説明

摩擦材

【課題】冷却効率の高い摩擦材を提供する。
【解決手段】摩擦材11は、熱硬化性樹脂を含浸させて硬化させた織布Wからプレスにより環状に打ち抜き形成される。織布Wの組織は、平織り組織W1,W2,W3を3層に重ねた多層織布である。織布Wには筋状の緯間隙12及び筋状の経間隙13が形成されている。緯間隙12は、緯糸Y1,Y2,Y3を欠落させて形成されている。経間隙13は、経糸T11,T12、T21,T22,T31,T32を欠落させて形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織布を用いた摩擦材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
クラッチ、ブレーキ等に使用される摩擦材の表面に液体流通用の溝を設ける構成は、例えば特許文献1に開示されている。液体流通用の溝は、冷却用液体を流通させて摩擦材を冷却するために設けられている。クラッチ、ブレーキ等に使用される摩擦材の主な材料として織布を用いた摩擦材の例は、特許文献2に開示されている。複数本の緯糸あるいは複数本の経糸を織布の厚み方向に重ねて織布の厚みを増した摩擦材の例では、緯糸あるいは経糸を欠落させて冷却液体流通用の孔あるいは溝が形成されている。
【0003】
特許文献2の図15には、織布の厚み方向に緯糸を2本配列した部分と、織布の厚み方向に緯糸を1本のみ配置した部分とを織布の経方向に交互に設けて溝を形成した例が開示されている。織布の厚み方向に1本のみ配置された緯糸と経糸との交差部分が前記溝の底となる。又、特許文献2の図16には、織布の厚み方向に緯糸を4本配列した部分と、緯糸を2本配列した部分とを設けて孔を形成した例が開示されている。
【特許文献1】特開平11−336805号公報
【特許文献2】特表平10−506977号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献2の図15に開示される織布では、織布の厚みに対する溝の深さの割合が小さく、単一の溝を流通し得る冷却用液体の流量は少ない。つまり、単一の溝における冷却効率が悪い。
【0005】
特許文献2の図16に開示される織布では、織布の内部に形成された孔が潰れ易い。孔が潰れると、孔を流通し得る冷却用液体の流量が少なくなり、孔における冷却効率が悪くなる。
【0006】
本発明は、冷却効率の高い摩擦材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために請求項1の発明では、単層又は多層の織布における緯糸又は経糸のうちの少なくとも一方を部分的に欠落させて前記織布の厚み方向に底無しとなる間隙を形成するように製織した織布を摩擦面に用いた。
【0008】
織布の厚み方向に底無しとなる間隙とは、緯糸と経糸との交差部分によって底を形成していない間隙のことである。緯糸と経糸との交差部分によって溝の底を形成した溝のことを底有り溝と言うことにする。織布の厚みが同じである場合、間隙における断面積は、底有り溝に比べて大きくなる。従って、間隙を流通し得る冷却用液体の流量は、底有り溝に比べて多くなり、間隙を備えた摩擦材は、底有り溝を備えた摩擦材に比べて冷却効率が高くなる。
【0009】
なお、緯糸の欠落は、緯糸の配列方向(経糸の糸方向)に複数本連続して、あるいは複数本連続しないで1本単位で飛び飛びに行われてもよい。同様に、経糸の欠落は、経糸の配列方向(緯糸の糸方向)に複数本連続して、あるいは複数本連続しないで1本単位で飛び飛びに行われてもよい。
【0010】
請求項2の発明では、請求項1において、前記織布は、前記緯糸を部分的に欠落させて緯間隙を形成すると共に、前記経糸を部分的に欠落させて経間隙を形成するように製織されており、前記摩擦材は、前記緯間隙と前記経間隙とを含むように前記織布から環状形状に切り取り形成されており、前記緯間隙と前記経間隙とが前記環状形状の摩擦材の環外と環内とを連絡するようにした。
【0011】
緯間隙と経間隙とが環状形状の摩擦材の環外と環内とを連絡するように切り取り形成された摩擦材は、環状形状の摩擦材の環外と環内との一方から他方へ冷却用液体を流通させる場合に好適である。
【0012】
請求項3の発明では、請求項2において、前記摩擦材は、前記緯間隙と前記経間隙との交差部を除外するように前記織布から切り取り形成したものとした。
緯間隙と経間隙との交差部は、強度的に他の部分よりも弱い。このような交差部を摩擦材から除外する構成は、摩擦材の強度確保の上で有利である。
【0013】
請求項4の発明では、請求項1において、前記織布は、環状織布であって、前記緯糸を欠落させて緯間隙が形成されているものとした。
摩擦材の環状形状に合わせるように環状織布を製織すれば、織布の厚み方向に緯糸を無配列にして形成した間隙が環状の摩擦材の環内と環外とを連絡する。環状織布は、環状形状の摩擦材を形成するのに好適である。
【0014】
請求項5の発明では、請求項1乃至請求項4のいずれか1項において、前記織布は、多層織布とした。
多層織布は、摩擦材の高摩擦性を得る上で重要なクッション性を増し、かつ間隙における断面積を稼ぐ上で有利である。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、冷却効率の高い摩擦材を提供できるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1及び図2に基づいて説明する。
図1(a)は、車両用トランスミッションにおけるクラッチディスク10〔図1(b)に図示〕に貼り付けられて使用される摩擦材11を示す。摩擦材11は、熱硬化性樹脂(例えば、フェノール樹脂)を含浸させて硬化させた織布Wからプレスにより環状に打ち抜き形成される。熱硬化性樹脂は、20体積パーセント程度となるように織布Wに含浸される。クラッチディスク10に貼り付けられた摩擦材11は、接触対象に押接された状態において摩擦により摩擦材11と接触対象との間の相対移動を抑制する。
【0017】
環状の織布Wにおけるクラッチディスク10側の織布面(クラッチディスク10に貼り付けられる面)とは反対側の織布面111の全体は、接触対象の摩擦面に押接される摩擦面となる。クラッチディスク10に用いられる摩擦材11の織布面111の方向と摩擦面とは、平行に配置されており、摩擦材11の織布端面と接触対象の摩擦面とが接触することはない。
【0018】
図1(b),(c)は、摩擦材11(織布W)の断面図を示し、図1(b)は、図1(a)のA−A線断面図であり、図1(c)は、図1(a)のB−B線断面図である。
図1(b)に示すように、織布Wは、3層(多層)の平織り組織W1,W2,W3を結合糸To1,To2で結合して構成された多層織布である。結合糸To1,To2は、経糸の一種である。平織り組織W1は、経糸T11,T12と緯糸Y1とによって構成されている。平織り組織W2は、経糸T21,T22と緯糸Y2とによって構成されており、平織り組織W3は、経糸T31,T32と緯糸Y3とによって構成されている。結合糸To1,To2、経糸T11,T12,T21,T22,T31,T32及び緯糸Y1,Y2,Y3は、例えばアラミド繊維製あるいは炭素繊維製の撚り糸である。
【0019】
図1(a)に示すように、織布Wには筋状の緯間隙12及び筋状の経間隙13が形成されている。図1(b)に示すように、緯間隙12は、織布Wの厚み方向に緯糸Y1,Y2,Y3を配列しないで(緯糸Y1,Y2,Y3を欠落させて)形成されている。図1(d)は、図1(b)に対応した緯糸Y1,Y2,Y3の配列状態を○×の記号で表した模式図である。記号○は、緯糸が存在する状態を表し、×記号は、緯糸が存在しない(欠落した)状態を表す。図示の例では、緯間隙12は、経糸の糸方向における緯糸3本分の区間内の緯糸Y1,Y2,Y3を緯入れしないで形成されている。
【0020】
図1(c)に示すように、経間隙13は、織布Wの厚み方向に経糸T11,T12,T21,T22,T31,T32を配列しないで(経糸T11〜T32を欠落させて)形成されている。図1(e)は、図1(c)に対応した経糸T11〜T32の配列状態を○×の記号で表した模式図である。記号○は、経糸が存在する状態を表し、×記号は、経糸が存在しない状態を表す。図示の例では、経間隙13は、緯糸の糸方向における経糸3本分の区間内の経糸を予め排除した状態で形成されている。摩擦材11は、環状のクラッチディスク10に貼り付けられて使用される。
【0021】
図2(a),(b),(c)は、織布Wを製織する過程を示す側面図である。平織り組織W1を構成する経糸T11は、綜絖15に通されており、平織り組織W1を構成する経糸T12は、綜絖14に通されている。平織り組織W2を構成する経糸T21は、綜絖17に通されており、平織り組織W2を構成する経糸T22は、綜絖16に通されている。平織り組織W3を構成する経糸T31は、綜絖19に通されており、平織り組織W3を構成する経糸T32は、綜絖18に通されている。結合糸To1は、綜絖20に通されており、結合糸To2は、綜絖21に通されている。結合糸To1,To2は、経糸T11,T12,T21,T22,T31,T32とは別のワープビームから供給される一種の経糸であり、経糸T11,T12,T21,T22,T31,T32に対する結合糸To1,To2の本数比率は、例えば1/50程度である。
【0022】
図2(a)では、上下の経糸T11,T12が形成する開口内に緯糸Y1が緯入れされており、上下の経糸T21,T22が形成する開口内に緯糸Y2が緯入れされており、上下の経糸T31,T32が形成する開口内に緯糸Y3が緯入れされている。そして、緯糸Y1,Y2,Y3は、いずれも上下の結合糸To1,To2が形成する開口内に緯入れされている。緯入れされたこれらの緯糸Y1,Y2,Y3は、筬22によって織布Wの織前Woに筬打ちされる。
【0023】
図2(b)は、図2(a)において開口を形成する経糸T11,T12,T21,T22,T31,T32及び結合糸To1,To2が上下入れ替わって開口を形成している状態を示す。図2(b)では、上下の経糸T12,T11が形成する開口内に緯糸Y1が緯入れされており、上下の経糸T22,T21が形成する開口内に緯糸Y2が緯入れされており、上下の経糸T32,T31が形成する開口内に緯糸Y3が緯入れされている。緯入れされたこれらの緯糸Y1,Y2,Y3は、筬22によって織布Wの織前Woに筬打ちされる。
【0024】
図2(c)は、図2(b)において開口を形成する経糸T12,T11,T22,T21,T32,T31及び結合糸To2,To1が上下入れ替わって開口を形成している状態を示す。図2(c)では、緯糸Y1,Y2,Y3の緯入れは行われない。
【0025】
緯間隙12を形成する際の緯糸の緯入れパターンは、(緯糸Y1,Y2,Y3の緯入れ有り)−(緯糸Y1,Y2,Y3の緯入れ無し)−(緯糸Y1,Y2,Y3の緯入れ無し)−(緯糸Y1,Y2,Y3の緯入れ無し)−(緯糸Y1,Y2,Y3の緯入れ有り)である。
【0026】
図1(a)に示すように、環状の摩擦材11は、緯間隙12及び経間隙13が摩擦材11の環内と環外とを連絡し、かつ緯間隙12と経間隙13との交差部23を除外するように織布Wから切り取り形成されている。
【0027】
冷却用液体の流れは、環状のクラッチディスク10の環内からクラッチディスク10の環外へと流れるようになっている。
第1の実施形態では以下の効果が得られる。
【0028】
(1−1)緯糸と経糸との交差部分によって溝底を形成した底有り溝を備えた織布を製織するには、例えば平織り組織W2,W3を構成する緯糸Y21,Y22,Y31,Y32を緯入れしないときに、平織り組織W1を構成する緯糸Y11,Y12を緯入れすればよい。このようにして底有り溝を備えた織布の厚みは、緯間隙12及び経間隙13を備えた織布Wと同じになる。底有り溝を備えた織布の厚みと緯間隙12及び経間隙13を備えた織布Wの厚みとが同じである場合、緯間隙12及び経間隙13における断面積は、底有り溝に比べて大きくなる。従って、緯間隙12及び経間隙13を流通し得る冷却用液体の流量は、底有り溝に比べて多くなり、緯間隙12及び経間隙13を備えた摩擦材11は、底有り溝を備えた摩擦材に比べて冷却効率が高くなる。
【0029】
(1−2)冷却用液体の流れは、環状のクラッチディスク10の環内からクラッチディスク10の環外へと流れるようになっている。従って、クラッチディスク10及び摩擦材11を効率良く冷却するには、摩擦材11に設けられる間隙は、環状形状の摩擦材11の環内と環外とを連絡するように形成するのが望ましい。
【0030】
摩擦材11は、緯間隙12と経間隙13とが環状形状の摩擦材11の環外と環内とを連絡するように切り取り形成されており、緯間隙12と経間隙13とは、摩擦材11の半径方向へ主として延びている。つまり、緯間隙12と経間隙13とは、摩擦材11の半径方向へ主として延びて環状形状の摩擦材11の環外と環内とを連絡する。緯間隙12と経間隙13とが環状形状の摩擦材の環外と環内とを連絡するように切り取り形成された摩擦材11は、環状形状の摩擦材11の環外と環内との一方から他方へ冷却用液体を流通させる場合に好適である。
【0031】
(1-3)緯間隙12と経間隙13との交差部23は、強度的に他の部分よりも弱い。摩擦材11は、緯間隙12と経間隙13との交差部23を除外するように織布Wから切り取り形成されている。交差部23を摩擦材11から除外した構成は、摩擦材11の強度確保の上で有利である。
【0032】
(1-4)糸密度(単位長さ当たりの糸本数)が大きいほど、織布の表面の緻密性が増し、接触対象に対する摩擦材11の接触面積が増える。接触対象に対する摩擦材11の接触面積の増加は、摩擦係数を大きくする。糸密度を増やすには、細い経糸及び細い緯糸を用い、糸ピッチを小さくすればよい。
【0033】
単層の織布(例えば、単層の平織り組織のみからなる織布)の厚みは、使用される経糸及び緯糸が細いほど小さくなる。間隙の幅が変わらない場合には、織布の厚みが小さいほど、間隙における断面積が小さくなり、冷却用液体の通過による冷却効果が低下する。
【0034】
織布Wは、単層の平織り組織W1,W2,W3を3層重ねて構成された多層織布である。単層の平織り組織W1,W2,W3の糸密度を増やすには、細い経糸及び細い緯糸を用い、糸ピッチを小さくすればよい。緯間隙12及び経間隙13における断面積は、単層の平織り組織の数を増やすことによって稼ぐことができる。つまり、多層織布は、摩擦材11の摩擦係数を増やし、かつ織布の厚みを増やして間隙における断面積を稼ぐ上で有利である。
【0035】
次に、図3(a),(b),(c)の第2の実施形態を説明する。第1の実施形態と同じ構成部には同じ符合が用いてある。
第2の実施形態では、環状織機によって製織された環状織布Wcを用いて摩擦材24が形成されている。図3(c)は、緯糸Y1,Y2,Y3の配列状態を○×の記号で表した模式図である。環状織布Wcは、複数の平織り組織(図示略)を重ねた多層織布である。環状織布Wcは、その厚み方向に緯糸Y1、Y2,Y3を配列しないで(緯糸Y1,Y2,Y3を欠落させて)緯間隙25を形成するように製織されている。図示の例では、緯間隙25は、経糸Tの糸方向における緯糸3本分の区間内の緯糸Y1,Y2,Y3を緯入れしないで形成されている。第2の実施形態では、例えば摩擦材24の織布面241の全体が摩擦面になる。
【0036】
環状織布Wcは、摩擦材24の環状形状に合わせるように製織されており、緯間隙25は、環状の摩擦材24の環内と環外とを連絡する。環状織布Wcは、環状形状の摩擦材24を形成するのに好適である。
【0037】
本発明では以下のような実施形態も可能である。
(1)図4(a),(b),(c),(d)に示すように、摩擦材11Aに設けた緯間隙26及び経間隙27の断面形状を台形形状としてもよい。図4(c)は、緯糸Y1,Y2,Y3の配列状態を○×の記号で表した模式図であり、図4(d)は、経糸T11,T12,T21,T22,T31,T32の配列状態を○×の記号で表した模式図である。
【0038】
緯間隙26は、織布Wの厚み方向に緯糸を全て無くした緯入れ無しの状態と、織布の厚み方向に一部の緯糸を無くした一部緯入れ有りの状態とを合わせた製織を行なって形成される。経間隙27は、その断面形状が台形になるように経糸を予め除外しておくことによって形成される。織布Wは、平織り組織W1,W2,W3を重ねた多層織布である。
【0039】
織布Wから切り取り形成された摩擦材11Aにおける緯間隙26及び経間隙27の幅の広い側の織布面〔図4(a),(b)において下側の織布面〕がクラッチディスク10に貼り付けられている。緯間隙26及び経間隙27の幅の狭い側の織布面〔図4(a),(b)において上側の織布面〕は、接触対象に接触する。緯間隙26及び経間隙27の幅の狭い側の織布面を接触対象に接触させる構成は、接触対象に対する摩擦材11の接触面の表面強度の低下を回避する上で好ましい。
【0040】
(2)図5(a),(b),(c),(d)に示すように、摩擦材11Cに設けた緯間隙28内に底組織30を設け、経間隙29内に底組織31を設けてもよい。第1の実施形態と同じ構成部には同じ符号が用いてある。底組織30,31は、経糸と緯糸とからなる平織り組織である。図5(c)は、緯糸Y1,Y2,Y3の配列状態を○×の記号で表した模式図であり、図5(d)は、経糸T11,T12,T21,T22,T31,T32の配列状態を○×の記号で表した模式図である。
【0041】
(3)緯間隙のみを備えた織布から摩擦材を切り取り形成してもよい。
(4)経間隙のみを備えた織布から摩擦材を切り取り形成してもよい。
(5)間隙を形成するように製織された2層の多層織布あるいは4層以上の多層織布から、間隙を含むように摩擦材を切り取り形成してもよい。
【0042】
(6)間隙を形成するように製織された単層織布から、間隙を含むように摩擦材を切り取り形成してもよい。
(7)間隙を形成するように製織された平織り組織以外の織り組織(例えば繻子織り組織、綾織り組織)を備えた織布から、間隙を含むように摩擦材を切り取り形成してもよい。
【0043】
(8)緯間隙と経間隙とを形成するように製織された織布から、緯間隙と経間隙との交差部を含むように摩擦材を切り取り形成してもよい。
(9)織布から摩擦材として切り取る形状は環状に限らず、摩擦材として使用する形状であれば良く、例えば扇状や四角でもよい。
【0044】
前記した実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
〔1〕前記多層織布は、平織り組織を多層に重ねて構成されている請求項5に記載の摩擦材。
【0045】
〔2〕前記織布に熱硬化性樹脂を含浸させた請求項1乃至請求項5、前記〔1〕項のいずれか1項に記載の摩擦材。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】第1の実施形態を示し、(a)は、織布及び摩擦材を示す平面図。(b)は、(a)のA−A線断面図。(c)は、(a)のB−B線断面図。(d)は、緯間隙の模式図。(e)は、経間隙の模式図。
【図2】(a),(b),(c)は、3層織布の製織の仕方を説明するための側面図。
【図3】第2の実施形態を示し、(a)は、環状織布を示す斜視図。(b)は、摩擦材を示す平面図。(c)は、緯間隙の模式図。
【図4】第3の実施形態を示し、(a)は、緯糸の配列を示す織布の断面図。(b)は、経糸の配列を示す織布の断面図。(c)は、緯間隙の模式図。(d)は、経間隙の模式図。
【図5】第4の実施形態を示し、(a)は、緯糸の配列を示す織布の断面図。(b)は、経糸の配列を示す織布の断面図。(c)は、緯間隙の模式図。(d)は、経間隙の模式図。
【符号の説明】
【0047】
11,11A,11C,24…摩擦材。111,241…摩擦面としての織布面。12,25,26,28…間隙としての緯間隙。13,27,29…間隙としての経間隙。23…交差部。W…多層織布である織布。Wc…環状織布。T,T11,T12,T21,T22,T31,T32…経糸。Y1,Y2,Y3…緯糸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単層又は多層の織布における緯糸又は経糸のうちの少なくとも一方を部分的に欠落させて前記織布の厚み方向に底無しとなる間隙を形成するように製織した織布を摩擦面に用いた摩擦材。
【請求項2】
前記織布は、前記緯糸を部分的に欠落させて緯間隙を形成すると共に、前記経糸を部分的に欠落させて経間隙を形成するように製織されており、前記摩擦材は、前記緯間隙と前記経間隙とを含むように前記織布から環状形状に切り取り形成されており、前記緯間隙と前記経間隙とが前記環状形状の摩擦材の環外と環内とを連絡する請求項1に記載の摩擦材。
【請求項3】
前記緯間隙と前記経間隙との交差部を除外するように前記織布から切り取り形成した請求項2に記載の摩擦材。
【請求項4】
前記織布は、環状織布であって、前記緯糸を欠落させて緯間隙が形成されている請求項1に記載の摩擦材。
【請求項5】
前記織布は、多層織布である請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の摩擦材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−46410(P2006−46410A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−225755(P2004−225755)
【出願日】平成16年8月2日(2004.8.2)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】