説明

携帯端末

【課題】所定の事態が発生した場合に、使用者自らボタンを押下げるなどの操作を行うことなく、自動的に携帯端末が保護者等の通信端末に位置情報を通信することができる携帯端末を提供する。
【解決手段】位置情報を取得する位置情報取得部7と、周辺デバイス4が故障した場合などの所定の事態の発生を監視し、当該発生を検知したときに、前記位置情報を予め登録しておいた所定の通信先である、保護者の通信端末などに通信する制御を行なう制御部6とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPS位置情報測位機能を有する携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
総務省は、「2007年4月以降、携帯電話事業者が新規に提供する第3世代携帯端末について、原則としてGPS測位方式による位置情報通知機能に対応する」としており、現在、高齢化、少子化が進んでいるわが国においては、このような携帯電話の技術は重要視されている。特許文献1には、使用者が自宅などの屋内でGPSによる位置情報を検知できない場合であっても、位置情報を監視センタに送信できる携帯端末が記載されている。特許文献2には、使用者の所定の操作に応じて、システム運営者に位置情報を送信し、システムに予め登録された保護・介護サービスを受けることができる携帯端末が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−284887号公報
【特許文献2】特開2005−173854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の携帯電話では、一般的に位置情報が通信されるためには、携帯電話の使用者が、自ら携帯電話を操作する必要がある。しかし、例えば、保護者が自分の子供に「危険を感じたら位置情報を送りなさい」と約束したとしても、使用者が子供である場合、危険に面しながら冷静に携帯電話を操作することができない場合や、寄り道など自らの意思で故意に操作しない場合がある。これらのような事態が発生した場合には、位置情報が保護者の通信端末に通信されないという問題点があった。
【0005】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、所定の事態が発生した場合に、携帯端末が使用者に代わり、保護者の通信端末などの所定の通信先に位置情報を自動的に通信する携帯端末を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る携帯端末は、位置情報を取得する位置情報取得部と、所定の事態の発生を監視し、当該発生を検知したときに、前記位置情報を所定の通信先に通信する制御を行なう制御部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の携帯端末によれば、所定の事態が発生した場合に、携帯端末が所定の通信先に位置情報を自動的に通信することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
<実施の形態1>
本発明に係る携帯端末は、例えば、子供や高齢者に所持される携帯電話、あるいは、PDA(Personal Digital Assistants)に適用することができるが、以下、子供に所持される携帯電話に適用したものとして説明する。携帯電話は、図1の外観図に示すように、画像を表示するLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイス1と、使用者から信号を受ける操作キー2と、画像を取得するカメラ3と、破壊検出センサ11とを備えている。破壊検出センサ11は、携帯電話の本体に対する衝撃の印加を検出するセンサであり、図のような本体の中で破壊耐性の低い箇所に設けられている。
【0009】
図2は、図1の携帯電話のブロック図である。図2に示すように、周辺デバイス4と、制御部6と、GPS測位方法で測位される位置情報を取得する位置情報取得部7と、位置情報や通常の通信信号をFOMA網などの通信網と通信する通信部8と、携帯電話本体に外力が作用したことを検出する外力検出部9を備える。
【0010】
周辺デバイス4は、制御部6に制御されるものであり、図1で示した表示デバイス1と操作キー2とカメラ3とが該当する。なお、表示デバイス1およびカメラ3はそれぞれ、メモリ5を有している。外力検出部9は、加速度を検出する加速度センサ10と、上記の破壊検出センサ11とを含む。
【0011】
制御部6は、周辺デバイス4とバスなどで接続されており、例えば、通信処理やUI(ユーザーインターフェース)・アプリケーション処理を行うプロセッサ(CPU)が用いられる。この制御部6は、通常の通信制御を行うとともに、所定の事態の発生を監視し、当該発生を検知したときに、位置情報取得部7で取得された位置情報を、通信部8を介して、使用者が予め登録しておいた所定の通信先である、例えば、保護者の通信端末に通信する制御を行う。この所定の事態は、自己(すなわち携帯電話それ自体)が故障した事態、および、自己が故障に至る事態を含む。
【0012】
自己が故障した事態は、周辺デバイス4の故障を検出した場合(以下、「周辺デバイス故障」)を含む。その故障検出の具体例を以下に示す。LCDなどの表示デバイス1やカメラ3は、RAMやレジスタを有するメモリ5やコントロールICを備えている。制御部6は、メモリ5内などのRAMやレジスタに対して、定期的にテスト信号を送信する。そして、制御部6は、これらに通過させた後のテスト信号を受信し、期待値コンペアにより診断することにより、表示デバイス1やカメラ3が故障していることを検出する。操作キー2の故障検出では、操作キー2が所定時間以上継続して押下げられていることを制御部6が検出した場合に、操作キー2が故障していることを検出する。
【0013】
自己が故障に至る事態は、外力検出部9が、所定以上の外力が作用したことを検出した場合を含む。この携帯電話が故障に至る事態は、例えば、図3のように地面に叩きつける事態を想定している。前述のように、外力検出部9は、加速度センサ10、破壊検出センサ11を含む。具体的には、加速度センサ10に検出された加速度が所定値を超えた場合(以下、「加速度超過」)、破壊検出センサ11により衝撃の印加を検出した場合(以下、「衝撃印加」)に、所定以上の外力が作用したことを検出する。
【0014】
衝撃の印加を検出する破壊検出センサ11は、例えば、内部に電気線を有したものを用い、そこに流れる電流値を定期的に監視することにより、電気線が断線しているか否かを定期的に監視する。このような破壊検出センサ11に衝撃が印加され、内部の電気線が断線した場合には、電流値が変化する。この変化を検出することにより、破壊検出センサ11は、衝撃の印加を検出する。
【0015】
以上のような構成をもつ携帯電話は、自己が故障した事態として「周辺デバイス故障」を検出した場合、あるいは、自己が故障に至る事態として「加速度超過」「衝撃印加」を検出した場合に、制御部6は、位置情報取得部7が取得した位置情報を、通信部8を介して、所定の通信先である保護者の通信端末に通信する制御を行う。
【0016】
このように動作することにより、例えば、本実施の形態に係る携帯電話を子供が所持した状態で、誰かに携帯電話を地面に叩きつけられて破壊されたり、暴行を受けて携帯電話が故障した場合、携帯電話は自動的に位置情報を保護者の通信端末に通信する。これにより、保護者は子供の緊急事態を知るとともに、その位置情報をもとに子供の所在地に駆けつけることができるため、子供の安全を確保することができる。
【0017】
また、上記のような事態であっても、周辺デバイス4が故障しない場合や、先に位置情報取得部7が故障して位置情報が通信されない場合がある。しかし、そのような場合であっても、それに先立って発生する、携帯電話が故障に至る事態として、外力検出部9が外力を検出した場合には、携帯電話は自動的に位置情報を保護者の通信端末に通信する。こうして、保護者は、「周辺デバイス故障」では検出できないような子供の緊急事態を知るとともに、その位置情報をもとに子供の所在地に駆けつけることができるため、子供のさらなる安全を確保することができる。
【0018】
<実施の形態2>
本実施の形態に係る携帯電話のブロック図を図4に示す。実施の形態1の一部の構成は省略しているが、それらの構成を備え、実施の形態1の動作もできるようにしてもよい。本実施の形態では、登録エリアの情報、および/または、登録ルートの情報を記憶する記憶部12を備える。この登録エリアの情報、登録ルートの情報は、複数の位置情報から構成されている。図5に本実施の形態に係る携帯電話の使用例を示す。図のように、登録エリアには、例えば、子供51の校区52が用いられ、登録ルートには、通学路53が用いられる。本実施の形態において、所定の事態は、位置情報取得部7で取得される位置情報が、記憶部12に記憶された登録エリア、および/または、登録ルートから外れた場合(以下、「エリア・ルート外れ」)を含む。
【0019】
以上のような構成を持つ携帯電話は、所定の事態として「エリア・ルート外れ」を検出した場合に、制御部6は、位置情報取得部7が取得した位置情報を、通信部8を介して、所定の通信先である、例えば、保護者の通信端末に通信する制御を行う。
【0020】
このように動作することにより、例えば、子供が本実施の形態に係る携帯電話を所持した状態で、誘拐されて校区52から外れた場合、あるいは、寄り道など自らの意思で故意に通学路53から外れた場合に、携帯電話は自動的に位置情報を保護者の通信端末に通信する。これにより、保護者はその位置情報を警察等に通報して、子供の安全を確保することができたり、子供の帰宅後に事実確認をすることで、子供を管理下におくことができるようになる。
【0021】
<実施の形態3>
本実施の形態に係る携帯電話のブロック図を図6に示す。実施の形態1および実施の形態2の一部の構成は省略しているが、それらの構成を備え、実施の形態1および実施の形態2の動作もできるようにしてもよい。本実施の形態では、電波状態を検出する電波検出部13を備える。本実施の形態において、所定の事態は、電波検出部13が検出する電波の強度状態が所定の微弱状態になった場合(以下、「電波微弱」)を含む。
【0022】
以上のような構成を持つ携帯電話では、所定の事態として「電波微弱」を検出した場合に、制御部6は、位置情報取得部7が取得した位置情報を、通信部8を介して、所定の通信先である、例えば、保護者の通信端末に通信する制御を行う。
【0023】
このように動作することにより、例えば、子供が本実施の形態に係る携帯電話を所持した状態で、誘拐されて図5のような通信圏外54に入る前、あるいは、寄り道など自らの意思で故意に通信圏外54に入る前に、携帯電話は自動的に位置情報を保護者の通信端末に通信する。これにより、通信ができなくなる前に保護者の通信端末に位置情報を通信することができる。そして、保護者はその位置情報を警察等に通報して、子供の安全を確保することができたり、子供の帰宅後に事実確認をすることで、子供を管理下におくことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施の形態1に係る携帯電話を示す図である。
【図2】実施の形態1に係る携帯電話のブロック図である。
【図3】実施の形態1に係る携帯電話が故障に至る事態を示す図である。
【図4】実施の形態2に係る携帯電話のブロック図である。
【図5】実施の形態2に係る携帯電話の使用例を示す図である。
【図6】実施の形態3に係る携帯電話のブロック図である。
【符号の説明】
【0025】
1 表示デバイス、2 操作キー、3 カメラ、4 周辺デバイス、5 メモリ、6 制御部、7 位置情報取得部、8 通信部、9 外力検出部、10 加速度センサ、11 破壊検出センサ、12 記憶部、13 電波検出部、51 使用者、52 登録エリア、53 登録ルート、54 通信圏外。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報を取得する位置情報取得部と、
所定の事態の発生を監視し、当該発生を検知したときに、前記位置情報を所定の通信先に通信する制御を行なう制御部とを備える、
携帯端末。
【請求項2】
前記所定の事態は、自己が故障した事態、および/または、自己が故障に至る事態を含む、
請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記制御部により制御される周辺デバイスをさらに備え、
前記故障した事態は、
前記周辺デバイスの故障を検出した場合を含む、
請求項2に記載の携帯端末。
【請求項4】
外力が作用したことを検出する外力検出部をさらに備え、
前記故障に至る事態は、
前記外力検出部が所定以上の外力が作用したことを検出した場合を含む、
請求項3に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記外力検出部は、加速度センサを含む、
請求項4に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記外力検出部は、衝撃の印加を検出する破壊検出センサを含む、
請求項4または請求項5に記載の携帯端末。
【請求項7】
登録エリアの情報、および/または、登録ルートの情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記所定の事態は、
前記位置情報が示す位置が前記登録エリア、および/または、前記登録ルートから外れた場合を含む、
請求項1に記載の携帯端末。
【請求項8】
電波状態を検出する電波検出部をさらに備え、
前記所定の事態は、
前記電波検出部が検出する電波状態が所定の微弱状態になった場合を含む、
請求項1に記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−323270(P2007−323270A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−151472(P2006−151472)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】