説明

携帯端末のフォント表示システム

【課題】本願発明はかかる課題を解決するためになされたもので、ユーザーレベルでも簡易な操作によって書体デザインを効率的に制作することができ、データ変換されたその書体を携帯端末に保存することによって、初期設定されている書体と入れ替えることができ、自分好みの書体デザインの携帯端末フォント表示システムを提供することを目的とする。
【解決手段】フォントサーバー2にはアップロードされたエレメントデータが格納される。
複数の書体デザインのエレメントデータが格納されるとともに、携帯端末10にはフォントサーバー2から取得されたエレメントデータに基づいて文字コードに対応した漢字フォントを生成するフォント生成エンジンが設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、インターネット接続機能を備えた携帯端末におけるフォント表示システムに関し、フォントデータの一部または全部をその文字表示に際して利用する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機やPDA等の携帯端末においては、複数の記号を組み合わせて様々な表情を表した顔文字や、文字のサイズに合わせて作成されたドット画像である絵文字の多くが、内蔵のメモリに予め登録されているものも少なくない。例えば、特許文献1(特開平11−341536号公報)には、複数のフォントデータなどを格納する記憶部と、前記記憶部に格納された複数のフォントを切り替えるためのスイッチ部とを備え、ユーザの好みにより読み易い文字フォントに切り替えられるようにした文字フォント切替機能付き無線携帯端末が記載されている。
【特許文献1】特開平11−341536号公報
【0003】
しかしながら、前記従来の技術のものでは、カーナビやケータイ、PDAなどの携帯端末において初期設定された書体を好みに関わらず使うしかない。また複数の書体が選択できるとしても、自分でデザインした書体をデバイスに組み込むことは不可能であり、1000以上にも及ぶ多くの漢字(例えば、日本では第一第二水準の漢字合わせて約6000の漢字が存在する)を統一したデザインで制作することは多大の手間と時間を要するという問題があった。部首、辺、旁などの漢字の共通パーツのデータベースをユーザが構築することは不可能であり、簡単な操作で漢字デザインを制作することはできなかった。
【0004】
特に特許文献1の文字フォント切替機能付き無線携帯端末は、文字の基本形状要素からストロークの太さを考慮した形状の重要な形態を維持しつつ全体の大きさは与えられた表示領域に合うように形状を変換、生成するに際しては、その記憶部に文宇データごとに完成された字形データ(グリフデータ)を多量に保有しておく必要があり、そのデータ処理に負荷がかかるという問題もあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明はかかる課題を解決するためになされたもので、ユーザーレベルでも簡易な操作によって書体デザインを効率的に制作することができ、データ変換されたその書体を携帯端末に保存することによって、初期設定されている書体と入れ替えることができ、自分好みの書体デザインの携帯端末フォント表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するためになされた本願発明の携帯端末のフォント表示システムは、
漢字を表示する表示手段と、複数のエレメントデータ、及び、一の漢字を特定する漢字コードと、当該一の漢字を構成する複数の前記エレメントデータを特定するエレメントコードと、前記表示手段上で前記一の漢字を表示すべく前記エレメントデータのそれぞれの表示位置に関連する表示位置情報とが関連づけられているデータベースとを記憶するメモリと、前記漢字コードに関連する入力情報を受け入れる入力手段と、前記入力情報に関連する前記漢字コードを参照し、前記メモリに記憶された前記エレメントデータ及び前記第一のデータベースにアクセスし、前記漢字コードに対応する漢字を前記表示手段上で表示するための制御手段と、を具備する、フォント表示システムにより、実現することができる。
【0007】
また、前記課題を解決するためになされた本願発明の携帯端末のフォント表示システムは、
漢字を表示する表示手段と、複数のエレメントデータ、及び、一の漢字の一部であるパーツデータを特定するパーツコードと、当該パーツデータを構成する複数の前記エレメントデータを特定するエレメントコードと、前記表示手段上で前記パーツデータを表示すべく前記エレメントデータのそれぞれの表示位置に関連する第一の表示位置情報とが関連づけられている第一のデータベース、一の漢字を特定する漢字コードと、前記一の漢字を構成するパーツコードと、前記表示手段上で前記一の漢字を表示すべくぞれぞれの前記パーツデータの表示位置に関連する第二の表示位置情報が関連づけられている第二のデータベースが記憶されているメモリと、前記漢字コードに関連する入力情報を受け入れる入力手段と、前記入力情報に関連する前記漢字コードを参照し、前記メモリに記憶された前記複数のエレメントデータ、前記第一のデータベース、前記第二のデータベースにアクセスし、前記漢字コードに対応する漢字を前記表示手段上で表示するための制御手段と、を具備する、フォント表示システムによって実現することができる。
【0008】
また、本願発明によるフォント表示システムは、エレメントデータの一部もしくは全部を差し替えたり、追加したりするためのデータ入力手段を具備するものであってもよい。さらに、本願発明によるフォント表示システムは、同一のエレメントについて、ユーザが制作したいくつかの字体にかかる複数のエレメントデータが記憶されている場合などを想定し、そのような複数のエレメントデータのうちの一つを指定する指定手段を具備するものであってもよい。このようなエレメントデータの指定は、それぞれのエレメントデータごとに行ってもよいし、エレメントデータのセット単位で行ってもよい。
【0009】
また、本願発明にかかるフォント表示システムは、ユーザが編集もしくは創作したエレメントデータである制作エレメントデータが記憶されたフォントサーバーのメモリから、この制作エレメントデータを受信する受信手段をさらに具備してもよい。さらに、本願発明にかかるフォント表示システムは、ユーザが編集もしくは創作するエレメントデータにかかるエレメントコードにかかる情報をフォントサーバーに送信する送信手段をさらに具備してもよい。
【0010】
本願発明にかかるフォントサーバーについては、編集もしくは創作するエレメントデータにかかるエレメントコードにかかる情報を受け入れる入力手段と、前記入力手段が受け入れたエレメントコードにかかるエレメントデータであって、ユーザが編集もしくは創作したエレメントデータである制作エレメントデータを記憶するメモリ手段と、ユーザの要求により、前記制作エレメントデータをユーザの保有する情報端末に送信する送信手段を具備するものであることが望ましい。このようなフォントサーバーと、ユーザの保有する本願発明にかかるフォント表示システムが連動することによって、後述するように、ユーザは、新たに編集・創作したフォントをダウンロードして、独自のフォントをフォント表示システムに表示することができる。また、ユーザは、他人の編集・創作したフォントをダウンロードして、同様にフォント表示システムに表示することも可能となる。
【0011】
前記表示位置情報は、同一のエレメントにかかる複数のエレメントデータの少なくとも一部においては、共通であることが望ましい。これによって、ユーザが制作した字体のすべてにおいてそれぞれ固有の表示位置情報を記憶する必要はなく、いくつかの字体で共通のエレメントの表示位置情報を保有すれば足りるので、少ない情報量で所期の目的を達成することが可能となる。
【0012】
このようにして、本願発明にかかるフォント表示システムによれば、ユーザが好みの書体を実現する書体制作ツールもしくは書体制作のためのシステムを構築できる。
【0013】
なお、本明細書の「エレメントデータ」とは、漢字の一部を構成し、複数の漢字に共通に使用される形状要素もしくはその画像データのことをいい、本願発明でユーザーよる編集・創作の対象となる単位をいう。例えば、図9の図形(以下「サンズイ」という)は、それ自体がエレメントデータともいえるし、サンズイの一番上の辺もエレメントデータである。本願発明を実行する上で、適宜、そのフォント表示システムの設計において、エレメントデータとして定義できる形状のレベルは、一つのストローク(一筆で書ける連続した形状のこと)をエレメントデータとして定義してもいいし、サンズイなど漢字の一部をエレメントデータとして定義してもよい。また、このように定義されたエレメントデータに1:1で対応付けされ、これを特定するためのコードのことを、本明細書ではエレメントコードという。
【0014】
一つのストロークをエレメントデータと定義する場合、エレメントデータから直接漢字画像を構成・表示する方式を採用してもいいし、エレメントデータの集合体(上例のサンズイのようなイメージである)をパーツデータと定義し、エレメントデータからパーツデータを構成するための中間的な位置情報、及び、パーツデータに1:1で対応付けされ、これを特定するためのコードとしてパーツコードという概念を導入し、エレメントデータからパーツデータを構成し、パーツデータによって漢字画像を構成・表示する方式を採用してもかまわない。かかる漢字の構成方式は、表示対象となる漢字によっても異なることがある。
【発明の効果】
【0015】
本願発明によれば、ユーザが編集・創作したエレメントデータと、これに1:1で対応付けされるコードであるエレメントコードを携帯端末に保存し、携帯端末の初期設定時のエレメントデータと差し替えることで、文字コードに対応したフォントを生成して携帯端末に表示する。
【0016】
1つのストロークに関する形状要素もしくはその画像データをエレメントデータとして定義する場合、その集合体としてパーツデータを定義づけることができる。パーツデータの位置情報は、携帯端末に記憶されたものをそのまま利用できるため、新たなフォントを表示するために差し替える必要のあるデータは20〜30個のエレメントデータだけになる。これにより自分で文字をデザインしてデータ変換された書体を携帯端末に保存することによって、初期設定されている書体と入れ替えることができ、自分好みの携帯端末のフォント表示システムを構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本願発明において携帯端末でフォントを表示する方法は、(X)それぞれのエレメントデータを用いて、直接所望の漢字を表示する方法と、(Y)複数のエレメントデータの集合体であって、漢字の一部を構成する形状を「パーツ」と定義し、複数のパーツを組み合わせて所望の漢字を表示する方法の二つが最適な実施形態となる。
【0018】
第一の実施態様について図1を用いて説明する。
漢字を構成するそれぞれの部分を図1に表示するように、エレメントデータとして定義し、これに関する情報が携帯端末のメモリに記憶されている。この実施態様におけるエレメントデータは、好ましくは、一筆で書ける範囲の形状(ストローク)である。エレメントデータは、あるストロークに関する制御点、点を結ぶ線の関数などを含むものであり、エレメントデータと定義された漢字の構成部分を画面上で表示する際の形状にかかる情報を含む。
【0019】
それぞれのエレメントデータには、これと1:1で対応付けされ、エレメントデータを特定するためのエレメントコードが付与されている。さらに、エレメントコードごとに所望の漢字を表示する場合に必要な、各エレメントデータの表示位置に関連する表示位置情報が対応づけられている。表示位置情報は、所望の漢字を表示するためにエレメントデータごとに割り振られる画面上の表示に関する情報であり、エレメントデータの定義の仕方によって、表示位置の他、そのエレメントデータの表示角度、拡大率などを含む場合がある。
【0020】
ここでは「涼」という漢字を表示する場合について例示する。「涼」という漢字は、9つのストロークで構成されている。ここでは、「サンズイ」は一種類のエレメントデータ(横に延びる水平線形状)を用い、三つの位置、角度にこのエレメントデータを配置することによって、「サンズイ」を表現している。
【0021】
次に残りの部分である「京」は、6つのストロークを5種類のエレメントデータで表現するため、それぞれについて、位置及び表示角度を定義した。ここで「涼」には、特定の漢字コード「0012」が割り振られており、その漢字コードにかかる漢字を表示すべき信号が発生した場合、メモリに格納された、上述したエレメントコードと表示位置情報が関連づけられたデータベースにアクセスされ、図示しない制御手段により「涼」という漢字が表示される。
【0022】
第二の実施態様については図2を用いて説明する。
この実施態様においては、「涼」を構成する要素を「サンズイ」と“京”という二つのパーツに分け、これらをそれぞれパーツコード「23h」及び「72j」で定義している。パーツデータは、複数のエレメントデータから構成され、パーツデータを表示する場合は、エレメントデータを特定するエレメントコードと、各エレメントデータの表示位置に関連する表示位置情報を参照してなされる。つまり、パーツデータは、(a)呼び出すエレメントコード、(b)配置する座標、(c)拡大・縮小率のなどのデータにより構成されており、線種、線幅、制御点座標などを含むグリフの形状を制御することによって30種程度のエレメントデータで全漢字を構成することができるようになっている。
【0023】
「涼」という漢字を表示する場合について例示する。「涼」という漢字のうち、「サンズイ」が一つのパーツデータとされ、これは3つのストロークで構成されている。ここでは、「サンズイ」は一種類のエレメントデータ(横に延びる水平線形状)を用い、三つの位置、角度にこのエレメントデータを配置することによって、「サンズイ」を表現している。そして、このようにして表示される「サンズイ」は、「23h」というパーツを特定する番号(パーツコード)が割り振られている。
【0024】
残りの部分である「京」も一つのパーツデータとされ、6つのストロークを5種類のエレメントデータで表現されている。「京」についても、「72j」というパーツ番号が割り振られる。特定の漢字コード「0012」が割り振られている「涼」という文字は、それぞれ「23h」「72j」というパーツコードで特定されるパーツデータで構成されており、これら複数のパーツデータを所定の表示位置に配置することにより、表示することができる。この場合、エレメントコードとそれぞれのエレメントにかかる表示位置情報とが関連づけられたデータベースと、パーツコードとそれぞれのパーツデータにかかる表示位置情報とが関連づけられたデータベースの二つを参照して、図示しない制御手段は一つの漢字を表示することができる。
【0025】
本実施形態の携帯端末のフォント表示システムは、パーツコードとエレメントコードに基づいて文字コードに対応したフォントを生成するフォント生成エンジンが設けられている。これによって、エレメントデータを複数の文字コードもしくはパーツで共有することで書体を変更する際に変更するデータを軽量化することができる。 このため、異なる漢字書体を効率的に制作し、好みの漢字をデザインすることが容易になる。ユーザは、自ら編集・制作した複数の書体のエレメントデータをインターネット上のサーバーに保存することができる。そのインターネットサイトから、複数の書体デザインにかかるエレメントデータ(その集合を含む)のうちの一つを携帯端末にダウンロードすることによって、初期設定されているエレメントデータ(その集合を含む)の書体と入れ替えることができ、自分好みの唯一の携帯端末のフォント表示システムを構築することができる。
【0026】
もしくは、インターネットを介してエレメントデータにかかるデザインを制作し漢字デザインを編集するソフトウエアツールを配布し、PCから各種携帯端末メモリにエレメントデータを保存し携帯端末の初期設定されているエレメントデータ(その集合を含む)と入れ替えることもできる。
【0027】
すなわち、携帯電話機やPDAなどの携帯端末において初期設定された書体以外にも、その好みに応じて複数の書体の中から選択でき、また自分でデザインした書体を携帯端末に組み込んで利用することができる。例えば、個人がインターネットサイトまたは移動端末ネットワークを介して簡便に書体を制作し投稿できるサイトを提供し、そのサイトで好みの文字をデザインしデータ変換した書体を携帯端末にダウンロードし、初期設定されている書体と入れ替えることができる。
【0028】
本願発明を利用すれば、個人でつくった書体を自分だけの書体が組み込まれた移動端末に着せ替えることができる書体制作支援サイトおよびダウンロードシステムサービスを構築することもできる。このような書体支援サイト及びダウンロードシステやム個人がつくった書体をサイトに公開して誰でもダウンロードして書体を公開できるとともに、制作した書体を公開したくない場合は、パスワードなどのユーザ認証処理を介在させることでその権利を守ることができる。
【0029】
フォントサーバーとなる制作支援サイトツールにおいては、日本語の非漢字だけを制作支援サイトのツールを介してデザインすることでサイトに用意された漢字書体の中から選択し日本語セットを完成させることができる。また、制作支援サイトツールにおいてアウトラインでデザインするだけでなく不慣れな人でも容易にデザインができるようにドットパターンや線描画から書体を完成することもできる。
【0030】
フォントサーバーは、インターネット上に設けられたサーバーであり、インターネットサイトまたは移動端末ネットワークを介して簡便に書体を制作し投稿できるサイトとして立ち上げることができる。なお、個人が自ら制作した書体を公開したくない場合は、パスワードなどユーザ認証を介在することでその権利を守ることができる。
【0031】
携帯端末は、フォントデータベースから取得されたエレメントデータに基づいて文字コードに対応したフォントを生成するためのフォント生成エンジンをハードウェアまたはソフトウェアとして備えており、これによってフォントサーバーからダウンロードされたフォントデータに基づいてその液晶表示部などに文字コードに対応した文字を特定書体でフォント表示させる機能を有している。こうして、ユーザはそのフォントサーバー上で好みの文字をデザインしたエレメントデータを携帯端末にダウンロードし、初期設定されている書体と入れ替えることができる。すなわち、書体制作支援サイトおよびダウンロードシステムサービスを提供するフォントサーバーを介して、フォントデータを携帯端末にダウンロードして、個人でつくった書体が組み込まれた携帯端末として利用することができる。
【0032】
パーツデータは、パーツごとに必要なエレメントデータを特定するエレメントコード、位置情報、角度・拡縮率などのエレメント変形情報などを含むデータであり、複数文字コードで共有化することができるために、JISコードで規定する第一水準、第二水準フォントデータ容量を格段に軽量化できる利点を有している。つまりパーツデータのエレメント構成は書体デザインによらず共通である。これにより1000以上にも及ぶ多くの漢字(例えば、日本では第一・第二水準の漢字を合わせて約6000の漢字が存在する)は、エレメントデータを考案制作するだけで完成させることができる。
【0033】
また、前記フォント生成エンジンは、漢字のエレメントデータと、エレメントデータの組み合わせを指定したパーツデータとに基づいて漢字コード群に対応したフォントデータを一括生成することができる。こうして、本願発明にかかるフォントエンジンは、入力される文字毎に複数のパーツデータ(たとえば辺や旁)とその位置情報、パーツを構成するエレメントコードのデータベース構造をもったエレメントデータを参照して文字として出力データされる。
【0034】
(実施例1)
以下、本願発明の実施例1について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、複数の図面に同じ要素を示す場合には同一の参照符号を付ける。
【0035】
図3は実施例1による携帯端末のフォント表示システムの説明図であり、図4は携帯端末のブロック構成図である。
携帯端末のフォント表示システム1は、インターネット上に設けられ文字コードに対応して表示される非漢字フォントデータと漢字エレメントデータからなるフォントサーバー2と、文字のデザインを行ってフォントサーバー2にデータを送信するためのコンピュータ3と、フォントサーバー2からインターネットを介してダウンロードされたフォントデータに基づいてその液晶表示部に文字コードに対応した文字を特定書体でフォント表示させる携帯端末としての携帯電話機10と、を有して構成されている。なお、コンピュータ3は、携帯端末を含むことができる。
【0036】
また、上記のようにサーバーを介したダウンロードによるエレメントデータの保存方法以外にもPCからmicro sdなどの端末用記憶メモリに直接保存することもできる。
【0037】
携帯電話機10は、図示しないインターネット上の基地局との通信を可能とするアンテナ11と、アンテナ11を介して基地局と通信を行い通信データをデジタル形式で入出力を行う無線送受信部12と、音声を入力するマイク15と、音声を出力するスピーカ14と、マイク15からの音声信号をデジタル送信データとして出力し、デジタル受信データを音声信号としてスピーカ14に出力する音声処理部13と、着信があった場合にこれを利用者に知らせるスピーカ(図示せず)またはバイブレータ(図示せず)またはこれらの両方からなる着信警報部16と、利用者による操作およびデータ入力を可能とするスイッチ類(図示せず)からなるキー操作部17と、種々の情報を表示するLEDなどからなる表示装置18と、携帯電話機10全体の制御を行うための制御部10から構成される。
【0038】
制御部10は、種々のプログラムやフォントデータなどを格納するためのROM20および動作中に発生するフォントデータなどを記憶するための書き換え可能な不揮発性メモリ30を含む。なお、携帯電話機10には、非漢字フォントデータを別の非漢字データに入れ替えて初期設定のフォントエンジンを介して表示するための非漢字フォント選択ボタン、漢字フォントデータにおける前記エレメントデータを選択してフォント生成エンジンを介して液晶表示部に表示させるための漢字フォント選択ボタンなどを別に設けることも可能になっている。
【0039】
以上説明したように実施例1の携帯電話機10は、ハードウェアの観点からは、通常の携帯電話機であれば特に規定されることなく適用でき、カメラ付き携帯電話機などにも応用可能である。
【0040】
携帯電話機10のROM20にはインターネットを介してフォントサーバー2とのデータ送受信を可能とするメイラープログラム42、主に電子メールなどを作成する際に所望の文字を入力するためのFEP(front-end processor)またはIME(input method editor)と一般に呼ばれる入力プログラム44、および少なくとも1種類のフォントデータ(図3の例ではフォントA〜Cの3種類)が格納されるデータ部36が用意されている。書き換え可能な不揮発性メモリ30には、無線送受信部12を介して外部から獲得されたフォントデータや画像データが格納されるフォントデータ部34を備えている。また、この不揮発性メモリには、エレメントデータや、文字コードとパーツデータ・表示位置情報が関連づけられたデータベース、パーツコードとエレメントコード・表示位置情報が関連づけられたデータベースも格納されている。
【0041】
なお、ROM20には、不揮発性メモリ30に蓄積された任意の画像データの全部または一部を通常の文字と同じフォントフォーマットに変換して登録するためのフォント変換プログラム48が格納される。
【0042】
このようにして登録されたフォントデータや外字データは、不揮発性メモリ30のフォントデータ部34に格納される。したがって、ROM20のデータ部36に記憶された各種フォントデータと不揮発性メモリ30のフォントデータ部34に格納されたフォントデータが、携帯電話機10で使用可能なフォントデータとなる。さらに、ROM20には、不揮発性メモリ30に格納されているフォントデータを任意のサイズに拡大または縮小するためのスケーラブルフォントエンジン(SFEと略称する)プログラム46、および外字データを含むフォントデータの削除や他の携帯電話機への送信などを行うためのフォント管理ユーティリティプログラム50を格納することができる。
【0043】
(実施例2)
以上のように構成された携帯端末のフォント表示システム1が適用されるビジネスモデルについて次に説明する。
実施例2のビジネスモデルは図5に示すように、
(a)ユーザがPCもしくは携帯端末からフォントサーバー2上の書体作成サイト2aにアクセスし、自分好みの書体デザインにかかるエレメントデータを編集・創作してアップロードするステップと、
(b)書体作成サイト2aは、アップロードされたエレメントデータを携帯電話機10に搭載されたフォント生成エンジンに対応する所定のフォーマットに変換して格納するステップと、
(c)フォントサーバー2上の配信サーバー(ケータイサイトであることが望ましい)に格納したエレメントデータを携帯電話機10にダウンロードして、携帯電話機10の不揮発性メモリのフォントデータ部36に記憶させるステップと、
(d)携帯端末に搭載されているフォント生成エンジンを介して当該エレメントデータを使用した漢字を表示部上に表示させるステップ、の4要素からなる基本的構成を備えている。
なお、上述した書体作成サイトとは、ユーザが自分のためにフォントにかかるエレメントデータを編集・創作し、これを格納するために作業をするインターネットサイトのことをいう。
【0044】
フォント生成エンジンを備えた携帯電話機10では漢字のエレメントデータの入れ替えが可能であり、これらの漢字のエレメントデータに関わる位置情報は複数の異なる書体でも共有されるようになっている。
フォントを切り換える際における漢字デザインの変更は、図5の下部の四角枠に中に示すように、例えば、エレメントデータのセットAとエレメントデータのセットBとを入れ替えることで実施される。なお、エレメントデータセット全体を入れ替えるのではなく、一つのエレメントデータもしくは一部のエレメントデータを入れ替えることでも本願発明の目的を達成しうる。
【0045】
このために、携帯端末のメモリには、ユーザが現在の操作で表示する漢字の書体について特定したエレメントデータのセットにかかる情報(エレメントデータセットコード)を格納する手段を設けることが望ましい。制御部は、漢字を表示する際に、エレメントデータセットコードを参照して、現在、ユーザにより選択されているエレメントデータのセットにかかるエレメントデータを利用して漢字を表示する。なお、かかるエレメントデータセットコードは、ユーザが選択するのではなく、最新にダウンロードされたエレメントデータにかかるエレメントデータセットコードを指定するようなデフォルト設定を行うことも可能である。この場合でも、上記格納する手段には、最新にダウンロードされたエレメントデータにかかるエレメントデータセットコードがデフォルトで格納されることになる。このような格納手段を設けることによって、ユーザは同一のエレメントにかかる複数のエレメントデータのうちの一つを指定することができる。かかる指定は、携帯端末のメニュー画面等からユーザが操作することによって行うことができる。
【0046】
この漢字デザインの変更処理におけるパーツコードは、複数のエレメントコードとして保持されるとともに、文字デザインはパーツデータにパーツデータの表示位置情報を付加したものとして処理されるようになっている。
【0047】
そして、これらの基本的構成を実現するために、本ビジネスモデルは図6に示すように、フォントサーバー2上にある、文字の変換・登録を支援するためのWebサイト2aを介して文字配信サーバー(ケータイサイト)2bに、フォントデータが送信されるとともに、一般消費者5はその保有する携帯電話機10にこのエレメントデータをダウンロードして、携帯電話機10中に搭載されているフォント生成エンジンによって、新たな漢字書体に変換して利用するようになっている。
【0048】
なお、一般消費者5は携帯電話機を運営するキャリア会社6に所定のフィーを支払うことで使用権を取得して、このキャリア会社6と契約したサーバー運営会社7がフォントサーバー2に関わる運営管理を行うとともに、Webサイト2aに対して所定のフィーが付加されるようになっている。
【0049】
Webサイト2aには、著名人などにより作成された文字のエレメントデータや、一般人により投稿された文字のエレメントデータがダウンロード可能な態様で提供されており、これらがユーザによってダウンロードされるごとにライセンスフィーが文字の作成者に付与される。一方、携帯電話機の製造メーカ8に対してはフォントエンジンに関わる設計仕様が供与される。製造メーカ8はこのような設計仕様に従うフォントエンジンフォーマットに適合したフォントエンジンを携帯電話機10に搭載して、これを一般消費者5に販売するのである。
【0050】
(実施例3)
図7は、フォントサーバー2に登録されるエレメントデータの生成手順を示す実施例3のフローチャートであり、図8は携帯電話機10におけるフォント生成エンジンの動作例を示す実施例3のフローチャートである。
実施例3では、フォントサーバー2側において、漢字を複数のエレメントとその位置情報に変換するフォント生成手順と、携帯電話機10において実行される、エレメントデータに基づいてその液晶表示部にフォント表示する処理手順について説明する。
【0051】
図7に示すように、フォントサーバー2に書体デザインを登録する最初のステップS10では、フォントサーバー2にアクセスするユーザID、パスワードが入力されて、これらのデータがメモリに記憶される。
次のステップS11では、これから編集・創作の対象となる漢字にかかるエレメントコードが入力される。その後、ユーザは入力したエレメントコードにかかるエレメントデータを編集・創作する。
ステップS12では、書体デザインが完成したか否かがチェックされ、未完成の場合(no)はステップS10へ移行し、完成している場合(yes)は次のステップS13に移行する。
ステップS13では、ステップS10で入力されたパスワードデータが既に登録されたものと合致するかを検証するセキュリティチェックやその登録管理がなされる。
ステップS14では、フォントサーバー2にアップデートされたエレメントのデータを、データ変換コンバーターを介して指定フォーマットデータに変換する。
最後のステップS15では、フォーマット変換後のデータを登録して終了する処理がなされる。
【0052】
図8に示すように、携帯電話機10におけるフォント表示処理においては、まずフォントサーバー2からエレメントデータをダウンロードする(ステップS20)。
次のステップS21では、このダウンロードされたデータが有料か無料かを判定して、無料の場合(no)はステップS23へ移行し、有料の場合(yes)は次のステップS22に移行する。
ステップS22ではキャリア会社の課金システムにアクセスしてダウンロード文字に関わる課金処理がなされる。
ステップS23では、このダウンロードされたデータが非漢字のみか、漢字を含むか否かを判定して、非漢字のみの場合(yes)はステップS24へ移行し、漢字を含む場合(no)にはステップS25に移行する。
ステップS23では、携帯電話機内の初期設定の文字セットにおける非漢字のみを置換する処理がなされる。
一方、漢字を含む場合のステップS25では、携帯電話機内のエレメントデータを入れ替える処理がなされる。
【0053】
実施例3における携帯端末のフォント表示システムは、モバイル製品やデジタル家電製品などの小画面表示に適した軽量スケーラブルフォントである所定のエレメントデータをベースに変換を行うものである。このような処理するフォント生成エンジンは、独自の文字生成エンジンプログラムにより、最適化処理によって小さな文字でも視認性と可読性に優れたスケーラブルフォントを提供できる。さらに日本語、中国語(簡体・繁体)、韓国語、欧州各言語、その他多国言語に対応できる汎用性を備えている。
【0054】
以上説明したように本願発明では、エレメントデータがフォントサーバーに格納されており、携帯端末によりこのフォントサーバーにアクセスして前記フォントサーバーから取得された前記エレメントデータに基づいて漢字コードに対応したフォントを携帯端末に表示することを要旨としたものである。これに該当するものは本願発明の権利範囲に属する。例えば本実施例に示したエレメントデータ生成手順や携帯電話機のブロック構成などはその一例を示すものであって、これらのものに限定されることなく本願発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】第一の実施態様による漢字の表示プロセスの説明図である。
【図2】第二の実施態様による漢字の表示プロセスの説明図である。
【図3】実施例1における携帯端末のフォント表示システムの説明図である。
【図4】同フォント表示システムにおける携帯端末のブロック構成図である。
【図5】実施例2のフォント表示システムにおける説明図である。
【図6】同フォント表示システムが適用されるビジネスモデル構成図である。
【図7】実施例3に係るフォント表示システムにおけるエレメント変換エンジンの動作説明図である。
【図8】同フォント表示システムにおけるフォント生成エンジンの動作説明図である。
【図9】「サンズイ」を表すエレメントデータの例である。
【符号の説明】
【0056】
1 フォント表示システム
2 フォントサーバー
2a 書体作成サイト(Webサイト)
2b 文字配信サーバー(ケータイサイト)
3 コンピュータ
4 Webサイト
5 一般消費者
6 キャリア会社
7 サーバー運営会社
8 携帯電話機の製造メーカ
9 携帯電話機
10a 制御部
11 アンテナ
12 無線送受信部
13 音声処理部
14 スピーカ
15 マイク
16 着信警報部
17 キー操作部
18 表示装置
20 ROM
30 不揮発性メモリ
34 フォントデータ部
36 データ部
42 メイラープログラム
44 入力プログラム
46 SFEプログラム
48 フォント変換プログラム
50 フォント管理ユーティリティプログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
漢字を表示する表示手段と、
複数のエレメントデータ、及び、一の漢字を特定する漢字コードと、当該一の漢字を構成する複数の前記エレメントデータを特定するエレメントコードと、前記表示手段上で前記一の漢字を表示すべく前記エレメントデータのそれぞれの表示位置に関連する表示位置情報とが関連づけられているデータベースとを記憶するメモリと、
前記漢字コードに関連する入力情報を受け入れる入力手段と、
前記入力情報に関連する前記漢字コードを参照し、前記メモリに記憶された前記エレメントデータ及び前記第一のデータベースにアクセスし、前記漢字コードに対応する漢字を前記表示手段上で表示するための制御手段と、
を具備する、フォント表示システム。
【請求項2】
漢字を表示する表示手段と、
複数のエレメントデータ、及び、一の漢字の一部であるパーツデータを特定するパーツコードと、当該パーツデータを構成する複数の前記エレメントデータを特定するエレメントコードと、前記表示手段上で前記パーツデータを表示すべく前記エレメントデータのそれぞれの表示位置に関連する第一の表示位置情報とが関連づけられている第一のデータベース、一の漢字を特定すべくぞれぞれの前記パーツデータの表示位置に関連する第二の表示位置情報とが関連づけられている第二のデータベースが記憶されているメモリと、
前記漢字コードに関連する入力情報を受け入れる入力手段と、
前記入力情報に関連する前記漢字コードを参照し、前記メモリに記憶された前記複数のエレメントデータ、前記第一のデータベース、前記第二のデータベースにアクセスし、前記漢字コードに対応する漢字を前記表示手段上で表示するための制御手段と、
を具備する、フォント表示システム。
【請求項3】
前記複数のエレメントデータの少なくとも一部について、該エレメントデータと同じエレメントにかかる別のエレメントデータを記憶するための記憶手段を具備する、請求項1または2のフォント表示システム。
【請求項4】
同一のエレメントにかかる複数のエレメントデータのうちの一つを特定する情報を格納する格納手段を具備する、請求項1ないし3のフォント表示システム。
【請求項5】
漢字を前記表示手段上で表示するために、前記制御手段が、前記格納手段を参照することを特徴とする、請求項4のフォント表示システム。
【請求項6】
前記表示位置情報は、同一のエレメントにかかる複数のエレメントデータにおいて共通であることを特徴とする、請求項1ないし5のフォント表示システム。
【請求項7】
ユーザが編集もしくは創作したエレメントデータである制作エレメントデータが記憶されたサーバーのメモリから、通信網を介して、前記制作エレメントデータを受信する受信手段をさらに具備する、請求項1ないし請求項6にかかるフォント表示システム。
【請求項8】
ユーザが編集もしくは創作したエレメントデータにかかる情報を、通信網を介して、サーバーに送信する送信手段をさらに具備する、請求項7にかかるフォント表示システム。
【請求項9】
ユーザが編集もしくは創作したエレメントデータである制作エレメントデータ及びそのエレメントコードにかかる情報を受け入れる入力手段と、
前記入力手段が受け入れた前記エレメントコードと、前記制作エレメントデータを記憶するメモリ手段と、
ユーザの要求により、前記制作エレメントデータをユーザの保有する情報端末に送信する送信手段を具備するフォントサーバーであって、
前記ユーザの保有する情報端末は、請求項1ないし請求項8のいずれかにかかるフォント表示システムを具備することを特徴とする、フォントサーバー。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−102274(P2010−102274A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−276162(P2008−276162)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(504174216)株式会社リムコーポレーション (4)
【Fターム(参考)】