説明

携帯無線端末および無線通信方法

【課題】 誤動作を回避可能な程度に作為的でありながら、困難な動作を伴わない直感的な操作によって、確実かつ容易に自己の危機的状態を伝達することを目的とする。
【解決手段】 本発明の携帯無線端末110は、当該携帯無線端末自体の振動を検出し、振動値を取得する振動検出部226と、検出された振動値と、振動値が所定振動値を超えている時間とに基づいて求められる振動量が所定の閾値に達したか否かを判断する振動量判断部230と、振動量が所定の閾値に達したと判断された場合、当該携帯無線端末に登録された連絡先端末に発信する発信部232と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の画面を並べて表示することが可能な携帯無線端末および無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、子供や女性が危険に晒される事件が多発し、このような事件を回避すべく防犯装置が脚光を浴びている。しかし、それなりの体積を占有してしまう専用の防犯装置は、汎用性に欠け、いざというときに役に立たないこともある。そこで、今や大半の個人が所有していると考えられる携帯電話やPHS(Personal Handy phone System)等に代表される携帯無線端末へのこのような防犯装置の搭載が注目される。
【0003】
例えば、電話番号入力機能等を制限し、着信機能と特定者のみへの発信機能を付すことにより、通話料金を心配することなく子供の安全を守ることが可能な技術が公開されている(例えば、特許文献1)。しかし、未成年を対象とした携帯無線端末では、専用ボタンを押したり、専用鍵を抜いたりするだけという簡単操作により防犯できる反面、誤ってその防犯機能を作動させてしまうこともあった。
【0004】
その他の携帯無線端末においては、所定の可動操作キーの長押しで警告音を発するようになっているものもあるが、誤動作防止のため例えば折り畳み式携帯無線端末の閉じられる操作部に配されることが多い。また、身体に異常を感じた場合に、自局を一定パターンの振動種類で振ることで、連結された携帯電話を自動発呼し、自局の異常状態をその携帯電話に伝達する技術(例えば、特許文献1)も知られている。しかし、かかる技術も一定のパターンの振動種類を覚えておく必要があり、いずれも緊急時にとっさに利用できないといった問題があった。
【特許文献1】特開2003−078590号公報
【特許文献2】特開2000−295370号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような防犯装置は、誤動作させないために単純な操作だけでは緊急モードに移行しないようにしなければならない。しかし、操作困難性を高めたり、所定の操作パターンの入力を強いたりすると、非常事態に陥ったときにその機能が十分に発揮されないといった問題が生じてしまう。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑み、誤動作を回避可能な程度に作為的でありながら、困難な動作を伴わない直感的な操作によって、確実かつ容易に自己の危機的状態を伝達することが可能な携帯無線端末および無線通信方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかる携帯無線端末の代表的な構成は、基地局を介して連絡先端末との通信を確立可能な携帯無線端末であって、当該携帯無線端末自体の振動を検出し、振動値を取得する振動検出部と、検出された振動値と、振動値が所定振動値を超えている時間とに基づいて求められる振動量が所定の閾値に達したか否かを判断する振動量判断部と、振動量が所定の閾値に達したと判断された場合、当該携帯無線端末に登録された連絡先端末に発信する発信部と、を備えることを特徴とする。ここで発信は、音声通話の発呼や電子メールの発信を含む情報伝達の契機を示す。
【0008】
ここでは、携帯無線端末自体の振動により、即ち、ユーザが当該携帯無線端末を振ることによって連絡先端末に自己の危機的状態を伝達することができる。しかし、単に振動を検出するだけでは電車やバス等の振動による誤動作を起こし、その問題を解決すべく振動値に閾値を設けたとしても携帯無線端末の落下等による突発的な振動値に反応してしまう。本発明では、検出された振動値と、振動値が所定振動値を超えている時間とに基づいて求められる振動量、即ち、勢いよく数秒振るといった、誤動作を回避可能な程度に作為的でありながら、困難な動作を伴わない直感的な操作によって、確実かつ容易に自己の危機的状態を伝達することが可能となる。
【0009】
携帯無線端末は、振動量判断部における振動量の所定の閾値に対する達成度を発光色または音声で報知する報知部をさらに備えてもよい。
【0010】
本発明では、振動開始から振動量が所定の閾値に達成するまで、即ち、当該携帯無線端末を振動中に、その達成度を発光色や音声で把握することができる。従って、振動量の閾値に達したことのみならず、振動中にあとどの程度振動させれば閾値に到達できるかを予測でき、その緊急度に基づいて振動強度を調整できる。また、文字や光の点滅回数等ではなく、発光色や音声といった振動しながら認識可能な報知部によって、容易かつ確実に達成度を把握することができる。
【0011】
携帯無線端末は、複数の可動操作キーを配設した操作部をさらに備え、振動量判断部は、操作部の所定の可動操作キーの押下後所定時間内または所定の可動操作キーの押止中に、振動量を判断してもよい。
【0012】
可動操作キーの押下または押止といった単純な操作を加えるだけで、振動量を携帯無線端末が受け付ける時間を制限することができ、偶発的な振動量の閾値達成、即ち意志と異なる誤動作をさらに確実に防止することができる。
【0013】
本発明の代表的な他の構成は、基地局を介して連絡先端末との通信を確立可能な携帯無線端末であって、当該携帯無線端末自体の振動を検出し、振動値を取得する振動検出部と、検出された振動値と、振動値が所定振動値を超えている時間とに基づいて求められる振動量に応じて発光色または音声を変化させる報知部と、複数の可動操作キーを配設した操作部と、報知部が所定の発光色または音声を発しているとき、操作部の所定の可動操作キーを押下または押止解放した場合、当該携帯無線端末に登録された連絡先端末に発信する発信部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明では、検出された振動値と、振動値が所定振動値を超えている時間とに基づいて求められる振動量に応じて順次発光色または音声を変化させ、予め設定された所定の発光色または音声になったときに作為的に操作することで、誤動作を確実に防止しつつ、容易に自己の危機的状態を伝達することが可能となる。
【0015】
携帯無線端末は、振動量が所定の閾値に達したと判断された場合、当該携帯無線端末自体を通じてその旨警告する警告部をさらに備えてもよい。警告部の警告としては、警告音出力、携帯無線端末の位置送信、発光、点滅等がある。
【0016】
かかる構成により、当該携帯無線端末に登録された連絡先端末に発信するのみならず、携帯無線端末自体においても警告を発し、加害者に対する威嚇および周囲に対する報知が可能となる。
【0017】
報知部は、さらに発信が完了したことも報知してもよい。予め登録された連絡先端末に確実に発信されたことを把握できる報知部の構成により、ユーザに安心感を与えることができる。
【0018】
報知部は、さらに連絡先端末が当該発信を認識したことも報知してもよい。予め登録された連絡先端末に発信され、さらに当該発信を確実に認識したことを把握できる報知部の構成により、ユーザにさらなる安心感を与えることができる。
【0019】
本発明の代表的な他の構成は、基地局を介して連絡先端末との通信を確立可能な携帯無線端末の状態を連絡先端末に伝達する無線通信方法であって、当該携帯無線端末自体の振動を検出し、検出された振動値と、振動値が所定振動値を超えている時間とに基づいて求められる振動量が所定の閾値に達したか否かを判断し、振動量が所定の閾値に達したと判断された場合、当該携帯無線端末に登録された連絡先端末に発信することを特徴とする。
【0020】
本発明の代表的なさらに他の構成は、複数の可動操作キーを配設した操作部を有し、基地局を介して連絡先端末との通信を確立可能な携帯無線端末の状態を連絡先端末に伝達する無線通信方法であって、当該携帯無線端末自体の振動を検出し、検出された振動値と、振動値が所定振動値を超えている時間とに基づいて求められる振動量に応じて発光色または音声を変化させ、報知部が所定の発光色または音声を発しているとき、操作部の所定の可動操作キーを押下または押止解放した場合、当該携帯無線端末に登録された連絡先端末に発信することを特徴とする。
【0021】
上述した携帯無線端末の技術的思想に基づく構成要素やその説明は、当該無線通信方法にも適用可能である。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明によれば、誤動作を回避可能な程度に作為的でありながら、困難な動作を伴わない直感的な操作によって、確実かつ容易に自己の危機的状態を伝達することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0024】
(無線通信システム100)
図1は、無線通信システム100の概略的な接続関係を示した説明図である。当該無線通信システム100は、携帯無線端末110と、携帯無線端末110との無線通信を確立する基地局120と、基地局120に接続されISDN(Integrated Services Digital Network)回線、インターネット、専用回線等で構成される通信網130と、通信網130を通じて各基地局120を中継する中継サーバ140と、連絡先端末150を含んで構成される。ここで連絡先端末150は、連絡先ユーザが所有する携帯無線端末、固定電話、パーソナルコンピュータ等の電子機器をいう。
【0025】
当該無線通信システム100において、携帯無線端末110は、基地局120との無線通信を通じて他の携帯無線端末との通話や通信を実行し、また、通信網130を介して接続される各サービス事業者のWebサーバ(図示せず)から様々なサービスを受けることができる。特に、本実施形態では、無線通信システム100を経由して、当該携帯無線端末に登録された連絡先端末150との通信を確立し、自己の危機的状態を連絡先端末150に伝達することが可能となる。連絡先端末150を有する連絡先ユーザは、かかる伝達事項を受けて、携帯無線端末110を有するユーザを保護する早期の安全対策を実行することが可能となる。以下では、ユーザの状況を簡易な操作で伝達可能な携帯無線端末110の具体的な構成を述べ、その後、携帯無線端末110の無線通信方法を詳述する。
【0026】
(携帯無線端末110)
図2は、携帯無線端末110のハードウェア構成を示した機能ブロック図であり、図3は、折り畳み式の携帯無線端末110の外観を示した斜視図である。特に図3(a)は折り畳んだ状態を、図3(b)は開いた状態を示している。携帯無線端末110は、端末制御部210と、端末メモリ212と、表示部214と、操作部216と、発光部218と、音声入力部220と、音声出力部222と、端末無線通信部224と、振動検出部226と、を含んで構成される。
【0027】
かかる携帯無線端末110としては、携帯電話、PHS端末、ノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、音楽プレイヤー、カーナビゲーション、ゲーム機器、DVDプレイヤー等無線通信可能な様々な電子機器を用いることもできる。
【0028】
端末制御部210は、中央処理装置(CPU)を含む半導体集積回路により携帯無線端末110全体を管理および制御し、端末メモリ212のプログラムを用いて、通話機能、メール送受信機能、撮像機能、音楽再生機能、TV視聴機能も遂行する。端末メモリ212は、ROM、RAM、EEPROM、不揮発性RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成され、端末制御部210で処理されるプログラムや通信データ等を記憶する。
【0029】
表示部214は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、EL(Electro Luminescence)等で構成され、端末メモリ212に記憶された、または通信網130を介してWebサーバから提供される、Webコンテンツ、アプリケーションのGUI(Graphical User Interface)等を表示することができる。
【0030】
操作部216は、キーボード、十字キー、ジョイスティック等の複数の可動操作キー(ハードウェアキー)で構成され、ユーザの操作入力を受け付ける。本実施形態では、かかる操作部216のうち筐体側面に設けられた所定の可動操作キー(サイドキー)228が後述する振動量判断部230の判断条件の一つに成り得る。かかる振動量判断部230の判断条件に関しての詳細は後述する。かかる所定の可動操作キー228は専用キーとすることもできるが、通常、他の機能と併用して利用される。ここでは、ユーザが押下し易いサイドキーを所定の可動操作キー228としているが、ユーザの使い勝手に応じて所定の可動操作キーの割当を変更することも可能である。
【0031】
発光部218は、LED(Light Emitting Diode)、EL(Electro Luminescence)発光体、サブLCD、その他の照光可能な電子部品から構成される。特に本実施形態では、図3(a)に示すように、複数の発色が可能な2つの発光部218がそれぞれ発光領域を占有し、例えば、ユーザの振動入力に応じてそれぞれの発光部218が独立して発色を変更することができる。また、発色の変化に応じて音声やバイブレーションを起こし、発色が変化したことを音声やバイブレーションで確認することもできる。
【0032】
図4は、ユーザの振動入力の動作処理を示した説明図である。ここでは、ユーザが携帯無線端末110を図中矢印で示すように振ることで、発光部218が反応し、振動周期毎に図4に示すように発色が変更される。
【0033】
このような発色の変化を利用したアプリケーションの一例として、ユーザ入力により適当な色が選択された状態でWebサーバにアクセスし、ユーザは、アクセス時刻およびその色に応じて、異なるサービス(例えば、色に応じて心理状態を診断するカラーセラピー等)を受けることもできる。
【0034】
また、発光部218は、後述する音声出力部222同様、報知部や警告部としても機能する。かかる報知部や警告部の具体的機能は後程詳細に説明する。
【0035】
音声入力部220は、マイク等の音声認識手段で構成され、通話時に入力されたユーザの音声を携帯無線端末110内で処理可能な電気信号に変換する。音声出力部222は、スピーカで構成され、携帯無線端末110で受信した通話相手の音声信号を音声に変えて出力する。また、着信音や、操作部216の操作音、アラーム音等も出力でき、報知部や警告部としても機能する。
【0036】
端末無線通信部224は、CDMA(Code Division Multiple Access)やWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)等の無線通信方式を通じて基地局120との無線通信を確立し、通信相手との音声通信やWebサーバとのデータ通信を遂行する。
【0037】
振動検出部226は、振動センサ、加速度センサ、速度センサ、重力センサ等で構成され、当該携帯無線端末自体に加えられる振動を検出し、振動値を取得する。かかる振動の検出軸は、携帯無線端末110の長手方向等、特定の軸としてもよいし、直交する3軸として、そのスカラー量を求めてもよい。
【0038】
また、上述した端末制御部210は、振動量判断部230、発信部232として機能する。
【0039】
振動量判断部230は、振動検出部226において検出された振動値と、その検出された振動値が所定振動値を超えている時間とに基づいて求められる振動量が所定の閾値に達したか否かを判断する。
【0040】
本実施形態による携帯無線端末110は、携帯無線端末自体の振動を通じて、即ち、ユーザが当該携帯無線端末110を振ることによって連絡先端末150に、自己の危機的状態を伝達することができる。しかし、単に振動を検出するだけでは電車やバス等の振動による誤動作を起こしてしまう。その問題を解決すべく振動値に閾値を設けたとしても携帯無線端末の落下等による突発的な振動値に反応してしまう。
【0041】
図5は、振動量の求め方を説明するための説明図である。図5では、振動検出部226に検出された振動値の時間的推移が示されている。本実施形態では、振動値のみを検出する上記の問題に対し、振動検出部226において検出された振動値250と、その振動値250が所定振動値252を超えている時間とに基づいて求められる量、即ち図4に斜線で示されている部分の面積を累積した値を振動量254としている。しかし、振動量254の概念は、かかる面積に留まらず、例えば、所定振動値252を超えた振動の回数によっても表すことができる。
【0042】
上述したように所定振動値252を超えた入力を検出対象とすることで電車やバス等の振動による誤動作を防止でき、そのような入力を所定時間要するとすることで、当該携帯無線端末110の落下等による突発的な振動値250の入力による誤動作を防止することができる。このように定義された振動量254を所定の閾値(所定振動値252)に到達させるため、ユーザは単に勢いよく数秒振ればよいことになる。
【0043】
発信部232は、振動量判断部230によって振動量254が所定の閾値に達したと判断された場合、予め携帯無線端末110に登録された連絡先端末150に発信する。かかる発信は、通常の音声通話発信(発呼)のみならず、予め定められた定型文の電子メール送信やTV電話発信(発呼)等、連絡先端末に情報を伝達する様々な手段を用いることができる。
【0044】
ユーザは、携帯無線端末110を勢いよく数秒振るだけで振動量254を所定の閾値まで上げることができる。困難な動作を伴わないこのような直感的な操作によって、確実かつ容易に自己の危機的状態を伝達することが可能となる。
【0045】
また、本実施形態の携帯無線端末110に、自体の発光色を連絡先端末150に送信し連絡先端末150においても同一の発光色を発光させるリンク機能が設けられている場合、そのリンク機能を用いて危険に晒されている旨の色、例えば赤色を連絡先端末150に発光させることもできる。こうして連絡先端末150を有する連絡先ユーザは、当該危険のレベルを知ることができる。
【0046】
このとき、発光部218や音声出力部222によって構成される報知部は、振動量判断部230における振動量254の所定の閾値に対する達成度を発光色または音声で報知する。
【0047】
図6は、報知部の動作を説明するための携帯無線端末110の状態遷移図である。ここでは、報知部として発光部218を用いている。図6を参照すると、ユーザの振動の累積、即ち、振動量に応じて、図6(a)、(b)のように発光部218の発色(例えば、赤色)の輝度が強くなり、所定の閾値に到達したとき、図6(c)のように最大の輝度でラッチされる。
【0048】
本実施形態では、振動開始から振動量254が所定の閾値に達成するまで、即ち、当該携帯無線端末110を振動中に、その達成度を発光部218による発光色や音声出力部222による音声で把握することができる。従って、振動量254の閾値に達したことのみならず、振動中に、あとどの程度振動させれば閾値に到達できるかを予測でき、その緊急度に基づいて振動強度を調整できる。
【0049】
また、文字や光の点滅回数等ではなく、発光色や音声といった振動しながら認識可能な報知部によって、容易かつ確実に達成度を把握することができる。
【0050】
報知部は、また、発信が完了したことも報知する。予め登録された連絡先端末150に確実に発信されたことを把握できる報知部の構成により、ユーザに安心感を与えることができる。
【0051】
報知部は、さらに、連絡先端末150を有する連絡先ユーザが、当該発信があったことを認識したことも報知する。予め登録された連絡先端末150に発信され、さらに当該発信を確実に認識したことを把握できる報知部の構成により、ユーザにさらなる安心感を与えることができる。
【0052】
また、振動量判断部230は、操作部216の所定の可動操作キー228を押下した後、所定時間内に携帯無線端末110を振った振動量、または所定の可動操作キー228を押止したまま携帯無線端末110を振った振動量を判断してもよい。
【0053】
可動操作キーの押下または押止といった単純な操作を加えるだけで、振動量254を携帯無線端末110が受け付ける時間を制限することができ、偶発的な振動量254の閾値達成、即ち意志と異なる誤動作をさらに確実に防止することができる。
【0054】
さらに、発光部218や音声出力部222によって構成される警告部は、振動量が所定の閾値に達したと判断された場合、当該携帯無線端末自体を通じてその旨警告する。警告部の警告としては、音声出力部222による警告音出力、GPSを用いて計算された携帯無線端末110の位置送信、発光部218による発光および点滅等がある。
【0055】
かかる構成により、連絡先端末150に発信するのみならず、携帯無線端末自体においても警告を発し、加害者に対する威嚇および周囲に対する報知が可能となる。
【0056】
以上、説明した携帯無線端末110における、誤動作を回避可能な程度に作為的でありながら、困難な動作を伴わない直感的な操作によって、確実かつ容易に自己の危機的状態を伝達することが可能となる。
【0057】
(無線通信方法)
次に、携帯無線端末110を操作する無線通信方法を説明する。
【0058】
図7は、無線通信方法の全体的な流れを示したフローチャートである。ユーザに危険が迫ってきた場合に、ユーザは、自己が所有する携帯無線端末110を数秒間、例えば3秒間、勢いよく振る。かかる時間(振動量)は変更することができる。携帯無線端末110は、かかるユーザの振動入力を検出すると(S300)、検出された振動値と、振動値が所定振動値を超えている時間とに基づいて求められる振動量を計算する(S302)。
【0059】
次に、計算された振動量が所定の閾値に達したか否かを判断し(S304)、振動量が所定の閾値に達したと判断された場合(S304の“YES”)、自己の危機的状態を伝達すべく予め登録された連絡先端末150に発信する(S306)。振動量が所定の閾値に達してなければ(S304の“NO”)、引き続き振動量の計算(S302)を行う。ここで、振動入力が長時間途絶えるようであれば、緊急時ではないと判断してタイムアウトする。
【0060】
このような無線通信方法によっても、困難な動作を伴わない直感的な操作によって、確実かつ容易に自己の危機的状態を伝達することが可能となる。
【0061】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態においては、「携帯無線端末振動→発光部発光色変化」または「可動操作キー押止→携帯無線端末振動→発光部発光色変化」といった手順で連絡先端末への発信を実行していた。第2の実施形態においては、「可動操作キー押止→携帯無線端末振動→発光部発光色変化」に加え、発光部218による発光色を認識して、発信のタイミングを計る。
【0062】
第2の実施形態は、第1の実施形態同様の構成で実行可能であるから、第1の実施形態で既に述べた構成の説明は省略し、その動作の差分のみを説明する。
【0063】
図8は、報知部および発信部232の動作を説明するための携帯無線端末110の状態遷移図である。ここでは、報知部として発光部218を用いている。第2の実施形態における携帯無線端末110では、振動検出部226が携帯無線端末自体の振動を検出し、振動値を取得すると、発光部218は、振動検出部226によって検出された振動値と、その振動値が所定振動値を超えている時間とに基づいて求められる振動量に応じて、図6(a)、(b)のように発光部218の発色を変化させる。
【0064】
そして、ユーザが2つの発光部218が両方所定の発光色(例えば「黄」)を示しているときに所定の可動操作キー228を押下または押止解放すると、発信部232は、操作部216を介して連絡先端末150に発信する。
【0065】
本実施形態では、検出された振動値と、振動値が所定振動値を超えている時間とに基づいて求められる振動量に応じて順次発光色または音声を変化させ、予め設定された所定の発光色または音声になったときに作為的に操作することで、誤動作を確実に防止しつつ、容易に自己の危機的状態を伝達することが可能となる。
【0066】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0067】
なお、本明細書の無線通信方法における各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、複数の画面を並べて表示することが可能な携帯無線端末および無線通信方法に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】無線通信システムの概略的な接続関係を示した説明図である。
【図2】携帯無線端末のハードウェア構成を示した機能ブロック図である。
【図3】折り畳み式の携帯無線端末の外観を示した斜視図である。
【図4】ユーザの振動入力の動作処理を示した説明図である。
【図5】振動量の求め方を説明するための説明図である。
【図6】報知部の動作を説明するための携帯無線端末の状態遷移図である。
【図7】無線通信方法の全体的な流れを示したフローチャートである。
【図8】報知部および発信部の動作を説明するための携帯無線端末の状態遷移図である。
【符号の説明】
【0070】
100 …無線通信システム
110 …携帯無線端末
150 …連絡先端末
216 …操作部
218 …発光部
222 …音声出力部
226 …振動検出部
228 …可動操作キー
230 …振動量判断部
232 …発信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局を介して連絡先端末との通信を確立可能な携帯無線端末であって、
当該携帯無線端末自体の振動を検出し、振動値を取得する振動検出部と、
前記検出された振動値と、該振動値が所定振動値を超えている時間とに基づいて求められる振動量が所定の閾値に達したか否かを判断する振動量判断部と、
前記振動量が所定の閾値に達したと判断された場合、当該携帯無線端末に登録された前記連絡先端末に発信する発信部と、
を備えることを特徴とする携帯無線端末。
【請求項2】
前記振動量判断部における振動量の所定の閾値に対する達成度を発光色または音声で報知する報知部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の携帯無線端末。
【請求項3】
複数の可動操作キーを配設した操作部をさらに備え、
前記振動量判断部は、前記操作部の所定の可動操作キーの押下後所定時間内または該所定の可動操作キーの押止中に、振動量を判断することを特徴とする請求項1に記載の携帯無線端末。
【請求項4】
基地局を介して連絡先端末との通信を確立可能な携帯無線端末であって、
当該携帯無線端末自体の振動を検出し、振動値を取得する振動検出部と、
前記検出された振動値と、該振動値が所定振動値を超えている時間とに基づいて求められる振動量に応じて発光色または音声を変化させる報知部と、
複数の可動操作キーを配設した操作部と、
前記報知部が所定の発光色または音声を発しているとき、前記操作部の所定の可動操作キーを押下または押止解放した場合、当該携帯無線端末に登録された連絡先端末に発信する発信部と、
を備えることを特徴とする携帯無線端末。
【請求項5】
前記振動量が所定の閾値に達したと判断された場合、当該携帯無線端末自体を通じてその旨警告する警告部をさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の携帯無線端末。
【請求項6】
前記報知部は、さらに発信が完了したことも報知することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の携帯無線端末。
【請求項7】
前記報知部は、さらに前記連絡先端末が当該発信を認識したことも報知することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の携帯無線端末。
【請求項8】
基地局を介して連絡先端末との通信を確立可能な携帯無線端末の状態を該連絡先端末に伝達する無線通信方法であって、
当該携帯無線端末自体の振動を検出し、
前記検出された振動値と、該振動値が所定振動値を超えている時間とに基づいて求められる振動量が所定の閾値に達したか否かを判断し、
前記振動量が所定の閾値に達したと判断された場合、当該携帯無線端末に登録された連絡先端末に発信することを特徴とする無線通信方法。
【請求項9】
複数の可動操作キーを配設した操作部を有し、基地局を介して連絡先端末との通信を確立可能な携帯無線端末の状態を該連絡先端末に伝達する無線通信方法であって、
当該携帯無線端末自体の振動を検出し、
前記検出された振動値と、該振動値が所定振動値を超えている時間とに基づいて求められる振動量に応じて発光色または音声を変化させ、
前記報知部が所定の発光色または音声を発しているとき、前記操作部の所定の可動操作キーを押下または押止解放した場合、当該携帯無線端末に登録された前記連絡先端末に発信することを特徴とする無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図7】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−11019(P2010−11019A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−167323(P2008−167323)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】