説明

携帯防犯装置およびその方法

【課題】GPSを用いた不審者の場所を特定する防犯システムは、非常に高価であった。
【解決手段】一定の範囲にしか届かない微弱電波を発する携帯送信機と携帯防犯ブザーとを組み合わせ、例えば、若年者の対する不審者の犯罪を防止するためには、この微弱電波を発する携帯送信機と携帯防犯ブザーを、子供などに持たせ、ボランティア監視員を適宜、つのり、このボランティア監視員の家庭に受信機を設置して、防犯ブザーが鳴らされた際、微弱電波の届く範囲の家の警報が鳴り、その情報は警察署に伝送され、不審者の位置が特定される防犯装置、およびその方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯防犯装置およびそのシステム、その方法に関する技術分野に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術では引っ張り棒を引き抜くと警告を発する携帯防犯ブザー、あるいはGPS携帯の機能により被害者がどこにいるのか把握するシステムが用いられている。また、特許文献1には、携帯防犯ブザーと無線送信機を組み合わせ、屋外の街路灯、電柱、防犯用支柱などのポールにアンテナが設置され、犯罪が起こると、前記ポールに設置された警報機が警報を鳴らし、同時に警察等の関係機関に情報を知らせることが、開示されている。また、前記特許文献1には、無線送信機には、具体的には、ICタグを用いることが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−339285号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の携帯防犯ブザーでは、一台100円から200円と安価であるが、音の届く範囲が限られているという問題点があった。また、GPSシステム(例えばGPS携帯など)と携帯防犯ブザーを組み合わせた防犯システムでは、ひとつの自治体にこのシステムを装備するには、ボランティア監視員の在宅者を募ってもその価格は2億円以上もし、非常に高価であるという問題点があった。また、特許文献1記載の送信機尽き携帯防犯ブザーでは、犯罪が行われている際、背景技術記載のポールの警報が鳴るだけであるので、即座に、監視員が現場に駆けつけられないという問題点があった。
また、特許文献1記載の送信機は一定の監視領域にのみ電波を飛ばす微弱電力送信機は用いられておらず(特許文献1記載のICタグでは電波の飛ぶ範囲が狭すぎる。)、ブザーのトレモロ音をマイクで捕らえることによる犯罪発生情報の補助的情報として、携帯送信機の電波信号が用いられているが、携帯防犯ブザーのトレモロ音をマイクで正確に捕らえるのは難しい技術であるという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上のような問題点のため本願発明では、一定の監視領域にしか届かない携帯微弱電力送信機あるいは携帯トランシーバを用いて、携帯防犯装置例えば携帯防犯ブザーに取り付けた携帯微弱電力送信機あるいは携帯トランシーバの電波の到達を、監視員、例えばボランティア監視員の自宅に設置された受信機あるいはトランシーバの警報によって、あるいは監視員自身が身につけている受信機あるいはトランシーバの警報によって、監視員、例えばボランティア監視員が即座に知ることができるので、不審者が、犯罪を行おうとしている際、即座に犯罪防止に対応できるというシステムを発明した。
【0006】
また、携帯送信機ではなく、携帯トランシーバを用いると、誤警報に対する対応が即座にできるという顕著な効果を有するシステム安価に提供することができた。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、携帯微弱電力送信機あるいは携帯トランシーバを携帯防犯ブザーと組み合わせるなどして、微弱電波(10mW以下)の到達範囲が、その出力や電波形式によって数十m、数百m、数キロmなどのものがあるが、これを導入する地域情勢合わせて用い、監視員、例えばボランティア監視員を募り彼らの住宅に受信機あるいはトランシーバを取り付け、限られた監視領域即ち、電波到達距離より、犯罪が行われている近くの家のみの受信機が警報をならし、監視員、例えばボランティア監視員は、即座に、現場にすぐ行って犯罪を防止するという顕著な効果がある。あるいは、監視員自身が受信機やトランシーバを身につけていると即座に犯罪の防止に役立てるという顕著な効果を有する。また、この場合、各自治体は1000万円以下の出費でシステムを導入できるという顕著な効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1をもとに本願発明を実施する最良の形態を示す。本願発明の携帯防犯装置は携帯防犯ブザーと携帯微弱電力送信機とからなっている。携帯防犯ブザーのSW(スイッチ)、例えば、クリップ1を引き抜くと携帯防犯ブザーが鳴り、同時に携帯微弱電力送信機が例えばCW(Continious Wave)あるいは、低周波信号の変調電波を発生させることに本願発明の特徴がある。図2のように例えば子供の生命を守るために用いるのであれば、学校からの通学路の要所、要所に、監視員、例えばボランティア監視員をつのり、その家に受信機を設置しておく。子供が携帯防犯装置のクリップ1を引き抜くと携帯微弱電波送信機は、その電波の届く範囲が限られているので、これが監視領域となり、不審者と遭遇した近所の家の受信機が警報を発する。図2中斜線の範囲内。このようにして携帯防犯ブザーの音が届かなくても電波で近所の家に知らせるので確実に不審者を探知でき、かつ、即座に、監視員が犯罪現場に駆けつけることができる。そして、受信機は、例えば、電話回線とつながっており、警察のコンピュータへと情報を伝える。警察のコンピュータではかかってきた電話番号の情報から不審者と遭遇した地域が特定できるようになっている。また、受信機を監視員自身の身につけていれば、効果は絶大である。
なお、混信を避けるためにはCWを用いるより、むしろ、ディジタル信号を用いたほうがメリットは大きい。例えば、個人識別コードを電波にのせることで個人の識別ができるし、警報コードを用いれば確実に混信を避けることができる。ただし、CWを用いたほうが安価ではある。なお、例えば、この周波数は非常通信の周波数4.63Mhzを用いると混信なども生じない。もちろん、電波法上、A1Aの電波形式しか許可されていないので、CWを使うこととなる。無線の免許は、包括免許を受け、無線従事者資格を有していなくても使用できるようにする。
なお、警報電波信号に低周波信号の変調電波を用いる際は、例えば、複数の周波数成分の変調波とすることで、受信機側では復調波の周波数スペクトルで警報と判断するので、混信を避けられるというメリットがある。
【実施例1】
【0009】
図3に本願発明の実施例を示す。まず、携帯防犯装置は、例えば携帯トランシーバと携帯防犯ブザーとからなっている。図2をもとに説明する。携帯防犯装置のSW、例えば、クリップ1を引くと携帯防犯ブザーと携帯微弱電力トランシーバの電源がONとなる。この携帯防犯装置には、例えば首にかけるストラップ2が取り付けられている。携帯トランシーバは、例えば27Mhzバンドで10mW以下の免許なしに使用できる周波数帯が使われるであろう。なお、この場合、混信を避けるためには、携帯防犯装置例えば携帯防犯ブザーから送出される電波はディジタルの電波であることも考えられる。また、将来的には総務省に周波数を割り振ってもらうことも可能であろう。
【0010】
ところで、各家庭に設置される受信機あるいはトランシーバは、例えば、ボランティアをつのりボランティア監視員などの家に設置する。そして、携帯防犯装置のSW、例えば、クリップ1が離され(SW ON)たとき、携帯トランシーバは警報信号送信モード、例えばCWモード、あるいは、低周波連続信号モード、あるいは、ディジタル警報信号モードになり、監視員の住宅内部に設置された前記受信機あるいはトランシーバは、ブザーやスピーカ3から警報を発する。この受信機あるいはトランシーバは、例えば子供の命を守ることに利用する際には、通学路の各地点の家庭に設置される。(図2参照)そして、携帯防犯装置の発する電波は微弱なので、一定の監視領域(電波の届く範囲)の受信機4のみに電波が届くので、監視員は住居(例えば自宅)から外に飛び出し、携帯防犯ブザーの音を探して、犯罪が行われようとしている場所に駆けつけ、不審者が、今どこにいるかすぐに分かるのである。受信システムに、例えばトランシーバを設置していれば不審者に襲われた人物と話をすることもできる。また、誤って携帯防犯装置のスイッチをONにしてしまった場合、携帯防犯装置のモードを通話モードに切り替え、監視員に誤警報である旨を伝えることができる。そして、監視員自身がこのトランシーバを身につけていれば更に効果は絶大である。また、監視員宅の受信機が、電話回線あるいはインターネットなどで警察と繋がった場合は、警察官と話をすることができる。
なお、警報電波信号に、例えば、複数の周波数の低周波信号の変調電波を用いることで、受信トランシーバ側で、復調電波のスペクトルによって警報か否かを判断できるので混信を避けることが可能である。
【実施例2】
【0011】
携帯防犯装置について図4をもとに述べる。携帯防犯装置のSW例えば、クリップ1を引き抜くと携帯防犯装置の、携帯トランシーバのSW、携帯トランシーバのCW/SW、携帯トランシーバのPTT/SW、携帯防犯ブザーのSW、がONとなり、警報を発すると共に携帯トランシーバは、警報信号送信モードとなり、各家庭の受信機にCW信号を送る。ただし、混信の除去のためには、CW信号を用いる代わりに単純なディジタル信号を使用するのもよい。このディジタル信号の中には、例えば、犯罪発生コード、個人識別コードなどが入っている。そして被害者が各家庭と連絡を取りたいときには、スライドSW5をOFFとすると、携帯防犯ブザーSW、CW/SW、PTT/SWがOFFとなり、各家庭の監視員と連絡が取れるようになる。なお、各家庭の受信機やトランシーバが、電話回線やインターネット回線で警察と繋がる構成の場合は、警察署員と通話ができる。話すときはPTT6を押して連絡をとる。ただし、双方向トランシーバを用いたときはPTT/SWはない。図5にこのSW動作を実現するためのリレー回路を示す。ここで、クリップSW7が引かれると、リレーSW(RrSW1、8、RrSW2、9、RrSW3、10、RrSW4、11RrSW5、12)がONとなりRrSW1、8によって、トランシーバTRX、13がON、CW/SW、14がON、PTT/SW、15がONブザーSW16がONとなる。又被害者が各家庭と交信したいときには、スライドSW17を操作し、スライドSW17がOFFとなると、CW/SW14、PTT/SW15、ブザーSW16が、共にOFFとなり、通話モード、即ち、交信スタンバイ状態となる。なお、リレーはTr(トランジスタ)を用いたスイッチング回路でも代用可能である。なお、双方向トランシーバを用いた場合は、これらのスイッチングの動作はもっと簡略化されることは言うまでもない。(PTT/SWの動作等が不必要になる。)
【実施例3】
【0012】
監視員宅に設置される受信機RX(あるいはトランシーバTRX)の付加的動作について図6を基に説明する。被害者が携帯防犯装置のSW、例えば、クリップ1を引き抜いたとき、受信機RX(あるいはTRX)では、CW(Continiuous Wave)あるいは低周波連続信号が受信され、警報を発する。これは混信を避けるため例えばディジタルの信号を使用する際には、例えば、ディジタル信号解読器(ここで受信されるディジタル信号は例えば警報コード、個人識別コード等からなる。)によって警報信号が解読されブザーのリレーが働き警報を発することになる。このとき、リレーがONとなり場所特定信号発生装置19が動き、電話回線やインターネット回線20を通して警察署や交番21へ連絡が取られる。場所特定信号発生装置19は例えばアナログ信号の場合ボイスレコーダに録音された位置情報や被害者の緊急時の肉声など、音声、あるいはディジタルコードを警察署に伝える。また、例えばディジタル信号の場合警察署の監視コンピュータにディジタルの位置情報が表示される。この場所特定信号発生装置19は必ずしも必要ではなく、電話回線を利用した場合その電話番号から、また、インターネット回線を利用した際はそのIPアドレスからどこの監視員宅で警報を受信したのか分析し、不審者の存在領域を特定できるようになっている。
【0013】
なお、子供の安全を守るという目的では受信機は登下校時のみ電源が入るようにタイマーを備えた省エネとしてもよい。また、無停電電源を共用している構造でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明は、例えば子供に対する犯罪を防止する為の装置およびシステムとして利用される。GPS携帯を使ったシステムでは、1つの自治体に設置するシステムのみで、2億円位の費用が必要だが、本願発明では1000万円以下で配備が可能であるという顕著な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】携帯防犯装置とそのシステム
【図2】携帯微弱電力防犯装置の電波の届く範囲
【図3】携帯防犯装置のとその受信システム
【図4】携帯防犯装置の例
【図5】携帯防犯装置のスイッチング構造
【図6】受信機RX(トランシーバTRX)の構成図
【符号の説明】
【0016】
1 クリップ
2 ストラップ
3 ブザースピーカ
4 受信機RX(トランシーバTRX)
5 スライドSW
6 PTT/SW
7 クリップSW
8 RrSW1
9 RrSW2
10 RrSW3
11 RrSW4
12 RrSW5
13 TRX ONOFF SW
14 CW/SW
15 PTT/SW
16 ブザーSW
17 スライドSW
18 ブザー・スピーカ
19 場所特定信号発生装置
20 電話回線あるいはインターネット回線
21 警察署あるいは交番


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の監視領域にしか届かない携帯微弱電力無線送信機と携帯防犯ブザーを組み合わせた携帯防犯装置であって、前記携帯防犯装置のスイッチがONとなった際、要所要所の住居に設置された、前記携帯防犯装置の電波を受信した無線受信機が警報を発し、前記警報によって、前記要所要所の住居の住民が、自分の住居の近くで、犯罪が発生しようとしていると判断して、即座に住居の外に出て、現場に即座に駆けつけられることを特徴とする防犯システム装置。
【請求項2】
前記請求項1記載の防犯システム装置を用いた防犯方法。
【請求項3】
一定の監視領域にしか届かない携帯微弱電力無線送信機と携帯防犯ブザーを組み合わせた携帯防犯装置であって、前記携帯防犯装置のスイッチがONとなった際、監視員が身につけている、前記携帯防犯装置の電波を受信した無線受信機が警報を発し、前記警報によって、前記監視員が、自分の近くで、犯罪が発生しようとしていると判断して、即座に、現場に即座に駆けつけられることを特徴とする防犯システム装置。
【請求項4】
前記請求項3記載の防犯システム装置を用いた防犯方法。
【請求項5】
一定の監視領域にしか届かない携帯微弱電力無線トランシーバと携帯防犯ブザーを組み合わせた携帯防犯装置であって、前記携帯防犯装置のスイッチがONとなった際、要所要所の住居に設置された、前記携帯防犯装置の警報電波を受信したトランシーバが警報を発し、前記警報によって、前記要所要所の住居の住民が、自分の住居の近くで、犯罪が発生しようとしていると判断して、現場に即座に駆けつけられることを特徴とする防犯システム装置。
【請求項6】
前記請求項5記載の防犯システム装置を用いた防犯方法。
【請求項7】
一定の監視領域にしか届かない携帯微弱電力無線トランシーバと携帯防犯ブザーを組み合わせた携帯防犯装置であって、前記携帯防犯装置のスイッチがONとなった際、監視員が身につけている、前記携帯防犯装置の警報電波を受信したトランシーバが警報を発し、前記警報によって、前記監視員が、自分の近くで、犯罪が発生しようとしていると判断して、現場に即座に駆けつけられることを特徴とする防犯システム装置。
【請求項8】
前記請求項7記載の防犯システム装置を用いた防犯方法。
【請求項9】
請求項1あるいは請求項3記載の防犯システム装置であって、前記微弱電力無線送信機の電波形式を、A1A、即ちCW(Continuious Wave)とした防犯装置。
【請求項10】
請求項9記載の防犯システム装置であってCWの周波数を、非常通信の周波数4630kHzとしたことを特徴とする防犯装置。
【請求項11】
請求項1あるいは請求項3あるいは請求項5あるいは請求項7記載の防犯システム装置であって、前記微弱電力無線送信機の電波を、低周波信号の変調波としたことを特徴とする防犯装置。
【請求項12】
請求項1あるいは請求項3あるいは請求項5あるいは請求項7記載の防犯システム装置であって、無線受信機あるいは無線トランシーバの警報が鳴ると、無線受信機は、電話回線を通じて、警察あるいは交番に電話を掛けコンピュータに犯罪が生じた信号を送り、かかってきた電話番号から前記犯罪が発生した地域を特定する防犯システム装置。
【請求項13】
請求項1あるいは請求項3あるいは請求項5あるいは請求項7記載の防犯システム装置であって、無線受信機あるいは無線トランシーバの警報が鳴ると、無線受信機は、インターネット回線を通じて、警察あるいは交番に情報を通知し、そのIPアドレスからどの地域で犯罪が発生したかを特定する防犯システム装置。
【請求項14】
請求項5あるいは請求項7請求項記載の防犯システム装置であって、トランシーバの周波数を27Mhzバンドの免許の不要な周波数としたことを特徴とする防犯システム装置。
【請求項15】
請求項1あるいは請求項3あるいは請求項5あるいは請求項7記載の防犯システム装置であって、警報信号電波を、低周波信号の変調波の電波とすることを特徴とした防犯システム装置。
【請求項16】
請求項1あるいは請求項3あるいは請求項5あるいは請求項7記載の防犯システム装置であって、警報信号を、ディジタルの信号とし、前記ディジタル信号を、警報コードと個人識別コードで構成した防犯システム装置。
【請求項17】
請求項5あるいは請求項7記載の携帯微弱電力トランシーバを兼ね備えた携帯防犯装置の、スイッチがONされた際、警報送信モードになり、別のスイッチをONすると、通話モードに切り替わることを特徴とする携帯防犯装置。
【請求項18】
請求項1あるいは請求項3あるいは請求項5あるいは請求項7記載の携帯防犯装置の警報信号電波を、複数の低周波信号の変調波の電波とすることを特徴とする防犯システム装置


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−233978(P2007−233978A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−66890(P2006−66890)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(301042664)
【Fターム(参考)】