説明

接合装置、接合方法、接合システム、プログラム及びコンピュータ記憶媒体

【課題】接着剤を介して2枚の基板を押圧によって接合する際、接合後の基板の厚みを均一なものとする。
【解決手段】第1の保持部200に保持され、接着剤Gが塗布された被処理ウェハWに、第2の保持部201に保持された支持ウェハSを押圧部材251で押圧する。押圧部材251は、複数の押圧機構252を有している。各押圧機構252の押圧部252bは、ボールねじ機構によってモータMの回転によってなされる。押圧部252bの押圧度合いは、モータMの制御によって独立して制御されるので、接合後のウェハの厚みが所定の厚みとなるモータMの積算回転数を求めておくことで、各押圧機構252の押圧部252bによる押圧を等しくすることができ、これによって接合後のウェハの厚みを均一なものとすることが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2枚の基板を接合する接合装置、接合方法、当該接合装置を有する接合システム、プログラム及びコンピュータ記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば半導体デバイスの製造プロセスにおいて、半導体ウェハ(以下、「ウェハ」とする)の大口径化が進んでいる。また、実装などの特定の工程において、ウェハの薄型化が求められている。例えば大口径で薄いウェハを、そのまま搬送したり、研磨処理すると、ウェハに反りや割れが生じる恐れがある。このため、例えばウェハを補強するために、例えば支持基板であるウェハやガラス基板にウェハを貼り付けることが行われている。
【0003】
かかるウェハと支持基板の貼り合わせは、例えば貼り合わせ装置を用いて、ウェハと支持基板との間に接着剤を介在させることにより行われている。貼り合わせ装置は、例えばウェハを保持する第一保持部材と、支持基板を保持する第二保持部材と、ウェハと支持基板との間に配置される接着剤を加熱する加熱機構と、少なくとも第一保持部材又は第二保持部材を上下方向に移動させる移動機構とを有している。そして、この貼り合わせ装置では、ウェハと支持基板との間に接着剤を供給して、当該接着剤を加熱した後、ウェハと支持基板を押圧して貼り合わせている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−182016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の貼り合わせ装置は、加熱処理に伴う熱膨張、熱変形に対処するため、保持部材側の保持機構である吸引部を複数も受けて、各吸引部の吸引力を調整するものであり、相応の効果を期待できるものであった。しかしながら、依然として押圧自体は、全体として1つの保持部材で押圧しているため、たとえば接着剤を介して接合した後、周辺部の厚みが中央部よりも厚くなるという傾向があったときに、これを是正するには至らず、さらに改善の余地があった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、たとえ接着剤を介して2枚の基板を接合する場合であっても、接合後の基板の厚みが均一になるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、本発明は、第1の保持部材に保持された基板と、第1の保持部材に対向配置された第2の保持部材に保持された基板を、前記第2の保持部材を第1の保持部材側へと押圧部材によって押圧することで、接合する接合装置であって、前記押圧部材は、前記第2の保持部材に対してその中心部を押圧自在であり、かつ当該中心部以外の部分を分散して押圧自在であることを特徴としている。
【0008】
本発明によれば、従来と異なり、前記押圧部材は、前記第2の保持部材に対して、中心部以外の部分を分散して押圧自在であるから、たとえば厚みの厚い部分に対して、他よりも押圧度合い(加圧力)を高めて押圧することが可能であり、その結果、接合後の基板の厚みを、従来よりも均一にすることが可能である。
【0009】
前記押圧部材は、複数の押圧機構を有し、各押圧機構は、前記第1の保持部材において複数に分割された領域に対して、独立して押圧自在であるようにしてもよい。分割の例としては、たとえば同心円状、放射状、これらの組み合わせ、方眼状等を挙げることができる。
【0010】
前記押圧機構は、前記領域における1又は2以上の押圧ポイントを押圧するようにしてもよい。
【0011】
前記押圧機構は、ボールねじ機構によって押圧するものであってもよい。
【0012】
前記押圧機構は、加圧空気によって押圧するベローズ又はエアシリンダとしてもよい。
【0013】
前記ボールねじの送り制御によって、各押圧機構の押圧度合いを制御するようにしてもよい。送り制御は、たとえば、ねじを回転させるサーボモータのエンコーダによる制御、パルスメータによるパルス計測に基づいた制御が例示できる。
【0014】
接合された基板の全体の厚みを複数箇所で測定し、この測定結果に基づいて、各押圧機構の押圧度合いを制御するようにしてもよい。
【0015】
前記測定結果に基づいて、さらに前記基板の温度または押圧時間の少なくとも一方を制御するようにしてもよい。
【0016】
別な観点によれば、本発明は、第1の保持部材に保持された基板と、第1の保持部材に対向配置された第2の保持部材に保持された基板を、第2の保持部材を第1の保持部材側へと押圧部材によって押圧して、接合する接合方法であって、前記押圧部材は、前記第2の保持部材に対してその中心部を押圧し、かつ当該中心部以外の部分を分散して押圧することで、接合された基板の厚さの均一性を向上させることを特徴としている。
【0017】
さらに別な観点によれば、本発明は、被処理基板と支持基板を接合する接合システムであって、被処理基板と支持基板に所定の処理を行う接合処理ステーションと、被処理基板、支持基板、又は被処理基板と支持基板が接合された重合基板を、前記接合処理ステーションに対して搬入出する搬入出ステーションと、を有し、
前記接合処理ステーションは、被処理基板又は支持基板に接着剤を塗布する塗布装置と、前記接着剤が塗布された被処理基板又は支持基板を所定の温度に加熱する熱処理装置と、前記接着剤が塗布されて所定の温度に加熱された被処理基板と接合される支持基板、又は前記接着剤が塗布されて所定の温度に加熱された支持基板と接合される被処理基板の表裏面を反転させ、前記接着剤を介して、被処理基板と支持基板とを押圧して接合する接合ユニットと、前記塗布装置、前記熱処理装置及び前記接合ユニットに対して、被処理基板、支持基板又は重合基板を搬送するための搬送領域と、を有し、前記接合ユニットは、前記した各接合装置のいずれかを有することを特徴としている。
【0018】
また別な観点による本発明は、前記接合方法を接合装置によって実行させるために、当該接合装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムである。
【0019】
さらにまた別な観点による本発明は、前記プログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、接着剤を介して2枚の基板を接合するにあたり、接合後の基板の厚みを従来よりも、均一にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施の形態にかかる接合システムの構成の概略を示す平面図である。
【図2】本実施の形態にかかる接合システムの内部構成の概略を示す側面図である。
【図3】被処理ウェハと支持ウェハの側面図である。
【図4】接合ユニットの構成の概略を示す横断面図である。
【図5】受渡部の構成の概略を示す平面図である。
【図6】受渡アームの構成の概略を示す平面図である。
【図7】受渡アームの構成の概略を示す側面図である。
【図8】反転部の構成の概略を示す平面図である。
【図9】反転部の構成の概略を示す側面図である。
【図10】反転部の構成の概略を示す側面図である。
【図11】保持アームと保持部材の構成の概略を示す側面図である。
【図12】受渡部と反転部の位置関係を示す説明図である。
【図13】搬送部の構成の概略を示す側面図である。
【図14】搬送部が接合ユニット内に配置された様子を示す説明図である。
【図15】第1の搬送アームの構成の概略を示す平面図である。
【図16】第1の搬送アームの構成の概略を示す側面図である。
【図17】第2の搬送アームの構成の概略を示す平面図である。
【図18】第2の搬送アームの構成の概略を示す側面図である。
【図19】第2の保持部に切り欠きが形成された様子を示す説明図である。
【図20】接合装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図21】接合装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図22】接合装置の押圧領域を示す平面説明図である。
【図23】塗布装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図24】塗布装置の構成の概略を示す横断面図である。
【図25】熱処理装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図26】熱処理装置の構成の概略を示す横断面図である。
【図27】接合処理の主な工程を示すフローチャートである。
【図28】第1の保持部を上昇させた様子を示す説明図である。
【図29】中央部の押圧機構のみを作動させた様子を示す説明図である。
【図30】他の押圧機構も作動させて被処理ウェハと支持ウェハを接合した様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる接合システム1の構成の概略を示す平面図である。図2は、接合システム1の内部構成の概略を示す側面図である。
【0023】
接合システム1では、図3に示すように例えば接着剤Gを介して、被処理基板としての被処理ウェハWと支持基板としての支持ウェハSとを接合する。以下、被処理ウェハWにおいて、接着剤Gを介して支持ウェハSと接合される面を表面としての「接合面W」といい、当該接合面Wと反対側の面を裏面としての「非接合面W」という。同様に、支持ウェハSにおいて、接着剤Gを介して被処理ウェハWと接合される面を表面としての「接合面S」といい、接合面Sと反対側の面を裏面としての「非接合面S」という。そして、接合システム1では、被処理ウェハWと支持ウェハSを接合して、重合基板としての重合ウェハTを形成する。なお、被処理ウェハWは、製品となるウェハであって、例えば接合面Wに複数の電子回路が形成されており、非接合面Wが研磨処理される。また、支持ウェハSは、被処理ウェハWの径と同じ径を有し、当該被処理ウェハWを支持するウェハである。なお、本実施の形態では、支持基板としてウェハを用いた場合について説明するが、例えばガラス基板等の他の基板を用いてもよい。
【0024】
接合システム1は、図1に示すように例えば外部との間で複数の被処理ウェハW、複数の支持ウェハS、複数の重合ウェハTをそれぞれ収容可能なカセットC、C、Cが搬入出される搬入出ステーション2と、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTに対して所定の処理を施す各種処理装置を備えた処理ステーション3とを一体に接続した構成を有している。
【0025】
搬入出ステーション2には、カセット載置台10が設けられている。カセット載置台10には、複数、例えば4つのカセット載置板11が設けられている。カセット載置板11は、X方向(図1中の上下方向)に一列に並べて配置されている。これらのカセット載置板11には、接合システム1の外部に対してカセットC、C、Cを搬入出する際に、カセットC、C、Cを載置することができる。このように搬入出ステーション2は、複数の被処理ウェハW、複数の支持ウェハS、複数の重合ウェハTを保有可能に構成されている。なお、カセット載置板11の個数は、本実施の形態に限定されず、任意に決定することができる。また、カセットの1つを不具合ウェハの回収用として用いてもよい。すなわち、種々の要因で被処理ウェハWと支持ウェハSとの接合に不具合が生じたウェハを、他の正常な重合ウェハTと分離することができるカセットである。本実施の形態においては、複数のカセットCのうち、1つのカセットCを不具合ウェハの回収用として用い、他方のカセットCを正常な重合ウェハTの収容用として用いている。
【0026】
搬入出ステーション2には、カセット載置台10に隣接してウェハ搬送部20が設けられている。ウェハ搬送部20には、X方向に延伸する搬送路21上を移動自在なウェハ搬送装置22が設けられている。ウェハ搬送装置22は、鉛直方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在であり、各カセット載置板11上のカセットC、C、Cと、後述する処理ステーション3の第3の処理ブロックG3のトランジション装置50、51との間で被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを搬送できる。
【0027】
処理ステーション3には、各種処理装置を備えた複数例えば3つの処理ブロックG1、G2、G3が設けられている。例えば処理ステーション3の正面側(図1中のX方向負方向側)には、第1の処理ブロックG1が設けられ、処理ステーション3の背面側(図1中のX方向正方向側)には、第2の処理ブロックG2が設けられている。また、処理ステーション3の搬入出ステーション2側(図1中のY方向負方向側)には、第3の処理ブロックG3が設けられている。
【0028】
例えば第1の処理ブロックG1には、接着剤Gを介して被処理ウェハWと支持ウェハSとを押圧して接合する接合ユニット30〜33が、搬入出ステーション2側からこの順でY方向に並べて配置されている。
【0029】
例えば第2の処理ブロックG2には、図2に示すように被処理ウェハWに接着剤Gを塗布する塗布装置40と、接着剤Gが塗布された被処理ウェハWを所定の温度に加熱する熱処理装置41〜43と、同様の熱処理装置44〜46とが、搬入出ステーション2側に向かう方向(図1中のY方向負方向)にこの順で並べて配置されている。熱処理装置41〜43と熱処理装置44〜46は、それぞれ下からこの順で3段に設けられている。なお、熱処理装置41〜46の装置数や鉛直方向及び水平方向の配置は任意に設定することができる。
【0030】
例えば第3の処理ブロックG3には、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTのトランジション装置50、51が下からこの順で2段に設けられている。
【0031】
図1に示すように第1の処理ブロックG1〜第3の処理ブロックG3に囲まれた領域には、ウェハ搬送領域60が形成されている。ウェハ搬送領域60には、例えばウェハ搬送装置61が配置されている。なお、ウェハ搬送領域60内の圧力は大気圧以上であり、当該ウェハ搬送領域60において、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTのいわゆる大気系の搬送が行われる。
【0032】
ウェハ搬送装置61は、例えば鉛直方向、水平方向(Y方向、X方向)及び鉛直軸周りに移動自在な搬送アームを有している。ウェハ搬送装置61は、ウェハ搬送領域60内を移動し、周囲の第1の処理ブロックG1、第2の処理ブロックG2及び第3の処理ブロックG3内の所定の装置に被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを搬送できる。
【0033】
次に、上述した接合ユニット30〜33の構成について説明する。接合ユニット30は、図4に示すように内部を密閉可能な処理容器100を有している。処理容器100のウェハ搬送領域60側の側面には、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの搬入出口101が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
【0034】
処理容器100の内部は、内壁102によって、前処理領域D1と接合領域D2に区画されている。上述した搬入出口101は、前処理領域D1における処理容器100の側面に形成されている。また、内壁102にも、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの搬入出口103が形成されている。
【0035】
前処理領域D1には、接合ユニット30の外部との間で被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを受け渡すための受渡部110が設けられている。受渡部110は、搬入出口101に隣接して配置されている。また受渡部110は、後述するように鉛直方向に複数、例えば2段配置され、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTのいずれか2つを同時に受け渡すことができる。例えば一の受渡部110で接合前の被処理ウェハW又は支持ウェハSを受け渡し、他の受渡部110で接合後の重合ウェハTを受け渡してもよい。あるいは、一の受渡部110で接合前の被処理ウェハWを受け渡し、他の受渡部110で接合前の支持ウェハSを受け渡してもよい。
【0036】
前処理領域D1のY方向負方向側、すなわち搬入出口103側において、受渡部110の鉛直上方には、例えば支持ウェハSの表裏面を反転させる反転部111が設けられている。なお、反転部111は、後述するように支持ウェハSの水平方向の向きを調節することもでき、また被処理ウェハWの水平方向の向きを調節することもできる。
【0037】
接合領域D2のY方向正方向側には、受渡部110、反転部111及び後述する接合装置113に対して、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを搬送する搬送部112が設けられている。搬送部112は、搬入出口103に取り付けられている。
【0038】
接合領域D2のY方向負方向側には、接着剤Gを介して被処理ウェハWと支持ウェハSとを押圧して接合する接合装置113が設けられている。
【0039】
次に、上述した受渡部110の構成について説明する。受渡部110は、図5に示すように受渡アーム120とウェハ支持ピン121とを有している。受渡アーム120は、接合ユニット30の外部、すなわちウェハ搬送装置61とウェハ支持ピン121との間で被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを受け渡すことができる。ウェハ支持ピン121は、複数、例えば3箇所に設けられ、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを支持することができる。
【0040】
受渡アーム120は、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを保持するアーム部130と、例えばモータなどを備えたアーム駆動部131とを有している。アーム部130は、略円板形状を有している。アーム駆動部131は、アーム部130をX方向(図5中の上下方向)に移動させることができる。またアーム駆動部131は、Y方向(図5中の左右方向)に延伸するレール132に取り付けられ、当該レール132上を移動可能に構成されている。かかる構成により、受渡アーム120は、水平方向(X方向及びY方向)に移動可能となっており、ウェハ搬送装置61及びウェハ支持ピン121との間で、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを円滑に受け渡すことができる。
【0041】
アーム部130上には、図6及び図7に示すように被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを支持するウェハ支持ピン140が複数、例えば4箇所に設けられている。またアーム部130上には、ウェハ支持ピン140に支持された被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの位置決めを行うガイド141が設けられている。ガイド141は、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの側面をガイドするように複数、例えば4箇所に設けられている。
【0042】
アーム部130の外周には、図5及び図6に示すように切り欠き142が例えば4箇所に形成されている。この切り欠き142により、ウェハ搬送装置61の搬送アームから受渡アーム120に被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを受け渡す際に、当該ウェハ搬送装置61の搬送アームがアーム部130と干渉するのを防止できる。
【0043】
アーム部130には、X方向に沿った2本のスリット143が形成されている。スリット143は、アーム部130のウェハ支持ピン121側の端面からアーム部130の中央部付近まで形成されている。このスリット143により、アーム部130がウェハ支持ピン121と干渉するのを防止できる。
【0044】
次に、上述した反転部111の構成について説明する。反転部111は、図8〜図10に示すように支持ウェハS、被処理ウェハWを保持する保持アーム150を有している。保持アーム150は、水平方向(図8及び図9中のX方向)に延伸している。また保持アーム150には、支持ウェハS、被処理ウェハWを保持する保持部材151が例えば4箇所に設けられている。保持部材151は、図11に示すように保持アーム150に対して水平方向に移動可能に構成されている。また保持部材151の側面には、支持ウェハS、被処理ウェハWの外周部を保持するための切り欠き152が形成されている。そして、これら保持部材151は、支持ウェハS、被処理ウェハWを挟み込んで保持することができる。
【0045】
保持アーム150は、図8〜図10に示すように例えばモータなどを備えた第1の駆動部153に支持されている。この第1の駆動部153によって、保持アーム150は水平軸周りに回動自在であり、且つ水平方向(図8及び図9中のX方向、図8及び図10のY方向)に移動できる。なお、第1の駆動部153は、保持アーム150を鉛直軸周りに回動させて、当該保持アーム150を水平方向に移動させてもよい。第1の駆動部153の下方には、例えばモータなどを備えた第2の駆動部154が設けられている。この第2の駆動部154によって、第1の駆動部153は鉛直方向に延伸する支持柱155に沿って鉛直方向に移動できる。このように第1の駆動部153と第2の駆動部154によって、保持部材151に保持された支持ウェハS、被処理ウェハWは、水平軸周りに回動できると共に鉛直方向及び水平方向に移動できる。
【0046】
支持柱155には、保持部材151に保持された支持ウェハS、被処理ウェハWの水平方向の向きを調節する位置調節機構160が支持板161を介して支持されている。位置調節機構160は、保持アーム150に隣接して設けられている。
【0047】
位置調節機構160は、基台162と、支持ウェハS、被処理ウェハWのノッチ部の位置を検出する検出部163とを有している。そして、位置調節機構160では、保持部材151に保持された支持ウェハS、被処理ウェハWを水平方向に移動させながら、検出部163で支持ウェハS、被処理ウェハWのノッチ部の位置を検出することで、当該ノッチ部の位置を調節して支持ウェハS、被処理ウェハWの水平方向の向きを調節している。
【0048】
なお、図12に示すように、以上のように構成された受渡部110は鉛直方向に2段に配置され、またこれら受渡部110の鉛直上方に反転部111が配置される。すなわち、受渡部110の受渡アーム120は、反転部111の保持アーム150と位置調節機構160の下方において水平方向に移動する。また、受渡部110のウェハ支持ピン121は、反転部111の保持アーム150の下方に配置されている。
【0049】
次に、上述した搬送部112の構成について説明する。搬送部112は、図13に示すように複数、例えば2本の搬送アーム170、171を有している。第1の搬送アーム170と第2の搬送アーム171は、鉛直方向に下からこの順で2段に配置されている。なお、第1の搬送アーム170と第2の搬送アーム171は、後述するように異なる形状を有している。
【0050】
搬送アーム170、171の基端部には、例えばモータなどを備えたアーム駆動部172が設けられている。このアーム駆動部172によって、各搬送アーム170、171は独立して水平方向に移動できる。これら搬送アーム170、171とアーム駆動部172は、基台173に支持されている。
【0051】
搬送部112は、図4及び図14に示すように処理容器100の内壁102に形成された搬入出口103に設けられている。そして、搬送部112は、例えばモータなどを備えた駆動部(図示せず)によって搬入出口103に沿って鉛直方向に移動できる。
【0052】
第1の搬送アーム170は、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの裏面(被処理ウェハW、支持ウェハSにおいては非接合面W、S)を保持して搬送する。第1の搬送アーム170は、図15に示すように先端が2本の先端部180a、180aに分岐したアーム部180と、このアーム部180と一体に形成され、且つアーム部180を支持する支持部181とを有している。
【0053】
アーム部180上には、図15及び図16に示すように樹脂製のOリング182が複数、例えば4箇所に設けられている。このOリング182が被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの裏面と接触し、当該Oリング182と被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの裏面との間の摩擦力によって、Oリング182は被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの裏面を保持する。そして、第1の搬送アーム170は、Oリング182上に被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを水平に保持することができる。
【0054】
またアーム部180上には、Oリング182に保持された被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの外側に設けられたガイド部材183、184が設けられている。第1のガイド部材183は、アーム部180の先端部180aの先端に設けられている。第2のガイド部材184は、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの外周に沿った円弧状に形成され、支持部181側に設けられている。これらガイド部材183、184によって、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTが第1の搬送アーム170から飛び出したり、滑落するのを防止することができる。なお、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTがOリング182に適切な位置で保持されている場合、当該被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTはガイド部材183、184と接触しない。
【0055】
第2の搬送アーム171は、例えば支持ウェハSの表面、すなわち接合面Sの外周部を保持して搬送する。すなわち、第2の搬送アーム171は、反転部111で表裏面が反転された支持ウェハSの接合面Sの外周部を保持して搬送する。第2の搬送アーム171は、図17に示すように先端が2本の先端部190a、190aに分岐したアーム部190と、このアーム部190と一体に形成され、且つアーム部190を支持する支持部191とを有している。
【0056】
アーム部190上には、図17及び図18に示すように第2の保持部材192が複数、例えば4箇所に設けられている。第2の保持部材192は、支持ウェハSの接合面Sの外周部を載置する載置部193と、当該載置部193から上方に延伸し、内側面が下側から上側に向かってテーパ状に拡大しているテーパ部194とを有している。載置部193は、支持ウェハSの周縁から例えば1mm以内の外周部を保持する。また、テーパ部194の内側面が下側から上側に向かってテーパ状に拡大しているため、例えば第2の保持部材192に受け渡される支持ウェハSが水平方向に所定の位置からずれていても、支持ウェハSはテーパ部194に円滑にガイドされて位置決めされ、載置部193に保持される。そして、第2の搬送アーム171は、第2の保持部材192上に支持ウェハSを水平に保持することができる。
【0057】
なお、図19に示すように、後述する接合装置113の第2の保持部201には切り欠き201aが例えば4箇所に形成されている。この切り欠き201aにより、第2の搬送アーム171から第2の保持部201に支持ウェハSを受け渡す際に、第2の搬送アーム171の第2の保持部材192が第2の保持部201に干渉するのを防止することができる。
【0058】
次に、上述した接合装置113の構成について説明する。接合装置113は、図20に示すように被処理ウェハWを上面で載置して保持する第1の保持部200と、支持ウェハSを下面で吸着保持する第2の保持部201とを有している。第1の保持部200は、第2の保持部201の下方に設けられ、第2の保持部201と対向するように配置されている。すなわち、第1の保持部200に保持された被処理ウェハWと第2の保持部201に保持された支持ウェハSは対向して配置されている。
【0059】
第1の保持部200の内部には、被処理ウェハWを吸着保持するための吸引管210が設けられている。吸引管210は、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)に接続されている。なお、第1の保持部200には、後述する加圧機構260により荷重がかけられても変形しない強度を有する材料、例えば炭化ケイ素セラミックや窒化アルミセラミックなどのセラミックが用いられる。
【0060】
また、第1の保持部200の内部には、被処理ウェハWを加熱する加熱機構211が設けられている。加熱機構211には、例えばヒータが用いられる。
【0061】
第1の保持部200の下方には、第1の保持部200及び被処理ウェハWを鉛直方向及び水平方向に移動させる移動機構220が設けられている。移動機構220は、第1の保持部200を例えば±1μmの精度で3次元移動させることができる。移動機構220は、第1の保持部200を鉛直方向に移動させる鉛直移動部221と、第1の保持部200を水平方向に移動させる水平移動部222とを有している。鉛直移動部221と水平移動部222は、例えばボールネジ(図示せず)と当該ボールネジを回動させるモータ(図示せず)とをそれぞれ有している。B
【0062】
水平移動部222上には、鉛直方向に伸縮自在の支持部材223が設けられている。支持部材223は、第1の保持部200の外側に例えば3箇所に設けられている。そして、支持部材223は、図21に示すように第2の保持部201の外周下面から下方に突出して設けられた突出部230を支持することができる。
【0063】
以上の移動機構220では、第1の保持部200上の被処理ウェハWの水平方向の位置合わせを行うことができると共に、図21に示すように第1の保持部200を上昇させて、被処理ウェハWと支持ウェハSを接合するための接合空間Rを形成することができる。この接合空間Rは、第1の保持部200、第2の保持部201及び突出部230に囲まれた空間である。また、接合空間Rを形成する際、支持部材223の高さを調整することにより、接合空間Rにおける被処理ウェハWと支持ウェハS間の鉛直方向の距離を調整することができる。
【0064】
なお、第1の保持部200の下方には、被処理ウェハW又は重合ウェハTを下方から支持し昇降させるための昇降ピン(図示せず)が設けられている。昇降ピンは第1の保持部200に形成された貫通孔(図示せず)を挿通し、第1の保持部200の上面から突出可能になっている。第2の保持部201には、弾性体である例えばアルミニウムが用いられる。
【0065】
第2の保持部201の外周下面には、図20に示すように当該外周下面から下方に突出する上述の突出部230が形成されている。突出部230は、第2の保持部201の外周に沿って形成されている。なお、突出部230は、第2の保持部201と一体に形成されていてもよい。
【0066】
突出部230の下面には、接合空間Rの気密性を保持するためのシール材231が設けられている。シール材231は、突出部230の下面に形成された溝に環状に設けられ、例えばOリングが用いられる。また、シール材231は弾性を有している。なお、シール材231は、シール機能を有する部品であればよく、本実施の形態に限定されるものではない。
【0067】
第2の保持部201の内部には、支持ウェハSを吸着保持するための吸引管240が設けられている。吸引管240は、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)に接続されている。
【0068】
また、第2の保持部201の内部には、接合空間Rの雰囲気を吸気するための吸気管241が設けられている。吸気管241の一端は、第2の保持部201の下面における支持ウェハSが保持されない場所において開口している。また、吸気管241の他端は、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)に接続されている。
【0069】
さらに、第2の保持部201の内部には、支持ウェハSを加熱する加熱機構242を有している。加熱機構242には、例えばヒータが用いられる。
【0070】
第2の保持部201の上面には、当該第2の保持部201を、第2の保持部201上方に配置された支持板236から支持する支持部材250と、第2の保持部201を鉛直下方に押圧する押圧部材251が設けられている。本実施の形態では、押圧部材251は、5つの押圧機構252を有している。各押圧機構252は、同一構成を有しており、支持板263上、あるいは支持板263の上方に配置されたモータM、モータMによって回転するシャフト252a、シャフト252aの回転によって上下動する押圧部252bを有している。そしてこの押圧部252bは、ボールねじ機構によって、シャフト252aの回転により上下動する。各押圧部252bによって、第2の保持部201を直接押圧するようにしてもよいが、本実施の形態では、スペーサ253を介して、第2の保持部201を押圧するようになっている。
【0071】
スペーサ253は、5分割されている。すなわち、図22に示したように、中心部の円形のスペーサ253aの外周に、中心角90度の4つの円弧状のスペーサ253b〜253eが配置されている。そして押圧機構252の押圧部252bは、これら各スペーサ253a〜253eの領域内の中央部分を押圧するようになっている。
【0072】
各押圧機構252の押圧部252bによる押圧度合い、すなわちモータMの制御は、後述の制御部360によってなされる。たとえば、モータMとしてパルスモータを使用した場合にはパルスのカウントにより、サーボモータを使用した場合には、エンコーダに基づいて制御することにより、押圧部252bによる押圧度合いを微細にかつ各押圧部252bを独立して制御することが可能である。
【0073】
なお、接合ユニット31〜33の構成は、上述した接合ユニット30の構成と同様であるので説明を省略する。
【0074】
次に、上述した塗布装置40の構成について説明する。塗布装置40は、図23に示すように内部を密閉可能な処理容器270を有している。処理容器270のウェハ搬送領域60側の側面には、被処理ウェハWの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
【0075】
処理容器270内の中央部には、被処理ウェハWを保持して回転させるスピンチャック280が設けられている。スピンチャック280は、水平な上面を有し、当該上面には、例えば被処理ウェハWを吸引する吸引口(図示せず)が設けられている。この吸引口からの吸引により、被処理ウェハWをスピンチャック280上に吸着保持できる。
【0076】
スピンチャック280の下方には、例えばモータなどを備えたチャック駆動部281が設けられている。スピンチャック280は、チャック駆動部281により所定の速度に回転できる。また、チャック駆動部281には、例えばシリンダなどの昇降駆動源が設けられており、スピンチャック280は昇降自在になっている。
【0077】
スピンチャック280の周囲には、被処理ウェハWから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するカップ282が設けられている。カップ282の下面には、回収した液体を排出する排出管283と、カップ282内の雰囲気を真空引きして排気する排気管284が接続されている。
【0078】
図24に示すようにカップ282のX方向負方向(図24中の下方向)側には、Y方向(図24中の左右方向)に沿って延伸するレール290が形成されている。レール290は、例えばカップ282のY方向負方向(図24中の左方向)側の外方からY方向正方向(図24中の右方向)側の外方まで形成されている。レール290には、アーム291が取り付けられている。
【0079】
アーム291には、図23及び図24に示すように被処理ウェハWに液体状の接着剤Gを供給する接着剤ノズル293が支持されている。アーム291は、図24に示すノズル駆動部294により、レール290上を移動自在である。これにより、接着剤ノズル293は、カップ282のY方向正方向側の外方に設置された待機部295からカップ282内の被処理ウェハWの中心部上方まで移動でき、さらに当該被処理ウェハW上を被処理ウェハWの径方向に移動できる。また、アーム291は、ノズル駆動部294によって昇降自在であり、接着剤ノズル293の高さを調節できる。
【0080】
接着剤ノズル293には、図23に示すように当該接着剤ノズル293に接着剤Gを供給する供給管296が接続されている。供給管296は、内部に接着剤Gを貯留する接着剤供給源297に連通している。また、供給管296には、接着剤Gの流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群298が設けられている。
【0081】
なお、スピンチャック280の下方には、被処理ウェハWの裏面、すなわち非接合面Wに向けて洗浄液を噴射するバックリンスノズル(図示せず)が設けられていてもよい。このバックリンスノズルから噴射される洗浄液によって、被処理ウェハWの非接合面Wと被処理ウェハWの外周部が洗浄される。
【0082】
次に、上述した熱処理装置41〜46の構成について説明する。熱処理装置41は、図25に示すように内部を閉鎖可能な処理容器300を有している。処理容器300のウェハ搬送領域60側の側面には、被処理ウェハWの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
【0083】
処理容器300の天井面には、当該処理容器300の内部に例えば窒素ガスなどの不活性ガスを供給するガス供給口301が形成されている。ガス供給口301には、ガス供給源302に連通するガス供給管303が接続されている。ガス供給管303には、不活性ガスの流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群304が設けられている。
【0084】
処理容器300の底面には、当該処理容器300の内部の雰囲気を吸引する吸気口305が形成されている。吸気口305には、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置306に連通する吸気管307が接続されている。
【0085】
処理容器300の内部には、被処理ウェハWを加熱処理する加熱部310と、被処理ウェハWを温度調節する温度調節部311が設けられている。加熱部310と温度調節部311はY方向に並べて配置されている。
【0086】
加熱部310は、熱板320を収容して熱板320の外周部を保持する環状の保持部材321と、その保持部材321の外周を囲む略筒状のサポートリング322を備えている。熱板320は、厚みのある略円盤形状を有し、被処理ウェハWを載置して加熱することができる。また、熱板320には、例えばヒータ323が内蔵されている。熱板320の加熱温度は例えば制御部360により制御され、熱板320上に載置された被処理ウェハWが所定の温度に加熱される。
【0087】
熱板320の下方には、被処理ウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン330が例えば3本設けられている。昇降ピン330は、昇降駆動部331により上下動できる。熱板320の中央部付近には、当該熱板320を厚み方向に貫通する貫通孔332が例えば3箇所に形成されている。そして、昇降ピン330は貫通孔332を挿通し、熱板320の上面から突出可能になっている。
【0088】
温度調節部311は、温度調節板340を有している。温度調節板340は、図26に示すように略方形の平板形状を有し、熱板320側の端面が円弧状に湾曲している。温度調節板340には、Y方向に沿った2本のスリット341が形成されている。スリット341は、温度調節板340の熱板320側の端面から温度調節板340の中央部付近まで形成されている。このスリット341により、温度調節板340が、加熱部310の昇降ピン330及び後述する温度調節部311の昇降ピン350と干渉するのを防止できる。また、温度調節板340には、例えばペルチェ素子などの温度調節部材(図示せず)が内蔵されている。温度調節板340の冷却温度は例えば制御部360により制御され、温度調節板340上に載置された被処理ウェハWが所定の温度に冷却される。
【0089】
温度調節板340は、図25に示すように支持アーム342に支持されている。支持アーム342には、駆動部343が取り付けられている。駆動部343は、Y方向に延伸するレール344に取り付けられている。レール344は、温度調節部311から加熱部310まで延伸している。この駆動部343により、温度調節板340は、レール344に沿って加熱部310と温度調節部311との間を移動可能になっている。
【0090】
温度調節板340の下方には、被処理ウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン350が例えば3本設けられている。昇降ピン350は、昇降駆動部351により上下動できる。そして、昇降ピン350はスリット341を挿通し、温度調節板340の上面から突出可能になっている。
【0091】
なお、熱処理装置42〜46の構成は、上述した熱処理装置41の構成と同様であるので説明を省略する。
【0092】
また、熱処理装置41〜46では、重合ウェハTの温度調節もすることができる。さらに、重合ウェハTの温度調節をするために、温度調節装置(図示せず)を設けてもよい。温度調節装置は、上述した熱処理装置41と同様の構成を有し、熱板330に代えて、温度調節板が用いられる。温度調節板の内部には、例えばペルチェ素子などの冷却部材が設けられており、温度調節板を設定温度に調節できる。
【0093】
以上の接合システム1には、図1に示すように制御部360が設けられている。制御部360は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、接合システム1における被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの処理、接合装置113の押圧機構252を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、接合システム1における後述の接合処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、その記憶媒体Hから制御部360にインストールされたものであってもよい。
【0094】
次に、以上のように構成された接合システム1を用いて行われる被処理ウェハWと支持ウェハSの接合処理方法について説明する。図27は、かかる接合処理の主な工程の例を示すフローチャートである。
【0095】
先ず、複数枚の被処理ウェハWを収容したカセットC、複数枚の支持ウェハSを収容したカセットC、及び空のカセットCが、搬入出ステーション2の所定のカセット載置板11に載置される。その後、ウェハ搬送装置22によりカセットC内の被処理ウェハWが取り出され、処理ステーション3の第3の処理ブロックG3のトランジション装置50に搬送される。このとき、被処理ウェハWは、その非接合面Wが下方を向いた状態で搬送される。
【0096】
次に被処理ウェハWは、ウェハ搬送装置61によって塗布装置40に搬送される。塗布装置40に搬入された被処理ウェハWは、ウェハ搬送装置61からスピンチャック280に受け渡され吸着保持される。このとき、被処理ウェハWの非接合面Wが吸着保持される。
【0097】
続いて、アーム291によって待機部295の接着剤ノズル293を被処理ウェハWの中心部の上方まで移動させる。その後、スピンチャック280によって被処理ウェハWを回転させながら、接着剤ノズル293から被処理ウェハWの接合面Wに接着剤Gを供給する。供給された接着剤Gは遠心力により被処理ウェハWの接合面Wの全面に拡散されて、当該被処理ウェハWの接合面Wに接着剤Gが塗布される(図27の工程A1)。
【0098】
次に被処理ウェハWは、ウェハ搬送装置61によって熱処理装置41に搬送される。このとき熱処理装置41の内部は、不活性ガスの雰囲気に維持されている。熱処理装置41に被処理ウェハWが搬入されると、重合ウェハTはウェハ搬送装置61から予め上昇して待機していた昇降ピン350に受け渡される。続いて昇降ピン350を下降させ、被処理ウェハWを温度調節板340に載置する。
【0099】
その後、駆動部343により温度調節板340をレール344に沿って熱板320の上方まで移動させ、被処理ウェハWは予め上昇して待機していた昇降ピン330に受け渡される。その後、昇降ピン330が下降して、被処理ウェハWが熱板320上に載置される。そして、熱板320上の被処理ウェハWは、所定の温度、例えば100℃〜300℃に加熱される(図27の工程A2)。かかる熱板320による加熱を行うことで被処理ウェハW上の接着剤Gが加熱され、当該接着剤Gが硬化する。
【0100】
その後、昇降ピン330が上昇すると共に、温度調節板340が熱板320の上方に移動する。続いて被処理ウェハWが昇降ピン330から温度調節板340に受け渡され、温度調節板340がウェハ搬送領域60側に移動する。この温度調節板340の移動中に、被処理ウェハWは所定の温度に温度調節される。
【0101】
熱処理装置41で熱処理された被処理ウェハWは、ウェハ搬送装置61によって接合ユニット30に搬送される。接合ユニット30に搬送された被処理ウェハWは、ウェハ搬送装置61から受渡部110の受渡アーム120に受け渡された後、さらに受渡アーム120からウェハ支持ピン121に受け渡される。その後、被処理ウェハWは、搬送部112の第1の搬送アーム170によってウェハ支持ピン121から反転部111に搬送される。
【0102】
反転部111に搬送された被処理ウェハWは、保持部材151に保持され、位置調節機構160に移動される。そして、位置調節機構160において、被処理ウェハWのノッチ部の位置を調節して、当該被処理ウェハWの水平方向の向きが調節される(図27の工程A3)。
【0103】
その後、被処理ウェハWは、搬送部112の第1の搬送アーム170によって反転部111から接合装置113に搬送される。接合装置113に搬送された被処理ウェハWは、第1の保持部200に載置される(図27の工程A4)。第1の保持部200上では、被処理ウェハWの接合面Wが上方を向いた状態、すなわち接着剤Gが上方を向いた状態で被処理ウェハWが載置される。
【0104】
被処理ウェハWに上述した工程A1〜A4の処理が行われている間、当該被処理ウェハWに続いて支持ウェハSの処理が行われる。支持ウェハSは、ウェハ搬送装置61によって接合ユニット30に搬送される。なお、支持ウェハSが接合ユニット30に搬送される工程については、上記実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0105】
接合ユニット30に搬送された支持ウェハSは、ウェハ搬送装置61から受渡部110の受渡アーム120に受け渡された後、さらに受渡アーム120からウェハ支持ピン121に受け渡される。その後、支持ウェハSは、搬送部112の第1の搬送アーム170によってウェハ支持ピン121から反転部111に搬送される。
【0106】
反転部111に搬送された支持ウェハSは、保持部材151に保持され、位置調節機構160に移動される。そして、位置調節機構160において、支持ウェハSのノッチ部の位置を調節して、当該支持ウェハSの水平方向の向きが調節される(図27の工程A5)。水平方向の向きが調節された支持ウェハSは、位置調節機構160から水平方向に移動され、且つ鉛直方向上方に移動された後、その表裏面が反転される(図27の工程A6)。すなわち、支持ウェハSの接合面Sが下方に向けられる。
【0107】
その後、支持ウェハSは、鉛直方向下方に移動された後、搬送部112の第2の搬送アーム171によって反転部111から接合装置113に搬送される。このとき、第2の搬送アーム171は、支持ウェハSの接合面Sの外周部のみを保持しているので、例えば第2の搬送アーム171に付着したパーティクル等によって接合面Sが汚れることはない。接合装置113に搬送された支持ウェハSは、第2の保持部201に吸着保持される(図27の工程A7)。第2の保持部201では、支持ウェハSの接合面Sが下方を向いた状態で支持ウェハSが保持される。
【0108】
接合ユニット30において、被処理ウェハWと支持ウェハSがそれぞれ第1の保持部200と第2の保持部201に保持されると、被処理ウェハWが支持ウェハSに対向するように、移動機構220により第1の保持部200の水平方向の位置が調整される(図27の工程A8)。なお、このとき、第2の保持部201と支持ウェハSとの間の圧力は例えば0.1気圧(=0.01MPa)である。
【0109】
次に、図28に示すように移動機構220によって第1の保持部200を上昇させると共に、支持部材223を伸長させて第2の保持部201が支持部材223に支持される。この際、支持部材223の高さを調整することにより、被処理ウェハWと支持ウェハSとの鉛直方向の距離が所定の距離になるように調整される(図27の工程A9)。なお、この所定の距離は、シール材231が第1の保持部200に接触し、且つ後述するように第2の保持部201及び支持ウェハSの中心部が撓んだ際に、支持ウェハSの中心部が被処理ウェハWに接触する高さである。このようにして、第1の保持部200と第2の保持部201との間に密閉された接合空間Rが形成される。その後、吸気管241から接合空間Rに存在するぼ委どの原因となる空気を吸引して排出する。
【0110】
その後、まず中央部分の押圧機構252を作動させて、スペーサー253aを介して、押圧部252bによって第2の保持部201を鉛直方向下方、すなわち第1の保持部200側へと押圧する。そうすると、図29に示すように第2の保持部201の中心部が撓み、それと共に第2の保持部201に保持された支持ウェハSの中心部も撓んでいき、支持ウェハSの中心部が、被処理ウェハWの接合面Wの中央部分と当接する。
【0111】
その後、残りの周囲の押圧機構252を作動させて、スペーサー253b〜253eを介して、押圧部252bによって第2の保持部201を鉛直方向下方に押圧することで、図30に示すように支持ウェハSの接合面全面が被処理ウェハWの接合面全面に当接する。このように中心部分を押圧し、その後に周辺部分を押圧することで、接合空間R内にボイドとなりうる空気が存在している場合でも、空気は支持ウェハSが被処理ウェハWと当接している箇所より常に外側に存在することになり、当該空気を被処理ウェハWと支持ウェハSとの間から逃がすことができる。こうしてボイドの発生を抑制しつつ、被処理ウェハWと支持ウェハSは接着剤Gにより接着される(図27の工程A10)。
【0112】
その後、図30に示すように、支持部材223の高さを調整し、第2の保持部201の下面を支持ウェハSの非接合面Sに接触させる。このとき、シール材231が弾性変形し、第1の保持部200と第2の保持部201が密着する。そして、加熱機構211、152により被処理ウェハWと支持ウェハSを所定の温度、例えば200℃で加熱しながら、さらに各押圧機構252の各押圧部252bによって第2の保持部201を所定の圧力、例えば0.5MPaで下方に押圧する。そうすると、被処理ウェハWと支持ウェハSがより強固に接着され、接合される(図27の工程A11)。
【0113】
このとき、各押圧機構252の各押圧部252bによる加圧度合い、すなわち押圧度合いは、モータMの制御によって行なうことが可能である。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSを接合した際の重合ウェハTの厚さを、全体として均一にすることが容易である。
【0114】
すなわち、所望の重合ウェハTの厚みに達する際の所定の押圧開始時点からの押圧度合い、つまりモータのM積算回転数(たとえばバルスモータの場合には積算パルス数やサーボモータの場合には、エンコーダ)を予め計測しておき、所定位置からの押圧開始時点から、所定の積算回転数に達した時点で押圧機構252のモータMを停止させることで、各押圧機構252が担当する領域(本実施の形態の場合には、スペーサー253a〜253eに対応する、5分割された領域)を全て等しく押圧することができる。したがって、所望の重合ウェハTの厚みを、均一なものとすることが可能である。
【0115】
このようにして被処理ウェハWと支持ウェハSが接合された重合ウェハTは、搬送部112の第1の搬送アーム170によって接合装置110から受渡部110に搬送される。受渡部110に搬送された重合ウェハTは、ウェハ支持ピン121を介して受渡アーム120に受け渡され、さらに受渡アーム120からウェハ搬送装置61に受け渡される。
【0116】
次に重合ウェハTは、ウェハ搬送装置61によって熱処理装置42に搬送される。そして、熱処理装置42において、重合ウェハTは所定の温度、例えば常温(23℃)に温度調節される。その後、重合ウェハTは、ウェハ搬送装置61によってトランジション装置51に搬送され、その後搬入出ステーション2のウェハ搬送装置22によって所定のカセット載置板11のカセットCに搬送される。こうして、一連の被処理ウェハWと支持ウェハSの接合処理が終了する。
【0117】
以上の実施の形態によれば、塗布装置40と熱処理装置41において、被処理ウェハWを順次処理して当該被処理ウェハWに接着剤Gを塗布して所定の温度に加熱すると共に、接合ユニット30において支持ウェハSの表裏面を反転させる。その後、接合ユニット30において、接着剤Gが塗布されて所定の温度に加熱された被処理ウェハWと表裏面が反転された支持ウェハSとを接合する。このように本実施の形態によれば、被処理ウェハWと支持ウェハSを並行して処理することができる。また、接合ユニット30において被処理ウェハWと支持ウェハSを接合する間に、塗布装置40、熱処理装置41及び接合ユニット30において、別の被処理ウェハWと支持ウェハSを処理することもできる。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSの接合を効率よく行うことができ、接合処理のスループットを向上させることができる。
【0118】
ここで、上述した特許文献1の貼り合わせ装置を用いた場合、当該貼り合わせ装置の外部でウェハの表裏面を反転させる必要がある。かかる場合、ウェハの表裏面を反転させた後、当該ウェハを貼り合わせ装置に搬送する必要があるため、接合処理全体のスループットに改善の余地があった。また、ウェハの表裏面を反転させると、ウェハの接合面が下方を向く。かかる場合に、通常のウェハの裏面を保持する搬送装置を用いた場合、ウェハの接合面が搬送装置に保持されることになり、例えば搬送装置にパーティクル等が付着している場合、当該パーティクルがウェハの接合面に付着するおそれがあった。さらに、特許文献1の貼り合わせ装置は、ウェハと支持基板の水平方向の向きを調節する機能を備えておらず、ウェハと支持基板がずれて接合されるおそれがあった。
【0119】
この点、本実施の形態によれば、接合ユニット30内に反転部111と接合装置113の両方が設けられているので、支持ウェハSを反転させた後、搬送部112によって当該支持ウェハSを直ちに接合装置113に搬送することができる。このように一の接合ユニット30内で、支持ウェハSの反転と、被処理ウェハWと支持ウェハSの接合とを共に行っているので、被処理ウェハWと支持ウェハSの接合を効率よく行うことができる。したがって、接合処理のスループットをより向上させることができる。
【0120】
また、搬送部112の第2の搬送アーム171は、支持ウェハSの接合面Sの外周部を保持するので、例えば第2の搬送アーム171に付着したパーティクル等によって接合面Sが汚れることはない。また、搬送部112の第1の搬送アーム170は、被処理ウェハWの非接合面W、支持ウェハSの接合面S、重合ウェハTの裏面を保持して搬送する。このように搬送部112は、2種類の搬送アーム170、171を備えているので、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを効率よく搬送することができる。
【0121】
また、第2の搬送アーム171において、第2の保持部材192のテーパ部194は内側面が下側から上側に向かってテーパ状に拡大しているので、例えば第2の保持部材192に受け渡される支持ウェハSが水平方向に所定の位置からずれていても、テーパ部194によって支持ウェハSを円滑にガイドして位置決めすることができる。
【0122】
また、第1の搬送アーム170において、アーム部180上にはガイド部材183、184が設けられているので、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTが第1の搬送アーム170から飛び出したり、滑落するのを防止することができる。
【0123】
また、反転部720は、第1の駆動部153によって支持ウェハSの表裏面を反転させると共に、位置調節機構160によって支持ウェハSと被処理ウェハWの水平方向の向きを調節することができる。したがって、接合装置113において支持ウェハSと被処理ウェハWを適切に接合することができる。また、接合装置113において、一の反転部111において、支持ウェハSの反転と、支持ウェハSと被処理ウェハWの水平方向の向きの調節とを共に行っているので、被処理ウェハWと支持ウェハSの接合を効率よく行うことができる。したがって、接合処理のスループットをより向上させることができる。
【0124】
また、受渡部110は、鉛直方向に2段に配置されているので、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTのいずれか2つを同時に受け渡すことができる。したがって、接合ユニット30の外部との間で、これら被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを効率よく受け渡すことができ、接合処理のスループットをより向上させることができる。
【0125】
また、熱処理装置41の内部は、不活性ガス雰囲気に維持可能であるので、被処理ウェハW上に酸化膜が形成されるのを抑制することができる。このため、被処理ウェハWの熱処理を適切に行うことができる。
【0126】
以上の実施の形態では、被処理ウェハWを下側に配置し、且つ支持ウェハSを上側に配置した状態で、これら被処理ウェハWと支持ウェハSを接合していたが、被処理ウェハWと支持ウェハSの上下配置を反対にしてもよい。かかる場合、上述した工程A1〜A4を支持ウェハSに対して行い、当該支持ウェハSの接合面Sに接着剤Gを塗布する。また、上述した工程A5〜A7を被処理ウェハWに対して行い、当該被処理ウェハWの表裏面を反転させる。そして、上述した工程A8〜A11を行い、支持ウェハSと被処理ウェハWを接合する。但し、被処理ウェハW上の電子回路等を保護する観点から、被処理ウェハW上に接着剤Gを塗布するのが好ましい。
【0127】
また、以上の実施の形態では、塗布装置40において被処理ウェハWと支持ウェハSのいずれか一方に接着剤Gを塗布していたが、被処理ウェハWと支持ウェハSの両方に接着剤Gを塗布してもよい。
【0128】
以上の実施の形態では、工程A3において被処理ウェハWを所定の温度100℃〜300℃に加熱していたが、被処理ウェハWの熱処理を2段階で行ってもよい。例えば熱処理装置41において、第1の熱処理温度、例えば100℃〜150℃に加熱した後、熱処理装置44において第2の熱処理温度、例えば150℃〜300℃に加熱する。かかる場合、熱処理装置41と熱処理装置44における加熱機構自体の温度を一定にできる。したがって、当該加熱機構の温度調節をする必要がなく、被処理ウェハWと支持ウェハSの接合処理のスループットをさらに向上させることができる。
【0129】
また以上の実施の形態における接合装置131では、押圧機構252として、ボールねじ機構を採用して押圧するようにしていたが、これに代えて、エアシリンダーや加圧ベローズを用いてもよい。かかる場合、押圧度合いの制御は、これらエアシリンダーや加圧ベローズ内に供給するエアの圧力制御によって行なうことが可能である。
【0130】
またかかる場合も、各エアシリンダーや加圧ベローズを制御可能としておくことで、接合後の重合ウェハTの厚みを均一にすることが可能である。かかる場合、各々独立して制御可能としておくことが好ましい。そしてたとえば、接合状態をモニタリングするセンサ、撮像装置等によって、ウェハの複数個所の厚みを測定しておき、厚みが所定の厚みよりも厚くなったり、逆に薄くなったりする領域を担当するエアシリンダーや加圧ベローズのエアの圧力を制御することで、全体として均一な厚みの重合ウェハTを実現することができる。
【0131】
前記実施の形態では、押圧度合いのみを制御するようにしていたが、それと共に、押圧時間やウェハの温度を制御するようにしてもよい。
【0132】
また前記接合装置131では、押圧装置251の押圧機構252による分散させた押圧は、スペーサー253a〜253eに対応する、中央の円形部分と、その周囲の円弧状部分とに5分割されていたが、分散させて押圧するにあたっては、各種の分割態様が採用できる。たとえば、複数の同心円状に分割したり、あるいは放射状に分割したり、さらには、同心円状と放射状とを組み合わせた分割態様としてもよい。さらには、方眼状に分割されたものであってもよい。
【0133】
また前記実施の形態では、分割された領域においては、各々1つの押圧ポイント、すなわち押圧部252bが当接する地点が1箇所のみ設定されていたが、分割された領域に2以上の押圧ポイントを設定してもよい。
【0134】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、被処理基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。また、本発明は、支持基板がウェハ以外のガラス基板など他の基板である場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0135】
1 接合システム
2 搬入出ステーション
3 処理ステーション
30〜33 接合ユニット
40 塗布装置
41〜46 熱処理装置
60 ウェハ搬送領域
110 受渡部
111 反転部
112 搬送部
113 接合装置
150 保持アーム
151 保持部材
152 切り欠き
153 第1の駆動部
154 第2の駆動部
160 位置調節機構
170 第1の搬送アーム
171 第2の搬送アーム
182 Oリング
183 第1のガイド部材
184 第2のガイド部材
192 第2の保持部材
193 載置部
194 テーパ部
251 押圧部材
252 押圧機構
253 スペーサー
301 ガス供給口
305 吸気口
360 制御部
370 検査装置
410 基板処理システム
420 剥離システム
421 搬入出ステーション
422 剥離処理ステーション
423 後処理ステーション
424 インターフェイスステーション
425 ウェハ搬送領域
440 第1の搬送装置
450 剥離装置
451 第1の洗浄装置
452 第2の搬送装置
453 第2の洗浄装置
461 第3の搬送装置
630 ベルヌーイチャック
640 検査装置
G 接着剤
M モーター
S 支持ウェハ
T 重合ウェハ
W 被処理ウェハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の保持部材に保持された基板と、第1の保持部材に対向配置された第2の保持部材に保持された基板を、前記第2の保持部材を第1の保持部材側へと押圧部材によって押圧することで、接合する接合装置であって、
前記押圧部材は、前記第2の保持部材に対してその中心部を押圧自在であり、かつ当該中心部以外の部分を分散して押圧自在であることを特徴とする、接合装置。
【請求項2】
前記押圧部材は、複数の押圧機構を有し、各押圧機構は、前記第1の保持部材において複数に分割された領域に対して、独立して押圧自在であることを特徴とする、請求項1に記載の接合装置。
【請求項3】
前記押圧機構は、前記領域における1又は2以上の押圧ポイントを押圧することを特徴とする、請求項2に記載の接合装置。
【請求項4】
前記押圧機構は、ボールねじ機構によって押圧するものであることを特徴とする、請求項2又は3に記載の接合装置。
【請求項5】
前記押圧機構は、加圧空気によって押圧するベローズ又はエアシリンダであることを特徴とする、請求項2又は3に記載の接合装置。
【請求項6】
前記ボールねじの送り制御によって、各押圧機構の押圧度合いを制御することを特徴とする、請求項4に記載の接合装置。
【請求項7】
接合された基板の全体の厚みを複数箇所で測定し、この測定結果に基づいて、各押圧機構の押圧度合いを制御することを特徴とする、請求項4又は5に記載の接合装置。
【請求項8】
前記測定結果に基づいて、さらに前記基板の温度または押圧時間の少なくとも一方を制御することを特徴とする、請求項7に記載の接合装置。
【請求項9】
第1の保持部材に保持された基板と、第1の保持部材に対向配置された第2の保持部材に保持された基板を、第2の保持部材を第1の保持部材側へと押圧部材によって押圧して、接合する接合方法であって、
前記押圧部材は、前記第2の保持部材に対して、その中心部を押圧し、かつ当該中心部以外の部分を分散して押圧することで、接合された基板の厚さの均一性を向上させることを特徴とする、接合方法。
【請求項10】
被処理基板と支持基板を接合する接合システムであって、
被処理基板と支持基板に所定の処理を行う接合処理ステーションと、
被処理基板、支持基板、又は被処理基板と支持基板が接合された重合基板を、前記接合処理ステーションに対して搬入出する搬入出ステーションと、を有し、
前記接合処理ステーションは、
被処理基板又は支持基板に接着剤を塗布する塗布装置と、
前記接着剤が塗布された被処理基板又は支持基板を所定の温度に加熱する熱処理装置と、
前記接着剤が塗布されて所定の温度に加熱された被処理基板と接合される支持基板、又は前記接着剤が塗布されて所定の温度に加熱された支持基板と接合される被処理基板の表裏面を反転させ、前記接着剤を介して、被処理基板と支持基板とを押圧して接合する接合ユニットと、
前記塗布装置、前記熱処理装置及び前記接合ユニットに対して、被処理基板、支持基板又は重合基板を搬送するための搬送領域と、を有し、
前記接合ユニットは、請求項1〜8のいずれかに記載の接合装置を有することを特徴とする、接合システム。
【請求項11】
請求項9に記載の接合方法を接合装置によって実行させるために、当該接合装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2013−62431(P2013−62431A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200753(P2011−200753)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】