説明

抗炎症活性を有するビス−(クマリン)化合物

医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物、クラスレート、プロドラッグ、互変体および立体異性体を含む特定のビス−(クマリン)化合物ならびにそれらの分子内環化の生成物が開示される。特定のビス−(クマリン)化合物の調製のための、ならびに哺乳類、特にヒトにおける喘息ならびに他の炎症性疾患および状態の予防および処置における治療上有効な物質としてのこれらの化合物の使用のための、特定の方法および中間体も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その医薬上許容される塩、溶媒和物(水和物を含む)、クラスレート、プロドラッグ、互変体および立体異性体を含む、特定のビス−(クマリン)化合物ならびにそれらの分子内環化の生成物に関する。本発明はさらに、特定のビス−(クマリン)化合物の調製のための方法および中間体、ならびに哺乳類、特に、ヒトにおける喘息ならびに他の炎症性疾患および状態の予防および処置における治療上有効な物質としてのこれらの化合物の使用に関する。
【0002】
技術的課題
本発明は、炎症状態または障害に対して顕著な活性を有し、特定の型の炎症障害に対してステロイドまたはNSAIDよりも効果的であり、および/または公知のPDE4阻害剤またはロイコトリエン阻害剤と比較して改善された副作用プロファイルを有する新規の抗−炎症性物質を提供するという技術的課題に対応する。
【背景技術】
【0003】
喘息は、哺乳類における呼吸気道の慢性炎症性疾患である。臨床的に、過敏症患者において、炎症は、周期的な咳発作、呼吸の乱れ、喘鳴、胸苦しさおよび胸痛を惹起する。炎症により呼吸気道は感受性を増し、アレルゲン、化学刺激物質、たばこの煙、冷気および緊張により刺激を受ける。これらの刺激物に曝されると、呼吸気道は浮腫状となり、収縮し、粘液で満たされ、過敏性となる。
【0004】
喘息の病因は複雑であり、炎症性細胞、メディエーターならびに呼吸気道の組織および細胞の相互作用を含む。喘息過程において、応答の初期および後期が区別される。アレルギー性疾患およびアレルゲンに誘導される喘息は、特定型のIgE抗体の合成により特徴付けられる。アレルゲンの吸入直後に、アレルゲンおよびアレルゲン特異的IgEの複合体が、好塩基球、マスト細胞および好酸球上に存在する高親和性IgE受容体(Fcε受容体I型)に結合する。受容体への結合によりシグナル伝達カスケードの活性化が生じ:
1.炎症誘発性遺伝子(例えば、インターロイキン−4およびインターロイキン−5)のde novo合成、
2.細胞質顆粒の内容物のエキソサイトーシス−脱顆粒
がもたらされる。
【0005】
該顆粒は、ヒスタミン、セロトニン、ロイコトリエンC4、D4およびE4のごとき炎症性メディエーターならびに主要塩基性蛋白質およびミエロペルオキシダーゼのごとき蛋白質を含む。これらの炎症性メディエーターは、血管拡張、気管支収縮の過程、炎症性過程の誘引および制御、ならびに細胞の活性化および炎症組織への損傷において共同する。これらの過程は初期喘息応答を形成する。脱顆粒の阻害は徴候を阻止し、および炎症過程を停止させてもよく、これは、脱顆粒阻害剤(クロモグリク酸ナトリウム、ネドクロミルナトリウムおよびケトチフェン)の臨床的使用により証明されている。
【0006】
後期喘息応答は、気道の永続的な閉塞、気管支の過敏性、ならびに呼吸器系における好中球、好酸球、リンパ球および単球/マクロファージの蓄積を含む炎症変化の発達を包含する。炎症性細胞の蓄積は、リンフォカイン(TNF−α、IL−4、IL−5)、白血球(インテグリン)および内皮細胞(セレクチン)上の接着分子、ならびにケモカイン(エオタキシン、RANTES)の協調的相互作用に起因する。喘息におけるT−リンパ球の役割および重要性は、喘息を患っている患者の気管支肺胞洗浄および気管支生検における増大数の活性化CD4+T−細胞の存在により確認された。CD4+細胞の2つの亜集団は、それらが分泌するサイトカインのプロファイルに関して異なる。Th1細胞はIL−2、IL−3、GM−CSF、INF−γを分泌する。Th1細胞の活性化は、細胞内生物、ウイルスおよび新生物に対する宿主の防御において重要である。研究により、喘息において、Th2細胞応答は、アレルギー性炎症に典型的な好酸球浸潤の形成において重要であるIL−5の増大された発現を伴って広がることが実証された。
【0007】
喘息において生じる形態学的変化は、炎症細胞(マスト細胞、T−リンパ球および好酸球は主要な実行(executive)細胞である)による気管支の浸潤、分泌性間質浮腫(secrete interstition odema)による呼吸気道の閉塞、および微小循環の透過性増大を含む。病理組織学的知見に基づいて、好酸球浸潤は特異的であり、喘息を他の型の炎症から区別することが確証されている。
【0008】
喘息の制御において、2つの型の医薬、対症的医薬および基本的医薬が存在する。対症的医薬としては、短時間作用型気管支拡張薬、例えば、β2−アゴニスト、抗コリン作用薬、テオフィリンが挙げられ、これらは収縮した呼吸気道を迅速に弛緩させ、急性症状を緩和する。基本的医薬としては、抗炎症薬および長時間作用型気管支拡張薬が挙げられる。抗炎症薬は炎症反応を緩和および阻止し、それらは吸入可能コルチコステロイド、全身性コルチコステロイドおよび吸入可能クロモン、例えば、クロモリンおよびネドクロミルを含む。
【0009】
抗炎症性ステロイド化合物は、今なお、喘息のごとき炎症性疾患および状態の処置において最も有効であると考えられている。しかし、この型の医薬の良好な効力および効能には、炭水化物代謝、カルシウム再吸収、内因性コルチコステロイドの分泌、ならびに脳下垂体、副腎コアおよび胸腺の生理的機能の障害のごとき多数の望ましくない副作用が伴う。文献(WO94/13690,WO94/14834,WO92/13872およびWO92/13873)において、局所作用を有する所謂「弱い(soft)」ステロイドまたは加水分解性コルチコステロイドが記載されている。それらの全身性の望ましくない効果は、活性のあるステロイドが不活性型へと迅速に加水分解される血清における「弱い(soft)」ステロイドの不安定性に起因して軽減される。しかし、長期使用において負の副作用を伴わないステロイドは未だ見出されていない。
【0010】
新規医薬は、症状の緩和または排除方法としての炎症反応の軽減に集中している(Barnes,P.J.Nature Reviews Drug Discovery,2004,3,831−844;Bals,R.Curr.Med.Chem.−Anti−Inflammatory&Anti−Allergy Agents,2004,3,39−52;Coruzzi,G.Current Drug Targets−Inflammation&Allergy,2004,3,43−61;Prescott,S.L.Med.Chem.Reviews−Online,2004,1,163−177)。ロイコトリエン阻害剤は最新の喘息療法である。ロイコトリエンは5−リポキシゲナーゼ酵素経路により産生され、該阻害剤はその作用機序に従って幾つかの群に分けられる。システイニルロイコトリエンアンタゴニストは短期および長期研究において効能が示されている:喘息患者におけるベースライン肺機能における改善および様々な症状の改善ならびにβ2−アゴニストの使用の減少および喘息増悪の減少が報告されている(Barreiro,E.J.Curr.Med.Chem.−Anti−Inflammatory&Anti−Allergy Agents,2004,3,9−18)。治療的に、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、ジレウトンはシステイニルロイコトリエンアンタゴニストと同様の効果があり、その治療効果はシステイニルロイコトリエンアンタゴニストのものと見分けがつかない。現在、幾つかのLTB4アンタゴニストが異なる適応症を対象として研究されている(Balazy,M.Current Drug Targets−Inflammation&Allergy,2004,3,19−33)。ロイコトリエン阻害剤は、より早い作用開始、経口用処方および有益な副作用プロファイルという点では現在の抗−喘息生成物に勝る利点を示す。
【0011】
ホスホジエステラーゼ(PDE)は、細胞内環状アデノシンおよびグアノシン一リン酸(各々cAMPおよびcGMP)の加水分解に関与する。4型ホスホジエステラーゼ(PDE4)は気道平滑筋細胞ならびに免疫性および炎症性細胞に局在するcAMP−特異的酵素である。PDE4活性は多種多様な疾患に関連しており、炎症状態、例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、関節リウマチ(RA)に関連しているものもあり、近年では、自己免疫病理に関連付けられているものもある。故に、この10年間にわたって、PDE4阻害剤の開発に向けて懸命な努力がなされてきた(Giembycz,M.A.Drugs,2000,59,193−212;Lipworth,B.Lancet,2005,365,167−175)。しかし残念なことに、プロトタイプPDE4阻害剤の効果は吐き気および嘔吐のごとき副作用により損なわれており、これらの化合物の臨床用途は未だに限られている。
【0012】
クマリンクラスの幾つかの化合物は、マスト細胞からのSRS−A(アナフィラキシーの遅反応性物質)およびヒスタミンのごときケミカルメディエーターの免疫学的放出を阻害することが知られている(US4,731,375)。クマリンクラスの他の化合物は、SRS−Aおよびアレルギー反応の他のメディエーターの放出を防止するだけでなく、SRS−Aの作用を阻害することも知られている(US4,200,577)。さらに、クマリンクラスの他の化合物は、メディエーター物質の放出を阻害するだけでなく、抗体−抗原結合後に放出されるヒスタミンの効果を拮抗することも知られている(US4,263,299)。同様に、他のものは、特定の型の抗原−抗体反応の効果を阻害し(US4,059,704)、NMDA(N−メチル−D−アスパラギン酸)アンタゴニスト作用を有し(US5,428,038)、ロイコトリエン生合成を阻害し(US5,576,338)、ヒスタミン−3受容体を調節し(US2002/0183309)、およびホスホジエステラーゼVIIを阻害する(US2004/0138279)。故に、記載したクマリン化合物は、アレルギー性喘息、アレルギー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎または腸炎、アレルギー性結膜炎またはアレルギー性湿疹のごときアレルギー性または免疫学的反応に付随する様々な疾患の予防および処置において有用である。
【0013】
現在の療法の副作用を回避しつつ、より優れた効能および効力を有する炎症性障害の処置用のクマリンクラスの化合物を開発することが今なお必要とされている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
発明の概要
本発明は、有益な特性、特に、喘息のごとき炎症性疾患および状態の処置のための薬理学的特性を有するビス−(クマリン)化合物に関し、該化合物は医薬を製造するためにも用いられ得る。
【0015】
本発明は、式I
【化1】

(I)
のビス−(クマリン)化合物ならびに式IIおよびIII
【化2】

(II)
【化3】

(III)
を有するそれらの分子内環化の生成物ならびにそれらの医薬上許容される塩、溶媒和物(水和物を含む)、クラスレート、プロドラッグおよび互変体および立体異性体に関し、
【0016】
上記式中:
1、R2、R3およびR4は各々独立して、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、C1−C4−アルキル、C2−C4−アルケニル、C2−C4−アルキニル、ハロ−C1−C4−アルキル、ヒドロキシ、C1−C4−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C1−C4−アルカノイル、アミノ、アミノ−C1−C4−アルキル、N−(C1−C4−アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−C4−アルキル)アミノ、メルカプト、C1−C4−アルキルチオ、スルホ、C1−C4−アルキルスルホ、スルフィノ、C1−C4−アルキルスルフィノ、カルボキシ、C1−C4−アルコキシカルボニル、シアノまたはニトロであり;
Aは、カルボニル、CH−XまたはC=N−R5であり;
各場合においてnは独立して0または1の整数であり;
5は、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールまたはアリールアミノ基であり;
Xは、ヒドロキシ、カルボキシ、アセチル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ホルミル、1〜6個のヒドロキシ基で置換されているC1−C6アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルオキシカルボニル、N−アルキルカルバモイルまたは−C(=N−R5)R6であり;
6は、水素またはCH3であり;
Dは、CH、CH2、CCH3、CHCH3、CHCH2OHまたはカルボニルであり;および
−−は単結合または二重結合であり;
【0017】
ただし、
i.)AがカルボニルまたはC=N−R5ならば、n=1であり;
ii.)式Iの化合物において、
n=0およびX=アリール、ヘテロアリール、ホルミル、カルボキシ、アセチル、アルキルオキシカルボニル、アリールカルボニル、N−アルキルカルバモイル、−CH2OHまたは
【化4】

基ならば、
1、R2、R3およびR4は全てが水素とは限らず;および
【0018】
n=0、R1=R2=R4=H、およびR3=OHまたは
n=0、R2=R4=H、およびR1=R3=OHまたは
n=0、R1=R4=H、およびR2=R3=OHまたは
n=0、R1=R2=H、およびR3=R4=OHならば、
Xはホルミルまたは2−ホルミルフェニルではなく;および
【0019】
n=0、R1=R2=R4=H、およびR3=OHまたは
n=0、R2=R4=H、およびR1=R3=OHならば、
Xは4−カルボキシフェニル基ではなく;および
【0020】
n=0、R1=R2=R4=H、およびR3=OHならば、
Xはカルボキシ、フェニル、4−スチリルフェニル、4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル、2−ピリジニル、3−ピリジニル、2−ナフタレニルではなく;および
【0021】
n=0、R1=R2=R3=H、およびR4=Meならば、
Xはフェニル、3−ブロモフェニル、2−クロロフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、2−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、4−ニトロロフェニル、4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル、4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル、4−メチルチオフェニルではなく;
【0022】
n=0、R1=R3=R4=H、およびR2=Meならば、
Xはフェニル、2−クロロフェニル、4−ヒドロキシフェニル、2,4−ジクロロフェニル、3−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル 4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル、3−ニトロロフェニル、2−ニトロロフェニル、2−メトキシフェニル、3,4,5−トリメトキシフェニル、4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル、2−ピリジニル、3−ピリジニル、4−ピリジニル、2−キノリニルではなく;および
【0023】
n=0、R1=R3=R4=H、およびR2=Fまたは
n=0、R1=R2=R4=H、およびR3=Fならば、
Xはカルボキシ、エチルオキシカルボニルではなく、
【0024】
n=0、R1=R2=R3=H、およびR4=Clならば、
Xはフェニルではなく、
【0025】
n=0、R1=R3=R4=H、およびR2=Clならば、
Xはフェニル、4−ヒドロキシフェニル、4−メトキシフェニル、3−ニトロフェニル、4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル、2−ピリジニル、3−ピリジニル、4−ピリジニル、2−(6−メチル)ピリジニル、2−キノリニルではなく、
【0026】
n=0、R1=R3=R4=H、およびR2=Brならば、
Xはフェニル、2−ヒドロキシフェニル、3−ヒドロキシフェニル、4−メチルフェニル、4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル、4−ヒドロキシ−3−エトキシフェニル、2−ピリジニル、4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル、5−ベンゾ[1,3]ジオキソリルではなく;および
【0027】
n=0、R1=R2=R4=H、およびR3=Meまたは
n=0、R2=R3=HおよびR1=R4=Meならば、
Xはフェニル、4−ヒドロキシフェニル、4−ニトロフェニルではなく;および
【0028】
n=0、R2=R4=HおよびR1=R3=Meならば、
Xはフェニルではなく;および
【0029】
n=0、R1=R4=HおよびR2=ClおよびR3=Meならば、
Xはフェニル、4−ヒドロキシフェニル、4−メトキシフェニル、2−(6−メチル)ピリジニル、3−ピリジニル、4−ピリジニル、2−キノリニルではなく;および
【0030】
n=0、R1=R4=HおよびR2=R3=Meならば、
Xはフェニル、4−メトキシフェニルではなく;および
【0031】
n=0、R1=R3=HおよびR2=R4=Clならば、
Xはフェニルではなく;
【0032】
n=0、R1=R2=HおよびR3=OHおよびR4=Meならば、
Xはフェニル、4−メトキシフェニル、2−ヒドロキシフェニル、3−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル、4−ヒドロキシ−3−エトキシフェニル、5−ベンゾ[1,3]ジオキソリルではなく;および
【0033】
n=1およびX=カルボキシ、エチルオキシカルボニルならば、
1、R2、R3およびR4は全てが水素とは限らず;および
【0034】
n=1およびR1=R3=R4=HおよびR2=Brならば、
Xはフェニルではなく;
【0035】
iii.)式IIの化合物において、
X=アリール、ヘテロアリール、カルボキシ、アセチル、アルキルオキシカルボニル、−CH2OHまたは
【化5】

基ならば、
1、R2、R3およびR4は全てが水素とは限らず;および
【0036】
1=R3=R4=HおよびR2=Meならば、
Xは3−(4−ヒドロキシ−6−メチル−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラニル)ではなく;
【0037】
iv.)式IIIの化合物において、
DがCH2、CHCH3、CHCH2OHまたはカルボニルであり、−−が単結合であるか、或いはDがCHまたはCCH3基であり、−−が二重結合であるならば、
1、R2、R3およびR4は同時には水素原子ではなく;および
【0038】
1=R2=R4=HおよびR3=OHまたは
2=R4=HおよびR1=R3=OH、または
1=R4=HおよびR2=R3=OHまたは
1=R2=H、R3=R4=OHならば、
DはCHまたはCH2基ではない。
【0039】
非置換ベンゼン環(R1=R2=R3=R4=H)を有する式I、IIおよびIIIのある種の化合物が文献で知られており(Fucik,K.ら.Nature 1950,166,830−831;Collect.Czech.Chem.Commun.1951,16,304−318;ibid.,1951,16,319−326;Bull.Soc.Chim.Fr.1949,16,99−103;ibid.,1949,16,609−610,ibid.,1949,16,626−628,Eckstein,M.ら.Roczniki Chem.1964,38,1115−1120;Acta Pol.Pharm.1988,45,8−13またはSullivan,W.R.ら.J.Am.Chem.Soc.1943,65,2288−2291)、その化合物の幾つかは抗凝血性特性を有することが報告されている。非置換ベンゼン環(R1=R2=R3=R4=H)を有し、およびベンゼン環上にヒドロキシ置換基(R1=R2=R4=H、R3=OH;R2=R4=H、R1=R3=OH;R1=R4=H、R2=R3=OH;R1=R2=H、R3=R4=OH)を有する式IおよびIIIのある種の化合物が特許文献から知られており(Ivezic,Z.ら.WO03/029237)、抗ウイルス性活性を有することが報告されている。
【0040】
抗−HIV作用を示す、中心のアルキルまたはアリールリンカーが非対称に結合したヒドロキシクマリンのより複雑な二量体および四量体誘導体も知られている(Zhao,H.ら.J.Med.Chem.1997,40,242−249)。同様の抗−HIV作用は、芳香族または脂肪族モノ−またはジアルデヒドを有する1クマリン単位あたり1以上のヒドロキシ基を有するヒドロキシクマリンのある種の縮合生成物によっても示されている(米国特許第6,100,409号およびWO03/029237)。
【0041】
式Iで示される非置換および様々に置換されたベンゼン環を有するビス−(クマリン)化合物、様々なR1、R2、R3およびR4基を有する式IIの化合物、式IIIの化合物[ここで、ベンゼン環は様々なR1および/またはR2および/またはR3および/またはR4基、例えば、アルキルおよびアルコキシ基およびハロゲン原子で置換されている]、それらの医薬上許容される塩、ならびにかかる化合物を含有する医薬製剤は今までに記載されていない。同様に、本発明の化合物は、強力な抗炎症性作用を有する物質として、または喘息ならびに他の炎症性疾患および状態の処置において有効な物質として、今までに記載されていない。
【0042】
適用されたインビトロおよびインビボモデルは、喘息において存在する病態生理学的事象をかなり首尾よく実証しており、これらのモデルにおいて試験された化合物がヒト疾患の治療においても有効であり得ることが期待されよう。
【0043】
発明の詳細な説明
本発明の化合物
式Iの化合物のある特定のクラスは、n=1およびA=カルボニル基である。
【0044】
幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、式Iの化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物、互変体もしくは立体異性体で示され、
【0045】
上記式中:
1、R2、R3およびR4は各々独立して、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、C1−C3−アルキル、ヒドロキシまたはニトロであり;
Aは、カルボニルまたはCH−Xであり、
各場合においてnは独立して0または1の整数であり;および
Xは、カルボキシ、−C(O)O(C1-4アルキル)、−CH(OH)CH2OH、−CH2OH、C(O)OCH2CH2OH、C(O)NHデシル、C(O)NH(CH23OH、C(O)NHC(CH32CH2OH、C(O)NHC(CH2OH)3、1−ヒドロキシエチル、−C(=N)−OH、イミダゾリル、フェニル、2−メトキシフェニル、4−キノリニル、2−キノリニル、2−ニトロフェニル、3−クロロフェニル、2,4−ジメトキシフェニル、4−(1−ブチル)−イミダゾリル、ナフチル、2−ヒドロキシ−4−ニトロフェニル、6−(2,3−ジヒドロベンゾジオキサニル)、2−(4−クロロフェニルチオ)−フェニル、2−ピリジニル、3−ブロモ−4−フルオロフェニル、3−ブロモ−4−メトキシフェニル、3−クロロ−4−フルオロフェニル、3−エトキシフェニル、3−ヒドロキシフェニル、3−フェノキシフェニル、3−メトキシ−4−ベンジルオキシフェニル、4−チオメチルフェニル、2−(4−ブロモチオフェニル)、4−クロロフェニル、4−シアノフェニル、4−イソプロポキシフェニル、4−メチルフェニル、4−フェノキシフェニル、2−(5−メチル)−フラニル、3,4,5−トリメトキシフェニル、4−フルオロフェニル、4−ピリジル、2−クロロフェニル、1−イミダゾリル、3,4−メチレンジオキシフェニル、4−メトキシフェニル、3−キノリニル、2−キノリニル、4−ヒドロキシフェニル、5−(2,3−ジヒドロ)−ベンゾフラニル、2−メトキシフェニル、2−フラニル、4−トリフルオロメチルフェニル、2−[5−(3−トリフルオロメチルフェニル)]−フラニル、1−(5−ヒドロキシメチル)−フラニルであり;
【0046】
ただし、
i.)Aがカルボニルならば、n=1であり;および
ii.)n=0およびX=カルボキシ、−C(O)O(C1-4アルキル)、−CH(OH)CH2OH、−CH2OH、C(O)OCH2CH2OH、C(O)NHデシル、C(O)NH(CH23OH、C(O)NHC(CH32CH2OH、C(O)NHC(CH2OH)3、イミダゾリル、フェニル、2−メトキシフェニル、4−キノリニル、2−キノリニル、2−ニトロフェニル、3−クロロフェニル、2,4−ジメトキシフェニル、4−(1−ブチル)−イミダゾリル、ナフチル、2−ヒドロキシ−4−ニトロフェニル、6−(2,3−ジヒドロベンゾジオキサニル)、2−(4−クロロフェニルチオ)−フェニル、2−ピリジニル、3−ブロモ−4−フルオロフェニル、3−ブロモ−4−メトキシフェニル、3−クロロ−4−フルオロフェニル、3−エトキシフェニル、3−ヒドロキシフェニル、3−フェノキシフェニル、3−メトキシ−4−ベンジルオキシフェニル、4−チオメチルフェニル、2−(4−ブロモチオフェニル)、4−クロロフェニル、4−シアノフェニル、4−イソプロポキシフェニル、4−メチルフェニル、4−フェノキシフェニル、2−(5−メチル)−フラニル、3,4,5−トリメトキシフェニル、4−フルオロフェニル、4−ピリジル、2−クロロフェニル、1−イミダゾリル、3,4−メチレンジオキシフェニル、4−メトキシフェニル、3−キノリニル、2−キノリニル、4−ヒドロキシフェニル、5−(2,3−ジヒドロ)−ベンゾフラニル、2−メトキシフェニル、2−フラニル、4−トリフルオロメチルフェニル、2−[5−(3−トリフルオロメチルフェニル)]−フラニルまたは1−(5−ヒドロキシメチル)−フラニルならば;
1、R2、R3およびR4は全てが水素とは限らず;および
iii.)n=0、R1=R2=R4=H、およびR3=OHならば、
Xはカルボキシ、フェニル、2−ピリジニルまたは2−ナフタレニルではなく;および
iv.)n=0、R1=R2=R3=H、およびR4=Meならば、
Xはフェニル、2−クロロフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2−メトキシフェニル、4−メトキシフェニルまたは4−メチルチオフェニルではなく;および
【0047】
v.)n=0、R1=R3=R4=H、およびR2=Meならば、
Xはフェニル、2−クロロフェニル、4−ヒドロキシフェニル、4−メトキシフェニル、2−メトキシフェニル、3,4,5−トリメトキシフェニル、2−ピリジニル、4−ピリジニルまたは2−キノリニルではなく;および
【0048】
vi.)n=0、R1=R3=R4=H、およびR2=Fまたは
n=0、R1=R2=R4=H、およびR3=Fならば、
Xはカルボキシまたはエチルオキシカルボニルではなく;および
【0049】
vii.)n=0、R1=R2=R3=H、およびR4=Clならば、
Xはフェニルではなく;および
【0050】
viii.)n=0、R1=R3=R4=H、およびR2=Clならば、
Xはフェニル、4−ヒドロキシフェニル、4−メトキシフェニル、2−ピリジニル、4−ピリジニルまたは2−キノリニルではなく;および
【0051】
ix.)n=0、R1=R3=R4=H、およびR2=Brならば、
Xはフェニル、3−ヒドロキシフェニル、4−メチルフェニル、2−ピリジニルまたは5−ベンゾ[1,3]ジオキソリルではなく;および
【0052】
x.)n=0、R1=R2=R4=H、およびR3=Meまたは
n=0、R2=R3=HおよびR1=R4=Meならば、
Xはフェニルまたは4−ヒドロキシフェニルではなく;および
【0053】
xi.)n=0、R2=R4=HおよびR1=R3=Meならば、
Xはフェニルではなく;および
【0054】
xii.)n=0、R1=R4=HおよびR2=ClおよびR3=Meならば、
Xはフェニル、4−ヒドロキシフェニル、4−メトキシフェニル、4−ピリジニルまたは2−キノリニルではなく;および
【0055】
xiii.)n=0、R1=R4=HおよびR2=R3=Meならば、
Xはフェニルまたは4−メトキシフェニルではなく;および
【0056】
xiv.)n=0、R1=R3=HおよびR2=R4=Clならば、
Xはフェニルではなく;および
【0057】
xv.)n=0、R1=R2=HおよびR3=OHおよびR4=Meならば、
Xはフェニル、4−メトキシフェニル、3−ヒドロキシフェニルまたは5−ベンゾ[1,3]ジオキソリルではなく;および
【0058】
xvi.)n=1およびX=カルボキシまたはエチルオキシカルボニルならば、
1、R2、R3およびR4は全てが水素とは限らず;および
【0059】
xvii.)n=1およびR1=R3=R4=HおよびR2=Brならば、
Xはフェニルではない。
【0060】
式Iの化合物に関しては、さらに、
(i)n=0、R1=R3=R4=H、およびR2=Brならば、
Xは4−ヒドロキシフェニルまたは3,4−メチレンジオキシフェニルではなく;および
(ii)n=0、R1=R2=R4=H、およびR3=Clならば、
Xはフェニルではない。
【0061】
さらなる一の特定のクラスの化合物は、式I[ここで、n=0、X=カルボキシ、アセチル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、1〜6個のヒドロキシ基で置換されているC1−C6アルキル、アルキルオキシカルボニル、N−アルキルカルバモイル、ホルミルまたは−C(=N−R5)R6であり、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1個が各々独立して、クロロ、ブロモ、C1−C4−アルキル、C2−C4−アルケニル、C2−C4−アルキニル、ハロ−C1−C4−アルキル、C1−C4−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C1−C4−アルカノイル、アミノ、アミノ−C1−C4−アルキル、N−(C1−C4−アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−C4−アルキル)アミノ、メルカプト、C1−C4−アルキルチオ、スルホ、C1−C4−アルキルスルホ、スルフィノ、C1−C4−アルキルスルフィノ、カルボキシ、C1−C4−アルコキシカルボニル、シアノまたはニトロであり;最も好ましくは、R1、R2、R3およびR4が各々独立してC1−C4−アルキル、クロロ、ブロモである]の化合物である。
【0062】
さらなる一層の一の特定のクラスの化合物は、式I[ここで、n=0、X=アリールカルボニル、1〜6個のヒドロキシ基で置換されているC1−C6アルキル、N−アルキルカルバモイルまたは−C(=N−R5)R6であり、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1個が各々独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、C1−C4−アルキル、ヒドロキシ、C2−C4−アルケニル、C2−C4−アルキニル、ハロ−C1−C4−アルキル、C1−C4−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C1−C4−アルカノイル、アミノ、アミノ−C1−C4−アルキル、N−(C1−C4−アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−C4−アルキル)アミノ、メルカプト、C1−C4−アルキルチオ、スルホ、C1−C4−アルキルスルホ、スルフィノ、C1−C4−アルキルスルフィノ、カルボキシ、C1−C4−アルコキシカルボニル、シアノまたはニトロであり;最も好ましくは、R1、R2、R3およびR4が各々独立してC1−C4−アルキル、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヒドロキシである]の化合物である。
【0063】
別の特定のクラスの化合物は、式I[ここで、n=0、X=2−1H−イミダゾリル、6−(2,3−ジヒドロ)ベンゾ[1,4]ジオキシニル、3−ブロモ−4−フルオロフェニル、3−ブロモ−4−メトキシフェニル、3−エトキシフェニル、3−フェノキシフェニル、4−フェノキシフェニル、4−ベンジルオキシ−3−メトキシフェニル、2−(4−ブロモ)チオフェニル、4−イソプロポキシフェニル、3−キノリニル、4−キノリニル、5−(2,3−ジヒドロ)ベンゾフラニル、2−フラニル、4−トリフルオロメチルフェニル、2−[5−(3−トリフルオロメチルフェニル)]フラニルまたは2−(5−ヒドロキシメチル)フラニルであり、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1個が各々独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、C1−C4−アルキル、ヒドロキシ、C2−C4−アルケニル、C2−C4−アルキニル、ハロ−C1−C4−アルキル、C1−C4−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C1−C4−アルカノイル、アミノ、アミノ−C1−C4−アルキル、N−(C1−C4−アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−C4−アルキル)アミノ、メルカプト、C1−C4−アルキルチオ、スルホ、C1−C4−アルキルスルホ、スルフィノ、C1−C4−アルキルスルフィノ、カルボキシ、C1−C4−アルコキシカルボニル、シアノまたはニトロであり;最も好ましくは、R1、R2、R3およびR4が各々独立してC1−C4−アルキル、フルオロ、クロロまたはブロモである]の化合物である。
【0064】
他の代表的な化合物は:
(a)式I[ここで、n=0、X=フェニル、R1=R2=R4=HおよびR3=Clである]の化合物;
(b)式I[ここで、n=0、X=フェニル、R1=R2=R3=HおよびR4=イソプロピルである]の化合物;
(c)式I[ここで、n=0、X=4−メチルフェニル、3−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、4−メチルチオフェニル、2−ピリジニル、2−キノリニルまたは5−ベンゾ[1,3]ジオキソリル;R1=R4=HおよびR2=R3=Meである]の化合物;
(d)式I[ここで、n=0、X=4−メチルフェニル、3−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシフェニル、4−クロロフェニル、4−メチルチオフェニル、2−ピリジニル、3−ピリジニル、4−ピリジニル、2−キノリニル、4−メトキシフェニルまたは5−ベンゾ[1,3]ジオキソリル;R1=R3=HおよびR2=R4=Meである]の化合物;
(e)式I[ここで、n=0、X=4−ヒドロキシフェニル、4−メトキシフェニル、4−クロロフェニル、4−メチルチオフェニル、2−キノリニル、3−ピリジニルまたは4−ピリジニル、R1=R3=R4=HおよびR2=Et、FまたはBrである]の化合物;
【0065】
(f)式I[ここで、n=0、X=4−メチルフェニル、2−ピリジニル、3−ヒドロキシフェニルまたは5−ベンゾ[1,3]ジオキソリル;R1=R3=R4=HおよびR2=EtまたはFである]の化合物;
(g)式I[ここで、n=0、X=4−メチルフェニル、3−ヒドロキシフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、4−メチルチオフェニルまたは5−ベンゾ[1,3]ジオキソリル;R1=R3=R4=HおよびR2=Clである]の化合物;
(h)式I[ここで、n=0、X=4−メチルフェニル、3−ヒドロキシフェニル、4−クロロフェニル、4−メチルチオフェニル、2−ピリジニル、4−ピリジニル、2−キノリニルまたは5−ベンゾ[1,3]ジオキソリル;R1=R2=R4=HおよびR3=Meである]の化合物;
(i)式I[ここで、n=0、X=4−メチルフェニル、3−ヒドロキシフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、4−メチルチオフェニル、2−ピリジニルまたは5−ベンゾ[1,3]ジオキソリル;R1=R4=H;R2=ClおよびR3=Meである]の化合物;
(j)式I[ここで、n=0、X=5−ベンゾ[1,3]ジオキソリル;R1=R3=R4=HおよびR2=Meである]の化合物;
(k)式I[ここで、n=0、X=カルボキシ;R1=Me;R2=R4=HおよびR3=OHである]の化合物;
(l)式I[ここで、n=0、X=アセチル;R1=R3=OHおよびR2=R4=Hである]の化合物:
を含む。
【0066】
さらなる一の特定のクラスの化合物は、式II[ここで、X=カルボキシ、アセチル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ホルミル、1〜6個のヒドロキシ基で置換されているC1−C6アルキル、アリール、アルキルオキシカルボニル、N−アルキルカルバモイルまたは−C(=N−R5)R6であり、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1個が各々独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、C1−C4−アルキル、ヒドロキシ、C2−C4−アルケニル、C2−C4−アルキニル、ハロ−C1−C4−アルキル、C1−C4−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C1−C4−アルカノイル、アミノ、アミノ−C1−C4−アルキル、N−(C1−C4−アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−C4−アルキル)アミノ、メルカプト、C1−C4−アルキルチオ、スルホ、C1−C4−アルキルスルホ、スルフィノ、C1−C4−アルキルスルフィノ、カルボキシ、C1−C4−アルコキシカルボニル、シアノまたはニトロであり;最も好ましくは、R1、R2、R3およびR4が各々独立してC1−C4−アルキル、フルオロ、クロロまたはブロモである]の化合物である。
【0067】
さらなる一の特定のクラスの化合物は、式II[ここで、X=カルボキシ、アセチル、ホルミル、1〜6個のヒドロキシ基で置換されているC1−C6アルキルであり、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1個が各々独立して、C1−C4−アルキル、フルオロ、クロロまたはブロモである]の化合物である。
【0068】
さらなる一の特定のクラスの化合物は、式III[ここで、D=CHCH3、CHCH2OHまたはカルボニルであり、−−が単結合であるか;またはD=CCH3であり、−−が二重結合であり;ならびにR1、R2、R3およびR4の少なくとも1個が各々独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、C1−C4−アルキル、ヒドロキシ、C2−C4−アルケニル、C2−C4−アルキニル、ハロ−C1−C4−アルキル、C1−C4−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C1−C4−アルカノイル、アミノ、アミノ−C1−C4−アルキル、N−(C1−C4−アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−C4−アルキル)アミノ、メルカプト、C1−C4−アルキルチオ、スルホ、C1−C4−アルキルスルホ、スルフィノ、C1−C4−アルキルスルフィノ、カルボキシ、C1−C4−アルコキシカルボニル、シアノまたはニトロであり;最も好ましくは、R1、R2、R3およびR4が各々独立してC1−C4−アルキル、フルオロ、クロロまたはブロモまたはヒドロキシである]の化合物である。
【0069】
さらなる一の特定のクラスの化合物は、式III[ここで、D=CHまたはCH2であり;R1、R2、R3およびR4の少なくとも1個が各々独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、C1−C4−アルキル、C2−C4−アルケニル、C2−C4−アルキニル、ハロ−C1−C4−アルキル、C1−C4−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C1−C4−アルカノイル、アミノ、アミノ−C1−C4−アルキル、N−(C1−C4−アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−C4−アルキル)アミノ、メルカプト、C1−C4−アルキルチオ、スルホ、C1−C4−アルキルスルホ、スルフィノ、C1−C4−アルキルスルフィノ、カルボキシ、C1−C4−アルコキシカルボニル、シアノまたはニトロであり;最も好ましくは、R1、R2、R3およびR4が各々独立してC1−C4−アルキル、フルオロ、クロロまたはブロモである]の化合物である。
【0070】
本発明の文脈において、上記で用いた一般用語は以下の意味を有する:
【0071】
「ハロゲン」なる用語はハロゲン原子に関し、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であってもよい。
【0072】
「アルキル」なる用語はアルカンに由来するアルキル基に関し、直鎖、分岐鎖もしくは環状鎖または直鎖および環状鎖の組み合わせまたは分岐鎖および環状鎖の組み合わせであってもよい。好ましい直鎖または分岐鎖アルキルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルである。メチルが最も好ましい。好ましい環状アルキルは、例えば、シクロペンチルまたはシクロヘキシルである。アルキル基は、ハロゲン(好ましくは、フッ素または塩素)、ヒドロキシ、アルコキシ(好ましくは、メトキシまたはエトキシ)、アシル、アシルアミノシアノ、アミノ、N−(C1−C4)アルキルアミノ(好ましくは、N−メチルアミノまたはN−エチルアミノ)、N,N−ジ(C1−C4−アルキル)アミノ(好ましくは、ジメチルアミノまたはジエチルアミノ)、アリール(好ましくは、フェニル)またはヘテロアリール、チオカルボニルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミジノ、アルキルアミジノ、チオアミジノ、アミノアシル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、アリールオキシアリール、ニトロ、カルボキシル、カルボキシルアルキル、カルボキシル−置換アルキル、カルボキシル−シクロアルキル、カルボキシル−置換シクロアルキル、カルボキシルアリール、カルボキシル−置換アリール、カルボキシルヘテロアリール、カルボキシル−置換ヘテロアリール、カルボキシル複素環、カルボキシル−置換複素環、シクロアルキル、シクロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシおよびオキシカルボニルアミノを含む、1個〜最高5個までの置換基で置換されていてもよい。かかる置換アルキル基は「アルキル」の本定義の範囲内である。
【0073】
「C1−C4−アルキル」なる用語は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を示す。同様に、「C1−C7−アルキル」なる用語は、1〜7個の炭素原子を有するアルキル基を示す。特定の基に含まれる炭素原子の数を示すために同様の専門用語を本明細書中で用いる。アルキルの本定義は、アルコキシのごときアルキル部分を有する他の基についても適用される。
【0074】
「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する、2〜10個、好ましくは、2〜6個の炭素原子からなる直鎖または分岐鎖の一価炭化水素ラジカルを意味する。アルケニル基はアルキルと同じ基で置換されていてもよく、適宜置換された該アルケニル基は「アルケニル」なる用語の範囲内である。エテニル、プロペニル、ブテニルおよびシクロヘキセニルが好ましい。
【0075】
「アルキニル」は、2〜10個の、好ましくは、2〜6個の炭素原子からなる直鎖または分岐鎖を有し、少なくとも1個、好ましくは、3個以下の炭素−炭素三重結合を有する、直鎖または分岐鎖の一価炭化水素ラジカルを意味する。アルキニル基はアルキルと同じ基で置換されていてもよく、該置換基はアルキニルの本定義の範囲内である。エチニル、プロピニルおよびブチニル基が好ましい。
【0076】
「シクロアルキル」は、3〜8個の炭素原子を有し、アリールまたはヘテロアリール基に所望により縮合した単環を有する環状基を意味する。シクロアルキル基は、以下の「アリール」について特定されるように置換され得、置換されたシクロアルキル基は「シクロアルキル」の本定義の範囲内である。好ましいシクロアルキルはシクロペンチルおよびシクロヘキシルである。
【0077】
「アリール」は、フェニルのごとき単環またはナフチルのごとき複数の縮合環を有する、6〜14個の炭素原子からなる不飽和芳香族炭素環式基を意味する。アリールは所望によりさらに脂肪族もしくはアリール基に縮合されてもよく、または1個または複数の置換基、例えば、ハロゲン(フッ素、塩素および/または臭素)、ヒドロキシ、C1−C7アルキル、C1−C7アルコキシまたはアリールオキシ、C1−C7アルキルチオまたはアリールチオ、アルキルスルホニル、シアノまたは第1級または非第1級アミノで置換され得る。
【0078】
「ヘテロアリール」は、2〜10個の炭素原子および1〜4個のヘテロ原子、例えば、O、SまたはNを有する単環式または二環式芳香族炭化水素環を意味する。ヘテロアリール環は所望により、別のヘテロアリール、アリールまたは脂肪族環状基に縮合されてもよい。この型の例としては、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、インドール、ピリジン、オキサゾール、チアゾール、ピロール、ピラゾール、テトラゾール、ピリミジン、ピラジンおよびトリアジンが挙げられ、フラン、ピロール、ピリジンおよびインドールが好ましい。該用語は、上記アリールについて特定したものと同じ置換基で置換された基を含む。
【0079】
「複素環」は、単環または複数環を有し、1〜10個の炭素原子および1〜4個の窒素、硫黄または酸素から選択されるヘテロ原子を有する飽和または不飽和基を意味し、縮合環系において、他の1個または複数の環はアリールまたはヘテロアリールであり得る。複素環式基は、アルキル基について特定したように置換され得、このように置換された複素環式基は本定義の範囲内である。
【0080】
「アルコキシ」なる用語は、アルコキシ基を含有する直鎖または分岐鎖に関する。かかる基の例としては、メトキシ、プロポキシ、プロパ−2−オキシ、ブトキシ、ブタ−2−オキシまたはメチルプロパ−2−オキシが挙げられる。
【0081】
「アルカノイル」基なる用語は、アシル基を含有する直鎖鎖に関し、例えば、ホルミル、アセチルまたはプロパノイルである。
【0082】
用語「アロイル」基は、ベンゾイルのごとき芳香族アシル基に関する。
【0083】
式IおよびIIIの化合物は、クマリン核上に少なくとも1個の酸性ヒドロキシ基を有し、ならびに式IIの化合物では、Xはカルボキシ基を示す。故に、これらの化合物は医薬上許容される塩基と対応する塩を形成してもよい。本発明はかかる塩を包含する。ヒドロキシ置換基にて形成される塩の例としては、例えば、アルミニウム塩、ナトリウムまたはカリウムのごときアルカリ金属の対応する塩、カルシウムまたはマグネシウムのごときアルカリ土類金属の塩、亜鉛および銅のごとき遷移金属の医薬上許容される塩、アンモニアとの塩、または低級有機アミン、例えば、環状アミン、1−、2−または3置換低級アルキルアミン、低級ヒドロキシアルキルアミン、例えば、低級モノ−、ジ−またはトリヒドロキシアルキルアミン、低級(ヒドロキシアルキル)アルキルアミンまたは低級ポリヒドロキシアルキルアミンとの塩、ならびにアミノ酸、例えば、メチルグルタミン、アラニンまたはセリンとの塩が挙げられる。適当な医薬上許容される環状アミンとしては、例えば、モルホリン、チオモルホリン、ピペリジンまたはピロリジンが挙げられる。適当な低級モノアルキルアミンとしては、例えば、エチルアミンおよびtert−ブチルアミンが挙げられ、適切なジアルキルアミンとしては、例えば、ジエチルアミンおよびジイソプロピルアミンが挙げられ、適切な低級トリアルキルアミンとしては、例えば、トリメチルアミンおよびトリエチルアミンが挙げられる。対応する低級ヒドロキシアルキルアミンとしては、例えば、モノ−、ジ−またはトリエタノールアミンが挙げられ;低級(ヒドロキシアルキル)アルキルアミンとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノエタノールおよびN,N−ジエチルアミノエタノールが挙げられる。適切なアミノ酸としては、例えば、リジン、アルギニン、メチルグルタミン、アラニンまたはセリンが挙げられる。
【0084】
例えば、アミノまたはアルキルアミノ基を含む、塩基性特性を有する任意の置換基は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸または硫酸)または有機酸(例えば、酒石酸、酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、マレイン酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、コハク酸、メタンスルホン酸、シュウ酸およびp−トルエンスルホン酸)と医薬上適切な塩を形成してもよい。これらの塩は、本発明の化合物の最終的な単離および精製の間に系内にて調製されてもよく、或いは当業者に知られている様式にて、例えば、エーテル(ジエチルエーテル)またはアルコール(エタノール、n−プロパノール、2−プロパノールまたはtert−ブタノール)のごとき適切な溶媒または溶媒混合物中、適切な無機または有機塩基との反応において別々に調製されてもよく、或いは当量の対応する反応物質を混合し、その後、凍結乾燥し、反応混合物を精製することにより調製されてもよい。
【0085】
「低級」なる接頭辞は、最高7個までの、好ましくは、最高4個までの炭素原子を有するラジカルを示す。低級アルキルは、例えば、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシルまたはn−ヘプチルであり、好ましくは、エチルまたはメチルである。
【0086】
本発明の化合物の遊離形態および塩形態の間の密接な関係を考慮すると、本発明において、本発明の化合物の遊離形態およびそれらの医薬上許容される塩は同一形態であり、対応する文脈において、本発明の化合物の遊離形態およびそれらの対応する医薬上許容される塩を同義とみなすことが適切であることが理解されるべきである。
【0087】
本発明は、式I、IIおよびIIIの化合物のプロドラッグ、すなわち、哺乳類対象へ投与された場合にインビボで式I、IIまたはIIIで示す活性薬剤を放出する化合物も包含する。式I、IIおよびIIIの化合物のプロドラッグは、インビボで修飾が切断されて親化合物を放出するように式I、IIおよびIIIの化合物中に存在する官能基を修飾することにより調製される。プロドラッグは、式I、IIおよびIIIの化合物を包含し、ここで、式I、IIおよびIIIの化合物のヒドロキシ、アミノまたはカルボキシ基は、インビボで切断されて各々遊離ヒドロキシ、アミノまたはカルボキシ基を再生し得る任意の基に結合されている。プロドラッグの例としては、式I、IIおよびIIIの化合物のエステル(例えば、酢酸、ギ酸および安息香酸誘導体)、或いは生理的pHに曝露させるかまたは酵素作用により活性のある親薬剤に変換される任意の他の誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
本発明は、式I、IIおよびIIIの化合物またはそれらの塩により形成され得る溶媒和物(好ましくは、水和物)にも関する。本発明は、式I、IIおよびIIIの化合物またはそれらの塩により形成され得るクラスレートにも関する。
【0089】
式I、IIおよびIIIにより示される化合物およびそれらの塩は、1以上の物理的形態(例えば、異なる結晶形態)にて存在してもよく、本発明は、式I、IIおよびIIIにより示される化合物およびそれらの混合物の全ての物理的形態(例えば、全ての結晶形態)に関する。
【0090】
式I、IIおよびIIIの化合物は、互変異性の結果として形成されてもよい様々な形態の構造異性体として存在してもよく、平衡状態において異なる割合で存在してもよい。動的平衡に起因して、かかる異性体(互変体)はある異性体形態から別の形態へと迅速に相互交換可能である。最も一般的な異性はケト−エノール互変異性であるが、開鎖および環状形態の間の平衡も知られている。本発明において式I、IIおよびIIIの化合物に対して言及される場合は常に、別個の異性体として単離されるかまたは平衡状態において様々な割合の任意の他の混合物として存在している、その互変体形態、ケト−エノール互変体、開鎖の環が意図されることが理解されるべきである。式I、IIおよびIIIの特定化合物についての主な異性体形態は、置換基の性質、化合物が遊離形態またはその任意の塩形態にて存在するかどうか、塩の形態、化合物が溶解する溶媒ならびに溶液のpH値に依存する。
【0091】
本発明の化合物はさらに、様々な幾何異性体または様々な立体異性体として存在してもよい。不斉(立体、キラル)中心の周囲の空間にある原子の配置だけが異なる異性体は「立体異性体」と呼ばれる。互いの鏡像ではない立体異性体はジアステレオマーと呼ばれ、鏡像関係を有する立体異性体、すなわち、互いの鏡像である立体異性体はエナンチオマーと呼ばれる。各立体異性体は、Cahn−Ingold−Prelog優先規則を用いて立体中心の絶対配置を決定することにより特徴付けられてもよく、それ故に、R−またはS−異性体として特徴付けられる。立体異性体の別の同定方法は、分子を通過する偏光面の回旋の測定であり、キラル分子を右旋性(+)または左旋性(−)異性体として表す。キラル分子は、単一のエナンチオマー形態またはエナンチオマーの混合物として存在してもよい。等量の(+)および(−)エナンチオマーからなるキラル物質の混合物はラセミ混合物と呼ばれる。本発明は、別個のエナンチオマー、ジアステレオマーとして単離されるか、またはラセミ体もしくはそれらの任意の他の混合物として存在する、式I、IIおよびIIIにより示されてもよい各立体異性体に関する。立体異性体の立体化学配置、分解および分離の測定方法は文献にてよく知られている。エナンチオマーは、当業者に知られている方法により、例えば、結晶化により分離されてもよいジアステレオマー塩の形成;例えば、結晶化、ガス液体または液体クロマトグラフィーにより分離されてもよいジアステレオマー誘導体または複合体の形成;あるエナンチオマーとエナンチオマー−特異的試薬の選択的反応、例えば、酵素によるエステル化;或いはキラル環境下、例えば、キラルリガンドが結合したシリカのごときキラル支持体上、またはキラル溶媒の存在下でのガス液体または液体クロマトグラフィーにより分解されてもよい。ジアステレオマー対は、当業者に知られている方法により、例えば、クロマトグラフィーまたは結晶化により分離されてもよく、各対にある個々のエナンチオマーは上記したように分離されてもよい。
【0092】
本発明は、オキシムまたは同様の基が存在する場合には、syn−anti型の立体異性体およびそれらが生じる混合物も包含する。オキシムの末端の二重結合した原子の1つに連結したCahn−Ingold−Prelog優先度の最も高い基が、オキシムのヒドロキシ基と比較される。立体異性体は、オキシムヒドロキシルが最も高い優先度の基としてC=N二重結合を通過する参照面と同じ側にあるならば、Z(zusammen=共に)またはSynとして示され;他の立体異性体はE(entgegen=反対)またはAntiとして示される。
【0093】
本発明のさらなる一の態様は、式I、IIおよびIIIの化合物およびそれらの塩の調製方法、および/または所望により塩形成特性を有する式I、IIおよびIIIにより示される得られた遊離化合物を対応する塩に変換すること、および/または所望により得られた塩を遊離化合物または他の塩に変換することを含む。
【0094】
本発明は、本発明の化合物およびそれらの医薬上許容される塩の調製の間に得られる反応性中間体にも関する。かかる中間体は単離され、特徴付けられるか、または単離されずに次工程の化学合成に使用され得る。
【0095】
当業者には、式I、IIおよびIIIの化合物の調製において用いる中間体の保護誘導体の使用が所望されてもよいことが理解されよう。官能基の保護および脱保護は当該分野において知られている方法により実施されてもよい。ヒドロキシまたはアミノ基は、任意のヒドロキシまたはアミノ保護基を用いて、例えば、Green,T.W.;Wuts,P.G.M.Protective Groups in Organic Synthesis:John WileyおよびSons,New York,1999にて記載されているように実施されてもよい。保護基の選択、それらの付加および除去方法は一般的であり、当業者によく知られている。アミノ保護基は慣用技法により除去されてもよい。例えば、アルカノイル、アルコキシカルボニルおよびアロイル基のごときアシル基は、加溶媒分解、例えば、酸性または塩基性条件下での加水分解により除去されてもよい。アリールメトキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル)は、炭素上パラジウムのごとき触媒の存在下での水素化分解により切断されてもよい。
【0096】
合成手順:
式I、IIおよびIIIに含まれる化合物は本明細書中記載する以下の方法により調製され得る。
【0097】
式I[ここで、AはCH−X基であり、Xはカルボキシ、アセチル、アルキルカルボニル、−CH2OHまたは
【化6】

基であり、n=0である]の化合物ならびに式I[ここで、Aはカルボニル基であり、n=1である]の化合物は、式IV:
【化7】

(IV)
の適切なヒドロキシクマリンと対応する脂肪族アルデヒド、例えば、グリオキシル酸、ピルビンアルデヒド、グリコールアルデヒドまたはグリセルアルデヒドの縮合を含む方法により調製されてもよい。好ましくは、反応は、水もしくは水性バッファーのごとき水性培地または用いる化学試薬に不活性な水性−有機培地中で実施される。適切な有機溶媒としては、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトン、メタノール、エタノール、2−プロパノールおよびtert−ブタノールが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい有機溶媒としては、アセトニトリル、メタノール、エタノールおよび2−プロパノールが挙げられるが、これらに限定されない。緩衝化した水性または水性−有機培地を使用する場合、反応は、2〜12のpH範囲、好ましくは、6〜9のpH範囲で実施されてもよい。市販の水性アルデヒド溶液を反応に用いてもよく、ヒドロキシクマリンに対して実質的に過剰量で、好ましくは、2:1の比で用いられてもよい。反応は、0℃ないし用いる溶媒の沸点の範囲の温度で実施されてもよい。
【0098】
式I[ここで、AはCH−X基であり、Xはアリールカルボニル基であり、n=0である]の化合物は、式IV:
【化8】

(IV)
の適切なヒドロキシクマリンを、DMSOの存在下、0℃〜120℃の範囲の温度、好ましくは、80℃で、対応するハロゲン化α−アシルの酸化により系内で調製されたアルデヒドと縮合させることを含む方法により調製されてもよい(例えば、Trkovnik,M.ら.Acta Pharm.Jugosl.1982,32,21−27を参照のこと)。
【0099】
所望により、式I[ここで、AはCH−X基であり、XはCH2OHであり、n=0である]の化合物は、式III[ここで、DはCHOHであり、−−は単結合である]の対応する分子内ヘミアセタール(例えば、v2005/010006を参照のこと)または式I[ここで、AはCH−X基であり、Xはホルミル基であり、n=0である]のアルデヒド(例えば、WO03/029237を参照のこと)から調製されてもよい。本セクションで言及した化合物は、当業者に知られている標準的な還元試薬を用いて、例えば、シアノ水素化ホウ素ナトリウムのごとき金属錯体水素化物を用いて調製され得る。
【0100】
所望により、式I[ここで、AはCH−X基であり、Xは
【化9】

基であり、n=0である]
の化合物は、式I[ここで、AはCH−Xであり、Xはアセチル基であり、n=0である]の対応するケトンから調製されてもよい。本セクションで言及した化合物は、当業者に知られている標準的な還元試薬を用いて、例えば、シアノ水素化ホウ素ナトリウムのごとき金属錯体水素化物を用いて調製され得る。
【0101】
所望により、式I[ここで、AはCH−X基であり、XはOHであり、n=1である]の化合物は、式I[ここで、Aはカルボニル基であり、n=1である]の対応するケトンから調製されてもよい。本セクションで言及した化合物は、当業者に知られている標準的な還元試薬を用いて、例えば、シアノ水素化ホウ素ナトリウムのごとき金属錯体水素化物を用いて調製され得る。
【0102】
式I[ここで、AはCH2であり、n=1である]の化合物は、当業者に知られている手順、例えば接触水素化により、式I[ここで、Aはカルボニル基であり、n=1である]の化合物の還元を含む方法により調製されてもよい。
【0103】
式I[ここで、AはCH−X基であり、Xはアルキルオキシカルボニル基であり、n=0である]の化合物は、硫酸のごとき脱水剤または酸性触媒の存在または不在下での適切なカルボン酸またはラクトンと対応するアルコールの縮合を含む方法により調製されてもよい(例えば、Fucik,K.ら.Bull.Soc.Chim.Fr.1949,16,99−103;ibid.,1949,16,609−610を参照のこと)。
【0104】
式I[ここで、AはCH−X基であり、XはN−アルキルカルバモイル基であり、n=0である]の化合物は、当業者によく知られている標準的なアミドカップリング手順を用いる、適切なカルボン酸またはラクトンと対応する第1級アミンの縮合を含む方法により調製されてもよい(例えば、Romo,D.ら.J.Am.Chem.Soc.1998,120,12237−12254を参照のこと)。
【0105】
式I[ここで、AはCH−X基であり、Xは−C(=N−R5)R6基であり、n=0である]の化合物は、当業者によく知られているオキシム、イミンおよびヒドラゾンの標準的な調製手順を用いる、対応する式III[ここで、DはCHOHであり、−−は単結合である]の分子内ヘミアセタール(例えば、WO2005/010006を参照のこと)または式I[ここで、AはCH−X基であり、Xはホルミル基であり、n=0である]のアルデヒド(例えば、WO03/029237を参照のこと)または式I[ここで、AはCH−X基であり、Xはアセチルまたはアルキルカルボニル基であり、n=0である]のケトン各々とヒドロキシルアミン、O−アルキルヒドロキシルアミン(例えば、O−メチルヒドロキシルアミン)、ヒドラジン、アルキルヒドラジン(例えば、メチルヒドラジン)、アリールアミン(例えば、アニリン)およびアリールヒドラジン(例えば、フェニルヒドラジン)各々の縮合を含む方法により調製されてもよい(例えば、Hadjipavlou−Litina,D.J.ら.Bioorg.Med.Chem.Lett.2004,14,611−614を参照のこと)。
【0106】
式I[ここで、AはC=N−R5基であり、n=1である]の化合物は、当業者によく知られているオキシム、イミンおよびヒドラゾンの標準的な調製手順を用いる、式I[ここで、Aはカルボニル基であり、n=1である]の対応するケトンとヒドロキシルアミン、O−アルキルヒドロキシルアミン(例えば、O−メチルヒドロキシルアミン)、ヒドラジン、アルキルヒドラジン(例えば、メチルヒドラジン)、アリールアミン(例えば、アニリン)およびアリールヒドラジン(例えば、フェニルヒドラジン)各々の縮合を含む方法により調製されてもよい(例えば、Hadjipavlou−Litina,D.J.ら.Bioorg.Med.Chem.Lett.2004,14,611−614を参照のこと)。
【0107】
式I[ここで、AはCH−X基であり、Xはアリールまたはヘテロアリールであり、n=0である]の化合物は、当業者に知られている手順を用いる、適切なヒドロキシクマリンとアリールまたはヘテロアリールアルデヒドの縮合を含む方法により調製されてもよい(例えば、Zhao,H.ら.J.Med.Chem.1997,40,242−249;Sullivan,W.R.ら.J.Am.Chem.Soc.1943,65,2288−2291を参照のこと)。
【0108】
式IIの化合物は、塩化チオニル、無水酢酸、無水酢酸−酢酸または無水酢酸−ピリジン混合物のごとき様々な脱水剤を用いてピラン環が形成される分子内脱水方法により(例えば、Huebner,C.F.ら.J.Am.Chem.Soc.1943,65,2292−2296;Fucik,K.ら.Collect.Czech.Chem.Commun.1951,16,304−318;ibid.,319−326を参照のこと)、次いで、必要に応じて、感受性官能基の保護のための通常の方法により、対応する式I[ここで、n=0である]の化合物から調製されてもよい。反応は、約0℃ないし用いる溶媒の沸点の範囲の温度にて実施されてもよい。幾つかの場合において、脱水方法の後に、当業者によく知られている手順により、例えば、酸またはアルカリ加水分解により、1個または複数のアセチル基を除去することが所望されよう。
【0109】
所望により、式II[ここで、Xはホルミル基である]の化合物は、式III[ここで、DはCHOHであり、−−は単結合である]の対応する分子内ヘミアセタール(例えば、WO2005/010006を参照のこと)から、直前のセクションで記載した方法により調製されてもよい。
【0110】
式II[ここで、Xは
【化10】

基である]の化合物は、式II[ここで、Xはアセチル基である]の対応するケトンから調製されてもよい。本セクションに記載した化合物は、当業者に知られている標準的な還元試薬を用いて、例えば、シアノ水素化ホウ素ナトリウムのごとき金属錯体水素化物を用いて調製され得る。
【0111】
式III[ここで、Dはカルボニル基である]の化合物は、当業者に知られている手順によるラクトン環の形成を含む方法により、式I[ここで、AはCH−Xであり、Xはカルボキシ基であり、n=0である]の化合物から調製されてもよい(例えば、Fucik,K.ら.Bull.Soc.Chim.Fr.1949,16,609−610を参照のこと)。好ましくは、反応は、脱水剤、例えば塩化チオニル、アルキルモノカルボン酸、例えば、酢酸、無水酢酸−酢酸または塩化チオニル−酢酸混合物中にて実施される。反応は、約0℃ないし用いる溶媒の沸点付近の範囲の温度にて実施されてもよい。
【0112】
式III[ここで、DはCCH3であり、−−は二重結合である]の化合物は、フラン環の形成を含む方法により、式I[ここで、AはCH−X基であり、Xはカルボキシ基であり、n=0である]の化合物から調製されてもよい(例えば、Fucik,K.ら.Collect.Czech.Chem.Commun.1951,16,296−303;ibid.,304−318を参照のこと)。好ましくは、反応は、無水酢酸中、または硫酸のごとき脱水剤の存在下の酢酸中にて実施される。幾つかの場合において、脱水方法の後、当業者によく知られている手順により、例えば酸またはアルカリ加水分解により、1個または複数のアセチル基を除去することが所望されよう。或いは、上記化合物は、脱水剤、例えば塩化チオニル(例えば、Fucik,K.ら.Collect.Czech.Chem.Commun.1951,16,319−326を参照のこと)またはトリフルオロ酢酸中、式I[ここで、AはCH−Xであり、Xはアセチル基であり、n=0である]の化合物から調製されてもよい。
【0113】
式III[ここで、DはCH2基であり、−−は単結合である]の化合物は、式IVの適切なヒドロキシクマリンと2−クロロアセトアルデヒド、そのアセタール、グリコールアルデヒドまたはそのアセタールの縮合を含む方法により調製されてもよい(Fucik,K.ら.Bull.Soc.Chim.Fr.1949,16,626−628)。好ましくは、反応は、水、アルキルモノカルボン酸、例えば、酢酸またはトリフルオロ酢酸またはそれらの混合物中で実施され、その後、当業者によく知られている通常の精製手順、例えば再結晶化またはトリチュレーションを行う。或いは、上記化合物は、トリフルオロ酢酸のごとき脱水剤中、式I[ここで、AはCH−X基であり、Xは−CH2OH基であり、n=0である]の化合物から調製されてもよい。
【0114】
式III[ここで、DはCH基であり、−−は二重結合である]の化合物は、対応する式III[ここで、DはCH2基であり、−−は単結合である]の化合物の芳香族化を含む方法により調製されてもよく、これは本発明の目的物である。芳香族化方法は、ハロゲン化により、最も好ましくは、過酸化ベンゾイルのごときラジカルソースの存在下、N−ブロモスクシンイミドのごとき試薬を用いる臭素化により実施されてもよく(Furniss,B.S.ら.,Eds.,Vogel’s Textbook of Practical Organic Chemistry:Longman,London,1989)、その後、系内で脱ハロゲン化水素を行う。好ましくは、反応は、テトラクロロメタンのごとき用いる化学試薬に不活性な有機溶媒中で実施される。反応は、0℃ないし沸点の範囲の温度にて、好ましくは、用いる溶媒の沸点にて実施されてもよい。
【0115】
式III[ここで、DはCHCH2OHであり、−−は単結合である]の化合物は、式IVの適切なヒドロキシクマリンとグリセルアルデヒドの縮合を含む方法により調製されてもよい(例えば、Eckstein,M.ら.Roczniki Chem.1964,38,1115−1120を参照のこと)。好ましくは、反応は、水、アルキルモノカルボン酸、例えば、酢酸またはトリフルオロ酢酸またはそれらの混合物中で実施され、その後、当業者によく知られている通常の精製手順、例えば再結晶化またはトリチュレーションが実施される。或いは、上記化合物は、酢酸のごときアルキルモノカルボン酸中、式I[ここで、AはCH−X基であり、Xは
【化11】

基である]の化合物から調製されてもよい。反応は、0℃ないし用いる溶媒の沸点の範囲の温度にて実施されてもよい。幾つかの場合において、脱水方法の後、当業者によく知られている手順により、例えば加水分解、最も好ましくは、水を添加することにより、中間体を単離することなく1個または複数のアセチル基を除去することが所望されよう。
【0116】
式III[ここで、DはCHCH3であり、−−は単結合である]の化合物は、式IVの適切なヒドロキシクマリンとアクロレインまたは2−ブロモ−プロピオンアルデヒドの縮合を含む方法により調製されてもよい(例えば、Eckstein,M.ら.Acta Pol.Pharm.1988,45,8−13を参照のこと)。好ましくは、反応はエタノール中で実施され、次いで、当業者によく知られている通常の精製手段、例えば再結晶化またはトリチュレーションが実施される。反応は、好ましくは、用いる溶媒の沸点にて実施されてもよい。或いは、上記化合物は、トリフルオロ酢酸のごとき脱水剤中、式I[ここで、AはCH−X基であり、Xは
【化12】

基であり、n=0である]の化合物から調製されてもよい。
【0117】
本発明の化合物の合成に用いるある種の試薬は市販品であり、または既に合成および記載された生成物であり、類似化合物について記載した方法に従って得られるものもある。故に、例えば、式IVのヒドロキシクマリン化合物は、調製有機化学の当業者に本質的に理解され得る様式または文献から知られている様式にて、例えば、硫酸の50%水溶液(例えば、Desai,N.J.ら.J.Org.Chem.1957,22,388−390)または塩酸の25%水溶液(例えば、Sonn,A.Ber.1917,50,1292−1305を参照のこと)のごとき強酸性培地中での加水分解により、式V:
【化13】

(V)
の対応するエナミンから調製されてもよい。式Vのエナミンは、文献において十分に記載されている様式にて、例えば、市販のフェノールとシアノ酢酸(例えば、Sonn,A.Ber.1917,50,1292−1305を参照のこと)またはシアノ酢酸エチルのごときアルキルエステル(例えば、Desai,N.J.ら.,J.Org.Chem.1957,22,388−390を参照のこと)のいずれかとの縮合により調製されてもよい。
【0118】
ヒドロキシクマリンの様々な誘導体の他の調製方法は既に非常に詳細に記載されており、例えば、置換フェノールにおけるマロン酸作用の直接的方法(例えば、Buckle,D.ら.,J.Med.Chem.1975,18,391−394を参照のこと)または置換o−ヒドロキシアセトフェノン(例えば、Boyd,J.ら.,J.Chem.Soc.1948,174−176;Hermodson,M.ら.,J.Med.Chem.1971,14,167−169を参照のこと)またはヒドロキシ安息香酸(Appendino,G.ら.,J.Nat.Prod.1999,62,1627−1631;EP 0694257 A1)から出発する、より間接的な方法が挙げられる。
【0119】
使用方法
本発明は、哺乳類(特にヒト)における免疫系の障害の結果として生じ得る疾患、状態、障害および/または症状、特に、炎症性疾患、状態、障害および症状、特に喘息の処置および予防における治療上有効量の式I、IIおよびIIIの化合物ならびにそれらの医薬上許容される塩、溶媒和物(水和物を含む)、クラスレート、互変体および立体異性体の使用に関する。
【0120】
本発明はさらに、哺乳類(特にヒト)における免疫系の障害の結果として生じ得る疾患、状態、障害および/または症状、特に、炎症性疾患、状態、障害および症状、特に喘息の処置および予防における治療上有効量の式VI:
【化14】

(VI)
の化合物ならびに式VIIおよびVIII
【化15】

(VII)
【化16】

(VIII)
【0121】
[ここで:
1、R2、R3およびR4は各々独立して、水素、ハロゲン、C1−C4−アルキル、C2−C4−アルケニル、C2−C4−アルキニル、ハロ−C1−C4−アルキル、ヒドロキシ、C1−C4−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C1−C4−アルカノイル、アミノ、アミノ−C1−C4−アルキル、N−(C1−C4−アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−C4−アルキル)アミノ、メルカプト、C1−C4−アルキルチオ、スルホ、C1−C4−アルキルスルホ、スルフィノ、C1−C4−アルキルスルフィノ、カルボキシ、C1−C4−アルコキシカルボニル、シアノまたはニトロであり;
Aは、カルボニル、CH−XまたはC=N−R5であり;
各場合においてnは独立して0または1の整数であり;
5は、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールまたはアリールアミノ基であり;
Xは、水素、ヒドロキシ、カルボキシ、アセチル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ホルミル、1〜6個のヒドロキシ基で置換されているC1−C6アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルオキシカルボニル、N−アルキルカルバモイルまたは−C(=N−R5)R6であり;
6は、水素またはCH3であり;
Dは、CH、CH2、CCH3、CHCH3、CHCH2OHまたはカルボニルであり;および
−−は、単結合または二重結合である]
を有するそれらの分子内環化の生成物ならびにそれらの医薬上許容される塩、溶媒和物(水和物を含む)、クラスレート、互変体および立体異性体の使用に関する。
【0122】
「治療上有効量」は、疾患、状態、障害または症状の処置のために哺乳類に投与された場合にかかる処置を達成するのに十分な化合物の用量を意味する。「治療上有効量」は、化合物、疾患およびその重篤度ならびに処置されるべき哺乳類の年齢、体重、身体症状および反応性に依存して変化し得る。
【0123】
疾患、状態、障害または症状の「処置」または「治療」は:
(1)状態、障害または症状に罹患しているかまたはその素因を有し得るが未だその状態、障害または症状の臨床的または亜臨床的症状を経験または露呈していない哺乳類において発現する疾患、状態、障害または症状の臨床的症状の出現の防止または遅延;
(2)状態、障害または症状の阻害、すなわち、該疾患またはその少なくとも1つの臨床的または亜臨床的症状の発現の阻止または軽減;或いは
(3)疾患の軽減または弱力化、すなわち、状態、障害もしくは症状またはその少なくとも1つの臨床的または亜臨床的症状の退行の惹起:
を含む。
【0124】
処置されるべき対象に対する恩恵は、統計的に有意であるか、または少なくとも患者もしくは医師に認識されるものである。
【0125】
急性炎症の4つの古典的症状は、発赤、高温、罹患領域における腫脹および疼痛ならびに罹患器官の機能損失である。特異的状態に付随する炎症の症状および徴候は:
関節リウマチ−罹患した関節の疼痛、腫脹、温感および圧痛;全身のこわばりおよび朝のこわばり;
インスリン依存性糖尿病−膵島炎;この症状は、網膜症、神経障害、腎症を含む炎症性成分を伴う様々な合併症;冠動脈疾患、末梢血管障害および脳血管障害に至り得る;
自己免疫性甲状腺炎−脱力感、便秘、息切れ、顔、手および足の腫れ、末梢浮腫、徐脈;
多発性硬化症−痙攣、視界不良、めまい、四肢脱力感、知覚異常;
ぶどう膜網膜炎−暗視の低下、周辺視野の損失;
紅斑性狼瘡−関節痛、発疹、日光過敏、発熱、筋肉痛、手および足の腫れ、尿検査異常(血尿症、円柱尿、蛋白尿)、糸球体腎炎、認知機能障害、血管内血栓、心膜炎;
【0126】
強皮症−レイノー病;手、腕、足および顔の腫れ;皮膚の肥厚;指および膝の疼痛、腫脹およびこわばり、胃腸障害、拘束性肺疾患;心膜炎;腎不全;
リウマチ様脊椎炎、骨関節炎、敗血症性関節炎および多発性関節炎のごとき炎症性成分を有する他の関節炎状態−発熱、疼痛、腫脹、圧痛;
他の炎症性脳障害、例えば、髄膜炎、アルツハイマー病、AIDSによる認知症の脳炎−羞明、認知機能障害、記憶喪失;
他の炎症性眼炎、例えば、網膜炎−視力低下;
炎症性皮膚障害、例えば、湿疹、他の皮膚炎(例えば、アトピー性、接触性)、乾癬、UV照射(日光および同様のUV源)により誘導される熱傷−紅斑、疼痛、落屑、腫脹、圧痛;
炎症性腸疾患、例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎−疼痛、下痢、便秘、直腸出血、発熱、関節炎;
喘息−息切れ、喘鳴;
【0127】
他のアレルギー障害、例えば、アレルギー性鼻炎−くしゃみ、そう痒、鼻水;
卒中後の脳損傷のごとき急性外傷に付随する状態−感覚喪失、運動喪失、認識喪失;
心筋虚血に起因する心臓組織損傷−疼痛、息切れ;
肺損傷、例えば、成人呼吸窮迫症候群にて生じるもの−息切れ、過呼吸、酸素化の低下、肺浸潤;
感染に伴う炎症、例えば、敗血症、敗血症ショック、毒素性ショック症候群−発熱、呼吸不全、頻脈、低血圧、白血球増加症;
特定器官または組織に関連する他の炎症状態、例えば、腎炎(例えば、糸球体腎炎)−乏尿症、尿検査異常;
【0128】
炎症を起こした虫垂−発熱、疼痛、圧痛、白血球増加症;
痛風−罹患した関節の疼痛、圧痛、腫脹および紅斑、血清および/または尿中尿酸の上昇;
胆嚢炎−腹部疼痛および圧痛、発熱、吐き気、白血球増加症;
慢性閉塞性肺疾患−息切れ、喘鳴;
うっ血性心不全−息切れ、ラ音、末梢浮腫;
II型糖尿病−心血管障害、眼疾患、腎疾患および末梢血管障害を含む終末器官合併症;
肺線維症−過呼吸、息切れ、酸素化の低下;
血管疾患、例えば、アテローム性動脈硬化症および再狭窄−疼痛、感覚喪失、脈拍減少、機能損失;および
移植片拒絶反応に至る同種免疫−疼痛、圧痛、発熱:
を含む。
【0129】
亜臨床的症状は炎症用診断マーカーを含むがこれらに限定されず、その発現は臨床的症状の顕在化に先行してもよい。亜臨床的症状の1つのクラスは、炎症誘発性リンパ球様細胞の器官または組織における湿潤または蓄積、或いは器官または組織に特異的な病原体または抗原を認識する活性化された炎症誘発性リンパ球様細胞の局所的または末梢的な存在を含むがこれらに限定されない免疫学的症状である。リンパ球様細胞の活性化は、当該分野において知られている技法により測定され得る。免疫学的症状の他のクラスは、「薬理学的特性」のセクションの実施例に関連して以下に記載される。
【0130】
宿主内の特定部位に治療上有効量の活性成分を「送達する」とは、特定部位において治療上有効な血中濃度の活性成分をもたらすことを意味する。これは、例えば、宿主への活性成分の局所または全身投与により成し遂げられ得る。
【0131】
本発明は、医薬上許容される希釈剤または担体と共に治療上有効量の1個または複数の式I、II、III、VI、VIIもしくはVIIIの化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物、クラスレート、互変体もしくは立体異性体を含有する医薬組成物も含む。好ましい一の実施態様において、本発明の医薬組成物は、活性化合物の最適なバイオアベイラビリティを成し遂げるように処方される。
【0132】
以後用いるように、「活性化合物」なる用語は、式I、II、III、VI、VIIもしくはVIIIの化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物、クラスレート、互変体もしくは立体異性体を言う。
【0133】
治療用途において、活性化合物は、経口、頬側、経直腸、非経口または局所投与されてもよく、好ましい投与が気道への局所適用の場合には、例えば、経鼻または吸入投与されてもよい。故に、本発明の治療用組成物は、任意の知られている経口、直腸、非経口または局所投与用医薬組成物の形態をとってもよい。かかる組成物中での使用に適切な医薬上許容される担体は、薬学分野においてよく知られている。本発明の組成物は、0.1〜99重量%の活性化合物を含有してもよい。一般的に本発明の組成物は単位投与形態にて調製される。好ましくは、活性成分の単位用量は1〜500mgである。有効量の化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物、クラスレート、プロドラッグ、互変体もしくは立体異性体は約0.004〜約4000μmol/kg体重/日であり;好ましくは、約0.04〜約400μmol/kg体重/日であり;より好ましくは、約4〜約400μmol/kg体重/日であり;最も好ましくは、約12〜約120μmol/kg体重/日である。
【0134】
これらの組成物の調製において用いる賦形剤は、調剤の技術分野において容易に知ることのできる賦形剤を含むが、これらに限定されない。
【0135】
「医薬上許容される賦形剤」は、一般的に安全かつ非毒性であり、生物学的またはその他の点でも望ましくないものではない、医薬組成物の調製において有用な賦形剤であり、獣医用およびヒト医薬用に許容される賦形剤を含む。本出願において用いられる「医薬上許容される賦形剤」は、1個およびそれ以上のかかる賦形剤を含む。
【0136】
経口投与用組成物は該投与用に知られている医薬形態、例えば錠剤、カプセル剤、シロップおよび水性または油性懸濁液である。これらの組成物の調製において用いられる賦形剤は、調剤の技術分野において容易に知ることのできる賦形剤を含むが、これらに限定されない。
【0137】
錠剤は、トウモロコシデンプンのごとき崩壊剤およびステアリン酸マグネシウムのごとき滑沢剤の存在下、活性化合物をリン酸カルシウムのごとき不活性希釈剤と混合し、その混合物を既知法により錠剤化することにより、調製されてもよい。錠剤は、本発明の化合物を徐放させるように、当業者に知られている様式で処方されてもよい。所望により、かかる錠剤は、既知法、例えば、酢酸フタル酸セルロースを用いることにより、腸溶コーティングされてもよい。同様に、賦形剤含有または不含で活性化合物を含有するハードまたはソフトゼラチンカプセル剤のごときカプセル剤は、慣用的手段により調製されてもよく、所望により、既知法により腸溶コーティングされてもよい。都合よくは、錠剤およびカプセル剤は各々1〜500mgの活性化合物を含有してもよい。他の経口投与用組成物は、ナトリウムカルボキシメチルセルロースのごとき非毒性懸濁化剤の存在下にて水性培地中に活性化合物を含有する水性懸濁液、ならびにラッカセイ油のごとき適切な植物油中に本発明の化合物を含有する油性懸濁液を含むが、これらに限定されない。
【0138】
活性化合物は、さらなる賦形剤を伴うまたは伴わずに顆粒に処方されてもよい。顆粒は患者により直接摂取されてもよく、或いはそれらは摂取前に適切な液体担体(例えば水)へ添加されてもよい。液体培地中での分散を容易にするために、顆粒は崩壊剤(例えば、酸および炭酸または重炭酸塩から形成される医薬上許容される発泡性対)を含有してもよい。
【0139】
直腸投与用に適する本発明の組成物は該投与用に知られている医薬形態であり、例えば、カカオ脂またはポリエチレングリコール基剤を加えた坐剤が挙げられる。
【0140】
医薬組成物は、非経口投与用の既知の医薬投与形態(例えば、水性および/または油性培地中の滅菌懸濁液、および/または適切な溶媒、好ましくは、対象患者の血液に等張な溶媒中の滅菌溶液)にて、非経口([例えば注射および/または注入により]例えば皮下、筋内、皮内および/または静脈内)投与されてもよい。非経口投与形態は滅菌されてもよい(例えば精密ろ過により、および/または適切な滅菌剤[例えばエチレンオキシド]を用いて)。所望により、非経口投与に適する以下の医薬上許容されるアジュバンド:局所麻酔薬、防腐剤、緩衝化剤および/またはそれらの混合物:の1個または複数が非経口投与形態に加えられてもよい。非経口投与形態は使用時まで適切な滅菌密封容器(例えばアンプルおよび/またはバイアル)中で貯蔵されてもよい。貯蔵中の安定性を高めるために、非経口投与形態は容器に充填された後に凍結されてもよく、液体(例えば水)は減圧下で除去されてもよい。
【0141】
特に重要な医薬組成物は、その投与用に知られている医薬形態(例えば、スプレー、エアロゾル、ネブライザー溶液および/またはドライパウダー)にて、経鼻または吸入投与されてもよいものである。当業者に知られている定量の閉鎖系(例えばエアロゾルおよび/または吸入器)が用いられてもよい。気道への局所投与を目的とする全ての医薬形態の場合、ラクトース、グルコース、高級脂肪酸、ジオクチルスルホコハク酸のナトリウム塩中で、または最も好ましくは、カルボキシメチルセルロース中で予めホモゲナイズした式I、II、III、VI、VIIもしくはVIIIの化合物またはそれらの塩を大部分の粒子が5μmの大きさとなるように微粉化することは有利であってもよい。非常に小さな粒子形態の本発明の化合物は、例えば、流体エネルギー粉砕により得られてもよい。吸入用処方の場合、エアロゾルは、活性物質のスプレー用噴霧剤と混合され得る。
【0142】
医薬組成物は、該投与用に知られている医薬形態(例えば、遅溶解性錠剤、チューインガム、ガム、トローチ、ロゼンジ、パステル、ゲル、ペースト、洗口剤、リンスおよび/または散剤)にて口腔内(例えば、舌下)投与されてもよい。
【0143】
局所投与用組成物はマトリックスを含有してもよく、薬理学上有効な本発明の化合物を経皮投与するために、該化合物は皮膚と接触して保持されるようにマトリックス中に分散される。適切な経皮用組成物は、ジメチルスルホキシドまたはプロピレングリコールのごとき潜在的な経皮用反応促進剤と共に医薬上有効な化合物を局所用ビヒクル、例えば、鉱油、ワセリンおよび/またはワックス、例えば、パラフィンワックスまたは蜜蝋と混合することにより調製されてもよい。或いは、活性化合物は、医薬上許容される軟膏、クリーム、ゲルまたはローション中に分散されてもよい。軟膏、クリームおよびゲルは、水基剤または油基剤を用いて処方されてもよく、ゲルが処方される場合には、適切な乳化剤またはゲル化剤を添加して処方されてもよい。局所用処方中に含まれる活性化合物の用量は、局所用処方が皮膚上に留まることを意図される一定時間にわたって治療上有効量の該化合物が送達される程度のものであろう。
【0144】
本発明の化合物は、静脈内注入のごとき外部ソースまたは体内に設置された化合物のソースのいずれかによる連続注入により投与されてもよい。内部ソースは、注入されるべき化合物を含有する埋め込み型リザーバーを含み、該化合物は、例えば浸透および埋め込みにより連続的に放出され、(a)液体、例えば、非常に難水溶性の誘導体の形態などの注入されるべき化合物の医薬上許容される油中の懸濁液または溶液、或いは(b)注入されるべき化合物のための合成樹脂またはろう状物質などの埋め込み型支持体の形態の固体、であってもよい。支持体は、完全な化合物を含有する単一のボディ(body)か、或いは送達されるべき化合物の部分を各々含有する一連の幾つかのボディであってもよい。内部ソースに存在する活性化合物の用量は、長時間にわたって治療上有効量の化合物が送達される程度のものであろう。
【0145】
本発明の組成物において、活性化合物は個別に用いられてもよいし、或いは所望により、他の適合する薬理学上有効な成分と一緒にされてもよい。
【0146】
本発明のさらなる一の態様は、炎症性疾患、病的アレルギー障害および/または状態の予防および治療的処置における、1個または複数の式I、II、III、VI、VIIもしくはVIIIの化合物またはそれらの医薬上許容される塩、溶媒和物(水和物を含む)、クラスレート、プロドラッグ、互変体もしくは立体異性体または治療上有効量のそれらを含有する医薬組成物の使用に関する。かかる状態および疾患の例としては、喘息;慢性閉塞性肺疾患;気管支炎;成人呼吸窮迫症候群;炎症性鼻疾患、例えば、アレルギー性鼻炎、鼻ポリープ;炎症性皮膚疾患、例えば、湿疹、乾癬、アレルギー性皮膚炎、神経皮膚炎、掻痒、結膜炎;関節リウマチ;炎症性腸疾患、例えば、クローン病、大腸炎および潰瘍性大腸炎;さらなるインスリン依存性糖尿病、自己免疫性甲状腺炎、紅斑性狼瘡、多発性硬化症、レイノー病、および炎症性成分を有する他の関節炎状態、例えば、リウマチ様脊椎炎、敗血症性関節炎、多発性関節炎、網膜炎、炎症性脳障害、例えば、髄膜炎および脳炎;脳損傷、心臓組織損傷および肺損傷のごとき急性外傷に付随する状態;感染に伴う炎症、例えば、敗血症および腎炎(例えば、糸球体腎炎)が挙げられるが、これらに限定されない。
【実施例】
【0147】
本発明は以下の実施例により説明される。本明細書中のこれらのおよび他の実施例に対する言及は単なる例示であり、本発明または任意の例示された形態の範囲および意味を限定するものではない。同様に、本発明は、本明細書中に記載した任意の特定の好ましい実施態様に限定されない。実際、本発明の修飾および変形は本明細書の記載から当業者に明らかであり得、これらはその精神および範囲から逸脱することなくなされ得る。故に、本発明は、添付の特許請求の範囲の文言によってのみ限定されるべきであり、同時にその特許請求の範囲の権利が及ぶ均等物の全範囲に及ぶ。
【0148】
本明細書中に引用および記載した全ての文献は、出典明示によりその全てが本明細書の一部となる。
【0149】
調製方法
調製方法の大部分は大気圧にて実施した。各実施例において、最終生成物は以下の方法:高速液体クロマトグラフィー(HPLC)および/またはESI(エレクトロスプレーイオン化)を用いる質量分析計(HPLC−MS)に接続した高速液体クロマトグラフィーならびに核磁気共鳴(NMR)分光法の1個または数個を用いることにより特徴付けされた。温度は摂氏温度、反応時間は時間(h)単位で示し、aq.=水性、DMSO=ジメチルスルホキシド、DMF=N,N−ジメチルホルムアミド、MeCN=アセトニトリル、MeOH=メタノール、EtOH=エタノール、BuOH=ブタノール、i−PrOH=2−プロパノール、Me2CO=アセトン、エーテル=ジエチルエーテル、AcOEt=酢酸エチル、Py=ピリジン、AcOH=酢酸、Ac2O=無水酢酸、TFAA=トリフルオロ酢酸、EDC=1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、HOBT=1−ヒドロキシベンゾトリアゾールである。
【0150】
実施例1〜14および290
式I[ここで、AはCH−X基、Xはカルボキシ基、n=0である]の化合物の調製のための一般的手順
対応する4−ヒドロキシクマリン(1当量)のMeCN中懸濁液へ、50重量%水性グリオキシル酸(4当量)を加えた。反応混合物を加熱還流し、反応が完了するまで(0.5〜6時間)、還流下で攪拌した。室温に冷却した後、沈殿を濾過で取り出し、冷MeCNで洗浄し、乾燥した。
【表1】


【表2】

【表3】

【0151】
実施例15〜26および291
式I[ここで、AはCH−X基、Xはアセチル基、n=0である]の化合物の調製のための一般的手順
対応する4−ヒドロキシクマリン(1当量)のEtOH中懸濁液へ、40重量%水性ピルビンアルデヒド(4当量)を加えた。反応混合物を加熱還流し、反応が完了するまで(2〜32時間)、還流下で攪拌した。通常、還流中に沈殿が生じた。幾つかの場合において、室温に冷却した後、沈殿が生じるまで反応混合物の攪拌を続けた。沈殿を濾過で取り出し、冷EtOHで洗浄し、乾燥した。
【表4】

【表5】

【表6】

【0152】
実施例27〜33
式I[ここで、AはCH−X基、Xは−CH2OH、n=0である]の化合物の調製のための一般的手順
方法A
pHが8に達するまで、対応する4−ヒドロキシクマリン(1当量)の50mM水性トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)バッファー(pH=8.0)中懸濁液へ、NaOHの1M水溶液を加えた。調製した溶液へ、グリコールアルデヒド二量体(2当量)を加えた。反応が完了するまで(20〜60時間)、反応混合物を室温で攪拌した。1M水性HClで混合物を酸性化し、沈殿を濾過で取り出した。生成物をMeOHもしくはEtOHからのトリチュレーションまたは再結晶化により精製した。
【0153】
方法B
式III[ここで、Dは−CHOH、−−は単結合である](例えば、WO2005/010006を参照のこと)の対応する分子内ヘミアセタール(0.5mmol)のtert−BuOH中懸濁液へ、シアノ水素化ホウ素(1mmol)を加えた。反応混合物を加熱還流し、反応が完了するまで(2時間)、還流下で攪拌した。次いで、溶媒を蒸発させ、水および飽和NH4Clを加え、その後、AcOEtで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、有機溶媒を減圧下で除去し、残りをシリカカラム上にてCHCl3:MeOH:AcOH=9:1:0.1を用いる定組成溶離により精製した。
【0154】
方法C
式III[ここで、Dは−CHOH、−−は単結合である](例えば、WO2005/010006を参照のこと)の対応する分子内ヘミアセタール(0.5mmol)のi−PrOH中懸濁液へ、シアノ水素化ホウ素(1mmol)を加えた。反応混合物を加熱還流し、反応が完了するまで(0.5時間)、還流下で攪拌した。n−ヘキサン:エーテル=3:1の混合物を反応混合物へ加え、そのように形成した白色沈殿を濾過で取り出し、水中に溶解し、その後、1MのHClを加えた。白色沈殿を濾過で取り出し、水で洗浄し、MeOHを用いるトリチュレーションによりさらに精製した。
【表7】

【表8】

【0155】
実施例34〜36
式I[ここで、AはCH−X基、Xは
【化17】

基、n=0である]の化合物の調製のための一般的手順
pHが8に達するまで、対応する4−ヒドロキシクマリン(1当量)の50mM水性トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)バッファー(pH=8.0)中懸濁液へ、1M水性NaOHを加えた。調製した溶液へ、D,L−グリセルアルデヒド二量体(2当量)を加えた。反応が完了するまで(24〜48時間)、反応混合物を室温で攪拌した。1M水性HClで混合物を酸性化し、沈殿を濾過で取り出した。生成物をMeCNまたはMe2COからのトリチュレーションまたは再結晶化により精製した。
【表9】

【0156】
実施例37〜41
式I[ここで、Aはカルボニル基、n=1である]の化合物の調製のための一般的手順
対応する4−ヒドロキシクマリン(1当量)の水中懸濁液へ、D,L−グリセルアルデヒド二量体(0.5当量)の水溶液を加えた。反応混合物を加熱還流し、反応が完了するまで(5〜10時間)、還流下で攪拌を続けた。室温に冷却した後、沈殿を濾過で取り出し乾燥した。生成物をMeOH、Me2COまたはCHCl3からのトリチュレーションまたは再結晶化により精製した。
【表10】

【0157】
実施例42〜54および292〜294
式I[ここで、AはCH−X基、Xはアルキルオキシカルボニル基、n=0である]の化合物の調製のための一般的手順
方法A
式I[ここで、AはCH−X基、Xはカルボキシ基、n=0である]の対応するカルボン酸の適切なアルコール(過剰量)中懸濁液へ、濃H2SO4を加えた。反応混合物を加熱還流し、還流下で一晩攪拌を続けた。室温に冷却した後、沈殿を濾過で取り出し、冷MeOHで洗浄し、乾燥した。
【0158】
方法B
式III[ここで、Dはカルボニル基である]の対応するラクトンの1,4−ジオキサン中懸濁液へ、適切なアルコール(過剰量)を加えた。反応混合物を110℃に加熱し、しばらくすると透明溶液を得、次いで、反応が完了するまで(数時間)、加熱および攪拌を続けた。1,4−ジオキサンを減圧下蒸発により除去し、次いで、水を加え、その後、AcOEtで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、より少量に蒸発させ、その後、n−ヘキサンを添加した。そのように形成された沈殿を濾過で取り出し、n−ヘキサンで洗浄し、乾燥した。
【表11】

【表12】

【表13】

【表14】

【0159】
実施例55〜58および295
式I[ここで、AはCH−X基、XはN−アルキルカルバモイル基、n=0である]の化合物の調製のための一般的手順
式I[ここで、AはCH−X基、Xはカルボキシ基、n=0である]の対応するカルボン酸(1当量)のTHF(CH2Cl2を代わりに使用してもよい)中懸濁液へ、Et3N(10当量)を加え、透明溶液を得た。この溶液へHOBT(1.4当量)を加え、その後、適切なアルキルアミン(1.1当量)およびEDC(1.5当量)を加えた。一晩室温で攪拌した後、形成した沈殿を濾過により除き、濾液を蒸発させ、乾燥した。残りをCH2Cl2(AcOEtを代わりに使用してもよい)中に溶解し、飽和NH4Cl、飽和NaHCO3およびブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、減圧濃縮した。粗生成物を、CH2Cl2/MeOH/NH4Cl(97/2/0.5→95/4/0.5→91/8/1→90/60/1)で溶離するシリカカラム上のクロマトグラフィーにより精製した。
【表15】

【表16】

【0160】
実施例59および296〜301
式I[ここで、AはCH−X基、Xは−C(=N−R5)R6基、n=0である]の化合物の調製のための一般的手順
式III[ここで、DはCHOH基、−−は単結合である](例えば、WO2005/010006を参照のこと)の対応する分子内ヘミアセタール(1当量)のi−PrOH(所望によりEtOH、MeCNまたは水)中懸濁液へ、ヒドロキシルアミン(2当量)(またはO−アルキルヒドロキシルアミン、例えば、O−メチルヒドロキシルアミン、ヒドラジン、アルキルヒドラジン、例えば、メチルヒドラジン、アリールアミン、例えば、アニリンまたはアリールヒドラジン、例えば、フェニルヒドラジン)を加え、透明溶液を得た。反応が完了するまで(1〜数時間)、室温での(所望により必要に応じて高温での)攪拌を続け、溶媒を蒸発させ、残りへAcOEtを加え、有機相を飽和水性NH4Cl、飽和水性NaHCO3、ブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥した。溶媒をより少量へ蒸発することにより、生成物の沈殿を得、これを濾過で取り出し、乾燥した。
【表17】

【表18】

【0161】
実施例60〜246および302〜359
式I[ここで、AはCH−X基、Xはアリールまたはヘテロアリール、n=0である]の化合物の調製のための一般的手順
対応する4−ヒドロキシクマリン(1当量)のEtOH中懸濁液へ、適切なアルデヒド(1.22当量)のEtOH中溶液を加えた。反応混合物を55℃に加熱し、反応が完了するまで(12〜96時間)、55℃で攪拌を続けた。通常、沈殿は加熱中に生じた。幾つかの場合において、室温に冷却した後、沈殿が生じるまで反応混合物の攪拌を続けた。沈殿を濾過で取り出し、冷EtOHで洗浄し、乾燥した。
【表19】

【表20】

【表21】

【表22】

【表23】

【表24】

【表25】

【表26】

【表27】

【表28】

【表29】

【表30】

【表31】

【表32】

【表33】

【表34】

【表35】

【表36】

【表37】

【表38】

【表39】

【表40】

【表41】

【表42】

【表43】

【表44】

【表45】

【表46】

【表47】

【表48】

【表49】

【表50】

【表51】

【表52】

【表53】

【表54】

【表55】

【表56】

【表57】

【表58】

【表59】

【表60】

【表61】

【表62】

【表63】

【表64】

【表65】

【表66】

【表67】

【表68】

【表69】

【表70】

【表71】

【表72】

【表73】

【表74】

【表75】

【表76】

【表77】

【表78】

【表79】

【表80】

【0162】
実施例360〜365
式I[ここで、AはCH−X基、Xは
【化18】

基、n=0である]の化合物の調製のための一般的手順
1M水性HClで予め酸性化したNa(CN)BH3(2mmol)のMeOH(5mL)中溶液へ、対応する式I[ここで、AはCH−X基、Xはアセチル基、n=0である]の化合物(1mmol)を加えた。反応混合物を加熱還流し、0.5〜6時間、還流下で攪拌を続けた。必要に応じて、さらなる部分の還元剤(1mmol)を反応混合物へ加え、その後、MeOH中の1M水性HClを加えて、反応混合物を酸性に維持し、還流をさらに0.5〜6時間続けた。室温に冷却した後、溶媒を蒸発させ、乾燥残渣を水中に溶解し(50mL)、その後、EtOAc(3×50mL)で抽出し、飽和水性NaClを加えた。有機相を合わせ、溶媒を蒸発させ、残りを水中に溶解し(30mL)、その後、1M水性HClでpH=1まで酸性化し、生成物の沈殿を得、これをさらに濾過で取り出し、乾燥した。
【表81】

【表82】

【0163】
実施例247〜250
式II[ここで、Xはカルボキシである]の化合物の調製のための一般的手順
式I[ここで、AはCH−X基、Xはアルキルオキシカルボニル基、n=0である]の対応するエステルのPy中溶液へ、Ac2Oを加えた。室温で反応混合物の攪拌を一晩続け、沈殿を濾過で取り出し、n−ヘキサンで洗浄し、乾燥した。式II[ここで、Xはアルキルオキシカルボニル基である]の対応するエステルはこのように形成され、これを次工程において下記のようにエステル基の加水分解に付した。
【0164】
式II[ここで、Xはアルキルオキシカルボニル基である]の化合物のTHF中懸濁液へ、1M水性NaOHを加えた。室温で一晩または反応が完了するまで、攪拌を続けた。次いで、反応混合物を2M水性HClで酸性化し、沈殿形成が生じるまで0℃での攪拌を続け、これを濾過で取り出し、エーテルで洗浄し、乾燥した。
【表83】

【0165】
実施例251〜254
式II[ここで、Xはアルキルカルボニル基である]の化合物の調製のための一般的手順
式I[ここで、AはCH−X基、Xはアルキルカルボニル基、n=0である]の対応するケトンのAc2O中溶液を加熱還流し、反応が完了するまで(2〜10時間)、還流下で攪拌した。室温に冷却した後、沈殿を濾過で取り出し、冷n−ヘキサンで洗浄し、乾燥した。
【表84】

【0166】
実施例255〜258
式II[ここで、Xはホルミル基である]の化合物の調製のための一般的手順
式III[ここで、DはCHOH基、−−は単結合である](例えば、WO2005/010006を参照のこと)の対応する分子内ヘミアセタールのAc2O中溶液を加熱還流し、反応が完了するまで(4〜8時間)、還流下で攪拌を続けた。室温に冷却した後、沈殿を濾過で取り出し、エーテルで洗浄し、乾燥した。式II[ここで、Xはホルミル基である]の化合物のエノール形態の対応するアセチル誘導体がこのように形成され、これを次工程において下記するようにアセチル基の加水分解に付した。
【0167】
式II[ここで、Xはホルミル基である]の化合物のエノール形態のアセチル誘導体のAcOH中溶液へ、溶液が懸濁液になるまで、水を少しずつ加えた。反応混合物を加熱還流し、反応が完了するまで(12〜48時間)、還流下で攪拌を続けた。室温に冷却した後、沈殿を濾過で取り出し、エーテルで洗浄し、乾燥した。
【表85】

【0168】
実施例259〜261および366
式II[ここで、Xは−CH2OH、
【化19】

または
【化20】

基である]
の化合物の調製のための一般的手順
【0169】
方法A
対応する式I[ここで、AはCH−X基、Xは−CH2OH、
【化21】

または
【化22】

基、n=0である]の化合物のAc2O中溶液を加熱還流し、反応が完了するまで(0.1〜10時間)、還流下で攪拌した。室温に冷却した後、沈殿を濾過で取り出し、冷n−ヘキサンで洗浄し、乾燥した。
【0170】
方法B
対応する式I[ここで、AはCH−X基、Xは−CH2OH、
【化23】

または
【化24】

基、n=0である]の化合物のPy中溶液へ、Ac2Oを加えた。室温で一晩または反応が完了するまで、反応混合物を攪拌した。沈殿を濾過で取り出し、n−ヘキサンで洗浄し、乾燥した。
【0171】
方法C
対応する式I[ここで、AはCH−X基、Xは−CH2OH、
【化25】

または
【化26】

基、n=0である]の化合物のAc2O中溶液を、懸濁液が形成するまで加熱還流し、その後、溶液が形成するまでピリジンを添加した。反応が完了するまで(0.2〜2時間)、還流下での攪拌を続けた。室温に冷却した後、沈殿を濾過で取り出し、冷n−ヘキサンで洗浄し、乾燥した。
【0172】
方法A、BまたはCにより得られる式IIのアセチル化誘導体の一般的な脱アセチル化手順
式IIの対応するアセチル化誘導体の1,4−ジオキサン中懸濁液へ、1M水性KOHを加えた。室温で一晩または反応が完了するまで、攪拌を続けた。次いで、反応混合物を2M水性HClで酸性化し、有機溶媒を減圧下で除去し、その後、水を加えた。沈殿を濾過で取り出し、MeOHからトリチュレートまたは再結晶化し、乾燥した。
【表86】

【0173】
実施例262〜272
式III[ここで、Dはカルボニルである]の化合物の調製のための一般的手順
方法A
対応する式I[ここで、AはCH−X、Xはカルボキシ基、n=0である]の化合物のSOCl2中溶液を加熱還流し、反応が完了するまで(0.05〜1時間)、還流下で攪拌した。室温に冷却した後、反応混合物の攪拌を続け、その後、沈殿が生じるまで、CH2Cl2および/またはn−ヘキサンを加えた。沈殿を濾過で取り出し、冷n−ヘキサンで洗浄し、乾燥した。
【0174】
方法B
対応する式I[ここで、AはCH−X、Xはカルボキシ基、n=0である]の化合物のAcOH中懸濁液へ、SOCl2を加え、反応混合物を80℃に加熱した。80℃での攪拌を数時間続けた。反応混合物を室温に冷却し、沈殿を濾過で取り出し、AcOH、その後、n−ヘキサンで洗浄し、乾燥した。
【0175】
方法C
対応する式I[ここで、AはCH−X、Xはカルボキシ基、n=0である]の化合物のAcOH中懸濁液へ、Ac2Oを加え、反応混合物を加熱還流した。還流下で攪拌を数時間続けた。反応混合物を+4℃に冷却し、沈殿を濾過で取り出し、AcOH中に懸濁し、加熱還流し、還流下で攪拌を1時間続けた。室温に冷却した後、沈殿を濾過で取り出し、エーテルで洗浄し、乾燥した。
【表87】

【表88】

【表89】

【0176】
実施例273〜279
式III[ここで、Dは−CCH3、−−は二重結合である]の化合物の調製のための一般的手順
方法A
対応する式I[ここで、AはCH−X基、Xはカルボキシ基、n=0である]の化合物のAc2O中溶液を加熱還流し、反応が完了するまで(0.5〜8時間)、還流下で攪拌した。室温(或いは−18℃)に冷却した後、沈殿が生じるまで反応混合物の攪拌を続けた。沈殿を濾過で取り出し、冷n−ヘキサンで洗浄し、乾燥した。或いは、粗生成物を、CH2Cl2/AcOEt(100/0→95/5→9/1→4/1→2/1→1/1)で溶離するシリカカラム上でのクロマトグラフィーにより精製した。式III[ここで、Dは−CCH3、−−は二重結合である]の化合物の対応するアセチル誘導体はこのように形成され、これを次工程において下記するようにアセチル基の加水分解に付した。
【0177】
式III[ここで、Dは−CCH3、−−は二重結合である]の化合物のアセチル誘導体のAcOH中溶液へ、溶液が懸濁液となるまで、水を少しずつ加えた。反応混合物を加熱還流し、加水分解が完了するまで(9〜48時間)、還流下で攪拌を続けた。室温に冷却した後、沈殿を濾過で取り出し、エーテルで洗浄し、乾燥した。
【0178】
方法B
対応する式I[ここで、AはCH−X、Xはアセチル基、n=0である]の化合物のTFAA中溶液を加熱還流し、反応が完了するまで(2〜6時間)、還流下で攪拌した。室温に冷却した後、反応混合物の攪拌を続け、その後、沈殿が形成するまで、エーテルおよびn−ヘキサンを加えた。沈殿を濾過で取り出し、冷n−ヘキサンで洗浄し、乾燥した。
【表90】

【表91】

【0179】
実施例280〜281
式III[ここで、Dは−CHCH2OH、−−は単結合である]の化合物の調製のための一般的手順
方法A
対応する4−ヒドロキシクマリン(1当量)の水中懸濁液へ、D,L−グリセルアルデヒド二量体(0.5当量)の水溶液を加えた。反応混合物を加熱還流し、反応が完了するまで(5〜10時間)、還流下で攪拌を続けた。対応する式I[ここで、Aはカルボニル基、n=1である]の化合物(実施例37〜41)を単離した後、母液を蒸発させ、乾燥し、生成物をMeOHまたはCHCl3からのトリチュレーションまたは再結晶化により精製した。
【0180】
方法B
対応する式I[ここで、AはCH−X基、Xは
【化27】

基、n=0である]の化合物のAcOH中溶液を加熱還流し、還流下で4〜10時間、攪拌を続け、その後、水を少しずつ加えた。反応が完了するまで(24〜48時間)、還流下での攪拌を続けた。室温に冷却した後、溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物をMeOHからの再結晶化により精製した。
【表92】

【0181】
実施例282〜284および367〜370
式III[ここで、DはCH2基、−−は単結合である]の化合物の調製のための一般的手順
方法A
対応する4−ヒドロキシクマリン(1当量)のAcOH中(所望により水中)懸濁液へ、50重量%水性クロロアセトアルデヒド(4当量)を加えた。反応混合物を加熱還流し、反応が完了するまで(1〜6時間)、還流下で攪拌した。室温に冷却した後、沈殿を濾過で取り出し、AcOH、その後、エーテルで洗浄し、乾燥した。或いは、粗生成物を、n−ヘキサン/AcOEt(1:1)で溶離するシリカカラム上でのクロマトグラフィーおよび/またはMeOHからの再結晶化により精製した。
【0182】
方法B
対応する式I[ここで、AはCH−X基、Xは−CH2OH、n=0である]の化合物のTFAA中溶液を加熱還流し、反応が完了するまで(0.5〜5時間)、攪拌を続けた。室温に冷却した後、反応混合物の攪拌を続け、その後、沈殿が生じるまで、エーテルおよびn−ヘキサンを加えた。沈殿を濾過で取り出し、冷n−ヘキサンで洗浄し、乾燥した。
【表93】

【表94】

【0183】
実施例371〜374
式III[ここで、DはCHCH3基、−−は単結合である]の化合物の調製のための一般的手順
対応する式I[ここで、AはCH−X基、Xは
【化28】

、n=0である]の化合物のTFAA中溶液を加熱還流し、反応が完了するまで(15分〜2時間)、攪拌を続けた。反応混合物を冷却した後、溶媒を蒸発させ、残りを、CHCl3または水(最高1mL)のいずれかを加えたMeOH中に溶解した。マグネチックスターラーおよび超音波洗浄機のいずれかを用いることにより、溶液を攪拌して、生成物の沈殿を得、これを濾過で取り出し、乾燥した。
【表95】

【0184】
実施例288
式III[ここで、DはCH基、−−は二重結合である]の化合物の調製のための一般的手順
対応する式III[ここで、DはCH2基、−−は単結合(0.5mmol)である]の化合物のテトラクロロメタン(10mL)中懸濁液へ、N−ブロモスクシンイミド(0.55mmol)を加え、その後、触媒量の過酸化ベンゾイルを加え、反応混合物を3時間還流させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、残りの粗生成物を水中で5分間還流させ、熱いまま濾過し、温水で洗浄した。粗生成物をDMFからの再結晶化により精製した。このように得られた白色生成物をエーテルと共に室温で10分間攪拌し、次いで、濾過で取り出した。

【0185】
薬理学的特性
式I、IIおよびIIIの化合物は、多数のインビトロおよびインビボ研究により証明された有用な薬理学的特性を有する。
【0186】
化合物の抗−炎症性効果を測定するために用いられ得るアッセイおよびそれ故に病的炎症により特徴付けられる疾患処置のためのそれらの使用は、実施例285〜287、289および375〜377に示される。これらの実施例においてアッセイされたサイトカインは、高用量で発現される場合には、炎症用マーカーとなり、細胞増殖、顆粒球脱顆粒および肺好中球増加症のごとき他の免疫性事象がアッセイされる場合には、これらの免疫性細胞の挙動もそれらの活性化およびそれ故に炎症用マーカーとなる。結果として、炎症誘発性サイトカイン発現もしくは分泌の減少および細胞増殖の減少、マスト細胞脱顆粒または好中球蓄積は化合物の抗−炎症性活性の尺度となる。特に、肺好中球増加症はCOPDについてのモデルとなり、肺好酸球増加症は喘息のについてのモデルとなる。ホスホジエステラーゼは、喘息(PDE4)、COPD(PDE4)および肺高血圧(PDE3)のごとき様々な炎症性状態に関与する。プロスタグランジンおよびロイコトリエンもまた強力な炎症メディエーターであり、前者はシクロオキシゲナーゼ(COX)経路にて産生され、後者はリポオキシゲナーゼ経路にて産生される。トロンボキサンもまたCOX経路にて産生される強力な炎症メディエーターである。
【0187】
各々特定のインビトロアッセイについて記載するように、少なくとも1個の刺激物(例えば、OVA、PMAまたはLPS)で刺激した後に、少なくとも1個の阻害機能における阻害(例えば、TNF−αまたはIL−6の阻害)が有意(すなわち、50%以上)であるならば、或いは、当該分野において知られている統計的方法(例えば、ANOVA)により算出されるように、少なくとも1個のインビボ試験における(例えば、耳浮腫の抑制における)活性が、正対照群と比較して統計的な有意差を有するならば、本明細書にて明示する生物学的アッセイを用いて分析された化合物は十分に「活性がある」と考えられる。
【0188】
実施例285:RBL−2H3マスト細胞脱顆粒の阻害
マスト細胞脱顆粒は、即時または遅延型の過敏性反応、アレルギー、アナフィラキシー、炎症、喘息およびじんま疹において惹起される指標である。
【0189】
ラット好塩基球性白血病(ATCC)のRBL−2H3細胞系を、Fcε受容体I型の活性化またはカルシウムイオノフォアにより誘導される脱顆粒の阻害の研究において用いた。RBL−2H3細胞系を、10%ウシ胎児血清(Invitrogen Corporation)を加えたDMEM培地(Invitrogen カタログ番号31966−021)中、37℃、5%CO2、90%の相対湿度にて培養した。細胞を同じ培地中にて24−ウェルプレート中へ1ウェルあたり50000で播種し、80〜90%の集密に到達させておいた。
【0190】
化合物の希釈液を、フェノールレッド不含DMEM培地(Invitrogen Corporation)中、200μM〜1μMの濃度で調製した。培地を細胞から除去し、純粋なDMEM培地を加えた正および負対照を除くウェルへ、化合物の希釈液を加えた。その後、
1.Fcε受容体I型によるIgE−誘導脱顆粒について、共に最終濃度0.5μg/mLの、SPE−1(ジニトロフェニル特異的IgE)抗体(Sigma)およびジニトロフェニルアルブミン(Sigma)の溶液;
2.カルシウムイオノフォアを介するCa2+−誘導脱顆粒について、最終濃度250ng/mLの、A23187(Calbiochem)溶液;
をウェルに加えた。
【0191】
負対照ウェルの場合、純粋なDMEM培地を加えた。細胞を、1時間、37℃、5%CO2および90%の相対湿度にてインキュベートした。各希釈ならびに正および負対照は三つ組で実施した。
【0192】
上清(50μL)を二つ組で96−ウェルプレートへ移した。そこへ、100μLの50mMクエン酸ナトリウムバッファーおよび1mg/mLパラ−ニトロフェニル−N−アセチル−β−D−グルコサミニド(Calbiochem)を加え、それを1時間、37℃でインキュベートした。100μLの飽和炭酸ナトリウム溶液を加えて、反応を停止させた。405nmにおける吸光度を測定した。阻害のパーセントを式:
%阻害=(1−(OD405試料−OD405負対照)/(OD405正対照−OD405負対照))×100
により示した。
【0193】
標準として用いるケトチフェンは、200〜50μMの濃度で有意に脱顆粒を阻害する。
【0194】
実施例7、12、19、30、44〜46、50、53、55、61、62、66、69、73、75〜83、85、86、88、89、93、94、116、143〜146、148、150、151、268、284、348、349〜351および354により示される化合物は、Fcε受容体I型によるIgE−誘導脱顆粒を阻害し、10μM濃度で有意な阻害活性を示した。
【0195】
実施例66、69、73、75〜77、80、82、88、89、94、96、97、101、103、105、106、108〜111、114、115、116、131、135、136、137、144、148、149、154、156、160、161、166、167、169〜171、174、177、189、225、226、228、233〜235、237、238、241、243、246、309、314、315〜321、324、326、333、〜340、342〜344、346および348により示される化合物は、カルシウムイオノフォアにより介されるCa2+−誘導脱顆粒を阻害し、10μM濃度で有意な阻害活性を示した。
【0196】
実施例286a:ロイコトリエンB4(LTB4)阻害アッセイ
ロイコトリエンは、例えば、細胞遊走、筋収縮、血管透過性およびリソソーム酵素放出におけるそれらの効果に起因する宿主防御機序および炎症性疾患状態における重要なメディエーターである。ロイコトリエン産生は5−リポキシゲナーゼの酵素活性に依存する。RBL−2H3細胞は強力な5−リポキシゲナーゼ活性を有し、それ故に、ロイコトリエン産生に関する細胞モデルとなる。
【0197】
化合物を、A23187刺激RBL−2H3細胞におけるロイコトリエンB4の産生を阻害するそれらの能力についてアッセイした。RBL−2H3細胞系(ATCC2256)を、5%CO2の空気、90%湿度、37℃にて、10%FBS(Invitrogen)を補足したDMEM培地(Invitrogen)中で成長させた。細胞をトリプシン処理し、新鮮なDMEM培地で洗浄し、1ミリリットルあたり1×105細胞に調整した。500μL/ウェルの細胞懸濁液を24ウェルプレート(Falcon)に移し、本明細書中記載の培養条件にて一晩成長させた。試験化合物の10mM溶液をDMSO(Sigma)中で調製し、フェノールレッド不含DMEM培地(Invitrogen)中に作業濃度(working concentration)にて溶解した。試験化合物の希釈液を細胞上に加え、一方、正および負対照については、フェノールレッド不含DMEM培地のみを用いて、30分間培養条件下で静置させた。A23187(Sigma)を、負対照を除く全ウェルへ最終濃度250nMで加え、45分間培養条件下で静置させた。10μLの細胞上清を用いて、ロイコトリエンB4レベルをELISA(R&D systems)により測定した。試料中のLTB4の全濃度を算出し、全阻害を式:
%阻害=(1−LTB4試料濃度/LTB4正対照濃度)×100
を用いて算出した。
【0198】
実施例7、17、18〜20、25、28〜30、32、33、44〜47、49〜51、55、61、66、69、71、73、75〜78、80〜83、86、88、93、94、96、97〜101、103、105、106、108〜112、114〜116、123、125〜128、130、135〜138、143〜145、148〜150、154〜157、159〜162、164、166〜172、174、177〜179、181、186、189、190、207、210、214、218、225、226、228〜235、237、238、241、243〜246、268、292〜294、303、304、309、311、312、314〜321、324、326、332、333、334〜340、342〜351、359、362〜364、369および371により示される化合物は、10μM濃度でLTB4産生の有意な阻害を示した。
【0199】
実施例286b:5−リポオキシゲナーゼ、5−LO阻害アッセイ
5−リポキシゲナーゼは、喘息および炎症性腸疾患のごとき多数の免疫性疾患に関与する。
【0200】
5−リポキシゲナーゼ、5−LOの阻害は、10μM濃度におけるLTB4の阻害(実施例286a)およびCa2+−誘導マスト細胞脱顆粒の阻害(実施例285)の比較により測定される。これらの2つのアッセイにおける阻害の差異がLTB4阻害について有意(50%以上)ならば、化合物は5−LO阻害剤と考えられた。
【0201】
実施例17、19、20、25、29、30、32、44〜47、49、50、55、61、71、83、86、98、99、100、112、123、128、130、143、145、150、155、157、159、162、168、179、186、190、210、230、231、232、293、303、311、312、332、345、347、349〜351、359、362、364、369および371により示される化合物は、上記基準に従って5−LO阻害剤と考えられた。
【0202】
実施例287:本発明の化合物の評価
全化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解した。全試験におけるDMSOの最終濃度は1%(v/v)だった。10μM濃度(またはそれ未満)にて50%を超えるならば、全試験における阻害は好ましいと考えられる。
【0203】
ヒト5−リポオキシゲナーゼ、5−LOアッセイ
5−リポキシゲナーゼは、喘息および炎症性腸疾患のごとき多数の免疫性疾患に関与する。
【0204】
Ficoll密度分離を用いてヒト末梢血単核球細胞を単離した。細胞を化合物と共にHanks平衡塩類溶液(HBSS)中、15分間、37℃でインキュベートした。基質(アラキドン酸)を20μMの最終濃度で加え、細胞をさらに15分間インキュベートした。アラキドン酸代謝の最終生成物としてのLTB4を、競合的酵素イムノアッセイ(例えば、Safayhi,H.ら.Planta Medica 2000,66,110−113を参照のこと)を用いて測定し、阻害のパーセントを細胞上清中のLTB4のレベルから算出した。
【0205】
実施例17、19、30、50、349および351により示される化合物はヒト5−LOを阻害し、10μM濃度で有意に関連する活性を示した。
【0206】
ヒトロイコトリエン受容体、システイニルロイコトリエン受容体I(CysLT1)アッセイ
CysLT1受容体は喘息のごとき免疫性疾患に関与し、喘息治療におけるある種の介入として臨床的有意性を有する。CysLT1受容体はCHO−K1細胞(チャイニーズハムスター卵巣細胞K1クローン)において発現する。これは、競合的放射性リガンド結合アッセイであり、ここで、物質は[3H]−標識ロイコトリエンD4(LTD4)と競合する。放射能物質はシンチレーションカウンティングにより測定される。阻害のパーセントは試料の全放射能から算出する。
【0207】
実施例19、30、50、349および351により示される化合物は10μM濃度で有意に関連する活性を示した。
【0208】
ヒトホスホジエステラーゼ、PDEアッセイ
ホスホジエステラーゼは、シグナル伝達の多数の細胞過程に関与し、細胞成長および分裂、炎症、肺高血圧および喘息において密接な関係を有する。PDE4の阻害剤は喘息処置のために開発された。PDE3阻害剤シロスタゾールは、動脈閉塞性疾患および卒中の処置のために、特定の国において認可されている。
【0209】
PDE3アッセイ
単離したヒト血小板を、マグネシウムイオン含有トリス−HClバッファー中、25℃で15分間プレインキュベートする。1.01μMのトリチウム標識環状アデノシン一リン酸(cAMP)を基質として加え、その後、25℃で20分間インキュベートする。阻害のパーセントを、対照細胞に対して処置細胞におけるcAMPから形成される上清中のアデノシンレベルを比較することにより、算出する。
【0210】
実施例17、19、30、50および351により示される化合物は10μM濃度で有意にヒトPDE3活性を阻害した。
【0211】
PDE4アッセイ
PDEは、慢性閉塞性肺疾患および好中球増加症のごとき疾患に関与する。ヒト単球白血病細胞系U937を、マグネシウムイオン含有トリス−HClバッファー中、25℃で15分間プレインキュベートする。1.01μMのトリチウム標識環状アデノシン一リン酸(cAMP)を基質として加え、その後、25℃で20分間インキュベートする。阻害のパーセントを、対照細胞に対して処置細胞におけるcAMPから形成される上清中のアデノシンレベルを比較することにより、算出する。
【0212】
実施例17、19、30、50および351により示される化合物は10μM濃度で有意にヒトPDE4活性を阻害した。
【0213】
ヒトプロスタノイド受容体アッセイ
ヒトプロスタノイド受容体はチャイニーズハムスター卵巣細胞系、クローンK1(CHO−K1)において発現する。物質および放射性競合物質(1.7nM濃度のトリチウム標識したプロスタグランジンD2)を細胞と共に、マンガンイオン存在下、HEPESバッファー中、2時間、25℃でインキュベートする。結合したPGD2のレベルをシンチレーションカウンティングにより測定し、対照細胞に対して処置細胞における結合したPGD2の総量を比較することから、競合を算出する。プロスタノイドは炎症ないし疼痛までの多数の生理的および病的過程に関与する。
【0214】
実施例19、30、50および351により示される化合物は10μM濃度で有意に関連する活性を阻害した。
【0215】
ヒトトロンボキサンA2、TxA2アッセイ
TxA2受容体はHEK−293細胞系において発現する。化合物および放射標識した競合物質SQ−29548を30分間25℃でインキュベートする。結合したSQ−29548のレベルをシンチレーションカウンティングにより測定し、結合したSQ−29548の総量から競合を算出する。TxA2受容体は、血液凝固および免疫過程に関与する不安定な脂質メディエーターである。
【0216】
実施例17、19、30、50および349により示される化合物は10μM濃度で有意に関連する活性を阻害した。
【0217】
ヒト蛋白質セリン/スレオニンキナーゼ、ERK1アッセイ
ヒトERK1は大腸菌(Escherichia coli)において発現し、それを精製する。化合物を、ペルバナダート、DTTおよびγ−[32P]−ATPおよび組換え酵素を加えたMOPS/EGTAバッファー中、37℃で15分間プレインキュベートする。基質(精製したミエリン塩基性蛋白質、MBP)を加え、その後、37℃で30分間インキュベートする。[32P]−MBPの定量により酵素活性を測定し、特異的放射能から阻害を算出する。ERK1は、MAPK(マイトジェン活性化キナーゼ)経路において活性化されるセリン/トレオニンキナーゼである。ERK1は、ホジキン病を含むヒトの癌の大部分に関与する。ERK1は細胞成長、分裂および炎症の過程に関与する。
【0218】
実施例19により示される化合物は10μM濃度で有意にヒトERK1活性を阻害した。
【0219】
ヒト蛋白質チロシンキナーゼ、Lck阻害アッセイ
ヒト組換えLckは昆虫Sf21発現系において発現し、それを精製する。物質を、ATP、ペルバナダートおよびマグネシウム含有HEPESバッファー中、25℃で15分間プレインキュベートする。基質(ポリGlu−Tyr)を加え、60分間25℃でインキュベートする。酵素の活性をホスホチロシン(p−Tyr)特異的酵素イムノアッセイを用いて測定し、p−Tyrの濃度を測定することにより阻害を算出する。蛋白質チロシンキナーゼ、Lckは、T−リンパ球において多量に発現し、かつT−細胞受容体シグナル伝達およびそれ故にT−リンパ球の活性化に必須である蛋白質チロシンキナーゼである。Lck活性化は、T−細胞活性化に必須であるZAP−70の動員および活性化を刺激する。Lckの阻害剤は様々なモデルにおいて免疫調節剤として機能する。LckはT−細胞白血病および炎症に関与する。
【0220】
実施例19により示される化合物は10μM濃度で有意にヒトLck活性を阻害した。
【0221】
ヒトタキキニンNK2受容体アッセイ
タキキニンNK2受容体はチャイニーズハムスター卵巣細胞系、クローンK1(CHO−K1)において発現する。物質および放射能競合物質(トリチウム標識SR−48968)を細胞と共に、マンガンイオンの存在下、HEPES/NaOHバッファー中、90分間、25℃でインキュベートする。結合したSR−48968のレベルをシンチレーションカウンティングにより測定し、処置および対照試料における結合したSR−48968の総量から競合を算出する。タキキニン受容体は炎症および疼痛の生理的および病的過程に関与する。タキキニンNK2は、喘息、GI疾患、過敏性腸症候群および膵炎における介入についての標的として同定された。
【0222】
実施例19および50により示される化合物は10μM濃度でNK2活性の有意な阻害を示した。
【0223】
実施例375:サイトカイン産生の阻害
A)インビトロにおける刺激されたヒト白血球細胞(hWBC)によるサイトカイン産生の阻害
刺激されたhWBCを2つの異なる濃度(25μMおよび10μM)の化合物で処理した。異なるシグナル経路を介する炎症反応を誘導する3つの異なる刺激を用いた。化合物の抗炎症活性を、炎症誘発性サイトカイン(TNF−α、IL−1β、IL−6およびIL−8)の産生を阻害するそれらの能力に基づいて評価した。
【0224】
2%デキストランT−500(Amersham Biosciences)での沈降、その後、白血球に富む血漿の遠心分離により、健常ボランティアの静脈血から白血球細胞を得た。細胞を48−ウェルプレート上、1ウェルあたり3〜5×106細胞の濃度で播種し、試験化合物と共に2時間37℃でプレインキュベートした。その後、刺激物質(Sigma)を、最終濃度2μg/mLのリポ多糖(LPS)、1μg/mLのホルボール−12−ミリスチン酸酢酸塩(PMA)または120μg/mLのザイモサン(ZYM)へ加えた。試料を一晩37℃でインキュベートした。インキュベーションの終わりに、上清を10分間、1500gで遠心分離し、サイトカイン濃度の測定まで、−20℃で貯蔵した。捕獲および検出抗体(R&D)を製造元の推奨に従って用いて、サイトカインをサンドイッチELISAにより測定した。
【0225】
阻害のパーセントは式:
%阻害=(1−試料のサイトカイン濃度/正対照のサイトカイン濃度)×100
を用いて算出する。
【0226】
阻害のパーセントが25μMまたはそれ未満の濃度で50%以上ならば、化合物は活性があると考えられる。
【0227】
PMA、LPSおよびザイモサンにより刺激されたTNF−α、IL−1β、IL−6および/またはIL−8の産生を以下に示す濃度にて有意に阻害した化合物を、以下の表中に示す。
【表96】

【0228】
【表97】

【0229】
B)インビトロにおけるリポ多糖(LPS)刺激されたヒト末梢血単核球(hPBMC)によるサイトカイン産生の阻害
血液を健常ボランティアドナーから採集し、同量の生理食塩水で希釈し、400g、30分間のFicollPaque(登録商標)Plus密度勾配遠心分離により分離した。PBMCを集め、RPMI中で洗浄し、計数し、1mLあたりの数を調整した。
【0230】
集めたPBMCを、10%ウシ胎児血清を補足したRPMI中、35,000細胞/ウェル/200uLとして96ウェル組織培養プレート、フラットボトム中で培養し、その後、56℃で30分間不活性化した。LPS(血清型0111:B4,Sigma,カタログ番号L−2630)を最終濃度1ng/mLで加えることにより、細胞をIL−1β産生について刺激した。非刺激細胞は培地単独にて培養した。DMSO中10mMとして試験化合物からストック溶液を調製した。LPSと共に加えられる場合、細胞培養培地中に作成された最終濃度を試験した。全アッセイにおける最終的なDMSO容量比は0.1%を超えなかった。負および正対照試料を六つ組(sextaplicate)で調製し、試験化合物濃度を有する試料を三つ組で調製した。5%CO2を含む湿気のある環境にて一晩インキュベートした後、上清を集めた。
【0231】
回収した細胞培養上清を、酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)によりIL−1β含有量について定量した。
【0232】
阻害のパーセントは式:
%阻害=(1−試料のサイトカイン濃度/正対照のサイトカイン濃度)×100
を用いて算出する。
【0233】
阻害のパーセントが25μMまたはそれ未満の濃度で50%以上ならば、化合物は活性があると考えられる。
【0234】
化合物244は25μM濃度でIL−1β産生を有意に阻害した。
【0235】
C)インビトロにおけるコンカナバリンA(ConA)刺激されたマウス脾細胞によるサイトカイン産生の阻害
脾細胞懸濁液をBALB/cマウスから得、400g、30分間のHistopaque1.083密度勾配遠心分離によりリンパ球を分離した。それらを培地で一度洗浄し、計数し、それらの数を、96フラットボトム培養プレート中、10%ウシ胎児血清を補足したRPMI中の3×105/200μL/ウェルとして調整した。コンカナバリンA(ConA)を5μg/mL最終濃度で加えることにより、細胞をサイトカイン産生について刺激した。非刺激細胞は培地単独で培養した。DMSO中10mMとして試験化合物からストック溶液を調製した。ConAと共に加えられる場合、培養培地中に作成された細胞最終濃度を試験した。72時間のインキュベーション時間の後、細胞培養上清を集めた。指示されたサイトカインに特異的な酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)(R&D Systems)を用いて、各試料において、IL−4、IL−5、IL−10およびIFNγを検出および定量した。
【0236】
結果を算出するために、既知濃度の組換え蛋白質について測定したOD値から標準曲線を作成した。未知試料中のサイトカイン含有量を、標準曲線から推定されるOD値から算出した。
【0237】
阻害のパーセントは、式:
%阻害=(1−試料のサイトカイン濃度/正対照のサイトカイン濃度)×100
により算出する。
【0238】
阻害のパーセントが25μMまたはそれ未満の濃度で50%以上ならば、化合物は活性があると考えられる。
【0239】
化合物244は25μM濃度にてIL−4、IL−5、IL−10およびIFNγ産生を有意に阻害した。
【0240】
化合物30は25μM濃度にてIL−5およびIL−10産生を有意に阻害した。
【0241】
実施例19、295および364により示される化合物は25μM濃度にてIL−5産生を有意に阻害した。
【0242】
実施例376:ホルボール12−ミリスチン酸13−酢酸塩(PMA)はCD1マウスにおいて耳浮腫を誘導した
約35〜40gの体重の雄CD1マウス(Iffa Credo,France)を無作為に群に分けた(ビヒクル処置試験群、デキサメタゾン処置対照群およびアッセイすべき化合物で処置した群中、n=8)。試験化合物、デキサメタゾンおよびビヒクル(Trans−phase Delivery System,ベンジルアルコール10%,アセトン40%およびイソプロパノール50%含有)(全てKemika,Croatiaから)を、ホルボール12−ミリスチン酸13−酢酸塩(PMA)(Alexis biochemicals,USA)投与の30分前に、左耳の内部表面に局所投与した。試験化合物を250または100μg/15μL/耳の単位用量で投与し、デキサメタゾンを50μg/15μL/耳の単位用量で投与した。30分後、0.01%PMAのアセトン中溶液を12μL/耳の容量で各動物の同じ領域に局所適用した。処置および攻撃の間、吸入麻酔により動物に麻酔をかけた。攻撃から6時間後、100%CO2雰囲気にて動物を窒息死させた。耳浮腫を評価するために、左および右耳介から8mmのディスク(disc)を切り取り、計量した。処置した対側の耳の8mmのディスクの重量から、未処置の耳の8mmのディスクの重量を差し引くことにより、浮腫の程度を算出した。
【0243】
当該分野において知られている統計的方法(例えば、ANOVA)により算出されるように、化合物処置群における耳浮腫の抑制が正対照群と比較して統計上有意に異なるならば、適切な用量の化合物は活性があると考えられる。
【0244】
実施例19、25、26、28、29、30、50、51、54、66、244、292、295、349、351、363および364により示される化合物は、上記基準に従って活性があると考えられる。
【0245】
実施例289:マウスにおけるオボアルブミンに誘導される肺好酸球増加症のモデル
20〜25gの体重の雄Balb/Cマウスを無作為に群に分け、0日目および14日目にオボアルブミン(OVA,Sigma)のi.p.(腹腔内)注入により感作した。20日目に、OVA(正対照もしくは試験群)またはPBS(負対照)のi.n.(鼻腔内)適用により、マウスを攻撃試験に曝した。攻撃の2日前から開始して最高で試験終了まで、化合物を異なる用量で毎日、鼻腔内、腹腔内、経口投与した。化合物を、DMSO(最高で全容量の5%)を添加したPBS、メチルセルロースまたはカルボキシメチルセルロース中懸濁液として投与した。OVAのi.n.適用から48時間後、動物に麻酔をかけて、気管支肺胞洗浄液(BALF)を得、これを用いて、全蛋白質濃度ならびにIL−1βおよびTNF−αのごときサイトカインの濃度、細胞の絶対数ならびにBALF中の好酸球のパーセントを測定する。気管支肺胞洗浄(BAL)は、3つの別々の容量(0.4,0.3および0.3ml)に分割した1mLのPBSを気管から肺まで注入することにより、実施する。液体を直ちに回収し、細胞懸濁液は予め調製した1.5mLエッペンドルフチューブ中で貯蔵する。次いで、気管支肺胞洗浄液(BALF)を0.1gで5分間(4℃)遠心分離する。細胞を700μLのPBS中に再懸濁する。サイトスピン(cytospin)を調製するために、320μLの懸濁液を250rpmで10分間遠心分離した(Cytospin−3,Shandon Instruments)。細胞をDif−Quik(Dade Behring)で染色し、少なくとも100細胞を計数することにより好酸球のパーセントを測定した。BALF分析(Sysmex SF 3000)における全細胞計数のために、残りの再懸濁した細胞を用いる。最後に、好酸球および単核球浸潤の病理組織学的評価のために、肺を採集し、10%ホルマリン中で貯蔵する。気管支周囲(PB)および血管周囲(PV)肺組織領域ならびに肺胞腔における好酸球および単核球細胞の蓄積をモニターする。
【0246】
結果は、正対照(OVA刺激したが未処置の動物)と比較した処置動物の病理組織学的スコアリングによる、(I)BALF1mLあたりの絶対細胞数の減少;(II)BALF1mLあたりの好酸球の数の減少;(III)BALF中の好酸球の相対数(パーセント)の減少;(IV)BALF中のサイトカイン濃度の減少;ならびに(V)気管支周囲(PB)および血管周囲(PV)肺組織領域および肺胞腔における好酸球および単核球細胞の蓄積の抑制として示され得る。
【0247】
当該分野において知られている統計的方法(例えば、ANOVA)により算出されるように、正対照群と比較される場合、結果は統計的な有意差を有する必要がある。
【0248】
フルチカゾンおよびベクロメタゾンを標準的な抗−炎症性物質として用い、負および正対照に対して好酸球増加を阻害する能力を比較する。
【0249】
実施例19、30、50および363により示される化合物は、好酸球のパーセントおよび/またはBALF中のそれらの総数および/または組織学的スコアリングにより、統計上有意な減少を示した。
【0250】
実施例377:マウスにおけるLPSに誘導される肺好中球増加症のモデル
約25gの体重の雄Balb/cJマウス(Iffa Credo,France)を無作為に負対照群、正対照群、およびアッセイすべき化合物で処置した群に分ける。試験化合物およびビヒクル(DMSO+0.5%メチル−セルロース)(全てSigmaから)を、リポ多糖(LPS)(E.coli,血清型0111:B4,Sigma)投与の2時間前またはLPSの投与の2時間前および2時間後に、鼻腔内、腹腔内、経口投与する。試験化合物を単一用量(攻撃の2時間前)かまたは2用量に分けて(攻撃の2時間前および2時間後)投与する。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(Sigma)中LPS溶液を60μLの容量、33.33μg/mLの濃度で負対照群を除く全ての実験群に経鼻内投与する。負対照群には同量(60μL)のビヒクルPBSを投与する。攻撃の間、腹腔内麻酔を用いて動物に麻酔をかけた。LPSの適用から約24時間後、腹腔内麻酔を過剰に摂取させることにより動物を安楽死させ、気管支肺胞洗浄液(BALF)を得、これを用いて、全蛋白質濃度ならびにIL−1βおよびTNF−αのごときサイトカインの濃度、細胞の絶対数ならびにBALF中の好中球のパーセントを測定する。気管支肺胞洗浄(BAL)は、3つの別々の容量(0.4、0.3および0.3ml)に分割した1mLのPBSを気管から肺まで注入することにより、実施する。液体を直ちに回収し、細胞懸濁液は予め調製した1.5mLエッペンドルフチューブ中で貯蔵する。次いで、気管支肺胞洗浄液(BALF)を0.1gで5分間(4℃)遠心分離する。細胞を700μLのPBS中に再懸濁する。サイトスピン(cytospin)を調製するために、320μLの懸濁液を250rpmで10分間遠心分離した(Cytospin−3,Shandon Instruments)。細胞をDif−Quik(Dade Behring)で染色し、少なくとも200細胞を計数することにより、好中球のパーセントを測定する。BALF分析(Sysmex SF 3000)における全細胞計数のために、残りの再懸濁した細胞を用いる。
【0251】
最後に、顆粒球および単核球浸潤の病理組織学的評価のために、肺を採集し、10%ホルマリン中で貯蔵する。気管支周囲(PB)および血管周囲(PV)肺組織領域ならびに肺胞腔における顆粒球および単核球細胞の蓄積をモニターする。
【0252】
結果は、正対照(LPS刺激したが未処置の動物)と比較した処置動物の病理組織学的スコアリングによる、(I)BALF1mLあたりの絶対細胞数の減少;(II)BALF1mLあたりの好中球の数の減少;(III)BALF中の好中球の相対数(パーセント)の減少;(IV)BALF中のサイトカイン濃度の減少;ならびに(V)気管支周囲(PB)および血管周囲(PV)肺組織領域および肺胞腔における顆粒球および単核球細胞の蓄積の抑制として示され得る。
【0253】
当該分野において知られている統計的方法(例えば、ANOVA)により算出されるように、正対照群と比較される場合、結果は統計的な有意差を有する必要がある。
【0254】
実施例19、30、50および363により示される化合物は、好中球のパーセントおよび/またはBALF中のそれらの総数および/または組織学的スコアリングにより、統計上有意な減少を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

(I)
[式中:
1、R2、R3およびR4は各々独立して、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、C1−C4−アルキル、C2−C4−アルケニル、C2−C4−アルキニル、ハロ−C1−C4−アルキル、ヒドロキシ、C1−C4−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C1−C4−アルカノイル、アミノ、アミノ−C1−C4−アルキル、N−(C1−C4−アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−C4−アルキル)アミノ、メルカプト、C1−C4−アルキルチオ、スルホ、C1−C4−アルキルスルホ、スルフィノ、C1−C4−アルキルスルフィノ、カルボキシ、C1−C4−アルコキシカルボニル、シアノまたはニトロであり;
Aは、カルボニル、CH−XまたはC=N−R5であり;
各場合においてnは独立して0または1の整数であり;
5は、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールまたはアリールアミノであり;
Xは、ヒドロキシ、カルボキシ、アセチル、アルキルカルボニル、ホルミル、1〜6個のヒドロキシ基で置換されているC1−C6アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルオキシカルボニル、N−アルキルカルバモイルまたは−C(=N−R5)R6であり;および
6は、水素またはCH3であり;
ただし、
i.)AがカルボニルまたはC=N−R5基ならば、n=1であり;および
ii.)n=0であり、Xがアリール、ヘテロアリール、ホルミル、カルボキシ、アセチル、アルキルオキシカルボニル、アリールカルボニル、N−アルキルカルバモイル、−CH2OH、
【化2】

基ならば、R1、R2、R3およびR4は全てが水素とは限らず;および
iii.)n=0、R1=R2=R4=H、およびR3=OHまたは
n=0、R2=R4=H、およびR1=R3=OHまたは
n=0、R1=R4=H、およびR2=R3=OHまたは
n=0、R1=R2=H、およびR3=R4=OHならば、
Xはホルミルでも2−ホルミルフェニルでもなく;および
iv.)n=0、R1=R2=R4=H、およびR3=OHまたは
n=0、R2=R4=H、およびR1=R3=OHならば、
Xは4−カルボキシフェニル基ではなく;および
v.)n=0、R1=R2=R4=H、およびR3=OHならば、
Xは、カルボキシ、フェニル、4−スチリルフェニル、4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル、2−ピリジニル、3−ピリジニル、2−ナフタレニルではなく;および
vi.)n=0、R1=R2=R3=H、およびR4=Meならば、
Xは、フェニル、3−ブロモフェニル、2−クロロフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、2−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、4−ニトロロフェニル、4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル、4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル、4−メチルチオフェニルではなく;および
vii.)n=0、R1=R3=R4=H、およびR2=Meならば、
Xは、フェニル、2−クロロフェニル、4−ヒドロキシフェニル、2,4−ジクロロフェニル、3−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル 4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル、3−ニトロロフェニル、2−ニトロロフェニル、2−メトキシフェニル、3,4,5−トリメトキシフェニル、4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル、2−ピリジニル、3−ピリジニル、4−ピリジニル、2−キノリニルではなく;および
iii.)n=0、R1=R3=R4=H、およびR2=Fまたは
n=0、R1=R2=R4=H、およびR3=Fならば、
Xは、カルボキシ、エチルオキシカルボニルではなく、
ix.)n=0、R1=R2=R3=H、およびR4=Clならば、
Xはフェニルではなく、
x.)n=0、R1=R3=R4=H、およびR2=Clならば、
Xは、フェニル、4−ヒドロキシフェニル、4−メトキシフェニル、3−ニトロフェニル、4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル、2−ピリジニル、3−ピリジニル、4−ピリジニル、2−(6−メチル)ピリジニル、2−キノリニルではなく、
xi.)n=0、R1=R3=R4=H、およびR2=Brならば、
Xは、フェニル、2−ヒドロキシフェニル、3−ヒドロキシフェニル、4−メチルフェニル、4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル、4−ヒドロキシ−3−エトキシフェニル、2−ピリジニル、4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル、5−ベンゾ[1,3]ジオキソリルではなく;および
xii.)n=0、R1=R2=R4=H、およびR3=Meまたは
n=0、R2=R3=HおよびR1=R4=Meならば、
Xは、フェニル、4−ヒドロキシフェニル、4−ニトロフェニルではなく;および
xiii.)n=0、R2=R4=HおよびR1=R3=Meならば、
Xはフェニルではなく;および
xiv.)n=0、R1=R4=HおよびR2=ClおよびR3=Meならば、
Xは、フェニル、4−ヒドロキシフェニル、4−メトキシフェニル、2−(6−メチル)ピリジニル、3−ピリジニル、4−ピリジニル、2−キノリニルではなく;および
xv.)n=0、R1=R4=HおよびR2=R3=Meならば、
Xは、フェニル、4−メトキシフェニルではなく;および
xvi.)n=0、R1=R3=HおよびR2=R4=Clならば、
Xはフェニルではなく;
xvii.)n=0、R1=R2=HおよびR3=OHおよびR4=Meならば、
Xは、フェニル、4−メトキシフェニル、2−ヒドロキシフェニル、3−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル、4−ヒドロキシ−3−エトキシフェニル、5−ベンゾ[1,3]ジオキソリルではなく;および
xviii.)n=1、Xがカルボキシ、エチルオキシカルボニルならば、
1、R2、R3およびR4は全てが水素とは限らず;および
xix.)n=1、R1=R3=R4=HおよびR2=Brならば、
Xはフェニルではない]
の化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物、互変体もしくは立体異性体。
【請求項2】
式II
【化3】

(II)
[式中:
1、R2、R3およびR4は各々独立して、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、C1−C4−アルキル、C2−C4−アルケニル、C2−C4−アルキニル、ハロ−C1−C4−アルキル、ヒドロキシ、C1−C4−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C1−C4−アルカノイル、アミノ、アミノ−C1−C4−アルキル、N−(C1−C4−アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−C4−アルキル)アミノ、メルカプト、C1−C4−アルキルチオ、スルホ、C1−C4−アルキルスルホ、スルフィノ、C1−C4−アルキルスルフィノ、カルボキシ、C1−C4−アルコキシカルボニル、シアノまたはニトロであり;
Xは、ヒドロキシ、カルボキシ、アルキルカルボニル、ホルミル、1〜6個のヒドロキシ基で置換されているC1−C6アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルオキシカルボニル、アリールカルボニル、N−アルキルカルバモイルまたは−C(=N−R5)R6であり;
5は、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールまたはアリールアミノであり;および
6は、水素またはCH3であり;
ただし、
i.)Xがアリール、ヘテロアリール、カルボキシ、アセチル、アルキルオキシカルボニル、−CH2OH、
【化4】

基ならば、R1、R2、R3およびR4は全てが水素とは限らず;および
ii.)R1=R3=R4=HおよびR2=Meならば、
Xは3−(4−ヒドロキシ−6−メチル−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラニル)ではない]
の化合物またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物、互変体もしくは立体異性体。
【請求項3】
式III
【化5】

(III)
[式中:
1、R2、R3およびR4は各々独立して、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、C1−C4−アルキル、C2−C4−アルケニル、C2−C4−アルキニル、ハロ−C1−C4−アルキル、ヒドロキシ、C1−C4−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C1−C4−アルカノイル、アミノ、アミノ−C1−C4−アルキル、N−(C1−C4−アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−C4−アルキル)アミノ、メルカプト、C1−C4−アルキルチオ、スルホ、C1−C4−アルキルスルホ、スルフィノ、C1−C4−アルキルスルフィノ、カルボキシ、C1−C4−アルコキシカルボニル、シアノまたはニトロであり;
Dは、CH、CH2、CCH3、CHCH3、CHCH2OHまたはカルボニルであり;および
−−は、単結合または二重結合であり;
ただし、
i.)DがCH2、CHCH3、CHCH2OHまたはカルボニル基であり、−−が単結合であるか、またはDがCHもしくはCCH3基であり、−−が二重結合ならば、R1、R2、R3およびR4は同時に水素原子ではなく;
ii.)R1=R2=R4=HおよびR3=OH、または
2=R4=HおよびR1=R3=OH、または
1=R4=HおよびR2=R3=OH、または
1=R2=H、R3=R4=OHならば、
DはCHまたはCH2基ではない]
の化合物またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物、互変体もしくは立体異性体。
【請求項4】
n=1であり、Aがカルボニル基である、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
n=0であり、Xがカルボキシ、アセチル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、1〜6個のヒドロキシ基で置換されているC1−C6アルキル、アルキルオキシカルボニル、N−アルキルカルバモイル、ホルミルまたは−C(=N−R5)R6であり、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1個が各々独立して、クロロ、ブロモ、C1−C4−アルキル、C2−C4−アルケニル、C2−C4−アルキニル、ハロ−C1−C4−アルキル、C1−C4−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C1−C4−アルカノイル、アミノ、アミノ−C1−C4−アルキル、N−(C1−C4−アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−C4−アルキル)アミノ、メルカプト、C1−C4−アルキルチオ、スルホ、C1−C4−アルキルスルホ、スルフィノ、C1−C4−アルキルスルフィノ、カルボキシ、C1−C4−アルコキシカルボニル、シアノまたはニトロである、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
1、R2、R3およびR4が各々独立してC1−C4−アルキル、クロロまたはブロモである、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
n=0であり、Xがアリールカルボニル、1〜6個のヒドロキシ基で置換されているC1−C6アルキル、N−アルキルカルバモイルまたは−C(=N−R5)R6であり、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1個が各々独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、C1−C4−アルキル、ヒドロキシ、C2−C4−アルケニル、C2−C4−アルキニル、ハロ−C1−C4−アルキル、C1−C4−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C1−C4−アルカノイル、アミノ、アミノ−C1−C4−アルキル、N−(C1−C4−アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−C4−アルキル)アミノ、メルカプト、C1−C4−アルキルチオ、スルホ、C1−C4−アルキルスルホ、スルフィノ、C1−C4−アルキルスルフィノ、カルボキシ、C1−C4−アルコキシカルボニル、シアノまたはニトロである、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
1、R2、R3およびR4が各々独立してC1−C4−アルキル、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヒドロキシである、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
n=0であり、Xが2−1H−イミダゾリル、6−(2,3−ジヒドロ)ベンゾ[1,4]ジオキシニル、3−ブロモ−4−フルオロフェニル、3−ブロモ−4−メトキシフェニル、3−エトキシフェニル、3−フェノキシフェニル、4−フェノキシフェニル、4−ベンジルオキシ−3−メトキシフェニル、2−(4−ブロモ)チオフェニル、4−イソプロポキシフェニル、3−キノリニル、4−キノリニル、5−(2,3−ジヒドロ)ベンゾフラニル、2−フラニル、4−トリフルオロメチルフェニル、2−[5−(3−トリフルオロメチルフェニル)]フラニルまたは2−(5−ヒドロキシメチル)フラニルであり、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1個が各々独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、C1−C4−アルキル、ヒドロキシ、C2−C4−アルケニル、C2−C4−アルキニル、ハロ−C1−C4−アルキル、C1−C4−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C1−C4−アルカノイル、アミノ、アミノ−C1−C4−アルキル、N−(C1−C4−アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−C4−アルキル)アミノ、メルカプト、C1−C4−アルキルチオ、スルホ、C1−C4−アルキルスルホ、スルフィノ、C1−C4−アルキルスルフィノ、カルボキシ、C1−C4−アルコキシカルボニル、シアノまたはニトロである、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
1、R2、R3およびR4が各々独立してC1−C4−アルキル、フルオロ、クロロまたはブロモである、請求項9記載の化合物。
【請求項11】
(a)n=0、X=フェニル、R1=R2=R4=HおよびR3=Clである、式Iの化合物;
(b)n=0、X=フェニル、R1=R2=R3=HおよびR4=イソプロピルである、式Iの化合物;
(c)n=0、X=4−メチルフェニル、3−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、4−メチルチオフェニル、2−ピリジニル、2−キノリニルまたは5−ベンゾ[1,3]ジオキソリル;R1=R4=HおよびR2=R3=Meである、式Iの化合物;
(d)n=0、X=4−メチルフェニル、3−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシフェニル、4−クロロフェニル、4−メチルチオフェニル、2−ピリジニル、3−ピリジニル、4−ピリジニル、2−キノリニル、4−メトキシフェニルまたは5−ベンゾ[1,3]ジオキソリル;R1=R3=HおよびR2=R4=Meである、式Iの化合物;
(e)n=0、X=4−ヒドロキシフェニル、4−メトキシフェニル、4−クロロフェニル、4−メチルチオフェニル、2−キノリニル、3−ピリジニルまたは4−ピリジニル;R1=R3=R4=HおよびR2=Et、FまたはBrである、式Iの化合物;
(f)n=0、X=4−メチルフェニル、2−ピリジニル、3−ヒドロキシフェニルまたは5−ベンゾ[1,3]ジオキソリル;R1=R3=R4=HおよびR2=EtまたはFである、式Iの化合物;
(g)n=0、X=4−メチルフェニル、3−ヒドロキシフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、4−メチルチオフェニルまたは5−ベンゾ[1,3]ジオキソリル;R1=R3=R4=HおよびR2=Clである、式Iの化合物;
(h)n=0、X=4−メチルフェニル、3−ヒドロキシフェニル、4−クロロフェニル、4−メチルチオフェニル、2−ピリジニル、4−ピリジニル、2−キノリニルまたは5−ベンゾ[1,3]ジオキソリル;R1=R2=R4=HおよびR3=Meである、式Iの化合物;
(i)n=0、X=4−メチルフェニル、3−ヒドロキシフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、4−メチルチオフェニル、2−ピリジニルまたは5−ベンゾ[1,3]ジオキソリル;R1=R4=H;R2=ClおよびR3=Meである、式Iの化合物;
(j)n=0、X=5−ベンゾ[1,3]ジオキソリル;R1=R3=R4=HおよびR2=Meである、式Iの化合物;
(k)n=0、X=カルボキシ;R1=Me;R2=R4=HおよびR3=OHである、式Iの化合物;または
(l)n=0、X=アセチル;R1=R3=OHおよびR2=R4=Hである、式Iの化合物;
である、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
Xがカルボキシ、アセチル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ホルミル、1〜6個のヒドロキシ基で置換されているC1−C6アルキル、アリール、アルキルオキシカルボニル、N−アルキルカルバモイルまたは−C(=N−R5)R6であり、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1個が各々独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、C1−C4−アルキル、ヒドロキシ、C2−C4−アルケニル、C2−C4−アルキニル、ハロ−C1−C4−アルキル、C1−C4−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C1−C4−アルカノイル、アミノ、アミノ−C1−C4−アルキル、N−(C1−C4−アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−C4−アルキル)アミノ、メルカプト、C1−C4−アルキルチオ、スルホ、C1−C4−アルキルスルホ、スルフィノ、C1−C4−アルキルスルフィノ、カルボキシ、C1−C4−アルコキシカルボニル、シアノまたはニトロである、請求項2記載の化合物。
【請求項13】
1、R2、R3およびR4が各々独立してC1−C4−アルキル、フルオロ、クロロまたはブロモである、請求項12記載の化合物。
【請求項14】
Xがカルボキシ、アセチル、ホルミル、1〜6個のヒドロキシ基で置換されているC1−C6アルキルであり、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1個が各々独立して、C1−C4−アルキル、フルオロ、クロロまたはブロモである、請求項2記載の化合物。
【請求項15】
DがCHCH3、CHCH2OHまたはカルボニルであり、−−が単結合であるか;
またはDがCCH3であり、−−が二重結合であり;
1、R2、R3およびR4の少なくとも1個が各々独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、C1−C4−アルキル、ヒドロキシ、C2−C4−アルケニル、C2−C4−アルキニル、ハロ−C1−C4−アルキル、C1−C4−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C1−C4−アルカノイル、アミノ、アミノ−C1−C4−アルキル、N−(C1−C4−アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−C4−アルキル)アミノ、メルカプト、C1−C4−アルキルチオ、スルホ、C1−C4−アルキルスルホ、スルフィノ、C1−C4−アルキルスルフィノ、カルボキシ、C1−C4−アルコキシカルボニル、シアノまたはニトロである、請求項3記載の化合物。
【請求項16】
1、R2、R3およびR4が各々独立してC1−C4−アルキル、フルオロ、クロロまたはブロモまたはヒドロキシである、請求項15記載の化合物。
【請求項17】
DがCHまたはCH2であり;
1、R2、R3およびR4の少なくとも1個が各々独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、C1−C4−アルキル、C2−C4−アルケニル、C2−C4−アルキニル、ハロ−C1−C4−アルキル、C1−C4−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C1−C4−アルカノイル、アミノ、アミノ−C1−C4−アルキル、N−(C1−C4−アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−C4−アルキル)アミノ、メルカプト、C1−C4−アルキルチオ、スルホ、C1−C4−アルキルスルホ、スルフィノ、C1−C4−アルキルスルフィノ、カルボキシ、C1−C4−アルコキシカルボニル、シアノまたはニトロである、請求項3記載の化合物。
【請求項18】
1、R2、R3およびR4が各々独立してC1−C4−アルキル、フルオロ、クロロまたはブロモである、請求項17記載の化合物。
【請求項19】
請求項1〜18に示す1個または複数の化合物および1個または複数の医薬上許容される希釈剤、担体または賦形剤を含有する、医薬組成物。
【請求項20】
処置の必要のある対象における炎症状態または炎症組織への白血球湿潤に付随する免疫障害の処置方法であって、該対象へ治療上有効量の式VI
【化6】

(VI)
[式中:
1、R2、R3およびR4は各々独立して水素、ハロゲン、C1−C4−アルキル、C2−C4−アルケニル、C2−C4−アルキニル、ハロ−C1−C4−アルキル、ヒドロキシ、C1−C4−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C1−C4−アルカノイル、アミノ、アミノ−C1−C4−アルキル、N−(C1−C4−アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−C4−アルキル)アミノ、メルカプト、C1−C4−アルキルチオ、スルホ、C1−C4−アルキルスルホ、スルフィノ、C1−C4−アルキルスルフィノ、カルボキシ、C1−C4−アルコキシカルボニル、シアノまたはニトロであり;
Aは、カルボニル、CH−XまたはC=N−R5であり;
各場合においてnは独立して0または1の整数であり;
5は、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールまたはアリールアミノであり;
Xは、水素、ヒドロキシ、カルボキシ、アセチル、アルキルカルボニル、ホルミル、1〜6個のヒドロキシ基で置換されているC1−C6アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルオキシカルボニル、N−アルキルカルバモイルまたは−C(=N−R5)R6であり;および
6は、水素またはCH3である]
の化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物、互変体もしくは立体異性体を投与することを含む、方法。
【請求項21】
処置の必要のある対象における炎症状態または炎症組織への白血球湿潤に付随する免疫障害の処置方法であって、該対象へ治療上有効量の式VII
【化7】

(VII)
[式中:
1、R2、R3およびR4は各々独立して水素、ハロゲン、C1−C4−アルキル、C2−C4−アルケニル、C2−C4−アルキニル、ハロ−C1−C4−アルキル、ヒドロキシ、C1−C4−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C1−C4−アルカノイル、アミノ、アミノ−C1−C4−アルキル、N−(C1−C4−アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−C4−アルキル)アミノ、メルカプト、C1−C4−アルキルチオ、スルホ、C1−C4−アルキルスルホ、スルフィノ、C1−C4−アルキルスルフィノ、カルボキシ、C1−C4−アルコキシカルボニル、シアノまたはニトロであり;
Xは、水素、ヒドロキシ、カルボキシ、アルキルカルボニル、ホルミル、1〜6個のヒドロキシ基で置換されているC1−C6アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルオキシカルボニル、N−アルキルカルバモイルまたは−C(=N−R5)R6であり;
5は、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールまたはアリールアミノであり;および
6は、水素またはCH3である]
の化合物またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物、互変体もしくは立体異性体を投与することを含む、方法。
【請求項22】
処置の必要のある対象における炎症状態または炎症組織への白血球湿潤に付随する免疫障害の処置方法であって、該対象へ治療上有効量の式VIII
【化8】

(VIII)
[式中:
1、R2、R3およびR4は各々独立して、水素、ハロゲン、C1−C4−アルキル、C2−C4−アルケニル、C2−C4−アルキニル、ハロ−C1−C4−アルキル、ヒドロキシ、C1−C4−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C1−C4−アルカノイル、アミノ、アミノ−C1−C4−アルキル、N−(C1−C4−アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−C4−アルキル)アミノ、メルカプト、C1−C4−アルキルチオ、スルホ、C1−C4−アルキルスルホ、スルフィノ、C1−C4−アルキルスルフィノ、カルボキシ、C1−C4−アルコキシカルボニル、シアノまたはニトロであり;
Dは、CH、CH2、CCH3、CHCH3、CHCH2OHまたはカルボニルであり;および
−−は、単結合または二重結合である]
の化合物またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物、互変体もしくは立体異性体を投与することを含む、方法。
【請求項23】
該炎症状態または免疫障害が、喘息;慢性閉塞性肺疾患;気管支炎;成人呼吸窮迫症候群;アレルギー性鼻炎、鼻ポリープから選択される炎症性鼻疾患;湿疹、乾癬、アレルギー性皮膚炎、神経皮膚炎、掻痒、結膜炎から選択される炎症性皮膚疾患;関節リウマチ;クローン病、大腸炎および潰瘍性大腸炎から選択される炎症性腸疾患;さらなるインスリン依存性糖尿病、甲状腺炎、紅斑性狼瘡、多発性硬化症、レイノー病から選択される自己免疫疾患、およびリウマチ様脊椎炎、敗血症性関節炎、多発性関節炎から選択される炎症性要素を有する他の関節炎状態、網膜炎、髄膜炎および脳炎から選択される炎症性脳障害;脳損傷、心臓組織損傷および肺損傷から選択される急性外傷に付随する状態;敗血症および腎炎(例えば、糸球体腎炎)から選択される感染に伴う炎症から選択される、請求項20、21または22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
炎症状態または免疫障害が、喘息、慢性閉塞性肺疾患、成人呼吸窮迫症候群、気管支炎、アレルギー性鼻炎、鼻ポリープ、湿疹、乾癬、アレルギー性皮膚炎、神経皮膚炎、掻痒、結膜炎、関節リウマチまたは炎症性腸疾患である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
罹患器官または組織における炎症を阻止または軽減するための方法であって、該器官または組織へ治療上有効量の式VI
【化9】

(VI)
[式中:
1、R2、R3およびR4は各々独立して、水素、ハロゲン、C1−C4−アルキル、C2−C4−アルケニル、C2−C4−アルキニル、ハロ−C1−C4−アルキル、ヒドロキシ、C1−C4−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C1−C4−アルカノイル、アミノ、アミノ−C1−C4−アルキル、N−(C1−C4−アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−C4−アルキル)アミノ、メルカプト、C1−C4−アルキルチオ、スルホ、C1−C4−アルキルスルホ、スルフィノ、C1−C4−アルキルスルフィノ、カルボキシ、C1−C4−アルコキシカルボニル、シアノまたはニトロであり;
Aは、カルボニル、CH−XまたはC=N−R5であり;
各場合においてnは独立して0または1の整数であり;
5は、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールまたはアリールアミノであり;
Xは、水素、ヒドロキシ、カルボキシ、アセチル、アルキルカルボニル、ホルミル、1〜6個のヒドロキシ基で置換されているC1−C6アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルオキシカルボニル、N−アルキルカルバモイルまたは−C(=N−R5)R6であり;および
6は、水素またはCH3である]
の化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物、互変体もしくは立体異性体を送達することを含む、方法。
【請求項26】
罹患器官または組織における炎症を阻止または軽減するための方法であって、該器官または組織へ治療上有効量の式VII
【化10】

(VII)
[式中:
1、R2、R3およびR4は各々独立して、水素、ハロゲン、C1−C4−アルキル、C2−C4−アルケニル、C2−C4−アルキニル、ハロ−C1−C4−アルキル、ヒドロキシ、C1−C4−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C1−C4−アルカノイル、アミノ、アミノ−C1−C4−アルキル、N−(C1−C4−アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−C4−アルキル)アミノ、メルカプト、C1−C4−アルキルチオ、スルホ、C1−C4−アルキルスルホ、スルフィノ、C1−C4−アルキルスルフィノ、カルボキシ、C1−C4−アルコキシカルボニル、シアノまたはニトロであり;
Xは、水素、ヒドロキシ、カルボキシ、アルキルカルボニル、ホルミル、1〜6個のヒドロキシ基で置換されているC1−C6アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルオキシカルボニル、N−アルキルカルバモイルまたは−C(=N−R5)R6であり;
5は、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールまたはアリールアミノであり;および
6は、水素またはCH3である]
の化合物またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物、互変体もしくは立体異性体を送達することを含む、方法。
【請求項27】
罹患器官または組織における炎症を阻止または軽減するための方法であって、該器官または組織へ治療上有効量の式VIII
【化11】

(VIII)
[式中:
1、R2、R3およびR4は各々独立して、水素、ハロゲン、C1−C4−アルキル、C2−C4−アルケニル、C2−C4−アルキニル、ハロ−C1−C4−アルキル、ヒドロキシ、C1−C4−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C1−C4−アルカノイル、アミノ、アミノ−C1−C4−アルキル、N−(C1−C4−アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−C4−アルキル)アミノ、メルカプト、C1−C4−アルキルチオ、スルホ、C1−C4−アルキルスルホ、スルフィノ、C1−C4−アルキルスルフィノ、カルボキシ、C1−C4−アルコキシカルボニル、シアノまたはニトロであり;
Dは、CH、CH2、CCH3、CHCH3、CHCH2OHまたはカルボニルであり;および
−−は単結合または二重結合である]
の化合物またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物、互変体もしくは立体異性体を送達することを含む、方法。
【請求項28】
実施例1〜284、288、290〜374の化合物の群から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項29】
式I
【化12】

(I)
[式中:
1、R2、R3およびR4は各々独立して、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、C1−C3−アルキル、ヒドロキシまたはニトロであり;
Aは、カルボニルまたはCH−Xであり;
各場合においてnは独立して0または1の整数であり;および
Xは、カルボキシ、−C(O)O(C1-4アルキル)、−CH(OH)CH2OH、−CH2OH、C(O)OCH2CH2OH、C(O)NHデシル、C(O)NH(CH23OH、C(O)NHC(CH32CH2OH、C(O)NHC(CH2OH)3、1−ヒドロキシエチル、−C(=N)−OH、イミダゾリル、フェニル、2−メトキシフェニル、4−キノリニル、2−キノリニル、2−ニトロフェニル、3−クロロフェニル、2,4−ジメトキシフェニル、4−(1−ブチル)−イミダゾリル、ナフチル、2−ヒドロキシ−4−ニトロフェニル、6−(2,3−ジヒドロベンゾジオキサニル)、2−(4−クロロフェニルチオ)−フェニル、2−ピリジニル、3−ブロモ−4−フルオロフェニル、3−ブロモ−4−メトキシフェニル、3−クロロ−4−フルオロフェニル、3−エトキシフェニル、3−ヒドロキシフェニル、3−フェノキシフェニル、3−メトキシ−4−ベンジルオキシフェニル、4−チオメチルフェニル、2−(4−ブロモチオフェニル)、4−クロロフェニル、4−シアノフェニル、4−イソプロポキシフェニル、4−メチルフェニル、4−フェノキシフェニル、2−(5−メチル)−フラニル、3,4,5−トリメトキシフェニル、4−フルオロフェニル、4−ピリジル、2−クロロフェニル、1−イミダゾリル、3,4−メチレンジオキシフェニル、4−メトキシフェニル、3−キノリニル、2−キノリニル、4−ヒドロキシフェニル、5−(2,3−ジヒドロ)−ベンゾフラニル、2−メトキシフェニル、2−フラニル、4−トリフルオロメチルフェニル、2−[5−(3−トリフルオロメチルフェニル)]−フラニル、1−(5−ヒドロキシメチル)−フラニルであり;
ただし、
i.)Aがカルボニルならば、n=1であり;および
ii.)n=0であり、X=カルボキシ、−C(O)O(C1-4アルキル)、−CH(OH)CH2OH、−CH2OH、C(O)OCH2CH2OH、C(O)NHデシル、C(O)NH(CH23OH、C(O)NHC(CH32CH2OH、C(O)NHC(CH2OH)3、イミダゾリル、フェニル、2−メトキシフェニル、4−キノリニル、2−キノリニル、2−ニトロフェニル、3−クロロフェニル、2,4−ジメトキシフェニル、4−(1−ブチル)−イミダゾリル、ナフチル、2−ヒドロキシ−4−ニトロフェニル、6−(2,3−ジヒドロベンゾジオキサニル)、2−(4−クロロフェニルチオ)−フェニル、2−ピリジニル、3−ブロモ−4−フルオロフェニル、3−ブロモ−4−メトキシフェニル、3−クロロ−4−フルオロフェニル、3−エトキシフェニル、3−ヒドロキシフェニル、3−フェノキシフェニル、3−メトキシ−4−ベンジルオキシフェニル、4−チオメチルフェニル、2−(4−ブロモチオフェニル)、4−クロロフェニル、4−シアノフェニル、4−イソプロポキシフェニル、4−メチルフェニル、4−フェノキシフェニル、2−(5−メチル)−フラニル、3,4,5−トリメトキシフェニル、4−フルオロフェニル、4−ピリジル、2−クロロフェニル、1−イミダゾリル、3,4−メチレンジオキシフェニル、4−メトキシフェニル、3−キノリニル、2−キノリニル、4−ヒドロキシフェニル、5−(2,3−ジヒドロ)−ベンゾフラニル、2−メトキシフェニル、2−フラニル、4−トリフルオロメチルフェニル、2−[5−(3−トリフルオロメチルフェニル)]−フラニルまたは1−(5−ヒドロキシメチル)−フラニルならば;R1、R2、R3およびR4は全てが水素とは限らず;および
iii.)n=0、R1=R2=R4=H、およびR3=OHならば、
Xは、カルボキシ、フェニル、2−ピリジニルまたは2−ナフタレニルではなく;および
iv.)n=0、R1=R2=R3=H、およびR4=Meならば、
Xは、フェニル、2−クロロフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2−メトキシフェニル、4−メトキシフェニルまたは4−メチルチオフェニルではなく;および
v.)n=0、R1=R3=R4=H、およびR2=Meならば、
Xは、フェニル、2−クロロフェニル、4−ヒドロキシフェニル、4−メトキシフェニル、2−メトキシフェニル、3,4,5−トリメトキシフェニル、2−ピリジニル、4−ピリジニルまたは2−キノリニルではなく;および

vi.)n=0、R1=R3=R4=H、およびR2=Fまたは
n=0、R1=R2=R4=H、およびR3=Fならば、
Xは、カルボキシまたはエチルオキシカルボニルではなく;および
vii.)n=0、R1=R2=R3=H、およびR4=Clならば、
Xはフェニルではなく;および
viii.)n=0、R1=R3=R4=H、およびR2=Clならば、
Xは、フェニル、4−ヒドロキシフェニル、4−メトキシフェニル、2−ピリジニル、4−ピリジニルまたは2−キノリニルではなく;および
ix.)n=0、R1=R3=R4=H、およびR2=Brならば、
Xは、フェニル、3−ヒドロキシフェニル、4−メチルフェニル、2−ピリジニルまたは5−ベンゾ[1,3]ジオキソリルではなく;および
x.)n=0、R1=R2=R4=H、およびR3=Meまたは
n=0、R2=R3=HおよびR1=R4=Meならば、
Xはフェニルまたは4−ヒドロキシフェニルではなく;および
xi.)n=0、R2=R4=HおよびR1=R3=Meならば、
Xはフェニルではなく;および
xii.)n=0、R1=R4=HおよびR2=ClおよびR3=Meならば、
Xは、フェニル、4−ヒドロキシフェニル、4−メトキシフェニル、4−ピリジニルまたは2−キノリニルではなく;および
xiii.)n=0、R1=R4=HおよびR2=R3=Meならば、
Xはフェニルまたは4−メトキシフェニルではなく;および
xiv.)n=0、R1=R3=HおよびR2=R4=Clならば、
Xはフェニルではなく;および
xv.)n=0、R1=R2=HおよびR3=OHおよびR4=Meならば、
Xは、フェニル、4−メトキシフェニル、3−ヒドロキシフェニルまたは5−ベンゾ[1,3]ジオキソリルではなく;および
xvi.)n=1およびX=カルボキシまたはエチルオキシカルボニルならば、
1、R2、R3およびR4は全てが水素とは限らず;および
xvii.)n=1およびR1=R3=R4=HおよびR2=Brならば、
Xはフェニルではない]
の化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物、互変体もしくは立体異性体。
【請求項30】
適切な医薬製剤が局所、非経口または経口投与され得る、請求項1〜18および28〜29に記載の化合物の使用。
【請求項31】
適切な医薬製剤が局所、非経口または経口投与され得る、炎症状態および疾患の予防および処置における請求項1〜18および28〜29記載の化合物の使用。
【請求項32】
顆粒球(例えば、マスト細胞)脱顆粒、LTB4産生、5−リポキシゲナーゼ産生、CysLT1受容体、PDE3活性、PDE4活性、ヒトプロスタノイド受容体への結合、ヒトトロンボキサン受容体への結合、蛋白質セリン/トレオニンキナーゼERK1、活性蛋白質チロシンキナーゼLCK活性、タキキニン受容体への結合、TNF−α、IL−1β、IL−2、IL−5、IL−6およびIL−8からなる群より選択される少なくとも1個の炎症誘発性サイトカインの産生、浮腫、好酸球増加、インターフェロン−γならびに好中球増加からなる群より選択される少なくとも1個の炎症マーカーの阻害方法であって、炎症を伴う器官または細胞組織を該炎症マーカーの阻害に有効な用量の請求項1〜18、28および29のいずれかに記載の化合物に曝露させることを含む、方法。
【請求項33】
該マーカーがマスト細胞脱顆粒であり、即時または遅延の過敏性、アレルギー、アナフィラキシー、炎症、喘息またはじんま疹に付随するものである、請求項32記載の方法。
【請求項34】
該マーカーがLTB−4産生であり、炎症に付随するものである、請求項32記載の方法。
【請求項35】
該マーカーが5−リポキシゲナーゼであり、喘息または炎症性腸疾患に付随するものである、請求項32記載の方法。
【請求項36】
該マーカーがCysLT1受容体であり、喘息に付随するものである、請求項32記載の方法。
【請求項37】
該マーカーがPDE3であり、癌、炎症、肺高血圧または卒中に付随するものである、請求項32記載の方法。
【請求項38】
該マーカーがPDE4であり、慢性閉塞性肺疾患、好中球増加または喘息に付随するものである、請求項32記載の方法。
【請求項39】
該マーカーがプロスタノイド受容体への結合であり、炎症または喘息に付随するものである、請求項32記載の方法。
【請求項40】
該マーカーがERK1キナーゼの阻害であり、癌または炎症に付随するものである、請求項32記載の方法。
【請求項41】
該マーカーがLCKキナーゼ活性であり、T−細胞活性化疾患、T−細胞白血病およびT−細胞介在炎症反応に付随するものである、請求項32記載の方法。
【請求項42】
該マーカーがタキキニンNK2受容体への結合であり、喘息、胃腸疾患、過敏性腸症候群または膵炎に付随するものである、請求項32記載の方法。
【請求項43】
該マーカーがサイトカイン産生であり、炎症に付随するものである、請求項32記載の方法。
【請求項44】
該マーカーが浮腫である、請求項32記載の方法。
【請求項45】
該マーカーがマウスにおける肺好酸球増加であり、喘息に付随するものである、請求項32記載の方法。
【請求項46】
該マーカーがマウスにおける肺好中球増加であり、COPDに付随するものである、請求項32記載の方法。
【請求項47】
実施例1〜54、59、95、96、98、99、101、102、103、105〜112、114、115、117、118、120、120、122〜124、126〜136、138〜141、144、147〜149、151、153〜172、174〜177、179〜222、224〜284、291〜342および356〜374の化合物からなる群より選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項48】
さらに、
(i)n=0、R1=R3=R4=H、およびR2=Brならば、
Xは4−ヒドロキシフェニルまたは3,4−メチレンジオキシフェニルでなく;および
(ii)n=0、R1=R2=R4=H、およびR3=Clならば、
Xはフェニルでない、
請求項1記載の化合物。
【請求項49】
さらに、
(i)n=0、R1=R3=R4=H、およびR2=Brならば、
Xは4−ヒドロキシフェニルまたは3,4−メチレンジオキシフェニルでなく;および
(ii)n=0、R1=R2=R4=H、およびR3=Clならば、
Xはフェニルでない、
請求項29記載の化合物。

【公表番号】特表2008−526951(P2008−526951A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−550880(P2007−550880)
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【国際出願番号】PCT/IB2006/001259
【国際公開番号】WO2006/111858
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(506261316)グラクソスミスクライン・イストラジヴァッキ・センタル・ザグレブ・ドルズバ・ゼー・オメイェノ・オドゴヴォルノスティオ (25)
【氏名又は名称原語表記】GLAXOSMITHKLINE ISTRAZIVACKI CENTAR ZAGREB D.O.O.
【Fターム(参考)】