説明

携帯機器

【課題】各種センサを備えた携帯機器の使用時の姿勢角度の変動を精度良く検出でき、正確にセンサからの出力を補正することが可能な携帯機器を提供する。
【解決手段】携帯機器の3軸方向への加速度を検出する加速度センサ131と、3軸方向の加速度成分に基づいて、前記携帯機器の回転軸を検出する回転軸検出部182と、検出された回転軸周りの携帯機器の回転角を算出する回転角算出部183と、算出された回転角の大きさに応じて、3軸方向の加速度成分の論理値を交換する軸交換手段133と、を備えるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持ち歩き可能な携帯機器に関するものであり、特に、携帯することで歩行者ナビゲーションとして使用したり、車両などに設置してカーナビゲーションとして使用したりする携帯機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、据付型のナビゲーション装置よりも機能を簡略化し、本体を小型軽量化することで携帯可能なPND(Portable Navigation Device)と呼ばれる簡易型のナビゲーション装置が普及している。
【0003】
PNDは、GPS信号を受信して自らの現在位置を検出するほか、GPS信号が取得できない場合のための補助的手段として、加速度センサやジャイロセンサを内蔵することでGPSよりも正確な現在位置を検出することが可能である。
【0004】
また、PNDは、車内のダッシュボードへの取り付け、取り外しが容易に行えるため、その取り付け作業はユーザ自らによって行われている。しかしながら、自立航法式に用いられる加速度センサやジャイロセンサ等は、所定の方向を向くように正しい姿勢で取り付けなければ、それぞれの取り付け角度に起因する誤差によって現在位置が正確に検出することができない。
【0005】
そこで、この種のセンサを用いて携帯端末機器の姿勢角度を検出する従来技術としては、例えば、下記の特許文献1(特開2002−164987号公報)に開示されている。この特許文献1には、1軸もしくは2軸しかない姿勢角度センサ(ジャイロセンサ、加速度センサ、地磁気センサ等)を含む姿勢角度検出装置の取り付け角度を、角度検出基準面に対して45度±20度で実装することにより、携帯端末機器を使用する際の傾きの制限を緩和することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−164987号公報(段落[0018]〜段落[0019]、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、PNDは、車両に一度正しく取り付けた場合であってもPNDに対する入力操作や車両の振動などによって使用中に取り付け角度が変動したり、PNDを持ち歩いて使用する際にその姿勢角度が様々に振動したりするので、現在位置や移動距離を正確に検出するには、PNDの姿勢角度の変動を正確に検出して姿勢角度の変動によるセンサの出力誤差を補正する必要があった。
【0008】
そこで、上記特許文献1に示すような姿勢角度検出装置を用いて姿勢角を検出することも考えられるが、携帯電話を使用する際に好適となるように検出装置を携帯電話などの端末機器に所定の角度で取付けなければならないという制限があるため、使用時にどのような姿勢角に変動するかが不明なPNDのような車両に設置可能な機器には適用が難しいという問題点があった。また、上記特許文献1においては、この姿勢角の変動を正確に検出する点については考慮されていなかった。
【0009】
したがって、本発明は、上記の問題点を解消することを課題とし、各種センサを備えた携帯機器の使用時の姿勢角度の変動を精度良く検出でき、正確にセンサからの出力を補正することが可能な携帯機器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本願の請求項1に係る発明は、
携帯機器に加わる加速度に基づき当該携帯機器の姿勢角を補正する携帯機器であって、
前記携帯機器の3軸方向への加速度を検出する加速度検出手段(例えば下記実施例では、加速度センサ131)と、
前記加速度検出手段により検出された3軸方向の加速度成分に基づいて、前記携帯機器が回転した回転軸を検出する回転軸検出手段(例えば下記実施例では、回転軸検出部182)と、
前記回転軸検出手段により検出された回転軸周りの前記携帯機器の回転角を算出する回転角算出手段(例えば下記実施例では、回転角算出部183)と、
前記回転角算出手段により算出された前記回転角の大きさに応じて、前記3軸方向の加速度成分の論理値を交換する軸交換手段(例えば下記実施例では、軸交換手段133)と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本願の請求項2に係る発明は、請求項1に係る携帯機器において、
前記携帯機器の3軸周りの角速度を検出する角速度検出手段(例えば下記実施例では、ジャイロセンサ132)を備え、
前記軸交換手段は、前記回転角の大きさに応じて、前記3軸周りの角速度の論理値を交換することを特徴とする。
【0012】
また、本願の請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係る携帯機器において、
前記回転角算出手段は、算出する回転角の大きさを、前記加速度検出手段により検出された3軸方向の加速度成分のうち所定の軸に関する加速度成分から算出することを特徴とする。
【0013】
また、本願の請求項4に係る発明は、請求項3に係る携帯機器において、
前記回転角算出手段により算出された回転角に基づいて、前記姿勢角を補正する姿勢角補正手段(例えば下記実施例では、姿勢角補正部184)を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
上記の構成により、本発明は下記に示すような優れた効果を奏する。すなわち、請求項1に係る発明においては、携帯機器は、加速度検出手段により検出された3軸方向の加速度成分に基づいて、前記携帯機器が回転した回転軸を検出し、検出された回転軸周りの携帯機器の回転角を算出し、算出された回転角の大きさに応じて、前記3軸方向の加速度成分の論理値を交換するようにしている。
【0015】
このような構成によれば、携帯機器の回転角度に関係なく、加速度検出手段により検出された3軸方向の加速度成分に関する出力値を容易に把握することができる携帯機器を提供できる。
【0016】
また、請求項2に係る発明においては、請求項1に係る携帯機器において、携帯機器の3軸周りの角速度を検出する角速度検出手段からの出力についても前記回転角の大きさに応じて、前記3軸周りの角速度の論理値を交換するようにしている。このような構成によれば、携帯機器の回転角度に関係なく、角速度検出手段により検出された3軸周りの角速度成分に関する出力値を容易に把握することができる携帯機器を提供できる。
【0017】
また、請求項3に係る発明においては、請求項1または請求項2に係る携帯機器において、算出する回転角の大きさを、前記加速度検出手段により検出された3軸方向の加速度成分のうち所定の軸に関する加速度成分から算出するようにしている。このような構成によれば、携帯機器が回転した回転軸周りの回転角の大きさを、加速度検出手段により検出された3軸方向の加速度成分のうち最も回転角の変化率を正確に検出することが可能な所定の軸に関する加速度成分を用いて回転角を算出することが可能となり、携帯機器の姿勢角などを正確に補正することができる携帯機器を提供できる。
【0018】
また、請求項4に係る発明においては、請求項3に係る携帯機器において、算出された回転角に基づいて、前記携帯機器の姿勢角を補正する。このような構成によれば、携帯機器が回転した回転軸周りの回転角の大きさに応じて、加速度検出手段により検出された3軸方向の加速度成分のうちから最も回転角の変化率を正確に検出することが可能な所定の軸に関する加速度成分を用いて回転角を算出することが可能となり、さらに携帯機器の姿勢角などを正確に補正することができる携帯機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例におけるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例におけるナビゲーション装置がY軸周りに回転した場合のセンサの出力を説明するための図であり、ナビゲーション装置が正しい姿勢で設置された状態を示す一例である。
【図3】本発明の実施例におけるナビゲーション装置がY軸周りに回転した場合のセンサの出力を説明するための図であり、図2におけるナビゲーション装置がY軸周りにθだけ回転した状態を示している。
【図4】本発明の実施例におけるナビゲーション装置がY軸周りに回転した場合のセンサの出力を説明するための図であり、図2におけるナビゲーション装置がY軸周りにθ=90°だけ回転した状態を示している。
【図5】本発明の実施例におけるY軸周りの回転を検出する場合の角度θに対する加速度センサのX軸成分およびZ軸成分をそれぞれ表示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための携帯機器として車体に搭載可能なナビゲーション装置を例示するものであって、本発明をこのナビゲーション装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に示した技術思想に含まれるその他の実施形態の携帯機器にも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0021】
まず、図1を参照して、本発明の実施例に係るナビゲーション装置の構成について説明する。図1は、本発明の実施例に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置10は、制御手段100、通信手段110、GPS測位手段120、自立航法測位手段130、経路探索手段140、経路案内手段150、表示手段160、入力手段170、姿勢角補正手段180、記憶手段190を備えて構成される。
【0022】
制御手段100は、CPU100a、RAM100b、ROM100cからなるプロセッサで構成され、RAM100b又はROM100cに記憶されているプログラムをCPU100aにおいて実行することによってナビゲーション装置10の各部の動作を制御統括する。
【0023】
通信手段110は、制御手段100の制御により、このナビゲーション装置10と通信可能な情報提供サーバ(図示せず)との間で地図データといった各種情報の送受信を行う。
【0024】
GPS測位手段120は、地球上空を周回している複数のGPS衛星からの時刻情報を含む電波を受信し、それをもとにナビゲーション装置10を搭載した車体の現在位置情報を算出するものである。
【0025】
自立航法測位手段130は、加速度センサ131とジャイロセンサ132を備えて構成される。加速度センサ131は、予め定められた3軸方向へのナビゲーション装置10の加速度を検出し、ジャイロセンサ132は、ナビゲーション装置10のX軸回り、Y軸回り及びZ軸回りの角速度を検出する。加速度センサ131とジャイロセンサ132は、それぞれ検出した加速度や角速度を制御手段100に出力する。
【0026】
加速度センサ131が車体に対して正しい姿勢で設置された場合、図2(a)で示すように、加速度センサ131によって、車体の進行方向(本実施例ではX軸方向とする)への加速度Xと、車体の進行方向に水平面内で直交する方向(本実施例ではY軸方向とする)への加速度Yと、車体の進行方向(X軸方向)及びこの進行方向に水平面内で直交する方向(Y軸方向)に直交する方向(本実施例ではZ軸方向とする)への加速度Zとが検出される。
【0027】
ジャイロセンサ132が車体に対して正しい姿勢で設置されている場合、図2(b)で示すように、ジャイロセンサ132rによってX軸回りに車体が回転する際の角速度X(Roll角θr)が検出され、ジャイロセンサ132pによってY軸回りに車体が回転する際の角速度Y(Pitch角θp)が検出され、およびジャイロセンサ132yによってZ軸回りに車体が回転する際の角速度Z(Yaw角θy)が検出される。
【0028】
また、自立航法測位手段130は、車体に対して正しい姿勢で設置されていたナビゲーション装置10が所定の軸周りに回転した場合に回転した角度に応じて、加速度センサ131の各軸における出力の論理値あるいはジャイロセンサ132の各軸周りの出力の論理値を交換するための軸交換手段133を備えている。軸交換手段133による軸交換方法については後で詳細に説明する。
【0029】
経路探索手段140は、入力手段170の操作により出発地点や目的地点が指定されると、記憶手段190の地図記憶部192に記憶されている道路データを参照し、出発地点から目的地点に至るまでの最適経路を探索し、案内経路データを作成するものである。経路探索手段140によって探索された案内経路は、制御手段100によって、表示手段160に現在位置周辺の地図画像と共に表示され、目的地点までの案内に用いられる。
【0030】
経路案内手段150は、経路探索手段140によって探索された案内経路データと、GPS測位手段120によって検出された現在位置とを比較し、現在位置において必要とされるガイダンスを図示しないスピーカなどから音声出力する。
【0031】
表示手段160は、LCDなどのディスプレイパネルから構成される表示画面を備えた表示ユニットであり、地図画像や案内経路、現在位置などを表示する。
【0032】
入力手段170は、操作ボタンやタッチパネルなどにより構成され、ナビゲーション装置10の各種機能を操作したり、所要の数値や文字を入力したりするものである。
【0033】
姿勢角補正手段180は、姿勢角算出部181、回転軸検出部182、回転角算出部183、姿勢角補正部184を備えて構成される。
【0034】
姿勢角算出部181は、加速度センサ131やジャイロセンサ132からの出力に基づいて、ナビゲーション装置10の車体に対する姿勢角度(取り付け角度)、或いはナビゲーション装置10を携帯して使用する際の姿勢角度を算出し、姿勢角度記憶部191に記憶させる。
【0035】
回転軸検出部182は、加速度センサ131によって検出される重力加速度成分に基づいて、車体に対して設置されたナビゲーション装置10が所定位置からナビゲーション装置10の互いに直交する3軸(X軸、Y軸、Z軸)のうちのいずれの軸周りに対して回転して姿勢角度(取り付け角度)を変動させたか検出する。
【0036】
回転角算出部183は、加速度センサ131から出力される3軸方向の加速度成分に基づいて、回転軸検出部182によって検出された回転軸周りのナビゲーション装置10の回転角を算出する。このとき、加速度センサ131から出力される3軸方向の加速度成分のうちで最も回転角の変化率が大きく、わずかな回転角であっても正確に検出できる軸方向の加速度成分を用いてナビゲーション装置10の回転角を算出する。
【0037】
すなわち、図2で示すように、ナビゲーション装置10の互いに直交する3軸をX軸、Y軸、Z軸(ここで、X軸は車体の進行方向と同じ軸、Y軸は車体の横軸、Z軸は車体の垂直軸)とし、加速度センサ131が、ナビゲーション装置10の互いに直交する3軸と同軸に配置されているとすると、回転角算出部183は、例えば、Y軸周りに回転した回転軸を算出する。
【0038】
図2〜図4は、ナビゲーション装置がY軸周りに回転した場合のセンサの出力を説明するための図である。図2(a)〜図4(a)は、加速度センサの場合であり、図2(b)〜図4(b)は、ジャイロセンサの場合である。
【0039】
例えば、静止状態にあるナビゲーション装置10が、図3(a)で示すように、図2(a)で示す正しい姿勢からY軸周りに回転した場合、回転角度をθとすると、加速度センサ131のX軸成分(加速度X)とZ軸成分(加速度Z)の出力は、それぞれ
X=sinθ
Z=cosθ
と表わされる。ただし、ナビゲーション装置10に加わる重力加速度を1とする。
【0040】
図5は、Y軸周りの回転を検出する場合の角度θに対する加速度センサのX軸成分およびZ軸成分をそれぞれ表示した図である。
【0041】
回転角度が、0°≦θ≦45°と小さい(傾きが小さい)場合には、cosθは1に近く、逆にsinθが大きく変化する。このため、加速度センサ131のX軸成分であるX=sinθの値から、回転角θは、
θ=sin-1
となり、X軸成分の変動に応じてθを正確に求めることできる。したがって、姿勢角の補正を精度良く行うことができる。
【0042】
また、ナビゲーション装置10が、図4(a)で示すように、図3(a)で示す姿勢からさらにY軸周りに回転した場合、回転角度が45°≦θ≦90°では、sinθは1に近く、逆にcosθが大きく変化する。したがって、加速度センサ131のZ軸成分であるZ=cosθの値から、回転角θは、
θ=cos-1
と求めることによって、姿勢角の補正を精度良く行うことができる。
【0043】
さらに、ナビゲーション装置10がY軸周りに回転すると、回転角度が90°≦θ≦135°では、sinθは1に近く、cosθは大きく変化するので、同様に、加速度センサ131のZ軸成分であるZ=cosθの値からθを求めることによって、精度良く姿勢角の補正を行うことができる。
【0044】
以下同様に、図5で示すように、
回転角度が135°≦θ≦225°では、θ=sin-1
回転角度が225°≦θ≦315°では、θ=cos-1
回転角度が315°≦θ≦360°では、θ=sin-1
としてθを求めることができる。
【0045】
姿勢角補正部184は、回転角算出部183によって算出された回転角に基づいて、姿勢角算出部181において算出された姿勢角度(取り付け角度)、或いは、すでに算出されて姿勢角度記憶部191に記憶されている姿勢角度(取り付け角度)の補正を行う。補正された姿勢角度は、改めて姿勢角度記憶部191に記憶される。
【0046】
記憶手段190は、姿勢角度記憶部191、地図記憶部192を備えて構成される。姿勢角度記憶部191は、FRAM(登録商標)などの不揮発性メモリによって構成されており、姿勢角算出部181によって算出された車体に対するナビゲーション装置10の姿勢角度(取り付け角度)を記憶する。また、姿勢角補正部184によって補正された姿勢角度(取り付け角度)を記憶する。記憶された姿勢角度は、車体の走行距離や現在位置を算出する際に用いられる。
【0047】
地図記憶部192には、各道路の交差点や分岐点などの結節点をノードとし、それぞれのノード間を結ぶ経路をリンクとした道路ノードデータと道路リンクデータを含む道路データが記憶されている。道路ノードデータには、道路ノードの番号、位置座標、接続リンク本数、交差点名称などが含まれる。また、道路リンクデータには起点および終点となる道路ノードの番号、道路種別、リンク長(リンクコスト)、所要時間、車線数、車道幅などが含まれる。道路リンクデータにはさらに、リンク属性として橋、トンネル、踏切、料金所などのデータが付与される。道路種別は、高速道路や有料道路の別および国道や都道府県道などの別を含む情報である。
【0048】
また、地図記憶部192には、道路データの他、地図画像を見やすく表示するためにベクター形式で記憶された背景画像データを含んでいてもよい。道路データと背景画像データを含む地図画像データは、制御手段100により、ナビゲーション装置10を使用する際に、ナビゲーション装置10の現在位置を含む所定範囲が地図記憶部192から抽出され、現在位置を示す現在位置マークや案内経路の画像と重ね合わされて表示手段160に表示される。
【0049】
次に、図2と図4を参照して、本発明の実施例におけるナビゲーション装置10の軸交換手段133について説明する。
【0050】
図2(a)で示すように、ナビゲーション装置10が車体に対して正しい姿勢で設置されている場合、加速度センサ131のX軸成分(加速度X)の出力は、ナビゲーション装置10が取り付けられた車体の加速度を検出しており、車体が加速しているときにはプラスの値を出力し、車体が減速しているときにはマイナスの値を出力している。
【0051】
そして、加速度センサ131のY軸成分(加速度Y)の出力は、車体の右折時あるいは左折時の加速度を検出しており、車体が左折しているときにはプラスの値を出力し、車体が右折しているときにはマイナスの値を出力している。さらに、加速度センサ131のZ軸成分(加速度Z)の出力は、重力加速度を検出しており、プラスの値を出力している。
【0052】
一方、図4(a)で示すように、Y軸周りの回転角度θ=90°の場合、加速度センサ131のX軸成分(加速度X)の出力は、重力加速度を検出しており、マイナスの値を出力し、加速度センサ131のY軸成分(加速度Y)の出力は、図2(a)で示すθ=0°の場合と同じく、ナビゲーション装置10が取り付けられた車体の右折時あるいは左折時の加速度を検出しており、車体が左折しているときにはプラスの値を出力し、車体が右切しているときにはマイナスの値を出力している。
【0053】
そして、加速度センサ131のZ軸成分(加速度Z)の出力は、車体の加速度を検出しており、車体が加速しているときにはプラスの値を出力し、車体が減速しているときにはマイナスの値を出力している。
【0054】
このように、Y軸周りの回転角度θ=0°とθ=90°において、加速度センサ131の3軸(物理軸)のうち、X軸成分(加速度X)とZ軸成分(加速度Z)の出力値が入れ代わるので、X軸とZ軸の論理軸が交換したものと見なすことができる。したがって、軸交換手段133は、加速度センサ131から出力される出力値に対して回転角算出部183によって算出されたY軸周りの回転角度θの大きさに応じて適した論理値(重力、加速度等)を割り当てる。
【0055】
また、図2(b)で示すように、ナビゲーション装置10が車体に対して正しい姿勢で設置されている場合、ジャイロセンサ132rのX軸成分(ジャイロX)の出力は、ナビゲーション装置10が取り付けられた車体のロールを検出しており、車体が右回転しているときにはプラスの値を出力し、車体が左回転しているときにはマイナスの値を出力している。
【0056】
そして、ジャイロセンサ132pのY軸成分(ジャイロY)の出力は、車体が走行している路面の傾斜(ピッチ)を検出しており、車体が下り傾斜を走行しているときにはプラスの値を出力し、車体が上り傾斜を走行しているときにはマイナスの値を出力している。さらに、ジャイロセンサ132yのZ軸成分(ジャイロZ)の出力は、車体の右折時あるいは左折時のヨー角を検出しており、車体が右折しているときにはプラスの値を出力し、車体が左折しているときにはマイナスの値を出力している。
【0057】
一方、図4(b)で示すように、Y軸周りの回転角度θ=90°の場合、ジャイロセンサ132rのX軸成分(ジャイロX)の出力は、車体のヨー角を検出しており、車体が右折しているときにはプラスの値を出力し、車体が左折しているときにはマイナスの値を出力し、ジャイロセンサ132pのY軸成分(ジャイロY)の出力は、図4(a)で示すθ=0°の場合と同じく、車体が走行している路面の傾斜(ピッチ)を検出している。
【0058】
そして、ジャイロセンサ132yのZ軸成分(ジャイロZ)の出力は、車体のロールを検出しており、車体が左回転しているときにはプラスの値を出力し、車体が右回転しているときにはマイナスの値を出力している。
【0059】
このように、Y軸周りの回転角度θ=0°とθ=90°において、ジャイロセンサ132の3軸(物理軸)周りの出力のうち、X軸成分(ジャイロX)とZ軸成分(ジャイロZ)の出力値が入れ代わるので、X軸(ロール軸)とZ軸(ヨー軸)の論理軸が交換したものと見なすことができる。したがって、軸交換手段133は、ジャイロセンサ132から出力される出力値に対して回転角算出部183によって算出されたY軸周りの回転角度θの大きさに応じて適した論理値(左右回転、左右折等)を割り当てる。
【0060】
同様に、Y軸周りの回転角度θ=180°やθ=270°においても、回転角度に応じて、加速度センサ131の3軸(物理軸)のうち、X軸成分(加速度X)とZ軸成分(加速度Z)の出力値が入れ代り、また、ジャイロセンサ132の3軸(物理軸)周りの出力のうち、X軸成分(ジャイロX)とZ軸成分(ジャイロZ)の出力値が入れ代わることになる。
【0061】
さらに、Y軸周りの回転だけではなく、Z軸またはX軸周りの回転についても同様であり、Z軸周りの回転においては、X軸(ロール軸)とY軸(ピッチ軸)の論理軸が交換したものと見なすことができ、X軸周りの回転においては、Y軸(ピッチ軸)とZ軸(ヨー軸)の論理軸が交換したものと見なすことができる。
【0062】
したがって、各軸周りの回転角に対する物理軸と論理軸と関係は、下表のように整理することができる。
【0063】
【表1】

よって、軸交換手段133は、加速度センサ131やジャイロセンサ132から出力される出力値に対して回転角算出部183によって算出された各軸周りの回転角度θの大きさに応じて適した論理値(重力、加速度等)を割り当てることが可能となる。
【0064】
以上説明したように、本発明に係るナビゲーション装置によれば、ナビゲーション装置が所定の取り付け位置から回転した回転軸周りの回転角の大きさに応じて、加速度センサにおける3軸方向の加速度成分の論理値あるいはジャイロセンサにおける3軸周りの角速度成分の論理値を交換するようにしているので、加速度センサおよびジャイロセンサからの出力値を容易に把握することができる。
【0065】
また、各軸周りのセンサ出力値の論理値を交換するために用いる各軸周りの回転角を算出する際に、加速度センサにより検出された3軸方向の加速度成分のうちから最も回転角の変化率を正確に検出することが可能な所定の軸に関する加速度成分も用いて回転角を算出することが可能となり、また、これによりナビゲーション装置の姿勢角などを正確に補正することができる。
【0066】
なお、上記実施例においては、携帯機器としてナビゲーション装置10を用いて説明したが、本発明はこれに限定されることなく、移動体の加速度から移動体の移動距離を算出する各種電子機器などにも適用できる。
【符号の説明】
【0067】
10・・・・ナビゲーション装置
100・・・制御手段
110・・・通信手段
120・・・GPS測位手段
130・・・自立航法測位手段
131・・・加速度センサ
132・・・ジャイロセンサ
133・・・軸交換手段
140・・・経路探索手段
150・・・経路案内手段
160・・・表示手段
170・・・入力手段
180・・・姿勢角補正手段
181・・・姿勢角算出部
182・・・回転軸検出部
183・・・回転角算出部
184・・・姿勢角補正部
190・・・記憶手段
191・・・姿勢角度記憶部
192・・・地図記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯機器に加わる加速度に基づき当該携帯機器の姿勢角を補正する携帯機器であって、
前記携帯機器の3軸方向への加速度を検出する加速度検出手段と、
前記加速度検出手段により検出された3軸方向の加速度成分に基づいて、前記携帯機器が回転した回転軸を検出する回転軸検出手段と、
前記回転軸検出手段により検出された回転軸周りの前記携帯機器の回転角を算出する回転角算出手段と、
前記回転角算出手段により算出された前記回転角の大きさに応じて、前記3軸方向の加速度成分の論理値を交換する軸交換手段と、
を備えたことを特徴とする携帯機器。
【請求項2】
前記携帯機器の3軸周りの角速度を検出する角速度検出手段を備え、
前記軸交換手段は、前記回転角の大きさに応じて、前記3軸周りの角速度の論理値を交換することを特徴とする請求項1に記載の携帯機器。
【請求項3】
前記回転角算出手段は、算出する回転角の大きさを、前記加速度検出手段により検出された3軸方向の加速度成分のうち所定の軸に関する加速度成分から算出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の携帯機器。
【請求項4】
前記回転角算出手段により算出された回転角に基づいて、前記姿勢角を補正する姿勢角補正手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載の携帯機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−69633(P2011−69633A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218759(P2009−218759)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】