説明

排ガス処理装置及び処理方法、石炭改質プロセス設備

【課題】石炭改質プロセスから発生する改質排ガス及びボイラ排ガス中のNOx、SOx、Hgを除去する排ガス処理装置及び処理方法、石炭改質プロセス設備を提供する。
【解決手段】低品位炭を改質する際に発生する改質排ガスまたは乾留油の何れか一方または両方をボイラで燃焼して発生したボイラ排ガスを処理する排ガス処理装置であって、改質排ガスまたは乾留油の何れか一方または両方を燃焼するボイラと、脱硝触媒で窒素酸化物を還元する還元剤、塩化水素共存下で水銀を酸化する酸化助剤、脱硝触媒で窒素酸化物を還元すると共に、塩化水素共存下で水銀を酸化する還元酸化助剤の何れか一つ以上をボイラの煙道内に供給させる薬剤供給部と、窒素酸化物を還元剤で還元すると共に、塩化水素共存下で水銀を酸化する脱硝触媒を有する触媒反応装置と、硫黄酸化物と、触媒反応装置において酸化された水銀を吸収液を用いて吸収除去する湿式脱硫装置と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低品位炭を改質する際に発生する改質排ガスと乾留油をボイラで燃焼して発生したボイラ排ガスを処理する排ガス処理装置及び処理方法、石炭改質プロセス設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
褐炭や亜瀝青炭等のような水分含有量の多い低品位炭は、埋蔵量が多いものの単位重量当たりの発熱量が低く、輸送効率が悪いため、石炭改質プロセスにより乾燥、乾留、冷却という熱処理等を行うことで、単位重量当たりの発熱量を増加させた改質炭に改質することが行われている。
【0003】
従来、石炭改質プロセスから発生する改質排ガスの処理は、改質排ガス中の煤塵などを除去する集塵除去工程はあるものの、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)、水銀(Hg)等を除去するための排ガス処理工程を備えているものは存在しない。
【0004】
石炭焚ボイラから発生する排ガス中のNOx、SOx、Hg等を除去するための排ガス処理方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−230137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
石炭焚きボイラから発生する排ガスと石炭改質プロセスから発生する改質排ガスとは、排ガス中に含まれる成分の含有量に大きな差がある。石炭改質プロセスから発生する改質排ガスは、石炭焚きボイラの排ガスに比べ、特に水分(HO)濃度が約3倍、酸素(O)濃度が約1/3倍、窒素酸化物(NOx)濃度が約4〜5倍、水銀(Hg)濃度が約4倍程度である。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の排ガス処理方法は、石炭焚ボイラから発生する排ガスを処理するものであるため、上記のような石炭改質プロセスから発生する改質排ガスの処理には適していない、という問題がある。
【0008】
また、特許文献1に記載の脱硫装置における水銀除去では吸収液で気液吸収された水銀は、硫酸水銀(HgSO・2HO)の形態で存在する。硫酸水銀と石膏は類似の形態であり、硫酸水銀は石膏結晶内にて取り込まれ安定化すると考えられる。石膏結晶内に取り込める硫酸水銀量には限界があり、このため、Hg除去量は石膏生成量に依存していると考えられる。従って、石炭改質プロセスから発生する改質排ガスを処理した場合は、硫黄酸化物に対する水銀濃度が、石炭焚きボイラから発生する排ガスに比べて相対的に高いため、水銀除去性能が不足するおそれがある。
【0009】
更に、石炭改質プロセスから発生する改質排ガスは、水分濃度が高いために露点温度が上昇して結露し、それに伴う腐食などのおそれがある。さらに結露により脱硫装置内での排水量が増加するというおそれもある。
【0010】
また、石炭改質プロセスの熱効率を向上させるために、低品位炭を改質する際に発生する乾燥ガス、乾留ガス、乾留オフガスの何れか一つを含む改質排ガスと石炭(乾燥炭)を乾留して発生する乾留油を自家発電用ボイラで燃焼させて自家発電しているものがあるがボイラで燃焼したボイラ排ガスを処理するための処理装置を備えているものは存在しない。
【0011】
そこで、石炭改質プロセスから発生する改質排ガス及びボイラ排ガス中の煤塵を除去するだけでは環境汚染を防止することができないため改質排ガス及びボイラ排ガス中のNOx、SOx、Hg等を除去することが望まれている。
【0012】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、石炭改質プロセスから発生する改質排ガスと乾留油をボイラで燃焼して発生したボイラ排ガス中のNOx、SOx、Hgを除去することができる排ガス処理装置及び処理方法、石炭改質プロセス設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の請求項1に係る排ガス処理装置は、低品位炭を改質する際に発生する改質排ガスまたは乾留油の何れか一方または両方をボイラで燃焼して発生したボイラ排ガスを処理する排ガス処理装置であって、前記改質排ガスまたは前記乾留油の何れか一方または両方を燃焼するボイラと、脱硝触媒で前記ボイラ排ガス中に含まれる窒素酸化物を還元する還元剤、塩化水素共存下で水銀を酸化する酸化助剤、脱硝触媒で前記ボイラ排ガス中に含まれる窒素酸化物を還元すると共に、塩化水素共存下で水銀を酸化する還元酸化助剤の何れか一つ以上を前記ボイラの煙道内に供給させる薬剤供給部と、前記ボイラ排ガス中の窒素酸化物を還元剤で還元すると共に、塩化水素共存下で水銀を酸化する脱硝触媒を有する触媒反応装置と、前記ボイラ排ガス中の硫黄酸化物と、前記触媒反応装置において酸化された水銀を吸収液を用いて吸収除去する湿式脱硫装置と、を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項2に係る排ガス処理装置は、上記請求項1において、前記湿式脱硫装置内に、活性炭を添加することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項3に係る排ガス処理装置は、上記請求項1又は2において、前記湿式脱硫装置内に、水銀の固形物を形成する添加剤を添加することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項4に係る排ガス処理装置は、上記請求項1から3の何れかにおいて、前記湿式脱硫装置内に、酸化剤を添加することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の請求項5に係る排ガス処理装置は、上記請求項1から4の何れかにおいて、前記湿式脱硫装置内に、凝集剤を添加することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の請求項6に係る排ガス処理装置は、上記請求項1から5の何れかにおいて、前記湿式脱硫装置の後流側に設けられ、前記ボイラ排ガス中に残存する水銀を除去する仕上げ水銀除去装置を有することを特徴とする。
【0019】
また、本発明の請求項7に係る排ガス処理装置は、上記請求項6において、前記仕上げ水銀除去装置が、気液接触処理手段、除塵処理手段、吸着処理手段の少なくとも一つであることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の請求項8に係る石炭改質プロセス設備は、低品位炭を乾燥する乾燥炉と、乾燥した乾燥炭を乾留する乾留炉と、請求項1から7の何れか1項に記載の排ガス処理装置と、を有することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の請求項9に係る排ガス処理方法は、低品位炭を改質する際に発生する改質排ガスまたは乾留油の何れか一方または両方をボイラで燃焼して発生したボイラ排ガスを処理する排ガス処理方法であって、前記改質排ガスまたは前記乾留油の何れか一方または両方をボイラで燃焼する燃焼工程と、脱硝触媒で前記ボイラ排ガス中に含まれる窒素酸化物を還元する還元剤、塩化水素共存下で水銀を酸化する酸化助剤、脱硝触媒で前記ボイラ排ガス中に含まれる窒素酸化物を還元すると共に、塩化水素共存下で水銀を酸化する還元酸化助剤の何れか一つ以上を前記ボイラの煙道内に供給させる薬剤供給工程と、脱硝触媒下で前記ボイラ排ガス中の窒素酸化物を還元剤で還元すると共に、塩化水素共存下で水銀を酸化する触媒反応処理工程と、前記ボイラ排ガス中の硫黄酸化物と、前記触媒反応処理工程において酸化された水銀を脱硫塔内で吸収液に吸収して除去する湿式脱硫工程と、を有することを特徴とする。
【0022】
また、本発明の請求項10に係る排ガス処理方法は、上記請求項9において、前記湿式脱硫工程で、前記脱硫塔内に活性炭を添加することを特徴とする。
【0023】
また、本発明の請求項11に係る排ガス処理方法は、上記請求項9又は10において、前記湿式脱硫工程で、前記脱硫塔内に固形物を形成する添加剤を添加することを特徴とする。
【0024】
また、本発明の請求項12に係る排ガス処理方法は、上記請求項9から11の何れかにおいて、前記湿式脱硫工程で、前記脱硫塔内に酸化剤を添加することを特徴とする。
【0025】
また、本発明の請求項13に係る排ガス処理方法は、上記請求項9から12の何れかにおいて、前記湿式脱硫工程で、前記脱硫塔内に凝集剤を添加することを特徴とする。
【0026】
また、本発明の請求項14に係る排ガス処理方法は、上記請求項9から13の何れかにおいて、前記湿式脱硫工程の後流側で、前記ボイラ排ガス中に残存する水銀を除去する仕上げ水銀除去工程を有することを特徴とする。
【0027】
また、本発明の請求項15に係る排ガス処理方法は、上記請求項14において、前記仕上げ水銀除去工程が、気液接触処理工程、除塵処理工程、吸着処理工程の少なくとも一つであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明の排ガス処理装置及び処理方法、石炭改質プロセス設備によれば、石炭改質プロセスから発生する改質排ガスと乾留油をボイラで燃焼して発生したボイラ排ガス中のNOx、SOx、Hgを除去することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、本実施例に係る排ガス処理装置を有する石炭改質プロセス設備の構成図である。
【図2】図2は、本実施例に係る排ガス処理装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明に係る排ガス処理装置を有する石炭改質プロセス設備の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に記載した内容により限定されるものではない。また、以下に記載した下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに以下に記載した下記実施例で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【実施例】
【0031】
<石炭改質プロセス設備>
本発明の実施例に係る排ガス処理装置を有する石炭改質プロセス設備について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施例に係る排ガス処理装置を有する石炭改質プロセス設備の構成を示す図である。図1に示すように石炭改質プロセス設備10は、石炭改質装置11と、排ガス処理装置30とを備えて構成されている。
【0032】
[石炭改質装置]
石炭改質装置11は、低品位炭12を乾燥させる乾燥手段である乾燥炉16と、乾燥炭13を乾留する乾留手段である乾留炉17と、乾留炭14を粉砕する粉砕手段である粉砕機18と、粉砕した乾留炭14を圧縮成型する成型手段である成型機19と、成型した改質炭15を冷却して不活性化させる冷却器20と、を備えて構成されている。
【0033】
本実施例においては、石炭改質装置11で低品位炭12を改質する際に発生する乾燥ガス16a、乾留ガス17a、乾留オフガス17bを改質排ガス27という。また、低品位炭12を改質する際に発生する乾燥ガス16a、乾留ガス17a、乾留オフガス17bの何れか一つを含む改質排ガス27と、乾燥炭13を乾留して発生する乾留油25aをボイラ28で燃焼して発生した排ガスをボイラ排ガス29という。
【0034】
低品位炭12を供給する石炭供給手段であるホッパ(不図示)は乾燥炉16の受入口に接続している。乾燥炉16の送出口は乾留炉17の受入口に接続している。乾留炉17の送出口は粉砕機18の受入口に接続している。粉砕機18の送出口は成型機19の受入口に接続している。成型機19の送出口は冷却器20に接続している。冷却器20の送出口からは製品である改質炭15が排出される。
【0035】
乾留炉17のガス排出口は、乾留によって乾燥炭13から生成するガス状の乾留油25aを乾留ガス17aから分離回収するオイルスクラバ25のガス受入口に接続すると共に、乾留用燃料供給手段である循環ブロア24のガス受入口に接続している。循環ブロア24のガス送出口は、乾留用燃焼ガス発生手段である乾留用燃焼炉22の加熱ガス供給経路に接続している。オイルスクラバ25で回収した乾留油25aは、乾留用燃焼炉22と乾燥用燃焼炉21と自家発電用ボイラ28に供給される。オイルスクラバ25のガス排出口はミスト状の乾留油25aを分離するミストセパレータ26に接続している。ミストセパレータ26で分離された乾留オフガス17bの一部は、乾留用燃焼炉22と乾燥用燃焼炉21に供給される。その他は、自家発電用ボイラ28に供給される。自家発電用ボイラ28は、蒸気タービン等を備えた自家発電装置(不図示)に接続している。
【0036】
乾燥炉16のガス排出口は、乾燥用燃料供給手段である循環ブロア23のガス受入口に接続している。循環ブロア23のガス送出口は、自家発電用ボイラ28に接続すると共に、乾燥用燃焼ガス発生手段である乾燥用燃焼炉21の加熱ガス供給経路に接続している。
【0037】
自家発電用ボイラ28で燃焼した後のボイラ排ガス29は、石炭改質プロセス設備10の排ガス処理装置30でボイラ排ガス29中のNOx、SOx、Hg等を除去されて煙突36から排出される。以下、石炭改質プロセス設備10の改質排ガス処理装置を「排ガス処理装置」ということがある。
【0038】
本実施例に係る石炭改質プロセス設備10においては、低品位炭12がホッパ内に投入されると、ホッパが低品位炭12を乾燥炉16に定量ずつ供給する。乾燥炉16に供給された低品位炭12は、乾燥用燃焼炉21からの乾燥用の加熱ガス(約150℃〜350℃)で加熱されて水分を除去されることにより、乾燥炭13となって乾留炉17に移送される。乾留炉17に移送された乾燥炭13は、乾留用燃焼炉22からの乾留用の燃焼ガス(約350℃〜550℃)で加熱されて乾留されることにより、乾留ガス17aや乾留油25a等の成分を取り除かれて乾留炭14となって粉砕機18に移送される。粉砕された乾留炭14は成型機19に移送される。成型機19に移送された乾留炭14は、圧縮成型されることにより、ブリケット状等の形状をなす改質炭15となる。成型された改質炭15は冷却器20で冷却されて不活性化処理されて製品の改質炭15となる。
【0039】
一方、乾留炉17で生成した乾留ガス17aはその一部が循環ブロア24によって乾留用燃焼炉22の加熱ガス供給経路に送給される。オイルスクラバ25で回収された乾留油25a及びミストセパレータ26で分離されたガス状の乾留油(乾留オフガス:約300℃〜350℃)17bは、その一部が乾留用燃焼炉22に送給されて燃焼されることにより、乾留用の燃焼ガス(約350℃〜550℃)となって乾留炉17に供給される。
【0040】
他方、乾留油25aの一部と乾留オフガス17bの一部は乾燥用燃焼炉21に送給されて燃焼されることにより、乾燥用の燃焼ガス(約150℃〜350℃)となって乾燥炉16に供給される。乾燥炉16で乾燥に使用された燃焼ガス(乾燥ガス16a、約90℃〜150℃)の一部は、循環ブロア23によって、乾燥用燃焼炉21らの燃焼ガスと共に乾燥炉16に再び送給されて再利用され、その他の乾燥ガス16aは自家発電用ボイラ28に供給される。
【0041】
乾留オフガス17bの一部は改質排ガス27として自家発電用ボイラ28に送給される。また乾留油25aの一部は自家発電用ボイラ28に送給される。改質排ガス27と乾留油25aは燃料として燃焼され、ボイラ排ガス29として排ガス処理装置30へ導入される。そしてNOx、SOx、Hg等を除去されて系外へ排出される。一方、自家発電用ボイラ28で発生した蒸気は、自家発電装置(不図示)へ送給され、蒸気タービンを動かすことにより、電力を発生させる。この自家発電装置で発生した電力は、石炭改質プロセス設備10における電力使用機器で使用されると共に、余剰分が売電される。
【0042】
[排ガス処理装置]
次に、本実施例に係る排ガス処理装置30の構成について説明する。図2は、本実施例に係る石炭改質プロセス設備の排ガス処理装置の概略構成図である。図2に示すように、本実施例に係る排ガス処理装置30は、石炭改質装置11から発生する改質排ガス27と、乾燥炭13を乾留して発生する乾留油25aを自家発電用ボイラ(以下、ボイラという)28で燃焼して発生したボイラ排ガス29中に含まれるNOx、SOx、Hgを除去する排ガス処理装置30である。ボイラ28から排出されるボイラ排ガス29は、触媒反応装置32、空気予熱器33、集塵器34、湿式脱硫装置35および仕上げ水銀除去装置70の各装置での工程を経て浄化された後、煙突36から屋外に排出される。
【0043】
本実施例に係る排ガス処理装置30は、薬剤供給部50と、触媒反応装置32と、空気予熱器(AH)33と、集塵器(ESP:Electrostatic Precipitator)34と、湿式脱硫装置35と、水銀低減化手段60と、仕上げ水銀除去装置70とを有するものである。なお、図2中、V1〜Vは開閉バルブを図示する。
【0044】
(薬剤供給部)
薬剤供給部50は、図示しない酸化助剤溶液供給手段と、図示しない還元剤溶液供給手段と、図示しない還元酸化助剤供給手段とを有する。酸化助剤溶液供給手段は、酸化助剤51として塩化水素(HCl)を含むHCl溶液を供給する。還元剤溶液供給手段は、還元剤52としてアンモニア(NH)を含むNH溶液を供給する。酸化還元助剤供給手段は、還元酸化助剤53として塩化アンモニウム(NH4Cl)を含むNH4Cl溶液を供給するものである。
【0045】
薬剤供給部50は、HCl溶液と、NH溶液と、NH4Cl溶液とを、それぞれ溶液タンク内で所定濃度に調整された各溶液をボイラ28の後流側で触媒反応装置32の前流側である煙道31内に供給するものである。
【0046】
本実施例においては、還元酸化助剤53とは、酸化性ガス共存下で金属水銀(Hg0)を酸化するのに用いられる酸化助剤と、還元性ガスによりNOxを還元する還元剤として機能するものをいう。本実施例では、酸化性ガスとしてHClガスが用いられ、還元性ガスとしてNH3ガスが用いられている。また、還元剤52とは、脱硝触媒でボイラ排ガス29中に含まれるNOxを還元するものをいう。また、酸化助剤51とは、脱硝触媒上においてHClガス共存下で排ガス中に含まれる金属水銀(Hg0)を酸化(Hg→Hg2+)するものをいう。
【0047】
ボイラ28から排出されるボイラ排ガス29には、図示しない酸化助剤溶液供給手段からHCl溶液が供給される。HCl溶液供給手段は、HCl溶液をボイラ排ガス29に液体状で噴霧し、ボイラ排ガス29中に含まれるHg0を酸化(Hg→Hg2+)する。
【0048】
噴霧装置のノズルヘッドから煙道31内に噴霧されたHCl溶液の液滴は、ボイラ排ガス29の高温雰囲気温度により蒸発して気化されHClガスを煙道31内に供給することができる。HClガスは下記式(1)のようにHgを酸化する。
Hg+1/2O2+2HCl → HgCl2+H2O ・・・(1)
【0049】
本実施例に係る排ガス処理装置30においては、酸化助剤51としてHClを用いているが、本実施例はこれに限定されるものではなく、酸化助剤51は気化した際に酸化性ガスを生成するものであれば用いることができる。例えば、臭化水素(HBr)、ヨウ化水素(HI)などのハロゲン化水素などを挙げることができる。また、酸化助剤51は液体として説明したが、これに限ることはなく気体(例えば、塩化水素ガス)を供給してもよい。
【0050】
また、ボイラ28から排出されるボイラ排ガス29には、図示しない還元剤溶液供給手段からNH溶液が供給される。NH溶液供給手段は、NH溶液をボイラ排ガス29に液体状で噴霧し、ボイラ排ガス29中に含まれるNOxを還元する。
【0051】
噴霧装置のノズルヘッドから煙道31内に噴霧されたNH溶液の液滴は、ボイラ排ガス29の高温雰囲気温度により蒸発して気化されNH3ガスを煙道31内に供給することができる。NH3ガスは触媒反応装置32に充填されている脱硝触媒層に充填されている脱硝触媒上で下記式(2)のようにNOxを還元脱硝する。
4NO+4NH3+O2 → 4N2+6H2O ・・・(2)
【0052】
本実施例に係る排ガス処理装置30においては、還元剤52としてNHを用いているが、本実施例はこれに限定されるものではなく、還元剤52は気化した際に還元性ガスを生成するものであれば用いることができる。例えば、尿素((NHCO)などを挙げることができる。また、還元剤52は液体として説明したが、これに限ることはなく気体(例えば、アンモニアガス)を供給してもよい。
【0053】
また、ボイラ28から排出されるボイラ排ガス29には、図示しない還元酸化助剤供給手段からNH4Cl溶液が供給される。NH4Cl溶液供給手段は、NH4Cl溶液をボイラ排ガス29に液体状で噴霧し、触媒反応装置32に充填されている脱硝触媒層に充填されている脱硝触媒上でボイラ排ガス29中に含まれるNOxを還元すると共に、Hg0を酸化する。
【0054】
噴霧装置のノズルヘッドから煙道31内に噴霧されたNH4Cl溶液の液滴は、ボイラ排ガス29の高温雰囲気温度により蒸発して気化され、微細なNH4Clの固体粒子を生成し、下記式(3)のように、HClとNH3とに分解し、昇華する。よって、噴霧装置から噴霧されたNH4Cl溶液は分解されて、HCl、NH3を生じ、NH3ガス、HClガスを煙道31内に供給することができる。
NH4Cl → NH3+HCl ・・・(3)
【0055】
また、本実施例に係る排ガス処理装置30においては、還元酸化助剤53としてNH4Clを用いているが、本実施例はこれに限定されるものではなく、還元酸化助剤53は気化した際に酸化性ガスと還元性ガスとを生成するものであれば用いることができる。NH4Cl以外の臭化アンモニウム(NH4Br)、ヨウ化アンモニウム(NH4I)などのハロゲン化アンモニウムを還元酸化助剤53として用い、水に溶解した溶液を用いてもよい。さらに、NH4Clとアンモニア水、または塩酸の混合液を用いてもよい。また、還元酸化助剤53は液体として説明したが、これに限ることはなく気体(例えば、塩化水素ガスとアンモニアガス)を供給してもよい。
【0056】
HCl溶液と、NH溶液と、NH4Cl溶液とをボイラ28の煙道31内に供給する手段は、例えば二流体ノズル等を用いるようにすればよい。なお本実施例はこれに限定されるものではなく、通常の液体噴霧用の噴射ノズルを用いてもよい。またHCl溶液、NH溶液及びNH4Cl溶液の供給量は任意に調整することができる。
【0057】
煙道31内のボイラ排ガス29の温度は、ボイラ28の燃焼条件にもよるが、例えば320℃以上420℃以下が好ましく、320℃以上380℃以下がより好ましく、350℃以上380℃以下が更に好ましい。これはこれらの温度帯において脱硝触媒上でNOxの脱硝反応と、Hgの酸化反応とを効率的に生じさせることができるためである。
【0058】
本実施例では、酸化助剤(HCl溶液)51と、還元剤(NH溶液)52と、還元酸化助剤(NH4Cl溶液)53との何れか一つ以上をボイラ28の後流側で触媒反応装置32の前流側である煙道31内に供給している。例えば、ボイラ排ガス29成分の含有量によって、NH4Cl溶液でHCl成分が足りない場合には、NH4Cl溶液とHCl溶液の二つを供給してもよいし、HN成分が足りない場合には、NH4Cl溶液とNH溶液の二つを供給してもよい。また、HCl溶液とNH溶液の二つを供給してもよい。さらにNH4Cl溶液、HCl溶液、NH溶液の三つを供給してもよい。また、還元酸化助剤(NH4Cl溶液)53の供給だけでNOx、SOx、Hgの除去が可能な場合は、還元酸化助剤(NH4Cl溶液)53一つを供給してもよい。よって、本実施例に係る排ガス処理装置は、HCl溶液、NH3溶液、NH4Cl溶液の各々の供給量は、ボイラ排ガス29中に含まれるNOx、SOx、Hgの各々の含有量を求めて、その値によって調整することができる。また図2においては、酸化助剤(HCl溶液)51と、還元剤(NH溶液)52と、還元酸化助剤(NH4Cl溶液)53とを、それぞれ供給するような構成を示しているが、これに限ることはなく、上記の3つの溶液を混合して供給するようにしてもよい。また、HCl溶液、NH3溶液、NH4Cl溶液の他に、還元酸化助剤53を溶解させた溶液、還元剤52を溶解させた溶液、酸化剤(水銀塩素化剤)51を溶解させた溶液を更に、複数混合させて供給するようにしてもよい。
【0059】
(触媒反応装置)
触媒反応装置32は、ボイラ排ガス29中のNOxをNH3ガスで還元すると共に、HClガス共存下で金属水銀(Hg0)を酸化する脱硝触媒(不図示)を有するものである。図2に示すように、ボイラ排ガス29は、例えば、NH4Cl溶液供給手段から煙道31内に噴霧されたNH4Cl溶液の液滴から生じたHClガス、NH3ガスを含んだ後、触媒反応装置32に送給される。触媒反応装置32では、NH4Clが分解して生じたNH3ガスはNOxの還元脱硝用に用いられ、HClガスはHgの酸化用に用いられ、NOx及びHgをボイラ排ガス29から除去する。
【0060】
即ち、触媒反応装置32に充填されている脱硝触媒層に充填されている脱硝触媒上でNH3ガスは、下記式(4)のようにNOxを還元脱硝し、HClガスは、下記式(5)のようにHgを酸化(塩素化)する。
4NO+4NH3+O2 → 4N2+6H2O ・・・(4)
Hg+1/2O2+2HCl → HgCl2+H2O ・・・(5)
【0061】
触媒反応装置32は、脱硝触媒層を1つ備えているが、本実施例はこれに限定されるものではなく、触媒反応装置32は、脱硝性能に応じて脱硝触媒層の数を適宜変更することができる。
【0062】
ボイラ排ガス29は、触媒反応装置32においてボイラ排ガス29中のNOxの還元とHgの酸化がされた後、ボイラ排ガス29中の熱を回収する空気予熱器33、熱回収後のボイラ排ガス29中の煤塵を除去する集塵器(ESP)34を通過して湿式脱硫装置35に送給される。
【0063】
次に、ボイラ排ガス29は、集塵器(ESP)34で除塵された後、湿式脱硫装置35に送られ、脱硫処理される。集塵器34としては、慣性力集塵機、電気集塵機、遠心力集塵機、濾過式集塵機、洗浄集塵機等が挙げられるが、特に限定されない。
【0064】
(湿式脱硫装置)
湿式脱硫装置35は、煤塵が除去された後のボイラ排ガス29中のSOxを湿式で除去するものである。湿式脱硫装置35では、ボイラ排ガス29を装置本体35内の底部の壁面側から送給し、アルカリ吸収液として用いられる石灰石膏スラリ37を吸収液送給ライン39より装置本体35内に供給し、ノズル35cより塔頂部側35bに向かって噴流させる。装置本体35内の底部側から上昇してくるボイラ排ガス29と、ノズル35cから噴流して流下する石灰石膏スラリ37とを対向して気液接触させ、ボイラ排ガス29中のHgCl、SOxは石灰石膏スラリ37中に吸収され、ボイラ排ガス29から分離、除去され、ボイラ排ガス29は浄化される。石灰石膏スラリ37により浄化されたボイラ排ガス29は、塔頂部側35bより排出され、その後浄化ボイラ排ガス29aとして煙突36から系外に排出される。
【0065】
ボイラ排ガス29の脱硫反応に用いられる石灰石膏スラリ37は、石灰石膏スラリ供給ライン39から湿式脱硫装置35の塔底部35aに供給される。石灰石膏スラリ37は、水に石灰石粉末を溶解させた石灰スラリCaCO3と、石灰とボイラ排ガス29中のSOxが反応し更に酸化させた石膏スラリCaSO4と、水とを混合させて生成される。石灰石膏スラリ37は、例えば湿式脱硫装置35の装置本体の塔底部35aに貯留した液を揚水(L)したものが用いられる。装置本体35内でボイラ排ガス29中のSOxは石灰石膏スラリ37中の石灰(CaCO3)と下記式(6)のような反応を生じる。
CaCO3+SO2+0.5H2O → CaSO3・0.5H2O+CO2 ・・・(6)
【0066】
一方、ボイラ排ガス29中のSOxを吸収した石灰石膏スラリ37は、装置本体35内に供給される水38と混合され、装置本体35の塔底部35aに供給される空気(酸化剤)62により酸化処理される。このとき、装置本体35内を流下した石灰石膏スラリ37は、水38、空気62と下記式(7)のような反応を生じる。
CaSO3・0.5H2O+0.5O2+1.5H2O → CaSO4・2H2O ・・・(7)
このようにして、ボイラ排ガス29中のSOは、湿式脱硫装置35において石膏CaSO・2HOの形で捕獲される。この際、ボイラ排ガス29中の塩化水銀(HgCl2)は水溶性であるので、石灰石膏スラリ37側に移行される。
【0067】
湿式脱硫装置35の塔底部35aに貯留される脱硫反応に用いた石灰石膏スラリ37は酸化処理された後、塔底部35aより抜き出される。抜き出された石灰石膏スラリ37は、水分分離器40に送給(L)された後、塩化水銀(HgCl)を含んだ脱水ケーキ(石膏)41として系外に排出される。水分分離器40として、例えばベルトフィルタ、遠心分離機、デカンタ型遠心沈降機などが用いられる。また、脱水したろ液(脱水ろ液、L)は、その一部45が湿式脱硫装置35に返送され、再利用される。排水処理装置42で、例えば脱水ろ液中の懸濁物、重金属の除去、特に水銀の除去が行われ系外に排出43され、その後脱水ろ液のpH調整などの排水処理が行われる。この排水処理された脱水ろ液は排水44として処理される。排水処理装置42における水銀の処理方法としては、例えば、沈殿法、イオン交換法、吸着法などを挙げることができる。沈殿法としては、例えば、重金属捕集剤としてキレート剤や高分子系などを用いる方法や、水銀と選択的に反応する「水銀キレート」を用いる方法などを挙げることができる。イオン交換法としては、例えば、イオン交換体を用いる方法などを挙げることができる。吸着法としては、例えば、活性炭吸着、キレート樹脂等を用いる方法などを挙げることができる。
【0068】
本実施例では、アルカリ吸収液として石灰石膏スラリ37を用いているが、ボイラ排ガス29中のHgClを吸収できるものであれば他の溶液をアルカリ吸収液として用いることができる。石灰石膏方式以外のアルカリ吸収液としては、例えば、水酸化ナトリウム溶液、亜硫酸ナトリウム溶液、アンモニア水、水酸化マグネシウム溶液などを例示することができる。この場合、水銀の除去を促進する方法として、例えば、重金属捕集剤としてキレート剤や高分子系を混合する方法を併用することができる。
【0069】
石灰石膏スラリ37の供給方法は、ノズル35cより塔頂部側35bに向かって噴流させる方法に限定されるものではなく、例えばノズル35cからボイラ排ガス29と対向するように流下させてもよい。
【0070】
(水銀低減化手段)
本実施例では、さらに水銀除去性能を向上させるために湿式脱硫装置35の内部に水銀低減化手段60を有する。水銀低減化手段60は、水銀除去性能を向上させるために図示しない酸化剤供給手段と、活性炭供給手段と、添加剤供給手段とを有するものである。酸化剤供給手段は、湿式脱硫装置35を循環する塔底部35aの石灰石膏スラリ37内に、酸化剤62を供給し酸化反応を促進させる。活性炭供給手段は、石灰石膏スラリ37内に活性炭63を供給し液相に含まれる溶解性水銀を吸着させる。添加剤供給手段は石灰石膏スラリ37内に添加剤64を供給し液相に含まれる溶解性水銀を水銀の難溶性塩を形成させる、又は溶解性水銀を凝集沈殿させるものである。
【0071】
水銀低減化手段60により、湿式脱硫装置35から排出されるボイラ排ガス29中に残存する水銀の除去をさらに行うようにしている。本実施例では、湿式脱硫装置35の上流側において、ボイラ排ガス29中の金属水銀を酸化させて、塩化水銀(HgCl2)として除去しているが、金属水銀は完全には酸化できないので、微量の金属水銀が残存することとなる。このように、湿式脱硫装置35で処理できない残存する0価の金属水銀Hg0を水銀低減化手段60により除去するものである。
【0072】
本実施例では、前述したように、触媒反応装置32の前流側で、例えば、塩化アンモニウム(NH4Cl)溶液を供給し、NH4Clが分解して生じたNH3ガスは、触媒反応装置32でNOxの還元脱硝用に用い、HClガスはHgの酸化用に用いてNOx及びHgをボイラ排ガス29から除去するようにしている。触媒反応装置32には脱硝触媒が充填されているので、脱硝触媒上でNH3はNOxを還元脱硝し、HClは金属Hg0を酸化して、塩化水銀(HgCl2)にして、その後湿式脱硫装置35で2価の水銀を除去する。その後残存する0価の金属水銀を水銀低減化手段60で除去することで、水銀濃度の低減化を図るようにしている。
【0073】
水銀低減化手段60としては、例えば、活性炭供給手段による活性炭処理、添加剤供給手段による硫化物系薬剤処理、キレート系薬剤処理、及び凝集沈殿処理等の物理的処理を挙げることができるが、本実施例はこれらに限定されるものではない。この水銀低減化手段によりボイラ排ガス29中に残存する金属水銀を吸着除去、及び水銀を固形化して除去(凝集沈殿も含む)することで、水銀濃度の低減化を図るようにしている。
【0074】
(活性炭供給手段)
本実施例に係る排ガス処理装置30は、湿式脱硫装置35の装置本体の底部の石灰石膏スラリ37中に図示しない活性炭供給手段より活性炭63を添加し、該活性炭63に水銀を吸着させ、水分分離器40に送給された後、塩化水銀(HgCl)を含んだ活性炭63を含む脱水ケーキ(石膏)41として系外に排出するようにしてもよい。この結果、湿式脱硫装置35における石灰石膏スラリ37側の水銀の量を低減させることができ、この液中の水銀濃度の低下に伴い、ボイラ排ガス29側へ再飛散する金属水銀の濃度も低下することになる。その結果として湿式脱硫装置35から排出されるボイラ排ガス29中の水銀濃度の低下を図ることができる。なお水銀を吸着するものとして、キレート樹脂、イオン交換樹脂なども適用することができる。水分分離器40での固液分離手段としては重力式沈殿濃縮槽、ベルトフィルタ、液体サイクロン、遠心分離等が用いられる。
【0075】
また、本実施例では、活性炭供給手段で投入された活性炭63により腐植物質も除去できるので、湿式脱硫装置35での酸化阻害を抑止するようにしている。湿式脱硫装置35内を循環する吸収液である石灰石膏スラリ37内に活性炭63を接触させる接触位置は、水38の供給ラインまたは装置本体35の塔底部35aの水槽内である。以上の投入位置の少なくとも一箇所から活性炭63を活性炭供給手段により投入する。ここで、投入位置として好適には水38の供給ラインとするのがよい。これは、石灰石膏スラリ37の共存しない条件で腐植物質と活性炭63を接触させることができ、接触効率が高くなるためである。このように、本実施例では、酸化阻害の原因となる腐植物質を活性炭63で除去し、脱硫反応の酸化阻害の発生を未然に防止するようにしている。腐植物質はフェノール性水酸基を多く含む有機性高分子物質であり還元性(=酸化阻害)を示すもので、例えばフミン酸、フルボ酸などがある。このため、この腐植物質を除去することで、酸化阻害の発生を未然に防止するものである。
【0076】
また、活性炭63は、性質の異なる2種類以上を併用することがより好ましい。これは、複数種の活性炭63を組み合わせて使用することにより、酸化した水銀の吸着除去と同時に、その他の物質、例えば腐植物質等の吸着除去も可能となるからである。
【0077】
以上、活性炭63を用いて、酸化した水銀以外に腐植物質を除去する例について説明したが、本実施例はこれに限定されるものではなく、後述する添加剤供給手段で添加剤64として凝集剤を石灰石膏スラリ37内に供給し、腐植物質やボイラ排ガス29に含まれる窒素から生成するヒドロキシルアミン化合物(NS化合物)等を除去するようにしてもよい。
【0078】
(添加剤供給手段)
本実施例に係る排ガス処理装置30は、湿式脱硫装置35の装置本体の底部の石灰石膏スラリ37中に図示しない添加剤供給手段より添加剤64を添加し、該添加剤64により水銀の固形物を形成させ、水分分離器40に送給された後、塩化水銀(HgCl)を含んだ水銀固形物を含む脱水ケーキ(石膏)41として系外に排出するようにしてもよい。この結果、湿式脱硫装置35における石灰石膏スラリ37側の水銀の量を低減させることができ、この液中の水銀濃度の低下に伴い、ボイラ排ガス29側へ再飛散する金属水銀の濃度も低下することになる。その結果として湿式脱硫装置35から排出されるボイラ排ガス29中の水銀濃度の低下を図ることができる。添加剤64としては、例えば水銀の難溶性塩を形成するキレート剤、硫化物系化合物(硫化物担持担体等)、水銀を凝集沈殿させる鉄系化合物(例えばFeCl等)を挙げることができる。凝集沈殿としては、例えば鉄系化合物の添加で生成する水酸化鉄(Fe(OH))に共沈させるものが挙げられる。また凝集剤としては、例えば鉄系の凝集剤が好適である。具体的には、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、塩化コッパラス、ポリ硫酸鉄、ポリ塩化第二鉄、鉄−シリカ無機高分子凝集剤鉄塩、マンガン塩等を挙げることができる。凝集剤の添加濃度としては、0.1mgFe/L以上100mgFe/L以下程度とするのが好ましい。
【0079】
また、本実施例では、添加剤供給手段で投入された添加剤64により腐植物質やボイラ排ガス29に含まれる窒素から生成するヒドロキシルアミン化合物(NS化合物)等も除去できるので湿式脱硫装置35での酸化阻害を抑止するようにしている。添加剤供給手段で添加剤64として凝集剤を石灰石膏スラリ37内に供給する。凝集剤としては、上記の凝集剤を好適に挙げることができる。
【0080】
(酸化剤供給手段)
本実施例に係る排ガス処理装置30は、湿式脱硫装置35の装置本体の底部の石灰石膏スラリ37中に図示しない酸化剤供給手段より酸化剤62を添加し、酸化還元電位(ORP)を調整して石灰石膏スラリ37内に捕集されている酸化されたHgが還元されるのを防止するようにしてもよい。湿式脱硫装置35の塔底部35aには、石灰石膏スラリ37の酸化還元電位を測定する酸化還元電位測定制御装置(ORPコントローラ)61が設けられている。このORPコントローラ61により石灰石膏スラリ37の酸化還元電位の値を測定する。測定された酸化還元電位の値に基づいて酸化剤供給手段で湿式脱硫装置35の塔底部35aに供給される酸化剤62の供給量を調整する。塔底部35aに供給される酸化剤62の供給量を調整することで、湿式脱硫装置35の塔底部35aに貯留する石灰石膏スラリ37内に捕集されている酸化されたHgが還元(Hg2+→Hg)されるのを防止し、煙突36より放散されるのを防止することができる。酸化剤62としては、空気、酸素O、過酸化水素H、オゾンO、塩素酸化合物(Cl、ClO)、マンガン化合物(Mn2+、Mn4+、Mn7+)、鉄化合物(Fe3+)などを挙げることができる。また、酸化剤62の代わりにHg吸収液等を投入するようにしてもよい。
【0081】
湿式脱硫装置35内の石灰石膏スラリ37の酸化還元電位は、石灰石膏スラリ37からのHgの再飛散を防止するためには、例えば0mV以上+600mV以下の範囲内にあることが好ましい。さらに好ましくは+50mV以上+300mV以下、最も好ましくは+100mV以上+200mV以下の範囲である。さらに最適には+150mV以上+200mVを下回る(未満)範囲である。これは酸化還元電位が上記範囲内であれば石灰石膏スラリ37中にHgCl2として捕集されたHgが安定な領域であり、大気中への再飛散を防ぐことができるためである。
【0082】
(仕上げ水銀除去装置)
本実施例では、さらに水銀除去性能を向上させるために湿式脱硫装置35の後流側に仕上げ水銀除去装置70を有することができる。仕上げ水銀除去装置70は、湿式脱硫装置35から排出される浄化ボイラ排ガス29a中に残存する水銀の除去をさらに行うようにしているものである。本実施例では、湿式脱硫装置35の上流側において、ボイラ排ガス29中の金属水銀を酸化させて、塩化水銀(HgCl2)として、2価の水銀Hg2+の形態に変化させて除去しているが、金属水銀は完全には酸化できないので、微量の金属水銀が残存することとなる。このように、湿式脱硫装置35で処理できない残存する0価の金属水銀Hg0を仕上げ水銀除去装置70により極低濃度まで除去するものである。
【0083】
本実施例では、前述したように、触媒反応装置32の前段側で、例えば、塩化アンモニウム(NH4Cl)溶液を供給し、NH4Clが分解して生じたNH3ガスは、触媒反応装置32でNOxの還元脱硝用に用い、HClガスはHgの酸化用に用いてNOx及びHgをボイラ排ガス29から除去するようにしている。触媒反応装置32には脱硝触媒が充填されているので、脱硝触媒上でNH3はNOxを還元脱硝し、HClは金属Hg0を水銀酸化して、塩化水銀(HgCl2)にして、その後湿式脱硫装置35で2価の水銀を除去する。その後残存する0価の金属水銀を仕上げ水銀除去装置70で除去することで、水銀濃度の低減化を図るようにしている。これにより、湿式脱硫装置35の後流側において、ボイラ排ガス29中の金属水銀を初めて除去する場合に較べて、その処理装置のコンパクト化、処理費用の低廉化を図ることができる。
【0084】
仕上げ水銀除去装置70としては、図示しない、気液接触処理手段、除塵処理手段、吸着処理手段の少なくとも一つを挙げることができる。
【0085】
気液接触処理手段としては、例えば酸化剤溶液を噴霧する図示しないスクラバー装置を挙げることができるが、本実施例はこれらに限定されるものではない。他の気液接触処理手段としては、例えば液柱塔、スプレー塔、充填塔、グリッド塔、曝気水槽等の種々の接触手段を適用することができる。気液接触処理手段の吸収液としては、酸化剤溶液、重金属捕集液などを挙げることができる。酸化剤溶液としては、過マンガン酸カリウム−硫酸混液、過硫酸アンモニウム−硫酸混液、塩素系酸化剤(NaClO、HClO)などを挙げることができる。また酸化剤(次亜塩素酸溶液、過酸化水素溶液)、キレート剤、硫黄系薬剤(S2-化合物)等を含む溶液を例示することができる。重金属捕集液としては、硫酸第一鉄と硫化ナトリウム混液(沈殿法)、重金属捕集剤、水銀キレート剤等を例示することができるが、本実施例はこれらに限定されるものではない。
【0086】
また、除塵処理手段としては、例えば図示しない、重力で粉塵を気体から分離する重力式集塵処理装置、粉塵を帯電させ逆に帯電した電極板に吸着させる乾式電気集塵処理装置(ESP)又は湿式電気集塵処理装置(WESP)、気体の流れる向きを変化させ慣性で粉塵を分離する慣性式除塵処理装置(ミストエリミネータ、サイクロン)、気体の流れる向きに衝突板等を設けて粉塵を分離する衝突式除塵処理装置(例えば充填塔等)、液体を噴霧し吸着させることにより分離する洗浄集塵装置等を挙げることができるが、本実施例はこれらに限定されるものではない。この除塵処理手段により排ガス中に残存する金属水銀を煤塵と共に除去することで、水銀濃度の低減化を図るようにしている。
【0087】
また、吸着処理手段としては、例えば図示しない、活性炭処理装置、硫化物系吸着剤処理装置、キレート系吸着剤処理装置等の物理的吸着処理を挙げることができるが、本実施例はこれらに限定されるものではない。この吸着処理手段により排ガス中に残存する金属水銀を吸着除去することで、水銀濃度の低減化を図るようにしている。
【0088】
仕上げ水銀除去装置70での水銀除去処理を行った後には、それらの排水処理や無害化処理などの最終処理を図示しない最終処理装置により行うようにしている。この最終処理装置における排水処理としては、硫化物凝集沈殿処理装置、キレート剤処理装置、キレート樹脂処理装置、イオン交換樹脂処理装置、活性炭処理装置などの公知の最終処理を行う装置を適用するようにすればよい。また、図示しない無害化処理装置としては、例えばセメント固化処理装置を挙げることができる。
【0089】
このように、ボイラ28からのボイラ排ガス29中の水銀を処理するに際して、処理装置の前流側においては、ボイラ排ガス29中の水銀を酸化し、水溶性の2価の水銀Hg2+の形態にして、湿式脱硫装置35において、ほぼ90%以上の水銀を除去し、その後、湿式脱硫装置35の後流側において、さらに仕上げ水銀除去装置70を設け、この仕上げ水銀除去装置70により、湿式硫装置35からの浄化ボイラ排ガス29a中の水銀(主に元素水銀Hg0)を除去することができる。これにより仕上げ水銀除去装置70から排出される精密浄化ボイラ排ガス29bは水銀濃度を極低濃度まで減じることが可能となる。
【0090】
前述した仕上げ水銀除去装置70における好適な組み合わせとしては、1)慣性除塵処理装置(サイクロン,ミストエリミネータ等)と排水処理との組み合わせ、2)電気集塵機と排水処理との組み合わせ、3)気液接触処理と排水処理との組合せとするのが好適である。特に、慣性除塵処理装置と排水処理との組み合わせは、電気集塵処理と排水処理のような、電気ロスが少なく、しかも圧力損失も少ないので、経済性が良好である。
【0091】
以上説明したように、本実施例に係る排ガス処置装置30は、ボイラ28の後流側の煙道31内に、酸化助剤51、還元剤52、還元酸化助剤53の何れか一つ以上を供給する薬剤供給部50と、ボイラ排ガス29中のNOxをNH3ガスで還元すると共に、HClガス共存下でHg0を酸化する触媒反応装置32と、酸化されたHg2+をアルカリ吸収液37を用いて除去する湿式脱硫装置35とを有する構成としている。このように、本実施例に係る排ガス処理装置30によれば、ボイラ28で燃焼して発生したボイラ排ガス29中に含まれる窒素酸化物(NOx)を触媒反応装置32で除去し、硫黄酸化物(SOx)と触媒反応装置32において酸化された2価のHg2+を湿式脱硫装置35で除去するようにしたことでボイラ排ガス29を処理することが可能となる。これにより、石炭改質プロセスから発生する改質排ガス27と乾留油25aをボイラで燃焼して発生したボイラ排ガス29中のNOx、SOx、Hgを除去することができる。
【0092】
さらに本実施例に係る排ガス処理装置30は、水銀低減化手段60として、水銀除去性能を向上させるために湿式脱硫装置35を循環する塔底部35aの石灰石膏スラリ37内に、酸化反応を促進させる酸化剤供給手段と、液相に含まれる溶解性水銀を吸着する活性炭供給手段と、液相に含まれる溶解性水銀を水銀の難溶性塩を形成させる、又は溶解性水銀を凝集沈殿させる添加剤供給手段とを有する構成としている。このように、本実施例に係る排ガス処理装置30によれば、湿式脱硫装置35に活性炭63、添加剤64、酸化剤62を供給することで石灰石膏スラリ37側の水銀を極低濃度まで除去することができ、湿式脱硫装置35から排出される浄化ボイラ排ガス29a中の水銀濃度を低減化することができる。
【0093】
さらに本実施例に係る排ガス処理装置30は、水銀除去性能を向上させるために湿式脱硫装置35の後流側に仕上げ水銀除去装置70を有する構成としている。仕上げ水銀除去装置70は、浄化ボイラ排ガス29aと吸収液を気液接触させる気液接触処理手段と、浄化ボイラ排ガス29a中から粉塵を分離する除塵処理手段と、浄化ボイラ排ガス29a中の水銀を物理的吸着処理する吸着処理手段との少なくとも一つを有する構成としている。このように、本実施例に係る排ガス処理装置30によれば、仕上げ水銀除去装置70の気液接触処理手段、除塵処理手段、吸着処理手段の少なくとも一つにより浄化ボイラ排ガス29a中の水銀を極低濃度まで除去することができ、仕上げ水銀除去装置70から排出される精密浄化ボイラ排ガス29b中の水銀濃度を低減化することができる。
【符号の説明】
【0094】
10 石炭改質プロセス設備
11 石炭改質装置
12 低品位炭
13 乾燥炭
14 乾留炭
15 改質炭
16 乾燥炉
16a 乾燥ガス
17 乾留炉
17a 乾留ガス
17b 乾留オフガス(ガス状の乾留油)
18 粉砕機
19 成型機
20 冷却器
21 燃焼炉(乾燥用燃焼炉)
22 燃焼炉(乾留用燃焼炉)
23、24 循環ブロア
25 オイルスクラバ
25a 乾留油(CDL)
26 ミストセパレータ
27 改質排ガス
28 自家発電用ボイラ
29 ボイラ排ガス
29a 浄化ボイラ排ガス
29b 精密浄化ボイラ排ガス
30 排ガス処理装置
31 煙道
32 触媒反応装置
33 空気予熱器(エアヒータ:AH)
34 集塵器
35 湿式脱硫装置
35a 塔底部
35b 塔頂部側
35c ノズル
36 煙突
38 水(供給水)
37 石灰石膏スラリ(アルカリ吸収液)
39 石膏石灰スラリ供給ライン
40 水分分離器
41 脱水ケーキ(石膏)
42 排水処理装置
50 薬剤供給部
51 酸化助剤溶液供給手段(酸化助剤:塩化水素(HCl)溶液)
52 還元剤溶液供給手段(還元剤:アンモニア(NH)溶液)
53 還元酸化助剤供給手段(塩化アンモニウム(NH4Cl)溶液)
60 水銀低減化手段
61 酸化還元電位測定制御装置(ORPコントローラ)
62 酸化剤(酸化剤供給手段)
63 活性炭(活性炭供給手段)
64 添加剤(添加剤供給手段)
70 仕上げ水銀除去装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低品位炭を改質する際に発生する改質排ガスまたは乾留油の何れか一方または両方をボイラで燃焼して発生したボイラ排ガスを処理する排ガス処理装置であって、
前記改質排ガスまたは前記乾留油の何れか一方または両方を燃焼するボイラと、
脱硝触媒で前記ボイラ排ガス中に含まれる窒素酸化物を還元する還元剤、塩化水素共存下で水銀を酸化する酸化助剤、脱硝触媒で前記ボイラ排ガス中に含まれる窒素酸化物を還元すると共に、塩化水素共存下で水銀を酸化する還元酸化助剤の何れか一つ以上を前記ボイラの煙道内に供給させる薬剤供給部と、
前記ボイラ排ガス中の窒素酸化物を還元剤で還元すると共に、塩化水素共存下で水銀を酸化する脱硝触媒を有する触媒反応装置と、
前記ボイラ排ガス中の硫黄酸化物と、前記触媒反応装置において酸化された水銀を吸収液を用いて吸収除去する湿式脱硫装置と、
を有することを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項2】
前記湿式脱硫装置内に、活性炭を添加することを特徴とする請求項1に記載の排ガス処理装置。
【請求項3】
前記湿式脱硫装置内に、水銀の固形物を形成する添加剤を添加することを特徴とする請求項1または2に記載の排ガス処理装置。
【請求項4】
前記湿式脱硫装置内に、酸化剤を添加することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の排ガス処理装置。
【請求項5】
前記湿式脱硫装置内に、凝集剤を添加することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の排ガス処理装置。
【請求項6】
前記湿式脱硫装置の後流側に設けられ、前記ボイラ排ガス中に残存する水銀を除去する仕上げ水銀除去装置を有することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の排ガス処理装置。
【請求項7】
前記仕上げ水銀除去装置が、気液接触処理手段、除塵処理手段、吸着処理手段の少なくとも一つであることを特徴とする請求項6に記載の排ガス処理装置。
【請求項8】
低品位炭を乾燥する乾燥炉と、
乾燥した前記乾燥炭を乾留する乾留炉と、
請求項1から7の何れか1項に記載の排ガス処理装置と、
を有することを特徴とする石炭改質プロセス設備。
【請求項9】
低品位炭を改質する際に発生する改質排ガスまたは乾留油の何れか一方または両方をボイラで燃焼して発生したボイラ排ガスを処理する排ガス処理方法であって、
前記改質排ガスまたは前記乾留油の何れか一方または両方をボイラで燃焼する燃焼工程と、
脱硝触媒で前記ボイラ排ガス中に含まれる窒素酸化物を還元する還元剤、塩化水素共存下で水銀を酸化する酸化助剤、脱硝触媒で前記ボイラ排ガス中に含まれる窒素酸化物を還元すると共に、塩化水素共存下で水銀を酸化する還元酸化助剤の何れか一つ以上を前記ボイラの煙道内に供給させる薬剤供給工程と、
脱硝触媒下で前記ボイラ排ガス中の窒素酸化物を還元剤で還元すると共に、塩化水素共存下で水銀を酸化する触媒反応処理工程と、
前記ボイラ排ガス中の硫黄酸化物と、前記触媒反応処理工程において酸化された水銀を脱硫塔内で吸収液に吸収して除去する湿式脱硫工程と、
を有することを特徴とする排ガス処理方法。
【請求項10】
前記湿式脱硫工程で、前記脱硫塔内に活性炭を添加することを特徴とする請求項9に記載の排ガス処理方法。
【請求項11】
前記湿式脱硫工程で、前記脱硫塔内に固形物を形成する添加剤を添加することを特徴とする請求項9または10に記載の排ガス処理方法。
【請求項12】
前記湿式脱硫工程で、前記脱硫塔内に酸化剤を添加することを特徴とする請求項9から11の何れか1項に記載の排ガス処理方法。
【請求項13】
前記湿式脱硫工程で、前記脱硫塔内に凝集剤を添加することを特徴とする請求項9から12の何れか1項に記載の排ガス処理方法。
【請求項14】
前記湿式脱硫工程の後流側で、前記ボイラ排ガス中に残存する水銀を除去する仕上げ水銀除去工程を有することを特徴とする請求項9から13の何れか1項に記載の排ガス処理方法。
【請求項15】
前記仕上げ水銀除去工程が、気液接触処理工程、除塵処理工程、吸着処理工程の少なくとも一つであることを特徴とする請求項14に記載の排ガス処理方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−206016(P2012−206016A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73640(P2011−73640)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】