説明

撮像装置

【課題】温度センサーを用いずに温度調節可能な撮像装置を提供する。
【解決手段】光電変換素子20と、光電変換素子20の温度を調整する温度調整部84と、光電変換素子20及び温度調整部84を制御する制御部86と、光電変換素子20の長キャリア蓄積時間での暗電流強度と短キャリア蓄積時間での暗電流強度との差分値と測定温度とを対応付けた対応表が記録されている記録部75と、を備える撮像装置80である。制御部86は、光電変換素子20の長キャリア蓄積時間での暗電流強度と短キャリア蓄積時間での暗電流強度との差分値を算出し、対応表より測定温度を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な生物種の遺伝子の発現解析を行うためにDNAチップや抗体チップ等の生体高分子分析チップやその読取装置が開発されている。生体高分子分析チップは、プローブとなる既知の塩基配列のcDNAや抗体をスライドガラス等の固体担体上にマトリックス状に整列固定させたものである。例えば、DNAチップ及びその読取装置を用いた遺伝子の発現解析は次のようにして行う。
【0003】
まず、既知の塩基配列を有した複数種類のcDNA(以下、プローブDNAという)をスライドガラス等の固体担体に整列固定させたDNAチップを準備する。次に、検体からmRNAを抽出し、逆転写酵素を用いてcDNAを合成し、標識物質で標識したものを用意する(以下、標識DNAという)。ここで、標識物質には蛍光体や化学発光基質、あるいは化学発光基質を発光させる酵素等を用いることができる。
次に、標識DNAをDNAチップ上に添加すると、標識DNAが相補的なプローブDNAとハイブリダイズすることによりDNAチップ上に固定される。
【0004】
次いで、DNAチップを読取装置にセッティングし、読取装置にて分析する。読取装置は、DNAチップに対して二次元的に移動する集光レンズ及びフォトマルチプライヤーによってDNAチップを走査する標識物質により発した光を集光レンズで集光させ、光強度をフォトマルチプライヤーで計測することで、DNAチップの面内の光強度分布を計測し、これにより、DNAチップ上の光強度分布が二次元の画像として出力される。出力された画像内で光強度が大きい部分には、プローブDNAの塩基配列と相補的な塩基配列を有した標識DNAが含まれていることを表している。従って、二次元画像中のどの部分の蛍光強度が大きいかによって検体で発現しているmRNAを同定することができる。
【0005】
また、複数の撮像素子を二次元アレイ状に配列してなる固体撮像デバイスの受光面にDNAや抗体等のプローブ分子をスポットした生体高分子分析チップが開発されている。このような生体高分子分析チップでは、スポットに付着した標識DNA等の生体高分子を標識する標識物質により発生する光を各光電変換素子により計測する。固体撮像デバイスの受光面にスポットが点在しており、受光面に付着された生体高分子と光電変換素子との間の距離が近いために標識物質から発した光があまり減衰せずに固体撮像デバイスの受光面に入射するため、僅かな光量でも計測が可能であるという利点がある。
【0006】
ところで、撮像素子は温度が上昇すると暗電流が増大するため、ノイズが増大する。このため、撮像素子に温度センサーを設けるとともに、撮像素子を冷却する冷却装置により撮像素子を一定温度に保つことが行われる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−118925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記のような生体高分子分析チップにおいて、撮像素子の温度を制御するためには、撮像素子の温度を計測する温度センサー及びそのインターフェース回路等が必要となり、装置が複雑になっていた。
【0009】
本発明は、上記の問題を解決し、温度センサーを用いずに温度調節可能な撮像装置及び生体高分子分析チップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の課題を解決するために、本発明の一の態様によれば、光電変換素子と、測定温度にしたがった前記光電変換素子の長キャリア蓄積時間での暗電流強度と短キャリア蓄積時間での暗電流強度との差分値が記録されている記録部と、前記光電変換素子の長キャリア蓄積時間での暗電流強度と短キャリア蓄積時間での暗電流強度との差分値及び前記記録部に基づいて測定温度を求める制御部と、を備えることを特徴とする撮像装置が提供される。
【0011】
また、本発明の他の態様によれば、第一の光電変換素子と、第二の光電変換素子と、測定条件ごとに、前記第一の光電変換素子が検出する光度と、前記光度に対応する第一の光電変換素子の出力値をA/D変換したAU値と前記第二の光電変換素子の出力値をA/D変換したAU値との第一の差分と、の関係を示す第一のテーブルにおける前記第一の差分が最大となる測定条件と、所定の測定条件における前記第一の光電変換素子が検出する光度と、前記光度に対応する第一の光電変換素子の出力値をA/D変換したAU値と前記第二の光電変換素子の出力値をA/D変換したAU値との第二の差分と、の関係を示す第二のテーブルにおける前記第二の差分と、の関係を示す第三のテーブルが記録された記録部と、前記所定の測定条件において前記第一の光電変換素子の出力値を得た後に、前記第一の光電変換素子の出力値をA/D変換したAU値と前記第二の光電変換素子の出力値をA/D変換したAU値との第三の差分から、前記第三のテーブルを用いて前記第三の差分が最大となる測定条件を読み出し、当該測定条件において前記第一の光電変換素子で光検出を行う制御部と、を備えることを特徴とする撮像装置が提供される。
【0012】
好ましくは、撮像装置の受光面側に、特定の生体高分子と結合するプローブを備える生体高分子分析チップが設けられていることを特徴とする撮像装置が提供される。
【0013】
好ましくは、前記プローブは既知の塩基配列を有する一本鎖DNAである。
あるいは、好ましくは、前記プローブは特定の抗原と結合する抗体である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、光電変換素子の出力に基づいて温度を測定できる撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】分析装置80の構成を示すブロック図である。
【図2】温度調整部84と生体高分子分析チップ1との位置関係を示す側面図である。
【図3】温度調整部84と生体高分子分析チップ1との位置関係を示す平面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る生体高分子分析チップ1の概略平面図である。
【図5】図4のV−V矢視断面図である。
【図6】ダブルゲートトランジスタ20を示す平面図である。
【図7】図6のVII−VII矢視断面図である。
【図8】図4のVIII−VIII矢視断面図である。
【図9】固体撮像デバイス10に出力される電気信号のレベルの推移を示したタイミングチャートである。
【図10】ある撮像素子制御回路88にLSI70を接続し、キャリア蓄積時間を9600ms、4800ms、2400ms、1200msとした場合における、温度とOBダブルゲートトランジスタ20aの出力値(AU)との関係を示すグラフである。
【図11】図10とは異なる撮像素子制御回路88にLSI70を接続し、キャリア蓄積時間を9600ms、4800ms、2400ms、1200msとした場合における、温度とOBダブルゲートトランジスタ20aの出力値(AU)との関係を示すグラフである。
【図12】キャリア蓄積時間を9600msとした場合におけるOBダブルゲートトランジスタ20aの出力値から、キャリア蓄積時間を4800ms、2400ms、1200msとした場合におけるOBダブルゲートトランジスタ20aの出力値を減算した差分値と、温度との関係を示すグラフである。
【図13】温度と、キャリア蓄積時間を9600msとした場合の出力値(AU)からキャリア蓄積時間を1200msとした場合の出力値(AU)を引いた差分値Δとを対応付けたテーブルである。
【図14】蛍光標識DNA62をプローブDNA61とハイブリダイゼーションさせる方法についての説明図である。
【図15】蛍光標識DNA62をプローブDNA61とハイブリダイゼーションさせる方法についての説明図である。
【図16】固体撮像デバイス10の温度制御をする際のCPU86による処理を示すフローチャートである。
【図17】蛍光標識DNA62の検出方法についての説明図である。
【図18】生体高分子分析チップ101を示す断面図である。
【図19】ダブルゲートトランジスタ20に2.5mcdの光を照射し、キャリア蓄積時間を9600ms、4800ms、2400ms、1200msで測定したときの温度とAU値との関係を示すグラフである。
【図20】ダブルゲートトランジスタ20に1.0mcdの光を照射し、キャリア蓄積時間を9600ms、4800ms、2400ms、1200msで測定したときの温度とAU値との関係を示すグラフである。
【図21】ダブルゲートトランジスタ20に0.3mcdの光を照射し、キャリア蓄積時間を9600ms、4800ms、2400ms、1200msで測定したときの温度とAU値との関係を示すグラフである。
【図22】ダブルゲートトランジスタ20に2.5mcdの光を照射し、キャリア蓄積時間を9600ms、4800ms、2400ms、1200msで測定したときのAU値と、同じキャリア蓄積時間におけるOBダブルゲートトランジスタ20aのAU値との差分値の、温度との関係を示すグラフである。
【図23】ダブルゲートトランジスタ20に1.0mcdの光を照射し、キャリア蓄積時間を9600ms、4800ms、2400ms、1200msで測定したときのAU値と、同じキャリア蓄積時間におけるOBダブルゲートトランジスタ20aのAU値との差分値の、温度との関係を示すグラフである。
【図24】ダブルゲートトランジスタ20に0.3mcdの光を照射し、キャリア蓄積時間を9600ms、4800ms、2400ms、1200msで測定したときのAU値と、同じキャリア蓄積時間におけるOBダブルゲートトランジスタ20aのAU値との差分値の、温度との関係を示すグラフである。
【図25】光度と、ダイナミックレンジが最大となるキャリア蓄積時間及び温度の条件との関係を示すテーブルである。
【図26】キャリア蓄積時間1200ms、温度25℃の条件で、照射した光の強度(mcd)と、そのときのダブルゲートトランジスタ20のAU値とOBダブルゲートトランジスタ20aのAU値との差分(ΔAU)との関係を示すテーブルである。
【図27】ΔAUと、ダイナミックレンジが最大となるキャリア蓄積時間及び温度の条件との関係を示すテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0017】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係る分析装置について説明する。
〔1〕分析装置
図1は分析装置80の構成を示すブロック図である。図1に示すように、分析装置80は、生体高分子分析チップ1と、生体高分子分析チップ1に接続され、生体高分子分析チップ1を制御するコンピュータ81と、コンピュータ81から出力された信号により出力(表示又はプリント)を行う出力装置82と、コンピュータ81により制御される励起光照射装置83と、温度調整部84と、を備える。
【0018】
コンピュータ81は、温度制御回路85、CPU86、RAM87、撮像素子制御回路88等を備える。CPU86は、トップゲートドライバ74、ボトムゲートドライバ71及びドレインドライバ73に制御信号を出力することによって、トップゲートドライバ74、ボトムゲートドライバ71及びドレインドライバ73に固体撮像デバイス10の駆動動作を行わせる機能を有する。また、コンピュータ81は入力した二次元の画像データ画像データに従った画像を出力装置82に出力させる機能を有する。温度制御回路85はCPU86により駆動され、温度調整部84を制御する。
撮像素子制御回路88は、アダプタ89により生体高分子分析チップ1と接続される。
【0019】
RAM87には、撮像素子制御回路88から出力された信号が二次元の画像データとして記憶される。
また、RAM87には、CPU86が温度制御回路85に温度調整部84を制御させる処理を行うのに必要な情報が記録される。
【0020】
撮像素子制御回路88は、生体高分子分析チップ1から入力された電気信号をA/D変換するA/Dコンバータを備え、固体撮像デバイス10の受光面に沿った光強度分布を二次元の画像データとして取得する機能を有する。
【0021】
出力装置82はプロッタ、プリンタ又はディスプレイであり、RAM87に記憶された二次元の画像データを出力する。
励起光照射装置83は、後述する蛍光体を励起する励起光を生体高分子分析チップ1に照射する。
【0022】
図2は温度調整部84と生体高分子分析チップ1との位置関係を示す側面図であり、図3は平面図である。図2、図3に示すように、温度調整部84は生体高分子分析チップ1とともに熱伝導板84aの上に載置され、熱伝導板84aを冷却することにより固体撮像デバイス10を冷却する。温度制御回路85はコンピュータ81から入力されるステップ値STに比例して温度調整部84の温度を調節する。ステップ値STにより温度を調節可能な温度調整部84としては、例えばペルチェ素子を用いることができる。
【0023】
〔2〕生体高分子分析チップの全体構成
図4は、本発明の実施形態に係る生体高分子分析チップ1の概略平面図であり、図5は、図4のV−V矢視断面図である。この生体高分子分析チップ1は、DNAを検出するDNAチップである。
【0024】
この生体高分子分析チップ1は、固体撮像デバイス10と、固体撮像デバイス10の受光面側に設けられた枠状の隔壁51と、固体撮像デバイス10の受光面上に点在した複数のスポット60,60,…と、LSI70とを具備する。
【0025】
〔2〕固体撮像デバイス
ここで、図4、図5を用いて固体撮像デバイス10について説明する。図4、図5に示すように、固体撮像デバイス10は、基板17と、ボトムゲート絶縁膜22と、トップゲート絶縁膜29と、保護絶縁膜32と、励起光吸収層33と、スポット固定層35とを積層してなる。これらの層間に、複数のボトムゲートライン41、ソースライン42、ドレインライン43、トップゲートライン44、及び、ダブルゲートトランジスタ20(第一の光電変換素子)を形成するボトムゲート電極21、半導体膜23、チャネル保護膜24、不純物半導体膜25,26、ソース電極27、ドレイン電極28、トップゲート電極31が適宜設けられている。
【0026】
基板17は、後述する蛍光体が発する光を透過する性質(以下、光透過性という。)を有するとともに絶縁性を有し、石英ガラス等といったガラス基板又はポリカーボネート、PMMA等といったプラスチック基板である。
【0027】
この固体撮像デバイス10においては、光電変換素子としてダブルゲート型電界効果トランジスタ(以下、ダブルゲートトランジスタという。)20が利用され、複数のダブルゲートトランジスタ20,20,…が基板17上において二次元アレイ状に配列され、これらダブルゲートトランジスタ20,20,…が窒化シリコン(SiN)等の保護絶縁膜32によってまとめて被覆されている。
なお、図1では8行×8列のマトリクス状の二次元アレイを示すが、さらに多くの行及び列を有していてもよい。
【0028】
図6はダブルゲートトランジスタ20を示す平面図であり、図7は図6のVII−VII矢視断面図である。図6、図7に示すように、ダブルゲートトランジスタ20,20,…は何れも、受光部である半導体膜23と、半導体膜23上に形成されたチャネル保護膜24と、ボトムゲート絶縁膜22を挟んで半導体膜23の下に形成されたボトムゲート電極21と、トップゲート絶縁膜29を挟んで半導体膜23の上に形成されたトップゲート電極31と、半導体膜23の一部に重なるよう形成された不純物半導体膜25と、半導体膜23の別の部分に重なるよう形成された不純物半導体膜26と、不純物半導体膜25に重なったソース電極27と、不純物半導体膜26に重なったドレイン電極28と、を備え、半導体膜23において受光した光量に従ったレベルの電気信号を出力するものである。
【0029】
ボトムゲート電極21は、ダブルゲートトランジスタ20ごとに基板17上に形成されている。また、基板17上には横方向に延在する複数本のボトムゲートライン41,41,…が形成されており、横方向に配列された同一の行のダブルゲートトランジスタ20,20,…のそれぞれのボトムゲート電極21が共通のボトムゲートライン41と一体となって形成されている。ボトムゲート電極21及びボトムゲートライン41は、導電性及び遮光性を有し、例えばクロム、クロム合金、アルミ若しくはアルミ合金又はこれらの合金からなる。
【0030】
ダブルゲートトランジスタ20,20,…のボトムゲート電極21及びボトムゲートライン41,41,…はボトムゲート絶縁膜22によってまとめて被覆されている。すなわち、ボトムゲート絶縁膜22は全てのダブルゲートトランジスタ20,20,…に共通して形成された膜である。ボトムゲート絶縁膜22は、絶縁性及び光透過性を有し、例えば窒化シリコン(SiN)又は酸化シリコン(SiO)からなる。
【0031】
ボトムゲート絶縁膜22上には、複数の半導体膜23がマトリクス状に配列するよう形成されている。半導体膜23は、ダブルゲートトランジスタ20ごとに独立して形成されており、それぞれのダブルゲートトランジスタ20においてボトムゲート電極21に対して対向配置され、ボトムゲート電極21との間にボトムゲート絶縁膜22を挟んでいる。半導体膜23は、平面視して略矩形状を呈しており、受光した蛍光の光量に応じた量の電子−正孔対を生成するアモルファスシリコン又はポリシリコンで形成された層である。
【0032】
半導体膜23上には、チャネル保護膜24が形成されている。チャネル保護膜24は、ダブルゲートトランジスタ20ごとに独立してパターニングされており、それぞれのダブルゲートトランジスタ20において半導体膜23の中央部上に形成されている。チャネル保護膜24は、絶縁性及び光透過性を有し、例えば窒化シリコン又は酸化シリコンからなる。チャネル保護膜24は、パターニングに用いられるエッチャントから半導体膜23の界面を保護するものである。半導体膜23に光が入射すると、入射した光量に従った量の電子−正孔対がチャネル保護膜24と半導体膜23との界面付近を中心に発生するようになっている。この場合、半導体膜23にはキャリアとして正孔及び電子が発生する。
【0033】
半導体膜23の一端部上には、不純物半導体膜25が一部、チャネル保護膜24に重なるようにして形成されており、半導体膜23の他端部上には、不純物半導体膜26が一部、チャネル保護膜24に重なるようにして形成されている。不純物半導体膜25,26は、ダブルゲートトランジスタ20ごとに独立してパターニングされている。不純物半導体膜25,26は、n型の不純物イオンを含むアモルファスシリコン(n+シリコン)からなる。
【0034】
不純物半導体膜25上には、ソース電極27が形成され、不純物半導体膜26上には、ドレイン電極28が形成されている。ソース電極27及びドレイン電極28はダブルゲートトランジスタ20ごとに形成されている。縦方向に延在する複数本のソースライン42,42,…及びドレインライン43,43,…がボトムゲート絶縁膜22上に形成されている。縦方向に配列された同一の列のダブルゲートトランジスタ20,20,…のソース電極27は共通のソースライン42と一体に形成されており、縦方向に配列された同一の列のダブルゲートトランジスタ20,20,…のドレイン電極28は共通のドレインライン43と一体に形成されている。ソース電極27、ドレイン電極28、ソースライン42及びドレインライン43は、導電性及び遮光性を有しており、例えばクロム、クロム合金、アルミ若しくはアルミ合金又はこれらの合金からなる。
【0035】
ダブルゲートトランジスタ20,20,…のソース電極27及びドレイン電極28並びにソースライン42,42,…及びドレインライン43,43,…は、トップゲート絶縁膜29によってまとめて被覆されている。トップゲート絶縁膜29は全てのダブルゲートトランジスタ20,20,…に共通して形成された膜である。トップゲート絶縁膜29は、絶縁性及び光透過性を有し、例えば窒化シリコン又は酸化シリコンからなる。
【0036】
トップゲート絶縁膜29上には、複数のトップゲート電極31がダブルゲートトランジスタ20ごとに形成されている。トップゲート電極31は、それぞれのダブルゲートトランジスタ20において半導体膜23に対して対向配置され、半導体膜23との間にトップゲート絶縁膜29及びチャネル保護膜24を挟んでいる。また、トップゲート絶縁膜29上には横方向に延在する複数本のトップゲートライン44,44,…が形成されており、横方向に配列された同一の行のダブルゲートトランジスタ20,20,…のトップゲート電極31が共通のトップゲートライン44と一体に形成されている。トップゲート電極31及びトップゲートライン44は、導電性及び光透過性を有し、例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛若しくは酸化スズ又はこれらのうちの少なくとも一つを含む混合物(例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム)で形成されている。
【0037】
ダブルゲートトランジスタ20,20,…のトップゲート電極31及びトップゲートライン44,44,…は保護絶縁膜32によってまとめて被覆され、保護絶縁膜32は全てのダブルゲートトランジスタ20,20,…に共通して形成された膜である。保護絶縁膜32は、絶縁性及び光透過性を有し、窒化シリコン又は酸化シリコンからなる。
【0038】
保護絶縁膜32の上面には、後述する蛍光体64の励起光を吸収する励起光吸収層33が設けられている。励起光吸収層33は、後述する蛍光体64の蛍光に対して高い透過性を示すものが好ましい。
【0039】
励起光吸収層33の上面には、スポット固定層35が設けられている。スポット固定層35は、スポット60となる後述するプローブと共有結合または静電結合することで、スポットを固定する。スポット固定層35が設けられた側の面が、固体撮像デバイスの受光面となる。
【0040】
さらに、少なくとも1つの温度測定用のダブルゲートトランジスタ20aの上部には、図8に示すように、スポット固定層35の上部に、遮光材37が設けられている。なお、図4では、左上のダブルゲートトランジスタ20aの上に遮光材37が設けられている。遮光材37は、半導体膜23へ可視光や紫外線が侵入することを防止する。遮光材37には、例えば遮光用の金属や、酸化クロム、酸化チタン等の金属酸化物、不透明な絶縁膜等を用いることができる。
遮光材37が設けられたダブルゲートトランジスタ20a(以下、OBダブルゲートトランジスタ20a(第二の光電変換素子)という)は、光検出に用いられず、後述するように、固体撮像デバイス10の温度を計測するのに用いられる。
【0041】
トップゲートライン44,44,…はトップゲートドライバ74の端子に、ボトムゲートライン41,41,…はボトムゲートドライバ71の端子に、ドレインライン43,43,…はドレインドライバ73の端子に、それぞれ接続されている。また、ソースライン42,42,は接地されている。
【0042】
以上のように構成された固体撮像デバイス10は、スポット固定層35の表面を受光面としており、遮光材37が設けられたものを除く各ダブルゲートトランジスタ20の半導体膜23において受光した光量を電気信号に変換するように設けられている。
【0043】
〔3〕LSI
LSI70は、固体撮像デバイス10を駆動するボトムゲートドライバ71、ドレインドライバ73、トップゲートドライバ74及びROM75を有し、撮像素子制御回路88により駆動される。トップゲートドライバ74、ボトムゲートドライバ71及びドレインドライバ73は、協同して固体撮像デバイス10を駆動するものである。
【0044】
トップゲートドライバ74は、シフトレジスタである。つまり、図9に示すように、トップゲートドライバ74はトップゲートライン44,44,…にリセットパルスを順次出力するようになっている。リセットパルスのレベルは+5〔V〕のハイレベルである。一方、トップゲートドライバ74は、リセットパルスを出力しない時にキャリアを蓄積するためのローレベルの−20〔V〕の電位をそれぞれのトップゲートライン44に印加するようになっている。
【0045】
ボトムゲートドライバ71は、シフトレジスタである。つまり、図9に示すように、ボトムゲートライン41,41,…にリードパルスを順次出力するようになっている。リードパルスのレベルは+10〔V〕のオンレベル(ハイレベル)であり、リードパルスが出力されていない時のレベルは±0〔V〕のオフレベル(ローレベル)である。
【0046】
トップゲートドライバ74が何れかの行のトップゲートライン44にリセットパルスを出力した後にキャリア蓄積期間を経てボトムゲートドライバ71が同じ行のボトムゲートライン41にリードパルスを出力するように、トップゲートドライバ74及びボトムゲートドライバ71が出力信号をシフトする。つまり、各行では、リードパルスが出力されるタイミングは、リセットパルスが出力されるタイミングより遅れている。また、何れかの行のトップゲートライン44へのリセットパルスの入力が開始してから、同じ行のボトムゲートライン41へのリードパルスの入力が終了するまでの期間は、その行の選択期間である。リセットパルスのレベルは+5〔V〕のハイレベルであり、リセットパルスが出力されていない時のレベルは−20〔V〕のローレベルである。
【0047】
図9に示すように、ドレインドライバ73は、それぞれの行の選択期間において、リセットパルスが出力されてからリードパルスが出力されるまでの間に、全てのドレインライン43,43,…にプリチャージパルスを出力するようになっている。プリチャージパルスのレベルは+5〔V〕のハイレベルであり、プリチャージパルスが出力されていない時のレベルは±0〔V〕のローレベルである。また、ドレインドライバ73は、プリチャージパルスの出力後にドレインライン43,43,…の電圧を増幅してコンピュータ81のA/Dコンバータに出力するようになっている。
【0048】
ここで、トップゲートドライバ74、ボトムゲートドライバ71及びドレインドライバ73による固体撮像デバイス10の通常の撮像動作について説明する。
トップゲートドライバ74が1行目のトップゲートライン44から最終行目のトップゲートライン44へと順次リセットパルスを出力し、ボトムゲートドライバ71がボトムゲートライン41,41,41,…に順次リードパルスを出力する。その際、ドレインドライバ73が各行でリセットパルスが出力されているリセット期間と各行でリードパルスが出力されている期間との間に、プリチャージパルスを全てのドレインライン43,43,…に出力する。
【0049】
i行目の各ダブルゲートトランジスタ20の動作について詳細に説明する。図9に示すように、トップゲートドライバ74がi行目のトップゲートライン44にリセットパルスを出力すると、i行目のトップゲートライン44がハイレベルになる。i行目のトップゲートライン44がハイレベルになっている間(この期間をリセット期間という。)、i行目の各ダブルゲートトランジスタ20では、半導体膜23内や半導体膜23とチャネル保護膜24との界面近傍に蓄積されたキャリア(ここでは、正孔である。)が、トップゲート電極30の電圧により反発して吐出される。
【0050】
次に、トップゲートドライバ74がi行目のトップゲートライン44にリセットパルスを出力することを終了して、半導体膜23に蛍光が入射することによって半導体膜23内に生成された電子−正孔対のうちの正孔を電気的に捕捉するためのするため負電位(−20〔V〕をトップゲートライン44に出力する。つまり、i行目のトップゲートライン44のリセットパルスが終了してから、i行目のボトムゲートライン41にリードパルスが出力されるまでの間(この期間をキャリア蓄積期間という。)、光量に従った量の電子−正孔対が半導体膜23内で生成されるが、そのうちの正孔がトップゲート電極30の電界により半導体膜23内や半導体膜23とチャネル保護膜24との界面近傍に蓄積される。
【0051】
次に、キャリア蓄積期間中に、ドレインドライバ73が全てのドレインライン43,43,…にプリチャージパルスを出力する。プリチャージパルスが出力されている間(プリチャージ期間という。)では、i行目の各ダブルゲートトランジスタ20においては、トップゲート電極30に印加されている電位が−20〔V〕であり、この負電界によって半導体膜23内や半導体膜23とチャネル保護膜24との界面近傍に蓄積された正孔による電界は、必然的に負電界を完全に相殺して半導体膜23のチャネル領域にnチャネルを形成する程度の正電界には成り得ず、ボトムゲート電極21に印加されている電位が±0〔V〕であるため、ドレイン電極28とソース電極27との間にプリチャージパルスの電位差が生じても半導体膜23にはチャネルが形成されず、ドレイン電極28とソース電極27との間に電流は流れない。プリチャージ期間において、ドレイン電極28とソース電極27との間に電流が流れないため、ドレインライン43,43,…に出力されたプリチャージパルスによってi行目の各ダブルゲートトランジスタ20のドレイン電極28に電荷がチャージされる。
【0052】
次に、ドレインドライバ73がプリチャージパルスの出力を終了するとともに、ボトムゲートドライバ71がi行目のボトムゲートライン41にリードパルスを出力する。ボトムゲートドライバ71がi行目のボトムゲートライン41にリードパルスを出力している間(この期間を、リード期間という。)では、i行目の各ダブルゲートトランジスタ20のボトムゲート電極21に+10〔V〕の電位が印加されているため、i行目の各ダブルゲートトランジスタ20がオン状態になる。
【0053】
リード期間においては、キャリア蓄積期間において蓄積されたキャリアがトップゲート電極30の負電界を緩和するように働くため、入射される光量が十分あってキャリアの量が十分あれば、ボトムゲート電極21の正電界とあわせて半導体膜23にnチャネルが形成されて、ドレイン電極28からソース電極27に電流が流れるようになる。従って、リード期間では、ドレインライン43,43,…の電圧は、ドレイン−ソース間電流によって時間の経過とともに徐々に低下する傾向を示す。
【0054】
ここで、キャリア蓄積期間において半導体膜23に入射した光量が多くなるにつれて、蓄積されるキャリアも多くなり、蓄積されるキャリアが多くなるにつれて、リード期間においてドレイン電極28からソース電極27に流れる電流のレベルも大きくなる。従って、リード期間におけるドレインライン43,43,…の電圧の減少傾向は、キャリア蓄積期間で半導体膜23に入射した光量に深く関連する。
【0055】
そして、i行目のリード期間から次の(i+1)行目のプリチャージ期間までの間に、ドレインドライバ73を介して、リード期間が開始してから所定の時間経過後のドレインライン43,43,…の電圧を検出し、A/Dコンバータが蛍光の輝度階調0〜255の値にA/D変換する。なお、ドレインライン43の電圧がプリチャージパルスと同じ+5〔V〕であればA/Dコンバータの出力は階調0であり、0〔V〕であれば階調255である。これにより、光の強度が0〜255の値に換算される。(つまり、1階調値が約0.02〔V〕に換算される。)
【0056】
なお、i行目のリード期間から次の(i+1)行目のプリチャージ期間までの間に、ドレインドライバ73を介して、所定の閾値電圧に至るまでの時間を検出しても良い。この場合でも、光の強度に換算される。また、図9では、トップゲートドライバ74の(i+1)行目のリセットパルスの立ち上がり時期は、ボトムゲートドライバ71のi行目のリードパルスが立ち下がってからであるが、これに限らず、トップゲートドライバ74の(i+1)行目のリセットパルスの立ち上がり時期は、トップゲートドライバ74のi行目のリセットパルスの立ち下がり直後からボトムゲートドライバ71のi行目のリードパルスの立ち下がりまでの間であってもよい。ただし、(i+1)行目のダブルゲートトランジスタ20のためにドレインライン43,43,…に出力されたプリチャージパルスの出力は、ボトムゲートドライバ71のi行目のリードパルスの立ち下がり以降になるように設定されている。
【0057】
上述した一連の画像読み取り動作を1サイクルとして、全ての行の各ダブルゲートトランジスタ20にも同等の処理手順を繰り返すことにより、生体高分子分析チップ1上の光の強度分布が画像として取得される。そして、光強度分布を表した画像は、コンピュータ81に入力される。
【0058】
なお、本実施の形態では、遮光材37を設けた温度測定用のOBダブルゲートトランジスタ20aを、固体撮像デバイス10の温度制御に用いる。
すなわち、OBダブルゲートトランジスタ20aでは、ハイブリダイゼーションによる蛍光が入射されていないにもかかわらず、ノイズとなる暗電流が流れる。暗電流は、一般的に温度とキャリア蓄積時間との関数であり、キャリア蓄積時間が長くなると、温度が上昇するに連れて単位時間当たりの暗電流が増加する特性を持っている。
【0059】
図10、図11はそれぞれ、異なる撮像素子制御回路88にLSI70を接続し、キャリア蓄積時間を9600ms、4800ms、2400ms、1200msとした場合における、温度とOBダブルゲートトランジスタ20aの出力値(AU)との関係を示すグラフである。ここで、出力値(AU)は、OBダブルゲートトランジスタ20aの暗電流をAD変換した後の値である。
【0060】
図10、図11に示すように、キャリア蓄積時間が長いほど出力値(AU)が大きく、また温度が上昇するに連れて出力値(AU)が大きくなることがわかる。また、撮像素子制御回路88が異なると、ベースラインが変化し、出力値(AU)が異なることがわかる。したがって、単にOBダブルゲートトランジスタ20aの出力値(AU)だけを元にして温度を計測することはできない。しかし、ベースラインをオフセットすることで出力値(AU)を温度計測に用いることが考えられる。
【0061】
図12は、キャリア蓄積時間を9600msとした場合におけるOBダブルゲートトランジスタ20aの出力値から、キャリア蓄積時間を4800ms、2400ms、1200msとした場合におけるOBダブルゲートトランジスタ20aの出力値を減算した差分値と、温度との関係を示すグラフである。図12に示すように、キャリア蓄積時間を9600msとした場合と、キャリア蓄積時間を4800msまたは2400msとした場合との出力値の差分値は温度との関係が1対1にならない。一方、キャリア蓄積時間を9600msとした場合と、キャリア蓄積時間を1200msとした場合との出力値の差分値は温度との関係が1対1となる。
したがって、キャリア蓄積時間を9600msとした場合の出力値(AU)からキャリア蓄積時間を1200msとした場合の出力値(AU)を引いた差分値を、温度計測に用いることができる。
【0062】
図13は、温度と、キャリア蓄積時間を9600msとした場合の出力値(AU)からキャリア蓄積時間を1200msとした場合の出力値(AU)を引いた差分値Δとを対応付けたテーブルである。このテーブルは、それぞれの固体撮像デバイス10に固有のテーブルであり、生体高分子分析チップ1の工場出荷時にROM75に格納される。
【0063】
〔4〕スポット
図4、図5に示すように、固体撮像デバイス10の受光面にはスポットが形成されている。各スポット60は、プローブDNA61となる既知の塩基配列のcDNAや抗体等の溶液をスポット固定層35上に滴下し、乾燥して形成される。以下ではプローブとして既知の塩基配列のcDNAを用いた場合について説明する。
【0064】
ここでは、4つのスポット60のうち1つをポジティブコントロールとして、ハイブリダイズによって生じる蛍光体とほぼ等量の蛍光体を固定化している。もう1つのスポット60をネガティブコントロールとして一本鎖のプローブDNA61を固定せず、残り二つのスポット60に互いに異なる塩基配列の一本鎖のプローブDNA61が多数集まった群集を固定化させる。
プローブDNA61としては、既知のmRNAの塩基配列、またはその一部と同一の、あるいは相補的な塩基配列のDNAが用いられる。具体的には、例えば、後述する蛍光標識DNAで用いるのと同じ細胞検体から作成したcDNAライブラリを用いることができる。
【0065】
1つのスポット60はダブルゲートトランジスタ20上に重なるように形成されている。なお、1つのスポット60に重なったダブルゲートトランジスタ20の数は異なっていてもよい。また、図4では2×2個のスポット60が形成されているが、スポット60の数は固体撮像デバイス10の大きさに合わせた任意の数にすることができる。
【0066】
〔5〕隔壁
隔壁51はスポット固定層35上に密着され、固体撮像デバイス10の受光面にウェル52を形成する。隔壁51は不透明であり、外部から入射された光が隔壁51を透過して進入することを防いでいる。
【0067】
〔6〕蛍光標識DNAの作成
上記生体高分子分析チップ1で分析する試料としては、DNAを用いることができる。試料となるDNAとしては、任意の細胞検体内で発現しているmRNAを抽出し、逆転写酵素を用いるRT−PCR反応により得られたcDNAを用いることができる。cDNAは蛍光体で標識する。蛍光体は、分析装置の励起光照射装置から出射される励起光で励起されるものであってその励起光によって蛍光を発するものを選択するが、蛍光体としては、例えばCyDyeのCy2(アマシャム社製)がある。
【0068】
cDNAを蛍光体で標識するには、例えば、蛍光体で標識されたオリゴdTプライマや、標識されたdNTPミックスを用いてRT−PCR反応を実施すればよい。以下では、この標識されたcDNAを蛍光標識DNAという。
【0069】
〔7〕ハイブリダイゼーション
以下、蛍光標識DNAをプローブDNA61とハイブリダイゼーションさせる方法について説明する。まず、作業者が、図14に示すように、蛍光体64で標識した蛍光標識DNA62を含有した溶液(以下、蛍光標識DNA溶液という)をウェル52内に注入する。なお、蛍光標識DNA溶液をウェル52内のスポット60,60,…に順次又は同時に滴下してもよい。このとき、蛍光標識DNA62及びプローブDNA61が一本鎖となるように蛍光標識DNA溶液は加熱されている。
【0070】
次いで、プローブDNA61と蛍光標識DNA62とがハイブリダイゼーションを引き起こすように、生体高分子分析チップ1のウェル52を所定の温度に冷却する。すると、図15に示すように、ウェル52内に注入された蛍光標識DNA溶液内の蛍光標識DNA62のうち、スポット60のプローブDNA61と相補的なものは、プローブDNA61とハイブリダイズする。一方、プローブDNA61と相補的ではない蛍光標識DNA62は、そのスポット60には結合しない。
その後、ウェル52内の蛍光標識DNA溶液を洗浄用バッファー溶液で洗い流し、蛍光標識DNA62のうちプローブDNA61とハイブリダイズしなかったものをウェル52内から除去する。
【0071】
〔8〕温度制御
上記処理を行った後、図2、図3に示すように、生体高分子分析チップ1をアダプタ89と接続し、コンピュータ81を起動する。そして、コンピュータ81は、固体撮像デバイス10の温度制御を行う。
【0072】
以下、固体撮像デバイス10の温度制御をする際のCPU86による処理について図16を用いて説明する。
まず、目標とする温度をTTとした場合に、CPU86は、LSI70のROM75に格納されたテーブルからTT−1、TT、TT+1に対応する出力値を読み出し、それぞれCDL、CD、CDHとしてRAM87に保存する(ステップS1)。
次に、CPU86は、ステップ値STを0としてRAM87に記憶する(ステップS2)。このとき、温度調整部84は初期状態であり、まだ冷却を開始していない。
【0073】
次に、CPU86は、キャリア蓄積時間を9600msとして光検出を行い、暗電流強度LDを記録する(ステップS3)。
すなわち、トップゲートドライバ74が1行目のトップゲートライン44にリセットパルスを出力する。
次に、キャリア蓄積期間中に、ドレインドライバ73が1列目のドレインライン43にプリチャージパルスを出力する。
キャリア蓄積時間が9600msの場合には、1行目のトップゲートライン44のリセットパルスが終了してから9600msを経過した後に、ドレインドライバ73がプリチャージパルスの出力を終了するとともに、ボトムゲートドライバ71が1行目のボトムゲートライン41にリードパルスを出力する。
【0074】
そして、リードパルスの出力から所定の時間経過後のドレインライン43の電圧を検出し、A/Dコンバータが階調0〜255の値にA/D変換する。なお、ドレインライン43の電圧がプリチャージパルスである+5〔V〕に近いほどA/Dコンバータの出力は最低輝度階調の0階調に近づき、0〔V〕に近いほど最高輝度階調の255階調に近づく。これにより、暗電流量が0〜255階調の値に換算される。(つまり、1階調値が約0.02〔V〕に換算される。)CPU86は、このときのA/Dコンバータの出力値をキャリア蓄積時間9600msの暗電流強度LDとしてRAM87に記憶する。
【0075】
次に、CPU86は、キャリア蓄積時間を1200msとして、暗電流強度SDを記録する(ステップS4)。
すなわち、トップゲートドライバ74により1行目のトップゲートライン44にリセットパルスを出力した後、キャリア蓄積期間中に、ドレインドライバ73が1列目のドレインライン43にプリチャージパルスを出力する。
【0076】
そして、1行目のトップゲートライン44のリセットパルスが終了してから1200msを経過した後に、ドレインドライバ73がプリチャージパルスの出力を終了するとともに、ボトムゲートドライバ71が1行目のボトムゲートライン41にリードパルスを出力する。
【0077】
そして、リードパルスの出力から所定の時間経過後のドレインライン43の電圧を検出し、A/Dコンバータが0〜255階調の値にA/D変換する。CPU86は、このときのA/Dコンバータの出力値を暗電流強度SDとしてコンピュータ81のRAM87に記憶する。
【0078】
次に、CPU86は、RAM87に記憶されたCDL、CDH、LD、SDを基にして、CDL<LD−SD<CDHであるか否かを判断する(ステップS5)。
【0079】
CDL<LD−SD<CDHでない場合には(ステップS5→No)、CPU86は、LD−SD<CDであるか否か(固体撮像デバイス10が目標の冷却温度以下か)を判断する(ステップS6)。
【0080】
LD−SD<CDでない場合(ステップS6→No)、固体撮像デバイス10が目標の冷却温度以上であるので、CPUは、RAM87に記憶されたステップ値STを1上げたST+1に書き換える(ステップS7)。一方、LD−SD<CDである場合(ステップS6→Yes)、固体撮像デバイス10が目標の冷却温度よりも低いので、CPUは、RAM87に記憶されたステップ値STを1下げたST−1に書き換える(ステップS8)。
【0081】
その後、CPUは書き換えられたステップ値STを温度制御回路85に入力し、次の制御間隔分の時間を待ち(ステップS9)、ステップS3に戻る。
【0082】
ステップS5において、CDL<LD−SD<CDHである場合には(ステップS5→Yes)、固体撮像デバイス10が目標温度の範囲内(TT±1)にあるが、温度制御において一時的に目標温度の範囲内となったものではないことを確認するため、一定時間待つ(ステップS10)。その後、再度CDL<LD−SD<CDHであるか否かを判断する(ステップS11)。
【0083】
CDL<LD−SD<CDHでない場合には(ステップS11→No)、固体撮像デバイス10が一時的に目標温度の範囲内となったものと考えられるので、ステップS6に戻る。
【0084】
一定時間を経た後でもCDL<LD−SD<CDHである場合には(ステップS11→Yes)、固体撮像デバイス10が目標温度の範囲内(TT±1)で安定しているので、温度制御を終了する。
【0085】
上記のような温度制御を行うことにより、固体撮像デバイス10の温度をTT±1の間に調節することができる。
【0086】
〔9〕サンプルの検出
次に、蛍光標識DNA62の検出方法について説明する。
【0087】
まず、コンピュータ81により励起光照射装置83を制御し、図17に示すように、生体高分子分析チップ1に励起光Lを照射する。
蛍光標識DNA62がプローブDNA61に結合したスポット60からは、励起光Lにより励起された蛍光体64が励起状態から基底状態に遷移するときに蛍光F(主に可視光波長域)が放出される。放出された蛍光Fは励起光吸収層33を透過してダブルゲートトランジスタ20に入射する。
【0088】
蛍光Fが入射したダブルゲートトランジスタ20では電子−正孔対が発生する。なお、励起光Lは励起光吸収層33により吸収されるため、ダブルゲートトランジスタ20に励起光Lが入射して電子−正孔対を発生させることはなく、励起光Lによるノイズを低減することができる。
その後、コンピュータ81は、上述の撮像動作を行い、各ダブルゲートトランジスタ20,20,…のそれぞれの出力値と暗電流強度LDとの差分を光度データとして取得し、RAM87に記憶する。
【0089】
作業者は、RAM87に記憶された各ダブルゲートトランジスタ20,20,…のそれぞれの光度データを出力装置82により出力することで得られた画像データより、各スポット60,60,…におけるハイブリダイゼーションの有無を確認することができる。ハイブリダイゼーションが起きていれば、そのスポット60のプローブDNA61と相補的な塩基配列のmRNAが細胞検体内で生成されていることがわかる。このため、蛍光Fが検出されたスポット60のプローブDNA61の種類により、検体内でどのような遺伝子が発現しているかを直接確認することができる。
【0090】
<変形例1>
次に、本実施の形態の変形例に係る生体高分子分析チップ101について図18を用いて説明する。なお、上記実施形態と同様の構成については、下二桁に同符号を付して説明を割愛する。この生体高分子分析チップ101は、抗原タンパクを検出する抗体チップである。
本実施の形態に係る生体高分子チップ101には、スポット160にプローブ抗体161が用いられている点を除き、固体撮像デバイス110、分析装置170等の構成については生体高分子分析チップ1と同様であり、同様の構成については下2桁に同符号を付して説明を割愛する。
なお、図示しないが、固体撮像デバイス110の少なくとも1つのダブルゲートトランジスタ120aの上部には、スポット固定層135の上部に、遮光材137が設けられている。
【0091】
抗体チップでは、プローブとして、検出する既知のタンパク質や糖鎖等の抗原と結合する抗体(以下、プローブ抗体という)を用いる。
具体的には、図18に示すように、生体高分子分析チップ101のウェル152にプローブ抗体161を含む溶液を滴下し、乾燥してスポット160を形成する。なお、ウェル152に滴下されるプローブ抗体161はそれぞれ異なるタンパク質を抗原とし、同じスポット160を形成するプローブ抗体161は同一の抗原決定基を認識する。プローブ抗体161となる抗体としては、モノクローナル抗体を用いることができる。
【0092】
次に、サンプルとなる抗原162を含む溶液(以下、サンプル溶液という)をウェル52内に注入する。
プローブ抗体161にサンプル溶液中の抗原162が結合するのに充分な時間が経過した後、ウェル52内のサンプル溶液をバッファー溶液で洗い流し、サンプル溶液とともに抗原162のうちプローブ抗体161と結合しなかったものをウェル52内から除去する。
【0093】
次に、ウェル52に、プローブ抗体161が認識するのと同じ抗原162の異なる抗原決定基を認識する抗体を蛍光体164で標識したもの(以下、蛍光標識抗体163という)の溶液(以下、蛍光標識抗体溶液という)を注入する。
プローブ抗体161に結合した抗原162と蛍光標識抗体163とが結合するのに充分な時間が経過した後、ウェル52内の蛍光標識抗体溶液をバッファー溶液で洗い流し、蛍光標識抗体溶液中の蛍光標識抗体163のうち抗原162と結合しなかったものをウェル52内から除去する。
以後、第1実施形態と同様にして、分析装置170による固体撮像デバイス110の冷却及び光度データの計測動作を行う。
【0094】
図18に示すように、プローブ抗体161に抗原162が結合し、抗原162に蛍光標識抗体163が結合したスポット160では、各スポット160上に照射された励起光Lにより蛍光標識抗体163の蛍光体164が励起される。励起状態の蛍光体164が基底状態に遷移するときに蛍光Fが放出される。放出された蛍光Fは、ダブルゲートトランジスタ20により検出される。
【0095】
作業者は、RAM171bに記憶された各ダブルゲートトランジスタ20,20,…のそれぞれの光度データを出力装置172により出力することで得られた画像データより、各スポット160,80,…における抗原162の有無を確認することができる。このため、蛍光Fが検出されたスポット160のプローブ抗体161の種類により、検体内でどのようなタンパク質(抗原162)が生成されているかを直接確認することができる。
【0096】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同符号を付して説明を割愛する。
【0097】
本実施形態は、固体撮像デバイス10による撮像動作において最適の温度やキャリア蓄積時間を設定する点を特徴とする。
【0098】
図19は、ダブルゲートトランジスタ20に2.5mcdの光を照射し、キャリア蓄積時間を9600ms、4800ms、2400ms、1200msで測定したときの温度とAU値との関係を示すグラフである。
図20は、ダブルゲートトランジスタ20に1.0mcdの光を照射し、キャリア蓄積時間を9600ms、4800ms、2400ms、1200msで測定したときの温度とAU値との関係を示すグラフである。
図21は、ダブルゲートトランジスタ20に0.3mcdの光を照射し、キャリア蓄積時間を9600ms、4800ms、2400ms、1200msで測定したときの温度とAU値との関係を示すグラフである。
なお、図19〜図21のいずれにも、キャリア蓄積時間を9600ms、4800ms、2400ms、1200msで測定したときの温度とOBダブルゲートトランジスタ20aのAU値との関係を示すグラフを記載している。
図19〜図21に示すように、ダブルゲートトランジスタ20の出力は光度が同程度であっても、温度やキャリア蓄積時間により出力が異なる。
【0099】
図22は、ダブルゲートトランジスタ20に2.5mcdの光を照射し、キャリア蓄積時間を9600ms、4800ms、2400ms、1200msで測定したときのAU値と、同じキャリア蓄積時間におけるOBダブルゲートトランジスタ20aのAU値との差分(ダイナミックレンジ)の、温度との関係を示すグラフである。
図23は、ダブルゲートトランジスタ20に1.0mcdの光を照射し、キャリア蓄積時間を9600ms、4800ms、2400ms、1200msで測定したときのAU値と、同じキャリア蓄積時間におけるOBダブルゲートトランジスタ20aのAU値との差分(ダイナミックレンジ)の、温度との関係を示すグラフである。
図24は、ダブルゲートトランジスタ20に0.3mcdの光を照射し、キャリア蓄積時間を9600ms、4800ms、2400ms、1200msで測定したときのAU値と、同じキャリア蓄積時間におけるOBダブルゲートトランジスタ20aのAU値との差分(ダイナミックレンジ)の、温度との関係を示すグラフである。
【0100】
実際の光度データは、各ダブルゲートトランジスタ20,20,…のそれぞれのAU値と暗電流強度LDのAU値との差分となる。このため、図22から、光度が2.5mcdである場合には、温度25℃、キャリア蓄積時間1200msの組み合わせが最大のダイナミックレンジとなることがわかる。同様に、図23から、光度が1.0mcdである場合には、温度10℃、キャリア蓄積時間4800msの組み合わせが最大のダイナミックレンジとなることがわかる。同様に、図24から、光度が0.3mcdである場合には、温度1℃、キャリア蓄積時間9600msの組み合わせが最大のダイナミックレンジとなることがわかる。
したがって、ターゲットの光度が予め判明していれば、最適の温度を制御し、最適なキャリア蓄積時間を選択して光検出を行うことができる。
【0101】
図25は光度と、ダイナミックレンジ(第一の差分)が最大となるキャリア蓄積時間及び温度の条件との関係を示すテーブル(第一のテーブル)である。図25より、光度が0.3〜0.9mcdでは、キャリア蓄積時間9600ms、温度1℃の条件で光度を計測すると、ダイナミックレンジが最大となることがわかる。同様に、光度が1.0〜2.1mcdでは、キャリア蓄積時間4800ms、温度10℃の条件で、光度が1.0〜2.1mcdでは、キャリア蓄積時間4800ms、温度10℃の条件で、光度が2.2〜2.4mcdでは、キャリア蓄積時間2400ms、温度15℃の条件で、光度が2.5mcdでは、キャリア蓄積時間1200ms、温度25℃の条件で、それぞれ光度を計測すると、ダイナミックレンジが最大となることがわかる。
【0102】
図26は、キャリア蓄積時間1200ms、温度25℃の条件で、照射した光の強度(mcd)と、そのときのダブルゲートトランジスタ20のAU値とOBダブルゲートトランジスタ20aのAU値との差分(ΔAU(第二の差分))との関係を示すテーブル(第二のテーブル)である。図26より、光度が増大するに連れてΔAUが増大することがわかる。したがって、ポジティブコントロールの位置のダブルゲートトランジスタ20のAUと、OBダブルゲートトランジスタ20aのAU値との差分(ΔAU)より、光度を求めることができる。
【0103】
したがって、まず、キャリア蓄積時間1200ms、温度25℃の条件でΔAUを求め、それに基づいてダイナミックレンジが最大となるキャリア蓄積時間及び温度の条件を設定することができる。
図27は、ΔAU(第三の差分)と、ダイナミックレンジが最大となるキャリア蓄積時間及び温度の条件との関係を示すテーブル(第三のテーブル)である。本実施の形態においては、図27のテーブルがROM75に記録されている。
【0104】
以下、本実施形態におけるサンプルの検出方法について説明する。
まず、生体高分子分析チップ1をアダプタ89と接続し、コンピュータ81を起動する。そして、コンピュータ81は、固体撮像デバイス10の温度制御を行い、生体高分子分析チップ1を25℃に設定する。
【0105】
次に、CPU86は、キャリア蓄積時間を1200msとして光検出を行い、ダブルゲートトランジスタ20のAU値とOBダブルゲートトランジスタ20aのAU値を記録する。
すなわち、OBダブルゲートトランジスタ20aがある1行目及びポジティブコントロールに対応するダブルゲートトランジスタ20がある行(図4では2行目または3行目)のトップゲートライン44に対して、トップゲートドライバ74がリセットパルスを出力する。
次に、キャリア蓄積期間中に、OBダブルゲートトランジスタ20aがある1列目及びポジティブコントロールに対応するダブルゲートトランジスタ20がある列(図4では6列目または7列目)のドレインライン43に対して、ドレインドライバ73がプリチャージパルスを出力する。
キャリア蓄積時間が1200msの場合には、トップゲートライン44のリセットパルスが終了してから1200msを経過した後に、対応する列のドレインドライバ73がプリチャージパルスの出力を終了するとともに、対応するボトムゲートドライバ71がボトムゲートライン41にリードパルスを出力する。
【0106】
そして、リードパルスの出力から所定の時間経過後のドレインライン43の電圧を検出し、A/Dコンバータが階調0〜255の値にA/D変換する。CPU86は、このときのA/Dコンバータの出力値AUの差分値をΔAUとしてRAM87に記憶する。
【0107】
次に、CPU86は、ROM75に記録された図27のテーブルから、記録されたΔAUを基に、ダイナミックレンジが最大となるキャリア蓄積時間及び温度の条件を読み出す。なお、記録されたΔAUと同じ値が図27のテーブルにないときは、最も近い値に対応するキャリア蓄積時間及び温度の条件を読み出す。
その後、CPU86は、読み出した条件に従って温度を調整し、読み出したキャリア蓄積時間で光検出を行う。
【0108】
このように、本実施形態によれば、光度を基に、ダイナミックレンジが最大となるキャリア蓄積時間及び温度の条件を設定して光検出を行うので、SN比を最大にすることができる。
【0109】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行ってもよい。
【0110】
例えば、上記実施形態では、蛍光物質を用いてサンプルを検出したが、化学発光基質を用いてサンプルを検出してもよい。
【符号の説明】
【0111】
1,101 生体高分子分析チップ
10,110 固体撮像デバイス(撮像装置)
20,20a,120 ダブルゲートトランジスタ(光電変換素子)
37 遮光材
61 プローブDNA
62 蛍光標識DNA
75 ROM(記録部)
80 分析装置(撮像装置)
84 温度調整部
86 CPU(制御部)
161 プローブ抗体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換素子と、
測定温度にしたがった前記光電変換素子の長キャリア蓄積時間での暗電流強度と短キャリア蓄積時間での暗電流強度との差分値が記録されている記録部と、
前記光電変換素子の長キャリア蓄積時間での暗電流強度と短キャリア蓄積時間での暗電流強度との差分値及び前記記録部に基づいて測定温度を求める制御部と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
第一の光電変換素子と、
第二の光電変換素子と、
測定条件ごとに、前記第一の光電変換素子が検出する光度と、前記光度に対応する第一の光電変換素子の出力値をA/D変換したAU値と前記第二の光電変換素子の出力値をA/D変換したAU値との第一の差分と、の関係を示す第一のテーブルにおける前記第一の差分が最大となる測定条件と、所定の測定条件における前記第一の光電変換素子が検出する光度と、前記光度に対応する第一の光電変換素子の出力値をA/D変換したAU値と前記第二の光電変換素子の出力値をA/D変換したAU値との第二の差分と、の関係を示す第二のテーブルにおける前記第二の差分と、の関係を示す第三のテーブルが記録された記録部と、
前記所定の測定条件において前記第一の光電変換素子の出力値を得た後に、前記第一の光電変換素子の出力値をA/D変換したAU値と前記第二の光電変換素子の出力値をA/D変換したAU値との第三の差分から、前記第三のテーブルを用いて前記第三の差分が最大となる測定条件を読み出し、当該測定条件において前記第一の光電変換素子で光検出を行う制御部と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の撮像装置の受光面側に、特定の生体高分子と結合するプローブを備える生体高分子分析チップが設けられていることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
前記プローブは既知の塩基配列を有する一本鎖DNAであることを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記プローブは特定の抗原と結合する抗体であることを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2010−166214(P2010−166214A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5681(P2009−5681)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】