説明

搬送量計測装置および記録装置

【課題】データ処理量を増大させることなく、パターンマッチングに適したパターンを正確にピックアップし、記録用紙上の移動量計測用パターンの正確な移動量を検出する。
【解決手段】記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送手段を備え、搬送される記録媒体に記録ヘッドを用いて画像を記録する記録装置における記録媒体の搬送量を計測する搬送量計測装置であって、搬送される記録媒体に対して所定範囲の撮像領域を有し、記録媒体の搬送量を計測するための移動量計測用パターンの抽出および移動量計測用パターンの移動量を算出するための画像データを取得するイメージセンサ101−1と、搬送方向のイメージセンサ101−1の上流側に配置された所定範囲の撮像領域を有し、移動量計測用パターンを抽出する範囲を選択するためのイメージセンサ101−1よりも低解像度の画像データを取得するイメージセンサ101−2を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2次元イメージセンサを用いて記録用紙の表面の所定エリアを読み取り、読み取られた画像の移動情報から記録用紙の搬送手段による搬送量を計測する搬送量計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、インクジェットプリンタなどの、記録用紙を所定方向に搬送しながら記録用紙表面に画像を記録する記録装置においては、印刷中の記録用紙の搬送精度が印刷画像の品位に大きな影響を及ぼす。特許文献1は、記録用紙を精度良く搬送するために、記録用紙を搬送するローラ等の回転量を検出するのではなく、搬送される記録用紙の移動量を直接検出することにより、装置の搬送系の移動量との誤差をなくす構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−217176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された技術は、記録用紙の搬送量を計測するのに適したパターンを特定することと、このパターンのパターンマッチングにより記録媒体の搬送量を検出することの両方を解像度一定のセンサを用いて行う。パターンマッチングを精度よく実行するには高解像度の画像が必要である。このため、記録用紙の搬送量を計測するためのデータ処理量が大きいという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、少ないデータ処理量で、記録用紙の搬送量を計測するパターンの特定およびパターンマッチングによる記録用紙の搬送量の計測が可能な搬送量計測装置およびこれを備えた記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の搬送量計測装置は、記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送手段を備え、搬送される記録媒体に記録ヘッドを用いて画像を記録する記録装置における記録媒体の搬送量を計測する搬送量計測装置であって、搬送される記録媒体に対して所定範囲の撮像領域を有し、記録媒体の搬送量を計測するための移動量計測用パターンの抽出および移動量計測用パターンの移動量を算出するための画像データを取得する第1の撮像手段と、前記搬送方向の前記第1の撮像手段の上流側に配置された所定範囲の撮像領域を有し、前記第1の撮像手段の撮像領域のうち、前記移動量計測用パターンを抽出する範囲を選択するための、前記第1の撮像手段よりも低解像度の画像データを取得する第2の撮像手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、解像度の低い第2の撮像手段から得られた画像データに基づいて、第1の撮像手段における移動量計測用パターンを抽出する範囲を選択することにより、第1の撮像手段から得られた画像データを用いた移動量計測用パターンの抽出および移動量の算出に要するデータ処理量を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明が適用された記録装置の概略構成図である。
【図2】撮像装置の構成例を示す図である。
【図3】撮像装置に用いられるイメージセンサの構成の一例を示す図である。
【図4】本発明に用いる異なる解像度のイメージセンサの配置構成とパターン認識の概念図である。
【図5】本発明のイメージセンサの回路構成図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る搬送量計測動作を説明するフローチャートである。
【図7】高解像度イメージセンサから得られる画像データからのターゲットパターンの位置取得処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】低解像度イメージセンサから得られる画像データからのターゲットパターン抽出処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0010】
図1は本発明が適用された記録装置としてのインクジェットプリンタの概略図である。なお、本発明ではインクジェットプリンタを用いて説明しているが、それに限らずレーザー等他の方式の記録装置に適用可能である。
【0011】
図1において、100は撮像装置、103は記録媒体としての記録用紙、130は給紙トレイ、140は搬送装置、150は給紙ローラ、160は排紙ローラ、180はキャリッジ、182は記録ヘッド、200はコントローラをそれぞれ示している。
【0012】
コントローラ200は、プロセッサ、メモリ等のハードウエアと所要のソフトウエアとから構成され、撮像装置100からの画像データを処理するとともに、搬送装置140、記録ヘッド182などの記録装置全体をコントロールする。
【0013】
このインクジェットプリンタにおいては、給紙トレイ130に配置された記録用紙103が回転する給紙ローラ150により記録ヘッド182側に向けて供給される。供給された記録用紙103は、搬送装置140の搬送駆動ローラ142と搬送従動ローラ141の間に挟まれて、用紙搬送方向Aに搬送され、記録開始位置にセットされる。記録ヘッド182はキャリッジ180により用紙搬送方向Aと直交する方向(主走査方向)に移動されながら、記録用紙103の単位領域にインクを吐出して画像を形成する。この単位領域の画像形成が完了すると、記録用紙103は単位領域の幅に相当する移動量だけ搬送装置140により搬送される。この記録用紙103への記録および記録用紙103の搬送が繰り返されることにより、記録用紙103へ画像が記録される。記録用紙103への画像の記録が完了すると、記録用紙103は排紙ローラ160により排出される。
【0014】
撮像装置100は、図1および図2に示すように、記録用紙103の印刷面と反対側に記録用紙103と対向して配置され、記録用紙103の裏面を撮像するようになっている。なお、撮像装置100を記録用紙103の印刷面側に配置することも可能である。この撮像装置100は、発光部であるLED102とイメージセンサ101とを有する。LED102は例えば、発光波長約660nmの赤色LEDである。このLED102からの光が記録用紙103の裏面で反射されて撮像素子101に入光する。また、図3に示すように、このイメージセンサ101は用紙搬送方向に対して、上流側に第1の撮像手段としての低解像度のイメージセンサ101−2と、下流側に第2の撮像手段としての高解像度のイメージセンサ101−1を含む。すなわち、イメージセンサ101は、異なる解像度の2つのイメージセンサを含み、これらは、用紙搬送方向において互いに隣接している。各イメージセンサ101−1,101−2は、それぞれ搬送される記録用紙103に対して所定範囲の撮像領域を有する。
【0015】
ここで、図4を参照して本発明の原理について説明する。低解像度のイメージセンサ101−2は、撮像素子間の距離40μm、画素数256×128ドット、総画素数32768ドットを有する。すなわち低解像度のイメージセンサ101−2のサイズは10.24mm×5.12mmとなっている。高解像度のイメージセンサ101−1は、素子間の距離10μm、画素数1024×256ドット、総画素数262174ドットを有する。高解像度のイメージセンサ101−1のサイズは10.24mm×2.56mmとなっている。両方を合わせたイメージセンサ101のサイズは記録用紙の幅方向に10.24mm、記録用紙搬送方向に7.68mmのサイズとなっており、この範囲で記録用紙の表面を撮像することが可能である。
【0016】
この2種類のイメージセンサ101−1,101−2のうち、高解像度のイメージセンサ101−1は、記録用紙の移動量(搬送量)を算出するために用いる移動量計測用パターン(以下、ターゲットパターンという)を抽出するための画像データを取得するのに用いられる。ターゲットパターンは図4に示すTPである。イメージセンサ101−1に対して記録用紙103の搬送方向上流側に配置された低解像度のイメージセンサ101−2は、高解像度のイメージセンサ101−1の全撮像領域のうち、ターゲットパターンTPの画像抽出に用いられる領域を選択するための画像データの取得に用いられる。低解像度のイメージセンサ101−2から得られる、記録用紙103の表面の撮像画像は粗いものとなるが、全画素のデータを取得したとしても総画素数は相対的に少なく処理時間も多くを要しない。この低解像度のイメージセンサ101−2の全画素をサーチし、その画素間のコントラストに基づいて、高解像度のイメージセンサ101−1の、ターゲットパターンの抽出に用いられる領域を選択する。高解像度のイメージセンサ101−1の選択された領域の画像データからターゲットパターンTPを抽出するとともに、ターゲットパターンTPの移動量を算出する。ターゲットパターンTPの移動量を記録用紙103の搬送量とする。すなわち、高解像度のイメージセンサ101−1で実際の移動量を計測するのに用いるのに適したターゲットパターンが取得できそうなエリアを高解像度のイメージセンサ101−1の全画素のなかから選択する。これにより、高解像度のイメージセンサ101−1の着目すべきエリアが選択した領域に限定され、処理すべき画素データ量が削減される。この2種類の解像度のイメージセンサ101−1,101−2の組み合わせにより、パターンマッチングに適したイメージパターンをある程度の広い範囲の画像から探すことができるとともに、処理データ量の削減が可能となる。
【0017】
図5はイメージセンサ101の回路構成を示した図である。イメージセンサ101の画素数は前述のとおりであるが、ここでは簡略化のため図5に示すように3×3の9画素のイメージセンサとしてイメージセンサの動作を説明する。図5において、110はマトリクス状に配置された各画素の駆動をコントロールするタイミングジェネレータを示す。111はそのタイミングジェネレータ111により駆動される水平シフトレジスタ、112は垂直シフトレジスタを示す。水平シフトレジスタ111からは各画素を駆動する信号線としてH0〜H2が出力され、垂直シフトレジスタ112からはV0〜V2が出力されている。また、113は撮像素子であるフォトダイオードである。各画素のフォトダイオードが入光される光の強弱に応じた電圧に変換する光電変換素子である。次に各画素の駆動方法について説明する。ある規定の撮像時間が経過後、各画素には撮像された画像に応じた電圧が発生している。まず垂直シフトレジスタ112により、信号線V0にパルスを発生させる。このパルスにより各フォトダイオードに接続されているトランジスタが駆動され、フォトダイオード113のカソード側の電圧がトランジスタのフォトダイオード反対側の端子に出力される。ここで信号線V0に接続されている1行3個分のデータが垂直方向の信号線に現れる。次に水平シフトレジスタ111からの信号線H0〜H2が順次駆動される。まずH0に出力されたパルスにより、その信号線に接続されたトランジスタが駆動され、先ほどの1行目のフォトトランジスタのうちH0のラインのフォトトランジスタの電圧がアンプ204への入力信号に現れる。次にH1を駆動し、隣のフォトトランジスタの出力がアンプ204へ入力され、最後にH2を駆動する。この水平シフトレジスタの順次駆動により、1行目の3個の素子のデータを取り込むことができる。以下同様に垂直シフトレジスタからV1を駆動し、中央の列の3個のフォトトランジスタの出力を信号線に出力する。このように水平シフトレジスタ111と垂直シフトレジスタ112の順次駆動によりマトリクス上のすべての画素のデータを取り込むことができる。ここでは3×3のマトリクスの画素すべての撮像データを取り込む動作を説明したが、水平シフトレジスタ111と垂直シフトレジスタ112からの信号線を選択駆動することによって、所望の画素のデータのみを取り込むことが可能である。本発明では、上述したように、高解像度のイメージセンサ101−1からのデータ量を削減するために、高解像度のイメージセンサ101−1の画素データを選択的に取得する。これは、このように各シフトレジスタからの駆動信号を選択することで実現される。
【0018】
次に、図6〜図8に示すフローチャートを用いて、本発明の一実施形態にかかる記録用紙の搬送量の計測動作について説明する。なお、図6は搬送量計測動作の処理手順を示し、図7は高解像度のイメージセンサから得られる画像データからのターゲットパターンの位置取得処理、図8は低解像度のイメージセンサから得られる画像データからターゲットパターンを抽出する処理の一例を示す。
【0019】
図6において、最初に低解像度のイメージセンサ101−2の探索結果に基づいて選択された、高解像度のイメージセンサ101−1でのターゲットパターンの探索エリアがセットされているかを判断する(ステップS501)。なお、ターゲットパターン探索エリアは、低解像度のイメージセンサ101−2から得られたターゲットパターンに応じて選択した領域である。ここでは最初の動作であるために、次にステップS504に進むものとする。
【0020】
ステップS504においては、低解像度のイメージセンサ101−2から得られる画像データから、パターンマッチングに適したターゲットパターンを取得できそうなエリアを選定する。この低解像度のイメージセンサ101−2での動作は図8に示すフローチャートを用いて後述する。
【0021】
次に、ステップS505で、この低解像度のイメージセンサ101−2で選択した画素から、高解像度のイメージセンサ101−1においてターゲットパターンを取得するための探索エリアを計算する。高解像度のイメージセンサ101−1における探索開始位置は、両方のセンサの物理的な距離と1回の記録用紙搬送によるターゲットパターンの移動量とにより決定される。
【0022】
次に、ステップS506において、記録ヘッドでの1走査の印刷範囲により決定される搬送量分の記録用紙の搬送を行う。ステップS507において1ページの印刷動作が終了していなければ、ステップS502に戻る。
【0023】
ステップS502においては、高解像度のイメージセンサ101−1で認識しているターゲットパターンの現在位置を取得するとともに、当該ターゲットパターンの移動量を算出する。すなわち、記録用紙103の搬送による、ターゲットパターンの移動量を算出する。
【0024】
次いで、ステップS503においては、低解像度のイメージセンサ101−2の選定結果から選択された高解像度のイメージセンサ101−1のエリアを探索することにより、次回の搬送量の算出に用いるターゲットパターンを抽出(認識)する。
【0025】
次に、ステップS504においては、低解像度のイメージセンサ101−2から得られる画像データに基づいて、次の高解像度のイメージセンサ101−1におけるターゲットパターン算出用の探索エリアを選定する。
【0026】
このように前回抽出したターゲットパターンの移動量の算出、前回選択されたターゲットパターンの探索範囲をサーチしてターゲットパターンを認識すること、および、ターゲットパターンの探索範囲を新たに選択することが1回の記録用紙搬送動作毎に実行される。
【0027】
次に、図8のフローチャートを参照して、低解像度のイメージセンサ101−1から得られる画像データに基づく、高解像度のイメージセンサ101−2におけるターゲットパターン探索エリア選定の動作について説明する。低解像度のイメージセンサ101−2においては、全画素範囲を探索し、規定の画素の位置を取得する。まず、ステップS701で開始位置を指定した後に、ステップS702で着目画素の画像濃度を取得する。この濃度の取得は、前述したようにイメージセンサ101のシフトレジスタを駆動することにより所望のフォトダイオードの電位を検出することで行う。ステップS706で、このシフトレジスタ111と112を順次駆動していく。ステップS703で全画素のデータの取得を終了した場合には、ステップS704で全画素中の最大濃度である画素の座標を取得する。
【0028】
図4の点線X内に示すように、記録用紙の表面を撮像すると、記録用紙の印字面ではない面を撮像しているため、基本的には撮像される画像は白データである。しかしながら、この中でも、パターンマッチングしやすいターゲットパターンにするのに適した部分は比較的に黒側に近い濃度となっているので、全画素中から最大濃度の画素を選定するようにしている。この反射濃度は記録用紙の材質等に左右されるものであり、濃度差を顕著にするためには発光側LEDの発光量の調整等を行う必要がある。このステップS704で決定された画素座標と、次回の記録用紙の搬送予定量からこの画素座標が高解像度側でどの位置に相当するかが算出されるので、それが高解像度のイメージセンサ101−1における探索位置となる。このステップS704で決定された画素座標に相当する記録用紙の位置が、次回の記録用紙搬送により高解像度センサの守備範囲に移動しなければならない。このため、印字モード等により、1回の記録用紙搬送量が可変であるプリンタお場合には、その搬送量に応じて座標を決定する必要がある。
【0029】
次に、図7を用いて高解像度のイメージセンサでのターゲットパターンの位置取得動作について説明する。まず、前述したように、ステップS601で低解像度のイメージセンサにおける検出結果から、指定された探索開始座標をセットする。
【0030】
次に、ステップS602において、その座標の画素の濃度を調べる。この濃度の取得方法については、低解像度センサでの駆動と同様であり、ここでは探索範囲に応じてセンサを部分的に駆動している。ここで規定値以上の濃度であるときにはステップS603に進み、その画素の周辺画素の濃度を調べる。着目画素の周辺画素の濃度が逆に規定値以下であるならば、着目画素は特徴点として認識され、ステップS604でターゲットパターンを作成する画素としてその座標がメモリに格納される。これを繰り返すことにより、指定された探索範囲の全ての画素の調査が終了したところで、ステップS607に進む。ステップS607では、特徴点としてピックアップした画素数が4個以上であるかを調べる。ここで3個以下であればステップS608に進み、濃度判断を行う閾値の規定値を変更して再度特徴点の選定を行う。
【0031】
ステップS607において、4個以上の特徴点が選定された場合には、図4に示すように、まず1つの特徴点Aの座標と、その他の特徴点B〜Dへのベクトルからターゲットパターンのイメージを作成する。このようにして高解像度センサでのターゲットパターンの作成を行い、ターゲットパターンの移動量から記録用紙の搬送量の計測を行う。また、このターゲットパターンの移動先の確認についても、移動先は記録用紙の搬送量から予測されるので、同様にパターンのイメージ作成動作を行い、パターンが一致する画素位置を算出することでターゲットパターンの移動量を算出する。
【0032】
本実施形態によれば、解像度の異なる2種類のイメージセンサを備え、低解像度側のイメージセンサで移動量計測に適していると予測できるパターン位置を選定することにより、データ処理量を増大させずに監視エリアの範囲を広げることができる。その結果、より認識に有効なパターンを選定することが可能となる。
【0033】
また、高解像のイメージセンサでは、ターゲットパターン選定を低解像度のイメージセンサからの画像データを用いてあらかじめ選択された限定されたエリアで行うため、ここでもデータ処理量を削減することができ、かつ、高解像度での精度良い搬送量の計測が可能となる。
【0034】
また、本実施形態によれば、高解像度のイメージセンサを大きくする必要がないため、回路規模も小さく抑えることができコスト面でも有効である。
【0035】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。
第1の実施形態では、低解像度のイメージセンサでの探索結果から高解像度のイメージセンサの探索開始位置を選択したが、高解像度センサが決定したターゲットパターンの記録用紙搬送後の移動先を確認することで、記録用紙搬送方向に直交する方向(主走査方向)にどの程度移動しているか、すなわち記録用紙搬送の斜行量についても計測できる。この結果から、次に決定される高解像度のイメージセンサの探索開始位置に記録用紙搬送方向に直交する方向のずれ量を加味することも可能である。この直交方向のずれ量を最小限にすることにより、高解像度センサが探索する範囲を小さくすることも可能である。
【0036】
上記実施形態では、記録ヘッドを主走査方向に移動する記録装置を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるわけではなく、記録ヘッドが固定されたタイプの記録装置にも適用可能である。
【0037】
上記実施形態では、解像度の異なる2つのイメージセンサを用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるわけではなく、同じ解像度のイメージセンサを用いてもよい。この場合には、低解像度の画像データを取得するイメージセンサの使用画素を間引くことにより、データ処理量を削減する。
【符号の説明】
【0038】
100 撮像装置
101 イメージセンサ
101−1 高解像度のイメージセンサ(第2の撮像手段)
101−2 低解像度のイメージセンサ(第1の撮像手段)
102 LED発光部
103 記録用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送手段を備え、搬送される記録媒体に記録ヘッドを用いて画像を記録する記録装置における記録媒体の搬送量を計測する搬送量計測装置であって、
搬送される記録媒体に対して所定範囲の撮像領域を有し、記録媒体の搬送量を計測するための移動量計測用パターンの抽出および移動量計測用パターンの移動量を算出するための画像データを取得する第1の撮像手段と、
前記搬送方向の前記第1の撮像手段の上流側に配置された所定範囲の撮像領域を有し、前記第1の撮像手段の撮像領域のうち、前記移動量計測用パターンを抽出する範囲を選択するための、前記第1の撮像手段よりも低解像度の画像データを取得する第2の撮像手段と、を有することを特徴とする搬送量計測装置。
【請求項2】
前記第2の撮像手段から得られる画像データに基づいて、前記第1の撮像手段の全撮像領域のうち、前記移動量計測用パターンを抽出する範囲を選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された領域から得られる画像データに基づいて、前記移動量計測用パターンを抽出するとともに、当該移動量計測用パターンの移動量を算出する画像抽出手段と、
前記移動量計測用パターンの移動量から前記記録媒体の搬送量を計測する計測手段と、をさらに有する請求項1に記載の搬送量計測装置。
【請求項3】
前記第1の撮像手段の撮像領域と、前記第2の撮像手段の撮像領域とは、前記搬送方向において隣接している、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送量計測装置。
【請求項4】
記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送手段を備え、搬送される記録媒体に記録ヘッドを用いて画像を記録する記録装置であって、
搬送される記録媒体に対して所定範囲の撮像領域を有し、記録媒体の搬送量を計測するための移動量計測用パターンの抽出および移動量計測用パターンの移動量を算出するための画像データを取得する第1の撮像手段と、
前記搬送方向の前記第1の撮像手段の上流側に配置された所定範囲の撮像領域を有し、前記第1の撮像手段の撮像領域のうち、前記移動量計測用パターンを抽出する範囲を選択するための、前記第1の撮像手段よりも低解像度の画像データを取得する第2の撮像手段と、を有することを特徴とする記録装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−220405(P2012−220405A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88207(P2011−88207)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】