説明

摩擦材

【課題】錆落し性に優れ、相手材に被膜が生じ難く、かつ対面攻撃性も小さい摩擦材を提供する。
【解決手段】繊維基材と充填材と結合剤を主成分に有する摩擦材であって、繊維基材は、非金属無機材料を原料とし、モース硬度が4〜8の中硬度の無機繊維を有しており、かつ長さ5μm以上、直径3μm以下、アスペクト比(長さ/直径)が3を超える無機繊維を有していない。そして充填材は、ゴムを有しており、中硬度の無機繊維の添加量とゴムの添加量の体積比率が2:1〜10:1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のブレーキ、クラッチ等に使用される摩擦材に関し、詳しくは、錆落し性に優れ、相手材に対する攻撃性の小さい摩擦材に関する。
【背景技術】
【0002】
摩擦材は、従来、様々な性能が求められており、例えば、相手材に生じた錆を掻き落とすための錆落し性の向上や、摩擦材を相手材に摺接させた際に相手材に生じる被膜の抑制や掻き落とし性の向上等が求められている。
錆落し性は、相手材であるディスクロータの錆を掻き落とすことで、錆によって生じる制動力の低下を防止するための性能であり、冬季凍結防止剤を散布する地域において特に重要視される性能である。
被膜の抑制や掻き落とし性は、ディスクロータの表面に付着した被膜を掻き落とすことで、被膜によって生じるノイズを抑制するための性質である。
【0003】
従前、錆落し性を向上させる常套手段として、摩擦材に高硬度のアブレーシブを添加する方法等が知られている。しかし高硬度のアブレーシブを含む摩擦材は、相手材であるディスクロータに対する攻撃性が大きく、ディスクロータを大きく摩耗させたり、ディスクロータを摩耗させることでジャダーを発生させたりする等の問題を有している。また摩擦係数が高くなりすぎることによって、ブレーキ鳴きや制動力の不安定化の問題などを引き起こすこともあった。
従前、特許文献1に記載の摩擦材も知られている。特許文献1に記載の摩擦材は、長さ1〜3mm、直径6〜10μmの非晶質シリカのチョップドストランドを含むことによって、錆落し性が向上し、対面攻撃性が小さくなることを見出した摩擦材である。
【特許文献1】特開2003−238700号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし特許文献1の摩擦材であっても、錆落し性が十分でなかったり、相手材に被膜が形成されやすかったりする問題等を有していた。
そこで本発明は、錆落し性に優れ、相手材に被膜が生じ難く、かつ対面攻撃性も小さい摩擦材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために本発明は、各請求項に記載の通りの構成を備える摩擦材であることを特徴とする。
すなわち第1の発明は、繊維基材と充填材と結合剤を主成分に有する摩擦材であって、繊維基材は、非金属無機材料を原料とし、モース硬度が4〜8の中硬度の無機繊維を有しており、かつ長さ5μm以上、直径3μm以下、アスペクト比(長さ/直径)が3を超える無機繊維を有していない。そして充填材は、ゴムを有しており、中硬度の無機繊維の添加量とゴムの添加量の体積比率が2:1〜10:1である。
【0006】
実験結果から本発明に係る摩擦材は、中硬度の無機繊維とゴムを体積比率2:1〜10:1で有しているために、錆掻き落とし性が高く、対面攻撃性が小さく、かつ被膜付着量が小さいという性質を有することがわかった。
錆掻き落とし性が高くなる原因は明らかではないが、中硬度の無機繊維によって相手材に生じた錆を掻き落とすことができ、ゴムによって窪み得る部分が窪むことで、その窪み内に錆などの摩耗粉を蓄積でき、非制動時に摩耗粉を窪み部から系外に放出できるためであると思われる。一方、本発明よりも無機繊維に対するゴムの割合を少なくした摩擦材は、摩耗粉を十分に蓄積できないため、摩耗粉の目詰まりによって錆掻き落とし性が継続し難いことがわかった。
【0007】
対面攻撃性が小さくなる原因は、ゴムの添加量が無機繊維の添加量に対して十分に多いためである。一方、本発明よりも無機繊維に対するゴムの割合を少なくした摩擦材は、対面攻撃性が本発明よりも高くなってしまうことがわかった。
被膜付着量が小さくなる原因は、無機繊維の添加量がゴムの添加量に対して十分に多いためである。本発明に比べてゴムに対する無機繊維の割合を少なくした場合には、摩擦材と相手材との擦り合わせによってゴムが相手材に対して被膜として転移して、被膜がノイズの原因になってしまうことがわかった。
さらに本発明に係る摩擦材は、労働衛生上の法規制の対象である長さ5μm以上、直径3μm以下、アスペクト比(長さ/直径)が3を超える無機繊維を有していないため、人体に対する発ガン性の心配がない。
【0008】
第2の発明は、中硬度の無機繊維の添加量を摩擦材全体に対して0.5〜20体積%にすることである。
したがって中硬度の無機繊維の添加量を0.5体積%以上にすることによって、錆落し性を十分に高くすることができる。
【0009】
第3の発明は、ゴムとして、天然ゴム、イソプレンゴム、NBR、SBR、アクリルゴム、シリコーンゴムの少なくとも一つを含んでいることである。
第4の発明は、ゴムの添加量を摩擦材全体に対して0.1〜10体積%にすることである。
したがって無機繊維の含有量を0.1体積%以上にすることによって、錆掻き落とし性を十分に長く継続させることができ、かつ対面攻撃性を十分に小さくすることができる。
【0010】
第5の発明は、中硬度の無機繊維の添加量とゴムの添加量の体積比率を2:1〜5:1にすることである。
したがって第5の発明によると、第1の発明よりもさらに錆掻き落とし性を高くし、対面攻撃性を小さくし、かつ被膜付着量を小さくすることができる。
【0011】
第6の発明は、繊維基材と充填材と結合剤を主成分に有する摩擦材であって、繊維基材は、ガラス繊維、ロックウール、スラグウールの少なくとも一つの非金属無機繊維を有しており、かつ長さ5μm以上、直径3μm以下、アスペクト比(長さ/直径)が3を超える無機繊維を有していない。そして充填材は、ゴムを有しており、非金属無機繊維の添加量とゴムの添加量の体積比率が2:1〜10:1である。
【0012】
実験結果から本発明に係る摩擦材は、ガラス繊維、ロックウール、スラグウールの少なくとも一つを含む非金属無機繊維を有し、非金属無機繊維とゴムを体積比率2:1〜10:1としているために、錆掻き落とし性が高く、対面攻撃性が小さく、かつ被膜付着量が小さいという性質を有することがわかった。
錆掻き落とし性が高くなる原因は明らかではないが、非金属無機繊維によって相手材に生じた錆を掻き落とすことができ、ゴムによって窪み得る部分が窪むことで、その窪み内に錆などの摩耗粉を蓄積でき、非制動時に摩耗粉を窪み部から系外に放出できるためであると思われる。一方、本発明よりも非金属無機繊維に対するゴムの割合を少なくした摩擦材は、摩耗粉を十分に蓄積できないため、摩耗粉の目詰まりによって錆掻き落とし性が継続し難いことがわかった。
【0013】
対面攻撃性が小さくなる原因は、ゴムの添加量が非金属無機繊維の添加量に対して十分に多いためである。一方、本発明よりも非金属無機繊維に対するゴムの割合を少なくした摩擦材は、対面攻撃性が本発明よりも高くなってしまうことがわかった。
被膜付着量が小さくなる原因は、非金属無機繊維の添加量がゴムの添加量に対して十分に多いためである。本発明に比べてゴムに対する非金属無機繊維の割合を少なくした場合には、摩擦材と相手材との擦り合わせによってゴムが相手材に対して被膜として転移して、被膜がノイズの原因になってしまうことがわかった。
さらに本発明に係る摩擦材は、労働衛生上の法規制の対象である長さ5μm以上、直径3μm以下、アスペクト比(長さ/直径)が3を超える無機繊維を有していないため、人体に対する発ガン性の心配がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明にかかる摩擦材は、繊維基材と充填材(摩擦調整剤)と結合剤を主体に有している。本発明に係る摩擦材は、繊維基材として中硬度の無機繊維(非金属無機繊維)を有しており、充填材としてゴムを有している。
【0015】
中硬度の無機繊維は、非金属無機材料を原料とする無機繊維(非金属無機繊維)である。例えば、ガラス繊維、ロックウール(岩綿)、スラグウール(鉱さい綿)などの人造鉱物繊維、またはウォラストナイト、セピオライトなどの天然鉱物繊維、チタン酸カリウム繊維、チタン酸リチウムカリウム繊維(チタン酸カリウムリチウム繊維)などのチタン酸化合物繊維、または硫酸マグネシウム繊維、結晶性シリカ繊維であり、これらを一種、または複数含んでいる。
【0016】
ガラス繊維は、短繊維であるグラスウール、長繊維であるチョップドストランドなどを利用することができる。またガラス繊維は、非晶質シリカ(シリカガラス)を原料とするガラス繊維、結晶とガラスが混在する結晶化ガラスを原料とするガラス繊維などであっても良い。
中硬度の無機繊維の硬度は、10段階のモース硬度計で測定して4〜8のモース硬度であること好ましく、7以下、6以下であることがより好ましい。
また無機繊維は、労働衛生上の法規制の対象である長さ5μm以上、直径3μm以下、アスペクト比(長さ/直径)が3を超える針状結晶(ウィスカー、ひげ結晶)の無機繊維を含んでいない。
【0017】
摩擦材は、繊維基材として他の無機繊維、有機繊維および粉末体を適宜選択して含んでいる。金属繊維としては、例えば鉄繊維,銅繊維を使用することができる。金属粉としては、銅粉などを使用することができ、有機繊維としては、アラミド繊維などを使用することができる。しかしモース硬度が8よりも大きい高硬度のセラミックスファイバーを含んでいないことが好ましい。
【0018】
繊維基材の総添加量は、摩擦材全体に対して20〜50体積%であることが好ましい。そして中硬度の無機繊維(非金属無機繊維)の添加量は、摩擦材全体に対して0.5〜20体積%であることが好ましく、1体積%以上、5体積%以上、15体積%以下であることがより好ましい。
【0019】
充填材(摩擦調整剤)は、摩擦係数の調整、異音調整、錆防止などのために含まれるものであって、無機充填材,有機充填材,潤滑剤などが適宜含まれる。そして本摩擦材は、充填材としてゴムを含んでいる。
ゴムとしては、例えば、天然ゴム、あるいはイソプレンゴム、NBR、SBR、アクリルゴム、シリコーンゴム、アクリルニトリルゴムなどの合成ゴムを使用することができ、これらを一種、または複数含んでいる。
【0020】
ゴムの添加量は、摩擦材全体に対して0.1〜10体積%であることが好ましく、1体積%以上、5体積%以上、8体積%以下であることがより好ましい。
無機繊維の添加量とゴムの添加量の体積比率は、2:1〜10:1であり、好ましくは、2:1〜5:1、3:1〜5:1である。
【0021】
無機充填剤としては、硫酸バリウム,水酸化カルシウム,酸化ジルコン,炭酸カルシウム,雲母(マイカ),カオリン,タルク、硫化物などが必要に応じて含まれる。有機充填剤としては、ゴム以外にカシューダストなどが含まれ、潤滑剤としては、黒鉛(グラファイト),三硫化アンチモン,二硫化モリブデン,二硫化亜鉛などが含まれる。
【0022】
結合剤としては、有機物である樹脂が使用される。例えばフェノール樹脂,イミド樹脂,ゴム変性フェノール樹脂,メラミン樹脂,エポキシ樹脂,NBR,ニトリルゴム,アクリルゴムなどが使用される。結合剤は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合せて使用することもできる。結合剤の添加量は、摩擦材全体の5〜30体積%であることが好ましい。
【0023】
摩擦材の製造方法は、先ず、摩擦材原料を混合機で混合して原料混合物を得る。混合機としては、アイリッヒミキサー、ユニバーサルミキサー、レーディゲミキサーなどを利用することができる。
次に、原料混合物を予備金型によって予備成形し、予備成形品を成形用金型によって加圧加熱成形する。加圧加熱成形における成形温度は、130〜200℃、成形圧力は、100〜1000kgf/cm2、成形時間は、2〜15分である。次に、成形体を140〜400℃で2〜48時間硬化させる。
【実施例】
【0024】
以下に、本発明に係る実施例1〜7と、比較例1〜6を具体的な数字を用いて説明する。
実施例1,2に係る摩擦材と、比較例1〜6に係る摩擦材は、図1に示す原料成分を図1に示す配合量で有している。図1に示す無機繊維A,Bは、中硬度の無機繊維(非金属無機繊維)であって、無機繊維Aがガラス繊維、無機繊維Bがチタン酸リチウムカリウムである。ゴムAは、アクリルニトリルゴムであり、ゴムBは、シリコーンゴムである。
【0025】
実施例1〜6に係る摩擦材は、無機繊維AとゴムAを有しており、実施例1〜6の順でゴムAの含有量が少なくなっている。実施例7に係る摩擦材は、二種類の無機繊維A,Bと、二種類のゴムA,Bを有している。
無機繊維の添加量とゴムの添加量の体積比率は、実施例1,4が2:1、実施例7が2.4:1、実施例5が3:1、実施例2が4:1、実施例3,6が5:1である。
【0026】
比較例1に係る摩擦材は、中硬度の無機繊維とゴムを含んでいない。
比較例2,3に係る摩擦材は、中硬度の無機繊維(A,B)とゴムを有さず、これらの代わりにウィスカー、セラミックファイバーを有している。
比較例4に係る摩擦材は、ゴムを有さず、無機繊維Aを有している。
比較例5,6は、無機繊維AとゴムAを有しており、これら添加体積比率が100:1と0.5:1になっている。
【0027】
実施例1〜7と比較例1〜6に係る摩擦材の製造方法は、先ず、表1に示す原料をアイリッヒミキサーによって5分間乾式にて混合することで原料混合物を得た。次に、原料混合物を成形温度160℃、成形圧力200kgf/cm2、成形時間10分の条件において加圧加熱成形し、成形物を230℃、3時間の条件において硬化させた。
【0028】
次に、摩擦材の特性を測定するための実験を行って、実験結果を図2にまとめた。各特性は、以下のように測定した。
<摩擦係数> JASO C406に従って温度別摩擦試験を行い、100℃と200℃における平均摩擦係数を測定した。
<対面攻撃量> JASO C406に従って温度別摩擦試験を行い、100℃と200℃における相手材(鋳鉄製のディスクロータ)の摩耗量を測定し、制動回数1000回あたりの摩耗量を換算して図2にまとめた。
<鳴き性能> JASO C406に従って温度別摩擦試験を行い、100℃と200℃の試験中に所定のレベル以上の高周波音(500Hz以上の音)の発生回数を測定し、下記の基準によって鳴き発生状況を評価した。
◎:鳴き発生全くなし、 ○:鳴き発生微妙、 △:鳴き発生ややあり、 ×:鳴き発生多い
【0029】
<錆落し性> 錆を発生させた相手材の表面に摩擦材を摺接させて制動試験を行い、相手材に発生させた錆の掻き落とし状況を目視で確認し、下記の基準によって評価した。
◎:相手材の錆をほとんど掻き落とした、 ○:相手材の錆の多くを掻き落とした、 △:相手材の錆を少し掻き落とした、 ×:相手材の錆をほとんど掻き落とさなかった
<環境負荷性> 労働衛生上の法規制の物質を含まないものを○とし、労働衛生上の法規制の物質を含むものを×と評価した。
<被膜付着量(低周波ノイズ)> 摩擦材を相手材に摺接させて異音(300Hz以下の低周波の音)が発生するか否かを測定し、下記の基準によって評価することで被膜付着量を評価した。
◎:異音発生全くなし、 ○:異音発生微妙、 △:異音発生ややあり、 ×:異音発生多い
【0030】
実施例1〜7と比較例1の実験結果を比較することで、中硬度の無機繊維(非金属無機繊維)とゴムを含有させることによって、対面攻撃量を小さくし、鳴き性能を向上させ得ることがわかった。
実施例1〜7と比較例2の実験結果を比較することで、ウィスカーに代えて中硬度の無機繊維とゴムとを含有させることによって、錆落し性と環境負荷性を向上させ得ることがわかった。
【0031】
実施例1〜7と比較例3の実験結果を比較することで、セラミックファイバーに代えて中硬度の無機繊維とゴムとを含有させることによって、対面攻撃量を小さくし、鳴き性能と環境負荷性を向上させ得ることがわかった。
実施例1〜7と比較例4の実験結果を比較することで、ゴムを含有させることによって、対面攻撃量を小さくし、鳴き性能と錆落し性を向上させ得ることがわかった。
【0032】
実施例1〜7と比較例5の実験結果を比較することで、中硬度の無機繊維のゴムに対する体積量を比較例5よりも減らすことによって、換言するとゴムの中硬度の無機繊維に対する体積量を比較例5よりも増やすことによって、対面攻撃量を減少させ、鳴き性能と錆落し性を向上させ得ることがわかった。
比較例5の実験結果から、中硬度の無機繊維のゴムに対する体積量を実施例1〜7よりも減らすことによって、換言するとゴムの中硬度の無機繊維に対する体積量を実施例1〜7よりも増やすことによって、被膜付着量が増えて低周波ノイズが発生してしまうことがわかった。
【0033】
実施例1〜7の実験結果から、中硬度の無機繊維とゴムの添加量の体積比率を2:1〜5:1にすることによって、対面攻撃量と被膜付着量を十分に小さくすることができ、鳴き性能と錆落し性と環境負荷性を良好とし、かつ所望の摩擦係数を得ることがわかった。
また実施例1〜7の実験結果から、無機繊維の添加量が0.5体積%以上、ゴムの添加量が0.1体積%以上とすることによって、対面攻撃量と被膜付着量を十分に小さくすることができ、鳴き性能と錆落し性と環境負荷性を良好とし、かつ所望の摩擦係数を得ることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、産業機械、鉄道車両、荷物車両、乗用車などに使用されるブレーキパッド、ブレーキライニング、クラッチフェーシング等に利用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施例と比較例に係る摩擦材の原料成分と配合量とをまとめた図である。
【図2】実施例と比較例に係る摩擦材の実験結果をまとめた図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維基材と充填材と結合剤を主成分に有する摩擦材であって、
前記繊維基材は、非金属無機材料を原料とし、モース硬度が4〜8の中硬度の無機繊維を有しており、かつ長さ5μm以上、直径3μm以下、アスペクト比(長さ/直径)が3を超える無機繊維を有しておらず、
前記充填材は、ゴムを有しており、
前記中硬度の無機繊維の添加量と前記ゴムの添加量の体積比率が2:1〜10:1であることを特徴とする摩擦材。
【請求項2】
請求項1に記載の摩擦材であって、
中硬度の無機繊維の添加量は、摩擦材全体に対して0.5〜20体積%であることを特徴とする摩擦材。
【請求項3】
請求項1または2に記載の摩擦材であって、
ゴムとして、天然ゴム、イソプレンゴム、NBR、SBR、アクリルゴム、シリコーンゴムの少なくとも一つを含んでいることを特徴とする摩擦材。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の摩擦材であって、
ゴムの添加量は、摩擦材全体に対して0.1〜10体積%であることを特徴とする摩擦材。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の摩擦材であって、
中硬度の無機繊維の添加量とゴムの添加量の体積比率が2:1〜5:1であることを特徴とする摩擦材。
【請求項6】
繊維基材と充填材と結合剤を主成分に有する摩擦材であって、
前記繊維基材は、ガラス繊維、ロックウール、スラグウールの少なくとも一つの非金属無機繊維を有しており、かつ長さ5μm以上、直径3μm以下、アスペクト比(長さ/直径)が3を超える無機繊維を有しておらず、
前記充填材は、ゴムを有しており、
前記非金属無機繊維の総添加量と前記ゴムの添加量の体積比率が2:1〜10:1であることを特徴とする摩擦材。
【請求項7】
請求項6に記載の摩擦材であって、
非金属無機繊維は、モース硬度が4〜8であることを特徴とする摩擦材。
【請求項8】
請求項6または7に記載の摩擦材であって、
非金属無機繊維の添加量は、摩擦材全体に対して0.5〜20体積%であることを特徴とする摩擦材。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれかに記載の摩擦材であって、
ゴムとして、天然ゴム、イソプレンゴム、NBR、SBR、アクリルゴム、シリコーンゴムの少なくとも一つを含んでいることを特徴とする摩擦材。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれかに記載の摩擦材であって、
ゴムの添加量は、摩擦材全体に対して0.1〜10体積%であることを特徴とする摩擦材。
【請求項11】
請求項6〜10のいずれかに記載の摩擦材であって、
非金属無機繊維の添加量とゴムの添加量の体積比率が2:1〜5:1であることを特徴とする摩擦材。



【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−186591(P2007−186591A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−5678(P2006−5678)
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【Fターム(参考)】