揺動アクチュエータ装置およびレーザ加工装置
【課題】簡単な構成でマグネット温度を制御し、トルク定数の変動を抑制することができる揺動アクチュエータ装置及びこのような揺動アクチュエータ装置を使用したレーザ加工装置を提供すること。
【解決手段】回転軸12と回転軸12の回りに配置されたマグネット13とからなる回転子と、この回転子の周りに配置されコイル14と、コイル14に電流を供給する電流供給手段とを備える揺動アクチュエータ装置において、電流供給手段を回転子を回転させる電流に加えて高周波電流を供給できる電流供給手段35にすると共に、マグネット13の温度を測定ための温度検出手段を設け、温度検出手段の測定結果に基づいて電流供給手段35がコイル14に供給する電流に高周波電流を重畳することによりマグネット13の温度を制御する。
【解決手段】回転軸12と回転軸12の回りに配置されたマグネット13とからなる回転子と、この回転子の周りに配置されコイル14と、コイル14に電流を供給する電流供給手段とを備える揺動アクチュエータ装置において、電流供給手段を回転子を回転させる電流に加えて高周波電流を供給できる電流供給手段35にすると共に、マグネット13の温度を測定ための温度検出手段を設け、温度検出手段の測定結果に基づいて電流供給手段35がコイル14に供給する電流に高周波電流を重畳することによりマグネット13の温度を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルを固定子とし、永久磁石を回転子として回転軸に固定し、回転子を予め定める角度範囲内で揺動させる揺動アクチュエータ装置及びこのような揺動アクチュエータ装置を使用したレーザ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図2は、一般的なムービングマグネット式ガルバノスキャナの断面図である。ガルバノスキャナはガルバノミラーを揺動させる揺動アクチュエータ装置であり、ガルバノミラーを駆動するための回転軸12とその外側に取り付けられたマグネット13で回転子が形成されている。また、回転子の外側に巻かれたコイル14と磁気回路を構成する珪素鋼板(ヨーク)18とで固定子が形成されている。回転子および固定子は外筒19に収納されている。回転軸12はベアリング17によって固定子側に回転自在に支持されている。回転軸12の一方の端部にはガルバノミラー4が取り付けられている。回転軸12の他方の端部には、回転軸12の回転角度を検出するためのエンコーダが取り付けられている。エンコーダは回転軸12に取り付けられたグレーチング15とグレーチング15上のスリットを読み取るための光学ピックアップ16とで構成されている。そして、コイル14に電流を流すことで、マグネット13に電磁力が発生し、そのトルクで軸12が回転する。
【0003】
近年、電気製品の高集積化が進み、プリント基板に加工する穴の径は小さくなる傾向にある。小径の穴を加工するためには、レーザの直径を大きくする必要があり、これに伴ってガルバノミラー等を大型化する必要がある。大型のガルバノミラーを揺動させるには大きなトルクが必要となり、駆動電流も大きくなるため、コイルで発生するジュール発熱によりコイル及びその近傍の構造物が加熱されて温度が上昇する。また、加工スループットの向上のために、穴を明ける速度は、年々高速化しているが、大型のガルバノミラーを高速に動かせば動かすほど、さらにその発熱は大きくなる。発熱に伴い、マグネットの温度が上昇すると、マグネットの磁力が低下してトルク定数が減少してしまい、制御性が低下して位置決め精度が悪化する。このような問題を回避するために、加工順序等を調整してコイルの発熱を平均化したガルバノスキャナがある(特許文献1)。
【0004】
また、高速回転型のスピンドルモータ等では、低温環境下におけるベアリングの摩擦の増大を回避するために、加熱用のヒーターを設けたスピンドルモータがある(特許文献2)。同様な技術により、ヒータによってガルバノスキャナの全体の温度を調節することができるガルバノスキャナもある。
【特許文献1】特開2003−329960号公報
【特許文献2】特開2006−115688号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の技術を採用すると、加工スループットが低下する場合がある。また、特許文献2の技術を採用すると、ヒータとヒータ用電源およびコントローラが別途必要となり高価なシステムとなる。
【0006】
本発明の目的は、簡単な構成でマグネット温度を制御し、トルク定数の変動を抑制することができる揺動アクチュエータ装置及びこのような揺動アクチュエータ装置を使用したレーザ加工装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の第1の手段は、回転軸とこの回転軸の回りに配置されたマグネットとからなる回転子と、該回転子の周りに配置されコイルとヨークとからなる固定子と、前記回転子と前記固定子を収納するハウジングと、前記コイルに電流を供給する電流供給手段と、を備え、前記コイルに供給する電流を制御することにより前記回転子を予め定める角度範囲内で揺動させる揺動アクチュエータ装置において、前記マグネットの温度を測定または推定するための温度検出手段と、高周波電流供給手段と、を設け、前記温度検出手段の測定結果に基づいて前記電流供給手段が前記コイルに供給する電流に前記高周波電流を重畳することにより前記マグネットの温度を制御することを特徴とする。
【0008】
この場合、前記高周波電流の周波数としては、前記回転子を駆動する電流の周波数の2倍以上で1MHz以下とすることができる。
【0009】
また、前記高周波電流の周波数は、前記回転子の共振周波数と異なる周波数帯とすることができる。
【0010】
そして、前記温度検出手段として、前記回転子の運転情報により前記コイルの発熱量を計算し、得られた発熱量から前記マグネット温度を推定するものとすることができる。
【0011】
また、本発明の第2の手段は、揺動アクチュエータ装置を備えるレーザ加工装置において、前記揺動アクチュエータ装置が請求項1ないし4のいずれか1項に記載の揺動アクチュエータ装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ガルバノスキャナのトルク定数が一定となるので、位置制御性と位置決め精度が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明はガルバノスキャナのコイルに高周波電流を流し、その誘導によりマグネットに渦電流を発生させてマグネットを発熱させることで温度を調節するものである。以下、本発明の原理を説明する。
【0014】
図3は図2で説明したガルバノスキャナのマグネットとコイルの近傍を立体的に示した図であり、マグネット13と回転軸12は全体が、コイル14、珪素鋼板18および外筒19は半分にカットされたものが、それぞれ示されている。また、図4は回転軸12を立体的に示した図である。
【0015】
上記のようなガルバノスキャナでは、ガルバノミラーを最高2.5kHz程度で駆動するが、コイル14に供給する電流はその数倍程度である10kHz以下の交流成分を持っている。この電流の交流成分に対して、近接した構造物に渦電流が発生すると、コイル14が発生する磁場が打ち消されることにより発生するトルクが減少する。また、渦電流により発生するジュール発熱も問題となる。これを防止するために、コイル14外側の磁性材料として薄い珪素鋼板18を重ねた構造とし、マグネット13も比抵抗が小さいネオジウム系のマグネットを貼りあわせた構造として渦電流が流れるのを防止している。
【0016】
しかし、コイル電流の交流成分の周波数をさらに高くすると、渦電流は小さい渦で流れ易くなることから、特にマグネット13表面で渦電流が発生し、マグネット13で発熱が起きるようになる。コイル14に流れる電流によりマグネット13表面に発生する電界は矢印100にようになる。この電界によりマグネット13表面に発生する渦電流は、マグネット13の分割部分では電流が流れないために分断され、図4に矢印101のように流れる渦電流となる。
【0017】
そして、コイル14に10kHzを超える交流電流を供給すると、図4ように分断されたマグネット13においても渦電流が強く流れ、マグネット13に渦電流によるジュール発熱(以後、誘導発熱と呼ぶ)が発生するようになる。マグネット13に発生する誘導発熱の大きさは交流電流の周波数の約2乗に概略比例するが、コイル14に発生するジュール発熱は周波数によらないため、高周波帯では大部分が誘導発熱となりマグネット13を加熱することになる。
【0018】
このように意図的にコイル14に供給する電流に高周波帯の交流電流を加えてやることで、マグネット13を直接加熱することが可能となる。そして、マグネット13を加熱する誘導発熱の大きさは、高周波電流の周波数と大きさで調整することができる。
【0019】
図5は、本発明に係る上記加熱方法に好適なガルバノスキャナ制御系のブロック線図である。
【0020】
このガルバノスキャナ制御系では、下位のガルバノスキャナコントローラ32は、上位コントローラ30から指令されたガルバノミラーの位置指令31とガルバノスキャナ10からのガルバノミラー4の回転位置情報33とからガルバノスキャナ10(コイル14)に供給する位置制御用電流指令34を電流発生装置35に入力する。なお、電流発生装置35は回転子を駆動するための電流と後述する高周波電流とを供給することができる。
【0021】
電流発生装置35は位置制御用電流指令34に従いガルバノスキャナ10に電流を供給する。ここまでは従来の技術と同様である。本発明では温度測定手段により測定したマグネット温度情報37をマグネット温度コントローラ36に入力し、マグネット温度コントローラ36はマグネット温度の目標温度となるように、高周波電流指令38を電流発生装置35に入力する。電流発生装置35は、前述の位置制御用電流指令34と高周波電流指令38とを加算した電流39をガルバノスキャナ10に供給する。位置制御用の電流に加えて大きさを調整したマグネット13過熱用の高周波電流を供給することにより、誘導発熱の大きさを制御してマグネット13の温度を調整する。
【0022】
次に、高周波電流として使用する電流の周波数について説明する。
【0023】
図6は、図2に示したガルバノスキャナの機械特性曲線であり、横軸は周波数、縦軸はゲイン(回転角度振幅を電流振幅で割ったもの)である。同図から、ゲインが大きいほど、小さい電流振幅で大きい回転角度振幅が得られることが分かる。機械特性曲線には幾つかのピークが存在するが、これは回転子で共振が起きていることを示しており、共振周波数近傍ではゲインが大きくなる。同図から、マグネット加熱用に印加する高周波の周波数としては、例えば100kHz程度に選べば、共振も無くゲインが小さくでき、回転が殆ど起きない状態とみなせることになる。
【0024】
以上説明したように、本発明では回転軸が追従しない(回転しない)高周波電流をコイル14に供給することでマグネット13に誘導発熱を発生させ、その大きさを制御することでマグネット温度を調整することを特徴としている。またこの構成では、特別な電源等不要であり、単純な構成でマグネットの温度を制御できる。
【実施例1】
【0025】
図1は、本発明を実施したレーザ加工装置の構成図である。
【0026】
レーザ1より発振されたレーザ光2は、ビーム形成装置3によりビーム断面形状を形成された後に、2軸のガルバノミラー4により方向を変えられてfθレンズ5にて垂直方向に変換及び集光され、プリント基板6上に入射されて、プリント基板6に穴を明ける。プリント基板6は、XY方向に移動自在のXYステージ7上に載置されている。ガルバノミラー4は、それぞれを回転させるガルバノスキャナ10により回転角度を調整される。
【0027】
下位のガルバノスキャナコントローラ32は、上位コントローラ30から指令されたガルバノミラーの位置指令31とガルバノスキャナ10からのガルバノミラー4の回転位置情報33とからガルバノスキャナ10(コイル14)に供給する位置制御用電流指令34を電流発生装置35に入力する。
【0028】
一方、マグネット温度コントローラ37は温度測定手段により測定されたマグネット13のマグネット温度情報137に基づき、マグネット13の温度が目標温度となるように高周波電流指令38を電流発生装置35に入力する。
【0029】
電流発生装置35は、位置制御用電流指令34と高周波電流指令38とを加算した電流39をガルバノスキャナ10に供給する。
【0030】
この結果、マグネット13の温度は、ガルバノミラー4の駆動状況に関わらず常に一定(例えば、40℃)に保たれるので、トルク変動が発生しない。
【0031】
なお、高周波電流によって回転軸12が回転運動することを予防するため、高周波電流の周波数としてはガルバノスキャナの駆動周波数の2倍以上とする。また、ガルバノスキャナ固有の共振周波数近辺の周波数では共振を起こしてしまうので使用しないことが望ましい。また、高周波電流の周波数を高くし過ぎるとコイル14の素線の表皮効果でコイル14の抵抗値が増大してコイル14に電流が流れにくくなることと、珪素鋼板18でも渦電流やヒステレシスによる損失が発生するようになるため、1MHz以下程度にすることが望ましい。
【0032】
図7は、運転中におけるマグネット温度の制御方法を説明するフローチャートである。 加工が開始されると、マグネットの温度を温度測定手段により測定し(手順S10)、測定された温度を評価する(手順S20)。そして、マグネット温度が低温許容温度以下であればマグネット加熱用の高周波電流を印加してマグネットの温度を上昇させ(手順S30)、マグネット温度が規定値以上であれば高周波電流を停止する(手順S40)。運転中はこのフローチャートのルーチンを一定時間間隔で繰り返すことでマグネット温度を低温許容温度近傍に調整する。
【0033】
図8は、上記運転を行った時の従来の位置制御用電流指令の時間波形の例を示す図であり、図9はその場合のマグネット温度の時間波形の例である。従来の技術では、ガルバノスキャナが停止している時は位置制御電流もゼロとなるので、マグネットの温度が低下して、大きな温度変化が生じてしまう。
【0034】
図10は、図8と同じ運転を行った時の本発明における位置制御用電流指令の時間波形の例を示す図であり、図11はその場合のマグネット温度の時間波形の例である。
【0035】
本発明の場合、図11に示すように、マグネット温度が低温許容温度以下になると、図10に示すように、マグネット温度加熱用の高周波電流が印加され、それに伴いマグネットの温度は上昇する。そして低温許容温度以上となると、高周波電流が停止され、再び温度が低下する。ガルバノスキャナが停止している間に、このような高周波電流の印加と停止が繰り返されることで、マグネットの温度は概略低温許容温度近傍に制御される。
【0036】
次に、マグネット温度の測定手段について説明する。
【0037】
図12は、本発明に係るガルバノスキャナの正面断面図であり、図2と同じものは同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0038】
外筒19、珪素鋼板18およびコイル14には細い光ファイバー102を通すための穴200が形成されている。光ファイバー102は、一方の端部がマグネット13に対向するようにして穴200に固定され、他方の端部は赤外領域の放射温度計103に接続されている。なお、放射温度計103は、測定対象の放射率が1に近い程測定精度が良いため、マグネット13の表面を例えば黒色の塗料等で塗装して放射光の放射率が1に近づけておくことが望ましい。
【0039】
この実施例に依れば、非接触でマグネット表面を測定することができるので、測定対象であるマグネットが高速で回転することを妨げることがない。
【実施例2】
【0040】
次に、本発明の第2の実施例を説明する。
【0041】
図13は、本発明に係るレーザ加工装置の構成図である。
【0042】
ガルバノスキャナコントローラ32には、図1におけるマグネット温度情報137に代えて上位コントローラ30からのガルバノスキャナ稼動情報138が入力される。ガルバノスキャナコントローラ32はガルバノスキャナ稼動情報138からガルバノスキャナ10の発熱量を計算する。そこで得られた発熱量からマグネット13の温度を推測して、マグネット温度を制御する。
【0043】
図14は、この実施例におけるマグネット温度の制御方法を説明するフローチャートである。
【0044】
加工が開始されると、運転情報から平均発熱量を計算し(手順S100)、得られた平均発熱量からマグネットの温度を計算して(手順S110)、測定された温度を評価する(手順S120)。そして、マグネット温度が低温許容温度以下であればマグネット加熱用の高周波電流を印加してマグネットの温度を上昇させ(手順S130)、マグネット温度が規定値以上であれば高周波電流を停止する(手順S140)。運転中はこのフローチャートのルーチンを一定時間間隔で繰り返すことでマグネット温度を低温許容温度近傍に調整する。
【0045】
この実施形態では、マグネットの温度を測定する測定器を必要ないので、構造が簡単になり、装置コストを低くすることができる。
【実施例3】
【0046】
次に、本発明の第3の実施例を説明する。
【0047】
図15は本発明に係るガルバノスキャナのマグネットの他の温度測定手段の構成図であり、図2と同じものは同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0048】
回転軸12の軸方向の中心には穴201が形成されている。穴201にはサーミスタ104が配置されている。サーミスタ104はマグネット13に取り囲まれた場所に位置するので、マグネット全体の平均温度を測定していることに相当する。サーミスタ104の信号はグレーチング15の中心を通りガルバノスキャナ10の外に取り出され、温度測定器105に入力されて温度情報となる。このとき、信号線としては極力細い線を用いることで、回転軸102の回転を妨げないようにする必要がある。マグネット13は、コイル14やマグネット表面の渦電流により加熱されることから、実施例1のようなマグネット表面の温度を測定することが望ましいが、珪素鋼板18に穴200を明ける等、構造が複雑になるが、本実施例は設置が容易である点では優れており、サーミスタ等の比較的安価な接触式の温度計測器が使えることでコスト的にも優れる。
【0049】
なお、本実施例では、サーミスタを用いて温度測定することを述べたが、熱電対等の同様な接触式の温度測定方法を採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明を実施したレーザ加工装置の構成図である。(実施例1)
【図2】従来の一般的なムービングマグネット式ガルバノスキャナの断面図である。
【図3】従来ガルバノスキャナの斜視図である。
【図4】従来ガルバノスキャナの斜視図である。
【図5】本発明に係るガルバノスキャナ制御系のブロック線図である。
【図6】ガルバノスキャナの回転子の機械特性曲線である。
【図7】本発明に係るマグネット温度の制御方法を説明するフローチャートである。
【図8】従来技術の説明図である。
【図9】従来技術の説明図である。
【図10】本発明に係るマグネット温度の時間波形の例である。
【図11】本発明に係る高周波電流指令の時間波形の例である。
【図12】本発明に係るガルバノスキャナの断面図である。
【図13】本発明に係るレーザ加工機の構成図である。
【図14】本発明に係るマグネット温度の制御方法を説明するフローチャートである。
【図15】本発明に係るガルバノスキャナの断面図である。
【符号の説明】
【0051】
回転軸 12
マグネット 13
コイル 14
35 電流発生装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルを固定子とし、永久磁石を回転子として回転軸に固定し、回転子を予め定める角度範囲内で揺動させる揺動アクチュエータ装置及びこのような揺動アクチュエータ装置を使用したレーザ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図2は、一般的なムービングマグネット式ガルバノスキャナの断面図である。ガルバノスキャナはガルバノミラーを揺動させる揺動アクチュエータ装置であり、ガルバノミラーを駆動するための回転軸12とその外側に取り付けられたマグネット13で回転子が形成されている。また、回転子の外側に巻かれたコイル14と磁気回路を構成する珪素鋼板(ヨーク)18とで固定子が形成されている。回転子および固定子は外筒19に収納されている。回転軸12はベアリング17によって固定子側に回転自在に支持されている。回転軸12の一方の端部にはガルバノミラー4が取り付けられている。回転軸12の他方の端部には、回転軸12の回転角度を検出するためのエンコーダが取り付けられている。エンコーダは回転軸12に取り付けられたグレーチング15とグレーチング15上のスリットを読み取るための光学ピックアップ16とで構成されている。そして、コイル14に電流を流すことで、マグネット13に電磁力が発生し、そのトルクで軸12が回転する。
【0003】
近年、電気製品の高集積化が進み、プリント基板に加工する穴の径は小さくなる傾向にある。小径の穴を加工するためには、レーザの直径を大きくする必要があり、これに伴ってガルバノミラー等を大型化する必要がある。大型のガルバノミラーを揺動させるには大きなトルクが必要となり、駆動電流も大きくなるため、コイルで発生するジュール発熱によりコイル及びその近傍の構造物が加熱されて温度が上昇する。また、加工スループットの向上のために、穴を明ける速度は、年々高速化しているが、大型のガルバノミラーを高速に動かせば動かすほど、さらにその発熱は大きくなる。発熱に伴い、マグネットの温度が上昇すると、マグネットの磁力が低下してトルク定数が減少してしまい、制御性が低下して位置決め精度が悪化する。このような問題を回避するために、加工順序等を調整してコイルの発熱を平均化したガルバノスキャナがある(特許文献1)。
【0004】
また、高速回転型のスピンドルモータ等では、低温環境下におけるベアリングの摩擦の増大を回避するために、加熱用のヒーターを設けたスピンドルモータがある(特許文献2)。同様な技術により、ヒータによってガルバノスキャナの全体の温度を調節することができるガルバノスキャナもある。
【特許文献1】特開2003−329960号公報
【特許文献2】特開2006−115688号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の技術を採用すると、加工スループットが低下する場合がある。また、特許文献2の技術を採用すると、ヒータとヒータ用電源およびコントローラが別途必要となり高価なシステムとなる。
【0006】
本発明の目的は、簡単な構成でマグネット温度を制御し、トルク定数の変動を抑制することができる揺動アクチュエータ装置及びこのような揺動アクチュエータ装置を使用したレーザ加工装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の第1の手段は、回転軸とこの回転軸の回りに配置されたマグネットとからなる回転子と、該回転子の周りに配置されコイルとヨークとからなる固定子と、前記回転子と前記固定子を収納するハウジングと、前記コイルに電流を供給する電流供給手段と、を備え、前記コイルに供給する電流を制御することにより前記回転子を予め定める角度範囲内で揺動させる揺動アクチュエータ装置において、前記マグネットの温度を測定または推定するための温度検出手段と、高周波電流供給手段と、を設け、前記温度検出手段の測定結果に基づいて前記電流供給手段が前記コイルに供給する電流に前記高周波電流を重畳することにより前記マグネットの温度を制御することを特徴とする。
【0008】
この場合、前記高周波電流の周波数としては、前記回転子を駆動する電流の周波数の2倍以上で1MHz以下とすることができる。
【0009】
また、前記高周波電流の周波数は、前記回転子の共振周波数と異なる周波数帯とすることができる。
【0010】
そして、前記温度検出手段として、前記回転子の運転情報により前記コイルの発熱量を計算し、得られた発熱量から前記マグネット温度を推定するものとすることができる。
【0011】
また、本発明の第2の手段は、揺動アクチュエータ装置を備えるレーザ加工装置において、前記揺動アクチュエータ装置が請求項1ないし4のいずれか1項に記載の揺動アクチュエータ装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ガルバノスキャナのトルク定数が一定となるので、位置制御性と位置決め精度が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明はガルバノスキャナのコイルに高周波電流を流し、その誘導によりマグネットに渦電流を発生させてマグネットを発熱させることで温度を調節するものである。以下、本発明の原理を説明する。
【0014】
図3は図2で説明したガルバノスキャナのマグネットとコイルの近傍を立体的に示した図であり、マグネット13と回転軸12は全体が、コイル14、珪素鋼板18および外筒19は半分にカットされたものが、それぞれ示されている。また、図4は回転軸12を立体的に示した図である。
【0015】
上記のようなガルバノスキャナでは、ガルバノミラーを最高2.5kHz程度で駆動するが、コイル14に供給する電流はその数倍程度である10kHz以下の交流成分を持っている。この電流の交流成分に対して、近接した構造物に渦電流が発生すると、コイル14が発生する磁場が打ち消されることにより発生するトルクが減少する。また、渦電流により発生するジュール発熱も問題となる。これを防止するために、コイル14外側の磁性材料として薄い珪素鋼板18を重ねた構造とし、マグネット13も比抵抗が小さいネオジウム系のマグネットを貼りあわせた構造として渦電流が流れるのを防止している。
【0016】
しかし、コイル電流の交流成分の周波数をさらに高くすると、渦電流は小さい渦で流れ易くなることから、特にマグネット13表面で渦電流が発生し、マグネット13で発熱が起きるようになる。コイル14に流れる電流によりマグネット13表面に発生する電界は矢印100にようになる。この電界によりマグネット13表面に発生する渦電流は、マグネット13の分割部分では電流が流れないために分断され、図4に矢印101のように流れる渦電流となる。
【0017】
そして、コイル14に10kHzを超える交流電流を供給すると、図4ように分断されたマグネット13においても渦電流が強く流れ、マグネット13に渦電流によるジュール発熱(以後、誘導発熱と呼ぶ)が発生するようになる。マグネット13に発生する誘導発熱の大きさは交流電流の周波数の約2乗に概略比例するが、コイル14に発生するジュール発熱は周波数によらないため、高周波帯では大部分が誘導発熱となりマグネット13を加熱することになる。
【0018】
このように意図的にコイル14に供給する電流に高周波帯の交流電流を加えてやることで、マグネット13を直接加熱することが可能となる。そして、マグネット13を加熱する誘導発熱の大きさは、高周波電流の周波数と大きさで調整することができる。
【0019】
図5は、本発明に係る上記加熱方法に好適なガルバノスキャナ制御系のブロック線図である。
【0020】
このガルバノスキャナ制御系では、下位のガルバノスキャナコントローラ32は、上位コントローラ30から指令されたガルバノミラーの位置指令31とガルバノスキャナ10からのガルバノミラー4の回転位置情報33とからガルバノスキャナ10(コイル14)に供給する位置制御用電流指令34を電流発生装置35に入力する。なお、電流発生装置35は回転子を駆動するための電流と後述する高周波電流とを供給することができる。
【0021】
電流発生装置35は位置制御用電流指令34に従いガルバノスキャナ10に電流を供給する。ここまでは従来の技術と同様である。本発明では温度測定手段により測定したマグネット温度情報37をマグネット温度コントローラ36に入力し、マグネット温度コントローラ36はマグネット温度の目標温度となるように、高周波電流指令38を電流発生装置35に入力する。電流発生装置35は、前述の位置制御用電流指令34と高周波電流指令38とを加算した電流39をガルバノスキャナ10に供給する。位置制御用の電流に加えて大きさを調整したマグネット13過熱用の高周波電流を供給することにより、誘導発熱の大きさを制御してマグネット13の温度を調整する。
【0022】
次に、高周波電流として使用する電流の周波数について説明する。
【0023】
図6は、図2に示したガルバノスキャナの機械特性曲線であり、横軸は周波数、縦軸はゲイン(回転角度振幅を電流振幅で割ったもの)である。同図から、ゲインが大きいほど、小さい電流振幅で大きい回転角度振幅が得られることが分かる。機械特性曲線には幾つかのピークが存在するが、これは回転子で共振が起きていることを示しており、共振周波数近傍ではゲインが大きくなる。同図から、マグネット加熱用に印加する高周波の周波数としては、例えば100kHz程度に選べば、共振も無くゲインが小さくでき、回転が殆ど起きない状態とみなせることになる。
【0024】
以上説明したように、本発明では回転軸が追従しない(回転しない)高周波電流をコイル14に供給することでマグネット13に誘導発熱を発生させ、その大きさを制御することでマグネット温度を調整することを特徴としている。またこの構成では、特別な電源等不要であり、単純な構成でマグネットの温度を制御できる。
【実施例1】
【0025】
図1は、本発明を実施したレーザ加工装置の構成図である。
【0026】
レーザ1より発振されたレーザ光2は、ビーム形成装置3によりビーム断面形状を形成された後に、2軸のガルバノミラー4により方向を変えられてfθレンズ5にて垂直方向に変換及び集光され、プリント基板6上に入射されて、プリント基板6に穴を明ける。プリント基板6は、XY方向に移動自在のXYステージ7上に載置されている。ガルバノミラー4は、それぞれを回転させるガルバノスキャナ10により回転角度を調整される。
【0027】
下位のガルバノスキャナコントローラ32は、上位コントローラ30から指令されたガルバノミラーの位置指令31とガルバノスキャナ10からのガルバノミラー4の回転位置情報33とからガルバノスキャナ10(コイル14)に供給する位置制御用電流指令34を電流発生装置35に入力する。
【0028】
一方、マグネット温度コントローラ37は温度測定手段により測定されたマグネット13のマグネット温度情報137に基づき、マグネット13の温度が目標温度となるように高周波電流指令38を電流発生装置35に入力する。
【0029】
電流発生装置35は、位置制御用電流指令34と高周波電流指令38とを加算した電流39をガルバノスキャナ10に供給する。
【0030】
この結果、マグネット13の温度は、ガルバノミラー4の駆動状況に関わらず常に一定(例えば、40℃)に保たれるので、トルク変動が発生しない。
【0031】
なお、高周波電流によって回転軸12が回転運動することを予防するため、高周波電流の周波数としてはガルバノスキャナの駆動周波数の2倍以上とする。また、ガルバノスキャナ固有の共振周波数近辺の周波数では共振を起こしてしまうので使用しないことが望ましい。また、高周波電流の周波数を高くし過ぎるとコイル14の素線の表皮効果でコイル14の抵抗値が増大してコイル14に電流が流れにくくなることと、珪素鋼板18でも渦電流やヒステレシスによる損失が発生するようになるため、1MHz以下程度にすることが望ましい。
【0032】
図7は、運転中におけるマグネット温度の制御方法を説明するフローチャートである。 加工が開始されると、マグネットの温度を温度測定手段により測定し(手順S10)、測定された温度を評価する(手順S20)。そして、マグネット温度が低温許容温度以下であればマグネット加熱用の高周波電流を印加してマグネットの温度を上昇させ(手順S30)、マグネット温度が規定値以上であれば高周波電流を停止する(手順S40)。運転中はこのフローチャートのルーチンを一定時間間隔で繰り返すことでマグネット温度を低温許容温度近傍に調整する。
【0033】
図8は、上記運転を行った時の従来の位置制御用電流指令の時間波形の例を示す図であり、図9はその場合のマグネット温度の時間波形の例である。従来の技術では、ガルバノスキャナが停止している時は位置制御電流もゼロとなるので、マグネットの温度が低下して、大きな温度変化が生じてしまう。
【0034】
図10は、図8と同じ運転を行った時の本発明における位置制御用電流指令の時間波形の例を示す図であり、図11はその場合のマグネット温度の時間波形の例である。
【0035】
本発明の場合、図11に示すように、マグネット温度が低温許容温度以下になると、図10に示すように、マグネット温度加熱用の高周波電流が印加され、それに伴いマグネットの温度は上昇する。そして低温許容温度以上となると、高周波電流が停止され、再び温度が低下する。ガルバノスキャナが停止している間に、このような高周波電流の印加と停止が繰り返されることで、マグネットの温度は概略低温許容温度近傍に制御される。
【0036】
次に、マグネット温度の測定手段について説明する。
【0037】
図12は、本発明に係るガルバノスキャナの正面断面図であり、図2と同じものは同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0038】
外筒19、珪素鋼板18およびコイル14には細い光ファイバー102を通すための穴200が形成されている。光ファイバー102は、一方の端部がマグネット13に対向するようにして穴200に固定され、他方の端部は赤外領域の放射温度計103に接続されている。なお、放射温度計103は、測定対象の放射率が1に近い程測定精度が良いため、マグネット13の表面を例えば黒色の塗料等で塗装して放射光の放射率が1に近づけておくことが望ましい。
【0039】
この実施例に依れば、非接触でマグネット表面を測定することができるので、測定対象であるマグネットが高速で回転することを妨げることがない。
【実施例2】
【0040】
次に、本発明の第2の実施例を説明する。
【0041】
図13は、本発明に係るレーザ加工装置の構成図である。
【0042】
ガルバノスキャナコントローラ32には、図1におけるマグネット温度情報137に代えて上位コントローラ30からのガルバノスキャナ稼動情報138が入力される。ガルバノスキャナコントローラ32はガルバノスキャナ稼動情報138からガルバノスキャナ10の発熱量を計算する。そこで得られた発熱量からマグネット13の温度を推測して、マグネット温度を制御する。
【0043】
図14は、この実施例におけるマグネット温度の制御方法を説明するフローチャートである。
【0044】
加工が開始されると、運転情報から平均発熱量を計算し(手順S100)、得られた平均発熱量からマグネットの温度を計算して(手順S110)、測定された温度を評価する(手順S120)。そして、マグネット温度が低温許容温度以下であればマグネット加熱用の高周波電流を印加してマグネットの温度を上昇させ(手順S130)、マグネット温度が規定値以上であれば高周波電流を停止する(手順S140)。運転中はこのフローチャートのルーチンを一定時間間隔で繰り返すことでマグネット温度を低温許容温度近傍に調整する。
【0045】
この実施形態では、マグネットの温度を測定する測定器を必要ないので、構造が簡単になり、装置コストを低くすることができる。
【実施例3】
【0046】
次に、本発明の第3の実施例を説明する。
【0047】
図15は本発明に係るガルバノスキャナのマグネットの他の温度測定手段の構成図であり、図2と同じものは同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0048】
回転軸12の軸方向の中心には穴201が形成されている。穴201にはサーミスタ104が配置されている。サーミスタ104はマグネット13に取り囲まれた場所に位置するので、マグネット全体の平均温度を測定していることに相当する。サーミスタ104の信号はグレーチング15の中心を通りガルバノスキャナ10の外に取り出され、温度測定器105に入力されて温度情報となる。このとき、信号線としては極力細い線を用いることで、回転軸102の回転を妨げないようにする必要がある。マグネット13は、コイル14やマグネット表面の渦電流により加熱されることから、実施例1のようなマグネット表面の温度を測定することが望ましいが、珪素鋼板18に穴200を明ける等、構造が複雑になるが、本実施例は設置が容易である点では優れており、サーミスタ等の比較的安価な接触式の温度計測器が使えることでコスト的にも優れる。
【0049】
なお、本実施例では、サーミスタを用いて温度測定することを述べたが、熱電対等の同様な接触式の温度測定方法を採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明を実施したレーザ加工装置の構成図である。(実施例1)
【図2】従来の一般的なムービングマグネット式ガルバノスキャナの断面図である。
【図3】従来ガルバノスキャナの斜視図である。
【図4】従来ガルバノスキャナの斜視図である。
【図5】本発明に係るガルバノスキャナ制御系のブロック線図である。
【図6】ガルバノスキャナの回転子の機械特性曲線である。
【図7】本発明に係るマグネット温度の制御方法を説明するフローチャートである。
【図8】従来技術の説明図である。
【図9】従来技術の説明図である。
【図10】本発明に係るマグネット温度の時間波形の例である。
【図11】本発明に係る高周波電流指令の時間波形の例である。
【図12】本発明に係るガルバノスキャナの断面図である。
【図13】本発明に係るレーザ加工機の構成図である。
【図14】本発明に係るマグネット温度の制御方法を説明するフローチャートである。
【図15】本発明に係るガルバノスキャナの断面図である。
【符号の説明】
【0051】
回転軸 12
マグネット 13
コイル 14
35 電流発生装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸とこの回転軸の回りに配置されたマグネットとからなる回転子と、
該回転子の周りに配置されコイルとヨークとからなる固定子と、
前記回転子と前記固定子を収納するハウジングと、
前記コイルに電流を供給する電流供給手段と、
を備え、前記コイルに供給する電流を制御することにより前記回転子を予め定める角度範囲内で揺動させる揺動アクチュエータ装置において、
前記マグネットの温度を測定または推定するための温度検出手段と、
高周波電流供給手段と、
を設け、
前記温度検出手段の測定結果に基づいて前記電流供給手段が前記コイルに供給する電流に前記高周波電流を重畳することにより前記マグネットの温度を制御することを特徴とする揺動アクチュエータ装置。
【請求項2】
前記高周波電流の周波数は、前記回転子を駆動する電流の周波数の2倍以上で1MHz以下であることを特徴とする請求項1記載の揺動アクチュエータ装置。
【請求項3】
前記高周波電流の周波数は、前記回転子の共振周波数と異なる周波数帯とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の揺動アクチュエータ装置。
【請求項4】
前記温度検出手段は、前記回転子の運転情報により前記コイルの発熱量を計算し、得られた前記発熱量から前記マグネット温度を推定することを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項に記載の揺動アクチュエータ装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の揺動アクチュエータ装置を備えていることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項1】
回転軸とこの回転軸の回りに配置されたマグネットとからなる回転子と、
該回転子の周りに配置されコイルとヨークとからなる固定子と、
前記回転子と前記固定子を収納するハウジングと、
前記コイルに電流を供給する電流供給手段と、
を備え、前記コイルに供給する電流を制御することにより前記回転子を予め定める角度範囲内で揺動させる揺動アクチュエータ装置において、
前記マグネットの温度を測定または推定するための温度検出手段と、
高周波電流供給手段と、
を設け、
前記温度検出手段の測定結果に基づいて前記電流供給手段が前記コイルに供給する電流に前記高周波電流を重畳することにより前記マグネットの温度を制御することを特徴とする揺動アクチュエータ装置。
【請求項2】
前記高周波電流の周波数は、前記回転子を駆動する電流の周波数の2倍以上で1MHz以下であることを特徴とする請求項1記載の揺動アクチュエータ装置。
【請求項3】
前記高周波電流の周波数は、前記回転子の共振周波数と異なる周波数帯とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の揺動アクチュエータ装置。
【請求項4】
前記温度検出手段は、前記回転子の運転情報により前記コイルの発熱量を計算し、得られた前記発熱量から前記マグネット温度を推定することを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項に記載の揺動アクチュエータ装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の揺動アクチュエータ装置を備えていることを特徴とするレーザ加工装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−228524(P2008−228524A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−66924(P2007−66924)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(000233332)日立ビアメカニクス株式会社 (237)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(000233332)日立ビアメカニクス株式会社 (237)
【Fターム(参考)】
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