撮像装置および撮像システム
【課題】 温度変化に伴う損傷や変形を低減する。
【解決手段】 周辺領域221と第3領域111との間に、撮像板2および保持板10に対して固定された中間部材7が配置されているとともに、中央領域222の少なくとも一部と、第4領域112との間には中間部材7が延在せずに空隙300が設けられており、撮像板2の線膨張率と中間部材7の線膨張率との差が、保持板10の線膨張率と中間部材7の線膨張率との差よりも小さい。
【解決手段】 周辺領域221と第3領域111との間に、撮像板2および保持板10に対して固定された中間部材7が配置されているとともに、中央領域222の少なくとも一部と、第4領域112との間には中間部材7が延在せずに空隙300が設けられており、撮像板2の線膨張率と中間部材7の線膨張率との差が、保持板10の線膨張率と中間部材7の線膨張率との差よりも小さい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像板を用いた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大面積の光電変換部を有する受光素子を用いた、超高感度の撮像装置が検討されている。撮像デバイスのサイズ(入射面の面積)を大きくすることで、光電変換部の面積を大きくしつつ、十分な解像度を得る(受光素子の数を増やす)ことができる。このような撮像デバイスは、シリコン板やガラス板に受光素子を形成することで、薄型の板状撮像デバイス(撮像板)として実現することができる。
【0003】
ここで、大型、薄型である撮像板の機械的な強度を確保するためには保持板を用いることが有効である。特許文献1には、大型の撮像素子(撮像板)を保持する基板(保持板)が開示されている。特許文献1では、撮像素子と基板とは、銀エポキシなどの接着剤で接着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−302990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1ではシリコンを主たる材料とした撮像板を用い、保持板の線膨張率を8〜10×10−6/Kとした例が記載されているが、シリコンの線膨張率は3×10−6/K程度であることが知られている。このように、撮像板と保持板の線膨張率(線膨張率)が異なると、撮像板と保持板の一方または両方に温度変化が生じた場合に、両者の熱膨張量に差が生じる。大型の撮像板では熱膨張量が大きいため、熱膨張量の違いによって生じる熱応力が撮像板に損傷を与えたり、撮像板の反りなどの変形を生じたりする場合がある。熱膨張による反りは、温度変化によって収差が変化したり、保持板からの剥離を生じたりすることになるため抑制することが好ましい。
【0006】
そこで本発明は、温度変化に伴う損傷や変形が低減された撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の撮像装置は、光が入射する表面と、中心を含む中央領域および前記中央領域を囲む周辺領域を有する裏面と、を有する撮像板と、前記撮像板を前記裏面側から保持するための保持面を有する保持板と、を備えた撮像装置において、前記周辺領域と前記保持面との間に、前記撮像板および前記保持板に対して固定された中間部材が配置されているとともに、前記中央領域の少なくとも一部と、前記保持面を含む平面における前記中央領域の正射影の領域の少なくとも一部との間には前記中間部材が延在せずに空隙が設けられており、前記撮像板の線膨張率と前記中間部材の線膨張率との差が、前記保持板の線膨張率と前記中間部材の前記線膨張率との差よりも小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、温度変化に伴う損傷や変形が低減された撮像装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態を説明する模式図。
【図2】第2の実施形態を説明する模式図。
【図3】第3の実施形態を説明する模式図。
【図4】第4の実施形態を説明する模式図。
【図5】第5の実施形態を説明する模式図。
【図6】第6の実施形態を説明する模式図。
【図7】第7の実施形態を説明する模式図。
【図8】第8の実施形態を説明する模式図。
【図9】第9の実施形態を説明する模式図。
【図10】実施例を説明する模式図。
【図11】撮像装置の一例を説明する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
まず、図11(a)、(b)を用いて、本発明の撮像装置1の概要を説明する。撮像装置1は、撮像板2と保持板10とを備えており、図11(a)は撮像板2と保持板10の位置関係を表している。図11(b)は、図11(a)に示した撮像板2のG−G’断面図である。
【0011】
撮像板2は板状の固体撮像デバイス(イメージセンサ)であり、表面(おもて面)210と、表面210とは反対側の面である裏面(うら面)220との2つの主面を有している。撮像対象となる光は、表面210へ入射するため、表面210を入射面と呼ぶこともできる。典型的には、両主面(表面210と裏面220)は同じ形状、同じ面積を成しており、その形状は四角形である。表面210(および裏面220)の面積が大きいほど本発明の効果は顕著になるが、本発明は表面210の面積に限定されることなく適用が可能である。実用的には、表面210の面積が300mm2以上であると好適であり、1000mm2以上であるとより好適である。本発明は、表面210の面積が10000mm2以上という、熱膨張の影響が大きい撮像装置1であっても、十分な効果が得ることができる。
【0012】
表面210は、第1領域211と、第1領域211を囲む第2領域212とを有する。裏面220は、周辺領域221と、周辺領域221に囲まれた中央領域222を有する。このように、第2領域212は表面210内において第1領域211の外側(表面210の外周と第1領域211の外周との間)に位置する領域である。周辺領域221は裏面220内において中央領域222の外側(裏面220の外周と中央領域222の外周との間)に位置する領域である。中央領域222は、裏面220の中心を含んでいる。中心を明確に定めることができない場合には、裏面220の幾何学的重心を裏面220の中心とする。中央領域222は、裏面220の面積の1/4以上を占めることが好ましく、裏面220の面積の1/2以上を占めることがより好ましい。
【0013】
第2領域212は周辺領域221に対応した領域、すなわち、裏面220から表面210への周辺領域221の正射影の領域であり、周辺領域221と実質的に同じ形状の領域である。第1領域211は、中央領域222に対応した領域、すなわち、裏面220から表面210への中央領域222の正射影の領域であり、中央領域222と実質的に同じ形状の領域である。
【0014】
表面210には複数の受光素子213が配列されている。複数の受光素子213を一次元状に配列することでラインセンサとして用いることもできるし、4つ以上の受光素子213を2次元状に配列することでエリアセンサとして用いることもできる。一般的にはエリアセンサのほうがラインセンサよりも表面210の面積を大きくする必要があるので、本発明はエリアセンサとして用いる場合に好適である。
【0015】
複数の受光素子213の各々が画素として機能するから、複数の受光素子213を配列された領域を画素領域と呼ぶことができる。複数の受光素子213は少なくとも第1領域211に配列されている。複数の受光素子213を第1領域211のみに配列してもよいし、複数の受光素子213の一部を第2領域212に配列することもできる。すなわち、画素領域の全体が第1領域211に含まれてもよいし、画素領域の一部が、第2領域212に含まれてもよい。
【0016】
複数の受光素子213の各々は光電変換部230を有しており、表面210への入射光を信号電荷に変換する。この信号電荷を不図示の読み出し回路を用いて読みだして、画像を得ることができる。入射光の一例として赤外線、可視光線、紫外線、X線、γ線が挙げられる。入射光は、被写体で反射した光、被写体からの放射光、被写体を透過した光などである。X線やγ線のような放射線の場合にはシンチレータを用いて波長を変換して、変換された波長の光(蛍光)を光電変換部で信号電荷に変換することができる。撮像装置1は、景色や生物の撮影のほか、医療や天体観察に用いることができる。
【0017】
なお、複数の受光素子213は画像を取得するための有効画素として機能するが、画像の取得に直接的には寄与しない無効画素として機能する遮光素子214を設けることもできる。遮光素子214は受光素子213と同様に光電変換部230を有しているが、遮光部材234を有しており、遮光部材234によって入射光は光電変換部230に到達しないようになっている。遮光素子234を例えば暗電流測定用の素子として用いることができる。
【0018】
このように、無効画素(光学的黒画素:OB画素)として機能する遮光素子214を設ける場合は、受光素子213に対応する領域(有効画素領域)に加え、遮光素子214に対応する領域(無効画素領域)も画素領域とみなす。
【0019】
撮像板2の主たる材料は特に限定されないが、図11(b)に示したCMOS型の撮像板2(CMOSイメージセンサー)や、図示しないCCD型の撮像板2(CCDイメージセンサー)では、通常は半導体であるシリコン、特に単結晶シリコンが用いられる。シリコンの線膨張率は2×10−6〜4×10−6/Kである。また、撮像板2の材料にガラスを用いてもよい。ガラスの場合は、ガラス基板上に、MIS型構造やPIN型構造等を有する薄膜受光素子や、薄膜トランジスタ(TFT)を形成することで、撮像板2を得ることができる。ガラスの線膨張率は、種類にもよるが、一般的には10×10−6/K以下であり、慣用される青板ガラス(ソーダライムガラス)では9×10−6/K、石英ガラスでは、0.5×10−6/Kである。
【0020】
図11(b)に示した撮像板2の一例を詳細に説明する。シリコンを主たる材料とした撮像板の構成としては従来からよく知られている画素増幅型の撮像板や、電荷転送型の撮像板を用いることができる。シリコン基板200の表面の、第1領域211に対応する領域には、光電変換部230としてのフォトダイオードが形成されている。フォトダイオードの代わりに、フォトゲートを用いてもよい。フォトダイオード以外には、増幅トランジスタが配されている(不図示)。必要に応じて転送トランジスタやリセットトランジスタ、選択トランジスタを設けることもできる。これらの増幅トランジスタ等を、1つの光電変換部230毎に設けてもよいが、いくつかの光電変換部230毎に1つを設けて、所謂画素共通構造としてもよい。隣り合う光電変換部230同士は、LOCOSやSTIなどの分離構造によって互いに分離されている。一方、シリコン基板200の表面の、第2領域212に対応する領域には、垂直走査回路や水平走査回路、アンプやA/D変換回路等の周辺回路を構成するトランジスタ231、ダイオード等を配することができる。
【0021】
上記した各トランジスタ、ダイオードは、所定の形状にパターニングされた第1金属層241、第2金属層242によって構成された配線240によって相互に電気的に接続されている。第1金属層241は第2金属層242よりもシリコン基板200の近くに設けられている。ここでは金属層を2層としたが、1層のみでもよいし、第1金属層241と第2金属層242との間にさらに1層以上の金属層を配置して3層以上にしてもよい。金属層はアルミニウムや銅からなり、絶縁部材250を構成する複数の層間絶縁層を介して積層されている。各金属層の配線240は層間絶縁層内に設けられた不図示のビアを介して互いに電気的に接続されている。
【0022】
第2金属層242の一部は、受光素子214の光電変換部230上に配されており、光電変換部230への入射を妨げる遮光部材234として用いることができる。また、第2金属層242の別の一部を電極6として用いることもできる。配線240の一部と遮光部材234と電極6は、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングされた第2金属層242によって同時に形成することが可能である。絶縁部材250上にはカラーフィルタ260が配置されており、カラーフィルタ260上には画素毎にマイクロレンズ270が設けられている。第1金属層241、第2金属層242は、受光素子213の光電変換部230を覆わないように配されており、マイクロレンズ270とカラーフィルタ260を通過した光が光電変換部230に入射する。光電変換部230の直上に、層間絶縁層と異なる屈折率(典型的には層間絶縁層よりも高い屈折率)を有する透明材料を用いて、光導波構造を設けることもできる。また、配線層をシリコン基板200に対して表面210とは反対側(裏面220側)に配置することもできる。このような構造の撮像板はしばしば「裏面照射型」と呼ばれるが、「裏面照射型」を採用したとしても、本発明において光が入射するのは裏面220ではなく表面210であるのは云うまでもない。
【0023】
撮像板2は上記のように、基板200以外の、電気的及び/又は光学的及び/又は化学的及び/又は機械的な機能の担う様々な部材を含む。そのため、撮像板2の線膨張率は、厳密には基板200だけでなく、基板200を含み実質的に一体となった複合部材の線膨張率と考えるべきである。しかしながら、典型的に撮像板2の主たる材料(撮像板2の体積の最も多くを占める材料)である基板の材料(シリコンやガラス)の線膨張率を、撮像板2の線膨張率と近似することは有効である。保持板10についても同様である。厳密に撮像板2や保持板10の線膨張率を測定する場合には、JISZ2285に規定された光走査法で測定した結果を用いることが好ましい。
【0024】
保持板10は撮像板2を保持するのに十分な剛性を備えた板状の部材である。撮像板2の裏面220と、保持板10の保持面110とが互いに対向している。保持板10は撮像板2を裏面220側から保持する。保持面110は、周辺領域221に対向する第3領域111と、中央領域222に対向する第4領域112と、撮像板2に対向しない第5領域113とを有することができる。第3領域111は、裏面220から保持面110への、周辺領域221の正射影の領域であるが、第3領域111が周辺領域221と同じ形状である必要はない。第4領域112は、裏面220から保持面110への、中央領域222の正射影の領域であるが、第4領域112が中央領域222と同じ形状である必要はない。
【0025】
ただし、保持板10(保持面110)は第4領域112と第5領域113の少なくとも一方を有しなくてもよい。第4領域112を有しない場合とは、例えば、保持面110の第3領域111が閉ループ形状を呈している場合であって、第3領域111で囲まれた第4領域112に対応する領域を開口とした場合である。第5領域113を有しない場合とは、表面210側から撮像装置1を見たときに保持板10が撮像板2に完全に隠れてしまう場合である。
【0026】
しかし、保持板10が第4領域112や第5領域113を有しない場合でも、撮像装置1において、第4領域112と第5領域113を規定することは可能である。すなわち、第3領域111(保持面110)を含む平面を設定する。この平面は第3領域111を仮想的にまっすぐ延長することによって得られる、保持面110を含み、保持面110に平行な幾何学的な仮想平面である。そして、当該仮想平面における周辺領域221と中央領域222との位置関係から、第3領域111と第4領域112を規定することができる。
【0027】
保持板10の主たる材料は、保持板10が撮像板2を保持するのに十分な剛性を有することが可能である限りは特に限定されないが、例えば、金属(単体でもよいし合金でもよい)やセラミック、プラスチックを用いることができる。金属を用いると、導電性の観点から電気的なノイズ防止(電磁波シールド)としての利用が可能となる。また大型化や加工性、コスト面でも金属はセラミックにくらべて有利である。金属としては、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、ステンレスが好適であり、保持板10の厚みは0.5〜5mmが好適である。一般的な金属の線膨張率は、10×10−6〜40×10−6/Kである。一例を挙げると、アルミニウムの線膨張率は24×10−6/K、銅の線膨張率は17×10−6/K、SUS304(ステンレス)の線膨張率は17×10−6/Kである。
【0028】
本発明は、上述したような、撮像板2の線膨張率と保持板10の線膨張率が異なる場合に適用すると効果的であり、撮像板2の線膨張率と保持板10の線膨張率とを一致させる場合に比べて保持板10の材料選択の幅が広がる。保持板10にインバーや42アロイ等の線膨張率が低い材料を用いると、撮像板2の線膨張率を保持板10の線膨張率よりも高くすることもできる。撮像板2のノイズ低減の観点からは、保持板10の材料としては42アロイ等の強磁性体を用いるより、非磁性体を用いることが好ましい。アルミニウム、アルミニウム合金、銅、ステンレスなど、典型的な非磁性体の材料を用いた構成では保持板10の線膨張率は撮像板2の線膨張率よりも高い。
【0029】
なお、本発明において、撮像板2および保持板10に関してその形状を規定する「板状」とは、表面210や保持面110に垂直な断面の面積が、表面210や保持面110の面積を超えない程度の厚みを有する形状とする。撮像板2の厚みとは表面210と裏面220との距離であり、保持板10の厚みとは保持面110とその裏面との距離である。例えば、撮像デバイスが直方体であって、表面210の外周の長辺の長さがL、短辺の長さがW、厚みがTである場合を想定する。表面210の面積はL×Wであり、表面210に垂直な断面の面積断面の面積はL×Tとなりうるが、板状の撮像デバイス(撮像板)は、W>Tを満たすべきである。保持板10についても同様に考えることができる。このような撮像板2、保持板10を用いた撮像装置1に温度変化が生じると、撮像板2、保持板10の熱膨張による影響が、表面210に垂直な方向に比べて、表面210に沿った方向で支配的になる。シリコンを主たる材料とする撮像板2において、シリコン基板200の厚みTは、典型的には0.10mm以上2.0mm以下であり、より典型的には0.50mm以上1.0mm以下である。
【0030】
本発明は、このように互いに線膨張率の異なる撮像板2と保持板10とを用いた場合に生じ得る両者の熱膨張量の差が、撮像装置1へ及ぼす影響を低減することができる。特に、表面210に沿った方向での撮像板2、保持板10の熱膨張による影響が低減される。具体的な構造について、以下に実施形態を挙げて説明する。
【0031】
<第1の実施形態>
図1(a)、(b)を用いて、本発明の撮像装置1の第1の実施形態を説明する。図1(a)は撮像装置1を表面210側からみた平面図、図1(b)は図1(b)のA−A’断面図である。
【0032】
保持面110と裏面220との間には中間部材7が設けられている。中間部材7は裏面220と保持面110とを接着しており、その結果、撮像板2と保持板10は、中間部材7によって互いに固定されている。
【0033】
詳細には、中間部材7は少なくとも裏面220の周辺領域221と保持面110の第3領域111との間に位置している。一方、裏面220の中央領域222の少なくとも一部と保持面110の第4領域112の少なくとも一部との間には中間部材7は周辺領域221と保持面110の第3領域111との間から延在していない。その結果、中央領域222と第4領域112との間の少なくとも一部には空隙300が設けられている。空隙300は気体が存在する空間(大気圧であってもよいし、大気圧でなくてもよい)である。中央領域222と第4領域112は部分的に中間部材7で固定されていてもよいが、中央領域222と第4領域112の全体が中間部材7により固定されないようにする。中央領域222の中心と第4領域112の中心との間には、中間部材7が周辺領域221と保持面110の第3領域111との間から延在していないようにすることが望ましい。また、中央領域222の面積の1/4以上の部分と第3領域112の面積の1/4以上の部分との間には、中間部材7が周辺領域221と保持面110の第3領域111との間から延在していないようにすることが好ましい。さらに、中央領域222の面積の1/2以上の部分と第3領域112の面積の1/2以上の部分との間には、中間部材7が周辺領域221と保持面110の第3領域111との間から延在していないようにすることが好ましい。なお、中央領域222と第4領域112の間の全体にわたって中間部材7が位置する必要はない。
【0034】
撮像板2と中間部材7と保持板10の関係について説明する。撮像板2の線膨張率をXとし、中間部材7の線膨張率をYとし、保持板10の線膨張率をZ(X≠Z)とする。そして本発明では、|X−Y|<|Z−Y|という条件(i)を満たす。この条件(i)は、撮像板2の線膨張率Xと中間部材7の線膨張率Yとの差(|X−Y|中間部材)が、保持板10の線膨張率Zと中間部材7の線膨張率Yとの差(|Z−Y|中間部材)よりも小さいという条件である。
【0035】
この条件(i)は、後述する第2〜8の実施形態でも共通に満たされる。X<Zの場合には0<Y<(X+Z)/2であり、Z<Xの場合には、Y>(X+Z)/2である。Z<XよりはZ>Xのほうが好ましい。さらに、|X−Y|<|Z−X|という条件(ii)を満たすことが好ましい。この条件(ii)は、撮像板2の線膨張率Xと中間部材7の線膨張率Yとの差(|X−Y|)が、撮像板2の線膨張率Xと保持板10の線膨張率Zとの差(|Z−X|)よりも小さいという条件である。さらに、|Z−Y|<|Z−X|という条件(iii)を満たすことがより好ましい。この条件(iii)は、保持板10の線膨張率Zと中間部材7の線膨張率Yとの差(|X−Y|)が、撮像板2の線膨張率Xと保持板10の線膨張率Zとの差(|Z−X|)よりも小さいという条件である。条件(i)〜(iii)をすべて満たすのは、X<Zの場合にはX≦Y<(X+Z)/2であり、Z<Xの場合には(X+Z)/2<Y≦Xである。X=Yとするのが最も好ましい。
【0036】
線膨張率が異なる部材同士が固定されていると、温度変化によって各部材の熱膨張量には違いが生じ部材間に応力が生じる。上記条件によれば、撮像板2と中間部材7との間に生じる熱膨張差を、保持板10と中間部材7との間に生じる熱膨張差よりも小さくすることができる。加えて、裏面220の中央領域222と保持面110の第3領域との間の少なくとも一部に中間部材7が位置しないことにより、撮像板2と中間部材7との間に生じる応力を小さくすることができる。これは、中間部材7の熱膨張を撮像装置1の内側(第4領域112および中央領域222)に向かう方向と、撮像装置1の外側(第5領域113)に向かう方向とに分散させることが一因と考えられる。これらの結果、撮像板2への応力の影響を低減することができると考えられる。
【0037】
中間部材7の幅(裏面220の中心から裏面220の外周へ向かう方向における中間部材7の長さ)は極力短いことが好ましい。中間部材7の幅が極端に大きくなると中間部材7の熱膨張が大きくなり、撮像板2と中間部材7との間及び/又は中間部材7と保持板10との間に生じる応力が無視できなくなる場合がある。そのため、中間部材7の幅は、後述する延在部71を含めて、上記方向における裏面220の中心から裏面220の外周までの距離(典型的にはW/2またはL/2)以下であることが好ましい。さらに、中間部材7の幅は、上記方向における裏面220の中心から裏面220の外周までの距離の2/3以下であることが好ましく、1/4以下であることがより好ましい。中間部材7の撮像板2側の面積は、撮像板2の表面210の面積の1/2以下であることが好ましく、1/4以下であることがより好ましい。
【0038】
中間部材7の材料は撮像板2と保持板10とを固定可能であって、上記条件を満たしていれば特に限定されない。中間部材7と撮像板2、保持板10との接合は中間部材7の接着性や粘着性を利用した接着、あるいは、溶着や溶接を用いることができる。ただし溶着や溶接は高温加熱工程を経るため、温度変化の影響が大きく、接着を用いるのが好ましい。同様の理由で、接着する場合には常温で固化可能な接着剤を用いることが好ましい。例えば乾燥、化学反応、光硬化等によって常温で固化する接着剤を用いることができる。
【0039】
図1(a)の例では点線で示す様に、中間部材7は空隙300を切れ目なく囲むように閉ループ状に配されているが、中間部材7に切れ目を設けてもよい。中間部材7に切れ目を設けておくと、その切れ目で熱膨張の余地が増えるため、中間部材7が空隙300を切れ目なく囲むように設ける場合に比べて、応力を低減することができる。
【0040】
図1について、ほかの構成について説明する。
保持板10には接着剤14を介して回路部材9が固定されている。接着剤14としてはエポキシ樹脂やシート接着剤など公知の接着剤を用いることができる。撮像板2の第2領域212には電極6が配されており、電極6と回路部材9がボンディングワイヤによって接続されている。なお、本発明でいうボンティングワイヤとは、導体同士(電極6と回路部材9)を、金属細線(単体でもよいし合金でもよい)をワイヤボンディング法によって電気的に接続したものを意味する。ここでは回路部材9はフレキシブルプリント回路板(FPC)であるが、リジッドプリント回路板であってもよいし、リードであってもよいし、LGA(Land Grid Array)であってもよい。回路部材9は連続した一つの部材であってもよいが、回路部材9の面積が大きくなると熱膨張が大きくなるために、複数に分離して配置することが好ましい。フレキシブルプリント回路板を保持板10ではなく撮像板2の第2領域212に接着して、表面210上で電極6とフレキシブルプリント回路板とをボンディングワイヤで接続してもよい。また、電極6とフレキシブル回路板とを異方性導電性接着剤(ACF)で接続して電気的及び機械的接続を得てもよい。
【0041】
<第2の実施形態>
図2(a)、(b)を用いて、第2の実施形態について説明する。図2(a)は撮像装置1を表面210側からみた平面図、図2(b)は図2(b)のB−B’断面図である。図1と同様の機能を有する部分には同じの符号を付し詳細な説明は省略する。第2の実施形態では、中間部材7は周辺領域221に接着剤13で固定されている。接着剤13としては一般的なダイボンドペーストを用いることができる。中間部材7と第3領域111との固定は、接着剤13と同じ接着剤を用いてもよいが、図2の形態では緩衝部材11を用いている。中間部材7と撮像板2、保持板10との固定は接着剤に限定されるものではなく、溶着や溶接などであってもよいが、第1の実施形態で説明した理由から接着剤が好ましい。
【0042】
本実施形態では、それ自体は接着性を有しない中間部材7を用いることができる。シリコンやガラス等の一般的な撮像板2の材料は接着性を有しないが、接着剤13を用いることで、中間部材7として撮像板2の主たる材料と同じ材料を用いることができる。つまり、撮像板2の主たる材料がシリコンであれば中間部材7の主たる材料としてシリコンを用いることができ、撮像板2の主たる材料がガラスであれば中間部材7の主たる材料としてガラスを用いることができる。その結果、中間部材7の線膨張率と撮像板2の線膨張率の差(|X−Y|)を0またはほぼ0にすることが可能となる。特に、撮像板2の主たる材料がシリコンである場合には、熱膨張がシリコン基板の結晶構造に歪みを生じて、暗電流の一因となることが考えられるため、本発明を好適に適用することができる。表面210の寸法(四角形の場合は対角、円形の場合は直径である)が100mm以上である場合には、中間部材7に撮像板2の材料と同じ材料を用いて、中間部材7の線膨張率と撮像板2の線膨張率の差を十分に小さくすることが望ましい。
【0043】
接着剤や緩衝部材の線膨張率は特に限定されないが、厚みを薄くすることで接着剤や緩衝剤の熱膨張の影響を低減することができる。一方、中間部材7の厚みは大きいほど本実施形態の効果は大きくなる。実用的には、中間部材7の厚みは0.10mm以上である。中間部材7の厚みを、周辺領域221と保持面110(第3領域111)との距離の半分以上とすることが好ましい。中間部材7の厚みが0.50mm以上であることがより好ましい。一方、中間部材7の厚みが極端に大きいと、表面210に垂直な方向で、表面210に変位が顕著になる場合がある。そのため、中間部材の厚みは2.0mm以下であることが好ましく、1.0mm以下であることがより好ましい。特に撮像板2および中間部材7の主たる材料がシリコンである場合には、中間部材7の厚みを0.50mm以上2.0mm以下にすることが好ましい。
【0044】
図1(a)の例では、中間部材7は連続した1つの部材としたが、図2(a)の例では、中間部材7は分離した複数の(ここでは2つの)部材である。このように、中間部材7を分離して配置すると、中間部材7の熱膨張の影響を小さくすることができる。複数の中間部材7の各々の撮像板2側の面積は、撮像板2の表面210の面積の1/4以下であることが好ましい。
【0045】
緩衝部材11としては、厚みが0.10mm以上、かつ、ヤング率が100MPa以下であると好ましい。緩衝部材11の厚みが極端に厚くなると、撮像板2が保持板10に対して不安定になりやすいため、緩衝部材11の厚みは1.0mm以下であることが好ましく、0.50mm以下であることがより好ましい。緩衝部材11の具体的な材料としては、ゲル状シートや、粘着ゴムシート、液状接着剤、低弾性樹脂、両面テープを用いることができる。このような緩衝部材11を用いることにより、撮像板2と中間部材7との間の応力に比べて大きくなりやすい、保持板10と中間部材7との間の応力を低減することができる。これにより、中間部材7が保持板10から剥離する可能性を低減し、保持板10と中間部材7の固定の信頼性を向上することができる。
【0046】
<第3の実施形態>
図3(a)、(b)を用いて、第3の実施形態について説明する。図3(a)は撮像装置1を表面210側からみた平面図、図3(b)は図3(b)のC−C’断面図である。図1,2と同様の機能を有する部分には同じの符号を付し詳細な説明は省略する。第3の実施形態では、中間部材7として、回路部材9(フレキシブルプリント回路板)を用いている。
【0047】
一般的なフレキシブルプリント回路板の線膨張率は10×10−6〜20×10−6/Kである。このような構成であれば、撮像装置1内での線膨張率が異なる部材の数を減らせるので、熱応力の発生個所を削減することができる。
回路部材9は接着剤13で周辺領域221に固定されており、接着剤14で第3領域111に固定されている。接着剤14の代わりに、第2の実施形態で説明した緩衝部材11を用いると好ましい。
【0048】
<第4の実施形態>
図4(a)、(b)を用いて、第4の実施形態について説明する。図4(a)は撮像装置1を表面210側からみた平面図、図4(b)は図4(b)のD−D’断面図である。図1〜3と同様の機能を有する部分には同じの符号を付し詳細な説明は省略する。中間部材7が周辺領域221と第3領域111との間に位置する点は、第1〜第3の実施形態と同様である。本実施形態では、中間部材7は周辺領域221と第3領域111との間から第5領域113上(周辺領域221の外側)に延在している。中間部材7の第5領域113上の部分を延在部71と呼ぶ。延在部71には、回路部材9が接着剤14で固定されている。そして、中間部材7上の領域で電極6と回路部材9とがボンディングワイヤ12で電気的に接続されている。かかる構成によれば、第2の実施形態に比べて、撮像装置1の温度上昇に伴う電極6と回路部材9との距離拡大を低減できるため、ボンディングワイヤ12の断線確率を低減することができ、電気的接続の信頼性を向上することができる。
【0049】
<第5の実施形態>
図5(a)、(b)を用いて、第5の実施形態について説明する。図1〜4と同様の機能を有する部分には同じの符号を付し詳細な説明は省略する。本実施形態は、回路部材9が延在部71上から中間部材7と周辺領域221との間に延在する点が、第4の実施形態と異なる。かかる構成によれば、回路部材9が撮像板2と中間部材7とに挟まれているため、撮像板2と回路部材9との相対的な変位を低減できるため電気的接続の信頼性を向上することができる。本実施形態でもボンディングワイヤを用いることができるが、図5に示したように、撮像板2の周辺領域221(裏面220)に配された電極6と回路部材9とを、ボンディングワイヤを用いずにフリップチップ接続することができる。これにより、ボンディングワイヤに生じやすい断線の問題がない構造を採用でき、電気的接続の信頼性、耐久性を一層向上することができる。
【0050】
<第6の実施形態>
図6(a)、(b)を用いて、第6の実施形態について説明する。図1〜5と同様の機能を有する部分には同じの符号を付し詳細な説明は省略する。本実施形態は、第5の実施形態とは、回路部材9が、中間部材7と周辺領域221との間から、中央領域222と第4領域112との間に延在する点が異なる。なお、図6では回路部材9の一部が延在部71上に位置する例を示したが、延在部71上には位置しなくてもよいし、延在部71を設けなくてもよい。また、図6では撮像板2の電極6と回路部材9との電気的な接続にボンディングワイヤ12を用いた例を示したが、図5で示したような、裏面220に設けられた電極6と回路部材9とをフリップチップ接続してもよい。
【0051】
図6(a)は本実施形態の一例であり、中央領域222と第4領域112との間に電子回路19が設けられている。電子回路19は中央領域222と第4領域112との間に延在する回路部材9と電気的に接続されている。電子回路19は、信号処理用あるいは駆動用のIC16や、抵抗、キャパシタ、インダクタ等の受動素子(不図示)、これらを搭載する基板19、回路部材9と接続するためのコネクタ18などを含むことができる。このように、保持板10と撮像板2との間に電子回路19を配置することにより、撮像装置1全体を薄型化することが可能となる。
【0052】
図6(b)は本実施形態の別の例であり、保持板10の、中央領域222に対応する領域には開口20が設けられている。したがって、この例では、第4領域112は保持面110(第3領域111)を含む仮想平面の領域である。そして、開口20を介して回路部材9が、保持板10の撮像板2側とは反対側(保持板10の裏側)へ引き出されている。開口20を介して裏側へ引き出された回路部材9に、上述の電子回路19が接続されている。この例では、発熱源となり得る電子回路19を、図6(a)の例よりも撮像板2から離すことができるため、撮像板2の温度変化が生じにくい撮像装置1を得ることができる。そのため、撮像板2に生じる熱膨張を減少させることができる。また、撮像板2自体の温度変化によって生じるランダムノイズの影響を低減できるとともに、電子回路19が発生する電磁波の撮像板2への影響も低減し、ノイズの少ない画像を得ることができる。
【0053】
<第7の実施形態>
図7(a)、(b)を用いて、第7の実施形態について説明する。図1〜6と同様の機能を有する部分には同じ符号を付し詳細な説明は省略する。本実施形態は、図7(a)に示したように、中央領域222と第4領域112との間に間隔規定部材8を撮像板2及び保持板10の双方に固定して配置する。これにより、空隙300を確実に設けることができるとともに、振動等による表面210に垂直な方向における撮像板2の変位を抑制することができる。
【0054】
さらに、図7(b)に示す様に、間隔規定部材8の厚みを、周辺領域221と第3領域111との距離よりも薄くして、撮像板2及び保持板10の双方に固定して配置することもできる。このようにすると撮像板2の第1領域211が保持板10側に引っ張られるので、表面210を凹状に反らせることもできる。撮像板2の面積および空隙300の面積を十分に大きくすることで、間隔規定部材8を用いずに、撮像板2の自重によって、表面210を凹状に反らせてもよい。このように、表面210が凹面を成すことによって、対物レンズ等による像面湾曲収差を低減することができる。第1領域211(画素領域)の面積が大きくなると、第1領域の端部での収差が大きくなりやすいので、このような構成は好適である。
【0055】
<第8の実施形態>
図8(a)、(b)を用いて、第8の実施形態について説明する。図1〜7と同様の機能を有する部分には同じ符号を付し詳細な説明は省略する。図8(a)は、その一部に図4(a)のD−D’断面を含む、撮像装置1の断面図であり、図8(b)は、その一部に図4(a)のE−E’断面を含む撮像装置1の断面図である。なお、図4(a)においてD−D’断面とE−E’断面は互いに直交する断面である。
【0056】
本実施形態の撮像装置1は、図8(a)、(b)に示す様に、撮像板2の表面210側に保護板21が配されている。保護板21は保持板10の第5領域113上に配された支持部材22に支持されている。保護板21は撮像板2から離れて設けると良く、支持部材22の高さを適宜設定することで、保護板21の撮像板2からの高さを設定することができる。図8(b)の例では、支持部材22は、図4(a)に示した、第5領域113に設けられたビス穴15を介して、ビス24で保持板10に固定されている。ビス24を用いずに、接着剤や溶接等で支持部材22を保持板10に固定してもよい。また、保持板10と支持部材22とを一体成型して、保持板10自体が保護板21を支持するように構成してもよい。ここでは図4(a)〜(c)に示した第4の実施形態に、保護板および支持部材22、ビス24を追加して本実施形態とした例を用いて説明する。しかしながら、本実施形態は、第1〜7の実施形態のいずれにも適用が可能であり、図1(a),図2(a),図3(a),図5(a)にもビス穴15を示している。
【0057】
支持部材22を撮像板2の第2領域212上に配してもよいが、撮像板2への取り付け時や使用時の衝撃を低減する点では、第5領域113上に配するのが良い。支持部材22は剛性を有するように金属製であることが好ましく、保持板10と同じ材料を用いてもよい。支持部材22を枠状とすることで、保持板10および保護板21とともに撮像板2を囲む、封止パッケージ(外囲器)を成すこともできる。封止パッケージにより表面210への機械的なダメージや埃等の異物の付着を抑制することができる。なお支持部材22を枠状とする場合、支持部材22と保持板10との間に隙間23を設けたり、支持部材22に開口を設けたりすることで、隙間23や開口から回路部材9を外部に引き出すことができる。
【0058】
保護板21は少なくとも撮像板2に入射するべき光が透過可能な透明性を有している。保護板21は一つ以上のフィルタ機能を有していてもよい。フィルタ機能は保護板自体の表面処理や保護板用基板上に配したフィルムによって実現可能である。フィルタとしては、特定の空間周波数帯域をカットするローパスフィルタあるいはハイパスフィルタであってもよいし、特定の波長の光を撮像板に入射させないための波長選択フィルタでもよい。波長選択フィルタとしては例えば赤外線フィルタや、カラーフィルタを用いることができる。典型的には、保護板あるいは保護板用基板にはガラスを用いることができる。
【0059】
<第9の実施形態>
図11を用いて、第9の実施形態として、撮像装置1およびそれを用いた撮像システム1001の一例を説明する。本実施形態は、第1〜8の実施形態のいずれにも適用が可能である。撮像システム1001は、撮像装置1と、撮像装置1からの出力信号が入力され、当該出力信号を処理する信号処理装置1000とを備える。図11は、撮像システム1001の一例を示す図である。信号は、撮像装置1のOUT1、OUT2から出力される。ここでは、出力経路をOUT1、OUT2の2つを設けた例を示したが、出力経路は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。OUT1、OUT2は、上記した電極6、あるいは、回路部材9に相当する。出力信号は、信号処理装置1000のINに入力される。出力信号は、電流信号あるいは電圧信号などの電気信号であってもよいし、電波信号、光信号であってもよい。また、出力信号はアナログ信号であってもよいしデジタル信号であってもよい。
【0060】
信号処理装置1000を、INに信号を入力することにより、OUT3から画像信号を出力するように構成する。第6実施形態で説明した電子回路19が信号処理装置1000を成すように構成することもできる。
【0061】
図11に示した撮像装置1の一例を説明する。本例では、撮像装置1に画素増幅型の撮像板を用いている。図11において、撮像装置1の撮像板は、画素領域711と、垂直走査回路712と、2つの読み出し回路713と、2つの水平走査回路714と、2つの出力アンプ715を備えている。画素領域711以外の領域を周辺回路領域とも称する。
【0062】
画素領域711には、多数の受光素子213が2次元状に配列されている。各受光素子1が1画素に相当する。周辺回路領域には、図11を用いて説明したトランジスタ231で構成された読み出し回路713、例えば、列アンプ、CDS回路、加算回路等が設けられ、垂直走査回路712によって選択された行の画素から垂直信号線を介して読み出された信号に対して増幅、加算等を行う。列アンプ、CDS回路、加算回路等は、例えば、画素列又は複数の画素列毎に配置される。水平走査回路714は、読み出し回路713の信号を順番に読み出すための信号を生成する。出力アンプ715は、水平走査回路614によって選択された列の信号を増幅して出力する。
【0063】
以上の構成は、撮像装置1の一つの構成例に過ぎず、これに限定されるものではない。ここでは、読み出し回路613と水平走査回路614と出力アンプ615とは、2系統の出力経路(OUT1、OUT2)を構成するため、画素領域611の両側に1つずつ配置されている。
【0064】
代表的な撮像システム1001としてはスチルカメラやビデオカメラ等のカメラが挙げられる。撮像システム1001は、撮像板2に結像するために、レンズやミラー等の光学部材で構成される結像手段を備えることができる。また、撮像システム1001は、得られた画像を記憶する記憶手段を備えることもできる。また、撮像システム1001は、撮像装置1を移動可能にする移動手段(不図示)を備えることもできる。移動手段としては、電動モーターやレシプロエンジン、ロータリーエンジン等を動力源とする車輪が挙げられる。また、移動手段としては、プロペラ、タービンエンジン、ロケットエンジン等の推進装置も挙げられる。このような、移動手段を備える撮像システムは、自動車や鉄道車両、船舶、航空機、人工衛星等に、撮像装置1および信号処理装置1000を搭載することにより実現が可能である。
【実施例】
【0065】
本実施例では、図4(a)、(b)および図8(a)、(b)で示した形態の撮像装置1を作製した例を説明するが、本発明はこの実施例に限定されることなく設計変更が可能である。
【0066】
図10(a)に示す様に、厚み0.775mm、直径300mmの円形のシリコンウエハ70に、0.35μm−CMOSプロセスによって、画素領域を形成した。シリコンウエハ70の線膨張率は2.6×10−6/Kであった。画素領域は、画素ピッチを縦160μm、横160μmとして、縦1280画素、横1248画素(内、有効画素は縦1280画素、横1128画素)を2次元状に配列した。配線用の金属層としては、3層のアルミニウム層を用いた。画素領域の大きさは縦205mm、横200mmであった。画素領域外(縦205mm、横1mmの領域×2)には電極6が縦方向に1次元状に配列されている。その後、シリコンウエハ70を、図10(a)に破線で示す様に略正方形状にダイシングして、縦205mm、横202mm、対角287mmの撮像板2(CMOSイメージセンサー)を作製した。撮像板2の面積は表面210、裏面220とも41410mm2である。
【0067】
保持板10として、縦340mm×横340mmの正方形状で、厚み3mmのアルミニウム板を用意した。アルミニウム板の線膨張率は24×10−6/Kであった。保持板10の表面は反射防止のためブラックアルマイト処理にて黒色とした。
【0068】
まず、上記ダイシング時に生じたシリコンウエハ70の2枚の断片701、702を中間部材7として準備した。勿論、撮像板2を作製するために用いたシリコンウエハ70の断片701、702ではなく、別のシリコン板を中間部材7に用いてもよい。しかしながら、撮像板2と同一工程(熱処理工程等)を経たシリコンウエハ70の断片701、702を用いると、撮像板2と中間部材7の熱特性の違いを小さくできるため好ましい。この断片701、702の最大幅は、それぞれ49mmである。ここでは、断片701、702の円弧状の辺を残したが、断片701、702の円弧状の辺の付近を切断して短冊状に加工し、短冊状の断片を中間部材7として用いてもよい。また、回路部材9として銅配線がパターニングされたポリイミド製のFPCを片側5枚ずつの計10枚を準備した。
【0069】
断片701、702の、中間部材7の延在部71に相当する部分に、接着剤14として、日立化成工業社製の熱硬化型銀ペースト接着剤を塗布した。計10枚のFPCを、接着剤14を介して断片701、702に5枚ずつ固定した。ここで回路部材9を複数準備した目的は断片701、702からFPCが剥離することを抑制するためである。接着剤14の硬化条件は150℃オーブンにて1時間とした。
【0070】
接着剤14が硬化した後、FPCが問題なく良品として使えることを確認し、断片701、702に、接着剤13として、パナソニック電工社製の熱硬化型液状エポキシ接着剤を塗布した。接着剤13上に電極6が位置するように、撮像板2を計2枚のFPC付き断片701、702上に載せて、接着剤13を介して断片701、702を撮像板2に固定した。ここでは、画素領域の一部と画素領域外の領域とを含む、裏面220の外周から1mmまでの領域を周辺領域221としている。また、十分な接着面積を得るために断片701、702は、画素領域の一部に対応する、中央領域222の一部にも接着した。接着剤13の硬化条件は150℃オーブンにて1時間とした。なお、接着剤13の熱硬化後のヤング率は1GPa以上であった。このようにして、図10(b)に示す様に、撮像板2と断片701、702、回路部材9が相互に固定された部材を作製した。
【0071】
次に、150℃に加温されたボンディングステージに、一体となった撮像板10と断片701、702を載せ、ワイヤボンディング法でFPCの端子と電極6とを接続した。このとき、断片701、702に接着された撮像板2はボンディングステージの熱の影響による反りが発生しなかった。また、ワイヤボンディングの接続の信頼性の観点からは、撮像板2の下地が十分に硬いことが好ましい。撮像板2と断片701、702の固定に用いた接着剤13は、ヤング率が1GPa以上と硬い接着剤であるため、ワイヤボンディング法が問題なく実施できた。
【0072】
次に、保持板10上の第3領域111に相当する領域に、緩衝部材11として、不織布を基材とした日東電工社製の両面テープ5011N(厚み0.15mm)を貼り付けた。なお、両面テープ5011Nのヤング率が100MPa以下であることを予め確認している。緩衝部材11上に撮像板2に固定された断片701、702を載せて、断片701、702および撮像板2を、緩衝部材11を介して保持板10に固定した。撮像板2の中央領域221と保持板10の第3領域111との距離は1.0mmであった。以上のようにすることにより、断片701、702が中間部材7として機能する。
【0073】
支持部材22として、ブラックアルマイト処理を実施した幅10mm、高さ10mmのアルミニウム枠を、保持板10にネジ止めした。支持部材22に撮像板2の保護板21として加工したアクリル板(縦32mm、横32mm、厚み5mm)を接着した。以上のようにして、図8(a)、(b)に示した撮像装置1を作製した。
【0074】
環境試験室で環境温度を−20°Cから+60℃まで変化させたが、撮像板2の反りの変化や剥離、ボンディングワイヤ12の断線は確認されなかった。その後、0.3lxという低照度環境で撮影を行ったところ、鮮明な画像を取得することができた。
【符号の説明】
【0075】
1 撮像装置
2 撮像板
210 表面
211 第1領域
212 第2領域
220 裏面
221 周辺領域
222 中央領域
7 中間部材
71 延在部
9 回路部材
10 保持板
11 緩衝部材
110 保持面
12 ボンディングワイヤ
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像板を用いた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大面積の光電変換部を有する受光素子を用いた、超高感度の撮像装置が検討されている。撮像デバイスのサイズ(入射面の面積)を大きくすることで、光電変換部の面積を大きくしつつ、十分な解像度を得る(受光素子の数を増やす)ことができる。このような撮像デバイスは、シリコン板やガラス板に受光素子を形成することで、薄型の板状撮像デバイス(撮像板)として実現することができる。
【0003】
ここで、大型、薄型である撮像板の機械的な強度を確保するためには保持板を用いることが有効である。特許文献1には、大型の撮像素子(撮像板)を保持する基板(保持板)が開示されている。特許文献1では、撮像素子と基板とは、銀エポキシなどの接着剤で接着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−302990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1ではシリコンを主たる材料とした撮像板を用い、保持板の線膨張率を8〜10×10−6/Kとした例が記載されているが、シリコンの線膨張率は3×10−6/K程度であることが知られている。このように、撮像板と保持板の線膨張率(線膨張率)が異なると、撮像板と保持板の一方または両方に温度変化が生じた場合に、両者の熱膨張量に差が生じる。大型の撮像板では熱膨張量が大きいため、熱膨張量の違いによって生じる熱応力が撮像板に損傷を与えたり、撮像板の反りなどの変形を生じたりする場合がある。熱膨張による反りは、温度変化によって収差が変化したり、保持板からの剥離を生じたりすることになるため抑制することが好ましい。
【0006】
そこで本発明は、温度変化に伴う損傷や変形が低減された撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の撮像装置は、光が入射する表面と、中心を含む中央領域および前記中央領域を囲む周辺領域を有する裏面と、を有する撮像板と、前記撮像板を前記裏面側から保持するための保持面を有する保持板と、を備えた撮像装置において、前記周辺領域と前記保持面との間に、前記撮像板および前記保持板に対して固定された中間部材が配置されているとともに、前記中央領域の少なくとも一部と、前記保持面を含む平面における前記中央領域の正射影の領域の少なくとも一部との間には前記中間部材が延在せずに空隙が設けられており、前記撮像板の線膨張率と前記中間部材の線膨張率との差が、前記保持板の線膨張率と前記中間部材の前記線膨張率との差よりも小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、温度変化に伴う損傷や変形が低減された撮像装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態を説明する模式図。
【図2】第2の実施形態を説明する模式図。
【図3】第3の実施形態を説明する模式図。
【図4】第4の実施形態を説明する模式図。
【図5】第5の実施形態を説明する模式図。
【図6】第6の実施形態を説明する模式図。
【図7】第7の実施形態を説明する模式図。
【図8】第8の実施形態を説明する模式図。
【図9】第9の実施形態を説明する模式図。
【図10】実施例を説明する模式図。
【図11】撮像装置の一例を説明する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
まず、図11(a)、(b)を用いて、本発明の撮像装置1の概要を説明する。撮像装置1は、撮像板2と保持板10とを備えており、図11(a)は撮像板2と保持板10の位置関係を表している。図11(b)は、図11(a)に示した撮像板2のG−G’断面図である。
【0011】
撮像板2は板状の固体撮像デバイス(イメージセンサ)であり、表面(おもて面)210と、表面210とは反対側の面である裏面(うら面)220との2つの主面を有している。撮像対象となる光は、表面210へ入射するため、表面210を入射面と呼ぶこともできる。典型的には、両主面(表面210と裏面220)は同じ形状、同じ面積を成しており、その形状は四角形である。表面210(および裏面220)の面積が大きいほど本発明の効果は顕著になるが、本発明は表面210の面積に限定されることなく適用が可能である。実用的には、表面210の面積が300mm2以上であると好適であり、1000mm2以上であるとより好適である。本発明は、表面210の面積が10000mm2以上という、熱膨張の影響が大きい撮像装置1であっても、十分な効果が得ることができる。
【0012】
表面210は、第1領域211と、第1領域211を囲む第2領域212とを有する。裏面220は、周辺領域221と、周辺領域221に囲まれた中央領域222を有する。このように、第2領域212は表面210内において第1領域211の外側(表面210の外周と第1領域211の外周との間)に位置する領域である。周辺領域221は裏面220内において中央領域222の外側(裏面220の外周と中央領域222の外周との間)に位置する領域である。中央領域222は、裏面220の中心を含んでいる。中心を明確に定めることができない場合には、裏面220の幾何学的重心を裏面220の中心とする。中央領域222は、裏面220の面積の1/4以上を占めることが好ましく、裏面220の面積の1/2以上を占めることがより好ましい。
【0013】
第2領域212は周辺領域221に対応した領域、すなわち、裏面220から表面210への周辺領域221の正射影の領域であり、周辺領域221と実質的に同じ形状の領域である。第1領域211は、中央領域222に対応した領域、すなわち、裏面220から表面210への中央領域222の正射影の領域であり、中央領域222と実質的に同じ形状の領域である。
【0014】
表面210には複数の受光素子213が配列されている。複数の受光素子213を一次元状に配列することでラインセンサとして用いることもできるし、4つ以上の受光素子213を2次元状に配列することでエリアセンサとして用いることもできる。一般的にはエリアセンサのほうがラインセンサよりも表面210の面積を大きくする必要があるので、本発明はエリアセンサとして用いる場合に好適である。
【0015】
複数の受光素子213の各々が画素として機能するから、複数の受光素子213を配列された領域を画素領域と呼ぶことができる。複数の受光素子213は少なくとも第1領域211に配列されている。複数の受光素子213を第1領域211のみに配列してもよいし、複数の受光素子213の一部を第2領域212に配列することもできる。すなわち、画素領域の全体が第1領域211に含まれてもよいし、画素領域の一部が、第2領域212に含まれてもよい。
【0016】
複数の受光素子213の各々は光電変換部230を有しており、表面210への入射光を信号電荷に変換する。この信号電荷を不図示の読み出し回路を用いて読みだして、画像を得ることができる。入射光の一例として赤外線、可視光線、紫外線、X線、γ線が挙げられる。入射光は、被写体で反射した光、被写体からの放射光、被写体を透過した光などである。X線やγ線のような放射線の場合にはシンチレータを用いて波長を変換して、変換された波長の光(蛍光)を光電変換部で信号電荷に変換することができる。撮像装置1は、景色や生物の撮影のほか、医療や天体観察に用いることができる。
【0017】
なお、複数の受光素子213は画像を取得するための有効画素として機能するが、画像の取得に直接的には寄与しない無効画素として機能する遮光素子214を設けることもできる。遮光素子214は受光素子213と同様に光電変換部230を有しているが、遮光部材234を有しており、遮光部材234によって入射光は光電変換部230に到達しないようになっている。遮光素子234を例えば暗電流測定用の素子として用いることができる。
【0018】
このように、無効画素(光学的黒画素:OB画素)として機能する遮光素子214を設ける場合は、受光素子213に対応する領域(有効画素領域)に加え、遮光素子214に対応する領域(無効画素領域)も画素領域とみなす。
【0019】
撮像板2の主たる材料は特に限定されないが、図11(b)に示したCMOS型の撮像板2(CMOSイメージセンサー)や、図示しないCCD型の撮像板2(CCDイメージセンサー)では、通常は半導体であるシリコン、特に単結晶シリコンが用いられる。シリコンの線膨張率は2×10−6〜4×10−6/Kである。また、撮像板2の材料にガラスを用いてもよい。ガラスの場合は、ガラス基板上に、MIS型構造やPIN型構造等を有する薄膜受光素子や、薄膜トランジスタ(TFT)を形成することで、撮像板2を得ることができる。ガラスの線膨張率は、種類にもよるが、一般的には10×10−6/K以下であり、慣用される青板ガラス(ソーダライムガラス)では9×10−6/K、石英ガラスでは、0.5×10−6/Kである。
【0020】
図11(b)に示した撮像板2の一例を詳細に説明する。シリコンを主たる材料とした撮像板の構成としては従来からよく知られている画素増幅型の撮像板や、電荷転送型の撮像板を用いることができる。シリコン基板200の表面の、第1領域211に対応する領域には、光電変換部230としてのフォトダイオードが形成されている。フォトダイオードの代わりに、フォトゲートを用いてもよい。フォトダイオード以外には、増幅トランジスタが配されている(不図示)。必要に応じて転送トランジスタやリセットトランジスタ、選択トランジスタを設けることもできる。これらの増幅トランジスタ等を、1つの光電変換部230毎に設けてもよいが、いくつかの光電変換部230毎に1つを設けて、所謂画素共通構造としてもよい。隣り合う光電変換部230同士は、LOCOSやSTIなどの分離構造によって互いに分離されている。一方、シリコン基板200の表面の、第2領域212に対応する領域には、垂直走査回路や水平走査回路、アンプやA/D変換回路等の周辺回路を構成するトランジスタ231、ダイオード等を配することができる。
【0021】
上記した各トランジスタ、ダイオードは、所定の形状にパターニングされた第1金属層241、第2金属層242によって構成された配線240によって相互に電気的に接続されている。第1金属層241は第2金属層242よりもシリコン基板200の近くに設けられている。ここでは金属層を2層としたが、1層のみでもよいし、第1金属層241と第2金属層242との間にさらに1層以上の金属層を配置して3層以上にしてもよい。金属層はアルミニウムや銅からなり、絶縁部材250を構成する複数の層間絶縁層を介して積層されている。各金属層の配線240は層間絶縁層内に設けられた不図示のビアを介して互いに電気的に接続されている。
【0022】
第2金属層242の一部は、受光素子214の光電変換部230上に配されており、光電変換部230への入射を妨げる遮光部材234として用いることができる。また、第2金属層242の別の一部を電極6として用いることもできる。配線240の一部と遮光部材234と電極6は、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングされた第2金属層242によって同時に形成することが可能である。絶縁部材250上にはカラーフィルタ260が配置されており、カラーフィルタ260上には画素毎にマイクロレンズ270が設けられている。第1金属層241、第2金属層242は、受光素子213の光電変換部230を覆わないように配されており、マイクロレンズ270とカラーフィルタ260を通過した光が光電変換部230に入射する。光電変換部230の直上に、層間絶縁層と異なる屈折率(典型的には層間絶縁層よりも高い屈折率)を有する透明材料を用いて、光導波構造を設けることもできる。また、配線層をシリコン基板200に対して表面210とは反対側(裏面220側)に配置することもできる。このような構造の撮像板はしばしば「裏面照射型」と呼ばれるが、「裏面照射型」を採用したとしても、本発明において光が入射するのは裏面220ではなく表面210であるのは云うまでもない。
【0023】
撮像板2は上記のように、基板200以外の、電気的及び/又は光学的及び/又は化学的及び/又は機械的な機能の担う様々な部材を含む。そのため、撮像板2の線膨張率は、厳密には基板200だけでなく、基板200を含み実質的に一体となった複合部材の線膨張率と考えるべきである。しかしながら、典型的に撮像板2の主たる材料(撮像板2の体積の最も多くを占める材料)である基板の材料(シリコンやガラス)の線膨張率を、撮像板2の線膨張率と近似することは有効である。保持板10についても同様である。厳密に撮像板2や保持板10の線膨張率を測定する場合には、JISZ2285に規定された光走査法で測定した結果を用いることが好ましい。
【0024】
保持板10は撮像板2を保持するのに十分な剛性を備えた板状の部材である。撮像板2の裏面220と、保持板10の保持面110とが互いに対向している。保持板10は撮像板2を裏面220側から保持する。保持面110は、周辺領域221に対向する第3領域111と、中央領域222に対向する第4領域112と、撮像板2に対向しない第5領域113とを有することができる。第3領域111は、裏面220から保持面110への、周辺領域221の正射影の領域であるが、第3領域111が周辺領域221と同じ形状である必要はない。第4領域112は、裏面220から保持面110への、中央領域222の正射影の領域であるが、第4領域112が中央領域222と同じ形状である必要はない。
【0025】
ただし、保持板10(保持面110)は第4領域112と第5領域113の少なくとも一方を有しなくてもよい。第4領域112を有しない場合とは、例えば、保持面110の第3領域111が閉ループ形状を呈している場合であって、第3領域111で囲まれた第4領域112に対応する領域を開口とした場合である。第5領域113を有しない場合とは、表面210側から撮像装置1を見たときに保持板10が撮像板2に完全に隠れてしまう場合である。
【0026】
しかし、保持板10が第4領域112や第5領域113を有しない場合でも、撮像装置1において、第4領域112と第5領域113を規定することは可能である。すなわち、第3領域111(保持面110)を含む平面を設定する。この平面は第3領域111を仮想的にまっすぐ延長することによって得られる、保持面110を含み、保持面110に平行な幾何学的な仮想平面である。そして、当該仮想平面における周辺領域221と中央領域222との位置関係から、第3領域111と第4領域112を規定することができる。
【0027】
保持板10の主たる材料は、保持板10が撮像板2を保持するのに十分な剛性を有することが可能である限りは特に限定されないが、例えば、金属(単体でもよいし合金でもよい)やセラミック、プラスチックを用いることができる。金属を用いると、導電性の観点から電気的なノイズ防止(電磁波シールド)としての利用が可能となる。また大型化や加工性、コスト面でも金属はセラミックにくらべて有利である。金属としては、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、ステンレスが好適であり、保持板10の厚みは0.5〜5mmが好適である。一般的な金属の線膨張率は、10×10−6〜40×10−6/Kである。一例を挙げると、アルミニウムの線膨張率は24×10−6/K、銅の線膨張率は17×10−6/K、SUS304(ステンレス)の線膨張率は17×10−6/Kである。
【0028】
本発明は、上述したような、撮像板2の線膨張率と保持板10の線膨張率が異なる場合に適用すると効果的であり、撮像板2の線膨張率と保持板10の線膨張率とを一致させる場合に比べて保持板10の材料選択の幅が広がる。保持板10にインバーや42アロイ等の線膨張率が低い材料を用いると、撮像板2の線膨張率を保持板10の線膨張率よりも高くすることもできる。撮像板2のノイズ低減の観点からは、保持板10の材料としては42アロイ等の強磁性体を用いるより、非磁性体を用いることが好ましい。アルミニウム、アルミニウム合金、銅、ステンレスなど、典型的な非磁性体の材料を用いた構成では保持板10の線膨張率は撮像板2の線膨張率よりも高い。
【0029】
なお、本発明において、撮像板2および保持板10に関してその形状を規定する「板状」とは、表面210や保持面110に垂直な断面の面積が、表面210や保持面110の面積を超えない程度の厚みを有する形状とする。撮像板2の厚みとは表面210と裏面220との距離であり、保持板10の厚みとは保持面110とその裏面との距離である。例えば、撮像デバイスが直方体であって、表面210の外周の長辺の長さがL、短辺の長さがW、厚みがTである場合を想定する。表面210の面積はL×Wであり、表面210に垂直な断面の面積断面の面積はL×Tとなりうるが、板状の撮像デバイス(撮像板)は、W>Tを満たすべきである。保持板10についても同様に考えることができる。このような撮像板2、保持板10を用いた撮像装置1に温度変化が生じると、撮像板2、保持板10の熱膨張による影響が、表面210に垂直な方向に比べて、表面210に沿った方向で支配的になる。シリコンを主たる材料とする撮像板2において、シリコン基板200の厚みTは、典型的には0.10mm以上2.0mm以下であり、より典型的には0.50mm以上1.0mm以下である。
【0030】
本発明は、このように互いに線膨張率の異なる撮像板2と保持板10とを用いた場合に生じ得る両者の熱膨張量の差が、撮像装置1へ及ぼす影響を低減することができる。特に、表面210に沿った方向での撮像板2、保持板10の熱膨張による影響が低減される。具体的な構造について、以下に実施形態を挙げて説明する。
【0031】
<第1の実施形態>
図1(a)、(b)を用いて、本発明の撮像装置1の第1の実施形態を説明する。図1(a)は撮像装置1を表面210側からみた平面図、図1(b)は図1(b)のA−A’断面図である。
【0032】
保持面110と裏面220との間には中間部材7が設けられている。中間部材7は裏面220と保持面110とを接着しており、その結果、撮像板2と保持板10は、中間部材7によって互いに固定されている。
【0033】
詳細には、中間部材7は少なくとも裏面220の周辺領域221と保持面110の第3領域111との間に位置している。一方、裏面220の中央領域222の少なくとも一部と保持面110の第4領域112の少なくとも一部との間には中間部材7は周辺領域221と保持面110の第3領域111との間から延在していない。その結果、中央領域222と第4領域112との間の少なくとも一部には空隙300が設けられている。空隙300は気体が存在する空間(大気圧であってもよいし、大気圧でなくてもよい)である。中央領域222と第4領域112は部分的に中間部材7で固定されていてもよいが、中央領域222と第4領域112の全体が中間部材7により固定されないようにする。中央領域222の中心と第4領域112の中心との間には、中間部材7が周辺領域221と保持面110の第3領域111との間から延在していないようにすることが望ましい。また、中央領域222の面積の1/4以上の部分と第3領域112の面積の1/4以上の部分との間には、中間部材7が周辺領域221と保持面110の第3領域111との間から延在していないようにすることが好ましい。さらに、中央領域222の面積の1/2以上の部分と第3領域112の面積の1/2以上の部分との間には、中間部材7が周辺領域221と保持面110の第3領域111との間から延在していないようにすることが好ましい。なお、中央領域222と第4領域112の間の全体にわたって中間部材7が位置する必要はない。
【0034】
撮像板2と中間部材7と保持板10の関係について説明する。撮像板2の線膨張率をXとし、中間部材7の線膨張率をYとし、保持板10の線膨張率をZ(X≠Z)とする。そして本発明では、|X−Y|<|Z−Y|という条件(i)を満たす。この条件(i)は、撮像板2の線膨張率Xと中間部材7の線膨張率Yとの差(|X−Y|中間部材)が、保持板10の線膨張率Zと中間部材7の線膨張率Yとの差(|Z−Y|中間部材)よりも小さいという条件である。
【0035】
この条件(i)は、後述する第2〜8の実施形態でも共通に満たされる。X<Zの場合には0<Y<(X+Z)/2であり、Z<Xの場合には、Y>(X+Z)/2である。Z<XよりはZ>Xのほうが好ましい。さらに、|X−Y|<|Z−X|という条件(ii)を満たすことが好ましい。この条件(ii)は、撮像板2の線膨張率Xと中間部材7の線膨張率Yとの差(|X−Y|)が、撮像板2の線膨張率Xと保持板10の線膨張率Zとの差(|Z−X|)よりも小さいという条件である。さらに、|Z−Y|<|Z−X|という条件(iii)を満たすことがより好ましい。この条件(iii)は、保持板10の線膨張率Zと中間部材7の線膨張率Yとの差(|X−Y|)が、撮像板2の線膨張率Xと保持板10の線膨張率Zとの差(|Z−X|)よりも小さいという条件である。条件(i)〜(iii)をすべて満たすのは、X<Zの場合にはX≦Y<(X+Z)/2であり、Z<Xの場合には(X+Z)/2<Y≦Xである。X=Yとするのが最も好ましい。
【0036】
線膨張率が異なる部材同士が固定されていると、温度変化によって各部材の熱膨張量には違いが生じ部材間に応力が生じる。上記条件によれば、撮像板2と中間部材7との間に生じる熱膨張差を、保持板10と中間部材7との間に生じる熱膨張差よりも小さくすることができる。加えて、裏面220の中央領域222と保持面110の第3領域との間の少なくとも一部に中間部材7が位置しないことにより、撮像板2と中間部材7との間に生じる応力を小さくすることができる。これは、中間部材7の熱膨張を撮像装置1の内側(第4領域112および中央領域222)に向かう方向と、撮像装置1の外側(第5領域113)に向かう方向とに分散させることが一因と考えられる。これらの結果、撮像板2への応力の影響を低減することができると考えられる。
【0037】
中間部材7の幅(裏面220の中心から裏面220の外周へ向かう方向における中間部材7の長さ)は極力短いことが好ましい。中間部材7の幅が極端に大きくなると中間部材7の熱膨張が大きくなり、撮像板2と中間部材7との間及び/又は中間部材7と保持板10との間に生じる応力が無視できなくなる場合がある。そのため、中間部材7の幅は、後述する延在部71を含めて、上記方向における裏面220の中心から裏面220の外周までの距離(典型的にはW/2またはL/2)以下であることが好ましい。さらに、中間部材7の幅は、上記方向における裏面220の中心から裏面220の外周までの距離の2/3以下であることが好ましく、1/4以下であることがより好ましい。中間部材7の撮像板2側の面積は、撮像板2の表面210の面積の1/2以下であることが好ましく、1/4以下であることがより好ましい。
【0038】
中間部材7の材料は撮像板2と保持板10とを固定可能であって、上記条件を満たしていれば特に限定されない。中間部材7と撮像板2、保持板10との接合は中間部材7の接着性や粘着性を利用した接着、あるいは、溶着や溶接を用いることができる。ただし溶着や溶接は高温加熱工程を経るため、温度変化の影響が大きく、接着を用いるのが好ましい。同様の理由で、接着する場合には常温で固化可能な接着剤を用いることが好ましい。例えば乾燥、化学反応、光硬化等によって常温で固化する接着剤を用いることができる。
【0039】
図1(a)の例では点線で示す様に、中間部材7は空隙300を切れ目なく囲むように閉ループ状に配されているが、中間部材7に切れ目を設けてもよい。中間部材7に切れ目を設けておくと、その切れ目で熱膨張の余地が増えるため、中間部材7が空隙300を切れ目なく囲むように設ける場合に比べて、応力を低減することができる。
【0040】
図1について、ほかの構成について説明する。
保持板10には接着剤14を介して回路部材9が固定されている。接着剤14としてはエポキシ樹脂やシート接着剤など公知の接着剤を用いることができる。撮像板2の第2領域212には電極6が配されており、電極6と回路部材9がボンディングワイヤによって接続されている。なお、本発明でいうボンティングワイヤとは、導体同士(電極6と回路部材9)を、金属細線(単体でもよいし合金でもよい)をワイヤボンディング法によって電気的に接続したものを意味する。ここでは回路部材9はフレキシブルプリント回路板(FPC)であるが、リジッドプリント回路板であってもよいし、リードであってもよいし、LGA(Land Grid Array)であってもよい。回路部材9は連続した一つの部材であってもよいが、回路部材9の面積が大きくなると熱膨張が大きくなるために、複数に分離して配置することが好ましい。フレキシブルプリント回路板を保持板10ではなく撮像板2の第2領域212に接着して、表面210上で電極6とフレキシブルプリント回路板とをボンディングワイヤで接続してもよい。また、電極6とフレキシブル回路板とを異方性導電性接着剤(ACF)で接続して電気的及び機械的接続を得てもよい。
【0041】
<第2の実施形態>
図2(a)、(b)を用いて、第2の実施形態について説明する。図2(a)は撮像装置1を表面210側からみた平面図、図2(b)は図2(b)のB−B’断面図である。図1と同様の機能を有する部分には同じの符号を付し詳細な説明は省略する。第2の実施形態では、中間部材7は周辺領域221に接着剤13で固定されている。接着剤13としては一般的なダイボンドペーストを用いることができる。中間部材7と第3領域111との固定は、接着剤13と同じ接着剤を用いてもよいが、図2の形態では緩衝部材11を用いている。中間部材7と撮像板2、保持板10との固定は接着剤に限定されるものではなく、溶着や溶接などであってもよいが、第1の実施形態で説明した理由から接着剤が好ましい。
【0042】
本実施形態では、それ自体は接着性を有しない中間部材7を用いることができる。シリコンやガラス等の一般的な撮像板2の材料は接着性を有しないが、接着剤13を用いることで、中間部材7として撮像板2の主たる材料と同じ材料を用いることができる。つまり、撮像板2の主たる材料がシリコンであれば中間部材7の主たる材料としてシリコンを用いることができ、撮像板2の主たる材料がガラスであれば中間部材7の主たる材料としてガラスを用いることができる。その結果、中間部材7の線膨張率と撮像板2の線膨張率の差(|X−Y|)を0またはほぼ0にすることが可能となる。特に、撮像板2の主たる材料がシリコンである場合には、熱膨張がシリコン基板の結晶構造に歪みを生じて、暗電流の一因となることが考えられるため、本発明を好適に適用することができる。表面210の寸法(四角形の場合は対角、円形の場合は直径である)が100mm以上である場合には、中間部材7に撮像板2の材料と同じ材料を用いて、中間部材7の線膨張率と撮像板2の線膨張率の差を十分に小さくすることが望ましい。
【0043】
接着剤や緩衝部材の線膨張率は特に限定されないが、厚みを薄くすることで接着剤や緩衝剤の熱膨張の影響を低減することができる。一方、中間部材7の厚みは大きいほど本実施形態の効果は大きくなる。実用的には、中間部材7の厚みは0.10mm以上である。中間部材7の厚みを、周辺領域221と保持面110(第3領域111)との距離の半分以上とすることが好ましい。中間部材7の厚みが0.50mm以上であることがより好ましい。一方、中間部材7の厚みが極端に大きいと、表面210に垂直な方向で、表面210に変位が顕著になる場合がある。そのため、中間部材の厚みは2.0mm以下であることが好ましく、1.0mm以下であることがより好ましい。特に撮像板2および中間部材7の主たる材料がシリコンである場合には、中間部材7の厚みを0.50mm以上2.0mm以下にすることが好ましい。
【0044】
図1(a)の例では、中間部材7は連続した1つの部材としたが、図2(a)の例では、中間部材7は分離した複数の(ここでは2つの)部材である。このように、中間部材7を分離して配置すると、中間部材7の熱膨張の影響を小さくすることができる。複数の中間部材7の各々の撮像板2側の面積は、撮像板2の表面210の面積の1/4以下であることが好ましい。
【0045】
緩衝部材11としては、厚みが0.10mm以上、かつ、ヤング率が100MPa以下であると好ましい。緩衝部材11の厚みが極端に厚くなると、撮像板2が保持板10に対して不安定になりやすいため、緩衝部材11の厚みは1.0mm以下であることが好ましく、0.50mm以下であることがより好ましい。緩衝部材11の具体的な材料としては、ゲル状シートや、粘着ゴムシート、液状接着剤、低弾性樹脂、両面テープを用いることができる。このような緩衝部材11を用いることにより、撮像板2と中間部材7との間の応力に比べて大きくなりやすい、保持板10と中間部材7との間の応力を低減することができる。これにより、中間部材7が保持板10から剥離する可能性を低減し、保持板10と中間部材7の固定の信頼性を向上することができる。
【0046】
<第3の実施形態>
図3(a)、(b)を用いて、第3の実施形態について説明する。図3(a)は撮像装置1を表面210側からみた平面図、図3(b)は図3(b)のC−C’断面図である。図1,2と同様の機能を有する部分には同じの符号を付し詳細な説明は省略する。第3の実施形態では、中間部材7として、回路部材9(フレキシブルプリント回路板)を用いている。
【0047】
一般的なフレキシブルプリント回路板の線膨張率は10×10−6〜20×10−6/Kである。このような構成であれば、撮像装置1内での線膨張率が異なる部材の数を減らせるので、熱応力の発生個所を削減することができる。
回路部材9は接着剤13で周辺領域221に固定されており、接着剤14で第3領域111に固定されている。接着剤14の代わりに、第2の実施形態で説明した緩衝部材11を用いると好ましい。
【0048】
<第4の実施形態>
図4(a)、(b)を用いて、第4の実施形態について説明する。図4(a)は撮像装置1を表面210側からみた平面図、図4(b)は図4(b)のD−D’断面図である。図1〜3と同様の機能を有する部分には同じの符号を付し詳細な説明は省略する。中間部材7が周辺領域221と第3領域111との間に位置する点は、第1〜第3の実施形態と同様である。本実施形態では、中間部材7は周辺領域221と第3領域111との間から第5領域113上(周辺領域221の外側)に延在している。中間部材7の第5領域113上の部分を延在部71と呼ぶ。延在部71には、回路部材9が接着剤14で固定されている。そして、中間部材7上の領域で電極6と回路部材9とがボンディングワイヤ12で電気的に接続されている。かかる構成によれば、第2の実施形態に比べて、撮像装置1の温度上昇に伴う電極6と回路部材9との距離拡大を低減できるため、ボンディングワイヤ12の断線確率を低減することができ、電気的接続の信頼性を向上することができる。
【0049】
<第5の実施形態>
図5(a)、(b)を用いて、第5の実施形態について説明する。図1〜4と同様の機能を有する部分には同じの符号を付し詳細な説明は省略する。本実施形態は、回路部材9が延在部71上から中間部材7と周辺領域221との間に延在する点が、第4の実施形態と異なる。かかる構成によれば、回路部材9が撮像板2と中間部材7とに挟まれているため、撮像板2と回路部材9との相対的な変位を低減できるため電気的接続の信頼性を向上することができる。本実施形態でもボンディングワイヤを用いることができるが、図5に示したように、撮像板2の周辺領域221(裏面220)に配された電極6と回路部材9とを、ボンディングワイヤを用いずにフリップチップ接続することができる。これにより、ボンディングワイヤに生じやすい断線の問題がない構造を採用でき、電気的接続の信頼性、耐久性を一層向上することができる。
【0050】
<第6の実施形態>
図6(a)、(b)を用いて、第6の実施形態について説明する。図1〜5と同様の機能を有する部分には同じの符号を付し詳細な説明は省略する。本実施形態は、第5の実施形態とは、回路部材9が、中間部材7と周辺領域221との間から、中央領域222と第4領域112との間に延在する点が異なる。なお、図6では回路部材9の一部が延在部71上に位置する例を示したが、延在部71上には位置しなくてもよいし、延在部71を設けなくてもよい。また、図6では撮像板2の電極6と回路部材9との電気的な接続にボンディングワイヤ12を用いた例を示したが、図5で示したような、裏面220に設けられた電極6と回路部材9とをフリップチップ接続してもよい。
【0051】
図6(a)は本実施形態の一例であり、中央領域222と第4領域112との間に電子回路19が設けられている。電子回路19は中央領域222と第4領域112との間に延在する回路部材9と電気的に接続されている。電子回路19は、信号処理用あるいは駆動用のIC16や、抵抗、キャパシタ、インダクタ等の受動素子(不図示)、これらを搭載する基板19、回路部材9と接続するためのコネクタ18などを含むことができる。このように、保持板10と撮像板2との間に電子回路19を配置することにより、撮像装置1全体を薄型化することが可能となる。
【0052】
図6(b)は本実施形態の別の例であり、保持板10の、中央領域222に対応する領域には開口20が設けられている。したがって、この例では、第4領域112は保持面110(第3領域111)を含む仮想平面の領域である。そして、開口20を介して回路部材9が、保持板10の撮像板2側とは反対側(保持板10の裏側)へ引き出されている。開口20を介して裏側へ引き出された回路部材9に、上述の電子回路19が接続されている。この例では、発熱源となり得る電子回路19を、図6(a)の例よりも撮像板2から離すことができるため、撮像板2の温度変化が生じにくい撮像装置1を得ることができる。そのため、撮像板2に生じる熱膨張を減少させることができる。また、撮像板2自体の温度変化によって生じるランダムノイズの影響を低減できるとともに、電子回路19が発生する電磁波の撮像板2への影響も低減し、ノイズの少ない画像を得ることができる。
【0053】
<第7の実施形態>
図7(a)、(b)を用いて、第7の実施形態について説明する。図1〜6と同様の機能を有する部分には同じ符号を付し詳細な説明は省略する。本実施形態は、図7(a)に示したように、中央領域222と第4領域112との間に間隔規定部材8を撮像板2及び保持板10の双方に固定して配置する。これにより、空隙300を確実に設けることができるとともに、振動等による表面210に垂直な方向における撮像板2の変位を抑制することができる。
【0054】
さらに、図7(b)に示す様に、間隔規定部材8の厚みを、周辺領域221と第3領域111との距離よりも薄くして、撮像板2及び保持板10の双方に固定して配置することもできる。このようにすると撮像板2の第1領域211が保持板10側に引っ張られるので、表面210を凹状に反らせることもできる。撮像板2の面積および空隙300の面積を十分に大きくすることで、間隔規定部材8を用いずに、撮像板2の自重によって、表面210を凹状に反らせてもよい。このように、表面210が凹面を成すことによって、対物レンズ等による像面湾曲収差を低減することができる。第1領域211(画素領域)の面積が大きくなると、第1領域の端部での収差が大きくなりやすいので、このような構成は好適である。
【0055】
<第8の実施形態>
図8(a)、(b)を用いて、第8の実施形態について説明する。図1〜7と同様の機能を有する部分には同じ符号を付し詳細な説明は省略する。図8(a)は、その一部に図4(a)のD−D’断面を含む、撮像装置1の断面図であり、図8(b)は、その一部に図4(a)のE−E’断面を含む撮像装置1の断面図である。なお、図4(a)においてD−D’断面とE−E’断面は互いに直交する断面である。
【0056】
本実施形態の撮像装置1は、図8(a)、(b)に示す様に、撮像板2の表面210側に保護板21が配されている。保護板21は保持板10の第5領域113上に配された支持部材22に支持されている。保護板21は撮像板2から離れて設けると良く、支持部材22の高さを適宜設定することで、保護板21の撮像板2からの高さを設定することができる。図8(b)の例では、支持部材22は、図4(a)に示した、第5領域113に設けられたビス穴15を介して、ビス24で保持板10に固定されている。ビス24を用いずに、接着剤や溶接等で支持部材22を保持板10に固定してもよい。また、保持板10と支持部材22とを一体成型して、保持板10自体が保護板21を支持するように構成してもよい。ここでは図4(a)〜(c)に示した第4の実施形態に、保護板および支持部材22、ビス24を追加して本実施形態とした例を用いて説明する。しかしながら、本実施形態は、第1〜7の実施形態のいずれにも適用が可能であり、図1(a),図2(a),図3(a),図5(a)にもビス穴15を示している。
【0057】
支持部材22を撮像板2の第2領域212上に配してもよいが、撮像板2への取り付け時や使用時の衝撃を低減する点では、第5領域113上に配するのが良い。支持部材22は剛性を有するように金属製であることが好ましく、保持板10と同じ材料を用いてもよい。支持部材22を枠状とすることで、保持板10および保護板21とともに撮像板2を囲む、封止パッケージ(外囲器)を成すこともできる。封止パッケージにより表面210への機械的なダメージや埃等の異物の付着を抑制することができる。なお支持部材22を枠状とする場合、支持部材22と保持板10との間に隙間23を設けたり、支持部材22に開口を設けたりすることで、隙間23や開口から回路部材9を外部に引き出すことができる。
【0058】
保護板21は少なくとも撮像板2に入射するべき光が透過可能な透明性を有している。保護板21は一つ以上のフィルタ機能を有していてもよい。フィルタ機能は保護板自体の表面処理や保護板用基板上に配したフィルムによって実現可能である。フィルタとしては、特定の空間周波数帯域をカットするローパスフィルタあるいはハイパスフィルタであってもよいし、特定の波長の光を撮像板に入射させないための波長選択フィルタでもよい。波長選択フィルタとしては例えば赤外線フィルタや、カラーフィルタを用いることができる。典型的には、保護板あるいは保護板用基板にはガラスを用いることができる。
【0059】
<第9の実施形態>
図11を用いて、第9の実施形態として、撮像装置1およびそれを用いた撮像システム1001の一例を説明する。本実施形態は、第1〜8の実施形態のいずれにも適用が可能である。撮像システム1001は、撮像装置1と、撮像装置1からの出力信号が入力され、当該出力信号を処理する信号処理装置1000とを備える。図11は、撮像システム1001の一例を示す図である。信号は、撮像装置1のOUT1、OUT2から出力される。ここでは、出力経路をOUT1、OUT2の2つを設けた例を示したが、出力経路は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。OUT1、OUT2は、上記した電極6、あるいは、回路部材9に相当する。出力信号は、信号処理装置1000のINに入力される。出力信号は、電流信号あるいは電圧信号などの電気信号であってもよいし、電波信号、光信号であってもよい。また、出力信号はアナログ信号であってもよいしデジタル信号であってもよい。
【0060】
信号処理装置1000を、INに信号を入力することにより、OUT3から画像信号を出力するように構成する。第6実施形態で説明した電子回路19が信号処理装置1000を成すように構成することもできる。
【0061】
図11に示した撮像装置1の一例を説明する。本例では、撮像装置1に画素増幅型の撮像板を用いている。図11において、撮像装置1の撮像板は、画素領域711と、垂直走査回路712と、2つの読み出し回路713と、2つの水平走査回路714と、2つの出力アンプ715を備えている。画素領域711以外の領域を周辺回路領域とも称する。
【0062】
画素領域711には、多数の受光素子213が2次元状に配列されている。各受光素子1が1画素に相当する。周辺回路領域には、図11を用いて説明したトランジスタ231で構成された読み出し回路713、例えば、列アンプ、CDS回路、加算回路等が設けられ、垂直走査回路712によって選択された行の画素から垂直信号線を介して読み出された信号に対して増幅、加算等を行う。列アンプ、CDS回路、加算回路等は、例えば、画素列又は複数の画素列毎に配置される。水平走査回路714は、読み出し回路713の信号を順番に読み出すための信号を生成する。出力アンプ715は、水平走査回路614によって選択された列の信号を増幅して出力する。
【0063】
以上の構成は、撮像装置1の一つの構成例に過ぎず、これに限定されるものではない。ここでは、読み出し回路613と水平走査回路614と出力アンプ615とは、2系統の出力経路(OUT1、OUT2)を構成するため、画素領域611の両側に1つずつ配置されている。
【0064】
代表的な撮像システム1001としてはスチルカメラやビデオカメラ等のカメラが挙げられる。撮像システム1001は、撮像板2に結像するために、レンズやミラー等の光学部材で構成される結像手段を備えることができる。また、撮像システム1001は、得られた画像を記憶する記憶手段を備えることもできる。また、撮像システム1001は、撮像装置1を移動可能にする移動手段(不図示)を備えることもできる。移動手段としては、電動モーターやレシプロエンジン、ロータリーエンジン等を動力源とする車輪が挙げられる。また、移動手段としては、プロペラ、タービンエンジン、ロケットエンジン等の推進装置も挙げられる。このような、移動手段を備える撮像システムは、自動車や鉄道車両、船舶、航空機、人工衛星等に、撮像装置1および信号処理装置1000を搭載することにより実現が可能である。
【実施例】
【0065】
本実施例では、図4(a)、(b)および図8(a)、(b)で示した形態の撮像装置1を作製した例を説明するが、本発明はこの実施例に限定されることなく設計変更が可能である。
【0066】
図10(a)に示す様に、厚み0.775mm、直径300mmの円形のシリコンウエハ70に、0.35μm−CMOSプロセスによって、画素領域を形成した。シリコンウエハ70の線膨張率は2.6×10−6/Kであった。画素領域は、画素ピッチを縦160μm、横160μmとして、縦1280画素、横1248画素(内、有効画素は縦1280画素、横1128画素)を2次元状に配列した。配線用の金属層としては、3層のアルミニウム層を用いた。画素領域の大きさは縦205mm、横200mmであった。画素領域外(縦205mm、横1mmの領域×2)には電極6が縦方向に1次元状に配列されている。その後、シリコンウエハ70を、図10(a)に破線で示す様に略正方形状にダイシングして、縦205mm、横202mm、対角287mmの撮像板2(CMOSイメージセンサー)を作製した。撮像板2の面積は表面210、裏面220とも41410mm2である。
【0067】
保持板10として、縦340mm×横340mmの正方形状で、厚み3mmのアルミニウム板を用意した。アルミニウム板の線膨張率は24×10−6/Kであった。保持板10の表面は反射防止のためブラックアルマイト処理にて黒色とした。
【0068】
まず、上記ダイシング時に生じたシリコンウエハ70の2枚の断片701、702を中間部材7として準備した。勿論、撮像板2を作製するために用いたシリコンウエハ70の断片701、702ではなく、別のシリコン板を中間部材7に用いてもよい。しかしながら、撮像板2と同一工程(熱処理工程等)を経たシリコンウエハ70の断片701、702を用いると、撮像板2と中間部材7の熱特性の違いを小さくできるため好ましい。この断片701、702の最大幅は、それぞれ49mmである。ここでは、断片701、702の円弧状の辺を残したが、断片701、702の円弧状の辺の付近を切断して短冊状に加工し、短冊状の断片を中間部材7として用いてもよい。また、回路部材9として銅配線がパターニングされたポリイミド製のFPCを片側5枚ずつの計10枚を準備した。
【0069】
断片701、702の、中間部材7の延在部71に相当する部分に、接着剤14として、日立化成工業社製の熱硬化型銀ペースト接着剤を塗布した。計10枚のFPCを、接着剤14を介して断片701、702に5枚ずつ固定した。ここで回路部材9を複数準備した目的は断片701、702からFPCが剥離することを抑制するためである。接着剤14の硬化条件は150℃オーブンにて1時間とした。
【0070】
接着剤14が硬化した後、FPCが問題なく良品として使えることを確認し、断片701、702に、接着剤13として、パナソニック電工社製の熱硬化型液状エポキシ接着剤を塗布した。接着剤13上に電極6が位置するように、撮像板2を計2枚のFPC付き断片701、702上に載せて、接着剤13を介して断片701、702を撮像板2に固定した。ここでは、画素領域の一部と画素領域外の領域とを含む、裏面220の外周から1mmまでの領域を周辺領域221としている。また、十分な接着面積を得るために断片701、702は、画素領域の一部に対応する、中央領域222の一部にも接着した。接着剤13の硬化条件は150℃オーブンにて1時間とした。なお、接着剤13の熱硬化後のヤング率は1GPa以上であった。このようにして、図10(b)に示す様に、撮像板2と断片701、702、回路部材9が相互に固定された部材を作製した。
【0071】
次に、150℃に加温されたボンディングステージに、一体となった撮像板10と断片701、702を載せ、ワイヤボンディング法でFPCの端子と電極6とを接続した。このとき、断片701、702に接着された撮像板2はボンディングステージの熱の影響による反りが発生しなかった。また、ワイヤボンディングの接続の信頼性の観点からは、撮像板2の下地が十分に硬いことが好ましい。撮像板2と断片701、702の固定に用いた接着剤13は、ヤング率が1GPa以上と硬い接着剤であるため、ワイヤボンディング法が問題なく実施できた。
【0072】
次に、保持板10上の第3領域111に相当する領域に、緩衝部材11として、不織布を基材とした日東電工社製の両面テープ5011N(厚み0.15mm)を貼り付けた。なお、両面テープ5011Nのヤング率が100MPa以下であることを予め確認している。緩衝部材11上に撮像板2に固定された断片701、702を載せて、断片701、702および撮像板2を、緩衝部材11を介して保持板10に固定した。撮像板2の中央領域221と保持板10の第3領域111との距離は1.0mmであった。以上のようにすることにより、断片701、702が中間部材7として機能する。
【0073】
支持部材22として、ブラックアルマイト処理を実施した幅10mm、高さ10mmのアルミニウム枠を、保持板10にネジ止めした。支持部材22に撮像板2の保護板21として加工したアクリル板(縦32mm、横32mm、厚み5mm)を接着した。以上のようにして、図8(a)、(b)に示した撮像装置1を作製した。
【0074】
環境試験室で環境温度を−20°Cから+60℃まで変化させたが、撮像板2の反りの変化や剥離、ボンディングワイヤ12の断線は確認されなかった。その後、0.3lxという低照度環境で撮影を行ったところ、鮮明な画像を取得することができた。
【符号の説明】
【0075】
1 撮像装置
2 撮像板
210 表面
211 第1領域
212 第2領域
220 裏面
221 周辺領域
222 中央領域
7 中間部材
71 延在部
9 回路部材
10 保持板
11 緩衝部材
110 保持面
12 ボンディングワイヤ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光が入射する表面と、中心を含む中央領域および前記中央領域を囲む周辺領域を有する裏面と、を有する撮像板と、
前記撮像板を前記裏面側から保持するための保持面を有する保持板と、を備えた撮像装置において、
前記周辺領域と前記保持面との間に、前記撮像板および前記保持板に対して固定された中間部材が配置されているとともに、前記中央領域の少なくとも一部と、前記保持面を含む平面における前記中央領域の正射影の領域の少なくとも一部との間には前記中間部材が延在せずに空隙が設けられており、
前記撮像板の線膨張率と前記中間部材の線膨張率との差が、前記保持板の線膨張率と前記中間部材の前記線膨張率との差よりも小さいことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記撮像板の前記線膨張率と前記中間部材の前記線膨張率との前記差が、前記撮像板の前記線膨張率と前記保持板の前記線膨張率との差よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記中間部材の厚みが、前記保持面と前記周辺領域との距離の半分以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記中間部材は、前記周辺領域と前記保持面との間にて、複数に分離して設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記中間部材と前記保持面との間には緩衝部材が設けられており、前記緩衝部材のヤング率が100MPa以下であって、厚みが0.10mm以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記撮像板と電気的に接続された回路部材を備え、前記回路部材は前記中間部材に固定されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記中間部材は、前記周辺領域の外側に延在する延在部を有しており、前記回路部材は前記延在部に固定されていることを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記回路部材は、前記中間部材と前記周辺領域との間に配置されていることを特徴とする請求項6または7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記撮像板と前記回路部材は、ボンティングワイヤによって電気的に接続されていることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記撮像板および前記中間部材の主たる材料はシリコンであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記中間部材の厚みは0.50mm以上2.0mm以下であることを特徴とする請求項10に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記表面が凹面を成していることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記表面の面積が300mm2以上であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記表面の面積が10000mm2以上であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の撮像装置と、前記撮像装置からの出力信号が入力され、前記出力信号を処理して画像信号を出力する信号処理装置と、を備えることを特徴とする撮像システム。
【請求項1】
光が入射する表面と、中心を含む中央領域および前記中央領域を囲む周辺領域を有する裏面と、を有する撮像板と、
前記撮像板を前記裏面側から保持するための保持面を有する保持板と、を備えた撮像装置において、
前記周辺領域と前記保持面との間に、前記撮像板および前記保持板に対して固定された中間部材が配置されているとともに、前記中央領域の少なくとも一部と、前記保持面を含む平面における前記中央領域の正射影の領域の少なくとも一部との間には前記中間部材が延在せずに空隙が設けられており、
前記撮像板の線膨張率と前記中間部材の線膨張率との差が、前記保持板の線膨張率と前記中間部材の前記線膨張率との差よりも小さいことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記撮像板の前記線膨張率と前記中間部材の前記線膨張率との前記差が、前記撮像板の前記線膨張率と前記保持板の前記線膨張率との差よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記中間部材の厚みが、前記保持面と前記周辺領域との距離の半分以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記中間部材は、前記周辺領域と前記保持面との間にて、複数に分離して設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記中間部材と前記保持面との間には緩衝部材が設けられており、前記緩衝部材のヤング率が100MPa以下であって、厚みが0.10mm以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記撮像板と電気的に接続された回路部材を備え、前記回路部材は前記中間部材に固定されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記中間部材は、前記周辺領域の外側に延在する延在部を有しており、前記回路部材は前記延在部に固定されていることを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記回路部材は、前記中間部材と前記周辺領域との間に配置されていることを特徴とする請求項6または7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記撮像板と前記回路部材は、ボンティングワイヤによって電気的に接続されていることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記撮像板および前記中間部材の主たる材料はシリコンであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記中間部材の厚みは0.50mm以上2.0mm以下であることを特徴とする請求項10に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記表面が凹面を成していることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記表面の面積が300mm2以上であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記表面の面積が10000mm2以上であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の撮像装置と、前記撮像装置からの出力信号が入力され、前記出力信号を処理して画像信号を出力する信号処理装置と、を備えることを特徴とする撮像システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−175273(P2012−175273A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33693(P2011−33693)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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