説明

撮像素子、それを用いた撮像光学系および撮像装置

【課題】従来は、可視撮像センサと赤外撮像センサを有する撮像素子においてセンサに効率的に可視光を集光する機能が無いという問題があった。また、反射光学系では可視光と赤外光の結像位置が同じであるため撮像素子の同一面に可視撮像センサと赤外撮像センサを有する撮像素子と組み合わせる必要があるという問題があった。
【解決手段】基板と、前記基板の光照射面側に設けられ、可視光を電気信号に変換する可視撮像センサと、前記基板を挟んで前記可視撮像センサと対向する位置に設けられ、赤外光を電気信号に変換する赤外撮像センサと、前記可視撮像センサの光照射面側に設けられ、前記可視光を集光し、前記赤外光を透過する集光素子と、を備える撮像素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視光の撮像と赤外光の撮像の機能を有する撮像素子と撮像光学系とそれを用いた撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、シリコン基板の光入射面側に可視撮像センサと赤外撮像センサを設けた撮像素子が提案されている(特許文献1)。
【0003】
また、シリコン基板の光入射面側に可視撮像センサ、基板を挟んだ反対面に赤外撮像センサを設けた撮像素子が提案されている(特許文献2)。
【0004】
さらに、可視光と赤外光の撮像光学系として反射光学系を用いることが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−289492号公報
【特許文献2】特開2004−103964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1、2に開示された撮像素子では、ショットキダイオードからなるセンサに効率的に可視光を集光することができない。
【0007】
また、上記特許文献1に開示された反射光学系では可視光と赤外光の結像位置が同じであるため、撮像素子の一つの面に可視撮像センサと赤外撮像センサとを有する撮像素子が必要である。そのため、可視撮像センサや赤外撮像センサに効率良く可視光や赤外光を集光させることができない。そのため、撮像素子の感度が低くなってしまう。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、高感度で先鋭な画質を得られる撮像素子、撮像光学系および撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する撮像装置は、基板と、前記基板の光照射面側に設けられ、可視光を電気信号に変換する可視撮像センサと、前記基板を挟んで前記可視撮像センサと対向する位置に設けられ、赤外光を電気信号に変換する赤外撮像センサと、前記可視撮像センサの光照射面側に設けられ、前記可視光を集光し、前記赤外光を透過する集光素子と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高感度で先鋭な画質を得られる撮像素子、撮像光学系および撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1に係る撮像素子の概略構成を示す断面図
【図2】実施の形態2に係る集光素子の断面図
【図3】実施の形態3に係る撮像装置の概略構成を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る撮像素子100の概略構成を示す断面図である。撮像素子100は、基板101と、レンズアレイ103と、可視撮像センサ104と、赤外撮像センサ105と、を備える。
【0014】
基板101は、例えば、シリコンなどの透明な材料で形成されている。基板101の光照射面102側には、可視撮像センサ104が設けられている。また、基板101を挟んで可視撮像センサ104と対向する位置には、赤外撮像センサ105が設けられている。また、基板101の光照射面102側には、レンズアレイ103が設けられている。具体的には、レンズアレイ103は、可視撮像センサ104を覆うように設けられた絶縁層の上に設けられている。
【0015】
レンズアレイ103は、集光素子の一例である。レンズアレイ103は、基板101の光照射面102側から入射する可視光と赤外光を透過するCaF2、BaF2、MgF2などの材料で形成されている。また、レンズアレイ103は、可視撮像センサ104の配置に合わせてアレイ状に形成されている。レンズアレイ103に入射した可視光は、レンズアレイ103を介して可視撮像センサ104上に集光される。これにより、可視撮像センサ104の高感度化が図られる。
【0016】
可視撮像センサ104は、入射した可視光を電気信号に変換する機能を有しており、例えば、フォトダイオードで形成されている。
【0017】
レンズアレイ103に入射した赤外光は、レンズアレイ103を透過し、基板101に一部吸収されながら赤外撮像センサ105に入射する。
【0018】
赤外撮像センサ105は、入射した赤外光を電機信号に変換する機能を有しており、例えば、ショットキーダイオードで形成されている。また、エッチング技術により基板101内に中空構造を形成し、その中に設けられた熱抵抗素子や熱起電力素子を、赤外撮像センサ105としてもよい。
【0019】
赤外光は、例えば、波長が3μmから14μmの範囲の光である。赤外光は比較的波長が大きいため、必然的に解像度をあげにくい。そのため形成される赤外撮像センサ105の総数は少なくて済む。さらに、赤外撮像センサ105が有する撮像領域の面積は、可視撮像センサ104が有する撮像領域の面積よりも大きく形成されている。このような構成にすることで、赤外撮像センサ105の感度を高めることができる。
【0020】
(実施の形態2)
図2は、実施の形態2に係る集光素子200の断面図である。集光素子200は、同心構造の複数のゾーン領域から構成される。集光素子200は、光軸201付近では可視光と赤外光とが共に透過するCaF2が密に、外側のゾーン領域に向かうに従って疎へ変化していくことで、分布屈折率レンズ作用を有する。このとき、各ゾーンの幅202は可視光の波長と同程度かそれより小さくなっており、光が感じる有効屈折率は、そのゾーン領域内の高屈折率材料であるCaF2と低屈折率材料である空気の体積比で決まっている。集光素子200は、基板101の光照射面102側に設けられ、可視撮像センサ104に可視光を集光する。このような構成にすることで、可視撮像センサ104を従来よりも高感度化することができる。
【0021】
(実施の形態3)
図3は、実施の形態3に係る撮像装置302の概略構成を示す断面図である。
【0022】
撮像装置302は、撮像光学系300と、実施の形態1に係る撮像素子100を有する撮像部301とを備える。
【0023】
撮像光学系300は、第1レンズ303と、第2レンズ304と、第1レンズ303および第2レンズ304を保持する鏡筒305とを備える。
【0024】
第1レンズ303はZnSe、第2レンズ304はZnSで形成されている。第1レンズ303と第2レンズ304は、可視光と赤外光を透過する。 撮像光学系300は、各レンズ材料の波長分散作用により、赤外光の結像位置と前記可視光の結像位置とが、前記撮像素子の基板の厚さの分異ならせる光学機能を有している。具体的には、赤外光の結像位置は、撮像素子100の基板の厚み相当分だけ可視光の結像位置より被写体側から離れる。
【0025】
上述した撮像光学系300と撮像素子100を有する撮像部301とを組み合わせることで撮像装置302が形成される。このような撮像装置302は、従来よりも高感度で先鋭な画質を実現することができる。
【0026】
赤外光は、例えば、波長が3μmから14μmの範囲の光である。第1レンズ303および第2レンズ304を形成する材料は、被写体の種類や、撮像装置302を使用する目的に応じて適宜選択される。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明に係る撮像素子、撮像光学系、撮像装置は、防犯用の監視カメラや車載用カメラ等に適用できる。
【符号の説明】
【0028】
100 撮像素子
101 基板
103 レンズアレイ
104 可視撮像センサ
105 赤外撮像センサ
200 レンズアレイ
201 光軸
202 ゾーン領域の幅
300 撮像光学系
301 撮像部
302 撮像装置
303 第1レンズ
304 第2レンズ
305 鏡筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の光照射面側に設けられ、可視光を電気信号に変換する可視撮像センサと、
前記基板を挟んで前記可視撮像センサと対向する位置に設けられ、赤外光を電気信号に変換する赤外撮像センサと、
前記可視撮像センサの光照射面側に設けられ、前記可視光を集光し、前記赤外光を透過する集光素子と、
を備える撮像素子。
【請求項2】
前記集光素子は、アレイ状に形成されたレンズアレイである、
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項3】
前記集光素子は、CaF2、BaF2、MgF2のうちいずれか一つの材料で形成されている、請求項1に記載の撮像素子。
【請求項4】
前記集光素子は、前記可視光と前記赤外光を透過する材料で可視光の波長と同程度かそれより小さな線幅で分割された同心構造の複数のゾーン領域の組合せによって構成されている、
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項5】
前記赤外撮像センサは、前記可視撮像センサより大面積である、
請求項1記載の撮像素子。
【請求項6】
請求項1に記載の撮像素子に前記可視光および赤外光を結像される光学系であって、
前記可視光および赤外光を前記撮像素子に結像させるレンズを備え、
前記レンズは、
前記赤外光の結像位置と前記可視光の結像位置とが、前記撮像素子の基板の厚さの分異ならせる光学機能を有する
撮像光学系。
【請求項7】
前記赤外光は波長が3μmから14μmの光である、
請求項1記載の撮像素子。
【請求項8】
前記赤外光は波長が3μmから14μmの光である、
請求項6に記載の撮像光学系。
【請求項9】
請求項1に記載の撮像素子と、請求項6に記載の撮像光学系と、
を備える撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−159681(P2011−159681A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18150(P2010−18150)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】