説明

押圧ローラ、ならびにシート貼付装置および貼付方法

【課題】諸々の押圧条件に対応して押圧面の弾力を適切に変更できる押圧ローラ、ならびにシート貼付装置および貼付方法を提供すること。
【解決手段】押圧ローラ63は、温度変化によって硬度が変化する弾性部材67で構成された押圧面67Aと、弾性部材67の温度を調節する温度調節手段66と、温度調節手段66による弾性部材67の温度調節を制御する制御手段とを備える。また、被着体Wの一方の面WAに接着シートSを貼付するシート貼付装置は、被着体Wを他方の面WB側から支持する支持手段と、被着体Wの一方の面WAに対向させて接着シートSを供給する供給手段と、接着シートSを被着体Wの一方の面WAに押圧して貼付する押圧手段6とを備え、押圧手段6は、押圧ローラ63を備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着シートなどの対象物を押圧する押圧ローラ、ならびに対象物としての接着シートを被着体に貼付するシート貼付装置および貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造工程において、被着体としての半導体ウェハ(以下、単にウェハという場合がある)の表面に保護テープ等の接着シートを貼付するシート貼付装置には、接着シートを押圧するための押圧ローラが設けられている(例えば、特許文献1参照)。この押圧ローラは、チャックテーブルに保持したウェハの表面上方に接着シートを配置した状態で、接着シート上を転動することにより接着シートを押圧し、接着シートをウェハ表面に貼付する。
【0003】
一方、シート貼付装置の他にプリンタ等で用いられる定着装置においても、被定着体を搬送する加圧ベルトを加圧部材に向かって押圧する押圧ローラ(定着ローラ)が用いられている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載の押圧ローラは、加熱源が内蔵された中空芯金と、その表面を覆う弾性層と、その表面を覆う剥離層とを有して構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−47976号公報
【特許文献2】特開2006−53494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載の押圧ローラは、当該押圧ローラに付与する力が一定の場合、その表面に設けられた部材の弾力によって、被押圧物に与える単位面積あたりの押圧力(以下「単位押圧力」という)が決まってしまうため、単位押圧力を変えるためには、押圧ローラ又は押圧ローラの表面に設けられた部材を交換してその弾力を変更しなければならない。例えば、特許文献2に記載の押圧ローラでは、弾性層がシリコーンゴムから形成されており、その材質や加熱源からの温度によって単位押圧力が決定されてしまう。このため、接着シートの貼付方法、接着シートの剛性、被着体の形状、あるいは押圧ローラによる押圧速度など、押圧条件に対して押圧ローラの弾性が適切でない場合には、押圧ローラ自体を交換しなければならず手間が掛かってしまう。また、押圧ローラの弾力が適切でないと、接着シートの貼付不良を招いたり、被着体を破損したりするなどの不都合が生じる。
【0006】
本発明の目的は、押圧面の弾力を適切に変更できる押圧ローラ、ならびにシート貼付装置および貼付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明の押圧ローラは、温度変化によって硬度が変化する弾性部材で構成された押圧面と、前記弾性部材の温度を調節する温度調節手段と、前記温度調節手段による前記弾性部材の温度調節を制御する制御手段とを備える、という構成を採用している。
【0008】
この際、本発明の押圧ローラにおいて、前記温度調節手段は、前記弾性部材を加熱する加熱手段を備え、前記制御手段は、前記加熱手段による前記弾性部材の加熱を制御することが好ましい。
また、本発明の押圧ローラにおいて、前記温度調節手段は、前記弾性部材を冷却する冷却手段を備え、前記制御手段は、前記冷却手段による前記弾性部材の冷却を制御することが好ましい。
【0009】
さらに、本発明の押圧ローラにおいて、前記温度調節手段は、前記弾性部材を加熱する加熱手段と、前記弾性部材を冷却する冷却手段と、前記加熱手段と前記冷却手段とを仕切る断熱手段とを備えることが好ましい。
【0010】
一方、本発明のシート貼付装置は、被着体の一方の面に接着シートを貼付するシート貼付装置であって、前記被着体の一方の面に対向させて前記接着シートを供給する供給手段と、前記接着シートを前記被着体の一方の面に押圧して貼付する押圧手段とを備え、前記押圧手段は、前記押圧ローラを備える、という構成を採用している。
【0011】
また、本発明のシート貼付方法は、前記押圧ローラを用いて被着体の一方の面に接着シートを貼付するシート貼付方法であって、前記被着体の一方の面に対向させて前記接着シートを供給し、前記接着シートを前記押圧ローラによって前記被着体の一方の面に押圧して貼付する際に、当該押圧ローラを構成する弾性部材の温度を調節して押圧面を所定弾力に設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上のような本発明によれば、押圧ローラの押圧面を構成する弾性部材の温度を調節することで、弾性部材の硬度を任意に変更することができるので、押圧面の弾力を押圧条件に適した状態に変更することができる。これにより、押圧ローラに付与する力が一定の場合に、単位押圧力を自由に変更することができる。
また、加熱手段や冷却手段を設け、弾性部材を加熱または冷却することにより、弾性部材の温度を雰囲気温度に対して上昇または低下させることができるので、押圧面の弾力を変更したり、接着シートの構成材料や接着特性に応じて当該接着シートを加熱または冷却したりして押圧対象物に貼付することができる。
さらに、加熱手段と冷却手段とを仕切る断熱手段を設ければ、互いの影響を受けることなく弾性部材を加熱または冷却することができるので、弾性部材の温度調節を効果的に行うことができ、押圧面の弾力をより適切に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るシート貼付装置の全体図。
【図2】図1のシート貼付装置に設けられた押圧ローラの断面図。
【図3】シート貼付装置および押圧ローラの動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態では、特に明示しない限り、「上」、「下」、「左」、「右」といった方位を示す用語は、図1を基準として用いる。
図1において、シート貼付装置1は、一方の面である表面WAと他方の面である裏面WBとを有した被着体としてのウェハWに対し、回路が形成された表面WAに接着シートSを貼付するとともに、貼付した接着シートSをウェハWの外縁WCに沿って切断する装置である。このシート貼付装置1は、裏面WB側からウェハWを支持する支持手段2と、ウェハWの表面WAに対向させて帯状の接着シートSを供給する供給手段5と、供給された接着シートSを支持手段2およびウェハWの表面WAに押圧して貼付する押圧手段6と、ウェハWに貼付された接着シートSを当該ウェハWの外縁WCに沿って切断する切断手段7と、各部の動作を制御する制御手段8とを備えて構成されている。
【0015】
支持手段2は、図示しない吸引口を介して裏面WB側からウェハWを吸着保持するとともに、ウェハWの外縁WCと略同一の外形でかつ平坦な支持面21を有する円盤形状のテーブル22と、円形の穴23が形成されるとともに、テーブル22の支持面21と平行でかつ平坦な平坦面24が形成された平面視方形状の外周テーブル25と、穴23の底面部26上に固定されるとともに、出力軸27Aがテーブル22下面に固定された駆動機器としての直動モータ27とを備えている。なお、平坦面24には、貼付された接着シートSを剥離可能なように、フッ素樹脂等が積層されて不接着処理が施されている。
【0016】
供給手段5は、支持手段2に対して左側である接着シートSの供給側に設けられる供給側フレーム5Aと、支持手段2に対して右側である回収側に設けられる回収側フレーム5Bと、図示しないリニアモータなどの駆動機器で駆動されて左右方向に移動自在に設けられる移動フレーム5Cとを備えて構成されている。
【0017】
供給側フレーム5Aには、基材BSに接着剤ADが積層された接着シートSをロール状に巻回して支持する支持ローラ51と、支持ローラ51から引き出された接着シートSを案内するガイドローラ52と、駆動機器としてのモータ53Aで駆動されて接着シートSを送り出す駆動ローラ53と、この駆動ローラ53との間に接着シートSを挟み込むピンチローラ54とが設けられている。回収側フレーム5Bには、図示しないモータ等の駆動機器で駆動されて接着シートSの不要部分を巻き取って回収する回収ローラ55と、接着シートSの不要部分を案内する2つのガイドローラ56とが設けられている。移動フレーム5Cには、駆動機器としてのモータ57Aで駆動される駆動ローラ57と、この駆動ローラ57との間に接着シートSを挟み込むピンチローラ58とが設けられている。
【0018】
押圧手段6は、駆動機器としてのリニアモータ61で駆動されて左右方向に移動自在に設けられるフレーム62と、このフレーム62に支持されて接着シートSの基材BS側に当接可能な押圧ローラ63と、フレーム62を上下動させる駆動機器としての直動モータ64とを備えて構成されている。
【0019】
押圧ローラ63は、図2に示すように、回転軸65Aを介してフレーム62に回転自在に支持された回転支持部65と、回転支持部65の回転軸方向に沿って互い違いに設けられた加熱手段としてのヒータ66Aおよび冷却手段としてのペルチェ素子66Bと、ヒータ66Aとペルチェ素子66Bとの間に設けられてヒータ66Aおよびペルチェ素子66B間を断熱する断熱手段としての断熱部材66Cと、回転支持部65に支持されてヒータ66A、ペルチェ素子66B、および断熱部材66Cの外周面を覆う円筒状の弾性部材67と、フレーム62の下面側に所定間隔で取り付けられるとともに、弾性部材67の温度を検出する温度検出手段としての温度センサ68とを備えている。
【0020】
この押圧ローラ63において、ヒータ66A、ペルチェ素子66B、および断熱部材66Cによって温度調節手段66が構成され、制御手段8の制御装置81からの指令を受けたヒータ66Aまたはペルチェ素子66Bの駆動により、弾性部材67を加熱または冷却できるようになっている。また、弾性部材67は、ゴムや樹脂等で構成され、温度変化によって硬度が変化する。すなわち、温度調節手段66で弾性部材67の温度を調節することにより、弾性部材67の押圧面67Aの弾力を任意に変化させることができる。
【0021】
切断手段7は、支持手段2よりも図1中紙面奥側に設けられた駆動機器としての多関節ロボット71と、この多関節ロボット71の先端部に設けられる切断刃72とを備えて構成されている。多関節ロボット71は、ベース73と、このベース73に対して鉛直軸PA(上下方向の軸)を中心として回転可能に軸支された第1アーム711と、この第1アーム711に対して鉛直軸PAに直交する水平軸(図1では紙面直交方向の軸)を中心として回転可能に軸支された第2アーム712と、この第2アーム712に対して水平軸を中心として回転可能に軸支された第3アーム713と、この第3アーム713の延出軸EAを中心として回転可能に軸支された第4アーム714と、この第4アーム714に対して延出軸EAに直交する軸(図1では紙面直交方向の軸)を中心として回転可能に軸支された第5アーム715と、この第5アーム715の延出軸CAを中心として回転可能に軸支された第6アーム716とを備え、第6アーム716に設けられた図示しないチャック機構によって、切断刃72が取り付けられたカッターツール74を支持可能に設けられている。
【0022】
制御手段8は、CPUなどの演算手段やメモリなどの記憶手段を有したコンピュータからなる制御装置81と、オペレータの操作や適宜な検出手段に基づいてウェハWや接着シートS等に関する各種情報を制御装置81に入力する入力手段82とを備えて構成されている。ここで、各種情報としては、ウェハWの径寸法や厚み寸法、後工程で裏面WBを研削する際の研削後厚み寸法、外縁WCの断面形状やその面取り寸法、接着シートSの厚み寸法や剛性、弾性部材67の設定温度などが例示できる。それら情報は、入力手段82から制御装置81に入力されてもよいし、図示しないセンサ等の検出手段によって自動で制御装置81に入力されてもよいし、予め制御装置81のメモリに記憶されていてもよい。制御装置81は、各種情報に応じて、外周テーブル25の平坦面24に対するテーブル22の支持面21の相対移動量を演算手段で算出するとともに、算出結果に基づく制御指令を各駆動機器に指令したり、弾性部材67が設定温度となるように温度調節手段66に制御指令を出力したりする。なお、制御手段8は、雰囲気の温度を検知する雰囲気温度検出手段としての図示しないセンサにも接続されている。
【0023】
以下、シート貼付装置1の動作を説明する。
先ず、各種情報を入力手段82から制御装置81に入力してシート貼付装置1をスタンバイ状態としておく。その後、ウェハWがテーブル22の支持面21に載置されると、供給手段5は、駆動ローラ57を停止したままで移動フレーム5Cを支持手段2の左側から右方向に移動し、この移動に同期して支持ローラ51から接着シートSの未使用部分を繰り出すとともに、回収ローラ55で接着シートSの不要部分を巻き取る。これにより、ウェハWの表面WAの上方に接着シートSの接着剤AD側を対向させて供給する。次に、制御装置81からの指令を受けた直動モータ27は、ウェハWの表面WAと外周テーブル25の平坦面24とが同一平面内に位置するように、テーブル22を上昇または下降させる。
【0024】
また、制御装置81は、温度センサ68が弾性部材67の温度を検出し、制御装置81に入力された弾性部材67の設定温度との差を演算手段で算出する。これにより、ヒータ66Aまたはペルチェ素子66Bに駆動の指令を出力する。制御装置81からの指令を受けたヒータ66Aまたはペルチェ素子66Bの駆動により、弾性部材67が加熱または冷却されて、当該弾性部材67が設定温度を維持するようにヒータ66Aまたはペルチェ素子66Bが駆動される。これにより、弾性部材67の温度が変化し、押圧ローラ63の押圧面67Aの弾力が変更される。なお、制御装置81に入力された弾性部材67の設定温度よりも、温度センサ68が検出した弾性部材67の温度の方が低い場合、制御装置81は、ヒータ66Aに駆動の指令を出力する。逆に、制御装置81に入力された設定温度よりも、検出した弾性部材67の温度の方が高い場合、制御装置81は、ペルチェ素子66Bに駆動の指令を出力する。
【0025】
次に、押圧手段6は、直動モータ64を駆動して押圧ローラ63を下降させ、この押圧ローラ63で接着シートSを押し下げて、接着シートSの接着面を平坦面24に押圧する。さらに、押圧手段6は、押圧ローラ63を押圧したままでリニアモータ61を駆動し、押圧ローラ63を左方向に移動させて接着シートS上を転動させ、平坦面24およびウェハWの表面WAに順次接着シートSを押圧して貼付する。この際、前述のように弾性部材67の温度が調節されるため、諸々の押圧条件に対して、押圧ローラ63の押圧面67Aの弾力を適切に設定することができる。
【0026】
例えば、図3(A)に示すように、接着シートSの材質や剛性等から、押圧面67Aの弾力を強くする必要がある場合や、外縁WCに対する接着シートSの回り込みMの量(図3(B)参照)を小さくする必要がある場合には、弾性部材67の設定温度を低く設定すればよいし、図3(B)に示すように、回り込みMの量を大きくする必要がある場合には、弾性部材67の設定温度を高く設定すればよい。なお、回り込みMの量を大きくする場合には、ウェハWの表面WAが平坦面24よりも高くなるようにテーブル22の高さを調整すればよい。さらに、図3(C)に示すように、ウェハWの表面WAにバンプ等の凸部WDが存在する場合には、弾性部材67の温度をさらに高く設定することで、弾性部材67が軟化して押圧面67Aが凸部WDの形状に沿って容易に変形し易くなり、凸部WDの周囲に気泡を混入させることなく接着シートSを貼付することが可能となる。
また、接着シートSの剛性が高く、例えば、ウェハWの表面WAの凸部WD周りに気泡が混入してしまうような接着シートSが採用された場合や、雰囲気温度よりも高い温度領域の方が貼付に適している接着シートSを貼付する場合は、設定温度を高くして貼付することができる。さらに、接着シートSの剛性が低く、押圧ローラ63による押圧によって伸びてしまうような接着シートSが採用された場合や、雰囲気温度よりも低い温度領域の方が貼付に適している接着シートSを貼付する場合は、設定温度を低くして貼付することができる。
【0027】
平坦面24およびウェハWの表面WAに接着シートSを貼付した後、切断手段7は、多関節ロボット71を駆動して切断刃72を接着シートSに突き刺すとともに、ウェハWの外縁WCに沿って接着シートSを切断する。
【0028】
以上のようにして接着シートSを切断したら、切断手段7が退避するとともに押圧ローラ63が上昇し、接着シートSが貼付されたウェハWは、適宜な搬送装置によって搬出されて裏面研削などの後工程に送られる。その後、供給手段5は、駆動ローラ57を駆動しつつ、移動フレーム5Cを左方向に移動させることで、ウェハWの外縁WCに沿って切断され、平坦面24上に貼付されている接着シートSの不要部分を剥離する。そして、次のウェハWが支持手段2に支持されると、以降上述と同様の動作が繰り返される。
【0029】
以上のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
すなわち、押圧ローラ63における弾性部材67の温度調節により、弾性部材67の弾力を任意に変更することができるので、押圧面67Aの弾力を押圧条件に適した状態に変更することができる。従って、ウェハWに接着シートSを密着させることができるので、接着シートSが捲れ上がってしまったりする不都合を回避することができ、ウェハWの破損を防止することができる。
【0030】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0031】
例えば、前記実施形態では、被着体がウェハWである場合を示したが、被着体はウェハWに限定されるものではなく、ガラス板、鋼板、または、樹脂板等、その他の部材も対象とすることができ、ウェハWとしては、シリコン半導体ウェハや化合物半導体ウェハ等が例示できる。
また、接着シートSは、保護シートや、マウント用シート、ダイシングテープ、ダイボンディングテープなど、半導体ウェハに貼付される各種シートやテープ、フィルムであってもよいし、被着体が半導体ウェハ以外の部材である場合には、表面コーティング用のシートやフィルム、装飾用のシートなど、適宜な用途のシートが利用可能である。
【0032】
また、前記実施形態では、押圧ローラ63の弾性部材67内にヒータ66Aおよびペルチェ素子66Bが設けられ、ヒータ66Aまたはペルチェ素子66Bの駆動により弾性部材67の温度を調節していたが、弾性部材67の温度を調節するための構成としては、ヒータ66Aおよびペルチェ素子66Bに限定されるものではなく、温度が調節された液体や気体を弾性部材67の内部空間に供給して、弾性部材67の温度を調節するようにしてもよい。この場合は、弾性部材67の内部空間と連通する流路を回転支持部65に形成し、この流路に外部の流入管および排出管を接続することになる。
【0033】
また、加熱手段は、ヒータ66A以外に、温風や温水、放電加熱機、赤外線加熱機等によって構成されてもよく、冷却手段は、冷風や冷水、ペルチェ素子66B以外の他の電子冷却素子等によって構成されてもよい。
【0034】
また、前記実施形態では、切断手段7を用いて接着シートSをウェハWの外縁WCに沿って切断したが、切断手段7は必須ではなく、接着シートを切断しなくてもよい。さらに、後工程において被着体の裏面を研削することは本発明の必須要件ではなく、裏面を研削しなくてもよい。
さらに、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【符号の説明】
【0035】
1 シート貼付装置
5 供給手段
6 押圧手段
7 切断手段
8 制御手段
63 押圧ローラ
66 温度調節手段
66A ヒータ(加熱手段)
66B ペルチェ素子(冷却手段)
66C 断熱部材(断熱手段)
67 弾性部材
67A 押圧面
S 接着シート
W ウェハ(被着体)
WA 表面(一方の面)
WB 裏面(他方の面)
WC 外縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度変化によって硬度が変化する弾性部材で構成された押圧面と、
前記弾性部材の温度を調節する温度調節手段と、
前記温度調節手段による前記弾性部材の温度調節を制御する制御手段とを備えることを特徴とする押圧ローラ。
【請求項2】
前記温度調節手段は、前記弾性部材を加熱する加熱手段を備え、
前記制御手段は、前記加熱手段による前記弾性部材の加熱を制御することを特徴とする請求項1に記載の押圧ローラ。
【請求項3】
前記温度調節手段は、前記弾性部材を冷却する冷却手段を備え、
前記制御手段は、前記冷却手段による前記弾性部材の冷却を制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の押圧ローラ。
【請求項4】
前記温度調節手段は、
前記弾性部材を加熱する加熱手段と、
前記弾性部材を冷却する冷却手段と、
前記加熱手段と前記冷却手段とを仕切る断熱手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の押圧ローラ。
【請求項5】
被着体の一方の面に接着シートを貼付するシート貼付装置であって、
前記被着体の一方の面に対向させて前記接着シートを供給する供給手段と、
前記接着シートを前記被着体の一方の面に押圧して貼付する押圧手段とを備え、
前記押圧手段は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の押圧ローラを備えて構成されていることを特徴とするシート貼付装置。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の押圧ローラを用いて被着体の一方の面に接着シートを貼付するシート貼付方法であって、
前記被着体の一方の面に対向させて前記接着シートを供給し、
前記接着シートを前記押圧ローラによって前記被着体の一方の面に押圧して貼付する際に、当該押圧ローラを構成する弾性部材の温度を調節して押圧面を所定弾力に設定することを特徴とするシート貼付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−210856(P2011−210856A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−75656(P2010−75656)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】