処理部21は、タグ情報処理部23を駆動してストローク認識処理部22から受けた囲み線のストローク情報に基づいて、所定位置、例えば囲み線内の文章先頭位置に例えば図3のようなタグマーク5を、またタグマーク5にリンクして例えばタグ情報記入枠、更にタグ情報記入枠内の先頭位置にポインタを、それぞれ画面表示(手順S6)する。ここで、例えば、タグマーク5にポインタ位置を合わせれば、上述したように、タグマークの色と形状との旗リストが画面表示され、色と形状との選択が可能である。
【0077】
医師は、画面上のポインタに従ってタグ情報記入枠内に「意味づけ」を、例えば入力装置11のキーボードから文字入力により実行できる。従って、入力装置11から入力を受けたカルテ情報入出力処理部21は、出力装置12の表示画面でタグ情報記入枠内に文字表示(手順S7)する。この時点では、タグ情報記入枠内で文字データが使用される。また、例えば、表示入力一体装置13から入力ペンでの記載により入力された場合は映像情報である。勿論、意味づけ情報は無記入もあり得る。
【0078】
医師がタグ情報記入枠内への入力または少なくともタグマークとその位置とを確認して決定操作した際には、カルテ情報入出力処理部21が入力装置11からタグ情報入力決定の通知を受付け(手順S8のYES)する。この際、この決定されたタグの意味づけ情報はタグ情報処理部23へ送られる。タグ情報処理部23は、指定されたタグに対し、カルテ参照位置、タグマークの位置、範囲を示す囲み線のストローク情報、患者情報、医師情報、科属性、タグ指定の日付時刻、カルテ記載日付情報などをカルテ情報からストローク情報で読み取って自動的に記録し、また上述した意味づけ情報などの記載情報をストローク情報により付加し、タグ情報としてタグ情報記憶部32に保存(手順S9)する。
【0079】
しかしながら、通常、上述した記録される指定日付時刻は内蔵する時計から自動的に得られるが、患者情報、医師情報、科属性などは、認識に誤りがないように、医師により入出力装置1から文字データで入力される。従って、意味づけ情報が文字データの場合、意味づけ情報はタグ情報記憶部32でストローク情報に変換され記録格納される。
【0080】
タグ情報処理部23は、上記手順S9によりタグ情報記憶部32へのタグ情報の格納が終了した際、囲み線7とタグ情報記入枠およびこの枠内に入力した意味づけ情報とを画面表示から消去し、タグマーク5のみを画面表示(手順S10)に残す。この結果、図2に対して図3に示されるように、タグマーク5が囲み線に対応した所定位置に付記される。
【0081】
この結果、タグマークからは、例えばマウスのクリックにより、囲み線がカルテ記載情報上に表示され、またサマリ情報が保存されている場合には、例えば図3における右の実寸表示部または拡大表示部に画面表示させることができる。また、タグ情報のうち意味づけ情報をタグ情報を画面表示させてもよい。
【0082】
ここで医師が画面を閉じる場合、カルテ情報入出力処理部21は、入力装置11から画面閉じの入力を受付け(手順S11のYES)するので、表示画面を閉鎖(手順S12)して手順を終了する。上記手順S11が「NO」で次のタグ設定を行う場合は、上記手順S2へ戻り、手順は繰り返される。
【0083】
上記手順S5が「NO」で囲み線のストローク情報が得られなかった場合、タグの作成はできないので、カルテ情報入出力処理部21は、画面に「タグ作成不可」を表示(手順S13)して囲み線の消去を受付け(手順S14)したのち、上記手順S11に進む。
【0084】
次に、図11を参照してサマリ情報の主要生成手順について説明する。従って、障害などの際の付帯手順は省略されている。
【0085】
まず、カルテ記載情報が、例えば図3のように画面表示(手順S21)されているものとする。
【0086】
医師が、入力装置11として例えばマウスを用いて、画面表示されているカルテ記載情報の所望のタグマーク5を例えば所定のクリックによりサマリ生成実行を指定したものとする。このクリックに基づいて、カルテ情報入出力処理部21は入力装置11からタグマーク選択を受付け(手順S22)する。マーク選択の受付けにより、カルテ情報入出力処理部21は表示画面を例えば左半分に寄せ、残りの右半分をサマリ作成用画面に生成(手順S23)する。
【0087】
図12は、図3に示される二面の表示画面を左側二分の一に縮小して、右側半分にサマリ作成用画面を生成している。
【0088】
図13は、図3の実寸表示または拡大表示された一面の表示を左側二分の一に縮小し、右側にサマリ作成用画面を生成している。
【0089】
次いで、医師は、選択のタグマークを上記サマリ作成用画面に、例えばマウスで「ドラッグ&ドロップ」することによりタグマークに対応するカルテ記載情報のサマリの転記先を指定する。この指定により、カルテ情報入出力処理部21は入力装置11から決定された選択タグとこのタグに対応する領域のサマリ転記先とを受付け(手順S24のYES)する。次いで、カルテ情報入出力処理部21は、入力装置11から例えばマウスの所定クリックによる転記要求または転記開始要求を受付け(手順S25)するので、選択されたタグマークの位置情報を送ってタグ情報処理部23を駆動する。
【0090】
タグ情報処理部23は、タグの位置情報をタグ情報記憶部32に送り、その位置情報からタグ情報が得られる。タグ情報記憶部32は、得られたタグ情報によりストローク情報記憶部31を駆動する。この結果、ストローク情報記憶部31から囲み線領域内のカルテ記載情報に対応するストローク情報が取得(手順S26)される。このストローク情報はサマリ用情報として文字認識装置4に送られ文字データに変換(手順S27)される。
【0091】
文字認識装置4で変換された文字データはサマリ情報処理部24に送られる。サマリ情報処理部24は、内蔵する要約ソフトを用いて、図7を参照した説明にあったように、対応するタグ領域のサマリ情報を作成してサマリ情報記憶部33に記録格納し保存(手順S28)する。同時に、サマリ情報処理部24はカルテ情報入出力処理部21にタグ情報を通知して出力装置12の表示画面で指定された個所にサマリ文書を表示(手順S29)する。
【0092】
ここで医師が画面を閉じる場合、カルテ情報入出力処理部21は、入力装置11から画面閉じの入力を受付け(手順S30のYES)するので、表示画面を閉鎖(手順S31)して手順を終了する。
【0093】
上記手順S30が「NO」で、医師が画面を閉じることなく、次のタグ設定を行う場合は、上記手順S22へ戻り、手順は繰り返される。医師が、例えば図7に示される同一日付のカルテ記載における三つのタグマークを選択してサマリ情報を抽出する場合、手順は手順S30の「NO」からの手順を二回繰り返し、三つのサマリ情報がサマリ情報記憶部33に記録されると共に画面に表示される。医師が画面によりカルテ記載情報とサマリ情報とを比較し、例えば日付のような不足情報は入力装置から文字データで追加入力され、更に、サマリ情報は文字データなので保存データを修正することが可能である。その結果、図6に示されるように、手書きのカルテ記載情報が、活字文字のテキスト文章により、読みやすく画面表示される。
【0094】
つまり、図14に纏められるように、図1でのサマリ情報記憶部33は、タグ情報記憶部32に保存されるタグ領域ごとの要約されたサマリ情報をテキスト文章で保存しており、文字データにより文字検索が可能である。文字データにより検索され、検索により指定するタグ領域から読み出されたサマリ情報はタグ情報記憶部32のタグ情報に対応している。タグ情報は囲み線のストローク情報、すなわち「囲みストローク情報」を含んでいる。更に、この囲みストローク情報は対応する囲み線の手書きによるカルテ記載情報での位置情報を有している。
【0095】
したがって、本発明によるシステムは、画像表示されたサマリ情報で文字検索した結果、対応するタグ領域を速やかに検出できるので、ストローク情報記憶部からその対応する原型のカルテ記載情報を容易に取り出して画面に表示することができる。
【0096】
以上説明したように、タグを設定するためにカルテ記載情報を囲み線で範囲指定する際における「意味づけ」のための入力がなければ、このシステムを操作するユーザはシステムの履行に際して、タグ情報にデータの追加は不要である。すなわち、ユーザの作業は単純である。例えば、内蔵する時計からアクセス時刻は確定できる。例えば、ユーザ名とパスワードとによるシステムへのアクセスでユーザ氏名は確定できる。または、囲みストローク情報によりカルテでのタグマーク位置をカルテの座標から確定できる。したがって、タグ設定する場合のそれぞれの情報項目は自動入力できる。
【0097】
[その他の実施例]
上記説明では、機能ブロックおよび動作手順を図示して説明したが、上記機能を満たす限り、機能の分離併合または手順の前後入替え、平行処理などの変更は自由であり、上記説明が本発明を限定するものではない。
【0098】
例えば、図1において、大きな構成要素である入出力装置、入出力処理装置、および記憶装置は、ほぼ変更ないが、それぞれの内部構成は、例えばストローク情報記憶部に副カルテ情報記憶部を含ませて、廃止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
ストローク情報で認識する囲み線を用いて囲み線により囲まれる領域の位置を確定し、かつ文章を補充する要約作成ソフトウェアを用いてサマリを生成することによって、手書き電子情報の記載領域を容易に検索することができ、かつその記載内容の理解を補助することが必要な、カルテ以外の手書き電子情報に対する記録の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】手書き電子情報記録システムにおける機能ブロック構成の実施の一形態を示した説明図である。
【図2】手書き電子情報記録システムで患者と対応して入力された原形のカルテ記載情報を示した画面表示の一例を示した説明図である。
【図3】図2のカルテ記載情報に本発明によるタグマークが付加された画面表示の実施の一形態を示した説明図である。
【図4】ストローク情報に含まれるストロークの骨格点座標列の一例について説明する図である。
【図5】カルテ記載情報に囲み線を描いてサマリ用情報を抽出し、サマリ情報を作成した対応画面の一形態について説明する図である。
【図6】カルテ記載情報とこれに対応するサマリ情報とを対比させた画面表示の一形態を示した説明図である。
【図7】抽出データから作成されたサマリ情報のそれぞれを個別に記憶保存する一形態について説明する図である。
【図8】記憶保存されたサマリ情報とタグ情報との個別の対応を示す一形態について説明する図である。
【図9】サマリ情報を纏める際の、カルテ参照位置を示す実施の一形態について説明する図である。
【図10】本発明の手書き電子情報記録システムにおいてタグマークを付加する主要手順の実施の一形態について説明するフローチャートである。
【図11】本発明の手書き電子情報記録システムにおいてサマリ情報を作成保存する主要手順の実施の一形態について説明するフローチャートである。
【図12】図11のサマリ情報作成の際にサマリ情報を表示する画面生成の一形態について説明する図である。
【図13】サマリ情報を表示する画面で、図12とは相違する一形態について説明する図である。
【図14】本発明の手書き電子情報記録システムにおいて、サマリ情報とカルテ記載情報とのタグ情報による結合を説明する図である。
【符号の説明】
【0101】
1 入出力装置
2 入出力処理装置
3 記憶装置
4 文字認識装置
5 タグマーク
6 ストローク
7 囲み線
8 カルテ参照位置
9 画面上表示位置
11 入力装置
12 出力装置
13 表示入力一体装置
21 カルテ情報入出力処理部
22 ストローク認識処理部
23 タグ情報処理部
24 サマリ情報処理部
31 ストローク情報記憶部
32 タグ情報記憶部
33 サマリ情報記憶部
34 副カルテ情報記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入出力装置から入力された手書きによる電子情報を、入出力処理装置が受けて記憶装置に格納し、入出力装置からの要求で格納された手書き電子情報を入出力装置の画面上に表示する手書き電子情報記録システムにおいて、
前記入出力処理装置は、前記手書き電子情報のうち記載情報をストローク情報で認識して前記記憶装置に記録保存し、前記入出力装置から画面上に表示中の前記手書き電子情報上で所定領域を囲って指定する囲み線情報を受けた際には前記所定領域にタグマークを付記すると共にこの囲み線情報をストローク情報で認識して「囲みストローク情報」とし、この囲みストローク情報を前記タグマークに対応させて前記記憶装置に記録保存するように構成されていることを特徴とする手書き電子情報記録システム。
【請求項2】
請求項1に記載の手書き電子情報記録システムにおいて、更に、前記手書き電子情報のうち指定された情報を文字データに変換して画面上に表示する文字認識装置を備え、
前記入出力処理装置は、囲み線で囲まれた領域内の手書き記載情報を抽出し、前記文字認識装置を用いて文字データに変換し画面表示すると共に、前記記憶装置に前記囲みストローク情報に対応付けて記録保存するように構成されていることを特徴とする手書き電子情報記録システム。
【請求項3】
請求項2に記載の手書き電子情報記録システムにおいて、前記入出力処理装置は、前記囲みストローク情報それぞれに手書き電子情報の所定区分内に設定される先頭参照位置を付加してタグ情報とし、手書き電子情報の前記所定区分内での連続する複数の前記囲みストローク情報に囲まれた領域それぞれに対応する文字データを一節にまとめて文章化するように構成されていることを特徴とする手書き電子情報記録システム。
【請求項4】
請求項1に記載の手書き電子情報記録システムにおいて、前記入出力処理装置は、前記タグマークにタグ情報を対応させ、当該タグ情報に前記囲みストローク情報を含ませて前記記憶装置に記録保存するように構成されていることを特徴とする手書き電子情報記録システム。
【請求項5】
請求項1に記載の手書き電子情報記録システムにおいて、前記入出力処理装置は、単純な定型文字データから語句を補充して文章に形成する要約作成ソフトウェアを有し、当該要約作成ソフトウェアを用いて、前記文字認識装置で変換された文字データから要約された情報を生成するように構成されていることを特徴とする手書き電子情報記録システム。
【請求項6】
請求項5に記載の手書き電子情報記録システムにおいて、前記要約作成ソフトウェアは、上記入出力処理装置が入出力装置から入力する文字データも処理するように構成されていることを特徴とする手書き電子情報記録システム。
【請求項7】
請求項1に記載の手書き電子情報記録システムにおいて、前記入出力処理装置は、前記入出力装置から前記記憶装置に記録保存された前記手書き電子情報のサマリ情報を検索して前記入出力装置に画面表示した際、画面表示された文字データに対応するタグ情報を読み出し、当該タグ情報から、元の手書き記載情報を検索して画面表示できるように構成されていることを特徴とする手書き電子情報記録システム。
【請求項1】
入出力装置から入力された手書きによる電子情報を、入出力処理装置が受けて記憶装置に格納し、入出力装置からの要求で格納された手書き電子情報を入出力装置の画面上に表示する手書き電子情報記録システムにおいて、
前記入出力処理装置は、前記手書き電子情報のうち記載情報をストローク情報で認識して前記記憶装置に記録保存し、前記入出力装置から画面上に表示中の前記手書き電子情報上で所定領域を囲って指定する囲み線情報を受けた際には前記所定領域にタグマークを付記すると共にこの囲み線情報をストローク情報で認識して「囲みストローク情報」とし、この囲みストローク情報を前記タグマークに対応させて前記記憶装置に記録保存するように構成されていることを特徴とする手書き電子情報記録システム。
【請求項2】
請求項1に記載の手書き電子情報記録システムにおいて、更に、前記手書き電子情報のうち指定された情報を文字データに変換して画面上に表示する文字認識装置を備え、
前記入出力処理装置は、囲み線で囲まれた領域内の手書き記載情報を抽出し、前記文字認識装置を用いて文字データに変換し画面表示すると共に、前記記憶装置に前記囲みストローク情報に対応付けて記録保存するように構成されていることを特徴とする手書き電子情報記録システム。
【請求項3】
請求項2に記載の手書き電子情報記録システムにおいて、前記入出力処理装置は、前記囲みストローク情報それぞれに手書き電子情報の所定区分内に設定される先頭参照位置を付加してタグ情報とし、手書き電子情報の前記所定区分内での連続する複数の前記囲みストローク情報に囲まれた領域それぞれに対応する文字データを一節にまとめて文章化するように構成されていることを特徴とする手書き電子情報記録システム。
【請求項4】
請求項1に記載の手書き電子情報記録システムにおいて、前記入出力処理装置は、前記タグマークにタグ情報を対応させ、当該タグ情報に前記囲みストローク情報を含ませて前記記憶装置に記録保存するように構成されていることを特徴とする手書き電子情報記録システム。
【請求項5】
請求項1に記載の手書き電子情報記録システムにおいて、前記入出力処理装置は、単純な定型文字データから語句を補充して文章に形成する要約作成ソフトウェアを有し、当該要約作成ソフトウェアを用いて、前記文字認識装置で変換された文字データから要約された情報を生成するように構成されていることを特徴とする手書き電子情報記録システム。
【請求項6】
請求項5に記載の手書き電子情報記録システムにおいて、前記要約作成ソフトウェアは、上記入出力処理装置が入出力装置から入力する文字データも処理するように構成されていることを特徴とする手書き電子情報記録システム。
【請求項7】
請求項1に記載の手書き電子情報記録システムにおいて、前記入出力処理装置は、前記入出力装置から前記記憶装置に記録保存された前記手書き電子情報のサマリ情報を検索して前記入出力装置に画面表示した際、画面表示された文字データに対応するタグ情報を読み出し、当該タグ情報から、元の手書き記載情報を検索して画面表示できるように構成されていることを特徴とする手書き電子情報記録システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−31192(P2006−31192A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−206524(P2004−206524)
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【出願人】(591108880)国立循環器病センター総長 (159)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【出願人】(591108880)国立循環器病センター総長 (159)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]