撮像装置
【課題】測光のダイナミックレンジの拡大を可能とした撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置では、利得設定手段6が、少なくとも2つの異なる利得の設定が可能で、画素読出手段2により画素配列1から読出された複数色の画素信号を増幅して出力する増幅手段5により複数色の全色の画素信号がそれぞれ少なくとも2つの異なる利得で増幅されるように、画素配列1の規定の周期の行毎又は列毎に増幅手段5に対して異なる利得を設定する。測光手段は、増幅手段により画素配列の規定の周期の行毎又は列毎に設定された少なくとも2つの異なる利得で増幅された複数色の画素信号を利用してからの反射光を測光する。制御手段は、測光手段による測光結果に基づいて発光手段の発光量を決定し、決定した発光量で発光手段が発光するように制御する。
【解決手段】撮像装置では、利得設定手段6が、少なくとも2つの異なる利得の設定が可能で、画素読出手段2により画素配列1から読出された複数色の画素信号を増幅して出力する増幅手段5により複数色の全色の画素信号がそれぞれ少なくとも2つの異なる利得で増幅されるように、画素配列1の規定の周期の行毎又は列毎に増幅手段5に対して異なる利得を設定する。測光手段は、増幅手段により画素配列の規定の周期の行毎又は列毎に設定された少なくとも2つの異なる利得で増幅された複数色の画素信号を利用してからの反射光を測光する。制御手段は、測光手段による測光結果に基づいて発光手段の発光量を決定し、決定した発光量で発光手段が発光するように制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測光のダイナミックレンジを拡大する場合に適用される撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、多くの撮像装置では、露出制御を行うための測光方式として、測光用の圧縮系センサを利用して測光を行う方式か、撮像面等のリニア系センサを利用して測光を行う方式が採用されている。リニア系センサを利用して測光を行う方式は、圧縮センサ系を利用して測光を行う方式に比べ、測光可能なダイナミックレンジが狭いため、コントラストの大きい被写体を正確に測光することができない。
【0003】
特に、ストロボ撮影を行う際に、予備発光を行い被写体からの反射光を測光することで撮影時の発光量を計算するストロボ調光を行う場合、撮影シーンによって反射光の量が大きく異なる。そのため、予備発光時の露光結果がリニア系センサのダイナミックレンジ内に収まらず、黒つぶれしたり飽和したりしてしまい、一度の露光では正確に測光できないことがある。
【0004】
上述した問題に対処する技術としては以下の技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載の技術では、予備発光による測光結果に基づいて再度予備発光を行うか否かを判定し、再度予備発光が必要と判断した場合は、露光条件を変えて再度予備発光による測光を行っている。
【0005】
また、上記リニア系センサのダイナミックレンジを拡大する技術としては以下の技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2記載の技術では、固体撮像装置において、複数種類の混合数の異なる同色画素加算を行い、その出力結果を用いて測光を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−187266号公報
【特許文献2】特開2005−117192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1記載の技術においては、複数回、予備発光を行い測光する必要がある。そのため、撮像装置のシャッタボタン操作に伴いレリーズスイッチが作動してから撮影が開始されるまでのレリーズタイムラグが長くなってしまう。
【0008】
また、上記特許文献2記載の技術においては、撮像素子としてCMOSを利用し、ライブビュー機能(撮像素子に結像した画像をリアルタイムで表示しながら構図確認やピント合わせを行う機能)を実現している場合に、親和性がよくない。即ち、後述するように、画素加算により解像度を低下させるため測光精度の低下を招く。
【0009】
CMOS型の撮像素子は、CCD型の撮像素子のように電荷の一括転送を行うことができず、順次、画素信号の読出しを行う。そのため、ライブビュー機能などのように機械シャッタを利用することができない状況では、画像信号の読出し中においても露光し続けてしまう。従って、高輝度時は定常光による画素信号の飽和を防ぐために間引き読出しを行い、撮像素子からの読出しを高速化することで蓄積時間を短くする必要がある。
【0010】
しかし、上記特許文献2の提案による画素加算方式で撮像素子としてCMOSを利用しダイナミックレンジを拡大させる場合、画素信号の間引き読出しに加え、更に画素加算により解像度を低下させてしまう。その結果、測光精度の低下を招いてしまうという問題がある。もし、測光精度に影響がない程度の解像度を確保することが可能だとするなら、高輝度側の測光連動範囲の拡大を行いたいため、更に間引き率を大きくして画素信号の高速読出しを行いたいという課題がある。
【0011】
本発明の目的は、測光のダイナミックレンジの拡大を可能とした撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の目的を達成するために、本発明の撮像装置は、各々が光電変換素子を含み、水平方向及び垂直方向に配置された複数の画素から構成される画素配列と、前記画素配列から複数色の画素信号を読出す画素読出手段と、少なくとも2つの異なる利得の設定が可能で、前記画素読出手段により前記画素配列から読出された前記複数色の画素信号を増幅して出力する増幅手段とを備えた撮像素子と、前記増幅手段により前記複数色の全色の画素信号がそれぞれ少なくとも2つの異なる利得で増幅されるように、前記画素配列の規定の周期の行毎又は列毎に前記増幅手段に対して異なる利得を設定する利得設定手段と、撮影する被写体に対して光を照射する発光手段と、前記増幅手段により前記画素配列の規定の周期の行毎又は列毎に設定された少なくとも2つの異なる利得で増幅された複数色の画素信号を利用して前記被写体からの反射光を測光する測光手段と、前記測光手段による測光結果に基づいて前記発光手段の発光量を決定し、決定した発光量で前記発光手段が発光するように制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、画素配列からの1回の読出しに際して異なる利得の画素信号を得るように、前記画素配列の規定の周期の行毎又は列毎に増幅手段に対して異なる利得を設定するので、撮像素子から1回の読出しにつき異なる利得の画素信号を得ることが可能となり、測光のダイナミックレンジの拡大が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る固体撮像素子の構成を示すブロック図である。
【図2】画素毎の読出しゲインを示す模式図である。
【図3】画素毎の読出しゲインを示す模式図である。
【図4】画素毎の読出しゲインを示す模式図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る撮像装置としてのデジタルカメラシステムの構成を示すブロック図である。
【図6】撮像装置の撮影処理を示すフローチャートである。
【図7】ストロボ調光制御の詳細を示すフローチャートである。
【図8】撮像素子の駆動方式と読出し及び蓄積時間を示す模式図である。
【図9】撮像素子の駆動方式と蓄積時間と読出し時間を示す模式図である。
【図10】画素毎の読出しゲインを示す模式図である。
【図11】測光可能な距離レンジを示す模式図である。
【図12】外光輝度とストロボ反射光の関係を示す図である。
【図13】予備発光時の撮像素子の読出し時間と最小蓄積時間の関係を示す模式図である。
【図14】予備発光時の撮像素子の読出し時間と最小蓄積時間の関係を示す模式図である。
【図15】予備発光時の撮像素子の読出し時間と最小蓄積時間の関係を示す模式図である。
【図16】予備発光時の撮像素子の読出し時間と最小蓄積時間の関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る固体撮像素子の構成を示すブロック図である。
【0017】
図1において、本実施の形態に係る固体撮像素子(以下撮像素子)は、1回の読出しにつき明度の異なる出力信号を得ることが可能な装置である。撮像素子は、画素配列1、画素読出し部2、行選択部3、列選択部4、ゲイン回路5、ゲイン選択部6を備えている。
【0018】
画素配列1は、光電変換素子を含む水平方向及び垂直方向に配置された複数の画素から構成されている。行選択部3は、画素配列1から複数の画素を水平方向に選択する。列選択部4は、画素配列1から複数の画素を垂直方向に選択する。画素読出し部2は、画素配列1から水平方向または垂直方向に規定の周期で画素間引きを行って高速に読出すことが可能であり、行選択部3及び列選択部4によりそれぞれ選択された画素信号を順次読出す。
【0019】
ゲイン選択部6は、画素信号の1回の読出しに際して、画素配列1の行毎及び列毎に複数種類の異なる利得(ゲイン)をゲイン回路に対して設定する。ゲイン回路5は、複数種類の異なるゲインを設定することが可能であり、ゲイン選択部6により選択されたゲインに基づき画素信号を増幅し出力する。ゲイン選択部6は、行選択部3により画素配列1から選択された規定の周期の行毎にゲイン回路5に対してゲインを設定する。また、ゲイン選択部6は、列選択部4により画素配列1から選択された規定の周期の列毎にゲイン回路5に対してゲインを設定する。
【0020】
図2は、画素毎の読出しゲインを示す模式図である。
【0021】
図2において、図1に示した画素配列からの画素信号の読出し時にゲイン選択部6により選択されたゲインの選択例を示している。画素配列の2行毎にISO100とISO400が交互に選択され、画素信号の1回の読出しに際し、異なる2種類のゲインが掛けられた信号が読み出される。本実施の形態では、簡略化のために12行8列で示している。なお、本実施の形態では、ISO100とISO400の2種類の異なるゲインを選択した場合の例を示しているが、選択されるゲインの値及び種類の数はこれに限定されるものではない。
【0022】
図3は、画素毎の読出しゲインを示す模式図である。
【0023】
図3において、図2に示した画素配列に対して画素の間引き読出しを行った場合の例を示している。本実施の形態では、画素配列の3行毎に1行間引いて読出しを行っており、読出しを行う行毎にISO100とISO400を交互に選択して読出している。このように、画素の間引き読出しを行うことにより、1回の読出し速度を向上させることが可能である。なお、本実施の形態では、3行毎に1行間引く(間引き周期1/3)読出しを行った場合の例を示しているが、間引き周期はこれに限定されるものではない。
【0024】
図4は、画素毎の読出しゲインを示す模式図である。
【0025】
図4において、画素配列の列毎にゲイン選択部6により、読出す画素信号のゲイン設定を選択し、且つ、3列毎に1列間引いて読出した場合の例を示している。本実施の形態では、読み出される列毎にISO100とISO800を交互に選択して読出しを行っている。なお、本実施の形態では、画素配列の3列毎に1列間引き、2種類の異なるゲインを選択した場合の例を示しているが、間引き周期、ゲインの値、種類の数はこれに限定されるものではない。
【0026】
以上説明したように、本実施の形態によれば、画素配列からの画素信号の1回の読出しに際し、複数種類の異なるゲインが掛けられた画像信号出力を得ることが可能となる。これにより、1回の露光によって得られる画像信号出力のダイナミックレンジを拡大させることが可能となる。また、画素配列に対して画素の間引き読出しを併用することで、画素信号の高速読出しを行う場合においても上記と同様の効果を得ることが可能となる。
【0027】
[第2の実施の形態]
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る撮像装置としてのデジタルカメラシステムの構成を示すブロック図である。
【0028】
図5において、デジタルカメラシステムは、一眼レフデジタルカメラ(以下デジタルカメラ)100に撮影レンズユニット200とストロボ装置300を装備している。デジタルカメラ100は、光学機構、各種回路、各種操作ボタン、システムコントローラ(CPU)120等を備えている。デジタルカメラ100には、撮影レンズユニット200がマウント機構(不図示)を介し着脱可能に取り付けられる。撮影レンズユニット200は、撮影レンズ201、絞り202等を備えている。マウント機構は、電気的接点群210を備えている。システムコントローラ120と電気的接点群210とからレンズ検出部を構成している。
【0029】
電気的接点群210は、デジタルカメラ100と撮影レンズユニット200との間で制御信号、状態信号、データ信号等を伝え合う機能を有する。更に、電気的接点群210は、各種電圧・電流を供給する機能、撮影レンズユニット200が接続されるとシステムコントローラ120へ信号を送信する機能も有する。デジタルカメラ100と撮影レンズユニット200の間の通信により、撮影レンズユニット内の撮影レンズ201及び絞り202の駆動が可能となる。また、電気的接点群210は、電気通信のみならず、光通信、音声通信等の機能を有する構成としてもよい。
【0030】
なお、本実施の形態では便宜上1枚の撮影レンズを図示しているが、実際は更に多数の撮影レンズから構成されていることは周知の通りである。
【0031】
撮像装置による撮影動作に伴い、被写体像(不図示)からの撮影光束が撮影レンズ201及び絞り202を介して、図示の矢印方向に駆動可能なクイックリターンミラー102に導かれる。クイックリターンミラー102の中央部はハーフミラーに構成されており、クイックリターンミラー102がダウンした際に一部の撮影光束が透過する。クイックリターンミラー102を透過した撮影光束は、クイックリターンミラー102に付設されたサブミラー103により下方に向けて反射される。
【0032】
AFセンサユニット104は、公知の位相差検出方式を有し、不図示の結像面近傍に配置されたフィールドレンズ、反射ミラー、2次結像レンズ、絞り、及び、複数のCCDから成るラインセンサ等から構成されている。焦点検出回路105は、システムコントローラ120からの制御信号に基づきAFセンサユニット104を制御することで、公知の位相差検出方式により焦点検出を行う。AFセンサユニット104と焦点検出回路105とから焦点検出部を構成している。
【0033】
一方、クイックリターンミラー102により反射された撮影光束は、ペンタプリズム101、接眼レンズ106を介して撮影者の目に至る。また、クイックリターンミラー102がアップした際は、撮影レンズ201を透過した撮影光束は、機械シャッタであるフォーカルプレーンシャッタ108、フィルタ109を介して撮像素子としてのイメージセンサ112に至る。イメージセンサ112は、具体的にはCMOSイメージセンサに代表される。
【0034】
なお、イメージセンサ112は、上記第1の実施の形態で説明した固体撮像素子に相当する。イメージセンサ112は、行選択部により選択された行毎に所定の周期でゲイン回路を設定することが可能であり、1回の読出しで明度の異なる出力信号を得ることが可能な固体撮像素子とする。また、イメージセンサ112は、水平方向及び垂直方向に画素間引きを行って高速に画素信号の読出しを行うことが可能な機能を有するものとする。
【0035】
フィルタ109は、赤外線をカットし可視光線のみをイメージセンサ112へ導く機能と、光学ローパスフィルタとしての機能の2つの機能を有する。フォーカルプレーンシャッタ108は、先幕及び後幕を備えており、撮影レンズ201からの光束の透過/遮断を制御する。なお、クイックリターンミラー102のアップ時には、サブミラー103は折り畳まれるように構成されている。
【0036】
システムコントローラ120は、デジタルカメラシステム全体の制御を司るCPUにより構成されており、後述する各部の動作を適宜制御するものであり、プログラムに基づき後述の図6及び図7のフローチャートに示す処理を実行する。また、システムコントローラ120は、測光機能と発光量計算機能とを有する。システムコントローラ120には、レンズ制御回路204、絞り制御回路206が接続されている。レンズ制御回路204は、撮影レンズ201を光軸方向に移動してピント合わせを行うためのレンズ駆動機構203を制御する。絞り制御回路206は、絞り202を駆動するための絞り駆動機構205を制御する。
【0037】
また、システムコントローラ120には、シャッタチャージ・ミラー駆動機構110、シャッタ制御回路111、測光回路107が接続されている。シャッタチャージ・ミラー駆動機構110は、クイックリターンミラー102のアップ/ダウンの駆動及びフォーカルプレーンシャッタ108のシャッタチャージを制御する。シャッタ制御回路111は、フォーカルプレーンシャッタ108の先幕及び後幕の走行を制御する。測光回路107は、接眼レンズ106の近傍に配設された測光センサ(不図示)に接続された自動露出を行う回路である。
【0038】
また、システムコントローラ120には、EEPROM122が接続されている。EEPROM122には、デジタルカメラシステムを制御する上で調整が必要なパラメータ、デジタルカメラの個体識別が可能なカメラID情報、基準レンズで調整されたAF補正データ、自動露出補正値などが記憶されている。
【0039】
レンズ制御回路204は、レンズ固有の情報(例えば焦点距離、開放絞り、レンズ個々に割り振られるレンズID等の情報)、システムコントローラ120から受け取った情報を記憶するレンズ記憶部も備えている。測光回路107に接続される測光センサは、被写体の輝度を測定するためのセンサであり、その出力は測光回路107を経てシステムコントローラ120に供給される。
【0040】
システムコントローラ120は、レンズ制御回路204によりレンズ駆動機構203を制御することにより、被写体像をイメージセンサ112上に結像する。また、システムコントローラ120は、設定されたAv(絞り込み量)値に基づいて絞り制御回路206により絞り駆動機構205を制御し、更に、設定されたTv(シャッタ速度)値に基づいてシャッタ制御回路111へ制御信号を出力する。
【0041】
フォーカルプレーンシャッタ108の先幕及び後幕は、駆動源がバネにより構成されており、シャッタ走行後、次の動作のためにバネチャージを要する。シャッタチャージ・ミラー駆動機構110は、このバネチャージを制御するように構成されている。また、シャッタチャージ・ミラー駆動機構110は、上述したようにクリックリターンミラー102のアップ/ダウンを行う。
【0042】
また、システムコントローラ120には、画像データコントローラ115が接続されている。画像データコントローラ115は、DSP(デジタル信号プロセッサ)から構成され、イメージセンサ112の制御、イメージセンサ112から入力された画像データの補正・加工等をシステムコントローラ120の指令に基づき実行する。画像データの補正・加工の項目の中にはオートホワイトバランスも含まれている。オートホワイトバランスとは、撮影画像中の最大輝度の部分を所定の色(白色)に補正する機能であり、システムコントローラ120からの命令により補正量を変更可能である。
【0043】
システムコントローラ120と画像データコントローラ115とから第2の測光部を構成している。第2の測光部は以下の処理を行う。画像データコントローラ115は、画像信号を領域分割し、それぞれの領域でベイヤ画素毎に積分した値をシステムコントローラ120に供給する。システムコントローラ120は、積分信号を評価することで測光を行う。
【0044】
画像データコントローラ115には、タイミングパルス発生回路114、A/Dコンバータ113、D/Aコンバータ116、画像圧縮回路119、DRAM121、コントラスト検出回路140が接続されている。タイミングパルス発生回路114は、イメージセンサ112を駆動する際に必要なパルス信号を出力する。
【0045】
A/Dコンバータ113は、イメージセンサ112と共にタイミングパルス発生回路114で発生されたタイミングパルスを受けて、イメージセンサ112から出力される被写体像に対応したアナログ信号をデジタル信号に変換する。DRAM121は、得られた画像データ(デジタル信号)を一時的に記憶しておく。DRAM121は、加工や所定のフォーマットへのデータ変換が行われる前の画像データを一時的に記憶するために使用される。
【0046】
画像圧縮回路119には、記録媒体401が接続される。画像圧縮回路119は、DRAM121に記憶された画像データの圧縮や変換(例えばJPEG方式の圧縮)を行うための回路である。変換された画像データは、記録媒体401に格納される。記録媒体としては、ハードディスク、フラッシュメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク)等が使用される。なお、画像データコントローラ115と画像圧縮回路119と記録媒体401とから記録部を構成している。
【0047】
D/Aコンバータ116には、エンコーダ回路117を介して画像表示回路118が接続されている。画像表示回路118は、イメージセンサ112により撮像された画像データを表示する回路であり、一般にはカラーの液晶表示素子により構成される。
【0048】
画像データコントローラ115は、DRAM121に記憶された画像データをD/Aコンバータ116によりアナログ信号に変換し、エンコーダ回路117に出力する。エンコーダ回路117は、D/Aコンバータ116の出力を、画像表示回路118を駆動する際に必要な映像信号(例えばNTSC信号)に変換する。なお、D/Aコンバータ215と画像表示回路118とエンコーダ回路117とから画像表示部を構成している。
【0049】
コントラスト検出回路140は、システムコントローラ120の指令に基づいて以下の処理を実行する。コントラスト検出回路140は、画像データコントローラ115により補正された画像データを所定の周波数特性を持つフィルタを通し、所定のガンマ処理を行って得られる画像信号の所定方向のコントラストの評価を行う。コントラストの評価結果はシステムコントローラ120に供給される。
【0050】
更に、システムコントローラ120には、通信I/F回路126、動作表示回路123、各種選択ボタン、各種スイッチ等が接続されている。通信I/F回路126は、情報処理装置400との間の通信を司る。動作表示回路123は、デジタルカメラの動作モードの情報、露出情報(シャッタ秒時、絞り値等)等を外部液晶表示部124や内部液晶表示部125に表示させる。なお、動作表示回路123とシステムコントローラ120とから表示制御部を構成している。
【0051】
撮影モード選択ボタン130は、撮影者が所望の動作をデジタルカメラに実行させるためのモードを設定する際に操作する。測距点選択ボタン133は、AFセンサユニット104が有する複数の焦点検出位置から使用する焦点検出位置を選択する際に操作する。AFモード選択ボタン134は、AFモードを選択する際に操作する。測光モード選択ボタン135は、測光モードを選択する際に操作する。レリーズSW1・136は、測光・測距等の撮影準備動作を開始する際に操作する。レリーズSW2・137は、撮像動作を開始する際に操作する。
【0052】
ファインダモード選択ボタン138は、光学ファインダモードとライブビューモードとを切り替える際に操作する。光学ファインダモードは、接眼レンズ106を通過する撮影光束を確認することが可能なモードである。ライブビューモードは、イメージセンサ112により受光した被写体象信号(画像)を逐次、画像表示回路118により表示するモードである。
【0053】
更に、デジタルカメラ100には、ストロボ装置300がマウント機構(不図示)を介し着脱可能に取り付けられる。マウント機構は、電気的接点群310を備えている。電気的接点群310は、デジタルカメラ100とストロボ装置300との間で制御信号、状態信号、データ信号等を伝え合う機能を有する。更に、電気的接点群310は、ストロボ装置300が接続されるとシステムコントローラ120へ信号を送信する機能も有する。デジタルカメラ100とストロボ装置300の間の通信により、ストロボの発光制御を行うことが可能となる。また、電気的接点群310は、電気通信のみならず、光通信、音声通信等の機能を有する構成としてもよい。
【0054】
次に、上記のように構成されたデジタルカメラシステムの動作について図6乃至図16を参照しながら詳細に説明する。
【0055】
図6は、撮像装置の撮影処理を示すフローチャートである。図7は、ストロボ調光制御の詳細を示すフローチャートである。
【0056】
図6において、デジタルカメラのシステムコントローラ20は、撮影者がファインダモード選択ボタン138によりライブビューモードの開始(ON)を指示したか否かを判定する(ステップS101)。撮影者によりファインダモード選択ボタン138が操作されライブビューモードの開始がシステムコントローラ120に通知されると、システムコントローラ120は以下の制御を行う。即ち、システムコントローラ120は、クリックリターンミラー102をアップ状態とし、フォーカルプレーンシャッタ108を開き、撮影レンズユニット200を通過した撮影光束がイメージセンサ112へ露光されつづける状態となるよう制御を行う。
【0057】
次に、システムコントローラ120は、ライビュー動作を実行する(ステップS102)。即ち、システムコントローラ120は、イメージセンサ112の駆動方法をスリットローリングシャッタ読出し方式に切り替え、イメージセンサ112から連続的に読み出された画像信号を、A/Dコンバータ113によりデジタル信号に変換する。更に、システムコントローラ120は、画像データコントローラ115で画像処理を行い、画像処理後のデジタル信号をD/Aコンバータ116によりアナログ信号に変換し、エンコーダ回路117によりエンコードを行いDRAM121に転送する。更に、システムコントローラ120は、外部液晶表示部124に画像を順次表示する。
【0058】
ここで、ライブビュー動作中のイメージセンサ112の駆動方式について図8及び図9を用いて簡単に説明する。ライブビュー機能を実現する場合は、連続的にイメージセンサ112から画素信号を読出す必要がある。CMOS方式の撮像素子では、CCD方式の撮像素子のような画素信号の一括転送及び一括読出しができないため、一般的にローリングシャッタ読出し方式が使用されている。
【0059】
図8に示すローリングシャッタ読出し方式は、VDのタイミングで水平ライン毎に、画像領域の上部のラインから順次、イメージセンサ112のフォトダイオード(以下PD)に蓄積された画素信号が読み出され、画素リセットが行われる。即ち、VDのタイミングで画素リセットをかける。そのため、1枚(1フレーム)の画像において、ライン毎に蓄積から読出しまでで時差があり、この時差は1ラインの読出し速度と読出す垂直ライン数により制限を受ける。また、蓄積時間に関しても同様に1枚の画像を読出す時間に制限を受けてしまう。
【0060】
図9に示すスリットローリングシャッタ駆動方式では、任意のタイミングで画素リセットライン(スリット)に従って画素リセットをかけていき、PDに蓄積された電荷をリセットすることで蓄積時間を変更することが可能である。即ち、VDのタイミングとは異なるタイミングで画素リセットをかける。また、スリットローリングシャッタ駆動方式では、自動露出制御機能と合わせて、蓄積時間を調節することで撮像素子から所望の露光量に調節された画素信号を得ることが可能である。なお、図9のResで示すラインはリセットラインである。
【0061】
また、ライブビュー動作のようにフレームレートにより読出し時間の制約を受ける場合は、全画面領域に対して一部の領域のみの読出しを行うか、水平方向及び垂直方向に画素間引きを行い高速に画素信号を読出す必要がある。
【0062】
上記ステップ102のライブビュー動作では、読出された画素信号を基に第2の測光部(システムコントローラ120、画像データコントローラ115)により測光を行う。また、自動露出制御機能により、絞り及び蓄積時間を制御すると共にゲイン回路に対するゲインの設定を行い、露出を調節する。また、同時に、ストロボ装置300を発光させるかどうかを自動的に判定するストロボ自動発光判定を行う。
【0063】
撮影者によりレリーズSW1が押されるとステップS103に移行する。システムコントローラ120は、コントラスト検出回路140の出力結果を基にレンズ制御回路204と通信を行い、焦点状態を調節する(ステップS103)。焦点状態の調節が終了するとステップS104に移行する。
【0064】
システムコントローラ120は、ライブビュー動作中と同様に、イメージセンサ112から読出された画像信号を基に測光を行い、撮影用Bv値を算出する(ステップS104)。ここで、Bv値は輝度レベルを表す指標であり、Bv=Tv+Av−Svで表すことができる。Tvはシャッタ速度(蓄積時間に相当する)、Avは絞り込み量、SvはISO感度等のゲインレベルを表している。測光が終了するとステップS105に移行する。
【0065】
システムコントローラ120は、レリーズSW1がONの期間中、撮影用Bv値をシステムコントローラ120で保持し、ライブビュー動作を行う(ステップS105)。また、システムコントローラ120は、測光及びストロボ自動発光判定を継続して行う。撮影者によりレリーズSW1がOFFされると、システムコントローラ120は、保持していた撮影用Bv値を破棄してステップS102に移行する。
【0066】
撮影者によりレリーズSW2が押されると、システムコントローラ120は、撮影者により設定可能なストロボ発光条件(強制発光、自動発光、発光禁止)及び自動発光判定結果を基に、ストロボ撮影を行うか否かを判定する(ステップS106)。ストロボ撮影が必要と判断した場合、システムコントローラ120は、ストロボ調光制御を行う(ステップS107)。ストロボ調光制御については図7で後述する。他方、ストロボ撮影が不要と判断した場合、システムコントローラ120は、ステップS104で算出した撮影用Bv値を保持したままステップS108に移行に移行する。
【0067】
図7において、システムコントローラ120は、調光時の露出制御設定を行う(ステップS201)。まず、システムコントローラ120は、ステップS105で求めた最新の測光結果を基に、所定の絞りと蓄積時間の設定を行う。また、システムコントローラ120は、イメージセンサ112の第1のゲイン回路設定をISO100相当に設定し、第2のゲイン回路設定を第1のゲイン回路設定とは異なる値(例えばISO3200)に設定する。
【0068】
これにより、図10に示すように、イメージセンサ112から第1の信号出力と第2の信号出力を得ることが可能になる。第1の信号出力と第2の信号出力については、同じタイミングで露光、蓄積、読出しが行われるため、第1及び第2のゲイン回路設定の差分だけシフトした露出レベルの信号出力となる。調光時の露出制御設定が終了するとステップS202に移行する。
【0069】
システムコントローラ120は、ステップS201で設定した露出条件で定常光を測光する定常光測光を行う(ステップS202)。更に、システムコントローラ120は、第1の信号出力から得られる第1の定常光信号出力E1aと、第2の信号出力から得られる第2の定常光信号出力E2aをEEPROM122に記憶する。定常光測光が終了するとステップS203に移行する。
【0070】
ここで、上記定常光測光においては、イメージセンサ112に対する定常光による画素信号の蓄積に際してゲイン回路を調節し、イメージセンサ112から得られる異なるゲインの複数種類の画素信号の少なくとも1つを利用して定常光の測光を行う。
【0071】
システムコントローラ120は、ステップS201で設定した露出条件のもとで所定の発光量で撮影前に実施する予備発光を行い、予備発光に伴う被写体からの反射光(ミックス光)を測光する予備発光測光を行う(ステップS203)。この結果、システムコントローラ120は、第1の信号出力から得られる第1の予備発光信号出力E1bと、第2の信号出力から得られる第2の予備発光信号出力E2bとを得ることができる。予備発光測光が終了するとステップS204に移行する。
【0072】
ここで、上記予備発光測光においては、イメージセンサ112に対する予備発光による画素信号の蓄積に際してゲイン回路を調節し、イメージセンサ112から得られる異なるゲインの複数種類の画素信号の少なくとも1つを利用して測光を行う。
【0073】
また、上記定常光におけるイメージセンサ112に対する画素信号の蓄積と上記予備発光におけるイメージセンサ112に対する画素信号の蓄積の際の、ゲイン回路に対するゲインの設定が同じである。
【0074】
システムコントローラ120は、ステップS202及びステップS203の信号出力結果を用いて、ストロボ装置300の発光に伴う被写体からの反射光量を求め、本撮影時に必要な発光量を計算する(ステップS204)。被写体からの反射光量は以下のように算出することが可能である。即ち、ステップS203で得た第1、第2の予備発光信号出力(E1b,E2b)と、ステップS202で得た第1、第2の定常光信号出力(E1a,E2a)との差分を各々求めることで、第1の反射光量R1と第2の反射光量R2を算出することが可能である。
【0075】
R1=E1b−E1a
R2=E2b−E2a
また、発光量は、第1、第2の反射光量結果R1、R2、及び、ステップS105で求めた測光結果から算出した撮影時のシャッタ速度、絞り、ISO感度等の露出パラメータを基に計算する。なお、マニュアル露出時は別である。
【0076】
次に、上記ストロボ調光制御により調光可能なダイナミックレンジについて説明する。調光可能な距離は、測光に用いる撮像素子のダイナミックレンジを仮に±3段とし、定常光の影響が十分に無視できるとしたならば、ステップS201で適切に露光条件が設定された場合、以下のように算出することが可能である。
【0077】
即ち、図11に示すように、第1の反射光量結果R1により、約0.71mから5.66mにある反射率18%の反射板の距離を算出することが可能となる。また、第2の反射光量結果R2により、約4.00mから32mにある反射率18%の反射板の距離を算出することが可能となる。つまり、第1の反射光量結果R1と第2の反射光量結果R2は5段分シフトした結果となる。1度の予備発光の蓄積と読出しにより、第1の信号出力と第2の信号出力を得ることで、測光可能な距離レンジを5段分拡大させることが可能となる。
【0078】
また、外光輝度とストロボ反射光(露光条件)の関係を図12に示す。定常光が低輝度の場合は、外光の影響は小さくなるためストロボの反射光が支配的となり、絞りを開放として蓄積時間を制御することで所望のストロボ反射光を得ることが可能である。しかし、定常光が高輝度の場合は、蓄積時間が高速側の制御限界に突き当たり(到達し)、外光の除去ができなくなってしまう。
【0079】
外光の除去ができなくなった場合は、絞りを駆動して露光条件を制御する必要があるが、絞りを駆動することによりストロボ成分の反射光までもが減少してしまう。そのため、予備発光時の発光量を増加させる以外に所望の反射光量を得ることができなくなってしまう。また、予備発光時の発光量を増加させることは、本撮影時のストロボ発光のためのチャージ時間を増大させてしまうため問題がある。つまり、外光を除去するためには、蓄積時間をできるだけ短くして外光を除去し、ストロボの反射光を効率よく得ることが必要である。
【0080】
次に、ライブビュー動作のためにイメージセンサ112をスリットローリングシャッタ駆動させている場合のストロボ発光時における最小蓄積時間について、図13乃至図16を用いて説明する。
【0081】
図13は、スリットローリングシャッタ駆動における間引きと蓄積時間の関係を示す図である。水平方向及び垂直方向に画素間引きを行わずに、30fps(frames per second)の周期で撮像素子から画素信号の読出しを行っている場合のストロボ発光時における最小蓄積時間を示している。ストロボの予備発光は、測光領域を画像全域とした場合、画像全域に対して均一な量のストロボ光があたるようにする必要がある。そのため、画像全域の露光時間(画像領域の読出し時間+蓄積時間)の間フラット発光を行うか、画像全域が露光している全開区間に発光を行う必要がある。
【0082】
前者(画像全域の露光時間の間フラット発光を行う)場合は、予備発光の時に大量のエネルギーが必要であり現実的でない。そのため、後者の全開区間発光を行うことになるが、その場合、最低、予備発光時間と制御誤差分の時間だけ画像全域が露光している全開区間を確保する必要がある。その結果、スリットローリング機能により走らせるリセットラインに制限が生まれてしまい、蓄積時間の高速側の限界が悪化し、高輝度の場合は定常光で飽和を招いてしまい調光ができなくなってしまう。
【0083】
上記の問題は、撮像素子からの読出し時間の高速化を行うことで軽減することが可能である。図14は、撮像素子からの読出方法が「水平方向間引なし、垂直方向1/3間引き」の場合のストロボ発光時における最小蓄積時間を示している。また、図15は、「水平1/2間引き、垂直間引きなし」の場合の最小蓄積時間を示している。また、図16は、「水平1/2間引き、垂直方向1/3間引き」の場合の最小蓄積時間を示している。
【0084】
図14乃至図16から、一定の読出し周期において、水平方向及び垂直方向に間引き読出しを行い読出し時間を高速にすることで、最小蓄積時間の限界を高速側に向上させることが可能であることが分かる。
【0085】
図7のステップS201〜ステップS204のストロボ調光制御により、本撮影時の露出条件とストロボ発光量が決定し、メイン撮影シーケンスの図6のステップS108に移行する。
【0086】
図6において、ストロボ撮影をしない場合は、システムコントローラ120は、ステップS104で求めた撮影Bv値、ユーザにより設定された撮影モード、及び撮影パラメータを基にデジタルカメラの露出条件の設定を行う。また、ストロボ撮影を行う場合は、システムコントローラ120は、ステップS107のストロボ調光制御結果を基にデジタルカメラの露出条件とストロボの発光量の設定を行う(ステップS108)。設定が終了するとステップS109に移行する。なお、ここでは、第1のゲイン回路設定と第2のゲイン回路設定は同じ値に制御される。
【0087】
システムコントローラ120は、開かれているフォーカルプレーンシャッタ108を一旦閉じてバネチャージを行い、設定されたTv値で先幕及び後幕を駆動する。更に、システムコントローラ120は、イメージセンサ112から画素を間引かずに順次読出す通常の撮影動作(静止画撮影)を行う(ステップS109)。
【0088】
その後、システムコントローラ120は、イメージセンサ112から読出された画像信号を画像データコントローラ115により画像補正処理を行い、画像圧縮回路119によりJPEG圧縮等の画像変換を行った後、記録媒体401に画像を記録する。また、システムコントローラ120は、イメージセンサ112から読出しが終了すると、ミラーアップ及びシャッタ幕を開いた状態で保持し、ステップS102に戻りライビュー動作を再開する。
【0089】
なお、本実施の形態では、簡略化のために2種類のゲイン設定を行う例を示したが、ゲインの種類の数はこれに限定されるものではない。また、間引き数に関しても限定されるものではない。
【0090】
以上説明したように、本実施の形態によれば、上記のストロボ調光制御により、1回の予備発光による被写体からの反射光を基に調光可能なダイナミックレンジの拡大を行うことが可能となる。また、間引き読出しを併用することで、高輝度における調光についても高輝度限界を改善することが可能となる。また、定常光測光を行う場合においても、複数種類のゲインが掛けられた出力信号を得ることで、測光のダイナミックレンジを拡大させることが可能となる。
【0091】
[他の実施の形態]
また、本発明の目的は、以下の処理を実行することにより達成される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出す処理である。
【0092】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0093】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、次のものを用いることができる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等である。または、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしてもよい。
【0094】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、上記実施の形態の機能が実現される場合も本発明に含まれる。加えて、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理により前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0095】
更に、前述した実施形態の機能が以下の処理により実現される場合も本発明に含まれる。即ち、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行う場合である。
【符号の説明】
【0096】
1 画素配列
2 画素読出し部(画素読出手段)
3 行選択部
4 列選択部
5 ゲイン回路(増幅手段)
6 ゲイン選択部(利得設定手段)
100 カメラ本体(撮像装置)
107 測光回路(測光手段)
112 イメージセンサ(撮像素子)
120 システムコントローラ(測光手段)
300 ストロボ装置(発光手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、測光のダイナミックレンジを拡大する場合に適用される撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、多くの撮像装置では、露出制御を行うための測光方式として、測光用の圧縮系センサを利用して測光を行う方式か、撮像面等のリニア系センサを利用して測光を行う方式が採用されている。リニア系センサを利用して測光を行う方式は、圧縮センサ系を利用して測光を行う方式に比べ、測光可能なダイナミックレンジが狭いため、コントラストの大きい被写体を正確に測光することができない。
【0003】
特に、ストロボ撮影を行う際に、予備発光を行い被写体からの反射光を測光することで撮影時の発光量を計算するストロボ調光を行う場合、撮影シーンによって反射光の量が大きく異なる。そのため、予備発光時の露光結果がリニア系センサのダイナミックレンジ内に収まらず、黒つぶれしたり飽和したりしてしまい、一度の露光では正確に測光できないことがある。
【0004】
上述した問題に対処する技術としては以下の技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載の技術では、予備発光による測光結果に基づいて再度予備発光を行うか否かを判定し、再度予備発光が必要と判断した場合は、露光条件を変えて再度予備発光による測光を行っている。
【0005】
また、上記リニア系センサのダイナミックレンジを拡大する技術としては以下の技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2記載の技術では、固体撮像装置において、複数種類の混合数の異なる同色画素加算を行い、その出力結果を用いて測光を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−187266号公報
【特許文献2】特開2005−117192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1記載の技術においては、複数回、予備発光を行い測光する必要がある。そのため、撮像装置のシャッタボタン操作に伴いレリーズスイッチが作動してから撮影が開始されるまでのレリーズタイムラグが長くなってしまう。
【0008】
また、上記特許文献2記載の技術においては、撮像素子としてCMOSを利用し、ライブビュー機能(撮像素子に結像した画像をリアルタイムで表示しながら構図確認やピント合わせを行う機能)を実現している場合に、親和性がよくない。即ち、後述するように、画素加算により解像度を低下させるため測光精度の低下を招く。
【0009】
CMOS型の撮像素子は、CCD型の撮像素子のように電荷の一括転送を行うことができず、順次、画素信号の読出しを行う。そのため、ライブビュー機能などのように機械シャッタを利用することができない状況では、画像信号の読出し中においても露光し続けてしまう。従って、高輝度時は定常光による画素信号の飽和を防ぐために間引き読出しを行い、撮像素子からの読出しを高速化することで蓄積時間を短くする必要がある。
【0010】
しかし、上記特許文献2の提案による画素加算方式で撮像素子としてCMOSを利用しダイナミックレンジを拡大させる場合、画素信号の間引き読出しに加え、更に画素加算により解像度を低下させてしまう。その結果、測光精度の低下を招いてしまうという問題がある。もし、測光精度に影響がない程度の解像度を確保することが可能だとするなら、高輝度側の測光連動範囲の拡大を行いたいため、更に間引き率を大きくして画素信号の高速読出しを行いたいという課題がある。
【0011】
本発明の目的は、測光のダイナミックレンジの拡大を可能とした撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の目的を達成するために、本発明の撮像装置は、各々が光電変換素子を含み、水平方向及び垂直方向に配置された複数の画素から構成される画素配列と、前記画素配列から複数色の画素信号を読出す画素読出手段と、少なくとも2つの異なる利得の設定が可能で、前記画素読出手段により前記画素配列から読出された前記複数色の画素信号を増幅して出力する増幅手段とを備えた撮像素子と、前記増幅手段により前記複数色の全色の画素信号がそれぞれ少なくとも2つの異なる利得で増幅されるように、前記画素配列の規定の周期の行毎又は列毎に前記増幅手段に対して異なる利得を設定する利得設定手段と、撮影する被写体に対して光を照射する発光手段と、前記増幅手段により前記画素配列の規定の周期の行毎又は列毎に設定された少なくとも2つの異なる利得で増幅された複数色の画素信号を利用して前記被写体からの反射光を測光する測光手段と、前記測光手段による測光結果に基づいて前記発光手段の発光量を決定し、決定した発光量で前記発光手段が発光するように制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、画素配列からの1回の読出しに際して異なる利得の画素信号を得るように、前記画素配列の規定の周期の行毎又は列毎に増幅手段に対して異なる利得を設定するので、撮像素子から1回の読出しにつき異なる利得の画素信号を得ることが可能となり、測光のダイナミックレンジの拡大が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る固体撮像素子の構成を示すブロック図である。
【図2】画素毎の読出しゲインを示す模式図である。
【図3】画素毎の読出しゲインを示す模式図である。
【図4】画素毎の読出しゲインを示す模式図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る撮像装置としてのデジタルカメラシステムの構成を示すブロック図である。
【図6】撮像装置の撮影処理を示すフローチャートである。
【図7】ストロボ調光制御の詳細を示すフローチャートである。
【図8】撮像素子の駆動方式と読出し及び蓄積時間を示す模式図である。
【図9】撮像素子の駆動方式と蓄積時間と読出し時間を示す模式図である。
【図10】画素毎の読出しゲインを示す模式図である。
【図11】測光可能な距離レンジを示す模式図である。
【図12】外光輝度とストロボ反射光の関係を示す図である。
【図13】予備発光時の撮像素子の読出し時間と最小蓄積時間の関係を示す模式図である。
【図14】予備発光時の撮像素子の読出し時間と最小蓄積時間の関係を示す模式図である。
【図15】予備発光時の撮像素子の読出し時間と最小蓄積時間の関係を示す模式図である。
【図16】予備発光時の撮像素子の読出し時間と最小蓄積時間の関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る固体撮像素子の構成を示すブロック図である。
【0017】
図1において、本実施の形態に係る固体撮像素子(以下撮像素子)は、1回の読出しにつき明度の異なる出力信号を得ることが可能な装置である。撮像素子は、画素配列1、画素読出し部2、行選択部3、列選択部4、ゲイン回路5、ゲイン選択部6を備えている。
【0018】
画素配列1は、光電変換素子を含む水平方向及び垂直方向に配置された複数の画素から構成されている。行選択部3は、画素配列1から複数の画素を水平方向に選択する。列選択部4は、画素配列1から複数の画素を垂直方向に選択する。画素読出し部2は、画素配列1から水平方向または垂直方向に規定の周期で画素間引きを行って高速に読出すことが可能であり、行選択部3及び列選択部4によりそれぞれ選択された画素信号を順次読出す。
【0019】
ゲイン選択部6は、画素信号の1回の読出しに際して、画素配列1の行毎及び列毎に複数種類の異なる利得(ゲイン)をゲイン回路に対して設定する。ゲイン回路5は、複数種類の異なるゲインを設定することが可能であり、ゲイン選択部6により選択されたゲインに基づき画素信号を増幅し出力する。ゲイン選択部6は、行選択部3により画素配列1から選択された規定の周期の行毎にゲイン回路5に対してゲインを設定する。また、ゲイン選択部6は、列選択部4により画素配列1から選択された規定の周期の列毎にゲイン回路5に対してゲインを設定する。
【0020】
図2は、画素毎の読出しゲインを示す模式図である。
【0021】
図2において、図1に示した画素配列からの画素信号の読出し時にゲイン選択部6により選択されたゲインの選択例を示している。画素配列の2行毎にISO100とISO400が交互に選択され、画素信号の1回の読出しに際し、異なる2種類のゲインが掛けられた信号が読み出される。本実施の形態では、簡略化のために12行8列で示している。なお、本実施の形態では、ISO100とISO400の2種類の異なるゲインを選択した場合の例を示しているが、選択されるゲインの値及び種類の数はこれに限定されるものではない。
【0022】
図3は、画素毎の読出しゲインを示す模式図である。
【0023】
図3において、図2に示した画素配列に対して画素の間引き読出しを行った場合の例を示している。本実施の形態では、画素配列の3行毎に1行間引いて読出しを行っており、読出しを行う行毎にISO100とISO400を交互に選択して読出している。このように、画素の間引き読出しを行うことにより、1回の読出し速度を向上させることが可能である。なお、本実施の形態では、3行毎に1行間引く(間引き周期1/3)読出しを行った場合の例を示しているが、間引き周期はこれに限定されるものではない。
【0024】
図4は、画素毎の読出しゲインを示す模式図である。
【0025】
図4において、画素配列の列毎にゲイン選択部6により、読出す画素信号のゲイン設定を選択し、且つ、3列毎に1列間引いて読出した場合の例を示している。本実施の形態では、読み出される列毎にISO100とISO800を交互に選択して読出しを行っている。なお、本実施の形態では、画素配列の3列毎に1列間引き、2種類の異なるゲインを選択した場合の例を示しているが、間引き周期、ゲインの値、種類の数はこれに限定されるものではない。
【0026】
以上説明したように、本実施の形態によれば、画素配列からの画素信号の1回の読出しに際し、複数種類の異なるゲインが掛けられた画像信号出力を得ることが可能となる。これにより、1回の露光によって得られる画像信号出力のダイナミックレンジを拡大させることが可能となる。また、画素配列に対して画素の間引き読出しを併用することで、画素信号の高速読出しを行う場合においても上記と同様の効果を得ることが可能となる。
【0027】
[第2の実施の形態]
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る撮像装置としてのデジタルカメラシステムの構成を示すブロック図である。
【0028】
図5において、デジタルカメラシステムは、一眼レフデジタルカメラ(以下デジタルカメラ)100に撮影レンズユニット200とストロボ装置300を装備している。デジタルカメラ100は、光学機構、各種回路、各種操作ボタン、システムコントローラ(CPU)120等を備えている。デジタルカメラ100には、撮影レンズユニット200がマウント機構(不図示)を介し着脱可能に取り付けられる。撮影レンズユニット200は、撮影レンズ201、絞り202等を備えている。マウント機構は、電気的接点群210を備えている。システムコントローラ120と電気的接点群210とからレンズ検出部を構成している。
【0029】
電気的接点群210は、デジタルカメラ100と撮影レンズユニット200との間で制御信号、状態信号、データ信号等を伝え合う機能を有する。更に、電気的接点群210は、各種電圧・電流を供給する機能、撮影レンズユニット200が接続されるとシステムコントローラ120へ信号を送信する機能も有する。デジタルカメラ100と撮影レンズユニット200の間の通信により、撮影レンズユニット内の撮影レンズ201及び絞り202の駆動が可能となる。また、電気的接点群210は、電気通信のみならず、光通信、音声通信等の機能を有する構成としてもよい。
【0030】
なお、本実施の形態では便宜上1枚の撮影レンズを図示しているが、実際は更に多数の撮影レンズから構成されていることは周知の通りである。
【0031】
撮像装置による撮影動作に伴い、被写体像(不図示)からの撮影光束が撮影レンズ201及び絞り202を介して、図示の矢印方向に駆動可能なクイックリターンミラー102に導かれる。クイックリターンミラー102の中央部はハーフミラーに構成されており、クイックリターンミラー102がダウンした際に一部の撮影光束が透過する。クイックリターンミラー102を透過した撮影光束は、クイックリターンミラー102に付設されたサブミラー103により下方に向けて反射される。
【0032】
AFセンサユニット104は、公知の位相差検出方式を有し、不図示の結像面近傍に配置されたフィールドレンズ、反射ミラー、2次結像レンズ、絞り、及び、複数のCCDから成るラインセンサ等から構成されている。焦点検出回路105は、システムコントローラ120からの制御信号に基づきAFセンサユニット104を制御することで、公知の位相差検出方式により焦点検出を行う。AFセンサユニット104と焦点検出回路105とから焦点検出部を構成している。
【0033】
一方、クイックリターンミラー102により反射された撮影光束は、ペンタプリズム101、接眼レンズ106を介して撮影者の目に至る。また、クイックリターンミラー102がアップした際は、撮影レンズ201を透過した撮影光束は、機械シャッタであるフォーカルプレーンシャッタ108、フィルタ109を介して撮像素子としてのイメージセンサ112に至る。イメージセンサ112は、具体的にはCMOSイメージセンサに代表される。
【0034】
なお、イメージセンサ112は、上記第1の実施の形態で説明した固体撮像素子に相当する。イメージセンサ112は、行選択部により選択された行毎に所定の周期でゲイン回路を設定することが可能であり、1回の読出しで明度の異なる出力信号を得ることが可能な固体撮像素子とする。また、イメージセンサ112は、水平方向及び垂直方向に画素間引きを行って高速に画素信号の読出しを行うことが可能な機能を有するものとする。
【0035】
フィルタ109は、赤外線をカットし可視光線のみをイメージセンサ112へ導く機能と、光学ローパスフィルタとしての機能の2つの機能を有する。フォーカルプレーンシャッタ108は、先幕及び後幕を備えており、撮影レンズ201からの光束の透過/遮断を制御する。なお、クイックリターンミラー102のアップ時には、サブミラー103は折り畳まれるように構成されている。
【0036】
システムコントローラ120は、デジタルカメラシステム全体の制御を司るCPUにより構成されており、後述する各部の動作を適宜制御するものであり、プログラムに基づき後述の図6及び図7のフローチャートに示す処理を実行する。また、システムコントローラ120は、測光機能と発光量計算機能とを有する。システムコントローラ120には、レンズ制御回路204、絞り制御回路206が接続されている。レンズ制御回路204は、撮影レンズ201を光軸方向に移動してピント合わせを行うためのレンズ駆動機構203を制御する。絞り制御回路206は、絞り202を駆動するための絞り駆動機構205を制御する。
【0037】
また、システムコントローラ120には、シャッタチャージ・ミラー駆動機構110、シャッタ制御回路111、測光回路107が接続されている。シャッタチャージ・ミラー駆動機構110は、クイックリターンミラー102のアップ/ダウンの駆動及びフォーカルプレーンシャッタ108のシャッタチャージを制御する。シャッタ制御回路111は、フォーカルプレーンシャッタ108の先幕及び後幕の走行を制御する。測光回路107は、接眼レンズ106の近傍に配設された測光センサ(不図示)に接続された自動露出を行う回路である。
【0038】
また、システムコントローラ120には、EEPROM122が接続されている。EEPROM122には、デジタルカメラシステムを制御する上で調整が必要なパラメータ、デジタルカメラの個体識別が可能なカメラID情報、基準レンズで調整されたAF補正データ、自動露出補正値などが記憶されている。
【0039】
レンズ制御回路204は、レンズ固有の情報(例えば焦点距離、開放絞り、レンズ個々に割り振られるレンズID等の情報)、システムコントローラ120から受け取った情報を記憶するレンズ記憶部も備えている。測光回路107に接続される測光センサは、被写体の輝度を測定するためのセンサであり、その出力は測光回路107を経てシステムコントローラ120に供給される。
【0040】
システムコントローラ120は、レンズ制御回路204によりレンズ駆動機構203を制御することにより、被写体像をイメージセンサ112上に結像する。また、システムコントローラ120は、設定されたAv(絞り込み量)値に基づいて絞り制御回路206により絞り駆動機構205を制御し、更に、設定されたTv(シャッタ速度)値に基づいてシャッタ制御回路111へ制御信号を出力する。
【0041】
フォーカルプレーンシャッタ108の先幕及び後幕は、駆動源がバネにより構成されており、シャッタ走行後、次の動作のためにバネチャージを要する。シャッタチャージ・ミラー駆動機構110は、このバネチャージを制御するように構成されている。また、シャッタチャージ・ミラー駆動機構110は、上述したようにクリックリターンミラー102のアップ/ダウンを行う。
【0042】
また、システムコントローラ120には、画像データコントローラ115が接続されている。画像データコントローラ115は、DSP(デジタル信号プロセッサ)から構成され、イメージセンサ112の制御、イメージセンサ112から入力された画像データの補正・加工等をシステムコントローラ120の指令に基づき実行する。画像データの補正・加工の項目の中にはオートホワイトバランスも含まれている。オートホワイトバランスとは、撮影画像中の最大輝度の部分を所定の色(白色)に補正する機能であり、システムコントローラ120からの命令により補正量を変更可能である。
【0043】
システムコントローラ120と画像データコントローラ115とから第2の測光部を構成している。第2の測光部は以下の処理を行う。画像データコントローラ115は、画像信号を領域分割し、それぞれの領域でベイヤ画素毎に積分した値をシステムコントローラ120に供給する。システムコントローラ120は、積分信号を評価することで測光を行う。
【0044】
画像データコントローラ115には、タイミングパルス発生回路114、A/Dコンバータ113、D/Aコンバータ116、画像圧縮回路119、DRAM121、コントラスト検出回路140が接続されている。タイミングパルス発生回路114は、イメージセンサ112を駆動する際に必要なパルス信号を出力する。
【0045】
A/Dコンバータ113は、イメージセンサ112と共にタイミングパルス発生回路114で発生されたタイミングパルスを受けて、イメージセンサ112から出力される被写体像に対応したアナログ信号をデジタル信号に変換する。DRAM121は、得られた画像データ(デジタル信号)を一時的に記憶しておく。DRAM121は、加工や所定のフォーマットへのデータ変換が行われる前の画像データを一時的に記憶するために使用される。
【0046】
画像圧縮回路119には、記録媒体401が接続される。画像圧縮回路119は、DRAM121に記憶された画像データの圧縮や変換(例えばJPEG方式の圧縮)を行うための回路である。変換された画像データは、記録媒体401に格納される。記録媒体としては、ハードディスク、フラッシュメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク)等が使用される。なお、画像データコントローラ115と画像圧縮回路119と記録媒体401とから記録部を構成している。
【0047】
D/Aコンバータ116には、エンコーダ回路117を介して画像表示回路118が接続されている。画像表示回路118は、イメージセンサ112により撮像された画像データを表示する回路であり、一般にはカラーの液晶表示素子により構成される。
【0048】
画像データコントローラ115は、DRAM121に記憶された画像データをD/Aコンバータ116によりアナログ信号に変換し、エンコーダ回路117に出力する。エンコーダ回路117は、D/Aコンバータ116の出力を、画像表示回路118を駆動する際に必要な映像信号(例えばNTSC信号)に変換する。なお、D/Aコンバータ215と画像表示回路118とエンコーダ回路117とから画像表示部を構成している。
【0049】
コントラスト検出回路140は、システムコントローラ120の指令に基づいて以下の処理を実行する。コントラスト検出回路140は、画像データコントローラ115により補正された画像データを所定の周波数特性を持つフィルタを通し、所定のガンマ処理を行って得られる画像信号の所定方向のコントラストの評価を行う。コントラストの評価結果はシステムコントローラ120に供給される。
【0050】
更に、システムコントローラ120には、通信I/F回路126、動作表示回路123、各種選択ボタン、各種スイッチ等が接続されている。通信I/F回路126は、情報処理装置400との間の通信を司る。動作表示回路123は、デジタルカメラの動作モードの情報、露出情報(シャッタ秒時、絞り値等)等を外部液晶表示部124や内部液晶表示部125に表示させる。なお、動作表示回路123とシステムコントローラ120とから表示制御部を構成している。
【0051】
撮影モード選択ボタン130は、撮影者が所望の動作をデジタルカメラに実行させるためのモードを設定する際に操作する。測距点選択ボタン133は、AFセンサユニット104が有する複数の焦点検出位置から使用する焦点検出位置を選択する際に操作する。AFモード選択ボタン134は、AFモードを選択する際に操作する。測光モード選択ボタン135は、測光モードを選択する際に操作する。レリーズSW1・136は、測光・測距等の撮影準備動作を開始する際に操作する。レリーズSW2・137は、撮像動作を開始する際に操作する。
【0052】
ファインダモード選択ボタン138は、光学ファインダモードとライブビューモードとを切り替える際に操作する。光学ファインダモードは、接眼レンズ106を通過する撮影光束を確認することが可能なモードである。ライブビューモードは、イメージセンサ112により受光した被写体象信号(画像)を逐次、画像表示回路118により表示するモードである。
【0053】
更に、デジタルカメラ100には、ストロボ装置300がマウント機構(不図示)を介し着脱可能に取り付けられる。マウント機構は、電気的接点群310を備えている。電気的接点群310は、デジタルカメラ100とストロボ装置300との間で制御信号、状態信号、データ信号等を伝え合う機能を有する。更に、電気的接点群310は、ストロボ装置300が接続されるとシステムコントローラ120へ信号を送信する機能も有する。デジタルカメラ100とストロボ装置300の間の通信により、ストロボの発光制御を行うことが可能となる。また、電気的接点群310は、電気通信のみならず、光通信、音声通信等の機能を有する構成としてもよい。
【0054】
次に、上記のように構成されたデジタルカメラシステムの動作について図6乃至図16を参照しながら詳細に説明する。
【0055】
図6は、撮像装置の撮影処理を示すフローチャートである。図7は、ストロボ調光制御の詳細を示すフローチャートである。
【0056】
図6において、デジタルカメラのシステムコントローラ20は、撮影者がファインダモード選択ボタン138によりライブビューモードの開始(ON)を指示したか否かを判定する(ステップS101)。撮影者によりファインダモード選択ボタン138が操作されライブビューモードの開始がシステムコントローラ120に通知されると、システムコントローラ120は以下の制御を行う。即ち、システムコントローラ120は、クリックリターンミラー102をアップ状態とし、フォーカルプレーンシャッタ108を開き、撮影レンズユニット200を通過した撮影光束がイメージセンサ112へ露光されつづける状態となるよう制御を行う。
【0057】
次に、システムコントローラ120は、ライビュー動作を実行する(ステップS102)。即ち、システムコントローラ120は、イメージセンサ112の駆動方法をスリットローリングシャッタ読出し方式に切り替え、イメージセンサ112から連続的に読み出された画像信号を、A/Dコンバータ113によりデジタル信号に変換する。更に、システムコントローラ120は、画像データコントローラ115で画像処理を行い、画像処理後のデジタル信号をD/Aコンバータ116によりアナログ信号に変換し、エンコーダ回路117によりエンコードを行いDRAM121に転送する。更に、システムコントローラ120は、外部液晶表示部124に画像を順次表示する。
【0058】
ここで、ライブビュー動作中のイメージセンサ112の駆動方式について図8及び図9を用いて簡単に説明する。ライブビュー機能を実現する場合は、連続的にイメージセンサ112から画素信号を読出す必要がある。CMOS方式の撮像素子では、CCD方式の撮像素子のような画素信号の一括転送及び一括読出しができないため、一般的にローリングシャッタ読出し方式が使用されている。
【0059】
図8に示すローリングシャッタ読出し方式は、VDのタイミングで水平ライン毎に、画像領域の上部のラインから順次、イメージセンサ112のフォトダイオード(以下PD)に蓄積された画素信号が読み出され、画素リセットが行われる。即ち、VDのタイミングで画素リセットをかける。そのため、1枚(1フレーム)の画像において、ライン毎に蓄積から読出しまでで時差があり、この時差は1ラインの読出し速度と読出す垂直ライン数により制限を受ける。また、蓄積時間に関しても同様に1枚の画像を読出す時間に制限を受けてしまう。
【0060】
図9に示すスリットローリングシャッタ駆動方式では、任意のタイミングで画素リセットライン(スリット)に従って画素リセットをかけていき、PDに蓄積された電荷をリセットすることで蓄積時間を変更することが可能である。即ち、VDのタイミングとは異なるタイミングで画素リセットをかける。また、スリットローリングシャッタ駆動方式では、自動露出制御機能と合わせて、蓄積時間を調節することで撮像素子から所望の露光量に調節された画素信号を得ることが可能である。なお、図9のResで示すラインはリセットラインである。
【0061】
また、ライブビュー動作のようにフレームレートにより読出し時間の制約を受ける場合は、全画面領域に対して一部の領域のみの読出しを行うか、水平方向及び垂直方向に画素間引きを行い高速に画素信号を読出す必要がある。
【0062】
上記ステップ102のライブビュー動作では、読出された画素信号を基に第2の測光部(システムコントローラ120、画像データコントローラ115)により測光を行う。また、自動露出制御機能により、絞り及び蓄積時間を制御すると共にゲイン回路に対するゲインの設定を行い、露出を調節する。また、同時に、ストロボ装置300を発光させるかどうかを自動的に判定するストロボ自動発光判定を行う。
【0063】
撮影者によりレリーズSW1が押されるとステップS103に移行する。システムコントローラ120は、コントラスト検出回路140の出力結果を基にレンズ制御回路204と通信を行い、焦点状態を調節する(ステップS103)。焦点状態の調節が終了するとステップS104に移行する。
【0064】
システムコントローラ120は、ライブビュー動作中と同様に、イメージセンサ112から読出された画像信号を基に測光を行い、撮影用Bv値を算出する(ステップS104)。ここで、Bv値は輝度レベルを表す指標であり、Bv=Tv+Av−Svで表すことができる。Tvはシャッタ速度(蓄積時間に相当する)、Avは絞り込み量、SvはISO感度等のゲインレベルを表している。測光が終了するとステップS105に移行する。
【0065】
システムコントローラ120は、レリーズSW1がONの期間中、撮影用Bv値をシステムコントローラ120で保持し、ライブビュー動作を行う(ステップS105)。また、システムコントローラ120は、測光及びストロボ自動発光判定を継続して行う。撮影者によりレリーズSW1がOFFされると、システムコントローラ120は、保持していた撮影用Bv値を破棄してステップS102に移行する。
【0066】
撮影者によりレリーズSW2が押されると、システムコントローラ120は、撮影者により設定可能なストロボ発光条件(強制発光、自動発光、発光禁止)及び自動発光判定結果を基に、ストロボ撮影を行うか否かを判定する(ステップS106)。ストロボ撮影が必要と判断した場合、システムコントローラ120は、ストロボ調光制御を行う(ステップS107)。ストロボ調光制御については図7で後述する。他方、ストロボ撮影が不要と判断した場合、システムコントローラ120は、ステップS104で算出した撮影用Bv値を保持したままステップS108に移行に移行する。
【0067】
図7において、システムコントローラ120は、調光時の露出制御設定を行う(ステップS201)。まず、システムコントローラ120は、ステップS105で求めた最新の測光結果を基に、所定の絞りと蓄積時間の設定を行う。また、システムコントローラ120は、イメージセンサ112の第1のゲイン回路設定をISO100相当に設定し、第2のゲイン回路設定を第1のゲイン回路設定とは異なる値(例えばISO3200)に設定する。
【0068】
これにより、図10に示すように、イメージセンサ112から第1の信号出力と第2の信号出力を得ることが可能になる。第1の信号出力と第2の信号出力については、同じタイミングで露光、蓄積、読出しが行われるため、第1及び第2のゲイン回路設定の差分だけシフトした露出レベルの信号出力となる。調光時の露出制御設定が終了するとステップS202に移行する。
【0069】
システムコントローラ120は、ステップS201で設定した露出条件で定常光を測光する定常光測光を行う(ステップS202)。更に、システムコントローラ120は、第1の信号出力から得られる第1の定常光信号出力E1aと、第2の信号出力から得られる第2の定常光信号出力E2aをEEPROM122に記憶する。定常光測光が終了するとステップS203に移行する。
【0070】
ここで、上記定常光測光においては、イメージセンサ112に対する定常光による画素信号の蓄積に際してゲイン回路を調節し、イメージセンサ112から得られる異なるゲインの複数種類の画素信号の少なくとも1つを利用して定常光の測光を行う。
【0071】
システムコントローラ120は、ステップS201で設定した露出条件のもとで所定の発光量で撮影前に実施する予備発光を行い、予備発光に伴う被写体からの反射光(ミックス光)を測光する予備発光測光を行う(ステップS203)。この結果、システムコントローラ120は、第1の信号出力から得られる第1の予備発光信号出力E1bと、第2の信号出力から得られる第2の予備発光信号出力E2bとを得ることができる。予備発光測光が終了するとステップS204に移行する。
【0072】
ここで、上記予備発光測光においては、イメージセンサ112に対する予備発光による画素信号の蓄積に際してゲイン回路を調節し、イメージセンサ112から得られる異なるゲインの複数種類の画素信号の少なくとも1つを利用して測光を行う。
【0073】
また、上記定常光におけるイメージセンサ112に対する画素信号の蓄積と上記予備発光におけるイメージセンサ112に対する画素信号の蓄積の際の、ゲイン回路に対するゲインの設定が同じである。
【0074】
システムコントローラ120は、ステップS202及びステップS203の信号出力結果を用いて、ストロボ装置300の発光に伴う被写体からの反射光量を求め、本撮影時に必要な発光量を計算する(ステップS204)。被写体からの反射光量は以下のように算出することが可能である。即ち、ステップS203で得た第1、第2の予備発光信号出力(E1b,E2b)と、ステップS202で得た第1、第2の定常光信号出力(E1a,E2a)との差分を各々求めることで、第1の反射光量R1と第2の反射光量R2を算出することが可能である。
【0075】
R1=E1b−E1a
R2=E2b−E2a
また、発光量は、第1、第2の反射光量結果R1、R2、及び、ステップS105で求めた測光結果から算出した撮影時のシャッタ速度、絞り、ISO感度等の露出パラメータを基に計算する。なお、マニュアル露出時は別である。
【0076】
次に、上記ストロボ調光制御により調光可能なダイナミックレンジについて説明する。調光可能な距離は、測光に用いる撮像素子のダイナミックレンジを仮に±3段とし、定常光の影響が十分に無視できるとしたならば、ステップS201で適切に露光条件が設定された場合、以下のように算出することが可能である。
【0077】
即ち、図11に示すように、第1の反射光量結果R1により、約0.71mから5.66mにある反射率18%の反射板の距離を算出することが可能となる。また、第2の反射光量結果R2により、約4.00mから32mにある反射率18%の反射板の距離を算出することが可能となる。つまり、第1の反射光量結果R1と第2の反射光量結果R2は5段分シフトした結果となる。1度の予備発光の蓄積と読出しにより、第1の信号出力と第2の信号出力を得ることで、測光可能な距離レンジを5段分拡大させることが可能となる。
【0078】
また、外光輝度とストロボ反射光(露光条件)の関係を図12に示す。定常光が低輝度の場合は、外光の影響は小さくなるためストロボの反射光が支配的となり、絞りを開放として蓄積時間を制御することで所望のストロボ反射光を得ることが可能である。しかし、定常光が高輝度の場合は、蓄積時間が高速側の制御限界に突き当たり(到達し)、外光の除去ができなくなってしまう。
【0079】
外光の除去ができなくなった場合は、絞りを駆動して露光条件を制御する必要があるが、絞りを駆動することによりストロボ成分の反射光までもが減少してしまう。そのため、予備発光時の発光量を増加させる以外に所望の反射光量を得ることができなくなってしまう。また、予備発光時の発光量を増加させることは、本撮影時のストロボ発光のためのチャージ時間を増大させてしまうため問題がある。つまり、外光を除去するためには、蓄積時間をできるだけ短くして外光を除去し、ストロボの反射光を効率よく得ることが必要である。
【0080】
次に、ライブビュー動作のためにイメージセンサ112をスリットローリングシャッタ駆動させている場合のストロボ発光時における最小蓄積時間について、図13乃至図16を用いて説明する。
【0081】
図13は、スリットローリングシャッタ駆動における間引きと蓄積時間の関係を示す図である。水平方向及び垂直方向に画素間引きを行わずに、30fps(frames per second)の周期で撮像素子から画素信号の読出しを行っている場合のストロボ発光時における最小蓄積時間を示している。ストロボの予備発光は、測光領域を画像全域とした場合、画像全域に対して均一な量のストロボ光があたるようにする必要がある。そのため、画像全域の露光時間(画像領域の読出し時間+蓄積時間)の間フラット発光を行うか、画像全域が露光している全開区間に発光を行う必要がある。
【0082】
前者(画像全域の露光時間の間フラット発光を行う)場合は、予備発光の時に大量のエネルギーが必要であり現実的でない。そのため、後者の全開区間発光を行うことになるが、その場合、最低、予備発光時間と制御誤差分の時間だけ画像全域が露光している全開区間を確保する必要がある。その結果、スリットローリング機能により走らせるリセットラインに制限が生まれてしまい、蓄積時間の高速側の限界が悪化し、高輝度の場合は定常光で飽和を招いてしまい調光ができなくなってしまう。
【0083】
上記の問題は、撮像素子からの読出し時間の高速化を行うことで軽減することが可能である。図14は、撮像素子からの読出方法が「水平方向間引なし、垂直方向1/3間引き」の場合のストロボ発光時における最小蓄積時間を示している。また、図15は、「水平1/2間引き、垂直間引きなし」の場合の最小蓄積時間を示している。また、図16は、「水平1/2間引き、垂直方向1/3間引き」の場合の最小蓄積時間を示している。
【0084】
図14乃至図16から、一定の読出し周期において、水平方向及び垂直方向に間引き読出しを行い読出し時間を高速にすることで、最小蓄積時間の限界を高速側に向上させることが可能であることが分かる。
【0085】
図7のステップS201〜ステップS204のストロボ調光制御により、本撮影時の露出条件とストロボ発光量が決定し、メイン撮影シーケンスの図6のステップS108に移行する。
【0086】
図6において、ストロボ撮影をしない場合は、システムコントローラ120は、ステップS104で求めた撮影Bv値、ユーザにより設定された撮影モード、及び撮影パラメータを基にデジタルカメラの露出条件の設定を行う。また、ストロボ撮影を行う場合は、システムコントローラ120は、ステップS107のストロボ調光制御結果を基にデジタルカメラの露出条件とストロボの発光量の設定を行う(ステップS108)。設定が終了するとステップS109に移行する。なお、ここでは、第1のゲイン回路設定と第2のゲイン回路設定は同じ値に制御される。
【0087】
システムコントローラ120は、開かれているフォーカルプレーンシャッタ108を一旦閉じてバネチャージを行い、設定されたTv値で先幕及び後幕を駆動する。更に、システムコントローラ120は、イメージセンサ112から画素を間引かずに順次読出す通常の撮影動作(静止画撮影)を行う(ステップS109)。
【0088】
その後、システムコントローラ120は、イメージセンサ112から読出された画像信号を画像データコントローラ115により画像補正処理を行い、画像圧縮回路119によりJPEG圧縮等の画像変換を行った後、記録媒体401に画像を記録する。また、システムコントローラ120は、イメージセンサ112から読出しが終了すると、ミラーアップ及びシャッタ幕を開いた状態で保持し、ステップS102に戻りライビュー動作を再開する。
【0089】
なお、本実施の形態では、簡略化のために2種類のゲイン設定を行う例を示したが、ゲインの種類の数はこれに限定されるものではない。また、間引き数に関しても限定されるものではない。
【0090】
以上説明したように、本実施の形態によれば、上記のストロボ調光制御により、1回の予備発光による被写体からの反射光を基に調光可能なダイナミックレンジの拡大を行うことが可能となる。また、間引き読出しを併用することで、高輝度における調光についても高輝度限界を改善することが可能となる。また、定常光測光を行う場合においても、複数種類のゲインが掛けられた出力信号を得ることで、測光のダイナミックレンジを拡大させることが可能となる。
【0091】
[他の実施の形態]
また、本発明の目的は、以下の処理を実行することにより達成される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出す処理である。
【0092】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0093】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、次のものを用いることができる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等である。または、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしてもよい。
【0094】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、上記実施の形態の機能が実現される場合も本発明に含まれる。加えて、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理により前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0095】
更に、前述した実施形態の機能が以下の処理により実現される場合も本発明に含まれる。即ち、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行う場合である。
【符号の説明】
【0096】
1 画素配列
2 画素読出し部(画素読出手段)
3 行選択部
4 列選択部
5 ゲイン回路(増幅手段)
6 ゲイン選択部(利得設定手段)
100 カメラ本体(撮像装置)
107 測光回路(測光手段)
112 イメージセンサ(撮像素子)
120 システムコントローラ(測光手段)
300 ストロボ装置(発光手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が光電変換素子を含み、水平方向及び垂直方向に配置された複数の画素から構成される画素配列と、前記画素配列から複数色の画素信号を読出す画素読出手段と、少なくとも2つの異なる利得の設定が可能で、前記画素読出手段により前記画素配列から読出された前記複数色の画素信号を増幅して出力する増幅手段とを備えた撮像素子と、
前記増幅手段により前記複数色の全色の画素信号がそれぞれ少なくとも2つの異なる利得で増幅されるように、前記画素配列の規定の周期の行毎又は列毎に前記増幅手段に対して異なる利得を設定する利得設定手段と、
撮影する被写体に対して光を照射する発光手段と、
前記増幅手段により前記画素配列の規定の周期の行毎又は列毎に設定された少なくとも2つの異なる利得で増幅された複数色の画素信号を利用して前記被写体からの反射光を測光する測光手段と、
前記測光手段による測光結果に基づいて前記発光手段の発光量を決定し、決定した発光量で前記発光手段が発光するように制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記画素読出手段は、前記画素配列に対して水平方向又は垂直方向に規定の周期で画素間引きを行って画素信号を読出すことが可能であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記測光手段は、撮影前に行う予備発光に際して、前記増幅手段により前記画素配列の規定の周期の行毎又は列毎に異なる利得で増幅された複数色の画素信号を利用して前記被写体からの反射光を測光することを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記測光手段は、前記増幅手段により前記画素配列の規定の周期の行毎又は列毎に異なる利得で増幅された複数色の画素信号の少なくとも1つを利用して定常光を測光し、前記定常光の測光における前記撮像素子に対する画素信号の蓄積と前記予備発光における前記撮像素子に対する画素信号の蓄積の際の、前記増幅手段に対する利得の設定が同じであることを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記撮像素子から読出した画素信号に基づく画像を表示手段に逐次表示するライブビュー動作を行うライブビュー機能を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
撮影者がレリーズ動作を指示する指示手段を備え、前記ライブビュー動作実行中に撮影者により前記指示手段が操作された場合に、前記制御手段が、前記測光手段による測光結果に基づいて前記発光手段の発光量を決定し、決定した発光量で前記発光手段が発光するように制御することを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項1】
各々が光電変換素子を含み、水平方向及び垂直方向に配置された複数の画素から構成される画素配列と、前記画素配列から複数色の画素信号を読出す画素読出手段と、少なくとも2つの異なる利得の設定が可能で、前記画素読出手段により前記画素配列から読出された前記複数色の画素信号を増幅して出力する増幅手段とを備えた撮像素子と、
前記増幅手段により前記複数色の全色の画素信号がそれぞれ少なくとも2つの異なる利得で増幅されるように、前記画素配列の規定の周期の行毎又は列毎に前記増幅手段に対して異なる利得を設定する利得設定手段と、
撮影する被写体に対して光を照射する発光手段と、
前記増幅手段により前記画素配列の規定の周期の行毎又は列毎に設定された少なくとも2つの異なる利得で増幅された複数色の画素信号を利用して前記被写体からの反射光を測光する測光手段と、
前記測光手段による測光結果に基づいて前記発光手段の発光量を決定し、決定した発光量で前記発光手段が発光するように制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記画素読出手段は、前記画素配列に対して水平方向又は垂直方向に規定の周期で画素間引きを行って画素信号を読出すことが可能であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記測光手段は、撮影前に行う予備発光に際して、前記増幅手段により前記画素配列の規定の周期の行毎又は列毎に異なる利得で増幅された複数色の画素信号を利用して前記被写体からの反射光を測光することを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記測光手段は、前記増幅手段により前記画素配列の規定の周期の行毎又は列毎に異なる利得で増幅された複数色の画素信号の少なくとも1つを利用して定常光を測光し、前記定常光の測光における前記撮像素子に対する画素信号の蓄積と前記予備発光における前記撮像素子に対する画素信号の蓄積の際の、前記増幅手段に対する利得の設定が同じであることを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記撮像素子から読出した画素信号に基づく画像を表示手段に逐次表示するライブビュー動作を行うライブビュー機能を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
撮影者がレリーズ動作を指示する指示手段を備え、前記ライブビュー動作実行中に撮影者により前記指示手段が操作された場合に、前記制御手段が、前記測光手段による測光結果に基づいて前記発光手段の発光量を決定し、決定した発光量で前記発光手段が発光するように制御することを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−93875(P2013−93875A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−279465(P2012−279465)
【出願日】平成24年12月21日(2012.12.21)
【分割の表示】特願2007−21130(P2007−21130)の分割
【原出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年12月21日(2012.12.21)
【分割の表示】特願2007−21130(P2007−21130)の分割
【原出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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