説明

搬送システム

【課題】作業者が正しい部品を効率よく取り出し、搬送手段の正しい位置に搭載することができる搬送システムを提供する。
【解決手段】台車1上にはパレット2A、2Bが載置され、パレット2A、2Bには略中央部に配置されたワーク設置領域3A、3Bを囲むように複数の部品載置凹部5A、5Bが形成されている。また、各パレット2A、2Bには載置すべき部品PA、PBに関する情報が記憶されたバーコード6A、6Bが付されている。収容手段7には複数の部品PA,PBを種分けして収容しておき、部品PA,PBを報知手段によって報知されたものから順に取り出し、レーザー光線照射装置13A、13Bにより指示されたパレット2A、2Bの部品載置凹部5A、5Bに載置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はワークに複数の部品を組付ける工程に使用される搬送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばワーク(主部品)に複数の部品(副部品)を組付ける工程にあっては、従来主部品を搬送する搬送路と、副部品を保管するストックヤードとが具備され、ストックヤードに保管されている副部品を副部品棚に装入し、該副部品棚を自走式走行台車によって該主部品の搬送路まで移動させるシステムが提供されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−191223号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来システムにあっては、主部品搬送路とは別個の副部品を保管するストックヤードが具備されており、主部品搬送路に配置される主部品に副部品を組付ける組付け作業者とは別の作業者が該ストックヤードにおいて副部品を副部品棚に挿入し、これを自走式走行台車で主部品搬送路まで移動させるので、組付け作業者が自分の左右に配置された保管棚から必要な副部品を取出す場合に比べると、誤った部品を取出す可能性を低減することが出来る。
しかしながら該ストックヤードには多種類の副部品が保管されているのが通常であり、この場合には作業者が誤った部品を取出してしまう危険性がある。特に不慣れな作業者が担当する場合には、この危険性が高くなり、この危険性を回避するためには、作業者が副部品の選定作業に細心の注意を払うしかすべはなく、この結果副部品の選定作業に可なりの時間を要することになり、作業効率が悪化すると云う問題点を生ずる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記問題点を解消して作業者が正しい部品を効率良く取出すことが出来るようにすることを目的とするものであり、しかして本発明はワークWに組付けるべき複数の部品PA,PBを組付け作業領域WRに搬送する搬送システムであって、該複数の部品PA,PBを種分けして収容する収容手段7と、該種分けして収容手段7に収納された部品PA,PBを載置して該組付け作業領域WRに搬送する搬送手段1と、該種分けして収容手段7に収容された部品PA,PBの中から該搬送手段1に載置すべき部品PA,PBを報知する報知手段LR,LGと、該報知手段LR,LGにより報知された該部品PA,PBを該搬送手段1の所定の位置に載置するように載置位置を指示する指示手段13A,13Bとを具備する搬送システムを提供するものである。
該搬送手段1には該収容手段7に収容されている部品PA,PBを種分けして載置する載置手段2A,2Bが設けられており、該載置手段2A,2BはワークWが設置されるワーク設置領域3A,3Bを略中央部に配置し、該ワーク設置領域3A,3Bを囲むように部品載置領域4A,4Bが形成され、該指示手段13A,13Bは該報知手段LR,LGによって報知された該部品PA,PBを、該部品載置領域4A,4Bの範囲で該組付け作業領域WRにおける該ワークWの該部品組付け側に載置するように指示する手段13A,13Bであることが望ましい。
例えば該報知手段LR,LGは、該組付け作業領域WRにおいて使用する部品PA,PBの使用順序にもとづいて報知する手段であるか、あるいは該報知手段LR,LGは該使用順序が後の部品PA,PBから順番に報知する手段LR,LGであるか、あるいは該報知手段LR,LGは、該収容手段7に種分けして収容されている該複数の部品PA,PBの中から、該搬送手段1に載置すべき部品を視覚的手段によって報知する手段である。
【発明の効果】
【0006】
〔作用〕
請求項1
複数の部品Pは収容手段7に種分けして収容されており、該収容手段7は搬送手段1によって組付け作業領域WRに搬送され、報知手段LR,LGによって該搬送手段1に載置すべき部品Pを報知して、報知された部品Pを載置位置指示手段13A,13Bによって該搬送手段1の所定の位置に載置する。したがって作業者が誤った部品Pを取出し、該搬送手段1の誤った位置に載置することが確実に防止されるし、作業者が部品Pの選定作業に手間取ることもない。
【0007】
請求項2
ワークWは、該搬送手段1の載置手段2A,2Bの略中央部のワーク設置領域3A,3Bに設置され、複数の部品Pは、該ワーク設置領域3A,3Bを囲むように形成されている部品載置領域4A,4Bに載置される。該部品Pを該部品載置領域4A,4Bに載置する場合、作業者は、報知手段LR,LGによって報知された部品Pを取出し、該部品載置領域4A,4Bにおいて載置位置指示手段13A,13Bによって指示された位置に載置するが、該位置とはその部品PがワークWに組付けられる側に載置するように設定されているので、組付け作業領域WRにおける作業がし易いものとなる。この結果、作業者の負担を低減することが出来る。
【0008】
請求項3
該報知手段LR,LGによって、ワークWに組付ける部品Pの組付け順序(使用順序)に基づいて報知されるから、部品Pを組付け順序に基づいて載置手段に載置することが出来る。
【0009】
請求項4
該報知手段LR,LGによって報知される部品Pは、使用順序が後のものからであり、このようにすれば、載置手段が部品Pを重ねて載置するような手段である場合、使用順序が後のものほど下側に載置される。即ち、使用順序が早いものほど上側に載置されることになるので、組付け作業領域WRでの作業がし易いものとなる。
【0010】
請求項5
該報知手段LR,LGを視覚的手段とすると、音による報知手段のように騒音による作業環境の悪化等の不具合がなくなるし、誤認のおそれもなくなる。
【0011】
〔効果〕
したがって本発明においては、ワークへの部品の正確な組付け作業が大巾に効率化される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の一実施例を図1〜図3に示す。図1にはシステムの全体図が示される。図において1は搬送手段としての無人搬送車である台車であり、台車1は床面に敷設されるローラーコンベア(図示しない)上に乗架されて矢印方向に移動せしめられるが、該台車1上には載置手段であるパレット2A,2Bが台車1に進行方向に対して前後に載置されている。即ち、パレット2Aが台車1の前側に、パレット2Bが台車1の後側となるように載置されている。
【0013】
該パレット2A,2Bの略中央部にはワークWが設置されるワーク設置領域3A,3Bが配置されており、該ワーク設置領域3A,3Bを囲むようにして部品載置領域4A,4Bが設定されている。該部品載置領域4A,4Bにあっては、その位置に載置されるべき部品Pが適嵌する部品載置凹部5A,5Bの複数が形成されている。更にパレット2A,2B上面には各パレット2A,2Bに載置すべき部品Pに関する情報が記憶されたバーコード6A,6Bが付されている。
【0014】
7は収容手段である部品棚であって、ワークWに部品Pを組付ける組付け作業領域WRとは異なる場所に設けられた部品保管領域に設置されており、該部品棚7の各段71,72,73,74,75には台車1のパレット2A,2Bのそれぞれに載置する部品PA,PBが種分けされて対にされて載置される載置部81,82,83,84の複数(本実施例では4)が画定されている。各載置部81,82,83,84において、台車1のパレット2Aに関連する部品PAは図2向かって左側、台車1のパレット2Bに関連する部品PBは図2向かって右側に配置する。即ち、作業者は部品棚7から両手で部品Pを取出すことになるが、左手で部品PAを、右手で部品PBを取出すことが出来るように配置されるのである。
【0015】
更に各段の各載置部81,82,83,84には近接センサ91,92,93,94と、報知手段である赤と緑のランプLR,LGが備えられている。赤ランプLRは台車1に使用される部品PAに関連し、緑ランプLGは台車1に使用される部品PBに関連する。
【0016】
次に、本実施例の搬送システムの動作、特にパレット2A,2Bに部品Pを載置する際の動作について説明する。図3イ、ロは、本実施例の制御装置12により実行される部品棚点灯処理および載置場所指示処理の一例を示すフローチャートである。部品棚点灯処理は、台車1が部品保管領域においてバーコード6A,6Bの読み取り位置10に到着した時に実行される。部品棚点灯処理が実行されると、制御装置12は、まず、台車1に載置された各パレット2A,2Bに載置すべき部品Pに関する情報が記憶されたバーコード6A,6Bを読み込む処理を実行する(ステップS100)。そしてパレット2A,2Bに載置すべき部品Pが載置された該部品棚7の全載置部81,82,83,84の赤ランプLRと緑ランプLGとを点灯させて(ステップS102)、本処理を終了する。
【0017】
続いて台車1は、部品Pをパレット2A,2Bに載置する載置位置10Aである部品棚7の前まで前進して停止する。載置場所指示処理は、台車1が載置位置10Aに到着したときに実行される。載置場所指示処理が実行されると、制御装置12は、近接センサ91,92,93,94からの信号を読み込む処理を実行する(ステップS200)。
【0018】
ここで、近接センサ91,92,93,94は、作業者が部品PA,PBを取出す際の左手および右手を検知してオン信号を出力するのである。そして、制御装置12は、近接センサ91,92,93,94からの信号の有無を判定し(ステップS202)、信号があったと判断した時、即ち、作業者が左手と右手で部品PA,PBを取出したと判断したときには、その部品PA,PBが載置された載置部81,82,83,84の赤ランプLRと緑ランプLGとを消灯するとともに、その部品PA,PBのパレット2A,2Bにおける載置場所を指示する(ステップS204)。
【0019】
載置場所の指示は、本実施例では、載置位置の天井に設置したレーザー光線照射装置13A,13Bにより部品PA,PBのパレット2A,2Bにおける載置場所、詳しくは、部品載置凹部5A,5Bの所定のものを照射して指示するものとした。このとき、作業者は部品棚7側から台車1側に振り向くことでパレット2A,2Bに部品PA,PBを載置するが、上述したように、パレット2Aは台車1の前側に、パレット2Bは台車1の後側に載置されており、作業者は左手で部品PA、右手で部品PBを持っているため、作業者が振り向くと部品PAを持った左手がパレット2A側に対応し、部品PBを持った右手がパレット2B側に対応することになる。この結果、パレット2A,2Bに部品PA,PBを載置する際に部品PA,PBの持ち替えや、部品PA,PBを載置する際に両手が交差するようなことが発生せず、作業効率が向上する。
【0020】
なお上記システムにおいて部品PA,PBはその部品PA,PBがワークWに組付けられる側に載置するように制御装置12によって制御されている。
【0021】
上記実施例では、パレット2A,2Bに載置すべき部品Pが載置された全載置部81,82,83,84の赤ランプLRと緑ランプLGとを同時に点灯させるものとしたが、パレット2A,2Bに載置すべき部品Pの組付け作業領域WRにおける組付け順序に基づいて、例えば、組付け順序が後の部品Pが載置された載置部81,82,83,84の赤ランプLRと緑ランプLGとから順番に点灯させるものとしてもよい。この場合、図4に示す部品載置指示処理を行なうものとすれば良い。台車1は、上述した通り、部品保管領域のバーコード6A,6Bの読み取り位置10でバーコード6A,6Bを読み込まれた後、部品Pをパレット2A,2Bに載置する載置位置10Aである部品棚7の前まで前進して停止するが、部品載置指示処理は、台車1が読み取り位置10に到着したときに実行される。部品載置指示処理が実行されると制御装置12は、まず、バーコード6A,6Bを読込み(ステップS300)、載置部品を設定する処理を実行する(ステップS302)。
【0022】
載置部品の設定は、実施例では、図5に例示する部品Pのパレット2A,2Bへの載置順序Nとその部品Pの種類との関係を示す載置順序設定マップにより行なわれる。図5の載置順序設定マップから判るように該設定マップは、部品Pの載置順序として、作業領域WRにおける部品Pの組付け順序とは逆の順序が付与されたものとなっており、組付け順序が後のものからパレット2A,2Bに載置するようになっている。この設定マップは、ワークWの仕様毎に設定されており、バーコード6A,6Bに記憶された仕様に関する識別記号が与えられたときに対応する載置順序設定マップが設定されるものとした。
【0023】
載置部品が設定されると、載置順序Nの部品Pnが載置された載置部81,82,83,84の赤ランプLRと緑ランプLGとを点灯する(ステップS304)。初めてこの処理が実行される際には載置順序Nは値1が設定されているから、載置順序Nが1の部品P1が載置された載置部81,82,83,84の赤ランプLRと緑ランプLGとが点灯されることになる。次に、近接センサ91,92,93,94がオンとなったか否かの判定を行なう(ステップS306)。
【0024】
近接センサ91,92,93,94がオンとなった判断、即ち部品P1が作業者の手によって部品棚7から取出されたと判断されたら、部品P1が載置された載置部81,82,83,84の赤ランプLRと緑ランプLGとを消灯し、部品P1のパレット2A,2Bにおける載置場所を指示する(ステップS308)。そして、載置順序Nの値を1だけインクリメントして(ステップS310)、載置順序Nが最終値N*以上となったか否かの判定を行なう(ステップS312)。最終値N*はパレット2A,2Bに載置すべき部品Pの数に1を加えた値として設定されるものであり、全ての部品Pがパレット2A,2Bに載置されたことを意味するものである。
【0025】
載置順序Nが最終値N*であると判断された時、即ち、全ての部品Pがパレット2A,2Bに載置されたときには、載置順序Nを1に設定すると共に(ステップS314)、載置場所指示を終了して(ステップS316)、本処理を終了する。
【0026】
このように、パレット2A,2Bに載置すべき部品Pが載置された載置部81,82,83,84の赤ランプLRと緑ランプLGとを作業領域における部品Pの組付け順序が遅いものから順番に点灯することで、パレット2A,2Bが部品Pを重なる形で載置するような形状である場合、組付け順序が後のものほど下側に載置される。即ち組付け順序が早いものほど上側に載置されることになるので、組付け作業領域WRでの作業が容易となる。
【0027】
前実施例では、天井に設置したレーザー光線照射装置13A,13Bにより部品PA,PBを載置すべき部品載置凹部5A,5Bを照射して載置場所を指示するものとしたが、パレット2A,2Bにおける部品PA,PBの載置場所が判れば良く、例えば、部品載置凹部5A,5Bにランプを設置しておき、部品PA,PBを載置すべき部品載置凹部5A,5Bのランプを点灯するものとしたり、部品載置凹部5A,5Bの番号等を付しておき、部品PA,PBを載置すべき部品載置凹部5A,5Bの番号を報知するものなど如何なるものであっても構わない。
【0028】
また前実施例では、載置部81,82,83,84に備えられた赤と緑のランプLR,LGを点灯することにより視覚的にパレット2A,2Bに設置すべき部品Pを報知するものとしたが、音声により聴覚的に報知するものであっても構わない。
【0029】
なお上記システムにおいて部品PA,PBはその部品PA,PBがワークWに組付けられる側に載置するように上記指示手段13A,13Bによって載置位置を指示するように制御装置12によって制御されている。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明はにあっては、ワークに部品を間違いなく効率的に組付けられるので、例えば自動車等の大量生産工程に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】システム全体図
【図2】作業領域における状態説明図
【図3】イ、ロ フローチャート図
【図4】部品載置指示処理の一例を示すフローチャート
【図5】載置順序マップの一例
【符号の説明】
【0032】
1 台車(搬送手段)
2A,2B パレット(載置手段)
3A,3B ワーク設置領域
4A,4B 部品載置領域
5A,5B 部品載置凹部(部品載置位置)
6A,6B バーコード
7 部品棚(収容手段)
71,72,73,74,75 段(部品棚の)
81,82,83,84 載置部(段の)
91,92,93,94 近接センサ
10 読み取り位置
11 バーコード読込み装置
12 制御装置
13A,13B レーザー光線照射装置(指示手段)
LG 緑ランプ(報知手段)
LR 赤ランプ(報知手段)
P(PA,PB) 部品
W ワーク
WR 組付け作業領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに組付けるべき複数の部品を組付け作業領域に搬送する搬送システムであって、該複数の部品を種分けして収容する収容手段と、該種分けして収容手段に収納された部品を載置して該組付け作業領域に搬送する搬送手段と、該種分けして収容手段に収容された部品の中から該搬送手段に載置すべき部品を報知する報知手段と、該報知手段により報知された該部品を該搬送手段の所定の位置に載置するように載置位置を指示する指示手段とを具備することを特徴とする搬送システム。
【請求項2】
該搬送手段には該収容手段に収容されている部品を種分けして載置する載置手段が設けられており、該載置手段はワークが設置されるワーク設置領域を略中央部に配置し、該ワーク設置領域を囲むように部品載置領域が形成され、該指示手段は該報知手段によって報知された該部品を、該部品載置領域の範囲で該組付け作業領域における該ワークの該部品組付け側に載置するように指示する手段である請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
該報知手段は、該組付け作業領域において使用する部品の使用順序にもとづいて報知する手段である請求項1または2に記載の搬送システム。
【請求項4】
該報知手段は該使用順序が後の部品から順番に報知する手段である請求項3に記載の搬送システム。
【請求項5】
該報知手段は、該収容手段に種分けして収容されている該複数の部品の中から、該搬送手段に載置すべき部品を視覚的手段によって報知する手段である請求項1〜4のいずれかに記載の搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−326725(P2006−326725A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−151748(P2005−151748)
【出願日】平成17年5月25日(2005.5.25)
【出願人】(390009896)愛知機械工業株式会社 (190)
【Fターム(参考)】