説明

携帯端末、通知方法およびプログラム

【課題】携帯端末の使用者が携帯端末使用禁止地域から脱した際に、携帯端末の電源がOFFのままのとき使用者にその旨を通知したり、携帯電話機を通信可能な状態とするには、面倒な設定や基地局の改造が必要であった。
【解決手段】携帯端末の電源をOFFとしたときの位置情報をデータ記憶装置に記憶しておき、携帯端末の電源をOFFとした時から予め設定された時間を計測し、前期予め設定された時間が経過したときに位置を測位して、この測位した位置情報と前記データ記憶装置に記憶されている電源をOFFとしたときの位置情報とを比較し、これらの距離が予め決められた距離以上の場合に通知を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末に関し、特に、電源をOFFとした位置と、所定時間経過後の位置とが離れているときに、携帯端末が移動したと判断しその旨を通知する携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
病院等では、携帯電話機の発信する電波が医療機器等に与える影響を考え、携帯電話機の電源をOFFとするように規制されている。
【0003】
従来は、使用禁止地域に入った際に携帯電話機の電源をOFFとしたことを使用者が忘れてしまい、携帯電話機の使用を禁止されている地域から離れても携帯電話機の電源をONとしないままとした場合、電話やメールを受け取ることができないという問題があった。
【0004】
このような問題点を解決する技術が特許文献1または特許文献2に記載されている。
【0005】
特許文献1(特開2002−2281122)では、使用者があらかじめ設定した時刻にアラームを通知することにより、電源OFFの状態を知らせる携帯電話機について開示されている。
【0006】
また、特許文献2(特開2002−320264)では、基地局が予め携帯電話機の使用が禁止されている地域の情報(着信拒否地域リスト)を有している。そして、携帯電話機が着呼要求を受けた際には、自らの位置をGPS(Global Positioning System)を使用して求め、自らが使用が禁止されている地域にいるか否かを判断し、使用が禁止されている地域にいる場合には着信せず、着信拒否メッセージを発信側携帯端末に送信するシステムについて開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2002−281122号公報
【特許文献2】特開2002−320264号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1記載の携帯電話機を用いて、携帯電話機が使用禁止地域を脱したときに携帯電話機の電源をONとする場合には、使用者があらかじめ使用禁止地域を離れる時刻を予測、設定する必要がある。また使用禁止地域への滞在時間が不明な場合あるいは滞在時間が延びた場合は、不要な通知が行われることや、再度通知の設定を行う必要があるといった問題があった。
【0009】
特許文献2記載のシステムを用いて、携帯電話機が使用禁止地域を脱したときに携帯電話機での通信(着呼)を可能とするためには、予め全ての基地局が配下のエリア内の使用禁止地域の位置情報を保持していなければならず、基地局の改造が必要となり、基地局への負荷も増大するといった問題があった。
[発明の目的]
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、上述した従来の課題を解決する携帯端末、通知方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の携帯端末は、携帯端末の電源をOFFとしたときの位置情報を記憶するデータ記憶装置と、携帯端末の電源をOFFとした時から予め設定された時間の計測を行う電源OFF通知タイマと、携帯端末が移動したことを示す通知を行う鳴動装置と、携帯端末の電源をOFFとしたときに前記データ記憶装置に位置情報を保存し、前記電源OFF通知タイマを起動し、前記電源OFFタイマから予め設定した時間が経過したとの通知を受けたときに位置を測位し、この測位した位置情報と前記データ記憶装置に記憶されている電源をOFFとしたときの位置情報とを比較し、これらの距離が予め決められた距離以上の場合に前記鳴動装置に通知を行うよう指示するデータ処理装置とを有することを特徴とする。
【0011】
本発明の通知方法は、携帯端末の電源をOFFとしたときの位置情報をデータ記憶装置に記憶するステップと、携帯端末の電源をOFFとした時から予め設定された時間の計測を行うステップと、前期予め設定された時間が経過したときに位置を測位するステップと、この測位した位置情報と前記データ記憶装置に記憶されている電源をOFFとしたときの位置情報とを比較するステップと、これらの距離が予め決められた距離以上の場合に通知を行うステップとを有することを特徴とする。
【0012】
本発明のプログラムは、携帯端末の電源をOFFとしたときの位置情報をデータ記憶装置に記憶する処理と、携帯端末の電源をOFFとした時から予め設定された時間の計測を行う処理と、前期予め設定された時間が経過したときに位置を測位する処理と、この測位した位置情報と前記データ記憶装置に記憶されている電源をOFFとしたときの位置情報とを比較する処理と、これらの距離が予め決められた距離以上の場合に通知を行う処理とをコンピュータに実施させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、携帯端末の電源をOFFとしたときの位置情報と予め設定された時間経過後の位置情報とを比較し、両位置間の距離が予め決められた距離以上の場合に通知を行う。これにより、携帯端末の使用が禁止されているため電源をOFFとした場所から移動したときに、携帯端末の電源がOFFのままとなっていることを、使用者が知ることができるので、使用者は電源をONすることができ、電源OFFのままとなっていることにより電話やメール等の連絡を逃すことを防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の第1の実施形態を図面を用いて説明する。
【0015】
図1は、本発明の第1の実施形態における携帯電話機の構成を示す図である。図1に示すように、本発明の携帯電話機等の携帯端末(以下では、携帯端末の一例として携帯電話機を用いて説明する)は、キーボード等の入力装置1と、ディスプレイ装置等の出力装置2と、音声またはデータの送受信を行う通信装置3と、スピーカ、バイブレータ等の鳴動装置4と携帯電話機の現在の位置情報を取得可能なGPS装置5と、携帯電話機の動作を制御するデータ処理装置6と、各種データを保存するデータ記憶装置12とを含む。
【0016】
データ処理装置6は、音声やデータの送受信を行う通信装置3を制御する通信制御部7と、スピーカやバイブレータ等の鳴動装置4の制御を行う鳴動制御部8と、携帯電話機の各部の電源を制御する電源制御部9と、設定された時間経過後に電源制御部に通知を行う電源OFF通知タイマ10とを有する。
【0017】
データ記憶装置12は、電源OFF時に測位した携帯電話機の位置情報を記憶する電源OFF時位置情報記憶領域13を有する。
【0018】
次に、本発明の第1の実施形態の動作について図1から図4を用いて詳細に説明する。
【0019】
図2は携帯電話機の電源をOFFとする際の動作を示す。
【0020】
使用者が電源OFFの操作を行った際に、データ処理装置6は、使用者に携帯電話機の電源がOFFとなっていることを知らせるための電源OFF通知を行うか否かの選択を行う画面を出力装置2に表示させ、入力装置1からの使用者の入力を促す(ステップA11)。
【0021】
使用者が電源OFF通知を行うことを選択した場合、GPS装置5は、携帯電話機の現在位置を測位し、この位置情報を電源OFF時位置情報記憶領域13に保存する(ステップA12)。
【0022】
位置情報を保存後、データ処理装置6は、電源OFF通知タイマ10をセットし(ステップA13)、携帯電話機の電源をOFFとする(A14)。
【0023】
図3は電源OFFの通知を行う際の動作を示す。
【0024】
電源OFF通知タイマ10に設定された時間が経過したら(ステップA21でYes)、電源OFF通知タイマ10は、電源制御部9に設定時間経過を知らせる通知を送る(ステップA22)。
【0025】
電源制御部9は、上記通知を受け取ったら通信装置3を除く箇所の電源をONとする。この際、医療機器等に影響を及ぼす恐れがある電波を送信する通信装置3の電源はOFFのままとする(ステップA23)。
【0026】
上述の電源をONとする処理実行後、データ処理装置6は、GPS装置5が測位した現在の位置(ステップA24)と、電源OFF時位置情報記憶領域13に保存されている位置情報と比較する(ステップA25)。位置情報を比較した結果、現在の位置と保存されている位置とが予め決められた距離以上離れている場合は、データ処理装置6は、使用者が電波の影響により携帯電話機の使用を禁じられた場所から移動したものと判断し(ステップA25でYes)、電源がOFFのままであることを通知するための鳴動等を行うために鳴動装置4を制御する(ステップA26)。
【0027】
現在の位置と保存されている位置とが予め決められた距離以下の場合(ステップA25でNo)は、データ処理装置6は、携帯電話機の使用を禁じられた場所から移動していないものと判断し、鳴動等の電源OFF通知は行わせない。
【0028】
データ処理装置6は、現在の位置と保存されている位置との比較(携帯電話機が移動したか否かの比較)、必要に応じて鳴動等を行わせた後、電源OFF通知タイマ10を再度セットし(ステップA27)、電源OFF処理(ステップA21からステップA27までの動作)を行う(ステップA28)。
【0029】
ここで、電源OFFタイマ10を再度設定することにより、使用者が電源OFFを行った場所から予め設定された距離以上移動してから電源をONにするまで、一定時間ごとに電源がOFFのままであることが通知可能となる。
【0030】
図4は電源OFF後の流れを示す。
【0031】
電源OFF後から、電源OFF通知タイマ10の設定時間であるX時間が経過するまでの間は、電源OFF通知タイマ10のみが動作する。
【0032】
X時間経過後、GPS装置5が現在の位置情報を取得し、電源をOFFした位置から予め設定された距離以上移動していない場合は、データ処理装置6は、再度電源OFF通知タイマ10を設定し、電源OFF通知タイマ以外の携帯電話機の電源をOFFとする。
【0033】
X時間経過後、携帯電話機が予め設定した距離以上移動している場合は、データ処理装置6は、鳴動装置4に電源がOFFであることを示す鳴動等を行わせた後、再度電源OFF通知タイマ10を設定し、電源OFF通知タイマ以外の携帯電話機の電源をOFFとする。
【0034】
上記の動作を使用者が携帯電話機の電源をONにするまで継続する。
【0035】
次に、本発明の第2の実施形態を図面を用いて説明する。
【0036】
図5は、本発明の第2の実施形態における携帯電話機の構成を示す図である。ここでは、第1の実施形態と同じ構成部分には同じ番号をふり、その説明は省略する。
【0037】
図5を参照すると、第2の実施形態の携帯電話機は、データ記憶装置12内に電源OFF通知方式記憶領域14を有する。
【0038】
電源OFF通知方式記憶領域14には、使用者により予め設定された電源OFF時のGPSの測位間隔、移動したと判断する距離等の判断基準、通知の手段(鳴音させる音、バイブレータの振動パターン等)、鳴動の時間等の、電源OFF通知に関する設定が記憶されている。
【0039】
使用者が携帯電話機の電源をOFFとし、電源OFF通知の要否を選択する際、電源OFF通知方式記憶領域14に保存されている設定を使用するか、個別に電源OFF通知の方法を設定するか選択可能とする。
【0040】
本機能により、電源OFF時の状況による通知方法を使用者の要求に応じて変更可能とする。
【0041】
以上説明した第1、第2の実施形態では、第一に、携帯電話機の電源をOFFとしたときの位置情報と予め設定された時間経過後の位置情報とを比較し、両位置間の距離が予め決められた距離以上の場合に通知を行う。これにより、携帯電話機の使用が禁止されているため電源をOFFとした場所から移動したときに、携帯電話機の電源がOFFのままとなっていることを、使用者が知ることができるので、使用者は携帯電話機の電源をONとすることができ、電源OFFのままとなっていることにより電話やメール等の連絡を逃すことを防止することが可能である。
【0042】
また、第二に、位置情報の取得、電源OFFの通知を行う際に、通信装置3の電源をOFFのままとするので、電波の影響が懸念される場所でも電波を発生させずに本機能を実施することが可能である。
【0043】
以上の説明では、本発明はハードウェア的に実現されることを前提として説明してきた。しかし、本発明の各機能は、CPUに読み込ませたプログラムによっても実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1の実施形態における携帯電話機のブロック図
【図2】本発明における電源OFF時の動作を示すフローチャート
【図3】本発明における電源OFF通知時の動作を示すフローチャート
【図4】本発明の動作を示すシーケンス図
【図5】本発明の第2の実施形態における携帯電話機のブロック図
【符号の説明】
【0045】
1 入力装置
2 出力装置
3 通信装置
4 鳴動装置
5 GPS装置
6 データ処理装置
7 通信制御部
8 鳴動制御部
9 電源制御部
10 電源OFF通知タイマ
12 データ記憶装置
13 電源OFF時位置情報記憶領域
14 電源OFF通知方式記憶領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末の電源をOFFとしたときの位置情報を記憶するデータ記憶装置と、
携帯端末の電源をOFFとした時から予め設定された時間の計測を行う電源OFF通知タイマと、
携帯端末が移動したことを示す通知を行う鳴動装置と、
携帯端末の電源をOFFとしたときに前記データ記憶装置に位置情報を保存し、前記電源OFF通知タイマを起動し、前記電源OFFタイマから予め設定した時間が経過したとの通知を受けたときに位置を測位し、この測位した位置情報と前記データ記憶装置に記憶されている電源をOFFとしたときの位置情報とを比較し、これらの距離が予め決められた距離以上の場合に前記鳴動装置に通知を行うよう指示するデータ処理装置と
を有することを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記鳴動装置が通知をした後に、携帯端末の電源がONされない場合、前記データ処理装置が電源OFF通知タイマを再び起動することを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
前記データ処理装置における位置情報の比較の結果、これらの距離が予め決められた距離より小さい場合、前記データ処理装置が、前記鳴動装置に対して通知を行うように指示をせず電源OFF通知タイマを再び起動することを特徴とする請求項1または2の請求項に記載の携帯端末。
【請求項4】
ユーザが任意に決定した前記鳴動装置による通知の手段または判断基準を前記データ記憶装置に記憶することを特徴とする請求項1から3の何れか一の請求項に記載の携帯端末。
【請求項5】
携帯端末の位置はGPS装置を用いて測位することを特徴とする請求項1から4の何れか一の請求項に記載の携帯端末。
【請求項6】
携帯端末の電源をOFFとしたときの位置情報をデータ記憶装置に記憶する記憶ステップと、
携帯端末の電源をOFFとした時から予め設定された時間の計測を行う計測ステップと、
前期予め設定された時間が経過したときに位置を測位する測位ステップと、
この測位した位置情報と前記データ記憶装置に記憶されている電源をOFFとしたときの位置情報とを比較する比較ステップと、
これらの距離が予め決められた距離以上の場合に通知を行う通知ステップと
を有することを特徴とする通知方法。
【請求項7】
前記通知ステップの後に携帯端末の電源がONされない場合、前記計測ステップを再び行うことを特徴とする請求項6記載の通知方法。
【請求項8】
前記比較ステップにおける比較の結果、これらの距離が予め決められた距離より小さい場合、通知を行わないステップを有することを特徴とする請求項6または7の請求項に記載の通知方法。
【請求項9】
ユーザが任意に決定した前記通知の手段または判断基準を前記データ記憶装置に記憶することを特徴とする請求項6から8の何れか一の請求項に記載の通知方法。
【請求項10】
携帯端末の位置はGPS装置を用いて測位することを特徴とする請求項6から9の何れか一の請求項に記載の通知方法。
【請求項11】
携帯端末の電源をOFFとしたときの位置情報をデータ記憶装置に記憶する処理と、
携帯端末の電源をOFFとした時から予め設定された時間の計測を行う処理と、
前期予め設定された時間が経過したときに位置を測位する処理と、
この測位した位置情報と前記データ記憶装置に記憶されている電源をOFFとしたときの位置情報とを比較する処理と、
これらの距離が予め決められた距離以上の場合に通知を行う処理と
をコンピュータに実施させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−278395(P2008−278395A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−122131(P2007−122131)
【出願日】平成19年5月7日(2007.5.7)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】