説明

携帯機器

【課題】 本発明は、筐体と、その筐体と共同して外形を形成するブザー作動用の操作子とを備えた携帯機器に関し、小スペースでブザーを機能させるとともに防水性能を付与する。
【解決手段】 筐体13と共同して外形を形成するブザー作動用の操作子14が、一端を保持したシャフト142を備え、そのシャフト142が、筐体13に設けられた孔131内に圧入されたブッシュ15と段差131bとの間にOリング16を配置して防水性を確保する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体と、その筐体と共同して外形を形成するブザー作動用の操作子とを備えた携帯機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機や携帯型のゲーム機などの携帯機器が広く普及している。それらの携帯機器は益々高機能化されてきているにもかかわらず、一方では小型化、軽量化が進んできており、さらに近年では防水機能も求められてきている。また、特に子供向けや女性向けに防犯ブザーを搭載した携帯機器も望まれている。例えば特許文献1には、携帯電話機に防犯ブザーを一体化した構成が示されている。また、防犯ブザーではないが、特許文献2には、リンガー(発音体)の放音孔を防水シールで塞ぐ構造が示されており、特許文献3には、電話機のスピーカ部を撥水シートで防水する構造が示されている。
【特許文献1】特開2007−102006号公報
【特許文献2】特開平9−270726号公報
【特許文献3】特開平8−154117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、携帯電話機等の携帯機器に防犯ブザー等のブザーを備え、さらに防水性能を付与しようとした場合に、小型化、軽量化の要請に反することなく、小スペースでどのようにしてブザーを搭載させてブザーを機能させ、さらに防水性能を満足させるかが問題となる。
【0004】
本発明は上記事情に鑑み、小スペースでブザーを機能させるとともに防水性能を付与した携帯機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する本発明の携帯機器は、筐体と、その筐体と共同して外形を形成するブザー作動用の操作子とを備えた携帯機器において、
上記操作子が、一端を保持した棒状体を備え、
上記筐体が、入口側が上記棒状体の径よりも広く途中で段差を持って細径に形成された、上記棒状体が挿入される第1の孔を有し、
この携帯機器が、
筐体内に配置されて上記第1の孔から挿入された棒状体による作用を受け、操作子が棒状体を孔から引き抜く方向に操作されたことを検出するセンサと、
そのセンサによる、操作子が操作されたことの検出を受けて作動するブザーと、
上記棒状体が摺動自在に挿入される第2の孔が形成され上記第1の孔の入口側の部分に圧入された圧入部材と、
上記第1の孔内の、上記段差と上記圧入部材とに挟まれた部分に配置され、第1の孔の内壁と棒状体との双方に接して第1の孔からの水の浸入を防止するOリングとを備えたことを特徴とする。
【0006】
本発明は、上記の構造を有し、一本の棒状体を本体筐体に差し込む構造であり、上記の段差と圧入部材とでOリングの位置を規制し、その棒状体の周囲を囲う小径のOリングで防水性能が確保され、小型化、軽量化の要請を満足しつつ、ブザーを搭載し、さらに防水性能が付与される。
【0007】
ここで、本発明の携帯機器において、上記筐体は、上記棒状体が上記第1の孔から引き抜かれる方向に所定ストロークだけ操作されたときに上記操作子が当接して、棒状体の、第1の孔からの引き抜きを防止するストッパ部を有することが好ましい。
【0008】
このストッパ部を設けることにより、棒状体が第1の孔から完全に引き抜かれることが防止され、繰り返しの使用に便宜である。
【0009】
また、本発明の携帯機器において、上記センサは、上記棒状体が、上記第1の孔内に、その第1の孔の更なる奥への挿入が不能な位置まで挿入された位置にあるときに、その棒状体による作用を受け、上記操作子がストッパ部に当接するまで操作される途中でその棒状体による作用が解除されるスイッチであってもよい。
【0010】
本発明にいうセンサは、棒状体の挿抜を検出する簡単な構成のスイッチであってもよく、コストが抑えられる。
【0011】
また、本発明の携帯機器において、上記操作子が、クリック用の突起部を有し、上記筐体が、棒状体が第1の孔内に、その第1の孔の更なる奥への挿入が不能な位置まで挿入された第1の位置にあるときに上記突起部が入り込む第1の凹部と、棒状体が第1の孔から、操作子がストッパ部に当接する第2の位置まで引き抜かれたときに突起部が入り込む第2の凹部と、それら第1の凹部と第2の凹部との間に形成され突起部が乗り越えることでクリック感を与える壁部とを有することが好ましい。
【0012】
ブザーの、作動状態と非作動状態との間の操作子の動きにクリック感を与えることにより、操作性がさらに向上する。
【0013】
さらに、本発明の、携帯機器は、無線通信機能を有する携帯電話機であってもよい。
【0014】
本発明は携帯電話機に好適に適用することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上の本発明によれば、小型化、軽量化の要請を満足しつつブザーを搭載し、かつ防水性能を付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0017】
図1は、本発明の携帯機器の一実施形態である携帯電話機の外観を示す斜視図である。
【0018】
この携帯電話機1は、本体ユニット10と、表示ユニット20とを有し、表示ユニット20は本体ユニット10に軸支されて開閉する構造となっている。
【0019】
本体ユニット10には、ユーザによる操作を受けて電話番号やその他様々な情報を入力するためのキー11が多数配列されており、また、その下端部には、内部のマイクロホンに通じる送話口12が設けられている。
【0020】
また、表示ユニット20には、その中央に画像表示用の表示画面21が備えられており、その上部には、内部の発音体からの音を出力するための受話口22が備えられている。
【0021】
この携帯電話機1には、無線電話機能のほか、電子メールの送受信機能やその他の様々な機能が組み込まれているが、本実施形態はそれらの機能自体は主題ではなく、ここでは、それらの詳細は割愛する。
【0022】
図2は、本体ユニットを背面側から見た斜視図である。
【0023】
この本体ユニット10の上部には、防犯ブザー用の操作子14が備えられており、また、その側面には、本体ユニット10の筐体13の内部に備えられたコネクタ(図示せず)が覗く開口を塞ぐ蓋17が備えられ、またこの本体ユニット10の下部には、電池室を覆うリアカバー18が備えられている。リアカバーの内側の電池室内には電池パックが装填されており、この携帯電話機はその装填されている電池パックからの供給電力で動作する。
【0024】
また、防犯ブザー用の操作子14、コネクタが配置された開口を塞ぐ蓋17、リアカバー17は、いずれも、筐体13とともにこの本体ユニット10の外形を形成している。
【0025】
図3は、防犯ブザー用の操作子を外して示した本体ユニットの分解斜視図、図4は、本体ユニットを背面側から見たときの、図3と同様の分解斜視図である。
【0026】
防犯ブザー用の操作子14は、本体ユニット10の筐体13とともに、この携帯電話機の外形を形成するモールド部品141と、そのモールド部品141に一端が固定されたシャフト142を備えている。モールド部品141には紐を通すための孔141aが設けられている。シャフト142は、孔明きのブッシュ15とOリング16に挿入され、さらに本体ユニット10の筐体10に形成された孔131に挿入される。詳細は後述する。
【0027】
本体ユニット10の筐体13は、前面側筐体と背面側筐体とで構成されている。
【0028】
図5は、本体ユニットの筐体のうちの背面側筐体と防犯ブザー用の操作子とを示す分割斜視図、図6は、その背面側筐体を背面側から見たときの、図5と同様の分解斜視図である。
【0029】
防犯ブザー用の操作子14を構成するシャフト142が挿入される挿入孔131は、図3,図4に示す筐体13のうちの背面側筐体130に形成されている。
【0030】
また、防犯ブザー用の操作子13には、一対の板金部材143が、シャフト142の両側に1つずつ固定されており、背面側筐体130には、シャフト142が孔131に挿抜される方向に操作子14が操作されたときに板金部材143を案内する案内壁132が、孔131の両側に形成されている。これら板金部材143および案内壁132の詳細についても後述する。
【0031】
この防犯ブザー用の操作子14を、図2に示す、シャフト142が、孔131に、それ以上挿入できない位置まで挿入された状態からシャフト142を引き抜く方向に移動させると、モールド部品141の、シャフト142の一端が圧入された部分の頭部141bが、筐体13の壁に形成されたストッパ133(図4参照)に当接し、それ以上引き抜けない状態となる。したがって、その操作子14を再び、その位置から押し込むことにより、繰り返し使用することができる。
【0032】
図7,図8は、シャフトとスイッチの相互作用を示す図であり、図7は防犯ブザー用の操作子14が、図2に示す位置まで押し込まれた状態のシャフトとスイッチとの位置関係を示す図、図8は、防犯ブザー用の操作子14が、モールド部品141の頭部141bが筐体13のストッパ133に当接した位置まで引き抜かれた状態のシャフトとスイッチとの位置関係を示す図である。
【0033】
本体ユニット10の筐体13の内部には、スイッチ21およびブザー22が搭載されており、操作子14が図2に示す位置にあるときは、図7に示すように、シャフト142がスイッチ21のアーム211と干渉し、この状態ではブザー22が作動しない構成となっている。操作子14が引き抜き方向に操作されると、図8に示すように、シャフト142がスイッチ21のアーム211から離れ、スイッチ21は操作子14が操作されたことを検知し、ブザー22が作動する。操作子14を再び、図2に示す位置まで押し込むと、図7に示すように、シャフト142がスイッチ21のアーム211に干渉し、ブザーの作動が停止する。
【0034】
図9は、防犯ブザー用の操作子の構造を示した分解斜視図、図10は、図9とは反対側から見たときの同様の分解斜視図である。
【0035】
この防犯ブザー用の操作子14は、前述したように、この携帯電話機の外観の一部を成すモールド部品141と、そのモールド部品141に一端が圧入されたシャフト142と、そのシャフト142の両側に1つずつ配置された一対の板金部材143を備えている。これらの板金部材143は、モールド部品141に、ネジ144で固定されている。
【0036】
ここで、この板金部材143は、シャフト142が延びる挿抜方向に凸曲面が形成された絞り部143aが形成されている。この絞り部143aは、図5に示す案内壁132に向かって突出して、案内壁132に当接しており、この操作子14が操作されると、その絞り部143aが案内壁132上を移動する。
【0037】
図11は、防犯ブザー用の操作子のシャフトが筐体内に挿入されている状態を示した断面図である。
【0038】
本体ユニットを構成する背面側筐体130に設けられた孔131は、入口側の部分131aがシャフト142の径よりも広く、途中に段差131bが形成され、その段差131よりも奥の部分131cが細径に形成されている。図3,図4に示すブッシュ15には、シャフト142が貫通する孔151が形成されており、このブッシュ15は、孔131の入口の部分に圧入されている。また、孔131の入口側の部分131aであって、ブッシュ15よりも奥には、段差131bとブッシュ15とにより位置規制された状態にOリング16が配置されている。このOリング16は、シャフト142と孔131の内壁との双方に接し、そのOリング16よりも奥への水の浸入を防止している。このシャフト142の、孔131に差し込まれた先端近傍には、スイッチ21(図7,図8参照)に作用する作用点142aが存在する。シャフト142が引き抜かれる方向に操作子14が操作されると、モールド部品141の、シャフト142が圧入された頭部141bが、本体ユニット10の筐体に設けられたストッパ133に当接し、操作子14がそれ以上抜けてしまうことが防止されている。したがって、操作子14は、Oリング16により内部への水の浸入が防がれた状態のまま、繰り返し操作することが可能となっている。
【0039】
尚、ここではこの防犯ブザー用の操作子14に関する防水構造のみを示したが、この携帯電話機全体について防水対策が施されており、この携帯電話機は防水機能を有する携帯機器として構成されている。
【0040】
図12,図13は、防犯ブザー用の操作子に備えられた板金部材の絞り部と、筐体に設けられた案内壁との相互作用を示す図であり、図12は、操作子14が図2に示すように差し込まれた状態、図13は、操作子14がストッパに当たるまで引き抜かれた状態を示している。
【0041】
板金部材143は、前述のように、挿抜方向に曲面を持って筐体の案内壁132に向かって突出した絞り部143aを有する。
【0042】
この案内壁132は、操作子14が図2に示すように差し込まれているときに板金部材143の絞り部143aが入り込む第1の凹部132aと、図13に示すように引き抜かれたときに絞り部143aが入り込む第2の凹部132bと、それら第1の凹部132aと第2の凹部132bとの間に形成された壁部132cとを有する。このため、この操作子12が図12に示す差し込まれた状態から、図13に示す引き抜かれた状態に移動するとき、およびそれとは逆に、図13に示す状態から図12に示す状態に差し込まれるときに、壁部132cを乗り越えることでクリック感を生じさせ、操作性を向上させている。
【0043】
また、ここでは板金部材143を使用することで強度を持たせたことにより、この操作子14に、図12に示す矢印×方向に不用意な力が加えられても十分に耐えることができ、高い信頼性が確保されている。
【0044】
尚、ここでは、本発明を携帯電話機に適用した例について示したが、本発明は携帯電話機に限らず、携帯型のゲーム機やその他の携帯機器に広く採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の携帯機器の一実施形態である携帯電話機の外観を示す斜視図である。
【図2】本体ユニットを背面側から見た斜視図である。
【図3】防犯ブザー用の操作子を外して示した本体ユニットの分解斜視図である。
【図4】本体ユニットを背面側から見たときの、図3と同様の分解斜視図である。
【図5】本体ユニットの筐体のうちの背面側筐体と防犯ブザー用の操作子とを示す分割斜視図である。
【図6】その背面側筐体を背面側から見たときの、図5と同様の分解斜視図である。
【図7】防犯ブザー用の操作子が、図2に示す位置まで押し込まれた状態のシャフトとスイッチとの位置関係を示す図である。
【図8】防犯ブザー用の操作子が、モールド部品の頭部が筐体のストッパに当接した位置まで引き抜かれた状態のシャフトとスイッチとの位置関係を示す図である。
【図9】防犯ブザー用の操作子の構造を示した分解斜視図である。
【図10】図9とは反対側から見たときの同様の分解斜視図である。
【図11】防犯ブザー用の操作子のシャフトが筐体内に挿入されている状態を示した断面図である。
【図12】防犯ブザー用の操作子に備えられた板金部材の絞り部と、筐体に設けられた案内壁との相互作用を示す図である。
【図13】防犯ブザー用の操作子に備えられた板金部材の絞り部と、筐体に設けられた案内壁との相互作用を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
1 携帯電話機
10 本体ユニット
11 キー
12 送話口
13 筐体
14 操作子
15 蓋 ブッシュ
16 リアカバー リング
17 リアカバー 蓋
20 表示ユニット
21 表示画面 スイッチ
22 受話口 ブザー
130 背面側筐体
131 孔
131a 入口側の部分
131b 段差
131c 奥の部分
132 案内壁
132a 第1の凹部
132b 第2の凹部
132c 壁部
133 ストッパ
141 モールド部品
141a 孔
141b 頭部
142 シャフト
142a 作用点
143 板金部材
143a 絞り部 凹部
144 ネジ
151 孔
211 アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、該筐体と共同して外形を形成するブザー作動用の操作子とを備えた携帯機器において、
前記操作子が、一端を保持した棒状体を備え、
前記筐体が、入口側が該棒状体の径よりも広く途中で段差を持って細径に形成された、前記棒状体が挿入される第1の孔を有し、
当該携帯機器が、
前記筐体内に配置されて前記第1の孔から挿入された前記棒状体による作用を受け、前記操作子が該棒状体を該孔から引き抜く方向に操作されたことを検出するセンサと、
前記センサによる、前記操作子が操作されたことの検出を受けて作動するブザーと、
前記棒状体が摺動自在に挿入される第2の孔が形成され前記第1の孔の入口側の部分に圧入された圧入部材と、
前記第1の孔内の、前記段差と前記圧入部材とに挟まれた部分に配置され、該第1の孔の内壁と前記棒状体との双方に接して該第1の孔からの水の浸入を防止するOリングとを備えたことを特徴とする携帯機器。
【請求項2】
前記筐体は、前記棒状体が前記第1の孔から引き抜かれる方向に所定ストロークだけ操作されたときに該操作子が当接して、該棒状体の、該第1の孔からの引き抜きを防止するストッパ部を有することを特徴とする請求項1記載の携帯機器。
【請求項3】
前記センサは、前記棒状体が、前記第1の孔内に、該第1の孔の更なる奥への挿入が不能な位置まで挿入された位置にあるときに前記棒状体による作用を受け、前記操作子が前記ストッパ部に当接するまで操作される途中で該棒状体による作用が解除されるスイッチであることを特徴とする請求項1又は2記載の携帯機器。
【請求項4】
前記操作子が、クリック用の突起部を有し、
前記筐体が、前記棒状体が前記第1の孔内に、該第1の孔の更なる奥への挿入が不能な位置まで挿入された第1の位置にあるときに前記突起部が入り込む第1の凹部と、前記棒状体が前記第1の孔から、前記操作子が前記ストッパ部に当接する第2の位置まで引き抜かれたときに前記突起部が入り込む第2の凹部と、前記第1の凹部と前記第2の凹部との間に形成され前記突起部が乗り越えることでクリック感を与える壁部とを有することを特徴とする請求項2記載の携帯機器。
【請求項5】
当該携帯機器が、無線通信機能を有する携帯電話機であることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項記載の携帯機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−111719(P2009−111719A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−281993(P2007−281993)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】