説明

携帯型情報処理端末及びそのセキュリティ方法並びにプログラム

【課題】情報処理端末が第三者によって不正利用されることを抑制し、セキュリティの向上を図ること。
【解決手段】自己の現在位置と予め設定された基準位置との距離情報を取得する距離情報取得手段と、距離情報に応じて予め設定された端末の不正利用を防止する動作を表す動作情報を記憶する動作情報記憶手段と、距離情報取得手段にて取得した距離情報に基づいて動作情報に応じた不正利用防止動作を実行する動作実行手段と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型情報処理端末にかかり、特に、不正利用を防止する機能を有する携帯型情報処理端末に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Data Assistance,Personal Digital Assistants:個人向け携帯型情報通信機器)などの普及に伴い、このような携帯型情報処理端末の盗難や紛失などによって第三者の手に渡ってしまうことにより不正利用されてしまう、ということが問題になっている。このような場合に、不正利用されないためのセキュリティ保護としては、起動時に暗証番号を入力することで認証を行うことが実行されている。
【0003】
しかし、携帯電話などの暗証番号を数字にて設定し、かかる数字の組み合わせのみで認証を行う場合には、利用者の個人情報、例えば誕生日などの数字や分かりやすい番号を使用したりすることが多い。従って、第三者によって解除されてしまう場合が生じ、セキュリティの低下が懸念されている。
【0004】
また、日常利用において暗証番号を入力する手間を省くため、起動時に暗証番号を入力するセキュリティの設定を行っていない場合も多いのが実情である。このため、セキュリティ手段を装備している携帯端末装置にもかかわらず、盗難などによって携帯端末装置の不正利用が行われてしまう、という上述した問題が依然として生じていた。
【0005】
【特許文献1】特開2001−224064号公報
【特許文献2】特開2002−44271号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方で、上記特許文献1,2には、携帯電話の位置に応じて、発信を不可にしたり、アラームを鳴らす、などの技術が開示されている。しかし、特許文献1では、距離に応じた通話料金を課金してユーザの利便性の向上を図ることを目的としている。また、特許文献2では、目的地に訪問する際の案内として利用することを前提としている。このように、上述した従来例は、自己が利用するために用いる技術であり、上述した携帯電話などの紛失時等に生じうる不正利用を防止するといった防犯的な機能は装備されていない。
【0007】
このため、本発明では、上記従来例の有する不都合を改善し、特に、情報処理端末が第三者によって不正利用されることを抑制し、セキュリティの向上を図る、ことをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明の一形態である携帯型情報処理端末は、
自己の現在位置と予め設定された基準位置との距離情報を取得する距離情報取得手段と、
距離情報に応じて予め設定された端末の不正利用を防止する動作を表す動作情報を記憶する動作情報記憶手段と、
距離情報取得手段にて取得した距離情報に基づいて動作情報に応じた不正利用防止動作を実行する動作実行手段と、
を備えたことを特徴としている。
【0009】
上記発明によると、まず、携帯型情報処理端末では、自己の端末やネットワーク上のコンピュータから、現在位置と予め設定された基準位置との距離情報が取得される。そして、この取得した距離情報に応じて、予め設定された不正利用を防止するための動作が実行される。このため、例えば、盗難により端末が第三者の手に渡った場合に、自己の行動範囲とは異なるような場所に持ち運ばれたとしても、距離情報に応じて不正利用防止の動作が実行されるため、第三者による不正利用を有効に防止することができる。
【0010】
そして、動作情報は、距離情報の値に応じて複数の異なる動作が設定されている、ことを特徴としている。このとき、携帯型情報処理端末は、通信機能を有すると共に、動作情報は、通信機能による発信を不可とする動作情報を含む、ことを特徴としている。また、動作情報は、警報音を出力させる動作情報を含む、ことを特徴としている。このとき、特に、動作情報は、警報音出力を停止不可とする動作情報を含む、ことを特徴としている。また、携帯型情報処理端末は、位置登録サーバに対して自己位置登録を行う機能を有する通信可能な端末であると共に、動作情報は、端末の電源オフを不可とする動作情報を含む、ことを特徴としている。さらに、ユーザからの動作情報の入力を受け付けて動作情報記憶手段に記憶する動作情報設定手段を備えた、ことを特徴としている。
【0011】
このように、距離情報に応じて不正利用防止動作をそれぞれ実行させることができるため、自己が利用している場合であっても端末使用に影響がないような設定を行うことができる。例えば、警報音の出力を停止不可とする動作を設定した場合には、第三者が不正利用しようとしても警報音が鳴動し続けるため、有効に利用防止を実現できる。また、電源オフを不可とすることで、携帯電話などの通信端末においては、位置登録サーバに位置登録を行う機能が備わっていることから、常に端末の位置が登録され続けることとなり、不正利用者の追跡を行うことができる。さらには、ユーザが基準位置から端末までの距離に応じた不正利用防止動作を自由に設定できることで、そのときの行動に合わせて設定することができ、ユーザの利便性の向上を図ることができる。
【0012】
また、距離情報取得手段は、ネットワークを介して接続された情報処理装置から距離情報を取得する、ことを特徴としている。このとき、距離情報取得手段は、情報処理装置に自己の現在位置を特定する情報を通知する、ことを特徴としている。
【0013】
これにより、現在位置と基準位置との距離情報の算出がネットワーク上のコンピュータにて実行されるため、携帯型情報処理端末の処理負担を軽減することができる。このとき距離情報を算出するための携帯型情報処理端末の現在位置情報がネットワーク上のコンピュータに通知されるため、かかる情報を調べることで、携帯型情報処理端末の位置を追跡することが可能となる。
【0014】
また、本発明の他の形態である情報処理装置は、上述した携帯型情報処理端末にネットワークを介して接続された情報処理装置であって、予め設定された基準位置情報を記憶する基準位置情報記憶手段と、携帯型情報処理端末から当該携帯型情報処理端末の現在位置を特定する情報の通知を受け付ける現在位置情報受付手段と、この受け付けた現在位置情報と基準位置情報との距離情報を算出して、この距離情報を携帯型情報処理装置に送信する距離情報算出手段と、を備えたことを特徴としている。このとき、現在位置情報受付手段は、受け付けた現在位置情報を記憶手段に記憶する機能を有する、ことを特徴としている。
【0015】
また、本発明では、上述した携帯型情報処理端末と情報処理装置とを備えたセキュリティシステムをも提供している。
【0016】
さらに、本発明の他の形態であるプログラムは、携帯型情報処理端末に、自己の現在位置と予め設定された基準位置との距離情報を取得する距離情報取得手段と、取得した距離情報に応じて、予め記憶された端末の不正利用を防止する動作を表す動作情報に基づく不正利用防止動作を実行する動作実行手段と、を実現させる、ことを特徴としている。
【0017】
また、本発明の他の形態である携帯型情報処理端末のセキュリティ方法は、
自己の現在位置と予め設定された基準位置との距離情報を取得する距離情報取得工程と、
取得した距離情報に応じて、予め記憶された端末の不正利用を防止する動作を表す動作情報に基づく不正利用防止動作を実行する動作実行工程と、
を有することを特徴としている。
【0018】
そして、上記動作実行工程は、距離情報の値に応じて複数の異なる動作を実行する、ことを特徴としている。例えば、動作実行工程は、携帯型情報処理端末が有する通信機能による発信を不可とする動作を実行する、警報音を出力する動作を実行する、警報音出力を停止不可とする動作を実行する、端末の電源オフを不可とする動作を実行する、ことを特徴としている。
【0019】
また、距離情報取得工程の前に、携帯型情報処理端末が自己の現在位置を特定する情報をネットワークを介して接続された情報処理装置に通知する現在位置情報通知工程と、情報処理装置が、現在位置情報の通知を受け付け、当該現在位置情報と予め設定された基準位置情報との距離情報を算出して、この距離情報を携帯型情報処理装置に送信する距離情報算出工程と、を有することを特徴としている。このとき、距離情報算出工程は、受け付けた現在位置情報を情報処理装置の記憶手段に記憶する、ことを特徴としている。
【0020】
上述した情報処理装置やセキュリティシステム、プログラム、方法の発明であっても、上記同様に作用するため、上述した本発明の目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、以上のように構成され機能するので、これによると、携帯型情報処理端末の現在位置と基準位置との距離に応じて、予め設定された不正利用を防止するための動作が実行されるため、例えば、盗難により端末が第三者の手に渡った場合には不正利用防止の動作が実行されるため、第三者による不正利用を有効に防止することができる、という従来にない優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、携帯型情報処理端末の位置に応じて、不正利用防止動作が自動的に実行されることを特徴としている。以下、携帯型情報処理端末の一例として携帯電話を挙げて説明するが、PDAやノートパソコンなどの他の情報処理端末であってもよい。
【実施例1】
【0023】
本発明の第1の実施例を、図1乃至図5を参照して説明する。図1は、システム全体の構成を示す図である。図2は、携帯電話の構成を示す機能ブロック図であり、図3は、携帯電話の記憶されている情報を示す図である。図4は、サーバ装置の構成を示す機能ブロック図である。図5は、システム全体の動作を示すシーケンス図である。
【0024】
[構成]
携帯電話の不正利用を防止するためのセキュリティシステムは、図1に示すように、携帯電話1が、ネットワークNを介してサーバ装置2に接続され、構成されている。以下、携帯電話1及びサーバ装置2の構成について詳述する。
【0025】
<携帯電話>
携帯電話1は、通話機能やデータ通信機能を有する一般的な携帯電話であり、図2に示すように、CPUといった演算装置1Aと、フラッシュメモリ1Bといった記憶装置1Bと、テンキーボタンなどの操作部1Cと、を備えている。また、この携帯電話1は、GPSアンテナ1Dを備えていて、後述するように自己の現在位置情報を取得することが可能である。但し、現在位置情報はGPSによる情報に限定されず、後述するように、携帯電話1が基地局に対して発信する位置登録情報が、現在位置情報として用いられてもよい。
【0026】
そして、携帯電話1の演算装置1Aには、セキュリティ用プログラムが組み込まれることで、位置情報処理部11と、距離情報取得処理部12と、不正防止動作実行処理部13と、動作設定処理部14と、が構築されている。また、記憶装置1Bには、動作情報記憶部15が形成されている。
【0027】
位置情報処理部11は、GPSアンテナ1Dを介してGPSシステムから携帯電話機自身の現在位置情報を取得し、この現在位置情報を、携帯電話1を特定する識別情報と共にサーバ装置2に送信する機能を有する。かかる機能は、例えば、一定の時間間隔ごとに作動する。
【0028】
距離情報取得処理部12は、予め設定された基準位置と、携帯電話機自身の現在位置との距離を表す距離情報を、サーバ装置2から受信して、不正防止動作実行処理部13に渡す機能を有する。なお、距離情報は、後述するように、サーバ装置2に送信した現在位置情報と、予めサーバ装置2に登録されている基準位置情報と、に基づいてサーバ装置2にて算出された、これらの距離を表す数値情報である。このように、位置情報処理部11と距離情報取得処理部12は、上述した距離情報を取得するよう機能する(距離情報取得手段)。
【0029】
ここで、記憶装置1Bの動作情報記憶部15(動作情報記憶手段)には、距離情報の値に応じて予め設定された端末の不正利用を防止する動作を表す動作情報が記憶されている。その一例を図3に示す。この図においては、左側の列が距離情報の値を示しており、右側の列が各距離に応じて設定された動作を示している。具体的には、距離情報の値が、100m以上1km未満の場合には、通話やデータ通信などの発信機能の利用を不可とする動作が設定されている。また、1km以上10km未満の場合には、周囲に異常を知らせるような大きい音のアラームを鳴動させる動作が設定されている。さらには、10km以上の場合には、上述したようにアラームを鳴動させると共に、このアラームの鳴動がいかなる操作がなされても停止しない、という動作や、電源オフを不可する動作が設定されている。なお、距離情報の値が、100m未満の場合にはなんら動作が設定されていないため、通常の動作が可能である。但し、図3に挙げた動作は一例であって、他の動作が設定されていてもよい。例えば、自動的に携帯電話事業者や防犯事業者に異常を通知するメールを自動的に発信するといった動作が設定されていてもよい。
【0030】
そして、不正防止動作実行処理部13(動作実行手段)は、上記距離情報取得処理部12にてサーバ装置2から取得した距離情報に基づいて、動作情報として設定された不正防止動作を実行する。具体的には、取得した距離情報の値が、動作情報記憶部15に記憶された動作情報中に設定されたどの距離情報の範囲に位置するかを調べ、該当する範囲に対応して設定された動作を、携帯電話1上にて実行するよう制御する。つまり、本実施例では、発信機能が不可となったり、警報音であるアラームが鳴動したり、その鳴動停止が不可となったり、電源オフが不可となるよう、携帯電話1の動作を制御する。
【0031】
また、動作設定処理部14(動作情報設定手段)は、ユーザから操作部1Cを介して入力される上述した動作情報を受け付けて、動作情報記憶部15に登録する機能を有する。つまり、ユーザは、自己の行動範囲に応じて、距離の値や動作を任意に設定することが可能となる。
【0032】
<サーバ装置>
次に、上述した携帯電話1にネットワークを介して接続されたサーバ装置2について説明する。このサーバ装置2(情報処理装置)は、携帯電話1とデータ通信可能な一般的なサーバコンピュータであって、CPUといった演算装置2Aと、ハードディスクといった記憶装置2Bと、を備えている。
【0033】
そして、サーバ装置2の演算装置2Aには、図4に示すように、所定のプログラムが組み込まれることにより、位置情報受付処理部21と、距離情報産出処理部22と、が構築されている。また、記憶装置2Bには、位置情報記憶部23と、基準位置情報記憶部24と、が形成されている。
【0034】
位置情報受付処理部21(現在位置情報受付手段)は、携帯電話1から送信された現在位置情報を受け付けて、距離情報算出処理部22に渡すと共に、位置情報記憶部23に記憶する。このとき、現在位置情報と共に受け付けた携帯電話1の識別情報に基づいて、携帯電話1毎に現在位置情報を時刻情報と共に記憶しておく。
【0035】
また、距離情報算出処理部22(距離情報算出手段)は、まず、受け付けた携帯電話1の現在位置情報と、基準位置情報記憶部24に記憶されている携帯電話1ごとの基準位置情報と、の距離を算出する。ここで、基準位置情報は、予めユーザが携帯電話1からサーバ装置2にアクセスして、携帯電話1ごとの基準位置情報を入力設定したものである。例えば、自宅などが基準位置情報として設定される。そして、この基準位置情報には、携帯電話1の識別情報も関連付けられて記憶されている。これによって、距離情報算出処理部22は、現在位置情報を受け付けると、同時に受け付けた携帯電話1の識別情報に対応する基準位置情報を基準位置情報記憶部24から読み出して、これら各位置の間の距離を算出する。そして、この算出した距離情報を、携帯電話1に対して返送する。
【0036】
[動作]
次に、上記構成のシステムの動作を、図5を参照して説明する。まず、ユーザは携帯電話1でサーバ装置2にアクセスし、自宅などの住所を入力して基準位置情報の設定を行う(ステップS1)。これを受けたサーバ装置2は、ユーザ(携帯電話1)を識別する情報と共に、基準位置情報を記憶しておく(ステップS2)。また、ユーザは、携帯電話1に対して、図3に示すような距離に応じた不正利用防止動作を表す情報を入力し、携帯電話1の動作情報記憶部15に設定登録する(ステップS3)。
【0037】
その後、携帯電話1は、常時、現在位置情報をGPSにて取得して、サーバ装置2に通知する(ステップS11、現在位置情報通知工程)。このとき、携帯電話1の識別情報と関連付けて通知する。すると、サーバ装置2は、識別情報にて区別して、携帯電話1ごとの現在位置情報を時刻情報と共に位置情報記憶部23に記憶する(ステップS12)。そして、これに前後して、識別情報に対応する予め登録されている基準位置情報を読み出して、通知された現在位置情報と基準位置情報との距離を算出する(ステップS13)。その後、この算出した距離情報を携帯電話1に通知する(ステップS14、距離情報算出工程)。
【0038】
すると、距離情報が携帯電話1にて受信され取得されることとなる(ステップS15、距離情報取得工程)。携帯電話1は、この取得した距離情報に対応する不正利用防止動作を、図3に示す動作情報に基づいて特定し、この特定された不正利用防止動作が実行されるよう携帯電話1自体の動作を制御する(ステップS16、動作実行工程)。例えば、取得した距離情報の値が、100m未満であればなんら制限せず作動させるが、100m以上1km未満の場合には、通話やデータ通信などの発信機能の利用を不可とする。1km以上10km未満の場合には、周囲に異常を知らせるような大きい音のアラームを鳴動させ、10km以上の場合には、アラームを鳴動させると共にこのアラームの鳴動がいかなる操作がなされても停止付加し、さらには、電源オフを不可する。
【0039】
従って、例えば、ユーザが近所に出かけるときに図3に示すような設定を行ったとすると、距離情報が100m未満である場合には、ユーザの行動範囲であるため、なんら利用制限がかけられず、通常の利用が可能となる。一方、盗難や紛失などによって携帯電話1が第三者の手に渡ってしまったとすると、第三者は、ユーザとは異なる行動範囲を有することから、100m以上基準位置から離れることが生じうる。すると、その距離に応じて設定された不正防止動作が実行され、第三者は、携帯電話1を利用することができなくなる。特に、警報音の出力を停止不可とする場合には、第三者が不正利用しようとしても警報音が鳴動し続けるため、第三者が利用を止めることを促すことができ、より有効に不正利用を防止することができる。
【0040】
そして、サーバ装置2の位置情報記憶部23には、携帯電話1の位置情報が時刻情報と共に記憶されていることから、この情報を閲覧することで、現在携帯電話1を所持している不正利用すると思われる者による携帯電話1の位置の追跡を容易に行うことが可能となる。特に、電源オフを不可とするよう不正利用防止動作が作動した場合には、常に携帯電話1の現在位置情報の登録が行われ続けることとなり、さらに容易に、不正利用すると思われる者の追跡を行うことができる。
【0041】
さらに、上述した不正利用防止の動作、及び、作動させる距離の値は、ユーザが自由に設定することができるため、そのときの行動に合わせて設定することができ、利便性の向上を図ることができる。
【0042】
ここで、上記では、携帯電話1の現在位置情報としてGPSシステムから取得した位置情報を利用する場合を説明したが、これに限定されず、携帯電話固有の基地局に対して登録する位置情報を用いてもよい。つまり、基地局が受信した携帯電話の位置登録情報をサーバ装置2が収集して、かかる情報を各携帯電話1の現在位置情報として取得してもよい。従って、GPS機能を有しない携帯電話であっても上述したシステムを構成することができる。
【0043】
さらには、上記では距離情報をサーバ装置2が算出して携帯電話1に通知する場合を例示したが、これに限定されず、携帯電話1内にて距離情報を算出してもよい。つまり、携帯電話1に、基準位置情報が記憶されていると共に、現在位置を検出する機能と、この検出した現在位置情報と記憶されている基準位置情報とに基づいて距離情報を算出する機能と、が備えられていても、上述同様に作動しうる。これによると、サーバ装置2に対するデータ通信が不要となる。
【0044】
なお、上記携帯電話1は、例えば、子供向けの携帯電話に利用することもできる。例えば、自宅と学校の間の距離を越えて携帯電話が移動したことを検出した場合にアラームが発せられるよう設定しておくことで、防犯的な利用効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、盗難や紛失されることで不正利用されやすい携帯電話などの携帯型情報処理端末に利用することで、第三者による不正利用を有効に防止することができるため、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】システム全体の構成を示す図である。
【図2】携帯電話の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】携帯電話の記憶されている情報を示す図である。
【図4】サーバ装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図5】システム全体の動作を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0047】
1 携帯電話
2 サーバ装置
11 位置情報処理部
12 距離情報取得処理部
13 不正防止動作実行処理部
14 動作設定処理部
15 動作情報記憶部
21 位置情報受付処理部
22 距離情報算出処理部
23 位置情報記憶部
24 基準位置情報記憶部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己の現在位置と予め設定された基準位置との距離情報を取得する距離情報取得手段と、
前記距離情報に応じて予め設定された端末の不正利用を防止する動作を表す動作情報を記憶する動作情報記憶手段と、
前記距離情報取得手段にて取得した前記距離情報に基づいて前記動作情報に応じた不正利用防止動作を実行する動作実行手段と、
を備えたことを特徴とする携帯型情報処理端末。
【請求項2】
前記動作情報は、前記距離情報の値に応じて複数の異なる動作が設定されている、ことを特徴とする請求項1記載の携帯型情報処理端末。
【請求項3】
前記携帯型情報処理端末は、通信機能を有すると共に、
前記動作情報は、前記通信機能による発信を不可とする動作情報を含む、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の携帯型情報処理端末。
【請求項4】
前記動作情報は、警報音を出力させる動作情報を含む、ことを特徴とする請求項1,2又は3記載の携帯型情報処理端末。
【請求項5】
前記動作情報は、警報音出力を停止不可とする動作情報を含む、ことを特徴とする請求項4記載の携帯型情報処理端末。
【請求項6】
前記携帯型情報処理端末は、位置登録サーバに対して自己位置登録を行う機能を有する通信可能な端末であると共に、
前記動作情報は、端末の電源オフを不可とする動作情報を含む、ことを特徴とする請求項1,2,3,4又は5記載の携帯型情報処理端末。
【請求項7】
ユーザからの前記動作情報の入力を受け付けて前記動作情報記憶手段に記憶する動作情報設定手段を備えた、ことを特徴とする請求項1,2,3,4,5又は6記載の携帯型情報処理端末。
【請求項8】
前記距離情報取得手段は、ネットワークを介して接続された情報処理装置から前記距離情報を取得する、ことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6又は7記載の携帯型情報処理端末。
【請求項9】
前記距離情報取得手段は、前記情報処理装置に自己の現在位置を特定する情報を通知する、ことを特徴とする請求項8記載の携帯型情報処理端末。
【請求項10】
請求項9記載の携帯型情報処理端末にネットワークを介して接続された情報処理装置であって、
予め設定された基準位置情報を記憶する基準位置情報記憶手段と、
前記携帯型情報処理端末から当該携帯型情報処理端末の現在位置を特定する情報の通知を受け付ける現在位置情報受付手段と、
この受け付けた現在位置情報と前記基準位置情報との距離情報を算出して、この距離情報を前記携帯型情報処理装置に送信する距離情報算出手段と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項11】
前記現在位置情報受付手段は、受け付けた前記現在位置情報を記憶手段に記憶する機能を有する、ことを特徴とする請求項10記載の情報処理装置。
【請求項12】
請求項9記載の携帯型情報処理端末と、請求項10乃至11記載の情報処理装置と、を備えたことを特徴とするセキュリティシステム。
【請求項13】
携帯型情報処理端末に、
自己の現在位置と予め設定された基準位置との距離情報を取得する距離情報取得手段と、
取得した前記距離情報に応じて、予め記憶された端末の不正利用を防止する動作を表す動作情報に基づく不正利用防止動作を実行する動作実行手段と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項14】
携帯型情報処理端末のセキュリティ方法であって、
自己の現在位置と予め設定された基準位置との距離情報を取得する距離情報取得工程と、
取得した前記距離情報に応じて、予め記憶された端末の不正利用を防止する動作を表す動作情報に基づく不正利用防止動作を実行する動作実行工程と、
を有することを特徴とする携帯型情報処理端末のセキュリティ方法。
【請求項15】
前記動作実行工程は、前記距離情報の値に応じて複数の異なる動作を実行する、ことを特徴とする請求項14記載の携帯型情報処理端末のセキュリティ方法。
【請求項16】
前記動作実行工程は、前記携帯型情報処理端末が有する通信機能による発信を不可とする動作を実行する、ことを特徴とする請求項14又は15記載の携帯型情報処理端末のセキュリティ方法。
【請求項17】
前記動作実行工程は、警報音を出力する動作を実行する、ことを特徴とする請求項14,15又は16記載の携帯型情報処理端末のセキュリティ方法。
【請求項18】
前記動作実行工程は、警報音出力を停止不可とする動作を実行する、ことを特徴とする請求項17記載の携帯型情報処理端末のセキュリティ方法。
【請求項19】
前記動作実行工程は、端末の電源オフを不可とする動作を実行する、ことを特徴とする請求項14,15,16,17又は18記載の携帯型情報処理端末のセキュリティ方法。
【請求項20】
前記距離情報取得工程の前に、
前記携帯型情報処理端末が自己の現在位置を特定する情報をネットワークを介して接続された情報処理装置に通知する現在位置情報通知工程と、
前記情報処理装置が、前記現在位置情報の通知を受け付け、当該現在位置情報と予め設定された基準位置情報との距離情報を算出して、この距離情報を前記携帯型情報処理装置に送信する距離情報算出工程と、
を有することを特徴とする請求項14,15,16,17,18又は19携帯電話端末のセキュリティ方法。
【請求項21】
前記距離情報算出工程は、受け付けた前記現在位置情報を前記情報処理装置の記憶手段に記憶する、ことを特徴とする請求項20記載の携帯電話端末のセキュリティ方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−257235(P2007−257235A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−80030(P2006−80030)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】