説明

接合方法およびその利用

【課題】対向する一対の接合部材の間に被狭持部品を挟み込み、該接合部材と被狭持部品との間の高い密閉性を有して該一対の接合部材同士を強固に接合する方法を提供すること。
【解決手段】本発明により提供される方法では、対向する側に形成された対向面部12,22と該対向面部から突出した突出部14,24とを備える一対の接合部材10,20を用意し、対向面部12,22の間に被狭持部品30の少なくとも一部が挟み込まれ突出部14,24が互いに対向するように前記接合部材10,20を配置する。次に、該配置した接合部材10,20を相互に接近させ、被狭持部品30と対向面部12,22との間に所定の隙間が生じている状態で突出部14,24の少なくとも先端部分同士を接合する。その後、前記接合部材10,20に圧力を加えて、前記隙間が無くなる状態まで前記接合部分を塑性変形させて圧縮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対向する一対の接合部材を相互に接合する方法、詳しくは、対向する接合部材間に別の部品もしくは部材を挟んだ状態で該一対の接合部材同士を接合する方法、およびその利用に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池その他の二次電池は、車両搭載用電源、あるいはパソコンおよび携帯端末の電源として重要性が高まっている。特に、軽量で高エネルギー密度が得られるリチウムイオン電池は、車両搭載用高出力電源として好ましく利用できるものとして期待されている。
【0003】
リチウムイオン電池等の電池構造において、該電池の端子取出し部、すなわち電池ケース内に収容されている電極体から接続端子を介してケースの外部に電気を取り出す部分では、上記ケースの外側に付設される外部接続端子と、上記ケースの内側に付設されて上記電極体と電気的に接続される内部接続端子とが典型的には溶接により接合されている。かかる内外の接続端子同士は、高い接合強度で相互に接合していることが好ましい。
また、上記両端子間には、蓋体本体やガスケット等の典型的には薄板状の蓋体本体に取り付けられて蓋体を構成する部品(蓋体構成部品)が挟み込まれて(狭持されて)いる。このように挟み込まれた蓋体本体および/または蓋体構成部品(すなわち、被狭持部品)と、上記接続端子(すなわち、接合部材)とは高い気密性を有して相互に密接(接合)していることが好ましい。
【0004】
ところで、上記二つの部材を相互に接合する方法として、例えば特許文献1に開示される方法が挙げられる。特許文献1に記載の方法は、鉛蓄電池のセル間を接合する方法であって、隔壁を挟んで一対の極板同士を接合する際に、各極板が備える接続体同士を、上記隔壁の両側から近接する方向に加圧し、上記隔壁が備える貫通孔の内周面に設けられた環状接合体に嵌入させ、該接続体の先端部分同士を塑性変形させることにより接合する方法である。その他、二つの部材を接合する方法の例として、特許文献2および3に記載の方法が挙げられる。
【特許文献1】特開昭63−81764号公報
【特許文献2】特開昭62−244594号公報
【特許文献3】特開平6−142920号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載される方法によると、上記接続体の先端部分が加圧(抵抗溶接またはかしめ)により塑性変形して上記環状接合体に入り込み、上記貫通孔内で上記接続体と環状接合体が一体接合されることにより、上記貫通孔が密閉される。したがって、上記一対の極板は、上記貫通孔(すなわち上記一体接合された部分)の密閉性を高く維持した状態で接合され得る。しかし、この方法では、上記接続体と環状接合体とを一体接合させた際に、塑性変形した該接続体が上記貫通孔内に完全に充填されることによって上記貫通孔内部を完全に閉塞しなければ、上記接合部の密閉性は維持できない。一方、このような接合工程においては、各部材の寸法公差、接続体同士の接合位置のずれ(幾何公差)、接合時における接続体の沈み込み量の誤差、接合条件のわずかな相違(誤差)等が原因となって、上記貫通孔内を完全に閉塞できない場合も起こり得る。したがって、特許文献1に記載の方法では、上記接合部の高い密閉性を確実に保つことは難しい。
また、特許文献2および3に記載の方法によっても、接合強度と接合部の密閉性とを高いレベルで両立させつつ、二つの部材をそれらの間に別の部材を挟んだ状態で接合させることは難しい。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、対向する一対の接合部材の間に被狭持部品を挟み込み、該接合部材と被狭持部品との間の高い密閉性を有して該一対の接合部材同士を強固に接合する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を実現するべく、本発明によって、対向する一対の接合部材の間に、該接合部材とは異なる被狭持部品を挟み込み、該接合部材同士を接合する方法が提供される。この方法は、以下の(1)〜(4)を包含する。すなわち、(1)上記一対の接合部材として、上記対向する側に形成された対向面部と該対向面部から突出した突出部とを備える一対の接合部材を用意すること、(2)上記突出部同士が互いに対向するように上記一対の接合部材を配置すること、ここで該一対の接合部材の上記対向面部の間に上記被狭持部品の少なくとも一部が挟み込まれるように該一対の接合部材を配置する、(3)上記配置した一対の接合部材を相互に接近させ、上記突出部の少なくとも先端部分同士を接合すること、ここで上記被狭持部品と上記対向面部との間に所定の隙間が生じている状態で上記接合を行う、および(4)上記一対の接合部材の少なくとも一方に上記挟み込む方向に圧力を加えて、上記隙間が無くなる状態まで上記接合部分を塑性変形させて圧縮すること、を包含する。
本発明に係る接合方法では、上記対向する一対の接合部材における上記突出部の少なくとも先端部分同士を接合する際には、上記被狭持部品と上記対向面部との間に所定の隙間が生じている状態で上記接合を行う。このことにより、上記一対の接合部材は被狭持部品と干渉することなく、十分に高い接合強度で確実に接合することができる。また、かかる接合の後に、上記隙間が無くなる状態まで(好ましくは、上記接合部材と被狭持部品とが密着するまで)上記接合部分を塑性変形させて圧縮する。このことにより、上記接合部材は被狭持部品を強く挟み込み、接合部材と被狭持部品との間の密閉性を確保することができる。したがって、本発明に係る接合方法によると、上記接合部材同士の接合強度、ならびに該接合部材と被狭持部品との間の密閉性を高いレベルで両立させることができる。
また、上記効果に加えて、上記接合部分を塑性変形させることにより、上記接合部分の沈み込み量の程度や位置ずれ等、接合時に生じ得る接合部分の寸法のばらつきが吸収されるので、位置合わせ等の厳密な接合条件の設定を必要とせずに容易に接合することもできる。
【0008】
ここに開示される接合方法の好ましい一態様では、上記加圧により上記接合部分を圧縮し、上記一対の接合部材の各対向面部と上記被狭持部品とを密着させることを特徴とする。
かかる態様によると、上記被狭持部品の厚み(上記被狭持部品を挟み込む方向に沿う長さ)に寸法公差が生じていても、上記各対向面部と上記被狭持部品とが確実に密着するまで上記接合部分が圧縮される。このため、上記接合部材と被狭持部品との間の密閉性がより一層高いレベルで確保されるので好ましい。
【0009】
ここに開示される接合方法の別の好ましい一態様では、上記突出部の先端部には、さらに突出した接合突部が形成されており、対向する該接合突部の先端面同士を接合することを特徴とする。
かかる態様によると、上記対向する接合突部の先端面同士を接合することにより、その接合面の面積が(上記突出部自体の先端面の面積よりも)小さくなり得るため、上記接合突部同士の接合部分を圧縮して塑性変形させる際に、より小さい圧力で行うことができる。
【0010】
ここに開示される接合方法の別の好ましい一態様では、上記被狭持部品には、挿通孔が形成されており、該挿通孔の両側から内部に向けて上記対向する突出部同士を挿入し、該突出部の少なくとも先端部分同士を上記挿通孔の内部で接合することを特徴とする。
かかる態様によると、上記被狭持部品が挿通孔を備えた構成であることから、該挿通孔に上記各突出部を挿入して該突出部同士を接合し、その接合部分を圧縮すれば、上記被狭持部品の上記対向面部との接触(好ましくは密着)面は、その挿通孔の周辺全体にわたり均等に加圧される。このように上記接触面の位置によって力が偏ることなく均等に加えられるので、上記被狭持部品は安定した状態で上記接合部材に好ましく挟み込まれ得る。
【0011】
ここに開示される接合方法の別の好ましい一態様では、上記被狭持部品は、複数の部品が積層されて構成されていることを特徴とする。かかる態様によると、上記被狭持部品が、複数の部品(例えばリング状の厚みの薄い部材)が積層されて所定の厚みを有する部品群から構成されていても、該部品群と干渉することなく上記一対の接合部材同士を高い接合強度で確実に接合することができるとともに、上記一対の接合部材で上記被狭持部品(群)を挟み込んで上記接合部材の対向面部と該被狭持部品の間の密閉性を高く確保することができる。
【0012】
本発明に係る接合方法の好適な適用対象の一つとして、電極体を収容する開口部を備えたケースと該開口部を閉塞する蓋体とを備える密閉型電池が挙げられる。本発明は、かかる密閉型電池において、該電極体と電気的に接続した状態で該ケース内部に配置される内部接続端子と、該内部接続端子と対向して該ケース外部に配置される外部接続端子とを接合する方法として好ましく適用される。したがって、本発明は、密閉型電池の内外接続端子の接合方法を提供する。
すなわち、本発明に係る内外接続端子の接合方法は、電極体を収容する開口部を備えたケースと、該開口部を閉塞する蓋体とを備える密閉型電池において、該電極体と電気的に接続した状態で該ケース内部に配置される内部接続端子と、該内部接続端子と対向して該ケース外部に配置される外部接続端子とを接合する方法である。この方法は、以下の(1)〜(4)を包含する。すなわち、(1)上記内外一対の接続端子として、上記対向する側に形成された対向面部と該対向面部から突出した突出部とをそれぞれ備える内外一対の接続端子を用意すること、(2)上記突出部同士が互いに対向するように上記内部接続端子と外部接続端子とを配置すること、ここで該内外一対の接続端子の前記対向面部の間に前記蓋体を構成する部品の一部が挟み込まれるように該内外一対の接続端子を配置する、(3)上記配置した一対の接続端子を相互に接近させ、上記突出部の少なくとも先端部分同士を接合すること、ここで上記蓋体構成部品と前記対向面部との間に所定の隙間が生じている状態で前記接合を行う、および(4)上記内外一対の接続端子の少なくとも一方に上記挟み込む方向に圧力を加えて、上記隙間が無くなる状態まで上記接合部分を塑性変形させて圧縮すること、を包含する。
かかる方法によると、上記開口部を間に介してケース内外で対向配置された二つの接続端子の(突出部における)接触面同士を、上記蓋体および被狭持部品(例えば絶縁性部品、シール部品等)を挟み込んだ状態で接合(例えば溶接)し、次いで、さらに上記接続端子を加圧して上記接合部分を圧縮する方向に塑性変形させることにより、上記端子取出し部における密閉性を高いレベルで確保しつつ、接続端子同士を確実に接合することができる。また、それらを強固に接合することができる。また、接合部分を圧縮して塑性変形させることにより、接合時に生じ得る接合部分の寸法のばらつきを吸収することができるとともに、上記接続端子に挟まれる被狭持部品の厚みに依らず、長期に亘り高い密閉性と高い接合強度を両立させることができる。
【0013】
本発明は、他の側面として、本発明に係る接合方法により蓋体を介してケース内外に配置される二つの接続端子が接合された端子取出し部を備えた密閉型電池を提供する。かかる端子取出し部を備える密閉型電池は、蓋体と接続端子との間の高い密閉性と、ケース内外の接続端子同士の高い接合強度とを両立した好ましい密閉型電池となり得る。
【0014】
また、ここに開示される密閉型電池は、高い密閉性と高い接合強度とを両立した端子取出し部を備えていることから、車両に搭載される電池として好適に利用され得る。したがって、本発明によると、かかる密閉型電池を備える車両(例えば自動車)が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0016】
図1A〜図1Cを参照にしながら、本発明に係る接合方法の好ましい一実施態様、および本実施態様を好ましく適用し得る対象(構造)の一形態について説明する。図1Aは、対向する接合部材10,20が接合する前の状態を模式的に示す断面図である。図1Bは、対向する接合部材10,20が接合した状態を模式的に示す断面図である。図1Cは、被狭持部品30を挟み込む方向に接合部材10,20が加圧されて接合部分Aが圧縮された状態を模式的に示す断面図である。なお、図1A〜図1Cにおいて、被狭持部品30については断面表示していない。
ここに開示される接合方法は、対向する二つの接合部材の間に被狭持部品を挟み込んだ状態でこれら接合部材同士を接合する方法である。かかる接合方法は、例えば以下の構成を備える接合部材および被狭持部品に対して好ましく適用することができる。
【0017】
すなわち、図1Aに示されるように、かかる接合方法の適用対象として好ましい接合部材10は、他方の接合部材20と対向する側に形成された対向面部12と、該対向面部12から他方の接合部材20に向けて(典型的には対向面部12と直交する方向に)突出した突出部14とを備える。他方の接合部材20についても、一方の接合部材10と対向する側に形成された対向面部22と、該対向面部22から一方の接合部材10に向けて突出した突出部24とを備える。また、いずれの突出部14,24もその先端部に、さらに突出した接合突部15,25が形成されていることが好ましい。このことにより、二つの接合部材10,20が対向配置されると、上記接合突部15,25の各先端面15a,25a同士が対向配置される。ここで、接合部材10および20とは、互いに対向面部12,22、突出部14,24、および接合突部15,25をそれぞれ備えていればよく、互いの全体形状は同じであっても、異なっていてもよい。
なお、図1Aに示されるように、本実施形態では、接合部材10を上方、接合部材20を下方に配置するとともに、後述の被狭持部品30を構成する各部品の積層される面が水平になるように該被狭持部品30を配置することにより、該被狭持部品30を挟み込む方向が上下(垂直)方向に沿うような構成となっている。しかし、本発明はかかる配置に限定されるものではなく、接合部材10,20が相互に対向し、両者の間に被狭持部品30が挟み込まれるような配置であれば問題はない。例えば、本実施形態(図1A)の配置から90°回転させて、上記接合部材10,20を左右に並べて対向配置し、被狭持部品30を挟み込む方向が左右(水平)方向に沿うような配置であってもよい。
【0018】
対向面部12,22は、互いの平面形状が一致している必要はない。一対の接合部材10,20は、被狭持部品30を挟み込むために該被狭持部品30の上端面32および下端面36と接する部分を該対向面部12,22として、かかる一対の接合部材10,20同士の対向面のうち少なくとも一部に備えていればよい。
突出部14,24については、被狭持部品30における後述の挿通孔34内に挿入できる大きさであればよく、互いの全体形状が一致している必要はないが、かかる突出部14,24が互いに対向する側の面形状については、接合後の接合部材10,20を互いにバランス良く均等に加圧するために、類似した形状で同程度の面積であることが好ましい。
接合突部15,25については、後述のように、その互いに対向する先端面15a,25aの接触面同士が接合され、さらには当該接合部分Aが圧縮される方向に塑性変形されることを考慮すれば、上記先端面15a,25aの面形状およびその面積は同じであることが好ましい。また、接合突部15,25の全体形状については、同一または類似の形状(典型的には同一形状)であることが好ましい。また、圧縮方向に塑性変形し易いように、かかる接合突部15,25は、上記突出部14,24に比べて全体的に細く形成されていることが好ましい。圧縮方向に塑性変形し易い接合突部15,25の形状の好適例としては、例えば円錐台形状(すなわち断面視台形)の形状であって、突出部14,24側の基端部から先端部に向かって細くなる突出形状が挙げられる。
【0019】
接合部材10,20の好ましい構成材料としては、接合突部15,25同士を接合(典型的には溶接)し易く、且つ圧縮方向に塑性変形し易い金属または合金材料が好ましい。このような金属としては、例えばアルミニウム(Al)またはその合金材料、銅(Cu)またはその合金材料、もしくは鉄(Fe)またはその合金材料等が挙げられる。接合のし易さから、接合部材10,20は、同組成の材料から形成されることが好ましいが、異なる組成材料から形成されていてもよい。接合部材10,20のうち、互いに接合する接合突部15,25のみを同組成の材料から形成してもよい。
接合部材10,20の成形方法については特に限定されず、従来公知の金属加工(例えば鋳造、機械加工、プレス加工、または溶接等)を実施することにより成形することができる。
【0020】
ここに開示される接合方法の適用対象として好ましい被狭持部品30は、上記接合部材10,20に挟み込まれた際に上記対向面部12と接する上端面32と、該挟み込まれた際に上記対向面部22と接する下端面36と、上記接合部材10,20により挟み込まれる方向(すなわち、上記突出部14,24の突出する方向)に被狭持部品30を貫通するように形成された挿通孔34であって上記突出部14,24を被狭持部品30の上下各端面32,36側から内部に向けて挿通させるための挿通孔34とを備える。
挿通孔34は、該挿通孔34に挿通される上記突出部14,24の外周側面に対応した形状であることが好ましく、例えば突出部14,24が円柱形状(横横断面視円形状)であれば、挿通孔34は丸孔であることが好ましく、突出部14,24が角柱形状(横断面視方形状)であれば、挿通孔24は角孔であることが好ましい。また、上記突出部14,24を挿入可能な程度の大きさの孔径であることが好ましい。
被狭持部品30は、一つの部品から構成されてもよく、また図1A〜図1Cに示されるように、複数の部品(典型的には板状の部品)が積層されてなる部材群から構成されてもよい。例えば図1A〜図1Cにおいては、三種類の部品31,33および35が積層された部品群として被狭持部品30を構成している。被狭持部品30がかかる部品群からなる場合には、接合部材10,20と接し得る上下各端面32,36は、上記部品群の最上層と最下層にそれぞれ配置(積層)された部品における接合部材10,20と接し得る端面となり得る。すなわち、図1A〜図1Cにおいては、上端面32は最上層の部品31の上端面であり、下端面36は最下層の部品35の下端面である。
被狭持部品30の材質は、接合部材10,20の接合部分Aに加えられる圧力よりも圧縮強度が大きく、上記対向面部12,22と被狭持部品30が密着しても該被狭持部品30が過度な変形や損傷を生じない程度の強度を有する材料が好ましい。また、被狭持部品30が上記のように複数の部品群から構成されている場合には、異なる材質の部品同士を重ねた構成、例えば金属製の部品(例えば部品33)の両側をゴムや樹脂製の絶縁性部品(例えば部品31および35)で挟む構成でもよい。また、上記部品群を構成する個々の部品の大きさや平面形状は、すべて一致している必要はなく、いずれの部品も、上記接合部材10,20の対向面部12,22に挟まれる面領域の面積が十分に確保され得る大きさや形状であればよい。
【0021】
次に、上記一対の接合部材10,20の間に上記被狭持部品30を挟み込み、該接合部材同士10,20を接合する方法について、図1A〜図1Cを参照しつつ説明する。
まず、図1Aに示されるように、上記一対の接合部材10,20を用意して、突出部14,24(および対向面部12,22)同士が互いに対向するように上記接合部材10,20を配置する。ここで、該接合部材10,20の向かい合う対向面部12,22の間に被狭持部品30が挟み込まれるように該一対の接合部材を配置する。このとき、被狭持部品30に形成された挿通孔34の両端から内部に向けて上記突出部14,24をそれぞれ挿入しておく。
【0022】
次に、図1Bに示されるように、上記対向配置された一対の接合部材10,20を相互に接近させ、上記突出部14,24のそれぞれの先端部に形成された接合突部15,25の先端面15a,25a同士を(上記挿通孔34の内部で)接触(当接)させる。そして、この接触(当接)面を接合する。
上記一対の接合部材10,20を上記接触面にて接合する方法としては、被狭持部品30に損傷を与えたり、接合部分Aと被狭持部品30とが電気的および/または物理的に接続したりすることがなく、上記挿通孔34の内部で実施可能な方法であることが好ましい。このような方法としては、圧接(大きな機械的圧力を加えて行う溶接)が好ましく、より好ましくは常温圧接(例えば、摩擦圧接(摩擦溶接)、超音波圧接等)や、抵抗溶接(例えば、アプセット溶接やフラッシュ溶接等の突合せ抵抗溶接)が挙げられる。また、拡散接合や摩擦攪拌接合等の固相接合(接合時の母材の加圧、非加圧を問わない)でもよい。
ここで、上記先端面15a,25a同士の接触面を所定の接合方法により接合したとき、上記被狭持部品30の上端面32と上記対向面部12との間および/または上記被狭持部品の下端面36と上記対向面部22との間に、所定間隔Lの隙間38が生じた状態であることが好ましい。この間隔Lは、上記上端面32と対向面部12との間隔と上記下端面36と対向面部22との間隔の合計であればよい。なお、図1Bでは、被狭持部品30の下端面36と接合部材20の対向面部22とが接しており、被狭持部品30の上端面32と接合部材10の対向面部12との間に間隔Lの隙間38が生じている状態が示されている。
【0023】
上記のように、接合突部15,25の先端面15a,25a同士の接触面を接合した後、上記接合部材10,20の少なくとも一方に対して、被狭持部品30を挟み込む方向に沿って圧力を加える。そして、図1Cに示されるように、上記間隔Lの隙間38が無くなる状態まで接合突部15,25同士の接合部分A(図1B参照)を塑性変形させて圧縮する。好ましくは、上記対向面部12と上記上端面32とが密着し、且つ上記対向面部22と上記下端面36とが密着するまで上記接合部分Aを圧縮する。また、当該接合部分Aが塑性変形されることにより塑性変形部Bが生じる。ここで、上記対向面部12,22と上下各端面32,36とが確実に密着するように、上記接合部材10,20(における接合突部15,25)の材質(すなわち塑性変形のし易さ)や被狭持部品30の厚み等を考慮して、上記隙間38の間隔L(すなわち上記加圧による圧縮量)を設定しておくことが好ましい。また、被狭持部品30が接合部材10,20に過剰に加圧されて破損することを防止するために、圧縮センサを導入して上記加圧による圧縮量を制御してもよい。
【0024】
上記のように、一対の対向配置された接合部材10,20の間に隙間38を有して被狭持部品30を挟み込んだ状態で、該接合部材10,20を接合することにより、以下のような効果が奏される。すなわち、上記接合部材10,20のそれぞれに形成された互いに対向する突出部14,24(好ましくは、その先端部に形成された接合突部15,25)の先端部分同士を接合する際に、隙間38がなければ接合部材10,20が被狭持部品30と干渉して上記先端部分同士が十分に接触せず、確実に接合させることが難しいところ、上記隙間38の存在によって接合部材10,20が被狭持部品30と干渉することなく上記先端部分同士を確実に接触させ、且つかかる接触面において高い接合強度で確実に接合することができる。
また、接合部材10,20の寸法公差、接合部材10,20同士の接合位置のずれ(幾何公差)、接合時における接続体の沈み込み量の誤差等に起因して、対向面部12,22の間の距離に誤差が生じる場合がある。あるいは、複数の部品からなる被狭持部品30の累積公差等に起因して、被狭持部品30の全体の厚みに誤差が生じる場合がある。しかし、いずれのような場合であっても、上記隙間38の存在により上記誤差等のばらつきが吸収されるとともに、かかる隙間38が無くなり上記対向面部12,22と被狭持部品30の上下各端面32,36とが密着する状態まで上記接合部材10,20を接近させる(上記接合部分Aを圧縮方向に塑性変形させる)ことにより、上記被狭持部品30と上記接合部材10,20との間の密閉性が高く確保されることとなる。
したがって、かかる接合方法により、接合部材10,20同士の接合強度と、該部材10,20および被狭持部品30との間の密閉性とが高いレベルで実現される。
【0025】
本発明に係る接合方法は、電極体を収容する開口部を備えたケースと該開口部を閉塞する蓋体とを備える密閉型電池に好ましく適用することができる。また、ここに開示される技術は、上記電極体と電気的に接続した状態で上記ケース内部に配置される内部接続端子と、該内部接続端子と対向して該ケース外部に配置される外部接続端子とを、端子取出し部において接合する方法であって、該二つの接続端子の間に蓋体を構成する部品の少なくとも一部を挟み込んだ状態で該接続端子同士を接合する方法を提供する。
ここで、本発明により提供される密閉型電池の一実施形態について詳細に説明する。特に限定することを意図したものではないが、以下、図2および図3を参照しつつ、角型形状の密閉型リチウムイオン電池100(以下、単に「電池」ということもある。)を一例として上記密閉型電池およびその端子取出し部について説明する。ここで、図2は、本発明の一実施形態に係る密閉型電池100をその短手方向(奥行方向)に沿って縦断面にしたところの模式図である。図3は、本発明の一実施形態に係る密閉型電池100の端子取出し部90を拡大して示す模式的な断面図である。なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
【0026】
本実施形態に係る密閉型電池100は、従来の電池と同様に、大まかに言って、所定の電池構成材料(正極82および負極の各活物質、正極82および負極の各集電体、セパレータ84等)を備えた電極体80と、該電極体80および適当な電解質(典型的には液状電解質)を収容するケース40、および該ケース40の開口部を閉塞する蓋体50とを備える。また、ケース40の内部42に収容されている電極体80と電気的に接続された正極接続端子および負極接続端子は、蓋体50の幅方向(長手方向)の両端部付近に形成された端子取出し部から外側(上方)に突出した状態で付設されている。
【0027】
本実施形態に係るケース40の構成は、特に限定されず、従来の角型電池と同様でよい。例えば、図2に示されるように、電極体80を収容するための開口部をケース上面部分に備えた有底の扁平な箱型形状を有している。ケース40の構成材料としては、軽量で熱伝導性が良い金属材料が好ましく、例えばアルミニウム(アルミニウム合金を含む)、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等を好ましく用いることができる。本実施形態のケース40はアルミニウム製である。
【0028】
本実施形態に係る蓋体50の構成は、従来の電池と同様に、上記ケース40上面の開口部を塞ぎ得る形状(すなわち本実施形態では扁平な略長方形状)を有しており、上記ケース40の開口端面上に載置されて、上記開口部を閉塞している。蓋体50における上記開口部の閉塞構造の一好適例は、以下に示す通りである。すなわち、かかる蓋体50は、上記ケース40の開口端面上に載置された際に該開口端面と接する外縁部と、該蓋体50の裏面(蓋体50を上記開口端面上に載置したときにケース40の内部42に対向する側の面)側に凸出した嵌合凸部とを備えている。このため蓋体50がケース40の開口端面上に載置されると、上記外縁部の裏側面が該開口端面に接するとともに、上記嵌合凸部は上記ケース40の開口部の内方に入り込み(嵌り込み)、蓋体50はケース40に嵌合される。このことにより、上記ケース40の開口部は、上記蓋体50によって隙間なく塞がれ得る。また、上記のように、蓋体50にはその幅方向(長手方向)の両端部付近に端子取出し部90が形成されている。
蓋体50の構成材料としては、上述したケース40と同じ材質であることが好ましいが、ケース40と異なる構成材料(材質)であってもよい。本実施形態では、ケース40と同じくアルミニウム製である。
【0029】
次に、本実施形態に係る端子取出し部90について、図2および図3を参照しつつ説明する。以下、主として正極82側の端子取出し部90において本実施形態の特徴部分を説明するが、本発明に係る内外一対の接続端子の接合方法の適用は、正極82側に限定されるものではなく、正極82側と負極側の両方に適用することも、正極82側または負極側のどちらか一方のみに適用することもできる。なお、本実施形態に係る電池100において、負極側の端子取出し部の構造は、正極82側の端子取出し部90と実質的に同じである。
【0030】
本実施形態に係る端子取出し部90は、典型的には蓋体50に形成された端子挿通孔54およびその周辺の部分であって、ケース40内部から外部へ電気を取り出すために、上記電極体80と電気的に接続した状態でケース40の内部に配置されている内部接続端子60と、該内部接続端子60と対向してケース40の外部(蓋体50の表側)に配置されている外部接続端子70とが(典型的には上記端子挿通孔54内で)接合されている部分をいう。
【0031】
図3に示されるように、正極82における内部接続端子60は、主に、外部接続端子70と対向する側に対向面部62が形成されている平板部63と、該対向面部62から突出した突出部64とを備えている。該突出部64の先端部分には、さらに突出した接合突部65が形成されており、該接合突部65は圧縮方向に塑性変形された状態で外部接続端子70(における接合突部75)と接合され得る部分である。また、該内部接続端子60は、電極体80における正極82の集電体83と接続する電極接続部66であって、上記平板部63の対向面部62とは反対側の面から下(垂直)方向に延びる電極接続部66を備えている。かかる電極接続部66の先端部は、ケース40の内部42に収容された電極体80の一端(ケース40の幅方向の一端であって該電極体80が捲回型であれば捲回軸方向の一端)に形成された正極集電体83に接続され得る部分である。このことにより、内部接続端子60は、上記電極体80の正極82と電気的に接続され得る。
【0032】
外部接続端子70は、主に、蓋体50から外側(上方向)に向けて突出した棒状あるいはボルト状の端子本体部71と、該端子本体部71の蓋体50側の一端に形成された平板部73であって内部接続端子60と対向する側に対向面部72を備えた平板部73と、上記対向面部72から突出した突出部74とを備えている。該突出部74の先端部分には、さらに突出した接合突部75が形成されており、上記したように該接合突部75は上記接合突部65と接合され得る。このことにより、外部接続端子70は内部接続端子60を介して上記電極体80の正極82と電気的に接続され得る。
本実施形態にかかる負極側(図示せず)の端子取出し部および内外一対の接続端子の構成は、上記正極82側の構成と実質的に同じである。
上記内部接続端子60の構成材料としては、導電性のよい金属材料が好ましく、典型的にはアルミニウム(典型的には、JISに規定する材質番号が1000番台の純アルミニウム)またはアルミニウム合金(アルミニウムを主成分とする合金)が用いられる。本実施形態の内部接続端子60はアルミニウム製である。一方、負極側の内部接続端子の構成材料としては、導電性のよい金属材料が好ましく、典型的には銅、または銅合金が用いられる。
外部接続端子70の構成材料としては、導電性のよい金属材料(アルミニウム、銅、スチール、ステンレススチール(SUS)等)を好ましく使用することができる。本実施形態の外部接続端子70はSUS製である。なお、負極側の外部接続端子としては正極側と同様の材料を好ましく使用することができる。
また、上記内部接続端子60および外部接続端子70の成形方法については、特に限定されず、従来公知の金属加工(例えば鋳造、機械加工、プレス加工、または溶接等)を実施することにより成形することができる。
【0033】
図3に示されるように、互いに接合された一対の上記内部接続端子60および外部接続端子70の間には、蓋体50を構成する部品群(蓋体構成部品)が挟み込まれ、該部品群は対向面部62,72にそれぞれ密着し得る。このような部品群として、典型的には、上記蓋体50に形成された端子挿通孔54の周辺部に配置される複数の絶縁性部品および/またはシール部品(例えばカラーやOリング等)が挙げられる。これら蓋体構成部品が配置される理由としては、例えば、上記金属製の蓋体50に形成された端子挿通孔54の周辺部に上記金属製の内部接続端子60および/または外部接続端子70が接触して短絡するのを防止するためであり、上記端子挿通孔54と上記接続端子60,70との間の密閉性を向上させるためであり、あるいは振動等の衝撃が生じても、互いに接合した上記接続端子60,70が位置ずれすることなく、それぞれを安定的に上記端子取出し部90に固定しておくためである。本実施形態に係る電池100は、図3に示されるように、上記蓋体50を構成する部品群として蓋体50の端子挿通孔54の周辺部に絶縁性部品51,55およびシール部品53が配置され、蓋体50および上記各部品51,53,55における一部あるいは全体が上記接続端子60,70の間に挟み込まれる構成である。
【0034】
本実施形態に係る絶縁性部品51は、上記外部接続端子70と蓋体50との間に配置されることにより、上記外部接続端子70の対向面部72が蓋体50の外側面(表側面)と接触することを防止し得る。また、絶縁性部品51は、上記外部接続端子70の突出部74および/または接合突部75が蓋体50における端子挿通孔54の内壁側面と接触することを防止する形状を備える。さらに絶縁性部品51は、該外部接続端子70を内部接続端子60と確実に、また強固に接合させて安定的に端子取出し部90に固定させた状態を維持するために、上記外部接続端子70の平板部73の周側面を囲む(保持する)形状を備えている。なお、図3に示されるように、該絶縁性部品51には、該部品51が蓋体50の外側面上に配置された際に端子挿通孔54の直上にあたる部分に外部接続端子70を挿入するための孔が形成されている。
また、本実施形態に係るシール部品53はリング状の形状を備えており、蓋体50の下側に積層(配置)され、上記内部接続端子60の対向面部62および突出部65が蓋体50の内側面(裏側の面)あるいは上記内壁側面と接触することを防止することに加え、蓋体50と内部接続端子60との間の高い密閉性を保持させ得る。
さらに、本実施形態に係る絶縁性部品55は、上記リング状の絶縁性部品53の外周を囲むように配置されて上記対向面部62と蓋体50の上記内側面との絶縁性を保つとともに、内部接続端子60の平板部63の周側面を囲んで平板部63を保持する形状を備えることにより内部接続端子60を外部接続端子70と安定的に接合させた状態で、端子取出し部90に所定位置に固定させ得る。
【0035】
上記絶縁性部品51,55の構成材料としては、絶縁性で且つ良好な耐熱性を有するともに、当該電池100に使用する電解液に対して高い耐性を示す硬質な合成樹脂材料を適宜選択して用いることができる。例えば、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)等のポリオレフィン系樹脂、またはPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフロロエチレン)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、PES(ポリエーテルスルホン樹脂)等のエンジニアリングプラスチックが挙げられる。このような合成樹脂製の絶縁性部品は、金型等を用いた一般的な樹脂成形方法によって成形される。絶縁性部品51および55の構成材料は同一であっても異なっていてもよい。本実施形態ではいずれもPPS製である。なお、本実施形態では、上記内外一対の接続端子60,70との間に挟まれ得る蓋体構成部品は(蓋体50以外に)上記各部品51,53,55の3種類であるが、これらの部品に加えてさらに別の部品を配置(積層)させた構成の形態であってもよく、あるいは減らした構成でもよい。
【0036】
上記シール部品53の構成材料としては、絶縁性およびシール性(例えば、水分の浸入を防止する性能)を発揮し、当該電池100に用いる電解液に対して高い耐食性を示す弾性材料が好ましい。例えば、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM)、フッ素ゴム(例えば、フッ化ビニリデン系(FKM)、テトラフルオロエチレン−プロピレン系(FEPM)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロビニルエーテル系(FFKM)等のフッ素ゴム)、ブチルゴム等が挙げられる。また、ニトリルゴム(NBR)、アクリルゴム(ACM)、シリコーンゴム等の弾性材料により構成されたシール部材を用いてもよい。本実施形態のシール部品53はEPDM製である。
【0037】
次に、本実施形態に係る電極体80について説明する。かかる電極体80の構成は、従来のリチウムイオン電池と同様でよく、特に限定されないが、一つの好適例としては捲回型電極体が挙げられる。捲回型の電極体80は、典型的には、長尺シート状の正極集電体83の表面に正極活物質層を有する正極シート(正極)82、長尺シート状の負極集電体(図示せず)の表面に負極活物質層を有する負極シート(図示せず)、及び長尺シート状のセパレータ84からなり、正極シート82および負極シートの間に2枚のセパレータ84を、正極シート82、セパレータ84、負極シート、セパレータ84の順で重ね合わせて捲回し、得られた捲回体を側面方向(すなわち捲回軸方向と直交する方向)から押し潰して拉げさせることによって、上記ケース40に収容可能な扁平形状に成形されている。
捲回される正極シート82において、その長手方向に沿う一方の端部には正極活物質層が付与されずに正極集電体83が露出しており、一方、捲回される負極シートにおいても、その長手方向に沿う一方の端部は負極活物質層が付与されずに負極集電体が露出している。このことにより、電極体80の長手方向(すなわち捲回軸方向)の一端には上記露出した正極集電体83が積層しており、他端には上記露出した負極集電体が積層している。
また、露出した上記正極集電体83が積層された部分には内部接続端子60の電極接続部66が接続されており、一方、露出した上記負極集電体が積層された部分にも同様に負極接続端子がそれぞれ接続されている。接続方法としては、従来公知の方法でよく、例えば超音波溶接法、抵抗溶接法等の各種溶接法が用いられ得る。なお、本実施形態では捲回型の電極体について説明したが、積層型の電極体であってもよく、特に限定されない。
【0038】
上記のような電極体80を構成する材料および部材自体は、従来のリチウムイオン電池に備えられる電極体と同様でよく、特に制限はない。例えば、正極シート82を構成する正極集電体83としては、導電性の良好な金属からなるシート材を用いることができる。例えば、アルミニウムまたはアルミニウムを主成分とする合金製の導電性部材が挙げられる。また、正極活物質層の主成分たる電極活物質としては、従来からリチウムイオン電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定なく使用することができる。例えばリチウムニッケル系複合酸化物(リチウムとニッケルとを構成金属元素として含む酸化物であって、ニッケルサイトの一部がコバルトやアルミニウム等の他の金属元素で置換されたものを含む。典型的にはLiNiO)、リチウムコバルト系複合酸化物(典型的にはLiCoO)、リチウムマンガン系複合酸化物(典型的にはLiMn)等のリチウム遷移金属複合酸化物が挙げられる。
一方、負極シートを構成する負極集電体としては、例えば銅等の金属からなるシート材(好ましくは銅箔)を用いることができる。また、負極活物質層の主成分たる電極活物質としては、従来からリチウムイオン電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定なく使用することができる。例えば、グラファイトカーボンやアモルファスカーボン等の炭素系材料が挙げられる。
正極シート82および負極シートは、上記各電極活物質を適当な溶媒に分散させた組成物をそれぞれの集電体上に付与し、該組成物を乾燥させることにより好ましく作製され得る。なお、必要に応じて、導電材、結着材、および増粘材等を上記組成物に添加することができる。
【0039】
上記シート状のセパレータ84としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等の多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成されたものを好ましく使用できる。なお、電解質として固体電解質もしくはゲル状電解質を使用する場合には、合成樹脂製のセパレータが不要な場合(すなわちこの場合には電解質自体がセパレータとして機能し得る。)があり得る。
以上のようにして、一対の内外接続端子60,70と、ケース40、蓋体50および電極体80が用意(作製)される。
【0040】
次に、本実施形態に係る電池100を構築する(製造する)方法の一つの好ましい実施態様について説明する。
上記したように、電極体80を収容する開口部を備えた構成のケース40を用意(作製)する。次に、該ケース40の開口部を塞ぎ得る形状を備え、幅方向の両端部付近に端子挿通孔54が形成された構成の蓋体50を用意(作製)する。また上記構成の電極体80を用意する。次に、蓋体50に内部接続端子60および外部接続端子70を取り付けて端子取出し部90を形成する。
以下、具体例を説明する。まず、リング状のシール部品53の中空部分を蓋体50の内側(裏側)における端子挿通孔54に合わせて配置する(重ねる)とともに、絶縁性部品55も所定位置(本実施形態ではシール部品53の外周)に配置する。また、上記蓋体50の外側(表側)の面に絶縁性部材51を配置する。このことにより、上から順に絶縁性部品51、蓋体50、およびシール部品53とその外側の絶縁性部品55が積層(配置)されてなる蓋体構成部品(被狭持部品)であって、内部接続端子60と外部接続端子70との間に挟まれ得る蓋体構成部品が形成される。この蓋体構成部品には端子挿通孔54に対応する孔が形成されている。次に、この孔の下側(すなわち、シール部品53および絶縁性部品55の底面側)から接合突部65を含む突出部64を挿入するような向きで内部接続端子60をシール部品53および絶縁性部品55の下に配置し、対向面部62をシール部品53および絶縁性部品55の下端面56に接触させる。
次いで、上記端子挿通孔54に対応する孔の上側から接合突部75を含む突出部74を挿入する向きで外部接続端子70を上記絶縁性部品51の上に配置する。これにより、外部接続端子70の対向面部72と絶縁性部品51の上端面52が接触する。
このとき、内部接続端子60と外部接続端子70の向かい合う対向面部62,72の間に上記蓋体構成部品が挟み込まれるように該内外一対の接続端子60,70が配置されており、該蓋体構成部品に形成された端子挿通孔54に対応する孔の上下両端から内部に向けて上記突出部64,74が挿入されている。
【0041】
上記のように、対向配置された内外一対の接続端子60,70を相互に接近させて、上記接合突部65,75の先端面同士を接触させて、接合する。
上記内外一対の接続端子60,70を上記接触面にて接合する方法としては、上記蓋体構成部品に損傷を与えたり、内外一対の接続端子60,70と蓋体50とが短絡したりすることなく実施可能な方法であることが好ましい。このような方法としては、上述したように、摩擦圧接(摩擦溶接)、超音波圧接、抵抗溶接(例えば、アプセット溶接やフラッシュ溶接等の突合せ抵抗溶接)、固相接合(拡散接合、摩擦攪拌接合等)が挙げられる。
ここで、上記接触面を所定の接合方法により接合したとき、上記蓋体構成部品の全体の厚みよりも上記対向面部62,72の間の距離の方が大きく、該蓋体構成部品の上端面52と対向面部72との間に所定間隔(すなわち上記蓋体構成部品の全体の厚みと上記対向面部62,72の間の距離との差)の隙間が生じていることが好ましい。
【0042】
上記接合突部65,75同士の接触面を接合した後、上記内外一対の接続端子60,70の少なくとも一方に対して、蓋体構成部品を挟み込む方向に沿って圧力を加える。そして、上記隙間が無くなる状態まで接合突部65,75同士の接合部分を塑性変形させて圧縮する。さらに、上記対向面部62とシール部品53および絶縁性部品55の下端面56とが密着し、且つ上記対向面部72と上記絶縁性部品51の上端面52とが密着するまで上記接合部分を圧縮する。この圧縮により、上記接合突部65,75の接合部分が塑性変形された塑性変形部Bが生じる。ここで、該対向面部62,72と上記各端面部分52,56が確実に密着するように、上記内外一対の接続端子60,70(における接合突部65,75)の材質(すなわち塑性変形のし易さ)や蓋体構成部品全体の厚み等を考慮して、上記隙間の間隔(すなわち上記加圧による圧縮量)を設定しておくことが好ましい。
以上のようにして、蓋体50に内部接続端子60および外部接続端子70を取り付けて端子取出し部90を形成する。なお、負極側についても、上記正極82の端子取出し部90と同様にして、端子取出し部を形成する。
【0043】
上記のように内外一対の接続端子を固定して正極および負極の各端子取出し部を蓋体50に形成した後、上記内部接続端子60の電極接続部66と、上記用意した電極体80の正極集電体83とを接続する。例えば、図2に示されるように、該電極体80の捲回軸方向の各端部に形成されている積層された正極集電体83の上下方向の中央部分に上記電極接続部66を(該中央部分を押し潰すようにして)取り付ける。このようにして、内外一対の接続端子60,70と正極82とを電気的に接続する。
負極側の内部接続端子についても同様にして負極集電体に取り付ける。なお、電極接続部66を電極体80に取り付ける順番については、上記内部接続端子60が蓋体50の端子取出し部90に固定される前でもあってもよい。
【0044】
次に、図示しない電解液(例えば、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)との混合溶媒にLiPF等のリチウム塩(支持塩)を適当量溶解させたもの)を該ケース40内に注入する。そして、蓋体50の正負各極の端子取出し部に固定された正負各極の内外一対の接続端子と接続された扁平な上記電極体80を、扁平な上記ケース40に収容する。該電極体80をケース40に収容しながら、蓋体50の外縁部の裏側面がケース40の開口端面に接触するように蓋体50を該開口端面上に載置し、蓋体50の嵌合突部をケース40の内部42に嵌め込む。このようにして、上記ケース40の開口部を塞ぐ。次いで、上記蓋体50により開口部を閉塞したケース40において、該ケース40と蓋体50との接触部位を、レーザー溶接や電子ビーム溶接等の方法により溶接する。本実施形態では、上記ケース40の側方から周回させて溶接した。なお、上記開口部の閉塞は、上記のような溶接方法に限られず、ケース40の開口端面と蓋体50の外縁部との巻き締めやかしめ等の方法で行われてもよく、特に制限はない。
以上のようにして、蓋体50とケース40との接触部位を接合してケース40の開口部を封口することにより、本実施形態に係る電池100が完成する。
【0045】
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明の構成をかかる実施例として挙げたものに限定することを意図したものではない。
実施例として、図3に示される構成と同じ構成の端子取出し部を作製した。内部接続端子および外部接続端子は、タフピッチ銅(JIS非鉄金属材料記号におけるC1100)を構成材料として作製した。内外一対の接続端子の両方の接合突部は、底面部分が突出部側に配置された45°の底角を有する円錐台形状に成形した。かかる接合突部の先端面は直径0.5mmである。なお、上記接合突部(圧縮方向に塑性変形させる部分)の圧縮強度は、凡そ200kgf(1.9×10N〜2.0×10N)であった。
上記内外一対の接続端子の間に挟み込まれる蓋体構成部品(被狭持部品)のうち、蓋体として、0.8±0.05mm厚のアルミニウム板材を用意した。また、上記外部接続端子と蓋体との間に挟まれる絶縁性部品(図3における絶縁性部品51に相当する部品)として、0.5±0.05mm厚のPPSからなる部品(カラー)を用意した。また、上記内部接続端子と蓋体との間に挟まれるシール部品(図3におけるシール部品53に相当する部品)として、0.65±0.05mm厚のEPDM製のOリングを用意した。また、かかるシール部品の外周部分に配置される絶縁性部品(図3における絶縁性部品55に相当する部品)として、0.5±0.05mm厚のPPSからなる部品(カラー)を用意した。したがって、上記被狭持部品全体としての厚みは、1.80±0.2mmであり、累積公差は−0.2mmから+0.2mmの範囲内にある。なお、上記シール部品の厚みは、上記絶縁性部品55に相当する絶縁性部品の厚みより大きいが、圧縮方向に加圧すると該絶縁性部品の厚みに一致する。
上記各部品からなる被狭持部品全体の圧縮強度は、凡そ400kgf(3.9×10N〜4.0×10N)であった。
【0046】
<実施例1>
(1)上記被狭持部品のうち、厚みの累積公差が−0.2mm(すなわち厚みが1.78mm)である被狭持部品を用意した。
(2)かかる被狭持部品を挟むようにして上記内外一対の接続端子を配置した。ここで、上記内外一対の接続端子の接合突部同士が接合された際の該内外一対の接続端子の対向面部間の距離を1.83mmに設定した。この距離は、上記被狭持部品の厚み1.78mmと、該部品と上記内外一対の接続端子の間に生じる隙間の間隔0.5mmの和である。
(3)内外一対の接続端子の接合突部同士の接合は、抵抗溶接により行った。
(4)当該接合部分を圧縮方向に加圧して塑性変形させることにより、上記内外一対の接続端子を上記被狭持部品に密着させた。
なお、上記加圧は、凡そ250kgf/cm(24MPa〜25MPa)の圧力で行った。
(5)上記接合部分における接合強度と密閉性(気密性)を評価した。接合強度については、従来公知の接合強度試験装置を使用し、上記接合部分を引き離す方向に引っ張り、該接合部分が引き離された時点の強度を接合強度として測定した。この結果を図4に示す。気密性については、従来公知の気密試験装置を用いたヘリウムリーク試験により評価した。
(6)この結果、接合強度は50kgfを超え、良品規格としての35kgfを上回った。したがって、上記内外一対の接続端子は、強固に接合していることがわかった。また、気密性については、良品規格である10−5Pa・m/secを上回り、良好な気密性を有することが分かった。
【0047】
<比較例1>
(1)上記例1と同じ累積公差を有する被狭持部品を用意し、かかる被狭持部品を挟むようにして上記内外一対の接続端子を配置した。ここで、上記内外一対の接続端子の接合突部同士が接合された際の該内外一対の接続端子の対向面部間の距離は、1.80mmに設定した。この距離は、上記被狭持部品の厚みとして累積公差を考慮しない場合の厚み1.80mmである。
(2)内外一対の接続端子の接合突部同士を抵抗溶接により接合した。
(3)接合部分を圧縮方向に加圧せず、塑性変形させなかった。この接合部分の接合強度と気密性の評価を上記例1(5)と同様に実施した。
(4)この結果、接合強度は60kgfを超え、良品規格としての35kgfを大きく上回った。しかし、気密性については、良品規格である10−5Pa・m/secを下回り、例1に比べると気密性に劣ることが分かった。
【0048】
<実施例2>
(1)上記被狭持部品のうち、厚みの累積公差が0mm(すなわち厚みが1.80mm)である被狭持部品を用意した。
(2)かかる被狭持部品を挟むようにして上記内外一対の接続端子を配置した。ここで、上記内外一対の接続端子の接合突部同士が接合された際の該内外一対の接続端子の対向面部間の距離を1.85mmに設定した。この距離は、上記被狭持部品の厚み1.80mmと、該部品と上記内外一対の接続端子の間に生じる隙間の間隔0.5mmの和である。
(3)以下、例1(3)〜(5)と同様にして上記内外一対の接続端子を接合し、その接合部分の接合強度と気密性を評価した。その結果を図4に示す。
(4)この結果、接合強度は40kgfを超え、良品規格としての35kgfを上回った。したがって、上記内外一対の接続端子は、強固に接合していることがわかった。また、気密性についても、良品規格である10−5Pa・m/secを上回り、良好な気密性を有することが分かった。
【0049】
<比較例2>
(1)上記例2と同じ累積公差を有する被狭持部品を用意し、かかる被狭持部品を挟むようにして上記内外一対の接続端子を配置した。ここで、上記内外一対の接続端子の接合突部同士が接合された際の該内外一対の接続端子の対向面部間の距離は、比較例1と同様に1.80mmに設定した。
(2)内外一対の接続端子の接合突部同士を抵抗溶接により接合した。
(3)接合部分を圧縮方向に加圧せず、塑性変形させなかった。この接合部分の接合強度と気密性の評価を上記例1(5)と同様に実施した。その結果を図4に示す。
(4)この結果、接合強度は50kgfを超え、良品規格としての35kgfを大きく上回った。また、気密性についても、良品規格である10−5Pa・m/secを上回り、良好な気密性を有することがわかった。
【0050】
<実施例3>
(1)上記被狭持部品のうち、厚みの累積公差が+0.2mm(すなわち厚みが1.82mm)である被狭持部品を用意した。
(2)かかる被狭持部品を挟むようにして上記内外一対の接続端子を配置した。ここで、上記内外一対の接続端子の接合突部同士が接合された際の該内外一対の接続端子の対向面部間の距離を1.87mmに設定した。この距離は、上記被狭持部品の厚み1.82mmと、該部品と上記内外一対の接続端子の間に生じる隙間の間隔0.5mmの和である。
(3)以下、例1(3)〜(5)と同様にして上記内外一対の接続端子を接合し、その接合部分の接合強度と気密性を評価した。その結果を図4に示す。
(4)この結果、接合強度は40kgfを超え、良品規格としての35kgfを上回った。したがって、上記内外一対の接続端子は、強固に接合していることがわかった。また、気密性についても、良品規格である10−5Pa・m/secを上回り、良好な気密性を有することが分かった。
【0051】
<比較例3>
(1)上記例3と同じ累積公差を有する被狭持部品を用意し、かかる被狭持部品を挟むようにして上記内外一対の接続端子を配置した。ここで、上記内外一対の接続端子の接合突部同士が接合された際の該内外一対の接続端子の対向面部間の距離は、比較例1と同様に1.80mmに設定した。
(2)内外一対の接続端子の接合突部同士を抵抗溶接により接合した。
(3)接合部分を圧縮方向に加圧せず、塑性変形させなかった。この接合部分の接合強度と気密性の評価を上記例1(5)と同様に実施した。その結果を図4に示す。
(4)この結果、接合強度は10kgf程度であり、良品規格としての35kgfを大きく下回った。一方、気密性については、良品規格である10−5Pa・m/secを上回り、良好な気密性を有することがわかった。
【0052】
以上の結果より、本実施例に係る端子取出し部では、内外一対の接続端子同士の接合部分が圧縮方向に塑性変形されて、該接続端子に挟まれる被狭持部品と該接続端子とが密着しているので、上記被狭持部品の累積公差によらず、常に上記接合部分は強固に接合され、且つ高い気密性(密閉性)を有することがわかった。一方、比較例のように、単に内外一対の接続端子同士を接合しただけでは、上記被狭持部品の累積公差によっては接合強度と気密性とを常に高いレベルで維持することはできないことが分かった。
【0053】
このように、内部接続端子と外部接続端子とが強固に接合した端子取出し部であって高い気密性を有する端子取出し部を備えた密閉型電池は、特に自動車等の車両に搭載されるモーター(電動機)用電源として、好適に使用し得る。したがって本発明は、図5に模式的に示されるように、本実施形態に係る電池100を単電池として複数個配列して組電池200を構築し、かかる組電池200を電源として備える車両(典型的には自動車、特にハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車のような電動機を備える自動車)1を提供することができる。
【0054】
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、もちろん種々の改変が可能である。また、電池の種類は上述したリチウムイオン電池に限られず、電極体構成材料や電解質が異なる種々の内容の電池、例えばリチウム金属やリチウム合金を負極とするリチウム二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、あるいは電気二重層キャパシタであってもよい。また、上述の実施形態のケース40は角型(箱型)形状に成形されているが、この形状に限定されず、例えば円筒型形状であってもよい。
【0055】
また、本発明に係る接合方法およびここに開示される技術は、上記密閉型電池100に適用されるだけはなく、例えば密閉型電池を単電池として複数個配列してなる組電池が密閉型容器(組電池ケース)内に収容された組電池パックであって、均圧油等の絶縁油が該密閉容器内に充填されて上記組電池が該絶縁油に浸漬している組電池パック(油漬型組電池パック)において、上記密閉容器内の上記組電池から該密閉容器の外側に電気を取り出す部分にも好ましく適用することができる。すなわち、かかる方法および技術は、密閉容器の内部から外部に電気を取り出す構造に対して好ましく適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1A】対向する接合部材が接合する前の状態を模式的に示す断面図である。
【図1B】対向する接合部材が接合した状態を模式的に示す断面図である。
【図1C】被狭持部品を挟み込む方向に接合部材が加圧されて接合部分が圧縮された状態を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る密閉型電池の端子取出し部を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る密閉型電池の端子取出し部を拡大して示す模式的な断面図である。
【図4】実施例において被狭持部品の厚み方向の累積公差に対する引張り接合強度の評価結果を示すグラフである。
【図5】本発明の一実施形態に係る密閉型電池を備えた車両を模式的に示す側面図である。
【符号の説明】
【0057】
A 接合部分
B 塑性変形部
1 車両
10 接合部材
12 対向面部
14 突出部
15 接合突部
20 接合部材
22 対向面部
24 突出部
25 接合突部
30 被狭持部品
31,33,35 部品
32 上端面
36 下端面
34 挿通孔
38 隙間
40 ケース
42 内部
50 蓋体
51,53,55 絶縁性部品
52 上端面
54 端子挿通孔
56 下端面
60 内部接続端子
62 対向面部
64 突出部
65 接合突部
66 電極接続部
70 外部接続端子
72 対向面部
74 突出部
75 接合突部
80 電極体
82 正極
83 正極集電体
84 セパレータ
90 端子取出し部
100 密閉型電池
200 組電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対の接合部材の間に、該接合部材とは異なる被狭持部品を挟み込み、該接合部材同士を接合する方法であって:
前記一対の接合部材として、前記対向する側に形成された対向面部と該対向面部から突出した突出部とを備える一対の接合部材を用意すること;
前記突出部同士が互いに対向するように前記一対の接合部材を配置すること、ここで該一対の接合部材の前記対向面部の間に前記被狭持部品の少なくとも一部が挟み込まれるように該一対の接合部材を配置する;
前記配置した一対の接合部材を相互に接近させ、前記突出部の少なくとも先端部分同士を接合すること、ここで前記被狭持部品と前記対向面部との間に所定の隙間が生じている状態で前記接合を行う;および、
前記一対の接合部材の少なくとも一方に前記挟み込む方向に圧力を加えて、前記隙間が無くなる状態まで前記接合部分を塑性変形させて圧縮すること;
を包含する、接合方法。
【請求項2】
前記加圧により前記接合部分を圧縮し、前記一対の接合部材の各対向面部と前記被狭持部品とを密着させることを特徴とする、請求項1に記載の接合方法。
【請求項3】
前記突出部の先端部には、さらに突出した接合突部が形成されており、対向する該接合突部の先端面同士を接合することを特徴とする、請求項1または2に記載の接合方法。
【請求項4】
前記被狭持部品には、挿通孔が形成されており、該挿通孔の両側から内部に向けて前記対向する突出部同士を挿入し、該突出部の少なくとも先端部分同士を前記挿通孔の内部で接合することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の接合方法。
【請求項5】
前記被狭持部品は、複数の部品が積層されて構成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の接合方法。
【請求項6】
電極体を収容する開口部を備えたケースと、該開口部を閉塞する蓋体とを備える密閉型電池において、該電極体と電気的に接続した状態で該ケース内部に配置される内部接続端子と、該内部接続端子と対向して該ケース外部に配置される外部接続端子とを接合する方法であって:
前記内外一対の接続端子として、前記対向する側に形成された対向面部と該対向面部から突出した突出部とをそれぞれ備える内外一対の接続端子を用意すること;
前記突出部同士が互いに対向するように前記内部接続端子と外部接続端子とを配置すること、ここで該内外一対の接続端子の前記対向面部の間に前記蓋体を構成する部品の一部が挟み込まれるように該内外一対の接続端子を配置する;
前記配置した一対の接続端子を相互に接近させ、前記突出部の少なくとも先端部分同士を接合すること、ここで前記蓋体構成部品と前記対向面部との間に所定の隙間が生じている状態で前記接合を行う;および、
前記内外一対の接続端子の少なくとも一方に前記挟み込む方向に圧力を加えて、前記隙間が無くなる状態まで前記接合部分を塑性変形させて圧縮すること;
を包含する、密閉型電池の内外接続端子の接合方法。
【請求項7】
電極体を収容する開口部を備えたケースと、該開口部を閉塞する蓋体と、該電極体と電気的に接続した状態で該ケース内部に配置される内部接続端子と、該内部接続端子と対向して該ケース外部に配置される外部接続端子とを備える密閉型電池であって、
請求項6に記載の接合方法により前記内外一対の接続端子が接合された端子取出し部を備えた密閉型電池。
【請求項8】
請求項7に記載の密閉型電池を備える車両。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−89156(P2010−89156A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264416(P2008−264416)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】