説明

接合構造及び管継手

【課題】 管継手において、シール部材を嵌め込んだガイドワッシャーをボディー本体に固定する際に、組み立て作業時間を短縮すると共に、溶着時にシール部材の溝部にバリが発生するのを防止する。
【解決手段】 樹脂製のボディー本体32には、凹状連結部34の保持部40にガスケット38が嵌め込まれている。ガスケット38の挿入口42側に、ガイドサブワッシャー46と、Oリング48と、これらを拡大部44Aと保持部44Bに嵌め込んだ樹脂製のガイドワッシャー44を内挿する。ボディー本体32には段差部42Aが形成されており、ガイドワッシャー44と段差部42との当り面が超音波溶着される。このとき、ガイドワッシャ44とガイドサブワッシャー46の接合面44Cも超音波溶着されるが、樹脂が溶融して凹溝44Dにバリが発生しても、対向面44Fでせき止められ、保持部44Bにはバリが生じない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2部材を接合する接合構造に係り、特に、管体と管体とを連結させる流体供給用等に使用され、雄型のノーズと雌型のボディーとからなる管継手などの接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、流体供給用等のホースや配管の連結部には、管体と管体とを連結させる管継手が使用されている。例えば、船外機の燃料供給用等には、モータボートの燃料タンク側から伸びるホースの連結部に、エンジン側の配管と接続するための管継手が使用されている。
【0003】
この管継手には、例えば、図9に示すように、雄型金具であるノーズ102と、雌型金具であるボディー120とからなる管継手100が使用されている。ノーズ102には、燃料が流れる凸状流路部104がノーズ本体106から突出するように設けられており、この凸状流路部104とは別に凸状固定部108が設けられている。
【0004】
ノーズ102の組み立て時には、ノーズ本体106に保持されたゴム製のガスケット112に、凸状流路部104の根元部104Aが当接される。そして、ノーズ本体106の入り口側に形成された溝部114に、金属製のロックリング116が嵌め込まれる。このロックリング116は一部を切り欠いたC型のリングであり、弾性力を利用して溝部114に嵌め込むことで、凸状流路部104がノーズ本体106に固定される。
【0005】
一方、ボディー120は、図9に示すように、ボディー本体126のノーズ102との結合面に、凸状流路部104が挿入される凹状連結部122と、凸状固定部108が挿入される凹状挿入部124とを備えている。図10(A)及び図10(B)に示すように、ボディー本体126の凹状連結部122には、ゴム製のガスケット128が保持されている。なお、ガスケット128より凹状連結部122側(奥側)には、ボール136が接触しており、ばね138によってガスケット128側に付勢されている。また、凹状連結部122の挿入口122A側には、ガスケット128に当接するようにガイドワッシャー130が挿入されている。また、挿入口122Aには溝部132が形成されており、この溝部132に金属製のロックリング134が嵌め込まれる。このロックリング134はC型のリングであり、弾性力を利用して溝部132に嵌め込むことで、ガスケット128が凹状連結部122内で固定されることとなる。
【0006】
このような管継手100では、図9に示すノーズ102の凸状流路部104をボディー120の凹状連結部122に、ノーズ102の凸状固定部108をボディー120の凹状挿入部124にそれぞれ同時に挿入する。そして、凸状固定部108の溝部108Aがロック部材140でロックされることで、ノーズ102とボディー120が結合される。これにより、管継手100の凸状流路部104と凹状連結部122が連通し、燃料をエンジンに供給できるようになる(例えば特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開平11−030367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、このような管継手100では、ガスケット128をボディー本体126に固定するためにロックリング134を溝部132に嵌め込む必要がある。このため、組み立て作業が煩雑となり、作業に時間がかかる。また、金属製のロックリング134を使用するため、材料コストが高くなり、耐食性が劣る。また、ロックリング134を止めるための溝加工(溝部132の加工)が必要となり、加工コストが上昇する。
【0008】
また、図11に示すように、ボディー150とノーズ102(図9参照)とのシール性を高めるために、ガイドワッシャー142の切り欠きにガイドサブワッシャー144を内挿して溝部142Aを形成し、この溝部142AにOリング146を嵌め込む場合もある。このような構成では、部品点数がさらに多くなり、組み立て作業が煩雑で時間がかかる。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ガスケットやOリングなどの部品を固定するときの組み立て作業時間を短縮し、コストを低減できる管継手及び2部材を接合する接合構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、環状の切り欠き部が形成された樹脂製のガイド部材と樹脂製のサブガイド部材との接合面を超音波溶着することによって、シール部材が嵌まり込む溝部が前記サブガイド部材の接合面との間に形成される接合構造であって、前記ガイド部材の前記サブガイド部材と対向する部位に、前記サブガイド部材の溶着溶け代が溶融して接合される接合面と、前記接合面に形成された凹溝と、前記凹溝の溝壁を切り下げて形成され前記サブガイド部材の接合面との間に間隙を形成する対向面と、前記対向面を切り下げて形成された前記切り欠き部と、を有し、前記接合面が超音波溶着されることを特徴としている。
【0011】
請求項1に記載の発明では、ガイド部材の接合面にサブガイド部材の溶着溶け代を当接させて超音波溶着する際に、その接合面で溶融した樹脂がバリとなって凹溝に流れ込む。凹溝に流れ込んだ樹脂は、サブガイド部材の接合面との間に間隙を形成する対向面でせき止められ、切り欠き部には進入しない。このため、シール部材の溝部にバリが発生することがなく、溝部を閉塞するなどの不具合が生じない。
【0012】
請求項2に記載の発明は、流体が供給されるノーズ本体から突出した凸状流路部を有するノーズと、流体が排出されるボディー本体に前記凸状流路部が挿入される凹状連結部を有するボディーと、からなる管継手であって、前記凹状連結部に内挿され、前記凸状流路部が前記凹状連結部に挿入されたときに前記凸状流路部をシールする環状シール部材と、前記凹状連結部に内挿され、樹脂製の前記ボディー本体との当り面が超音波溶着される樹脂製のガイドワッシャーと、前記ガイドワッシャーの奥側に内挿され、前記ガイドワッシャーの内側に形成された環状の切り欠き部に当接して前記シール部材が嵌まり込む溝部を形成する樹脂製のガイドサブワッシャーと、を備え、前記ガイドワッシャーの前記ガイドサブワッシャーと対向する部位に、前記ガイドサブワッシャーと当接される接合面と、前記接合面に形成された凹溝と、前記凹溝の溝壁を切り下げて形成され前記ガイドサブワッシャーとの間に間隙を形成する対向面と、前記対向面を切り下げて形成された前記切り欠き部と、を有し、前記接合面と前記ガイドサブワッシャーとが超音波溶着されることを特徴としている。
【0013】
請求項2に記載の発明では、ボディー本体の凹状連結部に樹脂製のガイドワッシャーが内挿され、このガイドワッシャーの奥側に樹脂製のガイドサブワッシャーが内挿されている。ガイドワッシャーの内側に形成された環状の切り欠き部にガイドサブワッシャーが当接して溝部が形成され、この溝部に環状シール部材が嵌め込まれている。この状態で、樹脂製のガイドワッシャーと樹脂製のボディー本体が超音波溶着されて固定される。このとき、ガイドワッシャーとガイドサブワッシャーが共に樹脂製であるので、超音波溶着の工程でガイドワッシャーが当接面でガイドサブワッシャーと超音波溶着されるが、その接合面で樹脂が溶融して凹溝に流れ込む。凹溝に流れ込んだ樹脂はガイドサブワッシャーとの対向面でせき止められる。このため、環状シール部材の溝部に樹脂が流れ込んでバリが発生することがなく、溝部を閉塞するなどの不具合が生じない。
【0014】
また、この構成では、従来のようにガイドワッシャーを凹状連結部内に固定させるための金属製のロックリングが不用で、超音波溶着によって組み立て作業が容易となるため、作業時間を短縮できる。また、ロックリングを止めるための溝加工も不要で、コストを低減できる。また、ガイドワッシャーとボディー本体を超音波溶着によって固定するので、ノーズとボディーの連結時に作用する振動に対して耐久性が向上し、液体漏れなどの発生を防止できる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の構成において、環状の前記ガイドワッシャーの内周側に、環状の前記ガイドサブワッシャーが内挿される嵌め込み部を有し、前記嵌め込み部の外周に溶着溶け代を設けて前記ガイドワッシャーと前記ボディー本体とを超音波溶着することを特徴としている。
【0016】
請求項3に記載の発明では、環状のガイドワッシャーの内周側に形成された嵌め込み部に、環状のガイドサブワッシャーが内挿されており、嵌め込み部の外周の溶着溶け代によってガイドワッシャーとボディー本体とが超音波溶着される。これにより、ホーンをガイドワッシャーに当てて超音波溶着することで、簡単にガイドワッシャーをボディー本体に固定でき、部品点数が少なく、組み立て作業が容易で、作業時間をより短縮できる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の構成において、前記環状シール部材がOリングであることを特徴としている。
【0018】
請求項4に記載の発明では、環状シール部材がOリングであるので、組み立てが容易であり、作業時間を短縮できる。
【発明の効果】
【0019】
本願発明に係る接合構造によれば、樹脂製のガイド部材とサブガイド部材を超音波溶着させるので、組み立て作業の時間を短縮できると共にコストを低減できる。また、本願発明に係る管継手によれば、樹脂製のガイドワッシャーとボディー本体を超音波溶着させるので、金属製のロックリングとこれを止めるための溝加工が不用となり、組み立て作業の時間を短縮できると共にコストを低減できる。さらに、ガイドワッシャーとボディー本体を超音波溶着する際に、樹脂製のガイドワッシャーと樹脂製のガイドサブワッシャーとの接合面が超音波溶着されても、環状シール部材の溝部にバリが生じることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の管継手における最良の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態である管継手10を示す半断面図である。
【0022】
この管継手10は、雄型金具であるノーズ12と、雌型金具であるボディー30からなる。ノーズ12には、ノーズ本体14の結合面から突出する合成樹脂製の凸状流路部16と、この凸状流路部16とは別の位置から突出する凸状固定部18が設けられている。ボディー30には、合成樹脂製のボディー本体32のノーズ12との結合面に、凸状流路部16が挿入される凹状連結部34と、凸状固定部18が挿入される凹状挿入部36とが設けられている。この管継手10は、船外機の燃料供給用に使用され、燃料の供給パイプ(図示せず)側にノーズ本体14の連結管14Aが連結され、エンジン側の配管パイプ(図示せず)にボディー本体32の連結管32Aが連結される構成となっている。
【0023】
図1に示すように、合成樹脂製のノーズ本体14に形成された凹状部20に、ゴム製のガスケット22が嵌め込まれている。凹状部20のほぼ中央部の奥側には、バルブチェック23が進退可能に設けられており、このバルブチェック23に棒状の支持部24が立設されている。この支持部24に凸状流路部16が外挿され、凸状流路部16の根元部16Aがガスケット22に接触している。バルブチェック23の後方にはスプリング25が配置されており、バルブチェック23及び支持部24が一体となってノーズ本体14内を移動可能となっている。
【0024】
また、凹状部20には、根元部16Aの外周と接触する保持部20Aが形成されており、保持部20Aの挿入口20B側が拡径されてその間に段差部20Cが形成されている。凹状部20の凸状流路部16より挿入口20B側には、合成樹脂製のリング部材26が嵌め込まれている。このリング部材26は、外径が凸状流路部16の根元部16Aの外周より大きく、内径が根元部16Aの外周より小さく形成されており、リング部材26の側面がノーズ本体14の段差部20Cに当接すると共に、リング部材26の周面が挿入口20Bに接触している。つまり、リング部材26を段差部20Cに接触させることで、凸状流路部16とガスケット22を凹状部20で挟み込む構成となっている。リング部材26とノーズ本体14はポリブチレンテレフタレート(PBT)などの合成樹脂製であり、リング部材26の段差部20Cとの当り面が超音波溶着されることで、凸状流路部16が凹状部20内に固定されている。
【0025】
図2及び図3に示すように、ボディー本体32の凹状連結部34には、ゴム製のガスケット38が挿入される保持部40が形成されており、ガスケット38の凸部38Aが保持部40の溝部40Aに係合されて保持されている。また、保持部40の挿入口42側は拡径されており、その間に段差部42Aが形成されている。
【0026】
図2に示すように、挿入口42には、合成樹脂製のガイドワッシャー44が嵌め込まれる構成となっている。このガイドワッシャー44は環状であり、ガスケット38との接触面で外径がガスケット38の外周よりも大きく、内径がガスケット38の外周よりも小さく形成されている。ガイドワッシャー44の内周面の奥側(ガスケット38側)には、環状の合成樹脂製のガイドサブワッシャー46が内挿される拡径部44Aと、この拡径部44Aよりも縮径されOリング48が嵌め込まれる保持部44Bとが形成されている。さらに、ガイドワッシャー44には、ガイドサブワッシャー46との対向部に外周側から順に、ガイドサブワッシャー46と当接される接合面44Cと、その接合面44Cに形成された凹溝44Dと、その凹溝44Dの溝壁を切り下げてガイドサブワッシャー46との間に間隙を形成する対向面44Eとが設けられている。この対向面44Eを切り下げて保持部44Bが形成されている。また、ガイドワッシャー44の段差部42Aとの当り面には、溶着溶け代44Fが形成されている。
【0027】
このガイドワッシャー44はOリング48とガイドサブワッシャー46が装着された状態でボディー本体32の挿入口42に挿入され、ガイドワッシャー44の溶着溶け代44Fをボディー本体32の段差部42Aに接触させる。ガイドワッシャー44と保持部40(ボディー本体32)はポリブチレンテレフタレート(PBT)などの合成樹脂からなり、図3に示すように、ガイドワッシャー44の溶着溶け代44Fと段差部42Aが超音波溶着され、ガイドワッシャー44がボディー本体32に固定される。すなわち、ガスケット38、ガイドサブワッシャー46及びOリング48を、ボディー本体32の保持部40とガイドワッシャー44とで挟み込む構成となっている。これにより、ガスケット38及びOリング48がボディー本体32の凹状連結部34に固定される。この超音波溶着については後述する。また、ガスケット38の奥側には、ボール50が配置されており、スプリング52によってボール50がガスケット38側に付勢されている。
【0028】
また、図1に示すように、凹状挿入部36には、図示しない板ばねにロック爪54が取り付けられており、凸状固定部18に形成された溝部18Aにロック爪54が食い込むことで、凸状固定部18がロックされる。このロック爪54は、ボディー本体32に露出した解除レバー56と図示しない板ばねを介して連結されており、解除レバー56を押下することで、溝部18Aへのロック爪54の食い込みが解除されるように構成されている。
【0029】
次に、ガイドワッシャー44をボディー本体32の段差部42Aに固定させる超音波溶着について説明する。
【0030】
超音波溶着は、ガイドワッシャー44にホーン(図示せず)を当てて、ガイドワッシャー44とボディー本体32の段差部42Aとの接触部に超音波振動を与え、その振動により樹脂が発熱して溶融することで、樹脂同士を溶着させるものである。その際、超音波の発振方向と直交する面が溶着され、ガイドワッシャー44の溶着溶け代44Fが溶融して段差部42Aと溶着される(図2、図3参照)。
【0031】
このような超音波溶着では、ガスケット38によって押し付け力と超音波振動が伝わり、合成樹脂製のガイドワッシャー44の接合面44Cと合成樹脂製のガイドサブワッシャー46の接触面も超音波溶着される。
【0032】
このとき、図5に示すボディー70のように、ガイドサブワッシャー46と平坦な面で当接する接合面74Cを有するガイドワッシャー74を用いた場合は、溶着溶け代74Fと段差部42Aを超音波溶着させるときに、接合面74Cとガイドサブワッシャー46も超音波溶着される。このとき、図6(B)に示すように、接合面74Cとガイドサブワッシャー46との接触部で樹脂Pが溶融して流れ出しOリング48の保持部74BにバリBが発生するという不具合が生じる。なお、図6(B)は、説明を分かり易くするため、樹脂Pの状態を模式的に示している。
【0033】
一方、図2及び図3に示すように、本実施形態のボディー30では、ガイドワッシャー44の接合面44Cとガイドサブワッシャー46が超音波溶着してバリBが発生しても、バリBは凹溝44Dに流れ込む。凹溝44Dの内周側には、ガイドサブワッシャー46と間隙を形成する対向面44Eが設けられているので、対向面44Eとガイドサブワッシャー46との溶着は起こらず、発生したバリBは対向面44Eでせき止められ、Oリング48の保持部44Bに流れ込まない。図3中のバリBに示すように、ガイドサブワッシャー46と対向面44Eの間隙は、ガイドワッシャー44とガイドサブワッシャー46との溶着によって減少し、溶着終了時には密着するようになる。
【0034】
なお、ガイドワッシャー44と段差部42Aは同じ種類の樹脂同士を用いることで、より強い溶着を得ることができる。この超音波溶着は、接着剤が不要であるため、組み立て作業が容易で作業工数が少なく、この結果、作業時間を短縮して生産性を向上させることができる。本実施形態に使用される合成樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート(PBT)の他、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリカーボネート、PET等の熱可塑性樹脂が適している。
【0035】
次に、本実施形態の管継手10の作用について説明する。
【0036】
図4に示すように、ノーズ12の凸状流路部16をボディー30の凹状連結部34に、ノーズ12の凸状固定部18をボディー30の凹状挿入部36にそれぞれ同時に挿入する。これにより、スプリング52の付勢力に抗して凸状流路部16が凹状連結部34の奥側に挿入される。これと共に、ロック爪54が凸状固定部18の先端斜面に乗っかり、結合完了位置まで来ると、ロック爪54が凸状固定部18の溝部18Aに弾性力によって食い込み、ノーズ12とボディー30とが結合される。このとき、リング部材26の先端がボディー本体32の挿入口42に嵌まる。ロック爪54によって凸状固定部18がロックされることで、凸状固定部18及び凸状流路部16のボディー本体32からの離脱が防止される。
【0037】
この状態では、凸状流路部16が凹状連結部34と連通しており、船外機の燃料供給系統で燃料をエンジンに供給することが可能となる。このとき、凸状流路部16と凹状連結部34とがガスケット38及びOリング48によってシールされており、燃料漏れの発生が防止される。
【0038】
なお、ノーズ12とボディー30との結合を解除するときは、解除レバー56を押すと、ロック爪54が移動して溝部18Aへの食い込みが外れる。これにより、ノーズ12をボディー30から引き抜くことができる。
【0039】
このような管継手10では、ガイドワッシャー44をボディー本体32に固定する際に、ガイドワッシャー44と段差部42Aを超音波溶着するので、従来の金属製のロックリング134(図11参照)が不用となり、組み立て作業が容易で作業時間を短縮できる。また、ロックリングを止めるための溝加工も不要となる(図11参照)。成形後の溝加工をなくすことにより、品質のバラツキが抑えられ、コストダウンが可能となる。また、金属製のロックリングを使用しないので、耐食性が向上する。
【0040】
さらに、図2に示すように、ガイドワッシャー44とボディー本体32を超音波溶着する際に、ガイドワッシャー44の接合面44Cとガイドサブワッシャー46が超音波溶着されるので、溶着強度を上げることができる。また、Oリング48の保持部44Bにバリが発生することもない。
【0041】
次に、本発明の第2実施形態に係る2部材を接合する接合構造について説明する。
【0042】
この実施形態の接合構造は、管継手など部品に使用され、図7(B)に示すように、円柱型のガイド部材80とサブガイド部材82の外周側にOリング又はガスケットを嵌め込むための溝部80Aを超音波溶着によって形成したものである。
【0043】
図7(A)に示すように、サブガイド部材82には、中央部側に溶着溶け代82Aが形成されている。また、ガイド部材80には、中央部にサブガイド部材82と接合される接合面80Bが形成されている。接合面80Bの外周側には、凹溝80Cと、この凹溝80Cの溝壁を切り下げてサブガイド部材82との間に間隙を形成する対向面80Dとが順に設けられている。また、対向面80Dを切り下げることによって溝部80Aが形成される。
【0044】
図7(B)に示すように、ガイド部材80の接合面80Bとサブガイド部材82の溶着溶け代82Aを当接させて超音波溶着すると、溶着溶け代82Aが溶融して凹溝80CにバリBが発生する。このバリBは対向面80Dでせき止められ、溝部80Aにはみ出すことがない。これにより、簡単な組み立て作業によって溝部80Aを形成することができる。このため、管継手などの部品を短時間で作成できるとともに、コストを低減できる。
【0045】
次に、本発明の第3実施形態に係る2部材を接合する接合構造について説明する。
【0046】
この実施形態の接合構造は、管継手など部品に使用され、図8(B)に示すように、管継手(図示省略)に用いられる環状のガイド部材90と環状のサブガイド部材92の内周側にOリング又はガスケットを嵌め込むための溝部90Aを超音波溶着によって形成したものである。
【0047】
図8(A)に示すように、サブガイド部材92には、外周面の側方に溶着溶け代92Aが形成されている。また、ガイド部材90には、外周面の側方に、サブガイド部材92と接合される接合面90Bが形成されている。接合面90Bの内周側には、凹溝90Cと、この凹溝90Cの溝壁を切り下げてサブガイド部材92との間に間隙を形成する対向面90Dとが順に設けられている。また、対向面90Dを切り下げることによって溝部90Aが形成される。
【0048】
図8(B)に示すように、ガイド部材90の接合面90Bとサブガイド部材92の溶着溶け代92Aを当接させて超音波溶着すると、溶着溶け代92Aが溶融して凹溝90CにバリBが発生する。このバリBは対向面90Dでせき止められ、溝部90Aにはみ出すことがない。これにより、簡単な組み立て作業によって溝部90Aを形成することができる。このため、管継手などの部品を短時間で作成できるとともに、コストを低減できる。
【0049】
なお、上記のようなシール部材用の溝部を形成した部品は、管継手以外の他の部品、例えば、上ケースと下ケースが溶着され、機能部品が収納される密閉状態の収納ボックスにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1実施形態に係る管継手を示す半断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る管継手に用いられるボディーの一部を拡大した分解半断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る管継手に用いられるボディーの一部を拡大した断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る管継手の結合状態を示す半断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る管継手の比較例であるボディーを示す分解半断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る管継手の比較例であるボディーを示す半断面図及び部分拡大断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る接合構造に用いられるガイド部材とサブガイド部材の溶融前と溶融後の状態を示す断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る接合構造に用いられるガイド部材とサブガイド部材の溶融前と溶融後の状態を示す断面図である。
【図9】従来の管継手の一例を示す半断面図である。
【図10】図9に示す管継手で用いられるボディーを示す分解半断面図及び部分断面図である。
【図11】従来の管継手で用いられるボディーの他の例を示す分解半断面図及び部分断面図である。
【符号の説明】
【0051】
10 管継手
12 ノーズ
14 ノーズ本体
30 ボディー
32 ボディー本体
34 凹状連結部
36 凹状挿入部
38 ガスケット
40 保持部
42 挿入口
42A 段差部
44 ガイドワッシャー
44A 拡径部(嵌め込み部)
44B 保持部(切り欠き部)
44C 接合面
44D 凹溝
44E 対向面
44F 溶着溶け代
46 ガイドサブワッシャー
48 Oリング
80 ガイド部材
80A 溝部
80B 接合面
80C 凹溝
80D 対向面
82 サブガイド部材
82A 溶着溶け代
90 ガイド部材
90A 溝部
90B 接合面
90C 凹溝
90D 対向面
92 サブガイド部材
92A 溶着溶け代
B バリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状の切り欠き部が形成された樹脂製のガイド部材と樹脂製のサブガイド部材との接合面を超音波溶着することによって、シール部材が嵌まり込む溝部が前記サブガイド部材の接合面との間に形成される接合構造であって、
前記ガイド部材の前記サブガイド部材と対向する部位に、前記サブガイド部材の溶着溶け代が溶融して接合される接合面と、前記接合面に形成された凹溝と、前記凹溝の溝壁を切り下げて形成され前記サブガイド部材の接合面との間に間隙を形成する対向面と、前記対向面を切り下げて形成された前記切り欠き部と、を有し、前記接合面が超音波溶着されることを特徴とする接合構造。
【請求項2】
流体が供給されるノーズ本体から突出した凸状流路部を有するノーズと、流体が排出されるボディー本体に前記凸状流路部が挿入される凹状連結部を有するボディーと、からなる管継手であって、
前記凹状連結部に内挿され、前記凸状流路部が前記凹状連結部に挿入されたときに前記凸状流路部をシールする環状シール部材と、
前記凹状連結部に内挿され、樹脂製の前記ボディー本体との当り面が超音波溶着される樹脂製のガイドワッシャーと、
前記ガイドワッシャーの奥側に内挿され、前記ガイドワッシャーの内側に形成された環状の切り欠き部に当接して前記シール部材が嵌まり込む溝部を形成する樹脂製のガイドサブワッシャーと、を備え、
前記ガイドワッシャーの前記ガイドサブワッシャーと対向する部位に、前記ガイドサブワッシャーと当接される接合面と、前記接合面に形成された凹溝と、前記凹溝の溝壁を切り下げて形成され前記ガイドサブワッシャーとの間に間隙を形成する対向面と、前記対向面を切り下げて形成された前記切り欠き部と、を有し、前記接合面と前記ガイドサブワッシャーとが超音波溶着されることを特徴とする管継手。
【請求項3】
環状の前記ガイドワッシャーの内周側に、環状の前記ガイドサブワッシャーが内挿される嵌め込み部を有し、前記嵌め込み部の外周に溶着溶け代を設けて前記ガイドワッシャーと前記ボディー本体とを超音波溶着することを特徴とする請求項2に記載の管継手。
【請求項4】
前記環状シール部材がOリングであることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の管継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−183782(P2006−183782A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−377927(P2004−377927)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(390034452)ブリヂストンフローテック株式会社 (80)
【Fターム(参考)】