説明

撮像装置、撮像装置の制御方法及び制御プログラム

【課題】近距離被写体に対して光を照明することを可能とする撮像装置を提供する。
【解決手段】マクロ撮影が可能な撮影レンズ(21)を搭載した撮像装置であり、近距離被写体に対して光を発光する発光素子(23)を撮影レンズ(21)の周辺(22)に配置したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストロボ内蔵型の撮像装置に関し、特に、ズームレンズを有し、マクロ撮影を可能とする撮像装置、その撮像装置の制御方法及び制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
小型、軽量という利点を持つストロボ内蔵型の撮像装置は、その手軽さゆえに産業上急速に普及している。以下、図1を参照しながら、ストロボ内蔵型の撮像装置について説明する。
【0003】
ストロボ内蔵型の撮像装置は、図1に示すように、撮影レンズ(1)と、ストロボ発光部(7)と、が間隔(L)だけ離れて撮像装置本体(10)に配置される。また、撮影レンズ(1)により得られた被写体像は、CCD(2)が受光することになる。
【0004】
なお、ストロボ発光部(7)は、例えば、フレネルレンズ(4)、Xe管(5)、反射笠(5)等から構成される。
【0005】
Xe管(5)から発光された光は、フレネルレンズ(4)で屈折作用を受け、『被写体』に照射される。フレネルレンズ(4)は、Xe管(5)から発光された光を効率良く『被写体』に照射する機能を有して構成される。
【0006】
なお、ストロボ発光部(7)から照射するストロボ光の照射範囲は、フレネルレンズ(4)、反射笠(6)からなる集光光学系により制御され、撮影レンズ(1)の画角に合わせて、撮影機会の多い被写体距離(9a)の撮影時に適正な光量分布が得られるように設定される。
【0007】
また、ストロボ内蔵型の撮像装置は、ズームレンズを搭載したものが多く、それに伴い、ストロボ発光部(7)から照射するストロボ光も撮影レンズ(1)の各焦点距離において適正な光量分布が得られるように、ズーム化されたものが多くなっている。
【0008】
ここで、ストロボ内蔵型の撮像装置は、撮影レンズ(1)の光軸(3)と、ストロボ発光部(7)の光軸(8)と、が間隔(L)だけ離れて撮像装置本体(10)内に配置されるため、被写体距離が、ストロボ発光部(7)の照射範囲の設計基準である被写体距離(9a)より遠い場合には、撮影画角の全域がストロボ光で照明されることになるが、被写体距離が近い場合(例えば、図1に示す9b,9c)には、撮影画角とストロボ照射範囲にパララックスが発生してしまうことになる。
【0009】
この場合、ストロボ発光部(7)から照射するストロボ光は、撮影範囲の全域をカバーできなくなり、画面内で被写体が均一に照明されなくなる。そしてこの状態で撮影した画像は照度ムラの大きいものとなる。
【0010】
例えば、『被写体』が被写体距離(9b)にある場合には、『被写体』のストロボ側の半分の領域は、照明されることになるが、撮影レンズ(1)側の半分の領域は、照明されないことになる。さらに、被写体距離が、撮像装置本体(10)側に近づき、『被写体』が被写体距離(9c)に至れば、ついには全く照明効果が得られなくなる。このため、微小物のマクロ撮影や至近距離での撮影時においては、ストロボ発光部(7)から照射するストロボ光を用いて良好な画像を撮像することは困難となる。
【0011】
なお、マクロ撮影領域や至近距離での撮影範囲に照射範囲を一致させ、それより遠距離側を全てカバーするようにフレネルレンズ(4)や反射笠(6)を設計することも可能であるが、Xe管(5)の発光量が通常と同じであれば照射範囲を広くした分だけ、光量の届く距離が短くなってしまうことになる。
【0012】
これを改善するために光量アップを図ろうと試みると、Xe管(5)のサイズや発光回路のコンデンサを大きくしたり、電源の容量を増やしたりする必要が生じ、この結果、撮像装置のサイズが大きくなってしまい、コンパクト化を図ることが困難となってしまうことになる。
【0013】
このようなことから、本発明より先に出願された技術文献として、ズーム駆動カム領域とフォーカス駆動カム領域とが交互に形成されたレンズ駆動カム部材を用いて撮影レンズの段階的なズーミングおよび各ズーム段でのフォーカシングを行うレンズ駆動機構と、このレンズ駆動機構のズーミング動作に連動してストロボ装置の配光角度を変更する配光角変更機構とを備えたカメラにおいて、前記配光角変更機構は、前記レンズ駆動機構のフォーカシング動作に連動して作動し、前記ストロボ装置の配光角度を、被写体距離が遠距離側のときよりも近距離側のときの方が広角になるように変更し、近距離被写体に対して適正な露光量での撮像を可能とするカメラが開示された文献がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−350184号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
なお、上記特許文献1は、ストロボ装置の配光角度を変更する配光角変更機構を新たに搭載し、レンズ駆動機構のフォーカシング動作に連動して作動し、ストロボ装置の配光角度を、被写体距離が遠距離側のときよりも近距離側のときの方が広角になるように変更し、近距離被写体に対して適正な露光量での撮像を可能としているが、撮影レンズの周辺に対し、被写体を照明するための発光素子を設けることについては何ら考慮されたものではない。
【0015】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ストロボ装置に対して新たな機能を搭載することなく、近距離被写体に対して光を照明することを可能とする撮像装置、その撮像装置で行う制御方法及び制御プログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
かかる目的を達成するために、本発明は以下の特徴を有することとする。
【0017】
本発明にかかる撮像装置は、マクロ撮影が可能な撮影レンズを有する撮像装置であって、近距離被写体に対して光を発光する発光素子が撮影レンズの周辺に配置されてなることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明にかかる撮像装置において、発光素子は、撮像レンズが配置される鏡胴内に配置されてなることを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明にかかる撮像装置は、近距離被写体との距離に応じて発光素子から発光する発光状態を制御する発光状態制御手段を有することを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明にかかる撮像装置は、発光状態制御手段により制御する発光状態を、近距離被写体と発光素子との距離に応じて補正する発光状態補正手段を有することを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明にかかる撮像装置は、近距離被写体と発光素子との距離に応じて、発光素子から発光する発光状態を制御する発光状態制御手段を有することを特徴とするものである。
【0022】
また、本発明にかかる撮像装置において、発光素子は、1チップの白色LED、または、RGBの各チップを搭載したLEDであることを特徴とするものである。
【0023】
また、本発明にかかる制御方法は、マクロ撮影が可能な撮影レンズと、近距離被写体に対して光を発光する発光素子と、を有し、発光素子は、撮影レンズの周辺に配置されてなる撮像装置で行う制御方法であって、近距離被写体との距離に応じて発光素子から発光する発光状態を制御する発光状態制御工程を、撮像装置が行うことを特徴とするものである。
【0024】
また、本発明にかかる制御方法は、発光状態制御工程により制御する発光状態を、近距離被写体と発光素子との距離に応じて補正する発光状態補正工程を、撮像装置が行うことを特徴とするものである。
【0025】
また、本発明にかかる制御方法は、マクロ撮影が可能な撮影レンズと、近距離被写体に対して光を発光する発光素子と、を有し、発光素子は、撮影レンズの周辺に配置されてなる撮像装置で行う制御方法であって、近距離被写体と発光素子との距離に応じて、発光素子から発光する発光状態を制御する発光状態制御工程を、撮像装置が行うことを特徴とするものである。
【0026】
また、本発明にかかる制御プログラムは、マクロ撮影が可能な撮影レンズと、近距離被写体に対して光を発光する発光素子と、を有し、発光素子は、撮影レンズの周辺に配置されてなる撮像装置において実行させる制御プログラムであって、近距離被写体との距離に応じて発光素子から発光する発光状態を制御する発光状態制御処理を、撮像装置において実行させることを特徴とするものである。
【0027】
また、本発明にかかる制御プログラムは、発光状態制御処理により制御する発光状態を、近距離被写体と発光素子との距離に応じて補正する発光状態補正処理を、撮像装置において実行させることを特徴とするものである。
【0028】
また、本発明にかかる制御プログラムは、マクロ撮影が可能な撮影レンズと、近距離被写体に対して光を発光する発光素子と、を有し、発光素子は、撮影レンズの周辺に配置されてなる撮像装置において実行させる制御プログラムであって、近距離被写体と発光素子との距離に応じて、発光素子から発光する発光状態を制御する発光状態制御処理を、撮像装置において実行させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、近距離被写体に対して光を発光する発光素子を撮影レンズの周辺に配置することで、近距離被写体に対して光を照明することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
まず、図2を参照しながら、本実施形態における撮像装置の特徴について説明する。
【0031】
本実施形態における撮像装置は、マクロ撮影が可能な撮影レンズ(21)を搭載した撮像装置であり、近距離被写体に対して光を発光する発光素子(23)を撮影レンズ(21)の周辺(22)に配置したことを特徴とするものである。これにより、近距離被写体に対して光を照明することが可能となる。以下、添付図面を参照しながら、本実施形態における撮像装置について説明する。
【0032】
(第1の実施形態)
まず、図2、図3を参照しながら、本実施形態における撮像装置の構成について説明する。なお、図2は、本実施形態における撮像装置の正面図を示し、図3は、本実施形態における撮像装置の断面図を示す。
【0033】
本実施形態における撮像装置は、図2、図3に示すように、ストロボ光を発光するストロボ発光部(20)と、マクロ撮影が可能な撮影レンズ(21)と、撮影レンズ(21)において撮影した撮影画像を受光するCCD(24)と、を有して構成される。
【0034】
なお、本実施形態における撮像装置は、図2に示すように、撮影レンズ(21)の周辺(22)に対し、照明LED(23)を配置し、近距離被写体に対して光を発光することになる。このように、本実施形態における撮像装置は、照明LED(23)を、撮影レンズ(21)の周辺(22)に配置することで、撮像装置のコンパクト化を図りつつ、近距離被写体に対して光を発光することが可能となる。
【0035】
なお、ストロボ発光部(20)は、例えば、図3に示すように、フレネルレンズ(201)、Xe管(202)、反射笠(203)等から構成され、Xe管(202)から発光された光は、フレネルレンズ(201)で屈折作用を受け、『被写体』に照射されることになる。
【0036】
また、照明LED(23)は、図3に示すように、LED(231)と、投光レンズ(232)と、を有して構成され、LED(231)から発光されたLED光は、投光レンズ(232)で屈折作用を受け、『被写体』に照射されることになる。なお、照明LED(23)は、図3に示すように、鏡胴内に設けることで、鏡胴によるケラレの発生を解消することが可能となる。
【0037】
なお、照明LED(23)は、図4、図5に示すように、投光レンズ(232)の前面に、拡散板(233)を配置し、LED(231)から発光する光の指向性を改善し、照明LED(23)から『被写体』に照射される光の照明ムラを軽減するようにすることも可能である。なお、図4は、照明LED(23)を、撮影レンズ(21)の上側に配置した状態の構成を示し、図5は、照明LED(23)を、撮影レンズ(21)の左側に配置した状態の構成を示す。
【0038】
なお、図4に示すように、照明LED(23)を、撮影レンズ(21)の上下に配置することでも、被写体をカバーすることは可能であるが、図5に示すように、照明LED(23)を、撮影レンズ(21)の左右に配置し、照明LED(23)の光軸(25)を傾けるように構築することで、被写体をカバーすることが可能な範囲を更に広げることが可能となる。
【0039】
また、図5に示すように、マクロ撮影範囲(27)で、照明LED(23)の光軸(25)を、撮影レンズ(21)の光軸(26)と交叉させように構築することで、照明LED(23)の光軸(25)と撮影レンズ(21)の光軸(26)とが交叉する前後の位置でも、照明LED(23)から発光する光を照写体に照射することが可能となる。
【0040】
次に、図6を参照しながら、本実施形態における撮像装置の制御動作について説明する。なお、図6は、撮像装置の制御回路の構成を示す図である。
【0041】
本実施形態における撮像装置は、操作部(30)と、外部AF(31)と、制御部(32)と、ストロボ発光部(33)と、照明LED(34)と、表示部(35)と、記憶部(36)と、CCD(37)と、フォーカス部(38)と、を有して構成される。
【0042】
操作部(30)は、撮像装置における各種操作を行うものであり、操作部(30)から操作された操作情報は、制御部(32)に出力される。
【0043】
外部AF(31)は、撮影レンズ(21)から被写体までの距離を測定するものであり、その測定した距離情報は、制御部(32)に出力される。
【0044】
制御部(32)は、本実施形態における撮像装置の各種制御を行うものである。
【0045】
ストロボ発光部(33)は、ストロボ光を被写体に照射するものであり、制御部(32)からの制御により、ストロボ発光部(33)からストロボ光が被写体に照射される。
【0046】
照明LED(34)は、LED光を被写体に照射するものであり、制御部(32)からの制御により、照明LED(34)からLED光が被写体に照射される。
【0047】
表示部(35)は、各種情報を表示するものであり、制御部(32)からの制御により、表示部(35)に各種情報が表示される。
【0048】
記憶部(36)は、各種情報を記憶するものである。
【0049】
CCD(37)は、撮影レンズ(21)が撮影した撮影画像を受光するものであり、その受光した撮影画像の情報は、制御部(32)に出力される。
【0050】
フォーカス部(38)は、撮影レンズ(21)から被写体までの距離を制御するものであり、制御部(32)からの制御により、フォーカス部(38)が、撮影レンズ(21)から被写体までの距離を調整する。
【0051】
本実施形態における撮像装置は、制御部(32)が、ストロボ発光部(33)と、照明LED(34)と、を制御し、ストロボ発光時とLED発光時とを切り替えることになる。
【0052】
また、制御部(32)は、CCD(37)から入力される撮影画像の情報と、外部AF(31)から入力される距離情報と、を基に、フォーカス部(38)を制御し、撮影レンズ(21)の位置を調整したり、ストロボ発光部(33)または照明LED(34)から光を照射するかを決定したりする。
【0053】
また、制御部(32)は、CCD(38)から入力される画像情報を基に、画像処理を行い、その画像処理を行った画像情報を記憶部(36)に記憶する。
【0054】
次に、図7を参照しながら、本実施形態の撮像装置における制御動作について説明する。なお、図7は、被写体に照明する光の選択動作と、撮影動作と、の制御動作を示す図である。
【0055】
まず、制御部(32)は、CCD(37)から入力される撮影画像の情報と、外部AF(31)から入力される距離情報と、を基に、フォーカス部(38)を制御し、撮影レンズ(21)の位置を調整し、フォーカス調整を行う(ステップS1)。
【0056】
次に、制御部(32)は、低輝度照明撮影か否かを判断し(ステップS2)、低輝度照明撮影でないと判断した場合は(ステップS2/No)、制御部(32)は、通常の一般撮影を行うように制御し、一般撮影を開始することになる(ステップS3)。
【0057】
なお、ステップS2における低輝度照明撮影か否かは、被写体の明るさと、設定モードと、を基に判断する。
【0058】
例えば、被写体の明るさが暗い場合には、低輝度照明撮影であると判断し、設定モードが、強制発光モードに設定されている場合には、低輝度照明撮影であると判断する。
【0059】
被写体の明るさは、CCD(37)から入力される撮影画像の情報を基に判断することになり、制御部(32)は、撮影画像の情報から画像輝度情報(撮影画像の高度レベルを示す情報)を取得し、該取得した画像輝度情報を基に、予め設定されている低輝度発光輝度レベルを参照し、該取得した画像輝度情報が、低輝度発光輝度レベルであると判断した場合に、低輝度照明撮影であると判断することになる。
【0060】
通常、手ぶれが発生するシャッタースピードより遅いシャッタースピードとなる明るさよりも被写体の明るさが暗い場合には、ストロボ光を発光する値となる。例えば、ズームワイド端で1/30秒,ズームテレ端で1/90秒に設定される。
【0061】
また、設定モードは、操作部(30)から入力される操作情報を基に設定したり、外部AF(31)から入力される距離情報と、設定モードと、が対応づけられた対応テーブルを記憶部(36)に予め記憶し、外部AF(31)から入力される距離情報を基に、記憶部(36)に予め記憶されている対応テーブルを参照し、外部AF(31)から入力された距離情報に応じた設定モードに設定したりすることになる。例えば、外部AF(31)から入力された距離情報が30cm未満の場合には、マクロ撮影モードとし、30cm以上の場合には、ストロボ照明設定モードとする。
【0062】
なお、ステップS2において、制御部(32)は、低輝度照明撮影であると判断した場合は(ステップS2/Yes)、低輝度照明撮影がマクロ撮影か否かを判断し(ステップS4)、マクロ撮影であると判断した場合は(ステップS4/Yes)、LED照明を選択し(ステップS5)、照明LEDの発光状態を設定し(ステップS6)、該設定した発光状態で、照明LEDによる撮影を開始することになる(ステップS7)。
【0063】
また、制御部(32)は、マクロ撮影でないと判断した場合は(ステップS4/No)、ストロボ照明を選択し、(ステップS8)、ストロボ光による撮影を開始することになる(ステップS7)。なお、ストロボ光による撮影の場合は、従来と同様な制御で行う。
【0064】
なお、ステップS6における照明LEDの発光状態の設定は、照明LEDの発光状態と、被写体を撮像する際の撮影条件により決定される発光光量と、が対応づけられた対応テーブルを記憶部(36)に予め記憶しておき、制御部(32)は、被写体を撮像する際の撮影条件により決定される発光光量を基に、記憶部(36)に記憶した対応テーブルを参照し、撮像条件により決定される発光光量に対応づけられた照明LEDの発光状態を選択し、該選択した発光状態にて照明LED(23)から光を発光するように制御することで、被写体を撮像する際に、適切な発光状態で照明LED(23)から光を発光することになる。
【0065】
なお、GNO(発光光量):10、F値:22、ISO:100の場合の撮像装置では、撮影距離:Aは、A=GNO/F値=10/22=0.45mとなる。
【0066】
ここで、GNO制御可能なストロボとすると、5段階のGNO制御が可能な場合には、ストロボ撮影が可能な撮影距離:Aは、0.08mまでとなる。このため、撮影距離:Aが0.08m以下の場合には、照明LED(23)を用いて撮影することになる。
【0067】
現在、DCでは、撮影距離(鏡胴全面から被写体までの距離):Aが0.01mの仕様があるため、照明LED(23)は、この領域で使用することになる。
【0068】
このように、本実施形態における撮像装置は、被写体との撮影距離に応じて、ストロボ発光部(20)と、照明LED(23)と、を制御し、ストロボ発光部(20)から光を発光するか、照明LED(23)から光を発光するか、を適宜選択し、照明LED(23)を選択する場合には、被写体との撮影距離に応じて、照明LED(23)から発光する発光状態を制御して光を発光することで、近距離被写体を撮像する際に、適切な発光状態で照明LED(23)から光を発光して撮像することが可能となる。
【0069】
なお、上述した制御動作では、ステップS4において、マクロ撮影であると判断した場合は(ステップS4/Yes)、LED照明を選択し(ステップS5)、マクロ撮影でないと判断した場合は(ステップS4/No)、ストロボ照明を選択することとしたが(ステップS8)、ストロボ撮影でもマクロ領域の一部の領域までをカバーすることが可能である場合には、被写体との撮影距離を考慮し、LED照明と、ストロボ照明と、の選択条件を適宜変更することも可能である。
【0070】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
【0071】
第2の実施形態における撮像装置は、被写体と照明LED(23)との距離に応じて照明LED(23)から発光する発光状態を補正することを特徴とする。これにより、照明LED(23)から発光する発光状態を補正することが可能となる。以下、図8を参照しながら、第2の実施形態の撮像装置について説明する。
【0072】
図8に示すように、撮影距離は、CCD(24)から被写体までの距離を示すが、鏡胴内に照明LED(23)を配置すると、鏡胴の移動に伴い、照明LED(23)も移動することになり、この照明LED(23)の移動により、照明LED(23)から被写体までの距離が変化することになる。このため、第1の実施形態のように、CCD(24)から被写体までの撮影距離に応じて、照明LED(23)から発光する発光状態を制御して光を発光した場合には、照明LED(23)の移動により、照明LED(23)から発光する光の発光状態を変更する必要が生じることになる。このため、第2の実施形態における撮像装置は、照明LED(23)から被写体までの距離に応じて、照明LED(23)から発光する光の発光状態を補正することにする。
【0073】
なお、発光状態の補正は、照明LED(23)から被写体までの照明距離と、補正量と、が対応づけられた対応テーブルを記憶部(36)に記憶し、被写体を撮影する際に、制御部(32)が、被写体を撮影する際の照明LED(23)から被写体までの照明距離に応じた補正量を基に、照明LED(23)から発光する光の発光状態を補正し、該補正した発光状態にてLED照明(23)から光を発光することになる。
【0074】
このように、第2の実施形態における撮像装置は、被写体と照明LED(23)との距離に応じて照明LED(23)から発光する発光状態を補正し、該補正した発光状態にて照明LED(23)から光を発光することで、被写体と照明LED(23)との距離に応じた発光状態で照明LED(23)から光を発光して撮像することが可能となる。
【0075】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
【0076】
第1の実施形態は、CCD(24)から被写体までの撮影距離に応じて、照明LED(23)から発光する発光状態を制御して光を発光することにしたが、第3の実施形態における撮像装置は、照明LED(23)から被写体までの照明距離に応じて、照明LED(23)から発光する発光状態を制御することを特徴とする。これにより、第2の実施形態のように、発光状態の補正を行うことなく、被写体と照明LED(23)との距離に応じた発光状態で照明LED(23)から光を発光して撮像することが可能となる。以下、図8、9を参照しながら、第3の実施形態における撮像装置について説明する。
【0077】
第3の実施形態における撮像装置は、まず、CCD(24)から被写体までの撮影距離を算出し(ステップS11)、該算出した撮影距離を基に、照明LED(23)から被写体までのLED照明距離を算出する。なお、LED照明距離の算出は、以下の式(1)により算出する(ステップS12)。
【0078】
LED照明距離=撮影距離−(CCD(24)から照明LED(23)までの距離)・・・式(1)
但し、CCD(24)から照明LED(23)までの距離は、規定値とする。
【0079】
次に、上記算出したLED照明距離と、露出条件と、を基に、発光光量を算出する(ステップS13)。
【0080】
なお、露出条件は、例えば、ISO:100の場合、F値(規定値)×距離=GNO(発光光量)となるため、発光光量:GNOは、F値×LED照明距離となる。
【0081】
次に、上記算出した発光光量:GNOを基に、照明LED(23)から発光する発光状態を設定する(ステップS14)。
【0082】
なお、上記の発光状態の設定は、第1の実施形態の制御動作を示す図7に示すステップS6と同様な処理を行うことになり、照明LEDの発光状態と、被写体を撮像する際の撮影条件により決定される発光光量:GNOと、が対応づけられた対応テーブルを記憶部(36)に予め記憶しておき、制御部(32)は、上記算出した発光光量:GNOを基に、記憶部(36)に記憶した対応テーブルを参照し、上記算出した発光光量:GNOに対応づけられた照明LEDの発光状態を選択し、該選択した発光状態にて照明LED(23)から光を発光するように制御することになる。これにより、被写体を撮像する際に、適切な発光状態で照明LED(23)から光を発光することになる。
【0083】
このように、第3の実施形態における撮像装置は、被写体から照明LED(23)までの照明距離に応じて、照明LED(23)から発光する発光状態を制御することで、被写体と照明LED(23)との距離に応じた発光状態で照明LED(23)から光を発光して撮像することが可能となる。
【0084】
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0085】
例えば、上述した撮像装置に搭載される照明用LED(23)を構成するLED(231)は、1チップの白色LEDや、RGBの各チップを搭載したLED等の発光素子が適用可能である。RGBの各チップを搭載したLEDを照明LED(23)を構成するLED(231)として適用することで、照明用LED(23)から発光する光を、ストロボ光の色温度に一致させることも可能になる。
【0086】
また、上述した本実施形態の撮像装置における制御動作は、ハード構成ではなく、コンピュータプログラム等のソフトウェアにより実行することも可能であり、また、上記のプログラムは、光記録媒体、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、または半導体等の記録媒体に記録し、その記録媒体からプログラムを、マクロ撮影が可能な撮影レンズ(21)を搭載した撮像装置に読み込ませることで、上述した送制御動作を撮像装置において実行させることも可能である。また、所定のネットワークを介して接続されている外部機器から上記のプログラムを、マクロ撮影が可能な撮影レンズ(21)を搭載した撮像装置に読み込ませることで、上述した制御動作を撮像装置において実行させることも可能である。
【0087】
また、撮影レンズ(21)の周辺(22)に配置する照明LED(23)は、図4、図5に示すように、左右、または、上下位置になるように回転制御させたり、複数の照明LED(23)を配置した場合には、複数の照明LEDの中から特定の照明LEDを選択するように構築することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明にかかる撮像装置、その撮像装置における制御方法及び制御プログラムは、マクロ撮影が可能な撮像レンズを搭載したカメラなどの機器に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】ストロボ内蔵型の撮像装置を説明するための図である。
【図2】本実施形態における撮像装置の照明の構成を示す図である。
【図3】本実施形態における撮像装置の断面の構成を示す図である。
【図4】本実施形態の撮像装置の断面の構成を示す図であり、照明LED(23)を、撮影レンズ(21)の上側に配置した状態の構成を示す図である。
【図5】本実施形態の撮像装置の断面の構成を示す図であり、照明LED(23)を、撮影レンズ(21)の左側に配置した状態の構成を示す。
【図6】本実施形態の撮像装置の制御回路の構成を示す図である。
【図7】本実施形態の撮像装置における制御動作を説明するための図である。
【図8】第2の実施形態の撮像装置を説明するための図である。
【図9】第3の実施形態の撮像装置を説明するための図である。
【符号の説明】
【0090】
20 ストロボ発光部
21 撮影レンズ
22 撮影レンズの周辺
23 照明LED
24 CCD
25 照明LEDの光軸
26 撮影レンズの光軸
27 マクロ撮影範囲
201 フレネルレンズ
202 Xe管
203 反射笠
231 LED
232 投光レンズ
233 拡散板
30 操作部
31 外部AF
32 制御部
33 ストロボ発光部
34 照明LED
35 表示部
36 記憶部
37 CCD
38 フォーカス部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マクロ撮影が可能な撮影レンズを有する撮像装置であって、
近距離被写体に対して光を発光する発光素子が前記撮影レンズの周辺に配置されてなることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記発光素子は、前記撮像レンズが配置される鏡胴内に配置されてなることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記近距離被写体との距離に応じて前記発光素子から発光する発光状態を制御する発光状態制御手段を有することを特徴とする請求項1または2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記発光状態制御手段により制御する前記発光状態を、前記近距離被写体と前記発光素子との距離に応じて補正する発光状態補正手段を有することを特徴とする請求項3記載の撮像装置。
【請求項5】
前記近距離被写体と前記発光素子との距離に応じて、前記発光素子から発光する発光状態を制御する発光状態制御手段を有することを特徴とする請求項1または2記載の撮像装置。
【請求項6】
前記発光素子は、1チップの白色LED、または、RGBの各チップを搭載したLEDであることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
マクロ撮影が可能な撮影レンズと、近距離被写体に対して光を発光する発光素子と、を有し、前記発光素子は、前記撮影レンズの周辺に配置されてなる撮像装置で行う制御方法であって、
前記近距離被写体との距離に応じて前記発光素子から発光する発光状態を制御する発光状態制御工程を、前記撮像装置が行うことを特徴とする制御方法。
【請求項8】
前記発光状態制御工程により制御する前記発光状態を、前記近距離被写体と前記発光素子との距離に応じて補正する発光状態補正工程を、前記撮像装置が行うことを特徴とする請求項7記載の制御方法。
【請求項9】
マクロ撮影が可能な撮影レンズと、近距離被写体に対して光を発光する発光素子と、を有し、前記発光素子は、前記撮影レンズの周辺に配置されてなる撮像装置で行う制御方法であって、
前記近距離被写体と前記発光素子との距離に応じて、前記発光素子から発光する発光状態を制御する発光状態制御工程を、前記撮像装置が行うことを特徴とする制御方法。
【請求項10】
マクロ撮影が可能な撮影レンズと、近距離被写体に対して光を発光する発光素子と、を有し、前記発光素子は、前記撮影レンズの周辺に配置されてなる撮像装置において実行させる制御プログラムであって、
前記近距離被写体との距離に応じて前記発光素子から発光する発光状態を制御する発光状態制御処理を、前記撮像装置において実行させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項11】
前記発光状態制御処理により制御する前記発光状態を、前記近距離被写体と前記発光素子との距離に応じて補正する発光状態補正処理を、前記撮像装置において実行させることを特徴とする請求項10記載の制御プログラム。
【請求項12】
マクロ撮影が可能な撮影レンズと、近距離被写体に対して光を発光する発光素子と、を有し、前記発光素子は、前記撮影レンズの周辺に配置されてなる撮像装置において実行させる制御プログラムであって、
前記近距離被写体と前記発光素子との距離に応じて、前記発光素子から発光する発光状態を制御する発光状態制御処理を、前記撮像装置において実行させることを特徴とする制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−171518(P2007−171518A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−368582(P2005−368582)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】