撮像装置
【課題】撮影者が姿勢を変えることなく、光学像の被写体像の観察と、撮像され画像表示された被写体像の観察とを、切り替えて行う。
【解決手段】撮像素子は、撮影レンズ12により結像される被写体像を撮像する。画像表示部21は、前記撮像素子により撮像された被写体像を画像として表示し得る。調光部20は、画像表示部21の表示側に配置され、有効表示領域において光散乱状態と透明状態とに切り替え可能である。第1の光学系は、撮影レンズ12を通過した光による被写体像を調光部20上に結像させる。接眼レンズ23は、画像表示部21の表示画像のうち調光部20における透明状態となっている領域に対応する画像、及び、調光部20上に結像された被写体像のうち調光部20における光散乱状態となっている領域上に結像された像を、接眼窓24から観察可能となるように導く。
【解決手段】撮像素子は、撮影レンズ12により結像される被写体像を撮像する。画像表示部21は、前記撮像素子により撮像された被写体像を画像として表示し得る。調光部20は、画像表示部21の表示側に配置され、有効表示領域において光散乱状態と透明状態とに切り替え可能である。第1の光学系は、撮影レンズ12を通過した光による被写体像を調光部20上に結像させる。接眼レンズ23は、画像表示部21の表示画像のうち調光部20における透明状態となっている領域に対応する画像、及び、調光部20上に結像された被写体像のうち調光部20における光散乱状態となっている領域上に結像された像を、接眼窓24から観察可能となるように導く。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体像を撮像する撮像素子を備えた撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、被写体像を撮像する撮像素子を備えたカメラにおいて、光学像の被写体像を接眼部から観察する光学ファインダ(OVF)と、前記撮像素子により撮像された被写体像を画像表示する電子ビューファインダ(EVF)とを備えたカメラが、開示されている。この従来のカメラでは、電子ビューファインダは、カメラ本体の背面に配置された液晶表示パネルで構成されている。
【0003】
この従来のカメラでは、被写体像をより鮮明に見ながら撮影することを欲する場合などには、光学ファインダで光学像の被写体像を観察し、ピントや露出等を確認しながら撮影することを欲する場合などには、電子ビューファインダで被写体像を観察することができ、撮影状況等に応じて、2つのファインダを使い分けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−250069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に開示された従来のカメラでは、撮影者は、光学像の被写体像を観察する場合は接眼部を覗く一方で、撮像され画像表示された被写体像を観察する場合にはカメラ本体の背面の液晶表示パネルを見なければならない。このため、両ファインダ間で、撮影者は姿勢を変えなければならず、不便であった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、撮影者が姿勢を変えることなく、光学像の被写体像の観察と、撮像され画像表示された被写体像の観察とを、切り替えて行うことができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段として、以下の各態様を提示する。第1の態様による撮像装置は、撮影レンズにより結像される被写体像を撮像する撮像素子と、前記撮像素子により撮像された被写体像を画像として表示し得る画像表示部と、前記画像表示部の表示側に配置され、制御信号に応じて有効表示領域において全体的にのみ又は部分領域毎に光散乱状態と透明状態とに切り替え可能な調光部と、接眼部と、前記撮影レンズを通過した光による被写体像を前記調光部上に結像させる第1の光学系と、前記画像表示部の表示画像のうち前記調光部における透明状態となっている領域に対応する画像、及び、前記調光部上に結像された前記被写体像のうち前記調光部における光散乱状態となっている領域上に結像された像を、前記接眼部から観察可能となるように導く第2の光学系と、前記撮影レンズを通過した光が前記撮像素子へ向かう第1の状態と前記撮影レンズを通過した光が前記第1の光学系へ向かう第2の状態とを切り替える第1の切り替え手段と、を備えたものである。
【0008】
第2の態様による撮像装置は、前記第1の態様において、被写体像を前記撮像素子に結像させる結像光学系と、前記結像光学系を通過した光が前記撮像素子に向かう第3の状態と、前記結像光学系を通過した光が前記撮像素子に向かわず、かつ、前記第1の状態であることを条件として前記撮影レンズを通過した光が前記撮像素子に向かう第4の状態と、を切り替える第2の切り替え手段と、を備え、前記調光部は、前記制御信号に応じて、有効表示領域において部分領域毎に光散乱状態と透明状態とに切り替え可能であるものである。
【0009】
第3の態様による撮像装置は、前記第2の態様において、前記第2の切り替え手段は、前記撮影レンズを通過した光が前記撮像素子へ向かう光路に進出して、前記結像光学系を通過した光を前記撮像素子へ向けて反射させる第3の位置と、前記光路から退避して前記結像光学系を通過した光を前記撮像素子へ向かわせない第4の位置とに移動可能である第2の可動ミラーを、含むものである。
【0010】
第4の態様による撮像装置は、前記第2又は第3の態様において、前記調光部は、前記制御信号に応じて、有効表示領域の中央領域及び周辺領域のそれぞれ毎に光散乱状態と透明状態とに切り替え可能であるものである。
【0011】
第5の態様による撮像装置は、前記第2乃至第4のいずれかの態様において、前記第1の光学系が倍率可変レンズを含むものである。
【0012】
第6の態様による撮像装置は、前記第1の態様において、前記調光部の有効表示領域が全体的に透明状態にされかつ前記第1の切り替え手段が前記第1の状態にする第1の動作モードと、前記調光部の有効表示領域が全体的に光散乱状態にされかつ前記第1の切り替え手段が前記第2の状態にする第2の動作モードの、いずれかの動作モードを選択する選択手段を備えたものである。
【0013】
第7の態様による撮像装置は、前記第1の態様において、(i)前記調光部は、前記制御信号に応じて、有効表示領域において部分領域毎に光散乱状態と透明状態とに切り替え可能であり、(ii)前記調光部の有効表示領域が全体的に透明状態にされかつ前記第1の切り替え手段が前記第1の状態にする第1の動作モードと、前記調光部の有効表示領域が全体的に光散乱状態にされかつ前記第1の切り替え手段が前記第2の状態にする第2の動作モードと、前記調光部の有効表示領域の一部の領域が透明状態にされる一方で前記調光部の有効表示領域の他の領域が光散乱状態にされかつ前記第1の切り替え手段が前記第2の状態にする第3の動作モードの、いずれかの動作モードを選択する選択手段を備えたものである。
【0014】
第8の態様による撮像装置は、前記第2乃至第5のいずれかの態様において、前記調光部の有効表示領域が全体的に透明状態にされ、前記第1の切り替え手段が前記第1の状態にし、かつ前記第2の切り替え手段が前記第4の状態にする第1の動作モードと、前記調光部の有効表示領域が全体的に光散乱状態にされ、前記第1の切り替え手段が前記第2の状態にする第2の動作モードと、前記調光部の有効表示領域の一部の領域が透明状態にされる一方で前記調光部の有効表示領域の他の領域が光散乱状態にされ、前記第1の切り替え手段が前記第2の状態にし、かつ前記第2の切り替え手段が前記第3状態にする第3の動作モードの、いずれかの動作モードを選択する選択手段を備えたものである。
【0015】
第9の態様による撮像装置は、前記第2乃至第5のいずれかの態様において、前記調光部の有効表示領域が全体的に透明状態にされ、前記第1の切り替え手段が前記第1の状態にし、かつ前記第2の切り替え手段が前記第4の状態にする第1の動作モードと、前記調光部の有効表示領域が全体的に光散乱状態にされ、前記第1の切り替え手段が前記第2の状態にする第2の動作モードと、前記調光部の有効表示領域の一部の領域が透明状態にされる一方で前記調光部の有効表示領域の他の領域が光散乱状態にされ、前記第1の切り替え手段が前記第2の状態にし、かつ前記第2の切り替え手段が前記第3状態にする第3の動作モードと、前記調光部の有効表示領域の一部の領域が透明状態にされる一方で前記調光部の有効表示領域の他の領域が光散乱状態にされ、前記第1の切り替え手段が前記第2の状態にし、かつ前記第2の切り替え手段が前記第4の状態にする第4の動作モードの、いずれかの動作モードを選択する選択手段を備えたものである。
【0016】
第10の態様による撮像装置は、前記第1乃至第9のいずれかの態様において、前記第1の切り替え手段は、前記撮影レンズを通過した光を前記第1の光学系へ向けて反射させる第1の位置と前記撮影レンズを通過した光を反射させずに前記撮像素子へ向かわせる第2の位置とに移動可能である第1の可動ミラーを、含むものである。
【0017】
第11の態様による撮像装置は、前記第1乃至第10のいずれかの態様において、前記調光部は高分子分散液晶層を含むものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、撮影者が姿勢を変えることなく、光学像の被写体像の観察と、撮像され画像表示された被写体像の観察とを、切り替えて行うことができる撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態による電子カメラの主要な要素を横から見た概略図である。
【図2】図1に示す電子カメラの主な要素を上から見た概略図である。
【図3】図1中の画像表示部及び調光部の有効表示領域の断面と平面をそれぞれ模式的に示す概略図である。
【図4】図1に示す電子カメラを示す概略ブロック図である。
【図5】図1に示す電子カメラの電子ビューファインダ表示の各例を模式的に示す図である。
【図6】図1に示す電子カメラの光学ファインダ表示の各例を模式的に示す図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態による電子カメラの画像表示部及び調光部の有効表示領域を模式的に示す概略平面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態による電子カメラのファインダ表示の各例を模式的に示す図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態による電子カメラの主要な要素を横から見た概略図である。
【図10】図9に示す電子カメラの主な要素を上から見た概略図である。
【図11】図9に示す電子カメラを示す概略ブロック図である。
【図12】図9に示す電子カメラの画像表示部及び調光部の有効表示領域を模式的に示す概略平面図である。
【図13】図9に示す電子カメラのファインダ表示の各例を模式的に示す図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態による電子カメラの変形例におけるファインダ表示の各例を模式的に示す図である。
【図15】本発明の第4の実施の形態による電子カメラの画像表示部及び調光部の有効表示領域を模式的に示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明による撮像装置について、図面を参照して説明する。
【0021】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態による撮像装置としての電子カメラ1の主要な要素を横から見た概略図である。図2は、図1に示す電子カメラ1の主な要素を上から見た概略図である。
【0022】
図1及び図2に示すように、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を定義する。X軸方向のうち矢印の向きを+X方向又は+X側、その反対の向きを−X方向又は−X側と呼ぶ。接眼窓24を覗いた観察者を基準として上下左右前後を決めると、+X側が右側、−X側が左側、+Y側が前側、−Y側が後側(背面側)、+Z側が上側、−Z側が下側に一致している。これらの点は、後述する図についても同様である。なお、以下の説明において、光の進行方向は、光軸上の光が進行する方向を示すものとする。
【0023】
本実施の形態による電子カメラ1は、いわゆるデジタルカメラとして構成されているが、本発明による撮像装置はこれに限らない。本実施の形態による電子カメラ1は、カメラボディ11の前方に、撮影レンズ12が装着されている。この撮影レンズ12は、交換可能であってもよいし、交換不能であってもよい。また、撮影レンズ12は、ズームレンズでもよいし、単焦点レンズでもよい。
【0024】
撮影レンズ12の光軸はY軸方向に延びており、その光軸上には、第1の可動ミラー13、シャッタ14及び撮像素子15が順に配置されている。第1の可動ミラー13は、撮影レンズ12を通過した光を+Z方向へ反射させる(すなわち、後述する第1の光学系へ向けて反射させる)第1の位置(図1中の実線位置)と、撮影レンズ12を通過した光を反射させずに撮像素子15へ向かわせる第2の位置(図1中の破線位置)とに、移動可能になっている。第1の可動ミラー13が破線位置に位置しているときに、撮影レンズ12によって被写体像が撮像素子15上に結像され、その被写体像が撮像素子15により撮像される。
【0025】
可動ミラー13の+Z側には、後述する第1の光学系の一部をなす焦点板16及びペンタプリズム(ダハなし)17が順に配置されている。第1の可動ミラー13が実線位置に位置しているときに、撮影レンズ12によって被写体像が焦点板16上に一旦結像され、焦点板16上に一旦結像された光は、ペンタプリズム17に入射しその内面で2回反射された後に、ペンタプリズム17から−Y方向に出射される。
【0026】
ペンタプリズム17の−Y側には、リレーレンズ18及びハーフミラー19が順に配置されている。ペンタプリズム17から−Y方向に出射された光は、リレーレンズ18を通過した後、その一部がハーフミラー19によって−X方向に反射される。
【0027】
ハーフミラー19の−X側には、2次元状の調光部20及び2次元状の画像表示部21が順に配置されている。画像表示部21は、撮像素子15により撮像された被写体像を、撮像素子15からの撮像信号に基づく画像として表示し得るものである。本実施の形態では、画像表示部21として液晶表示パネルが用いられているが、画像表示部21はこれに限らない。本実施の形態では、調光部20は、画像表示部21の表示側(+X側)に配置され、制御信号に応じて有効表示領域Rにおいて全体的にのみ光散乱状態と透明状態とに切り替え可能に構成されている。
【0028】
図3(a)は、画像表示部21及び調光部20の有効表示領域Rの断面を模式的に示す概略断面図である。図3(a)では、画像表示部21の断面構造の図示は省略している。図3(b)は、画像表示部21及び調光部20の有効表示領域Rの平面を模式的に示す概略平面図である。
【0029】
本実施の形態では、調光部20は、2枚のガラス板等の透明板31,32と、透明板31,32間に挟まれたPN液晶(ポリマーネットワーク液晶)層等の高分子分散液晶層33と、透明板31の高分子分散液晶層33側の面に形成されたITO膜等の透明電極34と、透明板32の高分子分散液晶33側の面に形成されたITO等の透明電極35とを有している。いずれの透明電極34,35も、有効表示領域の全体に渡ってベタに形成されている。透明電極34,35間に電圧が印加されていない場合には、高分子分散液晶33が有効表示領域Rの全体に渡って光散乱状態となる一方で、透明電極34,35間に電圧が印加されている場合には、高分子分散液晶33が有効表示領域Rの全体に渡って透明状態となる。この電圧印加・非印加の信号が前記制御信号として用いられる。高分子分散液晶層33は、前記光散乱状態では、磨りガラスと同様となる。なお、調光部20の具体的な構成は、図3(a)に示す構成に限らない。
【0030】
なお、画像表示部21として用いられている液晶表示パネルは、例えば、2枚の透明板の間に液晶層、配向膜、透明電極等を挟んだ構造を持つ。調光部20の透明板32は、液晶表示パネルの+X側の透明板とは別に設けてもよいし、液晶表示パネルの+X側の透明板(図示せず)を兼用してもよい。
【0031】
再び図1及び図2を参照すると、リレーレンズ18は、焦点板16上に一旦形成された被写体像を調光部20上(すなわち、高分子分散液晶33上)に形成する。本実施の形態では、リレーレンズ18として通常の倍率固定レンズが用いられ、リレーレンズ18の倍率は、撮像素子15の撮像領域に対応する領域がちょうど有効表示領域Rとなる倍率に設定されている。もっとも、リレーレンズ18の倍率はこの倍率に限らない。
【0032】
以上の説明からわかるように、本実施の形態では、焦点板16、ペンタプリズム17、リレーレンズ18及びハーフミラー19が、撮影レンズ12を通過した光による被写体像を調光部20上に結像させる第1の光学系を構成している。もっとも、前記第1の光学系の構成はこの構成に限定されるものではない。また、本実施の形態では、第1の可動ミラー13が、撮影レンズ12を通過した光が撮像素子15へ向かう第1の状態と撮影レンズ12を通過した光が前記第1の光学系へ向かう第2の状態とを切り替える第1の切り替え手段を、構成している。もっとも、前記第1の切り替え手段は可動ミラー13に限らない。
【0033】
調光部20の有効表示領域Rが透明状態である場合には、画像表示部21に表示された画像の光は、調光部20を透過して+X方向へ進行してハーフミラー19へ向かうが、リレーレンズ18等の前記第1の光学系によって導かれて調光部20上に結像した被写体像の光は、ハーフミラー19へ向かわずに無効となる。一方、調光部20の有効表示領域Rが光散乱状態である場合には、画像表示部21に表示された画像の光は、調光部20によって散乱されて遮光され、ハーフミラー19へ向かわずに無効となるが、リレーレンズ18等の前記第1の光学系によって導かれて調光部20上に結像した被写体像の光は、調光部20によって散乱されて+X方向へ進行してハーフミラー19へ向かう。
【0034】
したがって、調光部20は、画像表示部21に対しては透過型の光シャッタとして機能するとともに、リレーレンズ18等の前記第1の光学系によって導かれて調光部20上に結像した被写体像の光に対しては反射型の光シャッタ(反射させる際には焦点板と同様の機能を担う反射型の光シャッタ)として機能する。
【0035】
ハーフミラー19の+X側には、ミラー22が配置されている。ミラー22の−Y側には、接眼レンズ23及び接眼部としての接眼窓24が順に配置されている。接眼窓24は、カメラボディ11の背面に設けられている。
【0036】
画像表示部21から+X方向へ進行してハーフミラー19に到達した光の一部、及び、調光部20から+X方向へ進行してハーフミラー19に到達した光の一部は、ハーフミラー19を透過した後に、そのまま+X方向に進行し、ミラー22によって−Y方向へ反射され、接眼レンズ23及び接眼窓24を経て、接眼窓24を覗いている観察者の目100に到達する。接眼レンズ23は、画像表示部21の表示画像のうち調光部20における透明状態となっている領域に対応する画像、及び、前記第1の光学系によって調光部20上に結像された被写体像のうち調光部20における光散乱状態となっている領域上に結像された像を、観察者の目100の瞳に結像する。なお、調光部20と画像表示部21とは光軸方向に位置がずれているが、その位置ずれは接眼レンズ24の被写界深度等により吸収し得る。
【0037】
以上の説明からわかるように、本実施の形態では、ハーフミラー19、ミラー22及び接眼レンズ23が、画像表示部21の表示画像のうち調光部20における透明状態となっている領域に対応する画像、及び、前記第1の光学系によって調光部20上に結像された被写体像のうち調光部20における光散乱状態となっている領域上に結像された像を、接眼窓24から観察可能となるように導く第2の光学系を構成している。
【0038】
図4は、本実施の形態による電子カメラ1を示す概略ブロック図である。撮影レンズ12は、レンズ制御部41によってフォーカスや絞りが駆動される。撮像素子15としては、例えば、CMOSイメージセンサやCCDイメージセンサなどが用いられる。撮像素子15は、撮像制御部42から出力される制御信号によって駆動され、撮像した被写体像を示す画像信号を出力する。撮像素子15から出力される画像信号は、信号処理部43及びA/D変換部44を介して処理された後、メモリ45に一旦蓄積される。メモリ45は、バス46に接続される。バス46には、レンズ制御部41、撮像制御部42、マイクロプロセッサ47、画像処理部48、画像圧縮部49、画像表示部21を制御する表示制御部50、調光部20の光散乱状態及び透明状態に制御する調光制御部51、可動ミラー13の位置を前記第1及び第2の位置に制御するミラー制御部52及び記録部53なども接続される。マイクロプロセッサ47には、レリーズ釦や設定ダイヤルなどの操作部54が接続される。また、上記の記録部53には記録媒体53aが着脱自在に装着される。
【0039】
本実施の形態では、操作部54は、ファインダ表示動作に関して、第1の動作モード(電子ビューファインダ表示モード)と第2の動作モード(光学ファインダ表示モード)の、いずれかの動作モードを選択する選択手段として機能する。
【0040】
以下の説明では、撮影レンズ12としてズームレンズが装着されているものとして説明するが、前述したように撮影レンズ12は単焦点レンズでもよい。
【0041】
操作部54により第1の動作モード(電子ビューファインダ動作)が選択された場合には、その選択に応じて、マイクロプロセッサ47は、ミラー制御部52を介して可動ミラー13の位置を図1中の破線位置に位置させ、調光制御部51を介して調光部20の有効表示領域Rの全体を透明状態にする。可動ミラー13が図1中の破線位置に位置するので、撮影レンズ12を通過した光による被写体像が撮像素子15上に結像される。
【0042】
そして、マイクロプロセッサ47は、撮像制御部42に撮像の指令を与え、撮像素子15から画像信号を読み出して、撮影レンズ12を通過した光による被写体像の撮像を行う。この画像信号は、信号処理部43により増幅等された後にA/D変換部44によりA/D変換され、画像データとしてメモリ45に蓄積される。引き続いて、マイクロプロセッサ47は、表示制御部50を介して、この画像データに基づく被写体像を電子画像として、画像表示部21にその有効表示領域Rの全体に表示させる。なお、この画像データに基づく被写体像に任意の情報を合成した表示画像を、画像表示部21に表示させてもよい。
【0043】
このとき、調光部20の有効表示領域Rの全体が透明状態となっているので、観察者は、有効表示領域Rに相当する観察領域R’の全体において、撮像されるべき被写体像の全体を電子画像として見ることになる。その後、撮像素子15の撮像以降の動作を順次繰り返す。
【0044】
このようにして、第1の動作モード時には、接眼窓24から電子ビューファインダ表示が観察される。
【0045】
図5は、この第1の動作モード時において接眼窓24から観察される表示である電子ビューファインダ表示の各例を示している。図5(a)は撮影レンズ12を広角にした場合の例を示し、図5(b)は拡大時(撮影レンズ12を望遠側にした場合)の例を示している。いずれの場合も、有効表示領域Rに相当する観察領域R’の全体において、撮像されるべき被写体像全体が電子画像として表示されている。
【0046】
操作部54により第2の動作モード(光学ファインダ表示動作)が選択された場合には、その選択に応じて、マイクロプロセッサ47は、ミラー制御部52を介して可動ミラー13の位置を図1中の実線位置に位置させ、調光制御部51を介して調光部20の有効表示領域Rの全体を光散乱状態にする。可動ミラー13が図1中の実線位置に位置するので、撮影レンズ12を通過した光が可動ミラー13により反射され、撮影レンズ12を通過した光による被写体像(光学像)が、調光部20上に結像される。このとき、被写体像は、調光部20の有効表示領域Rの全体に形成される。
【0047】
このとき、調光部20の有効表示領域Rの全体が光散乱状態となっているので、観察者は、有効表示領域Rに相当する観察領域R’の全体において、撮像されるべき被写体像の全体を光学像として見ることになる。
【0048】
このようにして、第2の動作モード時には、接眼窓24から光学ファインダ表示が観察される。
【0049】
図6は、この第2の動作モード時において接眼窓24から観察される表示である光学ファインダ表示の各例を示している。図6は、図5と同じ被写体を観察している例を示している。図6(a)は撮影レンズ12を広角にした場合の例を示し、図6(b)は拡大時(撮影レンズ12を望遠側にした場合)の例を示している。いずれの場合も、有効表示領域Rに相当する観察領域R’の全体において、撮像されるべき被写体像の全体が光学像として表示されている。
【0050】
そして、観察者が、前記ファインダ表示(電子ビューファインダ表示又は光学ファインダ表示)を観察することで、構図等を決定し、操作部54のうちのレリーズ釦の半押し操作により暫定的に決定された露光状態や合焦位置を確認し、必要なら操作部54よる操作等によりそれらを再調整した後に、操作部54のうちのレリーズ釦を全押しすると、その撮影条件で本撮影が行われる。このとき、可動ミラー13の位置は、図1中の破線位置にされる。この本撮影により撮像素子15から読み出され画像信号は、信号処理及びA/D変換後に、メモリ45に蓄積される。
【0051】
その後、マイクロプロセッサ47は、操作部54の指令に基づき、メモリ45内の画像信号に対して必要に応じて画像処理部48や画像圧縮部49にて所望の処理を行い、記録部53に処理後の信号を出力させ記録媒体53aに記録する。
【0052】
なお、本撮影時において、静止画像のみならず、動画像を撮像して記録媒体53aに記録するようにしてもよい。
【0053】
本実施の形態によれば、観察者は、電子ビューファインダ表示と光学ファインダ表示とを切り替えて、同じ接眼窓24から観察することができる。したがって、本実施の形態によれば、撮影者が姿勢を変えることなく、光学像の被写体像の観察と、撮像され画像表示された被写体像の観察とを、切り替えて行うことができる。
【0054】
[第2の実施の形態]
図7は、本発明の第2の実施の形態による電子カメラの画像表示部21及び調光部20の有効表示領域Rの平面を模式的に示す概略平面図であり、図3(b)に対応している。
【0055】
本実施の形態による電子カメラが前記第1の実施の形態による電子カメラ1と異なる所は、以下に説明する点である。
【0056】
本実施の形態では、有効表示領域Rが、中央の領域R1と、上側の領域R2と、下側の領域R3とに分けられ、調光部20において、一方の透明電極34が各領域R1〜R3にパターニングされ、透明電極34の各領域R1〜R3の部分が互いに電気的に絶縁され、それらの部分に互いに独立して電圧を印加し得るように構成されている。これにより、本実施の形態では、調光部20は、高分子分散液晶33の各領域R1〜R3の部分の透明状態・光散乱状態を、領域R1〜R3毎に切り替え得るように構成されている。したがって、本実施の形態では、調光部20は、有効表示領域Rの部分領域R1〜R3毎に光散乱状態と透明状態とに切り替え可能となっている。中央の領域R1の横寸法と縦寸法との比は、例えば、動画像に適した16:9に設定される。
【0057】
そして、本実施の形態では、調光制御部51は、マイクロプロセッサ47からの指令に応じて、調光部20の各部分領域R1〜R3の光散乱状態及び透明状態を制御する。
【0058】
本実施の形態では、操作部54は、ファインダ表示動作に関して、前記第1の実施の形態と同様の第1の動作モード(電子ビューファインダ表示モード)と第2の動作モード(光学ファインダ表示モード)に、第3の動作モードを加えたもののうちの、いずれかの動作モードを選択する選択手段として機能する。
【0059】
本実施の形態における第1及び第2の動作モードの動作は、前記第1の実施の形態における第1及び第2の動作モードとそれぞれ同様であるので、重複する説明は省略する。なお、本実施の形態では、第1の動作モードでは、マイクロプロセッサ47は、調光部20の有効表示領域Rの全体を透明状態にするべく、調光制御部51を介して調光部20の部分領域R1〜R3をそれぞれ透明状態にする。また、第2の動作モードでは、マイクロプロセッサ47は、調光部20の有効表示領域Rの全体を光散乱状態にするべく、調光制御部51を介して調光部20の部分領域R1〜R3をそれぞれ光散乱状態にする。
【0060】
本実施の形態では、操作部54により第3の動作モードが選択された場合には、その選択に応じて、マイクロプロセッサ47は、ミラー制御部52を介して可動ミラー13の位置を図1中の実線位置に位置させ、調光制御部51を介して調光部20の有効表示領域Rのうちの部分領域R1を光散乱状態にする一方で調光部20の有効表示領域Rのうちの部分領域R2,R3を透明状態にする。
【0061】
可動ミラー13が図1中の実線位置に位置するので、撮影レンズ12を通過した光が可動ミラー13により反射され、撮影レンズ12を通過した光による被写体像(光学像)が、調光部20上に結像される。このとき、被写体像は、調光部20の有効表示領域Rの全体に形成される。
【0062】
また、マイクロプロセッサ47は、表示制御部50を介して、画像表示部21の少なくとも有効表示領域Rの領域R2,R3にそれぞれ黒色表示(その代わりに、任意の情報の表示などでもよい。)を行わせる。
【0063】
今、調光部20の有効表示領域Rの部分領域R1が光散乱状態である一方で、調光部20の有効表示領域Rの部分領域R2,R3が透明状態であるので、観察者は、有効表示領域Rに相当する観察領域R’のうちの中央の部分領域R1に相当する中央の部分領域R1’において、被写体像の一部(被写体像のうちの部分領域R1上に結像した像)を光学像として見るとともに、有効表示領域Rに相当する観察領域R’のうちの上下の部分領域R2,R3に相当する中央の部分領域R2’,R3’において、黒色表示された電子画像を余白に相当するものとして見ることになる。
【0064】
このようにして、第3の動作モード時には、接眼窓24から、被写体像の一部を切り出したような光学ファインダ表示が観察される。
【0065】
図8(a)は、第1の動作モード時において接眼窓24から観察される表示である電子ビューファインダ表示の例を示している。図8(b)は、第2の動作モード時において接眼窓24から観察される表示である光学ファインダ表示の例を示している。図8(c)は、第3の動作モード時において接眼窓24から観察される表示である、被写体像の一部を切り出したような光学ファインダ表示の例を示している。これらの例では、撮影レンズ12の焦点距離を同一に設定して、同一の被写体を観察している。
【0066】
本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる他、前記第3の動作モードも選択し得るので、撮影範囲に応じて、被写体像の一部を切り出したような光学ファインダ表示を観察することができるという利点も得られる。
【0067】
[第3の実施の形態]
図9は、本発明の第3の実施の形態による撮像装置としての電子カメラ201の主要な要素を横から見た概略図であり、図1に対応している。図10は、図9に示す電子カメラ201の主な要素を上から見た概略図であり、図2に対応している。図11は、図9に示す電子カメラ201を示す概略ブロック図であり、図4に対応している。図9乃至図11において、図1、図2及び図4中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0068】
本実施の形態による電子カメラ201が前記第1の実施の形態による電子カメラ201と異なる所は、以下に説明する点である。
【0069】
本実施の形態では、受光窓61、対物レンズ62、ミラー63及び第2の可動ミラー64が追加されている。受光窓61は、カメラボディ11の前面上部に配置されている。対物レンズ62は、被写体像を撮像素子15上に結像させる結像光学系を構成し、受光窓61の−Y側に配置されている。ミラー63は、受光窓61及び対物レンズ62を通過して−Y方向に進行する被写体からの光を、−Z方向へ反射する。
【0070】
第2の可動ミラー64は、ミラー63の−Z側でかつ可動ミラー13とシャッタ14との間に配置されている。第2の可動ミラー64は、撮影レンズ12を通過した光が撮像素子15に向かう光路に進出して、対物レンズ62を通過した光を撮像素子15へ向けて−Y方向へ反射させる第3の位置(図9中の実線位置)と、前記光路から退避して対物レンズ62を通過した光を撮像素子15へ向かわせない第4の位置(図9中の破線位置)とに、移動可能になっている。
【0071】
本実施の形態では、第2の可動ミラー64が、対物レンズ62を通過した光が撮像素子15に向かう第3の状態と、対物レンズ62を通過した光が撮像素子15に向かわず、かつ、第1の可動ミラー64が撮影レンズ12を通過した光を撮像素子15に向かわせる第1の状態であることを条件として撮影レンズ12を通過した光が撮像素子15へ向かう第4の状態と、を切り替える第2の切り替え手段を、構成している。もっとも、前記第2の切り替え手段は可動ミラー64に限らない。
【0072】
対物レンズ62の焦点距離は、撮影レンズ12を望遠側にしたときに撮像素子15の撮像領域に結像する被写体の範囲よりも、所望の程度広い被写体の範囲が撮像素子15の撮像領域に結像するような、広角の焦点距離に設定されている。
【0073】
本実施の形態では、ミラー制御部52は、第1の可動ミラー13の位置を前記第1及び第2の位置に制御するのみならず、第2の可動ミラー64の位置を前記第3及び第4の位置に制御する。
【0074】
また、本実施の形態では、リレーレンズ18として倍率固定レンズに代えて倍率可変レンズが用いられ、リレーレンズ18の倍率を制御する倍率制御部71が追加されている。本実施の形態では、倍率制御部71は、リレーレンズ18の倍率を、撮像素子15の撮像領域に対応する領域がちょうど有効表示領域Rとなる第1の倍率と、撮像素子15の撮像領域に対応する領域がちょうど有効表示領域Rの後述する中央領域R4(後述の図12参照)となる第2の倍率とに制御する。
【0075】
図12は、本実施の形態による電子カメラ201の画像表示部21及び調光部20の有効表示領域Rの平面を模式的に示す概略平面図であり、図3(b)に対応している。
【0076】
本実施の形態では、有効表示領域Rが、中央の領域R4と、その周辺の領域R5とに分けられ、調光部20において、一方の透明電極34が各領域R4,R5にパターニングされ、透明電極34の各領域R4,R5の部分が互いに電気的に絶縁され、それらの部分に互いに独立して電圧を印加し得るように構成されている。これにより、本実施の形態では、調光部20は、高分子分散液晶33の各領域R4,R5の部分の透明状態・光散乱状態を、領域R4,R5毎に切り替え得るように構成されている。したがって、本実施の形態では、調光部20は、有効表示領域Rの部分領域R4,R5毎に光散乱状態と透明状態とに切り替え可能となっている。なお、本実施の形態では、領域R4は、領域Rを比例して縮小したものとなっている。
【0077】
本実施の形態では、操作部54は、ファインダ表示動作に関して、第1の動作モード(電子ビューファインダ表示モード)と、第2の動作モード(光学ファインダ表示モード)と、第3の動作モード(本実施の形態では、中央の光学ファインダ表示と周辺の電子ビューファインダ表示とのハイブリッド表示モード)の、いずれかの動作モードを選択する選択手段として機能する。
【0078】
操作部54により第1の動作モード(電子ビューファインダ動作)が選択された場合には、その選択に応じて、マイクロプロセッサ47は、ミラー制御部52を介して第1の可動ミラー13の位置を図9中の破線位置に位置させるとともに第2の可動ミラー64の位置を図9中の破線位置に位置させ、調光制御部51を介して調光部20の有効表示領域Rを全体的に透明状態にする(すなわち、有効表示領域Rの各領域R4,R5を透明状態にする)。このとき、リレーレンズ18の倍率は、前記第1の倍率でもよいし、前記第2の倍率でもよい。可動ミラー13,64がそれぞれ図9中の破線位置に位置するので、撮影レンズ12を通過した光による被写体像が撮像素子15上に結像される。一方、可動ミラー64が図9中の破線位置に位置するので、対物レンズ62を通過した光による被写体像は、撮像素子15上に結像されない。
【0079】
そして、マイクロプロセッサ47は、撮像制御部42に撮像の指令を与え、撮像素子15から画像信号を読み出して、撮影レンズ12を通過した光による被写体像の撮像を行う。この画像信号は、信号処理部43により増幅等された後にA/D変換部44によりA/D変換され、画像データとしてメモリ45に蓄積される。引き続いて、マイクロプロセッサ47は、表示制御部50を介して、この画像データに基づく被写体像を電子画像として、画像表示部21にその有効表示領域Rの全体に表示させる。なお、この画像データに基づく被写体像に任意の情報を合成した表示画像を、画像表示部21に表示させてもよい。
【0080】
このとき、調光部20の有効表示領域Rは全体的に透明状態となっているので、観察者は、有効表示領域Rに相当する観察領域R’の全体において、撮像されるべき被写体像の全体を電子画像として見ることになる。その後、撮像素子15の撮像以降の動作を順次繰り返す。
【0081】
このようにして、第1の動作モード時には、接眼窓24から電子ビューファインダ表示が観察される。
【0082】
本実施の形態において、この第1の動作モード時において接眼窓24から観察される表示である電子ビューファインダ表示の各例は、前記第1の実施の形態における図5(a)に示す例及び図5(b)に示す例と同じになる。図5(a)は撮影レンズ12を広角にした場合の例を示し、図5(b)は拡大時(撮影レンズ12を望遠側にした場合)の例を示している。いずれの場合も、有効表示領域Rに相当する観察領域R’の全体において、撮像されるべき被写体像の全体が電子画像として表示されている。
【0083】
操作部54により第2の動作モード(光学ファインダ表示動作)が選択された場合には、その選択に応じて、マイクロプロセッサ47は、ミラー制御部52を介して第1の可動ミラー13の位置を図9中の実線位置に位置させ、調光制御部51を介して調光部20の有効表示領域Rを全体的に光散乱状態にし(すなわち、有効表示領域Rの各領域R4,R5を光散乱状態にし)、倍率制御部71を介してリレーレンズ18の倍率を前記第1の倍率にする。第2の動作モードでは、第2の可動ミラー64の位置は、図9中の実線位置及び破線位置のいずれに位置してもよい。第1の可動ミラー13が図9中の実線位置に位置するので、撮影レンズ12を通過した光が第1の可動ミラー13により反射され、撮影レンズ12を通過した光による被写体像(光学像)が、調光部20上に結像される。このとき、リレーレンズ18の倍率が前記第1の倍率であるので、被写体像は、調光部20の有効表示領域Rの全体に形成される。
【0084】
このとき、調光部20の有効表示領域Rが全体的に光散乱状態となっているので、観察者は、有効表示領域Rに相当する観察領域R’の全体において、撮像されるべき被写体像の全体を光学像として見ることになる。
【0085】
このようにして、第2の動作モード時には、接眼窓24から光学ファインダ表示が観察される。
【0086】
本実施の形態において、この第2の動作モード時において接眼窓24から観察される表示である光学ファインダ表示の各例は、前記第1の実施の形態における図6(a)に示す例及び図6(b)に示す例と同じになる。図6(a)は撮影レンズ12を広角にした場合の例を示し、図6(b)は拡大時(撮影レンズ12を望遠側にした場合)の例を示している。いずれの場合も、有効表示領域Rに相当する観察領域R’の全体において、撮像されるべき被写体像の全体が光学像として表示されている。
【0087】
操作部54により第3の動作モード(本実施の形態では、中央の光学ファインダ表示と周辺の電子ビューファインダ表示とのハイブリッド表示モード)が選択された場合には、その選択に応じて、マイクロプロセッサ47は、ミラー制御部52を介して第1の可動ミラー13の位置を図9中の実線位置に位置させるとともに第2の可動ミラー64の位置を図9中の実線位置に位置させ、調光制御部51を介して調光部20の有効表示領域Rのうちの中央領域R4を光散乱状態にするとともに周辺領域R5を透明状態にし、倍率制御部71を介してリレーレンズ18の倍率を前記第2の倍率にする。第1の可動ミラー13が図9中の実線位置に位置するので、撮影レンズ12を通過した光が第1の可動ミラー13により反射され、撮影レンズ12を通過した光による被写体像(光学像)が、調光部20上に結像される。このとき、リレーレンズ18の倍率が前記第2の倍率であるので、撮像されるべき被写体像の全体は、調光部20の有効表示領域Rのうちの中央領域R4にのみ形成される。また、第2の可動ミラー64が図9中の実線の位置に位置するので、対物レンズ62を通過した光による被写体像が広角で撮像素子15上に結像される。一方、第1の可動ミラー13が図9中の実線位置に位置するので、撮影レンズ12を通過した光による被写体像は撮像素子15上に結像されない。
【0088】
そして、マイクロプロセッサ47は、撮像制御部42に撮像の指令を与え、撮像素子15から画像信号を読み出して、対物レンズ62を通過した光による被写体像の撮像を行う。この画像信号は、信号処理部43により増幅等された後にA/D変換部44によりA/D変換され、画像データとしてメモリ45に蓄積される。引き続いて、マイクロプロセッサ47は、表示制御部50を介して、この画像データに基づく被写体像を電子画像として、画像表示部21にその有効表示領域Rの全体に表示させる。
【0089】
今、調光部20の有効表示領域Rの中央領域R4が光散乱状態である一方で、調光部20の有効表示領域Rの周辺領域R5が透明状態であるので、観察者は、有効表示領域Rに相当する観察領域R’のうちの中央領域R4に相当する中央領域R4において、撮像すべき被写体像の全体を光学像として見るとともに、有効表示領域Rに相当する観察領域R’のうちの周辺領域R5に相当する周辺領域R5’において、対物レンズ62を通過した光による広角の被写体像の一部(その広角の被写体像のうちの周辺領域R5上に結像した像)を光学像として見ることになる。
【0090】
このようにして、第3の動作モード時には、接眼窓24から、撮像すべき被写体像を全体的に表示する中央の光学ファインダ表示と、広角の被写体像の周辺部を表示する周辺の電子ビューファインダ表示とが、ハイブリッドに観察される。
【0091】
図13は、この第3の動作モード時において接眼窓24から観察されるファインダ表示の各例を示している。図13(a)は撮影レンズ12を広角にした場合の例を示し、図13(b)は拡大時(撮影レンズ12を望遠側にした場合)の例を示している。いずれの場合も、有効表示領域Rの中央領域R4に相当する観察領域R’の中央領域R4’において、撮像されるべき被写体像の全体が光学像として表示され、有効表示領域Rの周辺領域R5に相当する観察領域R’の周辺領域R5’において、対物レンズ62を通過した光による広角の被写体像の周辺部が電子画像として表示されている。ここでは、図13(a)(b)、図5(a)(b)及び図6(a)(b)のいずれの場合も、同一の被写体を観察しているものとし、図13(a)、図5(a)及び図6(a)のいずれの場合も、撮影レンズ12の焦点距離を広角の同じ焦点距離に設定しているものとし、図13(b)、図5(b)及び図6(b)のいずれの場合も、撮影レンズ12の焦点距離を望遠側の同じ焦点距離に設定しているものとし、広角の対物レンズ62を通過した光による撮像素子15上の被写体像と、図5(a)の場合に広角時の撮影レンズ12を通過した光による撮像素子15上の被写体像とが、同一になるものとしている。
【0092】
本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。また、本実施の形態では、図13(b)に示すように、観察領域R’の中央領域R4’において、撮像されるべき拡大された被写体像の全体が光学像として表示され、観察領域R’の周辺領域R5’において、対物レンズ62を通過した光による広角の被写体像の周辺部が電子画像が表示される。したがって、本実施の形態によれば、電子画像の拡大被写体像よりも格段に高画質である光学像による拡大被写体像を観察しながら、被写体の周囲の状況も同時に観察することができ、撮影状況に合わせた被写体の観察を実現し易いという利点も得られる。例えば、観察領域R’の中央領域R4’で鳥の拡大像を観察しているときに、鳥が飛び立ってしまう場合、鳥がいずれの方向に飛び立ったのかを観察領域R’の周辺領域R5’で観察することができ、迅速に鳥の像の捕捉を継続することができる。
【0093】
なお、本実施の形態では、前述したようにリレーレンズ18として倍率可変レンズが用いられている。しかし、本実施の形態においても、前記第1の実施の形態と同様に、リレーレンズ18として倍率固定レンズを用いてもよい。この場合、例えば、リレーレンズ18の倍率を、撮像素子15の撮像領域に対応する領域がちょうど有効表示領域Rとなる倍率(第1の倍率)に固定してもよい。
【0094】
図14は、リレーレンズ18の倍率を前記第1の倍率に固定した場合に、前記第3の動作モード時において接眼窓24から観察されるファインダ表示の各例を示している。図14(a)は撮影レンズ12を広角にした場合の例を示し、図14(b)は拡大時(撮影レンズ12を望遠側にした場合)の例を示している。図14(a)(b)(c)及び図13(a)(b)のいずれの場合も同一の被写体を観察しているものとし、図14(a)及び図13(a)のいずれの場合も、撮影レンズ12の焦点距離を広角の同じ焦点距離に設定しているものとし、図14(b)及び図13(b)のいずれの場合も、撮影レンズ12の焦点距離を望遠側の同じ焦点距離に設定しているものとし、図14(c)の場合には、撮影レンズ12の焦点距離をそれらの中間の焦点距離に設定しているものとしている。
【0095】
リレーレンズ18の倍率を前記第1の倍率に固定すると、図14(a)〜(c)に示すように、観察領域R’の中央領域R4’において、撮像されるべき被写体像の全体ではなくその一部が拡大されて表示されることになる。換言すると、図14(a)〜(c)の場合は、観察領域R’の中央領域R4’に現れている被写体の範囲よりも広い範囲が実際に撮像されることになる。
【0096】
したがって、このようにリレーレンズ18として倍率固定レンズを用いる場合に比べて、本実施の形態のようにリレーレンズ18として倍率可変レンズを用いることが好ましい。もっとも、本発明では、本実施の形態を、リレーレンズ18として倍率固定レンズを用いるように変形してもよい。
【0097】
[第4の実施の形態]
図15は、本発明の第4の実施の形態による電子カメラの画像表示部21及び調光部20の有効表示領域Rの平面を模式的に示す概略平面図であり、図7及び図12に対応している。図15において、図7及び図12中の領域と同一領域には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0098】
本実施の形態による電子カメラが前記第3の実施の形態による電子カメラ201と異なる所は、以下に説明する点である。
【0099】
本実施の形態では、有効表示領域Rが、領域R2〜R4,R6に分けられ、調光部20において、一方の透明電極34が各領域R2〜R4,R6にパターニングされ、透明電極34の各領域R2〜R4,R6の部分が互いに電気的に絶縁され、それらの部分に互いに独立して電圧を印加し得るように構成されている。これにより、本実施の形態では、調光部20は、高分子分散液晶33の各領域R2〜R4,R6の部分の透明状態・光散乱状態を、領域R2〜R4,R6毎に切り替え得るように構成されている。領域R2と領域6とを合わせた領域が図12中の領域5となる。また、領域4と領域6とを合わせた領域が図7中の領域R1となる。
【0100】
そして、本実施の形態では、調光制御部51は、マイクロプロセッサ47からの指令に応じて、調光部20の各部分領域R2〜R4,R6の光散乱状態及び透明状態を制御する。
【0101】
本実施の形態では、操作部54は、ファインダ表示動作に関して、前記第3の実施の形態と同様の第1乃至第3の動作モードに、第4の動作モードを加えたもののうちの、いずれかの動作モードを選択する選択手段として機能する。
【0102】
本実施の形態における第1乃至第3の動作モードの動作は、前記第3の実施の形態における第1乃至第3の動作モードとそれぞれ同様であるので、重複する説明は省略する。なお、本実施の形態では、第1の動作モードでは、マイクロプロセッサ47は、調光部20の有効表示領域Rの全体を透明状態にするべく、調光制御部51を介して調光部20の部分領域R2〜R4,R6をそれぞれ透明状態にする。また、第2の動作モードでは、マイクロプロセッサ47は、調光部20の有効表示領域Rの全体を光散乱状態にするべく、調光制御部51を介して調光部20の部分領域R2〜R4,R6をそれぞれ光散乱状態にする。さらに、第3の動作モードでは、マイクロプロセッサ47は、調光制御部51を介して、調光部20の部分領域R4を光散乱状態にする一方で、調光部20の部分領域R2,R3,R6を光透過状態にする。
【0103】
本実施の形態では、操作部54により第4の動作モードが選択された場合には、その選択に応じて、マイクロプロセッサ47は、ミラー制御部52を介して第1の可動ミラー13の位置を図1中の実線位置に位置させ、調光制御部51を介して調光部20の有効表示領域Rのうちの部分領域R4,R6を光散乱状態にする一方で調光部20の有効表示領域Rのうちの部分領域R2,R3を透明状態にする。第4の動作モードでは、第2の可動ミラー64の位置は、図9中の実線位置及び破線位置のいずれでもよい。
【0104】
第1の可動ミラー13が図9中の実線位置に位置するので、撮影レンズ12を通過した光が第1の可動ミラー13により反射され、撮影レンズ12を通過した光による被写体像(光学像)が、調光部20上に結像される。このとき、被写体像は、調光部20の有効表示領域Rの全体に形成される。
【0105】
また、マイクロプロセッサ47は、表示制御部50を介して、画像表示部21の少なくとも有効表示領域Rの領域R2,R3にそれぞれ黒色表示(その代わりに、任意の情報の表示などでもよい。)を行わせる。
【0106】
今、調光部20の有効表示領域Rの部分領域R4,R6が光散乱状態である一方で、調光部20の有効表示領域Rの部分領域R2,R3が透明状態であるので、観察者は、有効表示領域Rに相当する観察領域R’のうちの部分領域R4,R6に相当する部分領域R4’,R6において、被写体像の一部(被写体像のうちの部分領域R4,R6上に結像した像)を光学像として見るとともに、有効表示領域Rに相当する観察領域R’のうちの上下の部分領域R2,R3に相当する部分領域R2’,R3’において、黒色表示された電子画像を余白に相当するものとして見ることになる。
【0107】
このようにして、第4の動作モード時には、接眼窓24から、被写体像の一部を切り出したような光学ファインダ表示(図8(c)に示す表示と同様の表示))が観察される。
【0108】
本実施の形態によれば、前記第3の実施の形態と同様の利点が得られる他、前記第4の動作モードも選択し得るので、撮影範囲に応じて、被写体像の一部を切り出したような光学ファインダ表示を観察することができるという利点も得られる。
【0109】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0110】
1,201 電子カメラ
12 撮影レンズ
13,64 可動ミラー
15 撮像素子
18 リレーレンズ
20 調光部
21 画像表示部
23 接眼レンズ
24 接眼窓
62 対物レンズ
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体像を撮像する撮像素子を備えた撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、被写体像を撮像する撮像素子を備えたカメラにおいて、光学像の被写体像を接眼部から観察する光学ファインダ(OVF)と、前記撮像素子により撮像された被写体像を画像表示する電子ビューファインダ(EVF)とを備えたカメラが、開示されている。この従来のカメラでは、電子ビューファインダは、カメラ本体の背面に配置された液晶表示パネルで構成されている。
【0003】
この従来のカメラでは、被写体像をより鮮明に見ながら撮影することを欲する場合などには、光学ファインダで光学像の被写体像を観察し、ピントや露出等を確認しながら撮影することを欲する場合などには、電子ビューファインダで被写体像を観察することができ、撮影状況等に応じて、2つのファインダを使い分けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−250069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に開示された従来のカメラでは、撮影者は、光学像の被写体像を観察する場合は接眼部を覗く一方で、撮像され画像表示された被写体像を観察する場合にはカメラ本体の背面の液晶表示パネルを見なければならない。このため、両ファインダ間で、撮影者は姿勢を変えなければならず、不便であった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、撮影者が姿勢を変えることなく、光学像の被写体像の観察と、撮像され画像表示された被写体像の観察とを、切り替えて行うことができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段として、以下の各態様を提示する。第1の態様による撮像装置は、撮影レンズにより結像される被写体像を撮像する撮像素子と、前記撮像素子により撮像された被写体像を画像として表示し得る画像表示部と、前記画像表示部の表示側に配置され、制御信号に応じて有効表示領域において全体的にのみ又は部分領域毎に光散乱状態と透明状態とに切り替え可能な調光部と、接眼部と、前記撮影レンズを通過した光による被写体像を前記調光部上に結像させる第1の光学系と、前記画像表示部の表示画像のうち前記調光部における透明状態となっている領域に対応する画像、及び、前記調光部上に結像された前記被写体像のうち前記調光部における光散乱状態となっている領域上に結像された像を、前記接眼部から観察可能となるように導く第2の光学系と、前記撮影レンズを通過した光が前記撮像素子へ向かう第1の状態と前記撮影レンズを通過した光が前記第1の光学系へ向かう第2の状態とを切り替える第1の切り替え手段と、を備えたものである。
【0008】
第2の態様による撮像装置は、前記第1の態様において、被写体像を前記撮像素子に結像させる結像光学系と、前記結像光学系を通過した光が前記撮像素子に向かう第3の状態と、前記結像光学系を通過した光が前記撮像素子に向かわず、かつ、前記第1の状態であることを条件として前記撮影レンズを通過した光が前記撮像素子に向かう第4の状態と、を切り替える第2の切り替え手段と、を備え、前記調光部は、前記制御信号に応じて、有効表示領域において部分領域毎に光散乱状態と透明状態とに切り替え可能であるものである。
【0009】
第3の態様による撮像装置は、前記第2の態様において、前記第2の切り替え手段は、前記撮影レンズを通過した光が前記撮像素子へ向かう光路に進出して、前記結像光学系を通過した光を前記撮像素子へ向けて反射させる第3の位置と、前記光路から退避して前記結像光学系を通過した光を前記撮像素子へ向かわせない第4の位置とに移動可能である第2の可動ミラーを、含むものである。
【0010】
第4の態様による撮像装置は、前記第2又は第3の態様において、前記調光部は、前記制御信号に応じて、有効表示領域の中央領域及び周辺領域のそれぞれ毎に光散乱状態と透明状態とに切り替え可能であるものである。
【0011】
第5の態様による撮像装置は、前記第2乃至第4のいずれかの態様において、前記第1の光学系が倍率可変レンズを含むものである。
【0012】
第6の態様による撮像装置は、前記第1の態様において、前記調光部の有効表示領域が全体的に透明状態にされかつ前記第1の切り替え手段が前記第1の状態にする第1の動作モードと、前記調光部の有効表示領域が全体的に光散乱状態にされかつ前記第1の切り替え手段が前記第2の状態にする第2の動作モードの、いずれかの動作モードを選択する選択手段を備えたものである。
【0013】
第7の態様による撮像装置は、前記第1の態様において、(i)前記調光部は、前記制御信号に応じて、有効表示領域において部分領域毎に光散乱状態と透明状態とに切り替え可能であり、(ii)前記調光部の有効表示領域が全体的に透明状態にされかつ前記第1の切り替え手段が前記第1の状態にする第1の動作モードと、前記調光部の有効表示領域が全体的に光散乱状態にされかつ前記第1の切り替え手段が前記第2の状態にする第2の動作モードと、前記調光部の有効表示領域の一部の領域が透明状態にされる一方で前記調光部の有効表示領域の他の領域が光散乱状態にされかつ前記第1の切り替え手段が前記第2の状態にする第3の動作モードの、いずれかの動作モードを選択する選択手段を備えたものである。
【0014】
第8の態様による撮像装置は、前記第2乃至第5のいずれかの態様において、前記調光部の有効表示領域が全体的に透明状態にされ、前記第1の切り替え手段が前記第1の状態にし、かつ前記第2の切り替え手段が前記第4の状態にする第1の動作モードと、前記調光部の有効表示領域が全体的に光散乱状態にされ、前記第1の切り替え手段が前記第2の状態にする第2の動作モードと、前記調光部の有効表示領域の一部の領域が透明状態にされる一方で前記調光部の有効表示領域の他の領域が光散乱状態にされ、前記第1の切り替え手段が前記第2の状態にし、かつ前記第2の切り替え手段が前記第3状態にする第3の動作モードの、いずれかの動作モードを選択する選択手段を備えたものである。
【0015】
第9の態様による撮像装置は、前記第2乃至第5のいずれかの態様において、前記調光部の有効表示領域が全体的に透明状態にされ、前記第1の切り替え手段が前記第1の状態にし、かつ前記第2の切り替え手段が前記第4の状態にする第1の動作モードと、前記調光部の有効表示領域が全体的に光散乱状態にされ、前記第1の切り替え手段が前記第2の状態にする第2の動作モードと、前記調光部の有効表示領域の一部の領域が透明状態にされる一方で前記調光部の有効表示領域の他の領域が光散乱状態にされ、前記第1の切り替え手段が前記第2の状態にし、かつ前記第2の切り替え手段が前記第3状態にする第3の動作モードと、前記調光部の有効表示領域の一部の領域が透明状態にされる一方で前記調光部の有効表示領域の他の領域が光散乱状態にされ、前記第1の切り替え手段が前記第2の状態にし、かつ前記第2の切り替え手段が前記第4の状態にする第4の動作モードの、いずれかの動作モードを選択する選択手段を備えたものである。
【0016】
第10の態様による撮像装置は、前記第1乃至第9のいずれかの態様において、前記第1の切り替え手段は、前記撮影レンズを通過した光を前記第1の光学系へ向けて反射させる第1の位置と前記撮影レンズを通過した光を反射させずに前記撮像素子へ向かわせる第2の位置とに移動可能である第1の可動ミラーを、含むものである。
【0017】
第11の態様による撮像装置は、前記第1乃至第10のいずれかの態様において、前記調光部は高分子分散液晶層を含むものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、撮影者が姿勢を変えることなく、光学像の被写体像の観察と、撮像され画像表示された被写体像の観察とを、切り替えて行うことができる撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態による電子カメラの主要な要素を横から見た概略図である。
【図2】図1に示す電子カメラの主な要素を上から見た概略図である。
【図3】図1中の画像表示部及び調光部の有効表示領域の断面と平面をそれぞれ模式的に示す概略図である。
【図4】図1に示す電子カメラを示す概略ブロック図である。
【図5】図1に示す電子カメラの電子ビューファインダ表示の各例を模式的に示す図である。
【図6】図1に示す電子カメラの光学ファインダ表示の各例を模式的に示す図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態による電子カメラの画像表示部及び調光部の有効表示領域を模式的に示す概略平面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態による電子カメラのファインダ表示の各例を模式的に示す図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態による電子カメラの主要な要素を横から見た概略図である。
【図10】図9に示す電子カメラの主な要素を上から見た概略図である。
【図11】図9に示す電子カメラを示す概略ブロック図である。
【図12】図9に示す電子カメラの画像表示部及び調光部の有効表示領域を模式的に示す概略平面図である。
【図13】図9に示す電子カメラのファインダ表示の各例を模式的に示す図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態による電子カメラの変形例におけるファインダ表示の各例を模式的に示す図である。
【図15】本発明の第4の実施の形態による電子カメラの画像表示部及び調光部の有効表示領域を模式的に示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明による撮像装置について、図面を参照して説明する。
【0021】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態による撮像装置としての電子カメラ1の主要な要素を横から見た概略図である。図2は、図1に示す電子カメラ1の主な要素を上から見た概略図である。
【0022】
図1及び図2に示すように、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を定義する。X軸方向のうち矢印の向きを+X方向又は+X側、その反対の向きを−X方向又は−X側と呼ぶ。接眼窓24を覗いた観察者を基準として上下左右前後を決めると、+X側が右側、−X側が左側、+Y側が前側、−Y側が後側(背面側)、+Z側が上側、−Z側が下側に一致している。これらの点は、後述する図についても同様である。なお、以下の説明において、光の進行方向は、光軸上の光が進行する方向を示すものとする。
【0023】
本実施の形態による電子カメラ1は、いわゆるデジタルカメラとして構成されているが、本発明による撮像装置はこれに限らない。本実施の形態による電子カメラ1は、カメラボディ11の前方に、撮影レンズ12が装着されている。この撮影レンズ12は、交換可能であってもよいし、交換不能であってもよい。また、撮影レンズ12は、ズームレンズでもよいし、単焦点レンズでもよい。
【0024】
撮影レンズ12の光軸はY軸方向に延びており、その光軸上には、第1の可動ミラー13、シャッタ14及び撮像素子15が順に配置されている。第1の可動ミラー13は、撮影レンズ12を通過した光を+Z方向へ反射させる(すなわち、後述する第1の光学系へ向けて反射させる)第1の位置(図1中の実線位置)と、撮影レンズ12を通過した光を反射させずに撮像素子15へ向かわせる第2の位置(図1中の破線位置)とに、移動可能になっている。第1の可動ミラー13が破線位置に位置しているときに、撮影レンズ12によって被写体像が撮像素子15上に結像され、その被写体像が撮像素子15により撮像される。
【0025】
可動ミラー13の+Z側には、後述する第1の光学系の一部をなす焦点板16及びペンタプリズム(ダハなし)17が順に配置されている。第1の可動ミラー13が実線位置に位置しているときに、撮影レンズ12によって被写体像が焦点板16上に一旦結像され、焦点板16上に一旦結像された光は、ペンタプリズム17に入射しその内面で2回反射された後に、ペンタプリズム17から−Y方向に出射される。
【0026】
ペンタプリズム17の−Y側には、リレーレンズ18及びハーフミラー19が順に配置されている。ペンタプリズム17から−Y方向に出射された光は、リレーレンズ18を通過した後、その一部がハーフミラー19によって−X方向に反射される。
【0027】
ハーフミラー19の−X側には、2次元状の調光部20及び2次元状の画像表示部21が順に配置されている。画像表示部21は、撮像素子15により撮像された被写体像を、撮像素子15からの撮像信号に基づく画像として表示し得るものである。本実施の形態では、画像表示部21として液晶表示パネルが用いられているが、画像表示部21はこれに限らない。本実施の形態では、調光部20は、画像表示部21の表示側(+X側)に配置され、制御信号に応じて有効表示領域Rにおいて全体的にのみ光散乱状態と透明状態とに切り替え可能に構成されている。
【0028】
図3(a)は、画像表示部21及び調光部20の有効表示領域Rの断面を模式的に示す概略断面図である。図3(a)では、画像表示部21の断面構造の図示は省略している。図3(b)は、画像表示部21及び調光部20の有効表示領域Rの平面を模式的に示す概略平面図である。
【0029】
本実施の形態では、調光部20は、2枚のガラス板等の透明板31,32と、透明板31,32間に挟まれたPN液晶(ポリマーネットワーク液晶)層等の高分子分散液晶層33と、透明板31の高分子分散液晶層33側の面に形成されたITO膜等の透明電極34と、透明板32の高分子分散液晶33側の面に形成されたITO等の透明電極35とを有している。いずれの透明電極34,35も、有効表示領域の全体に渡ってベタに形成されている。透明電極34,35間に電圧が印加されていない場合には、高分子分散液晶33が有効表示領域Rの全体に渡って光散乱状態となる一方で、透明電極34,35間に電圧が印加されている場合には、高分子分散液晶33が有効表示領域Rの全体に渡って透明状態となる。この電圧印加・非印加の信号が前記制御信号として用いられる。高分子分散液晶層33は、前記光散乱状態では、磨りガラスと同様となる。なお、調光部20の具体的な構成は、図3(a)に示す構成に限らない。
【0030】
なお、画像表示部21として用いられている液晶表示パネルは、例えば、2枚の透明板の間に液晶層、配向膜、透明電極等を挟んだ構造を持つ。調光部20の透明板32は、液晶表示パネルの+X側の透明板とは別に設けてもよいし、液晶表示パネルの+X側の透明板(図示せず)を兼用してもよい。
【0031】
再び図1及び図2を参照すると、リレーレンズ18は、焦点板16上に一旦形成された被写体像を調光部20上(すなわち、高分子分散液晶33上)に形成する。本実施の形態では、リレーレンズ18として通常の倍率固定レンズが用いられ、リレーレンズ18の倍率は、撮像素子15の撮像領域に対応する領域がちょうど有効表示領域Rとなる倍率に設定されている。もっとも、リレーレンズ18の倍率はこの倍率に限らない。
【0032】
以上の説明からわかるように、本実施の形態では、焦点板16、ペンタプリズム17、リレーレンズ18及びハーフミラー19が、撮影レンズ12を通過した光による被写体像を調光部20上に結像させる第1の光学系を構成している。もっとも、前記第1の光学系の構成はこの構成に限定されるものではない。また、本実施の形態では、第1の可動ミラー13が、撮影レンズ12を通過した光が撮像素子15へ向かう第1の状態と撮影レンズ12を通過した光が前記第1の光学系へ向かう第2の状態とを切り替える第1の切り替え手段を、構成している。もっとも、前記第1の切り替え手段は可動ミラー13に限らない。
【0033】
調光部20の有効表示領域Rが透明状態である場合には、画像表示部21に表示された画像の光は、調光部20を透過して+X方向へ進行してハーフミラー19へ向かうが、リレーレンズ18等の前記第1の光学系によって導かれて調光部20上に結像した被写体像の光は、ハーフミラー19へ向かわずに無効となる。一方、調光部20の有効表示領域Rが光散乱状態である場合には、画像表示部21に表示された画像の光は、調光部20によって散乱されて遮光され、ハーフミラー19へ向かわずに無効となるが、リレーレンズ18等の前記第1の光学系によって導かれて調光部20上に結像した被写体像の光は、調光部20によって散乱されて+X方向へ進行してハーフミラー19へ向かう。
【0034】
したがって、調光部20は、画像表示部21に対しては透過型の光シャッタとして機能するとともに、リレーレンズ18等の前記第1の光学系によって導かれて調光部20上に結像した被写体像の光に対しては反射型の光シャッタ(反射させる際には焦点板と同様の機能を担う反射型の光シャッタ)として機能する。
【0035】
ハーフミラー19の+X側には、ミラー22が配置されている。ミラー22の−Y側には、接眼レンズ23及び接眼部としての接眼窓24が順に配置されている。接眼窓24は、カメラボディ11の背面に設けられている。
【0036】
画像表示部21から+X方向へ進行してハーフミラー19に到達した光の一部、及び、調光部20から+X方向へ進行してハーフミラー19に到達した光の一部は、ハーフミラー19を透過した後に、そのまま+X方向に進行し、ミラー22によって−Y方向へ反射され、接眼レンズ23及び接眼窓24を経て、接眼窓24を覗いている観察者の目100に到達する。接眼レンズ23は、画像表示部21の表示画像のうち調光部20における透明状態となっている領域に対応する画像、及び、前記第1の光学系によって調光部20上に結像された被写体像のうち調光部20における光散乱状態となっている領域上に結像された像を、観察者の目100の瞳に結像する。なお、調光部20と画像表示部21とは光軸方向に位置がずれているが、その位置ずれは接眼レンズ24の被写界深度等により吸収し得る。
【0037】
以上の説明からわかるように、本実施の形態では、ハーフミラー19、ミラー22及び接眼レンズ23が、画像表示部21の表示画像のうち調光部20における透明状態となっている領域に対応する画像、及び、前記第1の光学系によって調光部20上に結像された被写体像のうち調光部20における光散乱状態となっている領域上に結像された像を、接眼窓24から観察可能となるように導く第2の光学系を構成している。
【0038】
図4は、本実施の形態による電子カメラ1を示す概略ブロック図である。撮影レンズ12は、レンズ制御部41によってフォーカスや絞りが駆動される。撮像素子15としては、例えば、CMOSイメージセンサやCCDイメージセンサなどが用いられる。撮像素子15は、撮像制御部42から出力される制御信号によって駆動され、撮像した被写体像を示す画像信号を出力する。撮像素子15から出力される画像信号は、信号処理部43及びA/D変換部44を介して処理された後、メモリ45に一旦蓄積される。メモリ45は、バス46に接続される。バス46には、レンズ制御部41、撮像制御部42、マイクロプロセッサ47、画像処理部48、画像圧縮部49、画像表示部21を制御する表示制御部50、調光部20の光散乱状態及び透明状態に制御する調光制御部51、可動ミラー13の位置を前記第1及び第2の位置に制御するミラー制御部52及び記録部53なども接続される。マイクロプロセッサ47には、レリーズ釦や設定ダイヤルなどの操作部54が接続される。また、上記の記録部53には記録媒体53aが着脱自在に装着される。
【0039】
本実施の形態では、操作部54は、ファインダ表示動作に関して、第1の動作モード(電子ビューファインダ表示モード)と第2の動作モード(光学ファインダ表示モード)の、いずれかの動作モードを選択する選択手段として機能する。
【0040】
以下の説明では、撮影レンズ12としてズームレンズが装着されているものとして説明するが、前述したように撮影レンズ12は単焦点レンズでもよい。
【0041】
操作部54により第1の動作モード(電子ビューファインダ動作)が選択された場合には、その選択に応じて、マイクロプロセッサ47は、ミラー制御部52を介して可動ミラー13の位置を図1中の破線位置に位置させ、調光制御部51を介して調光部20の有効表示領域Rの全体を透明状態にする。可動ミラー13が図1中の破線位置に位置するので、撮影レンズ12を通過した光による被写体像が撮像素子15上に結像される。
【0042】
そして、マイクロプロセッサ47は、撮像制御部42に撮像の指令を与え、撮像素子15から画像信号を読み出して、撮影レンズ12を通過した光による被写体像の撮像を行う。この画像信号は、信号処理部43により増幅等された後にA/D変換部44によりA/D変換され、画像データとしてメモリ45に蓄積される。引き続いて、マイクロプロセッサ47は、表示制御部50を介して、この画像データに基づく被写体像を電子画像として、画像表示部21にその有効表示領域Rの全体に表示させる。なお、この画像データに基づく被写体像に任意の情報を合成した表示画像を、画像表示部21に表示させてもよい。
【0043】
このとき、調光部20の有効表示領域Rの全体が透明状態となっているので、観察者は、有効表示領域Rに相当する観察領域R’の全体において、撮像されるべき被写体像の全体を電子画像として見ることになる。その後、撮像素子15の撮像以降の動作を順次繰り返す。
【0044】
このようにして、第1の動作モード時には、接眼窓24から電子ビューファインダ表示が観察される。
【0045】
図5は、この第1の動作モード時において接眼窓24から観察される表示である電子ビューファインダ表示の各例を示している。図5(a)は撮影レンズ12を広角にした場合の例を示し、図5(b)は拡大時(撮影レンズ12を望遠側にした場合)の例を示している。いずれの場合も、有効表示領域Rに相当する観察領域R’の全体において、撮像されるべき被写体像全体が電子画像として表示されている。
【0046】
操作部54により第2の動作モード(光学ファインダ表示動作)が選択された場合には、その選択に応じて、マイクロプロセッサ47は、ミラー制御部52を介して可動ミラー13の位置を図1中の実線位置に位置させ、調光制御部51を介して調光部20の有効表示領域Rの全体を光散乱状態にする。可動ミラー13が図1中の実線位置に位置するので、撮影レンズ12を通過した光が可動ミラー13により反射され、撮影レンズ12を通過した光による被写体像(光学像)が、調光部20上に結像される。このとき、被写体像は、調光部20の有効表示領域Rの全体に形成される。
【0047】
このとき、調光部20の有効表示領域Rの全体が光散乱状態となっているので、観察者は、有効表示領域Rに相当する観察領域R’の全体において、撮像されるべき被写体像の全体を光学像として見ることになる。
【0048】
このようにして、第2の動作モード時には、接眼窓24から光学ファインダ表示が観察される。
【0049】
図6は、この第2の動作モード時において接眼窓24から観察される表示である光学ファインダ表示の各例を示している。図6は、図5と同じ被写体を観察している例を示している。図6(a)は撮影レンズ12を広角にした場合の例を示し、図6(b)は拡大時(撮影レンズ12を望遠側にした場合)の例を示している。いずれの場合も、有効表示領域Rに相当する観察領域R’の全体において、撮像されるべき被写体像の全体が光学像として表示されている。
【0050】
そして、観察者が、前記ファインダ表示(電子ビューファインダ表示又は光学ファインダ表示)を観察することで、構図等を決定し、操作部54のうちのレリーズ釦の半押し操作により暫定的に決定された露光状態や合焦位置を確認し、必要なら操作部54よる操作等によりそれらを再調整した後に、操作部54のうちのレリーズ釦を全押しすると、その撮影条件で本撮影が行われる。このとき、可動ミラー13の位置は、図1中の破線位置にされる。この本撮影により撮像素子15から読み出され画像信号は、信号処理及びA/D変換後に、メモリ45に蓄積される。
【0051】
その後、マイクロプロセッサ47は、操作部54の指令に基づき、メモリ45内の画像信号に対して必要に応じて画像処理部48や画像圧縮部49にて所望の処理を行い、記録部53に処理後の信号を出力させ記録媒体53aに記録する。
【0052】
なお、本撮影時において、静止画像のみならず、動画像を撮像して記録媒体53aに記録するようにしてもよい。
【0053】
本実施の形態によれば、観察者は、電子ビューファインダ表示と光学ファインダ表示とを切り替えて、同じ接眼窓24から観察することができる。したがって、本実施の形態によれば、撮影者が姿勢を変えることなく、光学像の被写体像の観察と、撮像され画像表示された被写体像の観察とを、切り替えて行うことができる。
【0054】
[第2の実施の形態]
図7は、本発明の第2の実施の形態による電子カメラの画像表示部21及び調光部20の有効表示領域Rの平面を模式的に示す概略平面図であり、図3(b)に対応している。
【0055】
本実施の形態による電子カメラが前記第1の実施の形態による電子カメラ1と異なる所は、以下に説明する点である。
【0056】
本実施の形態では、有効表示領域Rが、中央の領域R1と、上側の領域R2と、下側の領域R3とに分けられ、調光部20において、一方の透明電極34が各領域R1〜R3にパターニングされ、透明電極34の各領域R1〜R3の部分が互いに電気的に絶縁され、それらの部分に互いに独立して電圧を印加し得るように構成されている。これにより、本実施の形態では、調光部20は、高分子分散液晶33の各領域R1〜R3の部分の透明状態・光散乱状態を、領域R1〜R3毎に切り替え得るように構成されている。したがって、本実施の形態では、調光部20は、有効表示領域Rの部分領域R1〜R3毎に光散乱状態と透明状態とに切り替え可能となっている。中央の領域R1の横寸法と縦寸法との比は、例えば、動画像に適した16:9に設定される。
【0057】
そして、本実施の形態では、調光制御部51は、マイクロプロセッサ47からの指令に応じて、調光部20の各部分領域R1〜R3の光散乱状態及び透明状態を制御する。
【0058】
本実施の形態では、操作部54は、ファインダ表示動作に関して、前記第1の実施の形態と同様の第1の動作モード(電子ビューファインダ表示モード)と第2の動作モード(光学ファインダ表示モード)に、第3の動作モードを加えたもののうちの、いずれかの動作モードを選択する選択手段として機能する。
【0059】
本実施の形態における第1及び第2の動作モードの動作は、前記第1の実施の形態における第1及び第2の動作モードとそれぞれ同様であるので、重複する説明は省略する。なお、本実施の形態では、第1の動作モードでは、マイクロプロセッサ47は、調光部20の有効表示領域Rの全体を透明状態にするべく、調光制御部51を介して調光部20の部分領域R1〜R3をそれぞれ透明状態にする。また、第2の動作モードでは、マイクロプロセッサ47は、調光部20の有効表示領域Rの全体を光散乱状態にするべく、調光制御部51を介して調光部20の部分領域R1〜R3をそれぞれ光散乱状態にする。
【0060】
本実施の形態では、操作部54により第3の動作モードが選択された場合には、その選択に応じて、マイクロプロセッサ47は、ミラー制御部52を介して可動ミラー13の位置を図1中の実線位置に位置させ、調光制御部51を介して調光部20の有効表示領域Rのうちの部分領域R1を光散乱状態にする一方で調光部20の有効表示領域Rのうちの部分領域R2,R3を透明状態にする。
【0061】
可動ミラー13が図1中の実線位置に位置するので、撮影レンズ12を通過した光が可動ミラー13により反射され、撮影レンズ12を通過した光による被写体像(光学像)が、調光部20上に結像される。このとき、被写体像は、調光部20の有効表示領域Rの全体に形成される。
【0062】
また、マイクロプロセッサ47は、表示制御部50を介して、画像表示部21の少なくとも有効表示領域Rの領域R2,R3にそれぞれ黒色表示(その代わりに、任意の情報の表示などでもよい。)を行わせる。
【0063】
今、調光部20の有効表示領域Rの部分領域R1が光散乱状態である一方で、調光部20の有効表示領域Rの部分領域R2,R3が透明状態であるので、観察者は、有効表示領域Rに相当する観察領域R’のうちの中央の部分領域R1に相当する中央の部分領域R1’において、被写体像の一部(被写体像のうちの部分領域R1上に結像した像)を光学像として見るとともに、有効表示領域Rに相当する観察領域R’のうちの上下の部分領域R2,R3に相当する中央の部分領域R2’,R3’において、黒色表示された電子画像を余白に相当するものとして見ることになる。
【0064】
このようにして、第3の動作モード時には、接眼窓24から、被写体像の一部を切り出したような光学ファインダ表示が観察される。
【0065】
図8(a)は、第1の動作モード時において接眼窓24から観察される表示である電子ビューファインダ表示の例を示している。図8(b)は、第2の動作モード時において接眼窓24から観察される表示である光学ファインダ表示の例を示している。図8(c)は、第3の動作モード時において接眼窓24から観察される表示である、被写体像の一部を切り出したような光学ファインダ表示の例を示している。これらの例では、撮影レンズ12の焦点距離を同一に設定して、同一の被写体を観察している。
【0066】
本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる他、前記第3の動作モードも選択し得るので、撮影範囲に応じて、被写体像の一部を切り出したような光学ファインダ表示を観察することができるという利点も得られる。
【0067】
[第3の実施の形態]
図9は、本発明の第3の実施の形態による撮像装置としての電子カメラ201の主要な要素を横から見た概略図であり、図1に対応している。図10は、図9に示す電子カメラ201の主な要素を上から見た概略図であり、図2に対応している。図11は、図9に示す電子カメラ201を示す概略ブロック図であり、図4に対応している。図9乃至図11において、図1、図2及び図4中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0068】
本実施の形態による電子カメラ201が前記第1の実施の形態による電子カメラ201と異なる所は、以下に説明する点である。
【0069】
本実施の形態では、受光窓61、対物レンズ62、ミラー63及び第2の可動ミラー64が追加されている。受光窓61は、カメラボディ11の前面上部に配置されている。対物レンズ62は、被写体像を撮像素子15上に結像させる結像光学系を構成し、受光窓61の−Y側に配置されている。ミラー63は、受光窓61及び対物レンズ62を通過して−Y方向に進行する被写体からの光を、−Z方向へ反射する。
【0070】
第2の可動ミラー64は、ミラー63の−Z側でかつ可動ミラー13とシャッタ14との間に配置されている。第2の可動ミラー64は、撮影レンズ12を通過した光が撮像素子15に向かう光路に進出して、対物レンズ62を通過した光を撮像素子15へ向けて−Y方向へ反射させる第3の位置(図9中の実線位置)と、前記光路から退避して対物レンズ62を通過した光を撮像素子15へ向かわせない第4の位置(図9中の破線位置)とに、移動可能になっている。
【0071】
本実施の形態では、第2の可動ミラー64が、対物レンズ62を通過した光が撮像素子15に向かう第3の状態と、対物レンズ62を通過した光が撮像素子15に向かわず、かつ、第1の可動ミラー64が撮影レンズ12を通過した光を撮像素子15に向かわせる第1の状態であることを条件として撮影レンズ12を通過した光が撮像素子15へ向かう第4の状態と、を切り替える第2の切り替え手段を、構成している。もっとも、前記第2の切り替え手段は可動ミラー64に限らない。
【0072】
対物レンズ62の焦点距離は、撮影レンズ12を望遠側にしたときに撮像素子15の撮像領域に結像する被写体の範囲よりも、所望の程度広い被写体の範囲が撮像素子15の撮像領域に結像するような、広角の焦点距離に設定されている。
【0073】
本実施の形態では、ミラー制御部52は、第1の可動ミラー13の位置を前記第1及び第2の位置に制御するのみならず、第2の可動ミラー64の位置を前記第3及び第4の位置に制御する。
【0074】
また、本実施の形態では、リレーレンズ18として倍率固定レンズに代えて倍率可変レンズが用いられ、リレーレンズ18の倍率を制御する倍率制御部71が追加されている。本実施の形態では、倍率制御部71は、リレーレンズ18の倍率を、撮像素子15の撮像領域に対応する領域がちょうど有効表示領域Rとなる第1の倍率と、撮像素子15の撮像領域に対応する領域がちょうど有効表示領域Rの後述する中央領域R4(後述の図12参照)となる第2の倍率とに制御する。
【0075】
図12は、本実施の形態による電子カメラ201の画像表示部21及び調光部20の有効表示領域Rの平面を模式的に示す概略平面図であり、図3(b)に対応している。
【0076】
本実施の形態では、有効表示領域Rが、中央の領域R4と、その周辺の領域R5とに分けられ、調光部20において、一方の透明電極34が各領域R4,R5にパターニングされ、透明電極34の各領域R4,R5の部分が互いに電気的に絶縁され、それらの部分に互いに独立して電圧を印加し得るように構成されている。これにより、本実施の形態では、調光部20は、高分子分散液晶33の各領域R4,R5の部分の透明状態・光散乱状態を、領域R4,R5毎に切り替え得るように構成されている。したがって、本実施の形態では、調光部20は、有効表示領域Rの部分領域R4,R5毎に光散乱状態と透明状態とに切り替え可能となっている。なお、本実施の形態では、領域R4は、領域Rを比例して縮小したものとなっている。
【0077】
本実施の形態では、操作部54は、ファインダ表示動作に関して、第1の動作モード(電子ビューファインダ表示モード)と、第2の動作モード(光学ファインダ表示モード)と、第3の動作モード(本実施の形態では、中央の光学ファインダ表示と周辺の電子ビューファインダ表示とのハイブリッド表示モード)の、いずれかの動作モードを選択する選択手段として機能する。
【0078】
操作部54により第1の動作モード(電子ビューファインダ動作)が選択された場合には、その選択に応じて、マイクロプロセッサ47は、ミラー制御部52を介して第1の可動ミラー13の位置を図9中の破線位置に位置させるとともに第2の可動ミラー64の位置を図9中の破線位置に位置させ、調光制御部51を介して調光部20の有効表示領域Rを全体的に透明状態にする(すなわち、有効表示領域Rの各領域R4,R5を透明状態にする)。このとき、リレーレンズ18の倍率は、前記第1の倍率でもよいし、前記第2の倍率でもよい。可動ミラー13,64がそれぞれ図9中の破線位置に位置するので、撮影レンズ12を通過した光による被写体像が撮像素子15上に結像される。一方、可動ミラー64が図9中の破線位置に位置するので、対物レンズ62を通過した光による被写体像は、撮像素子15上に結像されない。
【0079】
そして、マイクロプロセッサ47は、撮像制御部42に撮像の指令を与え、撮像素子15から画像信号を読み出して、撮影レンズ12を通過した光による被写体像の撮像を行う。この画像信号は、信号処理部43により増幅等された後にA/D変換部44によりA/D変換され、画像データとしてメモリ45に蓄積される。引き続いて、マイクロプロセッサ47は、表示制御部50を介して、この画像データに基づく被写体像を電子画像として、画像表示部21にその有効表示領域Rの全体に表示させる。なお、この画像データに基づく被写体像に任意の情報を合成した表示画像を、画像表示部21に表示させてもよい。
【0080】
このとき、調光部20の有効表示領域Rは全体的に透明状態となっているので、観察者は、有効表示領域Rに相当する観察領域R’の全体において、撮像されるべき被写体像の全体を電子画像として見ることになる。その後、撮像素子15の撮像以降の動作を順次繰り返す。
【0081】
このようにして、第1の動作モード時には、接眼窓24から電子ビューファインダ表示が観察される。
【0082】
本実施の形態において、この第1の動作モード時において接眼窓24から観察される表示である電子ビューファインダ表示の各例は、前記第1の実施の形態における図5(a)に示す例及び図5(b)に示す例と同じになる。図5(a)は撮影レンズ12を広角にした場合の例を示し、図5(b)は拡大時(撮影レンズ12を望遠側にした場合)の例を示している。いずれの場合も、有効表示領域Rに相当する観察領域R’の全体において、撮像されるべき被写体像の全体が電子画像として表示されている。
【0083】
操作部54により第2の動作モード(光学ファインダ表示動作)が選択された場合には、その選択に応じて、マイクロプロセッサ47は、ミラー制御部52を介して第1の可動ミラー13の位置を図9中の実線位置に位置させ、調光制御部51を介して調光部20の有効表示領域Rを全体的に光散乱状態にし(すなわち、有効表示領域Rの各領域R4,R5を光散乱状態にし)、倍率制御部71を介してリレーレンズ18の倍率を前記第1の倍率にする。第2の動作モードでは、第2の可動ミラー64の位置は、図9中の実線位置及び破線位置のいずれに位置してもよい。第1の可動ミラー13が図9中の実線位置に位置するので、撮影レンズ12を通過した光が第1の可動ミラー13により反射され、撮影レンズ12を通過した光による被写体像(光学像)が、調光部20上に結像される。このとき、リレーレンズ18の倍率が前記第1の倍率であるので、被写体像は、調光部20の有効表示領域Rの全体に形成される。
【0084】
このとき、調光部20の有効表示領域Rが全体的に光散乱状態となっているので、観察者は、有効表示領域Rに相当する観察領域R’の全体において、撮像されるべき被写体像の全体を光学像として見ることになる。
【0085】
このようにして、第2の動作モード時には、接眼窓24から光学ファインダ表示が観察される。
【0086】
本実施の形態において、この第2の動作モード時において接眼窓24から観察される表示である光学ファインダ表示の各例は、前記第1の実施の形態における図6(a)に示す例及び図6(b)に示す例と同じになる。図6(a)は撮影レンズ12を広角にした場合の例を示し、図6(b)は拡大時(撮影レンズ12を望遠側にした場合)の例を示している。いずれの場合も、有効表示領域Rに相当する観察領域R’の全体において、撮像されるべき被写体像の全体が光学像として表示されている。
【0087】
操作部54により第3の動作モード(本実施の形態では、中央の光学ファインダ表示と周辺の電子ビューファインダ表示とのハイブリッド表示モード)が選択された場合には、その選択に応じて、マイクロプロセッサ47は、ミラー制御部52を介して第1の可動ミラー13の位置を図9中の実線位置に位置させるとともに第2の可動ミラー64の位置を図9中の実線位置に位置させ、調光制御部51を介して調光部20の有効表示領域Rのうちの中央領域R4を光散乱状態にするとともに周辺領域R5を透明状態にし、倍率制御部71を介してリレーレンズ18の倍率を前記第2の倍率にする。第1の可動ミラー13が図9中の実線位置に位置するので、撮影レンズ12を通過した光が第1の可動ミラー13により反射され、撮影レンズ12を通過した光による被写体像(光学像)が、調光部20上に結像される。このとき、リレーレンズ18の倍率が前記第2の倍率であるので、撮像されるべき被写体像の全体は、調光部20の有効表示領域Rのうちの中央領域R4にのみ形成される。また、第2の可動ミラー64が図9中の実線の位置に位置するので、対物レンズ62を通過した光による被写体像が広角で撮像素子15上に結像される。一方、第1の可動ミラー13が図9中の実線位置に位置するので、撮影レンズ12を通過した光による被写体像は撮像素子15上に結像されない。
【0088】
そして、マイクロプロセッサ47は、撮像制御部42に撮像の指令を与え、撮像素子15から画像信号を読み出して、対物レンズ62を通過した光による被写体像の撮像を行う。この画像信号は、信号処理部43により増幅等された後にA/D変換部44によりA/D変換され、画像データとしてメモリ45に蓄積される。引き続いて、マイクロプロセッサ47は、表示制御部50を介して、この画像データに基づく被写体像を電子画像として、画像表示部21にその有効表示領域Rの全体に表示させる。
【0089】
今、調光部20の有効表示領域Rの中央領域R4が光散乱状態である一方で、調光部20の有効表示領域Rの周辺領域R5が透明状態であるので、観察者は、有効表示領域Rに相当する観察領域R’のうちの中央領域R4に相当する中央領域R4において、撮像すべき被写体像の全体を光学像として見るとともに、有効表示領域Rに相当する観察領域R’のうちの周辺領域R5に相当する周辺領域R5’において、対物レンズ62を通過した光による広角の被写体像の一部(その広角の被写体像のうちの周辺領域R5上に結像した像)を光学像として見ることになる。
【0090】
このようにして、第3の動作モード時には、接眼窓24から、撮像すべき被写体像を全体的に表示する中央の光学ファインダ表示と、広角の被写体像の周辺部を表示する周辺の電子ビューファインダ表示とが、ハイブリッドに観察される。
【0091】
図13は、この第3の動作モード時において接眼窓24から観察されるファインダ表示の各例を示している。図13(a)は撮影レンズ12を広角にした場合の例を示し、図13(b)は拡大時(撮影レンズ12を望遠側にした場合)の例を示している。いずれの場合も、有効表示領域Rの中央領域R4に相当する観察領域R’の中央領域R4’において、撮像されるべき被写体像の全体が光学像として表示され、有効表示領域Rの周辺領域R5に相当する観察領域R’の周辺領域R5’において、対物レンズ62を通過した光による広角の被写体像の周辺部が電子画像として表示されている。ここでは、図13(a)(b)、図5(a)(b)及び図6(a)(b)のいずれの場合も、同一の被写体を観察しているものとし、図13(a)、図5(a)及び図6(a)のいずれの場合も、撮影レンズ12の焦点距離を広角の同じ焦点距離に設定しているものとし、図13(b)、図5(b)及び図6(b)のいずれの場合も、撮影レンズ12の焦点距離を望遠側の同じ焦点距離に設定しているものとし、広角の対物レンズ62を通過した光による撮像素子15上の被写体像と、図5(a)の場合に広角時の撮影レンズ12を通過した光による撮像素子15上の被写体像とが、同一になるものとしている。
【0092】
本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。また、本実施の形態では、図13(b)に示すように、観察領域R’の中央領域R4’において、撮像されるべき拡大された被写体像の全体が光学像として表示され、観察領域R’の周辺領域R5’において、対物レンズ62を通過した光による広角の被写体像の周辺部が電子画像が表示される。したがって、本実施の形態によれば、電子画像の拡大被写体像よりも格段に高画質である光学像による拡大被写体像を観察しながら、被写体の周囲の状況も同時に観察することができ、撮影状況に合わせた被写体の観察を実現し易いという利点も得られる。例えば、観察領域R’の中央領域R4’で鳥の拡大像を観察しているときに、鳥が飛び立ってしまう場合、鳥がいずれの方向に飛び立ったのかを観察領域R’の周辺領域R5’で観察することができ、迅速に鳥の像の捕捉を継続することができる。
【0093】
なお、本実施の形態では、前述したようにリレーレンズ18として倍率可変レンズが用いられている。しかし、本実施の形態においても、前記第1の実施の形態と同様に、リレーレンズ18として倍率固定レンズを用いてもよい。この場合、例えば、リレーレンズ18の倍率を、撮像素子15の撮像領域に対応する領域がちょうど有効表示領域Rとなる倍率(第1の倍率)に固定してもよい。
【0094】
図14は、リレーレンズ18の倍率を前記第1の倍率に固定した場合に、前記第3の動作モード時において接眼窓24から観察されるファインダ表示の各例を示している。図14(a)は撮影レンズ12を広角にした場合の例を示し、図14(b)は拡大時(撮影レンズ12を望遠側にした場合)の例を示している。図14(a)(b)(c)及び図13(a)(b)のいずれの場合も同一の被写体を観察しているものとし、図14(a)及び図13(a)のいずれの場合も、撮影レンズ12の焦点距離を広角の同じ焦点距離に設定しているものとし、図14(b)及び図13(b)のいずれの場合も、撮影レンズ12の焦点距離を望遠側の同じ焦点距離に設定しているものとし、図14(c)の場合には、撮影レンズ12の焦点距離をそれらの中間の焦点距離に設定しているものとしている。
【0095】
リレーレンズ18の倍率を前記第1の倍率に固定すると、図14(a)〜(c)に示すように、観察領域R’の中央領域R4’において、撮像されるべき被写体像の全体ではなくその一部が拡大されて表示されることになる。換言すると、図14(a)〜(c)の場合は、観察領域R’の中央領域R4’に現れている被写体の範囲よりも広い範囲が実際に撮像されることになる。
【0096】
したがって、このようにリレーレンズ18として倍率固定レンズを用いる場合に比べて、本実施の形態のようにリレーレンズ18として倍率可変レンズを用いることが好ましい。もっとも、本発明では、本実施の形態を、リレーレンズ18として倍率固定レンズを用いるように変形してもよい。
【0097】
[第4の実施の形態]
図15は、本発明の第4の実施の形態による電子カメラの画像表示部21及び調光部20の有効表示領域Rの平面を模式的に示す概略平面図であり、図7及び図12に対応している。図15において、図7及び図12中の領域と同一領域には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0098】
本実施の形態による電子カメラが前記第3の実施の形態による電子カメラ201と異なる所は、以下に説明する点である。
【0099】
本実施の形態では、有効表示領域Rが、領域R2〜R4,R6に分けられ、調光部20において、一方の透明電極34が各領域R2〜R4,R6にパターニングされ、透明電極34の各領域R2〜R4,R6の部分が互いに電気的に絶縁され、それらの部分に互いに独立して電圧を印加し得るように構成されている。これにより、本実施の形態では、調光部20は、高分子分散液晶33の各領域R2〜R4,R6の部分の透明状態・光散乱状態を、領域R2〜R4,R6毎に切り替え得るように構成されている。領域R2と領域6とを合わせた領域が図12中の領域5となる。また、領域4と領域6とを合わせた領域が図7中の領域R1となる。
【0100】
そして、本実施の形態では、調光制御部51は、マイクロプロセッサ47からの指令に応じて、調光部20の各部分領域R2〜R4,R6の光散乱状態及び透明状態を制御する。
【0101】
本実施の形態では、操作部54は、ファインダ表示動作に関して、前記第3の実施の形態と同様の第1乃至第3の動作モードに、第4の動作モードを加えたもののうちの、いずれかの動作モードを選択する選択手段として機能する。
【0102】
本実施の形態における第1乃至第3の動作モードの動作は、前記第3の実施の形態における第1乃至第3の動作モードとそれぞれ同様であるので、重複する説明は省略する。なお、本実施の形態では、第1の動作モードでは、マイクロプロセッサ47は、調光部20の有効表示領域Rの全体を透明状態にするべく、調光制御部51を介して調光部20の部分領域R2〜R4,R6をそれぞれ透明状態にする。また、第2の動作モードでは、マイクロプロセッサ47は、調光部20の有効表示領域Rの全体を光散乱状態にするべく、調光制御部51を介して調光部20の部分領域R2〜R4,R6をそれぞれ光散乱状態にする。さらに、第3の動作モードでは、マイクロプロセッサ47は、調光制御部51を介して、調光部20の部分領域R4を光散乱状態にする一方で、調光部20の部分領域R2,R3,R6を光透過状態にする。
【0103】
本実施の形態では、操作部54により第4の動作モードが選択された場合には、その選択に応じて、マイクロプロセッサ47は、ミラー制御部52を介して第1の可動ミラー13の位置を図1中の実線位置に位置させ、調光制御部51を介して調光部20の有効表示領域Rのうちの部分領域R4,R6を光散乱状態にする一方で調光部20の有効表示領域Rのうちの部分領域R2,R3を透明状態にする。第4の動作モードでは、第2の可動ミラー64の位置は、図9中の実線位置及び破線位置のいずれでもよい。
【0104】
第1の可動ミラー13が図9中の実線位置に位置するので、撮影レンズ12を通過した光が第1の可動ミラー13により反射され、撮影レンズ12を通過した光による被写体像(光学像)が、調光部20上に結像される。このとき、被写体像は、調光部20の有効表示領域Rの全体に形成される。
【0105】
また、マイクロプロセッサ47は、表示制御部50を介して、画像表示部21の少なくとも有効表示領域Rの領域R2,R3にそれぞれ黒色表示(その代わりに、任意の情報の表示などでもよい。)を行わせる。
【0106】
今、調光部20の有効表示領域Rの部分領域R4,R6が光散乱状態である一方で、調光部20の有効表示領域Rの部分領域R2,R3が透明状態であるので、観察者は、有効表示領域Rに相当する観察領域R’のうちの部分領域R4,R6に相当する部分領域R4’,R6において、被写体像の一部(被写体像のうちの部分領域R4,R6上に結像した像)を光学像として見るとともに、有効表示領域Rに相当する観察領域R’のうちの上下の部分領域R2,R3に相当する部分領域R2’,R3’において、黒色表示された電子画像を余白に相当するものとして見ることになる。
【0107】
このようにして、第4の動作モード時には、接眼窓24から、被写体像の一部を切り出したような光学ファインダ表示(図8(c)に示す表示と同様の表示))が観察される。
【0108】
本実施の形態によれば、前記第3の実施の形態と同様の利点が得られる他、前記第4の動作モードも選択し得るので、撮影範囲に応じて、被写体像の一部を切り出したような光学ファインダ表示を観察することができるという利点も得られる。
【0109】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0110】
1,201 電子カメラ
12 撮影レンズ
13,64 可動ミラー
15 撮像素子
18 リレーレンズ
20 調光部
21 画像表示部
23 接眼レンズ
24 接眼窓
62 対物レンズ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影レンズにより結像される被写体像を撮像する撮像素子と、
前記撮像素子により撮像された被写体像を画像として表示し得る画像表示部と、
前記画像表示部の表示側に配置され、制御信号に応じて有効表示領域において全体的にのみ又は部分領域毎に光散乱状態と透明状態とに切り替え可能な調光部と、
接眼部と、
前記撮影レンズを通過した光による被写体像を前記調光部上に結像させる第1の光学系と、
前記画像表示部の表示画像のうち前記調光部における透明状態となっている領域に対応する画像、及び、前記調光部上に結像された前記被写体像のうち前記調光部における光散乱状態となっている領域上に結像された像を、前記接眼部から観察可能となるように導く第2の光学系と、
前記撮影レンズを通過した光が前記撮像素子へ向かう第1の状態と前記撮影レンズを通過した光が前記第1の光学系へ向かう第2の状態とを切り替える第1の切り替え手段と、
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
被写体像を前記撮像素子に結像させる結像光学系と、
前記結像光学系を通過した光が前記撮像素子に向かう第3の状態と、前記結像光学系を通過した光が前記撮像素子に向かわず、かつ、前記第1の状態であることを条件として前記撮影レンズを通過した光が前記撮像素子に向かう第4の状態と、を切り替える第2の切り替え手段と、
を備え、
前記調光部は、前記制御信号に応じて、有効表示領域において部分領域毎に光散乱状態と透明状態とに切り替え可能であることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第2の切り替え手段は、前記撮影レンズを通過した光が前記撮像素子へ向かう光路に進出して、前記結像光学系を通過した光を前記撮像素子へ向けて反射させる第3の位置と、前記光路から退避して前記結像光学系を通過した光を前記撮像素子へ向かわせない第4の位置とに移動可能である第2の可動ミラーを、含むことを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記調光部は、前記制御信号に応じて、有効表示領域の中央領域及び周辺領域のそれぞれ毎に光散乱状態と透明状態とに切り替え可能であることを特徴とする請求項2又は3記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第1の光学系が倍率可変レンズを含むことを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項6】
前記調光部の有効表示領域が全体的に透明状態にされかつ前記第1の切り替え手段が前記第1の状態にする第1の動作モードと、前記調光部の有効表示領域が全体的に光散乱状態にされかつ前記第1の切り替え手段が前記第2の状態にする第2の動作モードの、いずれかの動作モードを選択する選択手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項7】
前記調光部は、前記制御信号に応じて、有効表示領域において部分領域毎に光散乱状態と透明状態とに切り替え可能であり、
前記調光部の有効表示領域が全体的に透明状態にされかつ前記第1の切り替え手段が前記第1の状態にする第1の動作モードと、前記調光部の有効表示領域が全体的に光散乱状態にされかつ前記第1の切り替え手段が前記第2の状態にする第2の動作モードと、前記調光部の有効表示領域の一部の領域が透明状態にされる一方で前記調光部の有効表示領域の他の領域が光散乱状態にされかつ前記第1の切り替え手段が前記第2の状態にする第3の動作モードの、いずれかの動作モードを選択する選択手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項8】
前記調光部の有効表示領域が全体的に透明状態にされ、前記第1の切り替え手段が前記第1の状態にし、かつ前記第2の切り替え手段が前記第4の状態にする第1の動作モードと、前記調光部の有効表示領域が全体的に光散乱状態にされ、前記第1の切り替え手段が前記第2の状態にする第2の動作モードと、前記調光部の有効表示領域の一部の領域が透明状態にされる一方で前記調光部の有効表示領域の他の領域が光散乱状態にされ、前記第1の切り替え手段が前記第2の状態にし、かつ前記第2の切り替え手段が前記第3状態にする第3の動作モードの、いずれかの動作モードを選択する選択手段を備えたことを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項9】
前記調光部の有効表示領域が全体的に透明状態にされ、前記第1の切り替え手段が前記第1の状態にし、かつ前記第2の切り替え手段が前記第4の状態にする第1の動作モードと、前記調光部の有効表示領域が全体的に光散乱状態にされ、前記第1の切り替え手段が前記第2の状態にする第2の動作モードと、前記調光部の有効表示領域の一部の領域が透明状態にされる一方で前記調光部の有効表示領域の他の領域が光散乱状態にされ、前記第1の切り替え手段が前記第2の状態にし、かつ前記第2の切り替え手段が前記第3状態にする第3の動作モードと、前記調光部の有効表示領域の一部の領域が透明状態にされる一方で前記調光部の有効表示領域の他の領域が光散乱状態にされ、前記第1の切り替え手段が前記第2の状態にし、かつ前記第2の切り替え手段が前記第4の状態にする第4の動作モードの、いずれかの動作モードを選択する選択手段を備えたことを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項10】
前記第1の切り替え手段は、前記撮影レンズを通過した光を前記第1の光学系へ向けて反射させる第1の位置と前記撮影レンズを通過した光を反射させずに前記撮像素子へ向かわせる第2の位置とに移動可能である第1の可動ミラーを、含むことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項11】
前記調光部は高分子分散液晶層を含むことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項1】
撮影レンズにより結像される被写体像を撮像する撮像素子と、
前記撮像素子により撮像された被写体像を画像として表示し得る画像表示部と、
前記画像表示部の表示側に配置され、制御信号に応じて有効表示領域において全体的にのみ又は部分領域毎に光散乱状態と透明状態とに切り替え可能な調光部と、
接眼部と、
前記撮影レンズを通過した光による被写体像を前記調光部上に結像させる第1の光学系と、
前記画像表示部の表示画像のうち前記調光部における透明状態となっている領域に対応する画像、及び、前記調光部上に結像された前記被写体像のうち前記調光部における光散乱状態となっている領域上に結像された像を、前記接眼部から観察可能となるように導く第2の光学系と、
前記撮影レンズを通過した光が前記撮像素子へ向かう第1の状態と前記撮影レンズを通過した光が前記第1の光学系へ向かう第2の状態とを切り替える第1の切り替え手段と、
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
被写体像を前記撮像素子に結像させる結像光学系と、
前記結像光学系を通過した光が前記撮像素子に向かう第3の状態と、前記結像光学系を通過した光が前記撮像素子に向かわず、かつ、前記第1の状態であることを条件として前記撮影レンズを通過した光が前記撮像素子に向かう第4の状態と、を切り替える第2の切り替え手段と、
を備え、
前記調光部は、前記制御信号に応じて、有効表示領域において部分領域毎に光散乱状態と透明状態とに切り替え可能であることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第2の切り替え手段は、前記撮影レンズを通過した光が前記撮像素子へ向かう光路に進出して、前記結像光学系を通過した光を前記撮像素子へ向けて反射させる第3の位置と、前記光路から退避して前記結像光学系を通過した光を前記撮像素子へ向かわせない第4の位置とに移動可能である第2の可動ミラーを、含むことを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記調光部は、前記制御信号に応じて、有効表示領域の中央領域及び周辺領域のそれぞれ毎に光散乱状態と透明状態とに切り替え可能であることを特徴とする請求項2又は3記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第1の光学系が倍率可変レンズを含むことを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項6】
前記調光部の有効表示領域が全体的に透明状態にされかつ前記第1の切り替え手段が前記第1の状態にする第1の動作モードと、前記調光部の有効表示領域が全体的に光散乱状態にされかつ前記第1の切り替え手段が前記第2の状態にする第2の動作モードの、いずれかの動作モードを選択する選択手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項7】
前記調光部は、前記制御信号に応じて、有効表示領域において部分領域毎に光散乱状態と透明状態とに切り替え可能であり、
前記調光部の有効表示領域が全体的に透明状態にされかつ前記第1の切り替え手段が前記第1の状態にする第1の動作モードと、前記調光部の有効表示領域が全体的に光散乱状態にされかつ前記第1の切り替え手段が前記第2の状態にする第2の動作モードと、前記調光部の有効表示領域の一部の領域が透明状態にされる一方で前記調光部の有効表示領域の他の領域が光散乱状態にされかつ前記第1の切り替え手段が前記第2の状態にする第3の動作モードの、いずれかの動作モードを選択する選択手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項8】
前記調光部の有効表示領域が全体的に透明状態にされ、前記第1の切り替え手段が前記第1の状態にし、かつ前記第2の切り替え手段が前記第4の状態にする第1の動作モードと、前記調光部の有効表示領域が全体的に光散乱状態にされ、前記第1の切り替え手段が前記第2の状態にする第2の動作モードと、前記調光部の有効表示領域の一部の領域が透明状態にされる一方で前記調光部の有効表示領域の他の領域が光散乱状態にされ、前記第1の切り替え手段が前記第2の状態にし、かつ前記第2の切り替え手段が前記第3状態にする第3の動作モードの、いずれかの動作モードを選択する選択手段を備えたことを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項9】
前記調光部の有効表示領域が全体的に透明状態にされ、前記第1の切り替え手段が前記第1の状態にし、かつ前記第2の切り替え手段が前記第4の状態にする第1の動作モードと、前記調光部の有効表示領域が全体的に光散乱状態にされ、前記第1の切り替え手段が前記第2の状態にする第2の動作モードと、前記調光部の有効表示領域の一部の領域が透明状態にされる一方で前記調光部の有効表示領域の他の領域が光散乱状態にされ、前記第1の切り替え手段が前記第2の状態にし、かつ前記第2の切り替え手段が前記第3状態にする第3の動作モードと、前記調光部の有効表示領域の一部の領域が透明状態にされる一方で前記調光部の有効表示領域の他の領域が光散乱状態にされ、前記第1の切り替え手段が前記第2の状態にし、かつ前記第2の切り替え手段が前記第4の状態にする第4の動作モードの、いずれかの動作モードを選択する選択手段を備えたことを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項10】
前記第1の切り替え手段は、前記撮影レンズを通過した光を前記第1の光学系へ向けて反射させる第1の位置と前記撮影レンズを通過した光を反射させずに前記撮像素子へ向かわせる第2の位置とに移動可能である第1の可動ミラーを、含むことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項11】
前記調光部は高分子分散液晶層を含むことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−9163(P2013−9163A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140596(P2011−140596)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]