説明

携帯端末装置

【課題】利用者の利便性を損なうことなく、セキュリティを高めることができ、第三者による不正使用を未然に防止することができる非接触IC機能を搭載する携帯端末装置を提供すること。
【解決手段】携帯電話機100は、外部リーダ/ライタ200との間で非接触通信を行うFeliCa ICモジュール190と、携帯電話機100本体の傾きを検出する傾きセンサ160と、携帯電話機100本体とFeliCa ICモジュール190とに個別に電源供給する電源IC180とを備え、制御部110は、携帯電話機100本体の傾きが、水平方向(外部リーダ/ライタ200に携帯電話機100をかざす位置)より所定以上傾いているときは、ユーザがFeliCa ICモジュール190を使用しない状況にあると判断して、FeliCa ICモジュール190への電源供給を停止する非接触ICセキュリティ制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部リーダ/ライタとの間で非接触通信を行う非接触IC機能を搭載する携帯電話機等の通信端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機は、通話機能に加えて、ネット接続機能、カメラ撮影機能等の種々の機能が追加され、多機能化が進んでいる。多機能化のなかで非接触IC機能を搭載した携帯電話機が提案されている。例えば、特許文献1には、非接触ICカードのアンテナモジュールを装着した携帯電話機が開示されている。
【0003】
非接触ICカードは、ICカードリーダ/ライタにより発せられる電波をアンテナコイルによる電磁誘導で電力供給に利用し動作するものである。非接触ICカードは、電波という媒体を介して電力供給を受ける関係で常時安定な電力を受けられるとは限らない。安定した電力供給を図るために二次電池あるいはコンデンサやバッテリなどの外部電源を装備する非接触ICカードがすでに提案されている。また、非接触ICチップには、例えばFeliCa(登録商標) ICモジュールがある。
【0004】
FeliCa ICモジュールなどの非接触IC機能を搭載する携帯電話機が、プリペイドカードやクレジットカード、公共交通機関のチケットなどの金銭価値をともなうアプリケーションに利用される場合、その利用者が当該ICカードの所有者本人であることを確認するための本人認証を行えることが望ましい。例えば、特許文献2には、ICカード機能利用に先立って暗証番号(パスワード又はPIN:Personal Identifier Number)の入力を受け付け本人認証を行う携帯電話機が開示されている。また、特許文献3には、指紋センサ等の生体情報により本人確認を行う携帯端末装置が開示されている。
【特許文献1】特開2002−218031号公報
【特許文献2】特開2003−16398号公報
【特許文献3】特開2003−271937号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、非接触IC機能を搭載する携帯端末装置にあっては、非接触IC機能部には、携帯端末装置の電源ON/OFFとは関係なくバッテリから電源供給されている。これによって、非接触IC機能を搭載する携帯端末装置の電源がOFFになっていても、非接触IC機能部が外部リーダ/ライタ(例えば、コンビニエンスストアのレジ近傍に設置)からの電力供給を受けて非接触による通信動作が行われ、認証確認後に決済などの使用が可能になる。
【0006】
しかし、非接触IC機能部に常時電源が供給されていることで、以下の問題が発生する。
【0007】
非接触IC機能を搭載する携帯端末装置が、例えば携帯電話機である場合、本人がポケットなどに入れて身体に着けていることが多いが、バックなどに入れたままにしておくことも多い。この携帯電話機をトートバックなど生地の薄いバックに入れておいた場合、非接触IC機能部に常時電源が供給されていることで、バックの外から非接触IC機能部に対し通信動作を行うことは可能である。もし、不正使用者が密かにバックの外から非接触IC機能部と通信動作を行い、スキミングによって情報を盗み取ると、不正使用者による非接触IC機能の不正使用を防止することができない。本人の知らないうちに非接触IC機能の不正使用と情報の流失が生じるおそれがある。ICカードなどについては、不正使用防止のための生体認証(指紋認証,アイリス,手静脈認証など)が併用され、また、利用者への不正使用の意識高揚によってスキミングなどの不正使用の危険性が周知されつつあるが、携帯電話機の非接触IC機能の不正使用対策については全くの無防備である。以上は、非接触IC機能を搭載する携帯電話機をバックに入れた場合についての例であるがポケットなどに入れておいた場合にも同様である。
【0008】
このように、誰にとっても身近な携帯電話機に、非接触で通信動作が可能な非接触IC機能が常時動作可能状態で搭載されていることに問題がある。また、その危険性について認知されていないことが危険性をさらに助長する。十分な安全対策が採ることが求められている。
【0009】
勿論、非接触IC機能部に常時通電するのではなく必要なときのみ通電することも考えられる。しかし、この場合、そのための設定はユーザが行う必要があり、非接触IC機能を使用しようとするたびに非接触IC機能部の電源を入れる操作をしなくてはならない。これでは、非接触IC機能を搭載する携帯端末装置をリーダ/ライタ装置に近づけるだけで所期の動作が行えるという非接触IC機能本来の利便性を減殺してしまうことになる。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、利用者の利便性を損なうことなく、セキュリティを高めることができ、第三者による不正使用を未然に防止することができる非接触IC機能を搭載する携帯端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の携帯端末装置は、外部リーダ/ライタとの間で非接触通信を行う非接触通信手段と、ユーザの使用状況を検出する検出手段と、装置本体と前記非接触通信手段とに個別に電源供給する電源供給手段と、検出されたユーザの使用状況情報に基づいて、該ユーザが前記非接触通信手段を使用しない状況にあることを判定したとき、前記非接触通信手段への電源供給を停止する制御手段とを備える構成を採る。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、利用者の利便性を損なうことなく、セキュリティを高めることができ、第三者による不正使用を未然に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の携帯端末装置の概略構成を示すブロック図である。本実施の形態の携帯端末装置は、非接触IC機能としてFeliCa ICを搭載する携帯電話機/PHS(Personal Handy-Phone System)に適用した例である。
【0015】
図1において、携帯電話機100は、制御部110、記憶メモリ120、入力部130、表示部140、無線通信部150、傾きセンサ160、電池パック170、電源IC180、及びFeliCa ICモジュール190を備えて構成される。FeliCa ICモジュール190は、外部リーダ/ライタ200から発信される電波を受け取り外部リーダ/ライタ200との間で近距離双方向通信(例えば、13.56MHz,100〜400kbps)を行う。
【0016】
制御部110は、CPUからなり携帯電話機100全体を制御するとともに、傾きセンサ160からの検出結果に基づいて、ユーザがFeliCa ICモジュール190を使用しない状況にあることを判定した場合、電源IC180からFeliCa ICモジュール190への電源供給を停止する制御を行う。
【0017】
記憶メモリ120は、制御プログラムや固定データ等を記憶するROM,CPUの作業用記憶領域であるRAM等の半導体メモリ及びハードディスクなどからなり受信又は入力された文字情報,画像情報,音声信号を記憶する。ROMは、制御部110が動作する際に必要なプログラム、通信制御データ等の固定データを記憶する読出し専用の半導体メモリである。RAMは、表示や通信に関するデータ、演算に使用するデータ及び演算結果等を一時的に記憶するいわゆるワーキングメモリとして使用される。携帯電話機100で処理されるプログラムは、このRAMに展開されて実行される。また、RAMの一部は、電気的に書換可能な不揮発性メモリであるEEPROM(electrically erasable programmable ROM)からなり、EEPROMに書き込むプログラムを変えることによって、特に携帯電話機100における各種の仕様を変更することができる。
【0018】
入力部130は、電話機能キー、十字キー、モードキー,ダイヤルキーなどからなり、ユーザ操作によるデータを入力する。
【0019】
表示部140は、ドットマトリクス構成のカラー表示可能なLCDディスプレイ,EL(Electro Luminescence)、白色LEDバックライト及び各ドライバ等で構成され、受信情報,画像やテキスト情報などの情報をカラー表示する。
【0020】
無線通信部150は、携帯電話機100の無線通信の送受信を制御する。
【0021】
傾きセンサ160は、携帯電話機100本体の傾きを検出する。例えば、傾きセンサ160として携帯電話機100にかかる重力の向き(すなわち、鉛直線)を基準とする重力の方向に対する携帯電話機本体の傾きを検出する重力センサを用いる。傾きセンサ160は、携帯電話機本体がほぼ水平に置かれていることを検出できればよく、ジャイロセンサなどの複雑高価なセンサを使用する必要はない。
【0022】
本実施の形態では、ユーザの使用状況を検出する検出手段として、携帯電話機100本体の傾きを検出する傾きセンサを用いた例であるが、装置本体外周部の光量変化を検出する光量センサ、ユーザの装置本体への接触を検出する接触センサ、装置本体外周部の温度変化を検出する温度センサなどを用いてユーザの使用状況を検出することも可能である。例えば、光量センサを設置し周囲の明るさが変わった時などの変化を検出して携帯電話機100本体がバック等に収納されたことを検出する。あるいは、接触センサを設置してユーザが携帯電話機100本体を手で持っていることを検出する。また、温度センサを設置して手に持っている部分の温度変化を検出してユーザの手持ちを検出することも可能である。この場合、傾きセンサと光量センサなど異なる種類のセンサを組み合わせればより詳細にユーザの使用状況を検出することができる。
【0023】
電源IC180は、電池パック170から携帯電話機用電源及びFeliCa IC用電源を生成し、携帯電話機100の各部とFeliCa ICモジュール190とに個別に供給する。また、電源IC180は、動作電圧の異なる携帯電話機100の制御部110とFeliCa ICモジュール190を接続する電圧変換のインターフェース(IF)180aを備え、IF180aを介して、制御部110とFeliCa ICモジュール190間の制御線を接続する。
【0024】
FeliCa ICモジュール190は、外部リーダ/ライタ200とデータとデータのアクセスをする。FeliCa ICカードは、不揮発メモリと無線通信チップを内蔵した樹脂製のカードで、読み取り装置にかざすだけで料金の精算などのデータのやり取りができる。FeliCa ICモジュール190は、このFeliCa ICカードをチップ化したモジュールであり、FeliCa ICモジュール190は、外部リーダ/ライタ200から発信される電波で電力を受け取ってデータをアクセスする。FeliCa ICモジュール190内にはバッテリ電源を持たず、電源IC180からFeliCaIC用電源の供給を受ける。
【0025】
以下、上述のように構成された携帯端末装置の動作を説明する。
【0026】
携帯電話機100が、非接触IC機能として搭載するFeliCa ICモジュール190は、次の4つのモード機能(1)〜(4)を持つ。
【0027】
(1)無線カード機能
携帯電話機100が、FeliCaカードとして動作し、外部リーダ/ライタ200とFeliCaシステムで通信する機能である。この機能は、外部リーダ/ライタ200からの搬送波を検出して起動した場合に有効になる。携帯電話機100とは独立に動作するため、ホストCPUである制御部110からの制御は不要である。携帯電話機100側の電源がONでなくても動作する。
【0028】
(2)有線通信機能
携帯電話機100の制御部110が有線インターフェース(例えば、UART)を通じてFeliCa ICモジュール190内のサービス用メモリにアクセスする機能である。外部へのアクセスは行わない。
【0029】
(3)三者間通信機能
携帯電話機100の制御部110と外部リーダ/ライタ200間で通信を行う機能である。携帯電話機100の制御部110がアプリケーションソフトを実行し、FeliCa機能を用いて、外部リーダ/ライタ200間で各種データの授受を行う。
【0030】
(4)リーダ/ライタ機能
携帯電話機100がリーダ/ライタとして動作する機能である。
【0031】
上記モード機能(1)〜(4)の中で、保護を必要とするのは、(1)無線カード機能である。この無線カード機能は、外部リーダ/ライタ200からの搬送波を検出して起動するため、不正アクセスによるデータ流出の可能性がある。例えば、外部リーダ/ライタ200が不正使用者による鞄などの外からのスキミングである場合、FeliCa ICモジュール190はこの不正使用外部リーダ/ライタ200によって動作しデータを読み取られ書き換えられる可能性がある。
【0032】
図2は、電池電圧とFeliCa動作可能状態との関係を表にして示す図である。図2中、LVA(ローバッテリアラーム電圧)は、携帯電話機100の動作電圧の下限(約3.2V程度)である。また、FeliCa ICモジュール190の動作電圧の下限を2.8V、電源IC180内のレギュレータの電圧降下を0.1Vと仮定することで、電池電圧判定値は、上記LAVと2.9Vとしている。また、携帯電話機100側の電源のON/OFF状態には依存しない。
【0033】
図2の表に示すように、電池電圧が動作可能状態LVA以上(電池装着かつ外部電源供給を含む)のときは、全ての機能(無線カード機能、有線通信機能、三者間通信機能、リーダ/ライタ機能)が動作可能である。
【0034】
電池電圧がLVA未満で、2.9V超のときは、FeliCa IC用電源が出力され、無線カード機能のみ動作可能な状態とし、有線通信機能は動作させない。
【0035】
2.9V以下及び電池未装着のときは、全ての機能を動作させない。
【0036】
電池未装着で、外部電源が供給されている状態では、無線カード機能及び有線通信機能を動作させない。これは、ユーザに対して、電池無しの状態では携帯電話システムとして動作を停止する仕様に統一することを意図する。
【0037】
本実施の形態は、電池電圧が、FeliCa ICモジュール190が動作する2.9V以上の場合、携帯電話機100の利用状況によっては、FeliCa ICモジュール190の電源を自動的にOFFにする。
【0038】
図3は、携帯電話機100の傾きを検出してFeliCa ICモジュール190の電源をON/OFFする非接触ICセキュリティ制御動作を示すフローチャートであり、制御部110のCPUにより所定タイミングで繰り返し実行される。図中Sはフローの各ステップを示す。
【0039】
電池容量のある電池パック170装着により本フローがスタートし(ステップS1)、ステップS2で電池パック170の電池電圧を検出する。電池電圧が携帯電話機100の動作電圧の下限(3.2V)以上のときは、全ての機能(無線カード機能、有線通信機能、三者間通信機能、リーダ/ライタ機能)が動作可能であり、携帯端末装置100本体電源をON/OFFすることができる(ステップS3)。2.9V以上で3.2V未満のときは、電源IC180からFeliCa IC用電源が出力され、FeliCa ICモジュール190による無線カード機能のみ動作可能な状態である。携帯端末装置100本体電源は、OFFで有線通信機能は動作させない(ステップS4)。この場合の携帯端末装置100本体電源OFFは、携帯電話機100の携帯電話としての通信機能部や前記有線通信機能部への電源供給OFFであり、本フローを実行するための制御部110への通電は保たれている。消費電力を節約するため本フローの実行タイミングはできるだけ少ないことが好ましい。
【0040】
2.9V未満のときは、ステップS5で携帯電話機100本体電源をOFFし、ステップS6でFeliCa ICモジュール190の電源もOFFする。すなわち、2.9V未満のときは、FeliCa ICモジュール190を含む全ての携帯電話機100の機能を動作させない。2.9V未満のときは、FeliCa ICモジュール190への電源供給がOFFされるので、不正アクセスによるデータ流出は生じない。
【0041】
上記ステップS3又は上記ステップS4では、FeliCa ICモジュール190は、携帯電話機100本体電源のON/OFFとは独立して、電源IC180からのFeliCa IC用電源供給を受けている。このため、外部リーダ/ライタ200からのアクセスを受ける状態にあり、不正アクセスによるデータ流出の可能性がある場合である。
【0042】
ステップS7では、本非接触ICセキュリティ制御が設定されているか否かを判別し、非接触ICセキュリティ制御が非設定であれば、ステップS8でFeliCa ICモジュール190へのFeliCa IC用電源供給を継続(FeliCa IC用電源ON)して上記ステップS2に戻る。
【0043】
上記ステップS7で非接触ICセキュリティ制御が設定されていれば、ステップS9で傾きセンサ160からの傾き検出出力を基に、携帯電話機100本体が水平状態にあるか否かを判別する。通常、携帯電話機100のユーザは、本体を手で持ち外部リード/ライタ200に対して概ね水平方向にかざすことで、外部リード/ライタ200との間でFeliCaシステム通信を行う。すなわち、外部リード/ライタ200は、携帯電話機100本体に対して水平方向で非接触IC(ここではFeliCa ICモジュール190)の情報を読み取る。一方で、携帯電話機100は、ポケットや鞄に入れて移動する場合が多い。この場合は、携帯電話機100本体は、概ね垂直方向(非水平方向)である。したがって、携帯電話機100本体が傾いて水平状態にないときは、ユーザが無線カード機能を使用することは想定されず、FeliCaカードによる無線カード機能は停止しても差し支えない。
【0044】
上記ステップS9で傾きセンサ160により携帯電話機100本体の傾きを検出し、携帯電話機100本体が水平状態にあるときは、ステップS10でFeliCa ICモジュール190へのFeliCa IC用電源供給を継続(FeliCa IC用電源ON)して上記ステップS2に戻る。上記ステップS9で携帯電話機100本体が水平状態にないときは、ステップS11でFeliCa ICモジュール190へのFeliCa IC用電源供給を遮断(FeliCa IC用電源OFF)して上記ステップS2に戻る。このように、携帯電話機100の傾きに連動して、FeliCa ICモジュール190への電源供給がON/OFFされる。
【0045】
以上のように、本実施の形態によれば、携帯電話機100は、外部リーダ/ライタ200との間で非接触通信を行うFeliCa ICモジュール190と、携帯電話機100本体の傾きを検出する傾きセンサ160と、携帯電話機100本体とFeliCa ICモジュール190とに個別に電源供給する電源IC180とを備え、制御部110は、携帯電話機100本体の傾きが、水平方向(外部リーダ/ライタ200に携帯電話機100をかざす位置)より所定以上傾いているときは、ユーザがFeliCa ICモジュール190を使用しない状況にあると判断して、FeliCa ICモジュール190への電源供給を停止する非接触ICセキュリティ制御を行うので、ユーザが携帯電話機100をバックやポケットなどに入れておいた場合など、非接触IC機能を使用することがない状況では、FeliCa ICモジュール190の動作は停止する。これにより、不正使用者が密かにバック等の外から非接触IC機能部と通信動作を行い、スキミングによって情報を盗み取る可能性が排除され、不正使用者による非接触IC機能の不正使用を未然に防止することができる。したがって、利用者の利便性を損なうことなく、セキュリティを高めることができ、第三者による不正使用を未然に防止することができる。
【0046】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2の携帯端末装置のハード構成図は、図1と同様であるため、説明を省略する。
【0047】
図4は、本発明の実施の形態2の携帯端末装置の非接触ICセキュリティ制御動作を示すフローチャートである。図3に示すフローと同一処理を行うステップには同一ステップ番号を付している。
【0048】
電池容量のある電池パック170装着により本フローがスタートし(ステップS1)、ステップS2で電池パック170の電池電圧を検出する。電池電圧が携帯電話機100の動作電圧の下限(3.2V)以上のときは、全ての機能(無線カード機能、有線通信機能、三者間通信機能、リーダ/ライタ機能)が動作可能であり、携帯端末装置100本体電源をON/OFFすることができる(ステップS3)。2.9V以上で3.2V未満のときは、電源IC180からFeliCa IC用電源が出力され、FeliCa ICモジュール190による無線カード機能のみ動作可能な状態である。携帯端末装置100本体電源は、OFFで有線通信機能は動作させない(ステップS4)。この場合の携帯端末装置100本体電源OFFは、携帯電話機100の携帯電話としての通信機能部や前記有線通信機能部への電源供給OFFであり、本フローを実行するための制御部110への通電は保たれている。消費電力を節約するため本フローの実行タイミングはできるだけ少ないことが好ましい。
【0049】
2.9V未満のときは、ステップS5で携帯電話機100本体電源をOFFし、ステップS6でFeliCa ICモジュール190の電源もOFFする。すなわち、2.9V未満のときは、FeliCa ICモジュール190を含む全ての携帯電話機100の機能を動作させない。2.9V未満のときは、FeliCa ICモジュール190への電源供給がOFFされるので、不正アクセスによるデータ流出は生じない。
【0050】
上記ステップS3又は上記ステップS4では、FeliCa ICモジュール190は、携帯電話機100本体電源のON/OFFとは独立して、電源IC180からのFeliCa用電源供給を受けている。このため、外部リーダ/ライタ200からのアクセスを受ける状態にあり、不正アクセスによるデータ流出の可能性がある場合である。
【0051】
ステップS7では、本非接触ICセキュリティ制御が設定されているか否かを判別し、非接触ICセキュリティ制御が非設定であれば、ステップS8でFeliCa ICモジュール190へのFeliCa IC用電源供給を継続(FeliCa IC用電源ON)して上記ステップS2に戻る。
【0052】
上記ステップS7で非接触ICセキュリティ制御が設定されていれば、ステップS9で傾きセンサ160からの傾き検出出力を基に、携帯電話機100本体が水平状態にあるか否かを判別する。
【0053】
上記ステップS9で携帯電話機100本体が水平状態にないときは、ステップS11でFeliCa ICモジュール190へのFeliCa IC用電源供給を遮断(FeliCa IC用電源OFF)して上記ステップS2に戻る。
【0054】
一方、上記ステップS9で携帯電話機100本体が水平状態にあるときは、ステップS10でFeliCa ICモジュール190へのFeliCa IC用電源供給を継続(FeliCa IC用電源ON)し、ステップS21でタイマーを起動して一定時間を計時する。次いで、ステップS22で一定時間計時後にFeliCa ICモジュール190へのFeliCa IC用電源供給を遮断(FeliCa IC用電源OFF)して上記ステップS2に戻る。このように、携帯電話機100本体が水平状態にある場合であっても一定時間が経つとFeliCa IC用電源をOFFする。上記一定時間は、FeliCa通信が完了するまでの時間(例えば2,3秒)である。
【0055】
このように、本実施の形態によれば、携帯電話機100の傾きに連動して、FeliCa ICモジュール190への電源供給がON/OFFされるので、実施の形態1と同様に、利用者の利便性を損なうことなく、セキュリティを高めることができ、第三者による不正使用を未然に防止することができる。
【0056】
また、本実施の形態では、判定結果に従って、FeliCa ICモジュール190への電源供給後一定時間経過すると、FeliCa ICモジュール190への電源供給を停止するので、よりセキュリティを高めることができ、更なる不正使用防止効果を期待できる。ここで、FeliCa ICモジュール190を使用する場合は、携帯電話機100本体を、一旦水平⇔垂直と振るようにすればよい。
【0057】
なお、本実施の形態では、一定時間経過後にFeliCa ICモジュール190への電源供給を停止する例について説明したが、この制御に加えて、あるいは代えてFeliCa通信が完了するまでの時間ONし、完了後OFFすることも可能であり、同様のセキュリティ向上効果を得ることができる。
【0058】
(実施の形態3)
実施の形態1,2では、携帯電話機のホストCPUが非接触ICセキュリティ制御動作を行う例について説明した。非接触ICセキュリティ制御は、制御機能を持つインテリジェント電源ICが行う態様でもよい。以下、この例を実施の形態3により説明する。
【0059】
図5は、本発明の実施の形態3の携帯端末装置の概略構成を示すブロック図である。図1と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。
【0060】
図5において、携帯電話機100Aは、制御部110A、記憶メモリ120、入力部130、表示部140、無線通信部150、傾きセンサ160、電池パック170、インテリジェント電源IC300、及びFeliCa ICモジュール190を備えて構成される。FeliCa ICモジュール190は、外部リーダ/ライタ200とデータのアクセスをする。
【0061】
インテリジェント電源IC300は、電源電圧を生成する電源ICとしての機能のほか、マイクロプロセッサ等からなる制御部310を搭載し、制御部310が電源電圧供給制御を実行する。また、インテリジェント電源IC300は、動作電圧の異なる携帯電話機100Aの制御部110AとFeliCa ICモジュール190を接続する電圧変換のインターフェース(IF)300aを備え、IF300aを介して、制御部110AとFeliCa ICモジュール190間の制御線を接続する。
【0062】
本実施の形態では、傾きセンサ160の傾き検出結果は、インテリジェント電源IC300に入力され、インテリジェント電源IC300の制御部310が、非接触ICセキュリティ制御を実行する。
【0063】
インテリジェント電源IC300の制御部310による非接触ICセキュリティ制御は、図3及び図4のフローとほぼ同様であるため説明を省略する。但し、実施の形態1,2では、携帯電話機100本体電源OFFの場合であっても、実際はフローを実行するための制御部110への通電は保たれていた。本実施の形態では、インテリジェント電源IC300の制御部310が、電源ON/OFF制御を行うので、携帯電話機100A本体電源を完全にOFFすることができる。
【0064】
したがって、本実施の形態によれば、携帯電話機100Aの傾きに連動して、インテリジェント電源IC300が、FeliCa ICモジュール190への電源供給をON/OFFするので、実施の形態1,2と同様に、利用者の利便性を損なうことなく、セキュリティを高めることができ、第三者による不正使用を未然に防止することができる。また、本実施の形態では、携帯電話機100A本体電源を完全にOFFすることができる。インテリジェント電源IC300の制御部310は、携帯電話機100Aの制御部110Aよりも低消費電力であるため、携帯電話機100A本体機能を使用しない場合において、より省電力効果を期待できる。
【0065】
以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されることはない。例えば、携帯端末装置として携帯電話機に適用した例について説明しているが、携帯電話機に限らずPDA(Personal Digital Assistants)等の携帯情報端末や非接触IC機能を持つポータブル音響・映像機器、ポータブルゲーム機、パーソナルコンピュータ又はその融合された装置に適用可能である。
【0066】
また、非接触IC機能としてFeliCa ICモジュールを例に説明したが、FeliCa ICシステム以外であってもよく、携帯端末装置に搭載可能な非接触IC機能にはすべて適用できる。
【0067】
また、図1乃至図5の構成及び動作例は一例であり、どのような構成及び動作例でも構わない。例えば、傾きセンサに代えて光量センサなど他のセンサでもよい。また、外部リーダ/ライタ200に携帯電話機100,100Aをかざす場合、外部リーダ/ライタ200に対し携帯電話機100,100Aを水平方向にかざす場合が一般的であると想定されるが、水平方向以外の傾きであってもよいことは言うまでもない。
【0068】
また、本実施の形態では携帯端末装置、及び携帯電話機という名称を用いたが、これは説明の便宜上であり、携帯端末、電源制御方法等であってもよいことは勿論である。
【0069】
さらに、上記携帯電話機を構成する各回路部、例えば電源IC等の種類、数及び接続方法などは前述した実施の形態に限られない。
【0070】
また、以上説明した携帯端末装置は、電子回路のほか、この携帯端末装置を機能させるためのプログラムでも実現される。このプログラムはコンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納されている。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明に係る携帯端末装置は、非接触IC機能付き携帯電話機などの携帯端末装置、携帯用電子機器の用途に有用である。また、電源制御プログラムとして携帯電話機などの電子機器に組み込むことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施の形態1の携帯端末装置の概略構成を示すブロック図
【図2】上記実施の形態1に係る携帯端末装置の電池電圧とFeliCa動作可能状態との関係を表にして示す図
【図3】上記実施の形態1に係る携帯端末装置のFeliCa ICモジュールの電源をON/OFFする非接触ICセキュリティ制御動作を示すフロー図
【図4】本発明の実施の形態2に係る携帯端末装置のFeliCa ICモジュールの電源をON/OFFする非接触ICセキュリティ制御動作を示すフロー図
【図5】本発明の実施の形態3の携帯端末装置の概略構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0073】
100,100A 携帯電話機(携帯端末装置)
110,110A,310 制御部
120 記憶メモリ
130 入力部
140 表示部
150 無線通信部
160 傾きセンサ
170 電池パック
180 電源IC
190 FeliCa ICモジュール
200 外部リーダ/ライタ
300 インテリジェント電源IC


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部リーダ/ライタとの間で非接触通信を行う非接触通信手段と、
ユーザの使用状況を検出する検出手段と、
装置本体と前記非接触通信手段とに個別に電源供給する電源供給手段と、
検出されたユーザの使用状況情報に基づいて、該ユーザが前記非接触通信手段を使用しない状況にあることを判定したとき、前記非接触通信手段への電源供給を停止する制御手段と
を備える携帯端末装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記装置本体の傾きを検出する傾きセンサ、前記装置本体外周部の光量変化を検出する光量センサ、前記装置本体への接触を検出する接触センサ、前記装置本体外周部の温度変化を検出する温度センサの少なくともいずれか1つ、又はこれらのセンサの組み合わせである請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記装置本体の傾きを検出する傾きセンサであり、
前記制御手段は、前記傾きセンサにより検出された前記装置本体の傾きが、前記外部リーダ/ライタに対して、リード/ライトのため前記装置本体をかざす傾きより所定以上傾いているときは、前記非接触通信手段への電源供給を停止する請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記判定結果に従って、前記非接触通信手段への電源供給後、一定時間経過したとき、前記非接触通信手段への電源供給を停止する請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記判定結果に従って、前記非接触通信手段への電源供給後、前記外部リーダ/ライタとのやり取りが完了したとき、前記非接触通信手段への電源供給を停止する請求項1記載の携帯端末装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−92304(P2008−92304A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−271224(P2006−271224)
【出願日】平成18年10月2日(2006.10.2)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】