説明

操作入力装置およびこれを用いた電子機器

【課題】落下するなどして操作入力装置に強い衝撃力がかかっても、各構成部品が分離するのを防止できる操作入力装置およびこれを用いた電子機器を提供する。
【解決手段】複数の押しボタンスイッチ31a〜31eを配置し、かつ、磁界検出素子28を配置したプリント基板20の上方に、環状の操作ダイヤル50を、回動可能に支持した操作入力装置であって、同一円周上に少なくとも一対の突起13を切り起こしたベース10と、環状の操作ダイヤル50の内側に設けた嵌合孔52に嵌合することにより、内周面に突設したリブ64の外周側に、ベース10の突起13が係合してベース10に固定され、操作ダイヤル50を抜け止めする抜け止め用リング60と、抜け止め用リング60内に嵌合固定することにより、リブ64の内周側先端部に当接可能に近接する当接片73bを有するセンターキー70と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回動操作できると共に、センターキーを操作することにより、携帯電話機や携帯用音楽プレーヤに適用できる操作入力装置およびこれを用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、360度回転可能な回転式の情報入力装置が提案されている。例えば特許文献1には、ワッシャを介してベース部に取り付ける回転式の情報入力装置が記載されている。
【0003】
前記情報入力装置では、具体的には特許文献1の段落36、40の記載および図5と図6とに図示されているように、ホイール33をワッシャ61に嵌合し、このワッシャ61を、ホールダ45を介してベース75に取り付けてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−27443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記回転式の情報入力装置では、ホールダ45の固定部51をベース75に接着剤または両面テープなどで固定しているのみであるため、落下するなどして強い衝撃力がかかると、回転式の情報入力装置が外れて分離するという問題があった。
【0006】
本発明は、前記問題点に鑑み、落下するなどして操作入力装置に強い衝撃力がかかっても、各構成部品が分離するのを防止できる操作入力装置およびこれを用いた電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる操作入力装置は、前記課題を解決すべく、同一円周上に複数の押しボタンスイッチを配置し、かつ、磁界検出素子を配置したプリント基板の上方に、下面に環状マグネットを同心円状に配置した環状の操作ダイヤルを、回動可能に支持した操作入力装置であって、同一円周上に少なくとも一対の突起を切り起こしたベースと、前記環状の操作ダイヤルの内側に設けた嵌合孔に嵌合することにより、内周面に突設したリブの外周側に、前記ベースの突起が係合して前記ベースに固定され、前記操作ダイヤルを抜け止めする抜け止め用リングと、前記抜け止め用リング内に嵌合固定することにより、前記リブの内周側先端部に当接可能に近接する当接片を有するセンターキーと、を備えた構成としてある。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、センターキーの当接片を、抜け止め用リングのリブと当接可能に設けた。従って、万一、操作入力装置が落下して強い衝撃力がかかっても、当接片とリブとが当接してリブの半径方向内方への移動を妨げる。これにより、抜け止め用リングとベースとの係合が外れるのを防止でき、抜け止め用リングとベースとが分離するのを防止できる。
また、センターキーを抜け止め用リングに嵌合する際、抜け止め用リングとベースとの係合が不完全であれば、リブが半径方向内方に移動して、センターキーの当接片が抜け止め用リングのリブにあたるため嵌合することができない。このように、抜け止め用リングとベースとを正確に係合した場合のみ、センターキーを抜け止め用リングに取り付けることができる。
【0009】
本発明にかかる他の操作入力装置は、同一円周上に少なくとも一対の突起を切り起こしたベースと、複数個の押しボタンスイッチを同一円周上に実装し、かつ、磁界検出素子を実装すると共に、前記ベースの上面に一体化したプリント基板と、前記ベースの突起に係合して抜け止めすると共に、前記プリント基板の押しボタンスイッチ上に載置した環状ホルダと、下面に環状マグネットを同心円上に配置し、前記環状ホルダと同一軸心上に位置決めされて載置された環状の操作ダイヤルと、前記環状の操作ダイヤルの内側に設けた嵌合孔に挿入され、前記ベースの突起が係合し固定することにより、前記操作ダイヤルの内周縁部に係合して抜け止めする抜け止め用リングと、からなる操作入力装置であって、前記抜け止め用リングの内周面に突設したリブの内周側先端部に、当接可能に近接する当接片を有するセンターキーを備えた構成としてある。
【0010】
本発明によれば、センターキーの当接片を、抜け止め用リングのリブと当接可能に設けた。従って、万一、操作入力装置が落下して強い衝撃力がかかっても、当接片とリブとが当接してリブの半径方向内方への移動を妨げる。これにより、抜け止め用リングとベースとの係合が外れるのを防止でき、抜け止め用リングとベースとが分離するのを防止できる。
また、抜け止め用リングとベースとの係合が不完全であれば、リブが半径方向内方に移動して、センターキーの当接片が抜け止め用リングのリブを圧接し、センターキーと抜け止めリングとの係合を阻止する。これにより、抜け止め用リングとベースとを正確に係合した場合のみ、センターキーを抜け止め用リングに取り付けることができる。
【0011】
本発明にかかる実施形態としては、前記抜け止め用リングに、前記抜け止め用リングと係合する前記ベースの突起まで挿通する貫通孔を設けてもよい。
本実施形態によれば、貫通孔を介して、抜け止め用リングとベースの突起との係合を確認してから、センターキーを抜け止め用リングに取り付けできる。
【0012】
本発明にかかる別の実施形態としては、抜け止め用リングに、複数の切欠きを設けてもよい。
本実施形態によれば、切欠きを設けることで、抜け止め用リングが弾性変形しやすくなり、組み立て性が向上する。
【0013】
本発明にかかる更なる実施形態としては、抜け止め用リングは、光透過性材料からなり、前記プリント基板に配置した光源の近傍に位置するように配置してもよい。
本実施形態によれば、光源から発光した光が、操作ダイヤルの段部を通過する際に1次拡散し、抜け止め用リングにより2次拡散するので、抜け止め用リングは均等に発光できる。
【0014】
本発明にかかる実施形態としては、前記環状マグネットと対向する面に固定マグネットを設置した環状ホルダに、軸心を中心に前記固定マグネットと対称に磁性体を配置してもよい。
本実施形態によれば、固定マグネットと磁性体とを別体として環状ホルダに設けたので、環状ホルダ上に1つの繋がった環状マグネットを設ける場合と比べ、製造コストを削減できる。
また、固定マグネットと対向する位置に磁性体を配置したので、環状マグネットと吸引する、または反発する力が軸を中心に均等に作用し、操作ダイヤルが傾くのを防止できる。
【0015】
本発明にかかる他の操作入力装置は、同一円周上に複数の押しボタンスイッチを配置し、かつ、磁界検出素子を配置したプリント基板の上方に、下面に環状マグネットを同心円状に配置した環状の操作ダイヤルを、回動可能に支持した操作入力装置であって、前記環状マグネットと対向するように固定マグネットを設置した環状ホルダに、軸心を中心に前記固定マグネットと対称に磁性体を設置した構成としてある。
【0016】
本発明によれば、固定マグネットと磁性体とを別体として環状ホルダに設けたので、環状ホルダ上に1つの繋がった環状マグネットを設ける場合と比べ、製造コストを削減できる。
また、固定マグネットと対向する位置に磁性体を配置したので、環状マグネットと吸引する、または反発する力が軸を中心に均等に作用し、操作ダイヤルが傾くのを防止できる。
【0017】
本発明にかかる更に他の操作入力装置は、同一円周上に少なくとも一対の突起を切り起こしたベースと、複数個の押しボタンスイッチを同一円周上に実装し、かつ、磁界検出素子を実装すると共に、前記ベースの上面に一体化したプリント基板と、前記ベースの突起に係合して抜け止めすると共に、前記プリント基板の押しボタンスイッチ上に載置した環状ホルダと、下面に環状マグネットを同心円上に配置し、前記環状ホルダと同一軸心上に位置決めされて載置された環状の操作ダイヤルと、前記環状の操作ダイヤルの内側に設けた嵌合孔に挿入され、前記ベースの突起が係合し固定することにより、前記操作ダイヤルの内周縁部に係合して抜け止めする抜け止め用リングと、からなる操作入力装置であって、前記環状マグネットと対向するように固定マグネットを設置した前記環状ホルダに、軸心を中心に前記固定マグネットと対称に磁性体を設置した構成としてある。
【0018】
本発明によれば、固定マグネットと磁性体とを別体として環状ホルダに設けたので、環状ホルダ上に1つの繋がった環状マグネットを設ける場合と比べ、製造コストを削減できる。
また、固定マグネットと対向する位置に磁性体を配置したので、環状マグネットと吸引する、または反発する力が軸を中心に均等に作用し、操作ダイヤルが傾くのを防止できる。
【0019】
本発明にかかる電子機器としては、外部から操作できるように前述の操作入力装置の操作ダイヤルをハウジングから露出させて取り付けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る操作入力装置を上方から見た分解斜視図である。
【図2】図1で示した操作入力装置のベース部の拡大分解斜視図である。
【図3】本発明に係る操作入力装置を下方から見た分解斜視図である。
【図4】図3で示した操作入力装置のベース部の拡大分解斜視図である。
【図5】図1で示した操作入力装置の要部の拡大分解斜視図である。
【図6】図3で示した操作入力装置の要部の拡大分解斜視図である。
【図7】図7Aは図1で示した操作入力装置のホルダの上面図、図7Bは図7Aの正面図である。
【図8】図8Aは本発明に係る操作入力装置の上面図、図8B、図8Cは図8AのBーB線断面図である。
【図9】図9Aは本発明に係る操作入力装置の上面図、図9B、図9Cは図9AのBーB線断面図である。
【図10】図10Aは本発明に係る操作入力装置の上面図、図10B、図10Cは図10AのBーB線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明にかかる実施形態を、図1ないし図10の添付図面に従って説明する。
本実施形態の操作入力装置は、図1ないし図4に示すように、フレキシブルなプリント基板20を一体化した金属ベース10と、下面にドーム状可動接点からなる中央押しボタンスイッチ31aおよび4個の押しボタンスイッチ31b〜31eを貼り付けた樹脂製フィルムカバー30と、前記ベース10に固定される環状ホルダ40と、下面に環状マグネット55を固定した操作ダイヤル50と、前記金属ベース10と係合し、前記操作ダイヤル50の内周縁部を抜け止めする抜け止め用リング60と、前記抜け止め用リング60の内周縁部と係合し、抜け止め用リング60をより一層確実に抜け止めすると共に、押し下げ可能なセンターキー70と、からなるものである。
【0022】
金属ベース10は、図2および図4に示すように、外周縁部に図示しない他部品を係合,固定する係合用爪部11を下方側に切り曲げた平面略円形である。その中心から同一円周上に、後述する環状ホルダ40と係合し、かつ、位置決めする一対の環状ホルダ位置決め突起12が設けられている。同様に中心から同一円周上に位置し、抜け止め用リング60と係合し、位置決めする一対のリング位置決め突起13が設けられている。この環状ホルダ位置決め突起12およびリング位置決め突起13は、正面視略T字形状であり、上方側に切り起こしてある。そして、中心から前記2つの突起12、12よりも外側には、同一円周上に方形および円形の治具孔14、15を設けてある。
【0023】
フレキシブルな樹脂フィルムからなるプリント基板20は、裏面に接着剤を塗布した略円形の基板本体20aと、前記基板本体20aから延在するリード部20bとから形成されてある。前記基板本体20aは、その中央に導電部21aを設けてあると共に、前記導電部21aを中心として同一円周上に均等のピッチで導電部21b〜21eを配置してある。前記導電部21a〜21eは、環状固定接点部と前記環状固定接点部内に配置された一対の固定接点部とからなるものである。また、前記プリント基板20は、前記金属ベース10の治具孔14、15と対応する位置に、治具孔24、25をそれぞれ設けてある。更に、基板本体20aには同一円周上に4つのLED27を、十字方向に対称となるように設置すると共に、一対の前記LED27の外側に同一円周上に一対のホール素子28をそれぞれ設置してある。ホール素子28は、上方を通過する磁束を検出し、検出信号を出力する特性を有する。
なお、前記導電部21a〜21eは、例えば、固定接点部が同心円上であってもよく、また、平面視略C字形の一方の固定接点部の中央に、他方の固定接点部を配置しておいてもよい。
【0024】
樹脂製フィルムカバー30は、図2に示すように、前記基板本体20aに被覆可能な平面形状を有し、図4に示すように、接着剤を塗布した裏面のうち、前記導電部21a〜21eと対応する位置に、扁平なドーム状反転ばねからなる押しボタンスイッチ31a〜31eがそれぞれ貼り付けられてある。また、前記押しボタンスイッチ31a〜31eは押圧時の空気抵抗を小さくすべく、前記樹脂製フィルムカバー30の裏面に前記押しボタンスイッチ31a〜31eに連通する通気部32を形成してある。更に、前記樹脂製フィルムカバー30は、前記金属ベース10の治具孔14、15と対応する位置に、治具孔34、35をそれぞれ設けてある。そして、前記樹脂製フィルムカバー30は、その外周縁部近傍に前記ホール素子28およびLED27に嵌合する逃げ部36を形成すると共に、外周縁部には制御素子(図示せず)に嵌合する逃げ部37を形成してある。
【0025】
環状ホルダ40は、図5および図6に示すように、ドーナッツ形状の円盤部材41と、この円盤部材41の内周縁部から上方に突設した環状突部42とから構成されてある。円盤部材41と環状突部42との境には、対向する位置に一対の舌片43を下方側に突設してある。前記舌片43は図6に示すように、円盤部材41から下方側に突出しており、円盤部材41の裏面から鉛直下方に延びる立壁43aと、凹部43bを有し、かつ、前記立壁43aの下端部から半径方向外方に延びる突起43cとから構成されてある。また、円盤部材41には、前記舌片43の近傍に、後述する固定マグネット48aを収容する第1凹部44aと、後述する磁性体48bを収容する第2凹部44bとが、対向するように同一円周上に設けられてある。更に、円盤部材41の外周縁部には、前記ホール素子28に嵌合する逃げ部45を形成すると共に、制御素子(図示せず)に嵌合する逃げ部46を形成してある。また、図6に示すように、円盤部材41の下面には、前記押しボタンスイッチ31b〜31eをそれぞれ押圧可能な操作用突起47を突設してある。
【0026】
操作ダイヤル50は、図1に示すように、金属ベース10に載置可能な透光性材料からなる同心円形状であり、その中心に第1摺動シート51を介して抜け止め用リング60を嵌合できる嵌合孔52を設けてある。嵌合孔52から段部52aが中心に向かって突設しており、この段部52a上に第1摺動シート51を載置している。操作ダイヤル50の裏面には、図3に示すように、第2摺動シート53が嵌合する第1環状溝部54が円周方向に設けられ、第1環状溝部54の外側には、N極とS極を交互に配置した環状マグネット55を嵌合する第2環状溝部56が設けられてある。第2環状溝部56の外周に設けた一対の切欠き部56aと環状マグネット55の突起55aとが係合して位置決めされると共に、操作ダイヤル50の回転に従って、環状マグネット55も回転するように構成されてある。図8に示すように、環状マグネット55は環状ホルダ40に固定された固定マグネット48aおよび磁性体48bと対向するように配置してある。
【0027】
抜け止め用リング60は、図5および図6に示すように、透光性材料からなり、金属ベース10と係合して操作ダイヤル50を抜け止めするものである。ただし、図5および6は説明の便宜上、部品の一部を省略している。前記抜け止め用リング60は、環状の操作ダイヤル50の内側に設けた嵌合孔52内に嵌合し、金属ベース10に設けたリング位置決め突起13を、抜け止め用リング60に設けた係合孔61に係合,固定される。図7に示すように、抜け止め用リング60は、円状の外周壁62と、段部63aを有し、外周壁62の内周縁部から下方に向かって延びる4つの突出部63と、係合孔61を有し、外周壁62から半径方向内方に向かって延びる先端がU字形状のリブ64とから一体に成型されている。外周壁62の内周には、所定の間隔を開けて切欠き部65が設けられている。係合孔61は、リブ64の外周側である背面66に設けられ、図7に示すように一対の水平方向に延びる舌片66aにより正面視略T字形状に形成されている。また、図7(A)に示すように、リブ64の外周壁62側に設けた一対の貫通孔67からリブ64の舌片66aを視認することができる。
【0028】
センターキー70は、図5および図6に示すように、人が直接、下方に押圧する円盤部71と、円盤部71の裏面から下方に延びる4つの係合部72と、円盤部71裏面の中心付近から下方に延びる突起部73と、から構成されてある。係合部72は、円盤部71から連続して下方に延びる立壁72aと、立壁72aの下端部から半径方向外方に向かって突起する突設部72bとからなる。突起部73は、円筒形状の円筒部73aと、円筒部73aの外周面から半径方向外方に向かって延びる当接片73bとからなる。
【0029】
次に、前述の構成部品の組み立て工程について説明する。
まず、図示しない治具である一対の位置決めピンに、金属ベース10の治具孔14、15を挿入し位置決めする。ついで、ホール素子28、LED27、および制御素子を所定の位置に実装したプリント基板20の治具孔24、25を、前記治具である一対の位置決めピンに挿入する。これにより、前記金属ベース10の環状ホルダ位置決め突起12とリング位置決め突起13に、前記プリント基板20の係合孔26を嵌合して一体化する。さらに、樹脂製フィルムカバー30の治具孔34、35を前記治具である位置決めピンに挿入し、前記プリント基板20の本体部20aに樹脂製フィルムカバー30を貼着一体化する。これにより、導電部21a〜21eにドーム状反転ばねからなる押しボタンスイッチ31a〜31eをそれぞれ位置決めする。
【0030】
前記金属ベース10の環状ホルダ位置決め突起12を、環状ホルダ40の凹部43bを介して突起43cの上面に係合することで、環状ホルダ位置決め突起12を舌片43に係合して(図9参照)、ベース10に環状ホルダ40を位置決めする。これにより、環状ホルダ40を金属ベース10に固定すると共に環状ホルダ40の操作用突起47が押しボタンスイッチ31a〜31e上に当接する。そして、固定マグネット48aを環状ホルダ40の第1凹部44aに嵌合,固定し、磁性体48bを第2凹部44bに嵌合,固定する。
【0031】
次いで、図示しない治具に操作ダイヤル50を裏返して位置決めし、その第1環状溝部54に第2摺動シート53を嵌合すると共に、第2環状溝部56に環状マグネット55を嵌合,固定し、位置決めする。
【0032】
更に、金属ベース10に一体化した環状ホルダ40に、前記操作ダイヤル50を組み付け、操作ダイヤル50の嵌合孔52の内周縁部に第1摺動シート51を介して抜け止め用リング60を嵌合する。リング位置決め突起13と係合孔61とを係合し(図10参照)、抜け止め用リング60の舌片66a上に金属ベース10のリング位置決め突起13を係合することで、金属ベース10に抜け止め用リング60を取り付ける。これにより、センターキー70以外の全ての構成部品を一体化する。このとき、抜け止め用リング60の貫通孔67から係合孔61とリング位置決め突起13との係合状態を確認できる。
【0033】
最後に、図6に示すようにセンターキー70の突設部72bを抜け止め用リング60の段部63aに係合し、抜け止め用リング60にセンターキー70を取り付ける。図10(B)および図10(C)に示すように、当接片73bがリブ64の内周側にある先端64aと当接可能に設けられてある。このため、抜け止め用リング60の係合孔61と金属ベース10のリング位置決め突起13との係合が不十分である場合に、リング位置決め突起13がリブ64を半径方向内方に押圧するとき、リブ64は半径方向内方に移動する。これにより、センターキー70を抜け止め用リング60に取り付ける際に当接片73bがリブ64の先端64aと圧接し、センターキー70を抜け止め用リング60に嵌合できない。従って、金属ベース10と抜け止め用リング60とを正確に係合した場合にのみ、センターキー70を抜け止め用リング60に取り付けることができる。また、センターキー70の当接片73bが、抜け止め用リング60のリブ64と半径方向外方に向かって当接可能に設けられてある。従って、万一、操作入力装置が落下して強い衝撃力がかかっても、当接片73bとリブ64の先端64aとが当接してリブ64が半径方向内方に移動するのを妨げる。これにより、抜け止め用リング60とベース10との係合が外れるのを防止でき、抜け止め用リング60とベース10とが分離するのを防止できる。
【0034】
ここで、抜け止め用リング60に貫通孔67が形成されているので、係合孔61にリング位置決め突起13が確実に係合したことを確認してから、センターキー70を抜け止め用リング60に取り付けできる。
【0035】
また、抜け止め用リング60に複数の切欠き部65を設けたので、抜け止め用リング60が弾性変形しやすくなり、組み立て性が向上する。
【0036】
更に、抜け止め用リング60は透光性材料からなるため、図10(C)に示すように、光源であるLED27が発光すると操作ダイヤル50を介して、抜け止め用リング60内を光が透過する。光が、操作ダイヤル50の段部52aを通過する際に1次拡散し、抜け止め用リング60内を透過することにより2次拡散するので、抜け止め用リング60が均等に発光できる。なお、LED27からの光を抜け止め用リング60まで入射するために、第1摺動シート51も透光性を有している。ただし、操作ダイヤル50の段部52a以外の表面は塗装されており、操作ダイヤル50から光が外部に放射されることはない。つまり、操作ダイヤル50の段部52aのみを光が通過するものである。
【0037】
本実施形態では、固定マグネット48aと磁性体48bとを別体として環状ホルダ40に設けたので、円盤部材41上を周回する1つの環状マグネットを設ける場合と比べ、製造コストを削減できる。
【0038】
固定マグネット48aと対向する位置に磁性体48bを配置したので、環状マグネット55と吸引する、または反発する力が軸を中心に均等に作用し、操作ダイヤル50が傾くのを防止できる。
【0039】
そして、図9に示すように磁性体48bは、環状マグネット55と対向する。このとき、磁性体48bと環状マグネット55とは常に吸引し合う。このため、操作ダイヤル50を回動する際の抵抗となり、過回転を防止できるので、操作性が向上する。
【0040】
次に、前述の構成からなる操作入力装置を携帯電話機(図示せず)に適用した場合の操作方法について説明する。
操作ダイヤル50を抜け止め用リング60の軸心を中心として回動させると、操作ダイヤル50は第2摺動シート53を介して環状ホルダ40上を回動する。このため、操作ダイヤル50と一体な環状マグネット55が回動し、一対のホール素子28が磁界の変化をそれぞれ検知し、これに基づいて回動方向および回動量を検出する。
そして、その検出結果が図示しない制御回路を介してモニターの画面表示にスクロールバーの移動として反映される。ついで、所望の位置にスクロールバーが到達した場合に、センターキー70を押すことにより、中央押しボタンスイッチ31aの反転バネが反転し、対応する導電部21aを導電させて選択指令を出力する。
また、操作ダイヤル50の周辺部を押し下げ、環状ホルダ40の操作用突起47で押しボタンスイッチ31b〜31eの反転バネを適宜反転させることにより、対応する導電部21b〜21eを通電させてもよい。
【符号の説明】
【0041】
10 金属ベース
13 リング位置決め突起
20 プリント基板
27 LED
28 ホール素子
31a〜31e 押しボタンスイッチ
40 環状ホルダ
48a 固定マグネット
48b 磁性体
50 操作ダイヤル
55 環状マグネット
60 抜け止め用リング
64 リブ
65 切欠き部
67 貫通孔
70 センターキー
73b 当接片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一円周上に複数の押しボタンスイッチを配置し、かつ、磁界検出素子を配置したプリント基板の上方に、下面に環状マグネットを同心円状に配置した環状の操作ダイヤルを、回動可能に支持した操作入力装置であって、
同一円周上に少なくとも一対の突起を切り起こしたベースと、
前記環状の操作ダイヤルの内側に設けた嵌合孔に嵌合することにより、内周面に突設したリブの外周側に、前記ベースの突起が係合して前記ベースに固定され、前記操作ダイヤルを抜け止めする抜け止め用リングと、
前記抜け止め用リング内に嵌合固定することにより、前記リブの内周側先端部に当接可能に近接する当接片を有するセンターキーと、
を備えたことを特徴とする操作入力装置。
【請求項2】
同一円周上に少なくとも一対の突起を切り起こしたベースと、
複数個の押しボタンスイッチを同一円周上に実装し、かつ、磁界検出素子を実装すると共に、前記ベースの上面に一体化したプリント基板と、
前記ベースの突起に係合して抜け止めすると共に、前記プリント基板の押しボタンスイッチ上に載置した環状ホルダと、
下面に環状マグネットを同心円上に配置し、前記環状ホルダと同一軸心上に位置決めされて載置された環状の操作ダイヤルと、
前記環状の操作ダイヤルの内側に設けた嵌合孔に挿入され、前記ベースの突起が係合し固定することにより、前記操作ダイヤルの内周縁部に係合して抜け止めする抜け止め用リングと、
からなる操作入力装置であって、
前記抜け止め用リングの内周面に突設したリブの内周側先端部に、当接可能に近接する当接片を有するセンターキーを備えたことを特徴とする操作入力装置。
【請求項3】
前記抜け止め用リングに、前記抜け止め用リングと係合する前記ベースの突起まで挿通する貫通孔を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の操作入力装置。
【請求項4】
前記抜け止め用リングに、複数の切欠きを設けたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の操作入力装置。
【請求項5】
前記抜け止め用リングは、透光性材料からなり、前記プリント基板に配置した光源の近傍に位置するように配置したことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の操作入力装置。
【請求項6】
前記環状マグネットと対向する面に固定マグネットを設置した環状ホルダに、軸心を中心に前記固定マグネットと対称に磁性体を配置したことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の操作入力装置。
【請求項7】
同一円周上に複数の押しボタンスイッチを配置し、かつ、磁界検出素子を配置したプリント基板の上方に、下面に環状マグネットを同心円状に配置した環状の操作ダイヤルを、回動可能に支持した操作入力装置であって、
前記環状マグネットと対向可能に固定マグネットを設置した環状ホルダに、軸心を中心に前記固定マグネットと対称に磁性体を設置したことを特徴とする操作入力装置。
【請求項8】
同一円周上に少なくとも一対の突起を切り起こしたベースと、
複数個の押しボタンスイッチを同一円周上に実装し、かつ、磁界検出素子を実装すると共に、前記ベースの上面に一体化したプリント基板と、
前記ベースの突起に係合して抜け止めすると共に、前記プリント基板の押しボタンスイッチ上に載置した環状ホルダと、
下面に環状マグネットを同心円上に配置し、前記環状ホルダと同一軸心上に位置決めされて載置された環状の操作ダイヤルと、
前記環状の操作ダイヤルの内側に設けた嵌合孔に挿入され、前記ベースの突起が係合し固定することにより、前記操作ダイヤルの内周縁部に係合して抜け止めする抜け止め用リングと、
からなる操作入力装置であって、
前記環状マグネットと対向可能に固定マグネットを設置した前記環状ホルダに、軸心を中心に前記固定マグネットと対称に磁性体を設置したことを特徴とする操作入力装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の操作入力装置を、外部から操作できるように操作ダイヤルをハウジングから露出させて取り付けたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−161020(P2010−161020A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−3707(P2009−3707)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】