振動片、振動子及び発振器
【課題】耐衝撃特性を向上させることが可能な振動片、この振動片を備えた振動子及びこの振動片を備えた発振器の提供。
【解決手段】水晶振動片１は、基部１０と、基部１０から延びる一対の振動腕１１と、基部１０を、振動腕１１の延びる方向に対して交差する方向に切り欠いた切り欠き部１２と、を備え、平面視において、基部１０と振動腕１１との結合部１７が、振動腕１１の腕部１４の幅が基部１０に近づくに連れて広がるように曲線で形成されていると共に、切り欠き部１２の先端部１２ａが、曲線で形成されていることを特徴とする。
【解決手段】水晶振動片１は、基部１０と、基部１０から延びる一対の振動腕１１と、基部１０を、振動腕１１の延びる方向に対して交差する方向に切り欠いた切り欠き部１２と、を備え、平面視において、基部１０と振動腕１１との結合部１７が、振動腕１１の腕部１４の幅が基部１０に近づくに連れて広がるように曲線で形成されていると共に、切り欠き部１２の先端部１２ａが、曲線で形成されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、振動片、この振動片を備えた振動子及びこの振動片を備えた発振器に関する。
【背景技術】
【０００２】
特許文献１には、第１と第２の平行な振動アーム（以下、振動腕という）が延びるベース（以下、基部という）と、各振動腕の自由端を形成するフリッパー形状をした拡大部分（以下、錘部という）と、各振動腕の正面と裏面の少なくとも一方に形成された溝（以下、溝部という）と、を有し、この溝部が振動腕の自由端（先端）の方向に、錘部の開始点を越えて延びているピエゾ電子同調フォーク型共振器（以下、振動片という）が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開２００９−２７７１１号公報（図１）
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
特許文献１によれば、上記振動片は、振動腕に形成された溝部が振動腕の先端の方向に、錘部の開始点を越えて延びていることから、衝撃時の溝部における応力が分散し、耐衝撃特性が向上するとされている。
しかしながら、上記振動片は、実施例の平面視（特許文献１の図１参照）において、錘部の開始点である錘部と腕部（振動腕の本体部分）との結合部が鋭角に形成され、振動腕の根元部と基部とが直線状の斜線で結合され、一方の振動腕と他方の振動腕とを繋ぐ股部が鋭角に形成されている。
これらにより、上記振動片は、衝撃時において、錘部と腕部との結合部などの上記各部分に応力集中が発生し、上記各部分から破損する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【０００６】
［適用例１］本適用例にかかる振動片は、基部と、前記基部から延びる少なくとも１本の振動腕と、前記基部を、前記振動腕の延びる方向に対して交差する方向に切り欠いた切り欠き部と、を備え、平面視において、前記基部と前記振動腕との結合部が、前記振動腕の幅が前記基部に近づくに連れて広がるように曲線で形成されていると共に、前記切り欠き部の先端部が曲線で形成されていることを特徴とする。
【０００７】
これによれば、振動片は、平面視において、基部と振動腕との結合部が、振動腕の幅が基部に近づくに連れて広がるように曲線で形成されていると共に、切り欠き部の先端部が曲線で形成されている。
この結果、振動片は、衝撃時に基部と振動腕との結合部及び切り欠き部の先端部に応力集中が発生し難い（応力集中が緩和される）ことから、応力集中による上記部分の破損を低減することが可能となる。
したがって、振動片は、耐衝撃特性を向上させることができる。
【０００８】
［適用例２］上記適用例にかかる振動片において、前記振動腕は、前記基部側に位置する腕部と、前記腕部より先端側に位置し前記腕部より幅が広い錘部と、を有し、平面視において、前記錘部と前記腕部との結合部が、前記腕部の幅が前記錘部に近づくに連れて広がるように曲線で形成されていることが好ましい。
【０００９】
これによれば、振動片は、平面視において、錘部と腕部との結合部が、腕部の幅が錘部に近づくに連れて広がるように曲線で形成されている。
この結果、振動片は、錘部の慣性質量の増加によるＱ値（振動の状態を現す無次元数であって、この値が大きいほど振動が安定であることを意味する）の向上効果により、例えば、Ｑ値を維持しながら振動腕を短くすることができると共に、衝撃時に錘部と腕部との結合部に応力集中が発生し難い（応力集中が緩和される）ことによって、応力集中による上記部分の破損を低減することが可能となる。
【００１０】
［適用例３］上記適用例にかかる振動片において、前記基部から、前記振動腕の延びる方向に対して交差する方向に延びる第１保持腕と、前記第１保持腕から屈曲し、前記振動腕の延びる方向に延びる第２保持腕と、を有する保持部をさらに備え、平面視において、前記保持部の前記第１保持腕と前記第２保持腕との屈曲部の内側が、曲線で形成されていることが好ましい。
【００１１】
これによれば、振動片は、保持部をさらに備え、平面視において、保持部の第１保持腕と第２保持腕との屈曲部の内側が、曲線で形成されている。
この結果、振動片は、衝撃時に屈曲部の内側部分に応力集中が発生し難い（応力集中が緩和される）ことによって、応力集中による上記部分の破損を低減することが可能となる。
【００１２】
［適用例４］上記適用例３にかかる振動片において、前記第２保持腕は、前記屈曲部側に位置する保持腕部と、前記保持腕部より先端側に位置し前記保持腕部より幅が広い外部接続部と、を有し、平面視において、前記外部接続部と前記保持腕部との結合部が、前記保持腕部の幅が前記外部接続部に近づくに連れて広がるように曲線で形成されていることが好ましい。
【００１３】
これによれば、振動片は、平面視において、第２保持腕の外部接続部と保持腕部との結合部が、保持腕部の幅が外部接続部に近づくに連れて広がるように曲線で形成されている。
この結果、振動片は、衝撃時に第２保持腕の外部接続部と保持腕部との結合部に、応力集中が発生し難い（応力集中が緩和される）ことによって、応力集中による上記部分の破損を低減することが可能となる。
【００１４】
［適用例５］上記適用例にかかる振動片において、前記振動腕を複数本備え、前記複数本の振動腕と、前記基部とを含んで音叉を構成することが好ましい。
【００１５】
これによれば、振動片は、複数本の振動腕と、基部とを含んで音叉を構成することから、応力集中による破損を低減することが可能な音叉型振動片を提供できる。
【００１６】
［適用例６］本適用例にかかる振動子は、適用例１ないし適用例５のいずれか一例に記載の振動片と、前記振動片を収容するパッケージと、を備えたことを特徴とする。
【００１７】
これによれば、振動子は、適用例１ないし適用例５のいずれか一例に記載の振動片を備えたことから、耐衝撃特性を向上させることができる。
【００１８】
［適用例７］本適用例にかかる発振器は、適用例１ないし適用例５のいずれか一例に記載の振動片と、前記振動片を発振させる発振回路を有する回路素子と、前記振動片及び前記回路素子を収容するパッケージと、を備えたことを特徴とする。
【００１９】
これによれば、発振器は、適用例１ないし適用例５のいずれか一例に記載の振動片を備えたことから、耐衝撃特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【００２０】
【図１】第１の実施形態の振動片の概略構成を示す模式図であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は（ａ）の断面図。
【図２】変形例の振動片の要部の概略構成を示す模式要部平面図であり、（ａ）、（ｂ）は変形例のバリエーションを示す。
【図３】第２の実施形態の振動子の概略構成を示す模式図であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は（ａ）の断面図。
【図４】第３の実施形態の発振器の概略構成を示す模式図であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は（ａ）の断面図。
【発明を実施するための形態】
【００２１】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。
【００２２】
（第１の実施形態）
図１は、第１の実施形態の振動片の概略構成を示す模式図であり、図１（ａ）は平面図、図１（ｂ）は、図１（ａ）のＡ−Ａ線での断面図である。
【００２３】
図１に示すように、振動片としての水晶振動片１は、水晶の原石などから所定の角度で切り出されたウエハー状の水晶基板を基材とし、外形形状がフォトリソグラフィ技術を用いたウエットエッチングなどによって形成されている。
【００２４】
水晶振動片１は、基部１０と、基部１０から、互いに沿って延びる一対の振動腕１１と、基部１０を、振動腕１１の延びる方向に対して交差する方向（ここでは、略直交する方向）に切り欠いた一対の切り欠き部１２とを備えている。
そして、水晶振動片１は、基部１０から、振動腕１１の延びる方向に対して交差する方向（ここでは、略直交する方向）に延びる一対の第１保持腕１３ａと、第１保持腕１３ａから屈曲し、振動腕１１の延びる方向に延びる一対の第２保持腕１３ｂと、を有する保持部１３をさらに備えている。
【００２５】
振動腕１１は、基部１０側に位置する腕部１４と、腕部１４より先端側に位置し腕部１４より幅が広い錘部１５と、振動腕１１の延びる方向に沿って形成され、一対の振動腕１１の並ぶ方向に沿って切断した振動腕１１の断面形状が、略Ｈ字状となる溝部１６と、を有している。
保持部１３の第２保持腕１３ｂは、屈曲部１３ｃ側に位置する保持腕部１３ｄと、保持腕部１３ｄより先端側に位置し、保持腕部１３ｄより幅が広い外部接続部１３ｅと、を有している。
【００２６】
水晶振動片１は、平面視において、基部１０と振動腕１１との結合部１７が、振動腕１１の腕部１４の幅が基部１０に近づくに連れて広がるように曲線で形成されていると共に、切り欠き部１２の先端部１２ａが、角張らないように、曲線（例えば、円弧状の曲線）で形成されている。
そして、水晶振動片１は、平面視において、振動腕１１の錘部１５と腕部１４との結合部１８が、腕部１４の幅が錘部１５に近づくに連れて広がるように、曲線（例えば、円弧状の曲線）で形成されている。
そして、水晶振動片１は、平面視において、保持部１３の第１保持腕１３ａと第２保持腕１３ｂとの屈曲部１３ｃの内側１３ｆが、角張らないように、曲線（例えば、円弧状の曲線）で形成されている。
さらに、水晶振動片１は、平面視において、第２保持腕１３ｂの外部接続部１３ｅと保持腕部１３ｄとの結合部１３ｇが、保持腕部１３ｄの幅が外部接続部１３ｅに近づくに連れて広がるように、曲線（例えば、円弧状の曲線）で形成されている。
なお、上記各曲線は、異なる曲率の複数の円弧や、スプライン曲線から構成されていてもよい。
【００２７】
図１（ａ）に示すように、水晶振動片１は、基部１０と、一対（２本）の振動腕１１とを含んで音叉を構成することで、音叉型振動片としての音叉型水晶振動片となっており、保持部１３の一対の外部接続部１３ｅが、パッケージなどの外部部材に、導電性接着剤などを用いて固定されるようになっている。
そして、水晶振動片１は、一対の振動腕１１に形成された図示しない励振電極に、保持部１３に形成された図示しないマウント電極、基部１０に形成された図示しない引き出し電極を経由して外部から駆動信号が印加されることにより、一対の振動腕１１が、所定の周波数（例えば、３２ｋＨｚ）で矢印Ｂ方向（一対の振動腕１１が互いに離れる方向）及び矢印Ｃ方向（一対の振動腕１１が互いに近づく方向）に交互に屈曲振動（共振）する。
【００２８】
この際、水晶振動片１は、振動腕１１に溝部１６が形成されていることで、屈曲振動によって発生する熱が、溝部１６によって拡散（熱伝導）し難くなるように構成されていることから、熱弾性損失（屈曲振動する振動片の圧縮部と伸張部との間で発生する熱伝導により生じる振動エネルギーの損失）を抑制できる。
また、水晶振動片１は、振動腕１１に錘部１５が形成されていることで、錘部１５の慣性質量の増加によるＱ値の向上効果により、例えば、Ｑ値を維持しながら振動腕を短くすることができる。
加えて、水晶振動片１は、基部１０に切り欠き部１２及び保持部１３を有することで、振動腕１１の屈曲振動に伴う基部１０の振動を吸収し、外部への振動漏れを低減することができる。
【００２９】
上述したように、第１の実施形態の水晶振動片１は、平面視において、基部１０と振動腕１１との結合部１７が、振動腕１１の腕部１４の幅が基部１０に近づくに連れて広がるように曲線で形成されていると共に、切り欠き部１２の先端部１２ａが、角張らないように曲線で形成されている。
【００３０】
これにより、水晶振動片１は、落下、衝突などによる衝撃が加わった時に、基部１０と振動腕１１との結合部１７及び切り欠き部１２の先端部１２ａに応力集中が発生し難い（応力集中が緩和される）ことから、応力集中による上記部分の破損を低減することが可能となる。
したがって、水晶振動片１は、耐衝撃特性を向上させることができる。
【００３１】
また、水晶振動片１は、平面視において、振動腕１１の錘部１５と腕部１４との結合部１８が、腕部１４の幅が錘部１５に近づくに連れて広がるように曲線で形成されている。
【００３２】
これにより、水晶振動片１は、落下、衝突などによる衝撃が加わった時に、振動腕１１の錘部１５と腕部１４との結合部１８に応力集中が発生し難い（応力集中が緩和される）ことから、応力集中による上記部分の破損を低減することが可能となる。
したがって、水晶振動片１は、耐衝撃特性を向上させることができる。
【００３３】
また、水晶振動片１は、平面視において、保持部１３の第１保持腕１３ａと第２保持腕１３ｂとの屈曲部１３ｃの内側１３ｆが、角張らないように曲線で形成されている。
さらに、水晶振動片１は、平面視において、第２保持腕１３ｂの外部接続部１３ｅと保持腕部１３ｄとの結合部１３ｇが、保持腕部１３ｄの幅が外部接続部１３ｅに近づくに連れて広がるように曲線で形成されている。
【００３４】
これにより、水晶振動片１は、落下、衝突などによる衝撃が加わった時に、保持部１３の屈曲部１３ｃの内側１３ｆ及び外部接続部１３ｅと保持腕部１３ｄとの結合部１３ｇに応力集中が発生し難い（応力集中が緩和される）ことから、応力集中による上記部分の破損を低減することが可能となる。
したがって、水晶振動片１は、耐衝撃特性を向上させることができる。
【００３５】
また、水晶振動片１は、基部１０と、一対（２本）の振動腕１１とを含んで音叉を構成することから、応力集中による破損を低減することが可能な音叉型振動片としての音叉型水晶振動片を提供できる。
【００３６】
（変形例）
ここで、第１の実施形態の変形例について説明する。
図２は、変形例の振動片の要部の概略構成を示す模式要部平面図である。図２（ａ）、図２（ｂ）は、変形例のバリエーションを示す。なお、第１の実施形態との共通部分については、同一符号を付して詳細な説明を省略し、第１の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【００３７】
図２（ａ）に示すように、変形例１の振動片としての水晶振動片２は、錘部１１５が、各腕部１４に対して各腕部１４の近傍の外部接続部１３ｅ側に偏って形成されている。
そして、水晶振動片２は、一対の振動腕１１において、互いに対向する側の腕部１４の側面と錘部１１５の側面とが、段差の無い一体化された平面状に形成されている。
これにより、結合部１８は、腕部１４と錘部１１５との外部接続部１３ｅ側のみに形成されることになる。
【００３８】
これによれば、水晶振動片２は、錘部１１５が各腕部１４に対して近傍の外部接続部１３ｅ側に偏って形成され、一対の振動腕１１の間隔が広がることから、振動腕１１同士の振動時の干渉を容易に回避することができる。
【００３９】
図２（ｂ）に示すように、変形例２の振動片としての水晶振動片３は、保持部１３の外部接続部２１３ｅの幅が、第２保持腕１３ｂの保持腕部１３ｄの両側に広がって形成されている。
そして、水晶振動片３は、平面視において、外部接続部２１３ｅと保持腕部１３ｄとの結合部１３ｇが保持腕部１３ｄの両側に形成され、保持腕部１３ｄの幅が外部接続部２１３ｅに近づくに連れて広がるように曲線（例えば、円弧状の曲線）で形成されている。
【００４０】
これによれば、水晶振動片３は、第１の実施形態と比較して、外部接続部２１３ｅの幅が広がることから、パッケージなどの外部部材との導電性接着剤などを用いた電気的接続を、より確実に行うことができる。
【００４１】
（第２の実施形態）
次に、第２の実施形態として、上記で説明した水晶振動片を備えた振動子について説明する。
図３は、第２の実施形態の振動子の概略構成を示す模式図であり、図３（ａ）は平面図、図３（ｂ）は、図３（ａ）のＤ−Ｄ線での断面図である。
【００４２】
図３に示すように、振動子としての水晶振動子５は、第１の実施形態の水晶振動片１と、水晶振動片１を収容するパッケージ８０と、を備えている。
パッケージ８０は、パッケージベース８１、シームリング８２、蓋体８５などから構成されている。
パッケージベース８１は、水晶振動片１を収容できるように凹部が形成され、その凹部に水晶振動片１の図示しないマウント電極と接続される接続パッド８８が設けられている。
接続パッド８８は、パッケージベース８１内の配線に接続され、パッケージベース８１の外周部に設けられた外部接続端子８３と導通可能に構成されている。
【００４３】
パッケージベース８１の凹部の周囲には、シームリング８２が設けられている。さらに、パッケージベース８１の底部には、貫通穴８６が設けられている。
水晶振動片１は、パッケージベース８１の接続パッド８８に導電性接着剤８４を介して接着固定されている。そして、パッケージ８０は、パッケージベース８１の凹部を覆う蓋体８５とシームリング８２とがシーム溶接されている。
パッケージベース８１の貫通穴８６には、金属材料などからなる封止材８７が充填されている。この封止材８７は、減圧雰囲気内で溶融後固化され、パッケージベース８１内が減圧状態を保持できるように、貫通穴８６を気密に封止している。
水晶振動子５は、外部接続端子８３を介した外部からの駆動信号により水晶振動片１が励振され、所定の周波数（例えば、３２ｋＨｚ）で発振（共振）する。
【００４４】
上述したように、水晶振動子５は、耐衝撃特性が向上した水晶振動片１を備えていることから、耐衝撃特性を向上させることができる。
なお、水晶振動子５は、水晶振動片１に代えて水晶振動片２，３のいずれかを用いても、同様の効果を奏することができる。
【００４５】
（第３の実施形態）
次に、第３の実施形態として、上記で説明した水晶振動片を備えた発振器について説明する。
図４は、第３の実施形態の発振器の概略構成を示す模式図であり、図４（ａ）は平面図、図４（ｂ）は図４（ａ）のＥ−Ｅ線での断面図である。
【００４６】
発振器としての水晶発振器６は、上記水晶振動子５の構成に回路素子をさらに備えた構成となっている。なお、水晶振動子５との共通部分については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図４に示すように、水晶発振器６は、第１の実施形態の水晶振動片１と、水晶振動片１を発振させる発振回路を有する回路素子としてのＩＣチップ９１と、水晶振動片１及びＩＣチップ９１を収容するパッケージ８０と、を備えている。
ＩＣチップ９１は、パッケージベース８１の底部に固着され、Ａｕ、Ａｌなどの金属ワイヤー９２により他の配線と接続されている。
水晶発振器６は、ＩＣチップ９１の発振回路からの駆動信号により水晶振動片１が励振され、所定の周波数（例えば、３２ｋＨｚ）で発振（共振）する。
【００４７】
上述したように、水晶発振器６は、耐衝撃特性が向上した水晶振動片１を備えていることから、耐衝撃特性を向上させることができる。
なお、水晶発振器６は、水晶振動片１に代えて水晶振動片２，３のいずれかを用いても、同様の効果を奏することができる。
【００４８】
なお、上記各実施形態及び変形例において、水晶振動片１，２，３の保持部１３、錘部１５，１１５、溝部１６は、なくてもよい。
また、保持部１３は、第１保持腕１３ａ及び第２保持腕１３ｂが一対ではなく、一方だけでもよい。また、保持部１３は、第２保持腕１３ｂが逆方向に屈曲していてもよい。
【００４９】
なお、上記各実施形態及び変形例では、振動片を水晶としたが、これに限定するものではなく、例えば、タンタル酸リチウム（ＬｉＴａＯ3）、四ホウ酸リチウム（Ｌｉ2Ｂ4Ｏ7）、ニオブ酸リチウム（ＬｉＮｂＯ3）、チタン酸ジルコン酸鉛（ＰＺＴ）、酸化亜鉛（ＺｎＯ）、窒化アルミニウム（ＡｌＮ）などの圧電体、または酸化亜鉛（ＺｎＯ）、窒化アルミニウム（ＡｌＮ）などの圧電体を被膜として備えたシリコンなどであってもよい。
【符号の説明】
【００５０】
１，２，３…振動片としての水晶振動片、５…振動子としての水晶振動子、６…発振器としての水晶発振器、１０…基部、１１…振動腕、１２…切り欠き部、１２ａ…先端部、１３…保持部、１３ａ…第１保持腕、１３ｂ…第２保持腕、１３ｃ…屈曲部、１３ｄ…保持腕部、１３ｅ…外部接続部、１３ｆ…屈曲部の内側、１３ｇ…結合部、１４…腕部、１５…錘部、１６…溝部、１７，１８…結合部、８０…パッケージ、８１…パッケージベース、８２…シームリング、８３…外部接続端子、８４…導電性接着剤、８５…蓋体、８６…貫通穴、８７…封止材、８８…接続パッド、９１…回路素子としてのＩＣチップ、９２…金属ワイヤー、１１５…錘部、２１３ｅ…外部接続部。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、振動片、この振動片を備えた振動子及びこの振動片を備えた発振器に関する。
【背景技術】
【０００２】
特許文献１には、第１と第２の平行な振動アーム（以下、振動腕という）が延びるベース（以下、基部という）と、各振動腕の自由端を形成するフリッパー形状をした拡大部分（以下、錘部という）と、各振動腕の正面と裏面の少なくとも一方に形成された溝（以下、溝部という）と、を有し、この溝部が振動腕の自由端（先端）の方向に、錘部の開始点を越えて延びているピエゾ電子同調フォーク型共振器（以下、振動片という）が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開２００９−２７７１１号公報（図１）
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
特許文献１によれば、上記振動片は、振動腕に形成された溝部が振動腕の先端の方向に、錘部の開始点を越えて延びていることから、衝撃時の溝部における応力が分散し、耐衝撃特性が向上するとされている。
しかしながら、上記振動片は、実施例の平面視（特許文献１の図１参照）において、錘部の開始点である錘部と腕部（振動腕の本体部分）との結合部が鋭角に形成され、振動腕の根元部と基部とが直線状の斜線で結合され、一方の振動腕と他方の振動腕とを繋ぐ股部が鋭角に形成されている。
これらにより、上記振動片は、衝撃時において、錘部と腕部との結合部などの上記各部分に応力集中が発生し、上記各部分から破損する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【０００６】
［適用例１］本適用例にかかる振動片は、基部と、前記基部から延びる少なくとも１本の振動腕と、前記基部を、前記振動腕の延びる方向に対して交差する方向に切り欠いた切り欠き部と、を備え、平面視において、前記基部と前記振動腕との結合部が、前記振動腕の幅が前記基部に近づくに連れて広がるように曲線で形成されていると共に、前記切り欠き部の先端部が曲線で形成されていることを特徴とする。
【０００７】
これによれば、振動片は、平面視において、基部と振動腕との結合部が、振動腕の幅が基部に近づくに連れて広がるように曲線で形成されていると共に、切り欠き部の先端部が曲線で形成されている。
この結果、振動片は、衝撃時に基部と振動腕との結合部及び切り欠き部の先端部に応力集中が発生し難い（応力集中が緩和される）ことから、応力集中による上記部分の破損を低減することが可能となる。
したがって、振動片は、耐衝撃特性を向上させることができる。
【０００８】
［適用例２］上記適用例にかかる振動片において、前記振動腕は、前記基部側に位置する腕部と、前記腕部より先端側に位置し前記腕部より幅が広い錘部と、を有し、平面視において、前記錘部と前記腕部との結合部が、前記腕部の幅が前記錘部に近づくに連れて広がるように曲線で形成されていることが好ましい。
【０００９】
これによれば、振動片は、平面視において、錘部と腕部との結合部が、腕部の幅が錘部に近づくに連れて広がるように曲線で形成されている。
この結果、振動片は、錘部の慣性質量の増加によるＱ値（振動の状態を現す無次元数であって、この値が大きいほど振動が安定であることを意味する）の向上効果により、例えば、Ｑ値を維持しながら振動腕を短くすることができると共に、衝撃時に錘部と腕部との結合部に応力集中が発生し難い（応力集中が緩和される）ことによって、応力集中による上記部分の破損を低減することが可能となる。
【００１０】
［適用例３］上記適用例にかかる振動片において、前記基部から、前記振動腕の延びる方向に対して交差する方向に延びる第１保持腕と、前記第１保持腕から屈曲し、前記振動腕の延びる方向に延びる第２保持腕と、を有する保持部をさらに備え、平面視において、前記保持部の前記第１保持腕と前記第２保持腕との屈曲部の内側が、曲線で形成されていることが好ましい。
【００１１】
これによれば、振動片は、保持部をさらに備え、平面視において、保持部の第１保持腕と第２保持腕との屈曲部の内側が、曲線で形成されている。
この結果、振動片は、衝撃時に屈曲部の内側部分に応力集中が発生し難い（応力集中が緩和される）ことによって、応力集中による上記部分の破損を低減することが可能となる。
【００１２】
［適用例４］上記適用例３にかかる振動片において、前記第２保持腕は、前記屈曲部側に位置する保持腕部と、前記保持腕部より先端側に位置し前記保持腕部より幅が広い外部接続部と、を有し、平面視において、前記外部接続部と前記保持腕部との結合部が、前記保持腕部の幅が前記外部接続部に近づくに連れて広がるように曲線で形成されていることが好ましい。
【００１３】
これによれば、振動片は、平面視において、第２保持腕の外部接続部と保持腕部との結合部が、保持腕部の幅が外部接続部に近づくに連れて広がるように曲線で形成されている。
この結果、振動片は、衝撃時に第２保持腕の外部接続部と保持腕部との結合部に、応力集中が発生し難い（応力集中が緩和される）ことによって、応力集中による上記部分の破損を低減することが可能となる。
【００１４】
［適用例５］上記適用例にかかる振動片において、前記振動腕を複数本備え、前記複数本の振動腕と、前記基部とを含んで音叉を構成することが好ましい。
【００１５】
これによれば、振動片は、複数本の振動腕と、基部とを含んで音叉を構成することから、応力集中による破損を低減することが可能な音叉型振動片を提供できる。
【００１６】
［適用例６］本適用例にかかる振動子は、適用例１ないし適用例５のいずれか一例に記載の振動片と、前記振動片を収容するパッケージと、を備えたことを特徴とする。
【００１７】
これによれば、振動子は、適用例１ないし適用例５のいずれか一例に記載の振動片を備えたことから、耐衝撃特性を向上させることができる。
【００１８】
［適用例７］本適用例にかかる発振器は、適用例１ないし適用例５のいずれか一例に記載の振動片と、前記振動片を発振させる発振回路を有する回路素子と、前記振動片及び前記回路素子を収容するパッケージと、を備えたことを特徴とする。
【００１９】
これによれば、発振器は、適用例１ないし適用例５のいずれか一例に記載の振動片を備えたことから、耐衝撃特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【００２０】
【図１】第１の実施形態の振動片の概略構成を示す模式図であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は（ａ）の断面図。
【図２】変形例の振動片の要部の概略構成を示す模式要部平面図であり、（ａ）、（ｂ）は変形例のバリエーションを示す。
【図３】第２の実施形態の振動子の概略構成を示す模式図であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は（ａ）の断面図。
【図４】第３の実施形態の発振器の概略構成を示す模式図であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は（ａ）の断面図。
【発明を実施するための形態】
【００２１】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。
【００２２】
（第１の実施形態）
図１は、第１の実施形態の振動片の概略構成を示す模式図であり、図１（ａ）は平面図、図１（ｂ）は、図１（ａ）のＡ−Ａ線での断面図である。
【００２３】
図１に示すように、振動片としての水晶振動片１は、水晶の原石などから所定の角度で切り出されたウエハー状の水晶基板を基材とし、外形形状がフォトリソグラフィ技術を用いたウエットエッチングなどによって形成されている。
【００２４】
水晶振動片１は、基部１０と、基部１０から、互いに沿って延びる一対の振動腕１１と、基部１０を、振動腕１１の延びる方向に対して交差する方向（ここでは、略直交する方向）に切り欠いた一対の切り欠き部１２とを備えている。
そして、水晶振動片１は、基部１０から、振動腕１１の延びる方向に対して交差する方向（ここでは、略直交する方向）に延びる一対の第１保持腕１３ａと、第１保持腕１３ａから屈曲し、振動腕１１の延びる方向に延びる一対の第２保持腕１３ｂと、を有する保持部１３をさらに備えている。
【００２５】
振動腕１１は、基部１０側に位置する腕部１４と、腕部１４より先端側に位置し腕部１４より幅が広い錘部１５と、振動腕１１の延びる方向に沿って形成され、一対の振動腕１１の並ぶ方向に沿って切断した振動腕１１の断面形状が、略Ｈ字状となる溝部１６と、を有している。
保持部１３の第２保持腕１３ｂは、屈曲部１３ｃ側に位置する保持腕部１３ｄと、保持腕部１３ｄより先端側に位置し、保持腕部１３ｄより幅が広い外部接続部１３ｅと、を有している。
【００２６】
水晶振動片１は、平面視において、基部１０と振動腕１１との結合部１７が、振動腕１１の腕部１４の幅が基部１０に近づくに連れて広がるように曲線で形成されていると共に、切り欠き部１２の先端部１２ａが、角張らないように、曲線（例えば、円弧状の曲線）で形成されている。
そして、水晶振動片１は、平面視において、振動腕１１の錘部１５と腕部１４との結合部１８が、腕部１４の幅が錘部１５に近づくに連れて広がるように、曲線（例えば、円弧状の曲線）で形成されている。
そして、水晶振動片１は、平面視において、保持部１３の第１保持腕１３ａと第２保持腕１３ｂとの屈曲部１３ｃの内側１３ｆが、角張らないように、曲線（例えば、円弧状の曲線）で形成されている。
さらに、水晶振動片１は、平面視において、第２保持腕１３ｂの外部接続部１３ｅと保持腕部１３ｄとの結合部１３ｇが、保持腕部１３ｄの幅が外部接続部１３ｅに近づくに連れて広がるように、曲線（例えば、円弧状の曲線）で形成されている。
なお、上記各曲線は、異なる曲率の複数の円弧や、スプライン曲線から構成されていてもよい。
【００２７】
図１（ａ）に示すように、水晶振動片１は、基部１０と、一対（２本）の振動腕１１とを含んで音叉を構成することで、音叉型振動片としての音叉型水晶振動片となっており、保持部１３の一対の外部接続部１３ｅが、パッケージなどの外部部材に、導電性接着剤などを用いて固定されるようになっている。
そして、水晶振動片１は、一対の振動腕１１に形成された図示しない励振電極に、保持部１３に形成された図示しないマウント電極、基部１０に形成された図示しない引き出し電極を経由して外部から駆動信号が印加されることにより、一対の振動腕１１が、所定の周波数（例えば、３２ｋＨｚ）で矢印Ｂ方向（一対の振動腕１１が互いに離れる方向）及び矢印Ｃ方向（一対の振動腕１１が互いに近づく方向）に交互に屈曲振動（共振）する。
【００２８】
この際、水晶振動片１は、振動腕１１に溝部１６が形成されていることで、屈曲振動によって発生する熱が、溝部１６によって拡散（熱伝導）し難くなるように構成されていることから、熱弾性損失（屈曲振動する振動片の圧縮部と伸張部との間で発生する熱伝導により生じる振動エネルギーの損失）を抑制できる。
また、水晶振動片１は、振動腕１１に錘部１５が形成されていることで、錘部１５の慣性質量の増加によるＱ値の向上効果により、例えば、Ｑ値を維持しながら振動腕を短くすることができる。
加えて、水晶振動片１は、基部１０に切り欠き部１２及び保持部１３を有することで、振動腕１１の屈曲振動に伴う基部１０の振動を吸収し、外部への振動漏れを低減することができる。
【００２９】
上述したように、第１の実施形態の水晶振動片１は、平面視において、基部１０と振動腕１１との結合部１７が、振動腕１１の腕部１４の幅が基部１０に近づくに連れて広がるように曲線で形成されていると共に、切り欠き部１２の先端部１２ａが、角張らないように曲線で形成されている。
【００３０】
これにより、水晶振動片１は、落下、衝突などによる衝撃が加わった時に、基部１０と振動腕１１との結合部１７及び切り欠き部１２の先端部１２ａに応力集中が発生し難い（応力集中が緩和される）ことから、応力集中による上記部分の破損を低減することが可能となる。
したがって、水晶振動片１は、耐衝撃特性を向上させることができる。
【００３１】
また、水晶振動片１は、平面視において、振動腕１１の錘部１５と腕部１４との結合部１８が、腕部１４の幅が錘部１５に近づくに連れて広がるように曲線で形成されている。
【００３２】
これにより、水晶振動片１は、落下、衝突などによる衝撃が加わった時に、振動腕１１の錘部１５と腕部１４との結合部１８に応力集中が発生し難い（応力集中が緩和される）ことから、応力集中による上記部分の破損を低減することが可能となる。
したがって、水晶振動片１は、耐衝撃特性を向上させることができる。
【００３３】
また、水晶振動片１は、平面視において、保持部１３の第１保持腕１３ａと第２保持腕１３ｂとの屈曲部１３ｃの内側１３ｆが、角張らないように曲線で形成されている。
さらに、水晶振動片１は、平面視において、第２保持腕１３ｂの外部接続部１３ｅと保持腕部１３ｄとの結合部１３ｇが、保持腕部１３ｄの幅が外部接続部１３ｅに近づくに連れて広がるように曲線で形成されている。
【００３４】
これにより、水晶振動片１は、落下、衝突などによる衝撃が加わった時に、保持部１３の屈曲部１３ｃの内側１３ｆ及び外部接続部１３ｅと保持腕部１３ｄとの結合部１３ｇに応力集中が発生し難い（応力集中が緩和される）ことから、応力集中による上記部分の破損を低減することが可能となる。
したがって、水晶振動片１は、耐衝撃特性を向上させることができる。
【００３５】
また、水晶振動片１は、基部１０と、一対（２本）の振動腕１１とを含んで音叉を構成することから、応力集中による破損を低減することが可能な音叉型振動片としての音叉型水晶振動片を提供できる。
【００３６】
（変形例）
ここで、第１の実施形態の変形例について説明する。
図２は、変形例の振動片の要部の概略構成を示す模式要部平面図である。図２（ａ）、図２（ｂ）は、変形例のバリエーションを示す。なお、第１の実施形態との共通部分については、同一符号を付して詳細な説明を省略し、第１の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【００３７】
図２（ａ）に示すように、変形例１の振動片としての水晶振動片２は、錘部１１５が、各腕部１４に対して各腕部１４の近傍の外部接続部１３ｅ側に偏って形成されている。
そして、水晶振動片２は、一対の振動腕１１において、互いに対向する側の腕部１４の側面と錘部１１５の側面とが、段差の無い一体化された平面状に形成されている。
これにより、結合部１８は、腕部１４と錘部１１５との外部接続部１３ｅ側のみに形成されることになる。
【００３８】
これによれば、水晶振動片２は、錘部１１５が各腕部１４に対して近傍の外部接続部１３ｅ側に偏って形成され、一対の振動腕１１の間隔が広がることから、振動腕１１同士の振動時の干渉を容易に回避することができる。
【００３９】
図２（ｂ）に示すように、変形例２の振動片としての水晶振動片３は、保持部１３の外部接続部２１３ｅの幅が、第２保持腕１３ｂの保持腕部１３ｄの両側に広がって形成されている。
そして、水晶振動片３は、平面視において、外部接続部２１３ｅと保持腕部１３ｄとの結合部１３ｇが保持腕部１３ｄの両側に形成され、保持腕部１３ｄの幅が外部接続部２１３ｅに近づくに連れて広がるように曲線（例えば、円弧状の曲線）で形成されている。
【００４０】
これによれば、水晶振動片３は、第１の実施形態と比較して、外部接続部２１３ｅの幅が広がることから、パッケージなどの外部部材との導電性接着剤などを用いた電気的接続を、より確実に行うことができる。
【００４１】
（第２の実施形態）
次に、第２の実施形態として、上記で説明した水晶振動片を備えた振動子について説明する。
図３は、第２の実施形態の振動子の概略構成を示す模式図であり、図３（ａ）は平面図、図３（ｂ）は、図３（ａ）のＤ−Ｄ線での断面図である。
【００４２】
図３に示すように、振動子としての水晶振動子５は、第１の実施形態の水晶振動片１と、水晶振動片１を収容するパッケージ８０と、を備えている。
パッケージ８０は、パッケージベース８１、シームリング８２、蓋体８５などから構成されている。
パッケージベース８１は、水晶振動片１を収容できるように凹部が形成され、その凹部に水晶振動片１の図示しないマウント電極と接続される接続パッド８８が設けられている。
接続パッド８８は、パッケージベース８１内の配線に接続され、パッケージベース８１の外周部に設けられた外部接続端子８３と導通可能に構成されている。
【００４３】
パッケージベース８１の凹部の周囲には、シームリング８２が設けられている。さらに、パッケージベース８１の底部には、貫通穴８６が設けられている。
水晶振動片１は、パッケージベース８１の接続パッド８８に導電性接着剤８４を介して接着固定されている。そして、パッケージ８０は、パッケージベース８１の凹部を覆う蓋体８５とシームリング８２とがシーム溶接されている。
パッケージベース８１の貫通穴８６には、金属材料などからなる封止材８７が充填されている。この封止材８７は、減圧雰囲気内で溶融後固化され、パッケージベース８１内が減圧状態を保持できるように、貫通穴８６を気密に封止している。
水晶振動子５は、外部接続端子８３を介した外部からの駆動信号により水晶振動片１が励振され、所定の周波数（例えば、３２ｋＨｚ）で発振（共振）する。
【００４４】
上述したように、水晶振動子５は、耐衝撃特性が向上した水晶振動片１を備えていることから、耐衝撃特性を向上させることができる。
なお、水晶振動子５は、水晶振動片１に代えて水晶振動片２，３のいずれかを用いても、同様の効果を奏することができる。
【００４５】
（第３の実施形態）
次に、第３の実施形態として、上記で説明した水晶振動片を備えた発振器について説明する。
図４は、第３の実施形態の発振器の概略構成を示す模式図であり、図４（ａ）は平面図、図４（ｂ）は図４（ａ）のＥ−Ｅ線での断面図である。
【００４６】
発振器としての水晶発振器６は、上記水晶振動子５の構成に回路素子をさらに備えた構成となっている。なお、水晶振動子５との共通部分については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図４に示すように、水晶発振器６は、第１の実施形態の水晶振動片１と、水晶振動片１を発振させる発振回路を有する回路素子としてのＩＣチップ９１と、水晶振動片１及びＩＣチップ９１を収容するパッケージ８０と、を備えている。
ＩＣチップ９１は、パッケージベース８１の底部に固着され、Ａｕ、Ａｌなどの金属ワイヤー９２により他の配線と接続されている。
水晶発振器６は、ＩＣチップ９１の発振回路からの駆動信号により水晶振動片１が励振され、所定の周波数（例えば、３２ｋＨｚ）で発振（共振）する。
【００４７】
上述したように、水晶発振器６は、耐衝撃特性が向上した水晶振動片１を備えていることから、耐衝撃特性を向上させることができる。
なお、水晶発振器６は、水晶振動片１に代えて水晶振動片２，３のいずれかを用いても、同様の効果を奏することができる。
【００４８】
なお、上記各実施形態及び変形例において、水晶振動片１，２，３の保持部１３、錘部１５，１１５、溝部１６は、なくてもよい。
また、保持部１３は、第１保持腕１３ａ及び第２保持腕１３ｂが一対ではなく、一方だけでもよい。また、保持部１３は、第２保持腕１３ｂが逆方向に屈曲していてもよい。
【００４９】
なお、上記各実施形態及び変形例では、振動片を水晶としたが、これに限定するものではなく、例えば、タンタル酸リチウム（ＬｉＴａＯ3）、四ホウ酸リチウム（Ｌｉ2Ｂ4Ｏ7）、ニオブ酸リチウム（ＬｉＮｂＯ3）、チタン酸ジルコン酸鉛（ＰＺＴ）、酸化亜鉛（ＺｎＯ）、窒化アルミニウム（ＡｌＮ）などの圧電体、または酸化亜鉛（ＺｎＯ）、窒化アルミニウム（ＡｌＮ）などの圧電体を被膜として備えたシリコンなどであってもよい。
【符号の説明】
【００５０】
１，２，３…振動片としての水晶振動片、５…振動子としての水晶振動子、６…発振器としての水晶発振器、１０…基部、１１…振動腕、１２…切り欠き部、１２ａ…先端部、１３…保持部、１３ａ…第１保持腕、１３ｂ…第２保持腕、１３ｃ…屈曲部、１３ｄ…保持腕部、１３ｅ…外部接続部、１３ｆ…屈曲部の内側、１３ｇ…結合部、１４…腕部、１５…錘部、１６…溝部、１７，１８…結合部、８０…パッケージ、８１…パッケージベース、８２…シームリング、８３…外部接続端子、８４…導電性接着剤、８５…蓋体、８６…貫通穴、８７…封止材、８８…接続パッド、９１…回路素子としてのＩＣチップ、９２…金属ワイヤー、１１５…錘部、２１３ｅ…外部接続部。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
基部と、
前記基部から延びる少なくとも１本の振動腕と、
前記基部を、前記振動腕の延びる方向に対して交差する方向に切り欠いた切り欠き部と、を備え、
平面視において、前記基部と前記振動腕との結合部が、前記振動腕の幅が前記基部に近づくに連れて広がるように曲線で形成されていると共に、前記切り欠き部の先端部が曲線で形成されていることを特徴とする振動片。
【請求項２】
請求項１に記載の振動片において、前記振動腕は、前記基部側に位置する腕部と、前記腕部より先端側に位置し前記腕部より幅が広い錘部と、を有し、
平面視において、前記錘部と前記腕部との結合部が、前記腕部の幅が前記錘部に近づくに連れて広がるように曲線で形成されていることを特徴とする振動片。
【請求項３】
請求項１または請求項２に記載の振動片において、前記基部から、前記振動腕の延びる方向に対して交差する方向に延びる第１保持腕と、前記第１保持腕から屈曲し、前記振動腕の延びる方向に延びる第２保持腕と、を有する保持部をさらに備え、
平面視において、前記保持部の前記第１保持腕と前記第２保持腕との屈曲部の内側が、曲線で形成されていることを特徴とする振動片。
【請求項４】
請求項３に記載の振動片において、前記第２保持腕は、前記屈曲部側に位置する保持腕部と、前記保持腕部より先端側に位置し前記保持腕部より幅が広い外部接続部と、を有し、
平面視において、前記外部接続部と前記保持腕部との結合部が、前記保持腕部の幅が前記外部接続部に近づくに連れて広がるように曲線で形成されていることを特徴とする振動片。
【請求項５】
請求項１ないし請求項４のいずれか一項に記載の振動片において、前記振動腕を複数本備え、前記複数本の振動腕と、前記基部とを含んで音叉を構成することを特徴とする振動片。
【請求項６】
請求項１ないし請求項５のいずれか一項に記載の振動片と、
前記振動片を収容するパッケージと、を備えたことを特徴とする振動子。
【請求項７】
請求項１ないし請求項５のいずれか一項に記載の振動片と、
前記振動片を発振させる発振回路を有する回路素子と、
前記振動片及び前記回路素子を収容するパッケージと、を備えたことを特徴とする発振器。
【請求項１】
基部と、
前記基部から延びる少なくとも１本の振動腕と、
前記基部を、前記振動腕の延びる方向に対して交差する方向に切り欠いた切り欠き部と、を備え、
平面視において、前記基部と前記振動腕との結合部が、前記振動腕の幅が前記基部に近づくに連れて広がるように曲線で形成されていると共に、前記切り欠き部の先端部が曲線で形成されていることを特徴とする振動片。
【請求項２】
請求項１に記載の振動片において、前記振動腕は、前記基部側に位置する腕部と、前記腕部より先端側に位置し前記腕部より幅が広い錘部と、を有し、
平面視において、前記錘部と前記腕部との結合部が、前記腕部の幅が前記錘部に近づくに連れて広がるように曲線で形成されていることを特徴とする振動片。
【請求項３】
請求項１または請求項２に記載の振動片において、前記基部から、前記振動腕の延びる方向に対して交差する方向に延びる第１保持腕と、前記第１保持腕から屈曲し、前記振動腕の延びる方向に延びる第２保持腕と、を有する保持部をさらに備え、
平面視において、前記保持部の前記第１保持腕と前記第２保持腕との屈曲部の内側が、曲線で形成されていることを特徴とする振動片。
【請求項４】
請求項３に記載の振動片において、前記第２保持腕は、前記屈曲部側に位置する保持腕部と、前記保持腕部より先端側に位置し前記保持腕部より幅が広い外部接続部と、を有し、
平面視において、前記外部接続部と前記保持腕部との結合部が、前記保持腕部の幅が前記外部接続部に近づくに連れて広がるように曲線で形成されていることを特徴とする振動片。
【請求項５】
請求項１ないし請求項４のいずれか一項に記載の振動片において、前記振動腕を複数本備え、前記複数本の振動腕と、前記基部とを含んで音叉を構成することを特徴とする振動片。
【請求項６】
請求項１ないし請求項５のいずれか一項に記載の振動片と、
前記振動片を収容するパッケージと、を備えたことを特徴とする振動子。
【請求項７】
請求項１ないし請求項５のいずれか一項に記載の振動片と、
前記振動片を発振させる発振回路を有する回路素子と、
前記振動片及び前記回路素子を収容するパッケージと、を備えたことを特徴とする発振器。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図２】
【図３】
【図４】
【公開番号】特開２０１１−２３９１３２（Ｐ２０１１−２３９１３２Ａ）
【公開日】平成２３年１１月２４日（２０１１．１１．２４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−１０７９８１（Ｐ２０１０−１０７９８１）
【出願日】平成２２年５月１０日（２０１０．５．１０）
【出願人】（０００００２３６９）セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年１１月２４日（２０１１．１１．２４）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年５月１０日（２０１０．５．１０）
【出願人】（０００００２３６９）セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Ｆターム（参考）】
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