説明

携帯端末および受付操作処理方法

【課題】誤操作を防止し、非常時に電力供給が停止されることなく、製造コストを軽減する。
【解決手段】貨物搭載用端末100において、スライドスイッチ101の操作を受け付けたか否かを判断する操作判断部と、該操作を受け付け、かつバッテリー150からの電力供給が停止されている場合、電力供給を開始する電力制御部と、バッテリー150からの電力が供給されている場合、ACアダプタ300が接続されているか否かを判断する接続判断部と、バッテリー150からの電力が供給され、かつACアダプタ300が非接続状態の場合に、スライドスイッチ101の操作を受け付けた場合、異常を通報する通信部とを備え、電力制御部は、バッテリー150からの電力が供給され、かつACアダプタ300が接続状態の場合に、スライドスイッチ101の操作を受け付けた場合、電力供給を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現在の位置情報を所定の監視処理を行う監視センタに送信する携帯端末および受付操作処理方法に関するものであり、特に、該携帯端末を携帯する利用者からの該携帯端末への操作に対する処理に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯端末における非常ボタンが操作されると、該携帯端末を所持している利用者の現在位置を取得し、取得した位置情報を所定の監視処理を行う監視センタ等に送信する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、携帯端末に稼動状態と非稼動状態とを切り替えるための電源スイッチと、非常時にその旨を通報する非常ボタンとが設けられている。そして、利用者により携帯端末の非常ボタンが操作されると、現在の位置情報をセンタ装置(監視センタ)に送信する。また、この非常ボタンの操作がされた後は、電源スイッチを操作しても携帯端末が非稼動状態に切り替わることが停止される。
【0003】
【特許文献1】特開2002−209248号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1における携帯端末には、電源スイッチと非常ボタン(非常スイッチ)との2つのスイッチが設けられているため、緊急時に誤って非常スイッチではなく電源スイッチを操作してしまい、非常時である旨の通報が遅れたり、該通報ができない場合があった。
【0005】
また、特許文献1における携帯端末では、携帯端末の利用者が悪意を有する者に襲われた場合などに、利用者が非常スイッチを操作する前に、該悪意を有する者により電源スイッチを操作されてしまうと、携帯端末への電力の供給が停止してしまい、携帯端末から監視センタへ上記通報や位置情報を送信することができなくなってしまう場合があった。さらに、特許文献1における携帯端末では、電源スイッチと非常スイッチとの2つのスイッチを設けているため、携帯端末の部品数が増えて製造コストが増加してしまう。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電力供給の開始および停止と異常が発生した旨の通報とを一つのスイッチ部により行うことで、利用者の誤操作を防止するとともに、非常時に電力供給が停止されることがなく、製造コストを軽減できる携帯端末および受付操作処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、現在の位置情報を所定の監視処理を行う監視センタに送信する携帯端末において、利用者により操作されるスイッチ部と、前記スイッチ部の操作を受け付けたか否かを判断する操作判断手段と、前記スイッチ部の操作を受け付け、かつ前記携帯端末に内部電源からの電力の供給が停止されている場合、前記携帯端末に前記内部電源からの電力の供給を開始する電力制御手段と、前記携帯端末に前記内部電源からの電力が供給されている場合、前記携帯端末に外部電源から充電を行う電源装置が接続されているか否かを判断する接続判断手段と、前記携帯端末に前記内部電源からの電力が供給されており、かつ前記携帯端末に前記電源装置が接続されていない場合において、前記スイッチ部の操作を受け付けた場合、異常が発生した旨を前記監視センタに通報する通信手段と、を備え、前記電力制御手段は、前記携帯端末に前記内部電源からの電力が供給されており、かつ前記携帯端末に前記電源装置が接続されている場合において、前記スイッチ部の操作を受け付けた場合、前記携帯端末に前記内部電源からの電力の供給を停止することを特徴とする。
【0008】
また、請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の携帯端末において、前記携帯端末に前記内部電源からの電力の供給が開始された場合、前記携帯端末の状態を定めた設定モードを、前記携帯端末に前記内部電源からの電力の供給が停止されている状態を示す停止モードから、前記携帯端末に前記内部電源からの電力が供給されている状態を示す待機モードに切替えて設定する設定手段をさらに備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3にかかる発明は、請求項2に記載の携帯端末において、前記設定手段は、さらに、前記携帯端末に前記内部電源からの電力が供給されており、かつ前記携帯端末に前記電源装置が接続されていない場合、前記設定モードを、前記待機モードから、前記位置情報を前記監視センタに送信する状態を示す測位モードに切替えて設定することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4にかかる発明は、請求項3に記載の携帯端末において、前記設定手段は、さらに、前記携帯端末に前記内部電源からの電力の供給が停止された場合、前記設定モードを、前記待機モードから前記停止モードに切替えて設定することを特徴とする。
【0011】
また、請求項5にかかる発明は、現在の位置情報を所定の監視処理を行う監視センタに送信する携帯端末で実行される受付操作処理方法において、前記携帯端末は、利用者により操作されるスイッチ部を備え、前記スイッチ部の操作を受け付けたか否かを判断する操作判断ステップと、前記スイッチ部の操作を受け付け、かつ前記携帯端末に内部電源からの電力の供給が停止されている場合、前記携帯端末に前記内部電源からの電力の供給を開始する電力制御ステップと、前記携帯端末に前記内部電源からの電力が供給されている場合、前記携帯端末に外部電源から充電を行う電源装置が接続されているか否かを判断する接続判断ステップと、前記携帯端末に前記内部電源からの電力が供給されており、かつ前記携帯端末に前記電源装置が接続されていない場合において、前記スイッチ部の操作を受け付けた場合、異常が発生した旨を前記監視センタに通報する通信ステップと、を含み、前記電力制御ステップは、前記携帯端末に前記内部電源からの電力が供給されており、かつ前記携帯端末に前記電源装置が接続されている場合において、前記スイッチ部の操作を受け付けた場合、前記携帯端末に前記内部電源からの電力の供給を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電力供給の開始および停止と異常が発生した旨の通報とを一つのスイッチ部により行うことで、利用者の誤操作を防止するとともに、非常時に電力供給が停止されることがなく、製造コストを軽減できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる携帯端末および受付操作処理方法の最良な実施の形態を詳細に説明する。本実施の形態の携帯端末は、貨物に搭載され、搭載された貨物の位置情報を測位して、測位した位置情報を所定の監視処理を行う監視センタに送信する貨物搭載用端末であり、貨物を警備する貨物警備システムで利用されるものである。本実施の形態では、まず、貨物警備システムの概要を説明し(図1参照)、さらに、該貨物搭載用端末を、貨物に搭載して利用せず、人が携帯して利用する場合について説明する(図2−1以降参照)。なお、本実施の形態では、貨物に搭載される貨物搭載用端末を人が携帯した場合について説明しているが、これに限定されるものではない。すなわち、貨物搭載用端末は、貨物に搭載されるものではなくとも、人が携帯可能な端末であればよい。
【0014】
図1は、実施の形態にかかる貨物搭載用端末を利用した貨物警備システムの概要図である。図1では、本実施の形態における貨物警備システムにおいて、警備対象となる貨物が、その集配から配達までの間(以下、警備対象区間と呼ぶ。)に警備される様子を示している。貨物Cには貨物の警備を行うための貨物搭載用端末100が同梱され、貨物Cの積荷を梱包するダンボール等の梱包材の表面には、その貨物Cの宛先や伝票番号、貨物搭載用端末100の端末ID(IDentification)等の積荷情報が記載されたラベルTが付されている。
【0015】
まず、荷主Sは、輸送対象となる積荷と貨物搭載用端末100とを上述した梱包材により梱包した貨物C(以下、警備対象貨物と呼ぶ。)を、宅配業者に引き渡す。すると、宅配業者は携帯型のPOS(Point Of Sales system)端末等で構成される携帯型読取端末500を用いて、警備対象貨物の集荷を開始する旨を監視センタ400に通知し、監視センタ400において警備対象貨物の警備が開始される。その後、宅配業者は宅配車両Vにより警備対象貨物を届け先Rまで配達する。車両Vは、配達途中で発・着の準拠店SBや発・着の主要拠点MBを経由するが、宅配業者はこれらの拠点を経由するタイミングで、到着時刻や出発時刻等を宅配業者の伝票計上サーバ(不図示)に送信する。尚、主要拠点MB間の輸送は、航空機Aや列車T等の車両V以外の交通手段によって貨物輸送が行われるが、この区間も警備対象区間に含まれる。
【0016】
一方、上述のように監視センタ400による警備が開始されると、警備対象貨物に同梱された貨物搭載用端末100は、GPS(Global Positioning System)等を用いて定期的に現在の位置情報を測位して、監視センタ400に通知する。また、貨物搭載用端末100は、電源停止等の異常が生じた場合には、その異常通報を位置情報と共に監視センタ400に送信する。その後、宅配業者が警備対象貨物を届け先Rに配達すると、宅配業者は上述した携帯型読取端末500を用いて、警備対象貨物の配達が完了した旨を監視センタ400に通知し、監視センタ400は警備対象貨物の警備を終了させる。このように、警備対象区間において、警備対象貨物に同梱された警備搭載用端末が位置情報や異常通報を監視センタ400に送信することによって警備対象貨物の警備を行っている。
【0017】
次に、貨物搭載用端末100を、貨物に搭載して利用せずに、人が携帯して利用する場合について説明する。図2−1は、実施の形態にかかる貨物搭載用端末の正面図である。図2−2は、実施の形態にかかる貨物搭載用端末の側面図である。貨物搭載用端末100は、現在の位置情報(貨物搭載用端末100を携帯する利用者の現在の位置情報)を取得する測位処理を行って、取得した位置情報を、所定の監視処理を行う監視センタ400に定期的に送信するものである。なお、位置情報の送信は、監視センタの要請があったときのみ行なう構成としてもよい。
【0018】
図2−1、図2−2に示すように、貨物搭載用端末100は、略直方体で形成されており、側面には、貨物搭載用端末100に外部電源から充電を行うためのACアダプタが接続される充電ジャックと、利用者により操作されるスライドスイッチ101とが設けられている。
【0019】
図3は、実施の形態にかかる貨物搭載用端末のハードウェア構成図である。図3に示すように、貨物搭載用端末100は、スライドスイッチ101と、充電ジャック102と、バッテリー150と、電源回路110と、充電回路120と、RAM(Random Access Memory)130と、ROM(Read Only Memory)140と、CPU(Central Processing Unit)160とを主に備えている。
【0020】
スライドスイッチ101は、貨物搭載用端末100を携帯している利用者により操作されるものであり、該操作を受け付けた場合、貨物搭載用端末100で種々の処理が実行される。スライドスイッチ101は、利用者の指などにより約1秒間スライド状態が保持されることで利用者からの操作を受け付ける。また、スライドスイッチ101は、利用者による操作が終了し、利用者の指などが離れるとスライド状態が解除され、スライドした分だけ戻るようになっている。
【0021】
充電ジャック102は、貨物搭載用端末100に外部電源から充電を行うためのACアダプタ300が接続される部位である。なお、ACアダプタ300は、貨物搭載用端末100と接続された端部と反対の端部がコンセントに接続され、AC100Vの電力を貨物搭載用端末100に送電することができる。
【0022】
バッテリー150は、貨物搭載用端末100が外部電源から受電した電力(充電電力)を蓄積するものである。
【0023】
電源回路110は、電力変換器などによりバッテリー150に蓄積された電力を、貨物搭載用端末100の各構成部に供給または停止するものである。
【0024】
充電回路120は、ACアダプタ300から受電した電力を充電電力としてバッテリー150に蓄積するものである。
【0025】
RAM130は、CPU160によりプログラムを実行するために利用される揮発性メモリである。また、本実施の形態において、RAM130は、貨物搭載用端末100の状態を定めた設定モードを一時的に記憶する。
【0026】
ROM140は、貨物搭載用端末100で実行される受付操作処理プログラムを予め格納している。
【0027】
CPU160は、ROM140に格納された受付操作処理プログラム等を実行するものである。
【0028】
図4は、実施の形態にかかる貨物搭載用端末の構成を示す機能ブロック図である。図4に示すように、貨物搭載用端末100は、操作判断部210と、接続判断部230と、電力制御部220と、通信部240と、設定部250とを主に備えている。
【0029】
本実施の形態の貨物搭載用端末100では、CPU160がROM140から受付操作処理プログラムを読み出して実行することにより上記各部がRAM130等の主記憶装置上にロードされ、操作判断部210、電力制御部220、接続判断部230、通信部240、設定部250が主記憶装置上に生成されるようになっている。受付操作処理プログラムは、上述した各部(操作判断部210、電力制御部220、接続判断部230、通信部240、設定部250)を含むモジュール構成となっている。
【0030】
操作判断部210は、スライドスイッチ101の操作を受け付けたか否かを判断するものである。具体的には、利用者によりスライドスイッチ101がスライド状態に保持された場合に、その旨の信号を受信すると、スライドスイッチ101の操作を受け付けたと判断する。
【0031】
接続判断部230は、貨物搭載用端末100の各構成部にバッテリー150からの電力が供給されている場合、貨物搭載用端末100にACアダプタ300が充電ジャック102に接続されているか否かを判断するものである。具体的には、充電ジャック102にACアダプタ300が差し込まれた場合に、その旨の信号を受信し、ACアダプタ300が接続されたと判断する。
【0032】
電力制御部220は、操作判断部210によりスライドスイッチ101からの操作を受け付けたと判断された場合で、かつ貨物搭載用端末100にバッテリー150からの電力の供給が停止されている場合(後述する停止モードに設定されている場合)、貨物搭載用端末100にバッテリー150からの電力の供給を開始する旨の指示を電源回路110に送出するものである(この場合、後述する待機モードに設定される)。
【0033】
また、電力制御部220は、電源回路110により貨物搭載用端末100にバッテリー150からの電力が供給されており、かつ接続判断部230により貨物搭載用端末100の充電ジャック102にACアダプタ300が接続されていると判断された場合(後述する待機モードに設定されている場合)において、操作判断部210によりスライドスイッチ101の操作を受け付けたと判断された場合、貨物搭載用端末100にバッテリー150からの電力の供給を停止する旨の指示を電源回路110に送出する(この場合、後述する停止モードに設定される)。
【0034】
通信部240は、電源回路110により貨物搭載用端末100にバッテリー150からの電力が供給されており、かつ接続判断部230により貨物搭載用端末100の充電ジャック102にACアダプタ300が接続されていないと判断された場合(後述する定期測位モードに設定されている場合)において、操作判断部210により利用者からのスライドスイッチ101の操作を受け付けたと判断された場合、貨物搭載用端末100を携帯した利用者に異常が発生した旨を監視センタ400に通報するものである。
【0035】
ここで、監視センタとは、貨物搭載用端末100からの異常が発生した旨の通報を受信した場合に、待機中の警備員に対して異常が発生した現場へ向かう旨の指示を出すとともに、必要に応じて警察や消防など関係機関への通報を行うセンタである。
【0036】
設定部250は、貨物搭載用端末100の状態を定めた設定モードを、RAM130に保存することで、貨物搭載用端末100の現在の設定モードを切替えて設定するものである。ここで、貨物搭載用端末100の設定モードには、例えば、停止モード、待機モード、定期測位モードなどがある。
【0037】
停止モードとは、貨物搭載用端末100の各構成部に対して、電源回路110によりバッテリー150からの電力の供給が停止されている状態を示すモードである。この停止モードは、貨物搭載用端末100の各構成部にバッテリー150からの電力の供給が停止されると、設定部250により、貨物搭載用端末100の現在の設定モードとして設定される。そして、停止モードに設定されている場合に、利用者によるスライドスイッチ101の操作を受け付けると、ACアダプタ300が充電ジャック102に接続の可否に関わらず、貨物搭載用端末100の各構成部に対してバッテリー150からの電力の供給が開始され、貨物搭載用端末100の電源がONになる。
【0038】
また、待機モードとは、貨物搭載用端末100の各構成部に対して、電源回路110によりバッテリー150からの電力が供給されている状態を示すモードである。この待機モードは、貨物搭載用端末100の各構成部にバッテリー150からの電力の供給が開始されると、設定部250により、貨物搭載用端末100の現在の設定モードとして設定される。そして、待機モードに設定されている場合に、利用者によるスライドスイッチ101の操作を受け付けると、貨物搭載用端末100の各構成部に対してバッテリー150からの電力の供給が停止され、貨物搭載用端末100の電源がOFFになる。また、待機モードに設定されている場合であって、さらにACアダプタ300が非接続状態にされると、設定部250により、貨物搭載用端末100の設定モードは後述する定期測位モードに切替えて設定されることになる。
【0039】
また、定期測位モードとは、貨物搭載用端末100の現在の位置情報(貨物搭載用端末100を携帯する利用者の現在の位置情報)を取得する測位処理を行って、取得した位置情報を定期的に監視センタ400に送信している状態を示すモードである。この定期測位モードは、貨物搭載用端末100の各構成部にバッテリー150からの電力が供給され、かつACアダプタ300が非接触状態にされると、設定部250により、貨物搭載用端末100の現在の設定モードとして設定される。そして、定期測位モードに設定されている場合に、利用者によるスライドスイッチ101の操作を受け付けると、通信部240により、貨物搭載用端末100を携帯した利用者に異常が発生した旨を監視センタに通報する。また、定期測位モードに設定されている場合であって、さらにACアダプタ300が接続状態にされると、設定部250により、貨物搭載用端末100の設定モードが待機モードに設定されることになる。
【0040】
つまり、設定部250は、貨物搭載用端末100にバッテリー150からの電力の供給が開始された場合、設定モードを、停止モードから待機モードに切替えて設定する。
【0041】
また、設定部250は、貨物搭載用端末100にバッテリー150からの電力が供給され、貨物搭載用端末100にACアダプタ300が非接続状態にされた場合、設定モードを、待機モードから定期測位モードに切替えて設定する。
【0042】
また、設定部250は、貨物搭載用端末100にバッテリー150からの電力が供給され、貨物搭載用端末100にACアダプタ300が接続状態にされた場合、設定モードを、定期測位モードから待機モードに切替えて設定する。
【0043】
また、設定部250は、貨物搭載用端末100にバッテリー150からの電力の供給が停止された場合、設定モードを、待機モードから停止モードに切替えて設定する。
【0044】
ここで、貨物搭載用端末100のACアダプタ300による充電とスライドスイッチ101との関係について述べると、貨物搭載用端末100の電源をONにした後に、貨物搭載用端末100にACアダプタ300が接続されていることで外部電源から充電されている場合、スライドスイッチ101は、電源ON/OFFを切替えるために操作が行われるスイッチとなる。一方、貨物搭載用端末100の電源をONにした後に、貨物搭載用端末100にACアダプタ300が接続されておらず外部電源から充電されていない場合、スライドスイッチ101は、貨物搭載用端末100を携帯した利用者に異常が発生した旨を監視センタへ通報するために操作が行われるスイッチとなる。このように、本実施の形態の貨物搭載用端末100は、ACアダプタ300を接続または非接続のいずれかの状態にすることにより、一つのスライドスイッチ101に対する操作で2つのスイッチとしての処理を行うことができる。
【0045】
次に、貨物搭載用端末100において、スライドスイッチ101からの操作を受け付けた場合の処理方法である、受付操作処理方法の流れについて説明する。図5は、実施の形態にかかる貨物搭載用端末における設定モード遷移の一例を示す図である。
【0046】
図5に示すように、貨物搭載用端末100の設定モードが停止モードに設定されている場合は、電源がOFFになっている。そして、該停止モードに設定されている場合に、スライドスイッチ101からの操作を受け付けると、ACアダプタ300の接続・非接続に関わらず、貨物搭載用端末100の電源がONになり、貨物搭載用端末100の設定モードは、停止モードから待機モードに切替えられて設定される(ステップS1)。
【0047】
そして、貨物搭載用端末100の設定モードが待機モードに設定されており、ACアダプタ300が非接続状態であった場合、貨物搭載用端末100の設定モードは、待機モードから定期測位モードに切替えられて設定される(ステップS2)。これは、利用者が貨物搭載用端末100を携帯中であると考えられる。
【0048】
また、貨物搭載用端末100の設定モードが定期測位モードに設定されている場合に、ACアダプタ300が非接続状態で、かつスライドスイッチ101からの操作を受け付けると、貨物搭載用端末100に異常が発生した旨を監視センタへ通報する(ステップS3)。
【0049】
一方、貨物搭載用端末100の設定モードが定期測位モードに設定されている場合に、ACアダプタ300が接続状態にされると、貨物搭載用端末100の設定モードは、定期測位モードから待機モードに切替えられて設定される(ステップS4)。
【0050】
そして、貨物搭載用端末100の設定モードが待機モードに設定されている場合に、ACアダプタ300が接続状態で、かつスライドスイッチ101からの操作を受け付けると、貨物搭載用端末100の電源がOFFになり、貨物搭載用端末100の設定モードは、待機モードから停止モードに切替えられて設定される(ステップS5)。
【0051】
図6は、実施の形態にかかる貨物搭載用端末における受付操作処理方法の流れを示すフローチャートである。まず、貨物搭載用端末100は、設定モードが停止モードに設定されており、電源がOFFになっている。
【0052】
操作判断部210は、スライドスイッチ101の操作を受け付けたか否かを判断する(ステップS10)。スライドスイッチ101の操作を受け付けていない場合(ステップS10:No)、操作を受け付けるまで待機する。
【0053】
一方、スライドスイッチ101の操作を受け付けた場合(ステップS10:Yes)、電力制御部220は、貨物搭載用端末100にバッテリー150からの電力の供給を開始して、貨物搭載用端末100の電源をONにする(ステップS11)。そして、設定部250は、貨物搭載用端末100の設定モードを、停止モードから待機モードに切替えて設定する(ステップS12)。
【0054】
次に、接続判断部230は、ACアダプタ300が接続状態か否かを判断する(ステップS13)。ACアダプタ300が接続状態でない場合、すなわち非接続状態である場合(ステップS13:No)、設定部250は、貨物搭載用端末100の設定モードを、待機モードから定期測位モードに切替えて設定する(ステップS14)。
【0055】
そして、接続判断部230は、ACアダプタ300が接続状態か否かを判断する(ステップS15)。ACアダプタ300が接続状態である場合(ステップS15:Yes)、ステップS12に戻って処理を繰り返す。
【0056】
一方、ACアダプタ300が接続状態でない場合、すなわち非接続状態である場合、操作判断部210は、スライドスイッチ101の操作を受け付けたか否かを判断する(ステップS16)。スライドスイッチ101の操作を受け付けていない場合(ステップS16:No)、ステップS15に戻って処理を繰り返す。
【0057】
一方、スライドスイッチ101の操作を受け付けた場合(ステップS16:Yes)、通信部240は、貨物搭載用端末100を携帯した利用者に異常が発生した旨を監視センタへ通報する(ステップS17)。そして、ステップS15に戻って処理を繰り返す。
【0058】
ステップS13に戻り、ACアダプタ300が接続状態である場合(ステップS13:Yes)、操作判断部210は、スライドスイッチ101の操作を受け付けたか否かを判断する(ステップS18)。スライドスイッチ101の操作を受け付けていない場合(ステップS18:No)、ステップS13に戻って処理を繰り返す。
【0059】
一方、スライドスイッチ101の操作を受け付けた場合(ステップS18:Yes)、電力制御部220は、貨物搭載用端末100へのバッテリー150からの電力の供給を停止して、貨物搭載用端末100の電源をOFFにする(ステップS19)。そして、設定部250は、貨物搭載用端末100の設定モードを、待機モードから停止モードに切替えて設定する(ステップS20)。
【0060】
このように、本実施の形態にかかる貨物搭載用端末100では、電源をONにした後に、貨物搭載用端末100にACアダプタ300が接続されており外部電源から充電されている場合、スライドスイッチ101は、電源ON/OFFを切替える操作が行われるスイッチとなる。一方、電源をONにした後に、貨物搭載用端末100にACアダプタ300が接続されておらず外部電源から充電されていない場合、スライドスイッチ101は、貨物搭載用端末100を携帯した利用者に異常が発生した旨を監視センタへ通報する操作が行われるスイッチとなる。つまり、本実施の形態にかかる貨物搭載用端末100は、ACアダプタ300を接続または非接続のいずれかの状態にすることにより、一つのスライドスイッチ101に対する操作で2つのスイッチとしての処理を行うことができる。
【0061】
従って、本実施の形態にかかる貨物搭載用端末100は、電力の供給の開始および停止と利用者に異常が発生した旨の通報との2つの処理を行う一つのスライドスイッチ101が設けられており、貨物搭載用端末100を携帯している場合は、スライドスイッチ101は、ACアダプタ300が非接続状態であるため、電源用のスイッチではなく、通報用のスイッチとなっている。このため、非常時に利用者が電源スイッチ等の他のスイッチを操作してしまうという誤操作を防止することができる。また、貨物搭載用端末100の携帯時には、電源をOFFにすることは不可能となるため、非常時に電源スイッチを操作して電力の供給が停止されることがない。また、電力の供給の開始および停止と異常が発生した旨の通報とを行うスライドスイッチ101が1つであるため、2つ(複数)のスイッチ(構成部品)を設ける必要がなく、製造コストを軽減できる。
【0062】
また、本実施の形態の貨物搭載用端末では、設定モードとして、貨物搭載用端末の現在の位置情報を取得する測位処理を行って、取得した位置情報を定期的に監視センタに送信している状態を示す定期測位モードを設定可能な構成となっているが、これに限定されるものではない。すなわち、貨物搭載用端末において、監視センタからの要求があった場合に、貨物搭載用端末の現在の位置情報を取得する測位処理を行って、取得した位置情報を監視センタに送信する状態を示すモードを設定可能な構成としてもよい。
【0063】
なお、本実施の形態の貨物搭載用端末で実行される受付操作処理プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0064】
さらに、本実施の形態の貨物搭載用端末で実行される受付操作処理プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態の貨物搭載用端末で実行される受付操作処理プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】実施の形態にかかる貨物搭載用端末を利用した貨物警備システムの概要図である。
【図2−1】実施の形態にかかる貨物搭載用端末の正面図である。
【図2−2】実施の形態にかかる貨物搭載用端末の側面図である。
【図3】実施の形態にかかる貨物搭載用端末の構成図である。
【図4】実施の形態にかかる貨物搭載用端末の構成を示す機能ブロック図である。
【図5】実施の形態にかかる貨物搭載用端末における設定モード遷移の一例を示す図である。
【図6】実施の形態にかかる貨物搭載用端末における受付操作処理方法の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0066】
100 貨物搭載用端末
101 スライドスイッチ
102 充電ジャック
110 電源回路
120 充電回路
130 RAM
140 ROM
150 バッテリー
160 CPU
210 操作判断部
220 電力制御部
230 接続判断部
240 通信部
250 設定部
300 ACアダプタ
400 監視センタ
500 携帯型読取端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在の位置情報を所定の監視処理を行う監視センタに送信する携帯端末において、
利用者により操作されるスイッチ部と、
前記スイッチ部の操作を受け付けたか否かを判断する操作判断手段と、
前記スイッチ部の操作を受け付け、かつ前記携帯端末に内部電源からの電力の供給が停止されている場合、前記携帯端末に前記内部電源からの電力の供給を開始する電力制御手段と、
前記携帯端末に前記内部電源からの電力が供給されている場合、前記携帯端末に外部電源から充電を行う電源装置が接続されているか否かを判断する接続判断手段と、
前記携帯端末に前記内部電源からの電力が供給されており、かつ前記携帯端末に前記電源装置が接続されていない場合において、前記スイッチ部の操作を受け付けた場合、異常が発生した旨を前記監視センタに通報する通信手段と、を備え、
前記電力制御手段は、前記携帯端末に前記内部電源からの電力が供給されており、かつ前記携帯端末に前記電源装置が接続されている場合において、前記スイッチ部の操作を受け付けた場合、前記携帯端末に前記内部電源からの電力の供給を停止することを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記携帯端末に前記内部電源からの電力の供給が開始された場合、前記携帯端末の状態を定めた設定モードを、前記携帯端末に前記内部電源からの電力の供給が停止されている状態を示す停止モードから、前記携帯端末に前記内部電源からの電力が供給されている状態を示す待機モードに切替えて設定する設定手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記設定手段は、さらに、前記携帯端末に前記内部電源からの電力が供給されており、かつ前記携帯端末に前記電源装置が接続されていない場合、前記設定モードを、前記待機モードから、前記位置情報を前記監視センタに送信する状態を示す測位モードに切替えて設定することを特徴とする請求項2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記設定手段は、さらに、前記携帯端末に前記内部電源からの電力の供給が停止された場合、前記設定モードを、前記待機モードから前記停止モードに切替えて設定することを特徴とする請求項3に記載の携帯端末。
【請求項5】
現在の位置情報を所定の監視処理を行う監視センタに送信する携帯端末で実行される受付操作処理方法において、
前記携帯端末は、利用者により操作されるスイッチ部を備え、
前記スイッチ部の操作を受け付けたか否かを判断する操作判断ステップと、
前記スイッチ部の操作を受け付け、かつ前記携帯端末に内部電源からの電力の供給が停止されている場合、前記携帯端末に前記内部電源からの電力の供給を開始する電力制御ステップと、
前記携帯端末に前記内部電源からの電力が供給されている場合、前記携帯端末に外部電源から充電を行う電源装置が接続されているか否かを判断する接続判断ステップと、
前記携帯端末に前記内部電源からの電力が供給されており、かつ前記携帯端末に前記電源装置が接続されていない場合において、前記スイッチ部の操作を受け付けた場合、異常が発生した旨を前記監視センタに通報する通信ステップと、を含み、
前記電力制御ステップは、前記携帯端末に前記内部電源からの電力が供給されており、かつ前記携帯端末に前記電源装置が接続されている場合において、前記スイッチ部の操作を受け付けた場合、前記携帯端末に前記内部電源からの電力の供給を停止することを特徴とする受付操作処理方法。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−182868(P2009−182868A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−21839(P2008−21839)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000202361)綜合警備保障株式会社 (266)
【Fターム(参考)】