説明

拡散シートの光拡散構造の成型方法、及びその装置

【課題】光線が該拡散シートを通過する場合、該拡散構造によって反射、もしくは拡散作用が得られ、光線の拡散と均一の目的を達成する拡散シートの光拡散構造の成型方法と、その装置を提供する
【解決手段】 その方法は、樹脂を溶融してスラリー状にするステップと、該スラリー状の樹脂を押出して拡散シートを成型するステップとを含み、該スラリー状の樹脂を押出して該拡散シートBを形成する場合、表面に複数のパターンを形成したローラで該拡散シートの少なくとも一方の表面を押し圧して、該拡散シートの少なくとも一方の面に該複数のパターンに対応する光拡散構造を形成する。その装置は複数の樹脂粒を溶融してスラリー状とし、かつ該スラリー状の樹脂を材料出口から押し出して成型する加熱圧出ユニットと、該拡散シートの表面の位置に設置され、かつ表面に複数のパターンを具える成型ローラを含んでなり、該加熱圧出ユニットの材料出口に近接した位置に連結するローラユニットと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光学素子に関し、特にバックライトモジュールに用いる拡散シートの光拡散構造の成型方法、及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜トランジスタ液晶表示装置(TFT−LCD)は、画像表示機能を有する画像表示装置として広く使用されている商品である。その構造は、2つの主要な部材を含んでなる。即ち、表示パネルと該表示パネルの光源となるバックライトモジュールである。
【0003】
バックライトモジュールは光線が入射する位置の違いからエッジライト方式と直下型方式の二種類に分けられる。エッジライト方式は、一般に中、小型の画像表示装置に用いられ、その光源には発光ダイオードか冷陰極管が採用される。直下型方式のバックライトモジュールは、サイズの比較的大きいテレビジョンなどに用いられる場合が多い。
【0004】
図1に開示する従来の直下型方式のバックライトモジュール1は、ハウジング11を具え、一般にハウジング11の内面には光を反射する作用を有する反射塗料を塗布するか、もしくは反射シート12を貼着して光線を反射させる。また、所定の間隔をおいて複数の光源13を配設する。光源13の情報には拡散板14を設け、拡散板14上に1、もしくは1以上の拡散シート15と、及び1、もしくは1以上の光増幅シート16を設けてなり、液晶パネル17に連結して薄膜トランジスタ(TFT)液晶表示装置を構成する。
【0005】
図面によれば、ハウジング11内に設けられる光源に通電すると発光し、光線が照射される。照射される光線の一部は拡散板14に直接入射し、他の一部はハウジング内のその他部分に反射し、反射シート12の反射作用によって拡散板14に入射する。拡散板14に入射した光線は、拡散板14内で拡散が進行し、拡散シート15に入射してさらに均一に拡散され、光増幅シート15において集光、フォーカスの動作が行われ、最後に表示パネル17に供給される。よって、表示パネル17は、均一で、かつ十分な光線が得られ画像表示に供することができる。
【0006】
上述する拡散板、もしくは拡散シートは、アクリル、ポリカーボネート、もしくはアクリルとスチレンの共重合物(MS)などの材質によって構成される板状体であって、所定の光透過率を有する。光線の拡散と均一の効果を達成するために、一般に製造する場合顔料を添加して乳白状にする。このため、光線の拡散と均一に有利となる。また図2に開示するように微細な拡散粒子140を混入させる場合もある。拡散粒子140を設けることによって、光線を拡散する目的を達成する。
【0007】
図3に開示するように、拡散粒子140は拡散板14を製造する場合、基本材料と混合して一体に成型する。よって、拡散粒子140が拡散板14に均一に分布した状態を呈する。
【0008】
光源13から光線を照射する場合、光源13の真上の位置において最も多く光線が照射され、比較的明るくなる。拡散板14に多くの拡散粒子140が含まれていても、均一に分布しているため拡散板14のそれぞれの部位における拡散効果は一致している。但し、光源13の真上の位置は強い光線が照射される場所であるが、これに対応して高い拡散効果が得られることはない。故に、それぞれの光源13の真上の位置に対応する拡散板14の位置は、輝度が特に強く、全体的にみれば明暗不均一になる。
【0009】
また、拡散粒子140の他の設置方式として、直接塗布する方式が挙げられ、図4に開示するように基本材料の表面に拡散粒子140を直接塗布して、表面に拡散粒子140を有する拡散板14を形成する。但し、係る塗布方式は、拡散粒子140の密度を制御することができない。よって、その配設効果は好ましいものではなく、また光線を拡散し、均一にする効果を達成することができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この発明は、バックライトモジュールに用いられる拡散シートの光拡散構造の成型方法と、その装置であって、光線が該拡散シートを通過する場合、該拡散構造によって反射、もしくは拡散作用が得られ、光線の拡散と均一の目的を達成する拡散シートの光拡散構造の成型方法と、その装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明者は従来の技術に見られる欠点に鑑み鋭意研究を重ねた結果、樹脂を溶融してスラリー状にするステップと、該スラリー状の樹脂を押出して拡散シートを成型するステップとを含む拡散シートの光拡散構造の成型方法であって、該スラリー状の樹脂を押出して該拡散シートBを形成する場合、表面に複数のパターンを形成したローラで該拡散シートの少なくとも一方の表面を押し圧して、該拡散シートの少なくとも一方の面に該複数のパターンに対応する光拡散構造を形成する拡散シートの光拡散構造の成型方法と、
複数の樹脂粒を溶融してスラリー状とし、かつ該スラリー状の樹脂を材料出口から押し出して成型する加熱圧出ユニットと、該拡散シートの表面の位置に設置され、かつ表面に複数のパターンを具える少なくとも1以上の成型ローラを含んでなり、該加熱圧出ユニットの材料出口に近接した位置に連結するローラユニットと、を含む拡散シートの光拡散構造の成型装置とによって課題を解決できる点に着眼し、係る知見に基づいて本発明を完成させた。
【0012】
以下、この発明について具体的に説明する。
請求項1に記載する拡散シートの光拡散構造の成型方法は、
a、 樹脂を溶融してスラリー状にするステップと、
b、 該スラリー状の樹脂を押出して拡散シートを成型するステップを含んでなり、
該スラリー状の樹脂を押出して該拡散シートBを形成する場合、表面に複数のパターンを形成したローラで該拡散シートの少なくとも一方の表面を押し圧して、該拡散シートの少なくとも一方の面に該複数のパターンに対応する光拡散構造を形成する。
【0013】
請求項2に記載する拡散シートの光拡散構造の成型方法は、請求項1におけるローラに複数のパターンが一体に形成され、かつ該複数のパターンのそれぞれが該ローラ表面に凹入するか、または凸出して形成される。
【0014】
請求項3に記載する拡散シートの光拡散構造の成型方法は、請求項1におけるローラに貼着方式で複数のパターンが設けられる。
【0015】
請求項4に記載する拡散シートの光拡散構造の成型装置は、拡散シートの光拡散構造の成型装置であって、少なくとも、複数の樹脂粒を溶融してスラリー状とし、かつ該スラリー状の樹脂を材料出口から押し出して成型する加熱圧出ユニットと、
該拡散シートの表面の位置に設置され、かつ表面に複数のパターンを具える少なくとも1以上の成型ローラを含んでなり、該加熱圧出ユニットの材料出口に近接した位置に連結するローラユニットと、を含む。
【0016】
請求項5に記載する拡散シートの光拡散構造の成型装置は、請求項4における加熱圧出ユニットが、材料投入口と、材料出口とを具え、該材料投入口が材料投入ユニットに連結する。
【0017】
請求項6に記載する拡散シートの光拡散構造の成型装置は、 請求項4におけるローラに複数のパターンが一体に形成され、かつ該複数のパターンのそれぞれが該ローラ表面に凹入するか、または凸出して形成される。
【0018】
請求項7に記載する拡散シートの光拡散構造の成型装置は、請求項4におけるローラに貼着方式で複数のパターンが設けられる。
【0019】
請求項8に記載する拡散シートの光拡散構造の成型装置は、請求項4における拡散シートの他の表面の位置に支持ローラを設ける。
【0020】
請求項9に記載する拡散シートの光拡散構造の成型装置は、請求項7におけるローラユニットの該加熱圧出ユニットに対応する他の側に冷却ユニットを設ける。
【発明の効果】
【0021】
この発明による拡散シートの光拡散構造の成型方法、及びその装置は、拡散シート上のそれぞれの光拡散構造の形状、または密度を制御することができ、光線の拡散、均一化の目的を効率よく達成することができるという利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
この発明による拡散シートの光拡散構造の成型方法は、図5に開示するように、次に掲げるステップを含む。
【0023】
a、 樹脂を溶融してスラリー状にする。即ち、図6に開示する成型装置2を用いる。成型装置2は加熱圧出ユニット21を含み、加熱圧出ユニット21は材料投入口211と材料出口212とを設けてなり、材料投入口211は材料投入ユニット23に連結する。複数の粒子状の樹脂Aを材料投入ユニット23から投入し、材料投入口211から加熱圧出ユニット21に進入して溶融されてスラリー状となる。スラリー状となった樹脂は材料出口212から押し出されて成型される。樹脂Aはポリメチルメタアクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、もしくはポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)などから選択される。
【0024】
b.前述のスラリー状の樹脂を押出し成型し、拡散シートBを形成する場合、加熱圧出ユニットの材料出口212に近接した位置に連結するローラユニット22を利用して拡散シートBに対して押し圧を行う。図7に開示するように、ローラユニット22は拡散シートBの表面B1の位置に設置される少なくとも1以上の成型ローラ221を含む。また、拡散シートBの他の表面B2の位置には支持ローラを設ける。
【0025】
成型ローラ221上には複数のパターン223を一体成型する。それぞれのパターン223は成型ローラ221表面に凹入して(もしくは該成型ローラ表面に凸出する)形成される。よって、表面B1には該複数のパターン223に対応する光拡散構造B3が形成される。
【0026】
当然のことながら、ローラユニット22は、図7に開示するように成型ローラ221と支持ローラ22とを拡散シートBの表面B1、表面B2の位置にそれぞれ設けて拡散シートBの表面に光拡散構造B3を形成する以外に、図8に開示するように、複数のパターン223を貼着する方式で成型ローラ221上に設けてもよい。また、図9に開示するようにそれぞれのパターン223を成型ローラ221表面に凸出させて、それぞれのパターン223をマトリクス式に配列してもよい。また、図10に開示するようにそれぞれのパターン223を非マトリクス式に配列してもよい。
【0027】
また、ローラユニット22の加熱圧出ユニット21に対応する他の側には、さらに冷却ユニット24を設ける。冷却ユニット24は成型した拡散シートBを冷却して形を固定させる作用を有する。
【0028】
ここで注目すべきは、この発明は必要に応じて成型ローラ上に予め複数のパターンを形成し、ローラで押し圧する方式で拡散シートに該複数のパターンに対応する光拡散構造を形成することができる点であって、該拡散シートをバックライトモジュールに応用した場合、光線は拡散シートを通過し、それぞれの光拡散行構造に反射、または拡散作用が発生し、光線の拡散、均一化の目的を達成する。しかも予め複数のパターンを成型することによって、拡散シート上のそれぞれの光拡散構造の形状、または密度を制御することができ、光線の拡散、均一化の目的を効率よく達成することができる。
【0029】
以上はこの発明の好ましい実施の形態であって、この発明の実施の範囲を限定するものではない。よって、当業者のなしえる修正、もしくは変更であって、この発明の精神の下においてなされ、この発明に対して均等の効果を有するものは、いずれもこの発明の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】従来の直下型方式のバックライトモジュールの構造を示した説明図である。
【図2】従来の拡散シートの光拡散構造を示した説明図である。
【図3】図2における光線の動作を示した説明図である。
【図4】他の成型方法で形成した従来の拡散シートの光拡散構造を示した説明図である。
【図5】この発明による方法のステップを示したフローチャートである。
【図6】この発明による拡散シートの光拡散構造成型装置の構造を示した説明図である。
【図7】この発明におけるローラユニットの説明図である。
【図8】この発明における成型ローラの説明図である。
【図9】この発明における単一成型ローラの構造を示した説明図である。
【図10】この発明における単一成型ローラの構造を示した他の説明図である。
【符号の説明】
【0031】
A 樹脂
B 拡散シート
B1 表面
B2 表面
1 直下型方式バックライトモジュール
11 ハウジング
12 反射シート
13 光源
14 拡散板
140 拡散粒子
15 拡散シート
16 光増幅シート
17 表示パネル
2 成型装置
21 加熱圧出ユニット
211 材料投入口
212 材料出口
22 ローラユニット
221 成型ローラ
222 支持ローラ
223 パターン
23 材料投入ユニット
24 冷却ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡散シートの光拡散構造の成型方法であって、
a、 樹脂を溶融してスラリー状にするステップと、
b、 該スラリー状の樹脂を押出して拡散シートを成型するステップを含んでなり、
該スラリー状の樹脂を押出して該拡散シートBを形成する場合、表面に複数のパターンを形成したローラで該拡散シートの少なくとも一方の表面を押し圧して、該拡散シートの少なくとも一方の面に該複数のパターンに対応する光拡散構造を形成することを特徴とする拡散シートの光拡散構造の成型方法。
【請求項2】
前記ローラに複数のパターンが一体に形成され、かつ該複数のパターンのそれぞれが該ローラ表面に凹入するか、または凸出して形成されることを特徴とする請求項1に記載の拡散シートの光拡散構造の成型方法。
【請求項3】
前記ローラに貼着方式で複数のパターンが設けられることを特徴とする請求項1に記載の拡散シートの光拡散構造の成型方法。
【請求項4】
拡散シートの光拡散構造の成型装置であって、少なくとも、複数の樹脂粒を溶融してスラリー状とし、かつ該スラリー状の樹脂を材料出口から押し出して成型する加熱圧出ユニットと、
該拡散シートの表面の位置に設置され、かつ表面に複数のパターンを具える少なくとも1以上の成型ローラを含んでなり、該加熱圧出ユニットの材料出口に近接した位置に連結するローラユニットと、を含むことを特徴とする拡散シートの光拡散構造の成型装置。
【請求項5】
前記加熱圧出ユニットが、材料投入口と、材料出口とを具え、該材料投入口が材料投入ユニットに連結することを特徴とする請求項4に記載の拡散シートの光拡散構造の成型装置。
【請求項6】
前記ローラに複数のパターンが一体に形成され、かつ該複数のパターンのそれぞれが該ローラ表面に凹入するか、または凸出して形成されることを特徴とする請求項4に記載の拡散シートの光拡散構造の成型装置。
【請求項7】
前記ローラに貼着方式で複数のパターンが設けられることを特徴とする請求項4に記載の拡散シートの光拡散構造の成型装置。
【請求項8】
前記拡散シートの他の表面の位置に支持ローラを設けることを特徴とする請求項4に記載の拡散シートの光拡散構造の成型装置。
【請求項9】
前記ローラユニットの該加熱圧出ユニットに対応する他の側に冷却ユニットを設けることを特徴とする請求7に記載の拡散シートの光拡散構造の成型装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−63947(P2009−63947A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−233626(P2007−233626)
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【出願人】(507296827)穎台科技股▲ふん▼有限公司 (11)
【Fターム(参考)】