説明

排気放出削減用のハイブリッド触媒システム

【課題】フォールト検出方法と燃料噴射システムの診断方法と動力発生システムと燃料改質システムを提供する。
【解決手段】温度は、好ましくは、燃料の酸化又は部分的な酸化反応の触媒作用を行う装置内又はこの下流の温度であり、この装置は、例えば酸化触媒や燃料改質装置12である。予期された関係は、触媒装置を含むシステムの熱モデルを用いて定められていてもよい。さらに、フローメーターを用いることなく、スプレーの質のフォールトを検出したり、燃料噴射のフォールトを検出することに用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気の後処理用に、排気ラインに燃料を噴射するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンから放出されるNOXエミッションは、環境問題として公知である。そこで、米国を含む、複数の国では、長い間、トラックや他のディーゼル駆動自動車から放出されるNOXエミッションを制限するように規制中である。そして、製造者や研究者達は、これら規制を満足させるためにかなりの努力を行っている。
【0003】
理論燃料・空気混合気を用いるガソリン駆動自動車では、三元触媒を用いてNOXエミッションを制御できることが解っている。しかしながら、圧縮点火を用いるディーゼル駆動自動車では、三元触媒を効果的に用いるには、一般に排気は酸素過多である。
【0004】
そこで、ディーゼル駆動自動車から放出されるNOXエミッションを制御するために、様々な解決策が提案されている。あるアプローチの仕方では、エンジンに焦点を合わせている。排気ガスを循環させて、燃料・空気混合気を部分的に均質化させる技術が有用であるが、この技術だけでは、NOXエミッションをなくすことができない。そこで、他のアプローチの仕方では、自動車の排気からNOXを除くようにしている。これには、希薄燃焼NOX触媒、選択還元触媒(SCR:Selective Catalytic Reduction)及び希薄NOXトラップ(LNT:Lean NOX Trap)を用いることが含まれる。
【0005】
希薄燃焼NOX触媒は、酸素が豊富な状況下で、NOXの還元を促進する。但し、酸化雰囲気中でのNOXの還元は困難である。また、所望の作用、持続性、及び作動温度範囲を有する希薄燃焼NOX触媒を見つけることは困難なことが知られている。また、希薄燃焼NOX触媒は、熱水的に不安定な傾向がある。また、比較的にわずかな使用の後、作用の喪失を顕著に生じさせることがある。典型的に、希薄燃焼NOX触媒は、沸石ウォッシュコートを用いるが、これは、還元微環境(reducing microenvironment)を提供すると考えられている。また、ディーゼル燃料のような還元剤(reductant)を排気中に導入することは一般に必要とされており、3%又はこれ以上の燃料経済のペナルティーを招いている。現在、希薄燃焼NOX触媒を用いた、ピークのNOXの変換効率は、許容できない程小さなものである。
【0006】
SCRは、一般に、アンモニアを用いたNOXの選択還元触媒に関する。この反応は、酸化環境中でも生じる。NOXは、吸着物内に一時的に蓄えられることができ、又は、アンモニアを排気内に連続して供給することができる。SCRは、NOXの還元を高いレベルで達成することができるが、アンモニアや適当な先駆物を分配するための基盤が足りないことが課題とされている。また、環境中にアンモニアを放つ可能性があることについても懸念されている。
【0007】
LNTは、再生中にNOXを還元する触媒とNOX吸着物を備えた装置である。この吸着物は、典型的に、アルカリ土類酸素吸着物、例えばBaCO3であり、触媒は、典型的に、貴金属、例えばPtやRuである。希薄廃棄中で、触媒は、NOX吸着を導く酸化反応を急がせる。堆積したNOXは取り除かれて、LNTは再生されるが、これは、LNT内で還元環境(reducing environment)を生じさせることで行われる。還元環境中で、触媒は、吸着したNOXを還元し、脱着させるように反応する。
【0008】
LNTは、再生中にアンモニアを生じさせることができる。従って、従来、LNTとアンモニアSCR触媒を一つのシステム内に組み合わせることが提案されている。再生中にLNTによって生じるアンモニアは、SCR触媒によって捕まえられて、続くNOXの還元に利用されるので、燃料ペナルティーや貴金属の利用を増大させることなく、単体(スタンドアローン)のLNTと比べて変換効率を向上させる。特許文献1には、このようなシステムについて開示されている。また、特許文献2には、双方の構成要素を単一のシェル内に含ませたり、一つの基部上に分配させるシステムについて開示されている。さらに、特許文献3には、LNTとSCR触媒の上流側に直列につなげた改質装置を含むシステムについて開示されている。
【0009】
LNT再生用に還元環境を生じさせることには、排気から酸素のほとんどを取り除き、還元剤を提供することが含まれる。エンジンが理論的(化学量論的)又はリッチに駆動できる場合を除いて、還元剤の一部は排気内で反応して、酸素を消費する。還元剤を用いた反応によって取り除かれる酸素の量は、様々な方法で還元することができる。エンジンにインテークエアスロットルが備えられる場合、スロットルを用いてもよい。また、変速機のギア比を変えて、エンジンを変速させて、同じパワーを生じさせるが、より酸素を含まない作動点にさせてもよい。しかしながら、少なくともディーゼルエンジンの場合には、排気内に噴射される還元剤を用いて、排気内の酸素の幾らかを、燃焼させたり改質反応によってなくすことが一般に必要とされる。
【0010】
還元剤は、エンジンや、別体の燃料噴射装置を用いて排気内に噴射されてもよい。例えば、エンジンは、排気を放出するのに先立って、一つ又は複数のシリンダ内の排気中にさらなる燃料を噴射してもよい。あるいは、又はこれに加えて、エンジンの下流側の排気内に還元剤を噴射してもよい。後者のアプローチには、エンジンの構成や操作に変更を加えることなく、既存のエンジンに後処理システムを加えることができるという長所がある。
【0011】
還元剤と酸素の間の反応は、LNT内で行われることができる。LNTの上流側の触媒内でこの反応を生じさせることが一般に望ましいとされているが、反応熱が、再生中にLNT内で大きな温度上昇を引き起こさないためである。
【0012】
さらに、特許文献4には、LNTの上流側の排気ライン内に燃料改質装置を配置した排気処理システムについて開示されている。この改質装置は、酸化及び改質触媒の双方を含んでいる。改質装置の双方は、過度の酸素を取り除き、ディーゼル燃料の還元剤をよく反応する改質油に変換させている。また、脱硫酸のため、改質装置によって生じた熱を用いて、LNTを脱硫酸温度まで上昇させている。ディーゼル燃料の噴射は、改質装置の温度を制御するためにパルス化してもよい。
【特許文献1】米国特許第6,732,507号
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0076565号
【特許文献3】国際公開番号第2004/090296号
【特許文献4】米国特許出願公開第2003/0101713号
【0013】
これら利点にかかわらず、従来、耐性があり、操作コスト(燃料ペナルティーを含む)が順当で、さらに、2010年に予定されている米国環境保護庁(EPA)の規制や他の規制に合うように、ディーゼルエンジンから排出されるNOXエミッションを満足できる程度にまで還元させるように実施できる、手ごろでかつ信頼性のある排気処理システムが求められている。これら目的を達成するため、上述したコンセプトと合わせて、車に搭載される診断システムを用いてもよい。特に、LNT再生用に、燃料改質装置に燃料を供給するために排気ライン燃料噴射器が用いられる場合、燃料噴射器が多くの問題又はフォールトを生じさせることが起こり得るため、燃料噴射器用に診断システムを用いることが望ましい場合がある。また、弁がつまったり、ノズルが磨耗したり、パイプが破損する場合も起こり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明は、上記従来技術に鑑みて、フォールト検出方法と燃料噴射システムの診断方法と動力発生システムと燃料改質システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のコンセプトの一つは、排気ラインの燃料噴射システム内でのフォールト検出方法に関する。この方法は、排気システム内の温度と、フォールトを検出するための指示された燃料噴射割合や量との間の関係を用いる。この温度は、好ましくは、酸化触媒や燃料改質装置として、燃料の酸化や部分的な酸化反応の触媒作用をする、排気システム装置内の又はこの下流の温度である。予期された関係は、フォールトを検出するために、実際の関係と比較される。この予期された関係は、触媒装置を含むシステムの熱モデルを用いて定められていてもよい。一方、実際の関係は、観察値を含む。この観察値は、測定温度でもよい。あるいは、プロセス制御によって温度が基本的に固定される場合には、この観察値は、燃料弁の設定や、同様物や、燃料のフローレートでもよい。そして、予期された関係と実施の関係との間の不一致が特定の基準と合う時に、フォールトが生じたと示唆される。この方法は、流量計(フローメーター)を用いることなく、燃料噴射器のフォールトを検出するのに使うことができる。
【0016】
本発明の他のコンセプトは、燃料改質装置、排気燃料噴射システム、温度測定装置、及び電子制御器を含む燃料改質システムに関する。制御器は、燃料改質装置を含むシステムの熱モデルを用いることで、燃料噴射システムの状態を診断するように構成されている。このシステムは、燃料の流量計に基づくことなく、燃料噴射システム内のフォールトを診断するために用いることができる。また、このシステムは、スプレーの質のフォールトを検出するために用いることができる。
【0017】
以上の要約は、以下に詳述される詳細の説明の理解を容易にするために、簡略化された形で本発明のコンセプトの幾つかを示すことを主要な目的としている。この要約は、“発明”として考えることができる、本発明のコンセプトの各々の全てについて、又は本発明のコンセプトの組合せの全てについて詳述したものではない。本発明の他のコンセプトは、添付した図と合わせて、以下の詳細な説明から、当該技術分野における当業者ならば理解できるであろう。また、本明細書で開示される説明は、一般化されたり、より狭められたりされることがあり、さらには、添付した特許請求の範囲において発明者によって請求された重要な事項と様々に組合わされていてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
排気ライン燃料噴射システムに対して、本発明の様々なコンセプトを適用することができる。排気ライン燃料噴射システムは、内燃機関からの排気に対して燃料を供給する。燃料は、排気後処理装置を加熱するため、及び/又は、排気後処理装置の再生用に還元環境を生じさせるために、排気に供給されてもよい。加熱を必要とすることがある装置の例として、希薄NOX触媒、LNT及びDPFがある。還元環境は、例えば、LNTを再生するために生じることがある。典型的な燃料は炭化水素であるが、例えば、ガソリンやディーゼル燃料である。
【0019】
排気ライン燃料噴射システムは、典型的に、ポンプ、弁及びノズルを含む。ポンプは、エンジンに燃料を供給するポンプでもよい。弁は、開口の度合いや、開口に要する時間の割合によって、ノズルを通って供給される燃料を制御することができる。ノズルは、典型的にオリフィスを有し、燃料と排気との混合を促進させるようにスプレーを生じさせる。また、排気ライン内で燃料と排気との混合を促進するために、そらせ板(バッフル)や他の装置を用いることは可能である。
【0020】
排気ライン内では、燃料は、酸素、蒸気及び二酸化炭素等の、酸素を含む排気ガス成分と反応する。この反応は、一般に、触媒を含む装置内で行われる。この装置は、適当な触媒を含む任意の装置でもよいが、例えば、燃料改質装置、酸化触媒、又はLNTでもよい。
【0021】
本発明は、特に自動車の分野に適するが、これには、乗用車やトラック等が含まれる。自動車の分野では、耐性と信頼性について特定の要求がある。
【0022】
図1を参照すると、燃料噴射システムの診断装置30について概略的に例示されている。管理制御システム42によって時間と量が決定されて、投与制御システム41によって実行されることで、燃料が、燃料噴射器11を介して、燃料改質装置12に投与される。この燃料は、燃料改質装置12内で、排気内の酸素を含む成分と反応するので、酸素を消費し、改質油を生じさせて、熱を放熱したり、吸熱する。センサ20を用いて温度を検出するが、この温度は、例示した実施形態では、改質装置の排気の温度である。検出された温度は、残留評価サブシステム44内で改質装置モデル43からの推定と比較される。この比較は、燃料噴射器11や関連する燃料噴射システムの構成要素のフォールトを検出するために用いられる。
【0023】
図1のシステムは改質装置モデル43に関して示されているが、本発明は様々に実施することができ、例えば、燃料の割合や量と、温度との間の予期された関係を含ませてもよい。可能なアプローチには、例えば、モデルに加えてテーブルやエキスパートシステムが含まれる。モデルは、例えば、確率学習モデル(learning probabilistic model)や保存式(conservation equations)に基づくモデルでもよい。好ましいモデルは、熱モデル(サーマルモデル)を含むが、これは、エネルギー保存式に部分的に基づくモデルである。熱モデルは、0、1、2又は3次元でもよいが、本出願の発明者は、0次元のランプパラメーター(lumped parameter)モデルが満足できることを見つけている。
【0024】
一般に、ランプパラメータモデルは、モデルシステム内への熱伝達に関する項と、モデルシステム外への熱伝達に関する項と、触媒装置によって利用される熱に関する項と、化学反応によって生じる熱に関する項を少なくとも含む。周囲への熱損失も考慮することができるが、これは、一般に小さな効果を有する。
【0025】
改質装置12内への熱伝達の割合は、排気の比熱、排気の温度及び排気のマスフローレートから求められる。排気のマスフローレートは、インテークのエアフローレートの測定と、エンジン燃料のフローレートの測定から、あるいは、単にエンジン制御器(ECU)から利用可能なデータから、測定したり、推定することができる。改質装置12に流入する排気の温度は、エンジンの作動点から測定したり、決定することができる。
【0026】
改質装置12から出る熱伝達の割合は、改質装置12を離れる排気の温度に基づく。この温度は、測定可能である。改質装置12の温度が測定される際、改質装置の排気ガスの温度は、改質装置の温度と大凡等しい。
【0027】
燃料改質装置12内の化学反応は、次の3つの反応の組合せとしてモデル化することができる。
(式1)0.684CH1.85+O2→0.684CO2+0.632H2
(式2)0.316CH1.85+0.316H2O→0.316CO+0.608H2
(式3)0.316CO+0.316H2O→0.316CO2+0.316H2
上式において、CH1.85は例示的な還元剤を表し、例えば、ディーゼル燃料であって、炭素と水素の間に1.85の割合を有する。式(1)は、発熱を伴う完全燃焼に関し、これによって酸素が消費される。式(2)は、吸熱を伴う蒸気改質に関し、これによって改質油が生じる。式(3)は、水性ガスシフト反応に関する。
【0028】
式(1)は、温度、燃料が過剰の場合に利用可能な酸素、酸素が過剰の場合に利用可能な燃料に基づいた割合と度合いで進行すると考えることができるが、式(2)から独立する。利用可能な酸素は、少なくとも改質装置12内への酸素のフローレートに基づく。改質装置12がかなりの酸素を蓄える容量を有する場合、酸素の吸着と脱着の割合に関する用語を含むことが望ましい場合がある。また、改質装置12内に流入する排気の酸素の濃度は、ECUから利用可能なデータを用いて、測定したり推定することができる。
【0029】
改質装置12内で利用可能な燃料は、燃料の供給割合に基づく。さらに、本出願の発明者は、改質装置12内の燃料の吸着と脱着の割合がかなりの場合があり得ることを見つけている。従って、好ましくは、モデルが、改質装置12内に堆積した燃料を追跡して、燃料の吸着と脱着の割合を推定して、改質装置12内で化学反応のために利用可能な燃料を決定する。
【0030】
改質装置12内にかなりの温度勾配が一般に存在する場合、本出願の発明者は、改質装置12に一つの平均温度を用いて、本発明の目的を達成することができることを見つけている。
【0031】
式(2)は、式(1)の効果の後で、温度と利用可能な燃料に基づく割合と度合いで処理されると考えることができる。式(3)は、第3番目のものであり、熱モデルに対し最も小さな影響を与えると考えることができる。反応の運動、吸着の割合、及び脱着の割合は、リアクターの構成と成分に基づき、最良には特定のシステム用に経験的に決定される。
【0032】
モデル予測は、感知された値と比較することができるが、この感知された値は、例えば、感知された温度でもよい。感知された温度は、例えば、改質装置12の排気、改質装置12又は改質装置12の通路内にある排気の温度でもよい。この温度は、改質装置12の任意の位置でもよいが、好ましくは、ランプパラメータモデルが用いられる時には、改質装置12の中心付近の位置である。測定された温度は、モデル予測との直接的な比較のために用いることができる。あるいは、測定された温度は、異なる位置や時間での温度を推定するために用いられてもよく、これは次に、改質装置の排気温度が改質装置の温度の推定に用いられる時や、測定された温度が温度測定を受取る際の時間遅れを修正する時に比較用に用いられてもよい。
【0033】
一例を挙げると、熱モデルに用いられる、指示された燃料の割合は、予期された温度を提供し、これは、指示された燃料の割合から実際に起因する測定された温度と比較される。この比較は、時間上の一点としてなされてもよく、又は、時間の広がりを含むようになされてもよい。例えば、t−Δtからtまでの期間における予期された温度と実際の温度の間の差の2乗の積分として、時間tでの食い違い(discrepancy)を示すことができる。食い違いの大きさが所定の量を超える場合(選択的に、関連する要因に基づく)、燃料噴射システムにフォールトがあると示唆される。
【0034】
他の例では、このモデルは、観察された、又は知られている温度を提供できるように、燃料の噴射割合を決定するために用いられてもよい。プロセス制御によって基本的に固定される場合、温度は知られていると考えられる場合がある。観察された又は知られた温度を与えると予期できる燃料噴射割合を見つけるために、モデルを用いることができる。予期された燃料噴射割合は、次に実際の燃料噴射割合と比較されて、フォールトが生じているか否かを決定することができる。
【0035】
例えば、予期された値を実際の差と比較する際、単なる差、絶対差、2乗の差、又は上述されたもののうちの任意の積分を用いてもよい。これら差のうちで任意のものが閾値と比較されて、フォールトが生じているか否かについて決定する。この閾値は、固定されていてもよく、又は、例えば、触媒装置の温度のような要因に基づいていてもよい。適当な閾値は、燃料噴射システムが適切に機能している時であっても、生じる差の大きさを決定するために、測定された値に対するモデルの予想を比較することで選ぶことができる。閾値は、通常の差より上の適当な値で設定される。
【0036】
予期された値と実際の値の間の数値差よりはむしろ、予期された測定と実際の測定からフォールトを評価するために用いられる比較が、他の形態、例えば、ロジックや確率(プロバビリティ)を用いてもよい。例えば、エキスパートシステムや、学習確率モデルを用いることは可能である。学習確率モデルは、多数のトレーニングの例の適用を含み、これには、次の全て、即ち、予期された値、測定された値、フォールトの存在や不在が知られている。このような例を用いて、フォールトが存在する確率を、特別なフォールトの閾値を特定することなく、推定することができる。確率が所定の値を超える場合、フォールトを示唆することができる。
【0037】
フォールトの応答の例は、例えば、メモリー内にフォールトのコードを記録したり、示唆用のランプを用いてフォールトを示したり、及び/又は、燃料噴射システムに調整を加えることを含むことができる。調整の例として、予期された関係と実際の関係との間の差が、燃料噴射器に部分的な詰まりが生じたことを示唆し、投与制御システム41に、燃料噴射器をより大きな度合いで開口させることで、これを補償させることが指示されてもよい。
【0038】
図1に示した例では、触媒装置は、燃料改質装置12である。尚、本出願の発明者のコンセプトは、噴射された燃料の反応が行われる他の触媒装置においても、同様に適用することが可能である。このような装置の例として、酸化触媒、三元触媒、希薄NOXトラップ、及びディーゼル粒子フィルタを含むことができる。また、燃料の反応は、連続して又は並行して接続された複数の装置内でも生じることがある。
【0039】
排気燃料噴射システム内のフォールトの検出は、様々に用いることができる。フォールトの検出は、単に、公害制御全体を改善して、向上することができる。初期のフォールトの検出は、構成要素に対して損傷が加えられることを防ぐことができる。例えば、燃料が予定されたものよりも少なく噴射される時、燃料改質装置は、予定されたものよりも多く加熱することがあり、このため、この装置又は下流の位置の構成要素に対して損傷が加えられることがあり得る。本発明のシステムの特段の長所の一つとして、そうでなければ必要とすることになる、燃料フローメーターのようなさらなる構成要素の必要性を省くことができる構成要素だけを用いて、燃料噴射システムのフォールトを検出することができる。尚、燃料フローメーターの追加は、費用を増大させるだけでなく、これ自身もフォールトを生じさせる可能性がある。
【0040】
本発明のコンセプトは、スプレーの質のフォールトの検出にも用いることができる。例えば、スプレーの質のフォールトのため、改質装置の燃料噴射された上流が通常よりも小さな割合で霧化された場合、所定の時間の期間内で、改質装置12内で利用可能となる燃料がより少なくなることがあり得る。このような場合、スプレーが適切に霧化される時と同じ割合で依然として発熱反応(1)が行われることがあるが、これは、反応(1)が主に利用可能な酸素によって制限され、提供される燃料は、化学量論の割合より上で噴射されるためである。他方、吸熱反応(2)は、より小さな割合で行われる。ネット効果はより大きく改質装置12を加熱し、改質油の生成はより小さくなる。改質装置12内の燃料の吸収がより大きな量となり、改質装置12の上流での燃料の飛沫同伴がより大きくなるため、燃料噴射が停止された後でも、過度の熱の生成が続けられることがあり得る。これら効果は、フローメーターによっては検出されないが、本発明のコンセプトを用いることで、検出することができる。
【0041】
図2を参照すると、本発明の様々なコンセプトを実行できる、動力発生システム5について概略的に例示している。このシステム5には、エンジン9、変速機8、及び排気後処理システム7が含まれている。また、排気後処理システム7には、制御器10、燃料噴射器11、希薄NOX触媒15、改質装置12、希薄NOXトラップ(LNT)13、アンモニア−SCR触媒14、ディーゼル粒子フィルタ(DPF)16、及びクリーンアップ触媒17が含まれている。制御器10は、幾つかの源からデータを受信する。この源には、温度センサ20、21とNOXセンサ22、23が含まれる。制御器10は、エンジン制御器(ECU)でもよく、これはまた、変速機8と排気後処理システム7を制御してもよく、また、これら機能を集中的に行う幾つかの制御器を含んでいてもよい。
【0042】
変速機8は、任意のタイプのものでもよい。しかしながら、幾つかの実施形態では、変速機8は、幅広い範囲のトルクの乗数の多数から選択することができ、エンジン9が所望の駆動力に合う作動点の範囲を利用可能とするタイプのものである。例えば、変速機8は、連続的に可変な変速機(CVT)でもよい。
【0043】
希薄NOX触媒15は、還元剤を用いて、エンジン排気からNOXの一部を取り除くが、この還元剤は、典型的に炭化水素であって、排気の一部をなすか、希薄NOX触媒15によって蓄えられたものである。DPF16は、排気から粒子を取り除く。希薄操作(希薄相)中、LNT13は、NOXの第二の部位を吸着する。アンモニア−SCR触媒14は、LNT13の前の再生(リッチ相)からアンモニアを蓄えていてもよい。アンモニア−SCR触媒14がアンモニアを蓄えている場合、これは、希薄排気からNOXの第三の部位を取り除く。クリーンアップ触媒17は、COと排気内に残されている未燃焼の炭化水素を酸化するように機能してもよい。
【0044】
経時的に、LNT13は、堆積したNOXを取り除くために(脱硝)、再生されなくてはならない。脱硝は、改質装置12を作動温度まで加熱して、燃料噴射器11を用いて燃料を噴射することを含むことがある。改質装置12は、噴射された燃料を用いて、改質油の生成中、排気から酸素のほとんどを消費する。従って、改質油は、LNT13内で吸着された還元NOXを生成する。このNOXの幾らかはNH3に還元され、このほとんどは、アンモニア−SCR触媒14によって捕まえられて、続く希薄相中に、NOXを還元するために用いられる。クリーンアップ触媒17は、リッチ相中に排気内に残された残留酸素か、蓄えられた酸素を用いて、未使用の還元剤と吸着されていないNH3を酸化する。再生中、希薄NOX触媒15は、後の使用のために、還元剤を蓄えてもよい。
【0045】
またLNT13は、経時的に、堆積した硫黄の成分を取り除くために(脱硫:desulfated)、再生されなくてはならない。脱硫には、改質装置12を作動温度まで加熱して、LNT13を脱硫用の温度まで加熱して、加熱されたLNT13に還元環境を提供することを含んでいてもよい。改質装置用の作動温度は、改質装置の構成に基づく。脱硫用の温度は変化することがあるが、典型的に、約500から約800℃の範囲内にあり、より典型的には、約650から約750℃の範囲内にある。最小温度以下では、脱硫は非常に遅くなる。また、最大温度以上では、LNT13が損傷を受けるおそれがある。
【0046】
希薄NOX触媒15は、HC−SCR触媒、CO−SCR触媒、又はH2−SCR触媒でもよい。例えば、HC−SCR触媒は、難溶性酸化物(refractory oxide)上に搭載された、又は沸石に交換された、遷移金属を含んでいてもよい。遷移金属の例として、銅、クロミウム、鉄、コバルト、ニッケル、カドミウム、銀、金、イリジウム、プラチナ及びマンガン、さらにこれらの混合物が含まれる。難溶性酸化物の例として、アルミナ、ジルコニア、シリカ−アルミナ及びチタニアが含まれる。利用可能な沸石には、ZSM−5、Y沸石、モルデン沸石及びフェレライト(Ferrerite)が含まれる。好ましい沸石は、5よりも大きなSi:Alの比を有し、選択的に、20よりも大きな比を有する。HC−SCR触媒に基づく沸石の具体例として、Cu−ZSM−5、Fe−ZSM−5、及びCo−ZSM−5が含まれる。CeO2コーティングによって、これら触媒の水とSO2の不活性を減らすことができる。Cu−ZSM−5は、約300から約450℃の温度範囲内で効果的である。触媒に基づく難溶性酸化物の具体例として、アルミナがサポートされた銀が含まれる。効果的な温度の窓を広げるために、2つ又は複数の触媒を組み合わせることは可能である。
【0047】
炭化水素を蓄える機能が望まれる場合、沸石が効果的である。米国特許第6,202,407号明細書には、炭化水素を蓄える機能を有するHC−SCR触媒について開示されている。この触媒は、両性の金属酸化物である。この金属酸化物は、酸と塩基の双方にと反応できるという意味で、両性である。具体例として、ガンマ−アルミナ、Ga23及びZrO2が含まれる。選択的に、貴金属を用いてもよい。貴金属が用いられる場合、Pt、Pd又はRhの替わりに、より安価な貴金属、例えば、Cu、Ni又はSnを用いることができる。
【0048】
本明細書では、用語「炭化水素」には、基本的に水素と炭素原子を含む全ての種類が含まれるが、HC−SCR触媒は、全ての炭化水素分子に対して活性を示す必要がない。例えば、幾つかのHC−SCR触媒は、短鎖の炭化水素を用いるのにより適していてもよく、またHC−SCR触媒は、一般に、CH4に対して実質的な活性を示すことを予期されていない。
【0049】
CO−SCR触媒の例として、難溶性酸化物のサポート上の貴金属が含まれる。具体例として、CeO2−ZrO2サポートとCu及び/又はFe ZrO2サポート上のRhが含まれる。
【0050】
また、H2−SCR触媒の例には、難溶性酸化物のサポート上の貴金属が含まれる。具体例として、LaMnO3、CeO2及びMnO2の混合上でサポートされたPt、ZiO2及びTiO2の混合上でサポートされたPt、MgO上でサポートされたRu、及びAl23上でサポートされたRuが含まれる。
【0051】
希薄NOX触媒15は、図1に示した位置とは異なる場所に配置することができる。実施例の一つでは、希薄NOX触媒15を燃料噴射器11の上流に配置する。他の実施例では、希薄NOX触媒を改質装置12の下流に配置して、希薄NOX触媒15が還元剤のような改質装置生成物を使用できるようにしてもよい。さらなる実施例では、希薄NOX触媒15をLNT13の十分に下流に配置して、LNT13の脱硫(desulfating)に関する高温度から、希薄NOX触媒15を保護できるようにしてもよい。
【0052】
燃料改質装置は、燃料を完全に燃焼させなくとも、重い燃料をより軽い成分に転換させる装置である。燃料改質装置は、触媒改質装置やプラズマ改質装置でもよい。好ましくは、改質装置12は、部分的に酸化する触媒改質装置である。部分的に酸化する触媒改質装置は、改質装置触媒を含む。改質装置触媒の例として、貴金属、例えば、Pt、Pd又はRuと、Al、Mg及びNiの酸化物を含み、後者のグループは、典型的に、一つ又は複数のCaO、K2Oと、Ceのような貴土類金属の組合せであって、活性を高める。改質装置は、好ましくは、500℃以下の温度で主に機能するように構成された三元触媒や酸化触媒と比べて、大きさが小さい。部分的に酸化する触媒改質装置は、一般に、約600から約1100℃の温度で作用する。
【0053】
NOX吸着−触媒13は、任意の適当なNOX吸着材料を含むことができる。NOX吸着材料の例として、Mg、Ca、Sr及びBeのようなアルカリ土塁金属や、K又はCeのようなアルカリ金属の酸化物、炭酸塩及び水酸化物が含まれる。NOX吸着材料のさらなる例として、沸石、アルミナ、シリカ、及び活性炭のような分子篩(モレキュラーシーブ)が含まれる。また、さらなる例として、金属リン酸塩、例えば、チタニウムとジルコニウムのリン酸塩がある。一般に、NOX吸着材料は、アルカリ土塁酸化物である。吸着剤は、典型的に、バインダーと組合わされて、セルフサポート構造に形成されるか、又は、不活性の基質上にコーティングされるように加えられる。
【0054】
また、LNT13は、還元環境内でNOXの還元用の触媒を含む。この触媒は、例えば、一つ又は複数の貴金属、例えば、Au、Ag及びCu、グループVIIIの金属、例えば、Pt、Pd、Ru、Ni及びCo、Cr、Mo又はKでもよい。典型的な触媒はPtとRhを含むが、N2上でNH3を生成するために、Rhを減らしたり、除くことが望ましい場合がある。また、貴金属の触媒は、アルカリ土類酸化物の吸着剤の吸着機能を助ける。
【0055】
本発明に従う吸着剤と触媒は一般に、自動車の排気システムに用いられるのに適する。自動車の排気システムは、重量、寸法及び耐久性に基づく制限がある。例えば、自動車の排気システム用のNOX吸着ベッドは、自動車の操作中に生じる振動下で、デグラデーションに対し十分な耐性を有する必要がある。
【0056】
吸着ベッド又は触媒ブリックは、任意の適当な構造を有することができる。適当な構造の例として、モノリス、パック層、レイヤ状のスクリーニング等でもよい。パック層は、好ましくは、粒子を焼結したり、バインダーを用いて付着させるように、結合集団に形成される。層が吸着機能を有する場合、好ましくは、任意の厚い壁、大きな粒子、又は厚いコーティングは、マクロの有孔性の構造を有し、吸着作用が生じる所のマイクロな孔に対するアクセスを容易にする。マクロの有孔性の構造は、互いに焼結されたり、バインダーを用いて互いに結ばれた吸着装置の小さな粒子から、壁、粒子、又はコーティングを形成することで得ることができる。
【0057】
アンモニア−SCR触媒14は、希薄排気内でNOXをN2に還元させるように、NOXとNH3との間で触媒反応を行える触媒である。SCR触媒の例として、Cu、Zn、V、Cr、Al、Ti、Mn、Co、Fe、Ni、Pd、Pt、Rh、Rd、Mo、W、及びCeのような金属の酸化物、沸石、例えば、ZSM−5又はZSM−11であり、Cu、Co、Ag、Zn、又はPtのカチオンのような金属イオンと置換されたもの、及び活性炭を含む。好ましくは、アンモニア−SCR触媒14は、LNT13を脱硫するのに必要な温度に対して耐性があるように構成される。
【0058】
粒子フィルタ16は、任意の適当な構造を有することができる。適当な構造の例として、モノリシックの壁のフローフィルタであって、典型的にセラミックから形成され、特に、菫青石やSiC、セラミックフォーム(ceramic foams)のブロック、有孔性の焼結された金属や金属フォームの一体状構造、セラミックや金属ファイバーのような耐温性ファイバーの巻き付けられたり、織り込まれたり、又は組込まれた構造から形成されていてもよい。フィルターエレメント用の典型的な孔の大きさは、約10μmか、これよりも小さい。選択的に、改質装置12、LNT13、希薄NOX触媒15又はアンモニア−SCR触媒14の一つ又は複数を、DPF16の構造内に、又はコーティングとして、一体にしていてもよい。
【0059】
DPF16は、堆積したすすを取り除くため、再生される。DPF16は、連続的に又は間欠的に再生されるタイプでもよい。間欠的に再生される場合、DPF16は、例えば改質装置12を用いて、加熱される。DPF16は、堆積されたすすがO2と燃焼する温度まで、加熱される。この温度は、適当な触媒を備えたDPF16を提供することによって、低めることができる。DPF16が加熱された後、酸素が豊富な環境内ですすが燃焼される。
【0060】
連続的に再生される場合、DPF16は、NO2とO2の双方によってすすの燃焼を促進する触媒を備えていてもよい。NO2とO2の双方によってすすの酸化を促進する触媒の例として、Ce、Zr、La、Y及びNdの酸化物が含まれる。間欠的に再生することの必要性を完全に省くため、NOをNO2に酸化することを促進する酸化触媒をさらに加えることで、すすが堆積するとすぐに燃焼できるように十分なNO2を提供できることを必要としてもよい。再生が連続的な場合、DPF16は、改質装置12の上流側に置かれるのに適する。また、DPF16が連続的に再生されない場合、一般的に、改質装置12の下流側に図示するように置かれる。図2に示すように配置することの長所として、DPF16は、改質装置12とLNT13の間の温度を和らげることができる。
【0061】
クリーンアップ触媒17は、好ましくは、エンジン9、未使用の還元剤からの未燃焼の炭化水素、NOX吸着−触媒13から解放され、アンモニア−SCR触媒15によって酸化されていないH2Sを酸化するように機能する。任意の適当な酸化触媒を用いることができる。典型的な酸化触媒は貴金属、例えば、プラチナである。リッチな状況下でもクリーンアップ触媒17を機能可能にするため、セリアのような酸素を蓄えることができる構成要素を触媒に備えていてもよい。H2Sの除去が求められる場合、NiO、Fe23、MnO2、CoO、及びCrO2のようなさらなる構成要素を一つ又は複数用いてもよい。
【0062】
以上、本発明は、添付した特許請求の範囲に記載されているように、幾つかのコンセプト、構成要素、及び特徴に関して、図示及び/又は説明がされている。本明細書では、特定の構成要素や特徴についての説明が、複数のコンセプトや例の一つだけに関して、広い又は狭い用語の双方についてなされた所があるが、これら広い又は狭い意味での構成要素や特徴は、これら広い又は狭い意味での一つ又は他の構成要素や特徴と組合わされていてもよく、但し、この組合せは、当該技術分野における当業者によって理論的であると認められるように行われるものとする。また、この一つの説明は、一つ以上の発明について記載されており、添付した特許請求の範囲の請求項は、ここで記載した全てのコンセプト、要点、実施形態、又は具体例に限られる必要はないことを理解されたい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、動力発生システムから放出されるエミッションの制御に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明のコンセプトの一つに従う燃料噴射システムのフォールト検出システムについて概略的に示した図である。
【図2】本発明の様々なコンセプトを用いることができる排気処理システムについて概略的に例示した図である。
【符号の説明】
【0065】
5 動力発生システム
7 排気後処理システム
8 変速機
9 エンジン
10 制御器
11 燃料噴射器
12 燃料改質装置
13 希薄NOXトラップ(LNT)
14 アンモニア−SCR触媒
15 希薄NOX触媒
16 ディーゼル粒子フィルタ(DPF)
17 クリーンアップ触媒
20、21 センサ(温度センサ、温度測定装置)
22、23 センサ(NOXセンサ)
30 燃料噴射システムの診断装置
41 投与制御システム
42 管理制御システム
43 改質装置モデル
44 残留評価サブシステム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォールト検出方法であって、
燃料噴射器(11)を有する燃料噴射システムを用いて、排気ライン内に燃料を噴射して、燃料を排気と混合させ、
燃料の酸化又は部分的な酸化反応の触媒作用を行う装置(12)内に、燃料と排気の混合を通し、
前記装置の内部又はこの下流側で、前記装置の温度を検出して、
前記検出した温度を用いて、前記燃料噴射システムのフォールトを検出する、各ステップを有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記検出された温度を用いて前記燃料噴射システムのフォールトを検出する際、前記装置(12)を含むシステムの熱モデルを適用することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記熱モデルは、前記燃料の反応熱に関する項と、前記装置(12)の熱容量に関する項と、前記排気によって伝えられる熱伝達に関する項を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記フォールト検出方法は、前記燃料噴射システムに向う、中を通る、又は流出する燃料のフローレートを直接的に測定しないことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記装置(12)は、燃料改質装置であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記燃料改質装置(12)の下流側に希薄NOXトラップ(13)を設けることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記排気ラインは、ディーゼルエンジン(9)の排気ラインであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
燃料噴射システムの診断方法であって、
燃料改質装置(12)に対して、燃料噴射システムを通って燃料を供給し、
前記燃料改質装置(12)又は改質装置の排気流の温度を測定し、
前記測定された温度に関するデータを解析して、前記燃料噴射システムがフォールトを生じているか否か決定し、
前記フォールトが検出された場合、このフォールトをメモリー内に記録するか、このフォールトの信号を出す、各ステップを有することを特徴とする方法。
【請求項9】
前記温度測定に関するデータを解析して、前記燃料噴射システムがフォールトを生じているか否か決定する際、前記燃料改質装置(12)を含むシステムの熱モデルを適用することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記熱モデルは、前記燃料の反応によって放出された熱に関する項と、前記燃料改質装置(12)の熱容量に関する項と、前記排気によって伝えられる熱伝達に関する項を含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記データ解析は、前記温度測定をモデル予測と比較することを含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記モデル予測は、指示された燃料供給割合に基づくことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記解析は、スプレーの質のフォールトを検出するのに適用されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項14】
動力発生システムであって、請求項8に記載の方法を実行するように構成されたことを特徴とする動力発生システム。
【請求項15】
前記動力発生システムは、燃料噴射システムを通る燃料のフローレートを測定するように構成されたフローメーターを用いないことを特徴とする請求項14に記載の動力発生システム。
【請求項16】
燃料噴射システムの診断方法であって、
燃料改質装置(12)に対して、燃料噴射システムを通って燃料を供給し、
指示された燃料噴射割合と温度の間の予期された関係を、指示された燃料噴射割合と温度の間の実際の関係に対して比較することで、燃料噴射のフォールトについてチェックする、各ステップを有することを特徴とする方法。
【請求項17】
前記予期された関係は、モデルに基づく関係であることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記モデルは、前記燃料の反応によって放出される、又はこれによって使われる熱に関する項と、前記燃料改質装置(12)の熱容量に関する項と、前記排気によって伝えられる熱伝達に関する項を含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
燃料改質システムであって、
燃料改質装置(12)と、
前記燃料改質装置に対して燃料を供給するように構成された燃料噴射システムと、
前記改質装置の温度を示す測定を得られるように構成された温度測定装置(20)と、
電子制御器(10)と、を有し、
前記電子制御器(10)は、前記燃料改質装置(12)を含むシステムの熱モデルを用いて、前記燃料噴射システムの状態を診断するように構成されたことを特徴とするシステム。
【請求項20】
さらに、前記燃料改質装置(12)の下流側に希薄NOXトラップ(13)を設けたことを特徴とする請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記システムは、前記燃料噴射システムを通る燃料のフローレートを測定するためのメーターを用いないことを特徴とする請求項19に記載のシステム。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−278280(P2007−278280A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−65006(P2007−65006)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(390033020)イートン コーポレーション (290)
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
【Fターム(参考)】