説明

抗菌・防腐剤組成物及びそれを配合した皮膚外用剤

【課題】乳化製剤中でも優れた抗菌・防腐力を有し、しかも安全性が高い抗菌・防腐剤組成物及びそれを配合する皮膚外用剤及び皮膚外用剤の抗菌・防腐方法の提供を課題とした。
【解決手段】 本発明者らは鋭意研究を行った結果、特定構造のアルキルグリセリルエーテルと脂肪酸グリセリンエステルの組み合わせが優れた抗菌・防腐効果を有することを見出し、これらの化合物を併用して配合することにより安全性が高く、抗菌・防腐効果に優れた皮膚外用剤が得られることを見出し本発明を完成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアルキルグリセリルエーテル類と脂肪酸グリセリンエステル類を必須成分として含有する抗菌・防腐剤組成物に関し、さらには、これらの抗菌・防腐剤組成物を配合した皮膚外用剤、及びこれらの抗菌・防腐剤組成物を必須成分として用いる皮膚外用剤の抗菌・防腐方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に皮膚外用剤は、油分、増粘剤、保湿剤、水及び界面活性剤等を加えた乳化物が多く、水分含量が高い製品が多いため、微生物の繁殖に適した条件である。このため、皮膚外用剤が工場で製造され流通過程を通じて消費者の手にわたり、さらに開封後その皮膚外用剤が使い終わるまでの間に偶発的に混入してくる微生物汚染の危険性から皮膚外用剤を守る必要がある。皮膚外用剤が微生物で汚染されると異臭、変色等の品質の劣化を招くだけでなく、配合成分の変質による皮膚障害や病原菌による感染症や菌体成分や代謝産物による有害感染が引き起こされる可能性がある。
【0003】
このため、皮膚外用剤の微生物汚染の対策として、各種の抗菌・防腐剤を添加することが広く一般的に実施されている。従来より皮膚外用剤の抗菌・防腐剤としてはパラベン(パラオキシ安息香酸エステル)が最も広く使用されているが、パラベンを配合した皮膚外用剤でのかぶれも報告されている(非特許文献1参照)。
【0004】
また、パラベンはもともと抗菌スペクトルが狭く、大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌等の細菌類には比較的良好な抗菌・防腐力を示すが、酵母及びカビ類には効果が弱いという問題があった。さらには皮膚外用剤のように油分や水を多量に含み、かつ界面活性剤が配合されている乳化物中では、界面活性剤や油分によってパラベンの溶解状態が影響され、一般的に菌が存在する水相へのパラベンの分配率が減少し抗菌・防腐力が著しく低下するという問題がある。
【0005】
さらに、皮膚外用剤のうち外観が半透明から透明の化粧水等にパラベンを使用する場合、界面活性剤等でパラベンを製品中に可溶化させることが必要である。このように、パラベンを製品中に可溶化させた系では、その抗菌・防腐力が著しく低下する。また、シャンプーやリンス等のように、界面活性剤が多量に含まれている製品においても同様な抗菌・防腐力の低下が起こる。
【0006】
これらの問題を解決するために、グリセリンモノオクタン酸エステル、グリセリンモノデカン酸エステル、グリセリンモノラウリン酸エステル等の中鎖脂肪酸グリセリンエステル、ショ糖モノラウリン酸エステル等の中鎖脂肪酸ショ糖エステル、ジグリセリンモノオクタン酸エステル、ジグリセリンモノデカン酸エステル、ジグリセリンモノラウリン酸エステル等の中鎖脂肪酸ジグリセリンエステル、デカン酸、ウンデシレン酸等の中鎖脂肪酸、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコール等の比較的皮膚刺激が少なく安全な抗菌・防腐剤が提案されている(特許文献2,3)。 しかし、これらは抗菌スペクトルが狭く、細菌類、真菌類及びカビ類のすべてに良好な抗菌・防腐力を示すには不十分であり、しかも、乳化製剤中では界面活性剤の種類や油分の組成等に影響され、抗菌・防腐力が著しく低下する場合がある。
【0007】
また、乳化製剤中でのパラベン類の抗菌・防腐力を向上させる方法として1,2−ペンタンジオールまたは1,2−ヘキサンジオールをフェノキシエタノールやパラベンと併用する技術がある(特許文献4〜6参照)が、この技術によっても、細菌類、真菌類及びカビ類のすべてに抗菌・防腐力を示すには十分ではない。また、乳化製剤の組成により抗菌・防腐力が影響されるという問題は解決できない。
【0008】
本発明に用いるアルキルグリセリルエーテル類は、従来から抗菌活性を持つことは知られているが、その効果は弱いものであり、アルキルグリセリルエーテル類を単独で抗菌・防腐剤として皮膚外用剤に使用するには抗菌・防腐力が不十分である。そこでアルキルグリセリルエーテル類の抗菌・防腐力を向上させる方法として、2価以上の有機酸を併用する方法(特許文献7参照)、フェノキシエタノール、トリクロサン、トリクロロカルバン等の抗菌剤と金属キレート剤を併用する方法(特許文献8参照)等が開示されている。
【0009】
また、本発明に用いる脂肪酸グリセリンエステル類も、抗菌力を持つことが知られており、食品あるいは化粧品用の防腐剤として使用されてきた。しかし、その効果は弱いものであり、脂肪酸グリセリルエステル類を単独で抗菌・防腐剤として使用するには抗菌・防腐力が不十分である。さらに、脂肪酸グリセリンエステル類は、それを添加した製剤の乳化状態に影響を与え、製剤粘度の低下やクリーミングあるいは分離を引き起こすことがある。これらの問題を解決するために、脂肪酸グリセリンエステル類とジグリセリン脂肪酸エステル類を組合せて用いることによって抗菌・防腐力を向上させるとともに、製剤の乳化状態への悪影響を低減する方法が開示されている(特許文献9参照)。しかし、この方法でも抗菌・防腐力は不十分であった。
【非特許文献1】北米接触皮膚炎団体(North American Contact Dermatitis Group) Archives of Dermatology 108,p573(1973)
【特許文献1】特開平11−139906
【特許文献2】特開平10−53510
【特許文献3】特開平11−322591
【特許文献4】特開平11−310506
【特許文献5】特開平15−081761
【特許文献6】特開2002−322090
【特許文献7】特許 第3371098号
【特許文献8】特開2001−19608
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、乳化製剤中でも優れた抗菌・防腐力を有し、しかも皮膚刺激の少ない抗菌・防腐剤組成物、及びそれを含有する皮膚外用剤、及び皮膚外用剤用の抗菌・防腐方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、特定のアルキルグリセリルエーテルと脂肪酸グリセリンエステルを組み合わせて用いることによって、単独で使用した場合と比較して相乗的に抗菌・防腐力が増強し、優れた抗菌・防腐効果を有し、皮膚外用剤等の乳化製剤中であっても良好な抗菌・防腐力を示すとともに乳化状態に悪影響を与えないことを見出し、本発明を完成した。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、広い抗菌スペクトルを有し、乳化製剤中に配合しても高い抗菌・防腐効果を発揮し、しかも安全性も良好な皮膚外用剤が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明について詳述する。
本発明者らは、それぞれ単独では十分な抗菌・防腐力を持たないアルキルグリセリルエーテル類と脂肪酸グリセリンエステル類とを併用すると、相乗的に抗菌・防腐力が向上することを見出した。また、その混合物は製剤の乳化状態に悪影響を与えず、さらには製剤に含まれる油分や界面活性剤により抗菌・防腐力が低下しないことを見出した。
【0014】
本発明に用いられるアルキルグリセリルエーテルは炭素数4〜12の直鎖又は分岐のアルキルグリセリルエーテルまたはアルキレングリセリルエーテルである。具体的にはブチルグリセリルエーテル、ヘキシルグリセリルエーテル、オクチルグリセリルエーテル、2−エチルヘキシルグリセリルエーテル、ノニルグリセリルエーテル、デシルグリセリルエーテル、ウンデセニルグリセリルエーテル、ドデシルグリセリルエーテル等を挙げることができる。
【0015】
本発明のアルキルグリセリルエーテル類はモノアルキルグリセリルエーテルでもジアルキルグリセリルエーテルでもよく、また、それらの混合物であっても良い。特に好ましくは、モノアルキルグリセリルエーテルを90%以上含むものである。
【0016】
本発明のアルキルグリセリルエーテルは公知の方法で製造される。たとえば、1位と2位を保護したグリセリンの金属アルコラートとハロゲン化アルキルとを反応させ保護基をはずして得る方法、アルキルグリシジルエーテルを水和開環する方法、アルキルグリシジルエーテルと酢酸等のカルボン酸とを反応させ、けん化分解して得る方法、グリセリンの金属アルコラートとアルキル硫酸ナトリウムとを反応させて得る方法、アルコールに触媒存在下グリシドールを付加させる方法等である。得られたアルキルグリセリルエーテルは、必要に応じて、溶媒抽出法や蒸留やカラム等で精製することもできる。
【0017】
本発明の脂肪酸グリセリンエステル類は、炭素数4〜12の直鎖または分岐の飽和または不飽和の脂肪酸グリセリンエステルであり、ブタン酸、カプロン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、カプリン酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸等の脂肪酸グリセリンエステルを挙げることができる。特に2−エチルヘキシルグリセリルエーテルとカプリル酸グリセリルとを併用することが抗菌・防腐力の点から特に好ましい
【0018】
本発明の脂肪酸グリセリンエステル類は、モノエステル、ジエステルのいずれでもよく、あるいはこれらの混合物でも良い。特に好ましいのはモノ脂肪酸グリセリンエステルを70%以上含むものである。
【0019】
本発明の脂肪酸グリセリンエステル類は、公知の方法で製造することができる。たとえば、グリセリンと脂肪酸とを酸性またはアルカリ性の触媒存在下あるいは無触媒下でエステル化して得る方法、油脂類とグリセリンとを触媒存在下でエステル交換反応して得る方法、グリセリンまたは1位と2位を保護したグリセリンをピリジン等の塩基の存在下に脂肪酸クロライドでエステル化する方法、脂肪酸アリルを酸化的にジヒドロキシル化して得る方法等である。また、得られた脂肪酸グリセリンエステルは、必要に応じて、溶媒抽出法や蒸留やカラム等で精製することもできる。
【0020】
本発明の抗菌・防腐剤組成物は(A)アルキルグリセリルエーテル及び(B)脂肪酸グリセリンエステルが(A):(B)=4:1〜1:4の質量比で混合されていることが好ましい。より好ましくは(A):(B)=7:3〜3:7、さらに好ましくは(A):(B)=6:4〜4:6である。
【0021】
本発明には、一般に皮膚外用剤に配合される多価アルコール類を併用することができる。具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−ノナンジオール、1,2−デカンジオール、2,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、イソプレングリコール、2,2−ジヒドロキシプロパン、2,2−ブチル−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール等のジオール類、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリグリセリン等のポリオール類、ソルビトール、ソルビタン、イソソルバイト、マンニトール等の糖アルコール類、グルコース、ショ糖、果糖、トレハロース、デキストラン、キトサン等の糖類等が挙げられる。
【0022】
本発明の抗菌・防腐剤組成物の皮膚外用剤への配合量は、0.1〜10.0重量%の範囲であり、好ましくは0.3〜5.0重量%、更に好ましくは0.4〜2.0重量%である。
【0023】
本発明の皮膚外用剤には、他の抗菌・防腐剤の1種または2種以上を併用しても良い。たとえば、安息香酸、サリチル酸、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、ハロカルバン、ヒノキチオール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルバラベン、ブチルパラベン等と併用しても良い。
【0024】
さらに本発明の皮膚外用剤には、前記必須成分の他、通常の化粧料、医薬部外品、医薬品等に用いられる各種任意成分、たとえば油剤、保湿剤、増粘剤、防腐剤、乳化剤、顔料、粉体、pH調整剤、薬効成分、紫外線吸収剤、抗酸化剤、香料等を適宜配合することができる。
【0025】
具体的には、油分としては流動パラフィン、スクワラン、オリーブ油、ホホバ油、高級アルコール、脂肪酸、高級アルコールと高級脂肪酸の合成エステル油、多価アルコールと高級脂肪酸の合成エステル油、シリコーン油、フッ素油、ワセリン、パラフィンワックス、ミツロウ、カルナバロウ等が挙げられ、保湿剤としてはソルビトール、キシリトール、グリセリン、マルチトール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ピロリドンカルボン酸ナトリウムやヒアルロン酸等が挙げられ、増粘剤としてはカルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、カラギーナン、ゼラチン等の水溶性高分子が挙げられ、乳化剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、水添リン脂質、脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム等が挙げられ、粉体としてはタルク、セリサイト、マイカ、カオリン、シリカ、ベントナイト、亜鉛華、雲母、雲母チタン、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、ベンガラ、酸化鉄、群青等が挙げられ、pH調整剤としてはクエン酸−クエン酸ナトリウム等の緩衝剤が挙げられ、薬効成分としてはアルブチン、ビタミンC及びその誘導体、グリチルリチン酸ジカリウム、アラントイン、ビタミンE誘導体、パントテン酸誘導体、トラネキサム酸及びその誘導体、各種植物抽出物等が挙げられる。
【0026】
本発明の抗菌・防腐剤組成物を皮膚外用剤に配合する際は、(A)アルキルグリセリルエーテル類または(B)脂肪酸グリセリンエステル類を、別々に油相に添加してもよく水相に添加してもよい。また、予め(A)と(B)を混合したものを、油相または水相に添加してもよい。本発明の抗菌・防腐剤組成物を含む皮膚外用剤は、一般の乳化、可溶化、あるいは分散製剤を製造する公知の方法により調製することができる。すなわち、一般にこれら製剤を製造する装置(パドルミキサー、ホモミキサー、高圧ホモジナイザー等)が好適に使用できる。
【0027】
本発明の皮膚外用剤とは軟膏等の皮膚外用剤、クリーム、ローション、乳液、化粧水、美容液等のスキンケア化粧料、クリームファンデーション、アイライナー、口紅、マスカラ等のメーキャップ化粧料、シャンプー、洗顔料、ボディソープ等の洗浄料、リンス、コンディショナー、ヘアクリーム、ヘアジェル、トニック、ヘアカラー等の頭髪化粧料、入浴剤等を含むものである。
【0028】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【実施例1】
【0029】
表1に示す乳液処方に、表2に示す本発明に係る化合物と表3に示す既存の抗菌・防腐剤を用いて抗菌・防腐試験を行った。
【0030】
【表1】

【0031】
【表2】

【0032】
【表3】

【0033】
(抗菌・防腐力試験)
表2に記載の発明例1〜10と表3に記載の比較例1〜5について、細菌類、真菌類及びカビに対する抗菌・防腐力試験を行った。試験は調製した乳液に各指標菌を10個/mLになるように接種し、菌数の経時変化を測定した。結果を表4及び表5に示す。本発明品は細菌及び真菌に効果があり、一方、比較品は大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ状球菌、酵母及び黒カビのいずれの菌種にも効果が無いか、効果が低かった。
(指標菌)
大腸菌 Escherichia Coli IF3972
緑膿菌 Pseudomonas aeruginosa IF013275
黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureous IF013276
酵母 C.albicance IF01594
黒カビ A.niger IF004407
【0034】
【表4】

【0035】
【表5】

【実施例2】
【0036】
乳液
(A)
モノステアリン酸グリセリル 1.0質量%
モノステアリン酸POE(20)ソルビタン 1.0
テトラオレイン酸POE(30)ソルビット 0.5
ステアリン酸 0.2
ベヘニルアルコール 0.4
パルミチン酸セチル 0.4
オリーブスクワラン 2.0
トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン
2.0
ホホバ油 1.0
酢酸トコフェロール 0.1
パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 0.1
発明例1で用いた抗菌・防腐剤組成物 0.6
(B)
1,3−ブチレングリコール 6.0
ヒアルロン酸ナトリウム(1%水溶液) 1.0
カルボキシビニルポリマー(1%水溶液) 8.0
精製水 残余
(C)
水酸化カリウム(1%水溶液) 2.1
精製水 3.9
(D)
シソエキス 0.5
アロエベラエキス 0.5
精製水 2.0
製法:(A)、(B)、(C)を80℃に加熱溶解し、(D)を45℃に加熱する。(B)を(A)に加え攪拌乳化し、直ちに(C)を加える。 攪拌冷却を続け、45℃で(D)を加え、室温まで攪拌し、放置脱泡後、容器に充填する。
【実施例3】
【0037】
ファンデーション
(A)
モノラウリン酸デカグリセリル 2.5質量%
モノステアリン酸グリセリル 1.0
ポリリシノール酸ヘキサグリセリル 1.0
セトステアリルアルコール 4.0
トリ2―エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン
10.0
ネオペンタン酸イソアラキル 10.0
メチルフェニルポリシロキサン 5.0
発明例1で用いた抗菌・防腐剤組成物 1.0
酸化チタン 3.0
タルク 1.5
ポリアクリル酸アルキル 0.5
ベンガラ 0.4
黄酸化鉄 1.2
黒酸化鉄 1.2
メチルハイドロジェンポリシロキサン 0.2
(B)
キサンタンガム(2%水溶液) 5.0
グリセリン 5.0
精製水 残余
製法:(A)を常温で攪拌、粉体を均一に分散させた後、80℃で加熱溶解し、(B)を80℃に加熱溶解する。(B)を(A)に加えた後、撹拌乳化する。その後、撹拌しながら冷却し、室温まで撹拌し、放置脱泡後,容器に充填する。
【実施例4】
【0038】
サンスクリーン乳液
(A)
モノステアリン酸ソルビタン 1.0質量%
モノステアリン酸POE(20)ソルビタン 1.0
テトラオレイン酸POE(60)ソルビット 1.0
ベヘニルアルコール 1.0
ミツロウ 0.5
低融点パラフィン 0.5
メチルフェニルポリシロキサン 2.0
パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 20.0
発明例6で用いた抗菌・防腐剤組成物 0.4
ジカプリル酸ピリドキシン 0.1
(B)
1,3−ブチレングリコール 5.0
カルボキシビニルポリマー(2%水溶液) 6.0
精製水 残余
(C)
トリエタノールアミン 0.12
精製水 4.88
製法:(A)、(B)、(C)を80℃に加熱溶解した後、攪拌して均一にする。(B)を(A)に加え攪拌乳化し、直ちに(C)を加える。攪拌冷却を続け、室温まで攪拌し、放置脱泡後、容器に充填する。
【実施例5】
【0039】
シャンプー
(A)
POE(2)ラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミ
ン水溶液(36%水溶液) 5.0質量%
POE(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム水溶
液(27%水溶液) 10.0
ラウリル硫酸トリエタノールアミン水溶液(43%水溶液)
25.0
POE(20)ラノリン 1.0
POE(10)硬化ヒマシ油 1.0
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタ
イン水溶液(30%水溶液) 10.0
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 4.0
ジステアリン酸エチレングリコール 2.0
発明例9で用いた抗菌・防腐剤組成物 1.0
塩化[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)
プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(30%水溶液)
10.0
加水分解コラーゲンペプチド 1.0
アラントイン 0.1
エデト酸二ナトリウム 0.3
(B)
クエン酸 0.05
精製水 残余
(C)
アロエベラエキス 1.0
カモミラエキス 1.0
(D)
香料 適量
製法:(A)、(B)を80℃に加熱攪拌溶解し、(C)、(D)を45℃に加熱混合する。(B)を(A)に加え低速攪拌混合する。攪拌冷却を続け、45℃で(C)を加え、室温まで攪拌し(D)を添加攪拌し、放置脱泡後、容器に充填する。
【実施例6】
【0040】
ヘアリンス
(A)
ベヘナミドプロピルジメチルアミン 2.5質量%
ステアリルアルコール 5.0
オクチルドデカノール 1.5
ジメチルポリシロキサン(20cs) 6.0
発明例9で用いた抗菌・防腐剤組成物 1.0
(B)
ヒドロキシエチルセルロース 0.3
L−グルタミン酸 0.8
プロピレングリコール 5.0
精製水 残余
(C)
香料 適量
製法:(A)、(B)をそれぞれ80℃に加温溶解する。(B)に(A)を添加し撹拌乳化する。撹拌冷却し、50℃で(C)を添加する。さらに撹拌を続け、室温まで冷却する。
【実施例7】
【0041】
ボディソープ
(A)
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタ
イン水溶液(30%水溶液) 15.0質量%
N−ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸トリエタノー
ルアミン液(30%水溶液) 30.0
POE(10)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム(30%
水溶液) 20.0
発明例7で用いた抗菌・防腐剤組成物 0.6
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 2.0
エデト酸三ナトリウム 0.2
(B)
グリセリン 3.0
精製水 残余
(C)
香料 適量
製法:(A)、(B)を80℃に加熱溶解攪拌均一にする。(B)を(A)に加え攪拌混合する。攪拌冷却を続け、55℃で(C)を加え、室温まで攪拌し、放置脱泡後 容器に充填する。
【0042】
実施例2〜7の製品について、実施例1と同様の抗菌・防腐力試験を行った結果、いずれの製品も細菌及び真菌に対し効果が高いものであった。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は特定のアルキルグリセリルエーテルと脂肪酸グリセリンエステルを組み合わせた抗菌・防腐剤組成物に関し、本技術を用いることにより広い抗菌スペクトルを有し、乳化製剤中で優れた抗菌・防腐効果を発揮し、しかも皮膚刺激性が少なく安全な皮膚外用剤を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の(A)及び(B)を必須成分とする抗菌・防腐剤組成物。
(A)炭素数4〜12のアルキルグリセリルエーテルまたはアルケニルグリセリルエーテル
(B)炭素数4〜12の脂肪酸グリセリンエステル
【請求項2】
(A)が2−エチルヘキシルグリセリルエーテル、(B)がカプリル酸グリセリルであることを特徴とする請求項1に記載の抗菌・防腐剤組成物。
【請求項3】
(A)及び(B)が(A):(B)=4:1〜1:4の質量比で混合されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の抗菌・防腐剤組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の抗菌・防腐剤組成物を配合することを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の抗菌・防腐剤組成物を用いることを特徴とする皮膚外用剤の防腐力を高める方法。

【公開番号】特開2007−254342(P2007−254342A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−79845(P2006−79845)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000226437)日光ケミカルズ株式会社 (60)
【出願人】(000228729)日本サーファクタント工業株式会社 (44)
【出願人】(301068114)株式会社コスモステクニカルセンター (57)
【Fターム(参考)】